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1991-05-24 第120回国会 参議院 土地問題等に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年五月二十四日(金曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         穐山  篤君     理 事                 石井 道子君                 種田  誠君                 村沢  牧君                 中野 鉄造君     委 員                 秋山  肇君                 井上 章平君                 石原健太郎君                 石渡 清元君                 小野 清子君                 斎藤栄三郎君                 竹山  裕君                 野沢 太三君                 平野  清君                 藤田 雄山君                 栗村 和夫君                 谷畑  孝君                 対馬 孝且君                 渕上 貞雄君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 木庭健太郎君                 神谷信之助君                 近藤 忠孝君                 下村  泰君    国務大臣        国 務 大 臣  西田  司君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        国土庁土地局長  藤原 良一君        国土庁防災局長  鹿島 尚武君        大蔵省主税局税        制第一課長    黒田 東彦君        大蔵省理財局国        有財産総括課長  入谷 盛宣君        大蔵省銀行局銀        行課長      永田 俊一君        国税庁税部資        産税課長     鍋田 利孝君        国税庁税部資        産評価企画官   品川 芳宣君        厚生省生活衛生        局水道環境部水        道整備課長    藤原 正弘君        厚生省社会局施        設課長      松本 省藏君        気象庁地震火山        部地震火山業務        課長       森  俊雄君        建設省建設経済        局調整課長    櫻井 知能君        建設省建設経済        局宅地開発課宅        地企画室長    木村 誠之君        建設省都市局都        市計画課長    林  桂一君        建設省河川局治        水課長      日野 峻栄君        建設省河川局砂        防部砂防課長   松下 忠洋君        建設省道路局企        画課道路経済調        査室長      井上 啓一君        建設省住宅局住        宅政策課長    五十嵐健之君        建設省住宅局市        街地建築課長   那珂  正君        消防庁消防課長  中川 浩明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関する調査  (国有地の利活用推進に関する件)  (住宅対策に関する件)  (監視区域制度運用に関する件)  (地価動向現状に関する件)  (土地評価のあり方に関する件)  (雲仙岳の噴火対策に関する件)  (都市計画制度の見直しに関する件)  (土地情報整備に関する件)  (リゾートマンション建設問題に関する件)  (社会福祉施設居住水準の改善に関する件)     ─────────────
  2. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。  土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 村田誠醇

    村田誠醇君 私は、地価高騰がもたらしたいろいろなひずみがあちらこちらで指摘されておるわけでございますが、そのうちの幾つかの点について御質問をしたいと思うんです。  御存じのとおり、地価東京都心部中心にして高騰したために遠狭高という現象が出ておるわけですね。遠距離から通勤してくる、狭い家しか買えない、あるいは家賃高騰してくる、こういった問題が出ているわけですけれども、基本的に国土庁の方で今後日本の土地政策というんでしょうか、住宅政策の中で持ち家政策推進していくのか、それとも賃貸住宅に切りかえる政策に変えていくのか、大きな柱として二つあるわけですけれども、どちらの方を優先していくといいましょうか、行政として積極的に推進していくおつもりなのか、まず冒頭にお聞きしたいと思います。
  4. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 御指摘のとおり、今回の地価高騰によりまして特に上昇が著しい大都市地域におきましては住宅取得が大変困難になっております。既に高地価になっておりますので、そういう地域におきましては、やはり賃貸住宅需要が強くなってきておると考えております。そういうことで、平成三年の一月二十五日に政府で閣議決定いたしました総合土地政策推進要綱におきましても、大都市地域においては一般世帯向けの良質な賃貸住宅を拡充していくということを掲げておりまして、やはり大都市では賃貸住宅に重点を置きながら住宅施策推進していくことが土地対策の上からも重要であるというふうに認識しております。
  5. 村田誠醇

    村田誠醇君 大都市中心賃貸住宅をふやすということでございますけれども、そのときにお聞きしたいんですけれども、これは大蔵委員会でもちょっと聞いたんですが、あるいはきのうの現地視察等においても指摘されているんですが、土地高騰に伴って家賃が高くなって負担できないという世帯がかなりふえてきているわけですね。そして、建設省家賃補助制度というのをつくって家賃補助をする自治体助成金を出すという制度をつくっているわけですけれども、こういう政策を今後進めていきたい、国土庁としてもこういう政策を後押しをしたい、こういうふうに理解してよろしいんですか。
  6. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 賃貸住宅を拡充していきます際に、賃貸住宅供給を促進するという観点から、公的主体による賃貸住宅及び民間による賃貸住宅供給をそれぞれ官民役割分担しながらともに拡充していく必要があるだろうと思っております。なお、加えて入居される方の家賃負担につきましても住宅政策の中でいろいろな配慮を払っていく必要が基本的にあるであろう、そういうふうに考えておるところでございます。
  7. 村田誠醇

    村田誠醇君 その際一番重要になるのは、家賃補助を受ける本人、賃貸住宅に入る人間と、あるいはかわって家主が差額分を受け取ってその分家賃を安くする場合と二つあるんですけれども、いずれも税法上の問題が出てくるんですけれども、国土庁のその点に関しての見解はどうなんでしょうか。
  8. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 住宅政策を直接担当しておりますのは建設省ですから、具体施策につきましては建設省の方にお尋ねいただいた方が的確な御答弁ができるんじゃないかと思いますが、現在行われております住宅政策、それぞれ入居者負担能力に応じて、公的住宅にいたしましても、公営住宅あるいは公団の賃貸住宅等をそれぞれふやしていこうということでございますし、そういう面を特に重点的に行っていくことが当面の住宅政策として柱になっておるんじゃないか、そういうふうに理解しておるところでございます。
  9. 村田誠醇

    村田誠醇君 よくわからなかったのでもう一度お聞きしたいんですけれども、家賃補助をする際、それは建設省とあなたはおっしゃいましたけれども、安価で良質な賃貸住宅を提供するのであれば、受け取る方の人間税金がかかってくるということについては、建設省の問題だから国土庁関係ないと、こういうふうな御見解なんでしょうか。その点もう一度ちょっと説明していただけませんか。
  10. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 家賃適正化均衡化を図るためには、まず建設費等をできるだけ抑えていく、そうして供給原価を低廉なものにする、そういった努力が特に重要ではないかというふうに考えております。そのためにはいろいろな用地取得に対する工夫も必要でございましょうし、また建設費等についての合理化、そういったことも重要ではないかというふうに考えております。
  11. 村田誠醇

    村田誠醇君 それでは角度を変えまして、持ち家政策をするために、通勤圏六十キロ圏相当のところで現在のサラリーマン平均世帯でいけば土地が買えない、こういうことでどんどんと新幹線通勤というのが起こっているわけですけれども、こういう政策サラリーマン土地を買える範囲までという意味で広げていく。とすると、新幹線通勤というものがかなり煩雑に行われてきている、現に行われているわけですけれども、そういう遠距離通勤に対する、あるいは遠距離でなければ買える土地がないという現状については、国土庁はどういうふうに理解しておられるのですか。
  12. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 最近の東京圏等におきます地価高騰を反映しましてここ当面新幹線通勤者も増加する傾向にあったわけでございますが、最近になってその傾向もやや頭打ちというふうに見ておりますけれども、やはり大都市圏居住スペース業務スペースというのはできるだけ近接しておることが望ましいのではないかというふうに考えております。したがって、地価高騰が原因となって都市圏が外延的にだらだらと拡大していくというのは都市の構造としてよろしくないと、そういうふうな認識を原則的には持っております。
  13. 村田誠醇

    村田誠醇君 じゃ、次に三点ほどお聞きしたいんですけれども、新幹線通勤をしますと通勤費が非常に高くなる。したがって、個人負担ではなかなか難しいので会社がその差額補助するとか、在来線新幹線通勤差額補助するとか、いろいろな補助制度をとっているわけですけれども、これも所得税法とか健康保険料厚生年金の計算で所得収入とみなされて負担がふえてくるんですね。その点については国土庁の方はどういうふうにお考えになっているのか、これが一つ。  二つ目は、いろいろな土地の公的な規制を行うときに土地評価額というものが常に問題になるわけですね。ところが、これは今総量規制が効いているせいか多少鎮静化していると言われているんですけれども、問題になってきているのは、不動産小口化商品と呼ばれている要するに会員権ゴルフ会員権あるいはリゾート会員権、これは土地の共用の場合もあるし、利用権だけがくっついているやつもあるし、法律的にはいろいろな性格を持ったものだと思うんですけれども、地べたの値段に対してこちらの権利の方がはるかに大きい。その総体の枠は、例えばゴルフ会員権一つとってみれば、何千億というようなものも、総価値というんでしょうか、販売価格でいけばある。しかし、土地値段そのものゴルフ場土地値段はそんなになっていない。こういった土地値段と、証券化というんでしょうか、不動産証券化した債権の値段の乖離という問題については国土庁はどういうふうな対応を打たれるのか。  それから三番目は、先ほど答弁の中にありましたけれども、大都市では賃貸住宅中心にやっていきたいということでございますと、今すぐ簡単に賃貸住宅建てられるのは国有地だと思うんですね。国有地にこういう賃貸住宅建てる、あるいは国有地高度利用というんでしょうか、公務員宿舎建てかえを含めての高度利用、こういうことについては国土庁の中で何か計画があるんでしょうか、あるいはほかの省庁計画があるのか、その三点についてお聞きしたいと思うんです。
  14. 藤原良一

    説明員藤原良一君) まず、第一点の通勤新幹線会社による通勤費補助に対します課税の問題でございますが、この通勤費補助非課税範囲が昨年でしたか少し引き上げられまして、一時間圏ぐらいのところの通勤者がかなりふえたわけでありますが、私はそういう方向はやむを得ない措置として見ておったわけでございます。先生の御質問趣旨はその引き上げ幅をもっと高くしろという御指摘かもしれませんが、それはやはり全体の税との調整、バランスの問題もあろうかと思います。その辺は税務当局の方で十分御検討になった上での措置じゃないかというふうに理解しておるところでございます。  その次の不動産小口商品化、特に証券化の問題についてどう考え、どう対応しようとしているのかという御質問でございますが、近年、不動産についても証券化の動きがあるわけでございます。我々も勉強はさせていただいておりますが、まず事業者の方で金融機関によらない直接的な金融の手段として証券化が考えられておるのではないかと思います。  ただ、この証券化地価上昇を前提としてしか成り立たないというふうなものでありますと、我々土地対策を担当するものとしては直ちに歓迎するというわけにはいかない側面がございますので、その辺は証券化具体的な内容についていろいろ検討しながら個別、具体に考えていかないといけないのではないか、そういうふうに考えておるところでございます。  それと、賃貸住宅等建設に関連して国有地活用をどう考えておるのかということでありますが、この点につきましては、先ほど申し上げました一月二十五日の閣議決定におきましても国公有地を総点検するということにしておりまして、この大都市地域国有地につきましては、先般、所管しておられます大蔵省が取りまとめまして、庁舎及び公務員宿舎利用実態点検が終わったわけであります。この点検結果に基づいてこの有効活用の目標を次の段階として詰めていく、そういう作業を現在進めておるところでございまして、有効活用すべきものにつきましては、鋭意そういう計画も詰めながら具体的に進めてまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  15. 村田誠醇

    村田誠醇君 それじゃ、大蔵省にお聞きしたいんですけれども、今答弁のありました国有地点検をした結果、有効利用活用をする、そういう具体的な案がかなりできていると聞いておりますけれども、御説明いただけますでしょうか。
  16. 入谷盛宣

    説明員入谷盛宣君) お答えいたします。  大都市地域国有地有効活用につきましては、ただいま国土庁土地局長さんの方から御説明がありましたように、使用状況実態調査を進めてまいりましてこのほど点検作業を完了したところでございます。  その結果、有効利用を図る必要があると認められたものを見ますと、庁舎等用地につきましては、件数面積ともにその割合は高いわけですけれども、そのうち件数にして五割、面積にして四割のものは現に施設集約移転整備が進められているものでございまして、速やかにその整備を進めることとしております。  それから、公務員宿舎につきましても、その大宗は省庁別宿舎でございますが、所管の各省庁と協力してその有効利用の方策をつけまして、また宿舎につきましては、受け皿となります合同宿舎についても計画的な集約高層化を進めて整備を図ることとしております。  いずれにしましても、今回の点検結果は大都市地域国有地有効利用を図っていく上での基礎となるものと考えておりまして、この結果を踏まえまして今後関係の各省、各庁の理解、協力を得ながらより一層の有効利用を図ってまいる所存でございます。
  17. 村田誠醇

    村田誠醇君 それは「大都市地域国有地使用状況点検について」というペーパーをいただいていますので大体わかっておるんです。  そこで聞きたいんですが、国有地を、官舎の建てかえも含めまして未利用地利用する、あるいは管理するというんでしょうか、運営するための財団を新たにつくるということが大蔵省の方針で出ていますけれども、この名称とか寄附行為等について御説明いただけませんでしょうか。
  18. 入谷盛宣

    説明員入谷盛宣君) まず財団設立趣旨でございますが、都市地域に所在する国有地は、将来の公用、公共用需要のために処分を留保しているとか、あるいは地価対策配慮から一般競争入札による処分を見合わせているというようなことから未利用国有地が存在するわけでございますが、こうした未利用国有地を未利用の状態のままにしておくということは、貴重な国有地土地空間を有効に利用していくという観点から非常に損失であると考えまして、この未利用国有地について将来の恒久的な利用計画が実現するまでの間、駐車場でありますとか広場でありますとかに暫定的に有効利用して有効活用を図るとともに、国民の利便を図るということが必要であると考えられるわけでございます。  こういった業務を行うための財団法人設立について実は昨日発起人会が開かれたというふうに承知しておりますが、その寄附行為等につきましては、まだ設立許可申請書大蔵省に提出されていないという段階でございますので、現段階ではお答えできる段階になっておらないということで御容赦をお願いしたいと思います。
  19. 村田誠醇

    村田誠醇君 私は、民間人たち国有地をどう利用したらいいか、そういう研究機関をつくるあるいはシンクタンクをつくることについては何の異議も申し立てないですし、国がとやかく言う必要性はないんです。しかし、ここのでき上がった財団がやろうとしている行為は、国有地委託管理を受けてここに駐車場をつくったり住宅建てたりするということがこの寄附行為の中に入っているんじゃないですか。そこのところが問題だと私は指摘しているんです。国の土地をあるいは税金をどう使うかということは大変重要なことなんですよ。民間団体管理委託するのであれば、大蔵省関財局理財局なんて要らなくなっちゃうんですよ、本来でいけば、肩がわりしてもらえばいいんだから。しかも、新聞報道によれば、二千台の駐車場用地を確保するというんでしょう。未利用地を使って民間財団が、民間企業が金もうけするということ自体が大変問題じゃないかと私は思っているんですが、それはまだできたばかりだからよくわからないというのが答弁ですけれども、国有地管理委託するんでしょう、この団体に。それは検討していないんですか。その点はどうなんですか。
  20. 入谷盛宣

    説明員入谷盛宣君) 未利用国有地駐車場広場等として有効活用する社会的ニーズに積極的にこたえていきたいというふうにかねてから考えておりましたが、この未利用国有地有効活用を効率的、機動的に行うという観点からしますと、国がみずから実施するということよりは国以外の者に委託して行う方が効率的、機動的に実施できるというふうに考えております。  しかしながら、先生も御指摘のように、これを民間の業者に委託して行わせるということも適切でないことは全く御指摘のとおりでございまして、そこで専門的な組織体公益目的とする民法第三十四条の規定に基づく財団法人が国から委託を受けて未利用国有地暫定的有効活用を図っていくことが適当であるというふうに考えているわけでございます。
  21. 村田誠醇

    村田誠醇君 既に設立されている財団法人がこういう業務をすることが適切だから委託したというんなら話はわかるんですよ。未利用国有地管理する団体を新たにつくらせてそこに委託をするから問題が起こるんじゃないですか。国が主導してこういう業務を出してあげるから受け皿としての機関をつくってくださいと言っているわけでしょう。しかも、金融機関を含めてかなりの出資会社が出ているわけですよ。地方自治体は全然これにかんでないでしょう、出資には。その点についてはどうなんですか。私たちが言いたいのは、民間仕事を渡すから受け皿をつくりなさいという政策自体が間違っているんじゃないですかと言っているんです。その点はどうなんですか。
  22. 入谷盛宣

    説明員入谷盛宣君) 新たな組織をつくるのはいかがなものかという御指摘でございますが、国有地有効利用形態は、駐車場広場等々非常に多様な形態をとることと考えられますが、その多様な有効利用を進めるためには、公益目的とした国有財産管理するにふさわしい専門的な公益法人にゆだねることが最も適当ではないかと。なお、昨年の六月二十日に国有財産中央審議会から国有地有効活用についての答申が出されておりますが、そこでも未利用国有地有効活用して管理の適正を図るために、国有財産管理運用を専門的な組織体にゆだねる仕組み検討するように提言がされております。  今回検討が進められている財団法人につきましては、民間企業と、それから地方公共団体も数多くの地方公共団体趣旨に賛同して参加するというふうに聞いております。
  23. 村田誠醇

    村田誠醇君 それじゃ、もう一度聞きますよ。  この昨日発起人会をやったキャップになる人はだれですか。私が聞いている限りでは元会計検査院の大村さんと聞いておりますけれども、これは間違いないのかどうか。  それから、地方公共団体が入る、多数参加すると言っていますけれども、現実にきのうの段階も含めて、これは出資しているんですか。地方の財政とか予算仕組みからすれば、六月に出資をするためには四月の予算で決めてなきゃいけないんですよ。ところが、どこの地方自治体についても、こんなところに出資するなんて項目は、全部私調べたわけじゃないですけれども、ないんですよ。出資しているところがある、あるいは参加するところがあるというんなら、どこの自治体が参加するのか、はっきりその名前を言っていただけませんか。
  24. 入谷盛宣

    説明員入谷盛宣君) 個別の団体につきましては、まだ申請書が提出されておりませんので詳細を申し上げる段階ではないということを御理解賜りたいと存じます。
  25. 村田誠醇

    村田誠醇君 まるっきり民間がやっていることだというんだったら、そこに国の業務委託するなんてそんなばかな話は出てこないでしょう、コマーシャルベースでやるだけなら。国の仕事を渡すんだから当然国がかんで、こういうことなら困るとか、こういうことはいいとかということがあなた方の立場で出てくるわけでしょう。言えないなんてはずないんじゃないですか。大蔵省主導でこれつくっているわけでしょう、現実問題として。その点についてはどうなんですか。  さらに聞きますよ、それじゃ。この団体は未利用国有地利用だけなんですか。公務員宿舎建てかえの業務までも土地信託等を通じたり、その近隣周辺の再開発を含めたそういう行為をこの財団の中で計画立案するんですか。その点についてお聞きしたい。
  26. 入谷盛宣

    説明員入谷盛宣君) 国有地を含めた都市開発等土地利用に関する調査研究を進めるということは承っておりますが、その行為そのものはそれぞれその開発行為やあるいは公務員住宅建てかえ業務、そういう行為はするというふうには聞いておりません。
  27. 村田誠醇

    村田誠醇君 それじゃ、もう一つ聞きたいんです。  この財団大都市の再開発目的としているのであれば、当然NTTの株売却による資金を使えるはずだと思うんですね、開発銀行を経由した資金。これはできるんでしょうか、できないんですか。その辺についてはどういうふうに御判断しているかが一つ。  それから、先般湾岸戦争の戦費の負担のときに問題になりました七億円の公務員宿舎の削減の費用があるわけですね。この削減される公務員宿舎予算がくっついていたんだから大体わかると思うんですが、どこの公務員宿舎が削減されたのですか。そのことを二つだけちょっと教えていただけますか。
  28. 入谷盛宣

