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1991-10-03 第121回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十月三日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 野中 広務君    理事 川崎 二郎君 理事 園田 博之君    理事 原田 義昭君 理事 前田 武志君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 武部  文君 理事 伏屋 修治君       赤城 徳彦君    岡田 克也君       古賀 一成君    佐藤 守良君       鈴木 恒夫君    長勢 甚遠君       真鍋 光広君    森  英介君       秋葉 忠利君    上田  哲君       田中 昭一君    田並 胤明君       山下洲夫君    吉岡 賢治君       鳥居 一雄君    菅野 悦子君       中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 関谷 勝嗣君  出席政府委員         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政省郵務局長 早田 利雄君         郵政省貯金局長 松野 春樹君         郵政省簡易保険 荒瀬 眞幸君         局長         郵政省通信政策 白井  太君         局長         郵政省電気通信 森本 哲夫君         局長         郵政省放送行政 小野沢知之君         局長  委員外出席者         大蔵省理財局資 斎藤 徹郎君         金第一課長         運輸省海上技術         安全局検査測度 三島  久君         課長         郵政大臣官房人 谷  公士君         事部長         参  考  人         (日本放送協会 小山 森也君         副会長)         参  考  人         (日本放送協会 堀井 良殷君         理事)         参  考  人         (日本放送協会 中村 和夫君          理事)         参  考  人         (日本放送協会 黒川 次郎君         会長室経営計         画〕局長)         参  考  人         (日本電信電話 井上 秀一君         株式会社取締         役)         参  考  人         (日本電信電話         株式会社取締役 井関 雅夫君         電話サービス推         進本部電話サー         ビス部長)         逓信委員会調査 辛島 一治君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 九月五日  辞任         補欠選任   山下洲夫君     安田 修三君 同日  辞任         補欠選任   安田 修三君     山下洲夫君 同月二十七日  辞任         補欠選任   中井  洽君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   塚本 三郎君     中井  洽君 十月三日  辞任         補欠選任   佐田玄一郎君     岡田 克也君 同日  辞任         補欠選任   岡田 克也君     佐田玄一郎君     ――――――――――――― 九月二十四日  郵政省服務改悪反対、労働時間短縮に関する  請願(木島日出夫紹介)(第六二八号)  同(児玉健次紹介)(第六二九号)  同(菅野悦子紹介)(第六三〇号)  同(古堅実吉紹介)(第六三一号)  同(吉井英勝紹介)(第六三二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 九月二十日  郵便官署金融機関における公金出納事務一元  化に関する陳情書  (第七七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 野中広務

    野中委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として、日本放送協会会長小山森也君理事堀井良殷君、理事中村和夫君及び会長室経営計画局長黒川次郎君並びに日本電信電話株式会社取締役井上秀一着及び取締役電話サービス推進本部電話サービス部長井関雅夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 野中広務

    野中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。園田博之君。
  5. 園田博之

    園田委員 きょうは、郵便貯金ともう一つ地域情報化について、時間内で幾つか私からお尋ねをしたいと思っております。  最近は、金融といいますと非常にイメージが悪うございまして、いろいろな事件が起こっておりますし、それはそれで金融機関対応というのはきちんとしてもらわなければならぬと思っておるわけですがしかし、国民の側からしますと、特に貯金ということに対しては、御案内のとおりに、日本国民というのは非常に貯蓄性向が高い。その理由は、やはり自分の人生に対してきちんとした自分なりの努力をして安全をきちんと求めていくんだという独特の国民性でもありますし、日本国民の中でも地方方々にとりましては、特に私が住んでおるような過疎地域方々にとりましては、その中でも郵便局への期待度というのは非常に高こうございます。そういった意味で、郵政としてもこういう方々期待にこたえるだけの対応をきちんきちんと、しかもできるだけ早く進めていただかなければ困ると思っておるわけで、そこにやはり郵便貯金意義というものがあるのじゃなかろうかと私は思っておるわけです。  金融自由化ということになりまして、郵政省としても民間の金融機関の動向に合わせていろいろな対応を既にしておられるわけですが特に、金融自由化になりましてから今までの郵便貯金のそれに対応する商品、これの実績といいますか、そういうものがどういうふうに受け入れられたのか、その辺の評価をあわせてまずお尋ねをしたいというふうに思っております。
  6. 松野春樹

    松野(春)政府委員 お答え申し上げます。  先生今御指摘のとおり、地域郵便局という認識を私ども強く持っておるわけでありまして、今後一層その意味でいろいろ勉強してまいらなければならぬと思っておるわけでございます。  金融自由化が進んでまいっておりますがちょうど今の時点金融自由化の本番に突入する時点でございます。これまで金融自由化対応するために準備といいますか、いろいろ予備的な段取りをつけてまいったわけでありますが私ども金融自由化対応する商品面におきましては、最も顕著にそれを意識しましたのが平成元年でございまして、先生案内のとおり、平成元年、いわゆるMMC貯金という制度が初めて郵便貯金に導入されました。この時点では最低預入金額がまだ三百万円でございましたが本年四月には、その最低預入金額を五十万円まで引き下げております。いずれ来年の春にはこの五十万円の制限額も撤廃されるスケジュールを現在持っております。  なお、それに加えまして、金融自由化にいわば周辺で関連するサービスアップとしまして、六十三年四月からは国債等窓口販売を再開いたしましたし、また本年十月一日、つい数日前でありますが、郵便局におきましても外貨の両替並びに旅行小切手販売買い取り等サービス実施しているところでございます。  金利そのものにつきましての本当の自由化の第一歩は、ことしの十一月五日に三百万円以上の定期性預貯金自由化になりまして、これも官民共通商品でありますが郵便貯金商品も参画いたします。  以上でございます。
  7. 園田博之

    園田委員 これからがいよいよ本格的だということですが同時に、ではこれからはどういう対応をしようとしておられるのか、新たな貯蓄商品といいますか、そういうものの具体的な方策とその対応についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  8. 松野春樹

    松野(春)政府委員 先ほども最後にちょっと触れましたが今後の対応につきまして商品面から見ますと、何と申しましてもことしの十一月五日から、郵便貯金にとりまして初めて自由金利型の定期郵便貯金、私どもこれをニュー定期商品名を呼んでおりますがこれが発売になります。それから来年の六月を目途に、先ほど申し上げましたMMC貯金最低預入金額五十万円が撤廃になりますとともに、定期以外の流動性預貯金自由化の第一段といたしまして新型貯蓄預貯金を創設これは仮称でありますがいわゆる私ども通常郵便貯金の分野にも自由化の波が押し寄せてくるということでございます。  なお、現在予算要求中でありますが平成年度施策としまして、変動金利型長期積立郵便貯金、ちょっと長い名前で恐縮でありますが現在の積立郵便貯金は三年が限度でありますけれども、例えば五年ないし七年というふうに長い間こつこつ目的に向かってためる貯金であると同時に、その金利につきまして、これは現在私ども持っていない商品でありますが変動金利を、例えば一年ごとにその時点での金利を適用するというふうなことをミックスしました商品金利自由化対応商品としてぜひ入れたいということで、今予算要求中でございます。  これ以外に、従来から予算要求してまだ懸案事項でペンディングになっております家計ミニ貸付制度実施でありますとか、シルバープラン貯金実施でありますとか、それぞれこれから迎える金利自由化時代の私ども商品としてぜひ何とかして実現したいということで取り組んでいるところでございます。
  9. 園田博之

    園田委員 最初に申し上げましたように、やはりいろいろな形の商品が特に必要でしょうが基本的には、長期設計型といいますか、こういうものが特に地域方々が求めておられるところでありまして、こうしたお考えが何としても実現できるように努力をしなければなりませんし、また、今後とも、国民ニーズといいますか、特に地域方々ニーズに合うような商品開発をぜひ考えていただきたいと思っております。  さらに、これから自由金利商品がこうやって次から次に出てまいりますし、そういうウエートがやはりどんどんどんどん高まるだろうと思うのですね。そうなりますと、逆に郵政事業運営上の問題として、お預りした資金をどうやって大事にして、しかもなるべく高い利率で運用するかということがますます必要になってくるわけでございまして、既に資金運用面での対応策としては、もう五年前から一定の枠を設けて資金運用を独自にできるようになりました。過去五年間、ことしも入れて五年間ですか、合計十五兆円ですかの資金運用をされてそれなりの成果は上がっているだろうと思うのですがここまでの運用状況について、ちょっと簡単にお話しいただけませんか。
  10. 松野春樹

    松野(春)政府委員 金利自由化を中心とする金融自由化の進行を予測しまして、昭和六十二年度金融自由化対策資金という制度が新しく設けられ、いわゆる自主運用資金を得たわけでございます。先生も先ほどお触れになりましたように、ちょうど今年度で五年目を迎えまして、第一次五カ年が今年度で一応経過するということになるわけでございますが予定では残高で十五兆円に達するということになります。  六十二年度から今決算でまとまっております平成年度までの四年間ということでお許しをいただきたいと思いますがこの四年間で金融自由化対策資金の利益は累計で一千三百四十七億円でございまして、現在、これは私ども一般勘定、本会計の方が決算状況が順調でございますので、これはそのままこの対策資金として今プールいたしております。この数字は、仮に資金運用部へ預託しておったらその部分がどうなるかということと比較しますと、運用利回りで申し上げますとおよそ〇・七%近く上回る運用利回りを確保しておりまして、一応所期の成果を得ていると思っております。  ただ、この自由化進展一つの顕著なあらわれ方と申しますのは、当然市場での調達コストアップになります。したがって、私ども、この有利運用部分のこれからの実績というものは郵便貯金経営基盤を安定的に維持していくためにぜひ必要な制度であり、新規運用額等につきましても、ことしも予算要求しておるところでありますがそのような考えで臨みたいというふうに存じております。
  11. 園田博之

    園田委員 確かにそのとおりで、今お聞きしますと、過去四年間は確かに当初の目的どおり運用実績も出てきました。しかし、このままではそれに対応できだということも言えないのではなかろうか。それは今局長がおっしゃるように、調達コストが当然高くなりますから、これ以上のものをやはり自主運用によって基盤を強めていかなければならぬというふうに思っております。  そういった意味では、過去五年間の実績実績として、さて来年以降どうするのか。その対応が今までの延長線上だけではなかなか心もとないと思うのです。その点について、来年度以降の運用額というものに対するお考え、それからその対応策、これについても新しいお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
  12. 松野春樹

    松野(春)政府委員 平成年度、本年度をもちまして、いわば第一次計画的な自主運用の五カ年が経過しますので、何とかして平成年度以降この制度を継続してまいりたいと思っているわけであります。  予算重要施策として要求も申し上げておるわけでありますが、その内容を申し上げますと、平成年度から平成年度までの当面の五年間につきまして、各年度預託増加見込み額の二分の一に相当する額を金融自由化対策資金当該年度新規運用額として要求しておるところであります。  これを平成年度数字に置きかえますと、平成年度につきましては預託増加見込み額、これは元加利子を含んでおります、八五%程度は実は市場からではなく元加利子増加が毎年毎年ふえておりますが九・九兆円増加するという見込みをしております。したがって、それのおよそ二分の一に当たります約五兆円を平成年度新規運用額として要求しておるところでございまして、この実現に向けて努力しておるわけであります。  私どもこの要求をつくるに当たりまして、二分の一がいいのか悪いのかいろいろ内部で議論いたしましたがやはり私ども責務として二つの立場があるのであろうというふうに感じました。  一つは、先ほど来御指摘いただいておりますように、この金融自由化進展に十分対応できる額を確保する、これが一つでありますがもう一つは、財政投融資資金需要に十分配意していかなければいかぬという私ども国営事業としての役割もございます。この両方の責務を勘案いたしまして、このような要求で現在折衝を続けておるところであります。  また、運用対象につきましても、これは市場が熟してくるに従いまして、これまでの経過におきましてもいろいろ運用範囲を拡大していただいてきておるのですけれども、今日的に地域振興等も絡みますがぜひ何とかして地方公共団体、あるいはこれは多少識別眼が必要かと思いますが第三セクター等も含めて融資が直接この自主運用資金から行えるようにしたいなということで、これも運用範囲の拡大ということで現在要求して、折衝を続けておるところであります。ぜひ実現に向かって努力したいと思っております。
  13. 園田博之

    園田委員 結構です。おっしゃるとおり、運用額をやたらとふやすだけで国の責任が果たせるわけではありませんから。  そうはいいながらも、今申し上げましたように、やはり現在の金融市場対応するためには、今よりも少しふやしていただかないとこれは事業運営上困難な問題が出てきますので、当初目標にされたものは来年度以降きちっと実現できるように御努力をお願いしたいと思いますし、確かに運用対象多様化についても、地方公共団体や第三セクターが非常にまたそのことによっていろいろな事業多様化できることにもなりますから、そういった意味でもこの運用対象多様化についてもひとつ全力を挙げていただきたいと思います。  いずれにしましても、最初に申し上げましたように、地域の人々にとりまして、郵便貯金意義というのはますます高まってくると思います。そういった意味で、全力を挙げてひとつ御努力をお願いしたいと思います。  次に、地域情報化ということについて若干お聞きしたいと思います。  まず初めに大臣に、大臣も御就任以来いろいろな御努力をいただきました。特に私が大臣期待しておるのは、四国の愛媛というところの御出身でございまして、私たち以上に困った地域実情は御存じでありますし、またその情熱も私たち以上であるかと思っておるわけです。私は、当選以来、当初から逓信委員会に所属しておりますが一番最初の動機は、何といったって熊本の天草というところは田舎でございますので、こういう地域都市との格差を埋めるためにはやはり情報格差をなくすことだ、せめてそのくらいはしないとこれからますますその地域格差は広がっていくばかりだ、こう思いながら勉強しようと思ってこの委員会にずっと所属をさせていただいておるわけです。残念ながら、いろいろな施策が組まれておりますが、地域情報化が必ずしもいわゆる過疎地域と言われるところとの格差を埋める役目をまだまだ果たしていないのではないかと私は思うのですね。そういった意味では、大臣御自身が同じお気持ちであろうかと思っておりますが今までの地域情報化評価あるいはこれから郵政大臣としてどうやってこの格差を埋めようとしておられるのか、その辺のお気持ちをお聞きしたいと思います。
  14. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘のように、四全総などでもうたわれておりますが 一極集中を是正していこうという考え方、これは当初はその地域間格差をなくするためにいわゆる交通網整備をやっていこうということからずっと進めてきておると思います。それはまた現時点でも続いておるわけでございますがそれプラス、最近といいましょうか、電気通信事業というものが昭和六十年に規制緩和自由化されて以降は、先生指摘のように、電気通信というもの、情報というものを通して地域間格差をなくしていこうという方向で進んでいっておると思うわけでございまして、ぜひ情報通信基盤整備を行ってその格差をなくしていきたい、そのように考えておるわけでございます。そういうようなことでことし法律を決めましたが御承知のように基盤充実臨時特別措置法ども設定をいたしまして、ハードの面だけではなくして人材も含めたソフトの面も地方で十分にその対策を講ずることができるような法律もでき上がったわけでございます。  今後は、来年度予算といたしましてあるいはまた税制上の支援措置要求しているところでございますが情報拠点都市圏整備構想というものもつくったりしておるわけでございます。これは地方都市幾つかねらい定めましてそこでやっていこうということですから、この方からいいますと先生地域とか私の地域は入るか入らないかはちょっとまだわからないところだろうと思うわけでございますがいずれにいたしましても、御指摘のように各地域ハードソフトの面から十分対策を講じて一極集中を是正していくということで努力をしたいと思っております。
  15. 園田博之

    園田委員 ぜひこれは、大臣もそういう御熱意がございますし、一つ一つ具体的に、特に私は後で申し上げますが地域地域といいましても地方都市とさらに地方都市から離れた地域との問題もありますし、こういう対策をどうしていくのかという大きな問題が残っておりますので、大臣の御努力をお願いしたいと思っております。  この地域情報化で一番私たちが耳にするのはテレトピア構想というものでありまして、実際に私も幾つかの例でこの構想が生かされていろんな事業地方実現できているということは知っておりますがしかしそうはいってもこれはいろんな例があるでしょう。本当に地域情報化がこれによって急速に進展したのかなという疑問も若干は感じるところもあるわけでありまして、全体の今のテレトピア構想地域社会活性化に役に立っているのかどうか。いい例もあるのでしょう、いい例があればそういう例も含めてちょっとお知らせをいただきたいと思います。
  16. 白井太

    白井政府委員 テレトピア計画と申しますのは昭和六十年から始めた計画でございますがこれはCATVのようなどちらかと申しますと新しいメディアを地域に導入することによりまして、その地域活性化を図ろうというねらいでこういう計画を進めているものでございます。数字で申し上げますと、現在八十その地域テレトピア地域ということで指定をしておりますがこのうち既に八十の地域においては具体的にシステムが動いておるところでございます。  地域によってその利用のされ方等は確かにさまざまでございますし、ある程度年月がたちましてその地域に定着するかどうかということは多少地域による事情の違いがあるわけでありますが幾つかの地域におきましては、先生がおっしゃいましたようないわゆる過疎地といいますかあるいは山間地域のような比較的人口密度の小さなところにおいてもこうしたシステムというのが利用されまして、いろんな情報通信手段として利用されているというところもあるわけでございます。  それから、特に山間地域におけるひとり住まいの方の問題などというのも昨今いろいろ問題になることが多いわけでありますがそのような方にこうしたテレトピアの中の一つシステムとして家庭を結ぶことによりまして緊急時の連絡がとりやすいような方式を考えるとかというようなことを試みておるような地域もありまして、私どもとしては、できるだけそういう有効な使い方をしている例をいろいろと各方面に御紹介をすることによって、このようなシステムの活用を図っていただくようにしていきたいと考えております。
  17. 園田博之

    園田委員 どうも私の感じでは、このテレトピア構想もその中身が今局長おっしゃったようにケーブルテレビだとか何かの事業をするために活用されているぐらいで、この構想全体が地域活性化にはなかなか結びついていないような気がいたします。その点、せっかくの構想ですから、少し実情調査されて、あるいは地域によってはこのテレトピア構想そのものを余りよく理解していない地域も多いのでせっかくの構想が生きないということもありますから、そういった面での配慮をもう少しすべきではなかろうか。中身ももっときめ細かなものを指導することもちょっと考えてみたらどうかなというふうに思いますので、その点での努力をもうちょっとしてもらえないかなというふうに思います。  さらには、また逆に、こうやって各地域がよく理解をして、いろいろな地域情報化のための事業をやろうかなというときになって困るのは、やはり人材だろうと私は思うのですね。これは熊本県なんかに聞いてもそうなんです。一番困るのは人材なんですね。さっき大臣からのお話の中で、そういった面でも郵政としていろいろなことを今実施しているんだというお話がございました。この点での進捗状況はいかがですか。
  18. 白井太

    白井政府委員 まさに先生が御指摘になりましたように、情報化が進めば進むほど実はその仕事を分担する人材が不足するという事態が顕著になってきておりまして、特にこの傾向が地方においては著しいわけであります。そのような事情を頭に入れまして、過般の通常国会でいわゆる基盤法という法律を通していただいたわけであります。これは、特に地方における人材不足の解消のための一助として研修センターのようなものをつくるというのがこの事業一つの類型としてこの法律の中に規定されておるわけですが予算的には、平成年度において全国で二カ所をまずはやりたいということで予算を通していただいております。私どもとしては、現在この二カ所についてかなり候補地域も固まっておりまして、年度内にはきちっとした形でセンターの発足にこぎつけたいということで今内々準備を進めさせていただいております。なお来年度以降につきましても、もちろん人材不足というものは解消できるものではございませんので、引き続きそのようなセンターをつくるということで関係の予算等の要求をさせていただいているところでございます。
  19. 園田博之

    園田委員 ひとつきめ細かにお願いしますし、この地域情報化でもう一つ足りないのは、再三申し上げておりますが東京一極集中を排除して分散化するということなんです。その中で今問題が起こっているのは、例えば九州へ行けば福岡一極集中とか、熊本県内に入れば熊本一極集中という問題がまた起きてきているわけですよ。この格差も相当早くから手を入れて埋めるようなことを考えないと、これは地方地方でえらい問題が起きてくるのですね。この情報通信の分野でも、明らかに立てられた計画がそれなりに成果をおさめている部分はあるけれども、逆にそのことが地域における一極集中を進めることにもなりかねないのですね。この点はぜひ考えてもらわなければならぬと思うのです。  今までやられた事業、そのほかにもいわゆる民活の推進がございましたね。これだって結局は民活が推進できる地域というのは限られておりまして、その地域の中で民活を推進できる地域というのは限られております。このことによってまた格差が出てくるという問題が起きてくるのです。そこで第一に考えなければならぬのは、公共投資というものも郵政のみならず全体でそういう地域に対する公共投資を今まで以上に先駆けてやっていくことが必要なんですね。郵政にも公共投資というのはあるのですね。特に去年から生活関連粋というものを要求して、その実績をこれからどんどんふやしていくわけです。こういう投資をそういう地域に優先的に向ける、こういうことを実現しなければならぬと思うのですね。そういう点でのお考えはいかがでしょう。
  20. 白井太

    白井政府委員 平成年度初めて予算を認めていただきました情報通信関係の公共投資でございますがこれはまさに過疎地域における施策を進めるという内容のものでございまして、平成年度分につきましては、実際にはほとんどは過疎債あるいは辺地債の対象地域でこの事業を行おうというものでございます。平成年度の場合、内容は移動通信のための鉄塔を整備するとか、あるいは民間のテレビジョン放送が受信できない地域をなくそうというのが内容でありますが平成年度につきましては、そういう地域とかあるいは施設を限定しているのをもう少し広げたいとか、あるいはさらには特に過疎地域なんかにおきましては、有線放送電話でありますとかあるいはオフトーク通信などというような、本当に山間地域情報通信手段が欲しいという御要望がまだいろいろ私どもの耳にも入ってくるものですから、そのようなものもぜひ新たな事業として加えていきたいというようなことで予算要求をさせていただいております。
  21. 園田博之

    園田委員 いろいろな課題がまだいっぱいありますけれども、いずれにしろ地域活性化に向けてきめ細かな努力と御指導をぜひお願いするように大臣にも特にお願いをしまして、質問を終わります。
  22. 野中広務

    野中委員長 次に、上田利正君。
  23. 上田利正

    上田(利)委員 私は、九月四日の本委員会で、四月のNHKの決算を審議した委員会で私の質問に対しまして島前会長が公共放送の経営に携わるトップとしては本当に信じられないような虚偽答弁をした問題につきまして、島前会長個人を守るのか、あるいはNHKそのものを守るのか、そして公共放送を守っていくのか、こういう重大な問題であるだけに、NHKの信頼を早期に回復しなければならない、こういう視点から、なぜうそを言わざるを得なかったのか、その真相解明に向け幾つかの質問を行ってきたところであります。しかし、疑問符が幾つか残されておりますので、NHKに期待を寄せる国民の声を大切にする立場から、前回に引き続きまして質問をさせていただきます。  そこで、NHKにお尋ねをいたします。  第一番目に、問題となりました、今申しました島前会長の四月の海外の出張の目的は何だったのか、整理をいたしましてお答えを願いたいと思います。
  24. 堀井良殷

