○
説明員(中村薫君) 通産省の
情報処理振興課長の中村でございます。
守住委員より通産省の
地域ソフトウエア法についての経験を述べよということでございますので御
説明させていただきたいと思います。
地域ソフトウエア供給力開発
事業推進臨時措置法は、平成元年の第百十四国会において皆様の御
支援のもとに成立させていただいたわけでございますが、同法に基づきまして昨年の二月に熊本を初め六カ所、それからことしの二月下旬に平成二年度分として札幌以下六カ所の承認をしたところでございます。
御承知のように、この
法律の目的としておりますのは、
情報化社会が進んでいきますとソフトウエア
人材が非常に不足するということで、試算によれば二〇〇〇年に九十七万人ぐらい足りなくなるという
一つの試算もあるわけでございますが、そういう
需要がどんどんふえていって、片一方で
人材が追いついていかないという事態に対応するための
対策として
考えられたものでございます。対象がソフト
人材ということで、今回
電気通信基盤法の
電気通信人材とは若干対象が異なっておりますけれ
ども、経験ということでしゃべらさせていただきたいと思います。
我々のソフトウエア
人材の不足というのが特に
システムエンジニア部門、単純プログラマーというよりは
システムエンジニア部門の不足が非常に緊急の解消課題となってきたわけでございますが、現在のソフトウエア開発というのが
大都市圏に非常に
集中して八五%とか九〇%近い
集中度を見せておるということで、一般に
大都市圏では
システムエンジニアを育成する土壌が備わっているのに対して、その他の地区では高度な知識
技術に触れる機会がなくて
システムエンジニアも不足しているということで、国として
政策をとらねばならないだろうということで
考えられたものでございます。
地域ソフトウエア法というのは、そういうふうな
地方の
都市において
企業に勤務しているプログラマーを集めて
システムエンジニアの素養を身につけさせるための
研修を行う
事業ということで、そのための会社設立を国が出資、
事業費補助、
事業費助成の
支援措置を講じてきているものでございます。
具体的に設立段階までの留意点といいますか、我々も解決していかなければならない課題ということで
幾つか紹介させていただきたいと思います。
まず、この
事業が
研修事業といいますか教育
事業ということでございますので、まず第一に
研修生の確保というものが必要になるわけでございます。橋と違いまして、橋は人が通らなくとも橋なんですけれ
ども、
研修施設というのは
研修をやってなければ単なるどんがらにすぎないわけでございまして、そういう
意味で
研修生をいかに確保していくかというのが
地域によっての最大の課題という、我々の経験からいくと課題になっているわけでございます。
現実的には、
システムエンジニアを育成するために我々の感じでは四百五十時間程度の教育が必要になるわけでございますが、
現実に例えば連続三カ月間の
研修とか一日おきに六カ月間の
研修に
企業に張りついている人を出せということになりますと、
企業にとってもかなりの覚悟が要るということになるわけでございます。御承知のように、この
情報関係の
産業というのは、いわゆる一般的な人手不足以上に慢性的な人手不足になっておりますものですから、こういう
状況下で
地域の
中小企業から
研修生を出してもらうということが我々の経験からいっても非常に難しい。その
意味で、この
事業を行うについて地元の
中小企業から一人でも多くの
研修生を出していくということを地元に理解してもらうということが
事業の成否を握ると言っても過言ではないと
考えられます。
それから、第二の我々としてのあれでございますが、
研修といいますとやっぱりインストラクターというものが必要になるわけでございます。インストラクターといいますか講師でございます。多分、我々のソフトウエアの部分も恐らく
電気通信の部分も同じでございましょうけれ
ども、
技術の進歩が非常に速いために、
地方において教える方の人も必ずしも十分であるとは言いがたいわけでございまして、その
意味で
地方で優秀な講師を確保するということが重要になってくるわけです。
当然我々の経験でも、例えば財団法人
日本晴報処理開発協会の中央
情報教育研究所というようなところから講師を派遣していくということもやっておるわけでございますけれ
ども、
地方展開ということになりますとどうしても
地方からの講師を活用していきたい。そういう
意味で地元の大手
企業、コンピューターメーカーだとか、それからNTTにしても大学にしてもそういうところからできるだけ地元の優秀な
技術者を講師として出してもらうという
意味での地元の協力というものが必要になってまいります。
それから第三に、先ほど
守住委員から御
指摘がありましたように、カリキュラムの内容というものが必要になるわけでございます。我々の
事業ではIPAという
情報処理振興
事業協会が標準的カリキュラムをつくっておりますけれ
ども、それをどういうふうに地元の
ニーズに合わせていくか。それから、どんどんこの世界は
技術が進歩していきますものですから、それをどういうふうに組み込んでいくかということのカリキュラムづくりというのが非常な
仕事、またこのカリキュラムが地元の
ニーズに合わないと
研修事業がうまくいかないというようなことがあります。
それから第四番目に、取引のあっせんといいますか、というものが必要になります。
研修は
研修でございますけれ
ども、
研修として一番の成果があるのは、
研修で終わることではなくて、そういうふうに
現実の
仕事としてそれを生かしていくという場面が必要になる。いわゆる
東京での
仕事を地元に持ってくるようなことを
考えていって、それで学ばせながら
仕事もやっていく、オン・ザ・ジョブみたいな形でのやり方を
考えていく必要がございます。
いろいろ勝手なことを述べさせていただきましたけれ
ども、やはり
研修生が参加しやすい環境というものをどういうふうにつくっていくかということが一言で言うと最大のポイントになるというふうに
考えております。
最近のアメリカの雑誌等でも、アメリカにおいてもソフトウエア
分野などの教育の
重要性というものを
指摘されてきておりますけれ
ども、こういう
意味で
情報関係の世界の中で
研修というものを成功させていくことが我が国の
情報化の将来にとりまして大変重要なことであろうと
考えております。
現在まで
地域ソフトウエア法に基づきまして十二のセンターを承認してきておりますけれ
ども、まだ大半が工事中であるとか建物が完成していないという
状況のものが多いわけでございまして、我々も試行錯誤的にいろいろやっておるというところでございますけれ
ども、これまでの経験をしゃべれということでございましたので、簡単でございますが留意点だけを述べさせていただきました。