○石田幸四郎君 私は、公明党・
国民会議を代表して、
総理の
所信表明演説に対し、重点項目に絞って質問をいたします。
現在、
我が国は、対外的にも対内的にも
歴史的なターニングポイントに立たされております。
世界情勢は、さきのロンドン・サミットからもうかがえるように、東西
冷戦体制という
言葉がもはや死語となり、
政治、
経済を初めすべての領域にわたって、
冷戦後の
世界の新しい
秩序形成が具体的に模索され始めているのであります。まさに
時代は地球規模で大きく変わろうとしていると言っても過言ではありません。
こうした中にあって、
我が国がこれまでのような一国平和主義や一国
繁栄主義という古い発想にとどまっていることは許されなくなっているのであります。今や
世界の中の
日本としての
政策選択が、あらゆる面で求められているのです。ドイツの大統領ワイツゼッカー氏は、昨年十月の統一ドイツを宣言する
演説で、「一国の
意思で未来を切り開くことができると思うものは、過去の
時代に生きているにすぎない。」と訴えておりますが、
時代を直視した名言と思います。今こそ
我が国は、
世界人類とともに生き、そして歩む、
世界との共生という
理念を明確に掲げ、新しい
世界秩序の
形成に積極的に参加するとともに、
経済的
繁栄の中で生まれた構造的諸矛盾や不公平を見直し、
世界に開かれた自由で公正な
政治、
経済、
社会の諸システムを構築していかなければならないと思います。
我が国の当面する大きな
政治課題、すなわち、
国連の平和維持活動に対する
協力問題、海外からも不公正、不透明として
批判を受けている
証券業界の
不祥事、
リクルート事件以来の
課題となっている
政治改革、そのいずれもが、
我が国の歩むべき
方向を決定する重要な問題であると言わなければなりません。(
拍手)
こうした
認識に基づいて、以下、具体的に質問をいたします。
最初に、
証券業界をめぐる
不祥事について伺うものであります。
株式や債券などいわゆる有価
証券は、その価格が上がったり下がりたりする、もうかることもあれば損をすることもある、こう信じていた一般
投資家をよそに、株価が下がって損をしても、それを補てんする行為が行われていた。しかも、自動車、電機、鉄鋼など、
我が国の代表的な製造業、商社、金融機関、年金福祉事業団、共済組合など、広範にわたって
損失補てんを受けていたとは。なぜ、このようなルール無視がまかり通りていたのか、改めて驚かざるを得ません。諸外国から、これまで以上に不透明、不公平な
我が国証券市場への
批判が高まることは必至であります。絶対にあってはならない
損失補てんが
日本の
証券業界に商慣習として幅広く定着していた事実は、一般
投資家にも諸外国に対しても弁明の余地がございません。
私は、この
証券スキャンダルについて、
政府、
証券業界の
責任問題、全容の解明、再発防止の三つの角度から、
総理並びに
大蔵大臣の
見解をただしたいと存じます。
まず第一に、
証券各会社並びに行政の
責任についてであります。
一般
投資家の損失をよそに大口
投資家のみに優遇措置を講じた反
社会的な
証券会社の
責任は、単に大手
証券会社の会長等が辞任するだけで終わりを告げてよいものかどうか。また、暴力団への資金供給に大手
証券の関与という事実も指摘されており、
社会全体、また
国際社会にまで
信用を失墜させた
日本証券業界全体の
責任は、まことに重大であります。
さて、
損失補てん先リストが発表されました。しかし、補てんを求めた覚えはない、あるいは勝手に関連会社の名義を使用された等の反論も連日報道されています。もしこれが事実ならば、
証券各社の反
社会的行為はさらに重大であると言わざるを得ません。
証券業界、
企業の
責任について
総理はどのような
見解をお持ちか、承りたいと思います。
次に、行政の
責任についてであります。
損失補てんという反
社会的な
企業活動をここまで黙認してきた行政の
責任は、極めて重いと言わざるを得ません。
証券業界を育成する指導的立場にあり、なおかつその行き過ぎを監視し、是正すべき立場にある
大蔵省が、その行き過ぎを戒めることができず、是正できないまま今日に至った
責任は、極めて重大であります。
今日までの経過を
考えてみても、
損失補てんはこの七月に突如としてあらわれたのではなく、一昨年十一月、最初の
