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1991-07-04 第120回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年七月四日(木曜日)    午後二時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉川  博君     理 事                 青木 幹雄君                 北  修二君                 谷本  巍君                 細谷 昭雄君                 井上 哲夫君     委 員                 大浜 方栄君                 鎌田 要人君                 熊谷太三郎君                 鈴木 貞敏君                 高木 正明君                 成瀬 守重君                 初村滝一郎君                 星野 朋市君                 本村 和喜君                 上野 雄文君                 大渕 絹子君                 菅野 久光君                 三上 隆雄君                 村沢  牧君                 猪熊 重二君                 刈田 貞子君                 林  紀子君                 橋本孝一郎君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   近藤 元次君    事務局側        常任委員会専門        員        片岡  光君    説明員        国土庁防災局防        災企画課長    仲津 真治君        国土庁防災局震        災対策課長    山田 俊郎君        外務省経済局長  林  貞行君        大蔵省主税局税        制第二課長    増原 義剛君        国税庁直税部所        得税課長     日高 正信君        農林水産政務次        官        久世 公堯君        農林水産大臣官        房長       鶴岡 俊彦君        農林水産省経済        局長       川合 淳二君        農林水産省経済        局統計情報部長  須田  洵君        農林水産省構造        改善局長     片桐 久雄君        農林水産省農蚕        園芸局長     安橋 隆雄君        食糧庁次長    森元 光保君        食糧庁管理部長  高橋 政行君        運輸省自動車交        通局整備課長   豊田 榮次君        自治省税務局府        県税課長     林  省吾君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (平成年産米生産者米価に関する件)     ─────────────
  2. 吉川博

    委員長吉川博君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査のうち、平成年産米生産者米価に関する件を議題といたします。  まず、平成年産米生産者米価について政府から説明を聴取いたします。高橋食糧庁管理部長
  3. 高橋政行

    説明員高橋政行君) まず、お手元にお配りしてございます「諮問」と「諮問説明」に関係して御説明申し上げます。  平成年産米穀政府買い入れ価格決定に関しまして、その算定方式及び留意すべき事項につきまして六月二十七日の米価審議会諮問を行いまして、さらに本日再開されました米価審議会におきまして生産者米価試算値をお示しいたしましたので、その概要を御説明申し上げたいと思います。  まず、お配りしております「諮問」を朗読させていただきます。   平成年産米穀政府買価格決定に関し、将来にわたり我が国稲作の健全な発展を図るとの観点に立ち、地域における生産性の高い稲作農家生産費及び所得を考慮して算定すること及びその際留意すべき事項につき、米価審議会意見を求める。   平成三年六月二十七日          農林水産大臣 近藤 元次  次に、「諮問説明」でございます。   米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式によりその時々の需給事情等に応じて行ってきたところであります。   このような中で、最近の米をめぐる諸情勢にかんがみ、生産性の高い稲作の担い手となる農家生産組織・集団の育成を通じて稲作の一層の生産性の向上を図り、国民の納得の得られる価格での米の安定供給に努めることが重要な課題となっております。   また、消費の減退傾向が続いていること等から、大幅な潜在需給ギャップが存在しており、引き続き水田農業確立後期対策を実施しております。   他方、一般経済情勢面では、引き続き労賃物価等上昇がみられております。   以上の事情総合勘案の上、本年産米穀政府買価格につきましては、全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家をその地域において稲作を実質的に担っている者であるとし、このような生産者生産費基礎とし生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかと考えております。つきましては、このような考え方により政府買価格算定すること及びその際留意すべき事項につきまして米価審議会の御審議を願い御意見を賜りたいと存じます。  続きまして、お手元にお配りしてございます「平成年産米穀政府買価格試算」について御説明をいたしたいと思います。  まず、一ページの算式でございますが、これは前三年の評価がえ生産費平均分子といたしまして、前三年の平均収量分母といたしまして六十キログラム当たり価格を求める式でございます。この場合の生産費対象農家とり方でございますが、昨年同様いわゆる地域方式に基づいております。この地域方式基本的考え方は、全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家は、その地域において稲作を実質的に担っている生産者であるというふうに位置づけ、算定対象とするものでございます。  このような基本的考え方のもとに、具体的な対象農家とり方につきましては次のようにいたしております。まず第一に、全国を九つの農業地域に区分いたしてございます。ここの(注)に書いてあ る地域でございます。次いで、地域ごとに六十キログラム当たり平均生産費を求めます。このようにして求めました地域ごと平均生産費指標とし、それ以上の生産性を上げている農家を選定しております。これらの農家が各年の生産費についての算定対象農家となるわけであります。ちなみに、このような手順によって算定対象となる農家戸数シェアでございますが、各年産とも四〇%を上回っております。また、販売数量シェアで申しますと五五から六〇%程度ということになっております。  一ページの分子でございますが、今まで申し上げました対象農家の十アール当たり平均生産費につきまして、物財雇用労働費など実際に支払います費用につきましては、生産費調査結果を物価修正するとともに、家族労働費については都市均衡労賃評価がえをいたし、実際に支払いを行っておりません自己資本利子あるいは自作地地代につきましても一定評価方法によりまして算入をしてございます。これらを合計した評価がえ生産費算出いたしまして、これを対象農家平均単収、これがいわゆる分母になるところでございますが、それで除しまして求める価格、言うなれば米全体の農家庭先価格というべきものを算定しております。次に二ページでございますが、算定値をお示ししております。1が求める価格でございます。それから2の基準価格は、求める価格最寄り検査場所までの運搬費を加算したものでございまして、一万六千百八十九円となっております。3のところは、基準価格基礎といたしまして銘柄間格差等級間格差等を前提に三類一等価格算出したものでございます。4は、基本米価と呼んでおるものでございます。これはウルチ一類から五類まで、等級一等、二等の平均、それから包装込み生産者手取り予定価格、これを基本米価と言っているわけでございます。この基本米価は、前年と比較いたしますと百八円、〇・六五%のマイナスとなっております。  なお、三ページに類別、等級別価格一覧を掲げてございます。  続きまして、四ページの算定要領でございます。算定要素とり方について整理をしておるところでありますが、本年産政府試算におきます算定要素とり方は、基本的に昨年と同様の考え方に基づいております。  まず、家族労働費でございますが、家族労働費につきましては生産費及び所得補償方式のもとで、都市均衡労賃によりまして評価がえを行っております。都市均衡労賃といたしましては、前年同様、都道府県別米販売数量により加重平均をいたしました事業所規模五人以上一千人未満事業所製造業賃金を採用しております。四ページの下に一時間当たり労賃を掲げておりますが、このうち、男女込み労賃は直接家族労働評価に用いております。それから男子労賃の方は自給肥料などいわゆる間接労働評価に用いております。なお、労賃単価は、前年産に比べますと、男女込み労賃では六・〇五%、男子労賃で五・六七%の上昇ということになっております。  それから五ページのアでございますが、五人以上一千人未満規模労賃でございますが、現物給与等の調整前のものでございます。規模修正それから期間修正は、データの制約から労賃規模期間につきまして修正を行っております。その計算手順整理してございます。イは、アの労賃に加算いたします現物給与相当額加算手法について、ウは、労賃から控除いたします通勤手当相当額減額手法について整理をしてございます。  続いて六ページでございます。まず、物財それから雇用労働費物価修正手法でございます。物価修正につきましては、生産費調査調査期間暦年ベース、一月から十二月ということになっておりますこと、それからできる限り直近までの物価動向を反映させる必要があるということから、従来基準期間比較期間とも各年の一―五月平均物価指数を用いることを基本としております。したがいまして、本年産におきましてもこのような従来の考え方を踏襲いたしまして、基準期間比較期間とも一―五月をとることといたしております。  続いて副産物でございます。副産物はわら及びくず米でございまして、生産費から控除されるわけでございますが、掲げております係数生産費調査にあらわれた各年の副産物物価修正をする係数でございます。  続いて七ページの資本利子でございます。資本利子は、借入金自己資金に区分をしておりますが、この割合は三年に一度行っております米生産費補完調査結果によっております。借入金金利は、補完調査にあらわれました借り入れの実態にその後の実勢を織り込んで算出をしております。一方、自己資本利子につきましては、これは実際には支払いを行っていない部分でございますので、一種の擬制計算をしておりまして、従来その利率とり方につきましては必ずしも特段のルールというものが確立しているわけではございません。本年の場合には、去る七月一日に公定歩合が〇・五%引き下げられるなど金利水準転換点を迎えたと見られる中で、自己資本利子適用利率といたしまして、より安定的な指標をとるという考えから農協定期貯金直近五カ年の平均利率をとることとしたものでございます。  次は、物件税及び公課負担でございます。物件税及び公課負担は、収益の有無にかかわらず稲作を行っていることによって賦課されるものを従来どおり計上しております。なお、土地に係る固定資産税は別途地代に織り込んでありますのでここからは除いております。  続きまして、八ページの地代でございます。まず、自作地地代につきましては、生産者が実際に支払うものではございませんが、所得付与部分として従来から価格に算入してきております。本年産につきましても従来同様土地資本利子考え方によりまして、一般田固定資産税評価額九万八百二十二円、十アール当たりでございますが、これに十年利付国債平均利回りを乗じて算出をしております。また、小作地等地代につきましては、生産費調査実績値をそのまま算入しております。  次は、企画管理労働でございます。企画管理労働につきましては種々の論議がございますが、本年産につきましては、各地域において創意工夫により高い生産性を実現している稲作農家は、それぞれの地域において稲作を実質的に担っている者であると位置づけまして、このような農家生産費基礎米価算定することとしておりますので、前年産と同様に、十アール当たり企画管理労働時間一・三時間を都市均衡労賃評価がえいたしまして算入しております。  (8)の算定値は、以上の各要素を積み上げました十アール当たり評価がえ生産費でございまして、平均で十四万四千八百六十三円となります。これを六十キログラム当たりに引き直すために、次の十アール当たり平均収量算定しております。十アール当たり平均収量の三カ年平均で五百四十三キログラムとなっております。  次に、九ページの運搬費でございます。農家庭先から最寄り政府指定倉庫までの運搬及び受検に要する経費を米生産費補完調査結果に基づいて算出をしております。  十ページ及び十一ページは、以上の結果を原生産費価格決定年評価がえ生産費という形で整理したものでございます。  以上でございます。
  4. 吉川博

    委員長吉川博君) 次に、平成年産米生産費調査結果を聴取いたします。須田統計情報部長
  5. 須田洵

    説明員須田洵君) それでは、引き続きまして平成年産米生産費調査につきまして御説明をいたします。  お手元に小さな資料でございますが薄い冊子がございますので、それをお出しいただきたいと存じます。  まず、「平成年産米生産費」という一ページの一番下に注がございますが、販売農家、玄米十俵以上販売、その平均でございます。ただし、災害農家は除いてあります。  それらの総括が一ページでございますが、生産費としまして、まず十アール当たりで見てまいりまして、物財費トータルで前年に対しまして一・四%の上昇、それから労働費につきましては〇・九%の上昇費用合計としまして一・二%のアップということになるわけでございます。これから副産物価額を差し引きましても、第一次生産費で見まして一・五%対前年より上昇、さらにこれに資本利子地代を算入いたしましての第二次生産費としましては〇・八%の上昇ということに相なりました。  これを右側にございますが六十キログラム当たりに換算いたすわけでございます。後ろの方の資料にもございますが、今年につきましては収量が前年に対しまして二・七%の上昇となっております。したがいまして、これをもとに六十キログラム当たりを換算いたしますと、一番下の第二次生産費ベースで見てまいりまして一万九千七百六円、対前年一・八%のマイナス、こういう結果でございます。  さらに、その下に収益性を書いてございますが、一つは粗収益、十アール当たりで〇・三%前年よりもマイナスということでございます。これは米価あるいは自主流通米価格が下がって収量が上がって、それがほぼ相打ちになったような形でございます。それから所得につきましては、十アール当たりで六万九千七百九十六円、これは前年よりも二・五%マイナスという結果になっております。  次に、各費目動きにつきまして見てまいりたいと思いますが、四ページをお開きいただきたいと思います。  四ページで、十アール当たりベースでございますが各費目動きがわかるわけでございます。左から右へごらんになっていただけばよろしいかと思いますが、まず種苗費については前年に比べて五・九%の上昇、それから肥料代につきましては一・二%下がっております。これは施肥量減少ということが主な要因でございます。それから農薬剤費光熱動力費、いずれも三%台の上昇でございます。また、その他の諸材料費水利費につきましては二・二%の上昇でございます。  それから、賃借料及び料金という欄がございまが、これにつきましては三・九%ということで、労働時間が一方で減少をしておりまして、これは作業委託がふえるといったような形でございすが、その見返りといいますかこの貸借料料金のところが増高している、こういうことでございます。  それから、建物及び土地改良設備費については〇・三%、農機具費については〇・七%の増でございます。農機具費の中で償却費が〇・八%プラスでございますが、これにつきましては、主要な農機具更新期に入りまして購入がふえているという結果でございます。  次に、その下の方をごらんいただきますが、左の方から労働費でございます。労働費労賃労働時間で構成されるわけでございますが、労働時間につきましては、ここに書いてございませんが、後ろの方にございますが、ちょうど五%前年よりも減少しております。一方、労賃、これは農村雇用賃金でございますが、生産費調査ベースでございますから、これが五・九%のアップということで、差し引き〇・九%のプラス、こういうことになっておるわけでございます。  費用合計としまして、以上のものを足し込みましたベースで一・二%のプラスということになります。また、副産物価額を引いた第一次生産費で一・五%、さらにこれに資本利子地代を足したベースで見ますと、資本利子地代ともに若干マイナスという結果になっておりますので、第二次生産費としましては、十アール当たりで〇・八%の上昇という結果になってきたわけでございます。  続きまして、六ページでございますが、これは六十キログラム当たりベースで見ました各費目動きでございます。動き方向につきましては十アール当たり方向と同じでございますので省略いたしますが、七ページの下の方の右側をごらんいただきますと、第二次生産費、つまり六十キログラム当たりの第二次生産ということで、これにつきましては先ほどの十アール当たりの第二次生産費に単収を織り込みまして、先ほど二・七%の増と申しましたが、それを織り込んだ結果が一・八%のマイナス、一万九千七百六円という結果になったわけでございます。これにつきまして、下に作付規模別の数字が並んでおります。一覧してわかりますように規模が大きくなるにつれましてやはりコストが下がっていくという、一番上と下では半分ぐらい、それに近い、そういう実態が見られるわけでございます。  続きまして、八ページ以降、費目別構成比等ございますけれども、御参考にしていただきたいと思います。  最後に十二ページをお開きいただきたいと思います。平成年産農業生産組織米生産費調査ということで、参考ではございますが、ことし初めて調査をいたしましたので、そのポイントだけは御紹介すべきかと考えます。  この点につきましては、従来より米価審議会等から、個別農家だけではなくて生産組織生産費調査というものも調べるべしということで御指摘を受けておるわけでございますが、いろいろ準備を進めましてようやくこの平成年産から実施をしたということでございます。  十二ページの下の1の「調査概要」というところに全体の骨格的なことを書いてございます。農業生産組織といってもいろいろございますが、大別いたしますと協業経営体とそれから受託組織等、この二つに大きく分かれようかと思います。  協業経営体につきましては、複数の世帯が一定の協定に基づいて組織化をして米の生産販売収支決算を共同で行い、収益を分配しているというものでございます。後者の受託組織につきましては、これまた複数農家組織化をしまして、組織内外の農作業の一部を担うということですが、ポイントは、その生産された米はすべて個別農家に帰属するという点において協業経営体と異なるわけでございますが、さらにこれを二つに分けまして、主要な作業の全部を受託する全作業受託組織と、部分作業を受託する部分作業受託組織とに分かれようかと思います。  これらの調査方法といたしましては、協業経営体及び全作業受託組織につきましては個別農家生産費と同様の調査でやれるわけでございまして、またそのようにやったわけでございます。しかし部分作業受託組織については、全体を全部きっちり調べるということはなかなか難しい面もございまして、一部推計も含めまして組織全体に積み上げ方式をとったということでございます。細かい点は説明を省略させていただきます。  この調査取り扱いでございますが、上の方の「しかし」以降に書いてございますが、受託組織等につきましては対象となります米が個別農家のものとダブる部分もございますので、そういう個別農家生産費との関係で母集団の整備なり、いろいろ調査体系改善検討を今後さらに重ねる必要があるんではないかということで、そういう努力をしていく必要がございますが、取り扱いとしてはそのような意味において参考調査ということで、こういう組織体になることによってどのような米生産費構造になるかということを見る上での一助にしていただくということかと思います。  結果について十三ページにございますが、結論だけ申しますと、第二次生産費という一番下でごらんいただきまして、協業経営体で六十キログラム当たりで一万四千七百二十七円、そして全作業受託組織で見ますと一万三千三百二十円ということでございます。個別農家平均が先ほど申しましたように一万九千七百六円でございますので、それから見ますとかなり低い水準にはなるということでございます。規模の小さい農家であってもこういう組織的な取り組みの中において総体としてコストダウンの可能性も出てくるということを示唆するものではないかという感じでございます。  以上をもって、説明を終わらせていただきます。
  6. 吉川博

    委員長吉川博君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより本件に関する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 ただいま本年度生産者米価諮問案について当局より説明があり、昨年比マイナス〇・六五%、六十キロ当たり、一俵平均一万六千三百九十二円、これの原案が提出されておるというふうな話でありますが、これは全国稲作生産農家の切実な要求であります、少なくとも今年度の米価は据え置きすべきであるというふうな要求とは極めてほど遠い諮問案と言わざるを得ず、極めて遺憾であります。  私どもは、党といたしまして先ほどの理事会決議案を提出しておりますけれども、この七月一日、東京ドームを埋め尽くしました五万人の全国農民の叫び、そして大臣米どころ新潟県の出身でございます。この新潟県民の、そして新潟生産農家の切実な声というものを大臣はお聞きだと思いますが、率直に言って今回の諮問というものは農民の期待を裏切るものだというふうに思いますけれども、端的に大臣の所感をお伺いしたいと思います。
  8. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 五万人集会がドームで行われ、そこに国会議員の諸先生方四百人も参加をして行われたり、また全国各地で米を取り巻く自由化並びに米価の問題で総決起集会が行われておることを十分承知いたしておるわけであります。  そうでなくても、私自身が今農村米生産農家の環境を見て大変厳しいものがある、また感情的に考えてみても、ほかのものが皆値上がりしているときに、私のつくっている米だけ下がるのかという気持ちは農家が持っておられる心情であろうということをかねがね考えてきた一人でもございます。一方、人手不足なり他産業の賃金高水準のような傾向もまたとりわけことしの米価を取り巻く環境ではないだろうか、こう実は思っているわけであります。  そういう形で、先般、前段の米審におきまして算定方式並びに米価決定に対する留意事項ということで二日間にわたって御審議をいただいて、やむを得ざるものということではありますけれども今回の算定方式を答申いただいたところであります。  計算当たりましては、事務当局に対して、私が今申し上げたようなことを念頭に置きながらひとつ計算をしてほしいということで計算の努力をしていただいて、真剣に調査をしていただき、あるいはそれに基づいた算定方式により計算をしていただいて、結果がマイナス〇・六五という数字が出てまいりました。それで今米審に数値を諮問させていただいておるところであります。〇・六五マイナスというこのマイナス自身が農家の意欲をまた阻害するかなという心配をしておることも事実であります。  しかし、米審で御承認をいただいた算定方式に基づいて計算をされたものでありますから、私は素直にそのことを米審に数値をお諮りして、私が今後また、今念頭に置いておるようなことを改善するには周辺の対策なり、生産コストを下げるためのこれからの予算措置をどうするかということは従来にまさる全力を傾けていかなければならない。  あわせてまた、この引き下げ米価が消費者に対して、消費者米価の引き下げに努力をしていかなければならない。そして今日、国際交渉をやっておる過程でありますので、国民的なコンセンサスを得て、そしてこれからの交渉に御支援をいただいて対処するというその道を選ぶことしかないかと、こう実は思っておるわけであります。
  9. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 今回の米価諮問するに当たっての大臣考え方といいますのはわかりますけれども、何といいましても、今いみじくも大臣が言いましたように、全体の農民の気持ちとしましては、本来であればもう二万二千円なり二万三千円なりという米価要求をすべきだ、理論的にはそういうふうに考えておるのが普通なんですよ。しかし、諸般の情勢からしましても、系統農協としては我慢に我慢を重ねても、少なくとも据え置きなんだと、こういうのが今回の切実な要求であったというふうに思います。にもかかわらずマイナスという諮問を出したという点では、私は何といってもこれは残念である、政府としても極めて遺憾であったというふうに言わざるを得ないと思います。  そこで、今言及されました米審について、そして米価政策について質問したいと思いますけれども、まず最初に、今回は米価審議会の運営の方法を変えたというふうに思います。昨年は前広米審もやりましたけれども、何といいましても本格的な米価審議会に重点を置いた、今回は事前米審に重点を置いたというふうに思うわけでありますが、その理由をお伺いしたいということと、米価審議会が今まで形骸化している、何にもならないんじゃないか、とどのつまりは政府と与党でいわゆる政治加算という形で密室で決められた。これはもう形骸化しているというふうに批判をされましたが、今回の米価審議会の運営を変えることによってこの形骸化が防げると思うかどうか、この点について大臣の所見を伺いたいと思います。
  10. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 今お話がございましたように米審の運営のやり方について今回改正をさせていただいたわけであります。これはもとより米審からの御要望が実はございまして、従来のようなやり方では米審の形骸化である、こういう観点に立って私の方に、前広米審なり事前米審ということでなく、もう米審そのものに初めからしていただいて、冒頭から諮問していただきたいというお話が実はございましたので、そのようにさせていただいたわけでございます。したがって、従来の前広も事前もなくなりまして、本米審ということで、冒頭に私が諮問をさせていただいたわけであります。  諮問の骨子は、算定方式並びに米価決定に当たって留意すべき事項について御審議をしていただいて、御意見をいただいて取りまとめをちょうだいいたしたところでございまして、数値については本日諮問をさせていただいた。米審の運営改正に当たって、二十七日の開会のときに、冒頭、会長から米審の委員に御報告をして、要請をしたところについて大臣から決断をいただいて大変ありがたかったという謝意も実はございまして、米審からそういう私に対する言葉もございましたので、今回の米審はそういう気持ちで審議に当たっている先生はいないんではないか、こう実は思っておるわけであります。
  11. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 来年からこの形式というのは大体定着させたいというふうに大臣はお考えですか。
  12. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 米審が初めてのことで、きょう終了する予定になっておりますので、その段階で特段の米審の委員の先生方からの御意見がなければこのままで今後も進めていきたい、そう考えております。
  13. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 米価そのものにつきましては谷本委員の質問に譲りたいと思いますけれども、一つだけお伺いしたいと思うんです。  先ほど当局から説明がございましたが、今回の諮問米価一万六千三百九十二円、この水準規模階層別に見た場合に第二次生産費でどの層に当たるかということと、そしてこれは全農家戸数をどの程度カバーでき、販売数量の何%分のシェアになっているのか、この点を事務当局でも結構ですからお答え願いたいと思います。
  14. 高橋政行

