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政府委員(土田正顕君) 土地担保
融資の問題は非常にいろいろ多くの問題を含むように思いますが、まずその前に事実
関係について御
説明を申し上げます。
全国
銀行の担保別の貸出
残高を見ますると、最も新しいところでは
平成元年三月末の
数字を持っておりますが、不動産抵当
貸し付けの総貸し出しに占めまする
比率は二三・九、約四分の一でございます。そのほかは有価証券担保、その他担保、
保証となっておりまして、それからそのような担保
保証によらない信用貸し出しが三七・六%という
数字を持っております。なお、この不動産抵当
貸し付け二三・九%という
数字は、
昭和五十年ごろの
数字から見ますとかなり実はシェアとしては低下しておるわけでございます。
昭和五十年三月におきましてはこの
比率は三一・二%でございました。
傾向的に見ますと、このように総貸し出しに占める不動産担保
貸し付けのウエートが低下しております。その反面、信用
貸し付けのウエートはむしろ増大しておりますが、この原因は大
企業を中心として借入者側の信用力が高まってきたものを反映するものと一応は考えております。ただ、何と申しましても約四分の一近くはなお不動産担保
貸し付けでございます。この
貸し付けの中で、大
企業に比してあくまでも相対的な問題でございますが、特に
中小企業とか個人のように信用力が十分でないような取引層向けの
融資におきましては、やはり土地担保
融資というものは活用されておるのであろうと考えられます。
それから、
外国は
日本のようなことがあるのかというお話でございましたが、例えばアメリカなどでは余り一般的にすぐ不動産担保
融資ということにはなりませんで、個人向けの住宅
資金貸し付けとか、それからいわゆる不動産用
貸し付けとかそういうようなものは不動産担保をとるようでございますが、一般の商工業
貸し付けは、格付というようなものが発達しておる国であるということもあずかりまして、
日本ほど担保
貸し付けというものに依存してはいないようでございます。しかし、例えばイギリスなどでは、不動産担保は
銀行貸出担保の最も伝統的な形態であると聞いておりますし、それから西ドイツなどでも不動産担保
比率は、これはたまたま
数字が
一つわかっているのがございますが、一九八九年六月現在、
銀行の貸出
残高に占める不動産担保
比率は三六・一%という
数字を持っております。
日本よりも
数字はむしろ高いわけでございます。それぞれ国情がございますが、
我が国のみが不動産担保
融資の割合が高いということは必ずしも言えないのではないかと思います。
ただ、そういう不動産担保
融資への依存という問題のほかに、昨年来いろいろ承りました議論は、その担保のとり方なり評価なりにいろいろと問題があるのではないか、その点は昔の落ちついた時代と比べてやや不正常な傾向があるのかないのかというようなこともございました。この点はすぐれて技術的な問題でございますので私
どもにもよくわかりかねるわけでございますが、その後
銀行界におきまして研究会をつくりまして、不動産担保の
あり方について議論をしておるというふうに
承知をいたしております。