○三上隆雄君 私は、
日本社会党・
護憲共同を代表して、ただいま議題となりました
地価税法案について、
総理及び
関係大臣に対して
質問を行います。
それに先立ちまして、まず、今般行われました日ソ首脳交渉に当たって、大変厳しい複雑な
状況の中で、日夜を徹し交渉に当たられた御労苦に対して心から敬意を表する次第であります。
そこで、
総理は、国会決議や
国民の大きな期待にどうこたえたのか、
総理自身の御
見解を
お尋ねいたします。
言うまでもなく、
国民生活の基盤は家庭であり、
国民が安心して生涯
計画を設計できる社会を維持発展させることが
政府の最重要
課題であります。ところが、
政府の戦後
政策の重点は産業
振興、大企業優遇に終始し、
土地住宅
政策は貧困の一語に尽きるものであります。今回の地価暴騰は、歴代自民党政権が我が国
経済の発展を支えてきた勤労者の切実なる要求である
土地政策を放置してきた当然の帰結であります。これまでの
政府の
土地住宅
政策を振り返って、
総理の率直な御所見を
お尋ねいたします。
今回の大都市圏を中心とする地価高騰に端を発した
土地問題は、岩戸景気の一九五〇年代、そして日本列島改造ブームの一九七〇年代前半に続く、戦後三度目の大きな地価高騰であります。今度こそ地価高騰の原因を究明し、今後このような事態が再発しないよう断固たる
措置が求められているところであります。中曽根内閣が誘導した民活ブーム、国際都市
東京への企業集中を契機としたオフィス需要の増大が火つけ役となり、
国民に根強い
土地神話、金融緩和とこれに乗じた金融機関や不動産業者の反社会的な
土地投機、そして持てる者に有利な
土地税制が増幅要因となって地価は上昇の一途をたどり、
土地は
国民の手の届かないものとなったのであります。
国民の生活権を侵すような今回の事態を
総理はどう受けとめ、また
土地政策の責任者である国土庁長官、そして金融、税制の責任者である
大蔵大臣はどう受けとめているのか、御所見を
伺いたいと思います。
このような
状況の中で、
土地政策において、
土地税制を従来の補完的
立場から主役の
一つとしてその重要性を認め、抜本的な
改革を図ることが
土地税制
改革の目的のはずであります。しかし、その内容は不明確、不十分であると言わざるを得ません。
以下、その幾つかの問題点について明確な御
答弁を求めます。
政府税制調査会の答申によれば、今回の
土地税制
改革の視点は、
土地基本法に基づき
土地の公共性を優先し、
土地神話の打破、
土地の税制上の有効性の縮減、
税負担の適正公平の
確保の実現であるとされております。
まず、地価税の地価引き下げ
効果について
伺います。
先日発表された地価公示によれば、地価の横ばいあるいは下落傾向が見られますけれども、現在の地価と正常な地価水準との間にはまだまだ大きな開きがあります。このバブル現象の解消が必要であり、地価税導入によってこのバブルを一掃できるのでありましょうか。
政府は、消費税導入に際しては、物価に与える影響、家計
負担に及ぼす影響を提示しながら、地価税については、前提の置き方が難しいとか必要書類が
整備されていないなどを理由として、何らの影響予測をも行っておりません。しかし、それは
国民無視も甚だしいものであります。予測すれば、民間研究機関や
財政学者が
指摘するように、当然
効果がないことを認めることになるからではありませんか。また、資料不備とすれば、そのような状態で地価税を適正に実施できるのでしょうか。
総理、大蔵両大臣はこの点をどのように
考えているのか、
お尋ねをいたします。
次に、地価税の今後の地価高騰に対する歯どめ
措置についてであります。
現在の地価の上昇鈍化傾向は、不動産融資の総量規制と貸出金利の上昇という一時的な現象であります。地価の長期的
抑制のために、
土地の税制上の有利性の縮減、
税負担の
適正化といった根本的・恒久的
措置は不可欠であります。この地価税にはそれを期待できるのでしょうか、
大蔵大臣の御所見を
伺いたいと思います。
地価税の我が国
経済に対する影響が不透明なのは、地価税の
基本要件である税率、基礎控除、そして
非課税範囲を、
政府税調の答申で言われていたものを、自民党税調の審議の中で骨抜きにしたからであります。地価税の
基本的部分が政治的な取引材料となるさまは、まさに売上税や消費税の決定過程の再現であります。
国民生活に直結した地価税であればこそ、税率水準、基礎控除及び
非課税範囲には明確で合理的な
基準があってしかるべきであります。これらはどのような根拠に基づき設定されているのか、