    説明員入谷盛宣君) 開銀の融資対象になるかどうかということは、個別に融資対象として採択要件を満たしているかどうかについて事業に即して検討するというふうに聞いておりますので、現在その個別の事業内容がまだ詳細まで明らかでございませんので、対象となり得るかどうかお答えしかねるわけでございますが、少なくとも開銀融資を今考慮しているというふうには聞いておりません。  それから、公務員宿舎につきましては、どこの宿舎建てるということは予算が通ってから決めるものでございますので、その前にすべて張りついて、七億円はこの部分を削ったと個別にお示しするようなそういう性格のものではないということを御理解賜りたいと存じます。
  29. 村田誠醇

    村田誠醇君 予算編成するときに、どこを建てかえるかもわからなくて予算くっつけるばかはいないんじゃないですか。どこを直すから単価幾らでやるとか、営繕するからどこが幾らかという予算措置をして初めて七億という数字が出てくるんじゃないですか。予算がくっついてから検討しますなんて、そんな答弁はまずないはずですよ。  それからもう一つ国有地を確かに暫定的に利用するということですね。この暫定という言葉、土地の所有権さえ離さなければ暫定利用なのかどうか。つまり一部で問題になっている土地信託等をやって六十年契約をしてやる、これも所有権は変わってないわけですよ、移転してないんだから。暫定的な土地利用だという点においては暫定的なんですよ。こういう土地信託も含めた再開発方式がこの財団検討されているんでしょうか、それともこういうのを許可するつもりなんですか、その点についてお聞きしたい。
  30. 入谷盛宣

    説明員入谷盛宣君) 宿舎でございますが、「宿舎の設置は、宿舎の設置に関する年度計画に基いて行わなければならない。」ことと国家公務員宿舎法で定められておりますが、その八条の二におきまして、各年度分の設置計画につきましては、予算成立の日から二カ月以内に関係各省の長に通知するということにされております。  それから土地信託でございますが、土地信託につきましては、これは国有財産中央審議会の審議も経て信託するわけで、暫定利用とは全く性質の異なる恒久的な利用形態一つであるというふうに理解しております。
  31. 村田誠醇

    村田誠醇君 それじゃ、もう一度確認も含めてお聞きしますが、これはまだ昨日発起人会を開いたばっかりだということだから言えないということですけれども、それはその点で理解します。しかし、役所が仮に認可したというのであれば、あるいは認可できないというんなら別ですけれども、認可した時点であれば公の団体になるはずですから、その時点で寄附行為、定款等を含めた役員体制、その資料をいただけますか。それを確認したいのが一つ。  それからもう一つ国有財産中央審議会でいろいろ論議なさったといいますが、この審議会に参加した人間がこの財団設立及び役員の中に絡んでいないんでしょうね、そのことだけを確認しておきたいと思いますけれども。
  32. 入谷盛宣

    説明員入谷盛宣君) これから申請が出されれば、申請が出されました段階検討いたしまして、許可がされれば、その時点で公表あるいは資料提出はいたします。  それから、国有財産中央審議会で議論いたしたわけでございますが、昨日承ったところでは、中央審議会の大村会長が発起人会に入っておられるというふうに承っております。
  33. 村田誠醇

    村田誠醇君 おかしいじゃないですか、それだったら。国有財産中央審議会でこういうふうに国有財産を使いましょうということを決めて、その受け皿になるところに自分がすぽんと入っているというのは、理屈からいったら、わざとそれをやるために審議会の結論が出たというふうにこれはげすの勘ぐりでやられますよ、絶対に。これはおかしな話ですよ。ただ、それは私はおかしいということだけで、現時点ではまだ正式に発足しているわけじゃないんですから、指摘だけしておきます。  それで、時間もありませんから、せっかくほかの大蔵省の方にも来ていただいていますので、二、三聞きたいことがございます。  それは土地融資に絡んでノンバンク、まあいろんな規制をしているわけですけれども、海外でノンバンクが社債等を発行して多額の資金を得て、それを国内に還流させている、こういう事実が、大蔵省だってその自粛を求めるくらいですから相当あるわけですよね。大蔵委員会の論議で大蔵大臣等に聞いてみますと、社債等を発行して一般からお金を集める行為は、銀行の行為に類似するので国内では禁止しているといいましょうか、行政措置として認めていないということを言っているにもかかわらず、国際的なマーケットでは資金をどんどん入れていい、こういうふうになっているのは明らかにしり抜けだと思うんです。国内でだめだというのが国際的にはいいということにはならないと思うんですが、この点についての大蔵省見解はどうでしょうか。
  34. 永田俊一

    説明員(永田俊一君) お答え申し上げます。  ただいまの御指摘でございますが、ノンバンクが海外でCPの発行を自由にできているということで、これが国内で禁止していることとの絡みでしり抜けになるという御指摘でございます。  実は簡単にお答え申し上げますと、日本の居住者が海外でCPを発行することにつきましては、国内CP市場との関係もございまして現在のところ認められておりません。なお、非居住者である本邦の企業、これの海外現地法人が海外でCPを発行することは、これは海外での法制に従ったことでございますので可能であるわけです。ただし、その発行かわり金の本邦への持ち込みは認められておりません。それはそういう当該発行がノンバンクの国内CP発行を認めていないという現段階での規制のしり抜けにならないようにという考えでございます。
  35. 村田誠醇

    村田誠醇君 時間が来ましたので、最後にお聞きをしたいんですけれども、大都市地価高騰は、これはいろんな原因があるんですが、これがだんだん地方都市に波及してきた最大の理由は、生命保険会社土地を買いあさっているという指摘があるわけですけれども、その点に関して国土庁はどういうふうな資料を持っているのか、どういう判断をしているのか、それをお聞きして質問を終わります。
  36. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 東京都の地価高騰が順次大阪圏あるいはその他の地方圏に波及していっておることは事実でございます。  その原因といたしまして、東京都の地価との割安感からくる投機あるいは投資的な資金地方に流れたということがございますが、確かに駅前等の非常に立地条件のいい土地を生保等が相当取得しておられる、そういうふうな話も聞いておりまして、極力そういった取得実態については把握に努めておるところでございます。
  37. 谷畑孝

    ○谷畑孝君 私は大阪選挙区の議員でございますけれども、最近とりわけ大阪を舞台にしたバブル経済の崩壊ということで、もうマスコミ含めて連日その事件が報じられておるわけでありますけれども、とりわけ中堅商社を舞台にしましての絵画の投機、それと同時にゴルフ場そして土地、こういうことで警察も入りまして連日にぎわしておるところであります。  そこでも明らかになるわけでありますが、やはり土地というものが一部の悪徳業者なりあるいはまたそういう企業家によって投機の対象ということになって、そういうものがバブル経済をさらに大きく仕上げてしまったということが言えるのではないか、こう思うんです。そして、同時に私どもがこれからまた気をつけなきゃならぬのは、過剰融資といいましょうか、やはり金融機関がこれは大変な過剰融資をさらに促進をさせていったのではないか、こういうようにも思うわけであります。そういう意味では、一昨年の土地基本法の制定なりあるいは金融の引き締め、こういう状況の中で、同時にまたマスコミの方もバブル経済でいいのか、企業も社会的責任をもっと果たすべきじゃないか、こういうふうな昨今の状況の中で少し小休止をしておるのではないか、こう思うんです。  しかし、そう言いながらでも、最近またこの金利がひょっとすれば緩和されるのではないか、こういうことが専らの状況でございまして、今ようやく土地高騰も少し小休止をしてきて、さらに下がるのかどうかというところは、私ども国民にとってみたらもっと下がってほしい、しかし今中古マンションが大阪などでもやっと二割下がったと、こう言われて喜んでおるわけでありますけれども、その点少し不安がある。  そういう状況の中で、本土地対策特別委員会というものがぜひひとつそういうことに貢献できる委員会であればと、こういうことで幾つか質問をしていきたい、このように思っているわけであります。  そこで、私少し感じることなんですが、大阪でも関西新空港だとかあるいは京阪奈学術研究都市だとか、そういうビッグプロジェクトというもの、あるいは副心都市構想だとかさまざまなそういう地方自治団体推進する町づくりといいましょうか、そういうものをやるんですけれども、大阪の例から申しましても、新空港というのはいつできるかあるいはどうなるのかということはもう初めにわかっておるわけなんです。まずわかっているそのとき、前からその地域を監視区域を含めて土地高騰を抑えていくことを先にやっぱりきちっと練り上げた中でそういうビッグプロジェクトを発表するということが必要だと思うんです。  ところが、大阪の場合は、残念ながら東京の土地が値上がりした状況であって、大阪というのはまだ土地の値上がりの初期の段階でございましたから、ややもすればそういうビッグプロジェクトのための宣伝だけが先にいってしまって、あれよあれよという間に出てしまったことがあるんですね。  そこで、そういうような状況の中で、とりわけ今日における地価監視区域制度有効活用、そのための財政基盤の確立といいましょうか、とりわけ国自身がそれに向けて、国土庁などが先頭になってさらにその地価監視区域制度活用を仕上げていくための行政施策が必要だと、私はこのように思っているわけであります。昭和六十二年の国土利用計画法の改正によりまして地価監視区域制度が設けられまして、そして大都市では百平米以上の取引について届け出をするということ、これは割と大きな成果が上がりました。やはり行政もちゃんと入りまして、そして届け出という形の中で非常に大きな精神的な圧迫にもなりましょうし、投機に対する規制という一つの大きな役割があったのではないか、こう思うんですね。  そこで、質問なんですが、やはりこういうふうに大都市における土地取引すべてに、もう百平米というよりもすべてやはりビッグプロジェクトをやっていくその地域とかを含めて、そういうもののもっと大胆な活用の方法がないものかどうかということが一つ。それと、先ほど言いましたように、土地基本法や国土法の趣旨からして、国の人的、財政的支援をさらにやっていく意思があるのかないのかということについてお聞きをいたします。
  38. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 先生御案内のとおり、監視区域制度運用されましてからまだ比較的日が浅いんですけれども、地方公共団体の協力を得まして、現在では二県を除く全都道府県、市区町村数にしますと千百を超える市区町村で運用していただいております。ただ、この区域制度がより効果を発揮するためには、できるだけ早く指定する、それと届け出対象面積もできるだけ厳しく適切に設定する、それと窓口での価格審査を厳正的確にやるということが非常に大切だと考えております。  そこで、特に地価高騰が顕著だと、そういうおそれのあるところにつきましては、できるだけ早く千平方メートル以上の取引について届け出義務を課するように努めておるところでございます。大体一般的に申し上げまして大都市地域でも百平方メートルという線を引きますと、それ以上の取引が過半の場合が多いわけであります。取引の過半に届け出義務を付し、行政指導を加えますと、価格形成にかなりリードをしていける役割効果を発揮できるのじゃないか。そういうふうなことで、現在そういうところは極力百平方メートルにするよう指導しておるところでございます。ただ、地域によりましてかなり差がございます。東京で大体百平方メートル以上の取引が五〇%くらいになっておりますが、大阪等ではかなり土地の所有が細分化されておりますので三〇%ぐらいしか捕捉できない。そういう面がございますので、今後やはり地価の動向を見ながら、そういう地域については公共団体ともさらに必要に応じて届け出対象面積の引き下げ等についても相談していきたいと思っております。  それと、大規模プロジェクトの実施地域につきましては、当然プロジェクトの進行に従って地価上昇が懸念されるわけでありますから、私どもの方としましては、計画構想を発表するに先立って監視区域を今後は指定していく、そういう運用方針で公共団体と相談し、指導しておるところでございます。  それと財政でございますが、やはり公共団体にしっかり運用していただくためには、何といっても国の財政措置が必要でございます。この監視区域運用につきましては、土地利用規制等対策費交付金ということで措置させていただいておりまして、例えば六十二年当初予算は二十五億円余でございましたが、地価高騰に対応するため平成三年度当初では四十八億円余を計上してございまして、まだ不十分なところがあるかもしれませんが、今後さらに適切な運用ができるよう財政措置については引き続き努めてまいりたいというふうに考えております。
  39. 谷畑孝

    ○谷畑孝君 都会におきましては、これからはいろんな意味で農地という問題が今後ともまたこれは政治課題になってくるわけでありますけれども、やはりこれから百平米以下のところにおいてもそういう網をかけていかないと、ミニ開発という問題も出てまいりますし、弊害も非常に出てくる、こう思いますので、ぜひそのあたりは有効に監視区域への平米数の引き下げという形の中でひとつ頑張っていただきたいというように思います。  次に、最近決算時期で各企業が株だとか土地というこういう形の中で、最近とりわけ株が下がるということの中で非常に欠損を出していく。ようやくにして本業の仕事をしっかりやらにゃいかぬと、こういうように企業も反省をしたりしてきておるということを聞くわけであります。最近企業も、例えば地球環境保全だとかさまざまな状況の中で社会にもっと貢献をしていく、そういうことで、やっぱり企業社会といいましょうか、そういうものが消費者団体とかさまざまのそういう一つのチェックの中で大きく変わりつつあるのじゃないか。特に日本の百貨店なりスーパーでも、地球環境にやさしい企業ということで、過剰包装も少し自粛しましょうだとかさまざまの動きがある。そういうことと連動して土地に対しても、土地投機をする企業はこれは悪徳企業でだめなんだということで、やっぱり社会の世論といいましょうか、そういうものがきちっと監視をしていく、そういうような機運を私はつくっていく必要があるんじゃないかと、こう思うんですね。  そのためには、やっぱり市民に対して土地だとかそういうものに対してバブル経済になってはいけないというような情報といいましょうか、そういうものがきちっと的確になされる必要があるのではないかと思うんですね。今回のバブル経済でも、最近は暑くなってきましてビールが非常にうまいわけでありますけれども、少し泡があるのも感触がよくてうまいんですが、しかし泡ばかりだということになりますと、ほんまに泡を吹く話ということになってしまってこっけいなことになってしまう、こういうことだと私は思うんです。そこで、最近国民自身も賢くなりまして、もうだまされないぞ、こういうことになってきまして、その結果買い控えということでマンションの値段も下がる、中古マンションも下がる、そして地価も少し下がってきたと、こういうことであります。  そこで、先ほど言いましたように、そういうための正確な情報を一回国土庁としては考えられないものだろうか。例えば地籍調査などの国土調査を早期に完全にし切るということができないものだろうか。あるいは国土法に基づく届け出申請時に購入資金調達計画の記載を義務づけたり、過剰融資へのチェックができるようなことができないものだろうか。あるいは土地の登記簿に売買価格を記載するということができないか。なぜかといいますと、我々が大都会の感覚で一坪例えば現在であれば一千万する、五百万すると。ところが、そういう感覚でおりますと、地方都市へ行きましてそれが三十万、五十万と聞いたら、これは非常に安い、これは上がるんじゃないかというような、衝動買いも含めて、金余りの中でそういうことが出てくる可能性があるんですよ。しかし、そうじゃなくて、こういうところにおいては違うんですよというそういうものが、情報センターみたいなものがありましてそこへ行きますと、やはりその土地というのはこうなんだということに私はなると思うんですね。  本来、地価というのはやはりその土地で収益が上がっていくことに基づいて決められなければならないと僕は思うんです。そういう意味で、抽象的な質問になるかもわかりませんが、地価をさらに抑えていくために国民に対して正確なる情報をということで、国土庁としてはいい知恵がないものかどうかということをひとつお伺いしたいと思います。
  40. 西田司

    ○国務大臣(西田司君) 大変重要な御指摘だとお話を伺わせていただきました。土地政策の的確な実施を行うためには、何といっても土地に関する情報というものが把握できておりませんと、これは進められないわけであります。  そこで、ちょっと論点を外しますけれども、私は国土政策地価対策というものを進める上で二つの重要な基本を考えております。一つは、当面のこの異常な地価をどのように引き下げていくかという問題、それからもう一つは、過去三回にわたって地価高騰があったわけでありますが、これを二度と地価高騰を引き起こさないということでございます。特に、二度と地価高騰を引き起こさないということになってまいりますと、まさに委員が御指摘になりましたように、正しい情報というものを国土庁が把握をいたしまして、そしてそれに対するあらゆる対策を後手に回らないように先に先に手を打っていく必要があると考えております。  なおあわせて、このことは何も隠しておくことでなくて、広く国民の方々にも土地というものの公共性ということを御理解いただくように常々心がけて、やはり広報を誤ってはいけない、このように考えております。  なお、あとのことにつきましては局長からお答えをさせます。
  41. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 国土調査、地籍調査でございますが、地籍調査につきましては、国土調査促進特別措置法を改正していただきまして、現在第四次十カ年計画に基づき計画的な促進を図らせていただいております。これを着実に進めていくことが特に重要でございますが、ただ、残念ながら進捗状況は全国ベースで三五%にとどまっております。そうは言いましても、この三五%終わった結果をもっと有効に利活用していかなければならない、そういう点でも大きな課題が残っておると考えております。計画的な促進とあわせて利活用についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  それと、届け出申請時に資金計画を記入させることに関しましては、平成元年十二月の国土利用計画法の一部改正によりまして、投機的取引と認められる届け出があった場合には契約締結の中止勧告ができるようになったわけでございます。その後フォローしておりますが、大体届け出がございました一五%ぐらいが利用せずに投機的に短期転売するケースでございまして、その半分ぐらいにつきまして資金計画書を徴取いたしまして、それに基づいて具体的な指導をさせていただいております。この点につきましても、今後運用の中でさらに充実するように努めてまいりたいと考えております。  それと、例えば登記の際に取引価格を記載させられないかということでありますが、現在の登記制度は個々の不動産ごとの権利関係を公示して取引の安全を図るという視点から行われておりますので、どうも価格の記載はそういう枠組みの中ではなかなかうまくはまらないということのようでございますが、しかし我々も生の取引価格をできるだけ把握する努力も必要だと、また、果たしてそういう取引価格がプライバシーなのかどうなのか、そういう問題も含めて今後さらに勉強させていただきたいと思っております。
  42. 谷畑孝

    ○谷畑孝君 よろしくひとつ前向きに検討していただいたらありがたいと思います。  きのうも本委員会で視察させていただいたんですが、結局土地問題というのは、我々圧倒的多数の国民にとってみたら一生に一度のマイホームをつくりたいと、そういうために生まれて初めての土地購入ということだろうと思うんですね。それだけ非常に大きな土地とのかかわりで、国民の圧倒的多数がそういうことではないかなと私は思うんです。当然人間が住むための生活の場であるし、また家というのは私はそういうことでは人生においても一番大事なものだなと、こう思うんですね。  そこで、サラリーマンの平均年収が約六百五十万ということの中で、今日東京圏での住宅価格は今や年収の八・五倍となってしまって、六十キロメートル圏内ではマイホームのための土地を購入するということはもうほぼ不可能、こういうことにも実はなってしまった。そういうことであれば、私は公共住宅主導へともっとはっきりと政策転換をすべきじゃないか。やはり公共団体がもっと力を入れて公共住宅をつくっていくんだと、こういうことを国のイニシアチブで転換すべきじゃないかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  43. 五十嵐健之

    説明員五十嵐健之君) お答え申し上げます。  第六期住宅建設五箇年計画が三月八日に決まりまして、平成三年度から七年度までの五カ年計画が策定されたところでございますが、この第六期住宅建設五箇年計画におきましては、できるだけ公共賃貸住宅ということについても重視していかなければならないということが指摘されているところでございます。基本は、先生おっしゃいましたように、持ち家対策それから借家対策それぞれの需要がございますので、その需要に応じましてバランスよく展開していくことだと思っております。  先ほど申し上げました第六期五箇年計画では、前の五カ年計画に比べまして四万戸増の三十八万七千五百戸の供給計画しているところでございます。
  44. 谷畑孝

