運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1991-10-17 第121回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年十月十七日(木曜日)     午前十時十一分開議 出席委員   委員長 清水  勇君    理事 大石 正光君 理事 金子原二郎君    理事 高鳥  修君 理事 宮路 和明君    理事 村上誠一郎君 理事 緒方 克陽君    理事 石田 祝稔君       金子徳之介君    小坂 憲次君       古賀 一成君    高村 正彦君       坂井 隆憲君    鈴木 俊一君       住  博司君    中谷  元君       萩山 教嚴君    平田辰一郎君       二田 孝治君    増田 敏男君       松岡 利勝君    村井  仁君       簗瀬  進君    柳本 卓治君       秋葉 忠利君    有川 清次君       田口 健二君    鉢呂 吉雄君       細谷 治通君    松前  仰君       山内  弘君    吉岡 賢治君       鍛冶  清君    倉田 栄喜君       吉井 光照君    藤田 スミ君       菅原喜重郎君    菅  直人君  委員外出席者         科学技術庁研究         開発局企画課防         災科学技術推進         調整官     葉賀  史君         国土政務次官  植竹 繁雄君         国土庁長官官房         長       藤原 良一君         国土庁地方振興         局長      小島 重喜君         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         大蔵省主計局主         計官      田谷 廣明君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       西川  聰君         国税庁長官官房         広報課長    藤井 保憲君         文部省教育助成         局施設助成課長 大澤 幸夫君         文化庁文化財保         護部伝統文化課         長       渡邉  隆君         厚生省生活衛生         局水道環境部計         画課長     堤  修三君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   浜田 康敬君         厚生省社会局施         設課長     松本 省藏君         農林水産大臣官         房審議官    今藤 洋海君         農林水産省経済         局統計情報部生         産統計課長   板野  徹君         農林水産省構造         改善局農政部就         業改善課長   六車  守君         農林水産省構造         改善局農政部農         地業務課長   澤井 義雄君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     岡本 芳郎君         農林水産省農蚕 須賀田菊仁君         園芸局企画課長         農林水産省農蚕         園芸局農産課長 木田 滋樹君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      小高 良彦君         農林水産省食品         流通局野菜振興         課長      桑原 勝敏君         食糧庁業務部購         入課長     平野  愃君         林野庁指導部造         林保全課長   村田吉三郎君         水産庁振興部振         興課長     石田 周而君         通商産業省生活         産業局長    堤  富男君         資源エネルギー         庁石炭部長   土居 征夫君         資源エネルギー         庁公益事業部長 川田 洋輝君         中小企業庁計画         部長      広瀬 勝貞君         気象庁観測部長 門脇俊一郎君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      森  俊雄君         郵政省電気通信         局電気通信事業         部事業政策課長 團  宏明君         郵政省放送行政         局業務課長   上田 誠也君         建設省建設経済         局建設業課長  風岡 典之君         建設省河川局治         水課長     日野 峻栄君         建設省道路局国         道第二課長   溝口  忠君         建設省住宅局民         間住宅課長   石井 正弘君         建設省住宅局市         街地建築課住環         境整備室長   浅野  宏君         自治大臣官房審         議官      遠藤 安彦君         消防庁次長   渡辺  明君         特別委員会第三         調査室長    中村  信君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十七日  辞任         補欠選任   岩屋  毅君     中谷  元君   虎島 和夫君     坂井 隆憲君   光武  顕君     柳本 卓治君   石橋 大吉君     秋葉 忠利君   五島 正規君     細谷 治通君   山中 末治君     山内  弘君   薮仲 義彦君     倉田 栄喜君   阿部 昭吾君     菅  直人君 同日  辞任         補欠選任   坂井 隆憲君     虎島 和夫君   中谷  元君     岩屋  毅君   柳本 卓治君     光武  顕君   秋葉 忠利君     石橋 大吉君   細谷 治通君     五島 正規君   山内  弘君     山中 末治君   倉田 栄喜君     薮仲 義彦君   菅  直人君     阿部 昭吾君     ――――――――――――― 十月四日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(台風第十九号による災害  等)      ――――◇―――――
  2. 清水勇

    清水委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。初めに、松岡利勝君。
  3. 松岡利勝

    松岡委員 熊本一区の松岡利勝でございます。  質問に入ります前に、今回の災害で大変な災害に遣われました方々被災者方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。と同時に、国土庁初め関係省庁皆様方には、今回の災害に当たりまして早速お取り組みをいただきましたことに対しまして、心から感謝とお礼を申し上げる次第でございます。  まず、第一点でございますが、今回の十九号台風は、観測史上最大と言われる瞬間風速を記録したわけでございまして、特徴といたしまして、大変猛烈な突風によって全国的に大被害をもたらしたわけでございます。とりわけ、収穫期を迎えつつあった農林産物被害は甚大でございまして、私ども熊本県では今後まだまだふえるかと思いますけれども最新時点で十九号台風だけの被害額が約七百四十億円に達しております。このうち、農林産物被害は実に五百五十億から六百億にも上ろう、そのような状況でございまして、それの前の十七号台風や、さらにその以前の長雨被害も加えますと、実に七百億円を超えようというような熊本県政史上かつてないほどの農林産物打撃でございます。  私も三日間にわたりまして実情を見て回ったわけでございますが、牛肉・オレンジ、ことしは輸入自由化の元年でございます。そういう大変な外圧も加わるという、畜産農家ミカン農家はもとよりでございますけれども、米をつくっております農家も、またナシ等果樹農家も、さらにまたハウス園芸農家も、そしてまた数十年の苦労の産物が一瞬にして大被害を受けました林業家等々、その悲しみと打撃はまさにそのきわみに達しておるわけであります。中には、余りの被害の大きさに絶望いたして、五十一歳の働き盛りでありながら実はみずから命を絶たれた中核農家の御主人もいらっしゃるわけでございます。  そのふうな状況の中で、一日も早く絶望のふちから立ち直って営農意欲を取り戻していただくためにも、また各分野の被害早期復旧のためにも、私は、その最大の基本は何といっても激甚災害指定の問題であろうと思うわけであります。被災者立場に立って、また過去の例等からしても、この激甚災害指定がどのような見通しになるのか、一日千秋の思いで待ち望んでおります被災者の心に届きますように、ぜひとも温かい前向きな御答弁を、きょうは大臣に成りかわられまして植竹政務次官出席でございますが、ぜひとも温かい、心ある御見解をまず賜りたいとお願いを申し上げる次第であります。  そして、この指定検討に当たりましては、実はこの十七号、十八号、十九号台風、この被害は私はそれぞれに関連し合った複合的な被害といいますか、一体のものと思うわけでございます。したがいまして、足し合った形での集計というものをしていただいて、別々に積み上げということではなくて足し合った形での集計ということをしていただいてこの検討お願いいたしたい、この点も十分考慮していただいての、ひとつ速やかな、早急な御検討を賜りたいと思うわけでございます。  そこで、政務次官出席でございますので、政務次官の基本的な御見解を承り、さらにまた激甚災害、過去の例等からしてどのような見通しになるかということを、事務当局の方から作業状況等も踏まえてお答えいただければ、まずこの点を第一にお願いしたい次第であります。
  4. 植竹繁雄

    植竹説明員 お答え申し上げます。  まず冒頭に、今回の災害におきまして亡くなられた方に対しまして心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者方々に対しまして衷心よりお見舞い申し上げる次第でございます。  さて、激甚災害指定につきましては、その指定基準によりおのおのの災害被害状況に応じまして指定を行うものでございますが、今次の災害被害状況につきましては、現在、関係公共団体及び関係省庁において鋭意調査を進めておるところでございます。また、この三つ台風につきまして、特に十九号におきましては農林水産関係中心に相当大規模な被害が発生しておると聞いております。私どもといたしまして、この問題について大変憂慮いたしておるところでございます。国土庁といたしましても、被害状況について確定的な報告を一日も早く農林水産省初め関係省庁から御報告いただき、また関係地方公共団体等に対して、いろいろな御要望いただいております、それに対しまして適切に処理、対処してまいりたいと思っておるところでございます。
  5. 鹿島尚武

    鹿島説明員 被害額算定につきまして三つ台風一体のものとして扱ったらいいのじゃないかというお話であったかと存じます。大変技術的な問題であろうかと思いますので、私から申し上げさせていただきたいと存じます。  激甚災害制度は、もう先生案内のとおり、一つ災害激甚災害ということで特定をして、その特定された災害に対しまして特別の財政援助を行うというのが趣旨でございます。そういった趣旨にかんがみまして、災害特定する際に、災害の原因となりました気象現象同一性といったようなものを判断の基準にいたしまして特定をしているというのが今日までの状況であり、趣旨であろうかと存じます。そういう意味で、今後この考え方に従いまして、農林水産省初め関係省庁とも相談をいたしまして適切に対処してまいりたいというふうに考えております。とりわけ、現在、被害額集計中でございます。何よりも、一日も早く担当省庁におきますこの被害額集計の方をお急ぎをいただきまして、私どもともども努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  6. 松岡利勝

    松岡委員 ただいま御答弁いただいたわけでございますが、私、十七、十八、十九号のこの被害一体のものとしてお願いをいたしましたのは、実は現状を見まして、例えば山の木も十七号で相当揺すられておった。それがまた時間を置かずに十九号が来た。このようなわけで、揺すられておったところにさらに次の力が加わって倒れた。また、例えば店等の看板にいたしましても、十七号で相当、ちょっと緩んでおった、そこに時間を置かず直す暇もなく十九号が来た。こういったまさに複合的に重なり合ったことによって起きた被害である。だから、技術的な面とおっしゃいましたが、私もその技術的な基準というものはよくわかります。わかりますが、その実態に即して、踏まえていただいて、何とぞそういう御検討もぜひとも前向きな形ででき得ればしていただきたい、このこともあわせて、重ねてお願いをいたす次第であります。  過去の例からしても、私は最大級被害であると思うわけでございますので、今、今日の時点集計が終わってない、そういうことからすれば、今ここで激甚災指定ということが、はっきりと確定をした形でお答えは無理かもしれませんが、被災者立場に立った、被災者の心にこたえる意味で、その方向性について、政務次官、どうかいま一度御答弁を賜ればと思う次第であります。
  7. 植竹繁雄

    植竹説明員 松岡先生の御趣旨、よくわかりました。一日も早くこの問題に対処していくためにも、関係省庁から報告等を聞きましてやっていく所存でございます。
  8. 松岡利勝

    松岡委員 どうも、大変心強いといいますか、私の質問に、その方向に沿った形での御答弁をいただきましたことを心から感謝申し上げて、次に進みたいと思います。  今回の被害の中の大きな特徴一つは、何といっても青森県のリンゴ、それに象徴されますように農林産物被害が大変大きいわけでございます。私ども熊本県でもミカン農家、これは輸入自由化、そういったものに対処して、質のいいミカンをということで植えてきて、やっととれ出すかな、そういう状況ミカンの木が全部風でやられてしまった。したがって、収穫ができないという、ことしだけの問題ももちろんでありますが、これからの何年かにわたってミカンがとれなくなる、そういう基本的、土台的な影響を受けております。また、畜産農家にいたしましても、質のいい牛をということで一生懸命整備をしてきたその牛が圧死してやられてしまった、こういうような問題もあるわけでございまして、万般にわたって全国的にこの農作物被害、本当に大変な状況であろうと私は思うわけであります。  きのうも農林水産委員会で、農林大臣出席をいただきまして、本当に前向きな、被災に取り組む、そういうお言葉をありがたくいただいたわけでありますが、きょうここでまた再度この委員会におきましても、私、農林省お願いをし、きのうの御答弁をさらにまたひとつ前向きに確認をさせていただきたいと思う点が天災融資法発動の問題でございます。どうか、いろいろと有利な条件で被災者のための支援ができますこの天災融資法発動、これこそ今、被災農林家が本当に待ち望んでいる問題でございまして、ぜひとも農林省の方から発動に向けた前向きな御答弁、さらにまた、その時期等の見通しはどうかという点についてお答えを賜りたいと思います。
  9. 今藤洋海

    今藤説明員 このたびの台風第十七号、十八号、十九号によりまして、今先生お話ございましたように、九州地方東北地方中心に、全国的に、大変広範にわたって農林水産業関係に大きな被害が出でおるところでございますが、都道府県からの報告によりまして、十月十四日現時点で、果樹等の農産物森林被害、そういったものを含め、農林水産関係、総額六千億円を超える被害になっておる状況でございます。  そうした状況の中で、私ども農林水産省も、災害対策本部を設置する等最大限の努力をしておるところでございますが、特に、ただいまお話のございました天災融資法発動につきましては、御案内のとおり、災害の都度に政令でもってそれを発動するという仕組みになってございます。現在、被害状況なり資金需要、そういったものにつきまして既に調査を進め、取り急いでいるところでございます。先ほど先生からもお話ございました、特に森林等につきましては、大変奥地に散在するといったような、若干調査の時間もかかるということでございますが、極力急ぎまして、その調査結果に基づきまして天災融資法発動をする方向関係省庁協議を行い、適切に対応してまいりたいと思っておるところでございます。  時期につきましては、今申しましたような被害状況なり資金需要調査、こういったものを極力早くやるということで進めておるわけでございますけれども、通例、災害が起きましてから五、六十日、この天災融資法発動まで時間がかかっておりますが、極力、一日でもこれを早めるような形でやっていきたいと思っております。
  10. 松岡利勝

    松岡委員 大変前向きな天災融資法発動に向けた御答弁をいただきまして、ありがとうございます。一日も早い天災融資法発動ができますように、特段の御努力方お願いを申し上げまして、次に移らせていただきたいと思います。  三点目は、これは自治省に対するお願いでございますが、今回の台風のためにいろんな被害が生じたわけでございますが、地方団体にありましても、その被害対策のために災害救助、さらにまた応急対策、そしてこれからの災害復旧、さらにまた災害見舞い金、こういったようなことで多大な財政需要が生じてくる、そしてまた、それによって財政運営影響が出るおそれがある、このように判断されるわけであります。したがいまして、これからの財政需要というものに対しまして、地方債特別交付税により十分な手当てを行っていただきますとともに、当面の資金繰り対策として普通交付税の繰り上げ交付を行うべきと思うわけでもございます。きのう、そういった点について、農林水産委員会でも前向きな御答弁をいただいておったところでもございますが、ぜひともまたよろしくお願い申し上げたいと思うのであります。  そして、繰り上げ交付については、昨日の御答弁では、十月の十八日に行う、こういったことでもございましたが、どの程度の繰り上げになるかも、か軸ば教えていただきたい。  この点についてお尋ねいたします。
  11. 遠藤安彦

    遠藤説明員 お答えを申し上げます。  今回の台風被災をいたしました地方公共団体大変被害欠きゅうございまして、災害復旧事業を初めとしまして大変大きな財政需要が生じるものと見込まれております。これに対しては国庫補助金が当然出るわけでございますけれども、その裏の負担になります地方負担が非常に多額になるというように見込まれます。私ども、今数字を各省庁から御報告をいただくように手配をいたしております。そういった数字が集まり次第、地方債配分あるいは十二月の特別交付税あるいは三月の特別交付税配分について、遺憾のないように適切に対応していきたいというように思っています。  それで、具体的には、特別交付税の場合でございますと、先ほどお話ございましたように、災害救助あるいは応急対策、それから復旧事業などに要する一般財源について、これは国の補助負担金を伴う事業基準として特別交付税の算入の対象にする。それから、あるいはそのほかの事業もありますから、被災をした世帯数でありますとか農作物被害面積、そういったものを基準として特別交付税算定を行って、地方団体財政運営に支障がないように措置をしていきたいというように思っています。  地方債の問題につきましては、災害復旧事業債、これを適切に配分をする、それから元利償還についても、普通交付税基準財政需要額に算入していくということになっております。  それから、繰り上げ交付の問題でございますが、関係地方公共団体の意向も十分踏まえまして、あすの十八日に繰り上げ交付を実施することにいたしました。内容といたしましては、十三県内の九十三市町村を対象に約百七十九億円の繰り上げ交付をすることといたしております。  以上であります。
  12. 松岡利勝

    松岡委員 それでは、時間もなくなりましたので、最後質問に移らせていただきますが、建設省にお尋ねとお願いでございます。  来年は大変重要な年といいますか、ことしかそうなのかもしれませんが、第八次の治水五カ年計画がスタートの年でありまして、今年度のうちにこの第八次の治水五カ年計画策定作業が進められる、このように承っております。実は、私の選挙区にも白川、菊池川といったような、過去大変大災害のあった河川を抱えておるわけでございまして、昨年の大水害でも大変災害が起こったわけでございます。特に白川上流黒川、ここでは内牧温泉というのがありまして、そしてまた筑後川上流杖立川、ここには杖立温泉というのがございまして、この両地区は、ちょっと水が出ればもう二、三年に一回は必ずその温泉地が水浸しになる、このようなわけで、毎回そういうような目にずっと繰り返し遭っておるわけでございます。したがって、私は、今度の第八次治水五カ年計画ではそういったところはもう一カ所もなくなる、それくらいの内容でこの治水五カ年計画をしっかりとおつくりをいただきたい。そのために、私ども国会議員の末席ではございますけれども、一丸となってそういうことのために財源の確保にも一生懸命努力もさせていただきたい、このように思っておるところでございますので、何とぞそういった点についての、お願いであると同時に、ひとつ御答弁お願いしたいと思うわけであります。  そして、もう一点でありますが、具体的個別の問題でございますけれども、実は、大分と熊本の県境に小国町というのがございまして、そこに杖立温泉があるわけであります。日田に通じるところでございますが、国道二百十二号線、八月十一日の雨に伴う土砂崩れでトンネルが埋まってしまいました。この地域の幹線の道路でございまして、観光地産業、いろいろな面で、また生活的な面でも熊本県側から日田の方に病院に通うお年寄りが多い、こういった点が非常に困難をきわめております。生活道路でもございますし、産業道路でもございます。何とぞ一日も早い復旧お願いしたいわけでございますけれども、この点についての見通しがどうなのかということをあわせて最後にお伺いして質問を終わりたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  13. 日野峻栄

    日野説明員 御説明を申し上げます。  内牧温泉を流れております黒川でございますが、昨年の七月に物すごい大きな豪雨に見舞われまして、はんらんをいたしました。阿蘇町とか一の宮町が随分被害を受けたわけでございます。そのために、我々としましては、そこの黒川河川激甚災害対策特別緊急事業という、通称激特事業と言っておりますが、この事業に採択をいたしまして、平成二年から平成六年までの五カ年間で九十七億五千万をもってこの改修をやろうということで、現在、平成三年度、ちなみに申しますと二十一億五千万の予算で松原橋とか門町橋あるいは小嵐山せきの改築とか、下流部の築堤、掘削、護岸、こういう工事を現在実施しているところでございます。  それからもう一方の杖立川杖立温泉でございますが、ここも浸水被害に遭いまして、現在総合的な治水対策検討中でございますが、当面の緊急的な措置といたしまして河道掘削をとりあえず行おうということにしておりまして、現在、熊本県あるいは小国町それから地元の方々協議を開始しているところでございます。しかし、ここの地区川沿い温泉街でありますので、自然の河床を掘削するということになりますと、景観の問題とか施工上の問題なんかも考えられますので、地元の御意見を十分聞きながら事業を進めていきたいというふうに考えております。  それから、五カ年計画についてでございますが、先生おっしゃっていただきましたとおり、全国各地で非常に水害を受けている現状にかんがみまして、治水安全度の向上を早期に図る必要がございますので、この五カ年計画、来年度から始まります新しい第八次治水事業五カ年計画、二十兆円を現在要求しておりますので、我々もこの二十兆円満額確保をさせていただきまして一日も早い安全な国土をつくってまいりたいというふうに考えておりますので、よろしく御尽力をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
  14. 清水勇

    清水委員長 答弁は簡潔にひとつやってください。
  15. 溝口忠

    ○溝口説明員 お答え申し上げます。  下岩戸トンネルの復旧の件でございますが、御指摘のありましたとおり、八月十一日にトンネル上部の斜面の岩盤の剥離、崩落がございまして、坑口から約九メートルの区間、トンネルが崩壊しております。現在通行どめとなっておりますが、当路線の重要性にかんがみまして、安全性を確保しつつ早急に復旧するということで、現在鋼鉄製の防護工によって仮復旧をして通過交通を確保して、さらに本復旧をする計画でございます。今までのところ、坑口部の整正工事が終了しまして、防護工を組み立て中でございます。これが完成する十一月下旬に一車線の交互交通で仮供用をする予定でございます。  なお、本格的な復旧のためにはトンネルの覆工コンクリートの巻き直しを行う必要がありますが、仮供用後も工事を続行しまして、供用は平成四年度の中ごろに予定をいたしております。
  16. 松岡利勝

    松岡委員 どうも大変ありがとうございました。
  17. 清水勇

    清水委員長 以上で松岡君の質疑は終わりました。  次に、古賀一成君。
  18. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私、このたびの十七号、そして十九号で大変な被害を受けました福岡の出身でございます。昨年は七・二水害、ここも大変な被害を受けたわけでございますが、関係省庁の力強い御支援を賜りまして、今災害復旧の真っただ中にある地域でございます。その地域でことしもまた大変な台風被害があったわけでございますが、これに関しまして御質問を申し上げたいと思います。  まずは、今回の災害復旧に関しまして、国土庁を初め農林省、各省庁皆様方、恐らく半徹夜の日が続いておろうかと思いますが、心からお見舞いと申しますか、感謝を申し上げたいと思います。  さて、今度の台風が起こりました後、私も何度がにわたりまして現地を見ました。その中で、本当に私が感じますのは、大変な台風であった。私もあの地に四十数年前に生まれまして、台風銀座と言われる中でございますが、台風には何度も出会ってまいりました。今回の台風はかつて例がない、それほどの被害をもたらした台風ではなかったか、私はかように思います。河川のはんらん、堤防の破堤等々は軽少であったわけでございますが、一般の住宅あるいは農林漁業、そういったいわゆる生計を営む人に対しましては大変な打撃を与えた台風である、かように思うわけでございます。ちなみに申し上げますと、地元の九十歳のお年寄りにも聞いても、こんな台風は見たことがない、あるいは樹齢百何十年の神社の大木が倒れる、そういう事実はもう事欠かないわけでございまして、それほどの台風でございました。このような台風が日本を縦断したわけでございますが、これに関しまして、私は主に農林漁業そして住宅被害の二点について特に御質問を申し上げたい、かように思います。  そこで、まず問題になるのは被害の全体像といいますか、こういうことじゃないかと思います。前国会の閉会直前にその時点での報告が政府の方からあったわけでございますが、現時点におきまして、概算で結構でございます。主な項目で結構でございますが、この十七号そして十九号、どれだけの被害があったのか。そして、それを政府としてどのように重大だと認識しておられるのか。そして政府からの救済の必要性といいますか、それにつきましての基本的認識をまず国土庁の方からお聞かせを願えればと思います。
  19. 鹿島尚武

    鹿島説明員 まず被害状況でございます。  台風十七号の被害状況につきましては、現在まで判明しておりますところ、一般被害として、人的被害、死者十二、負傷者二百十四、また物的被害といたしまして、住家の被害、全壊三十一棟、半壊五百九十二棟、一部破損九万九百三十八棟、床上浸水七百十棟、床下浸水二千三百五十八棟となっております。その他の被害といたしまして、道路の損壊等千三百六十八カ所、河川の決壊等六百七カ所、がけ崩れ八十三カ所、鉄道不通四カ所等となっております。施設被害関係につきましては関係省庁において取り急ぎ取りまとめておられますが、これによりますと、建設省関係の公共土木施設で約二百九十億、農林水産省関係の公共土木施設関係で約四十三億、農地農業用施設等で約六百四十三億の被害が発生しております。詳細額につきましてはただいま集計中と聞いております。  また、台風十九号の被害状況についてでございますが、一般被害として、人的被害で死者六十、負傷者二千五百七十七、また物的被害といたしまして、住家被害で全壊千百三十一棟、半壊一万六百二棟、一部破損五十万六千八百二十九棟、床上浸水五千百十四棟、床下浸水一万九千六百二十七棟となっております。その他の被害としては、道路の損壊等二千五百四十二カ所、河川の決壊等四百七十四カ所、がけ崩れ八十二カ所、鉄道不通四十五カ所等となっております。施設被害関係では、関係省庁の取り急ぎ取りまとめによりますと、建設省関係の公共土木施設で約三百六十一億、農林水産省関係の公共土木施設関係で三百十三億、農地農業用施設等で約三千五百七十八億円の被害が発生しております。詳細につきましてはただいま集計中でございます。  政府といたしましては、今次のこれらの災害、大変激甚なものと理解をいたしまして、関係省庁、そしてまた地方公共団体と密接な連携を保ちながら対策に万全を期しておるところでございます。つとに早急な被害状況の把握あるいはまた被災者に対する適切な救護救済措置、そしてまた早期の復旧措置等につきまして関係省庁申し合わせをいたしまして、ただいま取り組んでいる最中でございます。
  20. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 各項目にわたりまして概略の御説明をいただきました。十九号を例にとりますと、農林漁業の関係で三千五百七十八億という数字も今出ました。これが日本全体でどれだけのウエートを持つのかはイメージがなかなかわきませんけれども、例えば、私の地元の話を申し上げますと、こういう状況でございます。  まず、家屋について言いますと、約八〇%に当たります一万戸が十九号で家屋の被害を受けた。現地に行ってみますと、もうほとんどの家がかわらが落ち、ビニールシートがかぶせられ、小屋が倒れ、そのかわらの瓦れきが道端、軒下に積まれておる、そういう風景がどこにもあるわけでございます。ちょっと参考になるかどうかわかりませんが、ここに写真を持ってまいりました。こういうのがあちこちで実は見られるわけでございまして、加うるに、最後に申し上げたいのですが、農林漁業あるいは農村、山村、漁村のいわゆる経済的疲弊というものの中にこの災害が起こった。果たしてこの農家は、漁業を営むこの家は、この小屋を、この家を建てかえられるのだろうか、そういう思いすらするほどの状況でございまして、先ほど政務次官からお話のございました激甚災害のまず指定でございます。きのうの農林水産委員会でもあったように聞いておりますけれども、何とぞ私の方からもお願い申し上げます。できるだけ速やかなる激甚災害指定につきまして御配慮をお願い申し上げたいと思います。この件は、先ほど答弁をいただきましたので省略をいたしますが、以上、そういうことでございます。  第二点目でございます。今申し上げました農林漁業の被害に対します今後の復旧あるいは救済の道について御質問を申し上げたいと思います。  先ほど松岡議員の方から天災融資法発動の件につきまして御質問があったわけでございますが、加えまして、自作農維持資金の融資枠の確保、林業経営安定資金の融資枠あるいは沿岸漁業経営安定資金の融資枠の確保等につきまして御質問申し上げたいと思います。  その前提としまして、これもぜひ政府関係皆様方に御認識を賜りたいということで申し上げるわけでございますが、今地方の現状はこうでございます。冒頭申し上げましたように、去年の七・二水害で大変な被害を我が地域は受けたわけでございます。その中で、これはこの前陳情に来られました私の地元の話でございますが、ミカンを営む農家がございまして、去年の水害でございますけれども、あの水害でもう営農意欲を失ったということで実は長男坊が、ミカンにつきましては今大変苦しい状況にあるわけでございますが、そういう中で、いい品をつくろうということで頑張って実は銀座の千疋屋にもそのミカンを出すようになってきた。そのときに、去年の水害でがけ崩れ等々でやられたということで、そこの営農意欲に燃えて頑張ってきた若手、青年が自殺をされたわけであります。その後、それを追うがごとく奥様、そしてお父さんが自殺するという非常に悲惨なことがございました。  今回の台風被害はもっと深刻だと私は受けとめております。そういう中で山村は、私の地元はカキあるいはキウイフルーツ、それからタケノコの産地でございまして竹林、あの竹が風に巻かれて今葉が白くなっておる、こういう状況もございます。一言で言えば壊滅的打撃を果樹に与えた、こういう状況でございます。果樹の場合は、特に木の根がやられ枝が折れますと向こう五年間は収穫に甚大な影響を与えるわけでございまして、それが先ほど冒頭に言いました営農意欲といいますか、先行き大変だ、もうやめたい、こういう話にもつながろうか、このような状況が今回の台風で山村についてはあるわけでございます。  漁業でございます。これはもっと深刻と言っても言い過ぎではないと思います。私の地元は有明海を抱えておるわけでございますが、日本一のノリ漁場でございます。このノリをどういうように生産するかといいますと、ノリ竹を有明海にずっと養殖のために立てるわけでございます。台風十七号の前に、そろそろノリの種つけの時期だということで船を繰り出して有明海にノリ竹を何百本も植えた。台風十七号が参りました。竹が全部足元で折れました。そして、それが抜けないやつは斜めになり、抜けたやつは有明海をさまよった。それをみんな船を繰り出してあの海の中を全部拾い上げた。折れたところを切る。切って、やはり急がなければならぬということでまた植えた。働き者ほどそういうふうに頑張ったわけですね。それに追い打ちをかけるがごとくといいますか斯くがごとくといいますか、十九号が襲い、また竹が折れ、そして海にさまよい、それをまた拾った。本当にノリの相場が非常に厳しい中、そしてこういう被害を去年とことし食らったわけでございまして、もう本当に惨たんたるものであるというのが現場を回った感じでございます。  最後に、もう一つは農業でございます。野菜は、ビニールハウスはもう全滅と言ってもいいような状況でございますし、植えたばかりのナスは全部飛んでおります、そういう状況。あるいは水稲も、ことしの長雨の麦の被害に加えまして、ことしの米も本当に甚大なる被害を受けました。有明海の沿岸は塩害で収穫はもう見込めない。塩害のないところも風で巻かれて大変な状況でございます。そういう中で、麦は、ある農協でいいますと、ことし七百トンの麦が乾燥されるためにカントリーエレベーターに来る、それが何と三十トンしか政府買い上げがなかった。規格に合わない。それに追い打ちをかけるがごとく今回の米でございます。  こういう甚大な状況にかんがみ御質問を申し上げたいのですが、農水省として、天災融資法ほか先ほど言いました自作農維持資金等々の資金の融資枠確保につきまして、要望のある全額を確保する心意気といいますか、そういうものをお願いしたいわけでございますが、この点についていかがでございましょうか。
  21. 今藤洋海

    今藤説明員 今回の台風十七号から十九号にかけまして、農林水産業に大変多大な被害が出ておるわけでございます。十月十四日現在の県報告で六千九十九億円ということでございますが、なお調査中でございますので、さらに拡大するということを予想しております。農林水産省といたしましては、これを大変深刻に受けとめ、今後農林漁家の意欲がそがれることのないよう最大限の努力をやってまいりたいと思っておるわけでございます。  特に、先生おっしゃいました九州管内は大変大きな被害でございまして、先ほどの総被害額のうち九州管内で二千五百四十七億と全国の四一・八%という被害になっておるわけでございます。福岡県等におきましても、米、果樹、野菜、ノリといったような農林水産各般にわたっての大きな被害を受けておるわけでございます。これらの対応につきましては、既貸付金の償還条件の緩和でございますとか、先ほど申されました自作農維持資金等の融資枠の確保、さらにはいろいろな共済金の支払いの早期支払いといったようなことでございますとか、果樹等におきましては特に技術的な面での特別な指導チームを派遣するといったような対応も既にしておるところでございます。  今後、今お尋ねのございました天災融資法発動に向けまして、被害状況なり資金需要の的確な把握、さらにそれとあわせまして、お尋ねの自作農維持資金、林業経営安定資金、塩害による経営安定資金、そういったものの資金需要もとっております。必要に応じまして、天災融資法発動と並んでこうした資金の特別枠の確保ということにつきましても全力を挙げて取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
  22. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 ありがとうございます。ぜひ万全の措置を重ねてお願い申し上げます。  最後に一点御質問申し上げたいと思います。  ぜひ各省庁国土庁の皆さんはもとよりでございますが、今から御質問申し上げます通産省の本省の皆様方にも被災地を見ていただきたいと思うわけでございますが、現場に行きますと本当に大変な被害でございます。その中で非常に目立ちますのが実は家屋の被害、その中でも屋根、かわらの被害でございます。  私は筑後地方でございますが、車で走らせますと青いビニールシートの家がもう点々といいますか、あちこちにといいますか、場合によっては全部、ある部落ではもう全部がかぶっているような状況でございます。その中で皆さんが一番困っておるのは、屋根にかわらがふけない。当然雨は降ります。田舎の家は、板の上に泥土を置いて、その上にかわらを重ねていっておるというのが大体の古い家でございまして、そういう家ほどやられておるわけでございます。今地元では、かわら、そしてビニールシート、資材不足ということで大変困っておるわけでございます。  加えまして、実は今、全国で前から大問題になっております人手不足、かわらは何とかなるけれども人手がいないということで、いいですよ、お宅のかわらを直しましょう、見積もりしましょう、しかし来年の今ごろ工事をやっていいならば見積もりを書きますよ、こういうような状況でございます。その間、雨も降るでしょう、寒い風も吹くでしょう。そういう意味で通産省にお伺いを申し上げたいわけでございますが、いわゆるこういう台風復旧に関する、特にかわら、ビニールシート、これについて、政府としてその確保につきましてどういう措置を講ぜられたか、そして今どういう問題があって、今後どうされようとしているのか、一言御答弁お願い申し上げたいと思います。
  23. 堤富男

