○喜岡淳君 私は、
日本社会党・
護憲共同を代表して、ただいま
議題となりました
平成元
年度決算及び当面する
我が国の諸問題につきまして、海部総理及び各大臣に質問いたします。
まず、
平成元年度の
税収の見積もりと
補正予算の
あり方についてお伺いいたします。
平成元年度の歳入
決算は、
租税及び印紙収入が当初
予算と比べて三兆九千百十八億円も
増加しており、
税収見込みと
実績の
誤差率は七・七%にも及んでおります。六十二
年度の一三・六%、六十三
年度の一二・七%よりは低くなったものの、一般的に許容の範囲とされる一%を大きく超えるものとなっております。この
税収見積もりの誤差については、これまで
国会でも再三論議がされてきているにもかかわらず、
政府は何ら有効な対策を講じないまま今日に至っております。
税収の
年度所属区分をもとに戻す時期を含め、正確な
税収見積もりをするための方策についてお考えを聞かせていただきたいと思います。
また、
税収見積もりが誤っていたこともあって、
平成元年度においては五兆八千九百七十七億円という空前の巨大
補正予算が編成されました。
財政法第二十九条では、新規に行われるような施策は
補正予算に含まれないと解されますから、どう見ても緊急性のない芸術文化振興基金を初めとする六基金の創設などについては、本
予算をもって処理するのが筋ではないでしょうか。当初
予算には厳しい
シーリングをかけておきながらも、他方、
税収見積もりを誤ったために
増収が発生した場合に、ばらまきを行うような
財政処理が許されるわけがないと思うのであります。しかも、
補正による
予算ばらまきは
平成二
年度においても続いて行われております。
総理、今後の
予算策定に当たっては、
税収見積もりを正確にするとともに、
増収分は
税収の所属
年度区分を復元するのに必要な
歳入欠陥分に充てるよう、ぜひお約束をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、日ソ首脳会談についてお尋ねいたします。
ソ連の元首として初めて
ゴルバチョフ大統領が去る四月十六日から十九日まで
我が国を訪問し、海部総理との間で首脳会談を行いました。そして、歯舞、色丹、国後、択捉の四島を
対象とする領土問題の存在を明確にした共同声明が発表されました。これは、日ソ両国の協力と友好関係の発展を求める
国民の願いにこたえたものであり、領土問題の解決を図る上でも一歩前進と積極的に評価するものであります。我が党は、
ソ連政府が一九五六年の日ソ共同宣言を平和
条約交渉の出発点として明確に確認することを要請するとともに、今後、日ソ両国
政府が、四島の返還以前にも、非軍事化、自由往来、環境保護、開発などの面で共同の取り組みを進めるよう強く求めるものであります。
ゴルバチョフ大統領は、首脳会談や
国会演説を通してアジア・太平洋地域における安全保障構想を提起しましたが、これに対し
日本政府は終始否定的な態度であったと聞いております。アジア・太平洋地域の軍縮は、海洋戦力だけではなくて陸上戦力も含めて行うべきであります。全般的軍縮と信頼醸成
措置実現のために、
日本政府はアメリカと協力して
ソ連の提案にこたえるべきであると思いますが、総理の答弁をお願いいたします。
あわせて、
経済協力の問題であります。今回調印された
経済協力プログラムを直ちに実行するとともに、
経済協力の規模を一層
拡大するよう検討していただきたいと思いますが、総理及び外務大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
次に、政治改革、
選挙制度問題であります。
平成元年は、リクルート疑惑と消費税の強行実施で政局が大揺れとなりました。
国民の
批判が高まる中で、竹下
内閣が倒れました。後を継いだ宇野
内閣も、
自民党が
過半数を大きく割り込んだ
参議院選挙の結果、わずか二カ月で総辞職に追い込まれております。このとき、政治の浄化、政治の改革を誓って登場されたのが、ほかでもない海部総理、あなたでありました。ところが、あれから一年九カ月、いまだ
国民が望む政治腐敗
防止策は一向に実現される気配さえなく、
選挙改革の論議だけに終始しておるありさまであります。しかもその
内容は、
衆議院に小
選挙区制、
参議院に推薦議員制を導入することを柱としたものであり、これでは
自民党の永久
政権をもくろむ党利党略に基づいたものと言わなければなりません。したがって、世論の厳しい
批判はもとより、与党の中にさえ異論が根強く、全
野党が
反対するのも当然のことであると言わなければなりません。我が党は、一九八〇年の
国会決議に基づき、まず現行
制度のもとで定数是正を行うこと、その上で抜本的な
制度改革を行うよう主張し、現在、格差二倍以内で定数是正を行うための具体策を準備しているところであります。
総理、党利党略と
批判の強い
選挙制度改革は潔く断念し、まず
