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1991-08-02 第120回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年八月二日(金曜日)    午前九時三十二分開会     ─────────────    委員異動  五月八日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     藤井 孝男君      宮崎 秀樹君     佐々木 満君  五月九日     辞任         補欠選任      田村 秀昭君     中村 太郎君      真島 一男君     田辺 哲夫君  八月一日     辞任         補欠選任      佐々木 満君     木暮 山人君      斎藤栄三郎君     野村 五男君      赤桐  操君     会田 長栄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長        大河原太一郎君     理 事                 梶原  清君                 田辺 哲夫君                 鈴木 和美君                 本岡 昭次君                 白浜 一良君     委 員                 石川  弘君                 大島 慶久君                 木暮 山人君                 中村 太郎君                 野末 陳平君                 野村 五男君                 藤井 孝男君                 藤田 雄山君                 吉川 芳男君                 会田 長栄君                 稲村 稔夫君                 久保  亘君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 三治 重信君                 下村  泰君    国務大臣        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        下村 純典君    説明員        公正取引委員会        事務局経済部長  糸田 省吾君        警察庁刑事局長  國松 孝次君        大蔵政務次官   上杉 光弘君        大蔵事務次官   保田  博君        大蔵大臣官房長  篠沢 恭助君        大蔵大臣官房総        務審議官     小川  是君        大蔵省主計局長  斎藤 次郎君        大蔵省主税局長  濱本 英輔君        大蔵省関税局長  吉田 道弘君        大蔵省理財局長  寺村 信行君        大蔵省証券局長  松野 允彦君        大蔵省銀行局長  土田 正顕君        大蔵省国際金融        局長       江沢 雄一君        国税庁長官    尾崎  護君        国税庁次長    冨沢  宏君        文部大臣官房総        務審議官     井上 孝美君        厚生省年金局長  加藤 栄一君        自治大臣官房審        議官       松本 英昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○租税及び金融等に関する調査  (金融及び証券取引に関する件)     ─────────────
  2. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  議事に先立ち、先般の大蔵省人事異動に伴いまして新たに就任された保田事務次官以下九名の御紹介をいたします。  順次あいさつを願います。
  3. 保田博

    説明員保田博君) 保田でございます。過日の人事異動におきまして大蔵事務次官を拝命いたしました。  当委員会におきましては政府委員として長年にわたり格別の御指導、御鞭撻を賜りましたことをこの席をかりまして厚く御礼を申し上げますとともに、今後ともよろしく御指導、御交誼を賜りたいと思います。  ありがとうございました。
  4. 篠沢恭助

    説明員篠沢恭助君) このたび官房長を拝命いたしました篠沢でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  5. 小川是

    説明員小川是君) 総務審議官を拝命いたしました小川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  6. 斎藤次郎

    説明員斎藤次郎君) 主計局長を拝命いたしました斎藤でございます。よろしくお願いいたします。
  7. 濱本英輔

    説明員濱本英輔君) 主税局長を拝命いたしました濱本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  8. 吉田道弘

    説明員吉田道弘君) 関税局長を拝命いたしました吉田道弘でございます。よろしくどうぞお願い申し上げます。
  9. 寺村信行

    説明員寺村信行君) 理財局長を拝命いたしました寺村でございます。よろしくお願いいたします。
  10. 江沢雄一

    説明員江沢雄一君) 国際金融局長を拝命いたしました江沢でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  11. 尾崎護

    説明員尾崎護君) 国税庁長官を拝命いたしました尾崎でございます。よろしくお願いいたします。
  12. 冨沢宏

    説明員冨沢宏君) 国税庁次長を拝命いたしました冨沢でございます。よろしくお願いいたします。     ─────────────
  13. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事田辺哲夫君を指名いたします。     ─────────────
  15. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 租税及び金融等に関する調査のうち、金融及び証券取引に関する件を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  16. 野末陳平

    野末陳平君 今回の証券スキャンダルに関して、大手四社を初め準大手中堅まで問題のリスト公表されましたが、大臣にまず総括的な感想をお伺いしたい。
  17. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この事態になりまして、証券各社、まず大手四社、続いて準大手と言われますものプラス中堅十三社のリスト公表されました。その内容を見まして、その範囲、金額等々を見ますとき、改めてこの問題の深刻さに衝撃を受けております。
  18. 野末陳平

    野末陳平君 私もまさに、広範囲でありまた重複もある、予想以上にすごい。ここには証券会社財テク企業のもたれ合いというか共存共栄の構図が浮き彫りになっているという印象を強く持ちますが、それにしても、補てんを受けた側が大部分補てんされたというような意識がない、認識がない、こういう対応をしている。これについてはどういうふうに考えたらいいんでしょうね。
  19. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) こうした御質問を受けます前に、本来なら私自身の監督不行き届きという点についてのおわびから申し上げるべきであると思いますが、本当に申しわけないという以外に言葉がありません。  損失補てんを受けたとして証券各社からリストにより公表を受けました会社あるいは法人等、実際どの程度補てんを受けていたという認識を持っておられたのかについては当局として確認することは困難であります。しかし、これから申し上げるような理由によりまして、場合によっては投資家サイド損失補てんを受けたという認識がなかったケースも考えられないではありません。  一つは、営業特金等における証券会社売買一任的な運用というものが今回の損失補てんの原因の一つとなっておりますが、証券会社売買一任的な運用を行っております場合に、顧客補てんを受けたという認識を持ちにくくなるケースというのは想定できないではありません。また、自主申告の際に各社損失補てんの概念というものを広義に解釈し、少しでも疑義を持つもの、疑義のあるものを幅広く報告してきております。このため市場取引における通常の取引に近いものも含んでおる。こうした場合、顧客補てんを受けたという認識を持ちにくいこともあるかもしれません。  しかしながら、損失補てんというものは、端的に申しますなら、証券会社顧客損失の全部または一部を補てんする目的を持って有価証券売買等の形をとり財産上の利益を供与する行為でありますから、証券会社の側にそうした目的意識があって行われたことでありましたならば、顧客認識にかかわらず損失補てんと言わざるを得ないと考えております。
  20. 野末陳平

    野末陳平君 これは局長にお聞きした方がいいんですが、これまでの公表リストではまだ不十分である、もっと中小から地方証券会社全部ひっくるめてリスト公表させろ、そこにはまだ補てん先企業が出てくるじゃないかと、そういうような声がありますね。現実にそういうことはできるのか、そしてまた、まだ補てんされた企業で明るみに出ていないところがあるのか、どういうふうに考えていますか。
  21. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 本省が監理しております証券会社、これは比較的規模の大きい証券会社二十二社でございますが、その二十二社につきましては、既に公表されました十七社について損失補てんが認められたわけでございまして、残りの五社については現在のところ損失補てんをしていないという報告を私どもいただいているわけでございます。  それから、それ以外の財務局監理中小証券会社でございますが、この中にも証券検査あるいは税務調査過程で、極めて金額は小さいわけでございますが損失補てんが認められた会社がございます。これに対しましては、私ども現在有価証券報告書の訂正ということをするように指導しておりまして、公認会計士と相談しながら現在計数を精査している段階でございます。財務局監理会社全体につきましては、私ども検査の周期がございまして必ずしも全部を最近検査したわけではございません。今の状況では、今申し上げましたように、検査過程あるいは税務調査金額は小さいけれども損失補てんが見つかっている会社があるということでお答えにかえさせていただきます。
  22. 野末陳平

    野末陳平君 この際、洗いざらいうみを出すというつもりで全部公表するというのが一番いいと思うんで、その方向でお願いしておきますね。  そこで大臣、今回のスキャンダル、国内だけの事件におさまりませんで、これから先外国との経済摩擦ということの種にもなろうし、また我が国への信頼問題にも発展しそうだ、そういう不安を私持つんですけれども大臣はこういうことについてどういうような受けとめ方をされておりますか。
  23. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうどこの事件が出てまいりましたとき、実は私自身としてはサミットの前にもう一度G7を開かせるべきであるということから各国に相談を持ちかけ、六月二十一日ニューヨークと言われましたものが結果的には六月二十三日ロンドンにと変更になりましたが、そのG7の開催を求め、出席をいたします段階で、このような問題を私自身認識いたしておりませんでした。  そのため、ロンドンにおいて行われました今回のサミット蔵相レベル会合の冒頭、世界経済日本経済につきましてのリードが日本に回ってまいりましたので、日本の役割として世界経済並びに我が国経済状況報告いたします中に、この証券の問題につきその時点でわかっております限りの内容報告いたしますとともに各国説明をし、同時にその時点において考えておりました証券取引法の改正問題あるいは大蔵省自身検査体制の見直しの考え方等説明し、納得を求める努力をいたしました。後、サミットの中においてはこの問題は論議をされませんでしたし、その限りにおいてその説明は了承されましたが、内容について各国納得をしたという状況ではないことは今委員が御指摘のとおりであります。その後行われました日米英の三極の証券監督者会議等におきましても、その時点における状況というものを出席各国に対して説明いたしました。  また、細部にわたりまして私は承知をいたしておりませんけれども、この問題につきまして各国からさまざまな情報提供の依頼あるいは問い合わせ等があると聞いております。それぞれに対し事務方として適切に対応いたしておると思いますが、いずれにいたしましても非常に大きな心配を与えておりますこと並びにこの結果として日本証券市場が揺らぐ、その影響世界経済に及ばないかという不安を持たれておるということは事実でありまして、私どもとして今国会に何としても証券取引法の改正をお願いし、また大蔵省自身努力のできる限りを尽くして信頼回復に努めたい、そのように考えております。院の御協力をも心からお願いするところであります。
  24. 野末陳平

    野末陳平君 現に、アメリカの証券取引委員会SECが何かこの問題について調査をしているというようなことを聞きますが、そのあたりの事情大蔵省わかるんであれば少し説明してほしい、これは簡潔にですが。
  25. 松野允彦

    説明員松野允彦君) SECが、あるいはイギリスの自主規制団体でありますSIB日本証券会社現地子会社に対して照会をしております。  その内容といいますか観点は、一つ日本証券会社現地子会社損失補てん行為をしていないかどうか、しなかったかどうかということ。それからもう一つは、親会社損失補てんをしたというのに何らかの形で加担してないか。それからこういうような問題が生じたことによる親会社における影響子会社にも及ばないか。これは主として経営の問題あるいは財務の問題になるかと思いますが。大きく申し上げますとそういうような関心を持ってSECあるいはSIBが、現地日本証券会社子会社に対しいろいろと質問をし、あるいは事情を聞いているというふうに承っております。
  26. 野末陳平

    野末陳平君 さて、きょうの私の質問のテーマは、このスキャンダル再発防止と、それから信頼回復のために何をすべきかというところなんですが、私思うところ、日本証券市場というのは今やガンに侵されて、早期摘出手術を必要としている、そういう重症だと、そんなような感じを持つわけです。外国から日本市場特殊性とか後進性閉鎖性、そういうものはもう前から指摘されておりましたし、また今回の事件で国民の目にも証券市場というのは非常に不明朗で不透明でわかりにくい、うさん臭い、慣習とか慣行ばかりがまかり通っていて、非常にイメージが悪い、そんなような印象を植えつけましたね。どうしてもこれは大手術をしなきゃならないわけですね。  そこで、早期に摘出すべきガンが私の認識では七つある。それに絞ってきょうは質問していくんですね。  まず、もうけ本位営業姿勢、これはよく言われる。二番目は暴力団とのつき合い。これは新しく始まっているんですが、これは非常によくない。三つ目が手数料の問題。四つ目が今回の損失補てん。それから例の天下りだ、大蔵省のね。高級官僚天下りの問題。それから免許制。そして公開株株価操作。こういう七つのガンについて絞って質問をさせてもらいますからね。  まず第一のガンですけれども、つまりもうけ本位営業姿勢、なかんずく、大手証券推奨株とか注目株とかいう名前で強引に特定銘柄を売りまくったという、これがブームのときには物すごく目立っていたんですね。そこでこれから質問していきますが、推奨株というのはそもそも通達で禁止されているはずだと思うんで、その通達はまだ生きていると思うんですが、その要点をかいつまんで簡単に。
  27. 松野允彦

    説明員松野允彦君) いわゆる推奨販売につきましては、昭和四十九年に証券局長通達が出ております。これは「投資者本位営業姿勢の徹底について」という通達でございますが、その中におきまして、投資者の意向とか実情に即した取引を行う必要があるという観点から、証券会社営業方針に基づく特定少数銘柄の一律集中的な推奨のように投資情報を主観的または恣意的に提供することは厳に慎むことというふうな規制をしているわけでございます。
  28. 野末陳平

    野末陳平君 そこで、具体的に東急電鉄の株を取り上げますが、これはさっき質問しましたSECまでがここに異常な関心を持っているようなんですが、まず平成元年の十月ごろに、野村証券がずっと出しております「ボートフォリオウイークリー」、あれに毎週主力銘柄としてこの東急電鉄株は登場しているわけですね。投資家向けレポートです。ここの当時のお勧めの理由はどうだったですか。
  29. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 平成元年十月の「ボートフォリオウイークリー」という野村証券が出しているものがございますが、それによりますと、東急株推奨理由といたしまして三つございます。一つは、東急電鉄が非常に所有土地など膨大な含み資産を持っている。第二番目が、同社が三百社を超える強力なグループ力を持っている。それから三番目が、同グループの渋谷再開発が本格始動するというような大きな三つ理由を挙げて参考銘柄に取り上げているわけでございます。
  30. 野末陳平

    野末陳平君 それは確かにだれもがわかる理由ではあるんですが、しかし、ほかにも推奨した銘柄の中でこの東急電鉄がなぜかその後大きく動くわけですね。  さて、このレポート以後に十月、十一月、この株がどういう動きを示したか、出来高、値動き、それから高値はいつごろ幾らであったかというようなのをこれもかいつまんで簡単に説明してくださいね。
  31. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 野村証券が今のような形で推奨いたしました後、元年の十月から十一月にかけまして東急株売買高が大変増加し、株価も急騰しているわけでございます。売買量につきましては、九月が一億一千万株でありましたのに対して、十月は五億六千万株、十一月は三億三千万株、これは全体の売買量でございますが。というふうになっておりますし、また価格につきましても、九月末は千九百九十円であったものが十月末には二千八百八十円、十一月十七日には三千六十円という最高値を記録しております。
  32. 野末陳平

    野末陳平君 それまで安かったわけで、このレポートの効果があったということにもなりますが、これは現実には随分強引に当時勧めていましてね、野村が。ですから、中には人のいい投資家は持ち株全部を東急電鉄に乗りかえさせられちゃって、今になってぶつぶつ言っているという、これは自分の責任でしようがないんだけれども現実にはこういうものもある。それから無断でセールスマンに中国ファンドを東急に買いかえられた、こういうケースもある。みんなこれ、泣くに泣けぬ失敗をしている投資家はいっぱいいるんで、本来自己責任ではあるけれども、強引なやり方というものもあったわけですね。  そこで、この野村レポートというのは罪つくりと言えるんですが、実は東急電鉄株というのは十月から急騰、十一月に高値三千六十円をつけているんですが、これ以前に暴力団がせっせと安いところでこれを仕込んでいた、こういう事実があるんで、その辺の事情を、再確認ですから簡単に説明してください。
  33. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 東急電鉄株暴力団関係者平成元年の四月ごろから秋にかけて約二千六百万株買い付けたというふうに報告を受けております。その間の株価の推移を見ますと、四月末では千七百二十円、六月末は千五百八十円と下がっておりまして、九月末には千九百九十円ということになっております。
  34. 野末陳平

    野末陳平君 下がったのは市場全体が下がったのでそれにつられたんだと思います。  それからその電鉄株担保融資を受けて、そのお金をまた株を買う資金に回した、こういうようなこともあったんじゃないかと思うんです。そういう事実はどうでしょうか。
  35. 松野允彦

    説明員松野允彦君) この東急電鉄株担保にして野村証券あるいは日興証券関連ファイナンスカンパニーが合わせて三百六十二億円の融資をしております。その融資をしたお金は、実は東急電鉄株の、これは信用取引で買っておりまして、それの決済といいますか、現引きといいますか、現物を引き取るための支払いに充てられているということであります。
  36. 野末陳平

    野末陳平君 わかりました。  暴力団がこの株を二千六百万株も買ったというのはどういう目的かそれは定かではありませんけれども、少なくとも元年の十月から野村推奨し始めた、そして全支店の窓口販売主力銘柄にした、そして三千六十円の高値をつけるに至る。このレポートはどうも意図的なものがある。同時にまた、窓口の強引な売り方を見てもこのレポートはただものではない、こういう印象を持つんだけれども局長はそう思いませんか。
  37. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 確かに御指摘のように、この「ポートフォリオウイークリー」で取り上げて非常に価格が急騰しているわけでございます。「ポートフォリオウイークリー」にはほかに、東急電鉄株以外も数十銘柄取り上げてはおりますけれども売買状況を見ますと、特に近畿あるいは中国地方東急株の買い注文が非常に多い、集中しているわけでございまして、私どももそういう点につきましては、先ほど申し上げました通達との関係問題意識を持っておりまして、投資勧誘に問題がなかったかどうかというようなことを調査しているわけでございます。  なお、暴力団との関係につきましては、「ポートフォリオウイークリー」で取り上げたことと暴力団関係者による大量の株式取得との関係というものを結びつける証拠は現在のところ私ども持っておりませんけれども、いずれにいたしましても、推奨投資勧誘の問題については強い問題意識を持っておりまして、引き続き調査を進めているところでございます。
  38. 野末陳平

    野末陳平君 どうも常識的には裏がありそうだと。というのは、野村東急電鉄幹事証券であって、それが推奨して暴力団にそれを主として買わせているような、出来高あるいは売買状況を見てもそういうふうに考えられる。ひょっとして買い占めか何かでそれに加担しているんじゃないかとも推測されるし、これは私わかりません、全然、真相は。  しかし、はっきりしていることは、リポートを通して、窓口販売を通して一般投資家高値でじゃんじゃんつかませたと。ここに何かありそうな疑惑、これを当たり前とはとれない、これが株の世界では自然だと思うんですね。SECが異常な関心を寄せたのもそこにあるんだろうと思うんで、どうやら素人を踊らせてやくざと何かたくらんでいたらしいなと、そういうような感じがする。これが日本を代表する証券会社の手口かと思うとそら恐ろしい。明らかにこれは通達違反と言えるでしょう、問題意識よりもさらに一歩進んで。そう思うでしょう。
  39. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私ども通達違反の疑いがかなり濃いという問題意識を持って引き続き調査を進めているところでございます。
  40. 野末陳平

    野末陳平君 こういううさん臭い推奨株注目株というのが現実にあったわけですね、ほかにもあるんでしょうけれども暴力団絡み東急電鉄ということに関しては、まさに局長の言うようにさらに追跡調査というか、さかのぼっていろいろと問題意識を持ち、きちっと調べるのがいいだろうと思いますから、今後の展開にまつことにします。こういう営業姿勢が第一のガンで、これは絶対にほっておいちゃいけない。  第二のガンは何かというと、まさに今出てきた大証券会社暴力団のいかがわしいつき合いですよ。これはここ数年前から始まったことなんですけれどもね。  そこで、警察庁、来てもらっていると思うんですが、聞きますがね、暴力団資金源というのは今のところ何と何で、収入はどのくらいと推測されますか。
  41. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 暴力団資金源というものにつきましては、私どもそれほどよくわかっているということはないわけでありますけれども、それを推測する手がかりといたしまして、私ども平成元年の二月に暴力団年間収入がどのくらいかということを総合的に調査したものがございます。これによりますと、暴力団年間収入は総額一兆三千十九億円と推定されておりまして、そのうち覚せい剤であるとかあるいは賭博、ノミ行為といった非合法活動によって得られた資金というのが全体の八〇・三%、一兆四百五十三億円。それから彼らはいろいろと企業経営などもやっておるわけでございますが、そういった言ってみれば合法的な手段によって得られた資金というのが全体の一九・七%、二千五百六十六億円、合わせて先ほど申しました一兆三千十九億円というように推測されるところでございます。  ただ、この数字は平成元年二月の調査に基づく数字でございますので、その後につきましては、やはりいろいろなバブル経済のもと、地上げ等によりさらに多額の資金を手にしているというように判断されるところでございます。
  42. 野末陳平

    野末陳平君 じゃ、今の中には株とか債券の財テク収入というのは入ってない、こういうことですね。
  43. 國松孝次

    説明員國松孝次君) それは具体的に幾らということではございませんが、この調査は、私どもかなり実態を把握しております暴力団の組長その他組員につきまして、約九百人ほどにつきまして調査をしたものでございます。その中に、先ほど申しました合法的なといいますか、特に違法にわたらない形で彼らが得ている資金というものが二千五百六十六億円あるというように申し上げたわけでございますが、その中に一部そういった株の取引によってもし利益があったとすれば、その調査結果の中には一部入っておると思いますが、これは本当にその当時といたしましては微々たるものでございまして、今回どの程度株の売買によって資金を得たかということについて見直しておるわけでございますが、特にそういったものについての非常に大きな額というものは私ども把握をしておらないところでございます。
  44. 野末陳平

    野末陳平君 それにしても、暴力団が株式市場を新たなる資金源とねらいを定めて活発なる活動をしているというこの事実は、警察庁もかなり関心をお持ちのようで、またそういう方面の調査を引き続き今後も強力にする、こういうふうな姿勢だと受け取ってよろしいですか、それは。
  45. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 先ほど申しましたように、平成元年二月の調査ではそういうことでございますが、その後最近になりまして、先ほど来御議論に出ております稲川会の前会長の東急電鉄株に動きました金というのはもう何百億円という金が動いておるわけでございます。その他同じような事案といたしまして、山口組系の暴力団が某繊維会社の筆頭株主に実態的にはなっていたというような事案、それからやはり住吉会系の暴力団員が某家電会社の株を大量に取得していた事案というのが最近次々に明らかになっているところでございますので、そういうものにつきましては私どものまだ実態把握が足らないということでございます。  そういった多額の資金が株の取引なり、それにまつわる融資なりという形で暴力団資金源活動に大きく利するところがあるとすれば大変ゆゆしい問題でございますので、私ども暴力団対策に当たる者といたしまして、今後この種事案の実態解明を図りまして、その中にいささかでも刑罰法令に触れる行為があれば、それに対しては厳正に対処してまいりたいというように考えております。
  46. 野末陳平

    野末陳平君 この際、厳しい目を光らせてほしいですね。こういう暴力団ほど失敗すると補てんを求める、市場をゆがめるのはわかり切っていることですからね。ですから、暴力団市場における悪い動きを見逃さぬように対策を今後工夫してほしいというふうに要望しておきます。  そこで、大蔵省は当然のことながら彼らによる不正常なえげつない取引がないように常にチェック機能を強めなきゃいけないんですが、ただその機能を強めるというんでなくて、さらに一歩進めて、健全な市場を彼らの金がゆがめないように取引規制とかあるいは排除の策とか、そういうものを工夫しなきゃいけないときに来たんじゃないか、少なくも暴力団の金が市場でおかしい動きをしているとわかったときにはすぐにそれを切れるような法的な何か環境を用意しておかなきゃいけない、そういうふうに思うんですが、それについてはどうですか。
  47. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 暴力団関係者との取引につきまして、これは証券市場また証券会社に対する信頼を著しく損なう行為でありますし、こうしたものが横行することは社会的に許されることでないのは委員の御指摘のとおりです。ですから暴力団新法の制定に見られますように、暴力団活動の抑制につきましては政府全体として取り組んでいる状況でありますが、大蔵省といたしましても、今後捜査当局による捜査の進展というものを見守りながら、同時に捜査当局の助言をも受けながら、暴力団新法を所管する部局なども含め政府部内でよく検討してどういう対応が可能かを考えてまいりたい、そのように思います。
  48. 野末陳平

    野末陳平君 しっかりやってくださいね。  次に第三のガンに行きましょう。  手数料ですよ。この手数料についてはいろんな意見がありますが、とりあえず事実関係として、証券会社に入る手数料にはどんなものがあるか、初歩的な質問だけれどもそれを答えてください。
  49. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 証券会社収入になります手数料には、まず株式などの売買の委託手数料がございます。それから二番目に株などを発行する場合の引き受け・売り出し手数料、それから三番目に募集・売り出しの取扱手数料、それからその他の受け入れ手数料、これは例えば保護預かりの管理料などが入ります。大きく分けまして今申し上げた四つの手数料になっております。
  50. 野末陳平

    野末陳平君 さて、それではこの問題が起きたときの決算である平成二年度は、大手四社の合計で手数料収入がどのくらいで、そして営業の全収入に対して手数料収入はどのぐらいの比率でウエートを占めているか。四社まとめた数字で結構です。
  51. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 平成二年三月期の四社の手数料収入の合計、先ほど申しました四種類の合計でございますが、二兆一千四百二十六億円でございます。  その内訳は、売買の委託手数料が一兆二千六百十七億円、全体の五八・九%を占めております。それから引き受け・売り出し手数料が四千二十九億円、一八・八%。募集・売り出しの取扱手数料が二千七百八十五億円、一三・〇%。それからその他の手数料が千九百九十五億円、九・三%ということになっております。
  52. 野末陳平

    野末陳平君 そうすると、手数料全部入れたらば営業収入の何十%になるんですか。
  53. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 営業収入に占めます今の手数料の合計の比率は八〇・四%になります。
  54. 野末陳平

    野末陳平君 証券会社は自分で株を売買してもうけているわけじゃなくて、手数料でもうけているというのがよくわかるんですが、それにしてもこの手数料が四社合計ですけれども二兆円を超えているという、これは莫大だ。だからこの手数料収入こそが損失補てんの財源になっている、こういうことは理屈上言えると思うんです。何といったって補てんで一千二百八十三億円でしたか、そのぐらいのお金を仮に出しても、この中から出せばせいぜい一割の吐き出しで、そしてその結果そのコストで取引が続けばさらにまた手数料がいろいろ入ってくる。こういうようなことを考えますと、文句なしに続いてもうかるわけで、ですから今回の損失補てんがあったんだろうと思いますが、少なくもこの手数料収入の一部を顧客に返したというような、理屈としてはそういうことになるんですね、今回の損失補てんというのは。そういうふうにとっても構いませんか。
  55. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 手数料の水準につきましてはここのところ数年下げてまいったわけでございますが、ただ、市場規模が非常に大きくなって大口の機関投資家取引がふえております。そういったことで証券会社の手数料収入もふえ、営業収益もふえているわけでございまして、手数料収入がそのまま損失補てんに充てられたというふうに考えるというのは難しいわけでございますけれども、全体の証券会社の営業収益が市場規模の拡大に伴って非常にふえて、その部分が損失補てんを可能にしているということについては御指摘のとおりだろうと思います。
  56. 野末陳平

    野末陳平君 そこでその手数料、今ちらっと局長も触れたけれども、どうも高過ぎるんじゃないか、これを安く引き下げたらどうかと。何回か大蔵委員会ではこの問題をやって、引き下げもあったんですけれども、さらにまた引き下げる。高い水準にあり過ぎるんじゃないかという認識があって、それについてどうですか、引き下げる方向というのはありますか。
  57. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 先ほど申し上げましたように、近年三回にわたって一〇%ずつぐらい引き下げてきたわけでございます。ただ、大口の取引が機関投資家が成長したということで非常にふえておりまして、そういったことから申し上げますと、現在の手数料水準というのが十分な低い水準であるということは言えないというふうに思うわけでございまして、私ども、現在の市況は非常に悪いものですから今の状況で手数料の引き下げが可能かどうかということについては別の問題がございますけれども、基本的にはやはり市場の拡大あるいは機関投資家市場への参加に合わせて手数料を適正な水準に引き下げていくということが必要ではないかというふうに考えております。
  58. 野末陳平

    野末陳平君 同時に、外国の方からは手数料は自由化すべきだ、こういうような声もあるわけです。自由化した場合の一長一短について簡潔に教えてください。
  59. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 主要国におきましては株式の委託手数料は自由化され、当事者の交渉にゆだねられているわけでございますが、その状況を見ますと、共通して見られますのは、自由化をいたしますと交渉力が比較的ない小口の投資家の手数料が上昇するというような傾向がございます。機関投資家の手数料は低下するわけでございます。その結果、個人投資家市場への参入がむしろ減少し、市場のいわゆる機関化現象が促進されるというようなことで、市場における値動きも非常に大きくなる。一方、証券会社の方も手数料の減収を補うべくいろいろな自己売買とかあるいはM&A業務とかいうようなものに傾注をするというようなことで、証券会社の財務、業務の健全性あるいは証券市場の安定性というのがかなり影響を受けるということが自由化をした国の市場に見られるわけでございまして、私どもそういう観点から言いますと、自由化というものが証券市場に与える影響というものをもう少し慎重に見きわめる必要があるんではないかというふうに考えているわけでございます。
  60. 野末陳平

    野末陳平君 しかし、私はやはり市場の国際化を目指すなら流れは自由化の方向じゃないかなと思うんで、自由化の議論を今後大いにすべきだというような感じを持っていますからね。  さて次に、四つ目の摘出すべきガンですけれども、これが問題の損失補てんという、日本的というか奇妙ななれ合い商法で、本論に入る前に損失補てんの定義、これがちょっとわからない、わからないというか、それぞれ違うようです。  まず大蔵省平成元年の末に通達を出したんだが、そのときには損失補てんの定義をどんなふうに業界に説明したのか。これはどうですか。
  61. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 平成元年十二月に出しました通達におきましては、特に損失補てんの定義について明示してございません。  ただ、損失補てんと申しますのは、一般的に申し上げますと、お客に対しまして有価証券売買などによって生じました損失の全部または一部を補てんする目的を持って有価証券売買等の形をとって財産上の利益を供与する行為であるというふうなことと考えているわけでございまして、この考え方につきましては、基本的には通達を出したときもそういう考え方でいたわけでございます。  定義につきましては、現在、証券取引法の改正ということで作業を進めておりまして、その中でさらに定義を明確にしていくという方向で検討をしているわけでございます。
  62. 野末陳平

    野末陳平君 そうすると、やはり通達を出したときに定義そのものが受け取り方によってはいろいろあると、ややあいまいであったというところの責任も何かあるような気が聞いていてしますが、しかし、今度新しい対応策を考える中で、その定義をもっとはっきりさせるというか、明文化して、だれにもわかる客観的なある程度のルールをきちっと文章で打ち出すとか、そういうことを今考えているということですか。
  63. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今私どもとして考えております方向は、委員が御指摘の方向であります。
  64. 野末陳平