    ○堤説明員 お答えを申し上げさせていただきます。  本件、かわら、ビニールシートは通産省関係の所管物資でございまして、早速、今般の台風直後、九州通産局それから中国通産局におきまして俗に言う相談窓口というのを設けて、実態の把握それからかわら等のあっせんの役割を果たしておる次第でございます。  それから、東京本省におきましては、例えばかわらにつきましては、三つのかわらの種類がございますが、三団体を呼びまして、三つの点を申し上げておる次第でございます。一つは、まずかわらの増産をお願いしたい。それから、現在在庫のあるものもございますけれども、特にそういうものは九州、中国地方への集中出荷をお願いしたい。それから、こういう事態のときに便乗した値上げなどをしないようにしていただきたいという三点を申し上げておる次第でございます。  需給状況について簡単に申し上げますと、かわらは三種類ございますが、粘土でつくった粘土がわら、それからスレート、よく工場等で使っている波形のスレートでございますが、そういう種類のもの、これは実は全国的に在庫が約一カ月くらいございます。したがいまして、先ほど申し上げました三点の中ではむしろ集中出荷ということが当たっているわけでございます。  ただ、問題はセメントがわらでございまして、このセメントがわらはもともと九州が発祥地と伺っておりますけれども、全国の生産の半分ぐらいが九州で行われている。今回の被害に遭われた方々の中でもこのセメントがわらが非常に多いわけでございますが、残念なことに九州の場合には九州型の和型四十九という型でございますが、規格が全国ベースと違っておりまして、必ずしも全国の増産がすぐに九州のあれにつながるということではございません。したがいまして、これには特に配慮いたしまして、九州におけるセメントがわらの増産という形でございます。私たちの方の数字でございますと、毎月約七百二十万枚がつくられているという統計がございますが、最近増産要請の結果、九百万枚、約二割五分、二百万枚の増産をしておる次第でございまして、現地の状況も、セメントがわらの需給が徐々に緩和をしておるというふうに伺っておる次第でございます。そのほか大変な努力をしておりますのは、淡路島や四国から緊急に輸送しているというような事態もございます。  それから、価格状況でございますが、必ずしも便乗値上げ型のものが横行しているという状況ではございません。値上がりが若干見られるのは事実でございますが、これは先ほど申し上げました今までのルートと違った長い輸送をしている部分、それから緊急増産による若干の値上がりというようなことがございまして、上がっているものから二、三割のものまでという状況にあることは事実でございます。  もう一つ先生の御指摘のかわらぶき職人の問題、これはなかなか深刻でございます。これは、関係省でございます建設省とも御相談して、今万全の手を打ちたいということでございますが、人手不足の折から大変事態の解決には難渋をしているというふうに伺っております。  簡単でございますが、答弁させていただきました。
  24. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  25. 清水勇

    清水委員長 次に、坂井隆憲君。
  26. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 坂井でございます。  今回の台風が日本列島を縦断いたしまして各地で大きな被害が行われたわけでありますけれども被災された方々に心からお見舞い申し上げます。  私の地元佐賀県におきましても、極めて大きな被害が出ました。九月十四日に台風十七号が参ったわけでありますけれども台風十七号は佐賀市内で瞬間風速が五十四・三メートルということで、佐賀気象台観測史上第一位の瞬間風速を記録したわけであります。ちょうど佐賀市からちょっと離れたところに有明海がありますけれども、有明海沿岸では風速計が壊れてしまった。これは恐らく最大瞬間風速が七十メートルに近かったんじゃないかというようなことを地元の町長さんがおっしゃるような、そのくらいの大きな被害であったわけであります。十七号台風と同様に、九月二十七日に来ました台風十九号では五十二・六メーターの瞬間風速ということでありましたものですから、佐賀県にとっても非常に大きな被害がありました。  先ほど申し上げましたように、有明海沿岸は特に塩害がありまして、塩分を含んだ強風によって水稲、大豆、果樹等収穫皆無になるような状態であったわけであります。私も九月十七日に現地に参りまして、ちょうど水稲を口に含んだところ、まだ塩が残っているという感じでありまして、塩害による収穫の皆無という状況農家にとって非常に大きな問題になっているわけであります。ちょうど今農業をめぐる環境が非常に厳しくて、米価も見通しが非常に暗い、そういう状況でありまして、農家の人たちは本当にがっくりしているといいますか、これから自分たちはどうなっていくんだろうかと非常に心配をしているわけであります。  そういう状況の中で、ぜひ激甚災害指定天災融資法発動などをやっていただきたいと思うわけでありますけれども、この点については先ほどほかの先生方からも御質問がありましたものですから、ここでは佐賀県の場合の台風十七号、十九号、そういう状況を考えてみたときに、被害の実態から見て、激甚災害あるいは天災融資法発動というものは台風十七号、十九号を一括して判断して行うべきだと思いますけれども、この点について、まず第一点として所見をお伺いいたしたいと思います。  第二点といたしまして、水稲に関連しまして、水稲は、収穫皆無、品質低下等からかつてないほどの被害を受けたわけでありますけれども収穫の減少はもちろんのこと、規格外の米穀の発生が相当懸念されているところであります。ですから、品質低下分については農業共済の損害評価の際の特別な配慮が必要でありますし、規格外米穀の政府買い入れ措置や他用途利用米扱いとしての特別な配慮がぜひ必要だと思いますけれども、その点についても所見をお伺いいたしたいと思います。  さらに第三点としまして、ちょっと時間がないものですからあわせて質問いたしますけれども農家は既に米穀の事前売り渡し概算金を、三千円ですか、もう受け取っているわけでありますが、農家の窮状にかんがみて、この返納に対する利息の減免措置をぜひお願いいたしたいと思います。  以上について、お答え願いたいと思います。     〔委員長退席、緒方委員長代理着席〕
  27. 鹿島尚武

    鹿島説明員 まず第一点の、十七号、十九号台風一つのものとして激甚災害指定というものを考えたらどうだということでございます。  先ほど申し上げましたとおり、大変、指定に当たっての技術的なことかなというふうに私は思いますが、激甚災害制度は、御案内のとおり、災害特定して指定する制度でございますので、制度の趣旨から、災害特定に当たって、災害の原因となる気象現象同一性等により判断をするという原則によって今日まで指定を行っております。今後、この考え方に従いまして、農林水産省を初め関係省庁と相談をし、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。現在、被害額関係省庁において集計中でございます。その確定的な報告を一日も早くちょうだいをいたしまして、指定の方を適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  28. 今藤洋海

    今藤説明員 今回の台風被害によります米の農業共済金の支払いについての評価の特例措置の適用につきましては、現在調査をしておるところでございますが、被害の実態を見ながら、特例措置が適用できるように適切に対処してまいりたいと思っております。
  29. 平野愃

    ○平野説明員 食糧庁関係お答えをさせていただきたいと思います。  初めに、今回の台風等の関係で相当の被害が出ておることは我々も十分承知しておりまして、ただいま集計中でございますが、御要望のありました規格外米の政府買い入れにつきましては、関係者の御要望それから被害地域の実情等を十分踏まえながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、御指摘の他用途利用米につきましても、災害等により契約数量の出荷が困難になった場合につきましては、契約数量の減量、いわゆる作況調整ということを行うような規定がございまして、これらにつきましても、被害農家被害状況を見ながら作況調整の発動をするという方向で、実は昭和六十三年にも東北地方の冷害で発動した例がございまして、そういうものの例に準じながら検討を進めていきたいというふうに思っております。  それから、予約概算金の利子の件でございますけれども、実はこれも、天災融資法発動された場合には予約概算金についての利子の免除または減額を行うという規定がございまして、今回につきましても天災融資法発動された段階で速やかに即応しまして、所要の手続を進めていきたいというふうに考えております。     〔緒方委員長代理退席、委員長着席〕
  30. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 被害の実態の、激甚災害天災融資法発動する際においては、先ほど申し上げましたようにとにかく十七号、十九号、一体となって判断していただくことを心から念願する次第であります。  あわせまして、実はいろいろ地元の農家の人たちの話を聞きますと、いろいろな検査を行うときに、米の検査を行うときに、ふるいを、一・七ミリのふるいで大体やっているというふうな話を聞いております。しかしながら、一・七ミリのふるいでやるというのは昔から続いているようでありまして、最近は米が非常に余っている時代ですから、やはりうまい米を出すためにということで、実態としては、私の地元でいいますと一・八から一・九ミリぐらいのふるいによって米を分けているというふうに聞いております。そうしますと、実際の検査と、流通のために地元の農協の人たちがやっているふるいの仕方と違うわけでありまして、そういうことが例えば作況指数にも響いてくるわけでありまして、また、今回の共済なんかの発動をする場合にも、共済の面でも農家にとっては不利益に働くことになるのではないかと思うわけであります。そういう意味で、ふるいのやり方について今のままで本当にいいのかどうか、私として非常に疑問を持っているわけでありますので、農水省の見解を、ぜひ御所見をお伺いいたしたいと思います。
  31. 板野徹

    ○板野説明員 お答え申し上げます。  米の作況調査基準の問題でございますが、玄米の選別に当たりまして、統計の調査では先生御指摘のように一・七ミリメーターの目幅のふるいを用いておるのに対しまして、農家等ではこれより大きいものを用いるケースがふえてきておるという実態は認識しております。ただ、農家等での実際の選別におきましては、上位の目幅のもので選別いたしましても、時間をたっぷりかければ別でございますが、通常は相当程度ふるい切れない部分が残るということ、さらに、ふるい下の米につきまして再選別などによりまして自家用に供したり、あるいは販売される場合もあるということなどから、結果的に見まして統計の調査結果は主食用に供し得る米の収量として妥当なものであるというふうに考えております。  この収量調査につきましては的確に把握することが重要でございまして、ふるい目の問題につきましては、農家等が使用しているふるい目はすべてが上位の目幅でないことや、収量調査の結果は共済の基準収穫量などの基礎資料として使われるなど、その影響の大きさを考えますと、変更には慎重な対応が必要かと考えております。しかしながら、この問題につきましては、現行の方式を継続していく中でも実態を絶えずとらえ、検討、研究していく姿勢でございまして、現在、内部的な検討を進めておるところでございます。
  32. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 地元の農家からも今の点については非常に強い要望があるものですし、この一災害の問題だけでなくて今後の問題として農水省においてぜひ十分検討していただくことを心から願いたいと思います。  佐賀県は、米と同時にミカンの産地でありまして、果樹が非常に盛んなところであります。本年産の佐賀県の果樹の状況を見ますと、九州を中心として五月から六月にかけて記録的な低日照等の気象被害がありました。さらに、七月にも台風九号があった。それで今回の台風十七号と十九号ということですから、果樹農家が米の農家と同じように物心ともに非常に大きな痛手を受けているわけであります。特に台風十七号、十九号は、全般にわたって落果、落葉、枝折れ、傷などによって品質低下しておりまして、甚大な被害が広域的に発生しております。本年産の所得の大幅な減収もですけれども、樹体損傷による次年産への影響も非常に懸念される事態になっておるわけでありまして、特に水稲と同じように、台風十七号によるかんきつ類の潮風被害も非常に激しいものであります。そういう意味で、総力を結集した樹体回復対策、緊急措置を地元でもとっておりますけれども、回復に数年かかるものですから、抜本的に対策を講じなければいけないな、特に営農意欲が非常に低下しているものですから、そういうところの対策を進めていただきたいと思うわけであります。  そこで、具体的な問題としてお願いしたい点が三点あります。  一つは、そういう果樹はことしだけでなくて次年産にも影響するということでありますから、改植それから樹勢回復に対する助成措置について農水省としてどういう対応を考えられておるのか。  二点目として、改植等に伴う健苗の育成とか大苗の育成、そういうものへの助成措置についてどのような措置を考えられるか。  それから第三点に、果樹改植農家経営維持安定資金というものがあります。これは基金協会を通じまして利子補給している制度ですけれども平成三年度の予算で一億八千四百万の枠が、補助金があると聞いておりますが、こういうことで果樹被災農家の要望にこたえられるだろうか、枠が非常に小さいのじゃないかという気がいたします。この際、貸付枠を拡充確保することが必要ではないかと思いますので、この点についてもお答えいただければと思います。  最後に、果樹共済金の早期支払いと品質低下にも配慮した特例措置についても稲の場合と同じように配慮していただきたいと思いますが、この点についてもお答え願いたいと思います。
  33. 小高良彦

    ○小高説明員 お答え申し上げます。  まず第一点の被害園地の改植等についてでございますが、被害復旧資金といたしまして、農林漁業金融公庫資金に主務大臣指定施設資金が制度化されておりますし、また、総合施設資金につきましても活用が可能となっているところでございます。  樹勢回復につきましては、被害を受けた果樹に対します技術指導の徹底を図っているわけでございますけれども、果樹試験場及び果樹担当者から成ります技術指導チームを四チーム現地に派遣をいたしまして、状況の把握とその技術指導を行うこととしておるところでございます。これにつきましては、昨日、第一陣を北陸、関東管内に派遣をいたしまして、また本日、第二陣を東北管内に派遣したところでございまして、九州管内には十月二十一日から派遣することとしているところでございます。  また、改植等の対策につきましては、これらの結果を踏まえまして、今後の果樹農業の振興に資するという観点に立ちまして検討してまいりたいと考えております。  第二点の苗の問題でございますが、御指摘の改植等に必要な種苗の育成対策につきましては、現在、被害状況の把握に努めますとともに被害果樹の樹体回復等のための技術指導を行っているところでございまして、樹勢の回復を図っているところでございます。現在、樹勢の回復は見込めず、改植、補植等によりまして園地の回復を図る必要があるミカン園地の面積、これに必要な種苗の見込み数量並びに現状での種苗の供給可能数量を調査しているところでございます。これらの結果を踏まえまして、今後の果樹農業の振興に資する観点に立ちまして検討してまいりたい、このように考えております。第三点の貸付枠の拡大の問題でございますが、やむなく改植等を行わなければならない場合には旧品種のものについて優良品種に転換する、これが基本だと思っておるわけでございますので、そういう意味におきまして、御指摘のございました果樹改植農家経営維持安定資金の活用を図るように指導していきたい、このように考えております。本資金の利子助成にかかわります平成三年度の新規貸付枠につきましては、十分余裕があるところでございますので農業者の要望にこたえられるのではないか、このように考えております。  以上でございます。
  34. 今藤洋海

    今藤説明員 果樹共済金の早期支払いにつきましては、損害評価を迅速かつ的確に行い、被災農家に対しまして、共済金の仮渡しも含め、早期に支払うように農業共済団体を指導しているところでございます。
  35. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 果樹改植の経営安定資金が枠が十分だということでございますけれども、もし足りないようなときにはまた弾力的に検討していただきたいと思います。  ちょうど昨日、日経新聞の夕刊を見ておりましたら、林業のことが書いてありまして、「林業被害一千億円超す」と書いてありました。台風十七、十八、十九号で秋田杉が大量に倒木されているということでありましたけれども、佐賀県も林業についてもかなり大きな被害が出ました。杉、ヒノキの二十年産から三十年産を中心に、立木の棄損とか倒木という被害が非常に多いわけでありまして、県からの報告によりますと、十月十四日現在で三十四億円の被害額があるということでございました。これは佐賀県においては、これまで最大規模であった昭和六十二年の台風十二号の被害の六倍であったということですから、地元の林業者の人たちも、今までやっとこういう杉、ヒノキが育ってきてこれからだというときに倒れてしまって一文にもならない、しかも、それを搬出するのに金がかかる、これからまた植え直しても三十年、四十年たつうちにまた被害が、台風が来るのではないかということで、正直言って意欲を非常に喪失しているというのが実態であります。林業農家の経営意欲を盛り立てていくために具体的に思い切った復旧策をやっていくことが行政の、そして政治の務めであると思います。  そういうことに関連いたしまして、二点伺いたいと思います。第一点は、激甚災害法に係る災害復旧事業の早期指定復旧予算の十分な確保にどう取り組んでいるかということであります。第二点といたしまして、今回の森林被害状況にかんがみて、被害跡地造林に要する造林補助金の予算の確保の問題がございますけれども、今後の問題として、災害に強い森林の造成とか林業山村の活性化のために、ちょうど林野庁の平成四年度の概算要求の中に重点施策として森林整備事業計画の策定ということがうたわれているわけでありますが、この森林整備事業計画の策定と投資規模の確保についてはい地元でも強い期待と願望があるものですから、十分な取り組みを願いたいと思います。この点についての決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  36. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明いたします。  まず第一点目の、今回の災害にかかわる激甚災法に基づく森林災害復旧事業指定見通しの問題でございますけれども、林野庁といたしましては、十月十四日現在、十九号台風だけで森林被害額が八百三十億円を超えているという激甚な実態を十分念頭に置きまして、早急に被害状況を取りまとめ、関係省庁との所要の協議あるいは手続を進めてまいりたい、このように考えております。  それから、被害跡地の復旧の問題でありますけれども被害の実態によりまして、ただいま申し上げました激甚災害法に基づきます森林災害復旧でありますとか、治山、造林事業等の一般公共事業、あるいは農林漁業金融公庫等の融資による造林等を効果的に実施をいたしまして、早期復旧に万全を期してまいりたい、このように考えております。  それから二点目の、森林整備事業計画の策定と投資規模の確保の問題でございますけれども先生お話しのとおり、先般の国会で森林法の改正が行われたわけでありますけれども、造林、林道の投資計画であります森林整備計画平成四年度に新たに作成するということを考えておりまして、これに必要な投資規模の確保につきましても全力を挙げてまいりたい、このように考えております。
  37. 坂井隆憲

    坂井(隆)委員 頑張ってください。
  38. 清水勇

    清水委員長 これにて坂井隆憲君の質疑は終わりました。  次に、山内弘君。
  39. 山内弘

    山内委員 台風十九号の災害対策の問題から御質問を申し上げたいと思うわけでございますが、農水省を初め関係各省は、このリンゴの災害に対して既に相当な調査をいたしております。私はそういう状況を踏まえまして、状況報告について、状況の問題については簡単に申し上げますけれども、九月の二十八日に日本海を北上した十九号台風、これは北上するに従って速度を増したということでございます。特に我が青森県を通過をしたときは六十メーターを超す、まさに開闢以来の速さを持っておったわけでございまして、その結果、リンゴは落果被害だけで一千億を超すような状況にあったわけでございます。まさにリンゴ栽培史上かつてない気象災害を受けたわけでございます。  既に農家は、御承知のとおり、借り入れ等によって賄ってきた農薬の問題、肥料の問題、細々とした問題を申し上げれば切りがないわけでありますが、あすの生活費にも困っておる、こういう窮する農家が、まさにこれは生活できない状態、出稼ぎによって今後、その生活を維持しなければならない、こういう厳しい状況にあるわけでございます。過日あの雨の日に出稼ぎに行った農家の方が自動車事故によって既に二名の方が亡くなっておる、そういう惨禍に見舞われておるという状況もあるわけでありますけれども、まさに今日の状態が目を覆う状況にあることは、既に皆さんの調査によっても明らかでございます。  また、樹体損傷の問題、この問題についても、改植等を積極的に進めなければならない、生産力の回復を図らなければならない、この問題に対する対策も極めて重要であります。また、天災資金の問題、現在の制度をそのまま適用したとしても来年からの償還が果たしてできるかどうか、この問題も極めて厳しい状況にあるわけでございます。特に、生産力の回復の問題については五年から十年を要するであろう、こういう被災農家の実情でございまして、今回の被害の深刻さはまさに目を覆う状況の中にあるわけでございます。また、今日の段階において被害を受けた果樹の改植等に利用できる資金としては農林漁業金融公庫主務大臣指定施設資金がありますけれども、金利が六・五%と高いのでありまして、被災農家が利用しやすい利率の大幅な低減、これらも考えてもらわなければならない。さらにまた今回の台風の問題で、果実、樹体の被害のほかに、リンゴ園の防風網の倒壊などに対する被害もまた目を覆うばかりの状況にあるわけでございます。特に私どもは、リンゴの被害ばかりじゃない、全国的にはミカン園が塩害を受けておるということも聞いておるわけでございまして、まさにこの台風被害は、樹体被害を受けたリンゴ園やミカン園、これらの問題に対して緊急に復旧をする新たな事業の是非を決定すべき極めて重要な段階にあるのではないかと思うのでございます。  これらの状況を踏まえまして御質問を申し上げますが、まず天災融資法の早期発動が必要と思われます。この問題については既にいろいろな御答弁があったように聞いておりますけれども、まず、この問題に対して具体的にどう考えておられるか、お答えを願いたいと思うわけでございます。
  40. 今藤洋海

    今藤説明員 私も早速、青森のリンゴにつきましては被害を目の当たりにしたわけでございまして、大変深刻に受けとめておるわけでございますが、お尋ねの天災融資法発動につきましては、現在、被害状況資金需要調査の取りまとめを急いでおるところでございます。この結果に基づきまして、発動する方向関係省庁協議を行い、適切に対応してまいりたいと考えております。
  41. 山内弘

    山内委員 いま一つは、今回の被害の甚大さにかんがみまして激甚災害法の適用が必要と思うが、その見通しについてはどのようになっておりますか、お答えを願いたいと思います。
  42. 鹿島尚武

    鹿島説明員 激甚災害指定は、その指定基準により、それぞれの災害被害状況に応じまして行うものでございます。今次の災害被害状況については、現在、関係地方公共団体、そしてまた関係省庁において鋭意調査を進めているところでございます。特に台風十九号等により農林水産業関係中心に相当大きな被害が発生していると聞いておるところでもございます。事態を大変憂慮しているところでございまして、国土庁といたしましては、被害状況について確定的な報告を一日も早く農林水産省を初め関係省庁からちょうだいをいたしまして、適切に対処してまいりたいをいうふうに考えております。
  43. 山内弘

    山内委員 ひとつ早期に適用方法を考えていただきたいと思うわけでございます。  次は、災害関係資金の問題でございます。この問題はどうしても大幅な利子の軽減をしていただかなければならないと思うわけでございますが、この実施についてはどのように対処をされるおつもりなのかお聞かせをいただきたいと思います。
  44. 今藤洋海

    今藤説明員 被災農林漁業者に対します資金といたしましては、農林漁業金融公庫の自作農維持資金等の制度資金を準備しているところでございます。これらの災害関係資金の利率等貸付条件は、通常の場合に比して相当有利なものを設定しておるわけでございます。これをさらに有利なものとすることにつきましては、国全体の災害融資の体系の均衡上困難であると考えておりますが、こうした資金の貸し付けに当たりましては県その他とも十分相談し、被害農林漁業者の実情に応じ、なるべく安い金利が適切に対応できるように指導してまいりたいと考えております。
  45. 山内弘

    山内委員 これは利子の軽減というよりも相当期間据え置きもしくは具体的にもっと農家方々の生活に適応した特別立法まで持っていかなければならない、私はこういうせっぱ詰まった気持ちでおるわけでございます。これは私個人の気持ちじゃなくて、地元の今の災害を受けた農家方々の気持ちは、何としてもこの利子の問題を何とかしてくれないか、こういうことを強く要請をされておるわけでございます。この災害以前の、例えば目いっぱい借りながら農業を進めておるというこの今日的現状、この中でさらにまた金を借りなければならない、こういう状況があるわけでありますから、生きた行政を進めるためには何としてもここで画期的な対応というものをやりていただかなければどうにもならない状況にあるということを農水省は十二分に御認識をされておると思うわけでございます。そういう立場に立っていま一度御答弁をいただきたい、こう思うわけです。
  46. 今藤洋海

    今藤説明員 災害資金関係につきましては、先ほど申しましたような天災融資法発動でございますとか、それとあわせまして自作農資金の限度額の特例、そういったことについても現在検討ヰでございます。もろもろの制度等を活用いたしまして、被災農林漁家の負担がなるべく軽減されるように今後とも努めてまいりたいと思っております。
  47. 山内弘

    山内委員 この問題は災害委員会きょう一回で決着がつく問題でもございませんけれども被災農家が既に借り入れしておる制度資金というものはたくさんあります。また償還、返す状況というものに対して非常に苦しい状況にあるわけでございます。農業改良資金の問題、その他の制度資金の問題、償還条件を緩和する、こういうことをやらないと、まさに百姓一揆的なものが発生しないとも限らない状況下にあると私は思うのでございます。特に農業改良資金の問題については、農家の皆さんの中に極めて不満が高まっておるわけでございます。また、その他の制度資金の問題についてももう満杯で借り入れることができない、こういう状況にもあるわけでございます。まさに農家は出稼ぎ以外にその収入の道がない、しかし出稼ぎをするにしても今直ちに妻子を食わせる金が百万ないし百五十万、二百万というものがなければ出稼ぎにも出られないという状況にあるわけでございます。こういった問題に対して具体的に何かそれを救済する方法というものがないのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思うわけでございます。
  48. 木田滋樹

    ○木田説明員 農業改良資金についてでございますが、農業改良資金助成法の第十条に災害等で貸付金の償還が著しく困難な場合には、「償還金の支払を猶予することができる。」こういう規定がございますので、今次台風被害につきましてもこの点を踏まえまして周知徹底を図るとともに、支払い猶予の申請がございました場合には迅速に手続を進めるように関係の都道府県に指示したところでございます。
  49. 山内弘

    山内委員 そういうことで、その他の制度資金の問題についてもできる限りのそういう法的な解釈の中で、最大公約数のできる配慮をしていただきたいということを強く要望しておきたいと私は思うわけでございます。  次に、自作農維持資金災害枠の設定及び貸付限度額の引き上げ、この措置を緩和する考えはないかどうか、この点についてお尋ねをしたいと思うわけであります。
  50. 澤井義雄

    ○澤井説明員 自作農維持資金の融資枠につきましては現在二十四億円を確保しているところでございますが、さらに天災融資法発動されるような大災害の場合におきましては必要に応じて別途特別枠を設定することができることになっておるわけでございます。それから、貸付限度額の引き上げ措置につきましても、天災融資法発動されるような大災害で、かつ連年の災害によります負債が著しく増高している場合には、被害の実情に応じまして必要によりまして講じられてきた経緯がございます。したがいまして、現在天災融資法発動につきまして調査が行われているわけでございますが、自作農資金につきましても資金需要額等の調査を行っているわけでございまして、この調査の結果に基づきまして円滑な融通の確保を図るべく全力を尽くしてまいりたいというふうに考えてございます。
  51. 山内弘

    山内委員 ひとつしっかりやってもらいたいと思います。  次に、被災者が営農再建等に必要な新規の借り入れに当たりまして、この融資が円滑に行われるように特にこれは指導していただきたいと思うのですが、その決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  52. 今藤洋海

    今藤説明員 各種災害資金の貸し付けに当たりましては、私ども借り受け者の実情に配慮して弾力的な対応ができるように指導してまいりたいと思っておるところでございます。
  53. 山内弘

    山内委員 円滑に指導すると言えばそれまでの話だけれども、何となく今の方の答弁というのは、これは非常に重要な部分だと私は思うので、例えば具体的にこの問題については、この部分についてはこうするとか、この部分についてはこうするとかというもうちょっと突っ込んだ御答弁はできませんか。
  54. 今藤洋海

    今藤説明員 特に、災害に遭われた方につきましては、担保等の問題がございますが、これにつきましては天災資金におきましても保証人ということで担保は徴求しないということにしてございます。災害復旧時の特別な貸付制度でございますので、この目的が十分達成されますよう担保の状況なり借り受け者の実情等を十分踏まえて弾力的な対応ができるようにしたいと思っておるところでございます。
  55. 山内弘

    山内委員 この問題について、審議官答弁も、表現上の問題よりも内容的なものも相当あるような感じもするわけでございます。そこで、これは極めて重要な部分でございますので、政務次官、ひとつ御答弁いただきたい。
  56. 植竹繁雄

    植竹説明員 今回の災害は今までと違った大変大規模な災害でございます。それで、災害に対応するには今申し上げたとおり激甚災害指定あるいは天災融資法といったものによりいろいろと対応していかなければならない。しかし、それにしましてもいろいろの基準がございまして、その基準により災害の対応がなされるわけでございまして、そういう意味におきまして、まずこういう被害状況というものを関係公共団体あるいは関係省庁等が鋭意調査しまして、その結果いろいろ政府としましても万全の対応をしていきたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  57. 山内弘

    山内委員 例えば制約される規則もあるし、それからまた法律もあるわけですよ。ところが、それによって例えば解釈によってはこうだとかといういろいろ妙味の発揮できる部分も、相当私は研究した結果、これは時間がないからこういうふうに聞いておるけれども、この部分はどうだとか、ではこの部分はどうだとかという聞き方をするとお答えいただけるのかもしれませんけれども、要するに、今被災者が一番困っているのは当面の生活の問題でございますから、これを具体的に、ではどうする、どういうふうな手だてを講じていただけるのか。これは今までにないことでありまして、例えばリンゴ被害というのは一千億といったらほとんど壊滅的だ。リンゴ、リンゴといったって、値段もあるのだということもありますからそういうふうに言えないけれども、そういうふうな状況というのは恐らく百年に一回あるかどうかという災害でございますから、私は、そういうふうなことで、農林大臣がいないから非常に残念でございますけれども、その点は政務次官も十二分に肝に銘じながら対応していただきたいということを特に要望して次の質問に移りたい、こう思います。  それから、果樹共済金の早期満額の支払いの問題、これは被害の甚大さにかんがみ、現地の損害評価を尊重して共済金の満額の支払いをお願い申し上げたい。それから、この割合というものを七割から八割に引き上げる方法がないかどうか、まずその点からお尋ねをしておきたいと思います。
  58. 今藤洋海

    今藤説明員 果樹共済金の早期満額支払いというお尋ねでございますが、今回の台風被害につきましては、現在、農業共済団体等におきまして、見回り調査等によりその被害の実態を調査しているところでございます。これら被害に対しましては、損害評価を迅速かつ的確に行い、被災農家に対しまして共済金の仮渡しも含めて共済金等の支払いを早期に行うよう、農業共済団体等を指導しているところでございます。  この果樹共済の損害評価でございますが、組合等の段階におきまして被害園地の悉皆調査及び抜き取り調査によりまして組合等の損害評価高が決められ、それがさらに連合会によります抜き取り調査によりまして各組合等の損害評価高を調整の上、連合会での損害評価高が決められるわけでございます。農林水産省におきましては、このような手順により決められました連合会ごとの損害評価高につきまして最終的な認定をしているところでございます。こういった手順によりまして損害評価を行っておるわけでございますので、適切に行われる仕組みになっておるということで、共済金が被害の実態に見合った形で支払われていると思っておるところでございます。  また、果樹共済のてん補割合でございますが、従来七割ということでございましたが、農家の御要望にもこたえまして特定災害を補償の対象とする特定危険方式、風なら風といった特定の危険についてだけの共済、そういった仕組みを設けまして、その場合にはてん補率を七割から八割に引き上げるといったような制度の改善も行ってきたところでございます。したがいまして、現在、てん補割合が七割の一般的な方式と、てん補割合が八割の特定危険方式、いずれかを選択できるようになっているところでございまして、そうした面でのさらに普及を図っていきたいというように考えておるところでございます。
  59. 山内弘

    山内委員 相当答弁は前向きになってきましたけれども、この点の対応というものについては、本来、共済に全員加入して、そしてこういう災害が起きた場合は後顧の憂いのない対応というものがあれば、これは一番いいわけでございますけれども災害金の査定とかいろいろな問題で、この共済制度の問題についてもなかなかまた素直に加入できない、そういう隘路もたくさんあるわけであります。  ただしかし、今回の災害によって農家の中に、やはりこの制度については重視していかなければならない、またこれに対応していかなければならない、こういうせっかくの声も盛り上がっておるわけでございますから、農水省としてもこの対応については、将来への対応をあわせ考えながら、相当皆さんの理解の得られるような今回の対応もしてしかるべきじゃないか、こう思うわけでございます。私は、そのことを要望しておきまして、この点については十二分にこれからの問題に対応できるようなことも考えていただきたいということをあわせて要望しておきたいと思うわけでございます。  次に、これも相当問題があるとは思いますけれども、国民年金制度と同様、農業者年金の保険料についても減免や延納の措置を講ずるべきと私は考えるわけでございます。この実施ができるかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  60. 六車守

    ○六車説明員 お答えを申し上げます。  農業者年金の保険料の減免あるいは延納の問題でございますが、先生御指摘のとおり、国民年金につきましては被保険者が生活保護者でございますとか身体障害者等を含むということで、そういう場合には保険料の納付につきまして保険料の免除措置が設けられております。しかし、農業者年金につきましては、農業生産の担い手となる農家でございます。そういった者を対象にしているということもございまして、保険料の免除制度は設けられておりませんが、台風等の被害によりまして保険料の納付が困難なケースにつきましては二年間の保険料納付の猶予期間が認められております。今回の台風により被害を受けられた農業者年金の加入者の方々につきましても、この保険料納付の猶予によりまして対応していただくよう既に農業者年金基金から県の農業会議等を通じまして周知を図っているところでございます。
  61. 山内弘

    山内委員 これは年老いた農業者の方々の差し迫った問題でございますので、この減免、延納の問題については、具体的に対応できるものはひとつ早急にしていただきたい、こう思うわけであります。また、現行制度の中でそれがある程度の効果しか生まれないとすれば、この問題については何としてもこの際、制度の改正を含め検討していただきたい、こう思うわけです。この制度の改正の問題についてはどう考えますか。
  62. 六車守

    ○六車説明員 お答え申し上げます。  保険料の減免問題でございますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、農業者年金につきましては農業生産の担い手となっている農家あるいは将来とも農家として継続していく方々対象としている制度でございますし、また、みずからが保険料を支払った期間に見合って国民年金の上乗せとして年金を受給できるという制度でございます。  さらに、被災農業者の方々の農業経営の救済につきましては、融資等各般の災害復旧対策措置が講ぜられるということ等々ございまして、こういう制度の趣旨から申し上げますと、農業者年金の保険料につきまして免除を行うことは非常に困難であろうというふうに考えている次第でございます。
  63. 山内弘