    説明員高橋政行君) 今回の試算値がどの程度の規模農家生産費に相当するかということでございますが、一般的な作付規模生産費水準がおおむね相関はしておりますけれども、かなりのばらつきもありますので一概に申しにくいわけでございますが、仮に二年産作付規模別のそれぞれの階層の平均生産費で比較をいたしますと、第二次生産費をカバーいたしますのが三・〇ヘクタール以上層の平均生産費参考までに申し上げますと、第一次生産費の方では一・〇ヘクタール以上の平均生産費ということになっております。  それから、この試算値によりまして第二次生産費をカバーできる農家の割合でございますが、戸数カバーで申し上げますと一五%、それから販売数量のカバー率で二九%、実際には現在自主流通米が七割を占めているという状況でございますので、そういった自主流通米と政府米の平均的な手取りということで見ればかなり率は高くなっているんじゃないかというふうに思っております。
  15. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 大体、政府米がこういうふうにわずかに全体戸数の一五%しかカバーできない、そして販売数量の三割未満、二九%。もうこれじゃ政府に売り渡すなんていう気持ちにならないのは当然なんですよ。そして、特にこの政府案によりますと、北海道を初め良質米を生産できない地域、この稲作農家にとっては棄民政策なんですね。百姓をやめろということなんです。これはもう大変な問題でありまして、農業や農民の保護政策を放棄するという政策にすぎません。  こういう点で私は、今回の米価算定といいますのは、完全に農業保護削減の実績をつくりながら今後の日米首脳会談ないしはロンドン・サミット、そしてガット・ウルグアイ・ラウンド、これにつなげようという地ならしにすぎないのではないか、このように批判されても弁解できないと思います。農相のこれに対する見解をお伺いしたいと思います。
  16. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 米の自由化阻止につきましては、かねがね御質問も御答弁もさせていただいておるとおり、私も先般ヨーロッパへ出かけて、一つは世界食糧理事会に出席をすること、アメリカの農務長官にもお会いをしたいということ、ECの農業改革はどうなっているかということ、ECの農業大使とお会いをして、これからのガットに取り組む各国の姿勢なり農業改革との関連なりということを自分自身で感触を得てきたいということで出張させていただいたわけであります。  もとより私自身が、米の重要性については、もう言うまでもなく国の内外を問わず、このような時期に自給方針を貫いていくしか我が国の米農政はないという確信を実は持っているわけでありますし、なかんずく国会でも三回もの決議をされておるわけでありますし、諸先生方からもまた同様な認識で御意見を賜っておるところでありますので、私が今回出張して帰った段階でも全くその方針に変わるところがない、変えるべき必要もない、こういう認識に立っておるわけであります。
  17. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 米の自由化の問題といいますのは、私は非常に急を告げておるというふうに思っておるわけであります。本日は米価審議会のための委員会ではございますけれども、七月十一日、急遽米国の招請によって日米首脳会談というものがアメリカのメーン州のブッシュ大統領避暑地で行われるというふうに聞いております。この十五日からはロンドン・サミットが開かれますので、その事前の米の自由化をめぐる問題というのは、これは当然出てくるんじゃないか、こんなふうに私たちは危惧をしておるわけであります。  きょうの日本経済新聞等によりますと、これをめぐって極めて政府部内が揺れておるといいますかそういう問題、さらには朝日新聞によりますと、その事前の九日には米問題に関する、農業ですか食糧ですか、関係閣僚会議を政府部内でやるというふうに動きが慌ただしくなっているわけであります。したがいまして、私は、この時期に当事者である海部総理にこの委員会に出席をしてもらって、どういう対処をするのかということをお聞きしたいということで要求をいたしましたが、残念ながら出席が実現できなかったわけでございます。極めて残念に思っております。  しかし、近藤大臣国務大臣でございます。九日の米閣僚会議を初め、首脳会談、ロンドン・サミット、その一連の重要な会議に対して政府は何を主張し何は完全にはねつけるか、このことについては内閣の基本的な姿勢というものについて私は非常な関心を持っているわけであります。恐らく全国民、全農民が耳目を集中していると思うのです。再度大臣のこれに対する考え方をお聞きしたいと思うわけであります。
  18. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) ロンドン・サミットが十五日から行われる事前に、日米首脳会談が十一日に行われるというようなことで、政府が米農業問題で何か動揺しているというような報道がなされたということの今お話がございましたけれども、米農業ということで動揺するとすれば私が動揺するということではないかと思うんで、全く動揺いたしておりません。そのことは、米は日米会談でやらないということを両国合意しておるわけでありますから、そこで米単品が大統領から出てくるというようなことはないのではないか、私はそう認識をいたしておるわけであります。  ただ、農業分野は、だれでも認識を一致しておるように大変困難な状態であろう、こういうことは予測がつくわけですから、アメリカ側からは農業分野について関税問題というようなことがあるいは出てくるかもしれません。私は単品で出てくるということはどうしても考えられないわけですが、仮にもし出てくるようなことがあったとしても、米の問題については従来の方針で、前回ブッシュ・海部会談で言われたとおりで、それ以上のことを言う必要は全くないと思っておりますし、関税問題では、我が国で残された数少ない農産品で、対応できない、これだけはもし出れば言っていただくつもりであります。いわんやロンドン・サミットで、米という単品が七カ国首脳会談の中でおよそ出てくるということは考えておりませんが、いずれにしても今申し上げた方針で内閣は一致をいたしておりますし、海部総理もその方針で対処してくれる、こう確信をいたしておりますが、行く前には、農政の責任者として私の意見は総理に率直に申し上げてお出かけをいただきたい、こう思っております。
  19. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 大臣からは非常な決意をお伺いしまして、私も大臣を信頼しておりますけれども、しかし、マスコミやその他の報道ないしは我々に直接言われておりますことは、正直にそう思っているのは近藤大臣以下農林水産省の幹部だけなんだ、あとはもう米の部分自由化、こういったことについてはほとんど合意しているというふうに言われるわけであります。近藤大臣からの情報でばかの一つ覚えにしておるのは社会党だけだというふうにも我々が非難されておるというような状況でございます。そんなことのないように私は念を入れて今確認をしておるわけであります。  私ここに、これはきのうきょう持ってきただけでもこういう陳情、これは自由化反対の陳情書です。そして全国都道府県では、四十七都道府県中この五月一日現在で四十五、九六%の決議、市町村議会の決議が八六%、そして全国の自治体団体、これは全部反対決議をしております。このことについては極めて重要でございますが、それよりも国会で三たび自由化しないという、基礎的食糧は自給するという重い決議をしておるわけであります。国権の最高機関の意思を決定しておる。したがいまして、今の近藤大臣の御決意は当然ながらこれはぜひとも堅持していただきたい。こんなふうに重ねて要望もし確認をしたいと思います。  委員長にこの際お願いがございます。今近藤大臣からそういう決意をお伺いしました。しかし、何といいましても極めて重要な段階でございます。米閣僚会議、そしてその後に控えております日米首脳会議、さらにはロンドン・サミット。お出かけになる海部総理に対して、近藤大臣のその主張というのを我々も何としても支えなくちゃいけない、こう思います。本委員会の意思を海部総理にお伝えしたいというふうに思いますので、委員長から格段の措置をひとつとられることを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  20. 吉川博

    委員長吉川博君) 後刻、理事会に諮りまして、善処いたします。
  21. 谷本巍

    ○谷本巍君 本院は、米の完全自給というのを再三にわたって決議してきておるわけであります。また、大臣もそういう立場でガットに臨んでおるという決意の表明がございました。ところが実態はどうなのかといいますと、米の自給体制が今の米価政策が続いていったならば崩壊的状況になるのではないか、私にはそう思われてなりません。  大臣も御承知かと思いますが、昨年の七月、農林水産省の技術会議が委託調査をした結果を見てみますと、昨年七月現在で、荒廃農地ありと答えている市町村が八・三%であります。そのうち山間地でいいますと、一割以上の水田が既に荒廃状態にありと答えておる市町村が三五・四%であります。  さらにはまた、これから農業をやめる人がふえていく、ところが引受手がない。昨年現在で見てみますと、そういう状況にあるという市町村が二割弱でありまして、五年後になるとこれが四割を超えるだろうという調査結果になっております。そして、その中で五年後も農地の引受手がありと答えているのが三割弱でありますから、五年後になりますと、大体四割から七割の市町村が荒廃地を抱えるという状況になると見られます。  この報告を大臣、読んでおられるでしょうか。
  22. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 報告は読んでおりません。読んでおりませんが、昨年末大臣に就任をして、一番私の理解の不足をしている、認識の違ったところが、耕作放棄地の面積がかなり増大をしておるということについて私が一番心を痛めたというかびっくりしたというか、そういう心境になりましたので早速調査をさせてみたわけでありますが、北海道を除く各地で大幅に耕作放棄地が増大しておりまして、中でも北陸、中国、四国などが非常に中山間地の畑や樹園地が多く放棄されているというのが見受けられてまいりました。  水田はそれでも比較的少ないのでありますけれども、特に圃場整備の水田には余り見られませんが、土地条件の不利なようなところの水田も耕作放棄の面積が拡大しておるというようなことでもございまして、いずれにいたしましても、このような条件不利な地域というのは高齢化が進んだり、あるいは農作業労働力というものはほとんどないという現況ではないのかなと、私もそこは承知をいたしておるわけでありますけれども、圃場整備の未整備地なり適当な作物がなかなか見当たらないという状況がこの大きな原因をつくっておるのではないだろうか。  私どもが政策として出させていただいた中山間地域活性化対策事業というのがかなり全国的に人気が高くて、予算対応ができるかどうか実は心配をしておるわけでありますけれども、このことはとりもなおさず、私たちは、まだ意欲を持って農業に取り組んでいただける、この政策に一つの魅力を感じていただいておるということだけでも大変ありがたい、こう思って、全力を挙げて、この中山間地域活性化対策事業というのは当面、来年度予算も拡大をしていかなければならない、そういう認識に立たされておるわけであります。
  23. 谷本巍

    ○谷本巍君 何といいましても、実態的に見てみますと、若い担い手層の間に米離れの状況が進んでおります。物価労賃生産費上昇するが米価は下がっていくというような状況の中から、生産性は上げていても収益性の低下の方がひどいという結果にそこでなってきておるわけであります。  そんな状況の中で低収益性をどうカバーするか。生産農家の間で最近顕著になってきておりますのは、水田単作で規模拡大をするのではなくて、水田プラスハウス、水田プラス和牛、水田プラスリンゴ、複合的な形で対応していくというケースが今多くなっているんです。そして一方、例えば二、三ヘクタールの村の中堅層で見てみますと、貸して兼業により重点を置きたい、あるいは農地を売りたい。ところが借り手がない、買い手もない、こういうふうな状況に今なってきておるわけであります。米価の引き下げというのが続いていきますと規模拡大につながるんだという考え方もございましたが、実態を見てみますと、どうやら荒廃地がふえていく、全体が陥没しているというような状況になってきているのではないかと思います。  先ほど大臣は、この諮問について、マイナス米価であるということから生産農家の意欲をそぐことになりはせぬか心配だという意味のことをおっしゃいましたが、今申し上げたような危機的状況に果たしてこの米価でもって歯どめをかけることができるとお考えになっておるのかどうか、その点を伺いたいと存じます。
  24. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 私が心配しておるわけですから、歯どめがかかるとは思いません。思いませんが、いずれにいたしましても、耕作放棄地が出るということは一にかかって我が国の農政に責任がある、私どもそういう自覚をいたしておるものですから、先般来いろんな角度からいろんな検討を期限を切って発足をさせていただいておるところでもございます。  あわせて私は、今お話しのように、米単作、米しかつくらない農家の扱い方をどうするかという問題で一番大きな負担になっているのは機械だろう、こう思うわけであります。どの産業でも今機械を自前で持って、稼働率の極めて少ないものを持つというのはかなりのコストがかかっていくんではないだろうか。また、兼業をしておる米単作地帯の皆さん方にすれば、自前で機械を持たないと兼業に行くということがまたできなくなる、こういう実態も現場にはあるわけです。  ですから、そういう意味で、農業をハウスなり果樹なり園芸、複合経営をされておる人たちからすれば、機械のリースということを一応検討してみるべきではないだろうか。時間当たり幾ら、こういうものを、作業も含めて、機械単独でもいいから検討していくことが機械のコスト引き下げをするということの大事な仕事ではないだろうか。農業の分野がリースが最もおくれておる、こういう状態でなかろうかと思って、事務当局に今検討していただいて、どういうやり方があるかということも一つの課題として検討させておるところでもございます。  そういう意味合いでは、米価に関連をして、価格だけで解決はできませんし、全体を見渡して関連性がありますから、その中の一つとしてこれから考えていかなければならない。米価そのものにつきましても、なかなか信用していただけないのは、生産費が出てきたものと自分たちの実感というものにかなり意識の違いがあるというようなことをよく耳にするものですから。  しかしまた一方、今統計情報部でやっておる仕事というのは、大変な困難な中を大変努力して本当に一生懸命まじめにやっておる実態を見ると、そのやり方に一つの考えるべきところがあるんではないだろうかと思って、事務当局に、昭和二十四年にこの方式を考えられたということでありますから、もう四十年たっておるわけでありますので、根本的にまた一度、直す直さないにかかわらず見直して、このものが信頼をされるということでないと、そして米価算定方式が信頼をされるということにならないと出てきた答えが信頼をされないということになるものですから、そのことはもう指示をして検討に入っているところでありますので、そういう点もまた御理解をいただきたいと思います。
  25. 谷本巍

    ○谷本巍君 先ほどのお話によりますと、結局これまでは前広米審で、後本米審ということでやってきたが、今回の場合には本米審前期で諮問をしてそして後答えを出す、つまり一発回答的な方式になってきたわけですね。ですから、その諮問についてどうのこうのという議論をするのは非常にむなしい感じが私はするのでありますけれども。  そこで、ちょっと伺っておきたいと思いますのは、算式は前年どおり、算定要素も前年どおりのとり方であるというふうに伺っておるのでありますが、そのとおりでありますか。
  26. 高橋政行

    説明員高橋政行君) 基本的にそういうことでございます。
  27. 谷本巍

    ○谷本巍君 では伺いますが、例えば労働賃金のとり方、何月から何月までとか、こういうとり方になっていますね。例えば資本利子でいいます と、とり方対象期間等々がありますね。前年と全く同じですか。簡単に答えてください、時間がありませんから。
  28. 高橋政行

    説明員高橋政行君) 変わっていません。
  29. 谷本巍

    ○谷本巍君 再度伺います。  資本利子とり方は昨年と全く同じですか。
  30. 高橋政行

    説明員高橋政行君) 先ほど申し上げましたのは労賃の方の話を申し上げましたんですが、自己資本利子、これにつきましては、先ほどの御説明でも申し上げましたが、今まで自己資本利子計算の仕方につきましては、過去ずっと、従来のやり方を見ていただければおわかりのことと思いますが、いろんな方式をとってきておるわけでございますが、ことしの場合で申し上げますと、七月一日に公定歩合が引き下げられるというような情勢もございまして、適用利率のより安定性というようなことを考えまして、定期預金、それの直近五カ年の平均利率ということにしております。
  31. 谷本巍

    ○谷本巍君 やっぱり去年と違うじゃないですか。  そうしますと、去年と同じやり方でもって算出した場合、算定値への寄与率というのはどういうふうに違いますか。〇・五%ぐらい違うはずですよ、去年と同じようなとり方でやった場合は。
  32. 高橋政行

    説明員高橋政行君) 今おっしゃいましたのは、前年どおりで全部やったらという意味でしょうか。
  33. 谷本巍

    ○谷本巍君 ですから、去年と全く同じやり方で資本利子算定をやりますと、算定された価格米価に対する違いというのが私は〇・五%ぐらいの違いが出てくるはずだと見ておるんですが、いかがですか。
  34. 高橋政行

    説明員高橋政行君) 全体的な計算につきましては、この米価は本日の未明にやっと決まったところでございますので、どのぐらいになるかという試算はまだ現在のところしておりません。
  35. 谷本巍

    ○谷本巍君 私も先ほどまで米価審議会場におりまして、当局の説明を聞いたんです。資本利子とり方を変えているんですよ。それじゃ、変えたことによって米価本体への寄与率は何ぼだと聞いたら、これはわからないんですよ。今までだったらすっと出してきたんだよ。このために例えば〇・五%米価は下がりましたというような答えが出てきたんですよ。それが出てこないんだよ。ここへ来て聞いたらそいつが出るだろうと思って伺ったんです。
  36. 高橋政行

    説明員高橋政行君) 先ほど申し上げましたように、まだそこまで計算をしておりません。
  37. 谷本巍

    ○谷本巍君 大変残念であります。本委員会が終わるまでにそのことについてはひとつお知らせいただきたい、このことをお願いしておきます。  それから大臣、先ほどマイナスというのは生産者の意欲をそぐということを心配しておるとおっしゃっていましたね。その中身について大臣の所見を承りたいんです。  中身といいますのは、政府米価が多少でも下がりますと自主流通米への影響が大きいんですよ。なぜなら、自主流通米の指標価格は入札で決められるからです。そうしてまた同時に、連続的な政府米価の引き下げという状況になってきておるわけでありますから、生産農家販売対応がこれまでのように自主流通米へ一層傾斜していくという傾向が出るんです。今のあり方というのは生産調整をやっておりますから、米の全体の数量というのは大体そこでもって需給バランスつくんですね。ところが、アンバランス状況が出てくるのは、天候の問題が一つありますけれども、もう一つの問題は、自主流通米が余りにも肥大化したということによって、政府米は足らないが自主流通米の過剰化状況が起こった。これで、昨年の入札の場合でも、新潟コシは上がるだろうと玄人は見ておったが上がらなかった。それ以外のコシは全部下がった、ササも下がったという状況になってきたわけですね。でありますから、政府米価の値下げというのは、自主流通米価格へも非常に大きな影響が私はあると思うのです。大臣、いかがでしょうか。
  38. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 先生のような話が全くないとは私は申し上げませんけれども、いずれにしても、農家の感情からいっても、つくったものが下がれば、どちらかといえば決して意欲は出てくる条件ではないという、私はそこを一つの点心配をいたしておるわけでありますから、それについては周辺の対策で今後また負担を軽減したりして意欲を増進するような形でやっていかなきゃならぬ、こう思っております。  また、自主流通米についての関連があることも、私はないとは言わない。どの程度あるかということが私にも予測がつかぬということでございます。
  39. 谷本巍

    ○谷本巍君 それから大臣、もう一つの問題は、大臣も非常に頭を痛められておる作況問題です。  せんだって、二十七日に大臣とお会いしたときに、どうも作況が農家に信頼がなくて困ったものだという意味のことを大臣こぼしておられましたね。作況問題でいいますと、一番大きな問題というのは、ふるいの目の問題があるんです。作況の方は一・七ミリのふるいでやっておる。ところが自主流通米の方は大体一・八から一・九、例えば青森の場合には二・〇になっていますね。産地間競争でふるいの目はだんだんだんだん大きくなってきているという状況があるわけです。  例えば全農が調査したやつですと、一・八五のふるいの目と一・七のふるいの目でふるった場合は、総生産量で見ますというと四%の誤差が出てくるというふうに見ているんです。政府の場合、その種の調査はされておるでしょうか。されておるとすれば何ミリでどれだけの誤差。結論だけ教えてください。
  40. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 先生から先般お話がございましたので、早速事務当局にこういう話があったということで検討するように言ってありますので、部長の方から答弁させていただきたいと思います。
  41. 須田洵

    説明員須田洵君) ただいま御指摘のふるい目の問題でございますが、確かに統計の調査におきましては一・七ミリのふるいを用いているのに対しまして、農家等におきましてはこれより大きなものを用いている、そういうケースがふえているということの実態認識はしております。  ただ、私どもの方でもこの問題は従来からいろいろ論議のあるところでございますから、さまざまな形で実態調査を行っておるわけでございますが、農家等におきまして実際の選別におきまして、一・八ミリ目のもので選別いたしましても、問題は、時間をたっぷりかければ別ではございますけれども、通常は相当程度ふるい切れない部分が残るといったような実態も私どもなりに調べております。  さらに、これも先生も御承知と思いますが、ふるい下の米につきましても、再選別等によりまして自家用に供したり、あるいは販売される場合ということもあるわけでございまして、それらを全体としまして見て、結果的に我々の調査の結果というのは主食用に供し得る米の収量といたしまして妥当なものではないかというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。  そのようなことでございますが、このふるい目の問題、非常に今大臣も申し上げましたように……
  42. 谷本巍

    ○谷本巍君 結論だけ言ってください。時間がないんだから。
  43. 須田洵

    説明員須田洵君) 収量についてよりしっかり把握するということが重要なんで、ふるい目の問題についても、なかなかそれを変えたりするということは非常にはね返りの大きな問題ではあるけれども、少しでもそういうものについての検討をしていく、あるいは研究をしていくという姿勢は私どもとしては持つべきだろうというふうに考えておりまして、そういう内部的な検討も実は省内でも始めておるところでございます。
  44. 谷本巍

    ○谷本巍君 それからもう一つ、コンバインロス、これがやっぱりありますね。大体通常二%ぐらいの減収といいますか、マイナスがあるというのが常識になっておるんです。これもスピード出して刈った場合とかいろいろありますけれども。  ですから、コンバインロスの二%、それからもう一つふるいの目の三、四%というやつを入れますと、例えば去年の作況は一〇三ということになっておりますけれども、一〇〇を割ったんですよ。実態よりも作況がでかく出ておるということは、自主流通米価格の値下がりになっているんですね。でありますから、コンバインロスの問題も含めてひとつ作況問題を検討していただけないでしょうか、いかがでしょう。
  45. 須田洵

    説明員須田洵君) 同様にこのコンバイン問題につきましても大臣から御指示を受けておりまして、現在も既にいろんな圃場条件なり、あるいは倒伏しているかしていないかとか、それによってどの程度のコンバインロスが生じるかということについて、よく実態を調べながら適切に対応していきたいというふうに考えております。
  46. 谷本巍

    ○谷本巍君 それから、生産費とり方の問題でもう一つ大きな問題は、土地改良費をどう見るかということです。生産費計算の中に、土地改良の農家負担の場合、入っているのが水利費と小規模土地改良ぐらいじゃないですか。理由は何なのかといいますと、これまで私が質問してきたとき、必ず皆さんがおっしゃってきたのは、農地がよくなって作業効率がよくなる、それから水田の資産評価が上がる、つまり価格が上がるということですね。これがまた農家の不信感の大きなものになっております。なぜなら、最近は水田価格というのは年々下落しておるというような状況があります。そしてまた一方、土地改良水利費負担が急上昇しているということがあります。一戸平均で見てみますというと、昭和六十年は五万円であった。それが平成二年には七万円になってきておるというような状況があるわけであります。  この点では恐らく米価審議会でも議論があったと思うんです。あったとするならば、今回の米価算定にそれがどう反映されているか、それからまた、今後の生産費とり方についてこれをどう検討しようとしているか、その点お聞かせいただきたい。
  47. 須田洵

    説明員須田洵君) 御指摘の土地改良費の問題につきましては、もう先生が問題の所在につきましてはお話しされましたので重複いたしませんが、そこは見解の相違といいますか、そういう点があろうかと思います。やはり地代そのものは若干下がっておりますけれども、問題は土地改良投資の負担がかかる。例えば土地改良区に入っている農家の方とそうでない方といろんな収量の差あるいは労働時間の差、さらには第一次生産費水準なり、その辺から見ましてもかなり明確に格差が見られるということも実態論として一つ言えます。  しかし、この問題につきましてはかねてから論議のあることでもございますし、原価性といいますか、そういう問題での大変厚い壁はございますけれども、先ほど大臣からも御指示のございました生産費調査の見直しということで私ども目下進めておりますので、そういう中でも何とかいい知恵がないかどうか考えてみたいということでございます。  なお、土地改良の関係での、いわゆる生産費調査への算入との関連で申しますと、全体の四分の三については既にいろんな形で、水利費等の形で盛り込まれておるというふうな実態でございます。
  48. 谷本巍

    ○谷本巍君 政府米価の場合、これまで大臣はしばしば算定方式算定要素とり方は余り変えるようなことがなくて米価が安定的に維持されることが望ましい、こういうぐあいにおっしゃってきましたね。  それでは、自主流通米の場合、価格形成の場ということで今入札でやっておるわけでありますけれども、これについても上場数量や回数問題それから変動幅の問題、これなどについてもやはり余り変えることがなく安定的にやっていきたいという意思でありましょうか、いかがでしょうか。
  49. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) もう先生御案内のように、米価算定方式というのは、さまざま何回も何回も長い間経験をされてきたことでもあります。自主流通米というのは一年しかまだ経験をしていないわけでありますし、私はこれで十分だというふうには考えておりません。それで、ならし運転はやっぱり二、三年はかかるんでないだろうかな、その都度問題点があったときに、大きな変化には対応できませんから、そういう意味合いではまだしばらく若干の修正をしながら対応していくという、一年の経験を踏まえて、そして二年の経験を踏まえて徐々に基本的には安定をしていけるような形でいかなければならない。私は、食糧は基本的には量と価格が安定をすることが一番国民全体にとって大切なことだ、こう考えておるわけです。
  50. 谷本巍