    堀井参考人 お答え申し上げます。  目的は次のようなものでございました。  ソ連・ゴルバチョフ大統領へのインタビュー、NAB、全米放送事業者連盟大会でのNHK技術研究所公開展示への出席、BS3H打ち上げに関する情報収集、指揮、カンヌにおきますMIP、国際ソフト見本市でのヨーロッパ放送局首脳、プロダクション首脳との会談などが目的でございました。
  25. 上田利正

    上田(利)委員 確認をいたしますけれども、今の答弁、間違いございませんか。
  26. 堀井良殷

    堀井参考人 間違いございません。
  27. 上田利正

    上田(利)委員 次にお聞きをいたします。  島前会長の当初の海外出張、本人は私の質問に対しましては外遊というような言葉を使っておりましたけれども、その日程はどのようになっていたのか、当初の日程でございます。質問時間が少ないので、日を追いながら出張先別にコンパクトに御説明願いたいと存じます。
  28. 堀井良殷

    堀井参考人 三月末の当初の計画では、東京を四月十日に立ちまして、モスクワでのゴルバチョフ大統領インタビューなどの日程を四月十二日に、またラスベガスでのNAB大会の日程は四月十六日までに終えまして、十八日の打ち上げ当日はフロリダのケープカナベラルの打ち上げ現場においてBS3H打ち上げを見届け、十九日にニューヨーク経由で次の出張先のヨーロッパに立つという予定でございました。  ヨーロッパではカンヌにおきますMIP、つまり国際ソフト見本市でのヨーロッパ放送局首脳、プロダクション首脳との会談を二十二日から行いまして、二十四日にカンヌを立って、四月二十五日に東京に戻ってくるというのが当初の計画でございました。
  29. 上田利正

    上田(利)委員 四月二十四日の質問の際に、私が島前会長に、あなたは衛星に関心がないではないか、衛星が打ち上げられようが落ちようがどうでもよかったのではないかというふうな趣旨の質問をいたしました。その結果、即座にこれを島前会長は強く否定をいたしまして、ロケット打ち上げのときには、GEのベッドクォーターにはGEの会長もそして島、私も、また絵も、絵もというのは映像のことでございますけれども、絵も来ていました、そして、べらべらと始まったのでございまして、言うならばここから問題となりましたうその発言がスタートをした。  私との間でその後やりとりが展開されたのでありますけれども、ただいまの当初の海外日程にはフロリダのケープカナベラルの打ち上げ現場に行く日程がきちんと組まれていながらなぜそれを取りやめたのか。打ち上げの当日、何か取りやめなければならぬ問題があったのか、この点が私が非常に疑問に思っているところでございまして、もしその日程どおり実施をしておれば、打ち上げの当日に、問題となりましたあのようなうその発言をすることもなく、BS3Hの打ち上げに立ち会っておれたと思うのです。立ち会えば何か支障があるのか、困るようなことがあったのかどうか、この点を明確にしていただきたい、こう思うのです。
  30. 堀井良殷

    堀井参考人 お答え申し上げます。  当初計画を立てました後、衆議院逓信委員会が四月二十四日に開催されるということが確定いたしましたために、二十三日までに日本に戻ることができるように四月十日の海外出発直前に予定を変更いたしました。ヨーロッパでのカンヌのMIP、国際ソフト見本市での会談等の日程を二十二日からであったものを二十日からに繰り上げました。またフロリダのケープカナベラルに行く予定を取りやめまして、打ち上げ当日はラスベガスで打ち上げについての情報収集、指揮を行うこととしたわけでございます。十七日にラスベガスを立ってフロリダのケープカナベラルに直行いたしました場合には、十八日のアメリカ東部時間十九時半、西部時間では十六時半でございますがこの打ち上げを見届けてからでは当日のヨーロッパ行きの飛行便はございませんで、翌日の便を使うとすれば、最終目的地のカンヌへの到着はどんなに早くても二十日の午後になるわけでございまして、したがって、会談の予定に支障を生じるということになりましたので、フロリダの打ち上げ現場には行かないでラスベガスで対応を行うということにしたわけでございます。
  31. 上田利正

    上田(利)委員 出発直前の日程では、ラスベガスを四月十八日の十八時四十五分に出発をして、そして十九時四十分にロスに到着をして、今お話しのように二十二時にロスからパリ経由でニースに向かう、こういうことになっていた。そうすると、BS3Hの打ち上げ予定時刻の十六時三十分からラスベガス出発まで二時間余りあるということになろうと思います。だから、ラスベガスで打ち上げに対応し、用意していた会長談話などを出してから、二時間ちょっとあるのですから、ロサンゼルスヘ行けばよかったじゃないか、私はこう思っているのです。にもかかわらず島前会長は、時間を早めて、変更して、十八日の正午にはラスベガスを出発して、午後一時にはロスに着いているということですね、先ほどのお話では。ロサンゼルスに打ち上げ予定時刻より三時間半も早く着いてしまっているのです。  ここが問題だと思っておりまして、島前会長自身が記者の質問にも答えて、ロスでヒューズ社のミスター・カメイという人と会ったということを記者会見で言っておるのですね。ミスター・カメイという人と会ったかどうか、この前の九月四日のあれではカメイさんは日本におりましたというようなことがちょっとございましたけれども、会っていたかどうかということは別としましても、島前会長はヒューズの関係者と会うことを目的にして、そして時間を早めてロスに来たのじゃなかったのか。その証拠には、ホテルニューオータニで島さんのとっていた部屋というのは、そこだけエレベーターつきの別棟となっておりまして、高い塔のようになっておりますけれども、どんな人が出入りするかわからないような仕組みになっていた、こう言っているじゃありませんか。この点、どうでしょうか。
  32. 堀井良殷

    堀井参考人 お答え申し上げます。  ロサンゼルスに行くことにいたしましたのは、NAB大会のあったラスベガスにロスが地理的に近く、二十日からのヨーロッパでの日程に間に合うヨーロッパ行きの国際便が出ていたためでございまして、日本を出発する当時は、打ち上げ当日はラスベガスで打ち上げについての情報収集、指揮等を行い、打ち上げ後直ちにロサンゼルスに向かいまして、ロサンゼルスの空港で二時間ほど休憩した後、当日の午後十時の便でヨーロッパヘ立つ予定でございました。しかし、打ち上げの前日になりまして、ラスベガスにおいて午後四時過ぎの打ち上げを待っていたのでは、もし打ち上げがおくれたり、空港への交通渋滞など万一のことを考慮いたしますと時間的に十分な余裕がとれないことに気がつきまして、急遽ロサンゼルスで打ち上げ関係の対応を行うよう日程を変更いたしました。ラスベガスを予定より早く立って、ロサンゼルスのホテルで打ち上げに関する対応を行った次第でございます。打ち上げ後、必要な対応を終えまして、予定どおり午後十時の便でロサンゼルスを立ってヨーロッパヘ向かっております。  これが日程変更に関します事実関係でございまして、ロサンゼルスを経由することを決めた当初からもロサンゼルスでヒューズの関係者と会う予定もございませんでしたし、また、会ったという事実もないという次第でございます。
  33. 上田利正

    上田(利)委員 今の答弁を聞いておりますと、そのような内容であるならば何も島前会長がうそを言うことはなかったと思うのですね。私が先ほど冒頭申し上げましたけれども、島前会長は私の質問に対しまして、私があなたは衛星なんかに関心はないんだ、衛星が上がろうが落ちようがそんなものはどっちでもいいんだというふうな気持ちでいたんじゃないですか、こう言ったことに対して、これを強く否定しました。そしてこの否定する答弁をずっと繰り返していった。最後にはこの私の質問に対しまして、あるいは指摘に対して、誤解されていると思いますのでGEのベッドクォーターにおったということだけははっきり申し上げておきます、こう答弁をしているのですね。  したがって、この答弁部分につきましては明確に決着を今回っけてもらわないと、何か私、上田利正が誤解質問をしたように受け取られる。誤解なんかしちゃいない、私が事実を言ったら相手がうそを言ったのですから。この場所でこの点だけは明確に決着をつけておかなければならぬと思いますがこの点どうでしょうか。
  34. 堀井良殷

    堀井参考人 なぜこのような虚偽の発言を行ったかということにつきましては、九月四日の本委員会で副会長から島前会長本人から聴取いたしました弁明を申し上げさせていただきましたがここで再び申し上げさせていただきたいと存じます。  まず、原田義昭先生、次に上田利正先生から、NHKの会長としてBS3Hの打ち上げ時に外遊中とはもう一つぴりっとしたものがない、あるいは打ち上げを重要視していないという趣旨の御指摘をいただいたのでございますが島前会長としては、NHK会長として責任を持って打ち上げに対応すべきとの先生方の御指摘、非常に深く身にしみたところだと申しております。先生方からこのような核心をつく重要なお尋ねを受け、NHK会長として打ち上げについて責任ある対応をしていたのだということを何とか理解していただかなければならないという切迫した気持ちに駆られて、GEのベッドクォーターにいたとの事実と異なる答弁をしてしまったとのことでございます。  この島前会長の答弁は国会の権威と尊厳を傷つけ、御質問いただいた原田義昭先生上田利正先生及び野中委員長初め委員会の諸先生方に大変御迷惑をおかけいたしましたことを深くおわび申し上げますとともに、国民、視聴者の皆様からのNHKに対する信頼を傷つける結果となったことを、深くおわび申し上げる次第でございます。  私ども経営に携わる者といたしましても、今回至らぬ点があったことを深く反省いたしまして、かかることの再びないよう業務運営に万全を期しまして、国民の信頼回復に努めてまいりたいと存じております。
  35. 上田利正

    上田(利)委員 私が誤解の質問をしたのではなくて、島前会長が虚偽答弁を繰り返した、こういうことですね、簡単に言いますと。
  36. 堀井良殷

    堀井参考人 そのとおりでございます。
  37. 上田利正

    上田(利)委員 小山副会長お尋ねをしたいと思います。  NHKは、こういう不祥事が出まして国民の信頼を回復するためにどのような措置をとられたのか、具体的に副会長から明らかにしてもらいたいと思います。
  38. 小山森也

    ○小山参考人 視聴者の信頼を回復するためには、何よりも番組の充実を図ることが基本と考えております。また、番組の充実とともに、やはり最高責任者であります川口会長が放送におきまして直接視聴者に向き合って語りかけることが非常に大事だということで、総合テレビ、ラジオ第一また衛星放送等で積極的に対応を進めている次第でございます。  また同時に、視聴者の皆様方と非常に接触の多い新聞、雑誌等報道関係の方々とも積極的に対話を進めておる次第でございます。また、国会を初め関係方面にも御理解を得べく組織を挙げて現在努力しているところでございます。  さらに、内部におきましては、経営の規律に関する点検プロジェクトを新たに設けまして、組織が一体となって業務執行に当たるべく努力するとともに、業務運営全般についても正すべき点があれば厳しく正し、一日も早く視聴者の理解と信頼をから得るよう努めてまいりたいと存じます。
  39. 上田利正

    上田(利)委員 公共放送であるNHKのトップが虚偽答弁を長期にわたって続けた結果、マスコミ等を通じてもNHKに対する国民の信用は著しく失われていったところであります。職員や組合員にも動揺と混乱、士気の低下を招来せしめたと思うけれども、これらに対しましては副会長、どのように対処したのでしょうか。
  40. 小山森也

    ○小山参考人 組織の活性化とそれぞれの職場におきます士気の向上ということを図りまして、すぐれた番組を提供していくことが視聴者の信頼回復のために最も大事なことだと考えております。  また、各地域国民の皆様方あるいは視聴者の皆様方と非常に接触の多い、各地域で視聴者と直接つながりを持っている全国の放送局の局長を集めまして、公共放送としての清潔さの保持と情熱を持って仕事に取り組むよう、八月十六日に会長より訓示をするとともに、全職員に引き続き全力を挙げて職務を全うするよう訴えてまいりました。  またさらに、人心の一新を図る必要があると判断いたしまして、九月三十日付で人事異動を行いました。  また、労働組合との信頼関係の維持に努力していくことは当然でありますので、必要な説明を行ってぜひ御理解いただきたいと思っております。
  41. 上田利正

    上田(利)委員 NHK始まって以来の不祥事、島会長辞任に端を発するこの一連の事態に対するNHKの認識それから信用回復に向けての対応策、いかに対処していくのか、重ねて副会長にお伺いをしたいと思います。
  42. 小山森也

    ○小山参考人 私どもは、NHKは視聴者の皆様からの受信料によって支えられておるということをまずよく自覚しなければなりません。視聴者の皆様の御理解と信頼なしに私どもの公共放送は成り立たないと考えております。私どもはみずから襟を正し、役職員が一丸となって視聴者の皆様の信頼を得るよう全力を挙げる決意であります。また、今回の事態に対する御批判、御意見には謙虚に耳を傾けなければならないと思っております。  また、内部においても七月から経営の規律に関する点検を実施しておりまして、繰り返しになりますけれども、改めるべきものは改めるということをいたしまして、NHKの生命である清潔さを保つべく鋭意努力していく考えでございます。  また、NHKの使命は、何よりも多様ですぐれた放送サービスを通じて真実を追求することであります。視聴者に絶えず向き合った誠実な対応を通じてNHKに対する理解と信頼を獲得していきたいと存じております。
  43. 上田利正

    上田(利)委員 島さんが責任を感じて辞任してしまった現在、なぜうそを言ったのかは今後の歴史が証明するだろう、こう私は思うのです。今回の不祥事を川口会長以下役職員が他山の石として、視聴者の皆さんから、あれ以来本当にNHKは一枚岩となって多メディアあるいは多チャンネルの時代にふさわしいすばらしい番組を提供してくれている、わあNHKはいいな、NHKは大好きだ、国民がそう思うようなことを、私上田利正、視聴者の一人として大きく期待して終わります。
  44. 小山森也

    ○小山参考人 ただいまの先生の御意見、真正面から厳粛に受けとめなければならないと思っております。今後、公共放送としてNHKが国民の皆様の御期待に沿うよう役職員一同最大限の努力をしていきたいと存じます。大変貴重な御意見、ありがとう存じます。
  45. 上田利正

    上田(利)委員 最後に、関谷郵政大臣にお伺いいたします。  NHKの島前会長が長期にわたって虚偽答弁を行ってきたことによって、先ほども申しましたように国民の公共放送であるNHKに対する信頼あるいは信用は著しく失墜する、こういう結果となりました。この一連の不祥事とこれに対するNHKの対応、先ほども会長からもちょっと御答弁ございましたけれども郵政大臣としてのお考えはどのようか、これを最後にお伺いいたします。
  46. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 今回の一連の事態でございますがNHKに対します国民の信頼が著しく損なわれたということはまことに残念なことでございました。また、先ほどNHKの関連の方からも答弁がございましたが公共放送というようなことを十分に認識をいたしまして現在NHKの職員も一丸となって努力をしておるように私は考えておるわけでございます。  また、特にこの放送界におきましては、一刻もとどまることのできない、それだけの大変スピードの速い変革があるわけでございますから、そういうことに対しましてNHKが適宜的確に対処をしていかなければならないというときでございますから、なお一層NHKの職員が鋭意努力し、襟を正し、頑張っていただきたい、そして調和ある前進をしてもらいたいと考えております。
  47. 上田利正

    上田(利)委員 今大臣からも所見を承りました。どうか今回のこの不祥事、NHK副会長以下いらっしゃいますけれども、これを教訓にして、そして一万四千名の職員が打って一丸となって信用回復のためにとにかく頑張っていただきたい。また、営業部門の人たちが一生懸命、受信者のところから受信料をいただいてという形で頑張っておる。そういう汗を流している人にも結局砂をかけるような結果に今度なったわけでございますから、ぜひそういう点はこれを機会にNHKが反省をしながら前進をしていくように、長く逓信委員をやらせていただいております私としても、その点を強く期待する次第です。  また、大臣におきましても適切な指導をNHKに対しまして行いますように、これは介入はできませんけれども行政機関としての指導をしていただきますように最後にお願いして、時間が来たようでございますから以上で私の質問を終わります。
  48. 野中広務

    野中委員長 次に、武部文君。
  49. 武部文

    ○武部(文)委員 きょうは、限られた時間ですから、たくさんのことを御質問申し上げる時間がございませんが平成年度郵政事業決算が終了いたしまして、特別会計三つとも健全な黒字経営であることが判明をいたしました。皆さんの努力と職員の皆さん、特に営業関係で大変な努力をしてきたわけですが、それがこのような形で実ったわけであります。これからいよいよ平成年度予算要求折衝に入るわけであります。三事業ともいろいろな重要な課題を抱えておるわけですがきょうは時間の関係で国際ボランティアの課税の問題について郵政省の見解を求めたいと思うのであります。  この国際ボランティア貯金というのは、大変好評を博しまして、多くの賛同を得、わずかの期間に多額の善意の募金が寄せられてきたわけであります。これに対して多くの皆さんから各新聞に投書が寄せられました。郵政省としてはかつてない立派な計画だ、こういう称賛の声が上がっておるようでありますし、なかなかのアイデアだというような言葉もあるようでありますがさらに自分たちのささやかな行為が人の役に立つ、それだけで何か心が豊かになったようだというような投書の文面も見られました。自分は今まで寄附を一遍もしたことがないが何からょっぴりよいことをしたような気持ちになったとか、ささやかな貯金ですけれどもそういうことをして浮き浮きした気分になったというような、大変私どもにとったはいい気持ちになるような投書もございました。しかし、この利子に対して課税されておるということを初めて知った、これは一体どういうことか、こういう投書もまたたくさん見受けられたのであります。  当初、この法案を審議した際に、当然のことながら課税問題がこの委員会で取り上げられました。私は特に、今赤い羽根の時期ですけれども、赤い羽根や緑の羽根には税金など一切がかっていない、内容はこのボランティアの貯金とほとんど私は同じようなものだ、なぜ郵便貯金だけ、ささやかな預金の利子まで税金を引くのかということをやりとりしたことを思い出すのであります。当時、この結末がつくときに政府側できちんとした覚書のようなものがありまして、総務会長や政務調査会長、あるいは通信部会長、大蔵事務次官、郵政事務次官等の六、七人の人のきちんとした署名のもとにこのボランティア貯金の利子に対する申し合わせがされておるわけであります。このことは今後の見直しに対してきちんとした取り決めがされておることを明らかにしておるわけでありますが「ボランティア貯金の利子に対してはより最良の方法について再検討する」、これは平成五年の利子所得課税の見直しの際にやります、それもその際には特にこれを重点的に取り上げる、こういう覚書、申し合わせになっておるということを承知をしたのであります。  しかし、そのことを現実にボランティア貯金に協力をしておる皆さんは知っておるわけではございませんので、自分たちの納めたものの中から何でわずかなものに対してまで税金をかけるか、こういう非常に強い投書が各新聞に寄せられておるのを見たわけであります。この小さな善意になぜ税金をかけるか。ある女性の方でしたが十万円で協力をした場合に寄付金額は七百円、これに対して税金が百四十円ついて五百六十円が現実に寄附金になった。これを鉛筆に換算してみるともう少し本数がふえるじゃないかとかいったような具体的なことまで記載をして投書しておられるのを見たのであります。  こういうことを考えますと、郵政省はこのような投書に対して、あれこれの状況のもとにできるだけ早く郵政省としては非課税の措置について皆さんの期待に沿いたい。そういう答えを即刻国民の側に示すべきではないかと考えておるわけですがこの点について郵政省の見解をまずお聞きしたいと思います。
  50. 松野春樹

    松野(春)政府委員 国際ボランティア貯金につきましては、善意を御寄附いただくということで、現在も大体月四十万件を超える御協力を得ているわけでございます。心から感謝をしておるところであります。  さて、国際ボランティア貯金の寄附金の利子に係る税問題につきましては、今先生からもるる御指摘がありましたが制度創設時に、私どもとしましてはこの寄附金相当額については利子課税対象から除いてもらいたいということで要求したわけであります。残念ながら非課税措置の実現はなりませんでしたが政府内合意といたしまして、今先生が述べられたような内容の当面の合意としてこの制度がスタートしたわけであります。  郵政省としましては、海外援助の充実という、これはすぐれた政策課題に資する国際ボランティア貯金の問題でございますので、ぜひこの寄附金充当分の利子に非課税措置を講ずるべきと考えておりまして、来る平成五年の見直しの際には関係方面の御理解をいただくよう努力してこの実現全力を尽くしてまいります。  さて、国民方々からいろいろな御投書をいただいておりまして、私も承知いたしておりますがこの五月の中旬でありましたか、その投書につきまして、先ほど申し上げましたような非課税見直し問題にかかわる経緯等も含めた私ども郵政省としての立場からの対応に不備がありまして、大変申しわけなく存じておるところであります。ただ、この投書の内容につきましては、まことに心強い御支援だというふうに私ども受けとめておりまして、今後の非課税を実現していくためにもこうした声を大切にしていく必要があるという先生の御指摘を十分踏まえまして、今後より一層きめの細かい対応を心がけてまいりたいというふうに存じております。
  51. 武部文

    ○武部(文)委員 仮にこれを非課税にしても預金した本人に利益をもたらすものじゃないわけですから、そういうことを考えると、これはほかのものと全く違うのです。郵便貯金の利子課税の問題というのは大混乱のうちに決着がついたことは私どもよく承知しておりますがこの国民の皆さんからの投書に対して、いち早く新聞紙上で大蔵省の主税局の責任者が回答しております。全く木で鼻をくくったよう宣言語道断な回答をしておるわけですよ。きょうはここへ大蔵省を呼ぶことができませんでしたから、いずれ改めてこの問題は大蔵省の見解を求めなければなりませんが全く木で鼻をくくったような言語道断な回答をしておるわけです。こういうことになれば、本当に善意でボランティア貯金に応じようかという人も、後でもう一つ申し上げますがやめようという気になるような気がしてならないのです。したがって、少なくとも郵政省は大蔵省に対してもっと強い立場で交渉すべきだと思うのです。  今現場の第一線の諸君が非常に苦労して、あの満期になった定額貯金の問題にしても、努力の結果、成果が上がった。その結果、多額の財政投融資資金を財投の中に――財投の金は約六割近くは郵政省の金なんですよ。そういうことで、我々は郵政省に対して、もっと強い態度で大蔵省と折衝をすべきだ、遠慮することは一つもないのである。このような結論が一応出まして、多額の金がボランティアの団体に寄附された、そういう報道に基づいてこういう投書が出ておるわけですから、今申し上げたような態度でぜひひとつこれからも強い主張をしていただきたい、このことを特に要望しておきたいのであります。  そこで、時間の関係でもう一つ申し上げますがとんでもない新聞記事が出ておるのであります。「「ボランティア貯金」 増えすぎちゃって困った!!」、大きな活字でございまして、これは産経新聞の七月二十一日の記事だ。ボランティア貯金がふえ過ぎて困ったというこの記事がまた大きな反響を呼んで、これに対してたくさんの投書が寄せられておるのを私は見たのであります。一体こういう記事がどうして出たのか。この内容は御存じだと思いますがまずこれについて聞きたいと思います。
  52. 松野春樹