    山内委員 その点についても、やはり国民年金制度同様この問題は非常に実情に合いにくい問題にもなりつつあるわけでありますから、私は制度の改正を含め今後検討されることを要望しておきます。  次に、青森県はリンゴだけではございません。本年の七月中旬以来八月にかけて低温と日照不足によって不稔障害で七割から八割の減収、こういうふうにダブルパンチにまた見舞われておるわけでございます。時間もなくなりましたが、この点について、米の不稔障害による被災農家の救済対策として、米の予約概算金六十キログラム当たり三千円の返納金の利子の減免についてはどう考えておられるか。また、規格外の自主流通米としての取り扱い、この承認と受託限度数量の外枠扱いについて、これについてはどう考えられるか。また、農業共済の損害評価に当たって低品位米の特例扱いができないかどうか。被災農家の生活救済のため、これは特に強く要望したいのでありますが、救農土木事業、この問題に対してはどう考えられるか。この点に対してまとめて御答弁をいただきたいと思います。
  64. 平野愃

    ○平野説明員 食糧庁の関係の分についてお答えさせていただきます。  災害により予約概算金を返納しなければならなくなった被災者に対しましては、天災融資法発動された場合にはその予約概算金の利子を減額または免除する規定がございます。本年産については被害がかなり深刻でございますので、天災融資法発動に即応しまして直ちに速やかな手続を開始したいと考えております。  それから、災害により発生しました規格外米の自主流通米としての取り扱いでございますけれども被害の程度、それから発生量の水準等を見きわめる必要がございますが、関係者から強い要望がございますことも考慮しまして、集荷業務に当たる全国団体とも相談して基本的にこれを認めるという方向検討を進めるとともに、受託限度数量を超えるというような場合には当該地域の実情も考慮して弾力的に対処するということで手続を進めさせていただきたいと考えております。
  65. 今藤洋海

    今藤説明員 農業共済の損害評価に当たりましての低品位米の特例扱いの問題でございますが、現在農業共済団体等において被害の実態を調査しているところでございます。品質の低下に伴います損害評価の特例措置につきましては、被害の実態を見ながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  66. 岡本芳郎

    ○岡本説明員 被災農林漁家の生活救済のため、既に実行段階にあります本年度の農林水産関係公共事業の執行に当たって、被害の実態、地元における就業の希望等を勘案の上、地元雇用の確保等に対してできるだけ配慮するよう指導してまいりたいと考えております。このため、農林水産省といたしましては、近日中に平成三年度における今後の農林水産関係公共事業の実施の促進を図るとともに、市町村等を通じ当該地域における農林漁家の就労希望等を的確に把握しまして、関係公共団体等と密接な連携をとりつつ、被災農林漁家の就労が円滑にかつ効率的に行われるよう、関係局長から各地方農政局長等あてに通達する予定でございます。  以上でございます。
  67. 山内弘

    山内委員 この問題、いろいろございますけれども最後に自治省と国土庁一つずつ質問いたします。  青森県の財政も極めて脆弱ではあるけれども、もう既にこの災害の問題について相当の金を出しておるわけでございます。台風十九号の問題について、自治省は特別交付税配分に当たってこれらの状況を踏まえながら特段の配慮をすることができないか、これをぜひともお願いを申し上げたいと思います。  また、国土庁については、御承知のとおり激甚災害法の適用を早急にやっていただきたいということをお答えをしていただきたいと思うわけでございます。  以上、二つ。
  68. 遠藤安彦

    遠藤説明員 お答えを申し上げます。  今回の台風被害地方公共団体においては相当大きな災害復旧事業をしなければならないということになります。したがって、財政需要も非常に大きく在る。国庫補助金が来るわけですけれども、裏の負担というものも大きくなるということでございますので、災害復旧事業等につきましては基本的には地方債をもって対応いたしますが、その他一般財源で非常に必要となる金額が出てまいることでございますので、特別交付税につきましては、各地方団体の実情等を十分にお聞きし、調査した上で適切に対処したいと思っております。具体的には被災地方公共団体の各事業に要する一般財源あるいは被災世帯数農作物被害面積といったようなものを指標として特別交付税算定を行いたいと思っております。  いずれにしましても、地方団体の財政の運営に著しい支障が生じないように措置をしてまいりたいと思っております。
  69. 鹿島尚武

    鹿島説明員 激甚災害指定につきましては、国土庁といたしまして、被害状況について確定的な報告を一日も早く農林水産省初め関係省庁からちょうだいいたしまして、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  70. 山内弘

    山内委員 時間がないので、終わります。
  71. 清水勇

    清水委員長 これにて山内弘君の質疑は終わりました。  次に、細谷治通君。
  72. 細谷治通

    細谷委員 福岡県第三区選出の細谷でございます。  台風十七号、十九号による災害による被害は極めて甚大であることは、先般来御指摘があるとおりでございます。全国の被害状況については、まだ確定把握できていないということでありますけれども、日本全土に大変大きなつめ跡を残したわけであります。特に九州地区、なかんずく、福岡県の被害というものは大変甚大なものがあったわけであります。冒頭、被災者の皆さん方に対しましては心からお見舞いを申し上げたいと思う次第でございます。  まず、福岡県を例にとってみますと、今回の風台風による被害で、死者が十四人、重軽傷六百九十九人、住宅被害は全壊三百二十二棟、半壊三千二百六十五棟、一部損壊十八万六千九百八十一棟、被害総額一千四十六億ということになっているわけてあります。うち農業被害、さらに拡大する可能性もございますけれども、十月の初めの段階で把握いたしましたのでは、農業被害は三百六十億、商工業被害が二百八十億という膨大な数字になっているわけであります。  私ども、十月五日に被災地の現地視察を実施いたしました。そのほか、私個人もずっと地元を回って実情をつぶさに視察をしたところでありまして、本日はその視察の実情と被害者の生の声を代弁する形で御質問を申し上げたいというふうに思います。時間が限られておりますので、端的に御質問を申し上げたいと思います。  まず、米の被害の問題でございます。大変大きな被害が出ておりまして、特に私どもの有明海沿岸地域は干拓地が多いわけでありますけれども、ここは潮害といいましょうか、塩害が大変ひどいわけでございます。委員長のお許しをいただきまして、ここに稲を持ってまいりましたので、ぜひ皆さん方にごらんいただきたいと思います。ごらんのとおりであります。ほとんどこれは実が入っておりません。収穫期の前であるにもかかわらず、台風の過ぎ去った後に、稲が倒れていないものですから、稲は助かったのだな、水稲は助かったのだな、よかったなというふうに思ったわけであります。  ところが、倒れていないのは何も風の影響が出なかったということではないのでありまして、稲穂が実は軽いものですから倒れなかったということなんです。そしてその後、日がたつに従いましてどんどん枯れていくという状況が出ておるわけでございます。極めて無残な状況だと申さなければいけません。十七号、十八号が襲ったころはちょうど開花期ないし実を結ぶ時期に当たるわけでありまして、有明海を通ってきた台風、潮風でございまして、塩害が発生したということであります。この干拓地域は収穫がほとんどゼロ、多少あっても飼料にもならぬほどだと言われる大変ひどい状況でございます。去年の七月にも水害がございまして、このときも米の被害が大変甚大でございました。そしてまた、ことしは五-六月の長雨で麦にも大きな被害が出ております。そして、今回の台風被害ということで、いわばトリプルパンチみたいな形になっておるわけでありまして、干拓農家はまさに農業を放棄するしかないという悲鳴すら聞こえるわけであります。そういう状況を踏まえてお尋ねを申したいと思います。  もちろん、農業共済に加入しておる農家が多いわけでありますけれども、特に米、麦の農家は一部の零細農家を除いて農業共済に加入していると聞いております。この農業共済のほか、こうした災害、今回の災害に対する救済措置というものは一体どんなものが考えられるのか、その辺についてまず包括的にお尋ねしたいと思います。
  73. 今藤洋海

    今藤説明員 今回の台風によりまして九州地方は、特に塩害によりますお米に対する被害が大変出ておるということは私ども十分承知しておるところでございます。これにつきましては、私どもといたしまして、既にいろいろな形での金融対策、既存の借入金につきましての償還条件の緩和とか当面の生活対応のための自作農維持資金の確保、そういった金融対策、その他技術指導等を既に実施しておるところでございます。  また、農業共済につきましては、現在見回り調査等によりまして被害の実態を調査しておるところでございますが、これら被害に対しましては、損害評価を迅速かつ的確に行うよう農業共済団体を指導しておるところでございます。
  74. 細谷治通

    細谷委員 いずれにいたしましても、あらゆる制度、施策を総動員して、ぜひこの救済に当たっていただきたいということを要望したいと思います。  ところで、農業共済の問題でありますけれども、先ほど言いましたけれども、米、麦の農家というのはほとんど農業共済に加入しているということでございます。したがいまして、まず共済金の支給については、御答弁もございましたけれども、ぜひ一日も早く支給を実現させていただきたいと思います。ところで、現段階で一体共済金の支給はいつごろになるのかということが第一点。  それからもう一つ、要するに損害額の評価基準としては量というものが評価基準になるということでありまして、今回は、少々量はあっても質が大変悪化しておるので、出荷はおろか、たとえ助かったところでも自家用か飼料用にしかならないという農家もあるわけでありまして、こういう量の基準だけではなくて、質の要素というものを加味した査定も考えられるのかどうか、そういう特例措置があるのかどうか、この二点をお伺いしたいと思います。
  75. 今藤洋海

    今藤説明員 米の共済金の支払いにつきましては、本年産の水陸稲の被害は大変甚大であるということでございます。したがいまして、被災農家に対しまして共済金の支払いを早期に行うよう共済団体を指導しておるところでございますが、支払い時期につきましては従来から年内の支払いを行ってきておりまして、本年につきましても同様の方針で作業を進めているところでございます。  また、米の損害評価に当たりまして、品質の低下を加味すべきではないかということでございますが、これにつきましても現在被害の実態を調査しているところでございます。品質の低下に伴います損害評価の特例措置につきましては、被害の実態を見ながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  76. 細谷治通

    細谷委員 ぜひそういうことで一日も早く支給ができるように御努力を賜りたい、ご指導を賜りたいと思います。  次に、先ほど山内委員からも御指摘がありましたけれども、米の概算金の返納の問題でございます。  一俵三千円、既に福岡県下では五月末に支給されたというふうに聞いております。一軒当たりで、大きな農家ですと最高で百万円のところもあるそうでありまして、平均では三十万円ということであります。既に費消してしまっているわけでありまして、手元に残らない状況になっております。この精算の問題ですね。要するに精算しようにも出荷ができないわけでありますから、いかんともしがたいわけであります。この返納を求めるのか求めないのか。いずれにいたしましても、大災害収穫はない、手元に収入はないわけであります。生活費にも事欠く状況の中で、一体返納をするということがどういうことか、農家にとって大変大きな負担になるというふうに思うわけでございます。先ほど利子の話、減免の話がございましたけれども、予約概算金そのものの返納の猶予ということを考えるべきじゃないかというふうに私は思うのですけれども、いかがでございますか。
  77. 平野愃

    ○平野説明員 お答え申し上げます。  予約概算金は春先または夏に支払いまして、政府米または自主流通米の出荷が行われる都度精算していくということでございまして、最終的な精算返納充当の措置は、例えば九州地区ですと来年の五月末日までとなっております。  実は返納の繰り延べの問題につきましては、これまでの災害でも実施された例がございませんのと、もう一つは、来年五月まで相当の期間がございますので、しばらく事態の状況を見守りたいということ、もう一つは、農家が返納できない場合には国と全国出荷団体との間で代位弁済措置を講ずるという規定になっておりますので、これらも考慮しながらしばらく事態の推移を見守らさせていただきたいというふうに考えております。
  78. 細谷治通

    細谷委員 本問題についても実情をよく把握されて、農家負担が幾らかでも軽くなるような方向でぜひ御指導賜りたいと思います。  農業共済に関連しましてお尋ねいたしたいと思いますけれども農家につきましても、もちろん一般の住宅七同様に農家の家屋についても大きな被害が出ておるわけであります。この補償制度についてお尋ねをしたいと思います。  民間の損害保険会社におきましては、台風災害に対しては、住宅総合保険であっても普通の一般住宅火災保険であっても、制度改正の結果補償が行われるようになっております。農業共済の場合は建物火災共済には補償の適用がないわけでありまして、建物総合共済に加入しなければならない、言ってみれば特約みたいな形にしない限りだめだということになっております。  そこで、まず農業共済で総合と一般の建物火災との加入状況がどうなっているか、お尋ねをしたいと思います。
  79. 今藤洋海

    今藤説明員 農業災害補償制度で行っております建物共済でございますが、火災共済が中心的になっておりまして、割合を見てみますと火災共済が棟数で九五%、共済金額で九九%ということで、総合共済の加入は低い状況でございます。
  80. 細谷治通

    細谷委員 他の損害保険会社の損害保険や生協、職域共済等に比べてこの農業共済というのが大変補償の面でおくれているといいましょうか、格差が生じているわけでありまして、そういう意味では今回の農家被災に対してはほとんど農業共済の適用にならないという形になるわけでありまして、大変問題だというように思います。遡及するわけにいきませんからそれ以上言いませんけれども、やはり農業共済のあり方として今後大きな検討課題だというふうに思うわけであります。その辺について、いかがでございますか。
  81. 今藤洋海

    今藤説明員 加入状況は今申し上げましたとおりでございますが、火災共済の場合には対象が火災に限定されているということではございますが、反面、掛金が非常に安いというメリットがあるわけでございます。一方、総合共済につきましては、自然災害を含めすべての災害に対応した充実した補償が提供できるというメリットがございますが、反面ながら掛金の方が高い、こういうことでございます。したがいまして、両方の仕組みを私ども提供いたしまして、農家方々の多様な保険のニーズに的確に対応するということでございます。こうした仕組みにつきまして、十分普及、浸透を図ってまいりたいと思っております。     〔委員長退席、緒方委員長代理着席〕
  82. 細谷治通

    細谷委員 民間の損保会社がこの風水害による損害補償を追加したというのは掛金を上げてやったわけではないので、したがって、農業共済についても掛金を上げないで何とか風水害の場合の損害補償というものも適用になるように、今後私は検討課題として取り上げていくべきじゃないかということを指摘しておきたいと思います。  漁業に対する被害の問題に移りたいと思いますけれども、大変大きな被害が出ております。ちょうどノリの種つけの解禁にぶっかったわけでありまして、有明海の沿岸では有明漁連の関係だけで百四十万本の支柱を立てるということになっておりまして、それがやっと完了した時期にぶつかったわけであります。うち、竹製の六十万本以上の支柱が流失するということになったわけであります。全体で被害額としては五億を超すというような形になっております。実はもう既に種つけが始まっておるわけでありますから、大変な事態になったわけでありまして、その補償措置がどうなるか、助成措置がどうなるか、待っておられないで、そして既に竹の収集といいましょうか買い付けを行って、ノリの種つけ作業を実施したという形になったわけであります。聞くところによりますと、品不足ももちろんあるわけでありますけれども、それも手伝いまして便乗値上げの動きがあるということで、大変竹の値段も上がっているというふうに聞いております。  それは別にいたしまして、ノリ養殖業者に対する今回のようなケース、災害に対する救援対策はどうなっているのか、そしてあわせて共済制度の適用はどうなっているのか、お尋ねいたしたいと思います。
  83. 石田周而

    石田説明員 今回の台風におきます有明海を中心としましたノリ養殖の被害でございますけれども、十四日現在の県からの報告によりますと、ノリの養殖施設だけで被害額が約二十二億円に上っている、非常に大きな被害でございます。水産庁といたしましても、今回の災害に対処するために十月一日に水産庁内に災害対策連絡会議を設置いたしました。また、十月の五日、六日の二日間、ノリの被害が大きい有明海地区に担当官を派遣しまして被害状況調査を行ったところでございます。今回の被害によりまして漁業近代化資金あるいは農林漁業金融公庫資金の既に借り入れた資金の償還が難しくなっている漁業者等につきましては、その実情に応じまして償還条件の緩和の指導を行ったところでございます。また、ノリ養殖施設の被害につきましては、制度資金の活用について関係機関とも十分連絡をとりつつ、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。  また、共済制度の件でございますけれども、ノリの漁期が通常十月の十日前後からというふうなことで、生産そのものでございますけれども始まるということで、共済の責任期間というのが十月の十日前後からというふうになっておりまして、今回の災害につきましては、責任期間を外れておったというふうなことで、共済制度による救済ができないという状況にございます。
  84. 細谷治通

    細谷委員 共済制度の適用がないということでありますから、漁業者にとっては大変大きな負担になるということだと私は思います。いずれにいたしましても、貸付金なんかでも大変利子が高い。災害に遭って大変困っている、そういう状況にもかかわらず、利子が例えば六・〇五とか五・五とか、大変高いわけですね。災害の場合についてはもっと低利な融資ができるようなことを抜本的に検討しなければいけないのじゃないかというふうに私は思います。この辺については、ぜひ今後の検討課題として、他の均衡とかいろいろ複雑な問題があると思いますけれども災害という特殊事情を勘案して、もっと低利な資金貸し付け、融資ができるようなことを今後政府としてもぜひ御検討いただきたいというふうに思うわけであります。  次に、中小企業関係で、私どもの地元には大川市というのがありまして、家具木工団地があるわけであります。日本でも有数の家具の生産地であるわけでありますけれども、この家具木工業界の被害も大変大きなものが出ております。木工団地は、多くがスレートぶきの屋根になっておりまして、このスレートぶきの屋根が吹き飛んで破損いたしまして、雨漏りで製品や原材料そして半製品、機械を含めまして大変大きな損害が出たわけであります。そしてまた停電が手伝いまして、長い間にわたって休業せざるを得ない、長いところでは五日とか一週間とか休業せざるを得ないような状況があったわけであります。家具だけでも、現在判明しているだけでも、大川市だけで百三十億を超す被害が出ておるということでございます。  そこで、これらの中小企業、特に家具業者に対する災害の損害補償措置についてお伺いをいたしたいと思いますけれども、まず、こうした家具土木工業者等、中小企業に対する損害保険制度の救済というものは一体どうなっておるのか、実情をお尋ねいたしたいと思います。     〔緒方委員長代理退席、委員長着席〕
  85. 西川聰

    ○西川説明員 台風等の風、水に起因いたしまして、工場や店舗の建物等に生じました損害を担保する損害保険制度といたしましては、一般的には普通火災保険と店舗総合保険という火災保険商品が普及しているという現状でございます。  御質問の家具木工業者につきましては、このうち普通火災保険が一般的に普及しているということでございます。特に、工場、建物及びその中に所在します製品、商品、工作機械を例にとりますと、風災によりまして建物等に二十万円以上の損害を生じた場合には、その損害額の全額が支払われるという仕組みになっております。なお、洪水等によります、水災による損害につきましては、その補償を希望する消費者に対しましては、普通火災保険にセットします水災危険担保特約による契約か、あるいは店舗総合といったふうな形の御契約を願っているか、そのいずれかだと存じ上げております。
  86. 細谷治通

    細谷委員 それでは具体的に、今回の台風十七号、十九号による被害、この損害保険契約の支払い状況はどうなるのか、見通しはどうかということですね。いずれにいたしましても、大変大きな被害が出ておりますし、一日も早い損害保険金の支払いというものに対する要望が強いわけでありますけれども、この辺の保険会社に対する指導をどういうふうにお考えになっているのか、どういうふうになさっているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  87. 西川聰

    ○西川説明員 現在、損害状況調査中でございます。実は、件数、支払い保険ともいまだ確定的なものはございません。と申しますのは、台風十九号が全国的規模であったということと、非常に大きかったということでございます。  十月十六日現在の保険金、これは推定の推定でございますけれども申し上げますと、一世帯当たり幾つもの件数に入っておられますので、証券件数でお答えさせていただきたいと思いますが、台風十七号で四万件ございまして、支払い保険金見込み額が三百五十億円でございます。台風十九号でございますけれども、証券件数で約三十三万件ということになっております。したがいまして、その支払い金額が二千九百億円という額でございます。この二千九百億円と申しますのは、実はどのくらいの額がと申しますと、ヨーロッパの保険会社を震憾させました、ヨーロッパを横断しましたダリアという台風がございまして、その保険金支払いが六千二百億円でございました。また、一昨年でございますけれども、ハリケーン・ヒューゴというのがアメリカに発生いたしまして、それが五千四百億円でございました。これらはいずれも多くの国をまたいでおりますけれども、今回は一国だけで二千九百億円が推定されておりますので、かなりの額になっている状況でございます。  ただ、これは、実は損害査定員というものがそれほどたくさん動員できませんので、現地におきましてそれを査定する大工さんとかそういう方のいわゆる人手不足が重なりまして、なかなか確定できない、確定するにはかなり長くかかるということでございます。そして、損害会社に対する指導でございますけれども、各社とも損害対策についてはできるだけ多くの人間を割きましてやっておるわけでございますけれども、今申し上げましたように、もろもろの事情がございましてなかなか査定が進まないといった状況にございます。  私どもといたしましては、保険契約者に御迷惑がかからないように、保険会社には、できるだけ資金手当てをし、さらには、保険契約者には迅速に支払うようにということは今後とも十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  88. 細谷治通

    細谷委員 今御説明がありましたように、損保会社の保険金支払い額というものも膨大な額に上っているようであります。と同時に非常に広範囲になっておりますから、なかなか査定作業というのが進まないということで、その分だけ保険金の支払いがおくれるということになるわけであります。額もさることながら非常に地域が広い。いずれにいたしましても、家具業者、木工業者、資金的には非常に困っているわけでありますから、何とか一日も早く保険金の支給ができますように作業を急ぐよう督促をぜひお願い申し上げたいと思います。  さて、保険以外で、再建のための貸付金融資制度というのは一体どうなっているのか。福岡県ではそれなりに県独自の施策として貸付制度というのを行っておるようでありますけれども一体、特別低利の融資制度というのはあるのかないのか、それについて御説明いただければと思います。
  89. 広瀬勝貞

    ○広瀬説明員 台風によって被災をされました中小企業の再建資金の融資の質問でございますが、四点ばかり申し上げたいと思います。  一つは、既に十月九日でございますけれども、福岡県を初め被害の大きかった七県に対しまして、政府系中小企業金融機関、三機関ございますが、これによります災害復旧貸し付けを発動いたしました。第二は、同じときでございますけれども、この政府系中小企業金融三機関に対しまして、既往の貸付金の償還期間の延長とか条件の緩和といったようなことについて、実情に応じて適切な措置を講ずるように指導いたしました。第三点は、国と県が協力、共同いたしまして、中小企業政策のために中小企業体質強化資金助成制度というのがございます。被災された中小企業の方がこれを利用して融資を受けられるようなことになっておりますので、これも活用していただけるのではないかというふうに思います。それから第四点でございますけれども、御指摘の木工家具団地につきましては、災害救助発動地域等にございます場合には中小企業事業団の方の災害復旧高度化事業等の利用ができるということになっております。こういうあたりで大変低利な資金の供給ができるのではないかというふうに考えております。
  90. 細谷治通

    細谷委員 いろいろの制度が設けられているようでありますけれども、いずれにいたしましても、よく業界、業者に対して徹底したPRをして制度の活用について万全を期していただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。  ところで、実はこの家具業界、建材、資材の値上がりが大変心配だという声を聞いてまいりました。もう工場で持っている分につきましてはほとんど使い物にならない、製品はもちろんでありますけれども材料も使い物にならないということでありまして、先行き大変心配だということを申しておりました。この辺について、何か通産省として対策をお考えになっているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  91. 堤富男

    ○堤説明員 お答えさせていただきます。  家具の原材料は基本的には木材でございますが、そういうものにつきまして現地に問い合わせをいたしましたところ、短期的に特に現在値上がり状況とかあるいは逼迫状況というのがあるというふうには伺っておりません。ただ、これからの長い問題といたしまして、今回大変被害が大きかったということ、特に森林地区被害が大きかったということで、これからどうなるかという問題がございますが、日本の家具の材料でございます木材のかなりの部分は輸入に頼っておる現状でございます。それから、国内材も基本的には北海道が中心でございまして、そういうことを考えますと、長期的に今回の台風のために家具の原材料がいろいろ問題が出てくるということは考えられないのではないだろうかというふうに思っておる次第でございます。
  92. 細谷治通

    細谷委員 実は、工場の屋根の補修というのが、スレート不足ということで全く見込みが立っていないということを伺いました。二次災害といいましょうか、災害がさらに追っかけてくる形も十分考えられるわけでありまして、全国的な供給体制が必要だろうということであります。この辺についても、地方自治体任せではなくて、国としても責任ある対策をぜひとっていただきたいというふうに思います。  時間がございませんので、もう答えは結構でございます。  ところで、視点を変えまして、一般の家屋のかわら破損というのが大変な状況になっておりまして、柳川市では九〇%の家屋が何らかの形で損傷しているということであります。行ってみますと、ブルーのかわらにふきかえたんじゃないかという、ぐらいにビニールシートが全部、ほとんどの家屋にかぶっているという状況でございます。これがまた、かわら不足、人手不足ということで、年内の補修は絶望的だというふうに言われております。場所によっては補修に二年ぐらいかかるんじゃないかという見方をしている人もおるわけで、大変危機的な状況だと申さなければなりません。  そしてまた、品不足による便乗値上げというのが非常に心配されておりまして、事実、現実になっておるわけでありますけれども、百五十円のセメントがわらが五百円するとか、陶器がわらが三百円が千円するとか、ビニールシートそれ自体が三千円ぐらいのものが一万円するとか、三倍というのが大体相場のようでありますけれども、先ほども話ありましたけれども、地域によっては十倍もするというような状況になっておるのですね。この便乗値上げの問題。  それから、笑えないような話でありますけれども、私の地元の大牟田市では炭柱、人が住んでいない炭柱街がありまして、かわら泥棒が出て、そして白昼堂々とトラックに積んで持っていくという実態も実はあるわけであります。これはいかに困っているかという証左だと思いますけれども。それからまた、これは泥棒ではありませんけれども、市が市営住宅のかわらを譲ってあげるというようなこともやっているわけですね。大変な状況であります。心配されておるわけであります。この便乗値上げの防止対策と、かわらの供給対策について、通産省としてどんなお考え、方針を持っておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  93. 堤富男

    ○堤説明員 お答え申し上げさせていただきます。  まず、通産省全体といたしましては、九州、中国に相談窓口を設けまして、実態の把握、それから県との連絡、それから供給体制の確保というのを図っておるわけでございますが、東京におきましても、特に三つの種類のかわらの全国団体がございますので、それぞれに対して三つのポイントを申し上げております。一つは、まず増産をしてほしい、それから九州、中国地区への重点出荷をしてほしい、それから便乗値上げはぜひやめていただきたいということを要請しておる次第でございます。  需給状況についてまず申し上げますと、粘土がわら、スレートにつきましては、これは全国的生産がございますのと、かなり在庫もございまして、重点出荷というのが中心になろうかと思っております。最近では、この問題につきましてかなり他の地区から、九州内でも被害の余りなかった鹿児島、宮崎からの出荷が行われておりますし、四国から等の出荷も行われておりまして、問題はセメントがわらでございまして、九州がセメントの規格が全国と違う規格を使っておるためにどうしても九州の生産を増産しないといけないということでございまして、月産七百二十万枚を現在、増産の要請の結果、九百三十万枚、約二百万枚の増産をしておるという状況でございまして、量的なものがだんだん解消していっていただけるのではないかと思っておる次第でございます。  価格については、いろいろございますが、メーカーの出荷価格については若干上がったのもあるやに聞いておりますが、どうも一番の値上がりは、やはり運賃コストの値上がりがございます。例えば、一つの例でございますが、長崎県のかわら工業組合が徳島県の業者にお願いしたということでございまして、これは運賃が約、先ほどのお話でいきますと百円、二百円かかるというオーダーの話がございまして、実際には到着ベースでは二倍なりになっているケースもあるやに聞いております。ただ、全体に工場出荷価格を調べますとそれほどの値上がりが見られない状況にございまして、一時の混乱がおさまれはこういうことがなくなってくるのではないかと考えておりますが、いずれにしましても、今後、関係機関、特にかわらぶき職人の問題も含めまして、関係省、それから県、それから通産局等も動員いたしまして、さらなる検討、適切な措置をとれるような状況把握をしてまいりたいと思っておる次第であります。
  94. 細谷治通

    細谷委員 工場出荷価格についてはそんなに大きな値上がりはないということでありますけれども、末端部分では私が先ほど説明しましたような状況というのがあるわけでありまして、実情をよく把握していただいて、末端部分の消費者の段階でどうなっているかということをよくつかんでいただいて実情に即した御指導を賜りたいというふうに思います。  時間もなくなってまいりましたので自治省にお尋ねをいたしますけれども、今回の災害に伴う復旧その他で市町村の財政需要というのは大変ふえるわけでありますけれども、それはそれなりに対応策についてはお答えございましたから重複を避けますけれども一つだけお尋ねをいたします。  地方自治体が独自の判断で災害の、言ってみればやむを得ず緊急避難的に災害の実情に即して住民のためにいろいろのサービスといいましょうか救済措置をやっております。  例えば自治体が独自の判断でビニールシートを無償で配付しているという自治体もあります。それから事業資金に対する融資ということで、特別低利で貸し付けるというようなことも行われておりますし、それから生活保護世帯とか高齢者の家庭への当面の修理費の貸し付け、これも行っております。それから福岡県では、例えば農作物被害対策緊急資金という形で創設をしてこの適用を考えているということでありまして、いずれにいたしましても地方自治体の負担になっていくわけでありまして、この辺の、地方自治体独自の判断で行っている、災害救助法の範疇外で行っているようなそういう施策について、自治体の負担が大変大きくなっていると思うのでありますけれども、これに対する国としての財政支援の方策があるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  95. 遠藤安彦

    遠藤説明員 お答えを申し上げます。  今回の台風による災害、大変大きいわけでありまして、これに対していろいろな形で地方公共団体が施策を行うということは考えられるわけであります。国庫補助金がつくような話につきましては、地方債配分、それから交付税の措置を通じて適切に対処したいと考えております。  単独の場合はどうかということでございますが、特別交付税算定に当たりましては、地方公共団体財政需要が非常に多様性を持っておりますし、区々にわたります、まちまちでございますし、一つ一つについて査定をするというか算定をするというのも大変でございますので、しかも交付税ですからある程度客観的な指標に基づいて配分をしたいという点もございます。そういった観点から、例えば災害復旧事業費の額でありますとか、被災世帯数でありますとか、それから農作物被害面積だとか、そういった客観的な数字をベースにして特別交付税算定をいたしているわけであります。  私ども、そうやって算定された特別交付税の額というものの中には独自で施策するというものも当然含まれているというように考えているわけでありますが、ただ、地方団体によって、あるいは施策の内容によって非常に多額になるとか特殊な事情が出てくる場合もあるわけでありますので、そういった場合につきましては、個別の事情をよくお伺いした上で、財政運営に著しい支障がないように適切な配慮をしてまいりたいというように思っております。
  96. 細谷治通

    細谷委員 時間が参りました。  最後にお尋ねをいたしますけれども、先ほど来同僚議員からのいろいろな質問に対しまして、天災融資法発動については、これは発動方向でという前向きのお答えをいただきました。大変結構だというふうに思いますけれども最後に、激甚災害指定については実情調査を行っているところだということであり、適切な対応ということでありますから、前向きのお答えをいただいたということでありましょうけれども、決意のほどをもう一度最後政務次官お願いしたいと思います。
  97. 植竹繁雄

    植竹説明員 激甚災害指定につきましては、たびたびお答えしておりますけれども、一刻も早く関係省庁あるいは関係地方公共団体からいろいろなデータをとりまして検討をしてまいりたいと思うのでございます。
  98. 細谷治通

    細谷委員 終わります。
  99. 清水勇

    清水委員長 これにて細谷治通君の質疑は終わりました。  午後一時十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時十分開議
  100. 緒方克陽

    ○緒方委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため出席が少しおくれますので、その指名により私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。秋葉忠利君。
  101. 秋葉忠利