    ○谷本巍君 最後に大臣に伺いたいのは、先ほども大臣、中山間農業のことを触れられましたけれども、今の米価算定方式というのは、繰り返すまでもなく、九ブロックの生産費を出して、平均以上の生産費を除いて、最後の生産費加重平均するというやり方になっております。こういうふうな米価算定方式でやっていくということになりますと、中山間の米作農業がもたないのはこれは明らかであります。  そうなってきますと、中山間の水田農業をどう維持するか、これがやっぱり大事な問題になってくるだろうと思います。そういう意味では、先ほど中山間対策について大臣簡単に触れられましたけれども、やっぱりヨーロッパ、ECがやっておりますような調整金による所得政策、この種の思い切ったことをやりませんと中山間の米作農業は維持できません。米価算定の中ではそういうところは切り捨てた形の米価算定になっておるのでありますから、一方に対してはきちっとした政策をしないと政策的にも私はつじつまが合わないと思うんです。そういう意味で所得政策的なものを考えるべきだ、もうその時期に来ておるということを申し上げたいのですが、大臣いかがでしょうか。
  51. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 午前の衆議院でも米価算定に当たっての方式の問題のとき私がお答えをさせていただきましたけれども、今回の米価算定方式についてもいろいろ御意見がございました。最終的にはやむを得ないということであって、よろしいという形では実はなかったんで、生産費調査の検討もさせていただいておるところでもありますし、ことしいじって来年またそれによっていじらざるを得ないというようなことがあっては大変また混乱をするということになりますので、ことしはやむを得ざるでもこの方式でやっていただいたのは大変結構だ、こう思っておるわけです。  算定方式には大変意見の差があり過ぎて、先生は米審の委員をされておわかりのように、今度の算定方式でも、かなり高い視点のところに目標を定めてそれに追いつくように目標を定めるという人もいるし、一番根っこのところだけを大事にしてやれという意見もあります。米審の先生方でさえいろんな議論に差があるんですけれども、私は、算定方式というのは出てきた答えを信頼してもらうということの大切な方程式でありますから、もう一度米審の先生方からきちっと生産費調査と並行して御議論をいただきたいなと、実はこう思っているわけであります。  そのときに、今お話のありました中山間地、規模の小さいところ、ここでやっておる米に対しては、米価の中でこれをどう扱うかということの一つの米審の中での議論もあるでしょうし、また環境に極めて重要な役割を果たしていただくというその分野での手当ての仕方もあるでしょうし、所得の分野で手当てをしていくという方法もあるでしょうし、どの分野で対応していくかということを今私がここでお答えする持ち合わせはございません。認識は私は十分しておるつもりでありますので、今回検討していただいておるところで、一層この問題は検討の中心課題としてやらせていただく、こういう気持ちでおるわけでありますので、お時間をおかりをいたしたい、こう思っております。
  52. 谷本巍

    ○谷本巍君 終わります。
  53. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 きょう米審開催中でございますけれども、まず冒頭に、大変農業は深刻な状況、そしてまた国際的に大変なあらしが吹いているといいますか、そういう状況の中で、先ほど来の御質疑の中で大臣の、八風吹けど不動といいましょうか、そういう言葉も思い出しておったわけでございますが、基本的なことを本当にがっちりひとつ方針を変えないで臨むという心強い大臣の御方針を聞きまして、改めて大変敬意と感謝を申し上げる次第でございます。これからもひとつそういう方針で断々固としてやっていただきたいということを期待を込めましてお願いを申し上げる次第でございます。  さて、私、時間もございませんので、数点大臣に御質問申し上げたいわけでございますけれども、一つは、第二次大戦後いろいろの国際的な機関というものが設置されたわけでございます。その一つとして政治的な面では国際連合というのがあり、そしてまた経済的な面ではガットという機構が設置された、こういうふうに理解しておるわけでございます。  前者の国連、これにつきましては、湾岸戦争を契機にして、日本国民のコンセンサス定まらずということで、現在鋭意日本がいかなる役割を果たすべきかというふうなことで、こういう面を今やっておるわけでございますが、翻って、ガットに関連する、自由貿易を原則とする、そしてまた紛争を何とかガット機関で処理していこう、こういうもくろみの中で、日本農業というものがいろいろあらしに遭っておるというふうな格好でございます。  そういう中で、米の問題その他はまた後で触れるといたしまして、何といいましてもその都度その都度主義と言うとあれでございますけれども、短期的あるいはその都度主義の政策で処理していく、そういうことじゃもう賄い切れないんで、やはり日本の農業をどういうふうに位置づけてこれからやっていくんだという基本的な問題をしっかりしておく。それによって国際的にも日本の立場を鮮明にして、それで外交場裏にも臨む。こういうことなくしては、もうあれとこれとやりとりする、こういう問題ではなかろうと思うわけでございます。  そういう意味で、大臣かねてこの委員会でも、三十年たちまする農基法を含めた農業関係の基本的法律を根本的に見直すというふうなことで、食糧、農業あるいは農村の問題について基本的な洗い直し、見直しをするというようなことで、農水省も次官を頂点とする検討本部がつくられて鋭意検討されておる、こういうことも聞いておるわけでございますけれども、私は、何といいましても今根本的また喫緊の問題は、こういった日本農政のこれからの位置づけというものをしっかりして、生産者を含め、あるいは全日本国民がこれをバックアップするというふうな、そういう体制のもとでの食糧戦略といいましょうか、こういったものを打ち立てるということが先決であろう、こんなふうに思っているわけでございます。  大臣の指示でできた検討委員会といいましょうか、そういう本部のこれからのめど、そしてまたそれに対する期待、こういったものについてひとつお伺いしたいと思います。
  54. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 先生の今の御見解と私も見解を一にするものでありますし、そういう認識も持ちながら、今回、大臣就任の機会に、いろんなところで少し職員に過重になるかなと思うぐらいいろんな問題に実は手をつけていただいておるというのが実態でございます。  もう御案内のように、戦後、食糧増産という時代に、工業化に進んでいくことと他産業との所得のバランスをとるために農産物の価格政策でずっと進んできて、構造政策に移ってきて、こういう時代をずっと過ごしてきた日本の一つの歴史がございまして、その都度その都度、問題点で新しい政策、新しい制度をつくってきたわけでありますけれども、今回、先生今お話しのように、ガットという国際問題が大きくクローズアップしてきたわけであります。  そして今、農業、農村事情を見ると、農業だけではなくて、農村の中に農業というものをどう位置づけていくかということが一つ大きな問題点。また、農業に対する魅力を持たせるためには、農業そのものと、生活の面で魅力を持たせていくには村づくりというものが一つは必要でなかろうか。また、担い手もこれに関係をしてくるというようなことであります。また、規模拡大や生産コスト引き下げのできない条件不利地域には環境問題が出てまいりましたので、農林水産省にも環境対策室という部署を設けさせていただいて、環境と農業という分野で視点をとらえて、中山間地でどう農業を永続しながら環境を守っていただくかという視点をひとつとらせていただきました。  しかし、全体的にこれを預かる、仕事を進める、そういう立場からは、農業団体にもみずからの改善をしていただく努力を今しておるわけでありますし、なかんずく農林水産省といえども、食生活の変化なり流通の変化なり生産体制の変化なりというようなものに対応するように役所の中も一度検討してみるという、総ぐるみ、部品の取りかえではなくてオーバーホールを一回してみよう、実はこういうことでございます。  この帰結するところは何だといえば、今先生からお話のございましたように、国際化の時代になって、私が大臣に就任してなお一層その気持ちを強めておることは、日本の農政というのは何なのかということをやっぱりきちんと、日本の地理的条件、長い歴史と文化の中で、国民の食糧を安定的に供給する場合に、日本の農業というのは何なのかということをきちんとつくっておきたいなと。そうでないと、交渉事というのは、何としても貿易でありますから経済中心に進んでいくわけであります。そういう基盤に立っておるアメリカと、最も貿易量の多い国であります。しかし、家族農業と生まれたときから企業農業という、土地条件も違い、また農産物の価値観も貿易を対象にして生産をしておる国と、自国の自給をするために生産をしておる国との違いというものも当然出てくるわけです。しかし、どういう立場であっても交渉はやっぱりコマーシャルベースになっていくというのが経済の貿易でありますから、そうならざるを得ない。  自分の国の農業というのは基本は何だということで、これは譲歩できないという部分がないと、やっぱり交渉は弱い立場になるんじゃないのかなということを私は考える。ECとアメリカは長いつき合いというそういう立場もありますけれども、ECはECとしての農業というものをきちっと位置づけておる。そういう点を考えると、ECとは同じような農業の生い立ちと、今農業政策を、規模こそ若干日本の方が小さいけれども、やや類似するものを持っておるものですから、これの検討は従来は農政審その他で専門有識者からいただいて、そしてそれを政策に乗せて実行していくというやり方でありましたけれども、今回は農林水産省みずからが、一つは日本の農政というものはどうあるべきかということをまとめさせていただきたい。  その間、平たく言えば役人だけでこのことを考えたのでは、ある意味では専門的になり過ぎたり小さくなり過ぎてはいけませんので、できるだけ各界各層の有識者から御意見を、幅広い委員の先生方にお集まりをいただいて意見を聞かせてもらう。他業種の人たちが農業に対してどう考えているのか、あるいは金融関係の人たちが農業に対してどう考えているのかというようなことの意見は、その懇談会がまとめることなしにそれぞれの先生の立場で私どもに御意見をいただく、そういう手法で、余り長くなってはいけませんので、四月という期限を切ってまとめさせていただきたいということで努力をいたしているところでありますので、どうぞ御理解をいただき、またその間せっかくの機会でありますので、諸先生方からまた御意見をいただければ大変ありがたい、そう思っているわけであります。
  55. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 ありがとうございます。  その際、今のマスコミの日本農業に対する一つの考え方といいましょうか、まことに私は個人的に、世界の中で巨大なマスコミ王国はアメリカと日本、こういうことを言われているわけでございますが、日本のマスコミほど何でこんなに単調な、まさに多様性の全然ない農政に対する論評なのであろうかということを極めて遺憾に思い、かつまたもっと多様性を持った、角度の大きい論議が展開されてほしいなということを絶えず思っておる者の一人でございます。  そういう意味で、この検討会でいろいろやられる過程におきましても、日本農業をどうして育て守るか。これは決して生産者だけの問題じゃない。やはり日本国民全体、これは結局、国民全体がかぶる問題でありまして、食糧安保論という名のごとく、そういう観点から国民的立場で考えるという意味で、マスコミの啓蒙といいましょうか、そういう面をやはり我々それぞれひとつやっていく。そういう意味では農水省がやっぱり中心になっていただくということが必要じゃないかと思います。  また、今の農水省の農政記者さんというのはどういう格好での記事を書いておられるのか、そういう面も個人的に非常に、もうちょっといろいろ書き方があるんじゃないかなというふうなことをいろいろ毎日の記事を見たりなんかしながらも感じておる者の一人でございます。そういうマスコミとの関係、そういった面も農水省全体としまして配慮しながらひとつ進めていただきたいなというふうな感じを持つことが一つでございます。  それから、いろいろ本当に幅広く洗いざらいというふうな大臣の仰せでございますが、そういう中で、先ほどもちょっと触れられておりましたが、米審の中でもいろいろの考えがあるということをおっしゃっておりましたけれども、私も、例えば穀物自給率三〇%を将来何%にするという一つの作物別の生産目標というものの指標を掲げる、こういう考え、あるいは国際価格が六倍だ八倍だと、何かというと国際価格を取り上げられてもっと安くしろ安くしろ、こういう論議が出るんですが、果たして国際価格というものを、為替相場もあるわけでございますから、これはもう生産者の何ともできがたい波の中で動かされちゃうという要素があるわけでしょうけれども、そういう国際価格で値段を下げるという議論、これもちょっとどうかなと。むしろそれは三倍ぐらいで抑えようとか、こういう何か指標というものができないのかどうかなというふうな、そういう一つのある目標というか努力目標というものを掲げるという考えはどうなのかなと。そしてそれに向かっていろんな政策をひとつ展開していくというふうな考え方はどうであろうか。  それから、金融政策面、今農政に対する批判は、補助金政策というのがもう猫もしゃくしもというような感じでございますけれども、やはり大臣のおっしゃった自助努力、そういう面ではこの金融政策と絡んで、補助金政策中心じゃなくて自助努力でやる人に、五十年、その辺私も素人でわかりませんけれども、本当に長期の期間極めて低利の金でお貸しする、それでひとつやってみるというふうな、金融面と絡んだ超低利の金利によってそれでどんどんやらせる、こういうふうな問題とか、いろいろの問題があろうかと思いますけれども、意識改革とか自助努力とかそういう面を含めまして本当に幅広い点の御検討をひとつお願いしたい。この辺いかがでございますか。
  56. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) マスコミの関係について私がお答えするのは若干差し控えさせていただきたいと思いますけれども、アンケートをとれば自由化反対というのがあれだけ高い支持率が出るんですから、マスコミの記事の中にも両方の意見が載って読者から判断をいただくようなことがあれば助かるな、こういう気持ちで、正式に要請したことはありませんが、非公式の場所ではお願いをさせていただいておるところであります。  とりわけ、農林水産省の広報活動も余り十分じゃないという御指摘もいただいておるものですから、マスコミ以前に、私どもも広報活動に今後真剣に取り組むということでこの間公表させていただいたところであります。これだけアメリカから農産物を買っているのになぜもっとおまえたちは英文でアメリカに知らしめないんだという御指摘がありましたけれども、もとより、私は売る方が宣伝するというのは聞いたことあるけれども買う方が宣伝するというのは余り聞いたこと、やったことないものですから、その点は若干不十分であったなと、こう思って、国が違うわけですから、そういうことはと思って、おくればせながらアメリカから農産物を買っているところについてはできる限り英文で広報させていただいたら、こんなに買っているかと言ってびっくりしている人が多かったということもまた新しい認識をさせていただいたところであります。  価格の問題につきましては、私は国際価格について必ずしもそのことで米価を下げる大きな要素になるというふうに考えていないんです。農産物の場合、単純に国際価格を比較するというようなことはできないんではないか。価格というのは品質に関係して、そこの国の国民の所得に関係があるものだ、こう思っておるわけです。  私は、日本の農産物は幸いにも、高いけれども麦を除いては世界一品質のいいものだ、こう理解をしておるんです。それとても、同じ米でも同じ肉でも価値を統一することがなかなか国際的にはできない。中粒種の粘りっ気のつやのあるのが日本ではいいと言うても、ほかの国では長粒種の粘りっ気のないさらっとしたのがいいと言うところもあるし、サシの入ったのがいいと言うところもあれば赤肉がいいと言うところもあるから、価値を共通できないわけです。青果物はやや農産物の中で価値を共通できるのかなと見ても、品質は抜群にいいと理解をしておるわけです。  米でも、国民所得から考えれば、日本の国民所得で買えば、タイの国民所得で十分の一のタイの米を買うよりは、事務当局に試算をさせたら倍日本の国民所得で買えるというようなことも出ておるわけであります。こういう点も一緒になってやっぱりマスコミに載せていただくとありがたいな、こう実は思っておるわけであります。  しかし、農産物というのは食糧でありますから、国民があまねくかかわり合いを持つものですから、品質がよくて安くなるという努力は永遠の課題として私ども取り組まなきゃならぬ、こう思っておるわけであります。  最後に、金融の問題について先生からお話がございましたけれども、私もおっしゃるとおりだと思うんです。規模を拡大してそして企業的なセンスで農業をやろうという人たちがかなりの分野出てまいりましたが、こういう分野はむしろ長期的に低利でやることが、補助金を出して差額を自分が高利で借りて営農するよりはやっぱり、充当率というわけではありませんが、必要な量をたくさん金融して低利で長期にやることの方が補助金よりずっと有利になる。自己資金が少なくても済むというやり方もある、こう思っておるわけでありまして、今度からは二刀流でひとつやらせていただきたい。  中山間地のようなところは、そういってもやっぱり農家というのはまじめなところで、金を借りることに物すごく高齢者の場合には嫌うという一面が実はございますので、金融だけでにわかに対応できませんけれども、お説のとおりだと、私はそう理解をしておるわけでありますので、二刀流で今度進めさせていただきたいと思っておるわけであります。  自給率の問題は長期見通しで出しておりますんですが、二%上げる目標を立てても十年もかかるということで、大変な努力が要るということもまたあわせて理解をしていただきたいと思います。
  57. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 時間がもうなくなりまして、いろいろあれでございますが、どうもありがとうございました。
  58. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私は、今鈴木同僚委員がお話をなさいました我が国の農政の基本方針についての問題を私もお伺いしようと思ったんですが、まず、いささか角度を変えようかなと思ったりしておりますけれども。  それは、こうした米価の時期に当たって、米価の問題を一喜一憂しながらみんな生産者が思うことは、日本の農政の将来像が見えないからだという話が出てまいります。それから、このたび私も幾つかの御意見をちょうだいいたしましたけれども、その中ではやはり将来展望の持てる食糧、農業、農村基本政策の確立をということが大きくうたってございまして、これは今の非常に緊急的な課題ではなかろうかというふうに思いまして、我が党も実はこうした問題に今着手をしているところでございます。  あわせまして、先般、第三次行革審の六月十二日の例の中間意見の問題でございますが、鈴木会長のこの行革審中間意見の中には、農政については極めて行数の少ない触れ方をしているわけですけれども、コメントの中ではかなり強烈なコメントをなさっておられます。すなわち、まず米市場の部分開放を前提とした提言であるのだということを記者会見で述べられておりまして、それを前提とした農政に関する意見なのだということでございます。産業として自立できる農業、それから規模拡大を早急に行わなければならない経営体質、そしてまた市場メカニズムがより強力に働くシステムというようなことが私は読んでみて三本の柱ではないかというふうに思います。  そこで、農水省もこの新しい提言に向けて新しいビジョンづくりをしていかなければならぬのだということは今大臣の答弁で伺ったわけですが、いささか下敷きをそんなふうに絞ってみる場合にどうなのかということをお聞きしたいと思います。
  59. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 鈴木行革審会長の発言に触れての御質問でありますので、若干そのことにまた私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  先般、行革審の意見の農林水産省分野につきましては、行政改革の一定評価をしていただいているものと実は考えているわけであります。問題は、米の部分開放を前提にして農政改革の提言といった報道がなされたわけでありますけれども、この意見は、鈴木会長に我が省から総務庁を介して早速ただしたところでありますけれども、そのような特定の問題に言及してはおらず、米市場の部分開放を前提にして農政改革を求めたものではない、こういう御回答でございますので、言われた本人がそう言っているのに、それ以上のことをどうするわけでもございませんが、これはそうであればそうで、私どもそうですかということでお話を承ったわけであります。  ただ、御案内のように、農業を営んでおる日本の地域の環境その他が皆同じではございません。北海道から沖縄まで気象条件も違うし土質も違うし水も違うというような状況でありますので、規模拡大ができるところはできるだけ規模拡大でコストを下げるということが農家のまた所得にもつながっていくところであります。そうでない地域の農業を営んでおる地域もあるので、規模拡大、競争力一本だけの政策では私はいけない。  そして、市場原理を入れるという基本的なことには理解はいたすわけでありますが、それですべてを解決するというわけにはいかないんではないだろうか、農業も食糧も。そして消費者は多品種にして好むところでもありますし、長期的に見れば食糧安全の立場から見れば自給をしていく方針の中で、農業がその自給を必要とする農作物を生産するという協力をしてもらう、協力のできる環境をつくる必要性がある、私はそう思っておるわけでありますので、今の鈴木会長の言われたことをすべてとして農政はやり抜けない、こう思っておるわけです。
  60. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 昭和四十四年の農政審答申の「最近における農業の動向にかんがみ農政推進上留意すべき基本事項」というようなところでは、日本の農業、そして食糧に対して、「自給率を確保することが必要である。」という言葉を使っております。しかし、五十年代、五十年、五十五年農政審答申では、既に「国内自給力の向上」という言葉に表現が変わってきております。「八〇年代の農政の基本方向」の中では既に「自給力」であります。二度出ていますけれども、「自給力」。「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」の段階では、これが「供給力」に変わってきました。そのことは当委員会でも既にさんざん論議をしてきたところであり、供給力とは何なのかという話が当委員会でも盛んに出たところであります。「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」では、「国民に対して食料の安定供給と不測の事態にも対応できる能力、すなわち食料供給力を確保する必要がある。」という表現を使っておるわけです。  私が今お伺いしたいのは、これからつくる新ビジョンというのはこういう伏線の中でできていく問題ですかどうですかという問題が一つ。それと、米はその中でどういう位置づけをしていきますかという問題、この二点をお伺いしたいと思います。
  61. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 確かに先生御指摘のように、国民に安定的な食糧を供給するという場合に、その論議の中で言葉につきましてもいろんな論議がありまして、現在「国内での基本的な食料供給力の確保」というような言葉で、国民の納得し得る価格で農産物を供給していく姿勢を示す言葉として使用してきているわけでございます。  今回検討をいたしますものにつきましては、そういう国民の食糧供給というような場合に、担い手の問題も出てきますし、それから土地利用型農業の展開の問題その他出てくるわけでございますけれども、その場合にどういう言葉を使っていくかというふうなことは今特段考えていませんけれども、食糧につきましては、現在のところいろんな論議を経て使っております「国内での基本的な食料供給力」というのがやっぱり基本ではなかろうかと思います。  ただ、具体的な検討の過程でそういう点が論議の中になるのかどうなのか、これは今からあらゆる分野について検討するわけでございますけれども、そういう中でのとらえ方によってそういうものはどういうことに使っていくのか、そのときの問題になるのではなかろうか、今のところそういうことまで考えてビジョンをつくるとか、そういうことにはしていないわけでございます。
  62. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 今の文章のもっと前段を読みますと、「国内生産と輸入の適切な組合せを図りつつ、国民に対して食料の安定供給と不測の事態に」と、既にここまで二十一世紀ビジョンでうたってしまっております。これを新ビジョンの中でどう受けていくのかというのは、やっぱり国民合意でつくっていきたいなというふうに私は思うのでこういう発言をいたしました。  我が党も、自由化に賛成している党だなどと言われておりますけれども、決してそうではございません。これは御存じのとおり、九五%を確保するための一つの手法としての五%を考えてみている、手段の違いだけの話でありますから、こうした国の食糧供給の根幹にかかわる問題になれば、我が党もぜひ仲間に入れていただいてともに論議をしていかなければならないと思っておるところであります。  もう一つ、先ほど大臣が米の問題の国際交渉の中で、対アメリカとの二国間の交渉の場には米の問題は単品で出てこないだろうというふうにおっしゃっておられましたが、私がちょっと気になりますのは、先般、例のイーグルバーガー副長官の公式文書と思いますが、これが外務省と農水省にわざわざ届けられている事情は、こうした二国間交渉に米の問題を引き込む環境づくりではなかろうかなというふうに思うので、これに関する大臣の所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  63. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) イーグルバーガーの書簡は、在日アメリカ大使館に、日本はどうもミニマムアクセスでこの貿易交渉を終わるような雰囲気だけれども、アメリカは関税化で対応しているんだということを、政府の要人ですか高官です か、それに対処するようにというようなことで、内部的な電報のように私は受け取っておるわけであります。しかし、そのようなものが来ても、米そのものはアメリカと私たちはやらないということは両国の確認事項でありますし、農産物の関税化の問題で提案をしてくるというのは、私が農務長官に会ったときもウエーバーは関税化で対応していくという話がありました。これはアメリカの対応の仕方でありますけれども、我が国はそれはできませんよということを話をしてまいりました。  したがって、今度米の問題が単品で海部・ブッシュ会談に出るかどうかは私はわかりません。出ないだろう、こう思っておりますけれども、出たら私は、先般行われたブッシュ・海部会談以上のことは全く言う必要はない、こう思っておりますし、それぞれの国が困難な問題をガットの場でやりましょう、こういう話ですから、それで私は十分だと思っております。関税化が来たら関税化の対応は我が国はできません、こうお話を申し上げていただきたいということは、私は総理が行く直前にお話はしておきたい、こう思っております。
  64. 林紀子

