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政府委員(植松敏君) お尋ねの件でございますが、まずサービスマークの登録制を導入いたしますと、どのくらいの出願件数があるかという点につきましては、なかなかこれは正確な数字というのは予測しがたいわけでございますけれども、先ほど先生が最初の御質問で御
指摘になりましたほかの国々、例えばイギリスですとかドイツですとか、そういった国々が導入したときに、商標に対してサービスマークとの兼ね合いでどのくらいサービスマークの出願が出てきたかというような、そういった実績などを
考えながら相当大胆な試算をいたしてみますと、平年度ベースに直しまして
日本の場合には三万から五万件程度年間出てくるのではないかというような試算がございます。それから、初年度は特に六カ月間の特例
期間等もございますので、初年度は相当の数字が予想される。これはやはり同じようなケースで
考えます
と、十万件から十二万件ぐらい初年度には出てくるかなというような試算がございます。
それから、現在どのような
状況になっておるかという滞貨でございますが、
平成二年末で商標の未処理件数は約四十一万件になっております。年間の処理件数で申しますと、大体十六万件程度の処理をいたしておりますが、一方出願件数は十七万二千件程度というのが
平成二年の実績でございます。
いずれにいたしましても、サービスマークの登録制を導入いたしますと、現在の商標に上乗せになってサービスマークの登録出願が出てまいるわけで、また処理
体制をどうするのかというのが関心事であるわけでございまして、私どもは、商標自身も非常にそれでなくても国際的に見ると処理が遅いという上に、さらにサービスマークが加わると大変なことになるのではないかと、私たち自身の問題として今中でいろいろと工夫検討を重ねておるところでございます。
現在、既に先生も御承知のとおり、商標だけではなくて、特許、実用新案等につきましても同様の問題を抱えておりまして、特に特許、実用新案につきましては、米国との間で構造協議でも話題になったくらいでございまして、私どもとしては、一方では乱出願という批判もございますので、国内の
企業に対して、特に出願件数の多い大
企業に対して、出願の
適正化、
審査請求の厳正化ということを行政指導でお願いをしております。
そういった出願の抑制を図りながら、一方では検索システムの機械化を中心といたしまして、できるだけ先行
技術あるいは先行商標の問題でございますが、既に登録されておりますものあるいは出願されておりますものにつきましてのサーチをできるだけコンピューターを使いまして能率を上げるということで能率アップを図る。さらに、特許、実用新案については、既にペーパーレス
計画がかなりのところまでまいっておりまして、関連する事務処理についても能率化を図るというようなことで、特許、実用新案の方では相当の成果を上げつつございます。
現在、商標につきましても、既に商標の場合には文字、記号あるいは図形といったいろいろな商標があるわけでございますが、そのうち文字の商標につきましては、先行商標をサーチします場合に称呼検索という、要するに呼び方で類似性を判断するという、称呼の仕方で判断をするのが重要な検索システムになっております。これはかなりコンピューターにも向くということで、既に機械検索システムをつくりまして検索を実施し始めております。さらに、その機械検索化するためにまたデータベースをつくらなくちゃいけない、データベースにまた
審査官の負担がかかるということではなかなか意味がありませんので、これについても関係機関に外注をするということで、民間
活力の活用をするというようなことでかなり成果が上がっております。
さらに、図形の商標につきましても、現在機械検索のシステムを
開発中でございまして、これも実施するとまた能率が上がるということで最大限効率化を図りながら、しかし、それでもやはり先生御
指摘のとおり、最後の判断は
審査官が判断をしなければなりません。出願件数が増大するわけでございますので、それに必要な人員の確保というものはまたこれも
努力をしていかなければならないということで、総合
対策で何とか
審査期間が長くならないよう指導して短縮できるようにということで精いっぱいの
努力をしていきつつございますし、今後もさらに一層の
努力をしてまいりたいと思っております。