    秋葉委員 私は社会党の秋葉忠利でございます。出身が広島一区、広島市を含む大体広島県の西部が選挙区でございますが、広島県全体としても今回の台風十九号による被害が大変大きかった、その事実を踏まえて幾つか質問をしたいと思います。  実は私も、先ほど質問いたしました細谷議員同様、地元広島の被害の様子を台風十九号が襲った次の日からほとんど毎日見て歩きました。それから社会党としても、県会議員、国会議員が合同の調査団を何度か派遣いたしまして被害状況の把握に努めてまいりました。そういったデータをできるだけ皆さんとともに共有しながら幾つか質問したいと思います。  まず最初に、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げますとともに、今回の台風被害、その緊急措置についてあるいは復旧について多大な努力をしてこられました行政官庁初め、さまざな層の方々にお礼を申し上げたいと思います。  午前中からの質問で、この台風被害、幾つか共通点がございますけれども、例えば農作物等についての被害、こういったことがありますが、広島においては特徴的な点が幾つかありましたので、被害の大小にかかわらず、まず特徴的な点から何点かお伺いしたいというふうに思っております。  まず一つの今風の台風被害特徴は、広島県におきましては、昭和二十年、一九四五年の枕崎台風あるいは昭和二十九年洞爺丸台風、それに匹敵するほどの被害があった、少なくとも心理的にはそういった甚大な被害をもたらしたという感じてこれを受けとめております。しかしながら、今回の台風最大特徴はやはり風の害が非常に大きかったということだろうと思います。広島市内の観測では最大風速が三十六ソートル、これは広島の観測史を書きかえたものでありますし、それから瞬間最大風速、これは五十八・九メートルということで、これまた新記録をつくったわけでありまして、その風による害が非常に顕著だったということが一つ特徴だと思います。それからもう一つ、この風が原因になって瀬戸内海の潮水が吹き上げられ、それが結局蒸発、濃縮されて非常に多大の塩害がもたらされたというのがもう一つの大きな特徴であるというふうに思います。さらに副次的な特徴として、ちょうど満潮時に当たったために高潮による被害も大きかったというのが恐らく三番目の特徴であったというふうに思います。  それが台風の側から見た特徴ですけれども被害の側から見ますと、やはり一番象徴的だったのは宮島、厳島神社の被害ではなかったかというふうに思います。皆さん御存じのように日本三景の一つとして数えられる宮島ですけれども、その厳島神社、非常に大きな害を受けました。テレビの報道等で皆さん御存じだと思いますけれども、能舞台がぺしゃんこになってしまった、あるいは能楽屋がぺしゃんこになったというような実情があるわけですけれども、この被害に通りた厳島神社のほとんどの建造物が国宝あるいは重要文化財に指定されております。確かに神社というのは宗教法人でありますけれども、もう既に平清盛の昔から日本の文化の一部として長い間の歴史を持っている建造物でありますし、日本文化の一翼を担ってきた、そういう歴史がありますし、近年ではともかく全国からの、例えば修学旅行あるいは観光旅行の場所として日本だけではなくて全世界の人たちから親しまれてきた日本の財産だというふうに私は思います。  この厳島神社の被害について、文化庁では早速技官を派遣してくださいまして被害状況を把握していただいたと思いますけれども、どのようにこの被害について現状を把握されているのか、それから、その被害に見合うこれからの対応をどのようにしていくのか。特に一九九四年にはアジア競技大会が広島で開かれます。そのときに一つの観光の目玉と言っては言い過ぎかもしれませんが、外国から来た方々があの厳島神社の美しい景観にひとときの喜びを見出すといったこともアジア大会の関係者は考えていたわけでありますけれども、その一九九四年くらいまでにはどの程度の復旧が可能なのか、まず、その辺のところを文化庁の方に伺いたいと思います。
  102. 渡邉隆

    ○渡邉説明員 ただいま先生の方から厳島神社の被害状況についてのお尋ねがございましたが、早速文化庁といたしましても技官を派遣して調査を進めてまいってきたわけでございます。  御指摘のとおり、指定文化財の建造物、本社、本殿三十五棟のうち二十七棟が被害を受けたわけでございます。全壊が六棟、それから半壊その他二十一棟と、大変大きな被害を受けております。私どもといたしましては、この文化財の修理、復旧につきましては、まず所有者である厳島神社のこれからの復旧計画というものを十分お聞きいたしまして、また地元広島県の修理計画というものもお聞きいたしまして、できるだけの努力をこれから重ねていきたいと思っております。  ただ、先生案内のとおり大変財政事情も厳しい折でございますし、文化財の建造物の修理予算は必ずしも潤沢なわけでもございません。そういう財源措置の問題もございますし、それから厳島神社の場合、屋根の材料のひわだ、こういったものの資材を確保いたさなければならないわけでございますが、これも必ずしも十分な状況になっておりません。さらに、職人あるいは技能者、修理技術者が不足をいたしております。こういったさまざまな解決すべき問題が大変多くなっておるわけでございますが、私どもといたしましては、先生もただいま御指摘のように、厳島神社は我が国を代表する文化財の一つでございますので、一日も早い復旧ということを念頭に置きながら、関係の各方面とも十分相談をいたしまして、それぞれの緊急性を十分考えながら、できるだけの対応を急いでいきたいというふうに考えております。  当面は、文化財の価値を損なわないための応急の措置といたしまして、回廊などから流出いたしました、あるいは海上に浮上いたしております床板等をもとに戻しまして仮どめをするというようなことをいたしております。それから屋根が大分破損をしておりますので、その雨漏りを防止するという観点から鉄板を差し込む等の応急措置、これを現在指導いたしまして取り進めているところでございます。  いずれにいたしましても、厳島神社の復旧につきましては文化庁といたしましてもできるだけの対応をしてまいりたい、そのように考えているわけでございます。
  103. 秋葉忠利

    秋葉委員 できるだけ早く手を尽くしたいという趣旨お答えだったと思いますので、ぜひその点はよろしくお願いしたいと思いますが、具体的に今の時点被害総額は大体どのくらいだというふうに把握されているのか。それから人手不足、資材不足ということがありましたけれども、当面、例えばことし、今おっしゃいました回廊の渡り板の修理あるいはそれの保全といったところは、私も九月三十日と先日、十四日に見てまいりました。二週間の間に、神社の神官を初め宮大工さん、それから地元の人たち、そういった人たちの協力でかなり復旧の速度が速いというのが実感でございました。  それは専門的な技術を持った人が何人かいてその修理にともかく協力者がいたということでかなり復旧が早かったと思いますけれども、少なくともこの厳島神社に来る観光客、そういった人たちに安全に厳島神社を参拝してもらうというふうに神社側は言っていますが、そういう状態になるのは十一月いっぱいだろうということでございますが、それ以後、例えばことしいっぱいに文化庁としてはどの程度のことをやっていただけるのか、修復のための例えば設計は早くていつごろまでに可能なのか、総予算のうちまず応急の手当てとして支出をしていただけるのはどの程度なのか、あるいはその資材についても必ずしも一年目にすべてを本物の例えばヒノキでやる必要はなくて、カラー鉄板を使って応急手当てをしておいて、数年にわたって資材を調達した上で本修理を行うという数段階の修理ということも考えられると思いますけれども、その辺のもう少し具体的なプランがある程度おわかりでしたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。     〔緒方委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 渡邉隆

    ○渡邉説明員 お答えいたします。  まず最初に、被害額でございますが、被害額はなかなか算定も難しいわけでございます。復旧作業いたしますのに必要な経費というようなことで神社御当局、広島県等々の見積もりで現在のところ約七億円の被害額があるというふうに見込まれているわけでございます。  それから、今後の復旧計画ということでございますが、先ほど申し上げましたとおり、いずれにいたしましても、大変今回この厳島神社を初めといたしまして全国に大きな被害が出ております。私どもとしては、既に今年度の予算も大分執行してきておる、そういう関係から財源上の手当てというのがなかなか難しいという点が一番苦慮いたしている点でございます。それに材料等の資材の確保も、先生から御指摘のありましたように、私どもといたしましては、関係の団体等に協力要請というような形でできるだけの努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。ただ、これからの復旧計画を年次計画的にということにつきましては、現在とりあえずの応急措置を講じているということで、いずれにいたしましても財源の問題、資材の確保の見通しをできるだけ早くつけるということに現在のところ最大限の努力を払っているところでございまして、そういった見通しがついた段階で速やかに修理に着手をしていく、そういうことで現在対応を考えているわけでございます。
  105. 秋葉忠利

    秋葉委員 財源が非常に難しいというお話なのですが、そういった事情があるのは理解できますけれども、これはやはり世界的な文化遺産だというふうに思います。したがって、必ずしも国家予算の中からだけ支出をする必要はない。例えば、募金であるとか世界的な寄附の呼びかけといったことも十分考えられると思うのですけれども、例えば文化庁としては、そういう民間の篤志家あるいは世界の子供たちからの寄附といったような静財を集めて、国の予算ではなかなか十分にしかも迅速に手当てができないところを補完していく、そういったことについて協力体制をとるとか、あるいは促進策をとるといったようなお考え、お持ちではありませんでしょうか。もし、そういったことを文化庁が呼びかけないまでも、ともかくいろいろな関係機関あるいは個人、財団、その他と協力してやっていけばかなり早く復旧ができるのじゃないかという気がするのですけれども、その点についての文化庁のお考えをお聞かせいただければと思います。
  106. 渡邉隆

    ○渡邉説明員 今回の十九号の被害によりまして、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、全体では、全国数十件にわたって被害があったわけでございますが、総被害箇所数二百四十カ所で被害総額も現在のところ二十三億円ぐらい見込まれているわけでございます。そういうことでございまして、実は私ども文化財の修理予算、建造物の修理予算の年間予算額が約四十億円ということでございますから、その修理予算の半分以上が今回の台風によって被害がもたらされたというようなことで、私ども実際その財源の問題に大変苦慮いたしているわけでございます。  ただいま先生から、民間の浄財を集めるということに文化庁が音頭を取ってやってみたらどうかという御提案がございました。宮島、厳島神社等あるいは広島県とも、よく先生の御指摘も踏まえまして、私どもとしても研究すべきところは研究してまいりたい、そんなふうに考えております。
  107. 秋葉忠利

    秋葉委員 ありがとうございました。よろしく御検討お願いしたいと思います。さらに、民間からのそういったボランティアとしての援助ということも当然必要だとは思いますけれども、国宝であり重要文化財です。しかも、先ほど申し上げましたように一世紀に何度あるかないかといった大災害でありますので、文化庁の方として、被害を受けた箇所が全国がなりあるということも十分わかっておりますけれども、日本三景の一つということ、あるいは世界的な歴史的な価値が非常に大きいという点に十分留意されて、できるだけの御援助を早期にお願いしたいと思います。それをお願いいたしまして、次の質問にいきたいと思います。  農業それから水産業における被害、非常に大きかったということはどの県からも報告されているとおりでありますけれども、広島においても農業被害、非常に大きかったわけですが、この中で主に三つの大きな特徴があるというふうに考えております。  一つは、ミカンの木ですけれども、これが一つには風によって実が全部落ちてしまった。これは青森のリンゴと同じような状況だと思いますけれども、それに加えて実は塩害、塩をかぶったためにそのミカンの木がほとんど塩で枯れてしまったという状況がございます。そうすると、これを植えかえなくてはいけない、改植の必要があるというのがミカンの場合の非常に大きな被害だと思います。しかも、その際には根がついて実がなるまで三、四年間収入がなくなるという状況があるわけですけれども、まずミカンの害に対して一体どのような補助措置が考えられるのか、その点について伺いたいと思います。  それから第二の特徴としては、主にハウスですけれども、花、野菜、そういったもののハウス施設、それが非常に大きな害をこうむったということがございます。共用施設ですと、これについては補助制度があるというふうに理解をしておりますけれども、例えばこの補助率を上げることによって復旧のための手助けをもう少し積極的にしていただくことができないのかというのが第二点でございます。  それから第三番目、広島は厳島神社だけではございませんで、カキの名産地としてもこれは恐らく世界的に知られているというふうに思っておりますけれども、そのカキも非常に大きな被害を受けました。このカキの被害についてどのような対策が考えられるのか、あるいは今後どういった形で、ある程度今までの既存の法律あるいは慣行の枠を破ってもお助けいただけるものなのかどうか、その点をぜひ伺わせていただきたいと思います。
  108. 今藤洋海

    今藤説明員 今お話がございましたように広島県におきましては、ミカン等の果樹を中心に農産物で百三十億円、水産関係につきましてはカキ養殖等で百三億円、その他林野等合わせまして、トータルで二百八十二億円という被害状況報告を現在受けておるところでございます。  ミカンにつきましては、風の害に加えて塩害といったような状況が大変出ておるということは既に私ども調査もしておるわけでございますが、さらに技術的な検討をまずやるべきであろうということで、特別な試験場等を中心にしました果樹の技術調査団というのを近く派遣することにいたしておりまして、その調査結果を待ちまして樹園地の復旧対策等について研究、検討してまいるということにしてございます。  次に、施設関係、ハウス等でございますが、このハウスにつきましては個人の施設というようなことでございまして、これにつきましては農林漁業金融公庫の災害資金といったものの手当てをすることによりまして復旧に努めていきたいということでございます。またハウス関係につきましては共済の仕組み、ございまして、共済金の支払いについても早期に行うよう指示しているところでございます。  水産関係のカキ等につきましても、そういった養殖施設等に対します融資なり共済といったものにつきまして適切に対応するよう指導しているところでございます。
  109. 秋葉忠利

    秋葉委員 例えば共済制度ですけれども、カキの場合には余り加入率が高くないという理解をしておりますけれども、例えば、今後共済制度をもっと活用するように指導していくといったような考えをお持ちなのか。もしそうであれば、加入率を上げるためには、例えば今回の災害において共済制度に加入していた人たちに対する補償であるとか見舞い金であるとか、その事後の措置が非常によかった、高い掛金を払っても十分その見返りがあったということを事実によって示すのが加入率を向上させるための一番いいインセンティブではないかと思うのですけれども、そういった意味で共済制度の活用、それを図るためにも共済制度の今までの、これは非常に異常な災害なわけですから、ある程度異常な形で対応しなくてはいけない。そういった方向での御指導をなさるつもりはおありでしょうか。
  110. 今藤洋海

    今藤説明員 今回農林水産関係全般につきまして、いわゆる共済制度について十分な加入がされていないといったようなことにつきまして各方面からいろいろ御指摘をいただいておるわけでございます。共済制度につきましては、基本的に、米とか麦は別といたしまして、その他のものは任意加入といったような仕組みになっておりまして、そういった点からも必ずしも十分でないといったことだろうと思っておりますが、いずれにしましても、今回の災害を契機にいたしまして、共済につきましてはさらに研究、勉強をさせていただきたいと思っております。
  111. 秋葉忠利

    秋葉委員 できるだけ弾力的な運用をお願いしたいと思います。  それからカキについてですけれども、カキはカキそのものが被害を受けたということもありますけれども、もう一つ非常に厄介な問題として、例えばカキはいかだを組んでそこにカキの貝をつるして養殖をするわけですけれども、風あるいは潮によってそのいかだがばらばらになってしまった、一部は流出してだれのいかだだかわからないものが水に浮いている、しかも、それも町や市といった境界を離れて、どこにだれのものが浮いているのかわからない、しかも、もう損害を受けてしまって名前もついていないわけですから、わざわざこれが自分のいかだだろうということで瀬戸内海を捜し回って清掃するというところまで、仮に善意の人がいたとしても、なかなか手が回らないという状況があります。それから、いかだが壊れて海底に沈んでしまった、そういったものもそのままで放置しておけばいいのかもしれませんけれども、やはり清掃の必要がある。そういった清掃作業について、例えば農水省はどういったことができるのか、あるいはそれは全く国のあずかり知らぬことで、県なり市町村、自治体に任せるべきことであるとお考えになっているのか、その辺について伺わせていただきたいと思います。
  112. 今藤洋海

    今藤説明員 ただいまの御質問のカキいかだがばらばらになって、それの回収等ということの件でございますが、大変恐縮でございますが私直接その辺の実情について十分承知しておりませんので、恐縮でございますが水産庁の方に私から十分申し入れをしていきたいと思います。
  113. 秋葉忠利

    秋葉委員 わかりました。済みません。その点は十分に打ち合わせをしている時間がなかったのでこちらの方でも申しわけないと思いますが、そういった問題もございますので、こちらとしても水産庁の方に改めて申し上げたいと思いますけれども、この点についても、清掃についてもぜひ前向きに御検討いただければ大変ありがたいと思います。  それから、農業のほかにも幾つか、もちろん商工業の点でもさまざまな問題が生じました。それから土木、道路、それから河川河川はそれほど多くはありませんけれども、土木、さらに村といったところでも非常に多くの害がありましたけれども、ちょっと時間がありませんので最後に時間があったらそれに戻らせていただくことにして、今回の台風被害の中で非常に特徴的だったことの一つに停電があるわけですが、その点について伺いたいと思います。  これは本来であれば中国電力の方に来ていただいて、参考人として来ていただいていろいろと説明をしていただくのがいいと思いますが、残念ながらそういった時間がないということでありましたので資源エネルギー庁の方に伺いたいのですけれども、今回の被害、塩害ということで非常に広範囲の停電が起こりました。広島県の場合には一番害が大きかったときで五〇%、六〇%を超える停電があった、広島市内はほとんど電気が消えていたという状況がございますが、この問題についてどういう把握をなさっていらっしゃるのか、それから今後どういう対策をおとりになるつもりか、ぜひ伺いたいと思います。
  114. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答え申し上げます。  中国電力管内における台風十九号による停電の延べ戸数は二百五十万戸に及んでおります。これは全需要家戸数三百八十三万戸のうちの六五%という高いものに相なっております。  台風が参りました二十七日の夜から停電が広範囲になりまして、中国電力は暴風圏域を脱した後直ちに同社の全力を挙げて復旧努力をいたしたところでございまして、二十九日には停電戸数が十四万戸というところまで減少いたしておりました。ところが、三十日未明にかけまして中国地方各所に降った小雨のため、先生今御指摘の塩害による停電というのが多数発生いたしまして、三十日未明には六十六万戸という大きな水準の停電にまた大きくなったということでございます。その後、復旧に力を尽くして努力をいたしまして、中国電力の送電、配電が復旧いたしましたのは十月四日未明に相。なっております。かなり長くかかって需要家の方々に大変御迷惑をおかけしたというように思っております。  広島県内の状況につきましても大体先生御指摘のとおりでございまして、需要家戸数百四十五万戸のうち延べ百十三万戸が停電をしておるということで、これは七八%という高さに達しております。設備被害もかなり出てまいっておりまして、詳細は省かせていただきますが、電柱の折損、傾斜、倒壊、滅失あるいは鉄塔の倒壊といったものも出てまいっております。  私どもといたしましては、こういう事態に対処するために時々刻々適切な処置をとるべきこと、特に供給支障が生じた場合には、人命にかかわる施設等に対する供給確保に万全を期しながら速やかに復旧に努めることなどを指示してきたわけでございます。それから、中国通産局に台風十九号による災害対策本部の設置を指示いたしました。そのほかいろいろ関係会社からの応援ということにつきましても、我々指導をしてまいったところでございます。  今後につきましては、いろいろ今回の台風の教訓を踏まえまして、送配電設備の信頼性の向上というのを一層図る必要があるというように考えております。このため、私ども早速内部に電力設備台風被害対策検討委員会というのを設けまして、既に検討を開始いたしたところでございます。現時点では、どういう事態が起こったのかをファクトファインディングを中心にやっておりますが、さらに検討を進めまして、具体的な対応策についての取りまとめを行いたいというように思っております。
  115. 秋葉忠利

    秋葉委員 こういった広範囲の停電、一つには塩害というものに対しておりにも無防備だったのではないかというような批判もありますので、将来こういったことが起こらないようにぜひきちんとした対応をしていただくことをお願いいたします。  もう一点なんですが、この停電の状況に関してあるいは台風被害の全体の状況に関してどのように広報を行ったのか。例えば停電があった場合に、どのくらいで復旧するのか、あるいはどのような応急措置をとったらいいのか、あるいは事前に停電のある可能性を電力会社の方で把握をしてその情報を流す、あるいはより一般的な状況としては、例えばテレビ、ラジオ等で台風一般についての心構え、事前の応急策についての必要な情報を流すといったことが必要だと思いますけれども、実は中国電力の対応を見ますと、テレビの広告とラジオの広告を大体同じぐらい出している。どちらかというとテレビ偏重の傾向があるわけですが、停電した場合、テレビはほとんど見えない。ラジオはポータブルが結構ありますから、例えば停電してもラジオの情報なら伝わるという条件があるにもかかわらずテレビの広告の方が多いというのは、この程度の認識で災害対策をやっておられるのかという点がちょっとあるわけです。  それは要望といたしまして、郵政省、例えばNHKを通しての災害情報についての伝達の指導、どういったことをやってこられたのか、あるいはこれからどういったことをおやりになるつもりなのか、簡単で結構ですからお願いいたします。
  116. 上田誠也

    ○上田説明員 お答えいたします。  報道関係につきましては、放送の果たす役割というものが極めて重要であるということで、日ごろから機会あるごとに災害関係の情報について早期に情報を収集して的確に流すようにということで指導いたしております。  今回の台風十九号に関係いたしましても、NHKにおいては、災害対策基本法にNHK自身が指定公共機関として位置づけられておりまして、迅速で正確な情報を伝えるというようなことで今回対応したというふうに伺っておるわけでございます。そして、NHKといたしましても、必要に応じて深夜放送に取り込んだり、あるいは終夜三十分ごとにテレビで流したり、あるいはラジオにおいてもその期間中二十七日の午後六時三十三分から翌日の午前一時二十五分まで休みなしに継続して台風情報を流していったということ、それに、先ほど先生御指摘の停電の状況等について、生活関連情報をきめ細かく伝えるように努めたというふうに伺っているわけでございます。それと、停電関係中心とした生活情報につきましては、二十八日の日中にもラジオで七回特設枠を設けたり、あるいは塩害による二次停電が広がったわけでございますが、三十日から十月二日まで県域放送で停電情報を伝えるというようなことをやっておるわけでございます。  どういうふうに指導しているかということにつきましては、先ほど申しましたように郵政省としては行政指導の一環といたしまして、基本的には指定公共機関の指定を受けるということ、あるいは災害対策本部あるいは災害関係機関からの情報収集体制の整備というようなことで、できるだけ早く正確な情報をつかまえるというようなことから、情報収集体制の整備等について指導いたしておる次第でございます。
  117. 秋葉忠利

    秋葉委員 時間がありませんので、最後一つ伺いたいと思います。  今回の台風についてこのように非常に大きな被害があったわけですが、一つかなり効果が上がるであろうと思われることは、これを激甚災害としてその指定をしていただきたい、局地激甚災害指定を含めてこの激甚災害に対処するための法律の適用をお願いしたいというふうに思いますけれども、それはどの程度の早さで査定が行われ、どの程度の可能性があるものか、お願いとともにそれを最後に伺いたいと思います。
  118. 植竹繁雄

    植竹説明員 今委員質問激甚災害指定につきましては、先ほど来お話し申し上げておりますとおり、指定のいろいろな基準がございまして、そのためには指定基準より災害に対する状況把握ということが一番大切かと思うわけでございます。特に今回の災害は農林関係、農林でも花卉の問題あるいは漁業の問題、林業の問題、非常に多岐にわたっております。そういう意味におきまして、できるだけ多くの関係官庁あるいは関係団体にできるだけ早い情報の提供をいただきながら慎重に検討して、一刻も早く罹災者の方々に対しておこたえできるように措置してまいりたいと思います。
  119. 秋葉忠利

    秋葉委員 最後にもう一度、できるだけ早く激甚災害指定をしていただいて、できるだけ早くその他の措置についても柔軟かつ迅速に対応していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  120. 清水勇

    清水委員長 これにて秋葉忠利君の質疑は終わりました。  次に、緒方克陽君。
  121. 緒方克陽

    ○緒方委員 今回の十七号、十八号、十九号ということで、日本全土を横断をした台風が大変な災害をもたらしたわけであります。九州では特に大きな被害があったわけでありまして、農業、林業、漁業ということで、佐賀県ではノリ生産日本一ということで言われておるわけでありますが、そのノリにも大変な打撃を受けたということでありまして、これらに対する対策を早急にしなければいけないというふうに思うわけであります。特に佐賀県の農業では、さきの長雨によります麦の不作ということも含めて十七号、十九号ということでトリプルパンチを受けたという状況で、非常に厳しいところに追い込まれているわけであります。そういう状況について、それぞれ同僚議員からも質問があっておりますけれども、今回の台風災害に対する認識とこれに対する救済、復興、復旧というものについての国土庁としての基本的な姿勢をまずお聞きしたいと思います。
  122. 鹿島尚武

    鹿島説明員 先生仰せのとおり、台風十七号あるいは十八号、十九号、大雨のほかに暴風を伴いましたいわゆる風台風でございました。九州北部に上陸をし、九州地方から東北地方にわたりまして全国的に被害をもたらした台風でございます。特に台風十九号は強風による被害が甚大でございまして、人的被害、住家の被害はもちろんでありますけれども、リンゴ等の農作物や水産関係、林業関係被害も多く発生をいたしたわけでございます。さらに、強風による送電、鉄塔、電柱の倒壊等によりまして延べ七百二十万戸が停電するという被害が発生をいたしたわけでございます。今回の災害の発生状況にかんがみ、被災者の救済救護に万全を期するとともに、早急に復旧を進める必要があると考えております。  このため、私どもといたしましては、九月二十日、九月三十日両日に及びまして災害対策関係省庁連絡会議で申し合わせをいたしました。被災者に対する適切な救護救済措置を講ずるとともに、鉄道、道路河川、農業用施設等被災施設の早期復旧等の所要の対策を推進をいたしております。今後とも、関係省庁地方公共団体と密接な連携をとってまいりまして、政府全体として対策に万全を期していくように努めてまいりたいと存じております。
  123. 緒方克陽

    ○緒方委員 今局長から答弁ですけれども、基本的なことですから、大臣がいらっしゃらないということであれば、次官の方からお答えいただくのが当然じゃないかと思うのですけれども
  124. 植竹繁雄

    植竹説明員 私どもは、今局長から細部にわたることを申し上げましたが、基本的にはやはり今回の災害というものが今までにない重要な災害であるということで、先ほど来御質問のとおり、激甚指定あるいは天災融資法といった基本的なものを検討していかなくちゃならない。特に、今回は今までと違って風台風も含め、あるいは塩害というような今までにないような状況もあるわけでございます。そういう意味におきまして、今回の問題についてもっと基本的な、そういったものをどうやって解決していくか、それを検討するためにも一刻も早く多くの地域から多くの被害状況を出してもらいまして、この災害に対し、今後の防災の面におきましても、どういうような対応の仕方があるかも考えていきたいと思っておるところでございます。そういう意味におきまして、委員質問のとおり、私どもとしましては、文字どおり政府全体としてこの問題に対処していく所存でございます。
  125. 緒方克陽

    ○緒方委員 そういうことで、激甚災害指定なりあるいは天災融資法の適用ということで、前向きにとにかく全力を挙げて頑張っていただきたいと思います。  ちょっと小さな話からいって恐縮ですが、厚生省、お見えでしょうか。先ほど同僚議員から生活関連の問題で、停電をしたということで、非常にいろいろ大きな問題が起きたということでございますが、この問題については、地下埋設であるとかあるいは風に強い電線とか鉄塔とか、あるいは塩害に強い配電対策といいますか、そういうものが必要だと思いますが、この件についてはもう時間がありませんので今後議論をさしていただくということにいたしまして、水の問題で一つだけ質問したいと思います。  長い間停電をしたために、マンションなどでは地下に受水槽をつくりまして、そして水を揚げて配水をするということになっているわけでありますが、電気も消える、そして水も流れないということで、マンションなどでは非常にパニック状態が起きたということでありまして、これからも停電はなくさなきゃなりませんけれども、そういうことが起きた場合に何とか緊急の生活配水ができるようなことができないかということで、いろいろ私水道関係の人ともお話をしたのですが、揚げるのではなくて、直圧のルートをもう一つつくっておいて、停電をした場合でも何とか地上二階か三階までぐらいは今の水圧でも通るわけでありますから、そういうようなルートもつくるべきではないか、あるいはつくってもいいのではないかというような意見も聞きまして、停電があってはなりませんけれども、そんなことも検討されてしかるべきじゃないかというふうに思いますが、その辺について厚生省の方の検討状況をお聞かせ願いたいと思います。
  126. 堤富男

    ○堤説明員 お答えいたします。  三階以上の高層の建物につきましては、一般に水道事業によります給水の圧力ですべての階に給水するということが難しゅうございますので、今お話ございましたように受水槽に一たん給水を受けた後に、ポンプ等を用いて建物全体への給水を行っているというのが現状でございます。  そこで、停電時の水の使用を確保するということのために、先生今御指摘になりましたように、一、二階の部分については配水管と直結をする、これと従来の受水槽による給水と併用するということについてはどうかということでございますけれども、一部水道事業体では既にこういう併用方式を認めているところもございます。そういった施設におきましては、停電時でございましても、水道事業による給水が確保されておりましたら水の使用は可能になるというわけでございます。  ただ、広島市の場合におきましては、建物内の配管の系統が二重になるということで混乱をしからであるといったようなことから、従来まで併用方式は認めていないという取り扱いだったわけでございますけれども、停電時の給水を確保するというふうな見地に立ちまして、建物の設置者が配水管の共用の水栓を、例えば駐車場のようなところに設置できないかといったようなことを検討を始めているというふうに聞いております。  高層の建物への直結の給水につきましては、厚生省といたしましてはことしの六月に二十一世紀に向けた水道整備の長期目標というのを策定をいたしまして、その中で三階から五階までの高層建物への直結給水を行うということも目標の一つとして掲げまして、先生の御指摘の問題の解決にも資するということでもございますので、この目標の達成のために推進をしていきたいというふうに考えております。
  127. 緒方克陽

    ○緒方委員 そういうときの対策については、ちょっときょうは時間がありませんので、また次回、具体的にさらに質問をしながら対策を樹立をするようにしていきたいと思います。  そこで、先ほど政務次官からも局長からも、激甚災害指定なりあるいは天災融資法発動について、できるだけ速やかにということで努力をしているということでありますけれども、九州の場合には十七号台風で稲とかいろいろなところがかなりのダメージを受けた上に、十九号が来て決定的にだめになったということでありまして、これは当然一体のものとして一括して適用されるということが至当ではないかというふうに思います。そうしなければ、せっかくの天災融資法であるとかあるいは激甚災害指定というものの救済の意味そのものもなくなってしまうということで、役所の議論ではなかなか苦慮をしているというような話も聞いておりますけれども、せっかくの制度を形式的に扱って実効を上げないようなそういう適用では、まさに法律あって法律がない、国民のためにはならないというふうに思いますので、その辺についてはぜひ一括をしてやるということで、前向きに検討していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  128. 鹿島尚武

    鹿島説明員 先生御承知のとおり、激甚災害の制度は、災害特定して激甚災害として指定をいたしまして、特別の財政援助を行うという制度でございます。そういった制度の趣旨から、まず災害特定に当たりまして、例えば災害の原因となった気象現象同一性によりましてとらえていくといったような技術的判断というものも必要になってまいります。今後このような考え方にのっとりまして、農林水産省初め関係省庁と相談をいたしまして適切に対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  129. 緒方克陽

    ○緒方委員 今の局長答弁は、前段の政務次官なりあなたが答弁した大変な災害だということを言っておきながら、実際の適用には気象条件の一定の時間的なものを配慮してというようなことで、具体的な話になると少しも明確になっていないということで、非常に形式的な答弁ですけれども、そういうものじゃ納得できないわけですよ。実際に被害を受けている人たちのこの惨たんたる気持ちを政府としては受けとめなければ、法律が法律じゃない。せっかく救う法律が人を救わないということになるわけですから、その辺については、次官、ぜひ前向きに一生懸命考える姿勢を明らかにしてもらいたいと思います。
  130. 清水勇

    清水委員長 植竹政務次官。納得のいくように。
  131. 植竹繁雄

    植竹説明員 ただいま委員の御指摘のとおり、十七号、十八号、十九号の中で、十七号と十八号は一日ぐらい、十九号というのは一週間ぐらいという、非常に時間が相次いで来たという問題も今回は特殊の災害として考えられるわけです。ですから、今委員御指摘のように、その問題についてはある意味ではこういう前例が余りないということなだけに、これは慎重に検討をしていかなくちゃならない。また、一方では、そういう一つ災害基準となるそういう基本の定めというものをやっていかないと行政というものは成り立たないということもあり、その点はよく検討させていただいて、何とか前向きの姿勢で考えていきたいと思っておるところでございます。  なお、そういう事務的な点、私自身が不勉強な点もあるかと思いまして、それはなお詰めていかなくちゃならない問題と思っておるところでございます。  細かい点について補足があれば、局長から答弁させていただきます。
  132. 緒方克陽

    ○緒方委員 私が言っているのは、それは法律とか規則は確かにあるでしょう。しかし、それは農業被害とか人を救うためにあるのであって、そこを基本に踏まえて今回の甚大な被害だから何とかしてもらいたいという、そういう全国民の声ですから、それをしなければ災害対策委員会あるいはそういう法律だって意味がないわけですから、今次官がお答えになったようなことで前向きにぜひ取り組んでいただきたいということで、私もそういう方向になるように強く期待をしておきたいというふうに思います。  そこであと、農業共済の問題で少し触れたいと思うのですが、農業共済金の早期支払いの問題については、年内支給についてはこれは大体できるということでございましたが、お米の最終的な、何といいますか、作況状況が北の方がおくれるということもあって、いつも十二月の中下旬に作況の発表があって、それから共済金の計算に入って、ぎりぎりで年末の二十七日とか八日とかいう段階で払われるようですけれども、これは今回それぞれ同僚議員から出ましたように、とにかくあすの生活にも事欠くというような状況の中でありますので、年内支給の確約、それから農水省の方で、これほどちらの局がわかりませんけれども、作況指数の発表を何とか早めることができないか、そのことによって一日も早くこの支給ができるようにならないかということで、その点についてはどうでしょうか。
  133. 今藤洋海

    今藤説明員 農業共済金の支払いについてでございますが、年町支払いにつきましては従来同様の方針で極力早めてやりたいということで頑張っておるところでございます。  なお、作況指数の早期把握ということにつきましても極力努力するということでございます。
  134. 緒方克陽

    ○緒方委員 今のような答弁では、極力努力するということでそれはされているでしょう。たけれども、何らか規定的なものは何かでいろいろ作業されていると思うのですが、確かにお米のできが天気によっては延びることもあるでしょうけれども、そこらのところを何か早める方法がないのかということで具体的に質問しておりますから、そのことについてぜひお答えをしていただきたいと思います。
  135. 今藤洋海

    今藤説明員 作況指数の早期把握の問題につきましては、現在全国各地域それぞれの状況も違っておるというようなことでございまして、それぞれのところで早期把握に努めておるところでございます。そうした申し入れの趣旨につきましては、統計情報部当局に私の方から申し入れをして、やるようにお願いしたいと思います。
  136. 緒方克陽