    ○林紀子君 今の話の続きになるかと思いますが、イーグルバーガー・アメリカ国務副長官が在日アメリカ大使館あてに米の部分開放ではだめだ、あくまで関税化だということを文書で求めてきている。我が国の一部には、部分自由化を受け入れれば米を守れるという意見もいろいろ出ているわけですけれども、今回のこの文書というのは、アメリカは米の部分自由化を求めているのではなくて、あくまで関税化で全面自由化だということを求めているという何よりの証拠だと思うわけです。ですから、今大臣からも再度お話がありましたけれども、ぜひ日米首脳会談に総理が出かける前に、またサミットに出かける前に、部分自由化はもちろんだめ、関税化ももちろん日本は受け入れることはできないということをアメリカに対してはっきりと明言するように近藤大臣の方から再度強く申し入れていただきたいということを初めにお願いしたいと思います。  そして、それに関連いたしまして米価の引き下げの問題ですが、こうしたアメリカからの米の自由化を求める外圧をかわすために内外価格差を縮小するとか農業保護を削減する、そのために米価を引き下げるということは何ら根拠のないことだと思うわけです。こうした米価引き下げの諮問といいますのは、外圧によって米づくりが崩壊するのではなくて、それ以前に、先ほど大臣自身もおっしゃっていらっしゃいましたけれども、こうした米価ではもう農民がやる気をなくす、内部から米づくりを崩壊させていくものではないかという大変な危機感を私は持っているわけですが、このことについても大臣の御所見を伺いたいと思います。
  65. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 外圧によって米価算定をするというようなことはいたしておりませんし、内外価格差があるからということで米価算定を私はさせてはおりません。それは先ほどもお話し申し上げたようなことで、算定方式というよりは、現場で働いておる皆さん方からすれば、ほかのものが上がるのに米だけなぜ下がるんだろうという疑問を抱くだろう。そういうことが生産意欲に影響がないかということを私は実は心配しております。とりわけ、今回の米価を取り巻く事情というのは、少なくとも人手不足、他産業が高賃金傾向にあるときに、三K問題も含めて労働環境も決して好む環境ではないような状況の中で米価算定をやらなきゃならない、そういうことを念頭に置いて計算をしてほしい、こういうことでお願いをして出てきた数字が諮問させていただいたような数値でございます。  私も長いこと農業問題にもかかわってまいりましたし、議席も置かせていただいて専門にやってきた立場から、農村で、農業でどういう声があるか、環境があるかということは十分承知をしておるものですから、そういう点の配慮はございますし、どういう点に疑念を持たれておるかという生産者側の点につきましても、統計情報の予報とか、あるいは生産費が出てくると私らのものと違うなというそういうところに疑問を持ち、それが不信になっていてはいけないなということで、昭和二十四年からだというから、いい悪いにかかわらず一度検討してみて信頼をしていただく生産費調査ができないものかなと。  したがって、算定方式につきましては米審の専門の先生方もいろいろ御意見がございますし、結論的にはやむを得ずというような状態でもありますので、やむを得ずでないような算定方式をひとつまた一度御審議をいただくようにして、今後そのようなことがない、信頼のできる米価を、そして納得できる、私どもが説明をきちんとできるものがなければいけないな、こういう観点から来年の価格決定までに作業を進めさせていただいておるという状況であります。
  66. 林紀子

    ○林紀子君 生産者米価が引き下げられるために農民は自主流通米の作付をふやして再生産を確保するということをみずからの自衛のためにやらなければならない。そのために今自主流通米の過剰時代で政府米が不足の時代ということになっているのではないかと思うわけです。  私は先月、山形県の庄内地方に参りましたが、庄内ササニシキは自主流通米価格形成の場における入札取引の結果、基準価格二万二千二百七円から六・二%も引き下げられました。これは三ヘクタールから四ヘクタールの米農家で百万円の減収、庄内地方全体では四十億円も減収になると言われております。そして、市場でのササニシキの評価を取り戻すために生産地では大変な努力を続けておりました。一等米の整粒歩合を今まで独自に七五%以上だったものを八〇%まで引き上げる。この八〇%まで引き上げるというのは営農指導員でさえなかなか難しいことだと言っておりましたが、こういうこともやる。また、販売促進費を増額して関西方面への開拓などこれまでにない販売宣伝活動を行っている。そのためにこの宣伝活動費というのが農家に対してまた負担になって収入は減っている。  また、ササニシキにかわる新しい品種山形四十五号の開発に大きな期待をかけている。こういうことをやっていたわけですが、これは山形だけではなく、大臣御出身の新潟県でもコシヒカリが最終入札で基準価格を割り込みまして、販売ペースがダウンしているということで、県が販売促進のための予算措置を講ずるなど対策に追われておりました。  こうした実態といいますのは、生産者が安心して米づくりに励むことができない条件、こういうことになっているのではないかと思います。入札制度といいますのは農民を苦しめ、消費者にはほとんどメリットのない過度な産地間競争をつくり出しているのではないかと思いますが、このことについてはどうお考えでしょうか。
  67. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 価格形成の場は一年しかまだたっておりませんのでいろんな問題があるだろう、こう思います。いずれにしても自主流通米傾向に走っておるということは承知をいたしておるわけで、これは少しでも高く売れるという方向に向かっての一つの傾向でなかろうか、こう理解も実はいたしておるわけであります。  このことによって各県が自分のつくっておる米の実力というものの評価をみずからできるようになった。そのことによって品種改良が全国いろんな名前で実は出ております。この間も「ひとめぼれ」なんというのが出て、一度は食べてみたいなという名前のような米も実は出てきたり、あるいは外食産業向けの米を生産していこうかという知恵を出したりということでありますので、価格形成の場そのものについてはいましばらく、少しなじみが出てくるまで私ども進めさせていただきたい、そう思っております。
  68. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私も米の問題について質問をいたします。ただ、もう既に重複をした質問になりますので恐縮でございますが、まず第一点としては、先ほども質問に出ましたが、七月一日の米自由化阻止へ向けての大決起集会の件についてお尋ねをいたしたいと思います。  今米は自由化されるんだろうか、部分的に、あるいは関税化で。しない、いやそれはない、そういう形で疑心暗鬼といいますか、米をつくる生産農家から見ればまさにあすはわからないという状態になっている。しないとかないというのは、ローマ法では鬼の証明と言われておるようで、どうにも答えようがない、あるいは証明のしようがない。あるというのはある事実をもって証明すれば足りるというようなことを言われておるわけでございますが、あえて私もそのない証明をこの場で求めたい。  七月一日の五万人の大決起集会は、私の地元からも大挙して行かれました。行く人々の姿を見ていると、決して動員をかけられて人数を確保するために行くんだというんじゃなくて、むしろ米を専らつくっている農家の人たちが必死になって、自分の時間とお金でもって決起集会に参加している。ところが、実際には新聞報道で見ると、ほとんどの新聞が一様に、まるで事前に打ち合わせたかのように小さく報道されて、農業新聞だけが第一面で大きく取り上げられている。そういうことを前にして、大臣の率直な御感想といいますか、あるいは米の自由化阻止を訴え続ける農民の人たちの決起集会があったということを前にして御見解をお尋ねしたいというふうに思います。
  69. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 日本の新聞の報道を見ておるとだれしも心配をされるような状況だと思うんですけれども、ガットの場は米をどうだとかこうだとかいう発言の場もまだ出てないぐらい、まだ事務レベルでやっておる状況であるということ。にもかかわらずマスコミでああいう報道をされると、日米関係を心配する人、アメリカとECと手を組んだらもっとでっかいものが来るぞ、今のうちだぞという心配をされる人、いろんな立場の人たちがいろんな心配をしての御発言だと思うんです。少し過剰に先行して報道されておるんではないだろうか、こういうことを私は認識をいたしておるわけです。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕  それから米は、国際的に見てもたった一千万トンぐらい、三%ぐらいしか市場に出ていないわけです。そして国際価格を見てもこの十年間で最低で百九十ドル、最高で五百十五ドル、これだけ乱高下のある農産物というのは国際価格でないわけです。そして国内を見れば三〇%の生産調整をしておる。これ以上やったらもう生産調整の協力を求める人もいないし、また受ける人もなかなか困難であろうという状況であります。そして米を輸出していると国というのはわずか三カ国か四カ国です。米を食べておる国は百カ国もある。三カ国か四カ国で米の価格を決められる。あとの受け入れる百カ国がそれによって左右されるというようなことはとてもとても、我が国の主食である、そして最大の輸入国でカロリーベースで自給率でこれだけ低い国が自給率を上げていこうというようなときに、その中心である米を開放するというようなことは、そういう事情からいってもできないという判断を実はいたしておるわけであります。  ただ単に守りたいということでなくて、国際価格の変動なり世界のマーケットなり輸出国なりということを考えてみただけでも、我が国は米を最も主食としてそれをベースにして畜産、果樹、園芸と他の複合経営をやっておる国でありますから、ベースを失うようなこと、主食を危険にさらすようなことはしてはならないのではないか、そういう自覚の中で私は米の自給方針を貫いていくということの考え方を表明しておるわけでありますので、御理解をいただきたいと思います。
  70. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 ありがとうございました。
  71. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 ほとんど通告してある質問も出尽くしたように思いますので、別な角度から二点ほど意見並びにあわせて質問をしてみたいと思います。  大臣、先日WFCに出られまして、その後アメリカのマディガン農務長官それからマクシャリー委員らと会われまして、その後の大臣の決意が新聞等で報道されておりました。むしろ会談前よりか会談後の方が自信を持たれたというふうな記事等も出ておりまして、非常に心強く思っておるわけでありますが、先ほど各委員から出ておりますように、サミット前の日米会談においても当然出るのではなかろうかという問題でありますけれども、それらを総合してみますると、やはり大臣のそういった一つのお考えが総理にきちっと伝えられていくことをぜひお願いしておきたいと思います。これも既に言われましたので、くどいことは申し上げません。  問題は、民主政治ですから、世論を大事にしなきゃならないという問題と、逆にもう一つ、世論をリードしていくことも大事だと思うんです。最近の報道を見ておりますと、世論ばっかり目を配っておると大事な政治のリードということを忘れている部分がある問題でありましたのであえて申し上げたいわけであります。  もう既に出ておりますように、財界あるいは官の方の一部でも自由化容認ととれるような、あるいは部分開放もやむを得ないというふうな発言がなされております。これは民主政治ですから発言は自由でございますのでやむを得ないと思いますけれども、やはりそれに対してPRといいましょうか、先ほどから聞いておりましても大臣立派な抱負、経験を持たれておるわけであります。また、これからも日本の農業の将来についてどうしようかということを御検討なさる、結構でありますけれども、それをよく知らしめるといいますか、正しくPRをしていかないと、せっかく立派なことを決めても持ちぐされになるわけでありまして、そこからまた正しく認識しておらないと、間違ったと言っちゃおかしいけれども、部分的にしか物を見ていない意見が出てくる。それが世論になっていった場合にそれではもう大変遅いと思う。  ですから、やっぱり正しい世論をリードしていくという政治のきちっとした強い意思表示も必要でしょうし、そういう面での、先ほども出ておりましたが、マスコミの勉強の問題もあるでしょうけれども、PRということもこれまた大事である。そういう面でいわゆる市場開放論とかそういったものに対して、いろいろ出ておりますが、どういうふうに対処されてきたかというのを当局に聞きたいし、これからももちろんそういう意味ではそういうところこそきちっとPRしてほしいという要望を込めてちょっと質問をしてみたいと思います。一点で結構です。
  72. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 先生からいろいろ御注意をいただいたりしてありがとうございます。  私ども広報活動が足りないということで、今回農林水産省にも、広報活動をしようということで広報アクションプログラムというようなものをつくらせていただいて、そして今ようやくそこへ滑り出したところでございますので、遅くなったことをおわび申し上げて、また御注意をありがとうございました。  ただ、いろんなところでいろんな人が言われるので、マスコミにつきましても、農林水産省のクラブは、基本的にガット・ウルグアイ・ラウンドがどの辺まで進んでいるかという状況をよく知っておるものですからそう先行したことはないんですが、政治家がどこかで言うと、別の分野に所属をしている記者クラブから報道されたり、あるいは経済界に所属をしているクラブから報道されたりというようなものですから、うちのクラブのことはよく連携をとって、もうマスコミの時代ですから、マスコミの皆さん方によく理解をして広報していただくことは私ども大いに歓迎をするところでもありますが、他の分野ということになるとなかなかそこまで手が届かないということになりますので、そういう発言をすればしただけに私ども対処しております。  農業団体にも、仲間だけでいつでもやっているな、そういう人がいたらそういう人と話をして自分たちの理解を求めていかなきゃだめですよ、どこかで何か起きたら、自分たちでさっと行って、仲間だけで、守りたい人だけで大会を開いていてはだめなんで、守らなくていいという人のところへ行ってよく農業、農村事情なりというものを説明してくださいということで、また先般もお願いをさせていただいたところであります。
  73. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間の関係もありますので、大臣に確かめたい二つの疑点がございますが、その前に、大臣を激励するという私の気持ちを最初に申し上げておきたいと思います。  まず第一点は、大臣が米問題で明け暮れ苦悩していらっしゃることがよくうかがえます。ですが、静かにかいま見ますと、心の動揺も喜屋武眞榮にはうかがえます。政治は妥協の産物であるとも言われますが、私は、外交は駆け引き、妥協では許されない、国の興亡に関することでありますから断固、死を賭してとは申し上げませんが、少なくとも職を賭して国民の意思を貫いていただきたい。これが私の大臣への心を込めての激励の言葉だと受けとめていただけばありがたいです。  そこで、確かめたい二点と申しますのは、第一は、去る一月の六日付の朝日新聞の「閣僚インタビュー」の記事によりますと、大臣は「日本のコメは、世界の他の重要農産物と違って、生活や歴史、文化と密接にからんでいる。だから、はるかに重いんです」と言っておられます。そのことは私も全く同感でございます。また、米自給をうたった国会決議があります。さらに、本年二月二十四日付で総理府が発表した「食生活・農村の役割に関する世論調査」では、米など基本食糧の自給論が七三・二%である、輸入する方がよいと答えた人が一七%である、こう述べておられる。  そこでお尋ねいたしたい一点は、大臣は米の市場開放は全く行わない考えであると受けとめてよろしいですね。
  74. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 結論から申し上げると、もう従来の方針どおり、国内産で自給する方針で全力を挙げて対処していきたい。私の認識は、先ほどお答えをさせていただいた内容を私は認識をしておるわけでありますので、そのようにお考えをいただきたい、こう思います。
  75. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もう一つお尋ねしたいことは、大臣は同じインタビューの中で、三年前の牛肉とオレンジの輸入自由化に関連して「交渉には相手もある。「自由化できない」というところから始めないと交渉にならない。」とも述べておられます。また、ウルグアイ・ラウンドについては「今は、日本が譲歩する段階ではないし、譲歩する必要もない。」とも述べておられます。しかし一方では、牛肉とオレンジの輸入自由化に伴って「例えば九一年度の予算では、(肉用子牛の価格安定制度など)一千億円ベースの対策もとっている」というようなことも言っておられます。  このことは、万一将来米の輸入自由化をする、すなわち市場開放をするような場合にはそれなりの対策をとるとの示唆であるとも受け取れます。このように大臣の御発言を私なりにしんしゃくいたしますと、今は米の市場開放をするつもりはないがウルグアイ・ラウンドがある段階まで来たならば譲歩することもある、すなわち米の市場開放をすることもあると考えておられるのかどうか、重ねてお尋ねをいたします。
  76. 近藤元次

    国務大臣近藤元次君) 基本的には、肉と米の場合の立っているスタンスが一つは違うと思うんです。肉は必要な量を国内産で自給できなくて輸入しなきゃならぬという需給関係でありますし、米は過剰で生産調整をしておるという状況であります。ここが、ガットのルール上からいえば必要な量を輸入規制をしてはならないというのが一つの基本的なルールになっておるわけですから、ガットに提訴されたときには大変危険だな、しかし日本は畜産振興のために、輸入をするということは畜産農家の打撃が非常に大きいから自由化は反対ですということを貫けたら全力を挙げて貫きたいということで佐藤農林水産大臣は一度けって帰国をするというようなことをやって、最終的に一千億という対策費が十分とれた。ガットへ行ったときには、もしクロになるというようなことがあればその対策費もどうなるかわからぬという本当に瀬戸際の判断だったと思うんです。  今回の米の場合には、必要量どころじゃなくて過剰生産生産調整をしておるわけですから、ガット上からいっても、生産調整をしておるものは国境措置をとることは当然のことだ、こういう立場でありますので、不足なものと過剰なものと全然ルール上からいっても違うという立場でお話を申し上げたのであります。しかも一九八六年のこの約束をした四年半前から見れば、極めて日本はまじめに可能な限り血のにじむような大きな犠牲を払って自由化方向の努力をしてきたわけであります。そういう立場に立って私があのコメントをしたわけでありますので、その気持ちにはいささかも今変わりありませんし、自給方針で対処していきたい、こう思っております。
  77. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 頑張ってください。
  78. 北修二

    ○理事(北修二君) 以上で農林水産大臣に対する質疑は終わりました。  引き続き、政府当局に対する質疑を行います。
  79. 菅野久光

    ○菅野久光君 きょうは米価審議会ということで大臣がおらないのはまことに残念でございますけれども、きょうは次官がおいでですから次官を中心にしながら質問をしたいと思います。  本日の米価決定についての米審に向け、サミット前の日米首脳会談、そして七月の十五、十六日にサミットが予定されているということから、米の市場開放問題が農民や消費者、労働者を中心とする国民の間に大きな関心と不安と危機感を抱かせて、米の市場開放反対、そして米価を引き上げるという要求実現のために、先ほどからお話がございますように、七月一日には東京ドームに全国各地から五万人が参加をして集会を開き、その後デモをやった。  翌七月の二日には、日比谷の野音において農民や消費者、労働者の五千人集会が開かれて、集会後デモをする。そして、この行動に合わせながら、北海道農民連盟では七人による七月一日から昨日の三日まで三日間、何としても米の市場開放は許せない、これだけは絶対やっちゃいけない、そんな思いで身を賭してハンストを行いました。米の市場開放が我が国にとってどんなに大変なことになるかということを内外に示したというふうに思うんです。  しかし、先ほどからお話がございましたように、テレビではこれは放映されましたが、農業新聞以外の新聞は取り上げない新聞もあるというような状況で、非常に残念ではありましたけれども、一定のこの行動について国民の間に関心を持たせた、そしてそれなりのまた米の市場開放がどんなに大変なことかということについて知らしめる役割も果たしたのではないかというふうに思います。  私の選挙区であります北海道からは、二百人もの農民の方々がみんなのカンパで六月三十日から上京して行動をしております。それは今度の米市場開放の問題が日本の農業全体にかかわることはもちろんですが、とりわけ専業農家の多い北海道にとってはまさに壊滅的な打撃を受けることになるということから、これだけの方々が、もう黙っていられない、そんな思いで行動に入った、そういうことをぜひ受けとめていただきたいというふうに思います。  きょうは外務省の経済局長にも来ていただきました。けさの朝日新聞に「農水・外務にミゾ」ということで出ておりまして、これが本当であったら大変なことになるというふうに思うんです。このけさの朝日新聞のところをちょっと読んでみますが、   外務「農業分野の非関税障壁を、関税に置き換えて削減する関税化の流れが強まっている。日本も今のうちにコメの部分開放を表明しなければだめだ」   農水「ばかな。そんな情勢ではない。そもそも日本の農業が血をながしてまでガットに求めるものがあるのか」   議論は延々二時間に及んだが、新ラウンドを成功に導くため、「コメカード」を切るように説く外務省と、国内の農業保護のしがらみに悩む農水省との深い溝は埋まらずじまいだった。 このように出ております。  外交交渉で一番困難なのは、やはり国論が統一をしてこそ本当に力になるのではないかというふうに思うんですけれども、いろいろな報道、報道が真実であるかどうかは別にしても、いろいろこういった点での不協和音が聞こえてくるのは極めて残念でございます。  そこで、最初にお伺いしたいのは、この新ラウンドでの農業交渉では、各国がそれぞれ難しい問題を抱えている中で成功に努力を傾けております。我が国がこのまま米の自給方針を貫けば国際的に孤立するのではないかとの意見が一部で言われておりますが、この点についての政府考え方をお伺いしたいと思います。これは農林水産省、外務省、両方に聞きたいというふうに思います。
  80. 森元光保

    説明員(森元光保君) お答えをいたします。  農業問題につきましては、我が国の米に限らず、アメリカのウエーバーあるいはECの可変課徴金等各国とも交渉上大変困難な問題を抱えておるわけでございます。ウルグアイ・ラウンドの農業交渉におきましても、各国が抱えるこのような困難な問題を十分踏まえた上でそれぞれの立場に立った主張を行っているのが現状でございまして、我が国といたしましても、我が国の立場に立って主張を行っていくことは当然だというふうに考えておるわけでございます。  なお、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉におきます最大の課題は、米国とECの間の輸出補助金をめぐる問題でございますけれども、最近に至りまして、アメリカ、ECとも輸出補助金の増額を打ち出すなど両者の対立は大変厳しいものがあるというふうに承知をしておるわけでございます。したがいまして、御指摘のような御意見は、ウルグアイ・ラウンド農業交渉の現状を必ずしも正しく理解したものではない、さまざまな誤解を与えるものではないかということで適当ではないんではないかというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、我が国は食糧輸入国の立場に立ちまして、食糧安全保障の観点から、我が国の米のような基礎的な食糧につきましては所要の国内水準を維持するために必要な国境措置をガット上講じるよう提案を現在行っているところでありますので、今後とも我が国の立場が交渉結果に適切に反映をされますように最大限の努力を続けてまいりたい、かように考えております。
  81. 林貞行

    説明員(林貞行君) 私どもの考え方も、今食糧庁次長がお話しされたとおりでございます。  農業問題につきましては、日本の問題のみならずアメリカのウエーバーやECの課徴金等難しい問題がございます。そういう問題につきどういう解決があり得るかということで、各国がそれぞれの懸命な主張を展開しているというのが今の交渉の現状であろうかと思います。私どもといたしましては、食糧輸入国の立場を踏まえまして、食糧安全保障という観点から我が国の主張が通るように最善の努力をしているところでございます。
  82. 菅野久光

    ○菅野久光君 孤立するのではないかとの意見が一部にあるということで、孤立するとお考えか、孤立するのではないというふうにお考えか、その点だけ簡単に答えていただきたいと思います。
  83. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 御質問は、まだこれから交渉が本格化するということでございますのでそれについて的確な答えということにはならないと思いますが、私どもは日本の置かれた少なくとも米を中心とする農業の立場からいって、日本の立場を各国に主張するということが基本的な方針でございまして、私は今の段階で孤立するとか孤立しないということを考えるべきでない、あくまでも我が国の立場を各国に理解を求めていくということに最大限の努力を続けていくべきだというふうに考えております。
  84. 林貞行

    説明員(林貞行君) 川合経済局長の申されたとおりでございまして、私どもとして日本の主張を皆さんにわかっていただくべく最大限の主張をしておりますし、またそれがわかってもらえるように今後とも努力を続けたい、こういうふうに考えております。
  85. 菅野久光

    ○菅野久光君 委員会の場で今のように全く農林水産省と外務省とは一体だという答弁、これはもう政府としては私は当然だとは思うんですけれども、当然のことが現在当然のようになされていないところに大変大きな問題があるのではないかというふうに私は思うんです。  ところで、十五分野あるわけですね、ウルグアイ・ラウンドで。その十五分野の中で合意を見たのは何分野で、合意を見ることが現在困難な分野にはどんな分野があるのか、ひとつお知らせいただきたいと思います。
  86. 林貞行