    ○谷畑孝君 そこで、公共住宅主導でひとつやっていただきたいというのが私の意見であります。それにはやはり賃貸住宅というのが特にこれから大きなウエートを占めるようになっていくのではないか、こう思うんです。  次に、私は大阪選挙区をずっと回っておりまして、僕たちが行くのは大体人がたくさん住んでおられるところということで、千里ニュータウンだとかそういう団地などは私の職場みたいなもので、いつもそこへマイクを持ってしゃべりに行くというようなことでございまして、その中で私いつも町を歩いたり見ておるんですけれども、私はつくづく感じるんです。やはり公共住宅に永住できる、自分が死ぬまでそこで暮らせるという、そういう住宅づくり、町づくりが私は大事だと思うんですね。どうしてもマイホームが欲しい、そのためのいわば腰かけであると、今まではそういう意識が強かったと思うんですね。  そこで、私は二つの例をちょっと参考に申しますと、私が経験したことですけれども、ある雇用促進住宅に住んでおられる皆さんからあるとき私にお話がありまして、いわゆる九州の炭鉱がつぶれて大阪にやってきた、そしてもう年は六十を超えてきた、息子は皆出てしまったと。そうすると、雇用促進住宅からいえばこれは法律に合わないものだから、労働省からもうあなた立ち退いてくださいよと、こうしていつも手紙が入ると。そうしたら、割と昔かたぎの人なものですから、ええかげんな人だったら、そんなものほっとけてなもんでいるかもわかりませんけれども、律儀な人なもんだから、もうこれが毎日気になってしようがないんですよ。いつ自分が追い出されるかわからぬ。それで僕らも心配しましてそこへ寄ってひとつ皆さんと一緒にお話ししましょうということで、そうしたらたくさんの人が集まっていただきました。十五名、二十名ぐらい集まっていただきまして、僕がずっとお話をして、心配ないですよ、私ども一生懸命努力しますからということで一時間ほどお話ししたんですが、もうその老夫婦は本当に涙を流していただいて、僕もいろいろな人とお会いしましたけれども、本当に考えさせられたんです。  そこで、確かに法としては、雇用促進住宅ですから雇用を促進するための住宅であってそういうことになるんだけれども、しかしその人に出ていけということはこれは死ねということです。炭鉱を離職して九州から出てきて、そこで人間関係ができて、もう六十を超えてきて出ていけといったってどこへ、知らない町へ行ったってこれはやっぱり僕は問題があると思う。だから、ぜひこれはもう地方自治団体に移管をするとか、あるいはそういう人たちがそこで暮らせるように何らかの形で温かい光を当ててやるということですね。  最近、統一地方選挙で皆どういうスローガンをやっているのかということでポスターを見ておりますと、地球に優しい町づくりとか、あるいは優しさ一番この町でとか、こういうのが与野党を超えてのことしの統一地方選挙のスローガンなんですよ。そうしたら優しい町づくりというのは何かというたら、私はそういう賃貸公営住宅でも基本的には一生涯そこで暮らせる、これが一つ大事だと思う。  二つ目の私の経験は、最近はもう昔つくった大きなところは、千里ニュータウンでもそうですけれども、高齢化なんです。ほとんど子供がいない。老夫婦だけがちょこんと住んでおる。昔つくったものですから部屋は狭い。そうして窓にはいつも黄色い旗が立っている。昔映画でそういうのがありましたけれども、少しそれとは違うんですけれども、その黄色い旗は、いつも元気であれば黄色い旗を出す。そうしたら、皆望遠鏡を見ながら、あそこの家は大丈夫だなと、こういうことになる。そういう町づくりでいいのかどうか。  そこで、私が感じることは、これから公共住宅中心にし賃貸住宅中心にしていこうとすれば、やはり質のよい住宅を提供すべきじゃないか。今までのような福祉政策的なことでは、多少収入が上がってきたらそこを出ていかなきゃならぬ。例えば私どもの仲間のある衛星都市の議員さんも、そこの団地で暮らしておってたまたま議員に通ったら、あんた収入高くなったから出ていけと。出ていけと言われたって、ここに選挙基盤があるのに外へ行ったらまた何言われるかわからぬ、こうなるんですね。そういう意味では、これからの住宅運用の問題にしてもやっぱり変えるべきだ。  だから、例えば公平だということで常にがらんがらんで抽せんするだけでも私はだめじゃないかと思う。やっぱりそこの家族については、一人でも、収入が上がっても住めるように、空き家があったら優先的に二世帯世帯といいましょうか、一つ住宅では二世帯住めないかもわからないけれども、しかしそこの団地で歩いていけるようなところで住む、そういうふうな温かさも私は要るんじゃないか。そうすれば、一生涯この団地で暮らそうかいなということになって、自分たちの団地をもっといわば駐車場をどうするんだとか、公園をどうするんだとか、あるいは子供たちの保育所をどうするんだとか、そういう常に子供がおる団地にすべきじゃないか。そういう意味では、ぜひひとつ住宅政策としてもっと賃貸を重視して、そして福祉というものだけじゃなくて、多少高収入の人でもそういう団地が好きやということにもこれなろうかと思いますが、そういう人には質のいいものもいろいろ含めて私は抜本的なものが必要じゃないか。  いろいろ質問をつくってあったんですけれども、時間がないのでございまして、十二分まででありますから、ぜひひとつその点答えていただきたいと思います。
  45. 五十嵐健之

    説明員五十嵐健之君) お答え申し上げます。  最初に御指摘の雇用促進住宅につきましては、所管外でございますので詳しくわかりませんが、先生指摘のようなお話でありますと、それは公営住宅でお引き受けすべきようなケースじゃないかと思います。先ほど申し上げましたように、できるだけ公営住宅等の公的賃貸住宅をふやしていきたいという方向でやっております。  それから、公営住宅にお住まいの方が所得が非常に上がった場合にもずっとという御指摘があったように考えますが、これはやはり公営住宅の性格、低所得者の方、住宅に困窮している方に対する低家賃住宅として供給するという性格からまいりまして、現在でも募集いたしますと十倍、二十倍という状況でございます。そこの公営住宅に入れない方もおられるということを勘案いたしますと、少し制度的に難しいお話ではないかと思っております。  それから最後に、そこの家に住み始めた場合、公営、公団住宅でありますとかそういう団地の中で住むとき、できるだけ一生といいますか安定して住んでいきたいという御指摘につきましては私どもも基本的に同じ考えでございまして、そういう家族と同居しやすいような制度、もちろん家のつくりもそういった場合に対応した広い家もつくらなければいけないと思っていますし、あるいはコミュニティー広場等もつくっております。あるいは募集に際しましても、今先生おっしゃったような、例えば高齢者の親御さんがその近くに子供さんがおられるので優先入居にしてほしいとか、そういうようなケースについていわゆる倍率優遇と言っておりますが、普通の場合よりは当選率が高くなるような制度をつくるとか、そういうような幾つかの制度で対応しているところでございます。
  46. 谷畑孝

    ○谷畑孝君 もう時間がありませんので、しゃべるだけで答弁は要らないわけですけれども、きのう視察させていただいて、最後にある奥さんがあなた議員ですかということで話をしてみると、やっぱり子供の遊ぶ場所がないんだということをその奥さんは言っていたわけで、私はそういう意味で優しい町づくりを含めてぜひひとつ要望しておきまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  47. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 先日、国土庁からことしの土地政策の方針という小冊をいただきましたけれども、その中で要するに、遅きにという感じもいたしますけれども、土地神話を打破する、それから適正な地価水準を実現していく、それから適正かつ合理的な土地利用の確保に向かって頑張るというような三点を挙げていられるわけでございますけれども、この土地利用具体的な施策とは何を期待していらっしゃるのか、そしてまたこの強力な土地対策推進とは何を期待していらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。  昨年四月十三日に政府税調土地税制小委員会に国土庁が三つの調査資料を提出されていると思います。  第一は、昭和六十三年度で企業の保有する土地の時価総額が約五百十五兆円に達するということ。それから第二は、土地保有移動調査によって、企業の約半分、五〇%が、利用する目的は今現在ないけれども値上がりを期待して土地を買ったと回答しているということ。そして、しかもその土地購入の買い主のうち法人の占める割合が非常に高いという結果が出ておったようでございます。第三は、土地取得調査、昭和六十三年度調査ということでございましたけれども、資本金一億円以上の企業の保有用地のうち未利用地が六・二%で、そのうちの七八%は利用について何ら具体的な計画を持っていないということでございました。  国土庁土地政策に対する取り組みの今後の目標としていらっしゃるものと、そしてなぜもっとこうした調査結果を早く発表してそういう企業の姿勢を正す資料にされなかったのか、その辺のことをお聞きしたいと思います。
  48. 藤原良一

    説明員藤原良一君) こういった土地の所有、利用に関する情報に関しましては、私ども可能な限り年々の調査等を通じて把握に努めておるところでございます。ただ、非常に組織的な制約等もございまして、全国を大規模に全数調査するというふうなことはなかなか今の段階では難しいわけですが、今後さらにそういう方向に向かって努力をしていかなければならないというふうに考えておるわけです。  今御指摘のございました企業事業土地あるいは販売用土地のうちまだ未利用のもの、また未利用のもののうち今後の利用計画について全く利用計画が定まっていない、そういう土地が御指摘のとおり非常に多かったわけでございます。しかし、これらの土地につきましてもだんだんその利用計画を早く詰めなきゃいけないという傾向にあるように私は理解しております。  なお、これらの資料につきましてもっと的確に早くという御指摘はごもっともでございますが、私どもも調査結果は極力公表することにいたしておりまして、先般公表いたしました土地白書におきましてもこういったデータを盛り込ませていただいております。今後もそういう姿勢で臨んでいきたいというふうに考えております。
  49. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 そういうことで始められてこういうふうに公表されたと思いますけれども、先ほど谷畑委員が御指摘になりました国土庁のされております土地の監視区域についてちょっとお聞きしたいと思います。  私も要するに高騰真っただ中の愛知県名古屋市に住んでおりますけれども、この監視区域に、全部指導の対象になっているわけでございますけれども、例えば昨年の八月ごろ以前の指導価格とこの四月、五月現在の価格と全然変わっていないということなんですね、坪単価が。それで、私は名東区という最も値上がりの大きいところに住んでいるわけですけれども、一時は監視区域になることによって三百万、三百五十万していたものが二百五十万と下がったわけで、それは大変いいことだと思うんです。そして、今マンションも二割も下がっている。東京においては土地販売価格も下がっている。実際の取引は下がっているんですけれども、その行政の指導価格というものに何ら、たとえ一割でも下がるのが本来ではないかと思うんですけれども、下がっている様子がないんです。その辺の指導はどうなっているんでしょうか。
  50. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 国土利用計画法によります土地価額の審査におきましては、まず比準すべき地価公示価格、これをベースにしておりまして、地価公示価格の調査時点から届け出時点までの時点修正を行って指導してきておるわけでございます。したがって、例えば地価上昇が鎮静化し横ばいになったとかあるいは下落した、そういう局面におきましては、当然指導する価格も是正しないといけないわけでございます。特に下落局面におきましてはマイナスの時点修正も行わなければならないわけでありまして、そういう観点から昨年六月に、都道府県、政令指定市に対しまして指導通達を発出しまして、直近の地価動向を適切に把握して的確な指導を行うように通達しておるところでございます。ただ、公共団体の対応を見ますと、この通達の趣旨に従って迅速に手直しをしておられるところもございますし、ややおくれておるところもあるというのが実態でございます。  我々、先生の御指摘のように、地価の直近の動向から見て指導価格が少しおかしいんじゃないか、そういうふうな懸念のあるところにつきましては、県とまた情報連絡をよくしまして、県の方を十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  51. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 要するに、路線価も上がりますし、公示価格も上がっていくのが当然でございます。ですから、そういうものを基礎にして監視区域の指導価格を調整されるということは、何ら私たちの意図している価格にはならないと思いますね。  ですから、やはり取引価格というものを前提にするということになると、またこれも問題になると思いますけれども、現実に去年の前半では名古屋市、テレビ塔のすぐそばで三千万で売れたものが今二千万でも買ってくれる人がいないという状況で、非常にいいことではあるんですけれども、二千二百万で売買価格を設定して出したら、そのままするっと二千二百万でおりてきているという状況なんです。それが取引が無効になっているんですね。要するに、買う方にしてみるともうちょっと下がった数字が出るということを期待していたんですけれども、そういうような実態があるんですね。ですから、やはり大幅に上がったところは大幅に下げることは難しいかもしれませんけれども、どこに基準を持っていくかということを早く国土庁として対処されていかないと、本当に私たちが二割、三割思い切って下げていただかなければならないところが下がらないような気がするんですね。  それともう一つは、去年あたりは提出しますと答えが返ってくるのに一カ月なり一カ月半かかったのでございますが、最近、力がありますとあくる日数字が返ってくるという、そんな今の監視区域制度の状況ならば、これは必要ないのではないか。逆に、私ども小さい納税者、要するに相続のために自分のたった百坪の土地を売って対処していかなければならないような人たちにとっては大変ばかげた制度であるような気もするんですが、その辺どうお考えでしょうか。
  52. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 地価が厳しく変動しております際のこういった指導のあり方というのは非常に難しい面もあるわけでございます。  それと、一つは、この監視区域の指導価格と申しますのは、市場で通常成立すると思われます正常な価格、それを著しくはみ出た場合に指導できると、法律制度がそうなっておりますので、ある程度余裕を持った線を引きまして、いわばこの価格以下で取引をしていただきたい、そういう天井価格であります、指導価格は。したがって、指導価格は必ずしも適正な価格とは私どもは思っていないわけです。そういう監視区域の指導価格の性格を十分御説明しながら、よく理解していただいて取引をしていただく、そういうふうに努めたいと思っておりますが、なお指導価格のラインそのものはやはり常に的確に直近の地価動向が反映されたものであることは必要であります。これは申し上げるまでもないことでございますので、そういう点については十分注意していきたいと考えております。  それと、届け出されてから処理までの期間でございますが、法律上は一応六週間以内ということになっておりますが、届け出された方の取引等を考えまして、できるだけ早く処理するようにかねてから公共団体を指導しております。平均で見ますと、時間がかかっても三、四週間で処理されている場合が多いようでありますが、ただ価格等の面でかなり綿密な指導を要する場合には一々第三鑑定に県の方でかけまして、そういう鑑定士の意見を徴しながら指導しておりますのでややかかる場合があると思いますが、これについても迅速に処理するようにさらに公共団体側を指導してまいりたいと考えております。
  53. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 確かにこの監視区域というのは値上がりを抑える意味で取り組まれた制度ですから、下がっていくのに対しては、今後いろいろなそれぞれの施策を踏まえながら対応していただきたいと思います。  それから、今回の土地政策の大きな目玉というんでしょうか、私たちが待ちに待った農地に対する宅地並み課税制度というものだと思います。一九七一年に今回と同じような宅地供給目的に創設をされたものと思っております。しかし、政治的な圧力のもとに、翌年の一九七二年には実施が延期されてしまっております。そしてまた、その翌年の七三年から三大都市圏の特定な市に限って決定したということだと思いますけれども、また自治体補助金で穴埋めをするということで逃れてしまったと。それから、一九八二年に創設された長期営農継続農地制度というのが、十年間農業を継続する場合はこれを免除するということだったと思います。また、指定を受ければ生産緑地制度として課税対象から外されるということもできたという歴史があると思いますけれども、この制度が発足以来二十年目にして、こうした経過を踏まえて課税を逃れてきてしまった宅地並み課税制度が今回やっと日の目を見ることになったわけでございますけれども、一定の経過措置を講じた上でこの長期営農継続農地制度廃止ということによる農地に対する宅地並み課税、多くの国民の共感をおくればせながら受けたと思っております。  しかし、私どものような本当に一生に一度マイホームを取得するために宅地を持つ者にとって、果たしてこの問題が宅地問題の解消につながるのかなという懸念を私は持っております。というのは、三大都市に限ってということになりますと、もう住宅として取得できる価格ではなく、かなりの高値の安定として今取引されているわけですので、サラリーマンの自分の住宅地としての価格には少し手の届かない金額になり過ぎてしまっているのではないかなと思うわけです。  そうしますと、農地としてあった土地が放出されることによって、それを買い取れるのは、また企業とかそれから業者とかそういうところの手に渡ってしまって、そして建物にかなりの土地価格をオンする中で動いていってしまうのではないかなという心配があるんですけれども、その辺に対して国土庁、また建設省の今後の取り組みの所見をお聞きしたいと思います。
  54. 木村誠之

    説明員(木村誠之君) お答えいたします。  ただいま先生からお話しございましたとおり、私ども市街化区域内農地につきましては、やはりこれは保全するものと宅地化するものをきちんと都市計画におきまして区別いたしまして、宅地化するものにつきまして、できる限り私ども一般勤労者の手の届くような範囲住宅として供給されることを期待しているわけでございますが、そのためには何と申しましてもこの農地をミニ開発やあるいは切り売り等によりましてスプロールさせるのではなくて、基本といたしましては、やはり農家御自身の手によりまして賃貸住宅として供給していただくことが現実的であり、また重要ではないかというふうに考えておるわけでございます。  そのような観点から、今回の税制改正におきましても、基盤整備の整った優良な賃貸住宅供給される場合につきまして、経過措置ではございますけれども、大幅な税の減免措置をお願いいたしたところでございます。  具体的に申しますと、都市計画税、固定資産税が当初三年間は十分の一になる等の規定を設けていただいたところでございます。また、財政面におきましても、ことしからこういった農地を活用いたしまして中高層の賃貸住宅供給するような事業に対します新たな関連公共施設に対しての助成制度を設けさせていただいております。さらにこういったことを制度面で今申し上げましたような都市計画あるいは財政、金融面での手当てをいろいろ拡充しておりますが、具体的にやはりこれを動かしていくことが重要だと思っておりまして、そのためには地域の農協の方々の御協力を得て、できるだけ多くの方々の参画を得ていい形での町づくり、いい形での優良賃貸住宅供給へつなげていくことが必要だというふうに考えておりまして、関連の公共団体、農協あるいは関係省庁ともどもに農地の活用に関する支援センターというものをつくることにいたしております。そういったものを活用いたしまして、今先生指摘のような形で一般のサラリーマンの手の届くような賃貸住宅供給へ向けてまいりたいというふうに考えております。
  55. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 そうしますと、市街化農地の宅地への転換に対するのは、要するにその農家が賃貸住宅建てることに重点を置くという今のお答えのようでございましたが、そうなりますと、やはり農協を中心にしてそういう対象者に、今おっしゃったように、固定資産税が減免されるとか、それから新築取得に対する不動産取得税が減免されるとか、それからまた再び、しばらく大した割り増し償却はとれませんでしたけれども、新築貸し家住宅に対する割り増しを大幅にとるとか、公的な金融制度を利子補給も含めてするというようなことをうたっていらっしゃるわけですけれども、早くそういうことをきちっとした指導をしていただきたいと思います。  それに対しましてもう一つ、要するに例えば生産緑地として頑張るという方もあると思いますけれども、そうした生産緑地法案により継続される方に関しましてはきちっと厳しい制限をつけていただきたい。そして、転用の際には自治体が優先的に、どういう方法で買い取るのか、安く買い取るために税の面で免税するのか、そういうことも踏まえてきちっとした制度化を強化していただきたいと思います。  私は、この農地を開放することによって私たちの手元に土地が来ないなということは、私もそのように考えております。というのは、この三大都市における農家というのは都市近郊なわけでございまして、ほとんどの方が兼業で農業以外の収入をかなり多く持っていらっしゃる方が多いと思います。ですから、手放す保証というものは大変期待が薄いのではないかなということは私も思っております。ですけれども、今おっしゃったように、賃貸住宅を大幅に、私も昨日見せていただきましたけれども、一カ月に二十万も三十万も家賃を払うのではなくて、やはり安い家賃でもう少し、四十万の手取りの御家庭で子供さん二人、奥様、四人家族が生活できる程度に家賃が払えるという枠内でするために、やはり税制の面とか行政の面とかいろいろな面でカバーしていただいてふやしていただきたいと思います。  そして、もう一つ私が心配しますのは、乱開発が起きてしまうということを今おっしゃいましたけれども、その前に、やはりしてしまってから後手ではなくて、最初にやはり規制緩和とかいろいろなことも含めまして住宅としてきちっとした対応のできる町づくり、そうした地区計画都市計画というものの指導をしていただきたいなと思うわけでございます。これは今回二十年ぶりにやっとの思いでかち取ったものですから間違いのないように、また農地を出してくれたそうした今まで農業を支えてきた人たちの思い、土地というものは彼らにとっては命でございますので、本当に心の通った町づくりにしていただきたいなと思います。  それからもう一つ、今回の税制改正と土地供給についてちょっとお聞きしたいと思いますけれども、大蔵省土地譲渡益課税について大変強硬な案を出し、三五から四〇%までにしたいということだったと思います。それに対して建設省が昨年、これは平成二年十一月二十三日の日経新聞の報道にありますけれども、「これでは宅地供給が冷え込んでしまう」という強い反発をされたということで、今回一律三〇%になったということのようでございます。一九七六年の譲渡益重課の導入のときにも個人の保有地から住宅供給が大変落ち込んでしまった経過があるということのようでございますが、その辺のいきさつから考えて、今回果たして本当に住宅供給に支障を来すのでしょうか、御意見をお聞きしたいと思います。
  56. 木村誠之