    ○緒方委員 では、情報部がお見えになっておりませんから、ちょっとそれ以上詰めてもあれですが、ぜひ具体的に早めるように、いろんな局内の作業はあるでしょうけれども、そして一日も早い共済金の支払いができるようにぜひ努力をしてもらいたいということを強く申し上げておきたいと思います。  それから次に、米穀の事前売り渡し概算払い金の問題でございますが、これは何人かの方からも質問がありまして、利息の減免措置についてはこれはされるということのようでありますが、支払いの猶予という問題であります。とにかく私、現地に行ってみまして、塩害でもう何にも作物がないという状況の中で、支払いの時期が来ても一切払う金がない、借金をするのにどうするかという現状の人たちが多いわけでありまして、そういう意味で言うと、その猶予についてもぜひ機動的に、あるいは柔軟に農水省としては対処をしてもらいたいというふうに思いますが、その点二点についてお伺いいたします。
  137. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  予約概算金の利子の減免につきましては、先ほどお答えさせていただきましたとおり、天災融資法発動に即応しまして速やかに手続を開始したいと思います。それからもう一つは、予約概算金の返納の問題でございますけれども、これは、返納の時期は政府米の出荷または自主流通米の出荷時期に順次返納させていただくということになっておりますけれども、この時期が九州地区ですと期限が五月末ということになっておりますので、若干の期間がございますので、御要望の御趣旨も十分体しながら検討させていただきますが、今後の推移を十分見守っていきたいというふうに思っております。
  138. 緒方克陽

    ○緒方委員 そういたしますと、どうしても来年の五月になっても、全体ではないでしょうけれども、そういう人がかなり出てくるという場合には、当然猶予の措置も考えられるということでしょうか。
  139. 平野愃

    ○平野説明員 お答え申し上げます。  実はまだ相当期間がございますので、今の段階で明言することが非常に困難でございますけれども一つは、その期間の間にもろもろの検討が行われるということと、もう一つは、集荷団体が代位弁済するという規定がございまして、その関係もございますので、その五月末という期限の間にもろもろの検討は十分行わさせていただきたいというふうに思っております。
  140. 緒方克陽

    ○緒方委員 幾つかの制度もあるようですけれども、どうしてもそういう人が出てくるであろうということが想定されますので、そういうときには柔軟に対応していただきますように、これは強く要請をしておきたいと思います。  それから次に、規格外米の政府買い入れと、他用途米としての特別の配慮をしていただきたいという点でございます。  先ほどそれぞれ同僚の議員から質問などが出ておりますように、本当に、特に塩害による米の状況はもう悲惨なものでありまして、そういう状況を踏まえたときには、こういうことも含めてぜひ対応されたいというふうに思いますが、この点についてお答えを願いたいと思います。
  141. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  本年の被害につきましては、非常に深刻であるということは十分承知しておりまして、御指摘の、災害により発生しました規格外米の政府買い入れにつきましても、御要望の趣旨とか被害状況を十分見ながら検討させていただきたいというふうに思います。  それからもう一つ災害により発生しました規格外来の自主流通米としての取り扱い、それから他用途利用米としての取り扱いにつきましても、被害農家状況を十分勘案して、そういうものに配慮して取り扱いをさせていただきたいというふうに思っております。
  142. 緒方克陽

    ○緒方委員 続いて、被害農業者に対する他用途米の特例的な措置、これは先ほどちょっとお答えいただきましたけれども、またはそれに関連して特例的な作況調整措置というものがされてしかるべきではないかというふうに思いますが、その辺についてお答えを願いたいと思います。
  143. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  他用途利用米につきましては、災害を受けた場合には他用途利用米の出荷につきまして減量する、減らすことができるという規定がございます。ことしの被害は、先ほどから申し上げているとおり大変深刻でございますので、そういう規定を発動しまして、昭和六十三年に東北地方の冷害に適用した例がございますが、そういうものに準じて適切に対処し、所要の手続を進めたいというふうに考えております。
  144. 緒方克陽

    ○緒方委員 続いて、自作農維持資金の貸付枠の問題について質問いたします。  いろいろな制度がありますけれども、この自作農維持資金の問題については、今回の災害にかんがみまして、かなりの需要があるのではないかというふうに想定されますけれども、事実上、しかしこれは正確に額は承知しておりませんけれども、多分百五十万円でしたか、そんな数字を、間違っていたらば訂正をお願いしたいのですが、だというふうに聞いた覚えがあるわけですけれども、さらに必要だというようなことが出てくることも当然想定されるわけであります。そういう場合は特例でも設けて救済がされるべきではないかどいうふうに思いますが、その辺についてお答えをいただきたいと思います。
  145. 澤井義雄

    ○澤井説明員 先生のお尋ねのございました貸付限度額は、確かに先生のおっしゃるとおり百五十万円でございます。この貸付限度額の引き上げ措置につきましても、天災融資法発動されるような大災害で、かつ連年の災害による負債が著しく増高している場合に、被害の実情等に応じまして引き上げ措置を講じてきた経緯がございますので、現在私ども天災融資法発動について調査が行われている状況に合わせまして、自作農維持資金につきましても資金需要額等の調査を行っているところでございます。したがいまして、この調査の結果に基づきまして円滑な融通の確保を図るべく万全を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  146. 緒方克陽

    ○緒方委員 ちょっと最後のところ聞き取れませんでしたけれども……。
  147. 澤井義雄

    ○澤井説明員 失礼いたしました。現在自作農維持資金につきましても、資金需要額等につきまして調査を行っているところでございまして、この調査結果を踏まえまして円滑な融資が確保されるように万全を尽くしてまいりたいと思っております。
  148. 緒方克陽

    ○緒方委員 わかりました。万全の策、特例をぜひやっていただきたいと思います。  次に、山林の問題について質問をしたいと思います。  九州全県下でも、あるいは東北でもそうですが、杉、ヒノキその他大変な倒伏とか折損がありまして、佐賀県でも大変な状況であったわけです。全国版でも報道されましたように、九州の日田など杉、ヒノキの全国的な産地でもまさに惨たんたる状況ということであります。何とかして手入れをしたい、あるいは倒伏している杉の手入れをしたい、引き出しをしたいと思っても、道路もふさがっているという状況であって、もうとにかく半分あきらめ気分のような方々が、林家が大変多いということでありまして、現地を見ましても非常に厳しい状況にあるわけであります。  ですからそういうことでありますので、そういう場合は当然激甚災害とか天災融資とかいろいろ適用されまして、ここにいろいろなその救済措置の一覧表がありますが、問題は、今度の災害というのはそれをはるかに超える、この諸制度だけでは、そういうふうに制度はあるけれども人手がない、もうどうしようもないぞというようにあきらめ切っている、そういう人たちがたくさんいて、後継者も、やろうかといってしてきた人も、この際そういう山はほっておこうじゃないか、もう仕方がないというようなところまでなっているわけでありまして、そういう現状を今回の天災融資法とかあるいは激甚災害指定では救えない本当に厳しい状況の中で、政府としては後継者対策を含めてどうするのかということをぜひ確立しなければならぬと思うのですが、その点が一つ。  それからもう一つは、森林事業の場合に、造林補助事業とそれから森林災害復旧事業ということで、激甚災害指定された場合に適用されるのがありまして、特に私が問題にしたいのは、事業内容として、この三分の二の国庫補助を受けるためには被害木等の伐採及び搬出をしなければならぬ、それから跡地造林、倒伏した雑材木の引き起こし、それから作業路の開設ということになっております。例えば、千本植わっている中で五、六十本あるいは百本ほど倒れている、それも遠くからはよく見えないけれども、中に入ると要するに間引きしたように倒れているというような状態があるわけであります。この法律でいきますと、跡地造林ということになれば切ってそこに植えなければならぬということで、非常に形式的ではないかということで、そういう場合にはせっかくの法律が生かされてないということになるけれども、何らかの手だてがされてしかるべきじゃないかというふうに思いますが、以上、前段のやつは質問通告しておりませんでしたけれども、基本的な考えてありますので、そのことと、具体的な跡地造林をしなきゃならぬということについては非常にいろいろ問題もあるのではないかということで何らかの対策が考えられてしかるべきじゃないかということで、この二点についてお尋ねをいたします。
  149. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明をいたします。  先生御指摘のとおり、今回の十七号から十九号に至ります。一連の台風被害によりまして、都道府県からの報告によりますと、十四日現在で森林被害あるいは株地崩壊等の被害額が一千五百億円を超えるという激甚なものになっております。事態を重く見まして私ども林野庁におきましても、林野庁長官以下現地を視察をいたしております。先生御指摘のように、やはり林業をやる人のやる気をなくしてはだめだということを念頭に置きまして今後のいろいろな施策を検討する、こういう段取りにしているわけでございます。  それで、お尋ねの被害跡地の復旧についてでありますけれども、この被害の程度によりまして激甚災害指定された場合には森林災害復旧事業、これをもちまして跡地の整備でありますとか造林といったようなことをやってまいりたいと考えておりますし、また、災害の危険のある緊急を要するところにつきましては災害関連緊急治山事業を実施してまいりたい、このように考えております。また、その他の治山事業あるいは造林等の一般の公共事業も、こういった国庫補助の制度も活用いたしまして万全を期したい、このように考えているわけであります。  それから、跡地の整理の仕方でありますけれども、全体にすべて被害を一〇〇%受けたところでなければ復旧ができない、こういう制度ではございませんで、全体を外から見れば林にはなっているけれども、中でかなり被害を受けている、こういった場合にはその整理もできるという仕組みになっているわけでございます。もちろんこの跡地の造林につきましても、大きい健全な木は残して間に植え込むといったようなことも考えながらやってまいりたい、このように考えております。  いずれにいたしましても、今申し上げましたようないろいろな制度を効果的に活用いたしまして、関係道府県とも密接な連携をとりながら早期復旧の万全を期してまいりたい、このように考えております。
  150. 緒方克陽

    ○緒方委員 それで、一般間伐を利用した対策でということもありましたが、実は現地に行きましてもその辺よく承知されてないんですよね。もうどうするかこうするかということですから十分指導していただきたいということでありまして、これはもう時間がありませんから本当に指導されたかどうかは後ほど確認しますけれども、やはりせっかくある制度を活用して林家の人がやれるというようなものにしてもらいたいということを申し上げて、あと時間がなくなってきましたので、最後ミカンの問題について質問をいたします。  佐賀県も大変なミカンの産地でありますが、今回の台風で風と塩害でこれまた大変ひどい状況で、落果、落葉して恐らく数年はミカンがならないのではないか。現地へ行ってみましたら、雨が降ったらいいんじゃないかということですが、雨が降りましたら葉っぱがないからなっているミカンもぱかっと割れてしまうわけですね。そういう状況が至るところに出ておりまして大変厳しい状況にあるわけでございます。  そこで、もう一括してお尋ねしますので一括してお答え願いたいと思います。  これらの対策を立てるために具体的に改植並びに樹勢回復に対する助成措置、それから改植に伴う健苗の育成あるいは大型苗の育成の助成措置、それから果樹改植農家経営安定資金、これは自由化絡みの問題でありますけれども、それらの拡充、確保、そして果樹共済金の早期支払いということをぜひしていただきたいと思いますが、その点についてお答えを一括してお願いしたいと思います。
  151. 小高良彦

    ○小高説明員 お答えを申し上げます。  まず、被害を受けました果樹の樹勢回復につきましてでございますけれども、現在は技術指導の徹底をしておるわけでございまして、このほか果樹試験場の研究者、それとまた行政官をチームといたしまして技術指導チームを組みまして、これによりまして現地調査及び技術指導をしておるわけでございまして、第一陣としましては、昨日北陸、関東管内に派遣したところでございまして、また九州管内にも十月二十一日から派遣して技術指導並びに調査をしたいと思っております。また、改植等の対策につきましては、これらの調査結果を踏まえまして、今後の果樹農業の振興という視点に立ちまして検討してまいりたい、このように考えております。  続きまして、苗の問題でございますが、御指摘の改植等に必要な種苗の育成対策につきましては、現在被害状況の把握に努めています一方、被害果樹の樹体回復等のための技術指導を行っておりまして、樹勢の回復を図っておるという状況でございます。現在、樹勢の回復が見込めずに改植、補植等により園地の回復を図る必要があるミカン園地の面積、これに必要な種苗の見込み数量並びに現状での種苗の供給可能数量、こういうものを調査しておるという段階でございまして、これらの調査結果等々を踏まえまして、先ほど申し上げましたように、今後の果樹農業をどうするかということを踏まえながら検討していきたい、このように考えております。  続きまして、資金枠の問題でございますが、やむなく改植等を行わなければならない場合には、優良品種に転換する、こういうことを基本として考えまして、果樹改植農家経営維持安定資金の活用を図るということで指導してまいりたいと考えております。なお、本資金の利子助成に係る平成三年度の資金枠につきましては、現在のところ十分枠があるという考えでございますので、農業者の方々の御要望にこたえられるのではないか、このように考えております。
  152. 緒方克陽

    ○緒方委員 ミカン農家方々の切実な要望にぜひこたえていただきたい。皆さん方の御努力を心から期待をいたしまして、質問を終わります。
  153. 清水勇

    清水委員長 これにて緒方君の質疑は終わりました。  次に、鍛冶清君。
  154. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 公明党・国民会議を代表いたしまして、今回の災害につきましての御質問を申し上げます。  最初に、一連の台風、豪雨、風災害によりましてお亡くなりになられた方、または災害にお遭いになった方が多数いらっしゃいまして、心よりお悔やみを申し上げますとともに、お見舞いを申し上げるむのでございます。一連のいろいろな状況についてはもうこれまでの質疑の中でいろいろ尽くされておりますので省略をいたしまして、具体的な問題で御質問をさせていただきたいと思います。若干数が多いので、私もなるべく簡略に申し上げますが、お答えの方もひとつ簡略にお願いを申し上げたいと思います。  実は、プライベートのことで恐縮でございますが、私は十九号の台風被害者、被害者というよりも家が被害を受けました。非常に軽微でございましたからそんなに重荷になっておるというわけでもございませんけれども、わずかのかわらが飛びまして、駐車場の屋根が打ち破れて、それから車が今満身創痍でございまして、被害を受けたわけです。実は、私も一週間に一度東京と地元との間を行ったり来たりしておりまして、九月二十七日に十九号台風がありましてもう二十日以上たっておるわけですが、先日の土曜日も家へ帰りました。駐車場の屋根はもう直っているかなと思って、割ったときすぐに家内から注文していたものですから、期待をして行きましたら、雨が降っておるのにまだあいたままなんですね。直っていません。それで家内に言いました。何でかかるんだ、もう少し早くしてもらったらどうだと言いましたら、家内が言いました。あなた、国会議員がそんなに早く修理ができていいんですか、こういう話でございまして、これは皆さんに申しわけないじゃないですかということで、私はまさに家内に一本とられたわけでございます。  その後、うちの選挙区内の田川というところ、大変に家屋の損壊等々、旧産炭地ということもありまして大変な被害を受けておりまして、そこに行って市長初めいろいろな方とお話を申しているときに、今のお話を雑談のときにちょろっとしましたら、市長さんが言いました。実は議員さん、うちの職員の中でやはり家屋が半壊になっておる人が大分います、ところがやはり市民の皆さんのことを思ったら自分の家のことは言えない、だからみんなそれを黙って、そして後回しにして実は時間を返上して駆けずり回って頑張っております、こういうお話をお聞きしまして、私ははっと胸を突かれるような思いでございました。  この質問の前も、石田委員と話し合いをしておりましたら、愛媛の方に視察に行ったそうでありますが、そこの町長さん、島ばかりがあるところの町長さんだそうでございますけれども、大変な被害を受けた。それでその被害台風を受けた後、うっかり背広のままでこうやって歩いておったら、もう町民の方から厳しく言われた。こういう非常事態のときに町長は背広姿で歩いておるとは何事だというふうなおしかりを受けたという話も聞きました。被害を受けられた皆さんも本当に大変でございますが、私は役所の方々、特にすぐに悪者視されてやり玉に上がりがちでございますけれども、そういうお話をお聞きしながら、やはり関係者の方々、それから特に地方公共団体でこういう問題に日夜奔走されておる当事者の皆さん方が大変な思いの中で、いろいろと耐えることも耐えながら一生懸命頑張っておられるなという感を深くいたしております。そういう方々にも私この場をかりまして心からお礼を申し上げますとともに、災害復旧、これが最大の命題でございますから、これに対してひとつ国、地方、力を合わせてぜひ取り組んでいただきたい、最初にこのことを心からお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、私のところもそういうさっきの駐車場の問題がございました。それなら自分でやるかというような思いで実は去る十二日、上の、網の入った波板があるのですが、それを買いに私直接行ってみました。そうしたら、うちのに適合したのがありません。これはあかんなということで近くだけでしたが何カ所か回りましたけれども、ありません。それで、仕方がないので明くる日もう一遍行ってみようというので同じところを回りましたら、資材が入っておりました。私は、時間がなかったので私自身の手で直すということはしておりませんけれども、資材巨体については二十日たった今日、一日の違いでございましたけれども、いろいろな資材不足ということがまさにございましたけれども入りつつあるのかなというふうなことで認識をしたわけでございます。しかし、実際の災害が起こってから今日までの間、これまで午前中から今までの間いろいろ御質問なさった委員方々、また皆さんのお答えの中からもございましたけれども特定の資材ですけれども本当に復旧に対しての資材がないということ、それからそれが高くなっているということですね、それから人手不足、これはもう想像以上でございまして、こういう点についてはひとつ国としてこの体験を生かしながら、また今後も早急に対応策をしていただく必要があるのではないかということを思っております。  我が党の議員のことを申し上げて恐縮ですが、この田川市の議員のお話を聞きましたら、災害後二百件を超えるいろいろな相談があったそうです。それを一つ一つやりながら、一番困ったのがその資材だそうです。特に田川の方は屋根が吹っ飛んだ家がたくさんございます。したがって、雨漏りするところがたくさんありまして、ビニールシートが要るんですね。それを欲しいと言われて、どこへ行ってもないから、市もないしどこもないから何とかしてくれぬかと頼まれたのが一番困りました、それで自分が車に乗って百キロ、二百キロというところを走り回って、近在からずっと探して歩いて、一時間半ぐらい車に乗っていくところでそれをようやく見つけて持って帰って頼まれた方に差し上げたら非常に喜ばれたという話をしておりました。  私は、本当にみんな苦労をしながらやっているのだなという思いをさらにしたわけでございますが、そういったことを考えますと、特にかわらがなくなったとかビニールシートがないとか、そういったこと、それから停電が続いたということで、ろうそくがない、電池がない、こんな切実なことが実は続いておりまして、全く真っ暗な中で何日も過ごしたという方もおられます。私の家も三日間停電しましたけれども、文化を享受しておった我が身が突然電気が来なくなって住んでみて、いかに人の心が殺伐になり、これが一週間も続いたらどうなるのだろう、まさにパニックが起きるのではないかというような気も実感いたしまして、これは政治家として、また行政の皆さんにもお願いしながら一日も早く復旧しなければいかぬな、こういう思いでございました。  今いろいろ申し上げましたが、そういう資材面等についてしっかり手を打っていただきたいということと、民間、流通の方の関係を手を打っていただきたい。具体的にはどうするのか、私はそこまで詰めてこの質問に立っているわけではございませんが、その件の問題をどう解決していくのか。  それからもう一つ、素人考えですが、そういう今回の教訓の中から、地域地域に必要な資材というものがはっきりわかるわけでございますから、そういうものについては全国の各地、幾つかのブロックに分けて、割と細かく分けて、そしてそれをプールしておいて、いざというときにはそれを引き出して使える、ふだんはそれはプールしておくんだ、蓄積しておくんだ、こういう形で、それに対して国が補助するとかなんとかというような形で対応策がとれないものか、こういうふうに思っているわけでございますが、以上の点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  155. 堤富男

    ○堤説明員 答弁させていただきます。  お話のように、今回の問題、かわら、ビニールシート等にかなり問題が集中的に出たと思っております。  かわらにつきましては、全国の生産量といいますと十九億枚ぐらいできる状況でございまして、ストックも実は一億枚ぐらいあるわけでございます。ただ、実際に問題が起きたところ、品薄感というのが事実出ておりますのは、一つはセメントがわらという九州独特の規格になっているというところがございます。そういうところにつきましては、九州のメーカーに対しまして、あるいは特に福岡のメーカーに対しまして増産をお願いしておる次第でございます。九州全体では三割アップ、それから福岡では四十五万枚の生産を百三十五万枚にという約三倍の増産態勢に入っておりまして、そういう形ではおいおい需給関係は厳しい状況が改善してくるのではないかと思っておる次第でございます。  価格につきましては、メーカー段階それから卸売段階におきましてはそれほど値上がりがないのでございますが、実際の販売段階のところを見ますとやや値上がりをしたという状況があるようでございます。ただ、一つ一つ検討いたしてみますと、前よりは上の規格のものを使っているというケース、あるいは急場のしのぎのために遠くから取り寄せたものというようなために運賃コストが上がっているという状況もあるようでございまして、これも需給緩和とともに価格も問題がなくなってくることを我々は希望しておる次第でございます。  いずれにいたしましても、今後の状況を十分見させていただきまして適切な対応をやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  156. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 時間がございませんから、プールする問題はお答えがなかったようですから要望として申し上げておきますが、民間施設でもいいから幾つかプールして置いておいて、そして、それを出してするという施設に対して補助しながらそういうものを確保するというような考え方、こういうこともひとつぜひ御検討お願いいたしたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  では次にいかせていただきまして、災害が起こった場合、現行制度の活用ということ、これについてはこれまで質疑の中で各委員盛んにおっしゃっておられまして、私も同感でございます。特に現在あります救済措置というものを、雲仙でも拡大解釈しながら国民の皆さんの便宜のためにいろいろと施策を講じてこられたと思いますが、こういう拡大解釈といいますか、緊急の場合にはできるだけ国民の皆さんの便に供するようにやるという方向、これはもう大前提としてやっていただきたい。これはひとつ申し上げておきます。  一部の地方公共団体の長の方、首長さんあたりが言われておったのは、今回みたいな災害というのは遭ったことがないものですから、対応というのもまた今までなかった対応で、そのときそのときの判断を、どうやるかというのを自分の責任でやるのに大変苦労されている面があるようです。その中でやはり法というものがあるから、今まで通常のときに法というのはこういうふうに使うのだ、こういうふうに資金も貸し付けをやるのだとかいう範疇でしか考えられないわけです。ところが、それでは住民の皆さんの要望にこたえ切れない。だから拡大解釈してこれぐらいまで広げてやりたいのだけれども、どうしたらいいか。これは重大な我が身の責任につながる問題でもありますから、やはり非常に苦労されているようです。だから、むしろそういう、例えば災害救助法を発動された、激甚災害法を適用になったという場合には、こういう法律についてはここまで広げて使って結構ですよというような、必要なものについてここまでは運用していいですよというようなことを中央で何か決めてもらえるとやりやすいのだがという要望すらございました。これは非常に難しいことだと思いますので、ここでやれと、実はやっていただきたいとは思いますが、そういうことは強く要望の中にあるということもひとつ念頭に置いて今後の対応策もしていただきたいと思います。  そういう中で、いわゆる法の今あるものは全面的にやるということを重ねて申し上げますが、大前提の上で今度は見てまいりますと、こういう災害というのは自力救済を原則としているということは私は当然だろうと思うのです。ところが、災害がこれだけひどくなってきますと、やはり自力救済の限度を超えているものが多いと私は思うのです。したがって、自力救済という中で、この災害救助法ないしは激甚災害法の指定になれば、それぞれまた今までの制度に重ねていろいろと救助的な対応策をとられておる、私はこう思います。  ところが、私も初めて災害を担当したものですから短い時間で当たっただけでございますけれども、こう見ていくと、どうしてもその対応を受けている人は、少ないながら、曲がりなりにもそれを活用できるというふうになるのですが、これはさっきも申し上げたように拡大してひとつ使えるようにやっていただきたいということでございますけれども、その恩恵に浴しない階層の方がいらっしゃるわけです。それは何かというと、やはり低所得者の方。これは福祉という観点もあって、大変ですから、当然国も第一義に考えて、生活資金の貸し出しの問題だとか災害見舞い金の問題だとか援護資金の問題だとかいろいろあります。しかし、これは貸し付けの条件として所得制限があるのですね。また貸し付けの限度額というものの中でも、災害援護資金等については、市とか町村に行って一番要望が多いのは、そこらあたりの外れている人たちから金を貸してほしいとか何とか対応策がないかという相談が実は一番多いわけです。だから、要するにサラリーマンの方で、しかも比較的低所得の方でやりくりしながら日常頑張っていらっしゃる御家庭、やっとマイホームを持って頑張っていらっしゃる御家庭、そういうところが相談に行きましても、要するに所得制限がありますから、おたくはそれ育ちょっと超えているからだめです、こう言われる。そうすると、もう借り出しかできない。  中小企業とか業種別に見ましたら、そういうところはそこでカバーされるところがあります。また、大きな企業やら大変お金を持っていらっしゃる方はこれはこれでいいとは思いますが、そういうところはそれなりに通常の貸し付けの中で銀行でも何でもいろいろ対応策がすぐ打てるのだろう、こう思うのですけれども、そこから外れている階層というのはすき間があるわけですね。ここはお金を借りに行っても今申し上げたように借りられない。ここに対してこういう激甚とかこんな大変な災害があった地紋の方々については、そういう方々も税金を払っていらっしゃるわけですから、対応する制度というものを貸し出しについて何でもやってしかるべきではないか、私は実はこういうふうに思っているわけです。  そういう中で、住宅についてやっておりましたら、住宅金融公庫の関係災害のときに貸し出しができる制度があるということを私初めて知りました。これは申しわけないのですが、今回こういうことをしてみてわかった。だから一般の方が知っているのかなと思って聞いてみますが、知りませんね。せっかく制度があるのだ。だから、住宅金融公庫といったら新しく家を建てるときに借りに行って貸してくれるものだという認識だけで、災害のときにそういうものがあるというのを御存じない方が随分ある。残念ながら私も知りませんでした。これは申しわけないのですが、寡聞にして知らなかった。今度初めてわかって、皆さんにもまたできるだけ、こういう制度がありますよということを広くPRする必要があるなと思いました。そういう点でも欠けているところがあるだろう。  まあ住宅はそれでいいのですけれども、それから全壊とか半壊になった家の方はある程度所得のある方でも救済する制度は多少あるわけですね。ところが、さっき申し上げた範囲のところでは、住宅とかいうことではなくて、やはり災害というのは住宅だけじゃありません、いろいろありますが、そういうものに対してお金が必要だ、またそれがちゃんと修復されなければ生活にも困るという方が随分いらっしゃる、ちょっと抽象的な話で恐縮ですが。そういうところに救済措置というのが実はありません。したがって、そこらあたりに対して私は、どこでこういうのは取り扱いをなさるのかということで、実はこれを質問するときにいろいろ皆さんに来ていただいてお聞きいたしました。ところが、ここの省庁にお聞きしますと、いやこれは私のところじゃございません、こっちの方でございます。それから、そっちの方に来ていただいたら、いやこれは私の方じゃございません、こっちでございます。それで、今度はこっちに行くと、いやそうじゃありません、こっちでございます。何か堂々めぐりみたいになるのですね。国民の皆さんから国会議員という肩書をいただいた私がそうやってやってみてどこへ行っていいかわからぬようなものなのですから、これは一般の方々は大変な状況で、どこをどうしたらいいかわからぬというような状況になっているのではないかな、こういう思いもいたしております。  こういう点についてひとつ国土庁が、やり玉に上げるようで恐縮でありますが、やはりそこの窓口としておられるわけですから、もっと強力にリーダーシップをとるということを長官おっしゃっておりましたけれども、それを現実に発揮していただいて、どこか不明確な接点のところの問題はうちの方で一応受け取って各省庁と相談しながらまとめ上げますよ、制度もつくりますというぐらいの意欲を持ってやっていただきたい、こういうふうに思うのです。要望を兼ねまして今申し上げたような制度についてぜひ実現をしていただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでございましょう。次官に御答弁お願いいたしたい。
  157. 植竹繁雄

    植竹説明員 ただいまの鍛冶先生お話の点でございますが、災害というときには何といっても早く心ある手当てというのが被災者にとって一番うれしいことでございます。そういう意味におきまして、今先生言われましたように縦割りだからこれは後だということだと一番いけないことかと思います。例えば先ほどお話ありますように、農水省でも林業あるいは自作農なんかにつきましても早く天災融資法とかそういうものが決定すれば出したいという気持ちは行政で一生懸命でございます。しかし、それを出すためには、天災融資法とかあるいは激甚指定というものをやる前には、それを早く発動できるような状況把握ということが非常に大変なことだし、急務を要することでございます。そして、それらいろいろな各省庁から出たのを国土庁におきまして取りまとめて、できるだけ早く対応していく、これが行政の基本的な行き方だと思います。そういう点におきましては、先生初め各先生方からいろいろ御要望にある皆様の心を外しまして早急に前向きに検討し、被災民の方々に一刻も早く安らかな生活に戻っていただきたいと私どもも考えておるところでございます。
  158. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 抽象的なお話で御決意をお伺いしました。ひとつぜひ積極的におやりいただきたい、さらに重ねて御要望申し上げておきます。  次いで、今の件に関して具体的にちょっとお尋ねいたしますが、災害援護資金につきましては、さっきもちょっと触れましたように、貸付限度額の中で一、二、三、四、五項目ぐらい項目があります。世帯主が一カ月以上の負傷したところだとか、家財の三分の一以上に損害が起こった、こういう場合にこれは適用しましょうということでなると思うのですが、住居の半壊それから全壊、それから住居の全体が滅失ないしは流失した、こうあります。だから、半壊以下の後申し上げたことは、これはこれではっきり適用ができるのですが、今申し上げた一番目と二番目のところはもう少し、いわゆる三分の一それから一カ月負傷とかありますが、家財も、ゼロは別として、少しの災害から三分の一のところの人がちょっとしたいろいろな資金が要るとかあれとかで、自分で手当てできないけれどもやっておかないと住むに困る、また生活するに困るというのが具体的にあるわけですね。ここのところをさっきちょっと申し上げたのですが、そういう意味で、例えば激甚災害指定されたとか災害救助法の指定があったとかいうようなこと、こういったことは条件ということであってもいいとは思いますが、所得制限とか貸付限度額とかいうものについては柔軟に幅を持ってこれを運用するということをぜひやっていただきたいのですが、いかがでございましょうか。  それともう一つ。住宅金融公庫の先ほどの貸し付けの件について内容を簡単に御説明をいただきたい、こういうふうに思います。
  159. 松本省藏

    ○松本説明員 御説明させていただきます。  今先生が例示で申されました住居、家屋、家財に三分の一以上の具体的な被害が生じた場合に借りられる災害援護資金、これは災害弔慰金法に基づく災害援護資金の制度でございます。それより被害の程度の低い場合に借りられるような具体的な制度、工夫はないかというお話でございまして、それにつきましては、先生御承知かと思いますが、生活福祉資金の貸付制度がございます。ただ、生活福祉資金の貸付制度そのものが低所得世帯それから身体障害者あるいは精神薄弱者の世帯あるいは高齢者の世帯、いわゆる福祉の観点からの自立更生を図っていくという形の制度でございまして、その中に災害援護資金という制度がございまして、これは比較的軽微な被害に対しても貸し付けができるわけでございます。  ただ、そういう制度の成り立ちでございますので、制度として一般的に所得の要件をなくしてしまうというのはなかなか難しいわけでございます。ただ、私ども具体的なその低所得の判断あるいは判定に当たりましては、地域によりまして生活水準の格差というのがいろいろあろうかと思いますので、各都道府県の実態に即した弾力的な運用を図って、決して画一的な所得認定をしないようにということで従前から各県に指導しておりますし、今後ともそういうような姿勢で努力してまいりたいと考えております。
  160. 石井正弘