    松野(春)政府委員 この記事を私も見まして、愕然としたわけでございます。背景事情は何かということにつきまして御説明申し上げたいと思います。  私ども、当該関係の向きに当たりまして調べた結果、この記事そのものの流れとして、少々誤解に基づく基調といいますか、流れに基づいておるのではないかということでありました。国際協力推進協会という外務省所管の財団法人がございますがこの協会がNGOの一部を、一部でありますが 一部を対象にアンケート調査いたしまして昨年の援助額の数字を出しております。これが三十億円というデータがそのアンケートの一つ調査内容として出てまいったようであります。ところがこの三十億円を、一部であるにもかかわりませず、全NGOの援助実績と誤解してそのまま引用したというのが出発点の一つのようであります。実際には全NGOの援助実績は約百六十億円という規模であります。  そこでその次の問題ですが私ども、初年度は御存じのように第一回目の配分として約九億円強の国際ボランティア貯金の配分を実施したわけでありますが今後、例えば平成年度におきましては税引き後で約二十四億円になるであろうという見込みを現在持っております。いずれ何年かたちますとせ土五十億円ということを当委員会でも申し上げたこともあるかと記憶いたしておりますがNGOの実績が三十億円程度ならば国際ボランティア貯金の寄附金だけでさえも近々それを上回ってしまうから、これに対する処理能力がNGOになくなるのではないかというふうな流れが基調でどうも書かれたのではないか、私の推測に及ぶ面もありますのでもし誤解があったらおわび申し上げたいと思うのですが私、そういうふうに感じておりました。  ただ、私どもの実態としましては、まだ国際ボランティア貯金は緒についたばかりでございまして、現時点でふえすぎて困るという状況には全くないわけでありまして、そのような私ども考えは、関係の向きにはこの記事を見た後直ちに御連絡をとりまして申し伝えてあるところであります。  一般的には、国際ボランティア貯金関係の報道につきましては大変私ども感謝しておるわけでございます。やはり新聞等で報道されることによりまして大変国民の皆さん方の理解も得やすいということでありますが私どものレクチャー不足といいますか、対応不足かもしれませんがこの種の記事につきましては今後よくコミュニケーションを密にしまして、少なくとも誤解に基づくような記事が載ることのないように対応していきたいと思っております。
  53. 武部文

    ○武部(文)委員 この記事に対する投書の中で、「何事だ!集まり過ぎて困るとは」というような投書もあるのですよ。そして、何でこういう記事が出るのか私も大変不思議に思うのですがこの記事の中に、NGOの活動推進センターの事務局次長ですか、問題はNGOにそれだけの金を使うだけの実力があるかどうかだというようなことが書いてあるのですよ。これに呼応するように郵政省からも、「五十億になったらどうするかまでは、まだ思い及ばない」というような、同じようなことを言っておるのですね。  こんなばかげたことを、今地方で、わずか百円、二百円、三百円の貯金でもこういう趣旨ですからやっていただけないかといって、一生懸命に、勧誘というよりも趣旨を述べて協力してもらっておる第一線の諸君がこれを見たら全く自信を失ってしまうような気がしてならないのです。同時に、協力しておる国民の側も、自分たちが出した金が一体どういうことになるだろうか、とんでもないところへ使われてしまうのじゃないかとか、本当にむだになってしまうのじゃないかというふうにとられかねない記事の内容になっておるのです。しかも、これは一紙だけれども、大変大きな紙面を使って流れたわけですね。こんなことがあってはならぬのです。したがって、郵政省は、これに対して即刻、誤解のないように、郵政省のきちんとした見解を各紙に、むしろ郵政省側から積極的に流すような努力をすべきではないか、こう思いますがいかがですか。
  54. 松野春樹

    松野(春)政府委員 ただいまの記事のコメントの一部に私の足元の問題も絡みますので一言申し上げておきます。  何か私どもの担当官の発言といたしまして「五十億になったらどうするかまでは、まだ思い及ばない」というコメントがあるのですが先ほど申し上げました記事の流れの中で、私も直接その担当官を調べました。その申し分によりますと、こういう趣旨を申したということでございます。今後の配分に当たっては、今回の経験や専門家等の意見を参考にしながら慎重に検討していくと説明したそうであります。この慎重に検討というところがどうも先ほど申し上げたようなコメントになったのかなあというふうに当人からは聞いております。  いずれにいたしましても、大変残念な内容になっておりますので、ちょうど十月、私ども、国際ボランティア貯金につきまして御協力していただいた一人一人に何らかの形で感謝の意と引き続きの御協力お願いの意を伝えるような場もありますし、また新聞等に、今回の第一回目の配分状況、それから現地からのありがたいというふうな声も集めまして紹介したいという企画を持っておりますので、それを通じて国民の皆様に国際ボランティア貯金実情というものについてよくお訴え申し上げたいと思っております。  なお、新聞記事の内容いかんとはまた別に、やはりNGOそのものが最近になりまして非常に活発になってきたという組織でありますので、私どもといたしましてもよく連係をとりながら、むしろ今後のボランティア貯金の援助配分の実績をもってお答え申し上げていきたい、一生懸命やってまいりたいというふうに決意いたしております。
  55. 武部文

    ○武部(文)委員 NGOの団体は約三百と言われておりまして、今回郵政省が配分をした団体は約百近くですから、三分の一程度ですね。したがって、あと二百の団体の方たちは大なり小なり恐らくはこのボランティア貯金に対して期待を持っていると思うのです。しかし、こういう記事が出ますと、これはちょっと逡巡するに違いない、そんな気もいたします。ですから、本当に善意の、これは金額の大きさの問題じゃないのですから、そういう意味で本当の善意の行為というものが浸透していくためにも、これを一つの指針として貯金局としては積極的にPRをしていただきたい、このことを強く要請しておきたいと思います。  では、時間の関係で次に移ります。  先ほど同僚議員からNHKの問題の発言がございました。確かに当委員会はこのNHKの問題に振り回されてきたような感がいたしますが実はその中で、近畿放送、KBSの問題が大きな話題を呼んできたわけでありまして、我々もこのことについて詳細に調査をしたり検討をしたりするチャンスを失っておったわけですがこれは調べれば調べるほど奇怪な事件でありますし、放送業界にとっては極めて重要な問題であるというふうに思いますので、ほんのわずかな時間しかございませんが郵政省の見解を求めたいのであります。  この近畿放送は、非常に古い歴史を持つ放送局でございまして、昭和二十六年にラジオ局、昭和四十四年からテレビ放送開始、四十年の歴史を持つ、言うならば放送界においてはしにせの部類に入るだろうと思っていますがこれがイトマンのゴルフ場の開発問題との関係で大変な事態に陥っておることは報道で示されたとおりであります。しかし、中身がよくわからないのであります。この機会に、国民の電波を用いて放送をする会社がなぜこのようなことになったかという点について、監督官庁である郵政省の見解を求めておきたいのであります。  いろいろな報道によりますと、この近畿放送は、会社を丸ごとに担保にとられておる。今全国で、百七十二だと思いますがラジオ、テレビの放送局がある。これが免許を受けて放送事業をやっておる。百七十二の中で、かつてこういうような問題が起きたためしは一件もないのであります。しかも、この根抵当にされておる物件に問題がある。電波塔、それから撮影カメラ、VTR、マイク、ビデオテープ、中継車。これは、取材や番組制作に欠くべからざるものです。いわゆる放送事業にとっては中枢のものが全部根抵当にされておる、こういうことが報道されておりますが郵政省はこの点について間違いないと見ておりますか。
  56. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のような事実がございますので、私どもこれまで正確な事実関係を把握しようということで努力してまいりました。的確な指導を行うために、きちっと文書でその辺の関係を処理したいということで、七月一日に近畿電気通信監理局長名の文書によりまして、放送の公共性と言論報道機関としての放送事業者の社会的責任を十分自覚して、早期に問題の解決に取り組むことを強く要請するとともに、本社社屋等の根抵当権が設定されました経緯、その抹消のための具体的な方策、それから進捗状況等を毎月文書等によって報告するように、文書で指導したわけです。  その結果私どもが把握しておりますことを簡単に申し上げますと、同社からの報告によりますと、まずこの根抵当権ですが株式会社ケービーエス開発がゴルフ場開発のための必要資金百四十六億円を株式会社ダイエーファイナンスから借りるに当たり、その担保として、内田和隆元社長が取締役会の議決を経ることなく近畿放送の土地、建物、放送設備に根抵当権を平成元年六月二十三日に設定したということであります。  そうしまして、現在も当該根抵当権は、抹消できずにそのまま残っているわけでございますが近畿放送は、本年の九月十一日に、イトマン株式会社に対しましてダイエーファイナンスに対する債務の連帯保証人の地位にあることの確認及び株式会社ダイエーファイナンスに対して根抵当権の抹消登記手続を行うことを求めるための訴訟を提起したということで、先ほど先生の御指摘のありました本件の重要性にかんがみまして、現在の経営者が懸命の努力をしてこういう事態の解消に努めておる、こういう状況でございます。
  57. 武部文

    ○武部(文)委員 郵政省は社長からこの事情を聴取した、聞いたということでしたが社長というのは短期間のうちに三人もかわっておりますからちょっと私よくわからないのだがこの社長というのは二番目の福本邦雄という社長ですか。
  58. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 当時の近畿放送の福本邦雄社長でございます。
  59. 武部文

    ○武部(文)委員 百四十六億円の融資に対して貸借期間というのは三年だというふうに思いますがこの根抵当の期間三年というのは、平成元年六月から平成四年六月までの三年間、こういうふうに見ていいですか。
  60. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答えいたします。  弁済期限は平成四年六月二十五日でございます。
  61. 武部文

    ○武部(文)委員 それでわかりました。三年間。  そこで、これが問題になって、本年五月三十一日をもって根抵当を解除するという努力が前社長からなされておったという報道がございましたがこれほどのようになったのですか。
  62. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたけれども、そのまま抹消されずに今日に至っているということでございます。
  63. 武部文

    ○武部(文)委員 抹消されないまま今日に至っておる、こういうことであります。  そこで、企業が金融から借金する場合は、これはなしといたしません。これはいろいろな面であろうかと思いますが、少なくとも国民の電波を免許を受けて公共放送をやっておる放送会社がバブルに便乗して、しかもゴルフ場の開発のために借金をして、これの担保に放送の中枢をすべて差し出すというような事例は、いまだかつてないのであります。しかも、この百四十六億円の根抵当の解除については努力したけれども全く見通しがない。平成四年六月、来年の六月であります、これが期限でありますがこういうような状況の中で、この放送免許というものは大変重要な意味を持つと思うのです。放送の免許、再免許というものの期間は五年以内ということになっておりますがこの近畿放送の再免許の期限はいつですか。
  64. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答えいたします。  平成五年十一月一日でございます。
  65. 武部文

    ○武部(文)委員 平成五年十一月一日が再免許。なるほど、私もここへ長くいますが今まで再免許が拒否をされたという事例はただの一件もありません。それはそれとして認めますがしかし少なくとも今日までこのような事態はなかったのです。私は、今の段階で再免許を拒否しろとかそういうことを言っているのではないのです。少なくとも、放送の中枢が全部根抵当にとられておるということ、しかもその原因が全然国民の側から見れば理不尽な、全く反社会的なそういうところでやられておるというこの事実、これは明らかに経営者がいわゆる公共の放送に対する、電波を使うところの資格もなければそういう権利もないと言っていいと思うのです。そういう経営者ではない、そういう立場で、厳しい態度で郵政省は臨むべきだ、私はそう思います。真相究明を郵政省自身が急ぐべきだと思うのです。  皆さんが社長からお聞きになっておるようですけれども、どうやらこの背後にはまだいろいろなことがあるように思います。ある大手の銀行かこれに介在をしておる、この事実もあるようです。したがって、郵政省は、このKBSの真相究明のために監督官庁として責任は非常に重いと思うのです。どうぞひとつ厳しい態度でこのKBSの問題について臨んでほしい、そういう気持ちを私は持っておるわけでありますが郵政省の見解をお聞きしたいのであります。
  66. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 お答えいたします。  放送事業者の社会的責任の重大性にかんがみまして、御指摘の点を十分踏まえながら指導の徹底を図りたいと思います。
  67. 武部文

    ○武部(文)委員 時間が参りましたので、しり切れトンボになってしまいましたが実はいろいろなことが資料として私どもの手元に入ってまいります。したがって、このKBSの問題というのは、これからまだ再免許の期間を控えて問題がいろいろあると思うのです。改めてまた質疑をいたしたいと思いますがちょうど時間が来ましたので、これで終わります。
  68. 野中広務

    野中委員長 次に、鳥居一雄君。
  69. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 まず最初に、新聞報道によりますと、ソ連に向けて郵政省調査団を送るということであります。大変に結構なことだと受けとめております。  中山外務大臣の国連演説によりますと、ソ連の現状につきまして、ソ連における自由、民主主義に向けての進展を心から歓迎するといたしまして、五項目の基本的な原則を述べられております。まず一つは、ソ連の改革に対する適切かつ効果的な支援の強化、二つ目に、各共和国、特にロシア共和国との協力強化、三つ目に、ソ連とロシア共和国が真のパートナーとしてアジア・太平洋地域に受け入れられるための協力拡大などなど言われております。この五原則に基づいて、郵政省としてできるだけの協力をしていく、どんな協力ができるのか、こういう観点での今回の調査団だと私は受けとめているわけでありますが調査団の編成、目的、どんな協力をお考えなのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。     〔委員長退席、松浦(昭)委員長代理着席〕
  70. 白井太

    白井政府委員 御指摘調査団の派遣でございますが 一応十月の十二日から十七日ころまでの間派遣したいと考えておりまして、郵政省の次長クラスの者をキャップにして、郵政省、NTT、KDD等のメンバーから成る五名を派遣したいというふうに考えております。  この者たちは、現地に参りましてから電気通信、放送関係の機関を訪ねまして、現地における通信、放送分野の現状と問題点を把握するとともに、通信、放送分野における連邦と共和国との関係がどのようなものであるのか、それから、ただいま先生お話ございましたように、今後の協力のあり方としてはどういうあり方がよいのだろうかというようなものを調査してもらおうということで考えていることでございます。
  71. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 情報通信の分野で協力、寄与ができますと、これはもう民主主義あるいは自由の基盤をつくる上で非常に大きな役割を果たすことになると思うわけです。ぜひひとつ本腰を入れた調査をしてきていただきたい、こう思います。要望しておきたいと思います。  きょうは、周波数行政、主として海上通信につきまして幾つか伺ってまいりたいと思います。  国際VHF、どちらかといいますと、英語でインターナショナル、つまり国際間の通信というイメージから、日本の国内におきましてはしまっておく周波数、こういうことで全く開放しようという姿勢になかった、そういう周波数帯であったと思うのです。しかも、有効に使いますと極めて価値のある周波数帯である。例えば小型船舶、今四十二万そうあると言われておりますけれども、この推定四十二万そうの無線機の搭載比率というのは極めて低くて、何らかの通信ができる、こういう形の船舶が一・四%、こういう非常にお寒い現状の中にありまして、ここへきて初めて小型船舶の中で大変に隻数の多い二十トン以下、つまりプレジャーボートに、スポーツ、レジャー用に名前を変えて、マリンVHFという名前で公開しよう、開放しようという方針がほぼ固まったようでありますが免許方針の概要について伺いたいと思います。
  72. 森本哲夫

    ○森本政府委員 今御指摘のように、従前、ヨットとかモーターボートとかあるいはプレジャーボート等に対する周波数の割り当てにつきましてはそれなりに対処してまいったつもりでございますが御指摘のように、まだ全体としての設置率は極めてわずかだという御指摘はそのとおりでございます。  ただ、最近、御指摘のような船舶が非常にふえてまいった、さらにまた各種の海難事故が続発もしておる、こういうことで、お話ございましたように、今まで国際VHFというのはいわば国際的に取り決めができた万国共通の海上のための移動業務用の周波数でございましたが現在これについて検討をいたしておるさなかではございますが現在のところ、こうした国際的な周波数のうちの一部をマリンの専用に充ててみよう。そして、プレジャーボート同士、あるいはプレジャーボートと海岸局との間の通信のほかに、万が一の遭難通信のときには、さっき国際条約と申しましたがそうした取り決めに従って、海上保安庁あるいは一般船舶との間に連絡ができるように、そういう形で共通の遭難安全用の周波数のシステムも割り当てて航行の安全に資したい、こういうふうに考えておるところでございます。  ただ、今免許方針とおっしゃいまして、現在詰めておるところでございますが国際的な、日本に出入りする諸外国の船が使う周波数で為ございますので、マリン用には特に送信時間は五分以内にする、あるいは出力を制限いたしまして、空中線電力を制限いたしまして五ワット以下にする等々の配慮をいたしまして、本体の使われ方に影響を与えないように配慮してまいりたいと考えているところでございます。
  73. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 長い歴史がありまして、これまで海上における船舶の持つ周波数、特に今小型船舶と申しましたけれども、漁船であるとかあるいは小型船安全協会に所属する小型船舶であるとか、その種の船舶が持つ無線設備、これは実は周波数行政の上から出てきて、二十七メガ帯があるかと思うと四十メガ帯がある。さらにまた四百メガ帯がある。ここへきて百五十メガ帯の新しいシステムができ上がる。これはお互いに相互には連携がとれない、つまり端的に言いまして、「なだしお」、第一富士丸の海難事故がありましたけれども、このときに無線機を仮に持っていたとしても相互の通信ができない、こういう状況が今日の姿だろうと思うわけです。いわゆる百五十メガ帯のマリンVHFと二十七メガ、四十メガ、四百メガとの関係は一体どうなんですか。
  74. 森本哲夫

    ○森本政府委員 今お話しの周波数帯域は、主として我が国の漁業用の無線に割り当てておった周波数帯域でございまして、実は昭和四十一年、それまでは二十七メガヘルツというのは漁業の交信用にということで割り当てておったのでございますがまだ当時は大変台数は低かったのでございますがそうしたプレジャーボートが出現したということで、その二十七メガヘルツ帯のうちの一部を初めてレジャー用に割り当てた、こういうことが手始めでございました。  さらに、昭和五十九年には、漁業に割り当てられておった二十七メガヘルツ帯が非常に逼迫してまいりました。そこで、その前年、五十八年に漁業用に初めて四十メガヘルツ帯というものを使いまして漁業の需要にこたえよう、同時にプレジャーボート用にも、その一部をレジャーの専用に割り当てるということで経過してまいったわけでございます。  さらに、今お話しの四百メガでございますが二十七メガとか四十メガというのはそれなりに比較的高価な機械でもございますので、小型の船舶にはなかなか装備が難しかろう、そういう配慮で、携帯型で割合簡単に装備ができる小型船舶通信の需要にこたえるために、四百メガ帯を導入したわけでございます。  したがいまして、確かに周波数の実態というのはいろいろな区々の周波数を使ってまいったわけでございますがこれは主として漁業の通信需要に何とかこたえよう、同時にプレジャーボート用にも確保いたしたい、こういう経過でこういう状況に相なっておるわけでございます。
  75. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 理想的には、すべての船舶と交信ができるというのが衝突回避のためにも海上航行安全の上で理想だと思うのです。あるいは遭難周波数とされているもの、それを聴守し、あるいはいざというときには発する、そういう意味で究極の理想的な周波数帯というのが百五十メガ帯であって、今、免許方針をつくり、そして間もなく開放しようとして作業中のものですが つまりチャンネル一六、百五十六・八でしょうか、万国共通で遭難周波数としている、ITUあるいはIMOで優先順位まで決めて各国共通の使い方をする、そういう周波数であるチャンネル一六をいつでも使おうと思えば使えるシステムが今度のシステムということですね。もちろん、漁船の遭難通信というのは海上保安庁が二十七メガ帯全部聴守しています。しかし、二十七メガ帯を持つ船舶と百五十メガ帯を持つ船舶との間には相互通信ができない。だからそういう意味で、今開放されようとしているマリンVHF、例えば外国の港へ入ろうとすれはこれを持たなければ入れない、あるいは外国の船が日本に近づいてきた、相互に見えた段階で交信をしたい、この百五十メガ帯がなければ交信ができない、そういう意味で究極の周波数帯という評価が今なされているわけです。  郵政省としては政策誘導を考えているのかどうか。普及発展という意味では、今七チャンネル十波、これを開放することになっておりますけれども、いわゆる国際周波数、国際VHF、ITU、CCITT、RRの規定によりますと五十四チャンネルがあるわけですけれども、国内ではほとんど使われていない。開放前というような状況の中にあって、将来、通信のふくそうであるとかそういうことが予想されますけれども、将来の問題としてまた広げる余地が十分ある。そういう意味からいって、かなり注目に値する周波数帯である、こう思うわけですけれども、どうなんでしょうか。二十七メガ、四百メガ、こういうのと同じ位置づけなんでしょうか。私は、むしろ四百メガを開放する段階で今回の措置がなぜとれなかったのか、ここに周波数行政の、滞っているといいますか、免許は一方的に上から下へ下すものである、こういう古い体質を抱え込んでいる、そういう姿であるのだろうと思うのですけれども、いかがですか。四百メガを開放しようとしたときになぜマリンVHF、百五十メガ帯の開放ができなかったのか、こういう疑問が払拭できません。     〔松浦(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
  76. 森本哲夫

    ○森本政府委員 先ほども申し上げましたが国際VHFと申しますのは世界共通の周波数でございまして、現実に船が入港しますときに、水先案内であるとかあるいは入港に関連するさまざまな業務用通信が世界じゅうどの港へ行っても特定の周波数で交信できれば港に安全に入港できるということの約束のもとに、世界じゅうで取り決めが行われた周波数でございます。しかもそこの部分は、今お話にございましたように、全体としては五十五回線ということで比較的容量がわずかな周波数帯でございます。したがいまして、これについてもっと早くに開放できなかったのかという御指摘はございますがこれまでプレジャーボートの増加、使用台数の増加ぐあい等々見てまいったのでございますが今後とも日本のレジャーの増加に従ってこうしたものが相当ふえるであろう、同時にまた、より安全にこうしたマリンレジャーを楽しんでいただくという意味からも、安全の確保ということについて十分な配慮をしなければならぬだろうということで、今回このマリンレジャーの一部について、さっき申し上げましたように、いろいろ制限をつけながら、本体の国際VHFの周波数に影響を与えないようにしながら思い切った開放をいたそう、こういうことで決断をいたしたわけでございます。  四百メガについてやった時点でなぜかということでございますが、むしろ四百ソカについては、従前の漁業用では収容できない部分を新たに考えたわけでございまして、海の上の通信はプレジャーボートばかりじゃございませんで、その日のなりわいを漁業に依存している方が大勢いらっしゃるわけでございますので、ここの通信の安全の確保も大変大事な問題と心得ております。したがいまして、漁業のこれまでの安全並びに今後のプレジャーボートの増加、レジャーへの志向、こうしたことを総合判断いたしまして今回の措置にいたしたわけでございます。まだこれから最後の詰めをいたさなければならぬわけでございますがこうしたことをひとつまた関係者に十分理解願って、秩序ある電波利用をお願いしたいと考えておるところでございます。
  77. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 非常にコンパクトで、技術革新の成果でありますけれども、二十七メガ帯の機器が例えば二十五万円程度、四十メガ帯で三十五万、大体こんなような値段に対しまして、今度の百五十メガ帯、いわゆるマリンVHFで使おうというやつは、NTTのムーバーみたいな、非常に操作面も簡単であり、それこそ値段にして五万円程度。だから、だれが持とうとしても持てるような格好で、障害になっていることがあるとすれば二つ。一つは、このプレジャーボートで使おうという場合に、プレジャーボートが動く期間というのは一年三百六十五日というのじゃなくて夏場だけ、つまり夏場だけ使うのに五万円のムーバー式の携帯型の無線機が必要なのかという意味から二の足を踏んでしまう。つまり、マリーナがリースでできるような形にすれば一・四%ということはないだろうというのが一つ。それからもう一つは、従事者制度が障害になっているだろうというふうに言われておるわけです。アメリカでは通信販売でこの種の機械は買えるわけです。つまり、免許を必要としない、子供からお年寄りまで、電卓を使うよりも操作は簡単である、こういう認識でアメリカにおいては通信販売されている。こういう状況を考えますと、一定の通信秩序を考えなければいけないと思います、我が国におきましては。しかし、もっともっと簡素化ができていいのではないか、こう思うのですけれども、いかがですか。
  78. 森本哲夫