    説明員(林貞行君) ウルグアイ・ラウンドは、今先生御指摘のように十五の分野ということで交渉してまいりましたが、昨年秋のブラッセル閣僚会議以降は七つの分野に再編成されてこの交渉が行われております。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 したがいまして、ウルグアイ・ラウンドの分野というときには十五の分野と言う場合と七つの分野と言う場合がございますが、今一番交渉がおくれていると言われている三つの分野は、サービス、農業、それからアクセスという三つの分野というふうに言われております。ガットの規律の強化という観点から、ガット条文の改正等の議論も行われておりますが、これも例えばガット十八条の途上国の問題とか、ガット十九条のセーフガードの問題、それからダンピングの問題、これもこれから相当な政治的決断を要する交渉が控えているわけでございます。  新しい分野では、知的所有権と投資関連分野がありますが、これは大分問題点の整理はできておりますが、さらに相当な交渉を要するということでございます。
  87. 菅野久光

    ○菅野久光君 まだ難しい分野というのは七つの分野だということですか。
  88. 林貞行

    説明員(林貞行君) 私の言い方が悪かったんですが、十五の分野を七つの分野に再編成したということでございまして、解決された結果七つになったということではございません。例えばルールに関しましては、補助金グループ、東京ラウンドで作成されたコードの改正グループ、それからガット条文グループというのがありましたが、これを三つ合わせてルールに関するグループというふうになって、七つになっているということでございます。厳格に申しまして十五の分野ですべて終わったということではございません。
  89. 菅野久光

    ○菅野久光君 今外務省経済局長の方から御答弁がございましたように、十五分野のうちどれ一つとしてまだ合意を見たものがないという中で、日本の米の問題だけがいかにもウルグアイ・ラウンドの中で最も合意を見るのに困難な分野であるかのごとく国内のマスコミがなされて、国民もそう思っている、思わされているといいますか、そういう状況だということをやっぱり国民に知らせなきゃならないんですね。どうも先ほどからお話がありますように、我々の側の宣伝といいますかそういうことが足りないのではないかというふうに思います。  それで、さきの報道によりますと、昨年のヒューストン・サミット経済宣言に盛り込まれました食糧の安全保障に配慮するということが、今度のロンドン・サミット宣言では非貿易的関心事項に配慮するとの表現に変わる見通しになったというふうにされておりますが、これは我が国が新ラウンドの年内妥結を目指すとのOECD閣僚理事会コミュニケを受けて米の国内自給方針を弱めているのではないかというふうに見られているんですが、これについて政府考え方をお伺いしたいと思います。
  90. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) ただいま御指摘があった点でございますが、ヒューストン・サミットにおいては、今御指摘ありましたように食糧安全保障について配慮する旨の規定がありましたし、またそれ以前のベネチア・サミットやあるいはトロント・サミットにおきましても、食糧の安定供給の確保というような表現におきましてこれと全く同じ表現が使われているわけでございます。  今菅野先生おっしゃいました一部の報道でそういう記事がありましたのは、私どもはそれは誤りだと思っておりまして、ロンドン・サミットにつきましては、御承知のとおり今関係国間におきましていろんな準備が進められているところでございますけれども、我が国におきましては、このロンドン・サミットにおきましてウルグアイ・ラウンド農業交渉が論議される場合には、従来からの、今申し上げました食糧安全保障等に関する政府基本的な方針が配慮されるように最大限の努力をもってそれをうたいたいと考えている次第でございます。
  91. 菅野久光

    ○菅野久光君 決して弱めているのではないという次官からの答弁がございましたので、ぜひその方向で頑張っていただきたいと思います。  そこで、米の市場開放問題についてアメリカの国務省の副長官が、我が国に関税化を迫る文書を在日米国大使館に送ったというふうに聞いておりますが、この文書が送られた時期だとか、また送られてきて政府関係者が入手した時期、それはいつでしょうか。
  92. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 今のお話は、私どものところに文書であるいは正式の形で申し入れがあったということではございません。担当者から担当者に伝えてきたということでございますので、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。伝えてきたのは、六月二十一日というふうに理解しております。
  93. 菅野久光

    ○菅野久光君 伝えてきたということでありますけれども、伝えてきたというのは結局公表されているわけですね。それを受けて我が国の外交当局がアメリカの大使館または米国政府に対して今までどのような対応をなさったのかお伺いしたいと思います。
  94. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) この形式と申しますか伝えてきたということは、私どもにとりましてはやや正式な形じゃないものですから今そういう申し上げ方をいたしたわけでございますが、必ずしも正式にだれだれあてにどういうことを言うというふうな正確な形ではございませんのでそういう表現を使わせていただきました。したがいまして、私どもの方に正確な形でのどういうことを言ってきたかということは、文書のような形では私ども確認をとっておりません。
  95. 菅野久光

    ○菅野久光君 新聞報道によれば、イーグルバーガー米国国務副長官が、在日米国大使館あてに送ったもので、同大使館のパーカー公使が二十一日農水省と外務省に届けたということになっているのです。これは事実と違うのですか。
  96. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) そこで触れているのは、恐らくアメリカの政府から在日米大使館へ来た文書についてであろうと思いますが、私どもはその文書がそういうものであるかどうかということを確認しておりませんし、私どもに置かれたメモが全くないわけではございませんけれども、それもそうした文書であるかどうかということは少なくとも農林省の方では確認がとれておりません。
  97. 林貞行

    説明員(林貞行君) 川合経済局長の方から農林省には六月二十一日というお話がございましたが、外務省にはここの米国大使館の者が六月二十六日に口頭で今新聞で報道されているような趣旨を申し入れてきております。これは従来、アメリカはウルグアイ・ラウンドの農業交渉の場におきまして関税以外の措置についてはすべて関税化していこう、それを下げていこうというのがアメリカの主張でございまして、このアメリカの主張を恐らく念のため今時分に言ってきたということであろうと思います。  私どもこれを受けた担当の者は、関税化はできないというのが日本の主張である、これは農業交渉の場でも何度も言っているし、あなたがもう一回言ってきたからもう一回言っておきましょうということで返してございます。
  98. 菅野久光

    ○菅野久光君 我が国政府は米について国内自給の方針を堅持する旨重ねて明言をしてきているわけです。それにもかかわらず、当文書においては、米国は最近日本の国内に出始めている部分自由化論といいますか、そういうものが出ておるわけですが、それではだめだと完全自由化を求めてきているわけです。アメリカのこのように高圧的で我が国の主張を無視して、しかも外交的儀礼にも反するものとさえ私は考えられるのですが、このような姿勢に対する外交政策上の考え方、また今後のアメリカへの対応、それをぜひ外務省経済局長の方からお伺いしたいと思います。
  99. 林貞行

    説明員(林貞行君) 冒頭川合局長からも申されましたし、それから私も申し上げましたが、現在農業交渉は輸入国の主張それから輸出国の主張それぞれをぶっつけ合っている段階でございます。そういう段階におきまして自分の主張を、もちろんジュネーブでやっておるわけでございますけれども、それぞれ自分の主張はこういうことだということを言ってくることは特に外交上おかしなこととは考えておりませんし、当然日本としてのめない話であればのめないということで返しているわけでございます。
  100. 菅野久光

    ○菅野久光君 私は全く失礼千万というふうに思わざるを得ないんですが、こんな全く失礼なことを許しておいた今までの外交のあり方に大変不満を持っております。  この文書では、市場開放問題について、アメリカ側より部分開放では認められないという申し入れがあったとのことであって、政府はこの内容については、従来からアメリカとして主張してきたことであり、特別新しいものではない、だから特別な対応をする考えはないというふうに説明しておりますが、このような申し入れが七月の十一、十二日に行われる予定の日米首脳会談の直前になされたことは、この会議においてアメリカ側が我が国の米市場開放についての譲歩を引き出そうとする意図が考えられるんですが、その点はどうなのか。政府は今回の首脳会談で、こうなった場合にどのように対応するつもりなのか、考えを伺いたいと思います。
  101. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 今のお話は、私どもは、今お触れにもなりましたけれども、アメリカの従来の主張を繰り返しているということでございまして、特別目新しいものでないという認識でございます。  しかしながら、その話がございましたときに、そういうことは全く我が国としては受け入れられないことである、我々は、既に御承知のように、ガットの場でも申し上げているように、基本的な方針で臨んでいるので、そういうことは全く受け入れられないということを言っております。それを受けて、日米首脳会談あるいはサミットでどうなるかということは私どもよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても、アメリカもこの問題につきましてはウルグアイ・ラウンドで協議するということを合意している問題でございますので、そういうふうな受けとめ方、また、もしそういう問題が出た場合でも、従来の立場に立って対応すべきものというふうに考えております。
  102. 菅野久光

    ○菅野久光君 外務省の林経済局長は総理に何かついていかれるというようなお話も聞いておりますが、農林水産省側からはだれかついていきますか。
  103. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 私どもは塩飽審議官が随行することになろうかと思います。
  104. 菅野久光

    ○菅野久光君 ロンドン・サミット前の日米首脳会談において、今お話がありましたけれども、米が議題に上るか否かですね、上らないと思うとかなんとかということですが、その辺はどう思われますか。
  105. 林貞行

    説明員(林貞行君) これは首脳でございますので、なかなか事務的に何が上るか上らないかということを予想することは難しいわけでございますが、ウルグアイ・ラウンドに関して意見交換をしたいという米側の希望は来ております。そういう意味において、農業の問題、それから米の問題が話題に上る可能性はあると思います。その際には、先ほど川合局長も申されましたように、総理は従来の日本の立場を踏まえて対応なさるもの、そういうふうに考えております。
  106. 菅野久光

    ○菅野久光君 本年四月の日米首脳会談においても、事前には米は議題にならないと言っていたにもかかわらず、実際には米について話し合われたというわけなんです。今回も同様に、結局は米の市場開放を要求されるのではないかというふうに 心配をしておるわけですけれども、その点いかがでしょうか。
  107. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) ただいま外務省の経済局長が申し上げたとおりでございまして、私どもといたしましては、この日米首脳会談において米の問題がたとえ取り上げられる場合におきましても、先ほどから大臣がしばしば申し上げております我が国の基本的な立場、それは繰り返しますと、米問題につきましては、総理自身が前国会の施政方針演説において、我が国における米及び水田稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議等の趣旨を体して、今後とも国内産で自給するという方針を繰り返して述べているところでございますが、その基本的な立場をあくまでも堅持していきたいと考えている次第でございます。
  108. 菅野久光

    ○菅野久光君 今の答弁でいいわけですが、しばしばロンドン・サミット前に米の市場開放の政治決断をしなければならないかのような報道がなされておるものですから、特にサミットにおいて我が国の米もサミットで議題に上るのか、恐らく単品で上るなんというようなことは常識的に私はないと思いますけれども、ただいまの答弁、そして農林水産大臣がたびたび答弁していることを、それは政府考え方でありますから、それを外務省当局もしっかり踏まえてやってもらいたい、そのように思います。その点きょう確認されて、そして最初に言いましたけれども、そのことによってやっぱり国論が一致している、外務省と農林水産省との間に溝なんというのはないんだということをしっかり確認をしていただきたいと思います。  それから、さきの日本農業新聞で、米政策研究会が、これは六月十九日の新聞に出ておりましたが、米を完全に輸入自由化した場合の影響予測を出しました。皆さん方も農業新聞などで読まれていることだと思いますが、外務省の林経済局長はこういったようなことについて御存じでしょうか。
  109. 林貞行

    説明員(林貞行君) 私のところに日本農業新聞の関連の記事は必ず来るようにしていますし、読むようにしています。
  110. 菅野久光

    ○菅野久光君 これでおわかりのように、米を完全自由化した場合には生産量において九割の減、そして百六十三万人以上が失業し、生産額において十一兆円を超す減になる、そして米の輸入自由化によってアメリカが本当に受ける利益というのはアメリカ全体の経済の中ではわずかだけれども、我が国においては甚大な影響を受ける、そういうことがこの影響予測の中で出ているわけです。我々もかねてそのことを心配しておりましたが、こう数量的にはっきり出されてきたのは私はこれが初めてだというふうに思うんです。  政府はふるさと創生ということでやっていますけれども、本当のふるさと創生というのは、やっぱりそれぞれのふるさとにおいて一次産業を盛んにすることがふるさと創生なんです。しかし、このことによって米を完全自由化していくということになれば、ふるさと創生どころかふるさと崩壊、ふるさと壊滅ということになっていくわけです。これは我が国で定めている四全総のそれぞれの地域の均衡ある発展なんということにはなり得ない。そういう状況になるということをぜひ経済界の人たちも、自分たちのところの商品が売れればいいんだというようなそういうことだけで部分開放だとか自由化だとかということを言ってもらっちゃ困る。日本の国をなくしてしまう亡国の論理ではないかというふうに私は思うんです。  しかも、食糧の問題というのは、実は私は教員の出身ですが、私の先輩に農政を長い間やってきた北海道の二区から出ておりました芳賀貢という代議士がおりまして、この先輩が私に、菅野君、教育というのは生きているからこそ教育があるんだ、人間生きていくためには食べ物がなかったら生きていけない、君は当選したら農林水産委員会に入って食べ物の問題をしっかりやれ、こういう先輩からの話もありました。私は先輩の言うことを忠実に守って、当選以来八年間農林水産委員会に所属をして、日本の農業をいかに守るか、そして国民に安全な食糧をいかに安定的に供給するかという我々の役目を果たさなきゃならぬ、こういう思いでやってまいりました。  今本当に農業が大変だ、だからこそ北海道農民連盟の人たちが七人も本当に命を賭して三日間のハンストもやった、そういうこともぜひ外務省もわかってもらって、少なくともこういう新聞に書かれるようなことのないように、国論を統一して、本当に日本の国の将来を誤らせないようにひとつ頑張ってもらいたいということを特に外務省の林経済局長に要請をしておきます。そのことについていかがでしょうか。
  111. 林貞行

    説明員(林貞行君) 私ども、今までも内閣の方針に沿い頑張ってきたつもりでございますが、今後とも農林省ともよく相談させていただきながら、国全体としての立場が貫かれますよう最善の努力をしていきたいと思います。
  112. 菅野久光

    ○菅野久光君 今の答弁で、とにかく三度にわたる国会決議、そして各地方議会も含めて国民の総意だということで、少なくともこの決議に反するようなそういう言辞を吐くような外務省の職員はいないとは思いますけれども、いたとすれば我々としてやっぱり重大な決意を持たなきゃならぬのではないかということを申し上げておきます。経済局長、どうもありがとうございました。  もう時間がございませんので、次の問題に入らせていただきます。  米価の問題については先ほど来からお話がありました。食糧基地としての北海道農業の位置づけをどのように考えておられるのか。特に北海道は、先ほども申し上げましたように、一種兼業農家を含めれば七〇%を超す専業農家、その専業農家の将来像についてぜひお願いをしたいと思うんです。  二百人から上京されてきた方々といろいろお話をする中で、自分は息子を後継者に持って農業をやっているんだけれども、本当に五年先、十年先どうなるのか自信が持てない、だから五年先、十年先どうなるのか、そういう将来に希望の持てるような農業政策というものをぜひつくってもらいたいというようなお話がございました。本当にそうだと思うんです。後継者対策だ、やれ規模拡大だ、いろいろやるべきことをやっても、規模拡大だってこんな状況ですからなかなか規模拡大ができない。将来に見通しがないからですね。そういうことなどもありますので、ぜひその点についてお考えをお聞かせいただきたい、このように思います。
  113. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) ただいま菅野先生御指摘のとおりでございまして、私も長く国土政策とか地方自治をやってまいりましたので、北海道のことにつきましてはある程度存じ上げている次第でございますが、今回御質問があるということで、少し統計的な農業に関する資料を見せていただきました。  それによりますと、今御指摘のように、専業農家率というのも内地とは全く比較にならないくらい高いわけでございますし、また耕地面積も全国シェアの二割を超えております。また、農業の総生産額につきましても一割の地位を占めているわけでございます。したがいまして、政府におきましても、第四次全国総合開発計画、四全総におきまして、また第五期の北海道総合開発計画におきましても、北海道が我が国における主要な食糧の供給基地としてそれぞれ位置づけられているわけでございます。  さらに、農業について申しますと、北海道は、土地利用型の農業部門の経営規模で、ECに匹敵するような規模の大きいものでございますし、また北海道の農業の振興というものは我が国の農政自身の重要課題だと私は認識をしている次第でございます。したがいまして、これからも北海道農業がそのすぐれた特性を生かしながら一層の発展が図られますよういろいろと対処してまいりたいと思いますが、何よりも今御指摘のありました経営規模の拡大、農業生産基盤の整備、後継者と申しますか担い手の育成確保、それから先端技術の開発普及、そういう点に配意してまいりたいと思いますし、特に近藤農林水産大臣は就任に当たりましても、将来に夢の持てる農政を確立したいということを言っておられるわけでございますけれども、まさに北海道の農政こそその最たるものではなかろうか、こういう認識を持っている次第でございます。
  114. 菅野久光

    ○菅野久光君 大臣も日ごろそのようなことをおっしゃっていますので、もうぜひ具体化して、これならというようなことをやってもらいたいというふうに思います。  今回も米価〇・六五%引き下げの諮問がなされましたが、先ほどからお話がありますように、昭和五十一年当時のベースですね。賃金は二倍、物価は五〇%上がっているという中で、雲やかすみを食って農民は生きていくわけにはいかない。だから、今やっぱり農家所得をいかに補償するかということが私は重要な問題だというふうに思うんです。そうした中で全国農協中央会が二十四日に地球環境と食糧シンポをやりました。その中で、「環境に貢献する農業を育てるためには、農家への所得補償などの政策の必要性が求められると結論づけた。」というふうに、これも日本農業新聞でありますが、出されております。やはりそういう所得補償という面からいえば、こういったことも単なる補助ではなくてこれからの政策の中では考えていかなきゃならないのではないかというふうに思うんですが、その点についてだけお伺いして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
  115. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) やや所管外でございますので的外れのお答えになるかもしれませんけれども、やはり今お話が出ました議論というのは、例えばOECDあたりでは農村開発問題あるいはデカップリングというような発想でいろいろと議論されているところでございます。この考え方は、ある意味では条件不利地域などについて実際に取り組まれている国もある問題でございますが、我が国のような条件の国の中でそういう問題が果たして取り入れられるかどうかというのはまだ十分な検討が済んでいないというふうに私は理解しております。  ただ、これからのいろんな国際化の中で一つの研究課題であろうというふうには受けとめているところでございますので、今後とも研究をさせていただきたいというふうに考えております。
  116. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 それでは、私から一応通告では六点の質問事項を提示いたしましたけれども、先ほど来いろいろ質問がございましたので、しかもまた重複も時間の関係上もありますので、若干はしょって質問を申し上げる、したがって順序も前後する場合もあると思いますけれども、質問を続けたいと思います。  第一の米の自給と日本農業の将来についてでございますけれども、これはガットの農業交渉も含めて先ほど来いろいろ答弁をいただきました。特に近藤農水大臣からは、私どもの意と全く同じような極めて期待の持てるお答えがありましたけれども、しかしながら、我々農民農村は大変な危惧を抱いているわけでありまして、さきの七月一日の五万人集会、そして波状的にきょうまた多くの農民代表が要請に来ているわけであります。これは日本の農業の存亡をかけての闘いである、今までかつてないような状況であるわけであります。そこで先ほど来の御答弁を実現するにはどうしたらいいか、その手だてについて、残念ながら大臣不在ですけれども、久世政務次官がおりますから決意のほどを伺いたい、こう思います。  先ほど来言われておりますけれども、ガット農業交渉については、これは外交問題でありますから国論の統一ということは当然でございます。その国論を統一するためには何としても内閣そのものが意思統一をしていなきゃならない。それが政府筋からいろんな異論が出ているということも先ほど来議論のとおりでございます。  そこで、内閣に対して農水省としていかに意思統一を図るべく手だてをより今まで以上に進めるか。また、先ほど来お話しになっておりますマスコミ対策についても、政府の広報活動を通してマスコミ自体を説得するその手だてをいかにするのか。そして、日本の国政を左右するのは財界の世論というのが極めて大きく左右しておる。明治以来、日本の農政の方向を定めてきたのは財界の提言が大きく左右してきたわけでありますから、財界の世論に対する正式な政府としての見解、いわゆる反論をどうするのか。この場で申し上げて若干支障があると思いますけれども、与党自民党が政府を支えているわけでありますから、与党の中にもいろいろ御異論の方がございます。それに対する内閣として、農水大臣としていかがな説得工作を持つのか。その四点について大臣の御見解と決意を確認したい、こう思います。
  117. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) 政府としての考えを申し上げたいと思いますが、今三上先生が御指摘になりましたように、重要な問題、政策について国論が一致しなければいけないことは当然でございます。世論というものを十分に体して国論を統一するということがあらゆる政策の基礎だと思っております。そして、特に外交に関する問題というのは、外交は一元化しなければいけないことは当然でございまして、先ほどから細かい御質問に対しても、外務省も経済局長、農水省も実は経済局長、両方とも経済局長でございますが、また申し上げていることも全く同じことを言っておるわけでございまして、この外交問題につきましては省が違って意見が異なるわけではございません。もちろん、そこへ至る過程といたしましては各省いろんな立場がございますけれども、一たん国として外交交渉の場に出た場合においてはそれが一元であるということは言うまでもないことでございます。  また、ただいまはマスコミ対策とか財界の問題とかそういうことについても御指摘があったのでございますが、私どもは今御指摘があったことは十分に体しながらこういう重要問題に対して対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  118. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 どう対処するのか具体的に。
  119. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 今お話がございました世論の統一あるいは国論の統一ということに向けて私どもが努力している点につきまして具体的にお話し申し上げます。  やはりマスコミ対策というのは非常に大事だと思います。私どもは各関係マスコミの経済部、政治部あるいは編集担当者という方々にお集まりをいただきまして、例えばウルグアイ・ラウンドにつきまして今までの進捗状況、我が国の立場、我が国の主張というようなものをかなり頻度を多くいたしまして御説明する機会を持っております。また、財界につきまして、いわゆる財界のオピニオンリーダーというような人たちにつきまして個別にも私どもは訪問いたしまして私どもの立場を説明するというようなことをここのところかなり頻度を多くしてやっているような次第でございます。
  120. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 与党に対してはどう対処しておりますか。
  121. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) 自由民主党におきましては、政調におきまして農林部会あるいは総合農政調査会、そういうところで農林水産省としては統一的な見解というものも示しておりますし、また党といたしましても政調で自由民主党としての立場というものを一体化いたしておるわけでございまして、それを基本にしながら対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  122. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 先ほどの近藤大臣の答弁とは大部違って、トーンが下がったような御答弁で残念でございますけれども、ひとつ今の御答弁にたがわないように誠心誠意努力をしていただきたい、そのことをまず要望しておきたいと思います。  それでは次に、具体的に米価の問題に入りたいと思いますけれども、先ほど来言われておりますけれども、なかなか農家実態をわかっていただけない。国際的に比較して米価が高いから下げざるを得ないという、そういう客観情勢に合わせて〇・六五%下げの諮問をしたという実態が出てしまったわけであります。そこで私は、しからば生産者生産コストを下げる以外に生きる道がない、こう思うわけでありまして、その若干についてお尋ねをしたいと思います。  生産する段階で当然土地と資本と労働力が伴って生産されるわけであります。資材の中には農業機械も当然入るわけでありますけれども、肥料、農薬、その他資材、農業機械、それから土地改良費の償還金いわゆる負担金の問題等々あるわけでありますけれども、具体的に詰めてまいりたい、こう思います。  資材の内外価格差、日本における国内の価格と外国のいわゆる日本に輸出する国との価格差が政府手元にあったら御提示をいただきたいと思います。
  123. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) 農業生産資材の内外価格差の実態でございますが、実は正確な意味ではなかなか比較しにくいわけでございます。品質の違いとか流通形態の違いとか為替レートも変動するようなことでございますが、そういう問題はございますけれども、これをあえて比較してみますと、肥料につきましては、平成二年四月の時点では尿素につきましては日本の方がやや高い、硫安の方では日本の方がやや安いというようなことでございます。農業機械でございますが、乗用型のトラクター、これの希望小売価格ということで比較してみますと、日米間の差はないということでございます。それから農薬は、これは非常に各国によって使っております農薬が違いまして一概に比べられないというようなことでございます。  それから節減対策でございますけれども、これはコストを安くするという意味ではぜひ必要なことだということで、例えば肥料につきましては施肥の一層の適正な施用ということとか、それからばら流通、フレコン流通というようなことで低コストの流通方式の確立というようなことで努力しているわけでございます。農業機械につきましては、機械の利用効率を高めることが機械の償却費負担を軽くする道でございますので、農業機械銀行方式の活用でございますとか、あるいは担い手に農地を集積して機械を効率的に利用するというような体制の整備に努めるというところでございます。また、農薬につきましては、防除が必要かどうかというような意味での防除の要否の判断あるいは発生予察事業の活用というようなことで農薬自体の施肥量を極力合理化して、その結果費用を少なくしていくというようなことで農薬についてのコストの節減を図っているところでございます。
  124. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 肥料、農薬については、種類が数多いわけでありますから、その単品ごとの議論をしてもこれはきょうの時間では足りないわけでありますから、少なくとも農薬については、低農薬のものは効果は弱いけれども値段は高いということは常識なわけです。ですから、日本の農薬は高い割に効果が出ないということを諸外国と比較してわかっていただきたいということもやはり国民にPRする必要がある、こう思うわけであります。  それから、具体的に自家用自動車の検査制度について触れたいと思います。  実は、農家の自家用車の運送距離というのは、大体一年に三千前後、多く走る農家で五千もいけばいい方だと思います。しかしながら、その五千内外で毎年フル装備の検査をしなきゃならない。検査をするということは、小型トラックで十万前後も費用がかかるという実態があるわけでありますから、米価は上げられない、農産物の価格は上がらないならその辺の緩和措置ができないものかどうか、この辺についての御見解をいただきたいと思います。  自動車の取得税については、一般の車両が五%の税率に対して、営業車は三%の免税措置がございます。そしてまた重量税については、一般車が四千四百円に対して、営業車は二千八百円。そして検査は、もちろん営業車は一台につき二万キロも五万キロも一年に走るという結果になっているわけでありますから、その辺、三千キロあるいは五千キロの車に一年に一回フル装備の検査をさせるということに問題はありはしないか。この点についての御見解をいただきたいと思います。
  125. 豊田榮次