    ○石井説明員 今回の災害被災されました方々に対しましては、その被災住宅の復興に当たりまして、住宅金融公庫の災害復興住宅資金貸付制度がございます。この具体的な中身でございますが、木造住宅を例にとりますと、融資額は、住宅を建設する場合八百八十万円、新築住宅の購入は一千五百五十万円、それから破損箇所を補修する場合は四百九十万円、それぞれ限度といたしまして貸し付けることができます。利率は五・二%、償還期間は二十五年間となっておりますが、三年間の据え置き期間が認められておりまして、これらはいずれも住宅金融公庫の一般の貸し付けに比べますと、貸付限度額、利率、償還期間等の面で相当程度有利なものとなっているところでございます。
  161. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そういう制度を、先ほど申し上げたように、申しわけないことに私は今回初めて知りました。市町村に行きましたときもそこらあたりのことの当たりがちょっと弱かったような気が僕はしまして、このPRについてはぜひやっていただきたい。私どもも積極的にやらしていただきますが、県、市町村ともよくタイアップをし、やられているのかもわかりませんけれども、私は不足をしているのだろうと思います。そして、しっかりといろいろな形でPRしながら、国民の皆さんが御利用いただけるような道を開いていただきたい。お聞きしましたら、どうも利用度というものも余り調べていらっしゃらないようで、多ければ恐らく調べているのでしょうけれども、少ないからないんだなとこっちは勘ぐっておるわけですが、そういうことではせっかくの制度があってもだめになっちゃうということですから、重ねてそのPR方並びに運用方については、国民の皆さんが本当に活用できやすいようにお取り組みをいただきたいとお願いいたしておきます。  次に移らしていただきまして、激甚災害指定基準の問題でお尋ねをいたします。  私どもの福岡県も大変な被害がございましたし、さっき申し上げた田川市もそういうのがありますから、どこに行きましても、各委員おっしゃっていたように、激甚災害指定をしてほしい、こういう要望がございます。これはぜひそういう方向でお取り組みをいただきたい、こういうふうに思うわけです。  私この件も、帰りまして自分なりに当たってみましたところが、指定するには基準があるわけですけれども、その基準というものがちょっと私はアンバランスがあるんじゃないかなという気が実はいたしまして、調べてみましたら、実は私と同じような考え方を持っていらっしゃったとみえて、昭和五十九年の八月に、第百一国会におきまして衆議院の災害対策特別委員会で、高鳥委員が小委員長になられて、そしていろいろな災害における調査の経過等についての報告をした中で、「まず第一はこということで、激甚災害指定基準の見直し問題ということを取り上げて報告をされているわけです。したがって、この指定基準を見直しなさい、結論からいえば。そう言えばもう役所の皆さんはおわかりになるんだと思いますが、そういうふうに言ってあるわけですね。今から七年ぐらい前です。その中で、あえて読ませていただきますと、   まず第一は、激甚災害指定基準の見直し問題についてであります。   最近の主要災害について、公共土木施設等に係る激甚災害指定状況を見ますと、過去十年間の災害復旧事業費の査定見込み額がおおむね一千億円を超えた主要災害十六のうち、激甚指定されたものは大災害にすぎません。中でも査定見込み額が全国の都道府県及び市町村の標準税収入額の総額の四%を上回るA基準に該当いたしましたものは、昭和五十一年の台風十七号及び豪雨による災害の一件にすぎず、現在てはこのA基準は名存実亡であります。 こういうふうにあるのです。  時間がなくなってきましたからもうそれ以上はあれしませんが、最終的にはいろいろ論じられた中で、   以上のとおり、当小委員会のこれまでの調査検討の結果、公共土木施設等に係る激甚災害指定基準は、昭和三十七年の法制定当時と比べると、標準税収入額が著しく伸びたため、現状では極めて指定要件が厳しくなっており、速やかに是正する必要があると考えられます。 こういうことがあっておるのですが、どうもいまだにこれが是正されていない。したがって、激甚災害指定ということを皆さんおっしゃられて、私もしていただきたいのですけれども、農業関係とかいうのは相当これは激甚災害指定されてきているようです。だから、これはこれで当然のことですからいいのですけれども、今ここに出ております公共土木施設等について、この第二章のところですね。  それからもう一つは、私は特に文教関係をやってきたものですから、学校のことが気にかかるので調べてみましたら、十七条のところに私立学校のことが初めて、激甚災害指定されると私立学校にも多少援助ができるようになっている。私がさっきから申し上げるのは、公平という立場からいえば、ここらあたりも税金は払っているわけですから、原則は自分でやるのが当然でしょうけれども、本当にひどい災害になると、やはり自分の自力だけではどうにもならないようなところがあるし、現実に私が地元で回りましたら、そういう学校が幾つもあるのです。したがって、これは私が、激甚災害指定していただいて、そしてその適用を受けて、幾らかでも、私立学校が今後大変なときですから、頑張っていけるようにしてほしいものだなという思いの中で調べてみましたら、激甚災害指定されても、ここにもありますように、この委員会調査した時点でも過去十年間てだった一件しかない。公共土木事業とそれから十七条は全く同じ条件ですから、だから私学に対してそれはない。公共土木事業に対してもない。基本的な対応策がありますから、それを活用すればということにはなるんでしょうけれども、私はちょっとアンバランス過ぎるんではないかという気がしているわけです。  したがって、私もそれ以後のことを調べてみましたら、この十年間で、五十二年から六十二年の災害を調べたら、この二章と十七条について指定された激甚災害はたった二件ですよ。あと農水関係とかいろいろほかの関係ではこれはたくさんありますが、しかしそこはないのです。これは非常に、算出方法というのはもう皆さん御存じだから申し上げませんけれども、これにも指摘されておりましたように、算出基準の分母にやはり全国の標準税収入額というものが上がってきておる。これが、制定当時に比べますと、平成二年で二十六倍にふえているわけですね。ところが、農業関係で見ますと所得推定額というのは四倍くらいしかふえておりませんが、とにかく分母がけた違いに大きくなっている。したがって、指定するのになおさら厳しいことになっているという状況で、この激甚災害の現在の指定基準がある限りは、公共土木施設等について、また十七条関係というのは、まずまず法だけあって実際に指定されるということはもう今後あり得ないんじゃないか、こういうふうにも思っておりまして、これは余りにも不公平過ぎるんではないか。したがって、この条項でいいますと第五条とか第六条とか農業関係基準と同じくらいの、ひとつ横並びに、むしろそっちを引き上げることの方が大切でありますから、そういう形で第二章、第十七条のところは法改正という形で当然取り組んで、これは断行すべきであるというくらい実は私は思っているわけですが、この点についてどういうふうにお考えか、お尋ねいたします。
  162. 鹿島尚武

    鹿島説明員 先生仰せのとおり、激甚災害指定基準につきましては、今日まで、局地激甚制度の創設というようなことを初めといたしまして、社会経済情勢の変化に対応して見直しを行ってきたわけでございます。しかしながら、その後、ただいま先生御指摘のとおり、いろいろ課題を抱えておることも事実であろうかと思います。  災害対策と申しますのは、各省庁所管に分かれましてそれぞれ所管施設を復旧をするという立て方になってございまして、そういう意味で、この際、関係省庁からの要請等がございますれば、所要の勉強をまたやらしていただきたいというふうに考えております。どうぞよろしく御指導をまたお願いいたします。
  163. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 受け身にならずに、私が言う先頭切ってというのはそういう意味ですから、ひとつこれは見直す必要があるんじゃないか、そういう意味でまたここで委員会で申し上げているわけです。私も一人の国民の代表という立場で御質問申し上げているわけですから、そういうことをバックにしていただいても結構ですよ、ぜひひとつそういうものに取り組むという方向で、大変な災害があったときにやはり公平な形で高い方の基準に合わせるということでひとつ改正への取り組みをお願い申し上げたい、こういうふうに御要望を申し上げておきます。  時間が来ましたので、まとめながら簡単に御質問申し上げますが、実は文教関係お願いをいたします。  私立学校関係というのはちょっと今触れましたので省きまして、国の指定の文化財の復旧についてお尋ねをしたいのですが、先ほども厳島の問題が取り上げられておりました。我が福岡県におきましても、まだ正確に調査が終わってないようですけれども、文化財の復旧を要するものが二十幾つかあるように聞いております。その中で、特に善導寺の関係、それから英彦山神社の関係、それから怡土城跡の関係、ここらあたりが大変な被害をこうむっておるという実情が報告されておるわけでございますが、これについてひとつ文化庁の方で早急に手を打って復旧に取り組んでいただきたい、こういうふうに思うのですが、この点についてお尋ねをいたします。
  164. 渡邉隆

    ○渡邉説明員 先般来のたび重なる台風によりまして、大変文化財にも被害が及んでいるわけでございます。先生御指摘の福岡県の場合によりますと、善導寺、重要文化財の本堂と大門の屋根がわらが大変広範囲に飛散をいたしまして、屋根全体が破損した状況になっているという状況がございます。また、重要文化財の英彦山神社につきましては、奉幣殿という建物が近くの木が倒れたことによりまして屋根が破損をいたしました。また、消火栓設備の給水管が損壊するというような被害がございます。また、史跡の怡土城跡につきましては、周囲の土塁が十一カ所にわたりまして崩壊をいたしまして、トータルで五百平米近くの被害が出ているというふうに福岡県からの御報告をいただいております。  これらの復旧につきましては、それぞれの所有者あるいは地元福岡県の修理計画を十分お聞きいたしまして、文化庁といたしましても最大限の、できる限りの努力をしてまいりたいというふうに思っております。  ただ、先ほど先生からもお話ございましたように、文化財特有の問題といたしましても、資材の問題それから職人不足の問題等がございます。関係各方面とも十分相談をいたしまして、緊急性をも考慮いたしまして、できる限りの対応を進めてまいりたいというふうに考えております。
  165. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 最後質問になりますが、時間がもう参りましたので、これも簡単に御質問申し上げます。  さっき申し上げました田川市、これは旧産炭地域でございまして、そこの鉱害復旧との絡みの中で、まだ炭鉱住宅というのが随分残っております。二千戸ぐらい残っていますかね。そういう中で今回六百戸近くが全壊ないしは半壊、そして被害をこうむっておるという状況が起こっておるわけで、現地へ行きましてもやはり大変な状況です。  これについて特に二点お尋ねをしたいのですが、一つは、炭鉱の跡を有資力で、名前を名指しして恐縮ですが、三井さんが持っていらっしゃる。やはり炭鉱鉱山というのは大変ですから、資金的に大変なやりくりの中でこういうことが起こったときにやらなければいかぬという、大変な状況というのはよくわかるのですけれども、私どもは、その姿勢として積極的に取り組む、その中で話し合いを住民の皆さん方としながら理解を得る、また市にも要請するということがあっていいと思うのですが、どうもいきさつを聞いてみると最初から市におんぶにだっこという形で、お願いをしたいというような形があったようです。まあ、やむを得ない向きもあるのだろうとは思いますけれども、やはりこういう姿勢はちょっとしんどいんじゃないかなと私たちは思います。したがって、国においてそういう点についても、そういう全国にある有資力の会社の皆さんについては大変かど思いますが、こういうときは国民の皆さんを第一に優先する立場で対応するように、ある意味では家主でもございますから、ひとつ国の方でも対応方をお願いしたい。  それからもう一つは、炭鉱住宅の改良住宅ですね、これをこの機会にぜひ進めたい。住んでいる方々も、実はお年寄りの方が多い、そして便利なところにある、家賃も安いということで、私は動きたくない、改良住宅に入る必要もありませんということでいた方もおられたようですけれども、今度、もう屋根が吹っ飛んで住めないという状況があって、人命にもかかわる問題が起こったという中で、これはもう改良住宅をちゃんと建ててもらってそこに早く入りたいという方が、希望が多くなってきているようでございます。したがって、市の方もこの改良住宅については積極的にやりたい、現在までは年間百五十戸ないし百七十戸ぐらいの予算の枠をいただいて地元の田川市では一生懸命やっているわけですが、この機会にこの枠を何とかふやしてもらって、実は現在のペースていけば、六百戸ぐらいを改良するのには四年ぐらいかかるわけですけれども、それを少しでも縮めて、ひとつ鋭意市民の皆さんのお役に立たせるようにしたい、こういうふうに言っております。こういう点について、ひとつぜひそういう方向での御配慮をお願いしたい、こういう意味での御質問を申し上げたいと思います。  最後に、布やら町村で困っているのはごみの処理ですね。もう一時的にはわっとやってしまった、いわゆる町の中に散乱したいろいろなものを集めた。ところが、二次で、各地で補修にかかりますと中から、今度は屋根からやりますから中のものを持ち出している、また二次のごみになった。三次も集めなければいかぬ。こういう中で、実は燃えないごみというもの、かわらとかさっき申し上げたスレートとかいろいろございます。そういうものが予定より以上にわっと来るものですから捨て場所がなくなって、積んでいてどうにもならぬという状況がございます。こういうことについても、今すぐ対応ができるかどうかは別としまして、ひとつ国の方で御配慮をぜひお願いしたい、こういうふうに思うわけです。  以上三点について簡略にお答えいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  166. 土居征夫

    ○土居説明員 お尋ねの最初の二点でございますが、筑豊地域につきましては、昔の旧炭鉱の炭柱の古いものが残っておりまして、これが今度の被害に遭っているということでございます。  最初の御質問の有資力のものにつきましては現在報告を受けておりますけれども、応急措置は済んでおりますが、完全な処理はなお一カ月ぐらいかかるというふうに聞いております。有資力企業に対しましては、現在石炭企業は非常に厳しい状況でございますので全面的な金融支援を行っておりまして、そういう形で、その一環としてこの辺の対応については遺漏なきを期していきたいというふうに考えております。  それから、自治体が進めております改良炭柱の話につきましては、これも従来からの産炭地対策で、おかげさまで、補助金のかさ上げとか交付金制度によりまして、例えば田川地区につきましては毎年四億円程度の補助をさせていただいておりますけれども、現在、産炭地域振興実施計画の今後の十年の計画をつくっていただいておりますので、その中で今先生御指摘のありましたような自治体としての積極的な対応ということで計画の前倒しか行われるということでありますれば、国としても予算面でこれを最大限の支援をしていきたいというふうに思っております。
  167. 浜田康敬

    ○浜田説明員 災害に伴います廃棄物の発生につきまして厚生省の方からお答え申し上げます。  災害時に風でありますとか出水によりまして廃棄物が発生いたしますが、それを適正に処理するということは、生活環境保全あるいは公衆衛生の向上上大変大事なことであるということでございまして、現在も廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきまして補助ができるということでございますので、私どもといたしまして交付要綱を定めまして、そうした災害時に発生した廃棄物の処理が適正になされるように市町村に対する助成を行ってきたところでございます。  今回の特に台風十九号によりまして相当例年にないそうした処理の経費がかさんでいる。福岡県の十月十一日までの報告によりましても、県全体でそうした経費が四億三千万ばかりあるということを聞いておりまして、私どもとしても、こうした経費については従来のように交付要綱に基づきまして市町村に対する助成を行っていきたいというふうに思っております。そのための万全を期してまいりたいと考えております。
  168. 浅野宏

    ○浅野説明員 御説明申し上げます。  田川市の炭鉱住宅の改良事業につきましては、五十年代の半ばからお話があって、事業化の検討をした時期があるというふうに伺っておりますが、地区住民の方の同意がなかなか得られずに現在に至っておるということのようでございます。今回の台風を契機にいたしまして、地元の方でぜひ地区改良事業をやったらどうかというお話が出てきておるというふうに聞いておりますので、今後、田川市におきまして地区住民あるいは地権者、関係者の皆様方の意向を踏まえた上で事業化を進めるという形になりますれば、最優先して対応してまいりたいというふうに考えております。
  169. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ありがとうございました。  質問を終わります。
  170. 清水勇

    清水委員長 これにて鍛冶君の質問は終わりました。  次に、吉井光照君。
  171. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今朝より台風十七、十八、十九号に関しましていろいろと質問がされておりまして、本委員会で私が九番目の質問でございます。したがって重複するところが多分にあると思いますが、どうかお許しを願いたいと思います。  そこで、我が党は、この台風十七号に始まる一連の災害でもって、特に十九号被害を重視いたしまして党内に対策本部を設置いたしました。そして全国の被害状況を視察したわけでございますが、私も地元山口県で実際に十九号台風を体験もいたしました。さらに、全国でも有数の被災地となった山口県の重点地域二十二カ所を視察もし、その惨たんたる現状には改めて驚かされた次第でございます。  以下、こうした視察を踏まえまして、若干現場の声を代弁させていただきたい、このように思うわけでございます。     〔委員長退席、緒方委員長代理着席〕  時間が余りございませんので、まず初めに何点かまとめてお聞きをいたしますので、ひとつ簡潔に、明快な御答弁お願いしたいわけでございます。  まず最初の問題も、今朝来よりいろいろと質問がされたわけでございますが、いわゆる台風十七、十八、十九号、これを一連の災害として激甚災害法を適用すべきではないか、こういう意見でございます。しかしながら、答弁といたしましては、非常に難しい、このようなニュアンスの答弁でございますけれども、今回の台風は御承知のように、今までかつてなかった、いわゆる異質の台風でございます。したがって、この激甚災害法にいたしましても、立法の趣旨、これは当然大事にしなきゃいけないけれども、やはりこうした異質の災害台風については特別な面によって処置をしていくべきではないか、私はこのように強く考えるわけでございます。  御承知のように、各地方自治体も、いわゆる国が指定をするこの激甚災害によって初めて地方自治体の対策というものも出てくるわけでございまして、各地方自治体もこういった国の指定を今か今かと待っているのが実情でございます。今回の災害は雲仙・普賢岳とは違いまして、もう先月の末に終わって既に二十日になろうとしているわけでございますが、先ほどからのいろいろな答弁を聞いておりますというと、早く実態を掌握して云々という言葉がたびたび返ってくるわけでございますが、私たちが考えておる「早く」という言葉と皆さん方がお使いになっていらっしゃる「早く」という言葉は、どうもニュアンスが違うような気がしてなりません。したがって、こういった災害は、一日も早い救済を待っているわけでございますから、どうかひとつ、一日も早く実態把握が必要であるのならば、やはり掌握をされて、そして適切な指定お願いしたい、このように思うわけでございます。  考え方の一つとして、政府としては、これは当然かもしれませんが、やはり激甚災害法というものを中心として各省庁からいろいろと報告を受けて、そして今言った激甚災害法という枠の中で処理をしよう、このように考えていらっしゃるようでございますが、私は、こうした災害になりますと、一日も早く復旧対策を講ずるためにはどういう方法があるかということをベースにして考えていかなきゃならない、これが行政の責任ではないかと思います。  また、先ほどからもいろいろと質問がございました。この激甚災害の適用について、私立学校、こうしたものに対しても何とかならないだろうかという件でございます。特に山口県あたりは非常に弱小県でございまして、私立の高校、中学、小学校にいたしましても、非常に財政的に弱い学校でございます。この救助策につきましては私学振興財団、こういったものの一般融資枠予算で一応の対応ができると聞いておりますが、既に希望額が二百三十億円もオーバーしているので、この災害額についてはほとんど不可能な状態である、こういうことも聞いております。私も私立高校を視察いたしましたけれども、全く悲惨な状態で、そして、こういったいわゆる激甚災害の適用がなかったならば、全くお手上げの状態、こういう状況でございます。したがって、この激甚災害の適用について幅を広げるなり、何とかして一日も早くこうした結論を出していただきたいと思うわけでございます。  さらに、災害復旧にかかわる査定の早期実施の体制、これはどうなっておるか。特に大蔵省、この早期査定が行われないと、いつまでも事業というのは長引くわけでございまして、この早期実施もぜひとも行っていただきたい。  三番目といたしましては、災害復旧事業の早期完成、これをどのように考えていらっしゃるか。  それから四番目として、原形復旧ではなく、改良復旧の大幅採択をしていただかなきゃならない。もう既に昭和の初め、また場合によれば大正時代につくられた堤防、そういったものも数多くございまして、今回の災害でもってそういったところが多くの被害に遭っているのも事実でございます。したがって、原形復旧ではなくて改良復旧の大幅採択をぜひともやっていただかなきゃならないという問題。  六番目といたしまして、災害復旧事業にかかわる国庫補助金負担金の早期交付をしていただきたい、こういう強い要望がございます。  以上六点につきまして、各省庁からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  172. 鹿島尚武

    鹿島説明員 初めに激甚災害指定のことについて申し上げさせていただきます。  国土庁といたしましては、台風十九号等によりまして農林水産業関係中心に相当大きな被害が発生していると聞いておりまして、この事態を大変憂慮いたしております。被害状況についての確定的な報告を一日も早く農林水産省あるいは文部省を初め関係省庁からちょうだいいたしまして、関係地方公共団体等からの要望に配慮し、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。  もとより一般論でございますけれども激甚災害指定は、まず関係地方公共団体それから関係省庁において把握をされます被害状況を私ども国土庁において取りまとめをいたします。これを指定基準に照らしました上で、中央防災会議の方へ諮問、そして答申をもらうという手続を経ます。そして内閣法制局の審査を経まして、閣議で政令という形で決定をして公布し、指定が達成されるわけでございます。  そういうわけで、手続につきまして激甚災害制度自体が、先生三つ台風一体としてとらえるという御趣旨お話であったかと思いますが、制度の趣旨からかんがみまして、それが可能であればもちろん一番よろしいわけでありますけれども災害の原因となります気象現象同一性といったようなものが判断の基準としてとらえられるわけでございます。そこで私ども、もちろん一体としてとらえられればそれもまた一つの方法であろうと思いますけれども、基本的に気象現象同一性等といった基準がございますので、農林水産省初め関係省庁とも相談をし、この件につきましては適切に対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  173. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  私ども関係、二点あるかと存じます。  第一点、災害の査定についての御質問がございまして、大蔵省という御指摘がございましたが、実は査定作業そのものは各省庁のお仕事でございまして、地方公共団体の申請に基づきまして各省庁が、私どもの地方の出先機関で財務局というのがございますが、その財務局の立ち会いのもとでやっておるということでございまして、現在までも地方公共団体の申請があり次第できる限り速やかに対応しておりますので今後ともその方針でやってまいりたい、これが第一点でございます。  それから、第二点の災害復旧に対応するための所要の経費の問題でございますが、これは予算に一定枠が計上されているわけでございますが、災害等が多発いたしましてさらに追加的に経費が必要となりました場合には、予算の執行状況等をにらみながら毎年適切に対応しているところでございまして、本年度も適切に対処していく方針に変わりはございません。  以上でございます。
  174. 今藤洋海

    今藤説明員 災害復旧についてでございますが、今回の災害につきましては農地農業用施設それから林地の荒廃、森林被害、さらには水産関係の漁港等の被害等も大変多岐にわたってあるわけでございます。そうしたものの復旧工事の促進につきましては十分力を入れて、緊急を要するものから早期にやってまいりたいと思っておりますが、特に査定の早期実施につきましては、それぞれの県からの復旧計画書の作成等を待ちまして、地元の準備が整い次第早期の査定実施を行いたいと思っておりまして、必要に応じましては全国的に査定の応援体制を組むといったような形で早期査定を実施するように心がけておるところでございます。さらに、改良復旧といったことにつきましても、必要に応じまして災害関連事業の有効な活用といったことを指導いたしまして、改良復旧にも心がけていきたい、こういう考えで万全を期して進めてまいりたいと思っております。
  175. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今御答弁をいただきましたように、この激甚災害の適用となりますと、非常に煩雑な手続が必要であります。いろいろなところをずっと通っていかなきゃいけない。それだけに、各地から各省庁から情報を収集する、この作業をやはり急がなきゃいけない、このように思うのです。今、御承知のように高度情報化時代でございますので、あらゆる情報を駆使して、そして一日も早く情報を収集をして、そしてこの適用が一日も早く行われるように、ひとつ最大の御尽力をお願いしたいと思うわけでございます。  次に、停電対策でございますが、十九号台風特徴は御承知のように風台風、このように言われておりまして、公称、山口市で観測史上最高の最大瞬間風速五十三・一メートル、広島市では五十八・九メートル、これを記録したようでございますが、自衛隊とかその他のいろいろな観測所では、山口でも五十九メーター、また六十メーター近くの風速を観測をいたしております。したがって、県内戸数の八四%に当たるところの六十五万三千五百戸が、また中国地方では最高二百四十五万戸、全国で約七百万戸が長期にわたり停電をいたしました。そして、これは市民生活に重大かつ多大な影響被害をもたらしたわけでございます。  例えば、先ほどからもお話がございましたように、マンションやビルではエレベーターが動かない、また揚水ポンプが稼働しない、水洗トイレが使えない、洗濯、入浴はおろか飲み水にも事欠く始末。スーパーでは肉類や魚などのいわゆる冷凍食品の販売ができない。こういったように、食生活にも大きな打撃を及ぼしたわけでございます。また、ろうそく生活の中で肝心のテレビの台風情報というものが全然見られない。また、電池が切れるまでラジオに耳を傾けるという、それこそ不安といら立ちの毎日が続いたわけでございます。ということは、電気生活に頼る現代社会のもろさ、これが露呈をした形となりまして、もし、こうした大規模な停電というものがこの東京で起こったならば、一体どのようなパニックが起きるんだろうか、これを考えると非常に恐ろしい気がするわけでございます。被害者初め多くの国民の皆さんが今つくづく痛感していることは、停電時の備えはどうあるべきであるか、これは個人も行政もやはり真剣に考えるときが来たのじゃないか、このように思いますし、こうした国民の声に国は今後の停電対策に関してどのようなお考えを持っていらっしゃるか、お聞かせを願いたいと思います。     〔緒方委員長代理退席、委員長着席〕
  176. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、今回の台風による停電というのは非常に規模が大きく、かつ深刻なものでございまして、七百四十万戸に上る停電戸数、それから一部の地域でございますけれども、かなり長く停電の時間が続いたことなど、私どもも大変深刻に受けとめておるところでございます。  そこで、今回の台風の教訓をいろいろな角度から踏まえまして、今後の送配電設備の一層の信頼性の向上を目指した保守保安行政面での対策検討することがどうしても必要であるというふうに思っております。そこで、学識経験者等から成ります電力設備台風被害対策検討委員会を設けまして、早速十月七日に第一回目の会合を始めたところでございます。現在は、電力会社と一緒になりまして調査を進めておりまして、詳細な実態把握に努めますとともに、送配電系統の信頼性確保等に係る具体的な対応策について早急に取りまとめを行い、それに即して仕事を進めてまいりたいというように思っております。
  177. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今回の停電事故のもう一つの原因としていわゆる塩害が挙げられております。この塩害は随分ひどいものでございまして、中国電力の報告によりますと、中国山脈のふもとまでこの塩害が及んでおるわけでございます。したがって、中電といたしましても、消防車などが出動をしてその放水によるところの塩分の取り除き、そうしたことをしたわけでございますが、結局はぞうきんがけによって一つ一つの碍子をふく以外にこの塩害の除去はできない、こういうことでございます。したがって、こうしたいわゆる塩害による第二次災害、こうしたものも今後も考えられるわけですが、これに対しての何かお考えがございますか。
  178. 川田洋輝

    ○川田説明員 今回の停電につきましては、御指摘のとおり塩害による停電というのが中国電力管内を中心にかなり広範に発生をいたしたわけでございます。従来から沿岸部におきましては塩害対策が講ぜられてきておるところでございますけれども、今回の台風におきましては満潮時に近年に例のない強い風が吹いたため、予想を超えた広範囲に海水の降下がございまして、しかも通常の台風では強い雨を伴うために塩分が洗い流されるということがあるわけでございますけれども、今回は降雨がほとんどございませんでしたために塩害の被害が広がったということで、台風という自然現象について最も悪い条件の組み合わせが重なって発生した事象ということが言われておるところでございます。  いずれにいたしましても、このような事態が発生をしたわけでございますので、詳細な実情調査を踏まえながら、先ほど申しました委員会検討の中でも塩害対策というものにも十分検討を加えてまいりたいというように思っておるところでございます。
  179. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 この停電のもう一つの大きな原因は、やはり電柱の倒壊、また物的損壊、これが当初の予想を大きく上回ったんだ、このようなことも言われているわけでございます。現に山口県下で鉄塔の崩壊が八基それから電柱の倒壊九百五十本、傾斜が千九十本、断線が五百十カ所、このようなかってない大きな被害状況でございます。  こうした被害を二度と繰り返すことのないように、抜本的な防災管理対策の見直しが叫ばれているわけですが、その中で電線の地中化がやはり多くの国民の皆さん、また有識者の中から指摘をされておるわけでございます。私も昭和五十九年に例の世田谷のいわゆるケーブル火災事故に関連をして地方行政委員会質問をしたこともあるわけでございますが、この地中化の問題はもうずっと古くから議論をされまして、一部では着手されてはいるものの、なかなかこれが前進をしていないようです。したがって、現状はどうなっているのか、また地中化した場合の何か欠陥があるのかどうか、この点についてひとつ簡潔にお答えを願いたいと思います。
  180. 川田洋輝

    ○川田説明員 配電線の地中化につきましては、昭和六十年に関係省庁でいろいろ相談をいたしまして、昭和六十一年度以降十年間でおおむね一千キロメートルの地中化事業を行うこととしておりましたが、その後電気事業につきまして円高差益が大きく発生する、あるいは原油価格の大幅な低下等が見られるといったような経済情勢の変化がございましたので、事業の前倒しを行いまして、その結果、当初の五年間、昭和六十一年度から平成二年度までで約九百五十キロメートルの地中化を達成いたしたところでございます。全国の地中化の累積実施規模は、平成二年度末で約一千三百キロメートルと相なっております。  それから、お尋ねの第二の配電線の地中化を行う場合の問題といいますか、そういうことを申し上げますと、一つは架空線方式、空間にかけます場合と比べますと十ないし二十倍の建設費が必要となること、これがやはり長く積もりますと料金問題というようなことにはね返ってくるわけでございます。それから、日本の町というのは非常に発展の度合いが大きいものがございまして、電気の工事もしょっちゅう繰り返されております用地中化を行っておきますと、施工後は掘り返しというのが必要になってまいります。したがって、成熟したところで行うのはやさしいのですけれども、発展の途上にあるようなところではなかなか難しいというような問題がございます。それから、変圧器とか開閉器とかいった関連機器を今度は地上に置くことが必要になってまいります。そのスペースを確保することが所によっては難しい、こういう問題があるようでございます。  ただ、私どもとしても、配電線の地中化は安全で快適な通行空間の確保とか、あるいは都市防災活動の円滑化とか都市景観の向上といったようないろいろなメリットがあるわけでございますので、着実に進めてまいりたいというように思って、関係事業者を指導しているところでございます。
  181. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 この地中化の問題につきましては、外国では発展途上国でさえも非常に進んでいる、このようにも聞いておるわけでございますが、先ほどからいろいろ指摘を申し上げましたように塩害は当然解消されますし、また、電柱などの倒壊による断線の心配もありません。また、作業も高いところよりは地下の方が安全でやりやすい、こういったいわゆる自然災害に強いということが指摘をされているわけでございますが、さらには美観の面においても非常にすぐれておる、こういうことです。先ほどおっしゃったように、コストの面でどうなるか。これは私は、今から研究がどんどん進んでいけばコスト面においても大幅なダウンは期待できるのではないか、このようにも思いますし、また共同溝方式にすればやはりこうしたコストダウンというのは容易ではないかというような気もするわけでございます。  私のところの県道も、電柱が数十本軒並みに全部倒れました。そして一見異様な感じがしたわけでございますが、電柱が立ってない、電柱がない、これを見たときに空というものはこんなに広いものか、このような感じさえしたわけでございます。そして電柱の地中埋設が今後の地域アメニティー、それから災害防止というものについてぜひとも必要だな、こういうことも痛感をしたわけでございます。したがって、こういった地中埋設の問題につきましても今かなり進んでいるようではございますが、ひとつしっかり研究を重ねられて、これがより一層進むように御努力を願いたいと思うわけでございます。  それから、この地中埋設もそうでございますが、こういった台風の問題。これもせんだってあるマスコミで紹介されておりましたが、台風の我が国への上陸数、これが約三十年から四十年置きにピークがやってくる、このようなお話が載っておりました。一九六〇年代をピークにその後は減少傾向だったのが八七年から増加に転じた、九〇年代は台風ラッシュになりそうだ、このように気象庁のある専門家が打ち出して、近く開かれるところの日本気象学会で発表されるそうでございますが、こうした専門家の意見だけに非常に説得力があると思うのです。こうした点を真摯に受けとめるならば、やはり国においてもこの際、電線などの地中化という問題に思い切った踏み込みを行うべきではないかと思いますが、もう一度この点について御決意をお伺いしたいと思います。
  182. 川田洋輝