    ○森本政府委員 できるだけ簡素に、しかもいざというときに安全を確保できるということは大変大事なことだろうと思っておりますがただ今回予定をいたしております百五十メガヘルツのところの周波数自体は、さっき再々申し上げているように一般漁業者初め海事従事者にとっての命綱のところでございますから、そういう意味で安直な利用をされた結果、命綱にかかわる通信が妨害されたり、あるいは十分連絡がとれなかったりというような事態が出来しますのもこれは大変重大なことでございます。したがいまして、この簡素化の限界というものはあるだろうということで、それなりに私ども全体の簡素化には努めてまいったわけでございますがやはり無線局の免許あるいは無線従事者資格ということには最低限のものをお願いしないと、重大な全体の安全通信が非常に不安なことになるという点がございますので、さっきお話ございましたようにレンタルの制度についてもいろいろ検討いたしておるのですがこの資格の問題で、何にもわからぬ人がだれでもいじれる一六チャンネルを妙なことにいたして重大な結果になっても大変だ、何とかその辺を確保しながらできるだけ安全な運用が図れるように、できるだけその従事資格についても緩和を図って、例えば現在二日かかっております講習をさらに短い日程で消化ができないか等々の工夫はぜひしてまいりたいと思っております。  今お話がございましたアメリカみたいな通信販売でどうかということ、確かに一つ考え方だろうと思うのでございますが現状でも不法無線というのがここへ来て大変急増いたしておりまして、重要な通信が相当混乱を起こしておるという事態でございます。アメリカの場合などは基準にのっとっておらない無線機器の製造あるいは販売というものは、それは法律をもって禁止をされて罰則で担保されておるというような事情にもございます。それからまた、アメリカ自体が通信販売については何といいますか、そう異常なことではない、いろんなものが通信販売で手に入るというような風土でもございますので、日本とはなかなか同一にはいかないと思うのでございます。そういう意味で、こうしたような無線機器が通信販売だけで簡単に手に入ってしまうような形を行政としても積極的に奨励するという立場には残念ながらないわけでございますが御指摘のように安全なシステムに直結するだけに、できるだけ簡素な形で使えるような体制はぜひ講じてまいりたいと思っておるところでございます。
  79. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 総務庁の行政監察で、小型船舶に無線機を設備させるには郵政省として無線機のリースの制度考えるべきだ、障害になっている電波法を含めて検討すべきだ、こういう指摘が現にあるわけですね。ですから、検討中検討中で逃げることも一つだと思うのですがこのリースの道を開くにはどうするべきなのかという観点で答えを出すべきだと思うのです。  次に、来年の二月からGMDSSが始まるわけですけれども、このGMDSS関連の機器が二重行政のために大変煩瑣な検査に直面をしている、こういう状況です。このGMDSS関連のほとんどの機械、これが船舶安全法から来る運輸省の検査、電波法から来る郵政省の検査、同じような検査の重複あるいはちょっと違う種類の検査が二重に行われる、こういうかなりひどい状況であるわけです。  具体的に申し上げたいと思うのです。これはレーダーですけれども、第一種甲種レーダー型式検定、これは郵政省の方の検査ですが十二項目の検査があり、この添付資料が五百六十七枚。別個に行われます運輸省の型式承認、これが二十一項目にわたって、五百八十三枚添付しなければならない、こういうことですね。  それで、各国がどんな様子になっているのか。そういう意味ではIMOあるいはITUに基づいてGMDSSが今度始まるわけですから、各国の対応においており大きな開きがないだろうと実は思っていたわけですけれども、我が国は大違いです。例えばGMDSS関連レーダー、レーダートランスポンダー、衛星イーパブ、ナブテックス、ディジタル・セル・コール、双方向無線電話、すべてこの手の二重検査、二重構造。各国の様子はどうかといいますと、アメリカ、イギリス、ドイツ、ノルウェーあたりが標準的に取り上げられると思うのです。確かに二つの機構の検査があるのですがまあレーダーは運輸系統、あるいはどうしても検査をしなければならないというやつは、片方の方の検査の資料をもとにして、片方は検査をしない。こういう形のそれなりに合理的な検査の方法がとられているわけですがどういう御検討をされているのでしょうか。
  80. 森本哲夫

    ○森本政府委員 確かに先生指摘のように一つの施設に対して二重ではないかという疑念はあるわけでございますがただこの無線機器は、郵政省といたしましては、その機器が規定どおりの周波数で他に混信を起こさず、そして目的どおりの電波を発射しているかどうかという視点での行政は不可欠でございますし、運輸省は運輸省として船舶の安全航行という視点からの行政というのはあるわけで、これは決して相矛盾するあるいは二重になっているというふうには私ども考えていないわけでございます。ただ、御指摘のように一つの機器でございますから、その機器を設置する国民、義務者という点から見てできるだけ過剰な負担になってはならないのは当然のことでございますので、例えば今回のGMの機器に関しましては運輸省との間でも話をいたしまして、確かに二つ、型式検定と運輸省のチェックがございまして、制度の趣旨は本来違うのでございますが検査項目においては、郵政省がやったチェック項目については運輸省についてはそれを全面的に生かしていただくというような仕組みをもう既に始めておるわけでございますので、二重の検査は必要ないようにいたしたいということで、できるだけ利用者、メーカーの検査負担義務を免除しようということにいたしておるわけでございます。御指摘のような懸念についてはできるだけ実際上の運用で問題ないようにやってまいりたいと考えております。
  81. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 例えばレーダーに銘板が二枚あるわけですよ。運輸省の方は和文でなければだめだ、郵政省の方は英文でもいいと。一つのものに銘板が二つ張られる。諸外国では一枚ですね。こういう奇妙な現実なわけですから、これは大いに改善を検討されるべきじゃないですか。運輸省いかがですか。
  82. 三島久

    ○三島説明員 お答えいたします。  私ども運輸省の立場につきまして簡単に御説明いたしますけれども、私どもといたしましては、船舶安全法に基づきまして、こういうGMDSS関係の設備のうち救命設備等につきましては、船舶の安全確保を図るという観点から技術基準を定め、型式承認によりましてその技術基準に適合しているかどうかを確認するということにしております。一方、これらの設備は電波法に基づきます型式検定の対象にもなっているということでございますので、受検者の負担軽減を図るという観点から、両者の実施する試験内答のうち実質的に同等なものに関しましては、双方で行った試験結果をお互いに活用するということについて、具体的な方策も含めて検討しているところでございます。  今先生から御指摘のございました銘板二枚ということでございますけれども、この点もまだ解決がついているわけではございませんが検討に含めていきたいというふうに考えております。
  83. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 がんじがらめの縄張りといいますか、お互いに、船舶安全法という法律があるんだからそれを根拠にして確実にやるんだ、これは確かに確実にやる必要がありますが要するに、同じような検査をなぜ両方がやらなければいけないのか。しかも検査項目というのは大変なものです。ぜひこれは突き合わせをして合理化すべきです。ぜひやっていただきたい。また機会を改めてどういうふうに改善されたのか伺いたいと思っております。運輸省、結構です。  それで、実はGMを前提にいたしましてNTTのマリンテレサービスというのが始まりました。問題は、全自動でないための障害といいますか、もっと有効な活用ができるのに、海岸局が全自動になっていない。これをぜひ全自動にすべきだ、こういう声が非常に高いのですが郵政省としてどういうふうにお考えですか。長崎、銚子、この海岸局における設備です。
  84. 森本哲夫

    ○森本政府委員 従前のモールスによる無線電報というのは非常に速度は遅いし使用文字の制限があるというので、お話のとおり六十三年七月からこのマリンテレサービスを入れたわけでございますが御指摘のとおり、一部のところが手動になっているのは事実でございます。  このサービスの現状でございますが最近、電話とかファクシミリ等も利用できる衛星通信の普及もございまして、テレックスしか通信できないという本サービスの利用状況は、これは現在銚子だけで扱っておるのでございますが年間百件程度だということでございまして、NTTとしましては、完全自動化につきましては、現在の利用状況とか船舶の短波の印刷電信装置の設置状況がどうなるか、それから自動化のための投資が当然要るわけでございますので、そういう点を考慮すれば今の人手でやるシステムもやむを得ないのかなと見ておるわけでございます。ただ、今後サービスの需要がさらにふえる、そうしたときには、御指摘のような形で的確なサービスが提供できるということは大事なところだろう、これはよく見きわめていきたい、こう思っておるところでございます。基本は、利用者が非常に少ないというところにあるようでございます。
  85. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 よく見きわめてもらいたいと思うのです。マニュアルのために、有効に使えないから広がらないという反面があるのですよ。しかも銚子の局に様子を聞いてみますと、これは自動化すべきですという話も聞いているのです。多分間もなく自動化になるでしょうと。ちょっと音痴じゃないですか。検討していただきたいと思うのです。  余り時間がないのですがAMステレオがいよいよ始まることに事実上なったと思うのです。私はこの委員会できよう六度目、AMステレオを取り上げます。一番最初に取り上げたのが昭和五十四年三月。きのうは会議録をずっと読んでみたのですがやります、やります、こういう話で十二年たちました。もうアメリカが着手をして、五万式それぞれがアメリカの国内でありましたが日本の国内では、今答申にありましたC・QUAMというモトローラ方式、それからカーン方式、ほぼこの二万式のどれかだろう。やりたいという民放各社は、カーン方式ともう一つのモトローラ方式と、郵政省に申請をするとすれば電技審で答申のあったモトローラ方式で申請をする、こういうことだったのだろうと思うわけです。  つまり、何で十二年もたっているのか。何で十二年かからなければ、のどから手が出る思いで放送事業者がやりたい、やりたいと言ってきたことができないのか。見方によっては、もう冷めちゃったという見方もあります。CSでPCM放送も始まろうとしている。車の中で聞くステレオです。要するに、スピーカーを二つつける車はそんなに伸びないんじゃないかなどと、昭和五十七、八年当時郵政省は言っていました。今ほとんどの車がFMのステレオを持っています。だから放送さえあれば聞けるわけです。しかも、周波数特性からいって非常に広い地域でこの受信ができる、耳でわかるほどのひずみは余りない、こういう結果が出たわけです。十年前に、民放連がフィールド実験の前に室内実験をやりましたけれども、この室内実験の答えが昭和六十年にはほぼ出ていたわけです。手続上、平成三年のそれこそことし、来年の一月から、順調にいけば始められた。何といいますか、諸外国ではもうとっくに始めているのにという思いがしてならない。率直に言ってどういう御感相ですか。それだけを伺って質問を終わりたいと思います。
  86. 小野沢知之

    ○小野沢政府委員 先生から御質問をいただいてから十二年ということで、えとが一巡してしまいまして、随分長い間期間がかかったなという気がするのですが現在その導入に向けて積極的に準備を進めておりまして、先ほど先生指摘のような手順を可及的速やかに取り運んでいきたいというふうに考えております。
  87. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 終わります。
  88. 野中広務

    野中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  89. 野中広務

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田並胤明君
  90. 田並胤明

    ○田並委員 それでは、特に郵便部門の関係についてきょうは二つほど質問させてもらいますがその前に、十月二日付で平成年度郵便事業の損益計算等に関する報告、これをいただきました。中身は、この十年来黒字を続けて、平成年度で百二十五億三千二百万円の利益を上げて、昭和五十六年度以降だそうですが累積利益約六百八十四億円生じた、こういう昨日の報告案を見せていただきました。昭和五十五年度末で約二千四百九十三億九千万円という大変な累積赤字を抱えておった郵便事業がこの十年間料金の値上げもせずに、しかもサービスを通じて郵便の利用拡大を図りながら努力をされて、これだけの利益を上げてきたということについて、まず評価をしたいと思っております。  なお、この中の特に「業務運行の状況」の中で、急増する郵便物を適切に処理する上で必要な労働力、施設等を確保してきたけれども、特に人口、世帯の増加が著しい大都市地域の一部の郵便局では、地域の発展とそれに伴う郵便物の増加に十分対応できない状況だと、適切に指摘をされているわけであります。  特にきょうお聞きしたいのは、大都市部、東京、関東、この地域における要員措置状況というのは現在どうなっているのか、そのことをお聞きをしたいと思うのですがそのうちの第一点が平成元年度から平成年度、この三年の増員の措置状況というのは大都市部においてはどうなっているの一が、これをまず第一にお聞かせを願いたいと思います。
  91. 早田利雄

    ○早田政府委員 お答えいたします。  私もこの四月まで東京の郵政局長をしておりましたので、東京管内を中心とします首都圏の郵便の業務運行の厳しさということは身をもって体験しているわけでございますけれども平成元年度、私ども新規に定員として採用いただきましたのは四百一名でございます。二年度が百九十七名、三年度が三百六十二名、定員としましてはこういう数字でございますけれども、この数字のほとんどは東京そしてまた関東圏に振り向けております。このほかさらに、業務量が比較的伸びが少ないところからこのあたりの東京、関東圏を中心とします首都圏にも定員の異動という形で振り向けております。
  92. 田並胤明

    ○田並委員 私の調査ですと、ここ三年来の増員措置として、関東、東京では平成元年度が四百一名、平成年度が八百五十二名、平成年度が千六百八名ということで大変努力をされておるようであります。なお次年度の概算要求についても、千五百一人増と九百五十六億円程度の賃金措置ということで概算要求も出されているというふうに話を聞いておりますがこれはあくまでも郵便物数増に対する基盤整備の措置ということを聞いておって、しかも平成元年から平成三年までのこれだけの増員措置がありながら、特に大都市部ではせっかく郵便の内勤、外勤の試験が行われて合格者が出ても辞退者がかなり多く出ているという数字を私、持っているのですがこの辺はどういう関係でそうなっているのか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  93. 谷公士

    ○谷説明員 お答え申し上げます。  確かにかなりの辞退者が出ておりまして、今東京、関東だけの数字をちょっと持ち合わせておりませんけれども、昨年実施いたしました国家公務員試験郵政事務部門でございますけれども、その試験とそれから郵政省が独自に行っております職員採用試験の辞退者が約七千名ございます。このうち確認できましたものだけで約七〇%が三月三十一日までに辞退をしておりまして、その理由といたしましては、大学等への進学、それから民間企業等への就職といったものが主なものではないかというふうに考えております。  四月一日以降の辞退者というのは三割くらいということでございますけれども、実は、この三割はすべて四月一日以降の辞退者かと申しますと、確認したものでやっておりますので、そのうちのある部分は三月三十一日までにもう既に辞退の事情が出ておったというふうに考えられるところでございます。今後ともこの辞退者につきましては防止を図るべく努めてまいりたいと思っております。
  94. 田並胤明

    ○田並委員 今かなり人手不足ということですから、当然郵便の内勤、外勤いろいろな条件等があると思いますけれども一つには職員の採用のあり方について何か問題はないのかどうかということをお聞きしたいわけですよ。  というのは、ほとんどの事業所というのがこれは官庁、民間を問わずおおむね四月一日採用を目指して、その前年度あたりから採用試験を実施して四月一日の採用に備える。もちろん辞退者を計算した上で各事業所とも幾らかふやして採用するという状態が多いですね。私なんかも、埼玉ですが県庁の試験なんかを見ても、当然毎年の例でこのくらいの辞退者はいるということを想定して合格者の数をふやすという格好で対応しているのが大部分だと思うのです。郵政省には見越し採用の制度というのがあるわけですから、年度途中で募集をして試験をして採用するというのは、これは人的な資源の関係からして果たして適切なのかどうかということを考えます。要するに、できれば四月一日採用ということを大原則にして、年度途中の定年退職等はもちろんすぐわかるわけでありますが辞退者等を含めて見越し採用の枠というのをとって、辞退者が出ても四月一日の採用に十分間に合うという形のものを考えていく必要があるのじゃないだろうか。  今、年間大体どのくらい郵政独自の採用試験を郵便の内勤、外勤でやっているかわかりませんけれども、決して一回ではないと思うのですね。何回かに分けて年度途中で採用試験をやられている。これはもちろん働いている人たちは移動する自由があるわけですから、いい職場だと思えばどんどん来るし、一たん職場へ入ってみてちょっときついなと思えば今の若い人たちというのはすぐやめていきます。そういう意味で、一つには職員の採用のあり方について問題がないのかな、こういう気がしますので、その辺のお考えを第一点聞きたいと思います。  それと二つ目は、郵便の部門、いわゆる内勤、外勤、特に内勤の場合には十六勤であるとか深夜勤であるとか、こういうものがあります。あるいは郵便の外勤なんかについても交代制の勤務というのが当然あります。ですから、一般の貯金、保険共通の仕事と違って比較的勤務形態が変則勤務がありますから、こういう意味でどうも若い人たちが敬遠するのではないかという気がします。  それともう一つは、先ほどの要員措置の関連でお聞きをしたいのですが例えば物増に合う要員措置だけではなくして労働時間の短縮に振り向ける要員措置も考えないと、どうも若い人たち――今大体普通の民間の会社ですと四週八休制度というのがどんどん普及をしてきている。郵便部門についてはまだそこまでいっておらないという現状があるわけでありますから、その辺も含めて労働条件の改善、それと同時に、もし四月一日採用じゃなくて途中で採用になりますと賃金にまで影響するわけですね。そういうものもありますし、あるいは大都市部に就職をされてくる郵政職員の場合には地方から出てくる人が非常に多いわけですから、そういう独身の人たちに対する厚生施設、つまり独身寮の充足であるとか施設の改善であるとか、今私ども地方の民間の会社ですら地方から来た人に対しては今まで二人とか三人が一部屋で独身寮に住んでおったのを全部個室に変えておるのですね。そこまでしないとなかなか人が来てくれない。郵政省も逐次そういう方向でやられておるようでありますがそういうもろもろの、労働時間の問題、独身寮の施設の改善充足あるいは交代制勤務の問題等々、十分今後の施策の中で検討していかないと、せっかく郵便物がどんどんふえていきながらも要員が追いつかない、こういう事態がきてしまうのではないだろうか、こんな気がするものですから、その辺についてお考えがあったらお聞かせを願いたいと思います。
  95. 谷公士

    ○谷説明員 まず私の所管のところからお答えさせていただきます。  試験でございますけれども、全体的に、内務につきましては人事院の行います試験、ほかに郵政省独自の試験をやっておりますがこの試験につきましては外務が中心でございまして、これは大体全国で秋に一斉に行う、この対象は主として新規の学卒者を中心としております。そのほか中途採用者あるいは年間途中の不足分を補いますために臨時の試験を行うという形になっております。  それで、おっしゃいますとおり、この労働力不足の中で優秀な人材を確保していくというためには、特にこの採用の問題は重要だと思っておりまして、平成年度におきましては、年度中の欠員を見越して採用するいわゆる見越し採用でございますけれども、三千二百五十人実施しておりまして、これは全体の年間の採用予定数の七一%に当たります。しかし、これでももっと努力すべきだと私ども考えておりまして、現在平成年度においてはこれをさらに拡大する方向で検討を進めているところでございます。  それから、職員の処遇のことでございますけれども、御指摘のとおり、必要な職員を確保していきますためには給与とか勤務時間も当然でございますけれども、最近の勤労者の意識を見ますと、良好な職場環境でございますとか、充実した福利厚生ということを重視するという傾向にございますし、とりわけ若年層にはそういうような意識が強いわけでございますので、魅力ある職場づくりの一環といたしまして、御指摘のような宿舎の問題も非常に重要だと思っております。現在ワンルームタイプの個室の宿舎というものを建設するということで進めておりまして、平成年度予算で首都圏を中心にして百十九戸認められておるわけでございますけれども平成年度におきましてもさらに三百九十七戸の要求をしておりまして、そういう形で若者の意識も踏まえた独身表宿舎の整備に努めていきたいと思っております。
  96. 田並胤明

    ○田並委員 ここに関東郵政局の採用試験の応募状況と辞退者の数をちょっといただいたのですが例えば、平成元年度で一般の方、郵政内務の試験で千五百七十八名の合格が出て、六百六名の辞退者が出ている。今度は郵便部門のいわゆる交代制のあるところ、十六勤のあるところ、こういうところでは、平成元年度合格者が五百九十五名出ていながら二百八名の辞退者が出ている。半分まではいかないにしても、かなりの数の辞退者が出てきている、こういう数字ですね。それから、外務におきましては、第一回の試験で四百十九名の合格者を出して、一割強の四十九名が辞退をしておる。二回目では千三百二十名の合格者が出ていながら、二百五十七名の辞退者が出ている。数字の上ではこういういまだかつてないような数字が示されているのではないだろうかという気がするのですよ。  それで、今厚生施設なんかについては逐次努力をされているというお話でございますがそれはそれでいいにしても、特に郵便部門における労働時間の短縮の問題、やはり、若い人は施設もいいのが欲しい、できれば賃金よりも自分の時間が欲しい、こういうタイプが非常にふえているんですね。これはもちろん国際的な要請でもあり、日本全体の問題として労働時間の短縮というものに取り組んでいるわけでありますが当然、後ほどお尋ねをする郵便の引き受けから配送に至るまでの郵便システムの関係とサービスのあり方にも関係をするわけでありますが労働時間短縮に必要な要員措置の対応というのはどうなっているのか、改めてまた重ねてお聞きをしたいと思うのです。
  97. 早田利雄

    ○早田政府委員 お答えいたします。  週休二日制の実施が社会的趨勢であること、そしてまた優秀な人材を郵便関係労働者に迎え入れるためにもぜひ必要であるということは十分私どもも認識しております。しかしながら、郵便部門につきましては、定員を抑制しながら、そしてまた今のサービス基準というものを一応維持をしながら、さらに週休二日制を実施する、こういう三つの課題を調和しながらやっていかなければならないというところに大変難しさもございまして、今後いろいろな効率化施策というのを一層積極的に進めてまいりまして、そういう中で郵便事業財政の健全性ということにも十分配意しながら鋭意努力していきたいというふうに思っております。  具体的には、要員の効率配置であるとか、作業の効率化であるとか、あるいは夜間帯における勤務のあり方等につきまして、現在関係の労働組合と継続的に話し合っているところでございまして、組合の理解と協力も得ながらなるべく早急に実施したいというふうに思っております。
  98. 田並胤明

