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国務大臣(
池田行彦君) 平素から
我が国の
安全保障に深い御関心を持たれ、御
指導をいただいております
参議院内閣委員会の
皆様に、私の
所信の
一端を申し述べさせていただきます。
今日、
世界は歴史的な変革期を迎えており、
東西関係は
欧州を
中心として本格的な
対話と
協調の
時代に移行しつつあります。また、このような変革の波は
我が国周辺地域にも及びつつあり、
韓ソ国交樹立といったこの
地域の
緊張緩和に向けた注目すべき動きも見られます。
しかしながら、
アジア地域の
情勢は
欧州に比べて複雑であり、また、
極東ソ連軍の膨大な
軍事力の存在がこの
地域の
軍事情勢を厳しいものとしていることに変わりはありません。さらに、深刻な経済不振が続く中で民族問題が一段と激化している
ソ連の
動向についても引き続き注目していく必要があります。
また、
東西関係の急激な
変化は、いわゆる第三
世界において、民族、
宗教、
領土等の
紛争要因を顕在化させ、
武力紛争が生起しやすくなるのではないかとの懸念を生じさせています。
このような中で、昨年八月、イラクがクウェートを
侵略、併合するという
事態が生じたことは極めて遺憾であります。自後、イラクは、クウェートからの全面撤退と同国の原状回復を求める累次の国連安保理諸決議を無視し続けております。これに対し、先般、米国を
中心とするいわゆる多国籍軍がイラクの
侵略を排除するための最後の手段として対イラク武力行使に踏み切り、昨日、本格的な陸上戦闘が開始されております。
政府は、かかる
関係諸国の
措置に対して確固たる支持を表明するとともに、イラクが一連の国連安保理諸決議を即時かつ無条件に受諾し、湾岸
地域における平和と安定が一日も早く回復されることを強く期待しております。
また、国際
社会で主要な地位を占めるに至った
我が国がこの
事態の中で積極的な役割を果たしていくことは当然の責務であると考えます。かかる貢献の一環として、
政府は、湾岸危機に伴い生じた避難民の輸送という人道的かつ非軍事的な
分野において、
関係国際機関から要請のあるもののうち民間機が活用されないような
状況において、人道的見地から緊急の輸送を要する場合には、必要に応じ、
関係国際機関及び
関係諸国から必要な
協力、
支援を得て、自衛隊の輸送機により輸送を行うこととしております。このことは、
我が国が国際的
責任を果たしていく上で大きな意義を有するものであり、かかる輸送の必要が生じた場合には、安全面に細心の注意を払い、任務を遂行しなければならないと考えております。
最近における
国際情勢の
動向については、今後とも注目する必要がありますが、総じて見れば、
防衛計画の
大綱策定の際に
前提とした
国際関係安定化の
流れがより進んだ形であらわれつつあると言うことができます。
我が国としては、引き続き日米
安全保障体制を堅持するとともに、
我が国が保有すべき
防衛力の
水準を定めた
防衛計画の
大綱の
基本的考え方の
もと、効率的で節度ある
防衛力の
整備に努め、
我が国の平和と安全を確固たるものとしていかなければならないと考えております。そしてこのような
努力は、
我が国に対する
侵略の未然防止に大きな役割を果たすばかりでなく、
我が国周辺地域の平和と安定の
維持に貢献することになると考えております。
政府は、このような考え方に基づき、昨年末、新
中期防衛力整備計画を策定したところであります。この新中期防につきましては、本
委員会において先ほど御報告申し上げたところであります。
また、
防衛力の
整備と並ぶ国の
防衛の柱である日米
安全保障体制の
信頼性の
維持・
向上のため、
我が国は不断の
努力を行っていく必要があると考えております。このため、日米
防衛首脳の会談を初めとして日米間で間断のない
対話を行うとともに、日米装備・技術交流、
在日米軍駐留経費負担等の各
分野において、日米
防衛協力関係の緊密化に尽力してまいりたいと考えております。
さらに、
我が国の
防衛にとって必要不可欠な自衛隊や
在日米軍の施設を確保するとともに、その安定的使用のため、
防衛施設と周辺
地域との調和を図るべく、
防衛施設周辺の
生活環境の
整備等の諸
施策につきましても、引き続き積極的に
推進してまいる
所存であります。
以上、
防衛政策に関する私の
所信を申し上げましたが、私は、
国民の
理解と支持を得ながら、
我が国の安全確保のために全力を尽くしてまいりますので、
委員長を初め
委員各位の一層の御
指導と御
鞭撻を
お願い申し上げる次第であります。