    野末陳平君 さて、それでは損失補てんの中身に入りますが、手口ですね。どういうやり方で損失補てんしていったかということですが、幾つかのパターンに分けて内容を知りたいと思いますからね。取引の年月日、それからどんな商品を使ったか、それから売りと買いの金額、そしてどのぐらいの利益を上げさせたかという具体的な事実に基づいてパターンで答えてほしいんです。  まず、常識的に考えられるのは、国債を使うという手口があると思うんですが、これについて具体的な事例を一つでいいですからやってください。
  65. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 国債の店頭売買、つまり相対取引を使った例、具体的な例に即して申し上げますと、ある証券会社、Aといたしますと、そのA社が昭和六十三年の十月に利付国債を額面百五十億のものを百五十四億円でお客に販売いたしまして、その販売をいたしました翌日に百五十七億円で買い取る、それによってお客に三億円の利益を発生させるというような行為がございます。 これは、国債の店頭売買につきましては実勢価格の上下二%の値幅の範囲内で売買をすることはルール上認められているわけでございまして、その二%の範囲内に入るわけでございますが、こういった形で三億円の利益を発生させるというような取引をしているわけでございます。
  66. 野末陳平

    野末陳平君 金額は大きいけれども一日で三億円の利益という、それはやはり証券会社のサービスだというふうに思えるんで、普通の人は金額は小さいがこういうことはもう絶対できない。今の局長のだと二%の中の上と下とうまく使っているわけですね。その辺がサービスだろうと思うんですけれども。  次にはどんな手口があるんですか。
  67. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 例えば実勢価格が余りはっきりいたしません外債を使った例がございます。外債も日本市場では店頭で証券会社とお客の相対取引が行われるわけでございますが、具体例で申し上げますと、ある証券会社平成元年の五月に米国債を百四十三億円で販売をいたしまして、五日後にそれを百四十六億円で買い取る、それによって顧客にやはり三億円の利益を発生させるというようなことが行われております。  外債につきましては、今申し上げましたように店頭で相対で取引が行われるわけでございまして、実勢価格はアメリカの市場であるわけでございますけれども、それとある程度乖離した価格売買されるというようなことで、こういったような取引が行われているわけでございます。
  68. 野末陳平

    野末陳平君 そうすると、顧客へのサービスとは言いながらその価格形成というのはかなり恣意的で証券会社が勝手にやっているという、何かいいかげんな値づけと言っちゃ言い過ぎかもしれないが、素人は少なくも正常な取引価格が形成されたというふうには思えませんね。
  69. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 今申し上げましたように、外債の場合には主な市場外国にあるものですから、時差の関係などでこういうやはり実勢から乖離した価格売買されるというようなことが行われがちなわけでございます。  そういったことにかんがみまして、私ども実は七月三十一日に発出いたしました通達におきましても、そういう日本において上場されていない債券の取引につきましても、いろいろな本国における値段あるいはいろいろな発行体との関係など、信用力とかあるいは残存期間とかいうようなものを考えて恣意的な値段をつけないように、適正な値段とするようにという通達を出したところでございます。
  70. 野末陳平

    野末陳平君 ゆうべTBSが中身を発表した中で、ワラント債がありましたけれども、そうすると、外債の一つであるワラント債についても具体例はかなりありますか。
  71. 松野允彦

    説明員松野允彦君) ワラント、これは外貨建てのワラントを使った例がやはりかなりございます。この外貨建てワラントにつきましては、平成二年の九月から私ども市場を整備したわけでございますけれども、それ以前は必ずしも店頭で売買される値段が明確ではなかったわけでございまして、例えばある証券会社平成元年の十二月に外貨建てのワラント四銘柄を十五億円で販売し、同日十九億円で買い取るというようなことでお客に四億円の利益を発生させるというようなことを行っております。  外貨建てワラントにつきましては、これはユーロ市場で発行されるものでございまして、国内のワラントと違って、国内ではその当時市場がなくて店頭で売買をされていたわけでございます。平成二年九月からは、店頭取引ではございますが、私ども取引価格がはっきり明確になるように市場を整備したところでございます。
  72. 野末陳平

    野末陳平君 ワラントで一日四億円、同じ日で四億円という利益を上げさせたとありますが、聞いてみれば、その当時は市場が整備されていないがゆえに証券会社の恣意的な価格形成が自由にできていたという。その結果、こういう手品みたいな話が起きたんだろうと思います。  その後市場が整備されたということで、こういういいかげんな価格形成というのはかなりなくなって、この点ではもう正常になってきて透明になってきたと、こういうふうに受け取っていいですか。今後はこういうような手口の損失補てんはもうできませんか。
  73. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 今申し上げましたように、平成二年九月からは日本相互証券という、これは証券会社間の取引を媒介する証券会社でございますが、そこを通じて取引を行うということを原則としておりますし、あわせて取引価格についても情報を十分開示するということにしておりますので、先ほど申し上げましたような値段での取引を同日で行うというようなことはできないようになったというふうに考えております。
  74. 野末陳平

    野末陳平君 いずれにしても、もう普通の人は、普通の投資家は全然寄れないという、証券会社が内輪でサービスのために気配りでやっているというような印象の手口ばかりですけれども。  その次にどんな手口がありますか。時間の関係もありますから余り詳しく入らないで、簡単に行きましょう。
  75. 松野允彦

    説明員松野允彦君) あと使われております手口として、例えば国債の先物を利用して、これは主として、これも短期間の売買でございますが、先物の市場の場合には比較的売買が活発でございませんので、証券会社がお客の相手となって売買が成立する場合が多いわけでございまして、そういう先物の相場というものを考えてお客に利益が出るような取引が行われておりますし、転換社債を使った場合も、そういうようなお客と証券会社が対当するような取引市場で成立する。特に取引量の非常に少ない大阪市場あるいは名古屋市場を利用して行うというようなケースもございます。  それから一日の間の価格変動を利用してお客に利益を供与するという、いわゆる日ばかり売買を利用したものもございます。また、新発の転換社債あるいは公開株を集中的に配分するというようなことでお客に利益を供与したというような手口がございます。  大体主なところは以上でございます。
  76. 野末陳平

    野末陳平君 いずれも聞いてみれば素人は無関係なんですが、だからこそまた損失補てんだった、しかし、受けた方はなかなかそれがわかりにくかったんだろう、そういう面も想像されるんですが、一つ落ちているというか、現金というのもあったと思うんですね。現金をストレートに補てんしていくというそういう手口、これは例は少ないかもしれないけれども現実にあったんでしょう。
  77. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私どもが自主報告で受けました中に、極めて例は少ないわけでございますが、お客とのトラブル処理のために和解金として現金で補てんしたという事例も損失補てんの中に含まれております。
  78. 野末陳平

    野末陳平君 やはりそれも補てんですけれども、一番典型的な、多いのは、大体今の説明で想像するに、市場ができていない非上場の外国債券など値段のはっきりしないやつ、これをうまく操作した、こういうような印象を受けるんですが、そういうふうに結論づけて構いませんか。
  79. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 確かに市場価格が明確でないものを使って恣意的な価格でやったものも多いわけでございますが、それにあわせて、先ほど申し上げました先物取引を利用して、その価格変動の差を利用して顧客に利益を供与したという事例もかなり認められるところでございます。
  80. 野末陳平

    野末陳平君 そうすると、こういう売買はまともな証券売買とは言えないで、やはり不公正で不透明な商取引だ、あってはいけないことだというようなことなんでしょうね。
  81. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 確かに価格が不透明な債券等があるということ自体に問題があるわけでございまして、それは先ほど申し上げましたように、私どもこれからそういうような恣意的な値段をつけないようにという指導を始めたところでございますが、それ以外にも、例えば先ほど申し上げました上下二%幅でも、一応通常の取引の範囲内ではございますが、損失補てんを意図して短期間のうちに大量の取引をするというような形で行われますと、これは通常の取引の形態をとっておりましても損失補てんの意図があるというふうに考えられるわけでございます。  そういったことから申しますと、損失補てんというのは、基本的に有価証券売買における自己責任原則に反する行為でございます。したがいまして、どういう手法をとろうが極めて不適切な行為であるというふうに私どもも考えているわけでございます。
  82. 野末陳平

    野末陳平君 じゃ、厚生省に来てもらっているんで、年金福祉事業団はどの手口を使って補てんを受けたのかということをちょっと確かめておきたいんです。  そもそも事業団が運用している金額というのはどのくらいで、それはどういう性格のものか、これ一言で説明してください。
  83. 加藤栄一

    説明員(加藤栄一君) 年金福祉事業団の自主運用事業でございますけれども、厚生年金及び国民年金の保険料積立金を財源といたしまして、これを少しでも有利かつ安定的に運用いたしまして、今後の本格的な高齢化社会の到来に伴います保険料負担の上昇を少しでも軽減することによりまして公的年金制度を長期にわたって安定的に運営することに資するとともに、被保険者の福祉向上のための還元融資の充実を図るということを目的としているものでございます。  年金福祉事業団におきましては、自主運用事業としましては、平成三年度における運用額は十二兆六千五百億円になっております。
  84. 野末陳平

    野末陳平君 十二兆だけれども、それの中で自家運用の分があるわけでしょう。
  85. 加藤栄一

    説明員(加藤栄一君) 今のは全体でございまして、この中で自家運用でございますが、自家運用につきましては、平成三年度で一兆二百三十億円でございます。
  86. 野末陳平

    野末陳平君 三年度はそうだけれども、この補てんを受けたのはもうちょっと前だったでしょう。
  87. 加藤栄一

    説明員(加藤栄一君) 各年度で申し上げますと、六十二年度から始めておりまして、六十二年度は六百億円、六十三年度は四千七百億円、元年度五千二百八十億円、二年度で七千七百十億円でございます。
  88. 野末陳平

    野末陳平君 そこで、自家運用の利回りは実績で大体どのくらいだったのかということと、もう一つどんな手口で補てんを受けたかという手口の解明。
  89. 加藤栄一

    説明員(加藤栄一君) 自家運用事業の運用利回りでございますが、昭和六十二年度は八・一五%、六十三年度七・四四%、平成元年度七・二八%、平成二年度五・五四%となっております。  どのような手口で補てんを受けたかということにつきましては、年金福祉事業団及び証券会社から事情を聞いたわけでございます。国税当局は守秘義務の関係で十分な御説明はありませんが、年金福祉事業団と証券会社との国債の売買の一部につきまして、証券会社に計上されておりました売買損が年金福祉事業団に対する利益供与に当たるものとして更正決定が行われたものと考えております。これは事業団に過去に損失があって事後的に補てんしたという性格のものではございませんで、売買の上で利益供与といいますか、そういうサービスをしたという性質のものであると考えております。  一方、事業団といたしましては、事前にも事後にも損失補てんを求めたという事実はございませんで、いずれの取引につきましても、事業団は株式の運用はできないことになっておりますので、投資顧問会社の助言を受けて国債の売買を行っていたものが指摘されているわけでございます。  個々の取引内容を調べてみましたわけでございますが、通常の市場価格から大きく乖離した価格での取引は見当たりませんで、すなわち店頭売買としての許容される限度内におさまっておりまして、取引の相手方であります事業団としては、不自然な取引とは思わなかったというものでございます。事業団の側からは不適切な取引としてこれをチェックするというところまでは期待し得なかったと考えておりますが、事後的に見まして、現在いわゆる補てんとして指摘されている取引というのはこういうものであろうかというふうに考えております。
  90. 野末陳平

    野末陳平君 担当者でないから余り聞いてもしようがないんだけれども、要するに証券会社に相当気配りをしてもらった結果うまい売買ができているということだろうと思うんですね。  いずれこの事業団の問題もほかの委員会で出てくるかもしれないんだけれども、ここでは深入りしませんけれども、各企業補てん認識がない。一方的に証券会社がやったという面もそれはあるけれども、しかし、それにしても売買の明細の報告書は来るんだし、それから担当者は定期的に報告をし、また相談もしているわけですから、その過程でやはりある程度、補てんという言葉は別としても、いろいろ配慮してもらっているというのは当然わかるわけで、損得関係なく結果を見たらこうだったというのは僕はうそだと思うんですね。ですから、どこの企業もとぼけているんじゃないか、そう思うんですよ。  そこで、いろいろな今回の損失補てんを受けた企業が対応しているそれを分析すると分類が三つあるんだね。要するに任せっ放しで、うっかりして何にも気がついていなかったといううっかりタイプというのが確かにある。共済組合なんかその分類かもしれない。それから、ちゃんとわかっているんだけれども、なれ合いでうまくやってもらっていたというそういうタイプがある。なれ合いのタイプ。それからもう一つは、要求して補てんさせたという確信犯。これだけある。だから、うっかり、なれ合い、確信犯、この三つに分類されるんで、あながち損失補てん企業を責めるということだけではいけないと思うんですが、しかし、どういう形であれ、不自然な取引で、不透明、不明朗な取引補てんを受けたというそういう事実は確かなんだから、補てんを受けた側の責任というものもこれはあると思うんだね。処分もまたあっていいと思うんだね。  一体この責任とか処分とかそういう点については証券局はどういうふうに考えているんですか。
  91. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 損失補てん行為は、有価証券投資の自己責任原則に反します非常に不適切な行為でございます。したがいまして、補てんをした証券会社は当然のことでございますが、補てんを受けた側につきましても、やはりそういう不適切な行為が行われたということは我々としては非常に残念に思うわけでございます。  現在、確かに御指摘のようにいろいろな認識の程度がございます。補てんを受けた企業というものが今回の公表で明らかになったわけでございまして、私どもそれに対して、一つ有価証券報告書というレベルで一体どういうふうに考えたらいいのか。全く認識のない場合には、従来の企業会計のルールからいたしましても訂正を求めるというのは難しいわけでございますが、やはり認識があったということになりますと、証券会社が訂正をする以上、補てん先の訂正というのも考えなきゃいけないということで、これは公認会計士の監査の問題でございますので、協会の方に検討を依頼しているところでございます。  また、現在証券取引法の改正で損失補てんについての禁止を考えているわけでございますが、その中で、損失補てんを要求するケースあるいはそれを損失補てんだというのがわかっていて補てんを受けるケースというようなケースについて、法律上禁止行為にできないかどうかという点について、現在法制局あるいは法務省と検討を進めているところでございます。
  92. 野末陳平

    野末陳平君 そうすると、その検討の結果、禁止もそうだが補てんを受けた側の罰則のようなものも盛り込まれるような感じですか。
  93. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私どもとしては、可能ならば罰則の対象にする方向で検討をしていただきたいというふうに思っているわけでございます。
  94. 野末陳平

    野末陳平君 大衆的な感情からいうと、この補てんを受けた側はもらい得、受け得ということでいいのか。極端に言えば、ちまたにはこのお金返せなんてね。これは非常に乱暴な意見だ、意見というよりも感情論だ。まさか証券会社に返すわけにいかないよ。だから社会還元しろとかみんなに分けろとか、寄附しろとか、そういう乱暴な意見にまでエスカレートしちゃっているわけ。やはり一社ぐらいはこの金を有効に何か使うとかそういう動きに出てもいいと思うんだ。それはどうですか、局長から言えないかもしれないけれども、個人的にそう思わないですか。
  95. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 大変お答えしにくい御質問でございます。  補てんを受けた企業は、それはいわば売買益あるいは運用益ということで企業の所得になっているわけでございまして、そういう意味では企業の所得として課税対象にはなっているというふうに考えられるわけでございます。個々の企業がさらにその部分についてどういうふうに処理するかという点については、どうも私から御意見を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  96. 野末陳平

    野末陳平君 いずれにせよ大切なことは、補てんを受け取ったところも、それをさせた証券会社も一緒に市場をゆがめたわけで、共犯者ですから、やはり共犯者という以上は責任も処分も同じであっていいんで、今回の法改正では当然これの禁止、罰則、そういうような方向は打ち出すべきだと思うんですね。少なくも財テクをやる以上、みずからもリスクを背負うべきなんですから、それくらいの投資責任というものを感じてないといけない。どうも今回の反応が鈍い、そういうふうに思いますから、法改正に期待しておきます。  さあそこで、ちょっと雰囲気を変えますけれども、NTTの話があるんだね、これに関連して。NTTに関して抗議の電話は今でも多いか、あるいは事件以後もっとふえたんじゃないかと思うんですけれども、どうです、大蔵省に相当電話かかっているんでしょう。
  97. 寺村信行

    説明員寺村信行君) NTTの株価が売り出し価格を下回っておりますことにつきまして、NTTの株主の方々から電話や手紙によりまして苦情が私どもに寄せられております。  頻度についてのお尋ねでございますが、株価が下落いたしました当時は相当程度の苦情が寄せられておりますが、その後少しずつ少なくなっておりましたが、最近のこの損失補てんの問題で若干苦情が多くなっているという状況でございます。
  98. 野末陳平

    野末陳平君 若干なんと言ったってわからないけれども、多いと思うんだけれども、どういうふうに答えているの。昔は株は損することもある得することもあるから自己責任でというようなことを建前で言ったと思うんだけれども、今どういうふうに答えているの、現実に。
  99. 寺村信行

    説明員寺村信行君) 具体的には、従来からの苦情の内容を申し上げますと、株価が下落したことに対する御不満、それから株価が下落してその損害を補償するような措置を求めるといったような内容でございますが、今回の損失補てん問題が出ました以降は、この問題を一方で指摘しながら、NTTの株式の価格の下落についても同じように損害補償をしてほしい、こういった内容の苦情でございます。  それに対しまして、私どもは、売却時におきましてNTTの株式を購入された方が、保有している資産が目減りをして釈然としない思いをされているということは十分そうしたお話で承知をしておりますけれども株価市場によりまして上昇したり下落したり価格変動を伴う性格のものであるということを御説明いたしますとともに、今回の損失補てん問題につきましては、免許会社としての規範に著しく反するものであり、社内処分あるいは営業自粛の措置を講ずるとともに、こうした問題の再発を防止するために今後法制上、行政上の措置を講じて、投資家の信頼を回復するように努力をしているということを御説明申し上げ、御理解をいただくようにしているところでございます。
  100. 野末陳平

    野末陳平君 そんなことじゃ御理解はいただけないわね、どっちみちこれは感情論だから。しかし、そのとき一番大事なのは、小口のNTTの方は知らぬぷりで、これはだめで、そちらが説得する、大口の方は穴埋めしてあげる、こういう事実がはっきりしちゃうと、これはどう考えたって矛盾ですよね。この矛盾について今のようなお答えで通して、きちっとした国民の理解が得られると思っているのかな。もちろんそれは具体的に対応していくことで最後は理解してもらうにしても、ちょっと答え方がまずいというか、それじゃだめだろうと思うな。むしろ、もっと怒るんじゃないかと思うな。別にこれで答えを求めようとは思っていないんだけれども、しかし、こういう大衆的な感情というものを理屈で抑えようとしてもこれはだめだからね。これが実は怖いと私は思っているわけなんです。  そこで、簡単に言いますと、このNTT、あるいは投資信託もありますが、そういう人たちは常に自己責任でリスクを負いなさい、損しても我慢しなさい、しかし大口の方はこれからの長い取引もありますし、今までもうけさせてもらっていますから補てんしてあげますよというような証券市場を今まで大蔵省がきちっと指導してこれなかったという、ここにやはり一番の大きな問題があると思うんですよね。ですから、そういう意味ではこの大衆感情というものをばかにしちゃいけない、軽視しちゃいけない、真剣に受けとめるべきだ、まずそれを言いたいんですが、それはきちっとやっているんでしょうね。そう思っているんでしょうね、局長も。
  101. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 確かに今回の損失補てんは一部の大口顧客に対して損失補てんするという極めて不公平な行為でございまして、有価証券投資の自己責任原則という大前提に反する行為ということで、不公平かつ不適正な行為だということでございます。私ども、その点行政指導が不十分でこういう事態が生じましたことにつきましては、大変責任を痛感している次第でございます。  再発防止につきましては、先ほど来申し上げましたように、法律改正で、思い切って損失補てんについて罰則をかけることを含めて法律で禁止をするという方向で検討を進めているところでございまして、こういうことが二度と起こらないように万全の備えをし、全力を挙げて努力をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  102. 野末陳平

    野末陳平君 大衆の怒りをまとめてみると、要するに小口の投資家がカモになった、そしてその犠牲の上に大口投資家証券会社があぐらをかいてますます太っていく、そういう図式になっているんですね。ですから、こういう市場というものを黙認してきたというか、あるいは一生懸命やったんだろうけれども力及ばずこういう市場のままで来てしまったという大蔵省責任局長もそういう責任のある答えをしたけれども、それを今後の対応策の中で早く形でもっておわびを示していかなきゃならない、そういうふうに思うんです。  そこで、この損失補てんをまとめるに当たって通達を出したんだが、あれ平成元年の末でしたね。その通達がその後どういう効果を上げているかということで、真剣に大蔵省はフォローしていたのか、どんな方法でそれをやっていたのか、通達の出しっ放しだったんじゃないか、そういうふうに思うんだが、それはどうですか。
  103. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 元年の十二月に通達を出しまして、損失補てんをしないようにという強い指導をしたわけでございます。もちろん、この損失補てんという行為はそれ自身極めて不適切な行為でございまして、通達以前であっても決して適正な行為というわけではなかったわけでございます。しかし、一部にそういう損失補てんがあるということがわかりましたので、十二月に通達を発出したわけでございます。その際、あわせて過去の損失補てんの有無について、これは本省の監督しております大きな二十二社の証券会社でございますが、これに対して自主点検をして報告するようにということで、二年の三月を期限としてその報告を求めたわけでございます。  その報告は、これは具体的にはブラックマンデー以降ということで、ブラックマンデーが昭和六十二年の十月でございますので、証券会社の事業年度にいたしますと六十三年九月期、それから事業年度が変更になりまして元年は三月期になっております。それから二年の三月期という形で自主報告を求めたわけでございますが、その中に一部、通達発出後、平成二年の一月から株価が非常に急落したということでトラブルが起こって、そのトラブル処理のためやむを得ず損失補てんを行ったというようなものが入っているという報告を受けたわけでございます。  いずれにいたしましても、非常に不適切な行為、かつ通達発出後も行われたということで、私ども非常にその点について各社に厳正な対処、対応を求めたところでございまして、各社に厳正な社内処分を要求し、行わせたということでございます。
  104. 野末陳平

    野末陳平君 じゃ局長通達後にそれを守らない、あるいはやむを得ざる事情でいろんな補てんをしていたというそういう数字を、通達前と後とかそういうふうに分けてきちっと出せるかどうか。通達の効果はこのとおりだったとか、そういう意味でこれを分けることができますか。今はアバウトに全部出してあるけれども、そういう作業はできるんですか。また、現実にいつか出してくれますか。
  105. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 自主報告につきましては、先ほど申し上げましたように、証券会社の年度区分ごとに数字を報告させたわけでございまして、年度で、六十三年九月に終わる年度、あるいは平成元年三月に終わる年度、二年三月に終わる年度という形での自主報告の計数はとったわけでございますが、通達が発出されましたのが元年の十二月でございまして、その通達発出前後という形での件数あるいは額については、当時報告は二年三月期の中に一本で含まれているという形での報告をとっているわけでございます。  御指摘のように通達発出前後という問題がございます。年度途中ということで、具体的な補てん行為、先ほど申し上げましたようにいろいろな取引で行われておりますので、しかもそれも十二月をまたいで行っている取引もございます。分けるということがなかなか技術的に難しい面もあるわけでございますが、何らかのことができないか、私どもも検討して証券会社に検討を要請してまいりたいというふうに思っております。
  106. 野末陳平

    野末陳平君 私に言わせれば、もう大蔵省を甘く見て通達なんか守ってなかったんじゃないかと思えるぐらいで、これは法律違反ではないかもしれないけれども、それは今の法律に事後補てんのことが書いてないからであって、それを補うのが通達だったんだから、通達以後も損失補てんなどをしていたらこれはもう違反ですよというふうに重く受けとめるべき性質のものだと思うんです。ですから、ひとつ通達後にそれを破って補てんが行われたということがわかれば、それには厳しく対処してもらわなきゃならない、そういうふうに言っておきます。  時間もなくなってきたので、七つやらなきゃならないんだけれども、五つ目の天下り、これをやっちゃいましょう。  これは問題です。というのは、天下りそのものを私は全面否定するつもりはないんですけれども、しかし金融界にいろいろ問題がある。こういうときに今までどおりに大蔵省のお偉方が天下りしていくということは、これは許されません。現に、今回公表リストを出した証券会社の中にも天下りがいたり、あるいは損失補てんを受けた方にも天下りがいたりといろいろ事実が出てきますと、これはこれから監督をすると言っても、不徹底になってなれ合いになるんじゃないかという疑惑を国民に持たせるのは当たり前なんです。大蔵省の方は特殊、専門の技能を生かしてとか第二の職場でとか言うかもしれないが、世間から見ればそんなこと通用しない。少なくも疑惑と不信を招く。そこで、この天下りは今後証券関係は自粛してもらいたい、そう思うんですけれども、どうですか。
  107. 篠沢恭助

    説明員篠沢恭助君) ただいま先生からもお話がございましたけれども、私どもの役所の場合、金融証券の知識経験を必要とする職場に請われまして就職をしていくケースが比較的多いのでございますが、私どもの仕事の性質上、そうした専門的な知識経験を有する人が相対的に非常に多いということによると考えておるわけでございます。  もとより、国の機関と密接な関係にございます営利企業への就職につきましては、癒着の防止あるいは行政の公正さの確保という観点から、国家公務員法に基づく審査を受けてその承認を受けていることは事実でございます。そのように慎重に対処しているつもりでございますし、また私どもといたしまして、先ほども類似の御質問がございましたけれども、もとより大蔵省に在職をいたしました者が営利企業に就職することによりまして行政がゆがめられるということがあってはならないということは当然でございます。証券局を初めといたしまして、常に厳正かつ公正な行政を行っていることについては何とぞ御信頼をお願いしたいというふうに考えるわけでございます。
  108. 野末陳平

    野末陳平君 それはもうだめだよ。信頼なんかできないよ。だってこういうことが起きたということは、どう弁解しようがやはり一種の癒着と思われても仕方がないと言っているんであって、専門技術を生かしたなら損失補てんなんかやらせぬようにしなきゃいけないでしょう。通達があったらそこできちっとそれでやめなきゃいけないでしょう。だから、やはり誤解を招くような天下りというのは、もうここしばらくは自粛してもらわなきゃまずいですね。大臣、これはもう当然でしょう。
  109. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 個人的に委員と同じような気持ちがないわけではございません。ただ、人事院との関係におきまして、また同時に個々人の長い人生設計の中におきまして、果たしてどういうやり方があるのか。実は衆議院でも同様の御質問に遭いました。そして、このルールの中で苦しんでおります。
  110. 野末陳平

    野末陳平君 少なくも国民の声は天下りはもう許さないということだと思います。これは十分に事態を深刻に受けとめて考えてもらいたいと思いますね。  次は、六つ目の免許制ですが、これはもう時間もありませんから多く言いません。  新規免許がもうここ二十年ずっとない。証券会社への新規免許が一件もなくて、四大証券とその系列下の会社証券界を牛耳っているという事実は、もうこれはだれもがわかっているとおりで、まあ悪いけれどもやりたいほうだいやっていると思いますよ。ですから、これは寡占化ですね、証券市場が寡占化している。免許制と直接関係あるとは言わないけれども、大いに免許制のいい面が昔はあったが、今は悪い面が出ちゃったんだ、こういうふうな受け取り方を僕はしているわけですよ。ですから、この免許制という形はとりながらも、これからは参入条件の厳しさを緩めて、規制緩和ですね、どんどん証券市場に新しいパワーと新しい姿のものが入ってくるようなそういう方向の検討をすべきだと思います。どうですか。
  111. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 確かに御指摘のように、免許制といいましても、新規免許を認めないということではないわけでございまして、私どもも現在の証券市場におきますいわゆる寡占的な状況については非常に強い問題意識を持っておりまして、金融制度見直し論議の中におきましても、この証券市場におきます寡占状態を解消するには新規参入が必要であるという方向で証取審などでも議論をしていただいたわけでございます。これを具体化いたしますために、現在私ども証券取引法の抜本的な改正作業に入っているわけでございますが、この中におきましても、やはり御指摘のような証券市場におきます寡占をいかに打破していくかという点を非常に重視いたしまして、適正な競争が促進されるように持っていきたいというふうに考えているわけでございます。
  112. 野末陳平

    野末陳平君 何といったって株屋感覚だからね、今の人たちは。だからこれはだめですよ。やはり自由濶達な競争原理が導入されるという市場が必要で、そのためには、局長のお答えのように金融制度の改革ということを精力的に進めてもらいたい、時の流れだから。そして、日本が国際的なビジネス社会で早く正会員の地位を占めれるように、形は正会員でも内容がまるで前近代的というこういうことではいけないと思いますからね。ひとつ新規参入ができるような金融制度改革を積極的に進めてください。  いろいろと言ってきましたが、まだ実は公開株とか株価操作等あるんですが、それよりもこちらの提案、提言というか、それも聞いてもらいたいですね。  まず第一の提言というのは、この事件をきっかけにして監視機関、これをきちっとしないのがいけなかったのでこれをつくるべきだ、そういう意見が多くあるようですね。  そこで、私見を言いますと、この監視機関もいいんですけれども、いたずらにアメリカのようなSEC、これを引き合いに出してくるという短絡議論には反対なんですよ。もとより、大蔵省の行政権限を強化するというだけで市場のあり方が正されるとも思わないし、それから法改正だけでまともな市場になるか、市場の正常化がたちどころに実現するかと言われれば、それもすぐにはいかない。やはり監視機関というものが必要なんですが、しかしアメリカのSECというのは、映画なんか見てもわかるとおりでして、風土の違い、それから投資家心理の違い、あるいは国民性の違いとか慣習の違い、いろいろあります。そう簡単には日本に持ってこれない。一番大きいのは、あちらは二千人を上回る専門スタッフがいるわけ。我が国は監視するといったって、その能力を備えたスタッフを何百人つくることだって簡単にできないんです。大蔵省だってそうたくさんいないんだから。ということを考えると、大臣、これはいたずらにアメリカを見習うような、お手本にするようなそういう発想は一回きちっと拒否するというか、それが大事だと思うんです。アメリカの事情がみんなわからないから、僕もちょっと勉強したぐらいで本当言ってわからないが、少なくもスタッフから考えても無理だと思いますが、どうでしょう。
  113. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に、大蔵省として今考えております点を率直に申し上げたいと存じます。  この事件が発生いたしましてから、たしか七月十日だったと思いますが、省内の会議を開きまして、基本的に現在のその検査というものを全面的に洗い直せ、そして検査の手法あるいは技術、能力、さらに人員、仕組み一切を挙げて洗い直せ、それはただ単に証券検査のみならず、金融検査も含めて検査体制を総合的に見直せ、そしてあるべき姿をつくり出せという指示を私はいたしました。現在、官房長を中心にプロジェクトチームをつくりその検討を急いでおりますし、来年度予算の概算要求までにその結論はまとめたい。今全力を尽くしております。  一方で、衆議院の御審議の際にも、日本型の新たな検査体制をつくるために、大蔵省自身ではなく他の機関でそれを検討していただくことについてどうかという御意見がありました。これは私は率直に受けとめ、それを総理にお伝えいたしますというお約束もその衆議院の御審議の席上申し上げました。結果として、総理は行革審に対してその諮問をしておられます。  ただ、衆議院でその御質問がありました際、私が申しましたことは、条件が一つございます。省の外で御検討いただくことに全く私は異論を唱えない。しかし、現在大蔵省自身がみずからの手で検査体制の見直しを行っている、そして結論を出そうとしている、その作業が他の場所で御審議をいただく間じっと待っていると言われるのは耐えられない。我々自身努力は我々に払わせていただきたい。例えば行革審なりなんなりで出てまいりました御意見というものを、我々は当然のことながら尊重しなければなりません。そのかわり、それまで待っていろということはお許しをいただきたいというお願いを申し上げました。  今申し上げましたような考え方のもとに、ただ単に今回の証券の不祥事ということだけに限定されることなく、むしろ今後金融資本市場における有効で適切な競争というものを促進するため、近い将来予想される銀行と証券の相互参入も視野に入れながら、私どもとしては指導、監督のあり方を含めて証券行政全般にわたり見直しを行っていくことが重要であると考え、そのような考え方のもとに現在取り組んでおります。
  114. 野末陳平