    ○田並委員 対応する労働組合との話し合いで何とかなるべく早く実現をしたいという今の局長の答弁で一応わかるわけでありますがこういうものは省自体として計画的に、具体的に進めていかないとなかなか進まないですね。私は、平成年度中には何とか努力をしたいというようなお話を省の方としてはされているという話を聞いたのですがなるべく早くというのはもうなるべく早いのでしょうけれども、できればぜひ期間を定めて、計画を定めて実施をするということをもう一段と努力をお願いをしたいと思うのですよ。  先ほども申し上げましたように、昭和五十六年度の累積赤字を全部解消して平成年度現在で累積黒字が六百八十四億円になった、十年間郵便料金の値上げもしなかったということでこれだけの努力をされたということは非常に高く評価をいたします。過去五年間で郵便物数はいろいろな営業努力によって三三%伸びた、小包の引き受けも相当数に伸びた、回復をした。しかし要員措置は、郵便物数が三三%伸びながら実際には七%の増に終わっている。これは、これだけの物を伸ばしてこれだけの利益を上げて、しかも現場でもってこれだけの努力をしているからこういう数字になったんだということを声を大にして大蔵にも言ってもらって、労働時間の短縮等を含めた職場の改善措置、労働条件の改善を中心とする改善措置にぜひ能動的に取り組んでいただきたい、このことを強く要請をいたしますがもう一回その辺について大臣にお聞きしたい。
  99. 早田利雄

    ○早田政府委員 物数の伸び、要員の措置につきましては先生指摘のとおりでございまして、定員で不足する分につきましては、賃金の増額であるとか、あるいは超過勤務手当であるとか、そのほかに、私どもといたしましては、あて名区分機を初め新しい作業の機械化、あるいはお客様差し出しの際の区分協力の問題であるとか、小包の部外委託であるとか、こういうふうな措置もやってきたわけでございますけれども、やはり何といいましても郵便関係職員の努力があって、現在のところ大都市部におきましても、御承知のように三三%と七%という差はございますけれども、おおむね順調に業務運行か推進できているというふうに思っております。しかしながら、今後ともこのままでよろしいうまくいくというふうに私思っておりませんので、今後とも予想される首都圏を初めとする大都市部の郵便物数増に必要な定員といいますか、あるいはまた、それに加えまして効率的な事業運営に資するための新しい機械であるとかあるいは情報ネットワークシステムの構築であるとか、そういうふうなところに今後ともさらに一層努力していきたいと思っております。     〔委員長退席、松浦(昭)委員長代理着席〕
  100. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘の問題は、私も昨年郵政大臣になりましてからるる郵便関係の問題に対処させていただきましたがこれが本当に今後の一番重要な問題であるというふうに認識いたしております。  また、先ほど局長が答弁いたしましたように、内容は先生指摘のように定員削減という方向にありつつ、さりとて大都会においては郵便物の取り扱い数は大変な増を示しておるわけでもございます。その中で週休二日制をどのようにやっていくか、労働条件をどのように改善していくかというようなこと、すべて本当にグローバルに、また長期的に決定をしなければならない、それがまたこの四年度であろうと私は思っておるわけでございまして、これは先生の御指摘の点を十分頭に入れまして対処をしていきたいと思っております。
  101. 田並胤明

    ○田並委員 大臣の決意を聞きまして、次の質問に移らせてもらいます。  第二点目は、郵便の流れあるいは郵便サービスのあり方、要するにシステムサービスのあり方について省としてどのようなお考えに立たれているのかということでお聞きをしたいと思います。  郵便の引き受けから配送まで、郵政省としては翌日配達サービスを既に実施をして、利用者から大変喜ばれているのは事実でございます。大変結構なことなんですがただ、私たち考えて、一種、二種、いわゆる信書、はがきと、それ以外のダイレクトメールであるとかあるいは日付のない第三種の郵便物、これまで翌日配達にこだわることは本当に必要なんだろうかどうだろうか、こういうふうに考えるのです。  例えば既に発足をしております銀座郵便局では、ダイレクトメールを専門にして、これを今までの配送ルートとは別のルートでもって現在全国三ルートで実施をされておりまして、今月の十四日ごろからそれをさらに十ルート以上に拡大をしよう、これはダイレクトメール専門の郵便局でございますから、そういう十ルート以上に拡大をして、ダイレクトメールをひとつ別扱いで処理をしよう、こういうことをやっていらっしゃるわけで、これも私は非常にいいと思うのです。  ですから、こういうシステムをさらに拡大をして、例えば引受物数が何万部以上しゃないとだめだよという一つの基準もあるのでしょうけれども、できればそういう基準も考えながら拡大をすることによって、一種、二種以外のダイレクトメールが決して重要でないというのじゃなくて、翌日配達じゃなくても間に合うものが当然あるはずですから、こういうものはそれで処理をするということによって、つまり先ほど言った、若い人がとかく嫌がる十六勤、これは必要なものですが、人間の心理として、どうも夜は寝るものだ、昼間働くものだというのが通常になっているわけです。しかし、事業の特別な性格からして当然なくてはならない仕事だと思うのですがそれでもやはり回数を減らすとか、そういう努力というものがそういうシステムを変えることによって一面ではできるのではないだろうか。もちろん、そこから生み出る要員についても、先ほど言った労働時間の短縮等に振り向けることもできるのじゃないだろうかというふうに思うのですね。ですから、郵便部門の時短も視野に入れながら、あるいは労働条件の改善も視野に入れながら、今言ったシステムサービスのあり方について当然検討するべきではないか。  もちろん検討されているというお話も聞いております。私的な研究会をつくってやっていらっしゃるというお話も聞いておりますがこれを二カ年計画、三カ年計画でやっているようですけれども、とにかく郵便事業を取り巻く状況というのは、ほかのことと同じで非常に急激な社会経済の変化によって変わってきているわけでありますから、そういう意味も含めたシステムサービスのあり方について真剣にひとつ研究をし、検討し、できるものからどんどんやっていく、こういう対応考えたらいかがなものかということで御質問をしたいと思います。
  102. 早田利雄

    ○早田政府委員 御指摘のように、ダイレクトメールとかあるいは第三種郵便物の中には、迅速な翌日配達という取り扱いを必要とするものとそういう必要性のないものと混在していることは事実でございます。また、現在、そういう必要としないものにつきまして別の取り扱いをしていることも御指摘のとおりでございまして、この十月半ばから銀座郵便局におきまして、第三種郵便物についても差出人の承諾の得られたものにつきましては別処理扱いということでおくらせた形、端的に言いますと昼間作業して郵便局に着くのが昼間であるというようなことから、深夜勤から昼間の労働へ変える、あるいは平準化することによりまして要員をさらに節約できるとか、そういう効果をねらってやっておるわけでございます。この辺の送達期間に余裕の見込まれる郵便物をそういう取り扱いをすることにつきましては、今後とも鋭意やっていきたいというふうに思っております。  現在私ども、実務的な段階といたしまして、本省と東京郵政局、関東郵政局、郵便局長も含めまして、どういう形のサービスのあり方が本当にお客様に支持されるのか、あるいはどういうようにすればさらに要員の平準化なり効率化になっていくのかというところも検討しておりまして、近く一定の結論も出てまいりますので、そういうものも踏まえてさらに積極的にやっていきたいと思っております。
  103. 田並胤明

    ○田並委員 今の局長の答弁でわかるのでありますがいろいろ関係のところと協議をして進めていこうということで検討されているというお話でございますので、先ほど言ったように労働条件の改善と労働時間の短縮という視点からもぜひ検討してもらいたいし、またそのことによっていわゆる辞退者が余り出ない、要員措置がきちっとできるように、アルバイトで処理をしなければならないというのは、季節的なものがあれば別でありますが通常的にもアルバイトだとか何かに頼らないと物の配送ができない状況というのは、これは私は決して正常ではないと思いますので、そういう視点でのシステムサービスのあり方についてぜひ早急に検討していただいて実施に踏み切っていただきたい、このことを強く求めたいと思います。  もう時間がありませんので、最後に一点だけ聞きます。  昨年の年末に郵政省では、民間の宅配業者が人手不足でどうしても小包が配達できなくなってしまった、それをどんと引き受けて立派にやり遂げたという経過があります。恐らく本年も民間の宅配業者の場合にばそういう異常事態が出てくるのではないのかなというように思うのです。その場合、郵政省としては当然官業として国民の皆さんに迷惑をかけないうちの方で全部受けるよ、こういう決意であるいはやられるのかもしれませんがそのときにぜひひとつ、今言った労働条件の問題、要員措置の問題等々含めて万全の措置をあらかじめ計画的にしておかないと、いたずらに混乱が生じたりあるいは過重な負担がかかるような気がします。もちろんみんな一生懸命やっていますから、一生懸命やっている者に対してのきちっとした対応だけはぜひしてほしい、このように思います。ちょっと、そのことを聞かせてもらいます。
  104. 早田利雄

    ○早田政府委員 昨年末の十二月中の小包の伸びは私ども十四・一%でございまして、民間の大手宅配便のトップの会社の伸びが三・三%ということで大変低いことであるとか、あるいは私ども日ごろ扱わないデパートの贈答品が大量に私どもに来たというようなことからいいましても、昨年も相当数の宅配便からの郵便小包への流入があったというふうに認識しております。ただ、早目の処理であるとか関係職員の懸命な努力もございまして、昨年は順調に処理できたというふうに私ども自負しております。  今年度の年末でございますけれども、仄聞するところによりますと、民間宅配業者はやはり労働力の確保難であるとか土地の高騰に伴います施設の不足というようなことから、昨年以上に総量を規制する、昨年以上の物数は絶対に引き受けないというような形で進むと聞いております。そういうことから、私どもといたしましては昨年度をさらに上回る、七百九十万個ふえる六千二百万個という引き受けを予測しておりまして、これに必要な非常勤職員であるとかあるいは小包配達受託者であるとか、臨時便といいますか運送便の増強であるとか仮設の関係であるとか、この辺につきましては万全の体制で臨むということでやっております。  そういうことで、さらに大口利用者に対しましても、ある程度の区分協力であるとか郵便番号の記載であるとか、こういうことの協力も要請いたしまして、今年末につきましてもお客様の期待にこたえて立派な業務運行をやっていきたいと思っております。
  105. 田並胤明

    ○田並委員 以上で終わります。
  106. 松浦昭

    ○松浦(昭)委員長代理 次に、山下洲夫君
  107. 山下八洲夫

    山下(八)委員 まず最初に、私は国際郵便について、特に環日本海地域につきましての国際郵便について若干お尋ねしたいと思います。  特にアメリカでございますとか、例えばニューヨークにしましても、ロスにしましても一緒なんですがあるいはイギリスにしましても、日本から国際郵便を投函する、あるいは逆から投函する、比較的早く到着するわけです。遅くても十日もあれば大体到着する。私たちも大変便利で、ちょこちょこ活用させていただいているわけでございますが特に日本と中国の東北部でございますとか南北朝鮮、それにソ連を加えました環日本海経済構想がここ数年大変注目されているわけです。社会党も昨年の十一月に新潟で関係の外国人ゲストをお招きしまして環日本海フォーラムを開いたわけです。そこで日本側を含む参加者から指摘された問題が若干ございました。通商でございますとかあるいは学術その他の交流を一層拡大していきたい、そのためにはどうしても通信とか交通基盤整備が一番重要な、また緊急な課題であるというような意見がかなり出たわけです。  そういう中で、例えば新潟から約九百キロしか離れていませんウラジオストクの場合は、国際電話をかけますと、これがまた回線が込んでいまして、昼間なんかはなかなか電話がかからない、そのような状況であったわけです。同じように手紙につきましても、早くても十日、場合によれば二週間ぐらいかかるわけです。そういう中で、これは民間と国営との違いたとも思いますけれども、KDDの場合はソ連、特に日本海に面した沿岸地方の回線をふやす計画をいたしまして、現在東京ーモスクワ間でいいますと二十四回線しかないのですができれば本年度中にそれを六十回線にします、あるいはウラジオストクにしましても三回線を五回線にふやします、またレニングラードについてはないわけでございますけれども、それを一回線新設をします、大変な努力が今見えているわけです。  郵便の場合は今申し上げたような状況であるわけでございますが特にソ連沿岸地方あるいはハバロフスク地方あるいはサハリン州の郵便事情はどうなっているのか。私たちが聞いているのでは、片道早くて十日あるいは二週間ぐらいかかる、そうしますと、一往復しできますと大方一カ月近くかかってしまうという状況になっているものですから、これからソ連も大きく変わろうとしておりますので、現在どのようになって、あるいは今後どのようにしようと考えているのか、若干のお考えを示していただきたいなと思います。
  108. 早田利雄

    ○早田政府委員 現時点での日本発ソ連あての郵便の所要日数でございますけれども、昨年と現在、ことしごく最近調べてみたわけですけれども、ほとんど差はありませんので申し上げますと、日本からソ連にあてる場合には、モスクワの場合には航空便で九日から十一日かかります。ハバロフスクの場合には十三日から十五日かかります。これは一度すべての郵便物がモスクワに着きましてそれからハバロフスクヘ行くというような経路をとりますものですから、むしろ近いハバロフスクの方が時間がかかるということになります。  ソ連発日本あての場合につきましては、それぞれ一日ないし二日早く着きます。これは、日本の配達事情の方がソ連よりもいいというようなことからこういう状態になっているというふうに私ども認識しております。  ソ連との関係につきまして、これからさらに重要性が増していくというふうに思っておりまして、そういう中でも郵便が現在のような送達の速度では非常に役に立たないものになりつつある、なっているというようなことを私どもも認識しておりまして、いろいろな機会にソ連とも話し合いをしているわけでございますけれども、何しろソ連国内における郵便物の運送であるとか配達等基盤整備の充実を図らなけれはこの問題は解決しない問題でございますので、直接あるいは万国郵便連合の場を通じましていろいろな機会に申し入れていく所存でございますし、現に話し合いもしております。そしてまた今後とも両郵政庁間でいろいろ、私どもの日本の郵便の方が現時点ではソ連よりもすぐれておりますので、例えば見に来ていただくとかお互いに交流をするとか、情報交換をしながら迅速化といいますか、正確かつ確実な郵便制度になるようにやっていきたいというふうに思っております。  ただ、今度ハバロフスク間の航空便ができたわけでございますけれども、これにつきましては、同ルートを使ってのソ連との郵便のやりとりができるかどうかということにつきましては、現在ソ連側と検討中というところでございます。
  109. 山下八洲夫

    山下(八)委員 特に、ごく最近のソ連の国内の状況といいますと、それはかなりいろいろと混乱をしておりますから多くを申し上げたくはないわけでございますがその前でございましても今お話ございましたとおり、早くて十五日あるいは二十日というのが常識になっている。よその国と余りにも違っているということが郵政省の方からも今御指摘されたわけでございますが 二足のソ連側の国内事情、そのことも私は理解をするわけです。その上に立ちまして、例えば今ハバロフスター新潟間の問題が若干触れられましたけれども、今のと若干タブってくるわけでございますが例えば現在、国会郵便局で航空郵便を投函する。多分これは中央郵便局へ行きましてそれから今度は東京の国際郵便局に回される。そこから外国へ出ていくと思うのですね。新潟で投函しましても同じように東京まで一たん来ましてそして東京の国際郵便局から回されていく、こういう現状だと思うのです。特に今の状況から考えていきますと、そうやって一度東京の国際郵便局に回送されて今お話しのとおりモスクワ経由でソ連の極東地域に配達されていく。これでは、極端な言い方をしますと一通の手紙が世界を一周する距離ぐらいになってしまうのです。だから遅くなるのは当然だと思うのです。今お話しのとおりハバロフスクとの直行便がありますし、たしか週三便だと思うのです。冬場は、十一月からですか、若干変わるようでございますができたらある程度この直通便を利用する。今努力なさっているということを聞きましたからもう多くを申し上げませんが大きな時間の短縮になりますので、積極的にひとつ努力していただきたい。そして、ソ連との間の交換局は東京とモスクワだけですからそれを拡大をしていって、例えばハバロフスクとも交換局をつくる、こういうことをやっていただきますと、より一層利用率も高まってきますし、そしてまた、価値も上がってくると思いますので、ぜひその辺につきましては今以上に努力をお願いしたいと思います。  それだけではなくて、それぞれ北海道とか新潟、富山、石川など日本海沿岸の自治体のほか、例えば名古屋などの諸都市でも環日本海経済構想に関心が大変高くなっておりますし、直行便の開設の計画幾つか、日本の地方都市とソ連の都市でもされているわけでございます。このような動きを積極的に先取りすると申しますか、あるいはもう積極的に先に並行して話し合いを持っていって、交換局の拡大にぜひ力を注いでいただきたいというふうに考えますが いかがでしょうか。
  110. 早田利雄

    ○早田政府委員 現在日本とソ連との間には成田とモスクワとだけしか交換しておりませんが先ほど申し上げましたように、当面ナホトカ便がございますので、これの実現に向けましてはさらにソ連の方と鋭意交渉してまいりたいというふうに思っております。
  111. 山下八洲夫

    山下(八)委員 では、ただいまの件はその程度にいたしまして、郵便貯金資金自主運用について若干質問させていただきたいと思います。  郵便貯金資金自主運用について、昭和六十二年度から一定の運用額を確保しましてスタートをしまして現在に至っているわけです。六十二年度新規運用額で二兆円、それから六十三、平成元年と毎年毎年五千億円ずつふえてきまして、平成年度で四兆円、トータルで十五兆円自主運用なさっているわけです。それと同時にもう一つ金融自由化に積極的かつ的確に対応することも大変重要でございますし、同時に、地域活性化に向けて有効に活用するために、さらに運用の拡大やら、あるいは充実をもっともっと図るべきだというふうに思っております。当然このことについては郵政省も私と同じように思ってみえるんじゃないかなというふうに思うわけでございますが今どのような取り組みをなさっているのか、あるいはどのような考えを持っていらっしゃるのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
  112. 松野春樹

    松野(春)政府委員 これまでの運用状況でございますが既に金融自由化対策資金の経緯、規模等につきましては先生お触れになりましたので、この運用状況がどんなぐあいで現在に至っておるかということを申し上げますと、昭和六十二年度から始まりまして今決算で確定しておりますのが平成年度まででございますがこの四年間で累計で一千三百四十七億円の運用益を上げでございます。この間、先生御承知のように運用環境はなかなか厳しい変化があったわけでありまして、運用につきましてもそれなりの苦心が要ったところでありますがこの結果が資金運用部への預託による運用利回りと比較した場合、四年平均で〇・七%近く上回っておるということで、まずまず所期の成果を上げてきておるのではないかというふうに認識いたしております。  ところで、いよいよ金利自由化が本番を迎えております。平成年度までにはすべての定期性の預金が金利自由化になる、それから一年おくれでありますが平成年度には流動性預貯金金利自由化が行われるであろうということで、今スケジュールを立てて着々とその準備を進めておるわけであります。そうなりますと、やはり私ども郵便貯金経営基盤というものを考えました場合、どうしても金利自由化によって市場調達コストが上がる、そうすると、もちろん慎重な運用も必要でありますがこれからもますますできるだけ有利で確実な運用を心がけるという点から、今後ともこの自主運用資金の枠については確保してまいりたい。  特に、第一次的な五カ年が今年度で終わりますので、来年度からの新しい枠につきまして現在概算要求中であります。その内容は、新規に各年度出てまいります預託増加額の二分の一をこの自主運用対策資金に回していただきたい。とりあえず平成年度につきましては、私ども九・九兆円預託増加があると見ておりますので、約でありますが約五兆円平成年度要求しておるということでございます。まだ折衝中でありますので、今後の努力が必要かと思いますがそんな考えで今一生懸命取り組んでおるところでございます。
  113. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今御答弁がありましたように、平成年度で終わる。多分合、約五兆円新年度へ向かって概算要求を大蔵省へなさっているはずだと思うのです。ただ、新年度、四年度だけではなくて、せめて五年間ぐらいの新規繰り延べと申しますか、延長と申しますか、されたいような気持ちもあろうかと思うのですね。一年一年じゃなくて、せめて五年ぐらいは当然要求してもらいたいと思います。これは今お話がございましたとおり金融自由化になりまして、この自主運用というのは郵政省にとっても大変重要な役割を果たしてくると私は思いますし、皆様の努力でここまで来ているわけでございますから、自主運用の総量も拡大をしていくということは私も同感でございますので、その辺について若干もう少し説明いただきたいと思います。
  114. 松野春樹

    松野(春)政府委員 少し説明不足でございました。現在要求しております新しい枠組みの内容は、平成年度から平成年度までの五カ年間について要求はしております。先ほど申し上げましたそれぞれの年度新規の預託増加額の二分の一を私ども金融自由化対策資金の新しい運用資金としてお願いしたいという内容でございます。  このやり方につきましては、公的機関いろいろございます。私どもと同じような運用の仕方についていろいろ関係当局と毎年毎年折衝しながらやっておる向きもあるようでありますが私どもせっかく六十二年から平成年度まで五カ年ということで一応安定した前提で取り組んでまいったものですから、今回も同じような枠組みでこの点はいきたいというふうに考えてございます。
  115. 山下八洲夫

    山下(八)委員 同じところで余り質問していると時間がなくなっちゃいますので、もう少し前へ進めさせていただきたいと思います。  大体郵便貯金といいますのは、小口で全国からずっと貯金を確保されているというふうに思うのですけれども、私は逆に言いますと大都市ほど貯金率は悪いんじゃないかと思うのですね。そういう中で、郵便貯金自主運用の中で地方公共団体あるいは第三セクターには自主運用は規制されているんですね。この郵政省からもらいました郵便貯金のバンフに載っているわけですがなぜこれは規制されているのか。これは多分大蔵省が規制しているのか、あるいは郵政省が自主規制をしているのか、ちょっとよくわからないのですけれども、この辺の規制されている理由は何でしょうか。     〔松浦(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
  116. 松野春樹

    松野(春)政府委員 地域との関係では、もちろん私ども、基本は財政投融資の中心的な資金でございますから、それを通じて地域の学校でありますとか道路でありますとかあるいは下水道でありますとかあるいは公営住宅の建設等の資金に回っているということでありますが御指摘のように、ここしばらくの間要求してもなかなか実現を見ておらないのでありますが地方公共団体あるいは第三セクター等へ私ども金融自由化対策資金から直接運用したい、融資を申し上げたい。なぜならば、今先生指摘になりましたように全国津々浦々のそれぞれの地域郵便局から私ども資金は集められたもの、御協力いただいておるものであるという認識であります。これにつきまして私どもの方から申し上げますと、簡易保険の資金は、既に地方公共団体への融資はできておるわけであります。資金の性格が郵便貯金資金と少し違う点がございますがやはり同じ国の資金として、地域振興の叫ばれておる折でありますから、私どもとしては、ぜひともひとつこの理由につきまして御納得いただいて実現したいものであるというふうに考えております。  恐らくこれは、私が申し上げる筋ではないかもしれませんが従来の対立点というふうな点で私が若干の推測を交えて申し上げますと、やはりこの種の資金の二元的運用が原則であるというふうな点が恐らく過去しこっておる問題点であろうというふうに思っております。それについて私どもいろいろ反論はしておりますが今日までまだ実現を見ておりませんで、今年度予算折衝でも大いにまた努力したいというふうに考えております。
  117. 山下八洲夫