    説明員(木村誠之君) お答え申し上げます。  今年度の土地税制改革につきましては、私ども建設省といたしましては国土庁と連携をとりまして、先ほど来いろいろ御議論がございますとおり、いわゆる土地神話というようなものの打破あるいは土地が持つ有利性というようなものの除却、そういったことを目指しますとともに、やはり私ども先ほど来の御議論にもございますとおり、住宅宅地が国民の手に届くようにするということが重要な課題というふうに考えてまいったわけでございます。そのような中で、何よりも今保有コストが低いということもございますので、国税としての保有税の創設、あるいは先ほど来御議論のございます遊休地に対する課税の強化、あるいは今の市街化区域内農地に対する課税の適正化とあわせまして、譲渡課税につきましてもその適正化を求めたわけでございます。  具体的に法人の譲渡税あるいは個人の譲渡税が御承知のとおり引き上げられたわけでございますが、ただ一般的に申しますれば、譲渡税につきましては、これを強化すれば投機的な取引の防止あるいは不労所得という面のその所得に対する適正な課税という大きな効果がございますけれども、一方でやはり流動性を阻害するという面があることは否定できないと思っております。そのような中で、いかにして優良な住宅宅地供給等との調和を図りつつ、一方で今大変な状況にございます地価高騰あるいは土地に対する神話というものにどう対処していくかという観点から今申し上げましたような取り組みを行ったわけでございます。  先生おっしゃるような四〇%という税率になりますと、これは土地の長期、短期の区分というのが現在ございますわけですが、それをなくするということと同じことでございます。累進税率になっております現状のもとでこの長短区分をなくするということは果たして適当なのかどうか、そういったところについては私ども若干の疑問を持っておるところでございます。
  57. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 長期、短期というのは元来原則の十年に戻すべきだというのが私の意見でございますけれども、今回五年になっているわけですけれども、他の所得課税との公平性を確保するという意味とか、それから土地を資産として持っていたら有利だということを減殺するという観点から見ますと、重課にするということは土地供給がよくなるのではないかなと私は思うんです。建設省の御意見はちょっと私の考えとは違うわけなんですけれども、税金が高くなると土地が出てこないという見解なんでしょうかね。出てこないということですか、売り惜しみをするということですか。
  58. 木村誠之

    説明員(木村誠之君) 先ほど申しましたとおり、税金が高いということは、今先生も御指摘のとおり、一方で投機的な取引を抑制するというような意味での効果は多分にあると思っております。ただ、その率がどの程度であるべきかということにつきましては、高ければ高いほどいいということではない。やはりそれは土地を売る動機を阻害する要因、ファクターとなることは事実ではないかと私ども思っております。もちろんこの点につきましてはいろいろな学説、諸先生方の御見解があることは承知いたしておりますが、過去の実績等を私どもでもいろいろ調査してまいりますと、これはもっとより多くは金融等の問題がございますので必ずしも明確に判断できるところではございませんが、いろいろなデータ等から分析してまいりますと、私どもそういう面もあるのではないか。  ただ、税はそれじゃ低ければ低いほどいいというふうに申しているわけではございませんで、先ほど申しましたとおり、建設省は譲渡益につきましての課税の強化をお願いしたわけでございます。
  59. 前畑幸子

    ○前畑幸子君 土地が出てくるのは税制だけではないことは私も承知しておりますけれども、供給促進政策としての譲渡益課税の軽かったということが土地投機と法人が土地所有をすることを安易にしたということではないかと私は考えております。だから、譲渡益に対するかなり累進的な課税が実効性のある施策一つではないかなと私は考えるわけでございます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  60. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  61. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 土地問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 井上章平

    井上章平君 初めに、この機会を利用いたしましてただいま大変心配されております長崎県の雲仙岳の火山噴火について二、三お尋ねをいたしたいと思います。  新聞等の報ずるところによりますと、雲仙岳の噴火はおさまる気配もなく、昨日は噴出溶岩が火口からふもとの方へ崩落し始めたというような事態になっていると伺っているわけでございますが、その状況につきまして簡単に御説明をいただきたいと思います。
  63. 鹿島尚武

    説明員(鹿島尚武君) 雲仙岳につきましては、昨年七月から地震活動が活発化してまいりまして、火山性の微動が始まりました。十一月十七日に約二百年ぶりの噴火をいたしたわけでございます。本年に入りまして二月、その間やや鎮静化したわけでございますけれども、再度噴火をいたしまして、自来噴火活動が活発化してまいっております。そして、五月十三日ごろからはこれまで観測されていなかった活動、火口直下の極めて浅い地震、そしてまた火山性微動が頻発するようになってまいっております。  御案内のとおり、現在も雲仙岳は活発な活動を続けておりまして、国としても厳重な監視と所要の対応を行うよう努めておるところでございます。  なお、現在、震源は火口直下に集中しているというふうに言われてございまして、震源の移動については認められていないというふうに聞いております。
  64. 井上章平

    井上章平君 二百年前にも噴火がありまして、このときはたしか地震による眉山の大崩壊というのがありました。このために有明海に津波が発生して非常に大きな災害を引き起こしたということが言われております。  それで、お話しございましたが、この噴火に伴う地震発生の状況につきましては、今後の見通しというものは何か把握されておるのでございましょうか。
  65. 鹿島尚武

    説明員(鹿島尚武君) 二百年前の噴火による眉山の崩壊等その地震の経験によりますと、橘湾、つまり西の方からだんだん山へ上ってまいりまして雲仙岳周辺で地震が多発化する、そしてそれが東の方へ移りまして眉山の地震ということで大災害を起こしたというふうに聞いております。  今次の噴火活動に伴いますこの辺の状況につきましては、諸先生方の今調査検討が進められておりますけれども、私どもその後の推移につきまして、大変恐縮でございますが、見通しのあるものはちょっと持っておりません。
  66. 井上章平

    井上章平君 実はかつての被災地は現在もう住宅地等で大勢の方が居住されておるというのを伺っておるわけでございますので、今後の状況なかなか予知しづらいことではございますが、一層注意が肝要であろうと思っております。  それから、既に大量の火山灰が山ろく等に堆積しておりまして、このためにちょっと雨が降りましてもすぐ土石流が発生するという状況で、これはテレビ等でも放映されて私も見せていただいたわけでございますが、この土石流でありますが、これから梅雨期に入るわけでありますし、なお火山噴火が継続するということになりますと大変憂慮すべきことでありますし、それと何分にも手だてとして、ただいまのところまだ人家に直接被害が及んでいないと伺っておりますが、これはやはり警報装置といいますか、特に降雨と連係して避難が可能になるようなシステムが早急に樹立される必要があるのではないかというふうに感じますが、これは建設省よろしくお願いいたします。
  67. 松下忠洋

    説明員(松下忠洋君) 建設省の砂防課長でございます。ただいまの雲仙岳に関する御説明を申し上げたいと思います。  昨年の十一月に雲仙岳が百九十八年ぶりに噴火したわけでございますが、その後の活発な火山活動に伴いまして火山灰の堆積が大変著しくございまして、土石流発生のおそれが予想されたわけでございます。それで長崎県に対しまして、十分調査の上に土石流発生監視装置の設置、それから既設砂防ダムの除石等の対策を行う旨の指導をやってまいりまして、現地調査のために土木研究所の砂防研究室長を現地に派遣したところであります。それから、三月には学識経験者等から成る雲仙岳緊急火山対策検討委員会を開催いたしまして、そこの検討結果に基づきまして、三月二十九日には土石流発生監視装置を二基上流に設置いたしました。それから四月の中旬には、既設の砂防ダム二基の除石を完了しております。  それで、五月に入りましてから十五日と十九日に低気圧の通過に伴いまして水無川に土石流が発生いたしました。この土石流発生監視装置が作動いたしまして、島原市と深江町の住民に避難勧告が発せられまして、十五日には百十七世帯四百六十一人、それから十九日には四百十六世帯千三百二十六人が避難しております。今回は、砂防の工事や河川改修工事の効果もありまして大きな被害には至らなかったということで、不幸中の幸いでございました。  発生後の措置でございますけれども、上流部につきましては既設の砂防ダムの緊急除石を行う、それから災害関連緊急砂防事業によりましてさらに五基の砂防ダムを新設することとしております。それから、下流部で河道の埋塞が生じた区間では、直ちに河川災害復旧事業制度利用いたしまして、応急復旧工事として埋塞土の排除にも着手いたしましたし、水無川の流下能力の確保に努めているところであります。  今後でございますけれども、土石の流下による災害の発生を未然に防止するために、土石流発生監視装置の増設をしたいと思っております。それから、砂防事業等による砂防グムの除石や、災害関連緊急砂防事業等の制度によります砂防ダムの早期完成を図りたいと思っております。それから、下流河道の区間が埋塞した場合には、その都度直ちに河川災害復旧事業に基づく応急復旧工事によりまして埋塞土を早急に排除して河道の流下能力の確保を図る等、諸対策に万全を期してまいりたいと思っております。  なお、来週二十七日には河川局長が現地に赴きまして、現地の調査それから指導を行うということにしております。  以上でございます。
  68. 井上章平

    井上章平君 ありがとうございました。よろしくお願いします。  それでは、地価問題に入りたいと思います。  さきの予算委員会におきまして、ちょうど地価公示価格が発表された時期でございましたので、その結果を踏まえて昨今の地価の動向についてお伺いをいたしたところでございますが、まあ総じて地価は鎮静に向かっておるというふうに御説明でございました。金融、税制等の各種の措置の効果がこれからあらわれてくるのであろうと思いますが、しかし今後の動向につきましても、今後一層地価が下がっていくのか、あるいは一方では、金融緩和が近いのでまた上昇に転ずるのではないかと危惧する向きもあるわけであります。土地神話は依然として健在という説もありますので、こういうことを踏まえて、現在の地価の動向をどのように国土庁として掌握されておりますのか、御説明いただきたいと思います。
  69. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 予算委員会で、平成三年地価公示の結果に基づきまして、昨年一年間の地価の動向につきましては前半までは上昇傾向が見られるところが多かったわけでありますが、後半に入りまして多くの地域上昇は鈍化を始め、横ばいから大阪圏等では下落に転じたということを御報告申し上げたわけでありますが、その後私どもも地方公共団体調査民間の精通者の意見等を聴取しまして地価の動向把握に努めておりますが、ことしに入りましてからも基本的には土地市場の状況には変化は見られない、買い控え等によりまして取引が成立しにくくなっている模様でございます。大阪等ではかなりの下落もしておるようでございますが、ただ、東京圏等ではやはり住宅地を中心とした実需等が依然として根強いものがございますので、今後の地価動向については依然として強含み、予断を許さない、そういう状況かと考えております。
  70. 井上章平

    井上章平君 今次の地価の急騰という事態を振り返ってみますと、このきっかけはあれは昭和六十年代に入ってからであったと思いますが、東京都心部におけるビル需要の急増、それに伴ってビル用地高騰したというところから始まったと言われております。しかし、今日までの地価急騰のその直前はどうであったかといいますと、昭和五十年代後半についてでありますが、これはまさに極めて地価は安定しておったといいますか、むしろ土地住宅需要が非常に停滞した時期であったと思います。当時私もその衝に当たった一人でございましたが、例えば住宅公団の空き家率が一%を超えてこれは大変だというようなこともありました。それから、公団が抱えております未開発土地需要を無視した不良資産ではないかというような御指摘さえあったという事態であります。また、宅地開発公団が住宅公団に吸収されて事業規模を大幅に縮小せざるを得なくなったのもこの時期であったわけであります。  このような時期を経まして、昭和六十年代に入ってにわかに地価の急騰を迎えるわけでありますが、民間のいろいろな調査等を見てみますと、この昭和六十年代に入ってのおよそ五年間の地価上昇は、首都圏でいいますと大体瞬間風速で四倍、現在まで一部鎮静、下落というような現象もあったわけでございますが、大体三倍ぐらいというふうに伺っておるわけであります。しかし、どうもやはり何といいますか、国民の願いであります住宅問題の帰趨とは無関係地価は急騰する、つまり時の経済情勢に大変振り回されてこういう事態が生ずるということであると私は思うわけであります。  したがいまして、今後こういう事態が再発しないようにするにはどうすればいいかということになってくるんだろうと思います。これにつきましていろいろ今日まで土地基本法の制定を初め金融、税制、さまざまな措置が講じられてきたわけであります。これで相当程度の効果が期待をされておるわけでございますが、これにつきまして、国土庁、今後地価の動向あるいはそれに対して、何といいますか、後追いではなくて芽を摘むような形での施策の展開というようなことが必要であると思うんですが、お考えを伺いたいと思うわけであります。
  71. 西田司

    ○国務大臣(西田司君) お答えをいたします。  今回の地価高騰に対する対策といたしましては、これまでも監視区域の的確な運用土地関連融資規制、それから住宅宅地の供給の促進、土地の有効、高度利用等の促進、それからもう一つ東京からの機能分散、そういうことを各般にわたって実施してきたところでございます。このように土地対策推進に当たっては各般の施策を総合的に実施することが大変必要であり、このため去る一月二十五日には土地基本法を踏まえた総合土地政策推進要綱閣議決定をなされたところでございます。現在この要綱に従いまして、税制、金融土地利用計画等について、二度と地価高騰を生じさせないような視点から、制度的あるいは運用面等において所要の改善に取り組んでおるところでございます。  ここで一つ私の意見を申し上げますと、先ほど制度的枠組みということを申し上げましたが、一応地価対策に対しての制度的なものはでき上がってきた、このように考えております。問題はこれからこれをいかに的確に速やかに実施するか、そのことによって今後の土地対策というもの、地価の問題を含めて解決がつくものだと、このように理解をいたしております。
  72. 井上章平

    井上章平君 今回の事態を受けまして、国民の皆様方は地価の動向に対して大変敏感になってきております。地価公示制度以来、地価というものに対する客観的な認識は大変深まったというふうに思いますが、しかし一方では、いろいろな地方公共団体あるいは民間団体でもさまざまな地価情報といいますか、土地のあるいは住宅の需給状況についての情報がいろいろな形で入ってくるわけでありますが、ひとつこれらの国民が大変求めております年間切れ目のない地価動向あるいは土地の需給状況といったようなものをこれら民間あるいは地方公共団体調査も含めて一元的にデータとして入手できるような方法はないものかどうかというふうな思いがするわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
  73. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 閣議決定しております政策推進要綱におきましても、先生指摘のような視点から地価動向の常時的確な把握とその予測に努めることが必要だと指摘しておるところでございます。国土庁としましては、これまでも地価公示、都道府県地価調査のほかに、大都市圏域等におきましては特に短期的な地価動向の把握に努めてまいったつもりでございますし、また必要に応じまして民間の各種機関調査結果についてもヒアリング等を行ってきておるわけでございますが、ただ、土地の需給状況といいますか、取引件数等の推移あるいはその他の経済指標等とも関連させながら地価動向を見ていく必要がございますし、また、この短期的な地価動向調査につきましてももっと広域にわたって充実していく必要があると考えております。そういった短期の地価動向の充実、それと地価動向と取引状況あるいはその他の経済指標との関連、多面的に把握し検討していきたいと考えております。
  74. 井上章平

    井上章平君 それと、地価高騰は日本経済のバブル現象の一つというふうに言われる向きもあるわけでございますが、バブルがはじけたらもとへ戻るというようなことを考えますと、地価が今後どのような水準に収れんしていくのであろうかというような国民の期待といいますかあるわけであります。一方また、もう既に地価が経済の実体を離れた投機のためでありましょうか大変高騰しておりまして、およそその土地としての使用収益から見たらべらぼうな価格になっておるということもあるわけであります。そういたしますと、やはり国としても合理的な地価水準といったものをいずれ設定することが必要になるのではないかというふうに思うわけでございますが、この辺について国土庁のお考えを伺っておきたいと思うわけであります。  一つは、今申し上げましたように、バブルがはじけたらどの辺におさまるのか、これは国民の皆さん非常に関心をお持ちのところでありまして、今買えば高値づかみになるのではないかというような心配をする向きもあるわけであります。その点についてひとつよろしくお願いします。
  75. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 世間では地価にバブルが乗っておる、このバブルの崩壊現象が今進んでいるという話がなされておるわけですが、バブルというのはなかなか正確に定義することが難しいと思うんですが、金余り状況のもとで将来の地価上昇を見込んだ仮需要の増大が一つの大きな原因となって生じた部分、言いかえれば実需以外の投機的または投資的な需要によって上昇した部分や、いわゆる土地利用価値を超えて上昇した部分について、その部分が地価のバブル部分だという見方が世間の見方じゃないかと思っております。私どもも大体そういう考えを持っておりまして、特に住宅地については国民の住宅取得能力の観点からもそういう観察をする必要があると考えておるわけです。  今回の地価高騰によりまして、住宅地については既に東京圏では年収の八倍ぐらいに達しております。これの利用価値に相応するところというのはどの程度までかというのは非常に難しいわけでございます。しかし、少なくとも住宅地については中堅勤労者が年収の五倍程度の負担で一定水準の住宅が確保し得る地価水準、こういった水準が当面の我々の努力目標、そういうふうに考えておるところであります。
  76. 井上章平

    井上章平君 ところで、この地価急騰の最大の被害者は、主にこの急騰をもたらした三大都市圏の一般サラリーマンであると言われております。しかし、考えてみますと、住宅の取得についての要望でありますが、なかなかやはりつかみどころがないといいますか、といいますのは、先ほどちょっとお話し申し上げましたように、この地価急騰の直前の状態を考えますと、住宅公団がいろんなところで団地をつくる、賃貸住宅をつくり分譲住宅をつくりましたが、借り手がない、買い手がないというようなことで大変困った時期があったわけであります。ところが、にわかに急騰という事態を受けて、これは一変して今度は何百倍というような集中して取得要望が出てくるというようなことでありまして、時の地価の状況あるいはその上がり下がりというような動向に非常に敏感に住宅なり土地の取得要望というのが出てくるというふうに感ぜられるわけであります。  したがって、今後この高騰を受けてこれらの三大都市圏の一般サラリーマンの希望を満たすためにどのような住宅政策を展開していくかということは大変重要なことでございますが、新たな住宅取得として需要をどのように見込んだらよろしいのであろうか、あるいは今年収の八倍というようなお話がありましたが、年収の五倍程度が取得可能価格と見た場合に、現在の地価水準がそのまま移行した場合、果たしてそれは供給が可能なのかどうかということについて、これは建設省にお伺いいたしたいわけであります。
  77. 五十嵐健之

