○国務大臣(
橋本龍太郎君) 経済
協力局長の
答弁に補足しながら今の
委員の御
質問に
お答えをしたいと存じます。
実はもともとこの湾岸の情勢というものを全く抜きにいたしましてG7でも非常に
論議になっておりましたのは、東欧の新たな計画経済から市場経済への変更に伴う資金需要、これにはもちろん東西両ドイツが統一ドイツになってそこから出てくる経費もございます。そして、その延長線上においてペレストロイカの進むソ連における今後の資金需要というものはどうなるか、これがもう
一つの大きな問題としてございました。それとは全く別に累積債務国の問題があり、
日本の立場としてはアジアというものを意識せざるを得ないという問題がございました。
そうした中で世界的にどうして貯蓄率を高めるかといった
議論が交わされていたわけでありますが、そうした
状況の上にこの
湾岸危機というものが発生をし、結果的に
クウェート並びに
イラクという二つの国が戦火の中で国土が荒廃するという状態になったわけであります。当然ここには相当な資金需要というものが予測されます。そうして、それに対して
日本も当然のことながら
協力を惜しまない、それだけの努力を払わなければならなくなることは間違いありません。
ただ、問題は、その経費としてどのくらいのものが必要になるかということが今全く想定できないということであります。例えば燃えている油田の消火といった
日本の技術
能力において対応し切れない問題もありますから、全く想定のできないものがあります。そして、たちまち必要になる食料とか医療とかあるいは仮の住宅建設とか、
日本がお手伝いをする直近の問題というのは当然あると思います。
しかし、両方の国これ自体がまだそこまで
作業がいっていない
段階、そして当事国としてどういう援助を他国に求めるかということ自体がまだ意見として出てきていない状態でありますから、我々はそうした声に対してこたえる努力を当然のことながら払うつもりでおりますけれ
ども、今その額が想定できる
状況にございません。
それと同時に、経済
協力局長の
答弁に補足をしたいと思いましたのは、国連決議六七四の中で、
イラクは少なくとも
クウェートに対してはみずから行った破壊に対する補償の責任を
原則的に有しております。実体的に
イラクにその支払い
能力があるかどうかということは、これはまた別でありますが、この辺の絡みが
クウェートの再建計画の中にどう位置づけられるのかという問題もございます。そうしたことについて
関係国間で当事国を含めて今後急ピッチで話し合いというものが持たれ相談が行われ、その中においておのずから
日本が果たすべき役割というものも出てくると私は思っておりますし、その責務には当然
日本は応じていく体制を整える必要があると考えておりますが、具体的な数字のめどがつけられる
状況にないという点は御理解をいただきたいと思うものであります。