    野末陳平君 いずれは特別委員会できちっと、この問題も出てくると思いますが、私個人としては、大蔵省とは分離した独立の第三者的な監視機関が必要で、これが日本型でうまくまとまるかどうか、その検討が大事だろうと思っていますから、それだけを言っておきます。  同時に、証券業協会というのが今あるわけですね、業者の団体。ここにもうちょっと責任と力を持たせて、業界の自主ルールを彼ら自身が決めて厳しく市場を監視していくという体制づくり、そういう役割を持たせるということもかなり大事で、彼らは彼らなりに自主努力を遅まきながら始めたようですが、それに対しても大蔵省が協力的な姿勢をするというか、そういう業界を育てるということも大事だと思うんですが、これについてはどうですか。時間がないから簡単にお願いします。
  115. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はその努力が協会として自主的に払われることを心から願っております。同時に、大蔵省がそれに協力をする姿勢をとることも当然と思います。
  116. 野末陳平

    野末陳平君 それでは、きょうは早期摘出大手術の七つのガンというテーマで質疑をしてまいりまして、問題意識はかなり出たと思うんですが、最後に、スキャンダル再発防止、そして信頼回復、開かれた市場にしていくというために大蔵省に苦言を呈しておきたいんです。  というのは、皆さんは今まで資本市場の保護育成というところに一生懸命やってこられた。それはわかる。成果が上がったんですね、マーケットも大きくなりましたし、投資家の層も広がった、そして国際マーケットとしても力もつけてきた。となると、保護育成という仕事はもう一段落ついているんです。ついているとなると、今までの証券行政というのはここらで大転換をしなくちゃならない、そういうときに来ていたんですね。気づかなかった、ある程度は気づいていたからいろいろやっているんだけれども、しかし本当に深刻には気づいていなかった。図らずもそこへこのスキャンダルが起きたんで、むしろこれは災いを転じて福にするというチャンスととらえるしかないんですね。ここで大転換をしなければもう時機はありません。今までの保護育成というところから、監視機能を強めるという方向に力を入れなきゃならない。前近代的な株屋さん感覚の市場というものは改革しなきゃいけない。そして、公平で透明でフェアな市場外国人の参入も多いんですから、だれにもわかる市場をつくるという、そのために今や全力を挙げて抜本改革の努力をもう早急に精力的にしなければいけない、そういうふうに思うんです。ですから、今までは甘遇ぎた、反省も足りない、やっぱりここらで出直すという、それが一番大事なことなんですね。  やはり市場のあり方についても議論が足りなかったんじゃないか、そういうふうに思う。あるいは世の中の変化が早過ぎてついていけない、ずれがかなりあるような気もするし、何よりもこれは大蔵省証券市場に対して意識革命をしないと、何十年前の感覚まで引きずっているような気がする。そういう意味からいって、この市場改革の潮流は始まったばかりで、これからは、時間がかかるかもしれないけれども、国際的な視野の中でやっていかなければならない。過去何十年の我が国証券市場大蔵省の主導のもとにやってきた証券市場のいろんな慣習、慣行、全部国際的にはもう通用しなくなったというこういう事実、これも頭に置いた上でひとつ今後この市場改革に取り組んでもらいたい、そういうふうに言っておきます。  最後に、大臣の決意をお伺いして、質問を終わります。
  117. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもといたしましては、今回の一連の事件というものを極めて大きな衝撃とともに、深刻な問題としてとらえております。  今委員から御指摘がありましたように、従来における行政当局としての証券市場に対する監督やあるいはルールづくりなどにおきまして、不十分な点があったのではないかという反省は深刻なものであります。今後、市場の透明性、公正性というものを確保しながら投資者の信頼を回復するためには、我々自身が死に物狂いの努力をいたさなければ行政としての責任は果たせない、そのように考えております。先ほど御答弁で申しましたように、今後の証券金融行政全体をにらみ据えながら、視野に入れながら全力を尽くしてまいります。
  118. 野末陳平

    野末陳平君 どうもありがとうございました。
  119. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 私は、今回の事件は調べれば調べるほど不可解な事件だと思うわけです。それは、この事件が単なる不祥事じゃなくて、どうやら経済的な犯罪行為じゃないかと思われる点が多々あるわけでございます。しかも、それが日本の構造的なもたれ合いの中で行われてきていたと思われる点があるわけでございます。  それで私は、この質問に先立って、いろんな点で事実関係を中心にお聞きをしたい。そのために委員の皆さん方に数枚のペーパーをお配りいたしました。これは特定金銭信託という制度あるいは営業特金、俗にいろいろな用語が使われておりますけれども、そういったものを理解していただくために、あるいは私自身が理解するために大蔵省にお願いをいたしましていろいろ説明をしていただいたときの資料でございます。三枚組みの資料でございますが、念のため、この資料に間違いの点があるかどうか、まず銀行局長に御答弁をいただきたいと思うんです。
  120. 土田正顕

    説明員(土田正顕君) これは信託銀行のファントラ、特金についての概略の説明資料であると考えております。
  121. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 中身については後でやりますから、しばらくちょっと別のことを質問させていただきたいんです。  今回、証券業協会から発表されました大手四社のリスト、これはさきに業界大手四社から報告されましたリストと同じものであるのかどうか、まず第一点、御確認をしたいと思います。
  122. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 今回公表されましたリストは、平成元年の十二月の通達に基づきまして私どもが四社からとりました自主報告に加えまして、その後税務更正で認定を受けたものが含まれております。したがいまして、自主報告プラス自主報告漏れで税務認定を受けた分ということでございます。
  123. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 七月二十五日の衆議院の大蔵委員会で、証券局長はこういう答弁をしているんですね。証券業協会から提出されたリストを見てみたら、アルファベットで記載されていて実体の存在について不明確な会社、個人がある、こういう答弁をしているんです。しかし、発表されました証券業協会のリストには、どこを見てもアルファベットで書いてある企業なんていうのはないんです。そうすると、あなたが見たリストとこのリストというのは違うんでしょうか。個人名でアルファベットで書いてあるやつがありますけれども、あなたが衆議院で答弁したのと今回発表されたリストというのは同じものなんでしょうか、違うんでしょうか。
  124. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私があのとき申し上げましたのは、このリストで例えば片仮名でエイ・ジーとか書いてございます。こういったのを私はアルファベットと、こういうふうに申し上げた。あるいはMCFとかエヌ・アイ・ファイナンスとかいうようなのがございまして、そういったものがやや印象に強く残っておりましたものですから、アルファベットで書いた先もあるというふうにお答えを申し上げたところでございます。
  125. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 違うじゃないですか。あなたはアルファベットで記載されて実体がよくわからないような会社の名前があるからというふうに言っているんでしょう。これやっぱり違うんですか、それともあなたが見たやつを周りでわかりやすくするために正規の会社名に直したということなんですか、その辺はどうなんですか。
  126. 松野允彦

    説明員松野允彦君) あの時点で、私は今申し上げましたようなローマ字あるいは片仮名で書いてありますものの実体というのを承知していなかったわけでございます。この公表に当たって、こういったものは一体何なのかということを証券業協会から各社に対して説明するようにということを要請して、各社公表に当たって会見を行い、これは例えば何とか会社系統のものであるという説明をしたわけでございまして、私はあの段階ではどういう会社なのかということも全く承知していなかったというのが実情でございます。
  127. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 押し問答してもしようがないので、もう既に発表されているものであれば、そしてあなたが言うことであれば、業界が自主的に大蔵省報告したリスト公表したって何の差しさわりもないと思うんです。日本国じゅうほとんどの人が、どこの企業が名前載っていると毎日書いてあるくらいですから、もう完全な公知の事実だと思うんですけれども、業界が自主的に提出したと称する報告書は発表できないんでしょうか。
  128. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私どもは、リスト公表につきまして私どもから公表をするということになりますと、守秘義務の問題あるいはいろいろな難しい問題があるのに加えまして、やはり証券市場に対する国民の信頼感を損なわせたということは、証券会社による損失補てんあるいは暴力団関係者との不透明な取引というようなことが原因になっているわけでございまして、私どもとしては業界に対して、業界みずからが証券市場に対する投資家の不信感を受けとめて、それをみずから浄化するための努力をしていただきたい、その努力一つのあらわれとして、補てんリスト公表を業界みずからの手で行っていただきたいというふうに要請をしたわけでございます。  私どもが持っておりますリスト、これは先ほど申し上げましたように自主申告分のリストでございますが、それはここにあるものと全く、税務認定の分はつけ加わっておりますけれども、同じものでございます。
  129. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 自主的に業界に報告をしなさいと言ったのは、八九年の十二月末に出た局長通達及びそのとき一緒に出した業務課長の事務連絡、この二つを説明するときに、担当の業務課長が口頭でこの不祥事、今回の補てん調査をし、その結果について大蔵省報告をしろと口頭で指示した。こういう重要なことを口頭で指示をしたということが大蔵省確認できますでしょうか。
  130. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 平成元年十二月に通達を出して損失補てんを行わないようにという内容指導をしたわけでございますが、そのときに、あわせまして今御指摘のように証券局の担当課長から、本省が直接監督しております証券会社二十二社に対しまして自主的に損失補てんの有無を点検して三月末までに報告をするようにという口頭の指示をしたわけでございます。本省で監督しております二十二社に限ってそういう指示をいたしましたのは、損失補てんが主として営業特金などに絡む損失補てんということで、企業取引が比較的多いといいますか、大口の法人の財テクを受けているというような観点から、本省監理二十二社に限って自主点検報告を求めたということでございます。
  131. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ、口頭で指示した中身、報告公表しないから出してくれと言ったのかどうか。  さらに聞きたいのは、この口頭指示を受けた相手方はだれなんですか。日本証券業協会に聞きましたら、私どもは業務課長から口頭ではそういう指示は受けておりません、会員各位に対してその旨の口頭の指示があったことも通達しておりません、こういう答弁をしているんです。業務課長は一体だれに対して自主報告を求めたんですか。そのときどういう約束を、あるいはそれ以外にどういう指示をしたんでしょうか。中身をはっきりさせていただけませんでしょうか。
  132. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 当時の口頭の自主点検及び自主報告の要請でございますが、これは今申し上げましたように、本省が監督しております二十二社各社に対して個別に業務課長から口頭で指示をしておりまして、その内容については、各証券会社損失補てんと自主的に判断するものを自主的に点検して報告するようにということを口頭で言ったわけでございます。
  133. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 もう一つ、その際、報告公表しないという約束をしたんですか。
  134. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私ども、行政指導過程でいろいろな資料を証券会社からとるわけでございまして、このときも、その口頭の指示の中身は当然公表しないという前提でそういう自主点検、自主報告をしろということを指示したということでございます。
  135. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ、明文で残っている十二月末に出た業務課長の事務連絡の中に、様式まで決めて三つ報告書を求めておりますね。これは委員会に出せるんですか。
  136. 松野允彦

    説明員松野允彦君) この十二月の通達にあわせまして業務課長名で事務連絡が出ております。その事務連絡には具体的に三つの資料の提出を求めております。一つ各社から役職員の教育研修システムの状況についての報告でございます。第二番目が内部管理に対する社内管理体制等の現状についての報告でございます。それから三番目がいわゆる特定金銭信託勘定の取引状況、残高、口座数、あるいはその管理体制についての報告三つを求めているわけでございます。これについては様式を指定いたしまして定期的に報告をとるというようなものもございます。この指導に従って各社から報告をとっているわけでございます。
  137. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 この一、二、三の資料、特に三番目の特定金銭勘定取引の現状についてという報告書、八九年十二月末からと九〇年三月、九月期の特金勘定の変化が大蔵省報告されているはずだと思うんですよね。これを見れば、さらに漏れているリスト、もしあるとすれば。裏からあぶり出せばある程度のことがわかるはずなんで、この一、二、三の資料は提出できないんですか。
  138. 松野允彦

    説明員松野允彦君) これは行政の過程で業務課長の事務連絡ということで各社からとったものでございまして、各社内容にわたるものでございます。提出を差し控えさせていただきたいというふうに存ずるわけでございます。
  139. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 証券業協会に通知したから出せない、こういうことでしょうか。証券業界からの自主的な報告だから出せない、こういうことでしょうか。
  140. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 証券業界各社からこういう報告をとったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、行政の過程で私どもいろいろな報告をとるわけでございます。これにつきましては各社の経営あるいは営業の内容にわたる部分が含まれております。私どもとしては、行政の立場としてこれを各社の中身を明らかにすることについては差し控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
  141. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 局長通達というのは、あなたもずっと長い大蔵省の歴史の中でわかるでしょう、外部に対して出しているものじゃないですよ、これ。平成元年十二月二十六日に出た事務連絡はどこに出しているんですか。各財務局の理財部長あてに出している内部通達じゃないですか、あなた。その通達にかがみをくっつけて、別紙写しのとおり各財務局理財部長あてに通知した文書を証券業協会に渡しますので、会員各位にこれを配付してください、徹底してくださいというお願いじゃないですか、これは。  この報告書の一、二、三を提出しろと命令している相手は各地方の財務局ですよ。行政内部で調査をしているんです。各地の財務局にその調査した結果を報告しなさいと。しかも、御丁寧に期日まで書いてあるじゃないですか。業界が自主的に出した資料じゃないでしょう。行政が行政の下部組織に命令して資料を収集、作成させるためにつくっている命令した文書じゃないですか。出せないはずないじゃないですか。しかも、特金勘定というのは極めて具体的になっているんですよ。この業務連絡は二回にわたって出しているでしょう、一部訂正という形で。全部同じ形式をとっています。行政庁内部で調査をしろと命令して、そして上がってきた資料がどうして国会に提出されないんですか。
  142. 松野允彦

    説明員松野允彦君) この事務連絡は、御指摘のように第一義的には大蔵省証券局の業務課長から各財務局の理財部長あてに事務連絡を出したわけでございます。これは、先ほど申し上げました二十二社を除く日本証券会社は各財務局が直接監督をしているわけでございまして、その直接監督をしております財務局に対して、こういうふうな資料をとるようにということを私どもから各財務局に指示をしたわけでございまして、それを受けて各財務局は監督対象であります証券会社からこういう資料、報告を求めたわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、私ども行政の円滑な運営の過程で、免許会社であります証券会社に対する免許監督行政の一環として各社から経営の内容あるいは営業の内容にわたる各種の資料をとっているわけでございまして、この資料もその一つでございます。私どもとしては、個々の証券会社内容にわたるものにつきましては提出することを差し控えさせていただきたいというふうに考えるわけでございます。
  143. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 今回の不祥事を解明するのにこの資料が必要なんですよ、特に三番目の様式の三と呼ばれているやつが。特金勘定取引口座の現状について、顧問つき特金の数、口座数、金額。さらに商品別特金取引口座の現状。株式をやっているものはどれなのか、CBをやっているのはどれなのか、外債をやっているのはどれなのか、全部分類されているんですよ。これが公表されなかったら実態がわからないじゃないですか。しかも、これは行政庁内部で必要だから出したんじゃないですよ。その上の局長通達があって、八九年のああいう不詳事件が起こったので是正しなさいと。それに伴ってこういうふうにやれといって行政命令を出したやつでしょう。全部一体のものでしょう。局長通達に基づいてやらせた、そしてそれがそのとおりやっているかどうかを点検するための資料じゃないですか。どうして出せないんですか。
  144. 松野允彦

    説明員松野允彦君) この様式三は、確かに、元年十二月の通達におきまして損失補てんをしないようにということとあわせて、いわゆる営業特金の適正化ということをその内容に盛り込んでいるわけでございます。営業特金の適正化の一つの方法として、その通達におきましては原則として投資顧問をつけるようにという通達内容になっているわけでございまして、私どもは、営業特金の適正化はいかに進められているかというようなことを見るためにこういう資料を各証券会社から徴求するという事務連絡を出したわけでございます。  繰り返しになって大変恐縮でございますが、各証券会社の営業の実態、中身にわたることでございます。私どもとしてこの資料を提出するのを差し控えさせていただきたいことを御理解いただきたいと思います。
  145. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 個々の証券会社の営業実績に響くのであれば、その名前だけ消して、委員長、ぜひ資料を出すように要求していただけませんか。
  146. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまの村田君の資料要求につきましては、理事間において協議したいと思います。
  147. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それがわからなかったら質問できないですよ。
  148. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 理事間において協議させていただきたいと思います。  なお、本件について、資料要求について村田君の御意見等ございましたら続けていただきます。
  149. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 この資料は、これは証券業者が管理する特定金銭取引の口座をあらわしているわけですよね、A証券、B証券が管理している。どれだけあって、どの金額が運営されているのかによってはこの後の質問に響くんですよ。出してもらわないと困るんです。  それともう一つ、この大蔵省が言っている資料を求めた特金勘定取引口座、これは後の質問に絡むんで、どういうものを意味しているんですか、具体的に説明していただけませんか。
  150. 松野允彦

    説明員松野允彦君) この資料で要求いたしました特金勘定取引口座は、今御指摘のありましたように、証券会社が受けております特金勘定取引の口座の状況をこういうふうな分類で分けるようにということを要求したものでございます。
  151. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ具体的に聞きますが、これは俗に言う営業特金と呼ばれている口座で、証券会社が管理している特定金銭口座、こういうふうに理解してよろしいですか。
  152. 松野允彦

    説明員松野允彦君) いわゆる営業特金口座といいますのは、私どもの考え方では、特金というのは特定金銭信託でございますが、投資家が一定のお金を信託銀行に金銭信託をしてその運用を行うものを言うわけでございますが、そのうち、信託銀行に対して投資家自身運用指図をするという、いわゆる投資顧問などがついていないものを私どもは営業特金というふうに言っているわけでございます。
  153. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 もう一度確認したいんですけれども特定金銭信託制度を使って顧問がついていない形で運営しているのが営業特金、こういうことでよろしいんですか。
  154. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私どもはそういう意味で営業特金という言葉を使っております。
  155. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ、手元に配りました資料をもとに銀行局長に少しお聞きをしたいと思うんです。  「特定金銭信託の仕組み」という三ページ目のところでございますが、今の証券局長の答弁によりますと、投資家がいて信託銀行がいて証券会社がある。下の方に投資顧問がくっついているやつがありますが、これを除いて、投資家と信託銀行と証券会社、このスタイルで株を買ってください売ってください、こういう順番で来る。その前に、企業側から信託金百億円なら百億円のお金をぽんと信託銀行に預けて、そして信託銀行の名前で証券会社有価証券売買取引をする。ここが大切なんです。信託銀行の名前でやるんですよ。そして有価証券報告書は信託銀行に来て、信託銀行がまとめて今度は投資家の方に報告が来る。こういうふうに運営されているのが特定金銭信託の基本である。銀行局長、間違いないでしょうか。
  156. 土田正顕

    説明員(土田正顕君) そのように考えております。
  157. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ、株を売ってくれとかワラント債を買ってくれとか、こういう指図は投資家が直接する、そしてその指示を受けた信託銀行がそのとおり忠実に実行する。損益が発生しても、取引自己責任が貫徹している以上ここには損失補てんされるということは起こってこないはずですよね、このシステムを使っている限りは。これが一つ銀行局長質問したい点。  もう一つは、投資家企業が預けたお金は、取引上は信託銀行の名前で証券会社取引されるはずですから、証券会社の方から見ますと、この売買で発注されたものは、ファイアウオールが完全にできていれば、お客さんの顔が見えてこないはずですよね。A企業とかB企業とか出てこないんです。つまり、どれだけ有価証券売買をしても損失を与えたという認識証券会社の方には発生してこないはずだ、このシステムでやっている限りは。どこかごまかしていれば別ですよ。銀行局長、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
  158. 土田正顕

    説明員(土田正顕君) この三ページの「特定金銭信託の仕組み」、これはこのとおりでございますし、それから信託銀行の名前で証券会社売買注文を出す、そのとおりでございますが、その場合における、殊に特定金銭信託の場合の売買注文の内容は、これは個別に投資家の方からの指図に従うという性格のものでございます。すなわち、これは投資顧問がついておりましてもついておりませんでも、運用指図は委託者自身の名前で行われておるということでございます。ただ、委託者とそれから投資情報や助言を与えております証券会社との間にどのようなやりとりがあるかということは受託者の方ではわからない、こういうことであろうかと思います。  それから、その次の後段の御質問でございますが、信託銀行の名前で証券会社売買注文をする以上、証券会社の方からはいわば顧客の顔が見えてこないではないかと、こういう御議論でございますが、これは実務上は、先ほど取引口座のお話もございましたけれども、特金において信託銀行が証券会社売買注文を出すに当たりましては、証券会社の事務処理上の理由から証券会社において委託者のファンドごとに口座を開設いたします。この口座はいわば証券会社において有価証券売買を整理、管理するための記号といいますかネームといいますか、そういうようなものでございます。  その口座に委託者の名義をつけるかどうか、それは私どもの知っておりますところでは、特金契約を結ぶに当たって委託者が自由に選択することができますし、実際にも多くの委託者が名義を明らかにしているというふうに聞いております。したがいまして、証券会社からいわば顧客の顔が見えないはずだという御指摘は必ずしも当たっておらない。すなわち証券会社口座では、例えば投資顧問つきの特金の場合には、A信託銀行、B投資顧問、ナンバー何々というような口座が開かれますし、投資顧問なし特金の場合にもA信託銀行の何の何がし何番、または何の何がしというのがなくて何番というだけのこともございましょうが、そういうことで個別に証券会社に口座が開設されておる。その口座の出入りはこれは証券会社が知り得るわけでありますから、その限りにおいてお客の顔が見えてくるはずだというふうに推測されるわけでございます。
  159. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 今銀行局長は、証券会社の中に委託会社別の口座がある、つくってある、こういうことでしたよね。それがさっき私が指摘した、証券局長が言っている特金勘定取引口座の実態じゃないんですか。これと違うんですか、銀行局長
  160. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 大変失礼いたしました。  事務連絡の様式の三に書いてあります顧客あるいは口座数と、この営業特金といいますか、特定金銭信託の口座は、同じといいますか、それに基づいてこの様式三を作成するというのが、証券会社はもうそれしか材料がございませんので、それに基づいて作成しているということでございます。
  161. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ、証券会社の特金勘定取引口座の中にお金が出たり入ったりしてたんですか。その事実はあるんですか。
  162. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 特金勘定口座といいますか、実際のお金は信託銀行が受託を受けて入出金をしているわけでございまして、証券会社は信託銀行に対して、信託銀行から運用の指図が来、それに対して売買報告をするという形になっているわけでございます。
  163. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ、証券会社の特金勘定取引口座というのは何が記録されているんですか。あなた方の通達には、そこには金額も書くようにということが記載されているんですよね。これは金額の出し入れも記録されているんじゃないですか。
  164. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 証券会社の受けた特金の取引内容につきましては、それは証券会社が注文を受けるものですからその売買内容が記録されますし、証券会社が信託銀行から注文を受けて有価証券売買を行いますその売買の記録とともに、それに伴います一時的な例えば残高とかいうようなものも証券会社の帳簿の上には記録されるわけでございます。
  165. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ、この図の下の方に書いてあるいわゆる営業特金、ここに「事実上売買を一任される例が多く見られた。」、大蔵省が判断しているんですが、この事実上売買を一任された例というのはどういう例なんですか。それはどういう具体的な中身なのか挙げていただけますか。
  166. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 営業特金につきましては、先ほど申し上げましたように、基本的には投資家運用指図をするわけでございますので、その限りにおきましては売買一任的な行為が発生するわけではございません。しかし、投資家運用を指図するに当たって証券会社の情報、これは投資顧問というわけではございません、いろいろな情報を利用するというようなことが非常に多く行われたわけでございます。その過程で、情報の提供というものにとどまらずに、その情報を利用して証券会社投資家にかわって信託銀行に運用を指図するというような形態のものが見られたわけでございます。そういうものをとらえて、事実上売買を一任されている例が多い、こういうふうに私ども考えているわけでございまして、契約上はあくまでも投資家運用指図の権限を持っているということになっているわけでございます
  167. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 今、事実上売買が一任された例として、証券会社投資家にかわって運用の指図をしていた例があると、こういうことを言われました。これは明らかに特定金銭信託の制度からすれば脱法行為じゃないんですか。それができるのは投資顧問会社一社だけのはずですよ。そういう事実が見られたのなら、どこの会社がどの特金でやったのか具体的に発表してください。明らかにこれは法律違反じゃないですか。
  168. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 事実上と申し上げましたのは、先ほど申し上げましたように、あくまでも契約上は投資家の名前で信託銀行に注文が出されるわけでございまして、これは投資家証券会社との間の内部的な関係でその情報を利用して投資家の名前で運用がなされるという形になるわけでございまして、契約上はあくまでも投資家運用指図を信託銀行にするという形になっているわけでございます。
  169. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 形式論議で言うならいいんですよ、別に。運用の指図は形式的に企業が行っていたんだと言うなら、自己売買責任でもって補てんが行われるはずがないじゃないですか。しかし、出した方の証券会社は、私は出しましたということを申告しているんですよ。形式上でもそのとおりやっていれば、これは補てんした方が何にも知らないで勝手に補てんしたというふうにとらえるしかできないんですよね。形式的にもこのシステムを使っていたんだとすれば、まさに取引自己責任の原則でもって、自分の指図でもって損をしたんだから、だれに補てんしてもらう必要性も生じないはずなんです。それが現実補てんが行われたというのは、明らかにここに書いてあるとおり、この指図をする権限を証券会社が一方的に行使したから、そして損失をかけたから補てんをしたケースが多く見られる、こういうことでしょう。違うんですか、証券局長
  170. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 証券会社投資家にかわって事実上運用指図を投資家の名前で行うというケースが見られたものですから、事実上運用を一任されるというふうに申し上げたわけでございます。  投資家証券会社との関係といいますのは、投資家証券会社運用をするようにというような内部的な関係の場合もございますし、あるいは証券会社がかなり一任的に投資家から一任を受けて運用指図をしているというような、個々にその指図をする、あるいは個々に投資家の了解をとって指図をするケースというのももちろんあるわけでございますが、やや一任的に運用指図を任されているというようなケースも見られたわけでございます。  そういったケースの場合に、形式的には運用指図は投資家の名前で行われるわけでございますが、実質的な判断、投資情報等に基づく判断は証券会社が行っているわけでございまして、そういった状況の中で損失が発生した場合に、証券会社がいろいろな取引形態をもって損失補てんということを行うというようなことが発生したわけでございます。
  171. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 局長さん、事実として証券会社顧客にかわって取引を指図していた例があるというんだから、どの会社がどこでやったのかをはっきりさせてくださいよ。これが一つです。  それからもう一つ、このシステムでいく限り、投資家運用資金百億なら百億は一たん信託銀行に預けられて、信託銀行の名前でもって運営されるんですよ、基本は。そのときに信託銀行は指図をされたとおりに運営するという義務があるんです。だれだかわからない人から指図されて預かった大切なお客さんの信託金を右から左に動かすなんということはできないんです、このシステムは。事実上やっておりましたと、証券会社はそれはそれで済む。しかし、命令を受けた信託銀行は、この命令が本当にお客さんから出たものであるかどうかを確認しなきゃいけないんですよ。この確認は銀行局長したんでしょうか。  それから、資料は具体的な例として証券局長出してくださいよ。
  172. 土田正顕