    説明員(豊田榮次君) ただいま先生の御質問の中で、まず検査の問題について御指摘がございましたが、確かに私ども農業用のトラクターその他につきましては二年に一回、それから自家用のトラックにつきましては一年に一回という検査を義務づけているところでございます。それらにつきまして、それからさらに定期点検につきましては、それぞれ六カ月ごとあるいは適切な時期ごとに点検整備をするということになっております。  先ほどの先生の御質問でございますと、そのときにかかるいろいろな経費の中でも整備料金についてもう少し安くならないかという御指摘であったかと思います。車の使用状況あるいはまたふだんの管理の状況におきまして、整備の料金が高くなったりあるいは安くなったりということは当然出てまいりますので、一概に高い安いということは申しにくいかと思いますけれども、私どもといたしましては、ユーザーの負担の軽減の観点から、整備料金の内容につきましてユーザーの理解が得られて適切な料金を収受して、過剰整備と言われることのないように指導しているところでございまして、今後ともその点については前向きに取り組み、また積極的に指導してまいりたいと思います。
  126. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 さっきも言っているように、三千か五千キロ走って、今の車は二万、三万現実に走って故障がないわけでありますから、しかも事故の率を見ても整備不良によっての事故というのは極めて少ないわけですよ。ですから農家が、あるいはどういう業種でもいいから、やはりキロ数を加味したそういう検査制度にしていただきたい。  具体的に申し上げますと、三千、五千というのは二年に一回とか三年に一回の検査にしていただきたい、それでも事故がないわけでありますから。その辺の御検討をいただきたいと思うんです。あわせて、トラクターあるいは農業用のスピードスプレーヤー等々を含めて御検討をいただきたい。その可能性についての御見解をいただきたいと思います。
  127. 豊田榮次

    説明員(豊田榮次君) 自動車ごとの検査の周期あるいは点検整備の周期につきましては、先般運輸技術審議会でいろいろな御議論がございまして、その節いろいろな改正を加えまして現行に至っているわけでございますけれども、その際に運輸技術審議会答申の中でも適時適切に見直せという御指摘をいただいております。先生の御指摘も含めまして技術の進歩その他車種ごとの使用状況を踏まえながら今後とも前向きに検討するつもりでございます。
  128. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 その検討の結果は、時期的にめどをいつに定めているとお答えできますか。
  129. 豊田榮次

    説明員(豊田榮次君) 現在運輸技術審議会に対しまして安全対策全般につきまして諮問して検討を加えておるところでございます。その検討の中でまたそのようなことにつきましても含め検討してまいりたいと思いますが、今ここで、ではいつまでにどのような結論を出すかというようなところは、審議会の運用の問題でございますので私どもの方から明確にお答えできませんけれども、先ほど来御説明申し上げておりますように、そのようなことにつきまして状況の変化に応じて前向きな検討に取り組んでいきたい、そのように思います。
  130. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 農水省として運輸省にその旨の働きかけをいかがいたしますか。
  131. 安橋隆雄

    説明員安橋隆雄君) トラクターの車検問題でありますとか、あるいは農業用トラックの車検の期間の問題につきましては、農業団体の方からいろいろ農林省の方にもお話がございますので、そのお話の趣旨を運輸省の方にお伝えしているわけでございます。  私どもといたしましては、車検の問題につきましては、大型トラクターあるいは小型トラクターによって扱いが違っているというような問題あるいは道路にどの程度出て走るかというような問題、いろいろな問題がありますので、運輸省の方にも私どもの方に来ております農業団体の考え方をよくお伝えして、両省間で話し合っていきたいというふうに考えているところでございます。
  132. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 久世政務次官にお願いしたいわけでありますけれども、今まで農業団体からいろんな機会にこういう要望が来ていますけれども、具体的にその検討に入っているのかどうか、それをどうぞひとつ久世政務次官と近藤大臣、この名コンビで今年度じゅうに検討してこの結論を出していただきたい。それに対する御見解をいただきたい。
  133. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) 大臣と十分相談をいたしまして、結論に達するよう努力をいたしたいと考えております。
  134. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 そこで、検査でなく税制の問題についてですが、重量税及び自動車取得税の緩和について、重量税が大蔵省ですね、自動車取得税の方が自治省ですか、両省の御見解をいただきたい。
  135. 増原義剛

    説明員(増原義剛君) お答え申し上げます。  御指摘の自動車重量税でございますが、これはその自動車の走行が道路の建設、改良等を初めといたしまして道路の混雑あるいは交通安全等に関連して社会に多くの費用をもたらしている、こういう点に着目いたしまして、広く自動車の使用者に負担を求める、こういう趣旨で課税されているわけでございます。したがいまして、およそ自動車でございますれば一律に課税をするというのが趣旨でございまして、農家でお使いになっている自動車、これのみを取り上げてそれを軽減するということはなかなか難しいのではないかというふうに思います。  それからもう一、二ございました。例えば営業用は自家用よりも安くなっているのではないか、こういう御指摘でございますが、これは大分前になりますけれども、石油ショックのときに、やはりその引き上げ等におきまして差がついてきたわけでございますが、これは当時物価対策、あるいは営業用はとりわけ輸送効率が高いという点等を勘案しまして、いわゆる青ナンバーにつきまして軽減税率を設けたわけでございます。農業用につきましては、これはいわゆる白ナンバーでございまして、営業用とは異なった性格を持っておりますので、これを軽減するということはなかなか困難ではないかと思われます。  それからもう一点ございました。いわゆる農家の使用する車の走行距離でございまして、これが短いんだから、そういった点を勘案してやってはどうかということでございますが、先ほど申し上げましたように、自動車重量税でございますが、これは自動車が車検を受け、あるいは新たに届け出を行うことによりまして道路を走行することができる、こういう法的な地位あるいは利益を受けることに着目しまして課税する、いわゆる一種の権利創設税でございまして、こういった税の性格から見まして、その走行距離等に勘案して何らかの軽減的なものを設けるとか、そういったことは必ずしも適当ではないのではないかというふうに思っております。  以上でございます。
  136. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 適当ではないと言ったんですか。
  137. 増原義剛

    説明員(増原義剛君) 適当ではないというふうに申し上げたわけでございます。
  138. 林省吾

    説明員(林省吾君) 自動車取得税につきましてお答えをさせていただきます。  自動車取得税は、道路損傷負担金的性格のものでございまして、すべての自動車が平等に負担すべき性格のものであると考えております。したがいまして、特に輸送料金に及ぼす影響等を考慮して税率を据え置いております営業用自動車を除きましては、すべて自家用として課税するところとされているところでございまして、農業用に使用する自動車ということをもちまして取得税の税率を営業車並みにするということはなかなか難しい問題である、こういうふうに考えております。
  139. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 この取得税そのものが道路損傷負担金として平等に賦課するという目的税でありますけれども、平等に負担するという建前からいきますと、損傷あるいは交通渋滞に関係しないものについてはそれなりの負担をかけないというのが建前に準ずるというふうに我々は解釈するんですけれども、それはそれとして先ほど来言われておりますように、農家の経費節減の一助としてでも、日本の農業を守るという建前からいっても、その辺の御配慮をいただきたい、こう思うわけですが、これまた政務次官の御見解を最後にお願いします。
  140. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) ただいま大蔵省、自治省、両省からそれぞれ答弁があったわけでございますが、今御指摘のように私どもといたしましては、誠意を持って努力をしてまいりたいと考えております。
  141. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 そこで、これまたコスト低減の一環でございますけれども、土地改良費の償還金の緩和でございますが、さきの百二十国会で償還金の一部自治体の負担の明確化という法改正をした段階でも私は要望を申し上げましたけれども、今工事完了地帯の農家負担を見ますと、三万から五万という土地改良費の負担を納めている、そういう実態があるわけでありますけれども、その実質的な負担が今回の米価算定には必ずしも含まれていない。でありますから、どうぞひとつこの土地改良費の償還金の緩和措置をしていただきたいということをお願い申し上げるわけであります。  今まで償還金の平準化制度というもので一つの山を後半に延ばす、崩すという措置は講じておりますけれども、実質的にはそれは負担の緩和にはならない、延長になるだけでありますから、どうぞひとつその辺をお酌み取りいただいて、その辺の緩和措置ができないものか、あえてお願い申し上げたいと思います。そして御見解を承りたいと思います。
  142. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) 農業を取り巻く情勢が非常に厳しい中で土地改良事業の円滑な実施を図るという観点から、農家負担の軽減についていろいろ努力をしている次第でございます。  そのための対策といたしまして、事業費単価の抑制とか国営事業なんかの償還方法を改善するとか、それから農家負担負担金償還円滑化のための融資措置、そういうものをいろいろ工夫いたしております。また、公共性の高いダムとか頭首工、基幹的なかんがい排水施設とか、それからまた道路等につきましては国の負担率を高めるとか地方公共団体の負担率を高めるとか、そういうような努力をいたしまして、農家負担がゼロになるような方向でいろいろ努力をしているという次第でございます。  また、先生御指摘のように、本年度の国会におきまして、土地改良法の改正で、市町村、都道府県の事業費負担の明確化というようなことをいたしまして農家負担もできるだけ軽減するというようなこともやっているわけでございます。  また、先生御指摘の既に完了した地区の償還金の軽減の問題でございますけれども、これは既に確定した債務といいますかそういうものを前提にいたしておりますので、これは償還条件をできるだけ緩和するというようなための対策を従来いろいろ工夫をいたしているわけでございます。これにつきましては、平成二年度に発足いたしましたいわゆる一千億円を五年間で造成いたしまして利子補給をするとか無利子の資金を融通するとか、そういう形でいろいろ農家負担を軽減する努力をしている次第でございます。
  143. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 それでは次の問題に入らせていただきます。今回の米価算定に当たって、労働費とり方について若干質問を申し上げたいと思います。  家族労働費の一日当たり五千二十五円という見方をしております。しかしながら、一日の農家所得というのは、一人当たり所得が一万三千五百四十二円ということは、我々生産者の受けとめ方からいきますと、労働報酬がその農家のいわば所得に当たるわけでありまして、資本利子地代、これらはいわゆる資本所得でありますけれども、労働報酬よりも地代の方が高い、こういう算定実態ということに私は疑問を感じるわけでありますけれども、それについての御見解をいただきたいと思います。
  144. 須田洵

    説明員須田洵君) お尋ねのことは、我々の先ほど御説明いたしました生産費調査の関係と理解してよろしゅうございますか。――その場合の所得家族労働報酬につきましては、先ほど御説明をいたしました「平成年産米生産費」の十ページ、十一ページの欄をちょっとお開きいただきたいと思います。生産費調査というのは生産コストを把握するというのが第一義的な目的でございますが、あわせてその結果収益性がどうなるかということをできるだけデータ的に提供するというのが望ましいという観点に立って、やや参考的な意味になりますけれども収益性という幾つかの指標を出しておるわけでございます。  一つのポイントとしては、十アール当たりの粗収益がどうなるか。これは粗収益でございますから、米代金と収量で大体決まってくるわけでございますが、あわせて所得所得というのは下の方の注にございますように、簡単に言いますと、粗収益から物財費と雇用労働費を除いたものをとっておるわけでございます。そういうものとして、いわゆる所得としてはどれぐらいになるかということを一応試算をして、十ページにございますように六万九千七百九十六円という算出をしております。  そして、先生今御指摘のように、農家の実感といいますか、そういう面から見ますと家族労働報酬というのがやはり重要な指標であろうということで、所得ということにつきましては、資本利子地代も合わせたいわゆる所得という形になるわけでございますが、家族労働報酬というのはそれらを除きまして、所得から資本利子地代を除いた算出ということで、その結果が、ここにございますように、十アール当たりで三万一千二百十五円、前年よりも若干のマイナス、こういう結果になっておる次第でございます。
  145. 三上隆雄

    ○三上隆雄君 今のこの問題については、短い時間では議論ができないわけでありますけれども、この一日当たり家族労働費二つの例が出されておりますけれども、一方では五千円台、一方では、自主流通米の方でございますけれども、六千七百円台、これを見まして、しかもこれは拘束労働時間でなく単位労働時間を積算して八時間当たりの、一日当たり労働報酬ということでしょう。このような積算では今の米価は安過ぎるということに尽きるわけであります。それをあえてまた今回〇・六五%でも下げられるわけでありますから、農業の将来展望がないということは皆さんおわかりだと思うんです。  これから政府からの広報活動でお願いしたいことは、何か今世論を見ますと、外国から入るお米あるいは農産物というのは五分の一あるいは八分の一という報道をされておりますけれども、今日本で生産されたものが消費者価格を見た場合に果実は三倍、野菜は四倍ぐらいになっているわけですね。米のことを考えても、今外食産業があれほど栄えて、一般の家庭が外食する機会が多くなった。その実態を考えてみますと、一食の米の値段というのはせいぜい三十円かそこらなんですよ。それが御飯にしてどんぶりに入って出てくるのは百五十円、二百円ですよ。仮にただのお米が入ってきても今の流通でいったら百五十円から三十円引いて百二十円で買わなきゃだめなんですよ。それを何か今の報道では、安い米が入ってくるとイコールその割合で安い米を食べられるという認識に立っているんじゃないですか。安易に外国から入ることがイコール安い食糧を食べられるんだという誤った認識があるからもっと政府の広報活動をしていただきたいということをお願い申し上げて、若干時間がありますけれども、同僚の谷本議員の積み残しがございますから譲ります。
  146. 谷本巍

    ○谷本巍君 先ほど私の米審諮問米価質疑の中で算式と算定要素基本的には昨年どおりというお答えをいただきました。そこで私の方から資本利子とり方が変わっている、とり方変更に伴う米価算定値への影響度、いわゆる寄与率ですね、これが何%かというお尋ねをいたしましたが、答弁が得られませんでした。そこで私は、先ほど本委員会開会中に示してもらいたいということを要求し、既に二時間たっております。いかがでありましょうか、時間がありません、簡潔に答えてください。
  147. 森元光保

    説明員(森元光保君) 算定方式につきましては、いわゆる地域方式を採用させていただいておりまして……
  148. 谷本巍

    ○谷本巍君 寄与度だけ言ってください。
  149. 森元光保

    説明員(森元光保君) 資本利子の問題につきましては、これは算定説明で御説明をしておりますけれども、きょうの未明にかけまして実はこの算定をしておりまして、細かい点についてはちょっと今のところ申し上げる資料を持っておりませんので、この点については御理解をいただきたいと思っております。
  150. 谷本巍

    ○谷本巍君 私、三年前まで米価審議会におったんでありますけれども、当時は算定要素の変更があった際には、各要素とり方変更に伴う米価算定値へのそれぞれの影響度は尋ねればすぐ数字が出てきたんですよ。今回の場合どうしてそれが出てこないんですか。出てこないというのは正常ではなくて不正常ですよ。どうしてなんですか。
  151. 森元光保

    説明員(森元光保君) ただいま申し上げましたように、この地域方式によります米価算定につきましてはきょう未明まで実は作業をやっておりまして、細かいことにつきましては、今お尋ねのような点については実は作業をちょっとやっておりませんものですから、場合によっては後日また試算をいたしまして御説明を申し上げたいというように思っております。
  152. 谷本巍

    ○谷本巍君 そうしますと、あしたは出していただけるということなんですか。
  153. 森元光保

    説明員(森元光保君) 私の方としてもできるだけ早く作業をいたしますけれども、若い人たちも大分昨夜は徹夜をやっておりますものですから、先生の御要望に沿うようにできるだけ早く算定をいたしまして、また御説明をさせていただきたいということで御理解をいただきたいと思います。
  154. 谷本巍

    ○谷本巍君 ともかくもそういうお話では行政の怠慢のそしりは免れ得ませんよ。今後こういうことがないようにひとつ御留意いただきたい。いかがですか。
  155. 森元光保

    説明員(森元光保君) 非常に細かい作業をやらざるを得ないというような状況もございまして、実は十分な時間がありますれば、そういったことにつきましても作業をやりまして御説明できるわけでございますけれども、残念ながら時間がなかったということでもって、今後はできるだけそういったことにつきましては私ども対応できるように努力をしてまいりたいと思っております。
  156. 谷本巍

    ○谷本巍君 時間がかなり過ぎましたので、これで終わります。
  157. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 議題外でございますけれども、お許しをいただきまして雲仙問題に関して若干質問いたしたいと思います。  雲仙・普賢岳の火山活動は依然として衰えずに、連日火砕流が頻発し、いまだ多くの住民が不自由な避難生活を余儀なくされているのであります。また、火山噴火に伴う降灰によって農地、農畜産物、農業施設等に大きな被害が出ており、農業経営の継続が危惧されるほど厳しい状態であるわけであります。そこで、今回の雲仙・普賢岳の火山活動に伴う農業被害対策について若干お尋ねをいたします。  今回の火砕流災害で農地を流失した水無川流域の地域では今後土地基盤の整備や土地改良等が必要となるが、それらの事業を推進するためには活動火山対策特別措置法を早急に適用し、公共事業の優先採択や降灰除去事業、土壌矯正事業等に対する助成措置を講ずる必要があるのではないかと思うんです。  そこで、国土庁では降灰除去地域の指定を六月中にも決定する方針と聞いていたんでありますが、いまだ指定されておりません。早急に指定すべきと考えるがどうか。またあわせて、避難施設緊急整備地域の指定の見通しについても伺ってみたいと思います。
  158. 山田俊郎

    説明員(山田俊郎君) 御説明いたします。  先生御指摘の活動火山対策特別措置法に基づく降灰防除地域の指定につきましては、現在、関係行政機関への協議及び長崎県知事への意見照会を行っているところでございまして、この同意が得られ次第、至急指定したい、こういうことで進めております。  それからもう一つ、避難施設緊急整備地域の指定につきまして、これも長崎県に対しまして、整備すべき施設の有無、種別等につきまして至急調査、検討するよう指導しておるところでございますが、引き続き、私ども国土庁も県の調査、検討に協力しまして、関係省庁とも協議しながら適切に対処したい、このように考えております。
  159. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 やっぱりこの七月中には指定していただきたいと思う。
  160. 山田俊郎

    説明員(山田俊郎君) そのようなことで進めております。
  161. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 それから、当面の緊急対策として、被災農家の生活と経営再建等に要する長期低利の資金を融資することが重要ではないかなと思います。天災資金や農林漁業金融公庫の災害関係資金については十分な枠を確保しておるのかどうか。また貸付限度額、利率、償還期限等の融資条件についても被害の大きさや長期化を勘案して優遇すべきと考えますが、農水省の考えをただしたい。
  162. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 被災農業者に対します資金といたしましては、農林漁業金融公庫の自作農維持資金などの災害資金がございます。これらは一般資金に比べまして長期、低利という資金でございます。その目的とするところは、農業者の経営の維持、安定ということでございまして、この資金につきましては私ども融資枠は十分確保していると思っておりますので、地元の長崎県と十分連絡をとって、適切かつ迅速な融資が図られるように万全を期してまいりたいと思っております。先生からのお話もございますので、早速地元と相談を十分いたしたいと思っております。
  163. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 特に壊滅的な被害をこうむった被災農家に対しては、長期、無利息の緊急営農資金及び各種制度の資金の借り入れまでの無利子のつなぎ融資を創設して、農業経営に必要な資金を援助する必要があると私は思う。こういう対策を考えておりますかどうか、農水省にお答えしていただきたい。
  164. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) ただいま申し上げましたように、災害時の収入減の補てんとか経営再建とかいうようなために長期、低利の資金があるわけでございます。これは自作農維持資金あるいは林業につきましては林業経営安定資金、沿岸漁業経営安定資金というような水産の資金等があるわけでございます。  ただ、無利子の資金を融通するということにつきましては、農林漁業関係の制度資金のいろいろな体系ということだけではなくて、国全体の災害融資の金利体系の均衡上なかなか困難であると私どもは認識しております。
  165. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 それから被害農家は、今回の災害によって予定した収入がゼロになったんですね。このためにこれまでの借入金は返したくても返せないのが実情なんですよ。したがって、既往借入金の償還条件の緩和、また農業共済資金の早期支払い措置について適切な指導をしていただきたい。農水省のお考えをただしたい。
  166. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 既往の借入資金につきまして、こうした場合におきます償還条件の緩和につきましては、私どももその必要を十分認識しておりまして、既にこの趣旨の徹底が図られるように指導しているところでございます。六月の初めに既に指示をしておりますけれども、お話がございますので、もう一度その徹底を図りたいと思っております。個々のケースに応じまして、そうした条件の緩和に応じていきたいと思っております。  共済につきましては、これにつきましても六月十二日に既に私ども早期支払いの指導を行っております。これに従いまして、既に被災地域におきまして仮渡し等の形で共済金の支払いを進めております。  例えば麦などにつきましては、避難地域とか警戒地域内は実質上立ち入りもできないわけでございますが、こういうところは収穫皆無耕地というふうに考えまして、六月二十八日に既に仮渡しを行っておりますし、家畜につきましても、例えば航空写真などで確認いたしまして仮渡しを行う。これも既に一部始めております。それから園芸施設、園芸の盛んな地域もございますので、こういうところも同じようなことで進めております。また、水稲につきましては、これも移殖不能耕地というような形をとりまして、早期の仮渡しを行うよう、これは七月中旬にはできるのではないかと思っておりまして、既に一部支払いを開始しております。今後ともなるべく早期に行われるようにさらに努力をしたいと思っております。
  167. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 それから、被災地や農業用施設等の災害復旧事業に対しては農水施設暫定法という法律があるんです。これに基づいて助成措置が講じられることと思うけれども、個人が受けた被害対策としては、住宅貸し付け等の金融措置が中心で、被災農家の住宅や宅地の復旧に対しては特別な助成措置がない。しかしながら、今回の災害で農地や農畜産物を流失した被災農家には、自力で住宅や宅地を復旧再建する力がない。ぜひとも特別の助成措置を願いたいと思うが、どうですか。
  168. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 一般の住宅につきましては、農林水産省といたしましては、その仕事の性格からいって対応することが難しいわけでございますが、私どもの方の関係でこれに対応できますのは農協の共済でございます。これは私どもほとんど加入しているというふうに見ておりまして、この共済の支払いによりましてかなりの救済ができるのではないかと思っております。これは当然掛金も払っている話ではございますけれども、今までのところ、これ六月二十五日現在の実績でございますが、七十四世帯に四億六千万円の支払いを行っております。
  169. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 それから被災者に対しては、国税あるいは地方税について減免もしくは徴収猶予をすることができることになっておる。したがって、今回の雲仙・普賢岳火砕流災害の被災者に対しても特段の措置を講ずる必要があると思うが、国税庁の見解はどうか。
  170. 日高正信