    ○川田説明員 配電線の地中化につきましては、先ほど申し上げましたとおり、我々としてそれ自体として着実に進める必要があるというように思っておるところでございます。御指摘のとおり地中化が塩害のための対策としても有効な面、これは十分あるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、架空線方式に比べで十ないし二十倍の建設費がかかるといったようなこともございますし、それから塩害以外の地震、大雨等に対する送配電設備の災害対策上有効であるかどうかについて疑問の声もないわけではございません。私ども、先ほど申し上げましたが、電力設備台風被害対策検討委員会というのをこのところ設けましたので、こういった点もこの委員会で論議をして、塩害対策は塩害対策としてきちっと進めたいと思いますし、配電線の地中化問題につきましては関係省庁とも今いろいろな論議をさせていただいているところでございますので、着実にこれはこれとして進めてまいりたいというように思っております。
  183. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 次に、情報の伝達システムでございますが、これが今回非常にあいまいな点があったわけでございます。停電で真っ暗やみの中で地域住民はいかにして情報をキャッチするか。しかも、正しい情報を何とかしてキャッチをしたい。そのためには私は、電力会社とそれからいわゆるお役所、行政サイド、こうしたものが絶えず連携をとり合いながら正しい報道というものを住民に知らせていくべきだと思うのです。  現に我が町におきましても、地域によっては一週間目にようやく通電をした地域があります。大部分の地域が四日問から五日間停電をいたしました。中国電力からの情報は、一日一日延期をされるわけです。例えば明日からはこの地域は電気がつきますよ、このように情報を流しておきながら、実はまだつきません、もう一日待ってください、実はまだ、もう一日待ってください、このように一日一日延ばされた、こういう事例があちらこちらで起きてくるわけです。そのために住民としては大混乱です。例えば冷蔵庫の中にこれだけの品物がある。あす電気がつけばここにしまっておいても大丈夫。それでしまっておいた。それがまたいつまでたっても電気が来なかった。したがって、それがもう全部腐ってしまった。こういういろいろな事例もございます。  また、ある主婦のごときは、あの深夜、あの台風の中を何とかして情報をキャッチしようと思って、ようやくの思いで市役所の支所に行ってみれば真っ暗で、当然これは真っ暗ですけれども、かぎがかかってだれもいない。どこで情報をもらっていいかわからない。近所にはお年寄りの方もたくさんいらっしゃるし、こんな無責任なことでいいのでしょうかというおしかりもちょうだいしたわけでございます。私は、電力会社とそして行政サイドというものが絶えず連携をとり合いながら、正しい情報というものを市民に提供する必要があるのじゃないかと思いますが、この点についてはいかがですか。
  184. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答え申し上げます。  全く先生御指摘のとおりだと思います。今回の台風による教訓の中で、広報の問題というのが非常に大切だということを改めて私ども痛感をいたしております。もちろん私どもといたしましても、九月三十日に中国電力などまだ停電状況にある電力会社に対しまして、復旧を急ぐべきこととともに、停電中の需要家に対する広報の充実について十分行うような指導などもいたしたところでございますけれども、中国電力に関して申しますと、今回は非常に規模の大きい停電が生じたこと、それから塩害という途中からの思わざる事態が発生したこと、そういうことなどもございまして、電力会社も相当な努力はいろいろやったようでございます。地方自治体、警察その他の関係者との連絡とかあるいはマスコミを通じてのいろいろな活動に努力したようでございますけれども、いろいろ聞いてみますと十分ではない。これは災害時、かなり難しい問題もあろうかと私は思います。しかし、今回の教訓をいろいろ踏まえて、私ども広報体制の整備につきまして調査研究を進めてまいりたいというように思っております。
  185. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 次に、便乗値上げ、それから人手不足の対策、こうしたものについてもぜひお聞きしたかったわけでございます。  便乗値上げにつきましても、山口県としても早速五十名のモニターを総動員いたしまして価格の監視に当たった、こうしたことで、今は大した混乱も起きていないようでございます。一時的には前日八百円だったいわゆる波板が明くる朝行ってみれば二千五百五十円になっておった、こういういろいろな話を聞くわけでございますが、現在何とか落ちついているようでございます。  また、人手不足の問題、これもやはり地方に行けば非常に深刻でございます。ある町に行きますと、かわらがたくさん破損をしておる。しかしながら、それを修理してくれる職人さんがいらっしゃらない。したがって、そこの奥さんに聞きますというと、うちは百二十五番目ですよ、このようにおっしゃる。百二十五軒目、これを待たなければ屋根の修理ができない、このような状態でございますが、こうしたものについても、ひとつぜひとも適切な御指導をお願いしたいと思います。  次に、ミカン被害についてでございますが、これも今朝来いろいろと質問が出ました。天災融資法はいつ発動されるのか、その見通しについてお尋ねをしておきたいと思うわけでございます。それとともに、抜本的な救済策はどう考えられているのか。  山口県は御承知のようにミカンが県花になっております。山口県の大島郡というところは四町ございますが、その中心地でございます。また、愛媛県におきましてもミカン産地が非常に多くて、特に温泉郡の中島町、ここにも石田議員を中心調査団が入ったわけでございますが、やはり深刻な悩みを披瀝いたしております。ミカン農家の従事者の平均年齢が六十五歳といういわゆる高齢化、そしてオレンジの自由化の波の中で何とかして品種改良して頑張っていこうということで、一生懸命で品種改良に涙ぐましい努力をしております。そのかいあってかここ一、二年、御承知のように高畝マルチ農法だとかいったことによって、非常に品質のいいミカンができ出した。ところが、今回のこうした災害に遭って、それこそ全滅の状態でございます。  米であるならば、ことし不作ならば来年豊作になるかもしれないという希望があります。ところが、ミカンはそういうわけにまいりません。やられますと、早くて五、六年しないといわゆる収入のあるミカンができない。場合によれば十年かかると言われている。しかも先ほどお話がありましたように、苗木でさえも不足しておる。こうなりますというと、後継者が全然育たない。こんなに長くかかる作物は後継者がとてもじゃないが、じゃ私が後を継いでミカン農家をやっていこうという人は皆無の状態であります。したがって、現地へ行きますと、本当に暗い表情で、それこそ泣きながらの訴えと言っていいほど深刻でございます。せっかくここまで育ててきたミカンが、それこそ一夜にして塩害のために全滅してしまった、こうした状況。したがって、こういった後継者対策、また救済対策、どのようにされようとしておるのか。何といってもそこの島の基幹産業ミカンでありますから、後継者がなくてこの産業がつぶれてしまったならば、もう全くその島は死の町になるのじゃないか、このように農家の皆さんは話していらっしゃいますけれども、こういった点について、ひとつ対策をお聞かせ願いたいと思います。
  186. 今藤洋海

    今藤説明員 天災融資法発動につきましては、現在、被害状況それから資金需要調査の取りまとめを急いでおるところでございます。この結果に基づきまして同法を発動する方向関係省庁協議を行い適切に対応してまいる所存でございますが、通常、災害から五、六十日程度を要しておるところでございます。一日でも早く発動できるように準備をしたいと思っております。
  187. 小高良彦

    ○小高説明員 御説明申し上げます。  台風等によります災害の救済対策といたしましては各種の融資制度とか共済制度があるわけでございますけれども、これらを活用することが基本であると考えておるわけでございますけれども、目下被害状況の把握に努めているところでございます。  また、主要な果樹の被災地に対しましては専門家を派遣いたしまして、被害果樹の管理等につきましての技術指導に努めているところでございます。  農林水産省といたしましては、被害を受けられました農家が果樹生産に意欲を持って取り組んでいただくということは極めて重要であると考えておりまして、今後被害の実態が明らかになり次第、その状況に応じまして、今後の果樹農業の振興に資する観点に立ちまして必要な対策検討してまいりたい、このように考えております。
  188. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 最後に個人災害救済制度について一言お尋ねをしておきたいのです。  今回の台風被害、これはいわゆる個人災害にあることは消防庁の調べでも明らかでございます。ところが、天災による個人災害の補償、これは原則的に認められておりません。したがって、どうしても自衛手段として火災保険に加入をしたり、また、地方自治体では独自に、災害に関連した数々の貸付制度、こうしたものを実施し救済に努力をしておるわけでございますが、民間の金融機関でも優遇ローン制度、このように救済に協力をしておるわけでございます。したがって、国としても個人災害に対する救済の手をやはり積極的に差し伸べるべきではないかと思うのです。例えば幾つかの自治体で既に導入をいたしておりますところの水害を初めとする災害保険制度、こうしたものも国レベルで考えていくべきじゃないか、このように思うわけでございます。  また、床上浸水等の被害を受けた世帯に対しては所得税の減免措置、雑損控除等もあるわけでございますが、こういったものもしっかりPRする必要があると私は思うのです。いろいろな補償制度につきましては、例えば県やまた市町村においては早速チラシを全戸に配付いたしまして、こういう制度がありますからぜひとも利用してください、このようにPRに努めております。また、山口県ではせんだって、かわらの簡単な手入れの方法、こうしたものも図面にかいて、そしてこれを一戸一戸、全戸に配付をいたしております。そうした意味からいっても、国税庁は、減免措置や雑損控除等、そうした問題についてもひとつしっかりPRをしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  189. 藤井保憲

    ○藤井説明員 お答えいたします。  災害を受けられました方々に対します国税の面での救済措置といたしましては、申告納付等の期限の延長、納税の猶予、租税の軽減免除等がございますが、こうした措置並びにその手続等につきまして、種々の広報媒体を用いましてその周知を図っておるところでございます。  幾つか具体的に申し上げますと、被災地を管轄いたします国税局や税務署におきまして、救済措置や手続について説明したチラシを、これは被害を受けた納税者等にできるだけ多く配付をいたしております。また、市町村広報誌でございますとかマスコミを通じました広報、そういったことにも努めております。さらに、税務署に災害相談窓口を設けまして、担当者を配置して個別の相談に応じる体制をとっております。このほか、地域の実情に応じまして、立て看板でございますとかポスター、そういったことを通じて被災納税者に対する広報に万全を期するよう努めてまいっておるところでございますが、今後ともよりきめ細かく制度の周知等に努めてまいりたいと考えております。
  190. 鹿島尚武

    鹿島説明員 個人が災害を受けたときに行われる救済措置といたしましては、既に、災害救助法に基づく食品の供与あるいはまた応急仮設住宅の供与等がございます。また、災害弔慰金、災害障害見舞金の支給、災害援護資金の貸し付けといった制度もございます。また、住宅金融公庫によります災害復興住宅資金の融資もあります。さらにまた、ただいま租税の減免、猶予等の御説明がありました。いろいろ制度がございますが、いずれも個人の自立を援助するというような立場から行われているものというふうに一般に理解をされているところであろうかと思います。  先生御提案の保険制度というものにつきまして、我が国は、地震、台風、豪雨、豪雪、火山噴火等、いろいろな種類の自然災害を受けやすい状況にございます。地域ごとの髪もございましょうし、災害の種類も違っておろうかと思います。あるいはまた災害の発生の確率等にもいろいろ問題もあろうかと思います。その間、公正、公平の観点からいろいろ考えるべき問題もあろうかというふうには考えるわけでありますけれども、こういった課題を踏まえながら、御提案でございますので、私どももこういった制度の必要性あるいはまた実現可能性につきまして勉強していきたいというふうに考えております。
  191. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 以上で終わります。
  192. 清水勇

    清水委員長 これにて吉井光照君の質疑は終わりました。  次に、藤田スミ君。
  193. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表いたしまして、質問の初めに、まず、台風十九号を初めとして、相次ぐ台風被害等で犠牲になられた皆さんに心から哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆さんにも心からお見舞いを申し上げたいと思います。  日本共産党は、青森、秋田、長野、広島、島根、福岡などに調査団を派遣しまして、重点的な被害調査を行ってまいりました。連続したこの台風は、人的被害のほかに、六千億円に上る甚大な農業被害特徴とし、家屋の全半壊等個人被害の大きさ、あるいは文化財や学校その他社会福祉施設等々、分野を分かたず、広範かっ深刻な被害を広げております。  先ほど来からもお話がありましたが、各地から一日も早い激甚被害指定早期復旧の要望が強いわけでありますが、天災融資法を初め、指定可能な分野はすぐにでも指定をし、あるいはその方針を伝えて励ますべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  194. 植竹繁雄

    植竹説明員 今藤先生お話ございましたように、まず今回の災害につきましては、本当に多くの方が亡くなられ、心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、また、多くの被災者方々に対し心からお見舞い申し上げる次第でございます。  こういう被災者方々に対し、私どもは、まず天災融資法を初め、また激甚指定の点につきましても、その指定基準によりまして、災害状況に応じましていろいろ対応するわけでございまして、そういう点について関係公共団体あるいは関係官庁等に調査を依頼しまして、適切に処理してまいりたいと思うのでございます。  また、十九号の災害というものが、農業関係、農林業関係に多大なる損害を与え、この点について私ども本当に憂慮すべきことだと考えまして、農林省、農水省を初め関係団体、関係省庁において速やかにその実態調査を依頼し、そして適切に対応していきたい、かように考えておるところでございます。
  195. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 実は、昨日も農林水産委員会が開かれまして、この災害問題について質疑が行われました。その中で、近藤大臣は、農民に精神的な打撃を与えているので迅速に対応しないと、日本の食糧、農業の将来にかかわる問題だ、ここまでおっしゃっておられるわけです。私は、細かな数字、それはともかくとしても、もうここまで被害がはっきりしている以上、指定基準をはるかに上回っているということは事実なんですから、そういうことならば、方針だけでも一日も早く打ち出すべきだというふうに考えるわけです。もう一度御答弁をいただいておきたいと思います。
  196. 植竹繁雄

    植竹説明員 今申し上げましたとおり、天災融資法、農業関係でございますが、その他いろいろな公共事業等における災害も多々あるわけでございます。  そういう意味におきまして、今回の災害は、政府としまして全体のことを考えて速やかに対処していかなくてはならない、そういうことでございますので、もちろん、農水省初め関係省庁に早急な実態調査を依頼し、また、お願いし、それを掌握することによって早急にこれを解決していくかたい決意で臨んでおるところでございます。
  197. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私も青森県に参りました。これもきのうもリンゴの被害対策について若干の質問をしておりますが、きょうはここからもう少し細かくお尋ねをしていきたいと思うのです。  青森県下では弘前市を初めとして、もうこの状態を成り行き任せにしていたら地域経済も崩壊してしまう、人もいなくなる、そういうことで必死で、やれることは何でもやろう、やれないことでもしなければならないんだと悲壮な決意を持って取り組んでいらっしゃるわけです。だから、例えば落下リンゴの加工用への利用についても、これはリンゴ協会で聞いた話ですが、糖度一〇%ならジュース用の規格に十分合う、ふじなどはそういう糖度をはるかに超えているものもあるけれども、しかし、冷蔵保管すればもっと糖度をふやすことができる、この際、お金を出そうじゃないか。青森県と各自治体は一箱二百円の補助を計画しています。政府も落下リンゴの運搬費だとか冷蔵保管、こういうものにぜひ補助をしていただきたい。  もう一つの問題は、もう出稼ぎに出始めようとしているんです。しかしながら、傷ついた、倒れたり枝折れしたりしたそういうものをほったらかしにしていくと、リンゴの木というのはどんな小さな傷からもすぐ腐乱病のような菌が入ってまいります。そうすると、入れば二年ぐらいずっと潜伐期間を持って、周りに被害を広げていくわけです。だから、被害がなくても休眠期の防除というものが大事だと言われているわけです。しかし、例えばその農薬も石灰硫黄合剤というのは十アール当たり一万円というような高いものにつきますし、したがって、もうあきらめて出ていこうというような人たちが多い中で、こういう問題が非常に心配されています。だから苗木の補助あるいは農薬の補助を国も実施するべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  198. 小高良彦

    ○小高説明員 御説明申し上げます。  まず、青森県を初めといたしまして全国的に大量のリンゴの落下果実が生じているところでございますけれども、これらにつきましては可能な限り生食用なり加工用として利用していくことが重要だと考えております。被災農家の要望に積極的に対応していただくよう、関係団体への指導を行ってきたところでございます。  台風十九号等によります落下リンゴが果汁用としてどれぐらい利用できるかは、ぶし等の晩生種の熟度の問題等々もございまして、今のところ把握し得ず、明確に申し上げられないところでございますけれども、昨年が果汁原料仕向け用が二十二万トンということでございましたが、これを上回るのではないか、このように考えております。このため、今後のリンゴの搾汁状況を見る必要もございますけれども、搾汁量の増加の程度によりましては、搾汁を効率的、計画的に行うために、貯蔵、保管、管理とか、県内外の工場との連携協力を行うことも考えられますので、御指摘の件につきましては、状況を見つつ検討してまいりたい、このように考えております。  続きまして、農薬とか苗木の問題でございますが、農薬によります防除につきましては、管理作業の一環として一般的には普及しておるものでございまして、経営経費の一部となっているというこどでございますので、従来からリンゴの腐乱病等の一般的な病害虫防除用の農薬購入費に対する助成は行っていないところでございます。  また、御指摘の改植等の苗木の問題でございますけれども、これにつきましては、現在被害の実態の把握に努めているところでございまして、被害果樹の管理等に関します技術指導に現在努めているところでございまして、これらの結果を踏まえまして、今後の果樹農業の振興に資する観点に立ちまして検討してまいりたい、このように考えております。
  199. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ただいまの御答弁は、冷蔵保管、そしてまた運搬は県外に運ぶものについては検討していきたい、苗木については育苗施設への補助も検討していきたいというふうにお聞きをいたしました。農家が農協から受け取っております前渡し金、これはリンゴの場合ですが、これもまた米同様生産できなくなっているわけです。そのために、新たな融資を行って、これに各自治体が利子補給を行って無利子にしたり、こういうこともやっています。また、青森県下の黒石市ですが、そこではリンゴ栽培農業救農資金というのを十億組みまして、落下リンゴ一箱につき千円貸し付けて、十年返還で五年据え置き、こういうことで手だてをとっているのです。黒石市はそのために八億五千万円のお金を出しているわけですが、このような対策に対してもぜひバックアップを検討していただきたいというふうに考えます。  あわせて自治省にお願いをいたしますが、非常に財政力のない自治体、しかし、ほうっておいたらその町全部だめになってしまうということから、精力的な取り組みをもう始めているわけです。したがって、特別交付税などそういう手だてで万全の応援をしていただきたいわけでありますが、いかがでしょうか。
  200. 今藤洋海

    今藤説明員 被災農家に対します資金の対応につきまして、農林水産省といたしましては、経営資金としての天災融資法に基づきます資金、それから収入減の補てん等のための自作農維持資金、さらには、施設等の関係復旧資金といたしましての農林漁業金融公庫の施設資金等各種の資金を用意して対応しておるところでございます。  市町村が、申されましたような低利の単独の融資制度、そういったものを設けられるというような話も聞いておりますが、私どもとしましては、それぞれの地域においてそうした制度を独自に設けられるということはもちろんでございますが、先ほども申しましたような国の制度資金といったものに上乗せをするような形で対応していただくということが市町村の財政資金の有効活用ということからもよろしいのじゃないかということで、私この間青森へ参りましたときも市町村長の方々にも、国のいろいろな制度資金があるので、そういったものへの上乗せといったようなことで御活用をお願いしたいということも言っておきました。そういったことでの活用をぜひよろしくお願いしたいと思っております。
  201. 遠藤安彦

    遠藤説明員 お答えを申し上げます。  今回の台風地方団体大変被害が大きかったわけでありまして、公共の災害復旧事業を初めとしまして、地方団体には大変大きな財政需要がそれぞれ生じているものと承知いたしております。私どもとしましては、これらについて実情をよく調査をさせていただきたいと思いますが、地方債配分あるいは交付措置を通じまして適切に対応したいと考えております。特に、御質問ありました特別交付税の点でございますけれども被災地方公共団体が実施します災害救助事業だとか災害復旧事業など一般財源がかなり必要でございます。そういった点も考慮いたしまして、ただ交付税でございますので、できるだけ客観的な要素で算定をしたいという意味で、例えば国の補助負担金を伴う災害復旧事業費の額あるいは被災世帯数あるいは農作物被害面積などを指標にしまして交付税の算定を行いまして、財政運営に著しい支障が生じないよう配慮をしてまいりたいというように思っております。
  202. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 農水省は、大臣がおっしゃったようにもう少し迫力を持ってください。それから、吹田大臣は現地を歩いていらっしゃるわけですから、これまでのいろいろの客観的要素に加えて、やむにやまれず取り組んできているこの自治体の施策というものも十分勘案して、特別交付税措置をとっていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  それから、出稼ぎではなしに、できるだけ地元で農民が働けるようにすることがこれまた非常に大事になっています。したがって、救農土木事業を実施しなければなりませんが、これは農家の救済をも目的とするものですから、個人の収入が確保できるものを実施することが非常に重要だと思うのです。そうしたところに政府が被災者の救済をやる、やる気を示す一つの重要なバロメーターにもなると思いますので、この救農土木の事業の実施についてお伺いをいたします。
  203. 岡本芳郎

    ○岡本説明員 被災農家の生活救済について御説明いたします。  農林水産省といたしましては、被災農林漁家の生活救済のため、既に実行段階にある本年度の農林水産関係公共事業の執行に当たりまして、被害の実態、地元における就業の希望等を勘案の上、地元雇用の確保等に対してできるだけ配慮を行うよう指導してまいりたいと考えております。  このため、農林水産省といたしましては、近日中に平成三年度における今後の農林水産関係公共事業の実施の促進を図るとともに、市町村を通じ、当該地域における農林漁家の就労希望等を的確に把握いたしまして、関係公共団体等と密接な連携をとりつつ、被災農林漁家の就労が円滑かつ効率的に行われるよう関係局長から各地方農政局長あてに通達する予定でございます。  以上でございます。
  204. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 どうぞぜひ、そのために特別の財源を確保する意欲で補正予算を組むなどしていただきたいということをつけ加えておきたいと思います。  次に、自治省にお伺いをいたします。  家屋などの被害、いわゆる個人被害への見舞い金を各地方自治体が出している例が多くなってきています。私たちが調査に行ったところでも、例えば日本海中部地震の経験から、秋田県は全壊三十万円、半壊十万円の見舞い金を出すという要綱を持っています。さらに市町村では、例えば阿仁町では全壊二十万円、半壊十万円、屋根全壊三万円、屋根十万円以上の被害に対しては一万円を出す、こういうようなことを決めているわけです。福岡県では全壊四万円、半壊二万円、北九州市も全壊四万円、半壊二万円、田川市では全壊五万円、半壊三万円、こういうふうになっているわけです。私の言ったこと、間違っていますか。確認したいわけです。
  205. 遠藤安彦

    遠藤説明員 私どもとして、各自治体が具体的にそれぞれの制度としてどういう制度を持っているかということを詳細に知っているわけではありませんが、そのようなことを実施しているということについては知っております。
  206. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私はこの際、ぜひ自治省が、こういうふうな個人被害に対して各自治体がどういうふうな施策を行っているかということは調査をしていただきたい、そのことをお願いしたいわけですが、いかがですか。
  207. 遠藤安彦

    遠藤説明員 私ども特別交付税算定をいたすときに、各地方団体におきまして特別に財政需要があった項目について都道府県の地方課を通じて報告されていきますので、災害関係についてはそういった見舞い金なら見舞い金ということで、どのぐらいのお金がかかっているのかということについては報告があるものと思っております。
  208. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 今すぐとは言いませんが、どうぞその報告を一度トータルして、私の方に御報告をいただきたい、委員長にもお願いをしておきたいと思います。
  209. 清水勇

    清水委員長 わかりました。
  210. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、この委員会で個人被害の補償の問題について、災害弔慰金法を改正して、そして家屋だとか家財の被害も支給の対象に入れるべきだ、こういう提案を繰り返してまいりました。国土庁も個人被害対策の充実を図る努力をする、実は長官からも御答弁をいただいております。  最近、報道を見ますと、国土庁は各県が掛金を払う共済制度のようなものを検討して、これで被災者の救済をしよう、こういうふうに考えているというふうに私は読んだわけですが、いかがなんでしょうか。私はこのことはとてもいいことだ、個人被害に手が加えられるという意味で大変大事なことだし、ぜひ積極的に進めてほしいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  211. 鹿島尚武

    鹿島説明員 今回のような台風被害に対しましては、従来から共済制度とか保険制度を初めといたしまして、既存の制度を活用した自力救済というような原則にのっとって行われているものというふうに理解しております。その場合に、自力救済をお手伝いをする具体的な方法につきまして、社会経済情勢の変化等を踏まえまして、現行制度による救済の現状とか地方公共団体の意向等をもとにいたしまして、今後研究を行っていくことが必要であるというふうに考えております。
  212. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 新聞の記事では、もう来年から実施すると言わんばかりの記事になっておりますが、なかなかここで局長からそういうふうに御答弁をいただけるというふうには思いませんけれども、しかし、ぜひ政務次官、これは国土庁、応援してほしいのです。そして、少しでも道が開けるようにしていただくことが非常に大事だと思うのです。雲仙・普賢岳のあの問題でも今回の台風でも、何といっても住宅や個人の被害が深刻で、生活の道が断たれるというような事態になっているわけです。今問題にしているこの個人被害対策をやらなかったら、率直に言って、実感として国の災害対策はなかなか評価されない。何もやってくれないじゃないか、こういうふうに言わざるを得ないわけです。これは国民の生活の実感としてそうなんです。だから私は、そういうふうな危機感を持ってぜひ事を進めていただきたいと思いますが、政務次官から一言。
  213. 植竹繁雄

    植竹説明員 今個人災害の点につきましては局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、先生がおっしゃる趣旨もよくわかりますし、個人災害、個人の救済という点は非常に大事な点でございますので、よく勉強させていただきたいと思います。
  214. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは、厚生省にお伺いをいたします。  生活資金の確保の問題につきましては、雲仙対策でも生活福祉資金が百九十件、九千五百万円の貸し付けで大きな役割を果たしています。この生活資金というのは生活福祉資金の中の災害援護資金なわけでありますが、弔慰金法では全壊あるいは世帯主の負傷というような条件がつけられておりまして、ためにこの雲仙、島原でも数件しかこの分野では活用をされておりません。しかし、この災害援護資金はそういう条件がありませんで、先ほど紹介しましたように大変多くの皆さんが利用していらっしゃいます。  この制度は、災害で生活に困った人にとりあえずの生活費を貸し付ける、そして被災者の実態、窮状に直接目を向けてこたえる、そういう点で非常に重要な制度だというふうに思います。私ども調査した自治体の中でも、この制度をパンフレットにして住民に全戸配布しているというような町もありました。ところが、この資金はことしの予算十七億円です。そして、各県に配るときに、長崎だけはああいう問題がありますので九千四百万円という要望どおり出したわけですが、ほかの県は、まあ半分で辛抱せい、こういうことで半分に削られてしまったために、今回のような災害が起こってくると、はて困ったことだということで、実は福岡県でも我が党の調査団に対して、特にこの問題について財源を確保してもらいたい、そうして要望にこたえられるようにしてほしいというふうに強く求められてまいりました。  ここでぜひ厚生省の方にも御奮聞いただいて、予備費だとかあるいは補正を組んで財源を確保し、各県の要望にこたえる、このことを明言していただきたいわけです。また、所得制限の緩和や、額を十分認めることも大事なことだと思いますが、いかがでしょうか。
  215. 松本省藏

    ○松本説明員 生活福祉資金の貸し付けにつきましては、各都道府県ごとに貸し付け状況が異なっております。そういうこともございまして、現在一部の県におきまして、貸付枠は非常に厳しくなってきているという状況にあることは私どもも承知いたしております。財政事情が厳しい中で、国庫補助金交付に当たりましては、貸付枠が厳しくなっている県に重点を置いて交付をするというようなことの配慮を行ってきているわけでございます。さらに、今回の台風十九号などで大変被害を受けたわけでございまして、各県から生活福祉資金財源の確保の要望、たくさん承っているところでございます。現在その各県の借り入れ申し込み状況、あるいは借り入れの見込みというようなものについての把握に努めているところでございます。これを踏まえまして、必要とされる経費の確保について、厚生省といたしましてもできる限りの対応を図っていくように努力をしたいと考えております。  また、所得要件等につきましては、一般的には生活福祉資金は低所得世帯というような方々に対する貸付制度でございますが、画一的にならないように、地域の生活実態を踏まえて低所得の判定をするようにということで各県に対して指導してきているところでございます。
  216. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この制度は、一年ないし二年据え置き七年償還、利率は三%、百五十万円まで、これは個人にとっては大変助かる資金です。したがって、今厚生省の方はその財源を確保するために努力をしたい、こういうふうにおっしゃっていますので、ぜひこの点は国土庁の方からも応援をしていただいて、財源確保が成るように努めていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。
  217. 植竹繁雄

    植竹説明員 今御要望の点につきましては、その問題を初め全部の、今度は災害につきましては財源対策が大きなそのポイントでございまして、その意味におきまして総体的な財源対策、そして今先生御指摘のこの問題についても考慮に入れまして対策を財政当局とも検討しながら進めていきたいと思います。
  218. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは、気象庁にお願いをしておりますので、次の問題に移りたいと思います。  青森、秋田の今回の災害はもう本当に史上空前というようなものでありました。ところが、あれだけの、八〇%のリンゴを落としたという風、屋根を吹き飛ばしたという風が、瞬間風速で幾らだったのかというのが気象庁でも実はわかっていないのです。私、何でこういう言い方をするかというと、弘前市に参りました。そうしたらこういうふうな陳情書というのが準備されておりまして、私それをいただいてまいりました。この陳情書の中には、要するに今回のこの災害を受けて緊急を要する十一の項目が並べられております。その十一の項目の中の一つに「気象観測施設の拡充について」というのが挙げられているわけです。私は驚きまして弘前市がどうしてこういうことを言うのかと説明を聞きましたら、弘前市にはかつて気象通報所があった、職員もいた。だから当時は最大瞬間風速がどれぐらいだったかという数字もつかめた。しかし、今あるのはアメダスだけでわからない。弘前は八甲田山と岩木山のちょうど風の通り道になっていまして、いわば風の関所みたいなものだと私は思ったわけですが、こういうところにある通報所を廃止されてしまったので、一体どれくらいの風で落ちたのかさっぱりわからぬというのが大きな怒りであり、今回この十一項目の一つに挙げている理由であります。  私は、気象庁から、アメダスでは弘前の風速の最高はどうなっているのかということで資料をいただきました。九月二十八日の午前六時の、これが弘前市の中で最高の風速ですが、つまりその風速はたったの十四メートルです。あれだけのリンゴを落としながら風速十四メートルという記録なんです。怒るのは当たり前だと思いませんか。青森の気象台は青森市にあります。ここの最大瞬間風速は五十三・九メートルを記録しています。ところが、同じ青森にあるアメダスは、これが二十八メートルの記録しかないわけです。気象台でちゃんと人間がいてそこで見ているところは五十三・九メートル、アメダスは二十八メートルの記録が最大だ、こうなっている。弘前の共済組合では三十五メートルで風速計が振り切れてしまいました。黒石の消防署では六十メートルで振り切れてしまった。したがって、最大瞬間風速は推定六十二メートルと県内では統一していますが、これはあくまでも推定であって、一番ひどいところの公式記録はないわけです。通報所の廃止とか住民の反対を押し切って合理化や体制縮小をしてきた結果がこれなんだというふうに思いますが、私はここで弘前市の緊急要望に気象庁としての御答弁をいただきたいわけであります。
  219. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、現在のアメダスの観測で風の観測は平均風速を用いております。この平均風速と申しますのは、例えば建造物でございますとか、いろいろな風の影響につきまして、その大きさをあらわすのに最も適当な平均値であるというふうなことで、例えば世界じゅうでのデータ交換にも共通に用いられているものでございますし、また私どもの予報あるいは注意報、警報、そういった情報にも使用しておるものでございます。風の観測単位をさまざまなものを用いますと非常に混乱するということもございますので、これを用いまして、特に台風のように瞬間的に強い風が吹くという場合は突風が起きるおそれがあるというふうなことで御注意をいただくというふうに考えているわけでございます。  瞬間風速につきましては、通常その場所の地形、そういったものでも大きく変わるわけでございますが、平均風速の一・五倍から大体二倍程度、そういうふうな目安で考えております。  こういった私どもの情報内容につきましては、いろいろな機会をとらえまして解説に努めてまいりまして、私どもの情報をより有効な災害対策に使っていただきたいというふうに考えている次第でございます。  以上でございます。
  220. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そんな答弁聞いて人は納得すると思いますか。私はリンゴの木を、リンゴの実が落ちているリンゴ畑を見て、何かとても大事に育てていた子供が全部死んでつっと落ちているような気がしたのです。倒れているような気がしたのです。救ってやりたいなという思いでいっぱいになりました。私はこの話を聞いたときに、うちの子とないや知らぬけど死んだ、何で死んだんや言うたら何や知らぬけど死んだ、そんなようなものなんですよ、この弘前の要望書で言っていることは。そういうようなものなんです。  私はやみくもにどこでもかしこでも瞬間最大風速つかまえろと言っているんじゃないのです。昔からここは岩木山と八甲田山の真ん中の風の通り道だ、だから非常によく注意をして観測していくことがリンゴを育てる上でも非常に大事だということであった通報所なんです。それをあなた方はつぶしたのですよ。そして今何にもわからないじゃありませんか。あなたの子供が何で亡くなったかということがわからないで我慢できますか。私はそういう点でもこれから本当に弘前の皆さんがリンゴの取り組みを始めていくためにも気象庁としてもっと改善を求めたいわけです。せめて建設省や地方自治体の持っているデータを最寄りの観測所や地方気象台にオンラインでつなげていくとか、あるいは今回の教訓から観測データを収集して観測マップなどをつくって今後の対応に役立てるようにするとか、それぐらいの手だては打てませんか。
  221. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 お答えいたします。  従来から、地方自治体その他気象観測を行っておられるところがあるわけでございます。そういったところの情報も収集いたしまして、私どもが発表してまいります警報でございますとか、そういったものをより的確に、より精度を高く、そしてより早く発表するということに努めてまいったわけでございます。今後ともそういったもろもろのデータの収集に努めまして、さらに的確な情報の発表に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  222. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私はこの問題についてはこれからもさらに気象庁に求めていきたいと思います。そしてなおさら皆さんがこれから入減らしを一層進めようというようなことはやってはならないことであって、防災官庁らしい立場で、こんなところにお金を使って国民のだれ一人としてそんなのむだだよ、そんなの削れとは言いませんよ。だから、私はもっと胸を張って取り組んでいっていただきたい。そしていずれ弘前市からもこの要望に対する回答が求められますが、そのときには今おっしゃったような御答弁ではなしに、もっと胸に落ちるような御答弁を求め人いということだけ申し上げまして、次の質問に参ります。  次は建設省です。先ほども出ましたが、田川市の松原第一地区という炭鉱住宅の問題でありますが、我が党の三浦久議員がこの炭鉱住宅に調査に参りました。世帯数の半分ほどが全壊をしたということで、大変なところです。この地域は市の方でも以前から炭鉱住宅改良事業の構想を持っていた地区です。それが今度の災害によって家屋の破損のために緊急に必要になってきています。この地域のように災害被害で住民が困窮しているような住宅改良の緊急性のある地域については、今後市が住宅地区改良事業などで事業計画を決めて地区指定を申請した場合に、建設省としても最優先で指定をし、速やかに事業認定をしていただきたいというふうに考えますが、いかがですか。
  223. 浅野宏

    ○浅野説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘の、田川市の松原第一地区につきましては、今お話にございましたように昭和五十年代の半ばから事業化の検討を市の方でしてまいったところでございますが、地区住民の方々の御賛同が当時得られないということで、現在まで実は事業化に至っていない地区でございます。先般の台風によりまして屋根が飛ぶというような被害が相当生じたために、住民の方々あるいは地権者の方々から住宅地区改良事業でやったらどうか、やってほしいというような要望が高まってきているというふうに市から聞いております。  今後、市の方で地区住民あるいは地権者の方々関係者の意向を十分調査し、踏まえた上で事業化について計画を取りまとめ、申請してまいりました場合には、現在の不便な生活を余儀なくされている状況にかんがみまして、最優先として対応してまいりたいと考えております。
  224. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 最優先として対応していただくという御答弁をいただきましたので、ぜひそのことを重ねてお願いをしておきたいと思います。  電力の問題に移ります。  先ほどからも出ましたが、物すごい停電が出ました。七百四十万戸停電をして、折れた電柱が六千四百本、傾いたのが一万八千本、倒れたのが五千本、合計三万本、その被害額三百四十二億というふうに聞きました。間違っていたら訂正してください。  応急復旧というのは基本的にやられているようでありますが、今回の災害から鉄塔や電柱などの強度、その他塩害対策など見直すべき点が多々あろうかと思いますが、いかがでしょうか。さらにまた、電柱が傾いたままとか、電線もとりあえずつないでいるという状態で、例えば青森、秋田というような雪の地域では、ちょっと積もったらすぐに停電するんじゃないかというような心配がされているわけです。できるだけ早く本格復旧にかかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。  三点目は、この問題でこうした工事件業を可能な限り、これまた地元の方で仕事をふやすということで役立てていただければ、これはさっきの救農土木じゃありませんけれども、そういったような意味でも非常に大事なことになりますので、その点十分御配慮をいただきたいというふうに考えます。  同じ質問をNTT関係についてもお答えをいただくために郵政省にもお願いをしております。よろしくお願いをいたします。
  225. 川田洋輝