    説明員(土田正顕君) 先ほど申し上げた話でございますが、信託銀行が特定金銭信託の場合に個別の運用を自分の裁量、自分の判断で行うということにはなっておりませんで、それは運用の指図を待つはずでございます。その運用の指図は当然委託者の名前において指図がなされております。その点は、委託者の名前の指図に間違いがないかどうか、それは当然確認の上個別の取引行為を行い、それが有価証券に関するものであるときには証券会社売買注文を出しておるわけでございます。
  173. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 事実上の一任という具体例でございますが、私ども投資家証券会社との間の具体的な関係について必ずしも把握しているわけではございません。  損失補てんにつきましてもさまざまなケースがあるわけでございます。損失補てんといいましても、損失の全部を補てんしたというケースもあれば、一部を補てんしたというケースもあるわけでございまして、その辺は投資家証券会社との間の関係というもので補てんの割合もいろいろ変わってまいるわけでございます。私どもはそういった状態が生じているということを全体としてとらえて、やはり証券会社としてそういう損失補てんを行わざるを得ないような一任的な行為になっているんではないかということで、営業特金の適正化という通達を出してそういう一任的な営業特金をやらないようにという指導をしたわけでございます。  したがいまして、個々具体的にどこまで一任をしていたかというような問題については必ずしも私ども把握できないわけでございますが、損失補てんが一部あるいは全部行われているというケースがあるということは、売買一任的な行為があったというふうに考えて、通達でそういうことを適正化するようにという指導をしたわけでございます。
  174. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 だから、信託制度の特定金銭信託を使う限り、問題なのはこの信託金の運用を実質指図した人はだれかということが一番問題になるんですよ。証券会社が事実上かわってやっていたのならば、これは信託制度の悪用なんです。事実関係をはっきり究明しなきゃいけないんですよ。そうしない限り再発防止なんてできないんです。事実関係を究明するのが証券局長や銀行局長の仕事じゃないんですか。わからなかったら当事者同士を呼んできてやる必要があるわけじゃないですか。あるいは証券取引法第五十五条で相手方に対して資料の提出を求めることだってできるわけでしょう。そういうことをしてこの取引関係の実態がどういうふうになっていたのかが解明できなければ、再発防止策を講ずるなんということはできないでしょう。  事実上投資家の位置に証券会社が座っていました、そんな例が見られました、それで笑って済ませるような問題じゃないんですよ。事実関係をちゃんと調べて報告できますか。事実上証券会社投資家にかわって指図をしていた例があるのか ないのか、証券局長は調べて報告してくれますか。
  175. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私どもは、先ほど申し上げましたように、そういう例があるのではないかということで通達を出して適正化を求めたわけでございます。  適正化の方法として、投資顧問契約を結ぶようにということになりますと、これは私どもの考えではもう営業特金ではなくなるわけでございますし、また仮に営業特金という形をとって投資家運用指図をする場合でも、その証券会社売買一任的なことをやらないように、あるいは利回り保証みたいなものをやらないようにということで通達、事務連絡でこの営業特金の適正化を指導したわけでございます。それによってこういう営業特金に絡む一任的な行為は防ぐことができるというふうに、再発防止のためのそういう措置を既に元年の十二月の時点で講じたわけでございます。
  176. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 最初の方では証券局長は、事実上指図をしていた例が見られた、こう言っていたんですよ。今になってくると、そういう例があったようですみたいに、だんだんだんだん後退しているんです。この事実がはっきりすれば、特金制度という名を使って違反行為を行ったことがはっきりわかるんですよ。その企業はどことどこなのか、それを運営したのはどこの証券会社なのか、これがわかるんです。関係者を呼んで調べればわかるでしょう。どんな手口で補てんしたかがわかっているんですから、どの特金がどういうふうに運営していたかというのは証券会社を呼べばすぐわかることでしょう。調べて報告できないんですか。
  177. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私ども、現在四社に特別検査に入っているわけでございまして、これは御指摘のような営業特金に絡みます損失補てんの実態究明というものが検査の主要な観点になっているわけでございます。したがいまして、私どもは、売買一任的な行為といいますか、その運用指図を証券会社が事実上行っているような行為があったんではないかということで、損失補てんというものが出てきている以上、そういう行為があったということを考えまして、通達で適正化を指導したわけでございます。さらに、その検査においてそういった点についてもよく検査をしてみたいというふうに考えるわけでございます。  ただ、検査内容につきましては、個別会社の問題でございますので、具体例としてお答え申し上げることは控えきせていただくことを御理解いただきたいと思います。
  178. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 いいですか、この制度の根幹は、投資家自己責任において指図をするということが原則なんですよ。したがって、そこから発生する損益については委託者、投資家本人に帰属するんです。この原則が、補てんをされたという行為をめぐって実際に運営されていなかった、そのとおりこの自己責任の原則が貫徹していなかったということがはっきりしているんだから、証券会社がどういうふうな指図をしたのかを調べなければしようがないでしょう。補てんしました、もらいました、そうですかで済ませる問題じゃないんですよ。これは信託制度の根幹にかかわるんです。第三者が、事実上私がA企業の代表でございますといって、信託銀行に指図してそこに預けてあるお金百億を勝手に売買してそして損をかけましたと。笑って済ませるような問題じゃないんですよ。構造上の問題なんです、これは。  だから、証券会社投資家の立場に立って、位置に座って事実上信託銀行に売買の指図をしたということがはっきりわかるのなら、そういう事実があったと先ほどから言っているんだから、その事実をはっきり公表してくださいよ。あるいは検査した結果について、そういうものを公表すべき義務があると思います。資料を出さなければ事態の究明ができないんですよ、ここからは。要するに、投資家証券会社が両方で口裏を合わせていたらこれはわかりゃしないんです。  大蔵省、猫にかつぶしの番をさせるようなものだと人は言うかもしれないけれども、しかし調査しなければ実態がわからないでしょう。しかも、過去の例からして、あなたは先ほどから何回も事実上そういうような行為が行われたらしいと確信に近い形で言っているんだから、どれがそうだったのかはっきりさせてくださいよ。その資料を出してください。
  179. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私ども通達を出して営業特金の適正化という指導をいたしましたのは、先ほど申し上げましたように、そういう売買一任的な行為が行われ、それが損失補てんにつながって、損失補てんの温床になっているのではないかということで、通達を出して営業特金の適正化という指導をしたわけでございまして、個々の投資家証券会社との間の関係については、個々の営業特金の実情については私どもはそこまでは把握をしていないわけでございますが、先ほど申し上げましたように現在検査をしております。その過程において、必要があれば、投資家証券会社とどういう状況になっているかという点については検査をするつもりでございますが、いずれにいたしましても、営業特金をめぐります損失補てんという問題につきましては、通達の適正化という指導で十分再発防止ができるというふうに考えているわけでございます。
  180. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  181. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記を起こして。  ただいまの村田委員質問に対して、再度松野証券局長から答弁を求めます。
  182. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 先ほど来申し上げましたように、現在までのところ、投資家証券会社との間に具体的にどういうふうな一任関係があったのか、どの程度のものがあったのかという点については、私ども把握をしておりません。  ただ、現在四社に対して特別検査を行っているわけでございまして、その検査過程で、投資家証券会社との間の一任の程度あるいはその内容について検査で把握するよう努めたいと思っているわけでございますので、その結果どういう形のものがまとまるかというのは、現在は明確に申し上げることはできませんが、何らかの形でこの一任の程度についての幾つかの類型というようなものをまとめて御報告するように努力いたしたいというふうに思っております。
  183. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 この事実をきちんと調査してほしいんですよ。その形態によっては、一任の中身によっては、信託業法に引っかかってきたりあるいは投資顧問業の方の職務を侵害していたとか、いろんな問題が出てくるんです。そして、各企業が、自分たちは一任勘定をしていたんで個々の問題について知らないとか、補てんされた事実がないと言っているのは、まさにこの実態を言っているんです。本当は企業の名前で指示しなきゃいけないやつを、証券会社がかわって指示していたんです。そして、これだけもうかりましたといって報告が来ている、あるいはこれだけ損失補てんしましたと言っているから、言われた方の人間はぴんとこないんです。これが実態なんですよ。だから、ここのところをぴしっと調べて、どういうふうな一任行為が行われていたのか、それが業法違反でないかどうかまできちっと調べて報告をするようにひとつお願いしたいと思います。  続いて、先ほどから証券局長は、こういう事実的な一任行為が行われているので、特定金銭信託については「原則として、顧客と投資顧問業者との間に投資顧問契約が締結されたものとすること。」という局長通達を出して再発防止努力している、こういう説明でございますよね。これで間違いないですか。
  184. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 通達に書いてございますように、原則としては、投資顧問契約をつけることによって私どもが言っておりますいわゆる営業特金というものでない形のものにするようにという、通達でそういう指導をしているわけでございます。
  185. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 顧問つき特定金銭信託で運営すれば今回みたいなこういう補てん行為というのは起こらない、だからこの制度を利用してください、こういう意味だと思うんですが、今回発表された大手四社及び準大手中堅十三社、それぞれこういうコメントが新聞で報道されているんです。  広島銀行。私どもは、東京投資顧問、これは会社のことですね、投資顧問会社運用を一任していた特定金銭信託の中で補てんが行われたと。これは顧問つき特金の運営のやり方です。そのほかに、名鉄総合企業。これは野村証券リストにありますが、投資顧問会社に任せていたと。投資顧問会社を入れた形態でも損失補てんは起こっているんです。一番いい例が日本を代表する企業、トヨタ自動車。大和投資顧問会社を通して約二百億円の特金を運用していた。損失補てんがあったとすれば、これを九〇年の六月期末までに解約したこの中で行われたんだろう。トヨタ自動車はそういう証言をしています。日立製作所。八九年の四月に大和投資顧問会社と投資一任契約を結んで運用した特金で出た損失補てんされたんだと証言しているんです。  このリスト公表されてそれぞれの企業責任者からコメントがいろいろ出ている。その中には、自分の会社は顧問つきの特金制度で運営しておりました、大蔵省の言う御推薦の方式でやっておりましたと。それにもかかわらず補てんという行為が起こっているんです。こんな局長通達、どうやって守れるんですか。現実はもうこの局長通達、形を崩しているんですよ。これに対してはどういう見解をお持ちなんですか。
  186. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 通達におきましては、損失補てんの温床となります営業特金というものをできるだけ適正化しようということで、その一つのといいますか原則的な方法として、投資顧問つきにするようにという指導をしているわけでございます。  確かに、今御指摘のように、投資顧問つきの特金についても損失補てんが行われたということがあるわけでございます。私どもは、この投資顧問会社、これは助言、一任、両方あるわけでございますけれども、投資顧問会社証券会社、あるいは投資家との間の関係というものも、もし損失補てんというのが顧問つきについても行われているということでありますと、投資顧問会社の行います一任業務あるいは助言業務というものについても何らかの問題があるのではないかということで、現在投資顧問会社についてもその助言の内容あるいは一任の業務の内容について調査をしているところでございます。
  187. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 今調査をしている。あなたは、リストをもらったときに損失補てんの形態についてわからなかったんですか。あるいは調べなかったんですか。顧問つき特金で運営していたら、これは二つある、助言の契約を結ぶやつと投資一任を結ぶやつとあるんです。仮に、投資一任の契約を結んでいた企業の特金の運営で補てん行為が行われたら、これは証券会社と投資顧問会社がつるんで犯罪行為を行ったということを立証することになるんですよ。この契約関係がどうなっていたのか、きちんと大蔵省は調べなきゃいけないんですよ、実態を把握して。ここでも調査しなければいけないんです。知りませんでしたでは済まないんですよ、あなた。もうリストで出ているし、相手の企業がはっきり認めているんですよ、顧問つき特金で運営していたと。助言か一任かはわかりません。この識別をきちっとして、法律違反を行ったのかどうかです。  しかも、問題になっているのは投資顧問会社証券会社、このシステムの中で運営する限りは、本来的に補てんの第一の責任を負わなければいけないとすれば投資顧問会社なんですよ。アドバイスをした人間が補てんをしなければいけないのに、かわって子供の後始末をするために親が出てきて、証券会社が出てきて補てんをする。まさに何の関係もないんです。投資顧問会社証券会社とつるんでいたとしかこれは完全に考えられないんです。その事実をきちんと調査して報告をしなければ、再発防止の対策なんというのは考えられないんですよ、これ。しかも資本関係があるんだから。この幾つかの企業のコメントで、はっきりと投資顧問つきで運営していたと明言している会社に、あなたのところは投資一任の契約だったのか助言行為だったのか、この識別を至急調査して、一任行為であったところで補てんが行われていたとすればこれは重大な問題なんです。職権をもってでも、強制的にでもこれは調べなければいけないことなんですよ。調べて、すぐ報告してくれますか。
  188. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私どもも、先ほど申し上げましたように、投資顧問の会社がついている、投資顧問契約がついている特定金銭信託につきましても損失補てんが行われていたということで、大変重大な問題意識を持っておりまして、投資顧問会社親会社からの独立性の確保という点については従来から指導しているわけでございますが、その中で、具体的に今出てまいりましたような投資顧問づきでありながら損失補てんが行われていたという点について、今御指摘のそれが助言の場合なのか一任の場合なのか、さらに助言、一任であってもその内容損失補てんをしなければならないような状況がどこで生じたのかという点について調査を進めているところでございます。
  189. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 調査して報告していただけるんですか。
  190. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 証券会社の個別の内容になる問題につきましては差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的な類型というような形で取りまとめることができますれば、何かそういう形のものを考えてみたいというふうに思っております。
  191. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 これは重要なことなんですよ。証券局長がそんな逃げ腰なら、じゃ、証券会社なり受け取った本人、企業に来てもらって直接聞きますよ。はっきりさせてください。これを究明することがこの委員会の私は任務だと思っているんです。実態がわからなければ対策の打ちようがないというのはそのことなんですよ。大蔵省が御推薦しているまさに推奨銘柄の顧問つき特金が、もう現実的には補てんの対象行為として行われていたんです。しかも、全然関係のない証券会社補てんしていたんです。これはもうはっきりしているんです。どこが、営業の秘密だとかそんなものはないですよ。はっきり明確に調査して資料を出してください。
  192. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 先ほども申し上げましたように、私どもも非常に重要な問題と受けとめて、鋭意今調査をしているところでございます。先ほど申し上げましたように、その実態がわかるような何らかの形で御報告できるかどうか考えてみたいというふうに思います。
  193. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 何らかの方法じゃなくて、はっきりと出すと約束できないんですか。
  194. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  195. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 速記を起こして。  松野証券局長に再度の答弁を求めます。
  196. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 投資顧問会社投資家あるいは証券会社との関係につきまして私ども調査を進めているところでございますが、その中においてもし法律に違反するような行為が出てまいりますと、これは当然明らかにすべきものだと思います。そこまで至らないものでございましても、個別の会社の名前は差し控えさせていただきますが、具体的に一体どういうふうな関係になっていたかという点については極力明らかになるような資料を提出させていただきたいというふうに思います。
  197. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ、今から言う証券会社の担当責任者を呼んでそのことをきちんと調査していただきたいと思うんです。  準大手トップが、この前リストを発表したときの記者会見でこういうふうに説明しているんです。太平洋証券の小松社長は、「補てん先は投資顧問契約を結んだものと自主運用の特別金銭信託で、」、顧問つきでない特金だろうと思うんです。この二つで、「営業特金はなかった。」、相手先の企業はなかった、こう言っているんです。投資顧問つきの契約を結んだ企業に対する補てんと、自主運用していた、まさに自己責任売買していた特金で運営をしていた特別金銭信託、この運用だと言っているんです。絶対に補てんの起こらないようなやつを例として挙げているんです。  それから丸三証券の社長は、「系列投資顧問会社顧客のパフォーマンスが悪化したので、営業体の意思により」、これは自分のところの意思だと思うんですが、「自主的に補てんした。」、系列投資顧問会社顧客証券会社じゃないですよ、子会社のお客さん。そこに自分の意思でもって自主的に補てんしたと記者会見でしゃべったんです。短くなっているからちょっと正確にはわかりませんが。  さらに水戸証券の社長はこう言っているんです。「ほとんどが水戸投資顧問の契約資産で、投資顧問からの要請や日立グループとの関係強化といった点から補てんする結果になった面もある。」とはっきり言っているんです。これだけはっきり言っているんですよ。  出した方が、顧問つき特金のやつで補てんしたんですとはっきり言っているんです。しかももっとひどいのは、子会社のお客さんにやったんですとはっきり言っているんです。犯罪を行った人がその手口を自分ではっきり言っているのに、取り締まるべき大蔵省が今からよく調査しますと。こういうのを泥縄と言うんじゃないでしょうか。こういう事実は大蔵省には報告されてないんですか。まずそこのところを先にお聞きしたい。
  198. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 今御指摘いただきました点につきましては、私どももその内容について問題意識を持って今調査をしている最中でございます。私ども投資家証券会社との関係については、先ほど来申し上げておりますように、個々の取引投資家証券会社あるいは投資顧問会社との関係については詳細を把握していなかったということでございます。
  199. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 今私が指摘した点は、至急調査して報告していただけるんですか、まずこの点。三つ会社の直接の責任者がこういう説明をしているんですけれども、その事実関係についてきちんと調査をして報告していただけますか。
  200. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 御指摘の三社も含めまして、私どもほかにも四社、四大証券についても検査中でございます。先ほど申し上げましたように、個別の会社の名前ということを明らかにすることは差し控えさせていただきますが、その中身について極力明らかになるような資料をつくって提出させていただきたいというふうに思います。
  201. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 大蔵大臣、今お聞きのように、いろんな形の損失補てんと俗称呼ばれているものがあるんですよ。しかし、その中には本来は損失補てんする必要性のないものまで入っているんです。子会社のやった行為に対してまで親会社が補償しているというケースがあるんです。だから、損失補てんを受けたような企業が、本当に受けたんだか受けないんだかよくわからない、あるいは何で自分の会社の名前が出てくるのかよくわからない。これはうそをついている企業もあるかもしれないですよ。しかし本当に知らない企業もあるはずなんです。  ですから、この公表された補てんリストを、補てんの手口というのでしょうか、本当に特金の取引の中で発生した損失補てんされたケースと、それから一般の株の取引売買に応じて発生した損失補てんしたのか、それともそういう行為はなくて、ここの会社と商売を長く続けたいあるいはもっと発注を多くしてもらいたいために一方的に証券会社が利益を供与したケースなのか、いろんなケースがあると思うんです。発表されたリストを区分してはっきりしてほしいんですよ。そうしないと論議できないんです。もらった方が一律悪いのか、それとも出した方が全部一律悪いのか、どっちかじゃないんですよ。真ん中にグレーゾーンの企業もいるはずなんです。それを識別するためには、会社別ではなくて補てんの手口なりやり方によって区別したリストを出してもらわないと論議ができないと思うんですけれども、その点について大蔵大臣はどういうふうなお考えなのかお聞きしたい。
  202. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今の御論議を伺いながら、例えば補てんを受けた企業あるいは補てんを行った証券会社、それぞれの意思の確認というのは極めて難しいなと率直に感じます。しかし同時に、先ほど来御議論が出ておりますような営業特金そのものであるのかあるいは投資顧問会社がついているのか、そしてその投資顧問会社は助言にとどまる地位にあるのかあるいは一任を受けているのか等々幾つかの区分は当然のことながらあろうと存じます。そしてそれによっていろいろな先ほど来の御論議にお答えができるのであるならば、証券局をしてそうした資料の作成に努力をいたさせたいと思います。  ただ同時に、私は先ほどからの御論議を伺っておりまして一つ感じておることがございます。というのは、確かに損失補てんという行為を現行の証取法は禁止をいたしておりません。しかし、実は損失補てんという行為を禁止していないという点でありますなら、欧米の法律もこのような行為をわざわざ規定をし禁止をいたしておらないと私は聞いております。要するに本来やってはいけない行為なんです。本来やってはいけない行為だからこそ各国の法律にも書かれていない。日本でも法律の条文を作成されるとき当時の立法者はわざわざお書きにはならなかった。ところが、そういう行為が起きたために通達が出された、私はそのように流れを理解をいたしております。  そして、解明と同時に、私どもはこの損失補てんそのものを、臨時国会において御審議をいただきたいと願っております証券取引法の改正案の中においてははっきりと明文をもって禁止をしたい。各国にはそのような条文をわざわざ設けておりません。しかしこうした行為現実に起きた以上、日本としては明文をもって禁止する、それだけの決意を持って臨みたい、そのように考えております。
  203. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 大臣、そのためには損失補てんとは何ぞやという定義をきちんとしなきゃいけないんですよ。それは裏返して言えば、今回やった手口がどういうふうにやったのかということが確認されない限り、事実関係として公表されてそしてみんなにオープンにならなければ、これを防止することはできないんです。そのために調査して資料を出してくれ、公表してくれということを我々は言っているわけです。  今度の行為だっているんなケースがあるんです。営業特金で生じた損失を、他のワラント債とか直接取引でもって、相対取引でもって補てんしたようなケースだってあるわけです。だから営業特金だけを絞ってみたって、別の方法でやられたらこれはもうわからないんです。あるいは当事者間同士で相対で当然行われた商取引だということであっても、国税庁の判断ではこれは損失補てんだというやつも出てきているわけですからね。そうすると、一体何が基準でどういう行為を行ったら損失補てんなのかというのは、法律に書いたって概念が決まらない以上はこれはもう実効性ないものと判断せざるを得ないんです。そういう意味で、今回の調査についてきちっとしていただきたい。これが公表されること、全貌が解明されることが再発の防止につながる私は一番の効果をもたらすものだと思っているわけです。  そこで大蔵大臣にお聞きをしたいのは、今回のこれだけ大きな不祥事件、私は経済的犯罪事件と見るんですけれども、大蔵大臣は一体いつの時点証券局の方から報告を受けたんでしょうか、そのことについてお聞きをしたい。
  204. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、実は証券というものを自分で扱ったことがありませんので、証券業界において損失補てんという問題が現実平成元年の十一月発生をいたしまして報告を受けるまで、もともと損失補てんという行為そのものを存じませんでした。  正確を期すために日時を確認しながら御答弁することをお許しいただきたいと思いますが、平成元年の十一月二十七日に特定証券損失補てん問題が発覚しまして新聞に報道がされました日、私は事務方からその事実関係等につきましての説明を受けました。また、十二月ニ十六日に、同日発出をされることになりました損失補てんを禁止する証券局長通達につきまして、事務方から出すことについての相談を受け、その発出を指示いたしております。またその際、各社において損失補てんについての自主点検を行い、その結果の報告をさせるように指示をいたしました。その後損失補てんという言葉を聞きましたのは、平成二年の七月にやはり特定証券企業損失補てんに係る税務更正決定が明らかになりました際、その事実の内容とともに三月の自主報告との関係等についての説明を受けております。  今回の事態が発生をいたしました段階、新聞に報道をされましたのがたしか二十日ぐらいだったと記憶をいたしておりますが、ちょうどG7に出発する直前で、関心は持ちながら説明を聞く間なしにG7に参りました。G7会議を終わりました帰りの車の中で、東京から送られましたファクス等を見まして問題の大きくなっておることを知り、そのまま帰国の途につきました。飛行機をおりまして成田の空港から本省に帰ります途中、一部証券会社における社長辞任といった事態にまで発展している状況を聞き、そのまま私は記者会見に入りました。そして、記者会見の席上でも、詳細はこれから事務方から聞くということを申し上げたと記憶いたしております。
  205. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 証券局長、今の日時関係でほぼ正確なんですか。間違いありませんか。
  206. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 証券局にございます当時のいろいろな記録等も点検いたしまして、今大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。
  207. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 今回発表された補てんリストの中に、今大臣説明されました、ちょうど一年前、去年の七月に発覚をいたしました旧三井と山一のケースもこの補てんリストの中に載っかっているんです。嘉悦学園とかツムラだとか、こういう名前が出てきているんです。去年の段階では補てん先は公表されなかったんです。だけれども、こういう事件が起こりましたということでかなり大きく新聞にも報道されたし社会問題にもなったんです。しかし、それは一年後の今から見てみれば全体の中の氷山の一角だったんです。つまり、証券局はこの時点で、昨年の七月の段階で全体像をわかっていたんじゃないんですか。わかっていながら大臣にも報告をしない、国会にも報告をしない、ひたすら臭い物にふたを閉めて、ばれないようにばれないようにやってきた、こういうことじゃないんでしょうか。  事実関係だけを確認したいんですよ。旧三井バンクと山一がやったという昨年七月のこの事件は、ここの中に出てきている補てん先で公表されたものと同一ですね。間違いありませんね。
  208. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 山一と旧三井の補てん関係のものは、今回公表されたものの中に含まれております。
  209. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ、この一年間証券局はどういう対応をしてきたんですか。これだけ新聞が大きく書いたから、今ごろになって調査しますとか事実を究明しますとか言っていますけれども報告そのものはもう昨年の段階でわかっていたんじゃないんですか。あるいは山一、旧三井バンクのこの事件のときに証券局長は、あるいは証券局は、こういう全体の問題があるということは知らなかったんですか。その点についてどうですか。
  210. 松野允彦

    説明員松野允彦君) その前の平成元年の十二月に通達を出しまして、御説明申し上げましたように、そのときに各社に自主点検を求めて、損失補てんの有無について自主的な報告を三月末までに出すようにという指導をしたわけでございます。その自主的に出してまいりました報告の中に損失補てん報告されたわけでございますが、その時点で、その点につきましては不適切な行為だということで各社に対し厳正な社内処分を要請し、実行させているわけでございます。
  211. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 それじゃ、一年前にこの問題の調査を、報告だけ受けて処分させて、行政としてはそれでもう一件落着と、こういうことだったんですか。それとも、この問題について事実関係を究明し、証券会社を呼ぶなり相手の企業を呼んだりして、事態究明のための調査証券局はしたんでしょうかということなんです。
  212. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 自主報告を受けまして、それに基づいて証券会社に対し厳正な処分をさせたわけでございまして、それによって行政としてはその当時この不適切な行為に対する会社責任を問うたというふうに考えていたわけでございます。
  213. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 だから、証券会社の処分だけして、証券局は独自に調査なりそういうことはしなかったんですか、したんですか。それを聞いているんですよ。
  214. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 証券局は証券検査も行っております。これは定例検査で、一定の周期に従って証券会社検査をするわけでございまして、その定例検査の際に、自主報告についての中身のチェックも行っていたわけでございます。
  215. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 ちゃんと答えてくれればこんなものを言わなくて済むんですけれども、昨年七月二十六日の橋本大蔵大臣の記者会見でこういうふうに大臣は述べているんです。  昨年秋というから、これは八九年の十二月です。大和証券損失補てん事件に関連して、十二月二十六日、証券局長から通達が出た。その後、「複数の証券会社から損失補てんをやっていたとの報告を受けている。今回は」、「今回は」というのはこれは旧三井と山一のことを指していますよね。「税務行政の立場からチェックしたということで、証券局としては既に指導している」。この「指導」というのは何なんですか。大臣のところまでこの報告は上がっていたというふうに見るんでしょうかね。さらに、ほかの新聞の報道によると、通達を出した後、つまり八九年「十二月に証券局長通達を出した後で、複数の証券会社から自主的に」補てんをしていたという「報告があり、そのときに証券局として指導をしていると聞いている」というんですよ。この「指導」というのは、いずれも証券会社に内部責任者として処罰しろという、ただこれだけのことを意味しているんですか。どういう指導をしたんでしょうか、教えていただけませんか。
  216. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) その前に、正確に記者会見の記録を申し上げたいと思います。  二十六日の会見部分でありますが、質問証券会社による損失補てんの問題についてどのように考えているかという質問であります。私が答えましたものは、   今朝、証券から報告を受けた。国税庁からはまだ聞いていない。   平成元年十二月二十六日付で、証券局長から証券業協会に対し、「証券会社営業姿勢の適正化及び証券事故の未然防止について」という通達を出した。その中に、今回の事件に適用される部分があり、これに関連して、「こういうことをまさかしてはいないな」というチェックに対し、複数の証券会社から「実はそのようなことをやっていた」との報告を受け、証券局としての立場における指導は行っていた、との報告を受けている。今回は、それを国税庁として、税務行政の立場からチェックし、その回答を出した、と理解している。  すぐ次の質問に移っておりますので、この問題に触れた部分は今申し上げたとおりであります。
  217. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 証券局としては、大臣がそういうふうに言っているんだから、行政内部としてどういう行為をこの一年間やってきたんですかということなんです。新聞に出たからやるんじゃないんですよ。あなた方は既に一年前から報告をされて知っていたんです。知っていながら黙っていたんです。これが世間で言われている不明朗な証券会社大蔵省の癒着ですよ、まきに。自主的に黙って報告されていた。それに対して、山年間、問題が起こるまで、発覚するまで知らぬ顔の半兵衛ですよ。かわいそうなのは三井銀行と山一です。一部見つかっちゃった分だけ一年前から怒られて、今回補てん先までわかっちゃった。  ですから、この一年間どういう行政指導、あるいは行政上の対応を打ってきたのか、そのことについて詳しく説明してくださいよ。
  218. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 先ほども申し上げましたように、二年の三月に自主報告をとりまして、その自主報告をとりましたときに損失補てんを行っていた証券会社が数社あったわけでございます。それに対しましては、損失補てん行為が不適切な行為だということで社内処分をするようにその時点で求めまして、社内処分を厳正にさせたわけでございます。  その後も、この通達は十二月に出して、損失補てんを行わないようにという指導をずっと続けているわけでございます。
  219. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 通達を出してそれを守るようにという、そんなのが行政の施策なんですかね。当たり前の行為じゃないですか。こういうことが起こったのでこういう施策をとったとか、防止策をとったとか、是正策を講じたというのが行政上の対応じゃないんでしょうか。通達一本流してこのとおりやっていますとか、あるいはもう一回流してこのとおりやりなさいというのは、そんなのは極めて簡単な行為だし、それでもって大蔵省行為が許されるというのは、ちょっとわからないんですよね。今あなたが言われた以外に、行政上の施策というんでしょうか、指導は何もしてないんですか。
  220. 松野允彦