    説明員(日高正信君) 災害により被害を受けました納税者の救済措置でございますが、租税の軽減、免除、納税の猶予等種々の措置が法律に定められておりますが、今回の噴火災害によりまして被害をこうむりました納税者につきましても、これらの救済措置が適用されることになるわけでございます。このため、国税庁におきまして、被災地を管轄いたします福岡国税局と連絡を密にいたしまして、これらの措置を適切に講じるよう努めているところであります。「災害にあったときの税金」などのパンフレットを作成いたしまして島原税務署や島原市役所等の窓口に備えつけておりますほか、地元新聞を通じまして救済措置の周知に努めているところでございます。  今後とも被災納税者に対しまして税制上の救済制度の適用について万全を期していきたいと考えております。
  171. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 それから、今回の島原市や深江町を中心に甚大な被害を受けていることは皆さん御承知のとおり。島原商工会議所と島原市の調査によると、警戒区域の実被害額や島原市の売り上げ減少による総被害額は、六月の一カ月だけで百四十一億円を超えるといっておるんです。こうした実情を踏まえて、ぜひとも激甚災害法の適用また天災融資法による天災指定措置を願いたいが、国土庁と農水省のお考えをお聞きしたいと思います。
  172. 仲津真治

    説明員仲津真治君) 公共土木施設それから農林水産施設あるいは中小企業等に被害が生じました場合には、地元の市町村、この場合市と町でございますが、及び長崎県の御当局におきまして被害実態調査中であると聞いております。この調査の結果が所管省庁に報告になりまして、所管省庁で御検討の上、国土庁の方といたしましては、所管省庁での被害の取りまとめ報告を受けまして、激甚災等の適用につきまして該当するものについて適切に対処してまいりたいと考えております。
  173. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 天災融資法関係でございますが、被害が今先生からお話がございましたようになお拡大しておりまして、私ども引き続き、被害状況の的確な把握に努めているわけでございます。天災法の適用につきましては、この制度が被害農家の営農再開に必要な資金等の円滑な融通を図るということを目的としておりますので、現地の状況、資金需要などの実情を見きわめる必要があろうかと思いますが、適切に対処してまいりたいと思っております。
  174. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 最後に、現法律で仕切れないところがあるんですね。県と連絡をしてみますと、拡大解釈で云々ということを言われますけれども、地元の県、市にしては十分な措置ができない、何とかして新しい法律をつくってくれないかという要請があるわけなんです。海部総理もこの前現地を視察して、本当にひどい、現行法でできるだけ拡大解釈をしてやりましょう、できないところは新しい法律でもつくってというような記者会見をしたんです。市民の皆さんにもそれを発表した。坂本官房長官は、それによって次の臨時国会においてもこれを考えなければいけない、立法しなければいけないということを記者会見で申されておる。私ども自由民主党としてもそういうところを詰めて今鋭意その努力をしておる。あした、新法の立法をどうするか、これを決めるようになっておるんだが、その法律ができれば地元の要請に十分こたえられると思う。したがって、新しい立法ができた場合の措置を速やかに地元に連絡していただいて、地元の方が安心できるように、特に農水省の政務次官にこのことをお尋ねして私の質問を終わります。
  175. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) ただいま国土庁、国税庁、そして私ども農林水産省、それぞれが先生の御質問に対して答弁いたしましたように、今まで考えられる措置としては、法律の特例であれ金融措置であれ、あるいは枠の拡大、延長、そういうようなものについてできる限りの対処は今までもしているとおりでございます。また、このことは各省庁が一体となってやらなければいけないことは当然であり、また同時に、長崎県や地元の市町村と協調してやらなければいけないことは当然でございます。しかし、今御指摘がありましたように、この災害は長期化するおそれもありますし、また非常に地域は聞きしにまさるものがあるということは私ども認識を深めているわけでございます。  そこで、今最後にお尋ねになりました新規立法措置でございますが、私どもも政府部内におきましてそういう対応というものには努力したいと思っておりますけれども、私ども農林水産省といたしましては、もし政府においてそういう措置がされるならばそれに向かって一生懸命にやらせていただきたいと思います。今既に政府部内におきましては各省庁の連絡組織ができておりますけれども、私ども農水省といたしましても、地元である九州農政局に雲仙岳噴火非常災害対策連絡会議というものを設置いたしまして、密接に地元と対応しながら努力をしているつもりでございます。また、今後とも相努めたいと思っております。
  176. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 ありがとうございました。今後ともよろしくお願いをいたします。  これをもって終わります。
  177. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 まず、政務次官に最初に質問させていただきます。  きょう初めからずっとウルグアイ・ラウンドの問題がいろいろ討議されておりましたけれども、まず私の立場からもそのことをお伺いしていきたいと思います。  先ほど来大臣の答弁の中にもいろいろございましたように、アメリカとECとの対立というものは大変根深いものがあるということは世界じゅうで見ているところの問題なんですが、今後この中に日本が入り込んでいきながらこのウルグアイ・ラウンドはどういう展開をしていくのかという見通しのことをお伺いしたいんです。  考えてみますと、ケネディ・ラウンドが四年、東京ラウンドは七年続いたわけです。ウルグアイ・ラウンドも昨年の十二月で既に四年を経過している。当初の見通しよりもオーバーしているわけですが、先般アメリカの議会では、ファスト・トラックの二年の延長を認めたということもあります。しかし、来年は大統領選挙がある、本年中には何とかケリをつけたい。したがって、九月ごろまでには詰めができ上がるなどといういろいろな報道もありまして、見通しいかんによっては戦略も変わってくるだろうと思います。  そこで、御見識の深いところ、政務次官からどんな見通しをお持ちなんでしょうかということをまず聞かせてください。
  178. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) 刈田先生は外交一般にも大変な見識をお持ちであると承っておりますが、したがいまして、このウルグアイ・ラウンド問題に限らず、またウルグアイ・ラウンド問題につきましても農業問題に限らずラウンド全体の問題あるいはこれに至る経緯はよく御承知のところだろうと思いますが、今後のウルグアイ・ラウンドのスケジュール、今御指摘になりましたようにいろんな問題をはらんでおりますし、また予測されることはあると思うわけでございます。しかし、御承知のとおり先般ダンケル議長の報告があったわけでございますけれども、今のところは七月二十九日の週に予定されております貿易交渉委員会に向けて精力的な話し合いが行われると思うわけでございます。  しかし、先ほどアメリカとECというお話がございましたが、御承知のとおりアメリカとECの問題が大変ネックになっているわけでございまして、しかもアメリカとECの問題につきましてはまだまだ相当の考え方の開きがあるんじゃなかろうかと思っております。これは私どもの近藤大臣が先般マディガン農務長官と話をした際に、また、マクシャリーECの農業担当委員などといろいろと直接お話をしてみたところからもこういうことがうかがわれるわけでございまして、相当の考え方の開き。それからECと一言に言いましてもこの農業問題に限らずECの中同士でいろいろ考え方が違うわけでございまして、例えばこの問題につきましてもイギリスとデンマークとオランダはある程度似ているけれども、フランスとかドイツとか、これはまた立場が違う。また、フランスとドイツそれぞれもいろいろと思惑と憶測があるわけでございます。  したがいまして私どもも、今見通しを聞かれたわけでございますが、この交渉は若干混沌とした状況にあるわけでございまして、かつ多国間の国際問題でございますからいろいろな問題がこれから起こると思いますけれども、我が国といたしましては、やはり基本は食糧の輸入国としての私どもの立場というものがこの交渉過程において十分に反映できるように努力をしていく必要があるのではなかろうかと考えております。
  179. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 なかなか見通しというのは難しいだろうというふうに思いますが、今お話に出ましたところのダンケル・オプションペーパー、これについて少し教えていただきたいんです。  先般もちょっとレクチャーを受けたわけでありますが、いろいろお教えをいただけばいただくほどなかなか難しいペーパーだなというふうに思います。国内支持、それから市場アクセスの問題、そして輸出競争の問題、三つをいろいろな例を自分で頭の中に仮説を置いてみながら考えてみました。しかし、難しいと思います。国内支持の問題のところでは黄色と青の話を後で出しますのでちょっとこれを記憶しておいていただきまして、市場アクセスの問題についてちょっとお伺いをしたいんですが、ここでは新聞等で報道されたように両論併記で出てきております。この関税化というものは生産制限や食糧安全保障のような非貿易的関心事項も含まれるというふうにここでは言っております。一方で、新しい規律規制をつくる箇所にあっては非貿易的関心事項あるいは食糧安全保障、こうしたものにも配慮をするべきであろうか否かという選択肢を持ちつつも配慮がされているという形になっておりますね。このアクセスの問題に対しては我が国、特に農林省は、交渉の上でこれからもちろんこの十一条二項の(c)(i)ですか、削減というような問題はこれはもう明確に切り込んでいかなければいけないと思うんです、とんでもないということで。だけれども、この灰色ゾーンみたいに併記で出てくる部分のところに関して私どもの国ではどのように切り込みをかけていくのか、お教えいただきたい。
  180. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) このオプションペーパーは、従来ドゼウ議長が出したペーパーあるいは十二月の閣僚会議に出ましたいわゆるノンペーパーと称されるものが結局ある種の方向性を持っていたことからあのような形で紛糾し、かつ会議が一時中断するというようなことになったわけでございますので、そういう意味ではあの経験に基づきましてかなり網羅的に各国の意見、しかも方向性を持たずに中立的に書いてございます。したがいまして、非常にわかりにくいところもございまして、書いてあること自体当然のことながら矛盾していることもあるわけでございます。  今御指摘のアクセスのところでも、例えば関税化につきましてすべての状況に適用されるというようなこと、これは今御指摘のように、私どもが安全保障の問題あるいは十一条の問題ということで当然排除すべきと考えているものも網羅するという考え方を一方で出しておりますし、一方では例外的なものはここから除くべきであるということも併記しているわけでございます。  ただ、ここの考え方で私どもは注意しなければいけないと思っておりますのは、例外という考え方を受け入れていいかどうか。そうではなくて、農業と工業は違うので、農産物には当然のことながら関税化というようなものはできないものがあるんだ、これは各国共通の問題としてというふうな立場をとるべきではないかということを一つこのペーパーから私どもは注意している点でございます。その他幾つかございますが、一番私どもが関心を持って今このペーパーで見ているのはそういう点でございます。
  181. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 お伺いしたいことがいっぱいあるんですけれども、実は今、川合局長が言われたところは、私も交渉の場に臨ましていただくとしたらまずは言おうかなというふうに思っていた大事なところだというふうに思いますので、ぜひそこのところはひとつ押さえておいていただきたい、こういうふうに思います。  いずれにしても、交渉が進展するために妥協があるのか、あるいはあくまでも平行線のままの解決策というのがあるのか、あるいはまたそういう場面の中で今回の新ルールづくりに関して我が国が国際社会に貢献するために何かやらなければならないことがあるのかどうなのかというようなことも、これはお答えは結構ですから、一生懸命私たちも考えておるところでございます。特に日本のような国がいわゆる進展のための、あるいは成功のための貢献策というのは何なんだろうかということを私は真剣にやっぱり模索しなければならないであろうというふうに思いまして、今みんなで勉強中でございますので申し添えさせていただきます。  本当に時間がなくて恐縮なんですが、米価の問題も伺っておかなければならないと思いますので、そちらの方に問題を切りかえます。  同じことを聞いて大変申しわけないんですけれども、昨年も同じ質問を次長にしているわけであります。それは自主流通米の比率が年々高くなっていく中で、政府米価とは何なのかという問題を少しずつ昨年からお聞きしているところでありますが、ことしは特にこの比率が進んできていることと、それから昨年でき上がった価格形成機構という一つの組織が果たす役割のようなものを考えてまいりますと、生産者米価というのは何なのかという疑問をつい持ってしまうわけであります。これは言ってはいけない問題かもしれませんけれども、管理部長が答えられたんだけれども、政府米価がどんどん下がっても自主流通米の所得によってそれが総合所得ではフォローできるという答弁をさっきなさっていたんですが、昨年も同じことを私は申し上げましたけれども、そういう答弁はしてはいけないのではないかなと。次長が改めてそこのところを説明を加えられた経過が昨年ございまして、そんな答弁をするとますます生産者米価って何ということになってしまうわけであります。  そこで、昨年よりもさらに自主流通米比率が進んできておるこの時期、そして機構のようなものがもしかしたら米価というものに対してますます大きな働きを持つかもしれないこの時期に当たっての生産者米価に対する考え方をお伺いしたい。もっと言えば、この機構なんかが決めていく価格とか、それから政府米の価格とかいうのはどういうふうに連動していくんですかという問題。もっと言えば、一物何価という話があるけれども、一体米には幾種類の値段があるのと、ここまで聞きたい。
  182. 森元光保

    説明員(森元光保君) たしか私も、昨年先生からそういう御質問を受けまして、自主流通米の価格でかなりの部分はカバーできるというお話をいたしましたら、先生からそういうお話は大変けしからぬ話だということを言われた記憶は今でも覚えております。  実は、政府米につきましては、これはもう申し上げるまでもなく生産者米価は、あくまでも食糧管理法の規定に基づきまして、米穀の再生産が確保されるように定めていくということでございます。特に国民の主食である米でございますので、その安定的な供給を図っていく上に必要とされる量につきまして継続的な生産が確保されるように、国が生産者に対しまして一定価格を保証していくという考え方政府米については決めていただいておるというふうに思っておるわけでございます。  また、自主流通米につきましては、これは先生御案内のように、民間流通のよさを生かしていこうということで、昭和四十四年にできた制度でございます。価格形成のあり方につきましていろいろ問題があったわけでございまして、昨年も本委員会でいろいろ御議論をいただきまして、昨年の十月末に初めて価格形成の場で第一回の入札をさせていただきました。我々といたしましては、産地品種銘柄ごとの需給動向なり、あるいは品質評価というものがそれなりに反映された価格が今回の価格形成の場で出たのではないかというふうに思っておるわけでございます。  ただいま先生のお話もありましたように、自主流通米と政府米とはまさにこれは政府としては一体として管理をしているわけでございまして、基本計画の中に沿って管理をしているということでございまして、ただ生産者の方からすればいろいろ価格の変動が自主流通米等でございますから、その際にみずから判断をいたしまして、そして政府に売り渡す道というのは開かれておるということで担保されているというような関係にあろうかというふうに思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、米の価格の安定化を図ると同時に、やっぱり生産者生産したものを販売できるという安心感を、政府米についてはそういう機能を持たしておる、こういうふうに理解をしております。
  183. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 この議論をもっといっぱいしたいんですよ。だけれども、本当に時間がなくて残念です。入札価格というものと政府米の価格の問題は、さっき谷本委員がちょっとおっしゃられたんだけれども、私も非常に関心を持っています。これは今後うんと議論をしてみたいなというふうに思っているものの一つですので、あえて今は我慢しておきます。  もう一つは、自主流通対策費の問題でございますけれども、これは今の問題と非常にかかわって くるテーマなので、現状維持をするようになったのか、それともどういうふうにするのか、この問題はまだ聞いていませんので、これをちょっと伺うのと、さっき例のダンケルさんのオプションペーパーの中で、国内政策の中で青と黄色の話をしたでしょう。青と黄色もいっぱいやりたいんですけれども、この中の今回特に話題、課題になっているこの自主流通対策費のようなもの、つまり自主流通奨励金、この種のものが青なのか黄色なのかというのを聞きたいのです。
  184. 森元光保

    説明員(森元光保君) 昨年、流通対策費につきましては、自主流通米の機能が適切に発揮されますように良質米奨励金というものを一部改正させていただいたわけでございます。適正かつ計画的な集荷なり流通が確保できるようにということと、それから良品質の生産、出荷誘導をできるだけやっていきたいというような趣旨で組みかえをさせていただきました。  自主流通対策費の取り扱いにつきましては、そういった自主流通米の流通実態、これを十分踏まえまして、その円滑かつ適切な流通が確保されますように現状維持ということで対応してまいりたいと思っております。
  185. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 黄色と緑の政策につきまして、具体的に我が国のいろんな政策をこれに当てはめて入るか入らないかという作業は、率直なところまだやっておりません。これにつきましては、今の立場で申しますと、各国がそれぞれの政策を青に持っていこうということで努力しているというふうに言った方がいいかと思うぐらいに錯綜しております。ただ、各国が言っているうちの一番広い黄色の概念の中には当然入るのではないかというふうに思います。
  186. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 削減の対象となる政策が黄色で、削減の対象とならないのが緑ですね。私が聞いたところでは、お金がじかに動いて、そしてそれが政策支持になるようなそういうものはいいんですか。それで、間接的に助成をするようなものはだめなのか、そこのところをちょっと教えてください。
  187. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 今のような先生の御設問ですと、ちょっとどちらかというふうにまだ議論は集約しておらないと思います。  今議論になっておりますのは、青、すなわち削減しない政策の方から決めていくか、それから日本は黄色、削減すべきものだけ決めろという立場をとっています。これは貿易に歪曲を与えるようなそういう補助金、例えば直截的に言いますと、価格支持とかあるいは不足払いというようなものはこれはやむを得ないかもわからない。ただし日本の場合は、それにつきましてもある種の生産調整をやっているものとか輸入率とかいうものでディスカウントすべきだということはもちろん言っておりますけれども、そういうものを限定的に決めるべきだというのが日本の立場でございます。ただ、どちらかというと青の方を決めていくべきであるという流れが今各国の主張を見ていますと強いわけでございますが、先ほど申しましたように、青い方に自分の国のやっている政策を入れようという傾向がありますので、そこで非常に錯綜しているということだと思います。  先生の今おっしゃったことから言いますと、産品、例えば麦なら麦についての直接的な補助金みたいなものについてはやはり削減すべきではないかというようなことを言うところもございます。それに引きかえまして、横断的に、農地一般みたいなことでしょうか、のような例えば補助金については青ではないかというような議論をするところもございまして、まだはっきりしておりませんで、今一番議論になっているのは、どちらを決めるか、青を決めるか黄色を決めるかというそういう状況のところだというふうに御理解いただきたいと思います。  ですから、削減する方から決めるべきだというのと、削減しないものを決めろというこの対立がありまして、どちらかというと、やはり青の方を決めるべきだ、日本の主張とちょっと違う方が人数といいますか、数的には多いような感じがいたします。
  188. 林紀子

    ○林紀子君 私は、政府米不足と均衡集荷ということについてお伺いしたいと思います。  食糧庁は、二年産政府米集荷見込み百六十五万トンから百七十万トンに対して、三年産米については基本計画で二百十万トンの集荷を予定しているということですね。政府米は大幅な順ざやという価格体系の中でなかなか集まらないと言われておりますけれども、政府の責任においてどのように均衡集荷をしていくのか、まずこれをお伺いしたいと思います。
  189. 森元光保

    説明員(森元光保君) 食糧管理制度を適正かつ円滑に運営してまいりますためには、どうしてもやはり政府米と自主流通米のバランスのとれた集荷ということについて努力をしていかなければいけないということで、特に平成年産米の集荷に当たりましては、生産者団体また都道府県等と密接な協議、調整を行いまして、具体的には都道府県なり、あるいは集荷業者との意見交換の場を設けまして、できるだけ適正集荷に協力をしていただく、あるいは政府米と自主流通米の均衡ある集荷の必要性について認識をしていただきまして、生産者にも協力をしていただくというようなことをやってまいりました。またさらに、集荷の優良事例等をできるだけ啓蒙普及活動に使いまして、そしてバランスのとれた集荷の取り組みをこれまで実施してまいったわけでございます。
  190. 林紀子

    ○林紀子君 系統農協では、ことしの三月、適正集荷特別措置ということで、自主流通米として流通させる予定の米を一部政府米に振りかえたということですけれども、これでは「政府米と自主流通米の均衡のとれた集荷に努めていく」、これは農業白書の中の「政府米の役割」というところに述べられているわけですけれども、こういう政府の責任というのはどうなるのかと思うわけです。系統農協の自主的な取り組みばかりに頼っているのでは政府としては無責任だというふうに言われても仕方のないことではないかと思うわけです。  今後、系統農協では、自主流通米と政府米の均衛集荷を図るために産地品種銘柄別共同計算、こういうことも実施して農家の手取りを平準化して、手取りの減少を幾らかでも少なくしていこうということをしているわけですが、こうした手取り減少を補てんするような意味で政府の助成策、こういうものは検討していないのかどうか。検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  191. 森元光保

    説明員(森元光保君) 先生の今お話のありました適正集荷特別措置につきましては、全国の集荷団体、指定法人でございますけれども、自主流通米の需給動向を総合的に勘案いたしまして、そして自主流通米として流通する予定でございました米穀一定数量を政府米に売り渡しをしてきたということでございまして、数量的には約六万トン程度でございました。  今お話のございました均衡ある集荷について何か助成策を講ずるべきではないかというようなお話でございますけれども、基本的には、私ども集荷の仕組みといたしまして、集荷業者を農林大臣が指定をしているわけでございます。したがいまして、集荷業者がきちんと集荷をしていただくということが一番基本であるわけでございます。ただ、均衡集荷のために新たな助成対策を講ずるということにつきましては、現在の大変厳しい財政事情の中でこれは慎重に検討していく問題ではないだろうか、かように考えております。
  192. 林紀子

    ○林紀子君 三年度の第一次集荷業者の指定を受けたある法人企業は、ある生産組合にこういう内容の手紙を送ってきたということですが、「農協は政府米が足りないから自主流通米になるべき米を政府米として集荷しようとしている。今年の秋は、自主流通米になるのか、政府米になるのかよく農協と確認しながら出荷しないと大損をするおそれがある」、こういう手紙をある生産組合に送ってきた法人企業があるということなんです。さらに自主流通対策費が削減されて現行程度のメリットがなくなりましたら、農家手取りが減少するなど一方的に生産者負担を強いることになりますし、正規流通ルートへの集荷に大きな支障が出てくると思います。今同僚委員に対するお答えで次長の方から自主流通対策費は削減はしないでこのまま続けていくというお話もありましたが、これをもう一度確認させていただきたいと思います。
  193. 森元光保

    説明員(森元光保君) 自主流通対策費につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、平成年産米につきましては現行維持をしていきたいというふうに考えております。
  194. 林紀子

    ○林紀子君 また不正規流通米というのが今二百万トン近くあるというふうに聞いておりますけれども、この二百万トンという量は政府米を上回る量になるわけですね。さらに自由米市場では低ランクの政府米相場が上昇している。六十キロ当たり青森産の政府米四類が一万七千四百五十円、北海道産五類が一万七千二百五十円というような例もあるわけですけれども、こうしたとき食糧庁が政府米の適正在庫を確保するということで卸売業者への売却を一律一五%抑制するという方針だと伝えられております。これに対して東京都の卸二団体は、東京食糧事務所と東京都に対しまして「政府米の年間供給量については、卸売業者の希望数量に当たる前年実績数量を確保すること」ということを内容とした要望書も出していると伝えられておりますが、こういう要望にどうお答えになるのか。また政府米が適正に確保されなければさらに不正規流通というものが拡大するのではないかとも思うわけですが、どうお考えでしょうか。
  195. 森元光保

