○近藤忠孝君 私は、
日本共産党を代表して、
内閣提出の
地価税法案に対する修正案について、提案理由とその概要を御
説明いたします。
戦後三回目の
地価高騰により、勤労者のマイホームの夢は無残に絶たれ、相続税、国定
資産税など重税にあえぎ、
土地の切り売りと住みなれた町を追い出される事件が相次ぎました。
地価は
高騰したまま、高値横ばいか、現在も上昇中の
地域が多々見られます。
今日の異常な
地価高騰をもたらした原因と
責任は、地上げや
土地投機に狂奔してきた不動産業者や大企業と、その背後で巨額の低利の不動産向け
融資を行ってこれを支えてきた銀行などの金融機関、生・損保会社などであり、東京一極集中
政策と民活路線による都市再開発、そのための規制緩和及び金融緩和
政策等でこれをあおり立ててきた
政府自身であるのであります。
国民本位の実効ある
税制改革を行う場合、この加害者、被害者を明確に分別し、この間の
地価高騰で巨額の含み益を得た大企業、大
土地所有者には強力な
土地保有税を課し、被害者たる中小業者、一般庶民、農民には固定
資産税を含む保有税を軽減することが必要であります。
内閣提出の
地価税法案は、
土地の保有コストを増大し、
地価を引き下げ、
土地の
資産としての有利性の縮減、
土地投機の防止、
資産格差の縮小、
土地の
有効利用などを一応
目的としてはおります。しかし、内容的には以下のように、
地価高騰の元凶を免罪する一方、その被害者に増税を押しつけているなど、これではその
目的の達成は期待できません。
法案
審議でも、全産業分野について業種別の
地価税負担額の仮定試算をお示しし、詳しく指摘したところでありますが、本法案では、大企業、大
土地所有者に対する幾重もの負担軽減措置が手厚く施され、骨抜きにされていることであります。
例えば、極端に低い税率、一平方メートル当たり三万円以下の
土地等の非課税、
土地面積に一平方メートル当たり三万円を乗じた金額の基礎控除方式の導入、損金算入などのほか、東京二十三区、政令市で二七・七%、全国で一六・一%の中小企業が課税対象になる十五億円の基礎控除、都市農地の本則非課税からの除外などがそれであります。我が党の修正案は、これらの欠陥を必要最小限の範囲で、しかも抜本的に是正しようという積極的なものであります。
次に、修正案の概要について御
説明申し上げます。
まず大企業、大
土地保有者に対して真に実効ある課税を行うために、第一に、
地価税の税率を一%に引き上げ、初年度から適用することとしております。
第二に、非課税とされる
土地等のうち、一平方メートル当たりの評価額が三万円以下の
土地等の
規定を削除することとしております。
第三に、基礎控除のうち、
単価控除方式を定めた
規定、すなわち一平方メートル当たりの更
地価額が三万円を超える
土地等の面積に三万円を乗じた金額の
規定を削除しています。
第四に、
地価税額を所得税、法人税の計算上損金に算入することは認めないこととしています。
そして、中小企業者の保有する
土地等を非課税とするため、基礎控除のうち、資本金一億円以下の中小法人等に対する十五億円の基礎控除を二十五億円に引き上げることとしております。さらに、農地はすべて非課税としております。
これらの措置により、中小企業の所有地のほとんどと三大都市圏の市街化区域内農地を含むすべての農地が非課税となります。
以上が
地価税法案に対する我が党の修正案の主な内容であります。
何とぞ、慎重なる御
審議の上、御賛同をお願い申し上げまして、提案理由の
説明といたします。