損失補てんが明るみに出、昨年三月、各社からの自主報告によって
大蔵省は事実
関係を十分掌握していたはずであります。また、昨年の七月には、今回発表された
損失補てんの一部も既に公になっていたのであります。この間、
大蔵省は、事後補てん禁止のただ一片の通達を出したにすぎません。過去の惰性から事の重大性に気がつかなかったのか、あるいは事の重大性を故意に隠ペいしたのか、いずれにしても監視、是正することができなかった
責任は極めて重大であります。(
拍手)
大蔵省幹部の減俸処分などで済まされる次元の問題ではありません。
総理並びに
大蔵大臣、この行政
責任をいかにお
考えか、承りたいと思います。
第二に、この
証券スキャンダルを是正するためにはどうしても事実確認が必要であり、その角度からさらに伺うものであります。
何が
制度上、法律上の欠陥であったのかを検討するためには、事実に基づいた究明が必要であることは言うまでもありません。四大
証券、準大手、中堅
証券の補てんリストが発表されましたが、総額は十七社で千七百二十億円に及んでおります。しかし、今回発表された分は一九九〇年三月までであり、一九九〇年四月以降は含まれておりません。
湾岸戦争以後、株価の下落が著しかったことを思えば、九〇年度分はそれ以上ではないのか、極めて危惧されるところであり、
企業への
損失補てんはさらに大きなものとなるはずであります。
大蔵大臣は、九〇年四月以降の分をどう見ておられるのか、その概要について報告を求めたいと思います。(
拍手)
また、補てんリストが発表後、それが自主公表であったためか、補てんの定義もまちまちで、公表された側が否定するなど、その事実
関係や
責任の所在には不明確な部分があるように見受けられます。さらに、あの発表ですべてであったのであろうかという疑問もあります。果たして適切な発表であったのかどうか、しかと承っておきたいと思います。
具体的には、
損失補てんはどのような方法で行われたのか、
現行法上どのような問題があるのか、指導と監督との
関係にどのような問題があったのか、
証券業界への官僚天下りに問題はなかったのか等、これら
事件の全容を
国民の前に明らかにする必要があります。
公明党は、
証券問題特別委員会を早急に設置し、
証人喚問を含む徹底した究明を強く
要求いたします。
総理の
見解を伺います。
第三に、本問題
改革の角度からさらに伺います。
まず、指摘しなければならない
改革の大前提は、厳正な
監視機関は
大蔵省とは別個に設けるべきではないかということであります。
大蔵省は、銀行局、
証券局など
関係部局の検査部門を一元化することを
考え、
日本版SECやイギリスの
証券投資委員会の
論議には消極的であります。今回の
事件から
考えてみて、
大蔵省が厳格な
監視機関に徹し切れるかどうかは甚だ疑問であり、育成指導と監視という二つの機能が何の矛盾もなく果たせるとは極めて
考えにくいのであります。この点について、
総理、
大蔵大臣のそれぞれの所見を承りたい。
また、取引
一任勘定取引や事後的な
損失補てんは法律で禁止すべきであります。あわせて、行政罰
中心の現行
証券取引法に刑事罰を導入する必要はないのか、
見解を承りたい。
この
証券スキャンダルは、規模の大きさはもちろん、
経済への深刻な
不信感をもたらしたことに思いをいたさなければなりません。
証券制度の
改革は急を要し、しかもそれは、失った
信頼を取り戻す適切な
改革でなければなりません。
総理、行政の
責任は重大であります。大胆かつ積極的な
リーダーシップがたければ
改革は成功しません。やり得る緊急
改革の措置をいつまでをめどとするのかを含めて、その
決意のほどを承りたいと思います。
銀行問題についても若干触れたいと思います。
経済界が
証券不祥事に揺れ続けている中で、ま
たまた都市銀行三行の架空預金問題が報道されております。三行の
不正融資取引総額は三千億を超え、
大蔵省は慌てて都市銀行全体に
調査指示を行ったと言われるが、この
実態についてぜひ報告をしていただきたい。
信頼性の高い都市銀行が架空預金を設定するなどということは、まさに計画的な犯罪ではありませんか。いかにバブル
経済とはいえ、
企業の倫理もバブルであったのかと思わざるを得ません。しかも、
大蔵大臣の
関係者がこれにかかわっていたとほ、まことに遺憾と言わざるを得ません。(
