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木庭健太郎君 私は、日本
社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの五会派を代表して、
育児休業等に関する
法律案について、自由民主党を初めとする六会派共同提出の修正案及び修正
部分を除く原案に賛成するとともに、日本共産党提出の修正案に反対の意見を表明するものであります。
育児休業制度は、
労働者が
雇用を中断することなく、
職業生活と家庭生活を充実して営むことができる極めて重要な制度であります。男女
労働者の仕事と子育ての調和を図るためには、所得保障を伴う
育児休業制度の法制化がぜひとも必要であるとの観点から、これまでに三回にわたり四党共同で
育児休業法案を提出してまいりました。現在、継続審査となっていることは御案内のとおりであります。
他方、本院
社会労働委員会育児休業制度
検討小
委員会におきまして、平成元年十一月の小
委員会設置以来、
育児休業の法制化について、与野党間で協議、
検討を進めてきたところであり、昨年十二月七日の小
委員会においては、
通常国会で法制化を実現すること、小
委員会の
検討状況を十分踏まえる等の
条件をつけて政府に立案させることで与野党が
合意したところであります。
これを受けて、政府から提出されました
法律案の主な
内容は、
育児休業取得の
対象者は男女
労働者、
期間は子供が一歳に達するまでの間を限度として、これを認めることを
事業主の義務とするという基本的な枠組みで法制化するとともに、子供を養育する
労働者の勤務時間等の
措置を
定めているところであります。
政府案では、
育児休業の取得は認めているものの、これまで私どもが繰り返して主張してきました
休業期間中の所得保障、不利益
取り扱いの禁止、
原則原職復帰、勤続
期間への算入、罰則
規定などについては、法律で
規定することは適当でないとして、大半を
労使の話し合いにゆだねており、さらに、三十人以下の事業所に対する
適用猶予
措置を設けている点で、私どもの理想とする制度と比べて隔たりがあり、まことに残念なことと申さねばなりません。
安心して育児に専念できるように生活を維持するためには、何らかの所得保障を行うことは必要不可欠であります。また、
育児休業が一時的に比較的
長期にわたり取得されるものであることを考えれば、
育児休業の
権利の実効性を確保するために、賃金等の
労働条件について不利益
取り扱いの禁止を法律上明記し、
権利の裏づけとして罰則
規定を設けるのは当然のことであります。
しかしながら、
政府案につきましては、以上さまざまの改善をすべき点がございますが、現時点では、まず
育児休業の取得を法的に保障するための基本的な枠組みをつくることにも一歩前進として意味があることではないかと考えます。今後、制度が将来的に我が国
社会にしっかりと定着していくよう、しかも実効性を確保できる
内容となるよう、改善に努力していくことが大切であります。
自由民主党を含む六会派共同提出の修正案は、法律
施行後、
育児休業制度の実施の
状況、
育児休業中における
待遇の
状況その他のこの法律の
施行状況を勘案し、
育児休業制度等について総合的に
検討を加え、その結果に基づいて必要な
措置を講ずるとするものであり、妥当なものと考えておりますが、その総合的な
検討項目としては、
育児休業中の所得保障、不利益
取り扱いの禁止等の実効性確保
措置が当然含まれているものであります。
政府案の不十分な点は、今後できるだけ早い機会に積極的に見直していくとともに、男女が家庭責任をひとしく担い、
労働者が安心して就業継続できるよう、真に実効性のある
育児休業制度の確立を目指して、引き続き全力を尽くしていくことを表明して、私の討論を終わります。(拍手)