    説明員五十嵐健之君) お答え申し上げます。  大都市地域におきます住宅問題の解決のために、国と公共団体とが一体的にこれに取り組んでいくということが非常に大事だということで、昨年の国会でいわゆる大都市法の改正をしていただいたわけでございます。これに基づきましてこの三月に、三大都市圏で十年間に合計七百四万戸、それから宅地でいきますと四万六千三百ヘクタールの供給をしようという方針を定めたところでございます。これを具体化するためには、低・未利用地あるいは市街化区域農地等の土地利用の転換を促進するとか、あるいは土地の有効高度利用を図っていく、そして前国会で成立いたしましたいろいろな税制、それから予算制度、こういったようなものをフルに活用いたしまして住宅宅地の供給を図っていきたいというように考えております。  私どもも、先ほど国土庁から御答弁がありましたように、年収の倍率からまいりますと、やはりおおむね五倍程度というのを目安にいろいろな対策を講じていきたいというふうに考えております。現在でも首都圏でおおむね四千万というのをマンション等で考えますとかなり限られてしまうわけでございます。どうしても南西部の方が首都圏の場合値段が高うございますが、この場合には四十キロないし五十キロから外側に行かないとこういうようなマンションがなかなか手に入らない。東北部の方になりますと、それより少し手前の三十キロぐらいのところで入るわけでございますが、いずれにしても全体で平均的な姿として五倍程度の住宅が取得できるように、先ほど申し上げました基本方針等に基づきまして総合的な施策を展開してまいりたいと考えております。
  78. 井上章平

    井上章平君 ちょっと時間が参りましたので、具体的な住宅対策につきましては次に譲りたいと思います。  ここでひとつお伺いしておきたいのは、四百三十兆円の公共投資計画が本年度から動き出したわけでありますが、やはりその成否を決めるのはこれら公共事業用地の取得にかかってくるわけであります。ところが、その実態を見ますと、公共事業がしばしば景気対策あるいは内需拡大策というふうな形で動いてきましたために、どうしても工事優先、ストックの用地を食いつぶして工事を進めてきたという側面がありまして、用地の手当てが大変タイトになってきている、厳しいというふうに伺っております。  それで、現在公共事業用地の取得状況はどのような状況でございましょうか。とりわけ地価高騰時の用地取得というのは大変難しい問題がつきまとうわけでありますが、この辺を含めて御説明いただきたいと思います。これは建設省
  79. 櫻井知能

    説明員(櫻井知能君) お尋ねの公共事業用地の取得状況でございますが、最迎五カ年ほどを見てみますと、建設省所管事業で見ますと一万ヘクタール前後で推移をしておりますが、最近は事業の伸びに応じまして六十三年度決算で見ますと一万二千ヘクタール余、また建設省直轄事業で見ますと三千ヘクタール余というような状況でございます。ただ、この数字は、まとまった用地それから虫食いの用地全部をまとめましたグロスの数字でございまして、まとまったすぐに使えるような用地のストックの積み増しがなかなかできないというのが現在の悩みの状況でございます。
  80. 井上章平

    井上章平君 用地の先行取得を積極的に進めていくためには、先行取得資金の手当てあるいはとりわけ用地国債制度を積極的に利用する必要があるわけでございますが、この辺十分資金手当てがなされておりますのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  81. 櫻井知能

    説明員(櫻井知能君) 公共用地の取得推進のためには先行取得が大変大事でございますことは先生指摘のとおりでございます。このための法制度といたしましては、国庫債務負担行為によります用地先行取得制度あるいは都市開発資金などによる先行取得制度などがあるわけでございますが、特に国庫債務負担行為に基づきます先行取得は、直轄事業あるいは補助事業の先行取得の重要な柱でございます。この制度につきましては、新たに平成三年度から一括取得する特別の事情があります場合には、道路、街路あるいは大規模な防災公園などにつきまして要件の弾力的な運用が図られるようにいたしたところでございます。  また、平成三年度予算におきましては、おかげさまで前年度比二六・九%増、四千七百億円余の枠が計上されているところでございまして、今後その効果が見込まれるところでございます。
  82. 井上章平

    井上章平君 終わります。
  83. 秋山肇

    ○秋山肇君 土地問題の一つとして保有コストを上げていくということで地価税の創設というのが決まったわけでありますけれども、これを中心にして幾つか問題点をお聞きいたしたいと思います。  五月十四日の日経新聞によると、国税庁土地の評価をよりきめ細かくするため相続税評価の調査地点である標準地を倍増し、路線価地域を拡大する方針を固めたということです。この標準地の課税については固定資産税評価の標準地の半分以下である上、路線価も評価対象宅地の三割程度しか得られていないため、現状に即してきめ細かく設定すべきでないかと過去の委員会においても質問してきたわけであります。そういうことでは大変評価ができる方針だと思います。この方針はさきの通常国会で成立した地価税の導入に際し、土地の評価の精度をより一層向上させようという趣旨と思われますが、土地の評価精度の向上のため具体的にはどのように対応していかれるのでしょうか。
  84. 品川芳宣

    説明員(品川芳宣君) お答え申し上げます。  地価税におきます土地等の評価につきましては、御案内のように、相続税評価を活用することとされているわけでございますが、現在の相続税評価の実施につきましては偶発的かつ個人にかかる税であります相続税及び贈与税を対象にしているわけでございますので、経常的かつ個人、法人を問わず課税される地価税に活用するには必ずしも十分な状態ではないわけでございます。  そこで、地価税の導入に当たりましては、標準地の増設、路線価地域の拡大等により評価精度の一層の向上を図る必要があると考えているわけでございますが、そのためには、平成四年度につきまして現行の標準地、全国で約十七万地点ほど設定しておりますが、これを約二倍程度に増設いたしまして、さらに路線価地域につきまして、現在約四十万ヘクタールを路線価地域にしているわけでございますけれども、これを約五割程度拡大していきたいというふうに考えておりますし、また、各標準地間の評価バランスを確認するために現地調査等についても一層充実していく必要があるというふうに考えているところでございます。  具体的にどのように実施していくかにつきましては、今後各国税局ごとにそれぞれの管内の地価の事情、標準地、路線価の付設状況等に応じて具体的にその標準地の増設数等を決定していく所存でございます。
  85. 秋山肇

    ○秋山肇君 地価税はこれまでなじみのない新税でありますから、申告納税方式による保有課税であり、しかも土地等を相続税評価額によって評価することになっているので、その申告についてどう対応すればいいのか不安を感じている土地所有者も少なくないと思います。そこで、地価税について公平、公正な執行を確保するためにはこのような土地所有者の不安を解消し、納税者の信頼を得ることが基本的に重要であると思います。国税庁としてはこのような観点から、今後地価税の申告に向けてどのような対策を講じるつもりなのでしょうか。
  86. 鍋田利孝

    説明員(鍋田利孝君) お答え申し上げます。  地価税は、先生が今おっしゃいましたように、一定基準以上の土地を持っていらっしゃる方に相続税評価額で申告納税方式によりまして課税されるものでございます。
  87. 穐山篤

    委員長穐山篤君) もうちょっと声を大きくお願いします。
  88. 鍋田利孝

    説明員(鍋田利孝君) そういうことから、基本的には納税者の方が適正な申告と納税を行うことによりまして自主的に納税義務を履行していただくということが期待されるわけでございますが、何しろ地価税は新しい税でございますので、先生指摘のように、納税者の信頼を得るよういろいろな対策が必要であろうと思っております。  こういうことから、その執行に当たりましては税法内容についての一般的な広報、これはもちろんでございますが、納税者の方々に対して説明会を開催して地価制度の周知徹底を図るとか、あるいは土地などの路線価図等の閲覧サービスを充実して評価についての納税者の相談に的確に応じるとか、あるいはその他名寄せの実施等に基づきまして申告なりなんなりを行いまして、個々の申告、納付に当たりまして納税者サービスの実施に努めてまいりたい。こういうことによりまして、地価税につきまして納税者の方々が正しく理解していただきまして適正に申告していただけるようきめ細かく対処してまいりたい、このように思っております。
  89. 秋山肇

    ○秋山肇君 土地の評価に当たって、例えば角地にある土地の場合、画地調整を行って評価額を算出することにしているわけです。この方法は適正な評価額を算出するために採用しているものと思いますが、一般にはそのような方法で評価額を算出することは知られていないと思います。今回、申告納税方式をとるわけで、納税者にとってはその計算一つとってもわかりにくいと感じられているようです。  そこで、私の今皆さん方にお配りした資料に基づいて計算方法を試しに説明していただきたい。  また、画地調整具体的にどのようにして行うのか、納税者に周知するためにはどう対応していくのかお聞きをいたします。
  90. 品川芳宣

    説明員(品川芳宣君) お答えいたします。  先生指摘のように、土地の評価につきましては、市街地にある土地につきましてはいわゆる路線価方式によって宅地を評価するわけでございますが、この場合に、路線に面する宅地の一平方メートル当たりの標準価格、すなわちそれを路線価と称しているわけでございますけれども、その路線価をもとといたしまして、利用単位となっている一画地ごとの宅地を評価していくということになっております。  ところが、それぞれの画地につきましては、一般的には例えば一方のみが路線に面している宅地の価格は、路線から奥行きが深くなるにつれて価格は逓減するというふうに考えられておりますし、また、そういう路線が一方のみに面している場合、あるいは二方に面している場合という、そういう画地の状態によっても利用価値が高い、低いということが言われているわけでございます。  そこで、先生の御配付されております路線の例によって簡単に計算を説明させていただきますが、御案内の計算例では百五十万の路線価がついた道路と百二十万の路線価がついた道路に面している土地、すなわち角地の場合の宅地の評価でございますが、この場合に百五十万と百二十万の高い方の価格を正面路線価、すなわち百五十万円を正面路線価としてとらえまして、これに先ほども申し上げましたように奥行きが深くなるにつれまして価格が逓減するということと、また、これも住宅地区であるとか商業地区であるとか、いろいろな地区によってそういう逓減の仕方が違うわけでございますが、この例でございますと高度商業地区に所在しているということですので、この高度商業地区に応じた、奥行き二十二メートルの場合に応じた価格逓減率、すなわち〇・九六、これは評価通達によって定められておるわけでありますが、この〇・九六を乗じまして正面路線価に対応する基本価額を百四十四万円というふうに計算いたします。これが第一段階でございまして、第二段階は百五十万と百二十万を比較して、安い方の百二十万の路線を側方路線と申しまして、側方に路線があることによってこの角地の価格が逓増するといいますか、価値が上がる、そういう考え方に立ちまして側方路線の加算計算を行うわけでございます。具体的には百二十万に、側方から見た場合の奥行きは十五メートルでございますので、この十五メートルに対応する奥行き価格逓減率一・〇〇、これも通達に定めております。それに対しまして、この高度商業地区に応じた側方路線影響加算率〇・一五を乗じまして側方路線加算額を十八万円、こういうふうに計算するわけでございます。そして、この角地の評価額は結果的には一平方メートル当たり先ほどの基本価額百四十四万円と側方路線加算額十八万円を加えまして百六十二万円、こういうふうに計算するわけでございます。  この角地の計算は、本事例の場合はある意味では非常に単純なケースでございますけれども、路線が三つに接したり四つに接したり、あるいは路線に全く接していなかったり、あるいはこういう長方形等の整形ではなくて不整形であったり、いろいろな場面があるわけでございますが、それぞれの場面に応じてその画地の価格が適正に評価できるようにいろいろな調整を講じているところでございます。  また、このように土地の価格を評価する方法は、先生指摘のように、大変難しい面もあるわけでございますけれども、既に個人に対して課税されております相続税——相続税の場合も申告納税でございますが、そこにおいて定着しているところでありますし、地価税につきましては個人及び法人の双方に対して課税されるわけでございますけれども、相続税の場合と同様に実施できるのではないかというふうに考えているわけでございます。しかしながら、御指摘のように、できるだけ計算が簡単な方が申告納税がスムーズにいくわけでございますし、またこういう画地計算等もできるだけ新しい納税者の方に周知していただく必要があるわけでございますので、先ほども資産税課長の方から説明がありましたが、土地等の評価に関する相談指導、広報等の体制につきましても所要の整備を図りまして、こういう画地の計算あるいは申告が円滑に図られるよう対処してまいりたいと思いますし、またこういう路線価図等は現在所轄の税務署に行けば閲覧できるわけでございますが、そういう閲覧できる路線価の範囲等も全国的にできるだけ一元的に見られる範囲を多くするよう、そういう閲覧制度についても今後十分配意して申告納税の便宜に供したい、かように考えているところでございます。
  91. 秋山肇

    ○秋山肇君 今の説明で、一番簡単な図面を出しておきましたから、先生方おわかりになったと思いますけれども、実際にはこんな格好のいい地所ばかりがあるわけじゃないので、この計算というのはなかなか難しいし、また路線価だけが全部やられているわけじゃないから、固定資産税評価の倍率方式のところも多いわけですね。ですから、今度の地価税の評価に当たって個人納税者は専門家である税理士に委託するケースがほとんどだと思うんですね。その場合の税理士に対する報酬は、資産評価事務が複雑なこともあり、かなり高額になっておるわけであります。地価税を申告する場合の報酬に関してはどのくらいになるのかわかりませんが、この報酬に関して、法人の場合はもちろん経費算入はできると思うんですが、個人の場合についてはどのような取り扱いをお考えですか。
  92. 品川芳宣

    説明員(品川芳宣君) お答え申し上げます。  御指摘のように、個人の地価税の申告に当たりましては、先ほど申し上げましたような土地の評価を個々に行いまして、所定の課税価格の計算を行って申告していただくわけでございますが、先生指摘のように、この場合にいろいろと個人で計算しがたい場合には、専門家である税理士に御依頼されることになろうかと思います。その場合の税理士の報酬につきまして、先生おっしゃるように、法人税の場合はそのまま損金の額に算入できるわけでございますが、個人の場合には、個人の業務上保有する土地等に係る部分につきましては、その業務の所得の金額の計算上必要経費に算入することができるということになっております。しかしながら、それ以外の土地等に係る部分につきましては、家事費等と同様に必要経費には算入できない、そういうことになっております。
  93. 秋山肇

    ○秋山肇君 土地の評価方法は、さっきも言いましたように、いろいろな形、奥行き逓減があったり、低いところは低いところの逓減があったり、また先ほどの角地の加算もあるわけですけれども、最初に地価税の計算がきちっとしている——相続税は一生に一度しかなかったわけですよ。一度しかなかったからそれで一回で済んで、その計算方法が多少間違っていたかどうかは別として、税務署をクリアすればそれで済んだわけですけれども、今回はこれが毎年続いていくわけでしょう。そのときに最初の計算が間違っていて、次のときに今度は申告をやり直したときに、多くなったら当然多く税を払わなきゃいけないんでしょうし、計算によって少なくなったらという場合もあると思うんですよ。どっちから取るかとか、いろいろ計算のやり方は、これは専門的になると一々それぞれの個人あるいは法人のところによってかなり違うと思うんですが、そういうことからすると、相続税と同じだということじゃなくて、何かもう少し簡便な評価方法というのかな、何かひとつ考えられないものでしょうか。どうですか。
  94. 品川芳宣

    説明員(品川芳宣君) お答え申し上げます。  先ほども御説明申し上げましたように、地価税におきましては、先生も御指摘のように、申告納税方式がとられまして、その税法仕組みにおきましては、納税者がその所有する土地の価格、すなわち地価を自分で評価して申告するという、そういうことが大原則になっているわけでございますが、しかしながら土地の価格というのは算定が非常に難しいわけでございますので、実務的には先生指摘のような路線価方式あるいは固定資産倍率方式という形で、どういう路線価を使い、どういう倍率を使えば自分が所有している土地の価格を評価することができるという、そういう仕組みになっております。また路線価または倍率につきましては、納税者の方の便宜に配慮いたしまして、先ほども申し上げましたように、各税務署、各国税局で閲覧に供して、できるだけそういう便宜にも配慮しているわけでございます。  それで、こういう路線価方式あるいは倍率方式によってもなおかつ土地の評価計算が非常に難しいという、そういう御批判もいただいているわけですし、また先ほど説明申し上げましたような現在の幾つかの調整計算等につきましても、最近の土地利用形態に必ずしもマッチしていないのではないかという御指摘もいただいているわけでございます。そういう状況でございますし、また先生の御指摘のように、地価税は経常税として毎年課税されるという、そういうこともいろいろ考慮いたしまして、現在適正な土地評価を維持することは大原則でございますけれども、その中でできるだけ簡便的に計算ができる方法等についても検討させていただいているところでございます。  なお、先ほども御指摘させていただきましたけれども、土地等の評価に関する相談指導、広報等の体制、さらにはこの路線価の閲覧等に関しましても、従来相続税で一生に一度の税ということで必ずしも多くの人のそういう需要がなかったわけでございます。ところが、今度地価税の課税ということで納税者も非常に多くなりますし、課税の対象になる土地も非常に面積的にも金額的にも多くなるわけでございますけれども、今後できるだけそういう申告納税がスムーズにできるように、所要の整備を図って円滑な評価と申告ができるように努めてまいりたいと思っております。
  95. 秋山肇

    ○秋山肇君 今の説明の中で、もう一つ借地権割合がありますね。借地権割合が今の路線価地図に書いてある。ああいうことも今度はかなり毎年のことですから、貸し地を持っている人たちは税務署の路線価のあのままでぼんといって果たして納得した納税ができるのかどうかという問題がやっぱりあるんじゃないか。これは答えが出てこないでしょうから、私の方の問題点として今指摘をしておきます。  もう一つは、この地価税を土地の所有者の立場からは単なる新たな負担と見るべきではなくて、むしろ地価税創設を契機として自分はどこにどのぐらいの資産価値の土地を有しているのかを自覚することにより土地保有に対するコスト意識に立った真の土地有効利用が可能になるとして、積極的に持っている人も受けとめるべきだというふうに思うんです。私は地価税創設の意義というのはそういうことだというふうに思っているんですが、大蔵省はどのようにお考えですか。
  96. 黒田東彦

    説明員(黒田東彦君) ただいま委員が指摘されましたとおり、この土地保有のコスト意識という点は非常に重要な点であるというふうに考えております。  実は昨年秋に政府の税制調査会が「土地税制のあり方についての基本答申」というものを取りまとめまして、これに沿いまして地価税が今回創設されたわけでございますが、この答申の中におきましてもこのように言っております。「人件費、金利、在庫などのコスト節減には世界的にも最も敏感な日本の事業者土地の保有に関してはほとんど節減という意識を持たない」という、いわば土地の保有についてのコスト意識の欠如といった点を指摘しておりまして、保有コストを高め、あるいは保有コストに対する認識を持っていただいて、土地の所有にはやはりその土地の適切な利用が伴うといういわば土地基本法の考え方を踏まえまして保有コストの認識を高めるということを指摘しておるわけでございます。  したがいまして、まさに今回の地価税税率の〇・三%というものにつきましていろいろな御議論があったことは事実でございますが、ただいま御指摘のとおり、そういう議論も含めまして土地の保有にはコストが伴う、その保有コストを土地を持っておられる方々に認識していただくという意味で意義があるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  97. 秋山肇

