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冬柴委員 もちろんそういうものも入れながら、ただ資格を有する
法曹による法的助言、サービス、こういうものを多くの
国民は求めていますし、人権相談あるいは
裁判所の窓口相談というもの、あるいはそれ以外にも警察相談もあります、あるいは政党が行っている相談、これはもうばかにならない金を投じてやっています。これは翻って言えば、今まで国がきっちりそういうことをやっていなかったがゆえに、そういうところへ
国民のニーズというものがはみ出していったんではないか。これをもう少しやはり本筋に、いろいろあっていいと思いますけれ
ども、本筋がやっぱりどんとなければいけないんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
もとより我が国はもう世界に誇るべき成文法体系を持つ国でありまして、しかしそれは、
国民大衆が十分にそれを利用し得て初めて世界に誇り得るものではないかと思うわけであります。大衆がみずからに与えられた権利を、資力に欠けるがゆえにその内容を知り得ないあるいは十分に行使し得ないとしたら、これは我が国が法が支配する民主主義国家であるということを世界に向かって誇ることはできないのではないか、このように思うわけであります。
先ほど
法務大臣からもお話ありましたように、私はあらゆる
意味でこの
法律扶助事業というものの拡充につきまして考えるべき
一つの時期に今来ているんではないかというふうに思います。その際はそれに対する哲学というものを鮮明にした基本法の制定から着手しなければならないと思います。幸い
昭和二十七年以来四十年の歴史を刻んだ
法律扶助協会の実績があります。また我が国には、数は少ないけれ
ども、進取の気性に富んだ多くの弁護士も存在しています。したがいまして、人の国のまねをする必要は全くありませんし、我が国のそのような歴史を踏まえた立派なものをつくり上げるべきである、このように思います。
ただ一言、じゃあ弁護士が努力しているのかということについてちょっと申し上げておきたいと思うんですけれ
ども、九〇年度に、まあ日本の弁護士は一万四千人くらいしかいませんけれ
ども、この
法律扶助事業に対して弁護士会から一億四千五十二万三千円の支出をしています。すなわち、弁護士一人当たり一万円は出しているわけであります。これ以外に、いわゆる扶助
事件を担当して、いただいた報酬の中から一定の割合を寄附することを
義務づけられておりまして、この金額が八千百三十六万八千円。それ以外に、弁護士が
職務上こういう知り得た人から一般の人、あるいは受任した刑事被告人からの蹟罪寄附といいまして、例えば覚せい剤
事犯の人が刑事訴追を受けた。これはもう
被害者の弁償するところないわけでして、しかしその覚せい剤
取引によって得た
利益というものを手元に留保することはこれはいけません。そういうところで
一つの贖罪寄附というのがあるんですがこういうものを、弁護士が慫慂しまして、お願いをしてもらった。これが実に四億八千五万七千円。弁護士がこの扶助事業にみずから調達してきたそのような金というものは九億円を超える金額になるわけですね。こういうこともやっぱり
国民に知ってもらわなければ、何か国に金を出せ出せといつもせびっているような評価を受けてはこれはいけないと思うわけでありますがそのような努力を重ねているということも
国民に知ってもらわなければならない、このように思います。
また、
平成元年から
平成二年にかけて、
法務大臣御努力いただきまして千五百万の補助金が増額されましたけれ
ども、この間、
平成元年度三千五百十七件の
法律扶助をしていたのを、五百五十五件、いわゆる一五・八%増しまして四千七十二件補助ができた。すなわち、国からの補助金をふやしていただいた分については、それを超える実績も挙げだということも披露しておかなければ片手落ちではないかというふうに思うわけであります。
いずれにいたしましても、そういうことを前提として我が公明党は、つとに基本法制定についての
調査費を予算要求されるように
法務大臣に対して申し入れを過去にもいたしております。
法律扶助基本法を持つ国というのはアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、すなわち日本を除くG7の国、これは全部持っています。こういうところはもとより、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、こういう北欧の国々も持っています。オーストラリア、ニュージーランド、香港、こういう旧英領、ここも当然持っています。そのほかオランダ、シンガポール、スリランカ、ザンビア、挙げ出したら切りがないほど、この基本法を持って、そういうもので予算措置をして
法律扶助あるいは法的助言、援助というものが世界じゅうで行われているわけでありまして、私、法務
委員会でも再々
左藤法務大臣の決意をお聞きしていますけれ
ども、この問題についての非常に重大な問題だという御認識をいただきまして、どうか頑張っていただきたいと思うわけであります。
ちなみに今の橋本大蔵
大臣に対しても予算
委員会で私はこのことを詳しくお尋ねをいたしました。そのとき橋本大蔵
大臣からも、地味だけれ
ども非常に大切なことを指摘していただいた。したがって、事務当局においてそういうものが成案を得られるならば
大蔵省としても優先順位の高い問題として取り組んでまいりたいという決意もいただいたわけでありまして、これは
法務大臣御同席の上ですから御承知のとおりであります。
この問題についての
法務大臣の御所見を伺いまして、私の質疑を終わりたいと思います。