    説明員松野允彦君) これは私ども検査をしております。検査を通じて行政指導通達が守られているかどうかというのをチェック、定例検査ではございますがチェックをしているわけでございます。
  221. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 通達を流したりチェックしていると言うけれども、チェックがうまく働いてなかったからこんな問題がばらばらばらばら出てきているわけでしょう。だから、実態究明をきちんとする。それは一年前からあなた方がわかっていたにもかかわらず、証券会社を呼べば、あなたは前の野末議員の質問に、こういう手口を使ってやったとかはっきり言っているんです。かなり知っているんです。それなのに実態を言わないということは、これはもう検査機関をどんなふうにつくろうが役に立たないということですよ。  一番許せないのは、一年前に既に知っていることを、新聞が書くまで大蔵省は黙りこくっていたということなんです。この日時は国会は開かれていたはずなんです。国会に一言も報告がないというのは、しかもこれは何かあったときは旧三井と山一だ、例外みたいな説明ですよ。これが重要なんです。  時間がなくなってきたのでまとめに入りますけれども、俗に営業特金と言われる制度を使って実質上企業側が証券会社売買指図権を渡していたから、渡した方の企業はどういうふうに補てんされたかよくわからないんです、勝手に証券会社がやっていたんだから。こんな運営の実態は、大蔵省証券局がきちんと解明しない限りは再発防止なんというのはできないんですよ。  それから、私が質問の中で言ったように、大蔵省が御推奨する顧問つき特金の制度であっても、もう現実補てんが行われているということを見れば、これは営業特金じゃない、信託制度の特定金銭信託制度そのものを見直さなければ、こんな犯罪行為は防止できないということです。もし両方の意見が対立して、うちは絶対そういうことをやってないとか、うちは補てんしたとかというのがはっきり対立で出てくるのなら、国会の場に来てもらって、どっちの言い分が正しいのかどっちの契約が正しいのか、契約とか売買資料とか全部出してもらって、そしてみんなで見ればどれが正しかったのかというのははっきりわかるんですよ。ただ、それじゃ大蔵省が何のためにあるのかということになるから、証券局できちんと調査して報告をしてくださいということを言っているわけなんです。  そういう意味で、どういう検査機関をつくるかは今論議していますけれども、こんな実態が大手を振ってまかり通っていた、法律上書かれているシステムとは違う形でどうも運営されていたということをしっかり調査する、しなければ再発の防止は絶対できないというふうに思うわけです。  そこで、大蔵大臣に最後に、一体こういう問題に対して大蔵省としてはどういうふうに対応していくのか、あるいは一年間黙りこくって公表もしなかった証券局の態度に対して、大蔵大臣はどういうふうに思っているのか、そのことも含めて見解を聞いて質問を終わります。
  222. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私として申し上げられることは、大変、みずからの監督責任を十分に果たしておらなかったということに対するおわび以外にありません。その上で、先刻一つは申し上げましたように、間もなく開かれる臨時国会において証取法の改正案の御審議を願いたいと考えております。本来なら、金融界全体の流れの中における前向きの証取法の改正をいつかお願いできることを期待しておりましたが、残念ながら損失補てんといった、各国の法律で禁止すらしていない、当然のことながら倫理として守られるべきものを法律上に明定をしなければならないという思いを持ちながら、とにかく営業特金だかなんだか、私はそういうのは余り詳しくありませんけれども、要するに損失補てんという行為そのものを禁止するという法律の御審議をお願いしなければならないと思います。  また、先刻来申し上げておりますように、これは証券業界における問題であると同時に、受け手であるお客さんの側にも自己リスクについてのお考えというものが徹していないということであるならば、その双方に対する処分を考える規定も必要でありましょう。一つはこうした法的な整備を急がなければならない。  同時に、今回のような、先刻来御指摘を受けておりますような事態の中で、一体大蔵省としての従来の検査、どこに問題があったのか、そしてそれは何に原因するものなのか、それは証券局だけの問題なのかどうか、こうしたことを今真剣に見詰め直しております。一方では、外において行革審が御論議をいただいておりますが、その行革審の御論議を待つまでもなく、我々は我々としての深刻な反省の上に、こうした分野についての見直し作業を今急いでおるさなかであります。  こうした一つ一つ行為を積み重ねることにより、少しでも早く信頼を回復するための努力を重ねてまいりたい。申しわけありませんでしたという言葉とともに、今感じておりますことを率直に申し上げます。
  223. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 午後一時四十五分まで休憩いたします。    午後零時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時四十七分開会
  224. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  225. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私は、同僚委員質問に続きまして、一時間ですが、一番最初に大蔵大臣にもう一度聞いておきたいことがございます。  今回の問題は、単に日本の経済とか日本だけの問題とかにはとどまらない国際的な信用の問題が大変大きく私は問題にされているんだと思うんです。さてそういう時期に、国内は国内なりに議論して対応策を早く決めなきゃならぬ、また国際的にもそれを見せなきゃならぬ。それはそれで気持ちとしてはわかるんです。けれども、後ほど質問しますが、この損失補てんというような問題について、私は正直に言って、大蔵省損失補てんというような定義がはっきりしていないと思うんですよ。そういう状況の中で拙速に事を運ぶということになると、大変別な面の混乱が起きるんじゃないかな、そういう心配をしているんです。  そこで、一番最初に聞きたいことは、もう既に野末委員からも質問がございましたが、今回のこの問題に対して海外の反応、特にニューヨーク市場ロンドン市場などなどの関係者がどういうふうに見ているのか、また日本にどうしろと言っているのか、現状の中での問題点についての事情があったらお聞かせいただきたいとまず思います。
  226. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 足りない部分は事務的に補足をいたさせますけれども、いずれにいたしましても、私自身監督責任の不行き届きを痛感しておる中での御質問であります。  先刻、村田委員の御質問にもお答えをいたしたわけでありますが、今回の一連のこの証券不祥事と言われますものが報道をされました時期、ちょうどロンドンにおけるG7、その直前の、場合によってはニューヨークで二十一日に開かれるかという状況の中で報道をされました。詳細を承知する間もなしにロンドンにおりまして、G7の会合が終了した時点、その会場には情報が入りませんので終了した時点でその報道を初めて知りました。帰国の飛行機の中で、既に両社の社長退任という事態まで発展しておることを成田空港に着いて承知をした状況であります。  その時点の前にもしこの状況というものが把握できておりましたならば、当然のことながら、ロンドンG7の席上私から各国にそれを説明する場であったと思います。しかし、ちょうどG7の終了後において、また私が帰国の飛行機の中におります間に社長辞任といった事態に発展しておりましたために、対外的にこの問題を説明いたしました最初の場はサミットにおける蔵相レベル会合の冒頭でありました。また、それ以前に日英の蔵相会談の中で私の方から、求められたわけではありませんが、イギリスに対してこの問題についての説明をいたしました。と同時に、証取法の改正を含む私ども努力目標というものを説明をいたしたわけであります。  先ほども申し上げましたように、その説明はその説明として了とされ、その席上においてそれ以上の論議はサミットにおいてもございませんでした。また、その後における日米英三極の証券監督者会議におきましても日本側としてこの状況説明し、とるべき方策として今模索中の問題についての報告をいたし、これもそれなりに了承はされました。ただ、各国納得をしておらないという事情については先刻来申し上げておるとおりでありまして、すべてはこれから私ども努力をしてまいりますその結果にかかるものと、そのように心得ております。
  227. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 その場合に、これからという対応も考えまして、諸外国から日本金融市場に対してここをこう直せとかここをこうしろとかというようなアプローチは今具体的にあるんですか。
  228. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私が承知をいたします限り、また、今証券局長に確認をいたしましたが証券局に関します限り、この事件が起きましてからこの事件に関連をして日本市場についてどうこうという注文めいた話は参っておりません。ただ、例えば日米金融協議におきまして従来から論議になっておりました問題点等はそのまま存在をいたしておるわけでございます。
  229. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 ぜひそういう意味では早急な適切な諸外国に対する対応だけは間違わないでいてほしいと思います。要望申し上げておきます。  さてその次は、今回の事件というものは、一番証券市場の中で重要である、つまりだれのための証券市場かということが私は問われていることだと思うんです。証券というのは自己責任が原則なんですから、その自己責任の原則というものが崩れ去っているということであれば、その証券金融市場は成り立たないということを意味しますね。そう私は基本的に思うんです。証券を取り扱う金融行政は生まれたときからそういう哲学を持って事に当たっているわけですね。当たってきたとも思うんです。  ところが日本大蔵省の場合には、風土的に免許制というものをとったこともあって、同時に小さな市場から大きく育てたいというのもあるから、どうしても大蔵の、検査指導と育成とこの三つある中で、育成の面だけがやっぱり前面に出ていたと思うんです。それが今日の状態を生んでしまったんじゃないのかなとひそかに思うんですが、そういう基本的な認識はいかがですか。
  230. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 我が国証券市場というものが今日まで発展してくる過程を考えましたとき、私は、必ずしも当初免許制を採用し、証券行政というものが推進をされてまいりました過程がすべて悪だったかと申すならば、そんなことはないと思います。そして、大蔵省証券市場というものを世界の他の証券市場に伍して十分に対応できるものに育て上げようとしてきた努力というものも、私はその方向として間違っていたものとは考えておりません。  ただし、その間に、おかげさまで世界有数の市場として今東京市場は存在するようになったわけでありますが、その中に、もし証券会社の中に行政に対する甘えが生じていたとするならば、また投資家の方々、顧客と言われる方々の中に自己のリスクというものに対する観念が薄れていたという問題点があったとするならば、また行政が保護育成という面に目が向き過ぎて監督指導という面に欠けるところがあったのではないかという御指摘があるとするならば、今日の時点において私はそれを甘受せざるを得ないと考えております。  と同時に、私は日本の風土の中で免許制というものが持って根づいてきた過程というものを考えますときに、今後におきましても、例えばアメリカのように登録制に切りかえて毎月一千社を超える新しい証券企業が登録をする、そのかわりまた一千社を越える企業が登録の抹消をされるといったような不安定な状況というものが日本市場として育ち得る風土であるかどうかということになりますと、これは慎重な検討を要するものではなかろうかと考えております。
  231. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 端的で結構ですから、今まで大蔵省証券局を中心とした皆さんは、金融市場に対して適切に対応してきたと思っていらっしゃいますか、それともいやそうでなかったと思っていらっしゃいますか、どちらですか。
  232. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この事件が我々に知らされる以前でありましたなら、私は胸を張ってよかったと申したと思います。しかし、今こうした事件を契機として国会の閉会中審査を受ける立場として、そこまで申し上げる自信はありません。しかし、その果たしてきた役割もお認めはいただきたい、率直にそう感じております。
  233. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 そうしますと、先般大蔵大臣以下幹部の皆さんが一〇%のお金をお出しになったようですが、あれはどういう意味合いをなすんですか。
  234. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) この省内処分というものにつきましては、いろいろな今見方を世間からもちょうだいをいたしております。しかし、損失補てんという行為が国民の中に不公平を生じせしめた、証券市場の中において不公平が行われた結果証券市場に対する一般投資家の信頼感を著しく損なうものであったということを考えますとき、一たび通達で禁止をいたしながら、今回さらに当局に報告をされていない損失補てんが明らかになったということを考えますとき、こういう事態に立ち至るまで適切な指導監督をなし得なかったことに対しての行政当局の責任を考えてのことであります。
  235. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 いずれ、大蔵省責任というかその問題に後ほどちょっと触れさせていただきますが、私は、今の橋本大蔵大臣を頂点とする皆さん、大変気の毒に思っています。それは、個人のどうこうというよりも、やっぱり長い歴史の中で積み重なってきておって、ある意味ではこういう小さい市場がこれだけ三大市場と言われるまで大きくなってきたんですから、それはそれなりに私もある面では評価するんですよ。けれども、そのときに育成ということが中心にあったために、通達というようなことで大体済んでいたんじゃないか。  つまり、それは守ってくれるものである、俗称これを性善説というんですね。しかし、守ってくれない現実がここにあらわれたというのであれば、証券行政に対して根本的な対応の仕方を考え直さなきゃならぬ。守ってくれないという前提に立つのであれば、今度は性悪説の方の論をとらなきゃならぬと思うんです。どういう認識を持つかということで次の対応、法律化すべきなのか罰則を与えるべきなのかというようなものに発展するわけです。だから、事の認識として、現在までの証券業界のやり方は、甘えの構造があったかもしれないと言うけれども、哲学的に、業界そのものも守ってくれる、くれるであろうというような期待感の認識にあるのか、やっぱりこれはきちっとするものはしなきゃいかぬというような認識にあるのか、その点を伺いたい。
  236. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) むしろ今までは、我々は性善説とか性悪説とかという観点ではなく、市場が育ってまいります過程において非常に世間から強く要請されました証券市場の透明性あるいは公正性の確保といった視点から、平成元年の四月には内部者取引規制平成二年の十二月に施行いたしましたいわゆる五%ルール、こうした幾たびかの新しい視点に立ちまして証券取引法の改正をお願いしてまいりました。  しかし、先刻も申し上げたことでありますが、損失補てんといった、そもそも商習慣の中で考えられないようなケースと申しますものは、欧米各国においても実は法律でわざわざこれを明定して禁止している国はないわけであります。そして、それは当然のことながらの業界倫理として扱われておるわけでありまして、日本でもその意味では同様の考え方から私は証取法がつくられておったと存じます。  しかし、残念ながら今回こうした事態が生じたわけでありまして、この損失補てん問題につきましても、今まで通達等で処置してまいりましたものを、今回法改正として証券会社による事後の損失補てんの禁止でありますとか、あるいは証券会社顧客が事前の損失保証あるいは事後の損失補てんを受けることを禁止するとか、あるいは取引一任勘定の問題でありますとか、こうしたものまで法律上に明定せざるを得ないという今気持ちになっており、現に法制局あるいは法務省等々と御相談をいたしておる状況であります。私はそれを性善説とか性悪説であるというふうにはとりたくありません。市場が変化していきますその中で、その市場状況に対応して法律整備をしてまいる、あくまでもそのように考えたい、そう考えております。
  237. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 物の言い方はいろいろありますけれども、今まで信じ合ってきたものが信じられなくなっちゃったということの認識は恐らく一致すると思うんです。それがなければ対応が出てこないんですから。そこのところは余り食い違いは私はないと思うんです。  さてその次に一番問題なのは、さっき述べた角谷さんの通達、この通達の中の第一項にこういうことが書いてあります。「法令上の禁止行為である損失保証による勧誘や特別の利益提供による勧誘は勿論のこと、事後的な損失の補填や特別の利益提供も厳にこれを慎むこと。」と書いてあります。この角谷さんの、つまり大蔵省通達の「事後的な損失の補填」というのはどういうものを言うんですか。
  238. 松野允彦

    説明員松野允彦君) その通達におきましては「事後的な損失の補填」という言葉を使っているだけでございまして、詳しい定義はその通達には示されておりません。  ただ、事後的な損失補てんといいますのは、一般的に申し上げますと、お客が有価証券売買などによって生じた損失、その全部または一部を補てんする目的を持って有価証券売買などの形をとりましてその補てんをする、つまり財産上の利益を供与する行為であるというふうに考えられるわけでございます。
  239. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 その一般的というところが問題なんです。大蔵省がこういう通達を出す限りにおいては、大蔵省が思う補てん、事後補てん損失補てんとはこういうものなんだということがなければ、何をもって検査をしたりどうこうするんですか。状況を見ただけで、後から考えますということになるんですか。私はここが、今回のリスト公表に当たっても、事後の対応をするにしても、この定義がはっきりしないととても困るんです。まじめな証券会社だってあるんです。これが、損失補てんという定義がはっきりしないまま、おまえの方から公表してくれよと言われたって、何をどう公表していいかわからぬという会社だってあるんじゃないですか。だからもう一回、定義としてどういうものなんだ、大蔵省はこういうものなんだということをここで明らかにしていただけませんか。
  240. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 損失補てんの定義につきましては、今申し上げたような一般的な考え方で当時も現在も私どもとしては考え、また各社もそういうふうに判断しているわけでございます。ただ、現在私ども証券取引法の改正作業を進めております。その中で事後的な損失補てんというものについての定義を検討しているわけでございます。証取法では今度改正いたしまして罰則をつけるということになるものでございますので、その定義についてかなり明確な形の構成要件を決めないと、罰則を適用するということが難しいわけでございます。  なお、損失補てんと一般的に言われております中で、証取法ではっきりと認められている行為一つございます。これはどういうことかと申しますと、証券会社の役員あるいは職員が法令違反などをやりましてお客に損失を及ぼした場合に、会社証券事故届というものを提出いたしまして、これは協会でございますが、協会に積んでおります証券取引責任準備金、これは各証券会社が積むわけでございますが、それを取り崩して損害の補てんに充てるというような制度がございます。こういった形の損失補てんは広い意味では事後的な損失補てんではございますけれども、これは証券事故ということで法律で明定され認められている制度でございます。そういったものは当然通達で言う「事後的な損失の補填」ということにはなっていないということは明らかでございます。  いずれにいたしましても、事後的な損失補てんの定義につきましては、現在法律改正作業の中で明確にしようということで検討を進めているわけでございます。
  241. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 業界の中でよく使われる言葉に、トラブルという言葉があります。トラブルということで解決したようなときには損失補てんと言いますか言いませんか、どちらですか。
  242. 松野允彦

    説明員松野允彦君) トラブルと一般に言われておりますその原因もさまざまでございます。ただ、先ほど申し上げましたようなトラブルの処理に当たって、証券事故届け出を出しまして証券取引責任準備金の取り崩しをしてそれに充てるというものがトラブルの場合にはかなり多いわけでございます。そういったものは、トラブルの処理でありましてもここで言う事後的な損失補てんではなくて、法律上認められた証券事故の処理だというふうに考えるわけでございます。
  243. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 事故届けを出さなくとも、トラブルが発生をして双方弁護人を立てたり財務局が中に入ったりして仲介をしながら解決するという方法だって現実にあったでしょう、あるでしょう。認めますか。
  244. 松野允彦

    説明員松野允彦君) そういうケースもあるということは私どもも承知しております。
  245. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 そうしますと、そういう問題が現実証券業界ではあるわけですよね。ところが、今回の損失補てんというものは、そういういわゆる定義的に言うトラブルというのとはちょっと違うんじゃないかという、定義を下すんであれば大蔵省そのものが定義というものを先に持っていないと、各社公表しろと言ったってとても私はそれは疑問があったと思うんですね。  そこでもう一回聞きますけれども、村田さんの質問にもあったんですけれども、業界から自主的に公表してくれという態度を、大蔵大臣も海部総理もそういう態度に後からなってきたんです。出せないということから始まって、出すなら自主的にそっちから出してくれと。何で皆さんが持っている分を出さないんですか。業界から先に出してくれということは、何で業界から先に出させないかぬのですか、その理由を聞かせてください。
  246. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私どもしばしば今まで、ある場合は私自身が院の一員としての立場でこの問題についての論議をしてまいりました。すなわち、国政調査権と守秘義務の関係であります。  この関係につきましては、昭和四十九年十二月二十三日の政府統一見解にもございますように、国政調査権の行使によって得られるべき公益、そして守秘義務によって守られるべき公益を個々の事案ごとに比較考量することによって決定されるべきもの、このように言われております。そして、私自身感じといたしまして、情報公開制度、さらに機密保護についての制度の不十分な日本におきまして、本来的に私は公務員の守秘義務というものは非常に強く考えるべきものと考えております。そして、この事案について率直に申しますならば、今回の証券会社による大口顧客に対する損失補てんというものによりまして国民の証券市場に対する信頼というものが大きく揺らぎました。そして、国民の信頼感を回復する、証券市場が再び健全な発展の足取りをたどるためにも、こうした情報が開示されることは必要であると考えております。  そうした中で、むしろ、先ほど国政調査権と守秘義務に関連しての統一見解をまず私は申し上げましたけれども、そのような論議以前の問題として、私は証券会社自身がみずからの手で国民の前にその内容公表されることによって少しでも国民の証券市場というものに対する信頼をつなぎとめる努力をしてほしい、率直にそのように感じておりました。そして、そのようなことを衆議院の御審議でも申し上げてまいりました。他の場所におきまして、国政調査権との関連まで援用して私は論議をしたこともございます。各証券会社自身がみずからの手によって公開に踏み切られたことは、少しでも証券市場に信頼をつなぎとめるための役割を果たしてくれるのではないか、私はそう願っておりました。
  247. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 今お話が出ましたが、この守秘義務の問題と国政調査権の問題というのは、ロッキード事件のときに既に政府の統一見解が出ているわけですね。ロッキード事件で出たときのこの第三項に今大臣がおっしゃったものが私は適合するんだと思うんです。つまり、「国会と政府との見解が異なる場合が時に生ずることは避け得ないところであろうが、政府としては、国会の国政調査活動が十分その目的を達成できるよう、政府の立場から許される最大限の協力をすべきものと考える。」、こう書かれていますね。これは当時の三木総理の統一見解でしょう。  さて、それを見たときに、今度は国政調査権と政府の関係というときに、今まではどっちかというと政府の統一見解と国会の場のときには自民党さんが数がずっと多かったんですよ、こういうのができ上がっているときに。だから、これを並列させればいつも政府の統一見解と国会の対応というのは一致しておったんです。  これは衆議院でも議論があったように聞いていますが、参議院は野党の皆さんが今でも証人要求から資料要求からすべての要求をしている。だとすると、国会法に基づいてこれが議決されるということになると、やはり政府はその国会の意思に従わざるを得ないということになると私は思うんです。衆議院は別ですよ、両院の院が別なことで議決したときには、その院に適合するわけですから。そういうことまでも展望をすれば、当然政府はかたくなに資料とか証人とかということを拒めない現実にあるんじゃないですか。それを拒み続けているということになると、どうしてもそこには嫌らしい問題の解釈が私は出てきちゃうと思うんです。何か困ることがあるんじゃないのか、そういうように思うもんですから、この対応についても、先ほどからずっと資料要求がされておりますので、そういうことを十分念頭に置いて私はやってほしいと思っています。これは一番最後に委員長にもお願いしたいと思いますが、前段でそういう考えでいることをお知らせしておきたいと思うんです。  さて、その次の問題は、今大蔵省補てんに関する定義というものがこういうものだとかこういうケースだというのがきちっとしていないで、業界から公表されたあの数字というものがひとり歩きしているんですが、各業界とも理解がまちまちですね。いわゆる損失補てんというものに対して理解がまちまちだと思うんです。だから、あの資料だけですべての対応をするということは私どもとしてはどうしても納得がいかないんです。だから、その意味で今度改めて政府が持っている資料というものをお出しいただきたい。どの会社で幾らだということで、同じであるなら同じ資料を出してもらいたい。その資料を出していただけますか。
  248. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私どもが自主報告で二年の三月に各社から報告を求めました資料は、各社が既に公表いたしました資料と同じといいますか、それに全部認定分が載っておりますけれども、基本的に同じでございますので、既に公表されておりますので、御要求でございましたら提出をさせていただきたいと思います。
  249. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私が資料と言うときにこういう問題が発生すると思うので、その問題に対する見解を聞いておきたいんですが、今回の問題は、私はこの十二月の通達が必ずしも底抜けであったとは思っていないんです。  この通達から始まって、各社はそれぞれ総点検をやったわけなんでしょう。総点検をやって、税務申告をするに当たって一つの問題が出てきたんだと思うのです。つまり、法人税上からいうのであれば、法人の損金というのは、損金算入が認められるか認められないかということが問題なんです。法人の場合には、税法上は違うんですが、損金として見られるものはいわゆる交際費とか使途不明金であるとかということになるわけですね。もちろん損金で認められるということは、会社経理上はそれでいいかもしらぬけれども、税法上は交際費であっても使途不明金であってもこれは税だけはいただかなければなりません。つまり、今までの有価証券報告書の中で、従来までの報告をしていたのではどうもつじつまが合わないから、自己否認の手続をとってどうぞ税金だけ取ってくださいということだったと思うんですが、そういう経過と理解していいですか。
  250. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 自主報告を受けました損失補てん額、これは各社が私どもに自主的に報告してきたわけでございますが、その損失補てん額につきまして、税務申告に当たってこれは証券会社の経理上は売買損になっているわけでございますけれども、その売買損の一部を自己否認いたしまして課税所得に加算するということで、自己否認をして法人税の申告書を提出しているということは我々も承知しております。
  251. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 そうしますと、否認をして税金は取ってくださいということになっているんですが、これは国税庁に聞かなければなりませんけれども、そういう交際費とそれから使途不明金ということで区分けされて税がそれだけ取られるということだけならばそれで済んでしまうんですが、ここまで来ている場合には、損失補てん金以外の不正な処理、会計をしているということも考えられるんですよ。そこまでいきますと、今自主的に公表された数字とこれから調べ上げる数字と変わってくるということがあり得るんじゃないですか。ありませんか。
  252. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私どもが承知いたしております限りでは、今申し上げましたように我々に報告がありました損失補てん額のうちの一部を税務上自己否認して課税所得に申告したということでございまして、それ以上の事実は私ども承知をしていないわけでございます。
  253. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 これからリストの公開が行われて、いろいろ検査に入りますね。検査に入ったときに、いわゆる損失補てんが幾らかと、これは正しいとかこれはのけてもいいよとか、のけても認められるとか、いろいろ各社によって損失補てんの理解が違うんですから、定義が違うんですから、ばらばらの数字というものが私は出てくるように思うんです。その検査をするときに、国税はもうここで申告が行われたからそれで終わりとするのか、証券の方で調査した結果これはおかしいということがあれば、追加して調査をするということになるんじゃないですか。そうならないんですか。
  254. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 現在私ども、四社に特別検査に入っておりまして、その特別検査目的は、事後的な損失補てんがさらにないかどうかというのをチェックしているわけでございまして、御指摘のように、もし漏れているものがあれば、その検査指摘するということになろうかと思います。
  255. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 それで結構です。  だから、そうなるから、今自主的に出している損失補てん金額会社名と今持っている資料と同じだから出さなくてもいいんじゃないかとおっしゃっているけれども、同じであれば同じで出してください。その後、調査した結果が違ったら違ったように我々にはっきり教えてくれませんか。それは余り長くかけちゃいかぬと思うんですね、この調査は。なぜならば、大蔵大臣は先ほど、これから証取法改正を含めた事後対策について、いつごろになるのかわかりませんけれども、この臨時国会というお言葉ですね。そうすると、政府が出してくる証取法改正の問題と資料で我々が対策をとる問題と、時期が一致すればいいんですけれども、一致しないと何か証取法の改正だけが先行しちゃうということが大変懸念されるんですよ。だからこの調査は早くして、早く知らせてくれぬかということを言いたいんですが、いかがですか。
  256. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 事務方に作業はできる限り急ぐように指示はいたしますけれども、それにいたしましても私はある程度の日数は必要であろうと存じます。しかしそれと同時に、損失補てんという行為、先ほど来いろいろな角度からの御論議がありますけれども、いずれにいたしましても国民の中に不公平を生じせしめる行為ということでは変わりがございません。これは顧客になっておられる方がそれを自覚しておられようとおられまいと、証券会社の方にその損失補てんしたという意識があれば、これは確実に不公平を生じているわけであります。そうした視点から、私どもはそうした問題を生じないように法的にもこれを禁止するという措置はできるだけ早くとらせていただきたいと願っております。  どうぞ、その作業をできるだけ急がせますことと証取法についての御審議と分けて御論議を願いたい。その作業にはある程度の私は日数はかかると思います。現実の問題といたしましてある程度の日数はかかるでありましょう。それが全部そろうまで証取法の審議はできないとはどうぞおっしゃらないでいただきたいと心から願っております。
  257. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 大臣、私がなぜそれを心配をするかというと、損失補てんといる問題に関して今でも大体わかったようなわからないような状態であるんです、定義が。一般的にはわかりますよ。  そこで、その損失補てんというものがどういうものであるかという定義、それから損失補てんが行われるのには何で行われるんだ、ここですな。どうして損失補てんが行われるんだ。だから私などは、証券会社だってだれだってそうですけれども、何か約束とか念書とか握りとか、そういうものがない限り何も損失補てんまでして自分の会社の利益をそっちに移転したいというようなことは考えないと思うんですよ。そうすると、いわゆる証取法五十条にいう、つまり事前の保証というものと類似した行為があるから補てんが行われると見るべきだと思うんですが、その点はそういうふうに見ちゃいかぬのですか。証券局長、どうです。
  258. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私どもも今検査をしておりまして、事後的な損失補てんをめぐりまして御指摘のように事前に何らかの約束があったんではないかというような話も報道されております。私どもも事前に損失保証のようなことがなかったかどうかというのが今回の検査一つの重点事項になっているわけでございます。そういったようなことが一つの証取法五十条違反になるということになりますので、大きな問題意識を持っているわけでございます。  なお、この損失補てんがなぜ行われるのかということでございますが、これはいろいろな理由があろうかと思いますが、私ども証券会社から受けている、あるいは証券会社が発表しているところによりますと、やはり主として企業との取引関係を維持する、あるいは主幹事関係を維持する、引き受けシェアをふやすあるいは維持するというような企業との取引関係の維持、あるいは企業以外のいろいろな機関投資家との取引関係の維持というようなものが損失補てんを行った一つの大きな動機になっているというふうに承知をしているわけでございます。
  259. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 この問題だけやっていても長くなるんですが、証券局長、今一番問題にされていることは、損失補てんというものが顧客の側から要求されたのか、証券会社が自主的にやったのか、この問題が第一の問題であります。  そうすると、仮にお客の方から、投資家の方からそういうことを要求したというのであれば、これはそれこそ証取法上の問題が出てきますね、それを合意してやったとすれば。ところが、大体お金を任して運用してくれというときには、今度は任せる方の側の損益部分についてもある方針があるわけですから、例えば八%で回してくれないかとか何%で回してくれないかとか、そういうものは証券会社も十分知っているわけです。知っていていわゆる売買の方法をやっておるわけだから、見方によれば事前に、つまりお互いに合意が成立していたんじゃないか、だから補てんをしてやらなきゃならぬというようなことになった、こういうふうに見るべきじゃないですか。だから、私はそう見ているから、いわゆる証取法上の責任だとはすぐはいかないけれどもそれに類似した行為ではないのかというように私は見ているんです。そう見てはおかしいんですか。
  260. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 今御指摘のような状況を私どもも実は問題意識を持って見ているわけでございまして、検査で重点事項にしておりますのも、確かにそういう努力目標を示しただけで法律違反になるかどうかという点は別にございますけれども、やはり何らかの形の期待を与えたというような問題はなかったのかどうかというような点についてもあわせて事情を調べたいというふうに思っているわけでございます。
  261. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 業界に今度四日間の行政処分というんですか、それをやりましたね。あの行政処分の目的と意味合いは何を指すんですか。
  262. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 今般、大手四社に対しまして四日間の自主的な営業停止を要請したわけでございます。これは、今回の一連の損失補てん行為、しかも多額に上る損失補てん行為が明らかになり、これは基本的には有価証券取引自己責任原則に反する行為でございます。免許会社である証券会社がいわばその反する行為を行ったということに対しまして、私ども証券市場に対する影響を非常に深刻に受けとめたわけでございます。あわせまして、二社ではございますが暴力団関係者との不明朗な取引も発覚いたしました。これも免許会社としての規範に著しく反する行為でございます。  こういったようないろいろな問題を踏まえまして、大手証券四社に対しまして営業の、これは法律違反行為ということにずばり該当いたしませんものですから法律上の正式の行政処分ということで営業停止処分をかけるということができないわけでございますが、行政指導ということで自主的な営業停止を四日間行うようにという指導をしたわけでございます。
  263. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 別な表現をかりれば通達違反の事実だから、つまり証取法を直ちに適用できないということだから、通達違反に対する行政処分ですね。四日間でしょう。これは最高何日ぐらいまでできるものなんですか。
  264. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 最高というのは特に決められていないわけでございまして、法律上の行政処分で営業停止処分をかけたという例が過去五回ほどございます。それは主として株価操作に絡む問題でございまして、ごく最近では藤田観光事件というのがございます。法律上の正式な行政処分ということで営業停止をかけましたのは、過去の例では三日間が一番長い例になっておりますし、また、その三日間も、ある特定の支店の営業を停止する、あるいは本店の業務の一部の営業を停止するというような、比較的狭い分野での行政処分でございます。  今回の営業の停止は、行政指導ベースではございますが、法人部門については全社にわたっておりますし、また暴力団関係につきましては、これを扱いました本店の営業部門の自主的な営業停止を指導したところでございます。
  265. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 それはもう新聞でわかっているんですよ、事実は。通達違反のときは何日まで処分できるんだと聞いているんです。
  266. 松野允彦