    ○川田説明員 三点の御質問があったかと存じますが、順序はいろいろですが、お答えさせていただきます。  まず最初に、三万四千本に上るような電柱の被害が生じたわけでございますが、これにつきましては現時点でやはり電気のない生活というのは考えられませんので、応急復旧を含めまして復旧をいたしたところでございます。一万二千五百本が仮復旧をいたした本数でございます。ただ、この仮復旧の電柱でございましても電気施設の技術基準に適合するように設置をされておりまして、その限りでは直ちに危険が生ずるというようなことはないわけでございますけれども、より万全を期するために私どもとしては電力会社に年内を目途に本格復旧作業をするように指導をいたしておるところでございます。  それから、復旧作業等に関しまして地元の労働者、企業の活用を十分考えるように、地域経済の振興と結びつけるようにという御指摘かと存じますけれども、今回の台風災害復旧に際しましては、被害地域の電力会社だけではこれほどうにもなりませんで、地元の関連会社を総動員して復旧に全力を尽くしておるとこでございます。足りないところは他の電力会社の応援を仰ぐというようなことでもございますので、したがって、私どもとしては、今回の被害復旧作業につきまして地元の労働者、企業が十分に活用されているというように考えております。  それから最後に、最も重要な今後の対策ということでございますけれども、私ども今回の台風が大変広範かつ深刻なものであったという受けとめ方をいたしておりまして、いろいろな教訓をここから得まして、今後の送配電設備の一層の信頼性の向上を目指した保守保安行政面での対策検討していく必要があると考えております。このため部内に早速学識経験者から成る電力設備台風被害対策検討委員会を設置をいたしまして、既に検討を開始いたしたところでございます。この委員会におきまして各電気事業者における調査等の進展なども踏まえながら詳細な実態把握に努めるとともに、送配電系統の信頼性確保等に係る具体的な対応策について早急に取りまとめを行い、実施に移してまいりたいと考えております。
  226. 團宏明

    ○團説明員 NTTの関係についてお答え申し上げます。  まず、台風被害の本格復旧のことでございますが、NTTにおきましても、台風十九号によりまして多くの電柱が倒壊する等の被害が発生したわけでありますが、早期のサービスの復旧に努めまして、十月六日には全国的に回復したところでございます。しかしながら、先生御指摘のとおりに強風により傾斜したままの電柱というものも残っております。したがいまして、この本格復旧を行う必要がございますが、御指摘のとおり積雪地域というところもございますので、これについては降雪の時期を十分念頭に置きながらNTTとしても工事を進めてまいりたいということでございますし、郵政省もそのような観点から指導してまいりたいというふうに考えております。  また、この復旧工事の発注の関係でございますけれども、これにつきましても先ほどの電力と同様でございますが、もちろんNTT自身も行うわけでございますが、これでは不十分でございますので、地元の能力を有しております電気通信設備の工事の請負事業者というものを総動員いたしましてこれに当たりたいということでございますので、やはりこれを集中的に、精力的に行うことによりまして地元の雇用にもまた役に立つのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  227. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 最後になりますが、学校施設の災害復旧の問題です。全国で三千六百校舎の被害を出しました。比較的決定的な被害というのは少ないというのが幸いしているかと思いますが、しかし、県立学校を初めとして本当に非常に広範囲に被害があるわけであります。県立学校の場合は六十万円以上の被害、市町村立学校の場合は三十万円以上の被害について復旧費補助の対象だというふうに聞いておりますが、さらに激甚災の適用も含めて早期に復旧お願いをしたいわけです。また事前着工もせざるを得ないわけですが、その被害記録は普通に外から写真を撮っただけでは本当にその被害があるのかどうか、屋根半分ぐらい飛ばされている場合、残りの半分は確かに残っているわけですけれども、もうぐっと浮いたような状態になっている。しかし、写真で撮るとその浮いた姿がなかなかよくわからなくて、そういうことから本当にそれで被害報告を証明をつけて出しても認めてもらえるのかどうかというような、そういう細かな心配があるわけであります。ここのところはうんと地元を信用していただいて、そうして対策に当たっていただきたいというふうに考えます。  最後にこの質問で終わります。
  228. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 御説明を申し上げます。  ただいま先生御指摘ございましたように、今回の一連の台風によりまして公立学校施設につきましても各地で被害が発生しているわけでございまして、とりわけお話しの台風十九号、大変広い範囲にわたって被害をもたらしておるところでございます。申し上げるまでもなく、被害のあった学校につきましては、現在第二学期の授業が実施されているということもございますので、私どもといたしましては、関係する県の教育委員会を通じまして、できるだけ速やかな被害状況の把握と、そして学校教育の支障を最小限に食いとめるように、的確な応急措置なりあるいは迅速な復旧工事を図るように指導をいたしておるところでございます。  特に、お尋ねがございましたいわゆる事前着工の件でございますが、お話ございましたように、公立学校の災害復旧事業に係ります国庫補助につきましては、現地調査を行う前に着工した復旧工事についても、所定の手続を経ていれば補助の対象ということに相なっておるわけでございますが、その場合につきましても、後日現地において、関係の資料をもとにいたしまして被害状況の確認なり、あるいは復旧工事の内容調査等を行いまして復旧工事費の算定を行う、こういう仕組みに相なっておるわけでございます。したがいまして、当該市町村の申請する額について補助がなされる場合ももちろんあるわけでございますけれども被害状況の確認を行うことができない場合等につきましては、市町村の御要望する額と補助金との間に多少差異が生ずるというケースもないわけではない、こういうことに相なるわけでございます。  以上でございます。
  229. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 これで終わりますが、できるだけ市町村の算定した額と差異のないようにお願いをして、終わらせていただきます。
  230. 清水勇

    清水委員長 以上で藤田君の質疑は終わりました。  次に、菅原喜重郎君。
  231. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今年は台風も二十一号、二十二号とたび重なっての襲来で、全国的に大災害を受けております。とりわけ台風十九号は、各地で瞬間最大風速五十メートルから六十メートルとまれに見る暴風雨で、多数の人的被災を初め、住家、公共土木施設、農林水産業施設、農作物、水産物等に多大な被害をもたらしました。この災害による対策についての岩手県内からの要望はさきの質疑で伝えているところでありますが、国土庁が現時点で把握している台風十九号による被害総額及び特徴点についてお伺いします。  また、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の早期発動措置を講じられたいとのことについて、再度このことにもお伺いいたします。
  232. 鹿島尚武

    鹿島説明員 まず第一点でございます。  台風十九号は、九月二十五日から二十八日にかけまして、九州地方から東北地方にわたり全国的に被害をもたらしたものでございます。その状況は、現在まで判明しているところによりますと、一般被害として、人的被害で死者六十人、負傷者二千五百七十七人、物的被害といたしまして、住家被害で全壊千百三十一棟、半壊一万六百二棟、一部破損五十万六千八百二十九棟、床上浸水五千百十四棟、床下浸水一万九千六百三十七棟となっております。その他の被害といたしましては、道路の損壊等二千五百四十二カ所、河川の決壊等四百七十四カ所、がけ崩れ八十二カ所、鉄道不通四十五カ所等となっております。施設被害関係では、関係省庁において取りまとめた現在までのところによりますと、建設省関係の公共土木施設で約三百六十二億円、農林水産省関係の公共土木施設関係で約三百二十三億円、農地農業用施設等で約三千五百七十八億円となっております。その他詳細につきましては、現在調査中であります。  次に、今回の災害特徴でございますが、台風十九号は、大雨のほかに暴風を伴ったいわゆる風台風でございます。強風による被害が多く、人的被害、住家被害が甚大であったのに加えて、電力関係被害で、送電鉄塔、電柱の倒壊等により、延べ七百二十万戸が停電いたしました。鋭意復旧に努めていただきまして、十月四日にはすべて復旧したと聞いております。同じく強風によるリンゴ等の農作物や水産関係、林業関係被害も多く発生いたしております。これにつきましては、農林水産省において鋭意調査中でございます。  今後とも関係省庁地方公共団体と連携を保ちまして、政府として対策に万全を期していきたいというふうに考えております。  次に、先生からお話のございました、十九号台風によるこの災害につきまして激甚災害指定をいかにということであったわけでございます。  激甚災害指定は、もう先生かねて御案内のとおり、指定基準によりましてそれぞれの災害被害状況に応じて行うものであるわけでございますが、今次の災害被害状況については、現在、関係地方公共団体関係省庁において鋭意調査を進めております。私どもも、この災害が大変大きなものであるということで事態を憂慮しておるところでございまして、被害状況についての確定的な報告を一日も早く農林水産省初め関係省庁からいただきまして、関係地方公共団体からの要望に配慮し、適切に対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  233. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 激甚災害の早期発動につきましてはよろしくお願いしたいと思います。  次に、建設省についてお伺いしますが、災害のみならず、工事現場の事故について、必ずと言ってよい下請業の人身事故が発生するわけであります。前回、建設大臣に、この下請業務の適切な指導方をなすよう要望していたわけでありますが、広島市の鉄枠げた落下の際にも見られるように、大変な段階の下請がなされているわけであります。  そこで建設省は、現在実施されている工事の中で、一番下の請負業者で最多段階の業者は何段階目ぐらいになって工事がなされることもあるのか、調査されているなら報告していただきたいと思います。
  234. 風岡典之

    ○風岡説明員 お答えをいたします。  建設工事は、私ども総合工事業者というふうに言っておりますけれども、いわゆる元請と、それから専門工事業者というふうに呼んでおりますけれども下請企業と、そういったことで相互に役割分担をしながら実施をしているというのが現状でございます。  ただいま先生の御質問に、どういった階層、どれくらいの階層があるのかということでございますけれども、下請企業の使い方につきましては各工事によっていろいろな対応がございます。私ども、必ずしも数字を持っているわけではございませんが、かなりの部分で重層的な下請が行われているというふうに承知をしております。
  235. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 もうちょっと実際に建設省が責任を持って入札させている工事の内容を把握していただきたいと思うのです。というのは、今、三Kを非常に嫌ってきている。余りこういう多段階な下請になっておりますと、結局自分で自分の手足を食っているようなものですから、これはもう五、六段階になったらちょっと問題じゃないですか。最低何段階ぐらいという一つの指針をやって、そうでなかったら親を下に下げるべきだと思うのですよ。このことを、これはちょっと現場を私も知っていますから、余りこれを強く言うといろいろなところに差しさわりがありますが、ちょっとこの三K問題、これは本当に時代の波といいながらも今のうちに対応していないとますます深刻になりますので、私は余り今回は多言を要しませんが、ひとつ慎重にこのことを担当者は考えて対処、指導するよう要望いたします。  次に、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の早期発動措置を講じられたいということ、また自作農維持資金の融資枠の拡大と貸付限度額の引き上げ措置を講じられたいということが今度要望されているわけですが、このことについてどのような御所見を持っておられるか、お伺いします。
  236. 今藤洋海

    今藤説明員 今般の台風被害にかかわります天災融資法発動についてでござますが、現在被害状況及び資金需要調査の取りまとめを急いでいるところでございます。こうした調査結果に基づきまして、天災融資法発動する方向関係省庁協議を行い、適切に対応してまいりたいと考えております。
  237. 澤井義雄

    ○澤井説明員 自作農維持資金につきましては、融資枠は現在二十四億円確保しているところでございます。これにつきましては、さらに天災融資法発動されるような大災害の場合は、必要に応じまして別途特別枠を設定することができるということになっております。  それから貸付限度額の引き上げ措置につきましても、天災融資法発動されるような大災害でかつ連年の災害による負債が著しく増高をしておる場合に、被害の実情等に応じまして講じられてきた経緯がございます。したがいまして、現在天災融資法発動につきまして調査が行われているわけでございますが、自作農維持資金につきましても資金需要額等の調査を行っているわけでございまして、この調査の結果に基づきまして円滑な融通の確保が図られるべく全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  238. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 災害を受けますと、融資返済への、償還への計画性もめちゃめちゃになるわけでございます。そのような関係で、被災農業者が既に借りている農林漁業金融公庫資金及び農業近代化資金等各種制度資金について償還猶予等の措置を講じられたいという要望も来ているわけですが、これへの対処はどうお考えですか。
  239. 今藤洋海

    今藤説明員 今般の台風被害を受けました農林漁業者が既に借りております農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金につきましては、その償還条件の緩和、例えば償還期限の延長でございますとか据置期間の延長といったことにつきまして、関係機関に対し、実情に応じ適切に対処するよう既に指示したところでございます。この趣旨の徹底が図られますよう十分指導してまいりたいと思っております。
  240. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 農業災害補償法に基づく農業共済再保険の早期支払い措置を講ずるとともに損害評価の特例措置、品質低下部分の減収評価の適用及び農業共済団体の損害評価費増高に対する事務費補助金の助成措置を講じられたいということも要望されておりますが、このことについてはいかがでございますか。
  241. 今藤洋海

    今藤説明員 本年度の水陸稲の被害につきましては、現在農業共済団体等において見回り調査等によりその被害の実態を調査しておるところでございます。これらの被害に対しましては、損害評価を迅速かつ的確に行い、被災農家に対しまして共済金等の支払いを早期に行うよう農業共済団体等を指導しているところでございます。また、水稲の品質低下に伴います損害評価の特例措置につきましては、被害の実態を見ながら適切に対応してまいりたいと思っております。損害評価の実測に要します経費につきましては、予算の範囲内においてその実績に応じて助成することとしておりまして、増高分に応じた配分を行うこととしております。
  242. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、規格外米の特例規格の設定とその買い入れについて特別の措置を講じられたいということ、また、米の事前売り渡し予約概算金の返納について納期の延長及び利子の減免措置を講じられたいということも来ております。このことについて所見をお伺いします。
  243. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  今年度の災害により発生しました規格外米の政府買い入れでございますが、関係者より強い要望もございます。それから、被害地域の実情も承知しておりますので、検討を進めてまいりたいと思います。その場合には特例規格についても検討を進めてまいりたいと考えております。  それから予約概算金に関する、災害により返納しなければならない農家につきましては、これまでも天災融資法発動された場合には利子の減免の措置が講じられる制度が設けられております。本年産についても、天災融資法発動に即応しまして速やかに手続を開始したいと思います。  それから返納期日の延長問題につきましては、東北地方の例で申し上げますと、来年五月十五日までの猶予期間がございます。また、農家が期日までに返納することができない場合には国と全国集荷団体との間で約定書に基づきまして代位弁済措置がとられることとなっておりますので、しばらく事態の推移を見守らせていただきたいと考えております。
  244. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 ひとつ善処方をよろしくお願いいたしまして、次に、次秀作付用の稲の優良種子の確保について助成措置を講じてもらいたいということも要望されております。このことについてはどう対処されるようでございますか。
  245. 木田滋樹

    ○木田説明員 次秀作用の水稲種子についてでございます。台風などの影響によりまして、一部の県で来年度用の指定採種圃産の種子が不足することが懸念をされております。全国的に見ますと、稲は現在収穫期、乾燥調製の段階にございますので、詳細については調査中でございますけれども、不足が懸念される県に対しましては、他の県や団体との十分な連携のもとに県間調整を行うことにより、必要量が確保されるよう万全を期すよう指導しているところでございます。  なお、岩手県におきましても台風などによりましてササニシキの操種圃の一部等に倒伏が生じ、種として不適格なものが生じることが懸念されております。このようなものにつきましては、他の県からの導入等により不足分を確保したいということで岩手県では対処しているというふうに聞いております。  なお、現在、農家の大部分が種子を購入することが一般的な状況になっておりまして、種代も経費の一部として定着をしておるという現状からいたしまして、種子代につきまして特別の助成を行うことは困難だというふうに考えております。  以上でございます。
  246. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 災害によるいろいろな要望がなされているわけでございまして、その中にまた平成四年度水田農業確立対策にかかわる転作等目標面積の軽減措置を講じてもらいたいというのも来ております。このことについてはどのようなお考えでございますか。
  247. 須賀田菊仁

    ○須賀田説明員 転作等の目標面積につきましてでございますけれども、現在、水田農業確立後期対策ということで、平成二年度から四年度までの三カ年間実施がされておるわけでございますが、その中で転作等目標面積につきましては、全国ベースで米の需給均衡を図るという基本的考え方に立ちまして、できるだけ農家の営農に支障を与えないということで、三カ年間八十三万ヘクタール、期中固定ということで定められているところでございますけれども、作柄でございますとか在庫の状況等に応じてこれを調整することがあるというふうにされているところでございます。  具体的に来年度の転作等目標面積をどうするかということにつきましては、最終的な今年産米の作柄でございますとか在庫の状況がどうなるかということについてできるだけ的確に見通す必要があると考えておりますけれども、米の需給均衡に支障を生じないようにするという問題意識のもとに今後の状況を見守っていきたいと考えております。
  248. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 さらに、被災農業者に対し他用途利用米出荷の軽減措置も講じてもらいたい、こういう要望が来ておりますが、このことについてはいかがですか。
  249. 平野愃

    ○平野説明員 お答えいたします。  他用途利用米につきましては、災害等により被害を受けた場合には出荷数量の契約数量の変更、減量ができるという規定がございます。今回の被害の場合、相当大規模な被害を受けている方がおられますので、特に被害の著しい農家に対しましては、災害対策の一環としまして昭和六十三年に東北地方で適用した例もございますので、集荷業務に当たる全国集荷団体と相談しながら検討を進めている段階でございます。
  250. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、被害を受けたビニールハウス施設の復旧に対する補助金の助成措置と、農業共済制度の拡充を図り、一部被覆施設、雨よけ栽培施設を含めた施設ですが、これを園芸施設共済の対象とするよう措置を講じられたいという要望も来ております。この件についてはどのような対処方を考えておられますか、お伺いいたします。
  251. 桑原勝敏

    ○桑原説明員 お答えいたします。  被災ビニールハウス施設の復旧に対して助成措置をということでございますが、台風十七号及び台風十九号によりまして、全国的に強風によるビニールハウス等の倒壊、損傷等の被害が生じております。これら台風等によるビニールハウス等の被害に対しましては、園芸施設共済加入農家被害施設につきましては、施設ごとの損害額を的確に把握し、確定次第共済金が支払われることとしております。  このほか、損壊したビニールハウス等の復旧につきましては、農林漁業金融公庫資金などの活用により復旧が円滑に行われるよう配慮してまいりたいと考えております。
  252. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 最後になりますが、これまでの本委員会での質疑を通じまして明らかなように、本年は、相次ぐ台風の襲来と秋雨前線の停滞によって、各方面にわたり多大の被害をもたらしたのであります。このため要望として、規模の大きい農水省関係災害復旧を初め、文部省関係では文教施設設備の復旧、文化財関係災害復旧、厚生省関係では社会福祉施設の災害復旧、通産省関係では中小企業体質強化資金助成制度による災害復旧のための融資枠の確保、家屋復旧用資材の安定的供給と価格安定、災害に強い送電線の敷設、運輸省関係については港湾施設、鉄道施設の災害復旧、郵政省関係については災害に強い電話線の敷設等非常通話の確保及び中継局を含む放送局の放送中断事故の未然防止の推進など、災害復旧の促進を図るとともに被害を未然に防止するための施策を講じられまするよう強く要望します。  また、災害復旧に当たっては、地方公共団体から自治省あての災害に要する経費並びに災害に係る税の減免等に伴う税収減少に対しての地方交付税、特に特別交付税の高率配分並びに地方債の枠の拡大及び弾力的運用について強い要望もありますので、これらを合わせ、関係省庁復旧対策への特段の御努力お願いいたしまして、私の質問を終わります。
  253. 清水勇

    清水委員長 これにて菅原喜重郎君の質疑は終わりました。  次に、菅直人君。
  254. 菅直人

    ○菅委員 ことしは、雲仙・普賢岳の大災害がまだ続いておりますし、台風の襲来も大変多くて、被害を受けられた皆さんには本当にお見舞い申し上げたいと思います。  そういう中ではありますけれども、同時に、関東大震災が起きたのが一九二三年、六十八年が経過をいたしておりまして、最近の学説では七十年周期説というのは余り認められていないようではありますが、七十年近い年月が関東大震災からたっていることを含めて、特にきょうば地震の対策中心に質疑をさせていただきたいと思います。  実はここに、「東京は六十秒で崩壊する」という本がダイヤモンド社から出ておりまして、ハッド・フィールドというイギリスの学者というのかジャーナリストというのかそういう人が日本のことを書いて、一部では大変話題になっております。六十秒で崩壊するんだと、これはもう大変なことでありますので、果たしてそういう心配がどこまであるのかということについて関係省庁にお伺いいたしたいと思います。  まず第一に、地震災害防止の責任体制というのは一体どうなっているのか。端的に言えば、地震そのものを未然に防ぐということは無理だとしても、できるだけ被害を最小限に防ぎ、できれば予防、予知をするといったようなことを含めた最終責任者はだれなのか、まずお答えをいただきたいと思います。
  255. 鹿島尚武

    鹿島説明員 地震に限らないわけでございますけれども、我が国の震災対策は、災害対策基本法に基づきまして、内閣総理大臣を長といたします、そして全閣僚、それから日本赤十字社、日銀、NTT、NHKの長を委員といたします中央防災会議におきまして、震災の予防、応急対策復旧にわたる計画の作成、その実施の推進といったことを総合的に図る体制がつくられてございます。  今日まで具体的に申しますと、その中央防災会議におきまして、昭和四十六年五月でございますが「大都市震災対策推進要綱」、五十八年五月「当面の防災対策の推進について」を決定をいたしまして、三つの柱のもとに関係省庁の密接な連携のもとそれぞれ所管ごとに施策を進めていくという体制ができてございます。三つと申しますのは、一つは都市防災化の推進、二つは防災体制の強化及び防災意識の高揚、三つ目が地震予知の推進ということでございます。さらに申し上げますと、大規模な地震災害が発生した場合におきます体制につきましては、災害対策基本法に基づきまして、非常に緊急な場合には内閣総理大臣を本部長といたします緊急災害対策本部、あるいはまた国土庁長官等国務大臣を本部長といたします非常災害対策本部を設置をいたしまして、この本部の総合調整のもとに的確かつ迅速な応急の対策を一元的に実施をするという体制になっておるわけでございます。  先生仰せられました人口あるいは諸機能が集中しておりますこの南関東の地域につきまして、応急対策の重要性あるいはまた地震発生時の被害の甚大性、広域性にかんがみまして、六十三年に中央防災会議におきまして南関東地域震災応急対策活動要領というものを決定をいたしております。万一災害が発生した場合におきましては、緊急災害対策本部と各防災関係機関が連携をとりまして情報の収集、交通の確保、医療、救護といったような応急対策を広域的に、そして総合的に実施するように万全な体制をつくっておるわけでございます。今後ともこういった仕組みの中で関係省庁、中央に関して申し上げますと、一丸となって総合的な震災対策の強化を図っていきたいというふうに考えております。  なお、現在、事前の対応といたしまして、地震予知の推進につきまして総合的、計画的な施策を推進するために科学技術庁長官を本部長といたしまして、事務局は科学技術庁であります、長官を本部長とした地震予知推進本部が設置をされております。これを中心にいたしまして、関係機関が密接な連携を図りながら観測研究を実施し、予知の実用化に向けて努力を行っているのが現在の状況でございます。
  256. 菅直人

    ○菅委員 聞いていると本当に万全な体制というふうに聞けるんですけれども、果たして本当にそうなんだろうか。今言われた中央防災会議というのは一番最近だといつ開かれたんですか。
  257. 鹿島尚武

    鹿島説明員 ちょっと具体の開催の日にちは、私が着任してからはないわけでございますけれども、その本部会議がなくとも、私ども担当者の連絡によります会議を常時催しておる状況にございます。本部会議が開かれましたのは、地震に関しましては先ほど申し上げました六十三年の十二月の南関東地域震災応急対策活動要領というものの策定の件でございます。そのほか持ち回りによるもの、会議を開かないで持ち回りによるもの、あるいはまた会長が専決で処理するもの、いろいろ事例もございます。
  258. 菅直人

    ○菅委員 いいですか、なぜそんなことを言うかというと、これは会議体なんですよね。しかも大変な会議体ですね。すべての、全閣僚が集まる。それに加えて日赤やNTTや、日銀まで集まる。大変立派な会議体ではあるけれども、今まさに言われたように、六十三年十二月に、四年前に開いたけれども、あとは持ち回り等でやっている。つまりは、果たしてこういうものが本当の意味の責任体制として機能がどこまでしているのかということが大変心配なわけです。  これは、あえてこの本の記載を引くのはあれですけれども、こういう言い方をこの取材をした筆者は言っております。一つは、大衆の無関心に官僚的縄張り根性が加わって、ちゃんとした地震対策が出てこない。いろいろな事例が出ております。例えば、文部省が地震に関する情報を、いろいろあるけれども、モニターは運輸省の管轄にある気象庁がやっていて、建設省は建築基準法で耐震のことをやっていて、あるいは総理府は国土庁を含めて、あるいは科学技術庁を含めて分析をしている。そういったものが果たしてどこの責任下できちんとトータルな責任体制を負っているのか。そうすると、今の中央防災会議が負っているということになるわけですが、今の話ですと、少なくとも海部政権の間に一度として開かれていないわけですよね、これを聞くと。果たしてそういうもので本当の意味の防災体制ができているかということをまさに問題にしなければいけない。どうもお役所というのは体制があれば、何かがあれば、やれていますという言いわけに使うわけですが、果たしてそうなんだろうかということを聞いているわけです。  そこで、余りこの総論をやってみても仕方ありませんので、地震の予知研究、気象庁、科学技術庁に来てもらっていますが、端的に、それぞれどんなことをやっておられますか。
  259. 葉賀史

    葉賀説明員 御説明いたします。  国全体の地震の予知の研究体制の現状について御説明させていただきます。  大規模地震は、一たび発生しますと、人命はもちろん、国民の生活に大きな影響を与えるもので、地震大国である我が国にとって、その予知は重要な意味を持つものであります。しかしながら、地震はその発生場所が地下の深部であるということの特性からしまして、地震の予知は、一部の地域を除いては、現在の技術水準をもって難しい課題でございます。このため、政府としましてこの課題を克服するため、文部省の測地学審議会が策定しております地震予知計画の建議を踏まえまして、科学技術庁長官が本部長であります地震予知推進本部を通じまして、科学技術庁防災科学技術研究所におきましては微小地震の観測研究、気象庁におきましては大・中・小地震観測、国土地理院におきましては測地測量調査、国立大学におきましては基礎研究等を中心に、関係機関の緊密な連携のもとに、地震の観測、予知研究を実施しております。これらの観測成果は、国土地理院が事務局を務めております地震予知連絡会におきまして総合的判断を行いまして、国の防災対策に反映されておるところでございます。  以上でございます。
  260. 森俊雄

    ○森説明員 気象庁の観測体制を説明させていただきます。  気象庁におきましては、全国に展開しております地震観測網に基づきまして、日本及びその周辺に発生している大・中・小地震を観測いたしまして、地震津波監視システム等によりまして迅速に処理いたしまして、津波予報、地震情報等の適切な発表に努めでございます。特に、東海地震につきましては、体積ひずみ計や海底地震計を整備いたしましたほかに、関係機関の協力を得ておりまして、百三十三項目の観測データを気象庁本庁に伝送いたしまして、これも地震活動等総合監視システム、通称エポスといっておりますけれども、そういうもので処理しておりまして、総合的な常時監視を行っております。もし、これらのデータに異常が発見されました場合には、直ちに専門学者から成ります地震防災対策強化地域判定会を招集いたしまして、大規模な地震に結びつくと判定された場合には、内閣総理大臣に地震予知情報を報告することとなっております。また、南関東におきましても、地震計、体積ひずみ計及び房総沖の海底地震計を整備いたしまして、他のところよりも地震活動の把握は十分にできるようになってございます。今後とも関係機関との連携を密にいたしまして、観測、監視を行ってまいりたいと思います。
  261. 菅直人

    ○菅委員 時間が短いものですから、もう少しいろいろと聞きたいのですけれども、きょうは政務次官が来ておられますが、今出た名前だけでも覚え切れますか。私も、一昨日国土庁からこういう表をちゃんといただいて説明を受けました。今言われただけでも、一体どこが本当のところ責任を持って調整しているのだろうか。もちろん、研究そのものはいろいろなところがやるのはわかるのです、大学がたくさんあったり、研究機関が。しかし、今の話でも、気象庁は地震防災対策強化地域判定会でどうのこうのする。先ほどの、科学技術庁は、いろいろたくさんありましたけれども、地震予知連絡会でやる、あるいはそれぞれにまた何とか推進本部とか何とか判定会とかあれこれやっている。これは普賢岳のときにもかなり予知の問題でいろいろな議論がされておりますけれども、果たしてこういう横並びの団体をどんどんつくってうまくいくのだろうか。さっきの防災会議だって、まさにすべてが参加しているから最も責任体制があるとも見えるけれども、実は、みんなの責任、無責任という、だれの責任かわからないということにもなりかねないわけであります。  そこで、きょうはもう一点、消防庁に来ていただいています。特に地震の中では、一般の国民からすれば、まず地震が起きたときに一番心配なのは何か。とりあえずは上から物が落ちてくるとかそういう問題ですが、関東大震災のときもやはり火災による死傷者が圧倒的な割合を占めているわけです。  その中で最近特に地盤の液状化といった問題が非常に心配をされていて、東京湾には海沿いに多くの石油タンク等のタンク群が存在をしております。これはこの本に限らず、果たしてそういったものが相当規模の震災が起きたときに大丈夫なんだろうか。いろいろと基準を設けられていると聞いておりますが、まずはどういう基準が設けられているのか、そして、その基準をすべてのタンク群が満たしているのか、あるいは、ある時期以降に建設されたものについてはそういった基準が満たされているけれども、それ以前についてはチェックがされていないのか、わかりやすく説明をしていただきたいと思います。
  262. 渡辺明

    ○渡辺説明員 お答えいたします。  屋外貯蔵タンクにおきましては、危険物の規制に関する規則、それから危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示等によりまして地震時における液状化に対応できます技術基準を設けまして、この基準に適合したものでなければ使用できないということで安全の確保を図っておるところでございます。  それから、御指摘の液状化対策に関する技術基準が策定されましたのは昭和五十二年でございまして、その五十二年以前に建設されました特定屋外タンク、これは平成二年八月時点で八千九百九十九基ございます。この特定屋外タンク全体で、平成二年八月時点で全国一万九十一基ございますが、そのうちの八千九百九十九基が五十二年以前に建設されたものでございます。しかしながら、これらのタンクのすべてが液状化の危険性があるというわけではございませんで、現在、昭和五十二年以前に建設されましたタンクにつきまして、学識経験者、消防機関、関係業界等により検討の場を設けまして、実態把握と安全対策検討というものを進めておるところでございます。この結果を踏まえまして、地盤の土質など個々のタンクの状況に応じまして安全の確保を図るように指導してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  263. 菅直人

    ○菅委員 検討中というのは、いつまでにその結論を出すのですか。
  264. 渡辺明

    ○渡辺説明員 現在、関係者の間でいろいろ検討を進めておるところでございまして、その結論を待って、いつということはまだ明確なお答えはできかねる状況でございますけれども、早急に結論を得てまいりたい、このように考えておるところでございます。
  265. 菅直人

    ○菅委員 いいですか、今の話を皆さんもよく聞かれたでしょうけれども、一万九十一基の中で八千九百九十九基がその基準ができる前にできているんだ。これが一万基のうちの三百とか二百とか戸とかというならあとちょっとだという感じがするのですが、九割ですよ。ほぼ九割が基準前にできているんだ。つまりは、液状化と言われることが心配され始めてもう二十年近くたつ。基準が生まれてから、昭和五十二年ですからどのくらいでしょうか、少なくとも十五年くらいたっているわけですね。しかし、現実にはそれ以前のタンクが九千基あって、それらの検討は今なおやっていて、早急にと言いながら一体いつになるかわからない。それは地震はいつ来るかわかりません。どちらが間に合うのかわかりませんが、そういう現状があるということをまさにその責任者たる消防庁自身が認めているわけです。これで万全の体制なのかということなんですね。  きょうはもう時間かこれで終わりますので、関係省庁、大変たくさんありますけれども、とにかく役所の方からこれくらいしかできないんだというような発想じゃなくて、そこに住んでいる住民の立場で、後になって、このタンクが壊れたのは五十二年前だったから仕方ありませんなんといったって、それの火で焼け死ぬ人にとってはそんなことを言われたって全然慰みにも何にもなるわけじゃないわけですから、そういった意味でそういった問題についてきちんと、例えばあと三年以内に全部チェックするとか、そういうことをやっていただくことを強く要請をして質問を終わりたいと思います。
  266. 清水勇

    清水委員長 以上で本日の質疑を終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十八分散会