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参考人(山本文男君) 私は、
全国鉱業市町村連合会の
会長をさせていただいております
福岡県添田町長の山本でございます。
平素から、
産炭地域の
市町村に対しまして、各
先生方には大変な御支援をいただいておりますことを最初にお礼を申し上げさせていただきます。
なおまた、本日は、参議院の
商工委員会で
審議されます
産炭地域振興臨時措置法案に対しまして、
意見を申し上げさせていただきます
機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。私は、主として旧
産炭地域の
市町村の立場より
意見を申し上げさせていただきたいと思います。
まず最初に、三十年間にわたりまして
産炭地域振興の
施策を
実施していただきましたその結果は、それ相応の成果を上げたと私どもは認識しているところでございます。大変ありがとうございました。お礼を申し上げさせていただきたいと思います。しかし、今回
改正されようとしております法案に対しましては、幾つか私どもの立場からの
意見を持っておりますので、申し上げさせていただきたいと思います。
まず最初に、今
産炭地域として
指定されております
市町村は全部で二百四ございますが、中でも
疲弊の著しい六条
市町村は、法を施行いたしましてから三十年を経過した今日においても、
人口、
財政力、
地域を支える経済力など、依然として低い
水準にとどまるなど厳しい
状況にある
市町村も少なくございません。
一方また、第八次
石炭政策のもと、需要に見合った生産体制への移行ということで、厳しい
閉山・
合理化が
実施された
地域は、
人口の急激な
減少、これも先ほど御
意見がございましたとおりですが、離職者の滞留など、その
閉山・
合理化の事後処理に追われ
疲弊の度も一層増している
状況にある
市町村もございます。これら後遺症に非常に苦しんでいる
地域の
市町村が一般の
市町村並みに浮揚するためにはなお相当の
期間が必要でございまして、私どもといたしましては、今後最低十年間の法の
延長を行っていただきまして、強力な支援をお願いしたいところでございます。
なおまた、先ほど申し上げました三十年間の
産炭地域の
振興施策を続けていただいた結果、その成果が上がっているという
地域があることはもう当然認められるところでございます。
産炭法の
改正延長が
国会で承認後、
産炭地域の
指定の
見直しのためにできるだけ早い時期に具体的な基準が作成され、その基準によって
指定の
見直し、解除が行われることはやむを得ないと考えられますけれども、地元の
市町村としては、極力
現行どおりに
指定をしていただいて御支援を願いたいと思っているところでございます。しかし、やむを得ず
地域指定を見直す場合は、
地域の実情を十分御配慮いただきまして、
猶予期間や支援
措置に格段の手当てをしていただくようお願い申し上げたいと思います。
次に、今回の
改正の要点の
一つになっております第四条のところでございますが、十カ年の法廷長が認められまして行われることになりますと、その
期間内に策定されました
地域振興計画がそのとおり実行されるかどうか、
産炭地域振興の目的を達成されるためには極めて重要なかぎと私は思うのです。このため、最大限
計画の
実効性を高めるため次のようなことがもう必要不可欠であると思っているところでございます。
まず、第一点目でございますが、従来の
産炭地域振興の
計画策定はすべて通産大臣でございましたが、今回の
法律案では、
振興実施計画は道県の知事が地元の意向を聞いて
原案を策定することになっております。特に、
産炭地域においては、
地域振興の骨格となります
道路、交通網、水資源の開発などの
基盤整備がおくれております。これらが解決しない限り
産炭地域の浮揚は不可能と考えられます。
実施計画には当然そうした
基盤整備事業がメーンになってくると思われますが、これらの
事業の
実施に当たっては、地元もその実現に向けて従来にも増して責任を持って
対応するつもりでございますが、国も
関係省庁と十分ひとつ調整を行っていただいて、積極的な支援をしてくださるようお願い申し上げたいと思います。
その次でございますが、地元
市町村が策定されました
振興実施計画に補完
事業をしなければならないと思います。その補完
事業をやらなければ、
地域振興の
実効性というのは非常に低くなってくるおそれがあると思います。したがって、その
実効性を確保するため、
市町村が行います
事業が完全に
実施できるように
財政支援を強化していただきたいと思います。なお、現在でも交付税の中に産炭補正などが含まれておることは御承知のとおりでございまして、これらの
措置につきましても何らかの方途を考えていただければと思っているところでございます。
その次でございますが、
一定期間内で
振興の目的を達成するためには、国と地元の
関係者が一体となって
努力を払うことはもちろんでございますが、地元の
市町村が最大限の
自助努力を発揮することが大変大事なことであると、私どもそう認識しているところでございます。
その次でございますが、
産炭地域の
振興の障害となっております
炭鉱未利用跡地を再開発することが
関係市町村振興のかなめとなると私は思います。このため、
自治体や第三セクターがこうした
炭鉱跡地などの土地を購入して
町づくりのための
事業を
実施する場合には、利子補給など特別の
措置をすることが大変必要だろうと思います。また、
産炭地域振興実施計画の
振興目的達成を支援するために、
地域振興整備公団によりますところの
炭鉱跡地の
整備、再開発車業を
実施するよう公団の機能強化を図ることも大変大事なことであると思いますので、ぜひひとつこれらについてお考えをいただきたいというところでございます。
次に、
石炭後遺症の問題でございます。
産炭地域の
市町村の多くには、残存鉱害でございますが、これは、今御存じのとおり平成二年初で四千八百億円の鉱害量があるという調査結果でございます。さらに、老朽
炭住でございますが、この
炭住は全部で一千八千二百戸現在残っておりまして、そのうちに改良を必要とする
炭住は一万一千七百八十五戸と計算されております。また、ボタ山が二百五十三カ所ございまして、これらの後遺症が累積しているのはもう事実のとおりでございます。これらが
産炭地域振興の阻害要因となっております。この問題を解決しなくては、本当の
意味での
地域振興が達成されたとは言えないと思いますので、国土保全の面あるいは
地域開発促進等の面から、後遺症
対策の推進については特段の御配慮が必要ではないかと思います。
また、
産炭地域の雇用
状況は決して好転しているとは思いません。またそう言えないと思います。
炭鉱離職者もまだまだ多く滞留している
状況でございますので、これらの
状況から、民生安定と
地域活性化に資するものとして、今後も引き続き離職者
対策について推進を図っていただくようお願い申し上げたいと思います。
また、これらの
事業を
実施していただきます財源でございますが、この財源は御承知のように
石炭勘定でございまして、この財源の確保につきましては、今後とも安定的にしていただくようお願い申し上げたいと思います。
最後になりましたが、この
石炭企業の経営者が経営の多角化ということで、あるいはまた離職者を受け入れるというためにも、現在の自分の操業しております
炭鉱の跡に新規の
事業を展開する場合などがあると思いますし、またしていただきたいと思うのですけれども、そういう場合には思い切った支援をしていただくようお願い申し上がたいと思います。また、それをすることによって、繰り返すようですけれども、離職者の受け入れやあるいは
地域振興などが容易になると、こういうことでございますので、それらにつきましても十分な御配慮をいただきますようお願い申し上げたいと思います。
以上、幾つかを申し上げましてお願いにいたしたところでございます。
どうもありがとうございました。(
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