拍手)
経済活動が法のもとに行われるといっても、これを動かすものはしょせん人間であり、人間の良心なくしていかなる
経済活動もあり得ないことをこの
事件はまた物語っております。一連の架空預金問題をいかに
認識し、いかに対処し、いかに
改革していくのか、その
見解並びに方針を承りたいのであります。
総理、
証券スキャンダルは単に
証券業界の問題であると
考えてはなりません。本
事件は、
我が国を
経済大国に押し上げてきた官僚主導の
企業社会の
実態が白日のもとにさらけ出されたものと言わざるを得ないのではないか。(
拍手)言うなれば、
政府は許認可行政などのもとに産業界を過度に規制し、産業界は不満を持ちつつも、競争を制限された中で
利益万能主義に陥ってきたのではないでしょうか。目まぐるしい変化を遂げる国際
環境や
社会の進展に
対応するためには、ともすれば内向きに終始してきた
経済運営は、今回の
事件からも
制度疲労を起こしていると
認識すべきであり、これを根本的に改めるぐらいの覚悟が必要であります。
総理は、官僚主導の
企業社会の
実態をどう
認識され、どう
改革されようとしているのか、その所見を承りたいと思います。(
拍手)
さて次に、外交問題並びにPKO問題に質問のテーマを移したいと思います。
国際情勢は、かつて西側諸国が共通の脅威としてきたソ連を、今や同胞としていかに助けていくかというほど、
歴史上類例を見ない大転換期にあります。今日の
国際社会における
我が国の
役割と
責任は増大し、その動向が注目されている中で、新たな
国際秩序の構築作業に積極的に参画していくのは当然であります。
しかし、
我が国外交はいまだ
冷戦時代の発想を引きずっており、顔が見えない、受け身あるいは一国平和主義との
批判を受けている現状に対し、私は深い憂慮の念を抱かざるを得ないのであります。この点、
総理はどうお
考えでしょうか。
私は、これまでの
政府の外交
政策の無策を指摘するとともに、
我が国が
憲法前文で言う、「
国際社会において、名誉ある地位」を占めようと
決意するのであれば、国際
協力に関する
理念、
原則を明確にし、
内外に広く宣明すべきであると
考えるのであります。
具体的には、我が党がかねてより
主張してきた
憲法の平和主義、国際協調主義及び
国連中心主義、人権、自由と民主主義、そして地球益、
人類益の五項目の柱を
我が国外交の
基本方針として、国際
協力憲章の策定を強く
提案するものであります。
総理の
見解を承りたい。
ロンドン・サミットでは、我が党が
主張してきた
国連機能強化、武器の国際的移転規制などの諸点で合意されたことは歓迎いたします。しかし、具体的な実行措置は依然あいまいであり、
国連中心主義をうたう
我が国がこれに道筋をつけ、秋の
国連総会で積極的に
提案をしていくべきではないのか。また、そのための作業部会を
政府内につくるべきではないかと
考えますが、
総理の
見解を伺うものであります。
さらに、サミットにおいてアジアにも目が向けられた点から見て、私は、さきに開催されたASEAN拡大外相
会議の充実を重視すべきだと
考えます。アジアにもEC構想に類似した平和
経済構想が望まれていますが、南北朝鮮問題、インド・パキスタン問題、アジア構成国間の
経済格差、南北問題、独自文化の混在など、問題が山積しております。
アジア諸国間の交流
関係は非常に厳しいのが現状であります。しかも、
アメリカ、ソ連、中国、この戦後四十五年間の
関係も考慮しなければなりません。
我が党も、早くからアジア問題に取り組むため、アジア平和
協力会議を提唱しています。
経済問題だけでなく、アジア・太平洋地域の
政治課題を含めた問題の前進こそ急務であり、その足がかりとしてASEAN拡大外相
会議の充実に積極的に取り組み、
日本の平和
貢献の姿勢を明らかにすべきであります。
総理の
見解を伺います。
さらに、
総理の訪中について伺っておきます。
来年は同中国交正常化二十周年の佳節を迎えます。私は、今回の訪中に当たっては、日中
関係をさらに強固なものにしていくとともに、大きな変化を遂げつつある国際情勢を踏まえ、アジアの大国である日中両国が
国際社会で果たすべき
役割について忌憚のない意見交換を行うべきであると思います。モンゴル訪問を含め、
総理から、今回の訪中の
目的、意義について伺うものであります。
