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参考人(
佐藤早苗君) ただいま御紹介いただきました
佐藤早苗でございます。
本日は、当
委員会で
競馬法及び
日本中央競馬会法の一部を
改正する
法律案の御
審議に際しまして、私の
意見を述べる
機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。
私は、
昭和五十七年から
中央競馬会が始められましたレディース・デーで
京都競馬場にお招きいただきまして、初めて
競馬場に参りました。私自身は
競馬というものに対して、以前から特別な
嫌悪感を持っているというわけではございませんでしたが、世間の見方によりまして、何となく近づけない
世界だと思っておりました。
しかしながら、
京都の
エリザベス女王杯、そして東京
競馬場でのオークスなどにお誘いいただいておりますうちに、いつの間にか自分の方から大きな
レースを追いかけまして中山とか阪神にも足を運ぶようになっておりました。
競馬の楽しみ方といいますのは、人それぞれでございましょうが、健康的で、頭の体操にもなり、その上安上がりということもありまして、
レジャーとして楽しませていただくようになりました。
初めて
競馬を見ましたときは、広々とした美しい
競馬場と懸命に走る
競走馬と
騎手の姿にただ夢中になりまして、何もわからないまま
馬券を買い、当たればはしゃぎまして、外れれば悔しがってということでございました。
そういたしますうちに、ノンフィクションの物書きが仕事でありますもので、次々と疑問がわき上がってまいりました。
一体競馬はどうやって行われているのか、
馬券はどうなっているのか、
競走馬たちはどこへ帰って寝るのか……。まるで小
学生のように質問が飛び出します。そんなわけで、
好奇心の赴くままに、厚かましく牧場や
厩舎、
競馬会の
運営の現場にまで入らせていただき、教えていただいたりいたしました。
本当に驚きと発見の連続でございました。そんなわけで、全くの門外漢の私でしたが、
競馬社会の本を一冊書くまでになったのでございます。華やかなターフのドラマの陰には、馬を愛し、馬に命をかけた多くの
人たちのけなげな姿があり、感動したことを今も覚えております。
先般の
農林水産省で行われました
競馬に関する
研究会におきましては、メンバーに加えていただきまして、
我が国の
競馬をめぐりますいろいろな問題と出会いまして、また
一つ競馬世界の奥の深さを知ったような次第でございます。
研究会におきまして、私が感じましたことを二、三申し上げますと、その
一つは、
学生、生徒、
未成年者の
馬券購入を禁ずる規定でございます。
未成年者につきましては、ただいまも飲酒、喫煙も禁じられておりますし、イギリスやフランスの場合も十八歳末満の者の
馬券購入は禁止されておりますことから、それは当然ではないかと思います。
学生につきましては、伺うところによりますと、
学校教育法に定められる
学校は
未成年者と同じ扱いをするようでございます。それも、二十歳を過ぎた
学生も、大学院の
学生も同じようにいけないということでございます。昔と違いまして、今では
学生と申しましても、
社会人から
学生にまた返る人もいらっしゃいますし、それから
家庭教師をする
学生もおります。それに大学には
競馬研究会もあるといいます。そんなわけで御検討を
お願いいたしたんですが、
競馬に関する国民感情を考慮なさって、今後の検討課題にすることが適当であるということになりました。
いま
一つは、強い
馬づくりに関することでございます。
研究会におきましても、来るべき
国際化に向けての
生産地対策や
競馬番組の
門戸開放、
厩舎制度の問題が取り上げられましたが、どうも
国際化対策といいますと、助成
措置とか
施設の
整備、
生産農家の
経営強化といったようなことが挙げられるようでございます。
しかし、素人の私が現場に入らせていただいて感じましたのは、そうした問題と同じくらい大切なのが人づくりではないかということでございます。
生産地におきましても、
厩舎におきましても、動物を扱う人の心と技術の大切さにもっと焦点が当てられるべきではないでしょうか。最近、新聞等で報じられております東西の
競走馬の力の差な
ども、案外こんな身近なところに問題があるのではないかと思っております。
馬を取り扱う仕事は三Kというのがあるのだそうでございます。つまり休みがとれずに大変きつい、けがを伴い危険、さらに汚い仕事ということなんですが、これから先のことを考えますと人づくり、人材
確保は重要な課題であると思われる次第でございます。
さて、
改正法案でございますが、私は、今回の法案の
内容につきましては賛成をいたしております。長い間
改正されておらず、また、他の
公営競技との調整といったことなどを考えますと、今般
改正に取り組まれました
関係者の御
努力と
改正法案を取り扱われます当
委員会に対しまして、心から敬意を表する次第でございます。
法律につきまして私は難しいことはわかりませんが、
特別給付金という
制度を設けまして、
ファン還元を行うということでございますが、
単勝式、
複勝式は初心者でも比較的当てやすい
馬券であり、今までの
ファンサービスとは違う形のものということで、その効果を大変期待しておりますし、ぜひ実現していただきたいと思っております。
次に、
中央競馬と
地方競馬についてでございます。
研究会の席上でも、
制度論から縄張りのような議論までなされましたが、
競馬が一種の興行であって、
中央、
地方の財政収入や縄張りは、
ファンにとってはあまり
関係のない話でございますので、もっと単刀直入に
ファンは何を望んでいるのかということを考慮なさって、両方ともおもしろい
レースを提供していただきたいと願っております。そのためには、人、馬の
交流も積極的に行えるようになればいいと思っております。国際的に通用する強い
馬づくりが緊急の課題となっているときに、
中央と
地方が協調し、やっていくことが切実に求められていると思います。
最後に、
中央競馬会の
国庫納付金の使途の拡大が図られたり、
剰余金を充当した
特別振興資金が設けられる、また
地方競馬全国協会の
畜産振興事業の充実もなされるということでございますが、その使途につきましては、
競馬ファンを初め広く一般に、もっとわかりやすく知らせていただいてもいいのではないかと思われます。
以上、
改正法案に関しまして私の
意見を述べさせていただきました。私といたしましては、この
法改正を機に、
競馬がさらに国民に親しまれる健全な
レジャーとなることを期待いたします。
最後に、
関係者の
方々に一層の御
努力を
お願いいたしまして、私の
意見陳述を終わらせていただきとうございます。ありがとうございました。