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政府委員(梅澤節男君) ただいま
委員が御
指摘になりましたように、競争
政策についての国際的な
政策協調というのが今日大きな要請になっておる、好むと好まざるとにかかわらず、この問題を視野に入れて
対応しなければならないという点につきましては、御
指摘のとおりだと思います。
そこで、独占禁止
政策なり競争
政策について、特に日米間におけるこの問題の所在なり、これに対して我々がどう
対応していくかという点に絞ってお話を申し上げますと、まず競争
政策なり独占禁止
政策の枠組みといいますか、
基本的な理念については、日米間で相違があるということではございません。これは、日米間のみならず、OECD加盟諸国も含む先進諸国間におきまして、この競争
政策の
基本的枠組みに対する
認識、いわばパラダイムは共通にしておるというふうに言っていいと思います。
ただ、日米二国間で問題となります点につきまして、これまでの日米構造協議等を振り返ってみますと、私
どもこれは二つぐらいの問題領域があると思います。
一つは、我が国の取引慣行等を含む、我が国の市場の
現状についての
認識ないし評価の問題であります。
経済はグローバル化しておるわけでありますけれ
ども、現実を直視いたしますと、世界
経済を構成している各国の市場は、それぞれ全部性格なり質を異にしておるわけで均質のものではないわけであります。
日本とアメリカともそうでありますし、EC各国の市場もそれぞれの歴史的生い立ちの中で慣行等が形成されてきた。そういった市場の実は合成体が現在の世界
経済であろう。したがいまして、二国間で話をする場合にも、それぞれの国の市場の問題についての議論なり評価というのがまず第一に問題になります。
二つ目は、そういった市場に適用されるべきいわば競争
政策のパラダイムの具体的な形として、独占禁止法という我が国の制度なり、制度の運用の問題がある。これは当然のことながら各国ともそれぞれの制度が違うわけであります。我が国の独占禁止法の制度なり運用とアメリカの反トラスト法体系ないしその運用とは違うわけであります。こういった相違点の中で実は議論をしておるというのが
現状であると思います。
ただ、この一年間のフォローアップの経過を見ますると、私は、
事態はかなり進展してきておるというふうに考えております。
一つは、最初に申し上げました、我が国の市場の
現状に適用されるべき独占禁止法の
基準を明確にするという形で、昨年来
ガイドラインの作業をいたしておりまして、この
ガイドラインの作成に当たりましては、
国内においても問題の所在を各方面でよく
認識していただく、各国にも我が国の独占禁止法の考え方というものを正確に理解してもらうという
観点から、原案ドラフトの段階で、
国内各方面はもとよりでございますけれ
ども、アメリカを含む各国、国際機関に一斉に競争
政策を送付いたしまして、コメントを求めるという手続をとったわけでございます。
最近、アメリカ
政府からも正式にコメントが参っておりますけれ
ども、この
ガイドラインの全体の考え方、枠組みにつきましては、アメリカ
政府としてもこれを評価し、支持するという回答が既に参っておりまして、ただ、個々の技術的な問題等につきましては、いろいろコメントがございます。これはアメリカのみならず
国内からも各国からも寄せられておりまして、そういったものを精査しながらこの
ガイドラインをなるべく早い機会に仕上げていく。しかし、
基本的な考え方は、我我は変更する考えはないということでございます。
第二の制度なり運用の問題でございますけれ
ども、まず第一点は、現在御
審議を賜っております課徴金の引き上げ、これが大きなやはり独占禁止
政策の強化の中心的な我々の取り組みになっておるわけでございます。この水準自体について、日米間でいろいろ議論はございますけれ
ども、私
どもは、
日本の制度の枠組みのもとにおいて、今回御提案申し上げておるものは、抑止力を
最大限に発揮するという点で適切なものであるという考えを持っておりまして、これについて現在御提案申し上げている
内容を変更する考えはございません。
ただ、残された問題としては、例えば刑事罰の活用あるいは強化の問題、それから損害賠償制度の活用の問題、これについても着々と作業を今進めておるわけでございます。
一方、
基本的にはこの独占禁止法を強く運用するための
公正取引委員会の機能を強化するという点においても、予算面での御配慮もいただきつつ、現に着実な成果を上げておるわけであります。
そういたしますと、このフォローアップ一年間の進展というのは、かなりのものがあるというふうに我々は考えておるわけであります。およそ、二国間で話をするときに、我々としては自国の主張すべきことはきちんと主張しなければなりません。しかし同時に、各国とも独占禁止
政策を強化している
現状でございますから、国際的な相互主義の世界のもとでは、
日本もやるべきことはやるということでなければならないと思います。
したがって、今後最終報告に向けまして、二国間の問題というのは言うまでもなく、双方が問題の解決についての合意点に達するために、やはり相互理解というのは双方が
努力を共有すべき問題でもありますから、我々としては、そういった視点に立ちまして、今後粘り強くアメリカと対話を重ねていくというふうに考えております。