    ○秋山肇君 最後に、大臣にお聞きいたしますけれども、今のように土地の保有コストということを持っている方が認識をされる、これに関連しましてこの地価税が当初の目的どおりに推進され、その効果を発揮することが望まれるわけですけれども、土地問題を解決するには地価税の導入だけではもちろん不十分であり、他の諸制度との効果的な連携が必要だと思うわけです。  また、何といっても土地政策には土地高度利用有効利用の視点が不可欠だと思います。高度利用をせず土地を保有している場合はコストを高め、そのかわり公共のために土地を提供する場合はその内容に応じて減免措置を講じ、さらには土地高度利用を妨げているいろいろな規制を緩和する、このように土地税制とその他の土地関連施策を連動させることが今後長期的な視点に立った土地対策となり得ると思うんですが、大臣のお考えをお聞きして質問を終わります。
  98. 西田司

    ○国務大臣(西田司君) 既に先ほど来いろいろと御議論がございますように、土地対策を進めてまいりますためには、総合的な施策というものが実行されないとその効果を上げることができないと考えております。総合土地政策推進要綱の中にもそのことを明確に方向を示しておるところでございます。今回の土地税制の見直しにおきましても、地価税の創設に加えまして、公共用地の確保をしていく、そして優良な住宅地の供給等を政策的に誘導していく、そういうことが必要だと考えておるわけであります。  それからまた、細かいことでございますけれども、土地譲渡に対する軽減特例の拡充や遊休土地転換利用に対する促進地区として都市計画決定された区域内の一団の土地については特別土地保有税を課すといったような問題、都市計画と連動した遊休地課税の強化等があるわけでございます。  このようなことを今後とも総合的に実施をいたしまして土地神話の打破を図り、適正な地価水準の実現を目標といたしまして、税制あるいは金融、ただいま御指摘になりました有効、高度な土地利用計画、そういうことを総合的に進めていくことが最も必要である、このように考えております。
  99. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほど井上委員の方からも長崎雲仙・普賢岳の問題が出されておりました。私もこれで少しだけお聞きしたいと思うんですけれども、先日私も雲仙岳へ行ってまいりまして付近の状況も見てまいりました。砂防ダムが何カ所かできておりまして実際に機能しているようでございまして、非常に粘着力の強い火山灰というのですか、雨になると勢いよく流れるのですけれども、乾くと一変して石のようになる火山灰でございまして、もしこれが下まで流れることがあったら被害はかなり大きいだろうなということも感じました。また、砂防ダム関係で新規の起工式を行ったばかりでございまして、それからこういう状態に今なっておりまして、実際行ってみて、これでもし大きな噴火なり土石流の問題が出たときに対応できるのかなというやや心配な面も実際行ってみてございました。  現在緊急に対策されていることについてぜひお聞きしたいし、また先ほどちょっとお話があっておりましたけれども、そういう対策についても早期にということをぜひお願いしたいと思って、まずその辺についてお聞きしたいと思うんです。
  100. 鹿島尚武

    説明員(鹿島尚武君) 国土庁におきましては、五月十八日でございますが、災害対策関係省庁連絡会議というのを開催いたしまして、それぞれ所管で実施をいたします施策につきまして、今後緊密な連携体制を保ちながらこれを実施していこうということを申し合わせいたしてございます。  その中でまず第一に、雲仙岳の観測、監視の体制についてでございます。従来から気象庁等におきまして常時観測を行ってまいっておりますけれども、昨年来の火山活動の活発化に伴いまして、関係機関の緊密な連携を保ちつつ体制を強化して厳重な監視を続けることといたしております。そしてまた、火山噴火予知連絡会を開催し、観測に基づく迅速な情報発表等の対応を今日まで行ってまいっております。  次に、火山灰の大量堆積に伴う土石流の対策でございます。既にワイヤーセンサーによります火山泥流監視装置を設置いたしております。砂防ダムの緊急の除石も実施いたしました。それから河道の埋塞に対します応急復旧工事、これを取りのける工事を実施しているというような状況にございます。  今後の緊急対策といたしましては、既設の砂防ダム五基の緊急除石を実施する、それからまた泥流監視装置を増設する、それからまた砂防ダム、治山ダムの増設を行うというようなことといたしてございまして、このダムの関係につきましては一部着手したところでございます。今後、対策の推進を図るべくさらに努めてまいりたいというふうに考えております。
  101. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 おっしゃったとおり一生懸命やっていただいているという現状を見ましたんですけれども、特に本当にお願いをしておきたいのは、一生懸命国の方でやっていただいているんですけれども、行政自体も少し心配な面を抱えていたり、さまざまな行政分野にかかわる問題でもございます。特に早く早くということで、砂防ダムの関係については先ほど建設省の方からもなるべく早期にというお言葉があっておりましたけれども、ぜひその早期ということを言葉だけじゃなくて現場で見える形で進めていただきたい。起工式をやっていると、きれいにそこはもう山が開けておりまして、かえって起工式やったがために少し岩石が川底に沈むような状態を見ると、あれ何やっているんだという感じに逆にとられたりしているんです。そういうのを見ている方もいらっしゃるので、ぜひこれは早期にということを心からお願いしたいということでございます。  それでは、きょうのテーマであります土地高騰の問題その他について何点かお伺いをしていきたいと思います。  私がぜひお聞きしたいなと思ったのは、一つ土地高騰の原因になっておるとも言われています土地利用計画のまだまだ不備だなと思う点でございます。総合土地政策推進要綱でこの土地利用計画整備・充実というのは一つの柱でもございまして、特に地区計画制度の積極的活用推進というのが要綱の中にも盛り込まれたと思います。  地区計画制度につきましては、建設省の方で西ドイツのBプランをもとにして十年前から既に始められているんですけれども、別の委員会でも私指摘したことがあるんですけれども、地区計画の策定数が十年たってもなかなか進まない。私が知っている範囲では平成二年の三月末の時点でまだ全国でたしか五百三十二カ所と聞いております。後で数字も教えていただきたいんですけれども、特に市街化区域に占める割合が一・三%しかないというようなことを聞きまして、なかなか進まないなということである意味では非常にショックを受けたような次第でもございます。  少なくともドイツにおきましてはこれは義務づけをしております。義務づけをしたためにどうなっているかというと、現在の策定状況は市街地の五割程度まで達しているというふうに聞いております。同じように考えまして、我が国では十年でまだ一%しかできていないという現状ですから、ドイツ並みになるためには五百年かかるような計算になるわけですね。これじゃ余りにちょっとひどいなと思うわけでございます。やっぱり一番大事なことは、地価の問題もございますけれども、いかに良好な市街地の形成をしていくか、それがある意味では地価対策にも私はつながっていくと思うんです。  我が国でなぜこういう地区計画の策定がなかなか進まないのかということについて、その原因について建設省ではどこにあるとお考えなのか、聞かしていただきたいと思います。
  102. 林桂一

    説明員(林桂一君) お答えいたします。  先生の御指摘のように、地区計画の我が国におきます策定状況につきましては、この制度が昭和五十五年にできましてからこれまでの間、平成二年三月末現在でございますが、全国二百十三市区町村において五百三十二地区一万七千ヘクタールにおいて策定されておるわけでございますが、これは市街化区域の面積百三十六万七千ヘクタールの一・三%に相当するものでありまして、最近のこの地区計画の策定状況を見ますと急速にふえてきているところでございます。例えばこれは平成元年度におきましては百十以上の地区が増加しているというような実態でございますので、近年におきましてはこれが増加しているということではございますけれども、まだまだその普及の数字は低いというふうに判断しております。  なぜこのように低いのかという御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、まだ制度創設から日が浅い、十年たっているという御指摘でもございましたが、またドイツのBプランが都市の大体三割から五割ぐらいをカバーしているという御指摘、私どももそのように認識しておりますが、これもたしか一九六〇年ぐらいにできました制度でございますので、かなり三十年近く経過している中で都市計画の担当者の大変な御努力によってこの程度の普及になったというふうにも聞いているところでございます。いずれにしましても、我が国においてもようやく十年ということでございますのでまだ日が浅く、そのために住民へのPR、住民の理解も必ずしも十分でなかったということもあるかと思います。  また、市町村のこれに関します熱意等についても、公共団体によってかなり差があるという実態もあるわけでございます。また、熱意があっても行政スタッフ等についての不足の状況というものもありまして、なかなか普及していなかったというのが現状ではないかというふうに考えております。
  103. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 やはり日本で進まない理由の一つというのは、ドイツの場合、地区詳細計画の策定というのが市町村に義務づけられておりますね。日本の場合は、これについてするしないというのは、今おっしゃったように、市町村の自由になるわけですよね。その辺がいつもこれがなかなか進まないという理由じゃないか。同様に考えると、確かに三十年かかってドイツは半分までいったとおっしゃるけれども、じゃ日本においてそこまで進め得るかなということになると、そういう条件の違いが余りに大きいですからなかなか難しいのじゃないかというふうに考えるんです。私も即座に市街化区域について全部義務づけろというのはいろんな問題があってなかなか難しいと思っております。  ただ、一回指摘したこともございますけれども、例えば新しく都市を、都市というか、開発をして住居地をつくるとか、新開発地域とかに限定するとか、良好な住宅を保全することに関してだけとか、何か立て分け方というのを考えていけば、私はその義務づけというのも可能なのではないかというふうに思っておるんですけれども、その辺いかがでしょうか。
  104. 林桂一

    説明員(林桂一君) 現行の都市計画法上、地区計画につきましては、おおよそ都市の要件を満たす三つの地区につきまして地区計画を策定するものとすると、市町村に対して責務を課しているということはあるわけでございます。  その三つの地区について簡単に御説明しますと、先生指摘のありましたような大規模な新規の開発事業等が行われた地域あるいはその行われる予定の地域につきまして、そのような地区計画を決めまして適切に規制、誘導を図っていくというようなことが一つあるわけでございます。そのほか、スプロールのおそれのあるような区域とか、あるいは既にすぐれた居住環境が形成されているようなところでの保全の必要な地域とか、そういったようなところにつきましては、市町村が積極的に地区計画を定めることが要請されているわけでございます。  しかしながら、現実には先ほど申しました状況にとどまっておるわけでございますが、ただ先生の御指摘ではございますが、この地区計画につきましては建物の形態等について非常に細かいところまで決めるということでもございますし、その作成の過程ではやはり地域あるいは住民のコンセンサスというものを前提にしないとなかなか策定ができないということでもございます。そういう意味で、市町村に一律にこれを義務づけるというふうなことにつきましては難しい面があろうかと思います。  しかしながら、この地区計画の普及を一層進めますために、その促進策についていろいろ施策を講じていきたいというふうに考えておるところでございます。
  105. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ地区計画の問題でお聞きしたいと思っておりますのは、地区計画をつくるときに、海外の場合、ドイツとかイギリスの場合は都市計画中心に置いて地区計画というのをつくっているわけですね。日本の場合はどうしても地域制というか、ゾーニング制度に重点を置きながらこの地区計画制度をあわせて実施するというような手法をとっているわけですね、形としては。ですから、いずれにしてもこのゾーニング制というのが日本の都市計画では今後とも重要な働き、役割を果たすことになるわけですね。  ただ、ゾーニング制ということで考えて都市計画を見ていった場合に、また特に今回の地価高騰に照らしてみても、現行では原則八種類の大枠用途規制を基本とする都市計画制度、これではやっぱり実効が上がらないというような話も実際にございました。ある意味じゃ、都市計画をきちんとやるためには、この大枠用途規制が八種類でいいのか、やはりもっと詳細な区分が必要じゃないかというふうに私自身思うんです。  この都市計画制度のあり方については、現在都市計画中央審議会、それから建築審議会等で審議が進められておりまして、一部報道では住居関係の用途地域については現行の三種類から六種類に細分化するということに方針を固めたというふうな報道もございましたけれども、この都市計画制度の見直しについて建設省がどのような御見解を持っていらっしゃるのか、また今後、審議会でどのように進められて答申を受け、法改正等、今後のスケジュールについてもあわせてお尋ねしたいと思います。
  106. 林桂一

    説明員(林桂一君) 我が国の都市計画制度の中におきます土地利用規制は、先生の御指摘のように、用途地域中心にして土地利用規制を今まで行ってきたということがあるわけでございますが、この用途地域は八種類の用途地域を持っております。しかしながら、八種類の用途地域以外に例えば特別用途地区、これは公共団体がその規制内容を自由に条例で決められるという制度でございますが、種類といたしましては、これはやはり六種類という特別用途地区がございます。また、先ほど申し上げました地区計画制度によりまして、地区のレベルにおきますきめの細かい用途なりあるいは形態等の規制もできるような制度的な仕組みになっているわけでございます。全体の運用を円滑に行うことによりまして、かなり多様な規制需要に対して対応できるような仕組みとなっているというふうに私どもは理解いたしてはおります。  ただ、このような制度ができましてから基本的にもう二十年の時期を経過している。その間いろいろ経済社会の状況も変化が見られるわけでございますので、新しい時代の市街地像に的確に対応するような用途規制の見直しというようなことも必要になるというふうに理解しておりますし、また現実の最近の地価高騰等の状況の中で、都心及びその周辺地域におきまして商業・業務系の土地利用が住居系の土地利用を圧迫するというような弊害も見られているところでございますので、この際用途規制につきまして見直しをするという趣旨で、本年の一月二十三日に都市計画中央審議会に、経済社会の変化を踏まえた都市計画制度がいかにあるべきかという諮問を行っているところでございます。それで現在審議中でございますが、約一年くらいかけまして検討を行っていく予定にいたしております。
  107. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この問題は国土庁の方でも土地政策審議会の今後の主要な検討テーマとして土地利用計画整備・充実というのを掲げていらっしゃるわけですけれども、そうなると、都市計画中央審議会がどういう結論を出してくるかという問題もございますけれども、ともかくどんな形で建設省との間で検討内容調整というのができているのか。一方で新聞にそういう用途地域の変更みたいなやつがぽんぽん出てくる現実もございますし、国土庁ではどんな調整をしながら今やっていらっしゃるのかというのをお聞きしておきたいと思います。
  108. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 土地政策審議会におきましても、今後の個別具体の審議事項といたしまして土地利用計画の問題と開発利益の還元の問題、さらには土地情報整備の問題、そういったテーマを御審議いただくということで鋭意準備を進めておるわけでございますが、土地利用計画につきましては、要綱にもございますように、計画の広域性、計画の詳細性の確保、マスタープランの充実、そういったテーマが特に重要な課題ではないかというふうに考えております。  特に国土庁関係では国土利用計画法に基づく国土利用計画というのがございます。また、大都市圏整備計画等もございますので、広域計画につきましては、広域に関する計画内容の充実、策定プロセスの改善、計画の実効性の確保、そういった視点を重視して御審議を願えるのではないか、そういうふうに期待しておるわけです。  また、マスタープランにつきましても、それぞれ都市なり地域のあるべき姿を明示するとともに、個別計画相互の整合性の確保とか、あるいは適正な土地利用の実現のための誘導の指針としての役割が期待されておるわけでございますので、このマスタープランにつきましても、具体計画内容をどう充実するか、策定のプロセスや計画の実効性の確保、こういったことについて御審議いただきたいと考えております。  なお、計画の詳細性の確保は、これは基本的にはそれぞれ都市計画等個別具体計画にゆだねなければならないわけでありますが、私どもも土地利用規制地価との関係、あるいは規制の変更が地価に与える影響、あるいは規制土地供給関係、そういった視点に特に関心を持ちながら御審議を願えればどうかなと、そういった点で今検討段階でございます。十分建設省の方とも調整をとりながら進めていきたいと思っております。
  109. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 お話を聞くと抽象的でよくわからないわけですね。ぜひこういう問題のときに調整をしていただく、この土地問題全般にわたりますけれども、そのことをお願いします。  建設省にもう一つお伺いしておきたかったのは、先般静岡県の掛川市で生涯学習まちづくり土地条例というものができまして、なかなかユニークなものでございます。独自に土地利用規制を行うものでございます。中身については十分御存じでしょうから省略いたしますけれども、土地問題について地方自治体が独自な観点からこういうある意味では徹底的な住民参加型というのをつくり出したわけですね。この掛川市の条例というものについて、建設省御自身はどんなふうに評価しているのか、もしくはこういうところは建設省として好ましくないと考えているところがあるのかどうか、その辺があれば両面をお伺いしておきたいと思います。
  110. 林桂一

    説明員(林桂一君) 掛川市におきまして生涯学習まちづくり土地条例が制定されておりますけれども、これの内容を拝見いたしますと、市長が特別計画協定促進区域というものを指定する。そうしますと、その区域の中におきます住民、地権者が主体となってまちづくり計画案を策定することが義務づけられる。それから、さらに市長との間で当該計画案を推進するためのまちづくり計画協定というものを締結することができる。そういたしますと、その協定が締結された区域内において協定に基づく土地利用が図られるように市が規制、誘導を図ることとするというような内容になっているというふうに承知しております。  それで、都市計画上の観点からこれを拝見いたしますと、第一番目に特別計画協定促進区域というものを定めまして、住民や地権者に対してまちづくりの計画案の策定を義務づけているという点が大きな特色ではないかというふうに考えられます。また、まちづくり計画協定に基づきます土地利用規制につきまして、その規制内容が例えば権利の異動の届け出等も含みます多様なものになっているということも特色ではないかなというふうに考えておるところでございます。  それで、特にこのうち住民や地権者に対してまちづくりの計画案の策定を義務づけていることに関しましては、地域住民の意見の反映の一つの方法として評価できる面もあるのではないか。ただ、これを全国的にできるかどうかという面もありますが、公共団体におきます一つの工夫として評価できる面もあるのではないかというふうにも考えておるところでございます。  先ほど申しましたように、都市計画中央審議会に対しまして現在諮問をいたしまして、都市計画制度につきましては幅広く検討をしております。その中で地域に密着した土地利用計画についての策定の推進方策というものを私ども考えておるわけでございますけれども、そういった議論の中でもこのようなことを一つの参考として検討していきたいというふうには考えておるところでございます。
  111. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 だから、自治体が一生懸命やろうと思ったら義務づける形でできるという一つのケースだと私は思うんですよ、やり方はともかくとして。そういうところもあるということをぜひ知っていただきたいし、そうすれば、建設省も本気になってやればできないことはないと思うんですよ。そういう例だと思うので私は非常に評価しておりますし、逆に言えば、先に自治体から取り組み始めたというある意味では深刻さもぜひ受けとめていただきたいなと思っております。  それでは、次に地価公示制度の問題で、午前中も少しお話しになっておりましたけれども、実際に土地が一部下落しているというような場面が出ております。こうした中で、例えばこの前のように実感として下がっていると思っていながら、全国平均で一一・三%上昇という公示価格が発表されるというのは、いかにもタイミングが悪くて地価の引き下げにも水を差すようなことになるのではないかと私は思いました。もちろん公示価格ですから公表しないわけにはいきませんけれども、逆に言えば、今のように地価が急速に下がっているような局面では、地価鑑定のあり方とか公表の仕方に工夫を凝らして、例えば土地の収益性を特に重視して鑑定するやり方とか、下落の著しい地域については四半期ごとぐらいに少し細かく区切って土地動向を発表するというような措置を講ずることが必要なんだろうと私は思うんですけれども、新たな事態を迎え、この辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
  112. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 確かに御指摘のような点がございます。そこで、私どもといたしましても、地価の変動が著しい地域におきましては少なくとも四半期ごとぐらいに地価動向調査し公表することが望ましいと考えておるわけです。今回の地価公示におきましても、三大都市圏につきましては四半期の動向を、昨年後半の四半期でございますが、調査したわけでありますが、さらに一定の地方都市についてもそういった試算を試行的にやらせていただきました。今後は調査地点等もふやし、短期動向の調査を充実していくように努めていきたいというふうに考えております。  それと、収益価格の公表の問題でございますが、御案内のとおり、地価公示に与えられております使命は、一般の取引の指標にすることあるいは公共用地を取得する際の基準等にすることでございまして、あくまでも自由な取引が行われた場合に通常成立するであろうと思われる正常な価格、そういうものを公表しなさいということになっておるわけです。その際、もちろん取引事例あるいは収益還元法や原価法、そういった三つの方法を勘案しながら行うことになっておりますが、それぞれ各地点ごとの地価公示価格に合わせて試算した収益価格を公表しますと、今でも公的評価は一物三価とか言われて非常に紛らわしいところがございますので、一地点ごとにそういう収益価格を公表するということはなかなか難しいことだと思います。ただ、閣議決定いたしました要綱あるいは土地政策審議会の答申でも、「市場において土地利用価値を超えた値付けがなされている場合にはその実態を明らかにする」見地から、一定の地域単位で平均的な収益価格を示して地価上昇に警鐘を発するべきである、そういうふうな指摘をいただいておるわけです。  そこで、私どもの方でつい最近試算を行ってみました。これは幾つかのゾーンを選んでの限定的な試算でございますが、その結果、既に本年四月国会に報告いたしました土地白書におきましても御紹介申し上げたわけであります。大ざっぱに言いますと、東京の代表的な商業ゾーンであります銀座あるいは事務所ゾーンの代表的な地域であります丸の内では八割程度、周辺商業地や住宅地におきましては、地域によって異なりますが、五割から七割と比較的大きな幅があったわけです。ただし、この試算はあくまでも限られた試算で、一般的にこれを使って何らかの意味を見つけ出すというのは今のところ無理と思いますが、今後さらに充実させまして、地価高騰の際の警鐘としてこういった指標も使ってまいりたいというふうに考えております。
  113. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、収益価格の問題について土地白書を引かれておっしゃったんですけれども、私は正直言ってこの土地白書の性格の問題については不満です。たしか昨年十月の土地政策審議会の答申の中では、「一定の地域においては、平均的な収益価格を示すことによって、市場において土地利用価値を超えた値付けがなされている場合にはその実態を明らかにする方法を確立することが望ましい。」という指摘があったわけですね。これを受けるならば、本当は収益価格をきちんと公表すべきであるのに、いろいろな難しい問題があったとおっしゃいましたけれども、何かわけのわからない何割程度というふうなことでしかやっていない。本当に情報を公開してきちんとされるというのであれば、おくれた段階でもいいですけれども、それを私はやっぱり収益価格という形できちんと出されるべきだろうというふうに考えます、この問題については。  もう時間がございませんので、最後に大臣にお伺いしたいのは、先ほどもちょっとおっしゃっていました土地情報の問題です。いろんな面で土地の情報をきちんと知らせることがある意味では一番今の国民のニーズにこたえることになるとも思います。ぜひこの土地情報についての整備というのに国土庁として取り組んでいただきたいし、現在、国土庁として土地情報整備についてどのようなお考えを持っていらっしゃって、どう取り組もうとされているのかを最後にお聞きして質問を終わりたいと思います。
  114. 西田司

