○
政府委員(
尾崎護君) 確かに
企業経営の面から申しますと、
委員御
指摘のとおり、
企業の経営に問題が生じましたときに、含み益を持っている
土地があってその
土地を売ることによって赤字を補てんしたりあるいは新しい設備に
買いかえるというようなことができるというのは、大変
企業経営としては望ましいことであろうというように存じます。しかしながら、他面、
土地政策という点から考えますと、実はそのような慣行といいますか経営上の一種の物の
考え方がございまして、
土地の手当てをするときはできるだけ広く手当てをしておく、そして値上がりを待って、機械設備が古くなって更新するころになったらその
土地の一部を売って新たな投資に充てるというようなことがよく考えられるわけでございますけれ
ども、実はそういう
考え方がいわば
土地神話を生み出しているのではないかというように考えるわけでございます。
つまり、
企業が
土地を買って
工場を建てますときに、先ほど
委員が御
指摘になりました
土地基本法的な
土地の利用という点からいいますと、必要にして十分なものだけではなくてそれ以上に
土地の手当てをしておいて将来に備えるというのは、これはやっぱり
一つの
土地のスペキュレーションでございます。いろいろなところでそのような手だてが講じられますと、国全体としては
土地の利用という点からいいますと非常に不効率なことになるわけでございます。
土地などには余り投資をせずに必要最低限にしておいて、設備にお金をかけ一生懸命汗水垂らして働いて、その設備の利用によって付加価値を生み出していく。そういう
努力よりも、
土地を余計に買っておいた方が将来の頼りになるというような風潮こそが
土地神話ではないか。しかるがゆえに、
企業に
土地が集まっていくというようなことになるのではないか。そういうことを考えてみますと、
土地政策という
観点からはこの十五
号買いかえというのは問題があったと考えざるを得ません。
私
ども、実はこの
改正をやりましたと同時に、例えば騒音規制地域の内から外に
買いかえをする、
事業用の
買いかえ
特例の一
項目としてこういうことが認められているわけでございますが、そういう場合には、従来ですと、外へ出ていって
土地と一緒に建物も
取得するというようなケースであると
買いかえが認められなかったわけでございますけれ
ども、今度は、十五
号買いかえをなくします
関係で、
土地がついていなくても全部建物のような償却
資産に
買いかえるという場合でありましても、騒音規制地域の内から外へ出ていくというような、そういう
目的のはっきりしているものにつきましては従来以上に広く認めるという
考え方をとりまして、そのような
改正をお願いしているわけでございます。
今までの十五
号買いかえというのは、
土地利用の
目的、移転促進のための
買いかえであるとか、あるいは誘導しているところに行くための
買いかえであるとか、そういう
土地政策を離れてただ
買いかえるということが認められていたものですから、それに伴う
土地政策上の先ほど申しましたいろんな問題点、
土地神話に絡んでくる点、それからむしろ既成の市街化区域内で
買いかえが行われる点、そういうような問題点を考えまして、今回
廃止をお願いしているわけでございます。そして、先ほど申しましたように、
事業の経営にとりましては現在
計画がございますと大きな問題になってくるわけでございますから、そこは
経過措置を設けまして、その
経過措置の間に現在考えておられる
計画を達成していただきたいというように配慮したところでございます。