    山下(八)委員 大蔵省、お見えですね。――今ちょっと郵政省郵便貯金自主運用で若干のやりとりをさせていただいて、お聞きになったと思うのですけれども一つは、やはりこれだけ金融自由化になってまいりまして、郵便局は国営だから制限すればいいんだ、そういうものでもないと思うのです。やはり多くの庶民がとうといお金を貯金をなさっている、それで、そのお金の一部というか大部分が財投なんかに流れていっているわけでありますけれども、そういう中で今お話しのとおり、私自身もそう思うのですが郵便貯金資金自主運用の期間が一応平成年度で終わってしまう。今日まで五年間やられたわけです。これは、内容的に見ましても、この資料を見ていきますと大変立派に運用なさっている、損失補てんもされていないというような内容なんです。そのことを考えますと、大蔵省はこれは積極的に延長すべきだというふうに私は思うのですが大蔵省はどのように考え、またどのようにとらえているのか。  それと、時間がなくなるといけませんので先にもう一つあわせてお話ししておきたいと思いますがさっき郵政省から同じょうに説明がありましたとおり、預託増加見込み額の二分の一に相当する約五兆円ということを概算要求平成年度はなさった。今後もそういうことでしたいということをおっしゃっているわけです。これも私はある面では妥当だと思うのですがこの辺あわせて大蔵省はどう考えているのか。概算要求でそのように要求されているからにはなお一層、内容的にも大変立派にやっておりますので、ぜひ実行していただきたいというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  118. 斎藤徹郎

    ○斎藤説明員 郵便貯金金融自由化対策資金を通ずる資金運用事業につきましては、今年度で期限切れになるということで、四年度以降の運用枠につきましてはこれから郵政省御当局とも十分相談しながら慎重に財投編成過程で検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、直接御質問なさったかどうかでございますけれども、財投を通ずる地域振興、地域活性化の点でございますけれども、御案内のとおり、財政投融資には例えば公共投資の促進ですとかあるいは国際貢献、あるいは最近民間資金がやや出し渋りといいますかそういう現象もありますので、補完としての、例えば開発銀行ですとか、経済の発展、地域の発展に資する意味でいろいろ資金需要が強いという点は先生も御案内のとおりと思いますけれども、私ども地域振興という点には柱を立ててかなり力を入れておりまして、現在の財政投融資の仕組みのもとで郵便貯金を初め各種の公的資金地域の振興のために使われているところでございます。  私どもとしましては、現在の財政投融資を中心とした仕組みのもとで、今後とも地域の振興、わけても他の施策とバランスをとらなければいけませんし、また、地域間のアンバランスがあってはならない、こういうふうに考えますので、このような観点から、現在の財政投融資の仕組みのもとで地域の振興に最大限努めてまいりたい、このように考えております。
  119. 山下八洲夫

    山下(八)委員 財投から、今説明のございました例えば学校でございますとかあるいはまた例えば文化センターでありますとか、そういうところへ当然融資と申しますか、出されていることは、これは十分私も理解をしているわけです。財投を通ってくるのと自主運用というのは意味が全然違うわけですね。公的資金はいろいろな資金を財投に集めて財投の規模を大きくして、そうやってまた地域間格差がないように、公平に、そのことも私は否定するのではなくて、当然必要なことなんですがそれと自主運用というのはまた全然別なんですね、そういう手間をとらなくていいのですし。  特に郵便貯金の場合は、先ほど申しましたように、私は岐阜県の山の中なんですけれども、大体東京より山の中の方が郵便局を利用している人が多いのですよ、まじめに、利用度も高いのですね。そういうことを考えますと、特に地方に対して手厚くしたって私は当然だと思うのです。東京なんかお金が余っていますから、不交付団体でございますし、余り必要としないと思うのですよ。そういうことを考えますと、私は当然地方公共団体に対しても自主運用を認めていって、そしてできればなるべく地方の山の中へ自主運用をしていただくというふうにしてもらいたいなと思うのです。それには、さっきのお話ではございませんけれども、どうも大蔵省の歯どめがかかっている。せめて地方公共団体あるいは第三セクター、こういうものは撤廃してもらいたいというふうに思います。  時間がありませんので、もう一つあわせてお尋ねしておきたいと思います。  自主運用を見ますと、国というのはめでたいなと思うのですけれども、国債に対して平成三年三月末現在で五五・六%なんですね。半分以上は自主運用で国債をやっているのです。これは一番安定している、また利率もいいということは私もわかります。けれども、一番のところの国へ五五・六%、半分以上なんですね。それをよくよく見ていきますと、どうも政府間約束があるみたいですね。新規運用額のうち二分の一以上は新規国債の引き受けに充当する、このようなどうも政府間約束があるのですね。これこそ大蔵省の弱い者いじめじゃないかと私は思うのです。国債をゼロとしろと決して言いません、せめて二分の一じゃなくてちょっと遠慮して三分の一ぐらいに考え直してもいいんじゃないかと思うのですがその辺あわせて、時間がありませんから二つ、はっきりした前向きの答弁をいただきたいと思います。
  120. 斎藤徹郎

    ○斎藤説明員 各地域財政投融資を通じます地域振興の点については、現行の財投という広いファンドの仕組みの中で今後とも充実強化がなされますように努めてまいりたいと思います。  金融自由化対策資金でございますけれども、財投には先ほど来申し上げておりますように種々さまざまな要請があるところでございますが 一方で金融自由化対策資金金利自由化が進む中で郵便貯金事業の経営上極めて重要な施策だというふうに私ども考えておりまして、来年度以降の資金運用事業を検討するに際しても、その点を踏まえて、かつまた、財投に対する種々さまざまな要請といったものも踏まえまして検討してまいりたい、このように考えております。  それから、金融自由化対策資金によります国債の引き受けの点でございますけれども、これは金融自由化対策資金を管理運営されている郵政省の方から御答弁いただいた方がよろしいかというふうに思います。
  121. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そうじゃないのですよ。やはり政府間の約束事だと思うのですね。ですから私は、大蔵省の考えをお聞きしたいのです。
  122. 斎藤徹郎

    ○斎藤説明員 金融自由化対策資金のように大きな金融資産を対象とした運用というものを考えますときに、要はその大きなファンドの中にどういった金融商品が組み込まれるかということになるわけでございます。確かに国債ということになりますと、国の信用度合いなどを背景といたしまして、表面的な金利は他の債券に比べまして低い面はありますけれども、ファンド全体としての流動性の問題、あるいは場合によってはキャピタルゲインを得られるという側面もありましょうし、そういった意味からいいまして、金融自由化対策資金に限らず民間のファンドにおきましても国債は重要な商品として組み込まれているところでございますし、金融自由化対策資金につきましても、そのような観点から国債という商品をかなりのシェアを持って組み入れているのではないかというふうに考えております。
  123. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ちょっと私は不満なのですけれども、確かに国債の信頼度が高いのは私も否定しません。たとえ地方債にしても、私はかなり信頼度は大きいと思うのです。その関係からいきますと、なぜ政府間の約束事として国債に二分の一以上という約束をするのか。例えば国債と地方債を含めて二分の一以上というのならまだ多少理解はします。あるいは公庫とか公団債は信用がないのか、あるいは社債というのは信用がないのか。信用がないようなものはまず大蔵省が発行を認めませんよ。そういうことを考えますと、国債に二分の一以上というふうに枠をはめさせないでも、どうしても枠をはめたいのなら、さっき私はせめて三分の一ぐらいにしなさいよと言って百歩譲って申し上げたのですが本当なら外してもらいたいのです。ですから、その辺についてのお答えにはひとつもなっておりませんので、その二分の一を撤廃する考えがあるのかないのか、あるいは三分の一ぐらいまでちょっと緩めてもいいよという考え方がないのか、その辺について、もう時間が来ましたので、答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
  124. 斎藤徹郎

    ○斎藤説明員 国債にしましても地方債にしましても社債にいたしましても、信用度の濃淡はございますけれども、それぞれ元本の保証された確実、有利な商品であることは先生指摘のとおりでございます。ただ、国債について申し上げますと、百六十八兆円の残高を持っておりますし、市中に滞留しているだけでも恐らく七、八十兆円はあるかと思います。したがいまして、例えば流動性の点をとらえて考えますと、社債の場合は二、三回の売買回転率しか持っておりませんけれども、国債の場合は二十二回程度の売買回転率を持っているというように、他の債券に比べて例えば流動性の面でかなり優位性を持っているというふうに考えております。  それから、四年度以降の問題でございますけれども、この点は先ほど申し上げましたように、郵政省御当局とも十分相談しながら財投編成過程で慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。(山下(八)委員「それから二分の一こと呼ぶ)今、その点を申し上げたつもりでございます。
  125. 山下八洲夫

    山下(八)委員 どうもすみません、ありがとうございました。
  126. 野中広務

    野中委員長 次に、吉岡賢治君。
  127. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 郵政省の同和対策に関し、とりわけ近畿郵政局の姿勢についてお聞きをしたいと思います。  以下の質問については、ことし三月十一日谷村議員、あるいは五月十六日上田卓三議員が質問をされております。それを踏まえて答弁をいただきたい、このように思うところであります。  郵政省は三十万五千というふうに言われる職員を有する最大の官庁であります。その同和対策のあり方は公務員全体に、さらには国民に直接の事業であるだけに影響は非常に大きい、このように思います。まず、郵政省の部落差別の解消についての基本的な認識は、一九七二年の事務次官通達、郷官秘一〇六四号に示されていることに変わりはありませんか、大臣にお聞きをしたいと思います。
  128. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 御指摘昭和四十七年の事務次官通達でございますが同和対策審議会答申等の精神にのっとり、職員の同和問題についての正しい理解と認識を深めるための施策を講じ、差別的偏見の根絶に努めるという郵政省といたしましての同和対策の基本的な考えは変わっておりませず、それに沿って今日までるる対処をしてきておるところでございます。
  129. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 近畿郵政局管内の差別については、大阪東郵便局の林さんの自殺、こういうことが起こっておりますし、また一九八六年交野局での差別による退職、一九八七年城東局での四十九回の差別郵便の投函、一九八七年の京都亀岡局の差別による退職を決意せざるを得ないという事象、さらに一九八八年住之江局の出勤簿に対していわゆる差別落書きがしてある、こういうような問題、さらに一九八八年都島局の差別投書とバイクのボルトを引き抜く、こういうようなこと、一九九〇年には大阪中郵集配の軽自動車への落書きなど大変悪質なものが起こっておるところであります。一九八八年に八十六件、一九八九年に五十四件、一九九〇年には二十一件、ことしに入って大阪だけでも十六件の差別事象が発生をしている、このように聞いています。いずれも郵政職員が錢私語などを落書きしているもので、公務員として正しく部落問題が認識されていない、こういうふうに言えるのではないかと思います。  関谷大臣は、差別された部落出身者の心情を思うとき胸が痛むあるいは啓発を積極的に進めるというふうに谷村、上田議員の質問にお答えになっておりますが郵政省としてどのような救済を考えておるのか、お聞きさせていただきたいと思います。
  130. 木下昌浩

    ○木下政府委員 お答えいたします。  ただいま委員指摘の事実が多発をしておりますということにつきまして、先ほど大臣が申し上げましたように、私ども研修に力を入れてまいってきているつもりでございますがそういう事実が多発しているということにつきまして私どもとしてまことに残念に思っているところでございます。  ただいま御指摘の事実等を見てもわかりますけれども、差別事象のほとんどが行為者が判明しない落書きというようなものが多いわけでございまして、したがって、的確な分析は困難でありますけれども、落書きされている場所等から推測をいたしまして、ほとんど部内に関係する職員によるものではないかと思われます。  したがいまして、これまでも同和問題に対する正しい理解と認識を深めるために研修、啓発の充実に長年努力をいたしてまいりましたけれども、今なお少数のものと思われますものの、このような事象が発生をしているということは極めて残念であります。  近畿郵政局といたしましては、これらの行為者が判明いたしまして、また具体的な動機や背景がわかれば、今後の個人的な指導あるいは全般的な指導に大きく役立つと考えております。したがいまして、今後とも、一方においてこれらの事象について冷静に真相を究明することが大事であろうと思いますがまた一方におきまして、地道に研修、啓発の効果が上がるような方策を進めていくことが肝要かというふうに考えております。
  131. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 差別は人命をも奪う、こういうような重さを考えるときに、部落差別は犯罪に値する、このように私は思っています。大臣の見解を一言聞きたいと思います。
  132. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私も、政治家になりましてからずっとこの問題につきましては対処をしております一人でございますがいろいろな部落差別の問題はその事故、事件の内容によりましては、先生指摘のように人命にも影響を与えるほど重要かつ深刻な問題でありまして、私は重大な社会悪、そのように認識をいたしております。
  133. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 近畿郵政局においては、一九七二年の官秘第五五三号、あるいは一九七九年の局同室一〇〇〇号、一九八六年の同室六九〇号、一九八六年の同室三九〇〇号の通達を出され、部落差別解消への基本認識を示すとともに、啓発体制の確立、あるいは差別発生時の指導要領、そして同和対策推進委員会、こういうものの活動など、主体性のある啓発や研修などを推進されてきました。そして、労働組合や部落解放同盟との話し合いについても十分されてきた、こういうふうに聞いておりますけれども、最近はいかがかお聞きしたいと思います、
  134. 木下昌浩

    ○木下政府委員 委員指摘のとおり、近畿郵政局は全国に先駆けまして各種の施策を積極的に推進してきたところでありますし、同和対策の取り組みは、全国的に見まして近畿郵政局の場合は積極的かつ真摯なものであるし、また、全国的に見てもレベルの高いものであると認識しております。  そうした中で、ただいま委員指摘の問題でございますが同和対策のより適切な推進を図るためには、必要に応じて職員団体でありますとか代表でありますとかとの意見交換をしたり、あるいは部外の運動団体とも同和対策推進のための建設的で有意義な話し合いをしていくことは必要であると思うし、今もそういう姿勢で臨んでいると考えております。
  135. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 一九七八年に城東局あるいは亀岡局の差別事象が発生をいたしました。その対応をめぐって近畿郵政局の同和対策の方針が変わったようにうかがえます。先ほども鋭意進めておるというふうにおっしゃっておりますけれども、一九九〇年の同室五九〇号通達及びその関連の「Q&A」、そして同室丙一二四号指導文書、これで差別発生時の対応の変更が示されています。問題なのは、五九〇号で行為者不明の差別事象は分析をしないと明確に書かれ、そしてその「Q&A」では、五九〇号は内部通達であり、外部の方と話し合うことについて適当と思っておりませんということで、その五九〇号の文書をめぐる問題のことについてシャットアウトしておるわけです。さらに問題なのは、二一四号の指導文書で同和地区出身者であると宣言している職員に激励をするというふうにあるわけであります。  私は、差別落書き等行為者不明の行為は、言葉で差別発言をするよりも、不特定多数が見るし、影響も多い、そういう意味からいえば罪深いというふうに言えると思います。分析しないということは差別のとらえ方が希薄であるというふうに言われても仕方がない。官房長は過去の答弁で、何もしないことではございませんというふうに答弁をされています、近畿のことをおもんぱかってということであろうと思いますが。  それでは、何もしないではないというふうに言われた以降今日まで、十九件の差別事象が近畿の中で起こっています。そのときに何をされたのかということを聞かざるを得ませんので、お聞きしたいと思います。
  136. 木下昌浩

    ○木下政府委員 ただいま御指摘の、五九〇号通達及び関連の「Q&A」、そして二一四号について、城東局、亀岡局等の事案が起きてから施策の変更があったのではないかという御指摘であります。  これらの文書につきましては、差別発生時における各局署における対応の仕方、差別発生直後における対応の仕方について統一的に指導しているものでございます。  例えば、従来でありますと、深夜であれ会議中であれ、局長初め管理者が直ちにそういう事案が起きましたら出局をいたしまして措置しなければならないとかいうようなこともございまして、どうも社会通念に照らしてもう少し緩やかでもいいのではないか、さらに局長の判断によって対応してもいいのではないか……(吉岡委員「何をしたかと聞いておるんだ」と呼ぶ)というようなことから新しい改正をしたわけでございまして、したがいまして、ただいま御指摘のありました関係職員に対する激励の問題につきまして、激励につきましては、過去に公の場でこの出身宣言をされた方等について管理者が状況を判断して激励を行うとか、あるいは行為者不明の事案についての話が今ございましたけれども……(吉岡委員「僕はそこまで質問していないのですよ」と呼ぶ)失礼いたしました。行為者、分析の話があったと思ったものですから。(吉岡委員「分析のところだけで、宣言の問題にまだ入っていない」と呼ぶ)はい。失礼いたしました。  分析の問題でございますがこの話につきましては、私どもの方としては、いわゆる行為者不明の場合に、従前の通達では、事象発生の直後におきまして短時日のうちに事実関係、それから差別性、原因・背景あるいは見解、今後の取り組みにつきまして相当の分量の分析書を作成するということを義務づけておりました。  しかしながら、行為者不明の事象ということになりますと、これも決して許しがたいものであることは変わらないわけでありますがそういう行為者不明の事象の発生時におきましては、あくまでもこれをいわゆる今申し上げましたような詳細な分析をするということは、非常に推測の域を出ず、的を射た分析にはなり得ないのではないかというふうに考えまして、そういう詳細な分析をやめたところでございます。  しかしながら、先ほど御指摘のように、何もしないということではないわけでございまして、私どもとして慎重な検討に基づく真相の究明を引き続きやっていくということには変わりないわけでございます。
  137. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 やっていくということでございますからもう一度聞きますがやられたかどうかね。おたくが言われてからも時間がたって差別事象は起きているのですよ。そのことについてどういう対応をされたのかということについて先ほどお聞きしているのです。長々と書いてあることはこの通達の中に明らかですから、簡潔にお願いします。  次、重要なことを言いますから、よろしくお願いいたします。  一二四号の指導文書、これについてお聞きをしたいと思います。同和地区出身との宣言をしておる職員を激励する云々というふうに書いてあります。宣言の方法、例えば私が宣言をしますとそれで通用するのかというようなこともあります。具体的な激励方法も明記されていないのであります。管理者はどのようにするのかということになりますと、局長がかわるということになりますと引き継ぐということもあるのじゃないでしょうか。過去の林さんの差別自殺事件あるいは交野局の差別退職事件などの教訓が生かされているのだろうかと疑問に思わざるを得ません。そして、一〇〇〇号の通達、基本精神である「同和地区出身者が自己の出身経歴を隠さなければならないような職場の雰囲気を払拭し、明るい職場を作るよう努める」との近畿郵政局の同和対策の原点さえも踏みにじっているというように思います。今申し上げましたこの同和地区出身者の宣言ということに関しては、まさに内容は危険であり、とりようによっては差別文書であるとさえ私は思います。五九〇号の先ほど指摘したことの補強なりあるいは一二四号の文書の廃止ということを本当に考えていただきたい、こう思うのでございます。どうか、その意味郵政省自身がどのようにお考えか、そして近畿郵政局に対しましてどのような指導をされようとしておるのか、その点について明確にお答えいただきたいと思います。
  138. 木下昌浩

    ○木下政府委員 ただいまの、出身であることの宣言の問題でございますが確かに関係職員への激励ということにつきまして、宣言をした者に行うというふうに書いてあるわけでございます。しかしながら、これはあくまでも、確認会でありますとか糾弾会等、そういった公の場で、本人の意思によりまして同和地区の出身であることを明らかにした職員について、差別事象の発生時にどうやって激励していくかというところに視点を置いたものでございまして、何もこの出身者宣言を強要するものでは全くないのでありまして、この点についてはどうぞ先生御理解をいただきたいと思うわけでございます。この考え方は従来からやっていた考え方でございまして、それを文章にして出したというものでございます。  そのようなことでございまして、私ども今後とも差別事象が発生した場合の関係職員の激励に当たりましては、管理者が本当に親身になって、そのTPOも十分に理解しながら対応していくようにしてまいりたいと思います。
  139. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 問題は、差別事象が起こったときに、部落出身であるということを宣言をした人というふうに限定しておるんだという言い方です。そういうことが本当に可能なのでしょうか。例えば、糾弾会なら糾弾会に行きます、あるいは確認会に行きます、そういう中でもあるでしょう。実はこの件に関して私は胸を痛めております、実は私も被差別部落出身ですというふうに仮に言ったらどうなるのですかということになりますと、大きな問題をこの一文はつくっている。特に括弧書きは、私はそういうように思っているところでございます。なぜそういうところまでしなきゃならぬのか。むしろ被差別者の立場からすれはこんな文章は要らない。そうじゃなくて、郵政省が今まで一〇〇〇号のとおり貫いてきておられる、言うなれば啓発の活動なり、あるいは学習なりそういうことを堂々とやっていただくことの方が本当は我々は救われるのだという方たちからすれば、現実に差別を受けていく人、被差別部落の人たちの心情のことを考えたときに、この文書はむしろ逆なでをする、このような結果になります。そして、宣言をすればいいんだなという、いわゆるえせの被差別者が登場しないとも限らない、こういうような問題をはらんでいると思います。大変問題の文書でございますし、大変誤解を受けやすい、大変いろいろなことが想定をされる内容になっておるだけに私は御指摘申し上げておるので、その点について確たる方向というものを出していただきたい、こう思います。
  140. 木下昌浩

    ○木下政府委員 ただいまも申し上げましたように、事象発生時の対応を通達しているわけでございますがかつて確認会や糾弾会で、そういった公の場でみずから出身であることを過去に明らかにしておる者に対しての問題でございまして、先生指摘のとおり、そのほかにはやはり管理者に個人的な人間関係の中で打ち明けている者もいようかと思います。それからまた、全く人に知られないようにしておられる方もおられると思います。そういう三つに分けて考えますと、第一番目の、そういう公の場で出身であることを多数の職員に対して明らかにしている者に対してそういう統一的な指導をしているところでございます。
  141. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 統一指導とおっしゃいますけれども、それは文書で出されるのだからそうでしょう。しかし、その内容が現実にお受けになった郵便局長が疑問に思って、どういうふうに扱うのかと郵政局の同封室に文書を出しておられますね。労働組合も、これはおかしいじゃないか、差別文書ではないか。それは全逓も全郵政も出されております。そして、それが外に出ることによって、これは問題だということで部落解放同盟の方からもいろいろ言われているわけです。そんな単純なものではないですよ。したがって、この文書についての扱いというものを少し考えていただきたい、こう思います。  大臣、それほど今この文書について問題になっているところです。したがって、その点について、どうなっているのかという調査なり、あるいは近畿郵政局の態度変化についてどう考えるのかということで、少なくともこの文書について関係団体とも十分話し合って解決しろというような方向を示唆していただくことはできませんか。
  142. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 私もその一二四号の通達の書類を今手元に持っておるわけでございますが先ほど官房長が答弁をいたしましたその「宣言している自局職員」というのは、括弧内に書かれている「自局職員」というのは、既にそれまでにそういうふうに宣言をしている方という意味であろうと思いますのでございますがただ、この括弧書きの中の文章を見てみますと、御指摘のような疑問点も確かにあると私も思いますので、るる検討をさせてみたいと思います。
  143. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ぜひ郵政省としても検討いただき、さらに近畿郵政局を御指導いただきたいということを重ねてお願いを申し上げたいと思います。  また、この問題について私は委員長にもお願いをしておきたいと思います。非常に重要な問題であるだけに、理事会等で検討していただきたい、こういう要請を申し上げておきたい、こう思います。  それと同時に、もう一つ問題を提起しておきます。  近畿郵政局から解放同盟の中央本部上杉委員長あてに文書が出されています。その中で「同和対策所管省庁でない国の地方機関が特に中央本部と話し合い、意見交換を行うことの位置付けを明らかにされたい」というように疑義を挟むということで出されているところでございます。近畿でいろいろ問題が起こって、先ほどスムーズにいっておるようにおっしゃっていますけれども、亀岡局の差別事件をめぐっていろいろ紛糾をしておる状態であり、そしてまた、御案内かと思いますけれども、同和対策推進委員会も、正直言ってこの一年間開催されていないのです。ですから、断絶状態になっているのですよ。そういう問題について、解決の方向をとろうではないかと中央本部の方としても対策を講じられようとしたと思います。そういう件について、なぜ地方の方がせんならぬのや、所管官庁ではございませんわというようなお話というのは少しいかがなものか、こういうように思うところでございます。その点について、郵政省としてどうお考えなのか、お聞きをしておきたいと思います。
  144. 木下昌浩