    ○国務大臣(西田司君) お話がございましたように、土地政策土地対策というものを進めていきます上には的確な土地情報というものを把握いたしておりませんとこれが進みませんし、また、総合的、系統的にこれを組み立てていかなければいけない、こういう基本的な考え方を持っておるわけでございます。  そこで、国土庁といたしましては、土地政策に必要な土地情報というものの範囲はどういうものであるか、あるいは土地情報管理システムというものはどうあるべきかというようなこと、それからもう一つ、詳しい土地情報というものを国民の皆様方に提供をしていかなければいけない使命がある、このように考えておるわけでございます。  そこで、現在、土地政策審議会におきましても、ただいま申し上げましたような問題をどのように組み立てて、そして土地情報を把握していくか、その中から土地政策というものをどう進めていくかということのもとにしたい、こういうことで、私の方で最も重要視して取り組んでおることでございます。今後努力をしてまいります。
  115. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  116. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間が短いですから、答弁もひとつ簡にして要を得るようにお願いしたいと思います。  地価高騰は、大都市やその周辺のみではなくて、過疎と言われている地域でも、特にリゾート法の成立以後乱開発が進み、自然や環境の破壊、それとともに地価高騰が進んでいます。また、自治体行政にも大きな困難をもたらし、住民生活にも大きな影響を与えています。きょう取り上げる問題は、このリゾート法以前から乱開発が始まりました一つの典型として、新潟県湯沢町のマンションによる乱開発問題を取り上げたいと思います。  新潟県湯沢町でリゾートマンションの建設ラッシュが始まったのは首都圏の地価高騰がピークを迎えた昭和六十一年、一九八六年以降であります。関越自動車道が開通し、新幹線が着き、東京から一時間そこそこでスキー場があり、温泉があるという立地条件が拍車をかけました。昨年、一昨年の二年間で二十四棟が建設されました。人口九千五百の町に現在四十九棟、一万七百二十四戸のマンション、戸数が人口を上回っています。さらに建築中及び着工できる状況のものが十六棟、五千五百五十五戸、今後建設が予定されているのが十四棟、六千五百戸、しかもこれから計画されているものは大体皆三十階以上の高層になっています。六十階建ての高層二棟、二千七百戸のリゾートマンション、湯沢ダイヤモンド・タワー、これも今計画が進められています。このような急激な変化に町行政はついていけないということです。その一つが交通渋滞です。  スキーシーズンになりますと、町内の道路はもう人も通れない状況になる。町の都市機能は完全に麻痺状態になってしまう。それじゃ道路を広げよう、あるいはバイパスをつくろうとしても、今度は地価高騰をしておって、前なら坪五万から十万程度だったのがもう今は十倍以上の五十万から百万というような取引の実態で手のつけようがない。そこで、せめて駐車場でもということであっても、これは用地が手に入らない。だから、河川敷を駐車場にということで建設省の方に何回か町当局や商工会議所その他が陳情しているんですけれども、これはだめだと。  そこで、建設省にちょっと聞きたいんですが、こういう場合、河川敷を駐車場に使うということは、しかもシーズンが年間じゃないんです。固定、恒久施設でない、ピーク時にそういう利用をするということは不可能なのかどうか。この辺、まず聞いておきたいと思います。
  117. 日野峻栄

    説明員(日野峻栄君) 御説明を申し上げます。  越後湯沢の交通渋滞の件で駐車場というお話でございますが、恐らくあそこのッナギ川にふたをかけられてというお話の件じゃないかと思いますが、河川にふたをかけますと、これは洪水のときに流木がひっかかったり、土石がたまったり、治水上非常に問題がございます。また、維持管理上も大変難しい問題がございますので、ふたをかけて駐車場をつくるということはできないというふうに考えております。
  118. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、できないということは何遍も説明をされて知っているわけです。できないから、それじゃ今度は駐車場をつくらぬでいいのか、道路がストップ状態になっていいのか、そうはいかぬわけでしょう、住んでいる人々にとっては。バイパス計画用地買収ができない。途中までやってストップになっています。それから、原新田—岩原線というのは計画変更が必要になってくる。それから、国道十七号線のバイパス道路、これも県道神立—湯沢線の拡幅のための用地買収ができなくてストップです。だから、こういう状態をそのままにしておいて、それはできません、そこを使ったらいけません、治水上はだめですと言って、それじゃ代案をどうするかということは言わない。これじゃもう意味がないといいますか、一体どういう指導をしているのか、どういう援助をするのか。この点は一体どうなんですか、建設省
  119. 井上啓一

    説明員井上啓一君) 御指摘のように、湯沢では大変休日の交通が増大しておりまして、そのために非常に渋滞問題等いろいろ交通上支障になっているということは承知しております。それで、建設省としては、特に余暇活動に伴う交通対策として、平成二年度から越後湯沢など全国三十地域において休日交通ボトルネック解消モデル事業というような施策を打ち出しております。そういうことで、現在越後湯沢地区において、湯沢町並びに観光協会などを初めといたします地元関係者、それから建設省、道路公団、新潟県等で構成いたします越後湯沢地域休日渋滞対策協議会というものを設置いたしまして、国道十七号線の湯沢交差点の改良あるいはチェーン着脱場の拡充、それから関越トンネルの四車線化等を実施しております。それから、あわせてソフト的な対策といたしまして渋滞情報提供等の施策を実施しているところでございます。  以上でございます。
  120. 神谷信之助

    神谷信之助君 とにかくこれは遅いんです、これからやるんですから。にっちもさっちもまだまだ間に合わない。  それから、それだけじゃなしに上下水道、ごみ処理、この問題も大変なんです。町の指導要綱で各マンションごとに井戸を掘ってもらう、ごみはそれぞれで焼却してもらう、下水も浄化槽を義務づける、こういう条件をつけています。ところが、それで解決するのかというと、そうはいかぬですね。どんどん井戸を掘られていきますと新たな矛盾が起こる。地下水は冬季の道路の融雪、雪を解かすために大量に必要になる。シーズンのときはスキー客がピークになって地下水の不足が心配されるという状況が新たに起こってきています。しかも、こういった上水下水、とりわけ水問題というのは生活に欠かせないものですが、こういったものは自治体の行政の重要な基幹的な仕事です。それが困難な状況になってきているんですけれども、これらについての解決の方法あるいは指導の方向、これは建設省あるいは厚生省、どういうように考えていますか。
  121. 藤原正弘

    説明員藤原正弘君) まず、水道に関する点についてお答えいたしたいと思います。  水道法第十五条というのがございまして、「給水区域内の需用者から給水契約の申込を受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。」という規定がございます。これは水道事業者の給水義務を規定しておるわけでございます。この正当な理由ということでございますが、当該……
  122. 神谷信之助

    神谷信之助君 簡単にやってください。
  123. 藤原正弘

    説明員藤原正弘君) はい。  この正当な理由ということに関しましては、例えば給水量が著しく不足しているような場合、こういうことが考えられるわけでございますが、水道法以外の他の行政目的の達成を目的とした事由は正当な理由には当たらないというふうにされておるわけでございます。  そこで、この湯沢町のリゾートマンションに対する給水の問題でございますが、昭和六十三年二月までに町と協議がなされたものにつきましては町の水道から給水を受けております。それ以降のものにつきましては、給水量が不足するために町の水道では給水できないということで、開発者の方で井戸を掘りまして、この水をマンションの住人に対して配るという独自の水道、つまり専用水道をつくりまして給水が行われておるところでございます。
  124. 神谷信之助

    神谷信之助君 それは僕がさっき話をした話を言っただけですよ。だから、それに対してどうするかという問題。実際、今度は地下水が枯渇をしたらどうするんだと。だから、神奈川県の真鶴町では地下水の制限条例をやって、マンションの認可条項で地下水の容量を超えるものはもう認めない、こういう条例をつくっています。  次は消防庁ですが、消防施設の問題、これも大変になってくるんです。  指導要綱で駐車場の設置とか緑地の確保とかいろいろな要件をつけますから、結局マンションは容積率いっぱいの面積を使ってどんどん高層化していく。ところが、この町にははしご車は現在ありません。十一月までに分署ができて、そのときにはしご車一台が入るんだと。ところが、はしご車は大体十階ないし十一階までしか届きませんから、三十階以上、六十階というようなものがどんどん建つという状況になってくると、もうお手上げだというのが消防の担当者の話です。消防庁、これについての対策はどうですか。
  125. 中川浩明

    説明員(中川浩明君) 消防庁といたしましては、十一階以上の階を有しますいわゆる高層建築物につきましては、基本的には当該建物自体で防火、消火対策というものを講ずるべきであるということが基本的な考え方でございます。  具体的に申し上げてみますと、例えばスプリンクラー設備あるいは非常放送設備、誘導灯などがございますし、消防用関係では連結送水管、非常コンセント設備あるいは防炎物品の使用などを義務づけることによってその建物自体で防火、消火を行う、こういう考え方で対処をいたしております。
  126. 神谷信之助

    神谷信之助君 それはもう私も知っていますよ、消防法の改正自身に私も参加しているんだから。問題は人間ですよ、上にも人間がおるんだから。だから、どうにもこうにもしようがないということで、これはまだ指導要綱には入っていませんけれども、今度つくろうとしている六十階建てにはヘリポートをつくれという条件をつけておるわけです。町の方から出すわけですね。それはまた後で言いますが、いずれにしても、そのヘリポートをつけろと言った湯沢ダイヤモンド・タワーでも、業者の方は、それなら結構です、二億円で済みますから、こう言ってつくるというんですよ。  ところが、去年の十二月に町当局が町民アンケートをとりましたら、もうこれ以上マンションは要らぬという町民が九三%なんです。そして、町議会の方も、公共施設整備の対応が急速にできないこと、自然環境の破壊が進むこと、生活環境が悪化すること、地価高騰を招き住民の税負担が重くなること、消防、防災施設整備等の対応ができないこと、今後町の総合計画の実現が困難になること、こういう理由を挙げて凍終決議を行っています。  町当局の方も、指導要綱を最初につくったのは昭六十二年十月一日です。それから大体一年に二回改正しています。今日までに五回改正をやって現在の状況になっておりますが、その中の規制条項を見ますと、公共施設整備等の費用負担、行政協力金の支出、公共公益用地等の提供、文化財保護、公害防止、道路整備義務と規制、緑地帯の設置、水道の新設改良費の負担、排水施設、土砂流出防止、ごみ処理、浄化槽の施設の義務づけ、それから放流水の処理、地下水のくみ上げ、駐車場の義務づけ、それから日照権の問題、電波障害の問題、こういった問題で改正ごとに次々条件をつけてきた。何とかマンションを食いとめようとしているんだけれども、しかし用途地域は町の中心部だけしかできていない。だから、用途地域以外のところにどんどん出していくんです。そして、条件をつければつけるほど、それで結構ですと言って申請をしてくる。全部条件をのむ。そうすると、これは認めなければしようがないでしょう。それでも拒否をするということができるんでしょうか。建設省、いかがですか。
  127. 那珂正

    説明員(那珂正君) 建築基準法におきましては、それぞれの町の市街化の程度に応じて指定されます各種の用途地域ごとに、あるいは用途地域が指定されない地域も含めまして、それぞれの地域の性格に応じて用途規制形態規制を行っているところでございます。したがいまして、それらの規定に適合する以上、確認をすることになります。
  128. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから往生するんですよ。もうこれ以上は困るといろんな条件つけてやってみても、結局どんどん高層化して採算がとれればいいわけですから、やろうというので乗り込んでくる。お手上げの状態になっています。  先ほど言いました湯沢ダイヤモンド・タワーというのも、六十階建てが二棟、二千七百戸、これが今また出てきている。会社の方は申請をしたと言っていますが、役場の方は忘れていかはったと言っています。今、だから申請が受理されたのかされてないのか、これは論争になっているという、そういう状況です。その周辺の住民が今まだ合意をしていませんからなにですが、それに対しても一軒当たり百万円迷惑料出しますと、こう言って今盛んに工作が進んでいるわけであります。  そこで長官にお聞きしたいんですが、これはもう時間がありませんから最後ですが、これは一例ですけれども、全国的にもあっちこっちで実はこういう問題が起こっています。  先般、テレビで函館のマンション建設が中途で業者が手を引いて大問題になっている状況が放映されています。あるいは宮崎県の南郷町では、西武が進出しておりますけれども、ゴルフ場がどうも難しいというので規模を縮小するんですね。そうすると、町はそれまでに道路をつけた、そこにホテルをつくるから。ホテルをつくると思ってやったら、岩盤の地質が弱い、軟弱だというので場所を移す。そうした場合は、しようがないから町はまたそこへ別の新しい町道をつくっている、私が調査に行ったら。そこのところを今度は西武が、ゴルフ場ができそうもないからもう縮小やというふうなことを言い出した。そうすると、町当局としてはせっかくそれだけ投資をして、そしてへこんでもろたんじゃたまったもんじゃない。もう大騒動になっているというのが、これもテレビで放映されています。  こういう実態がその他たくさんありますので、先般の予算委員会でも私は十数件実情を出しましたけれども、そういった実態を、リゾート法の共管の中でも国土庁は特に主管ですから実態調査をやって、そして今のような、この問題はちょっと待ってくれと言おうとしても、もう全部条件を受け入れた申請は受け付けなければしようがない、認めなければしようがないというような状況を解決するような、国土利用計画法とか都市計画法とかあるいは建築基準法とか、そのほかのいろんな関係法規がありますから、これらを見直して、そういう調査と研究をぜひやってもらわぬと自治体は大変だ、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  129. 藤原良一

    説明員藤原良一君) 先生御案内のとおり、国土利用計画法でも国土利用計画土地利用基本計画を定めることになっております。ただ、これは土地利用の目標、基本方向を示すにとどまっておりまして、個別の即事的な規制はそれぞれ都市計画法とか森林法とか、そういった法律を活用しながら行っていく建前になっておるわけですが、実際にはなかなかうまくいっていないという面も多々あろうかと思います。  そこで、私どももこれまでもリゾート地域土地利用実態については、その都度公共団体等と連絡をとりまして把握に努めております。今後もそういう点については把握していきたいと思っております。  それと、私どもでもそういった都市計画区域外あるいは森林法の規制もうまくかからない、そういう地域における土地利用規制のあり方について研究会もつくりまして、今鋭意勉強しております。先生の御趣旨も体して進めてまいりたいと思っております。
  130. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 先ほども質疑があったようですが、雲仙の活発な火山活動につきまして、私は五月二十二日に現地に調査に参りましたので、その結果に基づいて緊急に質問いたします。  まず、現場へ行って痛感しましたのは、観測体制が極めて弱体だということであります。九州大学の島原地震火山観測所、ここは太田教授以下七名、本当にへとへとになって頑張っております。また、気象庁雲仙岳測候所は六名ですが、二名の応援がありますけれども、しかしもうこれは人間の限界を超えるような、こういう中で頑張っております。とても現状に対応できる体制ではないと思います。やはりこういう事態に応じて精密な観測と正確な情報を速やかに伝達すること、このことに何万人もの命が、また財産がかかっておるわけであります。しかし、現場へ行きまして、特に気象庁でありますが、六名の職員、これは非番、公休を問わず観測それから情報の発表、またマスコミがたくさん来ておりますから、それらの電話や応対、もう二十四時間勤務体制であります。私はこの労働条件の改善が住民の安全に直結していることをあの現場で痛感しました。  火山活動が大変活発になって、きょうも新たな事態が起きていますが、土石流の流出など、これは今後その危険が確実に予測されております。しかし、体制がほとんど変わっていないという状況を見、また現場でもいろいろ訴えを聞きまして大変なショックを受けました。とても人命を大切にする体制とは言えないと思うんです。  まず人の問題です。気象庁、ここは普通の観測火山のようでありますが、阿蘇山あるいは桜島と同じ精密観測火山に指定すべきじゃないでしょうか。指定されたってわずか十一名です。六名に五名ふやすという本当にささやかな要求ですね。これはぜひやってほしい。ただ、今すぐはなかなか難しいという答えが返ってくるかと思うんですが、そうであるならば、せめて当面夜間の複数体制をとるために、ここで二名の職員が現地に長期滞在、一時的応援じゃなくて、長期滞在という形で派遣すれば可能だというので、何万の命がかかっている問題にこの程度のことはすべきだと思うんですが、端的にお答えいただきたいと思います。
  131. 森俊雄