    説明員松野允彦君) それについては特に基準はございません。
  267. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 そうすると、証取法上の処分というのははっきりしているんだけれども、これは基準とか的確な物差しがない、そのときの判断でやりましょうということなんでしょう。それがたった四日だ。  たった四日と言うのは、この業界に対しての四日の処分というものが何に値するかということを考えた場合に、ある新聞社の社説ではないけれども、夏休みを四日余計もらったと書いてあるんですよ。それだけ自粛を迫った業界だとは言うけれども、四日で自粛という理解に立つか、その後に株価のおかしな変動があったか、夏休みを四日もらっただけじゃないかとある社説に書いてあったことを見て、多くの国民というのはそういう認識ですよ。だから私は最高何日までやれるんだと聞いたんです。四日というのも何の効果というか、そういうものが期待できない、ただメンツ上やったというようにしかとれないんですけれども、そういう感じを持っちゃいかぬのですか。
  268. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 法律に基づきます正式な行政処分ということになりますと、証取法三十五条というのがございます。これはもちろん営業免許の取り消しもあるわけでございますが、この法律上の手続に基づきます行政処分では六カ月以内の業務の停止という上限が書いてあるわけでございます。今回の場合は行政指導による営業の自主的な停止でございますけれども、先ほど申し上げましたように、過去の法律違反行為に対する正式の営業停止処分というものは三日ということを考えまして、それよりも重い営業停止処分を行政指導ベースで要請した、行ったわけでございます。
  269. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 いずれこれも対策を議論するときに私どももしっかり議論したいと思いますので、そういう審議をする時間をぜひとって大蔵委員会で審議したいと思うんです。諸外国から見ても、四日間の停止じゃ何だというような諸外国の目もあることも忘れないでいてほしいと思うんです。  さて、その次は大臣にちょっとお尋ねしたいんですが、証取法改正の大綱ということで、これは日経の七月二十七日に大綱が出ているんですが、証取法の問題と絡んで先ほど議論になった監視体制の問題です。いわゆるSECというんですか、その監視体制の問題について、大蔵省の外に置くべきか中に置くべきか真ん中辺に置くべきかというようなものが大変議論されていると報道されているんですが、私は、どっちかというと個人的には、そこまで研究する期間はあったとしても、やっぱり外に置いた方が監視体制というものがすっきりするんじゃないのかなと思っているんです。思っているんだけれども大臣は将来にそういうものをつくっていきたいというようなニュアンスに聞こえるような態度のように見受けているんですが、いかがですか。
  270. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 衆議院の御審議の際に、大蔵省を離れた第三者機関でその監視監督機関というものについてのあり方を検討していただいてはどうかという御意見が与野党の委員から出ておりました。その際、私は、総理にその御意見は正確にお伝えをいたします、ただ、私ども自身現在大蔵省の内部においてプロジェクトチームをつくり、検査のあり方、手法、さまざまな分野から根本的に問題の掘り起こしをいたしております、そしてそれはただ単に証券のみならず、金融全体を含めて我々はこれから先の検査のあり方を模索したいと考えております、第三者機関で御論議をいただきます場合にも、我々の作業をストップするということはお許しをいただきたいと、これは率直に衆議院でもお答えをいたしました。  そして、けさ本委員会に臨みます前、閣議の後総理とも御相談をいたしました。総理は既に行革審に対してこの問題についての検討を諮問しておられます。これに対して私は全く異論はありません。そして、行革審が検討されるについて、資料が必要でありますならばその資料は大蔵省としても当然出しますし、また私ども自身検査体制の今根本的な論議をいたしております過程についても御報告をすることを求められるなら幾らでもいたします。しかし同時に、私どもの作業を中断しろということはどうぞお許しをいただきたい、そうお願いを申し上げました。そして、私どもとしては今どういう形態が一番望ましい形態であるかという結論を見出すまでには至っておりません。  ただ、それを前提にして一点申し上げたいと思いますのは、私どもが今考えておりますことは、将来における銀行、証券相互の参入問題をも見据えながら、この機会に先ほどどなたかのお話にこれを災いを転じて福となすつもりで努力しろという御指摘がありましたが、そうしたことまでを視野に含めて我々としては検討したい、そのように考えております。
  271. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私の持ち時間はあと五、六分しかございませんので、委員長にお願いを申し上げておきます。  先ほど同僚の委員からも資料の要求がありました。私ども理事会においては、今まで省と討論、審議をしておっても事実の解明というものがなかなかできない、できにくい、直接聞いた方が本当のことがわかる。つまり全貌を明らかにしない限り万全な対策がとれないという意味で、証人喚問を本日の場によるように要求してまいりました。でも、これは議調わず今日まで来でおります。ただ、私は参議院の大蔵の理事会で皆さんのお話を聞いていたときに、今の段階は呼ぶことが賛成できない、今の段階ですよ、いずれ慎重に対応したいというお話でした。衆議院の方は多少それとは意味が違っていますね。証人の人権問題があるからとかなんとかかんとか言っていたんですけれども、参議院においては、理事会では証人喚問について衆議院よりは前向きな姿勢をとられていたと私は認識しているんです。  そういう意味で、証人喚問とそれから資料の提出について、委員会としては、先ほど私はロッキードのときの三木総理の統一見解をあえて述べたんでございますが、院が決定すれば全貌解明はできるわけですから、その証人喚問についてこの場で委員長にぜひそのように努力したいという言明をいただきたいんですが、いかがなものでしょう。
  272. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) ただいま鈴木君の御要望でございますけれども、資料の提出とそれから証人喚問につきましては、鈴木君を初めとし、本日の論議を踏まえまして、証券問題の論議を尽くすことを本義といたしまして、理事間の協議を行いながら適切な措置をとりたいと思います。  以上。
  273. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 なお私申し上げておきますが、先ほどの同僚委員の資料の提出についても、これは委員長にお願いなんですが、証券局長が資料を提出するというときには識別をつくったり、ランクをつくったり、いろんな方法でそういうものができ上がれば報告いたしますという御答弁がずっと続いておった。私は、それは省の態度だから結構ですよ。委員会としてはやっぱり国政調査という立場でこういうものを出せこういうものを出せということをはっきり決めて、国会の意思というものを明らかにしないと、国民から国会に対する不信が出ると思うんですね。それでなくても今大蔵省不信が出ているときに、国会まで不信を持たれるということであってはいかぬと思うんです。そういう意味で、資料の提出についても、証人喚問についても、野党の我々の要求を気持ちよく受けてもらって真相解明に乗り出す、こういう態度を委員長に持っていただきたいと思いますので、再度御答弁をいただいて私の質問を終わります。
  274. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 適切な審議が尽くされるよう必要な資料の提出については、それぞれ理事間協議を通じまして措置したいと、さように考えております。
  275. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 証人喚問もね。
  276. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 証人喚問も同様です。先ほど申し上げたとおりでございます。
  277. 和田教美

    ○和田教美君 証券大手四社に続きます全部で十七社の損失補てん先のリスト、これを見ましてまず大変驚くことは、先ほども大蔵大臣もお触れになったけれども、まさにオールジャパンだという感じです。日本を代表する大メーカーとか商社、地方銀行、それから農協系の金融機関などの中小金融機関、ずらりと並んでおります。さらに問題なのは、年金福祉事業団、公立学校共済組合、警察共済、それから地方職員共済組合など政府の外郭団体を初めとする公的団体が多数登場していることであります。  十七社合計で実に千七百二十億円というその補てんの総額も巨額ですけれども、これだけ幅広い分野に及ぶ損失補てん大蔵省が事前に全く制止できなかったということについて、政府の監督責任は極めて大だというふうに思います。いわば証券行政における行政指導が事実上破綻したというふうに見てもいいんではないかと思うんですけれども、この時期にもう一度ひとつ大蔵大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  278. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回発生いたしました証券会社による損失補てんと申しますものは、これは免許会社としての規範に著しく反するものでありますし、今委員は公共法人を例示に挙げられましたけれども、これは相手が公共法人であろうと民間であるとを問わず、国民の中に不公平を生ぜしめる、そうした行為でありますし、こうした行為の結果として一般投資家証券市場に対する信頼感というものが大きく損われたということは本当に残念でありますし、深刻な事態として私どもは受けとめております。  そして、先ほど来申し上げておりますように、こうした問題の再発を防止するため、その損失補てんの法令による禁止を含めまして法制止また行政上の必要な措置を講じ、投資家の信頼を回復するべく全力を尽くしてまいりたい、目下努力をいたしておるところであり、おわびを申し上げる以外にありません。
  279. 和田教美

    ○和田教美君 次に、補てんリスト公表後の動きを見ておりまして私が特に不可解に思いますことは、このリストに載っている実勢で約五百に及ぶ法人のうち、みずから損失補てんを受けたと認めたものはごくわずかであるということでございます。大部分は損失補てんを受けた認識はないとか、通常の取引と思っていたとか、さらには全面否定するところも相当あります。なぜ証券会社の発表と補てんを受けた法人側の認識にこうも甚だしい食い違いが生じたのか。大蔵省としてはこの点についてどう認識をされておりますか。
  280. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 補てんを受けました相手方、顧客が実際どの程度補てんについて認識していたのかという点につきましては、私ども確認することは困難でございますが、場合によりましては補てんを受けたという認識がなかったケースもあるんではないかというふうに考えるわけでございます。  それは一つ理由といたしましては、営業特金などにおきます証券会社の一任的な運用によって損失補てんが行われているような場合がございます。一任的な運用でございますので、必ずしも顧客補てんを受けたという認識を持ちにくいということが言えると思います。それから二番目の理由といたしまして、補てんの手口といいますか、やり方として、通常の市場取引に近い形のものが使われているというものがあるわけでございまして、そういった場合にも顧客補てんを受けたという認識は持ちにくいんではないかというふうに考えるわけでございます。  しかしながら、私どもといたしましては、証券会社損失補てんをするという目的を持って有価証券売買などを行って損失補てんをしているわけでございますので、顧客認識のいかんにかかわらず損失補てんであるというふうに言わざるを得ないんではないかというふうに考えているわけでございます。
  281. 和田教美

    ○和田教美君 一般の通常取引に近いものも入って紛らわしいということも確かに一部にはあると思います。しかし、大部分はそうではない。特に、少額の百万円ぐらいの補てんを受けた場合には別として、何十億という補てんを受けながらそのことを全く認識しなかったというのは、これは僕は受けた方のうそだと思います。とにかく、少なくともトップの経営者は知らなくても、現場のサイドでは証券会社のセールスマンと担当者との間に必ず意思の疎通があると思うんですが、その点はどういうふうに調べられておりますか。
  282. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 確かに御指摘のように、損失補てんは基本的にそれによって運用のパフォーマンスの悪化を改善する効果があるわけでございまして、損失補てんによって運用成果が急激に改善するというような事態が生じますと、顧客損失補てん認識しないままでいるというようなことはなかなか考えられないわけでございます。御指摘のように、結果といたしまして、どうも顧客サイドにも自己責任原則の認識に不十分な点があったのではないかというふうに考えざるを得ない面がございます。
  283. 和田教美

    ○和田教美君 何が損失補てんであるかという解釈をめぐって証券会社相互間あるいは補てん先との間で見解が対立している、そして混乱を起こしていると私は思います。その一半の理由が、大蔵省損失補てんについて明確な定義を下さないままで証券会社の自主的な判断で報告を求めたという点にあるというふうに思うんです。  平成元年十二月の二十六日に出した証券局長通達の中で、法律で禁止されている事前の損失保証だけでなく、事後の損失補てんや特別の利益提供も厳に慎むことと通達をしておりますけれども、肝心の損失補てんの定義については何ら明確な解釈を下しておりません。これでは何が補てんかについて見解の対立、混乱が起こるのは当然だというふうに私は思います。  先ほどの答弁では、今度証券取引法の改正をやるから、それまでに定義を明確化するということでございますが、混乱は現に起こっておるわけですから、速やかに大蔵省としての補てんの解釈を明確にすべきであると思います。この席でひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  284. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 損失補てんと申しますのは、顧客有価証券売買によって生じた損失の全部または一部を補てんする目的を持って有価証券売買などの形をとって財産上の利益を供与する行為ということでございまして、これは証券会社が自主報告をするに当たりましても、基本的にはこういう考え方に立ってその内容に該当されると考えられる行為各社の判断において大蔵省報告をしてきたわけでございます。  損失補てんの定義につきましては、より明確な定義づけにつきましては私ども鋭意今法改正の検討の中で検討を進めているところでございまして、罰則の適用というようなことになりますものですから、この定義を明確にするということがより必要になってくるわけでございます。今後の法改正の過程でさらに検討を加えてまいりたいというふうに思っております。
  285. 和田教美

    ○和田教美君 その定義の問題について二つばかりお聞きしたいんですけれども、今のお話ですと、売買によって損失が出た場合に補てんするというお話でしたけれども、例えば営業特金なんかの運用で、損失が出ていない場合に、わずかでも利益があるという場合にそれに上積みした、つまり目標を大体七%なら七%で回すというふうなことの目標値を暗黙のうちに決めておって、それに達しないためにその差額を埋めた、こういう場合には、これは損失補てんとは言わないんですか、この点を明確にしていただきたいのが一つです。  それからもう一つ一つ有価証券取引について、要するに株を買わせたけれどもそれが暴落をした、だから高値で買い戻す、そして損失補てんする。これは明らかに損失補てんだと思うんですが、Aの取引に対してBの取引、例えばワラント債とかそういうものでの取引で、値上がりで損失補てんする。これはそのBの取引の分もすべて損失補てんになるのかどうか、その二点を明確にしていただきたい。
  286. 松野允彦

    説明員松野允彦君) この通達発出の際には、通達には明確な損失補てんの定義は示されておりません。したがいまして、御指摘のように純粋の損失のみを補てんする目的を持って行ったものだけではなくて、一定の運用益を上げるために行った売買も一部含まれているというふうに聞いております。私ども現在考えております法律改正の案では、やはり損失補てん目的とするというところがはっきりしないと罰則をかけにくいんではないかというふうな議論になっているわけでございます。  それからAの取引損失をBの取引補てんするという、別の取引形態を使って行うという場合におきましても、それがAの取引損失補てんする目的を持って行うということになる場合には、Bの取引損失補てんするための行為だというふうに私どもは考えております。
  287. 和田教美

    ○和田教美君 次に、先ほども申しましたけれども補てん先のリストで非常に目立つことは、厚生省の外部団である年金福祉事業団、それから公立学校共済組合、地方公務員共済組合関係十団体、さらに警察共済など公的機関が多数載っておるということであります。  地方公務員等共済組合法二十五条によりますと、その資金は安全かつ効率的な方法によって運用しなければならないと明記されております。また、年金福祉事業団法二十七条の二も、資金運用については同様の趣旨をうたっております。ところが、この公的機関の損失補てん額の合計は百六十五億円の巨額に上っております。財テクブームの風潮の中で年金資金運用が一部ハイリスク・ハイリターンに流れて、果ては巨額の損失補てんを受け入れるという不公正な取引の担い手として世の批判を受けるというのは全く驚くべきことであると思います。そういう観点から、この公的機関の問題について少しお聞きをしたいわけでございます。  まず、年金福祉事業団について厚生省にお聞きしたいわけです。  リストによりますと、事業団は野村証券から四十九億円、日興証券から四億円、合わせて五十三億円の損失補てんを受けたということになっております。問題となっているのは自家運用と呼ばれる国債などの債券取引であります。その補てんの方法は、報道によりますと、野村の場合は債券市場が閉じた後にその日の値動きを振り返って、相対取引で債券が最安値のときに野村が事業団に売ってそして最高値のときに買い戻すという非常に複雑な操作を繰り返す、そして利ざやを出すというやり方だと報道されております。そして、野村側はこの補てん分を損金に計上したんですけれども、国税当局は、これらは事業団との取引をその後もスムーズに続けるための交際費に当たると認定して、ほぼ全額について追徴課税処分を行ったという経過でございます。  年金福祉事業団及び厚生省は、最近まで補てんを受けた事実は承知していないとか、自家運用では損をしていないから補てんを受ける必要もないというふうなことを言っておりましたし、厚生大臣もその主張を支持しておったわけでございます。先ほどの答弁ではやや答弁が変化したようにも思いますけれども、この事実関係を認められるか、そして補てんを受けたということを認められるか、もう一度明確に答弁をしていただきたいと思います。
  288. 加藤栄一

    説明員(加藤栄一君) 国民の将来の年金財源に資するために公的年金の適正な運用を心がけております立場でございますが、このような社会的な信頼を損ねかねないような状況が生じたことは私どもとしても残念に思っております。  今おっしゃいました運用でございますが、年金福祉事業団におきましては、株式の運用はできないわけでございまして、公社債と預金を自家運用として運用しているわけでございます。補てんと申しますと、国語的には、何か欠損がありましてそれを埋めるという意味のようにとれるわけでございますが、今先生のお話の中にも引用されておりましたように、補てんを受けるべきような損失というものは従来生じておりません。しかしながら、年金福祉事業団及び証券会社から当方として事情を聞きましたところ、年金福祉事業団と証券会社との国債の売買の一部について、証券会社に計上されていた売買損が、国税当局の判断によれば年金福祉事業団に対する利益供与に当たるという御判断で更正決定が行われたものと、私どもとしてはそういうふうに考えております。  ただし、これは事業団としては事前にも事後にも損失補てんするとか特別の利益供与を求めるということはなかったわけでございます。また、いずれの取引につきましても、事業団といたしましては投資顧問会社の助言を受けまして債券の売買をみずから証券会社を相手にして行っていたものでございまして、投資顧問会社の助言というのは随時入ってまいります。取引の時間が終わってから損をどうこうしたといったものではございません。また、店頭取引でございますので、何時から何時までというふうに時間が限られているというわけでもないわけでございます。また、個々の取引内容を調べてみましても、店頭取引でございますので市場価格とは違うんですが、通常の市場価格から大きく乖離した価格での取引は見当たらず、すなわち店頭取引として許容される価格の範囲には十分入っておりました。こういう取引の当事者であります事業団としては、不自然な取引とは思わなかったものでございます。  なお、厚生省としては、国税当局の見解と対立するというのではなくて、事業団の側から見て不適切な取引としてこれをチェックするということは期待し得なかったというふうに考えております。
  289. 和田教美

    ○和田教美君 大変回りくどいお話でよくわからなかったんですけれども、要するに、事業団としてはとにかく損はしていないんだから補てんとは考えない、こういうことですか。そして、先ほどの答弁で証券会社のサービスはあったということを認められた、売買によってサービスをされたと。しかし、それはさっきも出ておりました二%二%の上下の幅の中に十分おさまっておるから不当なものではない、正常な取引だ、こういうふうに考えておる、こういうことですか。
  290. 加藤栄一

    説明員(加藤栄一君) いわゆる損失補てんという形で広く考えますと、国税当局の方でそういう更正決定の対象とみなされているということについては、私どもとしては争っているわけではございません。ただ、私どもとしては、事前的にも事後的にも取引状況を見まして通常の取引範囲を逸脱したものは見当たらなかった、こういうことを言っておるわけでございまして、また、年金福祉事業団の当時の状況から見まして、それをチェックするというのは期待できない、期待可能性がない、こういうお話を申し上げております。
  291. 和田教美

    ○和田教美君 年金福祉事業団の一九八八年度、八九年度の運用益はどのくらいですか。そのうちで、野村証券の分の運用益はどのくらいですか。
  292. 加藤栄一

    説明員(加藤栄一君) 自家運用の収益でございますけれども、自家運用として一九八八年……
  293. 和田教美

    ○和田教美君 問題になっているのは八八年、八九年。
  294. 加藤栄一

    説明員(加藤栄一君) 一九八八年度は自家運用収益が百七十七億でございます。それから八九年度は三百七十七億でございます。野村投資顧問の助言を受けて運用しておりますものの収益というのは、そのうちで八八年度が六十七億でございま す。それから八九年度、平成元年度になりますが、百六十億でございます。
  295. 和田教美

    ○和田教美君 しかし、野村証券補てんと言っている額は約五十億です。そうすると、約二百億ぐらいのもので五十億も補てんを受けたという計算になりますね。事業団の方がこれは通常の取引だと言っておるとすれば、そんな巨額なものを補てんとして野村が出したという理由がどうしてもわからない。それだけ上乗せさせたということはどうにも理解できないわけです。しかも、国債の通常取引だと言っているわけです。わずか二%の幅の上下でおさまっているとさっき答弁にありましたね。そういうことで、とにかくそれだけの巨額なものを埋められるというか、そういう損失が出るということ自体が非常に不可解なんです。その点はどういうふうに説明されますか。
  296. 加藤栄一

    説明員(加藤栄一君) 国債でございますので、値幅の動きというのはそう大きなものでございません。これは東京証券取引所、東証価格のプラス・マイナス二%の幅の中で店頭売買をするということが東証規則に決められておりまして、これがチェックするとすればチェックする基準になるわけでございますが、野村証券との取引におきまして年金福祉事業団が売買しましたものは、そのプラス・マイナス二%の範囲の中でもさらにその二分の一程度におさまっておりまして、おおむねはプラス・マイナス〇・五%の範囲におさまっております。しかしながら、取引額が多ければ個々の、一口当たりの利潤は少なくても大きな額になる、こういうことだろうと理解しております。
  297. 和田教美

    ○和田教美君 どうも納得できませんね。  取引額が非常に多い、あるいは回転が物すごく毎日毎日繰り返している、しかもそれが実際には帳簿上の操作だというふうなことも書かれておるわけで、これはやっぱり帳簿を実際に調べてみなければ、あなたの言っていることが正しいかわからないと僕は思うんです。だから、その具体的な資料を――幾ら厚生省で調べたけれどもこうだと言うのでは我々は納得できないわけです。営業特金でないですからね、普通のつまり注文を出しているわけですから、売買報告書証券会社から当然来ていると思うんです。それを委員会に資料として出していただけますか。
  298. 加藤栄一

    説明員(加藤栄一君) 私どもといたしましても、委員会で全く根拠のないことを申し上げるわけもございません。今の値幅の中におさまっているというのは、私どもとして調べた結果でございまして、また通常、取引は、ほかの取引については私ども申し上げるわけにもまいりませんけれども、このくらいの値幅でやっぱりもうけが生じたり損が生じたりしているわけでございます。  ただ、国税当局の方の御認識をこちらの方で推測いたしますと、それが指摘されております六十三年から平成二年、平成元年度末ですか、平成二年三月までの間に集中してそういう連続した売り買いが行われておりまして、その結果そういう収益が生じたというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  299. 和田教美

    ○和田教美君 理解できないですね。その点をはっきりするためにも資料を出していただきたいということを委員長にもお願いしておきます。一度理事会で御相談をいただきたい、その売買報告書ですね。  それから、この補てんについて証券局長に聞きたいんですが、証券局長は今のお話を聞いておってどうですか。厚生省は依然として補てんではないと言っているわけですね。その点についての見解をお聞かせ願いたいと思う。
  300. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私どもが自主報告でとりましたもの、あるいは税務上損失補てんだといって認定を受けましたものの中には、先ほども申し上げましたように純粋の損失補てんするものもございますし、あるいは損失が出ていない部分でも利益供与をしているという部分もあるわけでございます。国債を使った取引ということでございまして、これは国債は大口の取引は店頭で行われます。その場合には、上下二%の範囲内の価格で行えばそれは通常の市場取引ということに形の上ではなるわけでございますが、それが一時的かつ大量に行われますと、損失補てんの、あるいは一定の利益供与の目的を持って行われた取引ではないかということで、我々の自主報告の中にもそういうものが入っておりますし、あるいは税務上の認定もそういうものが税務上認定されたというふうに考えているわけでございます。
  301. 和田教美

    ○和田教美君 時間がなくなってまいりましたから次に移りますけれどもリストには地方公務員等共済組合法の適用を受ける地方公務員共済組合連合会初め東京都職員共済組合など地方自治体共済組合関係十団体があることはさきに申しましたけれども、これだけで補てん額が合わせて三十九億円、そのほかに警察共済十四億、文部省関係の公立学校共済組合五十九億と共済組合関係が多数登場しておるわけでございます。  このうち、地方自治体関係の監督官庁である自治省は、当然指摘された共済組合関係の事実調査を行ったと思うんですけれども、その内容を手短に報告をしていただきたい。  特に問題なのは、東京都の職員共済組合の問題であります。最近の新聞報道によりますと、日興証券など証券各社特定金銭信託に関するアドバイス契約を結ぶに当たって、証取法で禁止されている利回り保証ととられかねない目標設定を提案書の中に書いておった、そして大体年七%の運用収益が見込めると具体的な利回り目標を示していたという報道がございます。これは、我々の目から見ると明らかに利回り保証ではないか、つまり損失保証ではないかというふうに思われるわけですけれども、その点についても調査されたかどうか明確にしていただきたと思います。
  302. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) お答え申し上げます。  去る七月二十九日に四大証券に係ります損失補てん顧客リスト公表されましたが、その中には私ども自治省所管の地方公務員共済組合等といたしまして四共済組合が挙げられておりました。このため、私どもといたしましては、直ちに関係共済組合に対しまして事実を確認の上、報告するように指示したところでございます。  各共済組合におきましては、関係証券会社に照会する等、調査を進めました結果、四大証券公表リストに関しましては、当該取引行為は一般的には通常の取引に近い取引であったと聞いておるところでございます。また、補てんを求めたこともないし受けたという意識もないということでございます。  なお、七月三十一日に公表されましたリストにつきましては、九関係共済組合等に対しまして同様の指示をいたしているところでございます。  それから、新聞の報道にありました東京都職員共済組合の問題でございますけれども、東京都職員共済組合に照会いたしましたところ、各証券会社からは利回りの予想として示されたもので、問題となった証券会社からもそれを保証したのではないということが付記されているということと聞いておるところでございます。
  303. 和田教美

    ○和田教美君 証券局長にお聞きしたいんですけれども、そうすると今の東京都の場合には、これは法律に禁止した損失保証だとかあるいは通達で禁止している利回り保証とか、そういうものには当たらないというふうに見られますか。
  304. 松野允彦

    説明員松野允彦君) ただいまのとおり予想利回りということでございますと、これはある意味では一つのセールス活動ではございます。しかし、いずれにいたしましても顧客に過大な期待を抱かせるということになるものでございまして、決して適正適当な行為であるというふうに私どもは考えていないわけでございまして、直ちに利回り保証あるいは利益提供の約束ということにはならないにいたしましても、この種の行為については今後厳に慎むよう指導してまいりたいというふうに思っております。
  305. 和田教美

    ○和田教美君 最後の質問になりましたけれども、今の答弁を聞いておりましても、年金福祉事業団にしても地方公務員関係の共済組合にしても、大事な年金資産の運用でございます。資産は将来の高齢者、退職者などの年金に充てる大切な積立金であります。だから、さきにも言ったように、年金福祉事業団法あるいは地方公務員等共済組合法ともに資産運用についての安全ということを強調しているわけでございます。地方公務員共済組合の場合は資金の三分の一が自主運用で、多くは大口定期、国債、地方債などで運用して、株式投資そのものは認めていないというふうに聞いております。しかし、特定金銭信託も認めております。  今回問題になったのは営業特金であります。自治省では、大蔵省が出した営業特金原則禁止通達に沿って、できるだけ一般の特金に切りかえるよう、顧問つき特金に切りかえるようにと指導しているようでございます。しかし、今回の不祥事を機に、公的機関はこの際リスクの多い特金そのものについてこれを再検討する、特金に出すことをやめるというふうなことを考えたらどうかと思うわけでございます。民間でも、トヨタなどは早くも、営業特金はもちろん、一般の特金にもあるいはファントラ、こういうもの、もうとにかく全面的にやめるという方向で検討を始めているという報道がございますけれども、この点について各省庁の関係者の方、どういうお考えかお聞かせ願いたいと思います。
  306. 松本英昭

    説明員(松本英昭君) まず地方公務員関係からお答えさせていただきます。  私どもといたしましては、年金資金につきまして、ただいま御指摘のような点もございます、また一方では、長期的視点に立った資金の効率的な運用という観点からこれを考えていく必要もあろうかと思っておりまして、特定金銭信託による運用について一概にこれを否定するというわけにはいかないと考えておりますけれども、その方法につきましては今後慎重を期してまいらなければならないものと思っております。
  307. 和田教美

    ○和田教美君 もう一つ、文部省は来ておられるでしょうね。
  308. 井上孝美

    説明員(井上孝美君) 文部省関係では公立学校共済組合の関係でございますが、先生御指摘のとおり、公的機関の資金運用につきましては、安全性、確実性の観点から、預貯金や国債等の債券のみによればよいという考え方もあろうかと思います。現実に公立学校共済組合の資金の大半は預貯金や国債等の債券など安全なもので運用いたしているところでございます。しかし、昭和六十二年当時の長期国債の利回りは三・九%と落ち込んだこと等もございまして、年金資金運用は非常に厳しい状況の時期もあったわけでございます。  そういう点から、年金給付を安定的かつ若い世代にも過度の負担をかけずに続けていくためには、やはり長期的視点に立って資金をより効率的に運用し、年金財政基盤の強化を図っていく必要があるという観点から、従来営業特金等についての運用を図ってきたところでございますが、ただいま御指摘のような点もございますので、十分そういう点については慎重な対応をするよう今後検討しながら、資金の安全かつ効率的な運用に努めるように公立学校共済組合に対して指導してまいりたいと考えております。
  309. 和田教美

    ○和田教美君 最後に、大蔵大臣のこの問題についての御見解でも感想でも結構ですからお聞きして、そして質問を終わります。
  310. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは各省、各省大臣それぞれの御責任において監督をいただいておることでありますので、一般論としてお答えをすることをお許しいただきたいと思います。  およそ公的資金運用につきましては、これらの資金というものが国の制度または信用に基づいて直接間接に国民からお預かりをしたその預かり金によって構成されているわけでありますから、安全確実であることは当然でありますけれども、その方法におきましてもやはり厳正な公正さが求められる、いやしくも国民の御批判を受けるようなものであってはならない、そのように考えております。
  311. 白浜一良

    ○白浜一良君 今回の不公正な証券市場というのは、当然でございますが、国民に多大なる疑惑を招いたわけでございます。国際的にも信頼の回復を図らなきゃならないという重大な問題があるわけでございますが、当然のことながら、そのためには一つは事実、全貌解明がどうしても必要なことでございます。また、二つ目には責任の所在を明らかにする、三つ目にはいわゆる再発防止のためにあらゆる手を尽くす。当たり前のことでございますが、この三つが私は非常に大事である、このように思うわけでございます。  時間がございませんので何点かだけまず伺いたいと思いますが、全貌解明という観点で申し上げまして、二十二社のうち十七社出たわけでございます。そのほかにいわゆる地方財務局の管轄の証券会社が二百近くあるわけでございますが、ここにも自主公表しろというようなそういう働きかけはされるんですか。
  312. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 財務局で監督しております会社が、本省監督の二十二社以外に中小証券がございます。これにつきましては、規模が小さいものですから金額は小さくなりますが、証券検査過程あるいは税務調査の結果を受けまして、数社に損失補てんがあったという報告を受けております。これにつきましても、基本的にはその損失補てんの中身について有価証券報告書の訂正ということで明らかにしてまいりたいというふうに思っておりますし、またそれ以外の財務局監理会社につきましても、証券検査などで適宜損失補てんの有無についてチェックしてまいりたいというふうに考えております。
  313. 白浜一良

    ○白浜一良君 公表されるかどうかということだけ伺いたいんです。
  314. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 有価証券訂正報告書を提出する会社につきましては、その中身について、補てん額は非常に小さいわけでございますが、できるだけ公表するように自主的な対応を期待したいというふうに考えております。
  315. 白浜一良

    ○白浜一良君 私がそう申しますのも、実は衆議院の委員会局長は、いわゆる大手四社以外に準大手ということで六社、三百五十億とおっしゃっていまして、実際公表されたらいわゆる準大手は九社で中堅が四社、十三社になっている。金額も四百三十七億円と変わっておるという、こういう事実の違いが一つございます。  もう一つは、リストが出たけれども、国民が一番疑惑に思っていますのは、大事な人が出ていないんじゃないか。政治家関連が全く出ていないわけです。そういうものに対して漠然とした疑惑というのがあるわけで、そういった面で当然自主公表を勧められているわけでございますから、これがすべてだというようなそういう態度を大蔵省としてもとる必要がある、私はこのように思うわけでございます。  もし、今発表されているリスト以外に何かの形で出てしまったらどうされますか。
  316. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 少なくとも、現在まで発表されております大蔵省監督の二十二社のうちの十七社につきましては、私どもが受けました自主報告と、それから税務認定を受けてそれに上乗せになった自主報告漏れの分とを合わせたものでございまして、私どもが把握しているものと全く同じでございます。これ以外はございません。  十七社以外の本省監理の残りの五社につきましては、これは現在のところ私ども損失補てんがないという報告を受けております。中には、税務調査も既に終わった会社もございます。まだ税務調査が終わっていないところもあるわけでございまして、税務調査の結果、認定を受けるという可能性はないわけではございませんが、少なくとも現在のところは自主報告でもないという報告でございますので、私ども損失補てんが残りの五社についてはなかったというふうに考えているわけでございます。
  317. 白浜一良