    ○木下政府委員 御指摘の部落解放同盟中央本部との話し合いの問題でございますが近畿郵政局では、中央本部と話し合いをしないというつもりは決してないと申しております。建設的で有意義な意見交換の場とするために、場の持ち方でありますとか進め方等について御提案を申し上げたり、あるいは近畿管内の実情を踏まえつつ事前に双方が文書で見解を明らかにするということが有意義だというふうに思われるものについて幾つか質問もさせていただいておる、そういうことで誠実に対応してきたというふうに承知いたしておるところでございます。  御指摘のあったことにつきまして、場の持ち方等について近畿郵政局の提案をさせていただいておる内容の一つであるというふうに思っております。
  145. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 日にちは忘れましたけれども、部落解放同盟の中央本部の副委員長大西さんが近畿郵政局に伺いまして、常々お世話になっておる、そしてまた私たちの方にもいろいろ問題があるだろうけれども、この際ひとつ胸襟を開いてお話をさせていただき、よりよい方向を求めたい、こういうようなことで行かれたのですがそのときに、いや、部内のことは部内のことで処理しますよ、おたくとどうこうというようなことがあって、そこで決裂してしまっているという現実もあるわけです、御存じだろうと思いますけれども。そういう問題というのを長い間放置するということは、逆に問題を難しくする可能性がある。したがって、やはり話し合いの糸口をつくっていくべきではないのか、このように思いますがいかがでしょうか。
  146. 木下昌浩

    ○木下政府委員 おっしゃるとおりでございまして、この問題につきましては、できるだけ速急に解決をして、話し合いが持たれるようにしていくことが望ましいというように考えております。
  147. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 望ましいことはわかっていますから、努力していただけますか、一言。
  148. 木下昌浩

    ○木下政府委員 近畿郵政局においては今までの積み重ねがありますので、それに沿って対応していくものと考えております。
  149. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 近畿郵政局に任すというようなお言葉に聞こえるわけです。郵政省としてどうか。大臣も先ほどお答えになったので、そういうことで近畿の方で話し合いをさせるように努力をするということで言っていただいているのですがもう一度お尋ねします。
  150. 木下昌浩

    ○木下政府委員 本省といたしましても、近畿郵政局と十分連絡をとりまして、話し合いが進むように私も進めてまいりたいと思っております。
  151. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 一九九一年七月、地対協の会長談話が発表されました。中身はおおよそ、一九九二年度の概算要求実情に即して配意すること、あるいは啓発活動というのはより一層重要性を増している、あるいは行政運営において生じた問題点を是正し、というような内容になっているところでございますが郵政省として、この地対協の会長談話をどのようにお受けとめになって、どのように施策を講じようとされているのか、少しお聞きをしておきたいと思います。
  152. 木下昌浩

    ○木下政府委員 今の御指摘の地対協の会長談話でございますが発表されたことは当然承知しておりますけれども郵政省といたしましては、今後とも啓発活動の重要性を十分に認識いたしまして、省の主体性と責任のもとに、職員の同和問題に対する正しい理解と認識を深めるための効果的な施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
  153. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 時間が限られておりますので、最後に申し上げたいと思いますけれども、私は、郵政省あるいは近畿郵政局がこの部落解放へ向かっての努力をなさっていることについて、決して問題だなんて言っていない。高く評価をしておるところでございますけれども、ここ一、二年のところで少し態度が変わってきた。このことについては逆にいろいろな問題を惹起させていますし、そしてまた運動団体との関係について少しぎくしゃくしている。このことについて正していきたい。そしてまた、スムーズに郵政の諸事業が進み、そして、それぞれ職員の皆さん方は国民と接される機会も多いわけでありますから、なおのこと同和の対策としての啓発なりあるいは学習なりを進めていただきながらよりよい方向で事業が進みますことを願って、質問をさせていただいているところでございます。  どうかそういう意味におきまして、郵政省におかれましても、近郷の今日の状況について、一日も早い回復をといいますか、早い解決をしていただき、そして、いわゆる同和対策の諸方針がスムーズに貫けるように心から祈念を申し上げ、最後にこのことについての御見解を大臣に求めて、質問を終わりたいと思います。最後によろしくお願いします。
  154. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生最後に御指摘をいただきましたように、正直に申し上げまして、郵政省もいろいろな事例に対しまして必死で対処をしておるということを御理解をいただいておるようでございまして、ありがたく思うわけでございますがそういうようなことで一生懸命やっております。特に、近畿地方においてそういう事故が多いということでございますから、近畿地方にもまた重点を置いて今後対処をしていきたいと思います。
  155. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 終わります。
  156. 野中広務

    野中委員長 次に、秋葉忠利君。
  157. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 前回の逓信委員会で、NHKそれからその他のマスコミの問題について触れさせていただきましたが今回、継続して同じ問題について質問をしたいと思います。  まず最初に、これは委員長並びに理事の皆さんにお願いしたいのですが実は前回の委員会で、構造的な問題について、逓信委員会として小委員会でもあるいは公聴会でもどのような形でもいいからともかく長期的な問題を討議するような場所をぜひ設けていただきたいというお願いをいたしました。今回の委員会もそのお答えの一つにはなっておりますけれども、自民党の皆さんも質問する機会が限られている。あるいは郵政省、NHK、その他の方々も交えて、ともかく長期的な問題について、勉強会という形でも結構ですし、何か今までの逓信委員会のあり方を超えた会を開いて、そういった中で例えば放送、あるいは通信、電波、そういった重要な問題、もちろん郵政の本来の郵便事業といった大事な問題もありますがそういった問題について長期的な勉強をするような場をぜひ設けていただきたい。再度、それをまずお願いしたいと思います。  まず最初に、NHKに関しての幾つかの質問をしたいと思いますが島前会長の虚偽発言事件、この問題でNHKに対する信頼が損なわれた。この点については同僚の上田利正議員から先ほど質問がありました。実はそれに関連して、もう一つ非常に大事な問題が提起されたように思います。前回もそれを取り上げて質問をいたしましたが時間が十分でありませんでしたので、追質問をさせていただきたいと思います、  それは、NHK、これは公共放送という非常に重要な役割を担っている組織ですけれども、そのあり方に、より大きな政治的な力が加わっている。そういった力によって実は島前会長の進退が決まってしまった。いわば政治権力がマスコミの首脳の辞任あるいは任命といったところで非常に大きく働いている。ということは、マスコミの報道、NHKが報道する内容にも事によったらそういった力が及んでいるのかもしれぬ、そういった問題が提起されているように思います。それに関連して、週刊誌、月刊誌、新聞その他でいろいろと言及されました、逓信委員あるいは自民党の各派閥とそれからNHKとの間で島前会長辞任に対してどのような交渉があったのか、そのリストをぜひ出していただきたいというお願いを前回の委員会でいたしました。それは、詳細に考えてみますと、NHKと逓信委員定期的な接触があっても別に不思議でも何でもありません。日本の放送事業に関して、あるいはさまざまな問題について勉強をし、そしてともに先のことを考えるということでは全然問題はないわけですから、そういう詳細がわかれはこういった疑義は晴れるのではないか。そういう可能性も当然非常に大きくあるわけですから、私はそれも含めてそういった具体的なリストを出していただきたいというお願いをいたしました。そのリストを実際に御準備いただけたのかどうか、まずお聞きしたいと思います。
  158. 小山森也

    ○小山参考人 前回の委員会で御質問のありました件でございますけれども、島前会長の当日の行動等につきましていろいろな先生方から御質問等がありまして、その先生方への御説明につきましては電話、訪問、いろいろな形がありました。ですが 一つ一つ正確な記録はとっておらない次第でございますが私どもの基本的な姿勢は、どこの党であれ、どの先生であれ、私どもにとっては非常に大切な国会議員の先生でございます。したがいまして、国会議員の先生方から御質問あるいはいろいろな点からの資料等につきましては、私どもは誠意を持って応答していくというのが基本でございます。しかしながら、この件につきましての電話あるいは訪問等一つ一つの正確な記録がないということが実情でございます。ひとつ御理解いただきたいと存じます。
  159. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 前回の委員会で私が申し上げましたのは、少なくとも社会党の委員には全く接触がなかった。自民党の中にもなかった方はいらっしゃいますけれども、そういうことを申し上げました。今のお答えでは記憶がないそうですが私の方はきちんと人名を挙げることも可能です。私の言ったことが真実だと認めていただく以外に方法はないわけですから。今おっしゃっなどの党の方に対してもというのは実は真実ではなくて、野党には接触がなかった、自民党は確かに接触をいたしましたということを確認いただいたというふうに理解いたします。御記憶がない以上それに対する反論はおできにならないと思いますがいかがですか。
  160. 小山森也

    ○小山参考人 与党、野党の髪もなしにいろいろな接触はしてございます。ただ、正確な記憶ではなくて記録がございませんと申し上げたのですがひとつこの辺御了承いただきたいと思います。
  161. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 記憶がないのと記録がないのとは、記憶を書きとめれば記録になるわけですから、要するに意思がないということだと思いますがいずれにしろ私の申し上げた野党に対しては一切接触がなかったということに関しては、具体的な証拠を出して反論していただかない限り私の言っていることが正しいわけですから。例えば、私に対して個人的にいつ接触があったのか、具体的な証拠を出していただければそれに対して反論いたします。それがない以上、野党に対しては接触がなかったということは認めていただかざるを得ないと思います。これは野党でも自民党でも本当はいいのですが実は、ここで問題なのは、要するにNHKがマスコミの非常に重要な機関だからというところで、これが問題になってくるわけです。つまり、公正に、事実を正確に伝えるという任務をNHKは持っているわけですけれども、例えば一党一派に偏したそういったNHKの接触があった場合に、それがそのまま最終的な報道の偏りになってあらわれるだろうということは、だれが考えても想像がつくことだと思います。  もう少し端的な形で言いますと、政治家というのは報道機関の取材対象になっているわけです。その取材対象とある程度距離を置かないと正確な報道はできないというのはこれまた原則だと思います。そういう意味での利害関係の対立が報道の現場に持ち込まれたというのが実は非常に大きな問題だと思うわけですけれども、その点について、利害関係の対立、取材対象と密着することによって報道の公正さが失われるということに対して、どういうお考えをお持ちか、簡単にお願いいたします。
  162. 中村和夫

    中村参考人 我々報道の現場にいる者として、やはりきちっと距離を置いて、客観的、公正申立て、不偏不党で報道しなければならないということは、これは自明のことで、我々はそういう努力をいたしております。不偏不党の立場、その立場を守るということで現場もそういうスタンスを置いて取材その他に当たっておる、独善には陥らないで客観的に等距離で対象に当たるということに努めております。
  163. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 口ではそういうふうにおっしゃいますが幾つかの例を挙げて、そうではないかもしれないその可能性を挙げていきたいと思います。  まず第一に、この逓信委員会でNHKの予算を審議する場合ですけれども、まさにある意味でNHKが俎上に上るという形での委員会です。その委員会の模様をビデオに撮ってそれが後日放映されるというのが慣例になっておりますがそのビデオの編集はどなたが行っているのでしょうか。
  164. 中村和夫

    中村参考人 お答えします。  広報が中心になってやっております。(秋葉委員「NHKですね」と呼ぶ)はい。
  165. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 つまり取材の対象になっている主体が取材を行ってその編集を行っているということは、これはちょっと極端な例になりますがいわば何らかの犯罪の疑いをかけられている人にその事件についての報道をする際に編集権を与えるということに論理的には――NHKがそういう悪いことをやっているという意味ではございません、ただ論理的には、そういうふうに取材の対象になる人に編集権が渡るということは、報道の公正さからまず最初に排除されなくてはならない非常にゆゆしき事態だと私は思いますけれども、例えばこの方法に関しても、ここで絵を撮る、例えば一日NHKの予算の審議が行われるときに、NHKがカメラを入れてそれを全部録画するということはまだ許されるかもしれませんが例えば民放のプールに対して編集権を与えて、これを一時間の番組に編集するということを任せた上でNHKが放映する、あるいは民放が放映するということになれば、その編集権はNHKとは完全に独立した第三者が行うことになるわけです。例えばそういった形での報道の公正を期することもできると思いますがこれからそういった新たなやり方で少なくともその委員会予算審議に対しては公正さを導入するお考えはありませんか。
  166. 中村和夫

    中村参考人 御審議を編集して放映する場合でも、報道の現場がそういう編集をやっているということではございません。広報が中心になってやっておるということでございます。  それから、我々はできるだけ視聴者の皆さんに、当委員会でどういう多様な御意見が出されるのか、そういうものをきちんと出していきたいということで、できるだけ多様な御意見を視聴者の皆さんにお示ししたいということで、それを基本に編集をしているということでございます。
  167. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 答えになっていません。広報が編集をするのであっても報道の現場がするのであっても、NHKがやっていることには全く変わりありません。その点を私は申し上げているので、じゃ、広報と報道の現場はどう違うのか、広報だったらもっと悪いじゃないかという議論も成り立ちますけれども、ここではちょっと時間がありませんので、別の問題に珍らしていただきたいと思います。  この問題についてはさらに、前に申し上げましたように、犯罪の下千人が自分の裁判の模様を自分自身で報道するというに等しい論理的矛盾があると私は思いますので、これはNHKにも非常に厳しく考えていただかなくてはならない問題だというふうに思っております。  利害関係の対立が報道の現場で非常に大きな問題となっているのは、つい最近行われました、これは廃案、審議未了になりましたがいわゆる政治改革関連三法案の審議というのがあります。海部総理大臣の答弁をお聞きになった方はおわかりだと思いますが、要するに海部さんが言っているのは、この政治改革三法案ではいろいろいいことが起こる、それはなぜなのかということを聞かれますと、海部総理大臣は、それは選挙制度審議会の答申を尊重している、もうそこで決めたからそれでいいんだという答弁を行っています。  そこで、選挙制度審議会の委員を見ますと、二十七人中九人が三分の一ですね、現職のマスコミ関係者です。そして、そのマスコミの方々がこの「選挙制度改革」と、かぎ括弧つきですけれども、「選挙制度改革」という名を持った一つの政治制度の改変について報道を行っている。あまつさえ、その「政治改革」を、これもかぎ括弧つきの「政治改革」ですがそれを行わないのは非常に大きな問題だということを言っています。つまり、マスコミの人たちが非常に多く入っているわけですがそこで自分たちで決めたことを、いわば事の当事者になってしまったマスコミの方々が、自分たちが決めたことを推し進めないのはけしからぬというような論調さえ具体的に新聞、テレビ等であらわれております。実はこの委員の中にNHKの専門委員兼解説委員という方が入っていらっしゃるわけですがこういった点についても、こういう政治的な問題について、しかも、今国会では三つの論点の一つというふうに数えられた大問題について、マスコミが直接このような関与の仕方をする。しかも、公共放送であるNHKがその一つの方針の決定に参画した上に、さらに、最終的にはその改革を推し進めるような報道を行う、あるいは解説を行うということに対して、NHKはどういうふうにお考えになっているわけですか。
  168. 中村和夫

    中村参考人 私どもは番組をつくる立場で、そういう審議会とは全く別に、独自にそういう政治改革なりなんなり公正に取り扱うということで、そういう審議会にうちの委員が参加しているということにはとらわれないで、きちんとした報道をやっております。
  169. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ではお伺いしますが島会長は、会長在任中、直接、報道番組の制作に携わられていたわけですか。
  170. 中村和夫

    中村参考人 御意見はいろいろいただいております。御意見はいただいておりますけれども、現場はできるだけ主体的に判断するということでございます。
  171. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 しかしながら、そのNHKの前会長がうそを言ったということで、それがNHKの信頼――NHKの信頼ということは、我々別にNHKを一つの大きな企業体として評価しているわけではなくて、報道の主体として評価しているわけです。その信頼を損なったということはさっきおっしゃった。しかしながら、選挙制度になると、現場とそれからこの委員がまるっきり違うから、報道の内容には偏向がないということになってしまう。それでは、報道の人がほかの部署に変わったりあるいはその逆ということはNHKでは絶対ないわけですか。
  172. 中村和夫

    中村参考人 ほかの部署に移るということはございます。
  173. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 しかも巷間では、例えばNHKの政治記者、私はこれはすべての人ではないと思いますし、恐らくこれが真実ではないことを願っているわけですが政治記者の多くは自民党の派閥と親密になることによってNHKの出世の階段を上るんだというようなうわささえございます。その真偽を私はぜひ知りたいと思うわけですけれども、例えばそういううわさがある。公然とそれが語られて、あたかも真実のように多くの人が考えている。そういう状況の中にあって、報道の現場はまるっきりその他のところとは独立しているから報道の内容に関しては一切心配がないという言いわけは成り立たないと私は思います。  この報道の公正さというのは、報道というのは最終的には情報なわけですから、ただ単に事実だけではなくて、事実のように見えるあるいは多くの人が事実だと受けとめているということ自体が非常に大事な問題になってきます。ですから、報道の公正さというのはその意味考えられなくてはならない。そういうところで少なくとも利害関係の対立が非常にはっきりしているという状況はやはり報道機関として避けるべきではないかというふうに思います。  その例として選挙制度審議会のことを挙げました。あまつさえこの選挙制度審議会では、冒頭にこれを非公開にする、議事録を発表しないということを決めているわけです。その中にはテレビの関係者も入っているわけです。NHKが入っていることは前に申し上げました。三分の一も報道関係者が入っていながらそういったことを決めているということは、そもそも報道が目指す情報の公開ということとまさに正反対の決定をこれらの方々が行ったという責任があると私は思います。  そういった点で、私はこのような事態は避けられるべきことだと思いますし、それを避けるために、例えばNHKの中で報道姿勢に対する倫理規程並びにガイドライン、これはかなり詳細なものが必要だと思います。例えば、取材対象とする人とは、それが政治家の場合――政治家でも結構ですが取材対象から日常的に物品の贈与を受けたりあるいは飲食を供されたりすることはやめるべきだとか、細かいことになればそういうことがあろうかと思いますし、より大きなガイドラインというのが私は考えられると思うのです。こういった倫理規程がNHKには現在あるのかどうか。もしないのだとしたら、少なくとも報道の現場に関してはこういった自主的な内規を設ける、そのことを検討する余地があるのかどうか、さらには、報道の現場にこういった具体的な問題についての教育を行っていくおつもりがあるのかどうか。時間がありませんので、本当はもう少し詳しく伺いたいのですが、とりあえずまとめて伺いたいと思います。
  174. 小山森也

    ○小山参考人 番組につきましては番組基準というのをつくっておりまして、これにのっとってやっているわけでございます。  以上でございます。
  175. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 ただいま私が申し上げたのは人の問題ですので、お答えいただけませんでしたけれども、一応問題提起をしておきます、時間が最後に残りましたら、この問題に返りたいと思います。  今、番組の基準についておっしゃられたわけですが、湾岸戦争に関する報道について前回の逓信委員会で問題提起をいたしました。偏向というのをどういうふうに定義するかによっていろいろと考えられるところがあるわけですが、少なくとも番組が一方に偏ることは非常に好ましくない。具体的には、その一つの解決策としてアメリカで採用されているイコールタイムというような方法も考えられるのではないかという問題提起を前回いたしました。  しかし、仮にすべての報道関係者が一生懸命自分の良心に従ってしかも公正に仕事をしても、結果としてそれがうまくいかないということは十分考えられます」し、今までもそういう例が間々ありました。そういう場合に、例えばNHKには番組審議会、いや、ほかの民放にもあるわけですけれども、その番組審議会で問題提起をするような形になっているというふうに理解しております。その番組審議会の中で番組を審議する際に、どのような具体的なデータを使って審議を行っているのか、そのデータの集め方、それからそれに対して審議の委員が具体的にどういう情報をもってそれに付加価値をつけているのかということを伺いたいと思います。
  176. 中村和夫

    中村参考人 私どもにとって、先生がおっしゃるように、最善を尽くして報道をした結果それがどういうふうに視聴者に受けとめられているかということは、我々常に一番注意していることでございます。今御指摘の番組審議会、それから地方で行います視聴者会議、これは全国で八百九十三人おりますが、そのほかにも番組モニターが七百人おりまして、年間十二万件の回答をいただいております。そういう方々が一体どういうふうに番組をごらんになったかということを番組審議会にフィードバックいたしております。それに対して各委員方々がそれぞれ具体的に御意見を申していただけるということで、湾岸について言えば、例えば外国の映像が多過ぎるのではないかとか、それからもう少し悲惨なイラクの現状を振れないものかとか、そういう具体的な御提起をいただいておりまして、それをまた現場にフィードバックして対応するということでございます。
  177. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 具体的というのは私の場合定義がかなり違いまして、要するに個人の印象ではなくて、客観性のある、第三者がその意見に対してそれは本当なのかどうか、そういった事実があるのかどうか、ある程度検証ができるようなデータを私は具体的というふうに呼びたいと思います。今おっしゃったのは要するに印象を伝えているということだと思いますが、ただ単に印象だけではなく、例えば番組審議会の事務局で具体的なデータをある程度数量化できる面については数量化をした上でその印象と合わせる、あるいはその番組審議会の委員に対して客観性のあるデータを集めてもらうように依頼する、そういったことも考えられると思いますので、ぜひそういったことをお願いしたいと思います。  時間がありませんので、もう一つ最初の問題に戻りますけれども、番組がある程度基準に従ってつくられている、それは大変結構なことだと思います。それに対して、外部からの力ではなくて、やはり自主的な基準を守る努力がされることが必要だと思いますが、さっき申し上げましたのは、その基準を守る方の人間がどう行動すべきかということです。何度も何度も同じことを繰り返して言うのはちょっと自分自身でも余りいい気持ちではありませんが、お答えがいだだけない以上、もう一度伺います。  そういった倫理規程でも結構です。あるいはガイドラインでも結構です。NHKには、報道人として最低限こういうことはやらなくてはならないということ、それだけやっても報道人として、あるいはジャーナリストとして立派な人間だとは言えないかもしれないけれども、少なくともこういう悪いことはやっていないということだけは胸を張って公言できるような最低基準というものがおありなのかどうか。もしないとしたら、私がさっき申し上げたような、非常に鮮明な、しかも現在の日本の政治あるいは世界の動きに非常に大きな影響を与えるような幾つかの利害関係の対立というのがもう顕在化しているわけですから、それに対処するためにも、倫理規程、ガイドラインのそれこそ具体性のあるものをおつくりになるお気持ちがあるのかどうか、伺いたいと思います。
  178. 小山森也

