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菅野久光君 まあ
検討検討と言えばあれですが、きょうの
質疑などを通じて
検討の
中身について我々の
意見というものをぜひひとつ取り入れていただきたい。私
どもの
意見は牛舎からの声だというふうに受けとめてもらいたいというふうに思うんです。
私は今日的な
酪農の
状況からいえばまさに構造的な危機ではないかというふうに
認識をしております。それは乳価の
引き下げが年々続いて、今の水準というのはおよそ十五年ほど前の水準になっている、そして小規模の
酪農がだんだん消えていって規模が
拡大されてきている、そういう
状況があります。それを支えた
要因というのは副産物、ぬれ子の
価格が非常によかったということで、先ほどの
農家の経営
状況、
税務署に納めた
状況を見ますと、大体乳価でそれで収支がとんとんなんですね。あとはぬれ子がどう上がるか下がるかで
所得が多くなるか少なくなるかということがずっと続いてきたというふうに思いますし、
酪農を低コストの経営をするために大変な努力をしてきたという
農家のそれもやっぱりあったというふうに思うんですね。しかし、昨年の七月以降ぬれ子が暴落をする、生産資材や金利が
上昇する、そういうところに加えて自由化に対する不安。
本州、特に西日本などの
状況をいろいろ聞きますと、リゾート開発で土地を求めるというような企業があって、そして先行き余り自由化の問題やら
酪農に対する魅力というものがなくなってきているということから、今のうちに離農してそしてリゾート開発の
関係でそこに就職をしていくということが非常にふえてきている。いわゆる土地の値段が上がる、それから転職が可能になっているというような
状況などがあって、私
どもが聞いているのでは、全く中核の
酪農家であそこがというようなところが離農しているというのが今の実態なんですね。そういうのがふえてきているということなんです。
そこで、今の
畜産物の
価格を決めるに当たって乳価の
引き下げというものがなお一層離農に拍車をかけてくるのではないか。今までは経営の悪い、しかも
飼養頭数の少ない
農家からだんだん離農していくというような
状況があったんだけれ
ども、これからはそれだけではなくて、これからの中核的な
酪農家が離農するというような
状況が生まれてくるのではないか。そういう
意味でも、ことしの
畜産価格をどのように決定するのか、乳価をどのように決定するのかということは極めて重要な問題になってきている。だから、ことし
地域で
畜産価格の決定に当たっていろいろ集会を持っていますが、その中に、
酪農崩壊阻止、生産刺激乳価をということのスローガンを掲げながら集会をやっている。
酪農崩壊阻止です。
酪農危機突破じゃないんですね。今まではよく危機突破、危機突破ということがありましたけれ
ども、もう危機じゃなくて崩壊を阻止しなきゃならぬというようなスローガンを掲げながら集会をやっているというそれぞれの地区の実態というものも
認識をしてもらわなければならないんじゃないかというふうに思うんです。
特に西日本の
関係は、一戸だけで
酪農をやるというのはなかなか大変なものですから、いわば団地形成によって低コスト化などを図ってきております。そういうところでは、大農具やあるいは
施設の共同利用それから
収入だとか流通
管理なんかもお互いに共同でやっているんですが、そこで一戸が抜ければもうやっていけないということで、そこの団地全体がやめてしまうというような
状況にまで追い詰められていくのではないかというふうに思うんです。
そんなことなどを
考えていくと、ことしの
酪農の
関係で言えば、乳価をどのように決めるかということが今後の日本の
酪農に大きな
影響をもたらす。ただ単に、昨年までの数字だけを見てこういう
要素があるからということで、ある程度機械的といいますか、そういうことで
価格を決定するということは非常に危険なことになっていく、そういうことを私
どもは
考えているものですから、それで先ほどから時間をかけて実は質問をしているわけです。そのような
認識がおありかどうか、この辺は大臣いかがでしょうか。