大蔵大臣の具体的な説明を求めます。
まず、税率については、
政府税調は「
事業経営の継続に配意すると同時に
土地の資産としての有利性を縮減する
程度のもの」と答申し、それは一%と言われていました。しかし、現在提案されている〇・三%の税率は、
政府税調が
考えていた一%に対し、
土地の有利性を残したまま企業に大幅譲歩した不十分なものと言わざるを得ません。
大蔵大臣から、〇・三%でなければならない理由、根拠を示していただきたいと思います。
次に、基礎控除についてであります。基礎控除額の
基準を法人の十億円あるいは個人等の十五億円とした根拠、そしてまた、一平方メートル当たり三万円という単価控除の設定は、何のために、どのような
基準で決定されたのかをお
伺いいたします。
それに、
非課税範囲であります。その中に居住用の
土地等も含まれ、その面積要件は一千平米以下となっております。この要件は広過ぎるのではありませんか。
このような
基本的な仕組みに問題を抱えている地価税では、資産
格差を拡大し、
税負担の公平性
確保が期待できません。地価高騰は、持てる者と持たざる者との
格差、あるいは法人と個人との
格差の拡大をもたらしました。低成長時代に入り賃金の伸びが低くなる中で、地価が急上昇したため、年収の五倍と言われてきた住宅購入の目標額が一挙に十倍前後にまではね上がってしまいました。持たざる勤労者は働く意欲を失い、その一方で、持てる者は不動産投資や節税
対策による財テクゲームに走ったのであります。これに追い打ちをかけたのが、所得税率の累進課税緩和、消費税導入といった一連の税制改悪であります。その結果は、持てる者や高額所得者に厚く持たざる者や低所得者には冷たい、税収
確保優先型の租税
制度となったのであります。
そこで、
政府は資産
格差の
現状をどのようにとらえているのか。また、今回の地価税を含めた
土地税制
改革は資産
格差の
是正にどれだけ実効性があるのか。さらに、その他の
土地対策とあわせて、地価は総合
土地対策要綱でいう勤労者の住宅取得が可能な水準まで低下するのか。また、その場合の地価水準とはどの
程度なのかについて、
大蔵大臣の御
答弁を求めます。
現行税制では保有課税は
地方税だけであり、その代表である固定資産税は主要な
地方財源となっております。保有課税の検討に当たっては、この固定資産税の評価の
適正化、
地域間
格差の
是正を行えば十分であり、国税としての地価税を導入するのは屋上屋を重ねることであるというのが
自治省などの
見解でありました。このような
地方サイドからの
意見をも踏まえて、本
法律案には固定資産税の
負担状況等を勘案した地価税の五年ごとの検討
規定が盛り込まれております。
そこで、
自治大臣には、地価税に対する評価と今後の固定資産税評価の
適正化の実現性について、また
大蔵大臣には、固定資産税評価の
適正化が実現された場合に地価税は廃止される運命にあるのか、それとも税率の引き上げ等はあっても
全国一律の保有税である地価税の存在意義は消滅しないと
考えているのか、それぞれの御
答弁を求めます。
最後に、
土地対策としての金融
政策について
お尋ねいたします。
現在、地価
対策としては、国土利用
計画法による監視区域
制度、そして不動産融資の総量規制など、一時的に抑止
抑制効果が働いていると言えるでしょう。本来金融
政策と地価
政策は別のものでありますが、バブルが完全に崩壊していない以上、地価
政策としての総量規制は継続すべきであり、地価の徹底的な引き下げと不祥事を起こした金融機関への断固たる処置など、金融
制度からの適切な
措置が肝要と
考えます。その再発防止
対策について
大蔵大臣の御所見を
伺います。
以上述べてまいりましたが、
土地問題は、
国民の勤労意欲、社会的公正公平、その他社会生活に及ぼす影響は甚大なものがあります。同時に、都市の緑地空間をこれ以上減少させずに、しかも都市機能と都市環境を維持するためにも、大都市を中心とした一極集中がもたらす過密の諸条件を排除し、過疎化の進む
地方への
社会資本の
整備、
経済基盤の
拡充をすることが人口の分散を可能とするものであります。それが四全総の求める均衡ある国土づくりであります。それがまた
土地対策の根本的解決の道だと思います。
そこで、
国民の生活権防衛のため、
総理の
土地対策に取り組む決意のほどをお
伺いして、私の代表
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣海部俊樹君
登壇、
拍手〕