    ○小山参考人 職員の行動につきましては、就業規則の中に「公共放送にふさわしい行動をすること。」ということがうたわれております。
  179. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 私はそういうことがあることは知っておりますが、なぜこれを伺っているかといいますと、公共放送にふさわしい行動をとるということをいわば監督者の立場で指導しなくてはいけなかった会長が国会でうそを言っているという事実があるわけです。それは私は、NHK全体の問題として、やはり自分たち考え方、姿勢に非常に大きな緩みがあった、少なくとも緩みがあったというふうに反省をしていただかなくてはならないことだと思います。  ですから、公共放送を担うその重責を十分に認識せよといった程度のことではなくて、より具体的に、先ほど私は取材対象から飯をおごってもらってはいけないよということを申し上げました。そのくらい細かい規定の入った具体的な基準をおつくりになるつもりがあるのかないのか。ないのであれば、はっきりおっしゃっていただきたい。それに対しては、例えばいろいろな国民的な運動を起こして、ぜひつくるべきだということが起こってくるかもしれませんし、あるいはNHKの中から、自分たちは自主的にこういうことをやったのだという声が起こってくるかもしれません。そういう点で、はっきりと答えていただければ大変ありがたいと思います。
  180. 小山森也

    ○小山参考人 職員一人一人にはジャーナリストとして自覚を持っていただくことが第一でございまして、こういった規則とか、あるいはつくられたものによってのみ行動するということ自体がジャーナリストとして問題だと思います。むしろ私ども、そういうジャーナリストとしての自覚を持って職員が行動してもらうということを、職員を信じているわけでございます。
  181. 秋葉忠利

    ○秋葉委員 我々視聴者もNHKの会長を信じておりました。それが、信じていても裏切られるということがあったわけですから今こういった問題提起をしておりますが、その辺のところが御理解いただけないようですので、また後日、もう少し具体的なレベルで、こういった問題について携っている方々と話し合いをするなり、そういった場を設けていただければと思いますし、問題提起を続けていきたいと思います。  それから、大変申しわけないのですが、時間がなくなりまして、ほかの質問がありましたが、御準備いただいた方々には、関谷郵政大臣初め申しわけありませんが、また次の機会に質問させていただきますので、おわびを申し上げて、私の質問は終わらせていただきたいと思います。
  182. 野中広務

    野中委員長 次に、菅野悦子君。
  183. 菅野悦子

    菅野委員 このところ、市内電話料金が値上げされるのではないかという報道があちこちでなされているのです。これはもしそういうことになると、国民生活に相当直結している問題ですので、大変だというふうに思うわけなんです。  そこで、まず郵政省にお伺いしたいと思いますが、郵政省は近距離通話の在り方に関する調査研究会というものを設置しておられるということなんですね。ここで、単位料金区域の見直しとか、いわゆる近近格差、この問題などを検討していくことになっているというふうに聞いているのですけれども、その基本には当然国民の不満とか要望があってのことだろうと思いますが、国民の近距離通話それから市内通話に対する不満とか要望、これらを郵政省としてはどのように御認識になっていらっしゃるのか、こうした検討をなぜ開始したのかということを含めてまずお聞きしたいと思います。
  184. 森本哲夫

    ○森本政府委員 お話の近距離通話に関する研究会を設けました背景は幾つかございますが、一つは、六十年の電気通信制度改革で競争は確かに入りました、料金の低廉化にもなってきましたが、主としてそれは遠距離中心である、近距離の部分は必ずしも低廉化が十分進んではないのじゃないかという点が一つ。  それから、電話の基本的な構造になっております三分十円で通話できる、メッセージエリアと言っておりますが、この区域の設定が昭和三十七年に行われて以来ほとんど見直しがないという点が一つ。  さらにまた、今日の競争の実態で、NTTの市内網というのは、競争事業者のサービスの提供のためのアクセス回線として不可欠であるわけで、必ずしもNTT自体の営業区域ということを超えて、いわばメッセージエリア自体国民の共有財産的なことになっておる、こんな問題もございますから、平成二年の三月に発表いたしましたいわゆる政府措置でございますが、ここでもメッセージエリアの設定のあり方について検討するということにもなっておるわけでございます。  具体的に検討する中身でございますが、さっき申し上げました電話料金の基本になっているメッセージエリアのあり方を今日の社会経済交流圏の変化を踏まえて見直す必要があるかどうか、そこが一つ。  それから、MAのあり方と関連いたす問題として幾つかございますが、一つ先生お話しの、川一つ、道一つ隔てて区域の通話料が一挙に倍になってしまうとかという、いわゆる近近格差の問題。それから、御案内のとおり、MAの加入者数に応じて基本料が設定されますが、その基本料のあり方自体の問題。それから、MAと行政区画が一致していないという問題等々の項目がございますので、こうしたことを研究いただくために学者、有識者から成る研究会を五月に設けた、こういうことでございます。
  185. 菅野悦子

    菅野委員 では次に、NTTさんの方にもお聞きしたいと思うのですけれども、児島社長は、ことしの一月九日の記者会見で、料全体系の大改革を表明している。ことしじゅうに案を発表するとそのときは述べていらっしゃるわけなんですけれども、報道では「明治以来の抜本的な大改革」というふうな表現を使っているようなんですね。なぜ今「明治以来の抜本的な大改革」をするのか、それは国民、利用者のどのような要望にこたえる改革なのかということをまずお尋ねしたいと思います。
  186. 井上秀一

    井上参考人 実は、NTTでは、民営化後いろいろな経営改善をしまして、長距離料金を中心に値下げをしてきております。しかし、現在の料全体系というのは、先ほどもお話がありましたように、基本的には電電公社の時代からの体系を引っ張ってきておりまして、長距離の料金、いわゆる市外の黒字の部分から市内の赤字の部分への補てんといいますか、そういうことをやっている構造になっております。それで、民営化後いろいろ競争が進展しておりまして、こういう急激な競争の進展、それから先ほどお話が出ておりました社会活動があり、生活圏が非常に広がってきているというような、社会生活圏の拡大等のいわゆる環境の変化、こういうようないろいろなものを踏まえまして、料金をこういう新しい環境にふさわしいものにしていかないといかぬだろうというふうに実は考えております。こういうことをやることによって電気通信サービス全体がきちっとした発展をしていく、それから適正な競争もできるというふうに考えておりまして、こういうふうな料全体系の見直しをしていかなければいかぬのではないかというふうに考えていったわけでございます。  その基本となるのは、今言ったように、収入と支出の収支構造というようなバランスをコストに合わせて、基本的にコスト構造に合わせたような形で持っていくということがぜひ必要なのではないか。それにはいろいろな料全体系全体の問題がございますので、そういうのを全体的にいろいろ今検討をしているという状況でございます。
  187. 菅野悦子

    菅野委員 この料全体系の大改革の重要な動機に公事接続があるというふうに児島社長はその一月九日の記者会見で言っているのですね。例えば、日経新聞の一月十一日付では、「いわゆる公事接続について、一転「推進していく」姿勢に転換したのはユーザーの強い圧力をかわせないと判断したためだが、ひきかえに料全体系の変更を持ち出している」というふうに報道しているのです。それでお聞きしたいのですが、どのようなユーザーがこの公事接続を強く要望しているのか、この公事接続がなぜ電話料全体系全体の変更、いわゆる明治以来の大改革というふうにおっしゃっておられる要因になるのか、これをちょっとお尋ねしたいと思います。
  188. 井上秀一

    井上参考人 確かに新聞の報道のときには、公事接続の話題と一緒に実はこの問題がちょっと書いてあったやに記憶しておりますが、今料全体系の問題の改革は、単に公事問題のためにとか、そういうような議論ではございませんで、たまたま場所が一緒になっただけでありまして、こういうものの全体を整理するときに公事問題というものも考え方を整理できるのではないかというようなことを述べたというふうに理解しております。  公事問題でございますが、実はこれについては今言った市内の赤字、それから市外の黒字、こういうような構造の中で、公事接続をやるということは非常に経営的にも大変な問題になりますし、他の新規参入の電気通信事業たちにも非常な影響を与えるということで、これについては慎重な検討をするということで郵政省等々もいろいろな形で勉強を進めているというところでございます。
  189. 菅野悦子

    菅野委員 今の御発言を聞いていると、必ずしもこれは二つはリンクしないというふうな御回答だったのですけれども、児島社長は、この一月の記者会見で、はっきり公事接統のために料全体系の変更も要るというふうに、非常に明確な理由に挙げているのです。では、これは事実でなかったという御説明でいいのですか。そういうことなんですか。
  190. 井上秀一

    井上参考人 そういうことではございませんで、今申しましたように、公事接続というのは諸外国でやっているところもあるわけでございますが、なぜ日本でやられていないかということにつきましては、今申したように、料金構造というか収入構造が市内が赤字で市外が黒字である、その間で賄っているという体制ですね、こういう体制の中で公事接続というのを行うことは非常に難しいという意味では当然関係がある。ただ、料金全体の問題の検討については、単に公事接続だけじゃなくて、先ほど言いました生活権の問題、それから市外を下げる、市内を――これからいろいろな形で、きっちりした体制で、基本的なインフラ設備を整備していく、それからさらには高度なサービスをやっていくというような中では、きちっとした、コスト構造に合ったような料全体系にしていくことが必要だということで、もう少し広い考え方で料全体系全体を検討しております。その中の一つに公事問題が関連しておるということでございます。
  191. 菅野悦子

    菅野委員 その位置づけの広い中の一つということですけれども、やはり公事接続と料全体系の関連というのは、この当時以来、社長さんの頭の中にはしっかりあるのだろうというふうにも思うわけなんですね。  この公事接続というのは、専用線を使っている大口ユーザー、これの強い要望なんですよ。それで、さっきの日経でもこの公事接続について、「極端に言えば「キセル」をするもので、大口ユーザーほど得をする」というふうにしているのです。  一方、児島社長は、この記者会見でこのリンクの問題とあわせて大幅な料全体系の大改革ということを言っているわけなんですが、この記者会見では均一料金のエリアを広げるという方向、もっと言えば県内均一料金ということも言われていらっしゃるのですね。その後の報道では、同一県内を三分二十円とか一分十円というような案も出ておって、この三分二十円が最も有力だなとと言われているのですけれども、こうなれば市内料金というのは二倍の値上げになるなということなんですね。  そこで、私なんか本当に思うのですけれども、公事接続などという一般利用者には縁もゆかりもない問題で、市民生活に直結しているこの市内電話料金が二倍にも値上げされるということになると、これはとても納得できないというふうに思うのですけれども、その点、いかがでしょうか。
  192. 井上秀一

    井上参考人 公事接続という形は、今先生のおっしゃったように、いわゆる、易しい言葉で言うと、電話の回線と専用線を間に結んで使うというシステムでございまして、専用線は言うならば一コール・バイ・コールじゃなくてある程度まとまったトラフィックを運ぶというような形でございますので、そこについてはそういう組み合わせでやれば一定のメリットが出るのは当然でございます。それによって電気通信サービス全体がうまく広がっていくという面もそれはないわけではございませんが、これはある意味では電話事業部分によく似ている構造もございまして、経営的にも我々も含めて新規電気通信事業者の方々への影響、こういうものを含めていろいろな面を検討していかなければいかぬということで、慎重に今いろいろな面を検討しておるという状況でございます。
  193. 菅野悦子

    菅野委員 NTTのサービスの方向がどっちを向いているのかというのはまた後で触れたいと思うのですけれども、児島社長はことしの一月に県内均一料金というのが一番わかりやすいというふうなことを言っていらっしゃって、具体的な検討材料に挙げているということだと思うのです。  そこで、今の通話の実態ですね。これはどうなっているか。同一MA内に終始する通話、それから隣接MAへの通話、その他の通話、これはどうなっているか、簡潔に数字をお答えいただけますか。
  194. 井上秀一

    井上参考人 いわゆるMA内通話というものにつきましては、約六九%がMA内通話でございます。それから、いわゆる隣接通話というものについては、これはあくまでもNTTのトラフィックデータでございますが、回数として大体一四%が隣接区域内の通話でございます。
  195. 菅野悦子

    菅野委員 そこで、本当に改めて見直さなあかんなと思うのは、報道されているような県内均一、これが三分二十円ということになると、これは七割に近い通話が二倍の値上げになるということなんです。値下げになるのはほんの一部分です。一方、NTTの収入はどうなるかということなんですけれども、通信産業労働組合がNTTのトラフィックデータをもとに神奈川県の場合で試算している数字を持っているのですが、これは県内均一、三分二十円にした場合は同一MA内通話が約六〇%、ここが分岐点になるということなんです。つまり、市内通話が六〇%を超えていれば、県内均一、三分二十円にするということはNTTにとって増収になる。さきの答弁にもございましたように、現在市内通話の比率というのが七割近いということですから、県内均一料金、三分二十円ということになりますとこれは大変なもので、試算によりますと、さきの神奈川県ということで考えてみた場合は、NTTのある一つの支店、かっての電話局一つということですが、ここで五億円の増収になるわけです。ですから、これはNTT全体ではもう莫大なものだなというふうに思うわけです。  ですから、県内均一がわかりやすいというふうにおっしゃっておられますけれども、幾らわかりやすくてもこれだけの値上げが利用者に求められるということになると、これは大変だな、まして公事接続も含めて特定の大口ユーザーのためのいろいろなサービス、そういうことめ一方で、普通の一般の人たちへのそういうしわ寄せということになると、これはとても国民の納得を得られないなというふうに私思うのですけれども、NTTはどう考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  196. 井上秀一

    井上参考人 今先生のおっしゃった数字、私不幸にしてよくわからないのですけれども数字自身見ておりませんけれども、先ほど御説明しましたように、今の料全体系というのは市外が黒字で市内が赤字、これをこういうふうに賄っているという体制なものですから、このコスト構造を全体的にバランスよく変えていく、そうすることによって経営努力によるコストの構造変化、こういうものがきちっと料全体系に反映できる、そういうような形の中で体系をきちっとしていくということが一番電気通信全体の発展がうまくいくということでございまして、こういう経営改善努力の中で全体を下げていく、改善していくという努力は従来もやってきましたし、これからもやっていくわけでございますが、そういう中で全体のコスト構造に合わせたような、バランスのとれた料全体系にしていく、これが今後の電気通信の発展、先ほどおっしゃいました基本的な部分のインフラ的な設備の拡充、こういうものになるわけです。  それから、こういうものは公事接続のためにやっているんじゃなくて、先ほど言いましたように、全体的な電気通信の発展のためにやっているんだということでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思っています。
  197. 菅野悦子

    菅野委員 全体的な発展のためにということのようですけれども、料全体系の明治以来の大改革というふうな打ち出しで検討しているわけですから、やはり具体案を発表する以前にも基本的な考え方というのをぜひ国民の前に明らかにしていただきたいというふうに思うわけなんです。  そこで、基本的な考え方についてお聞きしたいと思うのですが、この間のサービスがどのようなものだったかという点でぜひいろいろと考えていただきたいと思うのですけれども、民営化後、専用線などの料金というのは大幅に下がっているのです。また、高速ディジタルとかISDNなど新しいサービスが今相対的に非常に安い料金で提供されてきている。例えば、NTTの九一年度の総合カタログには、「一般専用サービスからスーパーデジタルにすると、東京――大阪間で月五一五万円から一〇三万円と四一二万円も安く利用できます。」というふうにしています。これはびっくりしたことには八〇%の値下げ効果なんです。ISDNでも、NTTのパンフレットによりますと、INSネット一五〇〇の紹介のところには、「優れたコストパフォーマンスを発揮します。」というふうな打ち出しで宣伝しておられるのですが、「〈INSネット一五〇〇Vでは、通信時間の短縮により、通信料も大幅に低減。東京――大阪間で一メガバイトのフロッピーを伝送すると、電話サービスでは約四〇分四〇〇〇円ほどかかっていたのに対して、約八秒百二十円ほどで実現。優れたコストパフォーマンスです」というふうに宣伝しているのです。こうしたサービスというのは、専ら大口ユーザー、大企業向けのものであるわけなんですね。その結果、大口ユーザーでは実質的に通信コストを大幅に下げている。  日経コミュニケーションに書いているのですが、これはいずれも実例として紹介されているものですけれども、例えば、三菱石油化学工業では、高速ディジタル専用線の利用で電話回線数を二倍、データ回線数を五倍にして、通信費は従来のまま。セブンイレブンでは、ISDNサービスで四千百八十の店舗を結ぶネットワークをつくって、通信量は十倍にふえた。しかし、通信コストは同じだ。ヤマハグループ四社では、通信量は二倍にふやしながら通信コストは逆に半分になっているというふうな状況なんです。これは具体的に日経コミュニケーション誌というのに載っているのです。  これらは一例なんですけれども、大量の情報を高速でやりとりをしている大企業、大口ユーザー、これはこの間実質的に大変な値下げが行われてきた。これがこの間のNTTがやられてきたサービス中身なんですね。  一方、電話だけの一般の国民はどうかといいますと、総務庁統計局の家計調査年報によれば、一世帯当たりの電話通信料は、民営化した一九八五年が五万八千七百五十九円、一九八九年が六万三千九円、約七%の上昇なんです。長距離料金の値下げなどはありましたけれども、通話の実態は七割が市内通話でありますから、普通の家庭ではそれほど影響はないのですね。この統計でも明らかだと思うのです。ですから、先ほどからいろんな宣伝の中で、「優れたコストパフォーマンス」というふうなことをおっしゃっておられますが、これはもうとても一般は発揮してもらっていないわけなんです。その上に、県内同一料金などと引きかえに市内料金が二倍というふうなことになったら、これはもう大変な負担増になるわけです。  ですから、おっしゃっておられる明治以来の大改革というのがどういうものか、電話利用者、特に一般世帯の負担をもっとふやすということを含めて考えられる方向であれば、そういう値上げであれば、もう大変なことだというふうに思うのですけれども、そういう方向でないというふうに言えるのかどうか。そういうことになるとこういうことになりますよという説明をちょっと今したわけですけれども、ぜひ御見解を伺いたいと思います。
  198. 井上秀一

    井上参考人 今先生のおっしゃったように、いろんな形で新しいサービスも出し、専用線も含めていろんな料金値下げは民営化後大いにやってきております。これは電気通信事業を受け持っておるものとして、新しい技術革新のもとでできるだけ早く社会に出していくという当然の責務だと考えておりますが、先生の今おっしゃった専用線とかISDN、ISDNはちょっと考え方は違うのですが、そういうものだけじゃございませんで、当然、国民生活に密接に関連する電話の方についても、民営化後、大体一加入当たり九千円ぐらいの値下げをしておりまして、これについては専用線の料金値下げ以上にしっかりしたものを十分やってきているのではないかと我々は考えておりますが、今後も、電話料金についても当然のこととしていろいろな経営改善をしていくつもりでございます。  それからISDNにつきましても、先ほどちょっと大企業向けだけというお話がございましたが、これは将来の国民生活に非常にあるということで御家庭の方にも今後、スタートの方はどちらかといえはこういう新しいものは大企業の方が受け入れいいという形で始まるわけですけれども、逐次住宅用の方にも普及していくということを期待しておるところでございます。
  199. 菅野悦子

    菅野委員 大臣にお聞きしたいというふうに思うのですけれけども、近距離料金の問題として国民から不満が出ているというのは、例えば大阪市内から吹田市にかけたら、同じ〇六地域ですから三分十円なんです。ところが、隣の摂津市の方は、一つの市の中にMAが二つあるのです。東大阪市の方は市内に三つのMAがあるのですね。ですから、そういうところでは同一市内にかけても三分二十円というふうな、こういう不公平があるわけなんですけれども、その不公平を直すのに、近近格差を直すのに、じゃ、それを全部三分二十円に引き上げるということによって解決しますということでは、これは国民の納得を得られるかどうかということをぜひお考えいただきたいなというように思うのです。  今NTT全体の経営を見てみますと、大体毎年四千億円前後もの経常利益を出しているわけなんですけれども、かって本委員会でNTTの児島社長は、当時は常務でしたが、我が党の佐藤祐弘議員の質問に対しまして、「三千数百億以上の利益を得て、これを値下げに回したいという定性的な考え方は持っております。」というふうに答弁なさっているのですね。三千数百億ということ自身の利益もちょっとえらい大きいなというふうに思うわけですけれども、それはそれとして、NTT社長の本委員会でのいわば公約から見ても、今の利益、これはもう四千億前後なんですから、だから、一般利用者に値上げを求める理由、値下げをするというのは当然のこととして、値上げを求める理由はとても見出しがたいというふうにこういうことからも思うわけなんですけれども郵政省の近距離料金の検討、研究の中で、三分十円の市内料金の値上げもあり得るという考えを持っておられるかどうかというこの点をぜひお答えいただきたいと思います。
  200. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この近近格差の問題、いわゆるMAの問題でございますが、今るる御討議がございました。近距離でいいますと、隣接及び二十キロまでが、平成元年二月に三分三十円が二十円に値下げをした、あるいはまた、二十キロから三十キロまでが、平成三年の三月に値下げ、三分五十円が四十円になったというようなケースはございますが、これは先生の御指摘の問題とは別でございますが、そのMAの範囲をどのようにするか、そして、広げた場合にそれを十円に、二十円にするとかという問題、これは特に国民生活あるいは社会経済活動に密接に関係をしておる問題でございますから、重要な問題であるということは十分に私も認識はいたしておるわけでございます。  今後、NTTのいろいろな考え方もあると思いますが、遠距離、近距離料金を含めまして、料金の全般の一層の低廉化が行われまして、それは国民が豊かな生活を実感できる社会の実現に大きく寄与するわけでございますから、私は、そのようにいろいろ今後とも経営の合理化、あるいはまた私たち行政の立場といたしますと公正で有効な競争基盤の一層の整備に努めまして、昭和六十年に行いましたいわゆる規制緩和自由化成果が十分上げられますよう、先生の意図いたしております方向と同じ考え方でできるものならやってもらいたいなというふうに私は思っております。
  201. 菅野悦子

    菅野委員 まだお尋ねしたいことがあったのですけれども、時間が来たようですから、終わります。      ――――◇―――――
  202. 野中広務

    野中委員長 この際、申し上げます。  本委員会に付託されました請願は、郵政省服務改悪反対、労働時間短縮に関する請願の五件であります。本請願の取り扱いにつきましては、理事会におきまして慎重に協議いたしましたが、委員会の採否の決定は保留することになりましたので、御了承願います。  なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、郵便官署金融機関における公金出納事務一元化に関する陳情書一件であります。念のため御報告申し上げます。      ――――◇―――――
  203. 野中広務

    野中委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する件  郵政事業に関する件  郵政監察に関する件  電気通信に関する件  電波監理及び放送に関する件 以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十六分散会