次に、
国連の平和維持活動に対する
協力問題についてお伺いをいたします。
去る八月二日、自民、公明、民社三党の幹事長・書記長会談で、
政府から三党協議に対する中間報告が示されました。我が党は、昨年十一月の
国連平和
協力に関する合意を踏まえ、慎重に検討を進めて結論を出してまいりたいと思います。
いずれにしても、
冷戦後において
世界の平和秩序を維持するためには、
国連の
役割がますます重要になることは間違いなく、
日本としても
国連の平和活動を支えることが
世界平和になくてはならないものであるということを
認識しなければなりません。その意味で、我が党は、
国連の平和維持活動についても積極的に参加すべきであると
考えています。
この立場から数点伺います。
第一に、私は、
国際社会は依然として地域武力紛争が多発するおそれのある
時代にあると
考えています。したがって、
国連は、地域紛争を未然に防ぐシステムを構築すると同時に、紛争
解決後、紛争の再発防止のために重要な
役割を果たすPKOを
国連憲章に規定すべきだと思うかどうか。
第二に、PKOの中立性をいかにして高めるかということであります。私は、紛争当事国からPKOが
信頼されるためには、より多くの国の参加が望ましいというふうに
考えておりますが、いかがでしょうか。
第三に、PKOの
目的・任務が武力行使を伴うものであれば、
我が国は参加しないという
原則をはっきりさせることです。
日本は、過去四十五年間戦争を放棄し、武力による威嚇、武力の行使をしないことを誇りにしてきました。この
原則を崩すことはできません。したがって、コンゴ型のPKOには参加しないことを明言すべきです。
第四に、
日本の近隣諸国には、中国やシンガポールなど、
日本が
政治的
役割を拡大することは軍事的拡大につながるのではないかとの危惧があります。
日本はこの危惧を具体的行動で払拭しなければなりません。
第五に、PKOに参加することが
国際貢献のすべてのような
考えを持つべきではないということです。例えば、近い将来PKOが必要になるのはカンボジアでありましょう。私は、カンボジア復興のため、エネルギー、インフラ整備、農業、人材育成などの援助の全体像をまず提示し、その一環としてのPKO参加であるという立場でなければならないと思います。
第六に、PKOへの参加の是非については、
自衛隊のあり方も含め、国内には数多くの意見があります。
政府は、拙速を避け謙虚に世論に耳を傾けるとともに、
国際社会での評価にたえ得るものをつくるベきであります。
これらについて
総理の
認識を伺いたい。次に、
政治改革について質問をいたします。
総理は、
リクルート事件に端を発した
国民の
政治への
不信、不満に対して、
内閣の命運をかけて
政治改革に取り組むと明言されてきました。しかし、約二年間何の実行もなぎまま今日に至り、事もあろうに小
選挙区
制導入をもって
政治改革にすりかえようとされる姿勢、このことを私
たちは厳しく
批判をいたします。
それだけではありません。
政府・
自民党が導入しようとしている小
選挙区
比例代表並立制は、本質的には小
選挙区制であり、重大かつ
基本的な欠陥があります。
その第一は、得票率と
議席占有率の著しいずれが生ずるということであります。四〇%台の得票率で七〇%、八〇%の
議席獲得率に結びつくと見られる
制度がどうして公正な
選挙制度でしょうか。
選挙制度の主眼はいかに
民意を反映すべきかであり、小
選挙区
比例代表並立制は民主
政治の公正の
原則に完全に背を向けたものであります。
第二には、小
選挙区制では死票が多く、少数意見の抹殺につながり、新人が当選しにくいなど、まことに非近代的な
選挙制度であります。
第三は、小
選挙区制は
政権交代を可能にし、二大政党
時代を促進するという議論を持ち出されますが、果たしてそうでありましょうか。二大政党どころか、一強のみをつくることになりかねないゆゆしき
制度であります。
政権交代の
可能性を
制度的に模索することは重要な要素でありますが、小
選挙区制が直ちに
政権交代につながる唯一の
制度とは思われません。
ともあれ、
政府・
自民党が導入しようとする小
選挙区
比例代表並立制は、
政治改革につながらず、
政治改悪にほかなりません。私どもは、小
選挙区
比例代表並立制には断固反対であります。(
