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国務大臣(
近藤元次君)
国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する
法律案及び
森林法等の一部を改正する
法律案の二法案につきまして、その提案の
理由及び主要な内容を
説明申し上げます。
まず、
国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する
法律案につきまして御
説明申し上げます。
国有林野事業は、
国土の保全等の公益的機能の発揮、木材の安定的な供給、
地域振興への寄与など
国民生活及び
国民経済の上で重要な使命を担ってまいりました。このような中で、
国有林野事業の経営構造が悪化するに至ったため、昭和五十三
年度以降、
国有林野事業改善特別措置法に基づき、
平成九
年度までに経営の健全性を
確立するという目標のもと、改善
計画に則して、その改善を進めてきたところであります。
しかしながら、近年、林産物収入の伸び悩み等からその累積債務が急速に
拡大しており、このままで推移すれば、将来にわたって
国有林野事業の使命を果たしていくことが困難な
状況に至っております。
このような情勢を踏まえ検討を行いました結果、
国有林野事業の経営の健全性を
確立するためには改善措置の一層の拡充
強化を図ることが必要であると
判断するに至りました。先般このための
国有林野事業経営改善大綱が閣議了解されましたが、その改善措置の一環として、この
法律案を提出した次第であります。
次に
法律案の要旨を御
説明申し上げます。
第一は、新たな改善
計画の
策定であります。
すなわち、
平成二十二
年度に収支の均衡を回復する等
事業全体の経営の健全性を
確立することを新たな目標とし、累積債務と区分した経常
事業部門の
財政の健全化等を
平成十二
年度までに完了することを旨として、
平成三
年度以降十年間を改善期間とする新たな改善
計画を
策定することとしております。なお、新たな改善
計画において定める事項には累積債務の処理に関する事項を加えることとしております。
第二は、改善期間における特別措置の拡充であります。
すなわち、改善期間中に改善を図るべき特別措置として、従来から定められていたものに加えて、
一般会計からの繰り入れの対象の
拡大、土地売り払い等収入の累積債務への充当、退職促進のための特別給付金の支給等の措置を新たに定めることとしております。
以上がこの
法律案の提案
理由及び主要な内容であります。
続きまして、
森林法等の一部を改正する
法律案につきまして御
説明申し上げます。
我が国の
森林は、木材等の林産物を供給するとともに、
国土の保全、水
資源の涵養等の公益的機能の発揮を通じて
国民生活と深く結びついてきたところであります。特に近年、このような
森林の有する多様な機能の発揮に対する
国民の期待は著しく高まってきております。
しかしながら、
森林・
林業の
状況を見ると、採算性の低下、
林業従事者の減少、高齢化の進行等により、
林業生産活動が停滞し、管理が適正に行われていない
森林が増加する等まことに厳しいものがあります。
このような
状況のもとで、
森林の有する多様な機能の発揮に対する
国民の期待の高まりにこたえ、緑と水の源泉である多様な
森林の
整備とともに、
国産材時代の到来を現実のものとすることは現下の林政の重要課題であり、その達成に向けて、流域を基本的単位とし、
民有林、
国有林を通じた
森林整備水準の
向上等を
推進する
森林の流域管理システムを
確立するとともに、
森林の有する公益的機能の維持増進のための制度の拡充を図ることが不可欠となっております。
政府といたしましては、このような
森林・
林業をめぐる諸情勢にかんがみ、国、都道府県、市町村を通ずる
森林計画制度の改善、地方公共団体間の
森林整備協定の締結の促進等の措置を講ずるため、所要の改正を行うこととし、この
法律案を提出した次第であります。
次に、この
法律案の主な内容につきまして御
説明申し上げます。
第一に、流域を基本的単位とした
民有林、
国有林を通ずる
森林整備の
推進のため、
森林計画区を
民有林、
国有林に共通の区域に再編成することを前提として、新たに
国有林の
地域別の
森林計画を作成することとするとともに、
森林施業の
条件整備を図るため、市町村
森林計画を含め
森林計画に関する
計画事項の拡充等の改善を行うこととしております。
また、その一環として、
森林整備の
計画的かつ着実な
推進を図るため、
森林整備事業計画を創設することとしております。
第二に、
森林の有する公益的機能の維持増進等のため、上下流の地方公共団体が
協力して
森林整備を
推進するための
森林整備協定の円滑な締結の促進のための措置を講ずるとともに、複層林、長伐期施業等
森林の公益的機能を重視した特定
森林施業
計画制度を創設することとしております。
第三に、緊急に間伐等を要する
森林についてその適正実施のための
森林施業代行制度を創設するとともに、林地の保全のため、林地
開発許可制度の改善を行うこととしております。
第四に、特定
森林施業の円滑な
推進に資するため、
森林組合法及び
林業等
振興資金融通暫定措置法の改正により、所要の措置を講ずることとしております。
以上がこの
法律案の提案の
理由及び主要な内容であります。
何とぞ、これらの二つの
法律案につき、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。