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説明員(
須田洵君) それでは、引き続きまして
平成二
年産米生産費調査につきまして御
説明をいたします。
お
手元に小さな
資料でございますが薄い冊子がございますので、それをお出しいただきたいと存じます。
まず、「
平成二
年産米生産費」という一ページの一番下に注がございますが、
販売農家、玄米十俵以上
販売、その
平均でございます。ただし、
災害農家は除いてあります。
それらの総括が一ページでございますが、
生産費としまして、まず十アール
当たりで見てまいりまして、
物財費トータルで前年に対しまして一・四%の
上昇、それから
労働費につきましては〇・九%の
上昇、
費用合計としまして一・二%の
アップということになるわけでございます。これから
副産物価額を差し引きましても、第一次
生産費で見まして一・五%対前年より
上昇、さらにこれに
資本利子、
地代を算入いたしましての第二次
生産費としましては〇・八%の
上昇ということに相なりました。
これを
右側にございますが六十キログラム
当たりに換算いたすわけでございます。
後ろの方の
資料にもございますが、今年につきましては
収量が前年に対しまして二・七%の
上昇となっております。したがいまして、これをもとに六十キログラム
当たりを換算いたしますと、一番下の第二次
生産費の
ベースで見てまいりまして一万九千七百六円、対前年一・八%の
マイナス、こういう結果でございます。
さらに、その下に
収益性を書いてございますが、一つは粗
収益、十アール
当たりで〇・三%前年よりも
マイナスということでございます。これは
米価あるいは
自主流通米価格が下がって
収量が上がって、それがほぼ相打ちになったような形でございます。それから
所得につきましては、十アール
当たりで六万九千七百九十六円、これは前年よりも二・五%
マイナスという結果になっております。
次に、各
費目の
動きにつきまして見てまいりたいと思いますが、四ページをお開きいただきたいと思います。
四ページで、十アール
当たりベースでございますが各
費目の
動きがわかるわけでございます。左から右へごらんになっていただけばよろしいかと思いますが、まず
種苗費については前年に比べて五・九%の
上昇、それから
肥料代につきましては一・二%下がっております。これは
施肥量の
減少ということが主な要因でございます。それから
農薬剤費、
光熱動力費、いずれも三%台の
上昇でございます。また、その他の諸
材料費、
水利費につきましては二・二%の
上昇でございます。
それから、
賃借料及び
料金という欄がございまが、これにつきましては三・九%ということで、
労働時間が一方で
減少をしておりまして、これは
作業委託がふえるといったような形でございすが、その見返りといいますかこの
貸借料、
料金のところが増高している、こういうことでございます。
それから、建物及び
土地改良設備費については〇・三%、
農機具費については〇・七%の増でございます。
農機具費の中で
償却費が〇・八%
プラスでございますが、これにつきましては、主要な
農機具が
更新期に入りまして購入がふえているという結果でございます。
次に、その下の方をごらんいただきますが、左の方から
労働費でございます。
労働費は
労賃と
労働時間で構成されるわけでございますが、
労働時間につきましては、ここに書いてございませんが、
後ろの方にございますが、ちょうど五%前年よりも
減少しております。一方、
労賃、これは
農村雇用賃金でございますが、
生産費調査ベースでございますから、これが五・九%の
アップということで、差し引き〇・九%の
プラス、こういうことになっておるわけでございます。
費用合計としまして、以上のものを足し込みました
ベースで一・二%の
プラスということになります。また、
副産物価額を引いた第一次
生産費で一・五%、さらにこれに
資本利子、
地代を足した
ベースで見ますと、
資本利子、
地代ともに若干
マイナスという結果になっておりますので、第二次
生産費としましては、十アール
当たりで〇・八%の
上昇という結果になってきたわけでございます。
続きまして、六ページでございますが、これは六十キログラム
当たりの
ベースで見ました各
費目の
動きでございます。
動きの
方向につきましては十アール
当たりの
方向と同じでございますので省略いたしますが、七ページの下の方の
右側をごらんいただきますと、第二次
生産費、つまり六十キログラム
当たりの第二次
生産ということで、これにつきましては先ほどの十アール
当たりの第二次
生産費に単収を織り込みまして、先ほど二・七%の増と申しましたが、それを織り込んだ結果が一・八%の
マイナス、一万九千七百六円という結果になったわけでございます。これにつきまして、下に
作付規模別の数字が並んでおります。一覧してわかりますように
規模が大きくなるにつれましてやはりコストが下がっていくという、一番上と下では半分ぐらい、それに近い、そういう
実態が見られるわけでございます。
続きまして、八ページ以降、
費目別構成比等ございますけれども、御
参考にしていただきたいと思います。
最後に十二ページをお開きいただきたいと思います。
平成二
年産の
農業生産組織の
米生産費調査ということで、
参考ではございますが、ことし初めて
調査をいたしましたので、その
ポイントだけは御紹介すべきかと考えます。
この点につきましては、従来より
米価審議会等から、
個別農家だけではなくて
生産組織の
生産費調査というものも調べるべしということで御指摘を受けておるわけでございますが、いろいろ準備を進めましてようやくこの
平成二
年産から実施をしたということでございます。
十二ページの下の1の「
調査の
概要」というところに全体の骨格的なことを書いてございます。
農業生産組織といってもいろいろございますが、大別いたしますと
協業経営体とそれから
受託組織等、この
二つに大きく分かれようかと思います。
協業経営体につきましては、
複数の世帯が
一定の協定に基づいて
組織化をして米の
生産、
販売、
収支決算を共同で行い、
収益を分配しているというものでございます。後者の
受託組織につきましては、これまた
複数の
農家が
組織化をしまして、
組織内外の農
作業の一部を担うということですが、
ポイントは、その
生産された米はすべて
個別農家に帰属するという点において
協業経営体と異なるわけでございますが、さらにこれを
二つに分けまして、主要な
作業の全部を受託する全
作業受託組織と、
部分作業を受託する
部分作業受託組織とに分かれようかと思います。
これらの
調査の
方法といたしましては、
協業経営体及び全
作業受託組織につきましては
個別農家の
生産費と同様の
調査でやれるわけでございまして、またそのようにやったわけでございます。しかし
部分作業受託組織については、全体を全部きっちり調べるということはなかなか難しい面もございまして、一部推計も含めまして
組織全体に積み上げ
方式をとったということでございます。細かい点は
説明を省略させていただきます。
この
調査の
取り扱いでございますが、上の方の「しかし」以降に書いてございますが、
受託組織等につきましては
対象となります米が
個別農家のものとダブる
部分もございますので、そういう
個別農家生産費との関係で母集団の整備なり、いろいろ
調査体系の
改善検討を今後さらに重ねる必要があるんではないかということで、そういう努力をしていく必要がございますが、
取り扱いとしてはそのような意味において
参考調査ということで、こういう
組織体になることによってどのような
米生産費構造になるかということを見る上での一助にしていただくということかと思います。
結果について十三ページにございますが、結論だけ申しますと、第二次
生産費という一番下でごらんいただきまして、
協業経営体で六十キログラム
当たりで一万四千七百二十七円、そして全
作業の
受託組織で見ますと一万三千三百二十円ということでございます。
個別農家平均が先ほど申しましたように一万九千七百六円でございますので、それから見ますとかなり低い
水準にはなるということでございます。
規模の小さい
農家であってもこういう
組織的な取り組みの中において総体としてコストダウンの
可能性も出てくるということを示唆するものではないかという感じでございます。
以上をもって、
説明を終わらせていただきます。