拍手)
選挙制度を論ずるのであれば、多様化している
国民のニーズを国政に反映するために、
民意を
議席に正確に反映できる
比例代表制中心の
制度こそ望ましく、候補者の顔の見える
制度を加味する
選挙区併用制を検討すべきであります。
総理、小
選挙区制を採用しているイギリスでは、さまざまな弊害が明らかとなり、世論
調査では、イギリス
国民は
比例代表制を望んでいると言われます。また、イギリス
選挙制度の権威といわれるオックスフォード大学のバトラー博士も、イギリスの
選挙制度を変えるとすれば、
民意を鏡のように反映する
比例代表制をベースとしたドイツ方式がモデルになると述べているのであります。
以上、私が指摘した並立制への反論並びに比例代表
選挙区制について、
総理のお
考えを承りたいと思います。
また、イギリスの例にも見られるように、
政治汚職対策に大きな成果を上げたのはイギリスの腐敗防止法の制定であって、小
選挙区制が腐敗防止につながったものではありません。
総理が本当に
政治改革を進め、民主
政治の発展を望んでおられるならば、何よりも
政治倫理の確立と
政治資金の規制強化を速やかに実行すべきであります。
総理、今
国会に
政府が提出しようとしている公職
選挙法改正案など三法案はまことに不十分であり、さらに腐敗防止策を強化する道筋を
国民の前に明らかにすべきであります。
例えば、現行の
政治倫理審査会を
政治倫理委員会に改め、
国会議員が行為規範を犯した場合には、速やかな措置を講じられるようにすべきであります。また、
選挙裁判の審理を促進するとともに、候補者本人が公選法違反で禁錮以上の刑に処せられた場合、当選の無効と以後長期の立候補制限を課し、連座制の適用を受けた場合には数年間の立候補制限を課すという思い切った強化策を講ずるべきであります。
腐敗防止強化に対する
総理の御所見と
決意のほどを承りたい。
最後に、雲仙岳噴火
災害対策について伺います。
初めに、六月三日の火砕流災害で亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被害に遭われた方々に対し心よりお
見舞いを申し上げたいと存じます。
私も直ちに
現地に向かい、
被災者の方々の激励と
現地調査を行いましたが、その被害はすさまじく、惨たんたるものでありました。
私が長崎県、島原市、深江町の各行政
責任者に事情を聴取した段階で最も痛感をしたことは、現行の
被災者救済
制度と被害の現実とのギャップが余りにも大きく、特に、今回のように
避難生活が長期化した場合の対策が十分でないということであります。
例えば、仮設住宅に入居した途端に食事や衣類等の生活必需品の支給が打ち切られ、生活の自立を求められます。会社勤めの方はともかく、生活の手段である農地を奪われた方々の早急な自立は困難です。集団移転をするにしても、ある程度の数がまとまらなければ優遇措置が適用されず、しかも、国の大幅助成があっても財政規模が小さな自治体への財政負担は依然として大きく、この負担にたえ得る状況にはありません。
また、被災による離農者や転廃業者には融資
制度は適用されず、自活の道が閉ざされているのであります。災害復興などの融資
制度はあっても、ただでさえ借金をしている上に生活基盤を失っているので、融資
制度を活用できないというのが現実ではありませんか。このような現場の声にどうこたえていくのか、もちろん今までの災害との整合性も軽視できませんが、それだけでは実のある災害救助はできません。
総理、もはや
現行法だけでは
被災者を総合的に救済することは困難です。私は、安全地域への集団移転の円滑化、個人住宅建設に対する超低利融資、
被災者の生活補償、国による農地の買い上げ、雇用のあっせん等を主な内容とする
特別立法、雲仙岳噴火
災害対策特別措置法を制定し、一日も早くこの深刻な
事態に
対応すべきだと
考えます。
総理の御
決意のほどを承りたい。
また、
総理、この際、雲仙岳噴火のように長期にわたる大規模災害によって財政的に著しく逼迫した自治体を
支援するために、災害復興基金を創設すべきではないかと思いますが、この点もあわせて
見解を承りたいと思います。
以上をもちまして、私の代表質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣海部俊樹君
登壇〕