    ○白浜一良君 それでは次に、責任の所在ということで一点だけ伺いたいんですけれども、午前中にも委員から質問がございました。昨年いわゆる自主報告がございまして、数社があったという、この話はきょう朝出ておりました。  ところが、昨年の七月三十一日に、これも東京国税局からの発表で、大手中堅十四社申告漏れ百六十億円、これは昨年の七月三十一日に報道されているわけでございます。当然大蔵省もこれは御存じだと思いますが、このときは何の手も打たれていないんですね。これはよく伺いましたら、ひそかに何か社内処分がされたと、そのぐらいにしか書いてないんですが、これはどういうことなんですか。
  318. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 平成二年の三月末を期限にして自主報告を受けたわけでございます。その自主報告に基づいて社内処分を四月から五月にかけて各社に要請をし、行わせたわけでございます。昨年の七月の末に明るみに出ました税務更正によって出た分は、私どもが三月の時点で自主報告を受けていたものに含まれていたものでございまして、その自主報告に基づいて厳正な社内処分を行わせたということで、私ども行政としては、その七月に出たものについてはその中に含まれていたということで、一応四月、五月の段階での社内処分で行政的には適切に対応したというふうに考えたわけでございます。
  319. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう時間がないのでやめますが、私は納得できません。昨年全貌をつかまれていた、この新聞報道を読みましたら、そのうち十四社百六十億円というお金が出た。今回の場合は、確かに対象となる証券会社が多いし金額も非常に多いわけでございますが、問題の質はこれは全く同じなわけでございまして、なぜ昨年の時点でこういうはっきりした段階で手を打たれなかったのか、私は全く納得できません。また次の委員会、機会でこれはやりたいと思います。  三点目に申し上げましたいわゆる再発防止という点で、これも要点的に御質問したいと思いますが、いろいろ審議されておりまして、証取法を改正しなきゃならないという、これはもう常におっしゃっているわけでございます。損失補てんも禁止条項にするということでございますが、現在法文化されているいわゆる損失保証も含めて、これは行政処分だけで罰則規定がないわけでございますが、大臣、これは罰則規定も含めて保証も補てんもきちっと明記されるんでしょうね。
  320. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そのほかに、取引一任勘定ですか、どうも申しわけありません、この辺の熟語に私は弱いんですが、一任勘定取引の禁止をも含めまして、今委員が御指摘の方向を摸索いたしております。
  321. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう一点、証取法が改正される場合に、その補てんを求める企業もあるわけです。顧客の側の問題もあるわけです。そういったものもやっぱり取り締まらなきゃならないということで、そういう強要する、また共犯性のある顧客に対してもペナルティーを科するという、この辺もきちっと明文化すべきだと思うんですが、この点はどうですか。
  322. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 証券会社顧客が事前の損失保証あるいは事後の損失補てんを受けることの禁止についても、今我々として検討している一つのテーマであります。
  323. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう一点大事なことは、この証取法の改正と、やはり監督機関なんです。これはもう何回も話に出ているわけでございますが、当然大蔵省の中で今るる検討されているという、それはもうよく存じておりますが、大蔵省の中で対応されていても、これはなかなか改善されないのじゃないか、非常に疑念を持つわけでございます。  と申しますのも、八九年の十二月に通達を出された。そのときに、問題になった大和証券に対していわゆる行政処分をされた。そのときは二日間の営業自粛をさせたわけです。今回は、それはちょっと大きな問題だから四日間。その程度の感覚というもので、いかに大蔵省の中でこの監視・検査・監督機関を考えるとおっしゃっても、私は本当に信頼できないわけでございます。この点も今後引き続き委員会で検討してまいりたいと思いますが、これは私の所感でございます。大蔵大臣のお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
  324. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) そういう所感をちょうだいすること自体、私としては本当に悔しいという一言しかありません。  ただ同時に、先ほど来申し上げておりますように、証券のみを私どもは今問題といたしておりません。この検査体制と申しますものがもし同じような問題点を他の分野にも持っておったら、これは本当に大変です。ですから、私ども証券検査のみならず、金融検査をも含めて検査体制というものを今根本的に見直しております。その中において、委員からも御信頼をいただけるような結論を得たいと今思いつつあります。
  325. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ずばり申しまして、補てんについては大蔵省も共同責任ではないかと指摘されておりますし、私もそう思います。  これは、八九年十二月に大蔵省が営業特金廃止の態度を打ち出して、証券会社側に話したわけですね。これに対して証券会社側は、既に契約が存在するのだから解約はできないと。この場合の契約の存在というのは一任契約、それから、損失保証、利回り保証などがあったことだと思うんですが、抵抗したわけです。これに対して大蔵省の方から、損は埋めればいいではないかと言った。ですから、補てんは完全に大蔵主導だというのが証券会社側の言い分なんです。だから、野村の株主総会で田淵社長からこの発言があったわけです。これが真相じゃないんでしょうか。
  326. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 元年十二月に出しました通達には、一つには事後的な損失補てんを厳に慎むことということ、それからもう一つは、その損失補てんの温床になります営業特金の適正化を図ることという二つの内容が入っております。  営業特金の適正化ということにつきましては、原則として投資顧問をつけるということで、営業特金でない形にするのが望ましい。しかし、どうしても営業特金のままでやる場合には、売買一任なりあるいは利回り保証なりをしないという確約をお客との間で交わすという指導をしたわけでございまして、営業特金をなくすためには損失補てんをしていいというような指導をしたということはございません。
  327. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それはなかなか通らない話だと思います。大蔵省補てんを容認し、ずっとそのまま来た。事件がこれほど重大化して、やっとそれは禁止しておったという発言になっておるのです。まだ事件が重大化しない段階での証券局幹部の発言、全部報道で出ています。  例えば、六月二十五日の毎日新聞、こう言っていますね。これは証券局幹部です。「営業特金は続いているものだから、ある時点以後、営業特金を解約しろという通達は出せなかった。」「反省もあるが、すべての取引を一件々々チェックする検査体制証券局にない以上、ある程度期間に幅を持たせたのは当時としては仕方がなかった」と述べています。それから、これは六月二十九日の朝日新聞です。「補てん問題が明るみに出た当初、大蔵省幹部は「通達を出したからといって、進行中の取引をただちに打ち切れと言うわけにはいかない」と語り、経過措置として通達後も一定期間、損失補てんを容認していたことを認めていた。」、しかし、一連の不祥事が次々と報道されるにつれて、大蔵省首脳は微妙に発言を変えて今の態度だ、こういう一致した報道です。  こういう一致した報道を否定できるんでしょうか。実際これを認めておった、これが真相ですよ。どうですか。
  328. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 幅を持たせたという最初の御指摘でございます。これは通達を出して、あわせて自主報告を求めましたときに、ブラックマンデー、昭和六十二年十月でございますが、それ以降平成二年の三月期までの分について、過去の損失補てんの有無について自主点検をしろということを要求したわけでございまして、そのために若干の時間を、過去の取引をすべてチェックするという関係で三月までという報告の時間を与えたわけでございます。  それから、今申し上げましたように、通達においては営業特金を是が非でも打ち切れという指導をしたわけではございません。営業特金そのものは、これは形式的には投資家が自分で運用指図をするという形のものでございまして、それが運用上一任的になっているというようなことで、そういう一任的なものでないという確認書をとりなさいというようなことも営業特金の適正化の手段として私ども指導をしたわけでございまして、続いている営業特金を無理やり打ち切れというような指導を当時したわけではございません。
  329. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今の幅を持たせることに対する答弁として、やはり九〇年三月までは容認しておったということになるのじゃないですか。  具体的に言いましょう。それはやっぱりそういうことを疑われるだけの大蔵省証券業界との大変な癒着があるんです。今回の補てんの手口としていろいろありますけれども、ワラント債が多く使われているのが特徴ですね。それは証券会社がワラント債の価格を自由に決められる、値動き幅が大変大きいからです。大蔵省は、このワラント債発行に深くかかわってきたのではないかと思うんです。八九年四月からワラント債の発行条件を緩和して発行企業をふやそうとしました。  そこでお聞きしたいのは、こういうワラント債、いわゆる社債ですね、その発行について大蔵省証券局が事前から深くかかわって準備作業を進める、そういったことはあるのですか。
  330. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 御指摘のワラント債、これは国内発行のワラント債でございます。国内発行のワラント債、これは円建てでございますが、八九年六月以降、国内発行のものにつきましてもいわゆる分離募集ができる、つまりワラントと債券を分離して募集できるというような形のワラント債の発行を認めたわけでございます。これはユーロ市場といってロンドン市場でドル建てのワラント債を日本企業が大量に発行し、それが非常に市場が拡大していたわけでございまして……
  331. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 いや、それはいいんです。事前からかかわったかどうかということです。
  332. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 国内ワラント債の発行につきましては、これは原則としては発行会社と主幹事証券会社との間の交渉で行われるわけでございまして、具体的なスケジュールが決まって準備が進んだ段階で、私どもの方に発行計画の提出あるいは有価証券届出書の提出がなされるということになっております。
  333. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、正式の通知があって、いわば株価持ち込みというのですか、その通知を受けて初めて大蔵省は関与するので、それ以前には絶対関与ということはあり得ない、こう理解していいですね。イエスかノーかだけ。
  334. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 個々の発行の場合にはそうでございます。
  335. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ここで、委員長の許可をいただいて資料配付をお願いいたしました。ごらんいただきたいと思います。  まず一枚目の資料、「八九年度対マスコミ対応(案)」、これは今申し上げた国内分離型ワラント債の第一号、国内最大スーパーのダイエーです。これはダイエーの内部資料で、我々の確認では、内部でつくられたのは間違いないという確認を得ているものであります。ワラント債発行について、野村証券大蔵省と事前に連絡しながら情報操作まがいの行為まで検討していたことを示す内部文書であります。  一枚目の資料の左側の下の方です。五月十九日「株価持込」、ここで「MOF」とあるのは、これはミニストリー・オブ・ファイナンス、大蔵省の意味ですね。これはわかる。そこで、これを五月十九日と予定しました。それ以前のスケジュールとして、その次のランクに、スケジュールのところに、「起債関係者間で作業進行」とあります。この起債関係者の中に「野村」と並んで「MOF」、大蔵省と記載されております。  また、今度はその横です。野村を通じて大蔵省株価事前相談を行う段取りになっておった。今局長はこういった事前の関与は絶対ないとおっしゃった。それはあってはいかぬことでしょう。ところが、この国内分離型ワラント債第一号、これは大蔵省も相当期待しておったんだと思うんですが、事前からこのようにかんでおった。これはこのダイエーだけじゃなくて一般化しておったんじゃないか。大体これは発行会社が知っているわけはなくて、野村の主導でやるわけでしょう。野村と大蔵の関係からいってこんなことはずっと常態化しておったのじゃないか。このことを示す資料ですが、どうお答えになりますか。
  336. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 突然の御質問でございます。  先ほど申し上げましたように、私どもが個別の発行について発行体あるいは幹事証券会社から意見を聞きますのは、当然その発行体、個別証券会社の意思がある程度固まってからでございます。  ただ、ワラント債のようないわゆる株価を利用したファイナンス、エクイティーファイナンスと申しておりますが、こういったものにつきましては、並行いたしまして株価審査というのを行っております。これは行政が行うのが適当かどうかという問題はあるわけでございますが、非常に株価が乱高下している、あるいは急騰しているというような場合には、発行して投資家に渡った途端に株価が下落するというような危険もあるわけでございまして、発行直前の株価推移というものは私どもが流通市場課において審査をするということを当時やっていたわけでございます。現在はそれは幹事証券会社にゆだねているわけでございますが、当時は、株価審査というのを発行の段階と並行して、かなり過去、例えば数カ月にわたっての株価推移を見るというようなことを行っていたわけでございます。
  337. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうすると、事前に関与したことがあり得るということでしょうか。  この今の一枚目の資料の今度は下の四角の中の一番端に、「問題点」、「株価審査への影響」という部分もありましてね、相当そのことを気にしておった。したがって、正式に大蔵省との関与を持つ五月十九日以前にそういったことがあったということを疑わせる発言だと思います。  二枚目に行きます。「対外公表案」、「ポイント」の上から二行目に、「大蔵省は、第二号」、これは国内分離型ワラント債です。「二号、三号を続かせるため、野村にもっと宣伝するようけしかけております。」と、こういう記事なんです。こんなことがあったんだろうか、これが一つ。  それから、同じく二枚目。ダイエーの場合、八九年四月二十五日に、「主なスケジュール」のすぐ下です。これはトップの決定という意味だと思います。ワラント債発行の意思決定をし、このときから「記者発表」の六月七日、一番下です。この間がインサイダー規制対象になるんですね。ところが、その間に日経新聞にリーク記事を書かせることを検討しておるんです。  一枚目に戻ってください。一枚目の下の四角の中の「今回案」のところに、「野村より日経新聞ヘリーク 五月十五日の朝刊に推測記事として出させる。」。これは実際二日早まった五月十三日に日経が記事をこのとおり載せています。  そして、三枚目の右側、上からごらんいただきたい。今言った「五月十五日リーク記事要旨」、ここで書かれているこういったことを載せたいという趣旨が、先ほど示した五月十三日の日経新聞にほぼそのまま出ているんです。「五月十五日リーク記事要旨」、それでその内容ですね。しかもその下に、その記事に対するコメントとして、「決定をした訳ではありません」と。事実と違うことを言おう。それから、リーク記事が出ますから、当然マスコミから問い合わせがあります。それに対しては「Q&A」、どう答えようかとちゃんと相談していましてね。一番下でまた同じように「検討していますが、決定はしておりません。」、こういうことです。  しかも今度は、この三枚目の左側へ行ってください。左側の上の方から大きな印のあるその下です。「リーク記事、当社コメント、東証ファイリングについて事前に流通市場課へ念押し(野村)。」、だから野村を通じてと、こういうことなんです。流通市場課というのは、これは証券関係では大蔵省証券局流通以外には考えられないんです。ですから、先ほどの局長の答弁とは全く逆に、大蔵省が一企業証券発行に株価まで含めて深く相談に乗って肩入れしているというこれは重大な疑惑を示す文書であります。  実際、日経記事にこのとおり載ったし、当然新聞社、読売と産経が取材したそうです。取材にはこの文書で書いてあるとおりの回答をしております。ですから、これは株価操作も考えたと思われるリーク記事とこれに対する事実と違うコメントまでも含めて、野村を通じて大蔵省流通市場課に念押しをするというんですね。これは驚くべき癒着じゃないのか。  大臣は、これは初めてお聞きだと思いますけれども、感想いかがですか。
  338. 松野允彦

    説明員松野允彦君) この資料がどういった性格のものかは私存じ上げません。ただ、申し上げますと、流通市場課と申しますのは、先ほど申し上げましたように、株価絡みのファイナンスについては投資家に損害を与えないということで、余り株価が急騰しているものについてはその急騰期間中はファイナンスをなるべくやらないようにしていただきたいという行政指導を流通市場課でやっているわけでございまして、これを株価審査というふうに呼んでおります。これも、新発のエクイティーファイナンスの株あるいはワラントを買う投資家が直ちに損失を受けないように、あるいは非常に不安定な株価の中で発行されないようにということで、投資家保護の立場に立って株価審査を行っているわけでございます。  それからもう一つ、ここで「東証ファイリングについて」という言葉がございます。ちょうどこれは八九年ですので、インサイダー取引規制が四月に実施、施行になりまして、インサイダーのどういうふうな情報を重要情報とするかというようなことを法律にきめ細かく書いてあるわけでございますが、そのインサイダー取引規制が施行されましてまだ日がたっていないということで、東証ファイリングと申しますのは、これはそういう重要情報を東証、東京証券取引所にファイルするという制度でございますが、そういったインサイダー取引規制観点からの相談というのは当時各発行体あるいは幹事証券会社から、特に発行情報というのが重要なインサイダー情報でございますので、インサイダー規制に触れないようにするという観点から、どういうふうなことをやればいいのかという相談を受け、指導をしていたということはあろうかと思います。  いずれにいたしましても、今申し上げましたように、流通市場課は、株価審査にいたしましても、あるいはインサイダー規制の円滑な施行というような観点から、幹事証券会社あるいは発行会社からの問い合わせに答え、あるいはファイナンスの時期の延期を求めるというような指導はしていたわけでございます。
  339. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 要するに、不透明な行政指導で事前から関与しておったという可能性は否定されていないようです。時間がないのでもうこれ以上追及できない。本当に時間が少ないんです。残念です。  指摘したこの事実は、証券局が民間会社証券の発行段階からインサイダー取引にかかるかどうか、かからないように、あるいは円滑有利なワラント債発行にこぎつけようとする、そういう証券会社や発行会社と癒着してきたということをはっきり示しております。こういうやり方が許されていいとは決して言えない。発行の段階からこういうつながりがあるから、となれば、あと流通の段階でも大変深いつながりがあって、私が冒頭に指摘したように、補てんは大蔵主導だということも当然これはあり得ること、実際あったことだと思います。ですから、補てんを容認したことはないと言っても、これはだれも信用しないんだということを申し上げて次に進みます。時間があればまた大蔵省の問題に戻りますが、暴力団関係を先に聞いておきます。  まず証券局に聞きたいのは、広域暴力団稲川会の石井進元会長が東急電鉄株を二千六百万株も取得した件です。  お聞きしたいのは、これは石井進本人名義であるのか、そして現在も石井進名義なのか、まずお答えいただきたい。
  340. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 野村証券と日興証券の両社から私どもが聞いたところによりますと、この株は現在野村ファイナンス、日興クレジットの融資担保として入っております。しかし、名義はすべて他人名義、つまり本人名義には変更されておりません。
  341. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうですか、事前に聞いたら石井名義だと聞いたけれども、違うんですね。  あと警察にまとめてお聞きします。  暴力団が株式を取得して合法的な経済活動に進出する傾向はこれは断じて阻止すべきだと思いますが、どうか。特に、その対応策として、最近成立した暴力団新法とのかかわりでどういうことができるのか。今よりもっと進んだことができるんだろうと思うんです。また、現在審議中の麻薬二法のマネーロンダリングという観点から見ても一定の対策ができるんじゃないか。これに対するお答えをいただきたい。  それからもう一つ暴力団の絡みで少し前の新聞に、稲川会が時価の四倍で株買い取れと東急電鉄をおどす、こういう記事が七月二十七日の毎日に出ています。私は根拠があろうと思うんですが、その捜査はどうなっているか。これまとめてお答えをいただきたいと思います。  答えてもらっている間に時間が来ちゃうんで、委員長にお願いします。  お手元に文書で差し上げてありますけれども、どうしてもやっぱり証人が必要だと思います。そこで、田淵節也初め当面緊急のものとしては四名、お手元のとおりです。それから、準大手中堅証券会社の残りの会社損失補てんリストなど五点、ここで資料要求をいたしますので、この取り計らい方を一番最後に委員長からお願いしたいと思います。  じゃ、警察の方でひとつ……。
  342. 國松孝次

    説明員國松孝次君) まず一番目の御質問でございますが、今だんだん明らかになっておりますような暴力団証券会社関係というようなものにつきましては、私どもとしてもまことにゆゆしい問題であるというように考えておるところでございます。私ども暴力団対策を進めるという立場から、暴力団によるこうした資金源活動というものにつきましては、一層実態解明を推進いたしまして、その過程で刑罰法令等に抵触するものがあれば厳正に対処をしてまいる所存でありますし、また、先般の国会で成立した暴力団新対策法が施行された後におきましては、この法律の適正な運用を図ることにより資金源の締めつけを行ってまいりたいというように思っているところでございます。  一方、彼らの経済活動の相手方となる企業関係者に確固たる暴力団排除の意識を持っていただくことも大変重要であると考えておりますので、機会をとらえて企業活動からの暴力団排除ということの徹底につきまして関係向きに働きかけてまいりたいと考えております。  その次の御質問でございます暴力団新法でございますが、今回の事案で明らかになってまいりました暴力団とのいろんな関係につきましては、二つの側面がございます。一つは、大変巨額の融資が行われておるということ、これにつきましては今度できました暴力団対策法によりまして一定の規制ができるということになると思います。ただ、暴力団員の証券取引をめぐる問題、証券取引をするそのことにつきましては、そういったことが今までの実態といたしまして、暴力団によって類型的かつ広範に行われているというような認識を私ども持っておりませんでしたので、この法律におきましてはそのようなものを直接規制する規定というのはなかなかないわけでございます。しかし、今回の事態を踏まえてみますと、そういうことにつきましても何らかの法規制が必要であろうということも認識できるわけでございますので、現在進めております暴力団員による企業を対象とした資金源活動の実態解明の状況を踏まえつつ、その結果を参考にしながら、今後の検討課題にしてまいりたいと考えております。  また、マネロンの関係でございますが、これにつきましても、暴力団対策法そのものにつきましては、暴力団の得る不正収益の剥奪という規定を盛り込むことにつきましては前回の成立のときには見送った経緯がございます。しかし、暴力団からの不正利益の剥奪がどうしても暴力団資金源活動を封殺するために必要であるという認識には変わりはございませんので、今後お尋ねの証券取引に関する不正収益の剥奪が可能かどうかという点を含めまして、不正収益の剥奪制度の新法への導入ということを検討してまいりたいと思います。  最後の二十七日の毎日新聞の記事についてでございますが、御指摘のような新聞報道がなされたことは承知をいたしております。今回の証券問題について現在幅広く私どもといたしまして捜査及び調査活動をしておるところでございますので、そういった活動の中で適正に対処してまいりたいと考えております。
  343. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 近藤君に申し上げます。  ただいまの近藤君の証人喚問要求につきましては、既に理事間協議を行っており、引き続いて協議をいたします。  また、資料要求につきましても、その取り扱いについては理事間協議を行いたいと思います。
  344. 古川太三郎

    古川太三郎君 証人喚問とかあるいは資料の提出を待って損失補てんについての議論をもっと深めたいという気持ちでおることをまず最初に申し添えておきます。  私も時間が限られておりますので、きょうは株式の損失補てんでなくて別の角度から証券会社の不祥事件を問題として提起してみたいと思います。  これは七月十一日の読売新聞に出た記事でございますけれども証券会社野村証券、そして大和証券、この二つの証券会社が自分の本社ビルの管理会社、不動産会社、その会社の株を保有していた。しかも、それは五十二年に独禁法の十一条の改正がありまして、一〇%から五%に下げるようにと、金融会社としての支配を弱めるための法改正だと思いますけれども、十年間かかって五%以下にするというような改正がされたはずです。その中で、野村証券、大和証券等は、いかにも五%以下になりましたという報告書公正取引委員会に提出されておりました。今度の損失補てんと同じようなケースなんですが、国税庁の調べによってそれが本当に移転されていたのかどうかというのが問題となってきました。そういった事情公正取引委員会の方にお伺いしたいと思います。
  345. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) ただいま委員指摘の件でございますけれども、おっしゃるとおり、昭和五十二年に独占禁止法の改正が行われまして、金融会社の持ち株制限が強化されたわけでございますけれども、その際、五%を超えて所有している分については処分をしなければならないということになったわけでございます。この処分をめぐって、一部の新聞等で、例えば譲渡する際の価格が極めて低廉であるとか、あるいは譲渡の制限がついているのではないか、要すれば適正な形での譲渡が行われていないのではないか、こういった報道がなされたわけでございます。  申し上げるまでもなく、独占禁止法は第十一条で、金融会社につきましては保険会社を除きまして五%を超えて株式を所有してはならないとなっているわけでございますので、私どももこういった問題につきましては、ただいま御指摘の点も含めまして重大な関心を持って対処しているところでございます。もし、独占禁止法に違反するような事実があるとすれば、法に基づきまして厳正な対処をしていかなければならない、かように考えているわけでございます。
  346. 古川太三郎

    古川太三郎君 五十二年に法改正があって、六十二年度までに五%以下にしなきゃならぬということでございますから、恐らく毎年その状況報告があったんだろうと私はそう思うんですけれども、その報告があって、六十二年になって、さあ五%切りましたよという場合に、何らかの調査はなさるのかどうか、またあったのかどうか、そのことをお聞きしたいと思います。
  347. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) おっしゃるとおり、五十二年の法改正で五%という制限に強化されたわけでございますが、これにつきましては、猶予期間が十年間ございまして、要すれば昭和六十二年の十二月一日までに制限内におさまるようにということになっておりました。  それで私ども、六十二年の十二月一日でございますから、それが近づいてきた時点で何度かにわたりまして各金融機関に対しまして株式の保有状況を確認して、また六十二年十二月一日に独占禁止法に違反することのないようにということで、その事実もまた確認してまいったところでございます。
  348. 古川太三郎

    古川太三郎君 先ほど申し上げた新聞には、とにかく時価五万円のものが千円で関連会社に譲渡されている。しかも譲渡された条件は、他に転売を禁止するという条件まで書いて譲渡されているわけですね。株であるならば時価で売買されるのが常識なんで、市場原理が働いているならばそうあるべきだと思うんです。どんなにおかしくても何割引き、まあ二割引きとか三割引きならまだ許せるんですけれども、五万円のものが一千円ということは、五十分の一です。五十分の一の値段で譲渡して、しかも譲渡禁止の制限をつけて譲渡した。譲渡した方が言う言葉は、これはそこに預けておいただけだと国税庁の調べに対してそう言ったわけですね。この事実は、厳然とした独禁法に違反する事実だと私は思うんですけれども、どうお考えになりますか。
  349. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) 株式を譲渡する際に、その譲渡の価格が高いとか低いということでもって直ちに独占禁止法で問題となるというものではございませんが、いずれにいたしましても、独占禁止法第十一条では五%を超えて持ってはならないということを言っているわけでございますから、現時点における事実として、五%を超えて持っているかどうかという点については重大な関心を持っているところでございます。
  350. 古川太三郎

    古川太三郎君 今のような答えでは国民は納得しないので、五%を持っているとかどうかじゃなくて、事実上五%以上の支配をしちゃいけないというのが法の趣旨なんでしょう。そうじゃないですか。  ということは、その株をまさかの五十分の一で譲渡して、しかも譲渡制限をつけているんです。この事実だけ見ても、この株は譲渡したと言えないでしょう。そして本人が預けただけだと、こういう目的意識もはっきりとしているのならば、これが譲渡されたとは言えないんじゃないか、こう思うんですけれども、いかがですか。
  351. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) 要すれば、今金融機関が五%を超えて株式を持っていることになっているかどうか、そういった角度から事実関係を確認してみたい、かように思っているわけでございます。
  352. 古川太三郎

    古川太三郎君 五%というのは確かに法律には書いてありますけれども、その趣旨は、そういう支配を及ぼしちゃいけないという趣旨だと思うんです。今の答弁のようなことを聞いていますと、五%を持っているかどうか、そういう事実を確認しなきゃだめだと。それは確かにそうなんですけれども、手早く野村証券の例を言えば、四万円のものが五百円で譲渡されているんですね。そして、税金を払ったからこれはもう譲渡だというようなことでは済まされない問題だと思うんです。もしこういったことを見過ごすことになれば、今マスコミで公取委員会は何と言われているか。これはかみつかない番犬だと言われています。一般の国民の人もそのように思ってしまえば、一体何を信用していいかわからなくなる。公取委員会の本当に誠心誠意おやりになる姿勢を示していただきたいと思うんですけれども、お考えどうですか。
  353. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) 申し上げるまでもなく、独占禁止法十一条で厳然として五%を超えて持ってはならないという禁止規定があるわけでございますから、私どもも事実関係の確認を急ぎまして、こういった事実がないように、もし独占禁止法に違反するようなことがあったとしたならば、これは法律に基づきまして厳正に対処していきたい、かように考えているわけでございます。
  354. 古川太三郎

    古川太三郎君 今の私の譲渡制限ということと、五十分の一とかあるいは八十分の一、こういった非常に安い価格で譲渡している、こういった事実そのものが五%制限、要するに株を持っていないと認定されますか。もしそれが事実だとすればどうですか。
  355. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) これは事実の問題でもございますし、またそのとおりかどうか、あるいはさらにほかにも関連する事実がないかどうか、こういったことを確認の上でないと、全体として独占禁止法のいう第十一条の規定に違反しているかあるいはしていないかということの確認がなかなかしにくいわけでございますので、ともかく事実の問題でございますから、事実の確認を急ぎたいと思っております。
  356. 古川太三郎

    古川太三郎君 こればかりを余り言っても仕方ないんですけれども会社としてはこれは譲渡を受けたんだという形で、五十分の四十九、それから八十分の七十九の利益の差額を譲渡利益として計上したようですけれども、しかしそれは国税局の指摘を受けてしたわけなんですね。事実だと思います。それはもうその当事者の会社が言っているんですから。  だとすれば、そのことは譲渡をしたからもう独禁法に違反しないんだと言えるのかどうか、そこら辺はどうですか。
  357. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) たびたび同じことを申し上げて恐縮でございますけれども、独占禁止法十一条では五%を超えて株式を所有してはならないと書いているわけでございます。したがって、現状がその金融機関が五%を超えて株式を所有しているということになっているかどうか、その確認が大事だと思います。ですから、お尋ねのように形の上で譲渡したということであったとしても、それが本当に名実ともに譲渡されたことになっていて、現在その株式は所有していないという認定ができるかどうか、そこのところの問題かと思いますので、その点の事実の確認をしてみたい、かように思っているわけでございます。
  358. 古川太三郎

    古川太三郎君 五%はもういいですから、それはやめましょうよ。  問題は、そういう制限つきで、しかも安い金額で渡したということが譲渡と言えるかどうかを聞いているんです。いかがですか。
  359. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) なかなか一般論で申し上げにくい話でございます。要すれば、譲渡をしたということにならなければ株式を所有しているということでもございますから、所有しているかどうかという角度からこの問題をつかまえてみたいと思っております。
  360. 古川太三郎

    古川太三郎君 では、所有しているということはどういう意味ですか。私が聞いているのは、先ほど申し上げた安い価格で、もうむちゃくちゃ安いんですよ。しかも譲渡制限しているんです。それは譲渡と言えないんじゃないか。また、譲渡した方も預けたんだと言っているんですよ。それは譲渡という概念に当てはまるんですかどうか、そのことを聞いているんです。
  361. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) まだ事実の確認をしておりませんから明確なことを申し上げられないわけでございますけれども、例えば当事者間で、形は譲渡したということにしていたとしても、実質は譲渡ではなくて単に相手方に預けたままである、その所有権は依然として譲渡元の方にあるという場合には、これは譲渡とは言えないと思います。それは譲渡元の方にその株式についての所有権が今なお存在している、このように考えることもあるいはできようかと思います。
  362. 古川太三郎

