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国務大臣(
橋本龍太郎君) 今
委員から御
指摘を受けましたけれども、逆に結論から申し上げますならば、私は、
有事を想定して特定の財源を固定する、あるいは
日本の予算制度の中における特殊なファンドを創設する、こういった手法は実態には合わないと考えております。
その限りで申し上げますならば、二十一世紀に入りまして、超高齢化社会の到来と同時に社会保障
関係費あるいは福祉
関係の費用というものが非常に大きなものになっていくであろうということは想像にかたくありません。逆に、それを前提にしながら
国民生活の質の安定、そしてその質を高めていく努力を今後の十年間に我々は余力のある限りできるだけ払っておくべきだということから、昨年私どもは四百三十兆円の今後十カ年の公共投資の計画というものをスタートさせました。そして、この十年間の公共投資によりまして二十一世紀初頭における
日本の
国民生活の質を向上させておくことが、超高齢化社会における我々の備えとして
機能することを期待いたしております。
また、一方におきまして、その時代に向かっての高齢者保健福祉推進十カ年戦略を実施していくことにより、受け皿としての福祉の
体制をも整備しなければなりません。一方におきまして、今
委員が御
指摘のように、百六十八兆円に上る国債残高、いかにしてその累増の歯どめをかけ得るか、これがもう
一つの大きな我々の
課題であります。
今回
湾岸情勢の変化の中で、確かに一時しのぎという御批判は私はその限りにおいてむしろ至当な御
指摘と考えておりますが、こうした突発の事態に対し、我々は当初、何としても避けるべき手段として赤字国債、そしてでき得るならば臨時的な
国民への御負担をお願いするということを考えましたが、衆参両院の御論議の中からでき得る限りの政府自身の努力を求められましたことにより、
委員が今御
指摘になりましたように、新中期防期間中における防衛費の一千億を超える一千二億円の削減とともに、その努力の中で、目立たないものでありますけれども、
国家公務員の宿舎整備にまで削減を加えながらその財源を捻出したわけであります。我々としてはまさにこれはこの一度限りに終わりにしたい種類の出費であります。
しかし同時に、こうした事態が今後ともに全く発生しないということは、神ならぬ身だれも予見はできません。しかし、そうした事態が発生をいたしましたときには、やはり外交的にそれが一過性の危機で終わるように全力を挙げて努力をいたしますとともに、そうした負担に対してはやはり臨時
対応の措置をとることを
国民からお許しをいただかなければならぬと思います。これは経済
協力等とは質の異なる問題として私どもは考えていくべきものではなかろうか、基本的にはそのような考え方を持っております。