国会決議に基づく定数の是正を直ちに行うとともに、早急に政治腐敗
防止法の制定に取り組んでいただきたいと思いますが、お答えをお願いいたします。
次に、
平成元年度に導入された消費税問題についてお尋ねいたします。
消費税の強行導入から既に二年余りがたちましたが、納めても納めてもきちんと国庫に届かない
税金、無収入の子供やお年寄り、低
所得者ほど負担が重い逆進性など、当初から
指摘された
問題点は何ら解決しておりません。このたび、一部サービス分野の非
課税、簡易
課税制度や大
企業の消費税運用益の一部是正などで与
野党が合意し、法
改正が行われることになりました。しかし、これはあくまでも緊急是正
措置であり、消費税の本質的な
欠陥を正すものではありません。大切なことは、逆進性を是正するために飲食料品を非
課税にすることであります。さきの与
野党合意では今後半年以内に結論を出すことになっておりますが、総理は、
自民党の総裁として、あなたの任期のうちに
国民が待望する飲食料品の非
課税化を実施するよう指導していただきたいと思いますが、御決意のほどをお伺いしたいと思います。
次に、
公共事業の安全問題であります。
平成元年度も終わりに近づいた
平成二年一月末、JR御徒町駅前で、地下から土砂が噴出、道路が陥没して通行人十数人が負傷するという事故が起こりました。その後の調べの結果、これは東北・上越新幹線東京駅延伸工事の施工業者の手抜きが原因と判明いたしました。
公共事業における手抜き工事の
防止、
国民の安全及び命の保護に関して言えば、各
事業監督官庁の
対応に
国民の間からは不満の声が上がっております。労働安全衛生法を所管する労働省に任せっきりにするのではなく、
建設省や運輸省など工事を監督する各官庁が事故の発生原因を究明し、
再発防止のために積極的に行動すべきではなかったでしょうか。また、監督官庁の
責任を厳しく追及する必要があると思うのであります。
また、つい先日も、広島市の新交通システム工事現場で橋げたが落下し、一瞬のうちにたっとい命が奪われました。犠牲者の皆さんには心から御冥福をお祈り申し上げます。重大事故が起こるたびに
再発防止が叫ばれますが、のど元過ぎれば熱さ忘れる、そういう現状になっていないでしょうか。施工
期間の無理な短縮とか極端な利潤追求とか、そういった
企業の安全軽視の姿勢、監督官庁の安全に関する監督体制の不十分さ、さらには人手不足の深刻な問題など、こうした問題が背景にあると考えられます。先般、日米構造協議の最終
報告では、
政府は
平成三
年度以降十年間で総額四百三十兆円にも及ぶ
公共投資を約束されました。これに伴い今後
公共事業が
増加していくわけでありますが、安全の
確保についてぜひ具体策をお聞かせいただきたいと思います。
次に、
決算の早期提出について伺います。
この問題についても、たびたび
国会で取り上げておりますが、答弁の割には遅々として実態が進んでおらず、
政府に改革の熱意も意欲もないというのは極めて残念であります。今や、スーパーマーケットではバーコードでその日のうちに商品別の売り上げが把握され、翌日の品ぞろえが行われる時代であります。いつまでもいつまでも明治、大正のやり方を踏襲しているようでは、進歩がないと言わなければなりません。
そこで、具体的な提案をいたします。出納整理
期間を十日にする、十日を超える場合には自動的に簡易
繰り越しとする、出納
責任者に小口現金の保有を認め、庁費などはそこで処理して
決算を終了する、税の
年度区分を
年度末の現金収納主義にするなど、幾らでも具体的な工夫はできるわけであります。五月の末に
決算を確定するようにはっきりと目標を決めて、そのためにはではどうすればいいのか、方法を検討すべきであります。
財政法や会計法の全面的な洗い直し、これを前提にすれば、優秀な官僚のいる
我が国においてできないことはないと確信をいたしております。
財政制度審議会において
決算制度を全面的に見直していただく、そして
決算の早期提出を実現するよう具体的な方策の検討をお願いいたします。
最後に、
参議院におきましては、一九五四年、「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」が行われております。
政府は、本日の閣議で、ペルシャ湾の機雷除去のため自衛隊法を
拡大解釈して海上自衛隊の掃海艇を派遣することを決定するということでありますが、これは憲法上からも全く許されない暴挙であります。今日までの
政府の見解をも根底から否定するものであり、このような重大な問題が
国会での真剣な議論もないままに
政府の独断で行われるならば、今日まさに民主主義の危機だと言わなければなりません。
国民は断じて容認できないと怒っております。この際、このような暴挙を絶対に行わないことを強く要求いたします。平和を守る総理の熱意ある答弁を心から求めます。
以上で私の質問を終わります。(
拍手)
〔国務大臣海部俊樹君
登壇、
拍手〕