    古川太三郎君 少し進みましたけれども、そこで、国税局はこれは譲渡にしなさいということで、そのときに譲渡益を出したわけなんです。しかし、それまでは独禁法違反。国税局に税金払ったからその独禁法違反がなくなるというようなことはないでしょうね。
  363. 糸田省吾

    説明員(糸田省吾君) これまた事実の問題でございますから、本件についてどうこうというようなことを申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。あくまでも一般論で申し上げたいと思います。  一般論で申し上げれば、昭和六十二年の十二月一日までに株式の五%を超える分を処分しなければならない。ということは、十二月二日以降五%を超えて持ってはならない、もし持っていればそれは独占禁止法に違反するということになります。ですから、十二月二日以降五%を超えて株式を持っていて、それを後日仮に処分したとしても、その処分するまでの間における独占禁止法の違反事実というものは、これは消えるものではございません。
  364. 古川太三郎

    古川太三郎君 ありがとうございました。そこまで聞いておけば安心しておれます。どうかひとつ頑張って調査を続行してください。なるべくそういうかみつかない番犬なんて言われないようにしていただきたいと思います。  ところで、もう時間も来ましたので、大蔵大臣に二つだけ提言といいますか、私の考え方を申し上げてその答弁をいただきたいと思います。  一つは、先ほどからずっと問題になっておりました、損失補てんをこのまま許しておくということは国民感情に合わないということはもう皆さん同じような感覚だと思うんです。その金が大中小合わせて約二千億前後あるんではないかと。先ほど野末議員がおっしゃったように、寄附したらどうかとかいうような国民の声がございます。これは本来ならば寄附していただければ、こういうことでもうけたものはやっぱり吐き出さなきゃならぬというようなことにもなるんでしょうけれども、こういう場合に強制的に寄附を促すわけにもいかない。そこなんで、私は提言したいのは、最近、メセナとかあるいはフィランソロピーというようなことがよくもてはやされておると思うんです。文化支援だとか社会貢献。そういうことから、昨年税法上そういったものに寄附する場合には特典を与えました。私は、証券会社からそういう不当利得みたいなものをもらった場合、これ全部を何かに寄附してそれが終わらない限りは、現行の税法で設定されている文化支援だとか社会貢献に対する寄附の免許特典を排除するというような法案を大蔵省自身考えられたらいかがであろう、そう思うんですけれども、その点一点。  もう一つは、先ほどから行政と財界の天下りが、癒着があるということも随分指摘されました。連合参議院の同僚はアメリカのSEC調査してきましたけれども、このSECの職員というのは、その職員の中に入りますと、電話一本関連会社とかそういう関係のところからはかかってもいけないしかけてもいけない。ましてや、前にいた職場の先輩や同僚、後輩、そういった人たちと話してもいけない。昼飯どきに昼飯を食べようやとかいうようなことを誘ってもいけないというような厳しい倫理規定があるようでございます。  今大蔵省証券局で証券会社を監理されておりますけれども、天下った方から電話が入ったり、あるいはちょっと昼飯食いに行こうとか誘われたことがないというような、そういう厳しい規律をみずから課していられるかどうか。今までは恐らくそういうみずから厳しい規律を課していらっしゃらなかったろう、こう思うんです。こういう問題が起きて、頭を下げて恐縮していればそれは終わってしまうと、また二度そういったことが起こる。昔はやった都々逸ですけれども、「意見される時や頭を下げな 頭下げれば上通る」。通ってしまった後も今までどおりでやっては、これは国民は納得しないと思うんです。だから、みずから、きょうからでもできるそういう厳しい規律を十分に考えていただきたい。  日本のそれは、先ほど人事院での管理があるとおっしゃいましたけれども日本では何年間か嘱託に回しておいて、そしてほとぼりが冷めたら取締役とかそういったことになってくるケースが相当あるわけなんです。職業の自由というのも私は大切だと思うんです、選択の自由は。しかし恐らく、日本で行われているのは能力を買って第二の就職をしているんじゃなくて、顔を買って第二の就職をしているというケースが大きくあると思うんで、その辺の倫理規範をどういうふうに考えていらっしゃるか。その二点についてお伺いして、私の質問を終わります。
  365. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一点でありますが、その提起された委員のお気持ちが理解できないと申し上げるのではございません。ただ、税法の体系の中で、今委員がお述べになりましたように、特定の税法上の地位を行使させないという懲罰的な利用方法というものが税になじむものかどうかということについて、率直に申し上げて私は自信がありません。たまたま今文化的措置等についての寄附というものを例示に挙げられたわけでありますが、こうした特定の項目についての適用除外といったものが果たして税法の世界になじむものなのかどうか、率直に申して疑問があるということが第一点であります。お気持ちがわからないのではない。しかし、それについて税をお使いになるという御意見について、私自身、税体系の全体の中でそういう問題についてのどういう位置づけが可能なのか、とっさにその適否の判断ができません。  それから二点目について、SECについての御意見でありましたが、厳しさを持てという点については私自身素直に拝聴いたしたいと思います。ただ、その中で一点申し上げたいことがございますのは、お調べをいただいたということでありますからよく御承知でありましょうけれどもSECから関係企業あるいは関係企業に関連する公認会計士事務所あるいは弁護士事務所、このスカウトというのは極めて短いローテーションで行われているのが実態であります。そのために、なおさらそうした在職中の非常に厳しい勤務態度が要請されているということを私は承知いたしております。  こうした点、いわば登録後の監視を中心とするSECの体制と、事前予防と申します言葉が今では気恥ずかしいような思いでありますけれども、事前予防というものを前提にした免許制をとってまいりました我が国と、その制度上の問題の違いというものはここに存在をすることは御理解をいただきたいと思います。  そしてまた、先般どなたかの御質問に、私自身人事院のルールというもの、さらには公務員の第二の人生というものを考えると、そのはざまにおいて苦しんでおりますというお答えを申しましたが、これは率直な気持ちです。ただ同時に、日本の場合に、SECのように例えば弁護士資格を持った方々が本当に一つの登竜門としてSECを使われる、そういった風土が証券局の行政の中にないということは、これはお認めをいただきたいと率直に思います。ただ、その前段に置かれましたみずからが厳しい反省の上に立てという御指摘については、私は素直にそれを受けたいと思います。
  366. 三治重信

    ○三治重信君 けさから問題になっております損失補てんの定義の問題なんですが、そこでわかったのが、架空の売買で損害、損失をしたやつについての補償というのと、損失を与えたんじゃないんだけれども予想の利益を与えるべく何らかの予知をしていたのがそこまで至らぬやつ、あるいはその利益率が低いために利益に上乗せをして、それを損失補てんというふうに定義されているように思うわけです。今度の禁止しようとする損失補てんとはその二つを予想しておるということでいいんですか。そのほかまだありますか。
  367. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 現在、法改正案につきましては関係当局と鋭意意見調整中でございますが、現在の私どもの考えております案は、損失補てんする目的で財産供与する場合、それから一定の利益供与をする場合、いずれもできるだけ法律で禁止をしたいというふうに考えているわけでございます。
  368. 三治重信

    ○三治重信君 そうすると、損失というのは、普通常識で言う損失ばかりでなくて、一定の利益を与えるやつ、その利益が少ないやつの上乗せも損失として含まれる、株、証券取引損失補てんとはそういうものだ、そういうふうに理解していいわけですね。
  369. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 基本的にそういう方向で考えております。と申しますのは、今回の損失補てんあるいは一定の利益の上乗せ、いずれも、特に利益の上乗せの方は過当競争から生じた証券会社営業姿勢の問題でございまして、この問題もやはり損失補てんと同じ原因であるというふうに考えますので、法律で具体的にどういう表現をするかというのはもう少し検討させていただきたいと思いますが、基本的な考え方としては両方とも法律で禁止をしていきたい、したいというふうに検討しております。
  370. 三治重信

    ○三治重信君 そこで、文章や考え方はそういうふうにしても、実際の運用部面になるといろいろと微妙な問題が出てくると思うんですよね。そうすると、それは各証券会社のいわゆる証券売買についての、また日本の信用関係の、金融関係のモラルの問題が根本的になければ、形だけではいかぬと思うんです。  そこで大蔵大臣、私は、この防止対策について本当に検討してもらいたいのは、役所の整備も必要だけれども、法律の整備も必要だけれども、やはり業界で、こういうふうに日本証券業協会というやつを法律でつくっているんだから、そこにもっと責任を持たせて、そして会員相互が相互監視できる体制をしっかり考えてもらいたいと思うんですが、そういうことは、新しく法を改正するなり新しく任務を加えるというようなことは検討されておるんですか。
  371. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、証券業界、大蔵省自身も含めまして、国民の信頼をどう取り戻すかということに我々は全力を尽くさなければなりません。その責任は私自身にもございます。  そうした中におきまして、今委員から、業界団体であります日本証券業協会というものがこうした点の努力の中で主導的役割を果たすことが必要であるという御指摘がありました。これは、私どももそのように思いますし、協会の強化あるいは業界の自主規制の強化につながることが望ましいと考えております。また、協会自身が今そのような問題意識を持っておられると承知しておりまして、業界改革推進本部というものを設置されたと聞いておりますし、また証券界外部の有識者から証券界に対する忌憚のない御意見を聞きながら改革の指針とするために懇談会も設けられたと聞いております。  こうした中から、私は、協会の御努力により、我々が努力すべき部分とはまた別に、協会自身の手によって改革が進められることを強く願っております。委員の御指摘と方向は全く変わりません。
  372. 三治重信

    ○三治重信君 ひとつ、証券業協会の強化で証券業界を粛正するというのも大きな問題で、されるということを聞いて、そういう方向が望ましいと思っておりますが、それと同時に、けさからの問題も一部あったように、やはり証券ばかりじゃないと思うんですよ、バブル経済のいろんな、不正と言っちゃおかしいが、不適正な、国民の信頼を失うような行為。  最近、見ていると銀行なんかでも、取引が不適正というよりか犯罪的な行為で不正が行われている。こういうようなことは、銀行なんかで行われている不正、いわゆる架空預金でえらい貸し出しして、大損害が、どういうふうになるかわかりませんけれども、何百億という――証券会社の方は会社がもうけたやつの中から補てんしているけれども、銀行の方のやつは架空取引のからくりをやっている。何百億というやつが、これは完全に、純粋に犯罪行為損失と言っているけれども、これはまた銀行の利益の中で補てんしなければ銀行はやっていけない。  こういうようなことを考えると、単に大蔵省がこういうふうな損失補てんなり、金融関係の不正に対して検査、監視というようなものを、単に証券証券、銀行は銀行、保険会社は保険会社ということじゃなくて、金融証券、保険全体の統一的な監視監督機関を、各局から離れて、大蔵省の外局なり官房の直轄なりにして機構を考えた方が――力いろんなことを考えると、やはり日本経済の自由化の基本的な部面ですよね、この金融や保険、証券というのは。そういうことで三者一体として考えた方がいいんじゃないか。余りにも事件が次々出つつあるんじゃないかと思うんです。  さらに申し上げるのは、保険なんかほとんど欠損出てまいりませんけれども、保険なんかにも、いわゆる各共済なんかでいろいろの民間団体がやっているやつについて、いわゆる予想利回り、予想利益を予想しながら募集して、それがトラブルになっているのが随分ある、余り表面に出ないけれども。実際、予想を八分でやっていた、九分でやっていたやつが、急にバブル経済がああいうことになって六分か五分になると、約束が違う、我々の団体の会員に対してどうしてくれるんだと、こういうような問題が相当出ているわけです。そういうことを考えると、金融関係、保険、証券、全体にひとつやはり統一的なモラルというものをしっかりつくって、営業をやる基本というものについての統一的な監視、監督というものが必要じゃないかと思うんですが、いかがですか。
  373. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今大蔵省自身証券検査だけではなく金融検査等も含めまして、改めて検査体制の問題点を基本的に洗い直しております。その中には検査手法そのもの、能力あるいは範囲、さまざまな問題点があろうかと存じます。そうした中において、今委員は幾つかの方向を示唆されましたが、先ほどのいわば証券業協会という名に委員はとめられましたけれども、自主規制機関の機能を強化充実するということとあわせて、今の御意見も我々としての一つの指針として考えさせていただきたい、参考にさせていただきたいと思います。問題意識は我々自身も同じように、金融検査も含めて今見直しに着手をいたしております。
  374. 三治重信

    ○三治重信君 それで、なぜこういうちょっと予想されないような損失補てんという問題が出たかということを考えると、税務当局のいわゆる厳正な会計、経理の結果が端緒じゃないか、こういうような感じがするわけなんです。  そこで、これは技術的なことなんですけれども証券局が最初とった自主報告というものは、大体証券会社がこれはばれたかなと思って言わざるを得ないやつを総計して自主報告をやったから、後から追加された自主報告に含まれなかった追加報告というのが出ていますね。それと自主報告と両方で損失補てんと、こういうぐあいになっているわけなんです。そうすると、自主報告というものは、税務当局で追及されたというんですか、損失として認められなかった全体の金額であるというふうに理解していいわけですか。
  375. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 平成元年十二月の通達を出したときに、自主報告を求めて、二年の三月までに報告をとったわけでございます。その自主報告各社損失補てんだというふうに自主的に判断した金額報告してまいったわけでございまして、損失補てんの定義は明確には書いてございませんが、一般的に有価証券売買で生じた客の損失補てんしたという認識で自主報告を出してきたわけでございます。  その自主報告額のうち一部、すべてではございませんが、税務申告に当たって自己否認をした会社がございます。それから、税務調査を受けまして新たに税務上認定されたものが出てまいったわけでございまして、私ども、前にとっておりました自主報告額と税務認定額とを突き合わせいたしまして、自主報告額に含まれていなかったもので新たに税務認定を受けたものというのが自主報告に含まれていなかった額ということで今度の公表の対象に加えたわけでございます。
  376. 三治重信

    ○三治重信君 それだから、当初の自主報告金額は、証券会社自身損失補てんしたと認めた金額は税務当局が利益として認めた金額と合致する、こういうふうに理解していいわけですか。
  377. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 自主報告損失補てんとして会社が判断したものの中にも、税務認定上必ずしも損失補てん、つまり損金として認めないというような扱いになっていない、損金として認めている部分もございます。自主報告と税務上の認定との間にはそういう差がございまして、私どもが受け取りました自主報告額はかなり広い概念で、必ずしも税務上すべて損金性が否認されるというようなものということではございません。
  378. 下村泰

    下村泰君 私は、株売買とか証券とか、こういうものに全然疎いんです。知識もなければ知恵もない。まるで興味がないんです。お宝、つまり、私らは芸能界に長くおりましたからお宝と言わせていただきます。お金を得るのは本人が汗水流すこと、自分の体を使って得るものというふうに教え込まれておりますので、何もしないで人に勝手に何かやらせて銭をもうけるなんていうことは考えたこともないんですから、まるでわからない。わからないとは言いながらも何かいろいろと読ませていただいているうちに、何か雲の中のような話みたいで、到底私には想像できないんです。  それで、ちょっと話は俗になりますけれども、ばくちの方に例えれば、花札でオイチョカブというのがある。四十八枚の札を操るわけですが、これはかけている方もある程度わかるんですよ、何回か回れば何が来るというのはわかるんです。しかし、取られた金は戻ってこないんです。ところがこれは戻ってくるんですね、今度の証券補てんというのは。しかも大口になれば大口になるほど戻ってくる。大口のやつが得して損するのは中以下ということになる。踏んだりけったりみたいなものです。  私はこれよくわからないんで、新聞に書かれていることで質問させていただきます。実に不思議だなと思うことが多々あるんですね。そこからまず聞かせていただきたいと思うんです。  国税庁が摘発するまで長い間証券業界の不正を見逃してきたというんですね、そういうことになるんですね、これは。それで、証券取引審査室というところには人間が十七人いるんですか、その十七人で捜査権限もない。「今回の一連の不祥事で問題となった八九年十月から十一月にかけての野村証券の東京急行電鉄株の集中売買でも、当時、審査室の前身の取引審査係が「シロ」の判断を下していた。」何も異常がないというわけでしょう、これ。「審査室が発足してから一年で摘発したのは今年五月のマクロス役員のインサイダー取引の一件だけ」これしかやっていないんですね。  これしかやっていないから、国税庁が摘発するまでわからなかったわけだ。あるいは見逃していたのか、知っていて知らんぶりこいていたのか、監督的立場の証券局はどういうふうにこれは言い逃れをするんですか。
  379. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 損失補てんを決して見逃していたわけではございません。ただいま御指摘のありました取引審査室、これは主に株価操作関係取引所と共同して審査をしているわけでございまして、その関係東急電鉄の株につきましては当時証券取引所と共同で審査をし取引所と意見調整をした、いろいろとその手口あるいは取引内容について審査をしたわけでございますが、その当時はこれが株価操作に当たる、あるいは法令違反、通達違反に当たるというような確証を得ることがどうしてもできなかったわけでございます。今回、さらに取引所と共同いたしまして東急電鉄の株についての調査を進めているところでございます。  それからもう一つ取引審査室はインサイダー取引規制の問題も取引所と一緒になってやっておりまして、これもなかなか事実関係をつかむのが難しいわけでございますが、御指摘のマクロスのケースは告発に至ったわけでございます。インサイダー取引につきましては、私ども非常に重点的にこの取引審査室で審査の対象としておりまして、これに触れるようなものが出てくれば告発をするという態度でいるわけでございます。  それから損失補てんの問題でございますが、これが明るみに出ました、発覚しましたのは、平成元年の十一月に一つかなり大規模な損失補てんの問題が明らかになりまして、それを受けまして損失補てんを禁止する通達を出したわけでございます。通達を出す一方、損失補てんを行っているものについては報告を求め、厳正な社内処分を行わせたわけでございまして、決して見逃していたというわけではございません。
  380. 下村泰

    下村泰君 そういうふうにでも言わないとあなたの方の答えがはっきりしないからね。私はあくまでも庶民的感情でお尋ねしますから、気を悪くせんといてください。  野村、日興両証券会社が、石井前会長というのがおるんですが、事実上オーナーのゴルフ場の会員資格保証金預かり証、それを二十億円で購入していたというんです。  このゴルフ場はメンバーズコースですか、パブリックですか、おわかりですか。
  381. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 岩間カントリークラブというゴルフ場でございますが、これはたしか昨年の秋にオープンをいたしまして、現在はパブリックコースとして運営をされているというふうに聞いております。
  382. 下村泰

    下村泰君 パブリックというのはメンバーじゃないんですよね。何でこれ会員資格保証金預かり証なんて出るんですか。そんなものあるわけないでしょう。これがわからないんですよ、私は。会員権というのは、例えば縁故会員で幾ら幾らとか、第一次募集が幾らとか第二次募集が幾らとかと新聞で毎日のように出ていますわ。それは完全な個人個人が会員権というのを買うわけでしょう。これパブリックなわけでしょう。何でこういうふうになるんですか。
  383. 松野允彦

    説明員松野允彦君) これは、私どもが同じような疑問を持って野村証券、日興証券から事情を聞いたわけでございます。  野村証券、日興証券の話では、今の会員保証金預かり証を二十億出して手に入れたのは平成元年のたしか六月だと思いますが、昨年、二年の秋にゴルフ場がオープンいたしました。パブリックで運営をされておりますが、両者は、岩間カントリークラブとの間でオープンして三年後に会員制にするという約束がある、あるいは同時に三年後にこの二十億の会員権を買い戻すという約束が、これは確かに覚書のような形で入っておりまして、三年はまだ、去年秋オープンでございますのでその期限が来ていないというような状況にあるわけでございます。
  384. 下村泰

    下村泰君 私も実は多分そうじゃないかと思ったんですよ。つまり、パブリックにしておいて大勢の方に芝を踏んづけてもらって、ホール全体がよくなるといきなり会員権を発行するという手はあるんです。多々あります。けれども、どうも納得がいかないのは、この二十億というのが実は誘い水とか呼び水みたいなもので、その後になって、広域暴力団稲川会系の岩間開発ですか、の預かり証をすべて買い取るとの趣旨の契約書を佐川急便と有力財界人が交わしたことにより巨額の資金を入手したと言われている。こういうようなことが記事も出ている。それの取り次ぎをしたのが複数の政界関係者の紹介で行われたと伝えられている。こういうことなんですけれども、おたくの方はそういうのはわかっていますか。
  385. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私どもは、野村証券と日興証券が関与いたしました今の二十億ずつの取引については先ほど申し上げましたように事情を承知しておりますが、それ以外の会社の件については実は事情を承知しておりません。
  386. 下村泰

    下村泰君 しかし、そういうのはおたくの方として調べるあるいは聴取する必要があるんじゃないんですか、しなくたっていいものなんですか。
  387. 松野允彦

    説明員松野允彦君) 私ども証券会社を監督しております立場からいたしますと、野村証券、日興証券が関与いたしました取引につきましては、これは免許会社としての適当な行為かどうかという点で事情を聴取し適切な指導をする必要があるわけでございますが、免許対象会社でない他社の場合には、私ども事情を聞くということは証券行政の立場としては難しいというふうに考えております。
  388. 下村泰

    下村泰君 大臣、伺いますが、年金福祉事業団とかその他共済組合とか、対象先にこういう公的資金運用機関が入っているんですけれども、これに対して大蔵大臣としてのお考え、感じ方を聞かせてください。
  389. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回の証券会社によります損失補てんというのは、免許会社としての規範に著しく反する行為でありますし、これは相手が公共法人でありましても民間でありましても、その主体にかかわらずこうした行為によって一般投資家市場に対する信頼感を著しく損なうという意味におきまして、非常に深刻だし、遺憾なことだと思っています。  特に、公的資金運用というものにつきましては、各監督官庁において適切に対応されていると思いますけれども、少なくともこれらの資金というものが国や国の制度あるいは信用に基づいて直接間接に国民からお預かりをした資金でありますから、この原資によって構成されますものが民間資金運用に比して安全確実であることはこれ当然のことでありますけれども、その方法につきましてもより厳格な公正さが求められるということでありまして、いやしくも国民の批判を受けることがあってはならないと思います。
  390. 下村泰

    下村泰君 もう一つ伺いますけれども、大蔵大臣が公的資金の自主運用を見直す発言をなさっていらっしゃいますけれども、その御真意はどうなんですか。
  391. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今申し上げましたように、私は、公的資金運用というものは民間資金運用に比して安全確実であることは当然のこととして、その方法においても国民の批判を受けるようなものであってはならないという気持ちは確かに持っております。そういう一般論は今までも述べてまいりました。  こうしたことから、御承知のように公的資金運用に当たりましては、従来から、有利運用というものを願う場合におきましても、例えば不動産でありますとか株式あるいはその関連商品への投機は認められておらないわけでありまして、法令で認められました対象への運用が認められている、そうした点も今申し上げたようなことからあると考えております。
  392. 下村泰

    下村泰君 共済組合がこういうふうに運用してうまく資金を回転させていかないと、このままにしておくと、組合員から掛金を一割ぐらい余計取らなきゃ運営ができないなんといううわさをちらっと聞いたんですが、事実でしょうかね、これ。
  393. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは申しわけありませんが、その共済の担当省庁にお尋ねをいただきたいと思います。私自身その知識を十分に持っておりません。
  394. 下村泰

    下村泰君 下条厚生大臣が年金福祉事業団の損失補てんをあくまでも否定しているんですが、これはどういうところから否定しているんだとお思いでしょうか。
  395. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは大変申しわけありませんが、下条大臣または厚生当局にお尋ねをいただきたいと思います。  ただ、委員がもしおっしゃる意味が、その年金資金の自主運用、これは共済でも同じことでありますけれども、自主運用というものが財政基盤強化のために資する事業である、その重要性はこれから変わるのかということでありますならば、その重要性はこれからも変わりません。しかし、その運用についてはあくまでもやはり御注意をいただくべきものはいただかなければならない、私はそう思います。
  396. 下村泰

    下村泰君 何しろ、この小冊子をちょっと拝見しましたら、十三兆近いんですね、動かすお金が。物すごく額が多いんでびっくりしたんです。  さて、各社の社説があるんです。一通り読ませてください。ある新聞です。  官庁と業界のなれ合いとの批判もある。証券業界への大蔵省からの天下り人事に節度を求めたい。   大蔵省SEC方式にはなお踏み切れないでいるが、現行方式に固執するなら大蔵OBの証券会社への天下りをやめるべきである。   証券会社のように免許制で、しかも不透明な部分が多い業界に大蔵OBが天下ることは、行政の公正、厳格さを維持するのにふさわしくない。少なくとも証券界の規律が確立するまで天下りを禁止することが望ましい。 これは読売と東京ですな。  それから、毎日。  大蔵省証券界との癒着構造に抜本的なメスを入れる必要がある。さしあたって天下り人事の自粛が求められる。政治家との不明朗な関係も一掃してもらいたい。 これは朝日。  同省は証券会社への監視を強化するため、職員を増員する意向という。しかし、それが実現したとしても、大蔵省OBを数十人もかかえて広い意味で一種の身内関係になっている証券業界に、どれほどメスが入れられるのか。   繰り返し主張しておきたいが、業界と官庁のなれ合いのもとになる通達行政はできるかぎりやめるべきだ。抑制のきかない天下りに至っては論ずるまでもない。  こういうふうに厳しく指摘しておりますが、これに対してはどういう御意見がありますか。
  397. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員恐らく武士の情けで、私自身がやめるべきだと書いてある社説は御引用にならなかったのかと思います。そうした社説をも含めて私自身目を通してまいりました。そして、その中には私どもが謙虚に耳を傾けるべきこともありますし、またこれは実際の問題としていかがであろうかと思ったものもございます。  今たまたま委員から幾つかの例を挙げて意見を求められましたけれども、私どもは、今行革審が総理の諮問に応じて私どもとは一段高い立場からこの問題について検討を加えられるということに対して、全く異論を申し述べておりません。そして、それに対しての資料の提供あるいは御説明努力も怠るつもりはございません。  ただ同時に、お願いをいたしておりますのは、私は衆議院でも同じことを申しましたけれども大蔵省自身も今みずからの手で証券のみならず金融検査までを含めて検査体制全体を見直しつつあります。行革審が作業をしておられるからおまえたちの作業はその結論が出るまで待てということはどうぞお許しをいただきたいということは私は本日も申し上げてまいりました。当然のことながら、行革審が大きな立場から御議論になり、結論をいただけば私どもはそれを尊重する責任がございます。しかし、それは自分自身が改善の努力をすることをストップするものであっては私は困ると、それは申し上げてまいりました。  また、天下りという言葉を今御引用になりましたけれども、先ほど古川委員の御質問に対しても申し上げましたように、例えばアメリカのSECの場合には、SECに奉職することそのものが一つの登竜門と言われております。そして本当に、例えば弁護士資格を持たれる方のように四、五年でローテートしているという実態もあります。ただし、それだけにその中における厳しさを我々は学ばなければならないということは御指摘のとおりであります。そしてまた、現在我が国には人事院制度というものがあり、その業務に関連する者の場合には、たしかその直前五年関係があった場合にはその後の二年間就職を禁止し、就職を行う場合には人事院の承認にかからしめていると記憶をいたしております。それは、ある意味ではその人の持っている知識というものが関連の分野に行ってももう既に古くなってしまっている、あるいは人的なつながりが既に薄れてしまっているということをあるいはねらっているのかもしれません。  そうした制度をもって現に動いております中で、私は今いろいろな角度から業界と大蔵省という問題を指摘をされております。しかし、その人事院の制度というものと、同時に職員の退職後というものを考えましたときに、そのはざまで私自身が揺れ動いている、率直にそういった気持ちでおります。
  398. 下村泰

    下村泰君 橋本大蔵大臣がやめたからといってこの問題が解決されるわけじゃないと思います。むしろ全部片づけてからおやめになってください。  もう一つ私言いたいのは、こんなことでもって汚点を残されたら、もう目の前に総理大臣が来ておるんですからね。この間のある大学の調査でそうなっているんです、一番大臣になってほしい人、橋本龍太郎。一番ですよ。それだけに汚点を残さぬようにしてください。  それで、もう一つ。   証券行政のいま一つの問題点は、大蔵省自体が証券・資本市場の育成、市場の監視役、有価証券の発行・売り出し者という相矛盾する三つの役割を兼ねていることである。   国債を発行する立場から、同省は低金利を求める。それは一般的に株価を上げるほうに働く。また、日本電信電話(NTT)などの政府保有株を高く売りたいため、株式相場全体の上昇を望み、証券会社にそれとなく協力を要求する。  これじゃ、とてもじゃないけれども大蔵省の立場がないというふうに感じます。この新聞記事を読んだ一般の人にどういうふうにお話しなさいますか。
  399. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、我が国証券市場というものが、敗戦の中から立ち上がった日本としてまだ非常に弱体だったころ、それを保護育成し、資本市場として育ててこようとしたその考え方が基本的に誤っていたとは決して思っておりません。ただ同時に、現在、証券、銀行両方の相互参入といったものが現実の問題として議論をされるような時代になり、日本証券市場そのものが世界有数の市場に、例えば東京は育っている。そういう状況になってくる中で、当伏仙のことながら行政の対応というものも変化してこなければならなかったと思います。そして、私はそれなりに証券局は努力をしてきてくれたと思っておりますけれども、今回の事態の中で、その変化についていき切れなかった部分、従来の監督あるいは育成といった行政の中に足りない部分があったということを今痛感をいたしております。  ですから、そうした視点から今の引用された記事について、私は反論をするつもりはありません。ただ同時に、いろんな論点を一つにまぜてしまわれること、それは私は多少問題があるのではないかと思います。そして、私どもは今この年度末百六十八兆を超えようとする国債の累増にいかにして歯どめをかけようかと考えております。そうした中で、国債発行の責任者がそれに向けての努力をそれぞれの立場でいたすことは、私は当然のことながら行政官の責務であると心得ております。
  400. 下村泰

    下村泰君 一言だけ。  実は、私は今回の大蔵委員会でこの場を離れます。今度の国会法の改正によりまして社会労働委員会が二つに分かれました。参院クラブには大蔵委員会の席がなくなりました。  この二年間、橋本大蔵大臣と親しくこうしてお話をさせていただきました。思い起こせば、たしか大蔵大臣が初めて選挙に出られたときに、小渕恵三さんとお二人で「衆議院早慶戦」というタイトルで初めてスタジオに来ていただいた私は覚えがあります。あれからですからもう何十年になります。今回、大蔵大臣として、こうしてお話しさせていただいて、これはまことにお腹立ちかもしれませんけれども、しみじみ一言言わせていただくと、福祉の問題でも非常におわかりのはずなんですよ、大臣は、厚生大臣をおやりになっていたんですから。ところが障害者、特に無認可とか小さなグループ、個人には冷たいなという感じだけいたしました。どうぞひとつこれからも福祉行政の方にはよろしく温かい目を向けていただきたいと思います。  最後の、何ですかイタチの最後っぺみたいで言いっ放しで済みませんけれども、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  401. 大河原太一郎

    委員長大河原太一郎君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といまします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会