    説明員(森俊雄君) お答えさせていただきます。  雲仙岳は、我が国の十九の常時観測火山の一つとして従来より雲仙岳測候所で常時監視を行ってまいりましたけれども、昨年七月からの地震活動等の活発化に対応いたしまして火山機動観測班を派遣し、地震計等の機材を大幅に増強して監視を強化してきたところでございます。  その観測成果により同測候所は適宜火山情報を発表し、火山活動への警戒を呼びかけてまいりました。さらに最近の火山活動の高まりに応じ、現在火山機動観測班を現地に派遣しておりますほか、長崎海洋気象台から同測候所に応援を出し、また航空機による火山観測を増強する等、観測体制の強化を図っているところでございます。  今後も関係機関とよく連帯しつつ適切な監視体制の確保に努めるとともに、厳重な監視を続け、適宜適切に火山情報を発表し、災害の防止に努めていきたいと存じます。
  132. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 よくやっていることは認めます。いや、現場じゃよくやり過ぎているんですよ。よくやり過ぎておって、わずか六名の人と応援二名、この人々は本当に過酷で二十四時間休みないんだから、病人さえ出かねない。  そこで、私が指摘しているのは、せめて十一名にしろというのが要求だけれども、それが不可能なら、せめてあと二名足せば夜間の複数体制ですよ。夜間一人で本当にこれは対応できないんじゃないですか。それくらいこの場で答弁できないのですか。いろんなことはもういい。それだけでいい。
  133. 森俊雄

    説明員(森俊雄君) 今後の火山活動状況を見きわめつつ火山機動観測、それは本庁、福岡管区・長崎気象台も含めますけれども、そういう後方支援も含めまして対応してまいりたいと存じます。
  134. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 後方支援もそれは必要ですよ。 しかし現場で、しかも私たちが行ったその日にあそこの測候所の職員が新たな事態を発見したんだから。それはぜひ、これだけやっているとすぐ時間来ちゃうから言いませんけれども、せめて当面緊急に夜間複数体制をやるべきだということを強く言います。  それから、機材もまた大変不十分なんですよ。遠隔操作のできるテレビカメラ、この設置が本当に必要だと思います。今は動かぬでしょう、固定ですね。これは何億もするわけじゃなくて、せいぜい何千万という話ですよ。これはすぐ設置をすべきです、何万人の命がかかっているんだから。  と同時に、本当に金がないんです。日付の入るカメラがないというんです。それで借りているんですが、幾らのカメラかと聞いたら十万だというんですよ。十万のカメラが買えないで、こんな本当に二百年来の大災害が発生しかねない——気象庁が金ないんだったら、この際大臣がいるから大いにないならないと言いなさいよ。これは長官、閣議でぜひ問題にしてほしいんですよ。機材の購入、整備強化、これもぜひやるべきだと思うんだけれども、端的に答えてください。
  135. 森俊雄

    説明員(森俊雄君) 測候所は非常に核になるところでございますけれども、他機関のものも最大限利用させていただきまして適切な措置を考えてまいりたいと思います。
  136. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そんなものじゃまずいけれども、大いに頑張ってほしいと思います。  あと時間がわずかなので、質問しますことをまとめて言っちゃいますので、まとめてお答えいただきたいと思います。  一つは土石流、これはこれから雨期に入りどんどん原因物質がたまっていますから、もうちょっとした雨であの何倍もの被害になる可能性がある。しかし、今やっているのはたまった土をどけているだけです。あの川は普通の雨水対策なんですね、堤防もね。土石流対策になっていない。これをどうするのか、建設省。  それから、厚生省は災害救助法の発動、これは機敏にやってほしいと思いますが、これについて。  最後に国土庁ですが、長官自身二百年来の、一万五千名の犠牲が出たそれ以来の大災害の可能性があるという、こういう御認識がおありかどうか。そして、こういう事態であれば、活動火山対策特別措置法の対象に加えるべきだと思うんですが、これらについてそれぞれ端的にお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  137. 松下忠洋

    説明員(松下忠洋君) 建設省の砂防課長でございます。御説明申し上げます。  雲仙岳では、昨年の十一月の噴火以来、火山灰の堆積が著しく、土石流の発生が予想されましたために、三月には土石流発生監視装置を……
  138. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 さっきと同じことはいいよ。
  139. 松下忠洋

    説明員(松下忠洋君) 失礼しました。  それからダムの除石もいたしまして、五月に入りまして十五日と十九日にはこの発生監視装置が作動いたしまして、住民が多数避難しております。  今後の対策でございますけれども、土石流発生監視装置の増設をしたいと思っております。それから、砂防事業等による砂防ダムの除石と砂防ダムの建設、そして早期の完成を図るということ。それから、下流の河道区間が埋塞した場合には埋塞土砂を早急に排除するということ等を含めて、その対策に万全を期していきたい、こう考えております。
  140. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 御説明申し上げます。  災害救助法の関係でございますが、通常災害が生じた場合には、まず第一義的には最も住民の方々に身近な地方公共団体でございます市町村が対応するということになっておりますけれども、市町村で対応できないような大規模な災害というような事態になりました場合には、災害救助法を適用して国としても必要な応急措置をとるということになっております。  今回の雲仙の噴火に関係する事態でございますけれども、災害救助法の適用関係につきましては、現在のところ、今後の状況あるいは事態の推移というのを慎重に見守っていきたい、都道府県、具体的には長崎県と十分連絡をとりながら適切に対応していきたい、かように考えております。
  141. 鹿島尚武

    説明員(鹿島尚武君) 今回の雲仙岳の活動によります状況につきまして、私どもは地元自治体からも情報をちょうだいいたしております。  ただ、現時点において、活動火山対策特別措置法の適用については具体的にはまだ聞いておりません。しかしながら、今後の推移を見きわめながら、地元長崎県とも相談をして、国土庁として適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  142. 西田司

    ○国務大臣(西田司君) 過去の災害の状況というものにかんがみまして、政府といたしましても厳重な監視を続けてまいります。そのために、各省庁間の連携を十分にとりながら今後ともひとつ万全を期して取り組みたい、このように考えております。
  143. 下村泰

    ○下村泰君 私は常に障害者の福祉対策という視点において質問させていただいておりますので、よろしくお願いします。  この地価高騰というのは、一般の方々のお住まいどころか障害者の自立しようとする方たちの妨げにもなっております。これはもう長官もご存じでございましょうけれども、ちょっとここに例を申し上げますと、東京都内に現在社会福祉法人都精神薄弱者育成会というのがございまして、これが運営する生活寮というのがあります。この生活寮というのは、そういう方たちが寄り寄り集まりまして一カ所で共同生活しているわけですけれども、これが三十五カ所あります。約百五十人が利用しておるんですが、障害児を持つ親が自宅を寮に提供しているところもあります。三分の二はほとんど一般から借りているわけですね。ですから、これ以外に土地を求めようとしても、もう現在この方たちは到底求められない。それから、貸してくださる方もいない。中には、既に工場が閉鎖になって、その工場の跡地とかあるいは倉庫の一部を借りるとかというようなことをして盛んにこういう方たちが運動しておるんですけれども、なかなかうまくいきません。  四月二十四日に土地基本法の開発利益の還元についてお伺いしました。そのときはその正否について御確認させていただいたわけですけれども、障害者、児童、高齢者に対して具体的にどのように還元していくのかについてどういうお考え、認識を長官はお持ちでしょうか、まずお伺いしたいと思います。
  144. 藤原良一

    説明員藤原良一君) ちょっと長くなりますが御説明させていただきます。  私ども要綱に基づく開発利益の還元問題といたしましては、要綱でもうたっておりますように、大規模プロジェクトの実施地域、鉄道の新駅周辺、高速道路のインターチェンジ周辺などで明らかに公共投資に起因して地価上昇が見られる地域等におきましては、適切な受益者負担を課すため、土地区画整理事業方式という既存の方式がございますので、こういった方式の一層の拡充を図りますとともに、新たな方策についても検討するということとしておりまして、土地政策審議会において重要な検討課題の一つとして御審議をいただきつつあるところであります。  この開発利益の還元方策につきましては、制度的にも、そもそも開発利益とは何か、開発利益の認定の問題とかあるいは開発利益の発生地域範囲、受益者の特定、さらには開発利益をだれにどの程度帰属させていくのか具体的な還元方法、例えば税負担との調整、いろいろ法制的に解決すべき課題も多いわけでございます。しかし、いずれにしましても公平な還元を図っていくことが重要と考えておりまして、その際公共団体民間事業者間等におきまして公平が確保されるような視点が特に重要であるというふうに認識しておるところでございます。
  145. 下村泰

    ○下村泰君 何度も申し上げてきましたように、土地問題の基本は町づくりにあると思っております。開発だけして町がない事態が出てきている土地活用のあり方、町並みというものを考えた土地政策がぜひとも必要です。地価を下げることとそこにできる町並みは同時に考えられなければならないと思います。高層化を進めるだけではだめなんです。それが人間、特に子供や障害者、高齢者にどのように影響するのか。また、福祉施設や学校などの総合施設建設についても私自身何年も前より提唱してまいりましたけれども、その場合でも、ただつくるのではなく、そこで暮らす障害を持った人々などの暮らしをどう保障するかという視点がなければならないと思います。  ぜひそういう点を御留意いただいて町づくり、土地政策を進めていただきたいと思いますが、長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  146. 西田司

    ○国務大臣(西田司君) 地域開発をやってまいりますと、いろいろな問題、ただいまお話がございましたようなことが起こってくるわけでございます。局長がお答えをいたしましたように、開発利益の還元というものは、弱者であろうがなかろうが、公平にこれが還元されていく方策というものを見つけ出していかなければなりません。特に御指摘の老人であるとかあるいは身体障害者であるとか、子供であるとか、そういう人たちも楽しく生活のできるような環境整備を留意してやっていかなければいけない、このように考えております。
  147. 下村泰

    ○下村泰君 長官は自主的に厚生大臣を兼任していただきたいと思います。  次に、厚生省にお伺いします。  東京都では、今年度から都の社会福祉協議会の意見具申に基づいて、高齢者、障害者世帯対象家賃負担軽減事業というものを実施すると言っています。世田谷の方では、民間の福祉施設の職員を対象に、職場から距離が遠くて仕事を続けるのが困難な人や住まいが確保できれば仕事につける人など、そのために住みかえた場合に家賃の二分の一、月六万円を限度に補助する、こういうことを世田谷が始めるようです。これは福祉施設職員の人材確保に住宅政策からの試みだと言えます。大都市部でのこういう人々に対する施策として、単に措置費の枠内での対応でなくて、人材確保のための一つの知恵として厚生省はどういうふうにお考えでしょうか。厚生行政としての取り組みの必要性を感じますかどうですか。
  148. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 御説明申し上げます。  今先生指摘のように、福祉マンパワーの確保、社会福祉施設職員の人材確保という観点から、施設職員の処遇の改善、これは非常に重要なことであるというふうに私ども認識をいたしております。施設職員の処遇改善をする場合には、単に一つの視点だけではなくて、できるだけ総合的に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。  具体的に申し上げますと、平成三年度の予算におきましても、施設の運営費でございます措置費に例えば労働時間の短縮を図る、あるいは年休の付与する日数をふやしていく、あるいは主任寮母制度を新たにつくる、あるいは宿直を緩和するというようなもろもろの対応を盛り込んでいるわけでございます。  具体的に今先生お話がありましたような住居の関係でございますけれども、先生既に御承知のとおりでございまして、その運営費であります措置費の中に住居手当というものを組み込んでおりまして、その住居手当は国家公務員に準拠した形で組み込んでおります。そういうようなことでございまして、人事院勧告によりまして国家公務員の住居手当が引き上げられますと、それに準拠いたしましてその措置費でまた例年改善をしているということでございます。今後とも私どもとしてはそういうような観点で改善努力をしていきたい、かように考えているところでございます。
  149. 下村泰

    ○下村泰君 今厚生省の抱いているマンパワーの完璧を期するにしても、とにかくそういう方たちに対する措置が、手当てがよほどよくならないと、とてもじゃないけれどもあのマンパワー達成、目標達成にはほど遠いと思いますので、よろしく頑張ってください。  施設、特に障害児者施設に対する障害者の人たちの見方、考え方はそれぞれあります。現在は自立生活運動も盛んですが、現在多くの障害児者が施設で暮らしていることは紛れもない事実です。そこで、私はいつも言うんですが、まさにそこが住居であり生活の場であるわけですから、それにふさわしい居住環境というものが整備される必要があると思います。すべて個室化せよという意見もあれば、プライバシーが確保されるなら二人、四人部屋でもいいという人もいます。すなわち個室化、二人部屋、四人部屋のいずれにもせよ、プライバシーがきちんと守られないような状態だけはあってはならないと思います。それはどんなに重度の障害者であっても同じです。この考え、基本的に厚生省はどういうふうにお考えでしょうか。
  150. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 御説明申し上げます。  社会福祉施設整備をするに当たりましては、基本的にその施設の入所者の方々の処遇向上を図るという観点で、またその対象施設、いろいろな施設の種別がございますが、その施設種別の特性を考慮しながらでございますけれども、居住水準の向上に努めていくということが基本的に必要であるというふうに考えております。  現在の社会福祉施設、いろいろな施設の種別がございますが、施設の最低基準あるいは設備・運営基準等におきましては、一部の施設、例えば児童福祉施設、これはやや多人数で集団生活をしながらというねらいがあるわけでございますし、また通常の養護老人ホーム、これは本当に完全に個室あるいは御夫婦の場合には二人部屋、こういう方針できちんと行われておりますが、そういう施設を除きますと、一般的には四人部屋というのが基準になっているのでございます。  ただ、国民全体の生活水準の向上あるいは居住水準の向上というのが現実にございますものですから、そういう状況をにらみ合わせながら、具体的な施設整備の国庫補助の基準につきましては、一歩先んじましてできるだけ二人室、あるいはさらに踏み込んだ個室の整備というようなものを進めていく、こういう考え方に立っているわけでございまして、今後ともそういう基本方針に立って居住水準の向上に努力をしていきたい、かように考えているところでございます。
  151. 下村泰

    ○下村泰君 今居住水準というのが出たところで、またその居住水準についてお伺いしますけれども、居住水準は私なりに定義しています。人間の尊厳を守るにふさわしい住宅と居住環境の基礎的要件です。住宅宅地審議会の第五期五カ年計画のたたき台となった答申によれば、二〇〇〇年をめどに誘導居住水準は平均で百平方メートルと書かれています。  そこで伺いますが、第五期の五カ年計画で示された居住水準を福祉施設はすべて満たしているんですか。水準もいろいろあって、最低居住水準から誘導居住水準、さらに都市型、一般型とあります。また、どこまでの範囲で比較するかによっても違います。単純には言えないと思いますが、私がここでお尋ねしたいのは居室部分です。居室部分に限って考えるとどうなるかということなんですが、そもそもそういう水準を念頭に入れておられるのかどうか。現在のそうした施設の一人当たり居室面積をあわせて説明してください。
  152. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 御説明申し上げます。  社会福祉施設の場合の国庫補助補助基準面積でございます。これと今先生おっしゃられました建設省の方の基準との比較でございますが、どういう範囲面積をとらえるかということでなかなか客観的な比較がしにくいというのが率直なところでございます。  それで、具体的に私ども社会福祉施設の一人当たり補助基準面積の方を御説明申し上げますと、一つの例といたしまして特別養護老人ホーム、これを例にいたして申しますと、一人当たり補助基準面積は二十七・四平方メートルでございます。ただ、これは施設全体でございますから、居住空間以外に廊下とかその他のふろ場とか全部入ってしまいます。それが二十七・四平米。  先生の御趣旨に沿って具体的に居室そのもの、それから食堂部分、その程度のものだけに限って申し上げますと、特別養護老人ホーム、平成三年度の場合で九・九六二平米、そういう割り戻しで出て、約十平米ということになっているわけでございます。特別養護老人ホームでございますと、基本的にこれを二人部屋というようなことで、あるいは場合によって四人部屋ということがあるかもしれませんが、二人部屋というようなことで、倍々というふうな形で面積が広がっていくということだと思います。これにつきましても、先ほど申しましたように、今後の国民全体の居住水準の向上あるいは質の向上というようなものをにらみ合わせながら引き続き改善努力をしていきたい、かように考えているところでございます。
  153. 下村泰

    ○下村泰君 今の計算でいくと、十平米というと大体三坪ぐらい、畳数にして六枚ちょっとですね、これが今厚生省がおっしゃった。ところが、実際はこうなんです。(写真を示す)そのためにきょうこのパネルを先ほど理事会の皆様に御了解をいただいたんです。これは最近施設を撮ったんです。これを見てください。あなたのおっしゃる水準とどうですか。これは六人部屋です。六人入っていて、ここに一つの布団が敷いてあるのは畳二枚分。畳二枚といったら何ぼですか。そうすると、今厚生省のおっしゃったあれは全然水準が違うんです。これでプライバシーも何もありますか。幾ら相手が重度の障害者であろうと何であろうと、これは人間的な扱いじゃないでしょう。  例えばの話が、畳二枚でも三枚分でもいいですよ、ここにアコーデオンカーテンか何かあって、そしてあるときには一人になれる、寂しかったらあければ二人になるというような、ちょっとした心配りをしてあげればプライバシーは守れるんです。障害者の方たちをただ一カ所に集めて収容すればそれでいいというものじゃないんですね。殊に、皆さんには言えないことが数々あるんです、この障害者の方自身のプライバシーの問題というのは。性に関してもあるんです。こういう場所で公にできないような状態も幾らもあります。  そこまで踏み込んで私は申し上げておるので、どうぞひとつそういう点でもう一回厚生省にお答え願いたいんだけれども、こういう現状があるんですから、あなた方も御存じだろうと思いますけれども、どういうふうに改善していますか、ちょっと答えてください。
  154. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 御説明申し上げます。  先ほど計算上一人当たり十平米と申し上げましたのは、平成三年度の国庫補助整備の基準でございまして、したがって三年度に例えば特別養護老人ホームを整備する場合にはそういう面積補助対象にいたしますということでございまして、これは先生恐らくお写真を撮られましたのは現実にある施設。昔は確かに社会福祉施設は非常に大部屋が多うございました。社会福祉施設の場合には一たんできますと、例えば昔四人部屋あるいは六人部屋と大部屋で整備をされますと、やはり構造上どうしてもそういう形になってしまうものですから、次の改築時期に新しい基準面積に合わせた居住環境改善をあわせて図っていく。  したがいまして、厚生省といたしましては、先生おっしゃられましたように、大部屋解消、これが社会福祉施設整備に当たっての極めて重要なポイントだろうと思っております。入居者の居住条件とプライバシー確保、先生おっしゃるとおりでございまして、そういう観点からできるだけ早い時期に大部屋の解消に努めるように指導をし、そしてまた優先的に改築に当たっての国庫補助をしていくということで努力、対応してまいりたいと思っております。
  155. 下村泰

    ○下村泰君 頑張ってください。  建設省に伺います。今年度から厚生省とも協力して福祉の街づくりモデル事業というのを始められるわけですが、その内容と今後の方向について御説明ください。それで終わります。
  156. 那珂正

    説明員(那珂正君) 福祉の街づくりモデル事業は、高齢者の方あるいは身障者の方々の快適かつ安全な移動の確保という観点から本年度新たに創設された事業でございます。  具体的には、高齢者や身障者の方々が利用する機会の多い社会福祉施設その他の一定の施設に接続するエレベーターあるいは動く通路、移動のシステムと呼んでおりますが、これらの移動システムに対する整備費の補助と、あわせて一般の道路の歩道の段差の切り下げあるいはコミュニティー道路等の交通安全事業、既存の交通安全事業でございますが、これの重点的整備事業、重点的実施を行うことを内容としております。本年度新たに創設された事業でございますので、当初約八都市を予定しておりますが、実施状況を見ながらその普及に努めてまいりたいと存じます。
  157. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十三分散会