    説明員(森元光保君) 先ほど先生、自主流通米の価格形成の場で値段が上昇したというようなお話がありましたけれども、これは北海道の場合は例えば「ゆきひかり」でありますとか、あるいは「きらら」といった新品種の米が価格形成の場で上昇したというようなことでございまして、必ずしも三類のすべての米が上昇しているというふうには私ども理解をしておりません。  それからただいまお話がありました卸団体からの要望でございますけれども、東京食糧事務所の方にそういう要望があったということは承っております。これは私ども三月に実は基本計画を定めまして、そして政府米なりあるいは自主流通米につきましての供給量を定めるわけでございます。その際、政府米につきましては、来米穀年度への適正な持ち越し在庫水準を確保するというようなことも勘案をいたしまして、百六十万トンないし百七十万トンということで予定をさせていただきました。その後、今申し上げましたような販売業者からの要望等もございましたので若干数量をふやしまして、基本計画で予定しておりました百六十ないし百七十万トンを若干上回ります百七十五万トン程度、これを供給していきたいというふうに思っております。  不正規流通等のお話もあったわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはり集荷段階からきちっと全量集荷をしていくということが食糧管理制度の基本を守っていく上でも大変重要なことでございますので、集荷団体等に対しましてもそういう趣旨でぜひ御協力をいただくということで今お願いをしておる、こんな状況でございます。
  196. 林紀子

    ○林紀子君 今私が申し上げましたのは自主流通米の価格形成の場ではなくていわゆるやみ米市場、そこで政府米が高く取引されている、そういう新聞の報道、日経の三月三日付で報道されていたわけですけれども、やはり政府米が足りない、こういうことで政府米が値上げをして売られているというようなとんでもない事態が起こっているのではないかということを御質問したわけですが、こういうことは政府米が足らないというところから出ている問題だと思うわけですので、もう一度その辺についてお伺いしたいと思います。
  197. 森元光保

    説明員(森元光保君) 自由米相場というのは、私どもの方も実態を把握するのは非常に難しゅうございまして、先生の今お話のありました日本経済新聞社ですか、発表になったものを見ますと、確かに政府米、青森の四類というものが若干上がっているようでございます。ただ、こういったいわゆる自由米相場というのは比較的スポット的な価格でございますので、どうしてもその米を若干必要とするというようなことになりますとそういった価格が出ようかと思いますけれども、必ずしも自由米相場を見て一般的に政府米の取引価格上昇しているというふうに即断することはいかがか、こんなふうにも思っておるわけでございます。
  198. 林紀子

    ○林紀子君 私は、政府米の均衡集荷というのを図るためにも生産者米価の引き上げがどうしても必要だと思うわけです。しかし、今回政府が示しました米価では到底自主流通米と政府米の均衡のとれた集荷というのは望めないのではないか。先ほどのお話では再生産が確保できる農家というのは一五%ぐらいというお話でしたけれども、四ヘクタール以上の農家ということになりましたら実質は二%ぐらいの農家しかこの再生産を確保できないという状況になるのではないかと思います。  今や政府米のこの価格というのは最低価格保証、底値保証、こういうことしか意味がないのではないかというような状況になっているのではないかと思います。これでは政府米の役割は本当に果たせないと思いますので、生産者米価の引き上げ、本当に再生産が確保できるような米価ということを改めてお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  199. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私は、先ほど大臣が見える際に刈田委員から質問が出ました行革審の中間意見、これと今農林省がどのようにビジョンをつくろうとしているのかについてお尋ねをしたいと思います。  大臣は先ほどの答弁で、今回出された第三次の行革審の中間意見書、これは行政改革への一定の提言をなしているということで評価できて、かつ鈴木会長に確認をしたところによれば米の部分開放を前提にして提言がなされているものではないということも確かめることができた、こういう御答弁がありました。そこで、今回のこの行革審の緊急提言の中で、とりわけ農業政策に関して言っていることに関連をしまして、今どのような政策をつくろうとしてみえるか、その点をお尋ねしたいと思います。  まず一つは、「厳しい内外環境の下で、産業として自立し得る魅力のある農業の確立、活力のある農村の実現を目指して、この際、新しいビジョンを策定すべきである。」という非常に抽象的な言葉で言っている問題ですが、「自立し得る魅力のある農業の確立」と「活力のある農村の実現」というのは、いかにも場合によっては矛盾するように受けとめれる言葉でもありますが、こういう観点から見て、今農水省は新しいビジョンづくりをこれには拘束されずに考えてみえるというところがあれば伺いたいと思います。
  200. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) この第三次行革審の緊急提言は六月十二日に出されたわけでございますけれども、これは農業だけでなくて、あらゆる分野について当面提言すべきことをされたわけでございます。この六月十二日に提言される以前に、私ども、先ほどもも質問に大臣お答えしたと思いますけれども、農業基本法制定以来三十年の年月を経てそれなりの役割を果たしてきたわけでございますけれども、最近の情勢変化からいろんな分野において見直しを行う必要があるのではないかというようなことで、新しい食料・農業・農村政策検討本部というものを設けて政策の見直しをやるということを決めておりましたし、またそのこと自身行革審にも一般的に当省の農業問題について説明する際に説明したわけでございまして、行革審の方ではそういう私どもで新しく見直しをやるというようなことを頭に置きながら、行革審の立場からああいう提言をしたところでございます。  私ども自身、御説明していますような方向に沿って対応して検討していきたいというように、私どもの問題視点の中で対応していきたい、そういうことを行革審も期待しているんではないかというふうにも考えております。
  201. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 この行革審の緊急提言書を見ますと、今市場メカニズムが一層働くシステムに改める必要があるなんというそういうくだりが実はありまして、それを反対解釈すると現在では市場メカニズムの原理が働かない、そういうところが多い、いかにもそういうふうに受け取れるような文言があるわけであります。  実際には農林水産省として現在市場メカニズムの阻害があるとお考えではないと思うんですが、より一層そのメカニズムがより働くシステムという点について何かお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
  202. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) このくだりにつきましても、随時の行政改革についての提言に則しまして、農業政策その他私どもの政策につきましていろいろな改善を加えながらやってきたわけでございます。そのこと自身につきまして行革審はそれなりの評価をしてこういう提言をしたわけでございますけれども、これは今私どもがやっておりますのはこの逆じゃなくて、今こういう方向、やっぱり農業も産業でございますから産業として自立し得る農業の構築、あるいは市場メカニズムを生かしていくというようなことの視点を入れておりますけれども、これは従来やってきた路線の上に、先ほど言いましたように、私どもが今後進めていこうとする検討の視点というのを視野に入れてしたものでございまして、私どもがやっていこうとしていることと路線的に違うということではないというふうに理解いたしておるところでございます。
  203. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 さらに、その提言書の中には、とかく巷間いろいろ批判をされておりますが、農協のあり方についても最近のこの環境変化の中では見直しをすべきだというくだりがあるわけです。今農水省としては、そういう農協を初め漁協、あるいは森林組合等もあるわけですが、これらの団体について合併の促進その他いろいろこれまで将来のビジョンの中で指導をしてみえたと思うんですが、この農協のあり方についての見直しという点についてはいかがでしょうか。
  204. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 農協問題につきましても、系統自体が中で検討の組織を設けまして検討を行い、既に答申を出しておるわけでございます。私ども自身も、それぞれの分野で新しく検討していった際、それがいずれの分野におきましても生産者組織である農協と無縁ではございませんし、そういう中で当然農協の問題についても検討していく必要があろうかと思います。また、私どもの組織自身についても検討を行う必要があろうかというふうな点で、農協問題につきましても、農協自身の提言を視野に入れつつそれぞれの分野での検討の際に検討をするというふうなことで考えておるわけでございまして、農協問題につきましてもそういう視点で検討していけばいいのではないか。行革審の提言が何かとんでもないことの点からやっているというようなことじゃなくて、やっぱり私どもが従来やってきたことをそれなりの評価をしておりますし、今後対応していこうとしていること自身を見据えてこういう提言があったのではないかというふうに理解しているところでございます。
  205. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 農協のあり方、マイナスのことが新聞ではよく取り扱われておりますが、先ほどの初村委員の御質問にもありましたように、雲仙災害の農協共済の手当てというのは非常に評価できるものであるというようなことがありまして、その功罪は半ばすると思うんです。そういう意味では、農協自身の改革を支援する形で農水省もやっていくというお考えであることを聞きまして、最後にもう一つだけ質問をいたしたいと思います。  この行革審の提言の中には、国土保全の観点から山間僻地の農業、農村に対する配慮も重要だ、こういうふうに言っているわけであります。そして、先ほどの大臣の御答弁の中にも、中山間地域における対策、これは非常に重要で、今後そのビジョンをつくる際にも大きな意義を持っているんだという趣旨の発言もありましたが、この点について今どのようにお考えでしょうか。
  206. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) その前に、農協組織というのは、農業生産が天候に左右されましたり、商品としてほかの工業製品と違って不完全な商品であるということで、やっぱりその不利を是正するとか地域における農協の役割から考えて、功罪半ばでなくて私は功の方が多いと。それはいろいろ批判は受けていますけれども、そういうのを是正して農民のための組織に持っていく。それは我々もそうでありますし農協自身もそういうふうに考えておりまして、そういう点を一緒になってやっていく必要があろうかと。功罪半ばじゃないと私どもは思っています。  それから、今御指摘のありました国土保全の観点からの中山間過疎地域対策でございますけれども、これは今、中山間、特に山村地域の人口の減少、そういう地域での産業の担い手だけじゃなくて、そういう地域の維持とか、そういう点でもいろいろ問題があるというふうなことを行革審の委員の先生方も認識をされておりまして、そういう点からの検討というのが必要であるんではないかというようなことで提言されておるわけでございます。これは私ども、当委員会でもたびたび議論いただいておるわけでございますけれども、そういう認識を一にしているというふうに考えております。その手法自身はこれからの勉強課題だと思いますけれども、そういう点で私どもも中山間地域、従来からいろんな対策を積み重ねてきたわけでございますけれども、さらにまたそれにどういう政策を積み重ねていくのか私どもとしても検討していきたい、そういうことも行革審としても期待しているのではなかろうかと。今いろいろ御指摘いただいたわけでございますけれども、それぞれの分野につきまして、私どもが従来積み重ねてきているのが筋といいますか、方向として誤りでなくて、それなりの評価を受けているのではないか。そういう積み上げの上に今後農業政策とか地域政策を積み上げていきたいというふうに考えておるところでございます。
  207. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 ありがとうございました。功罪半ばはちょっと口が滑りましたので訂正をいたします。
  208. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 政府米の不足問題について先ほども触れられましたけれども、ちょっと別の角度から申し上げたいのですが、政府全国の個別農協に対して九一年産の米の集荷に当たって政府米を前年より二割程度ふやすようにとの行政指導に乗り出したと、これは二年続きの政府米集荷の大幅な減少によって食糧庁の確保目標を下回り、百万トンと言われる政府米適正在庫が確保できなくなったからだと言われております。  最近の政府米の集荷量を見ると八七年産の集荷量は三百十六万トンもありました。それが八八年産は二百八万トン、八九年は百六十四万トンと、これは急減しております。昨年の政府米集荷量を見ると、当初の集荷目標の二百十万トンに対して百七十七万トンしか集まらずという実績が出ております。今年度の米穀の管理に関する基本計画でも、政府米の集荷計画は二百十万トンとなっていますが、昨年の状況からことしもその集荷は困難と言わざるを得ないのではなかろうか。私としては、最近の需要動向から見て二百十万トンも要らないように思いますけれども、二百十万トンを設定したというのは一体どのような理由によるのか。また、昨年百七十七万トンしか集まらないのに、今年二百十万トンも集荷できるとした根拠は何なのか、お尋ねしたいと思います。
  209. 森元光保

    説明員(森元光保君) 政府米につきましては、できるだけ年々の作柄変動に備えまして持ち越し在庫を持ちたいという考え方がございます。この持ち越し在庫につきましては、もちろん作柄の変動に備えて政府といたしましては百万トン程度の在庫を持ちたいと思っておるわけでございますけれども、売却面におきましても、新米と合わせて円滑にこれを売却していく場合におきましては、過去の販売実績で見ましても、新米と古米の比率を大体五〇%ないし五五%程度で政府米を売っていきませんとなかなか売却が困難な状況にございます。  したがいまして、政府米として百万トンの在庫を持つということになりますと、常に二百万トンの新米を集荷いたしまして、そしてそのうち百万トンについては持ち越し在庫として持つという考え方をとっておるわけでございます。これは農政審議会等でも御報告があったわけでございますけれども、政府米と自主流通米の比率というのはおおむね政府米が四割程度、それから自主流通米が六割程度というのが円滑な需給操作をしていく上でいいのではないかというような御提言もございましたので、私どもの方といたしましては、集荷につきまして政府米は二百万トンというような数字を掲げさせていただいておるわけでございます。  確かに先生おっしゃいましたように、現在のように政府米が非常に減少してきている状況の中でそれだけの集荷ができるのかというお話があるわけでございますけれども、先般も集荷業者の一斉更新が行われております。先ほど先生からお話がありました二割というような話は私ども具体的にやってはおりませんけれども、やはり集荷業者の一斉更新の際に政府米の役割につきましてお話をし、そして自主流通米と政府米がバランスのとれるような形でもって集荷に努力をしていただきたい、こういう指導はやっておるわけでございます。
  210. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 次に、将来展望の持てる農政の確立ということでこの五月に政府が出した「我が国経済社会が遂げた大きな変貌に対応して、食料・農業・農村をめぐる制度」あるいは「施策のあり方についての中長期的展望に立った総合的な見直しを行う。」として、新しい食料・農業・農村対策本部が設置されました。問題になっております農業の担い手の育成だとかあるいは生産調整の見直しなど六つのプロジェクトチームをつくって農政の根本的な見直しをされようとするわけでありますけれども、なぜこの時期にこの検討に着手したのか、また今後のそのタイムスケジュールについてひとつお伺いしたいと思います。
  211. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 農業基本法が三十六年に制定されて、ちょうど私ども役所へ入ったときそういう作業を目の当たりに見てすごいことをやる役所だなと思って育ってきたわけでございます。その後三十年余りの間、経済社会の変転の中で農業基本法に則していろんな政策を打ち出してきたわけでございます。そういう政策の積み上げが今までの農業生産の、今日的な時点ではいろいろ問題があるかもわかりませんけれども、発展の方向づけをしてきたのではないかと思います。  ただ、世の中の情勢の変化が想像以上に激しいというようなことで、構造調整といいますか、一番生産性の上がりにくい農業分野にいろんな点のしわ寄せが出てきているというようなことから、ちょうど三十年たった、三十年たったからというわけではございませんけれども、担い手の減少でありますとか土地利用型農業の規模拡大が地価の上昇その他いろんな点で難しくなってきておる。この際そういう点に思い切って検討を加えて新しい政策を出していかないといけないんではないかというような認識のもとに、私ども省内に対策本部を設けましていろんな分野を中心に検討していく。その私どもの中での一応の見直しを来年の春ごろを目標に置きましてとりあえず粗ごなしをし、それをまた具体化していく場合には、それぞれの専門家の方々の意見をいろいろ、あるいは農政審議会その他に御相談しながら実現していきたいということで、当面来年四月あたりを目途に分野での粗ごなしの整理をしていきたいと考えて今スタートしたところでございます。
  212. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 スタートはわかったんですが、スケジュールはどういうことになりますか。
  213. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 私どもがそういう新しく検討するに際しまして、私どもの責任でやっていくわけでございますけれども、その際ひとりよがりにならないように各方面からの有識者の御意見、御指導も得たいということで、十数名の委員の方々に委嘱いたしまして、既に一回目の初会合をやったわけでございますけれども、当面はまあ毎月一、二回というようなペースで進めていきまして、先ほど申し上げましたように、来年の四月ごろを目途に一つの形をつくっていきたいというふうに考えて進めていくということにいたしておるわけでございます。
  214. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 確かに基本法を制定されてから三十年たっておりまするし、基本法では農業の所得水準といいますか、あるいはそういったものの目標を掲げておりますけれども、実際問題はなかなか現状とはほど遠いというようなものもありまするし、あるいは農産物の輸出振興、これは十四条ですけれども、高い目標を掲げておりますけれども、実際問題としてもこれも現実と理想との乖離がある。確かに見直さなきゃならぬわけでありますが、そういった基本法、農地法、あるいは食管法を含めて、これは既に大臣の御答弁にも出ておるわけでありますけれども、既存の法律と政令の整合性を見直すところまで入らなければならないというお話も過去にあるわけでありますが、こういったいわゆる既存の農業基本法、農地法あるいは食管法などを含めて法を見直していくということなのかどうなのか、その点についてひとつ、念のために。
  215. 鶴岡俊彦

    説明員(鶴岡俊彦君) 先ほど申しましたように、担い手の問題、地域の問題それから規模拡大の問題等々につきまして具体的な現実を直視し、政策を見直していくわけでございます。その際当然そういう法律制度についての検討が必要になろうかと思いますけれども、当初から法律改正ありきというのではなくて、具体的な現実を直視して問題点を整理し、その結果制度を改正するというような必要が出てくる場合にはするということでございまして、最初からこの法律を改正するとかしないとかということを頭に置いてやるのではなくて、実態問題から詰めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  216. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣が不在ですので農水省、適当な方答えてください。  大臣は公的発言としてこんなことをおっしゃっておられますね。「努力不足で、日本が閉鎖的だとかエゴだとかいう印象を内外に与えている。どれだけの農産物が日本に輸入されているか、食糧自給率がどれだけ低いか、アメリカなんかでは、ほとんどの人が知らない。PR不足を解消しないと、日本に有利な交渉環境ができにくい」と述べておられますね。  そこでお尋ねいたしますが、大臣就任以来もう半カ年超しておられるわけですが、この反省の上に立って、日本の食糧需給の実情についてどのようなPR不足の解消対策をおとりになってこられたのか、そのことについてまずお尋ねしておきます。
  217. 川合淳二

    説明員(川合淳二君) 御指摘のように、我が国が世界最大の純輸入国になっている、あるいは開放体制がかなり進んでいるということにつきまして必ずしも十分の理解がない、これは国の内外を問わずでございますが、ということは事実私どもが最近痛感していることでございます。大臣御就任以来、私ども大臣の御指導のもとにこれに力を入れてきているところでございます。  一つは、まず日本に最近は非常にいろんな形で外国の要人あるいは国際機関の関係者が参ります。こうした人たちにこちらの実情を十分知ってもらうという意味で、あらゆる機会をとらえましてパンフレットなども含めましてそういう機会を持つということが一つあります。  それから、これも先ほど大臣ちょっと触れておりましたけれども、海外広報のアクションプログラムというものをつくりまして、これに基づいて逐次実施をしているところでございます。例えば在外公館の支援を得ながら外国等で開かれる各種の農業関係の大会あるいはシンポジウムというようなものに積極的に関係者を派遣する、あるいは外国の議会筋あるいは関係団体というようなところにも情報等を提供するというようなこと。それから、日本におります外国人の特派員協会などに対しますプレスリリースの機会をふやす。あるいは、これは従来からやっているわけでございますが、在日の大使館のアタッシェに日本の農村へ行っていただきまして、我が国の農業の実情をよく見てもらう、これをもう少し充実していくというようなことをやりたいと思っておりますし、一部着手しているわけでございます。そのほか、国内の団体が海外にいろんな形で支所とかそういう事務所とかを持っておりますので、そういうところを通じてこうした活動をするというようなことを現在進めようと、また進めているところでございます。
  218. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私の聞くところによりますと、アメリカの政府というよりもむしろアメリカの国民あるいはわけても農民が日本に対する一種のそういう点で理解をしておる、同情をしておるという声を私聞きます。ここに問題があるのではないかと私は思います。  次にお尋ねしたいのは、沖縄は我が国における亜熱帯農業の唯一の県である、亜熱帯気候風土の。そういう点から、去る六月に九州地方の知事会、沖縄も九州地方に含まれておるわけですから、その知事会としても非常に沖縄問題を重視して取り上げておる二つの項目がありますが、そのことについてお尋ねしたいのは、沖縄新農業構造改善緊急対策事業の概要、進捗状況及び事業の見通しについて伺いたいということと、同事業の次期対策の制度化についてはどのように考えておられるかという関連する問題でありますが、この九州知事会議でもこのように二つの項目で取り上げております。沖縄新農業構造改善緊急対策事業の計画的推進が図られるよう必要な予算措置を確保すること。二に、沖縄新農業構造改善緊急対策事業の次期対策を早急に制度化すること。この二つの問題が九州知事会議でも取り上げられております。これに対する政府の施策をお聞きしたいと思います。
  219. 片桐久雄

    説明員(片桐久雄君) 先生御指摘の沖縄新農業構造改善緊急対策事業、これは昭和五十八年度から実施いたしておりまして、生産性の高い亜熱帯農業を確立するために作付・栽培規程を基礎として農業の構造改善を推進する事業でございます。平成三年度におきましてはこの全体事業の進捗率七〇%というふうになっている次第でございます。  それからまた、昭和六十三年度から沖縄の農業構造改善緊急確立モデル事業というものを発足させておりまして、これはサトウキビ等の土地利用型農業の構造改善を推進するとともに、高収益作物生産型農業を振興するということで複合経営を確立する事業でございます。これは平成三年度におきまして全体事業の進捗率二三%というふうになっております。これらの事業を推進するために平成三年度予算では事業費で十五億円、それから推進費で二千百万円の国費を計上している次第でございます。厳しい財政事情のもとでありますけれども、事業の緊要度を勘案しながら、今後ともこれらの事業の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。  それからまた、先生御指摘のこれらの構造改善事業の次期対策でございますけれども、私ども新しい構造改善事業を平成四年度から発足させたいということで、現在いろいろ検討しているところでございます。  その場合の基本的な考え方といたしましては、サトウキビ作の収穫作業の機械化ということで、サトウキビ作の省力化を図るという点。それからもう一つは、熱帯果樹とか花卉とか、そういう高収益作物の振興に重点を置いて検討していきたいという考え方でございます。  沖縄地域農家とか、関係諸団体の意向、それからまた県内外の有識者の意見も十分伺いまして、これらの検討を今後進めてまいりたいというふうに考えております。
  220. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 念を押すようでありますが、沖縄は日本の唯一の亜熱帯地域であるということと、次には米軍専用基地の七五%が沖縄の小さい島にあるということ。そして何と申しましても、基盤整備が立ちおくれておる。そして最も抜本的な根本的な問題として水問題の解決、これなくして沖縄農業の位置づけはあり得ない、こう思っております。そのことをひとつお忘れなく。抜本的な解決を、そして今日までの犠牲を、これからも続くであろうと心配される犠牲に対してどう政府はこたえるか、このことを恵みではなく償いであるというこの心を持って沖縄の問題に取り組んでもらわなければいけない。  それで最後に、私ども政府全体に申し上げたい二、三の問題についてずばり申し上げます。  よくアメリカの圧力が強いということを聞かされます。私は、日本外交の弱さ、意気地なさ、このことを率直に反省すべきである、これが指摘したい第一点。第二点が日本政府の対米従属性が圧力となってはね返るということです。第三点がよくパートナーシップということを聞かされます。対米パートナーシップ。上下関係、勝者と敗者の意識からはパートナーシップはあり得ない。対等の立場に立って、お互いに向かい合って堂々と意見を述べ合っていく中から、理解と信頼の中からパートナーシップは生まれるのである。第四点に、国連の場における日本政府の姿勢について私は強く感じておりますが、特に平和の問題については、広島、長崎のあのことを思うときに、今こそ日本政府は国連の場においても旗振りをすべきである、こう思われてなりません。  以上、率直に申し上げまして、あるいは筋違いもあるかもしれませんが、この機会に申し上げておきます。すべて沖縄の犠牲のやむを得ない怒りから申し上げたと受けとめてください。
  221. 吉川博

    委員長吉川博君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。  なお、先ほどの質疑の中で細谷君より要望のありました件につきましては、理事会で協議いたしました結果、あす五日十一時十五分に首相官邸におきまして、直接内閣総理大臣に申し入れを行うことになりました。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十五分散会