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国務大臣(
中尾栄一君) 各
委員の方のように私は多少専門的ではありませんが、ただいまの質問は大変政治的な
意味も含めておりますから、私の感想も含めまして率直に述べてみたい、こう思います。
まず第一に、今おっしゃられた中で、確かに
国内炭をもっと増大していくということによって、将来の
日本の全
エネルギーからいけばわずか一・五%なんというそんな低い
観点ではなく、もっと増大していくことによって
石油に代替するような形でもって考えていくべきだ。これはすべての
エネルギーにおいてもそうでございましょうが、やはりそういう代替案というものを考えていかなくして
日本のレーゾンデートルがあるのかということになりますると、これはやはり私どもはもう率直に考えなければならぬ問題だ。かというて、それが
日本の
国民的
負担になるような経済的な背景につながらないかということになると、これまたいろいろと考えなければなりますまい。
私はつとに思うのでございますが、やや
観点を変えて言えば米みたいなものでございまして、非常に安い米が入ってくる、しかし
日本の
国会でも決議しておりますように、米は
日本の伝統的な
産業である、なるがゆえに米というものはなかなか
外国から入れ得ない。これも理はあり、なおかつ理はありながらも理の通らないような面も諸
外国から見たらあるかもしれません。しかし、
伝統産業的な
石炭という私どもが小さいころからこの
日本の
殖産興業に一番資してきたこのものを、雑駁に私どもは考えていくことによって、このようなものをほうり投げていけばいいんだと、またつぶれるものはつぶれていいんだと、こういうような
考え方にはなり得ないのであります。
ある
炭鉱においては、もう既にどんどん人口が減っていって、そしてあるイベントを催して、フランスの名女優であるミレーヌ・ドモンジョまで呼んできて、そしてショーを催すことによって云々したということも聞き及んでおります。しかし、そのようなことは一時的なモーメンタルなソリューションにはなっても、エターナルなソリューションになり得るわけではありますまい。そういう点におきましては、私どももこういう
問題点については、現時点の今の
日本の社会構造上マクロで考えてみるならば決して
日本の景気は悪くはありません。イザナギ景気ほど長く続くかどうかは別問題といたしましても、現時点において中長期的な将来の展望ということになりますれば、私は不透明な部分もたくさんあると思います。
しかし、現時点の中においては二・一%という失業率でもございますし、しかもなおかつ、かというて二・一といったらば、他の国から比べたらまたはるかに低い失業率であるにもかかわらず、
日本の
伝統産業の中でもって
位置づけられている人たちは動くことも移動することもでき得ない。しかも、それは
一つは年齢的な条件もありましょう、ある人は自分がなれ親しんできた地元から離れたくないという気持ちもありましょう、ある人はそういう中でもってもっとリゾート開発等、あるいは他の
産業構造が来て、そして言うなれば自分たちの職場を与えてもらえればそこに居つきたいんだという方もおりましょう。
そういうことを立地的に十分に考察していく能力と、そしてまた、それを洞察した上に立って我々がどのような支援体制を組めるかということにおいて、そこに十分なある
意味における生きていく場、憩いの場、同時にまたその人たちが満足して住みつけるような場というものを与えたいものだなと、なおかつそういう中にあって、その形においてソリューションがないというならば、これはまた別問題として考えていくべき問題ではないか。私はできる限り六月の
答申の中においてもそういうものが盛り込まれていてほしいものだと。
先ほどから、
対馬委員からずっと歴々の方々の話を聞いておりましても、つぶさにそういう
問題点をとらえてみたい、私自身も率直にそれに果敢に取り組んでみたいという気持ちに今心の中は燃えておるわけでありまして、ぜひともひとつそういう
意味においては
田会長のもとに、皆様方の
調査会においての御
意見は決してむだにせずに、私も率直に受けとめましてそして勉強させていただきたいと思います。ちょうどこの場は衆議院と違って勉強するような、座談式にできるような方式になっておりますから、本当にそういう点では何かこう大学院で講座を受けているような感じが先ほど来からしております。決してむだにせずに、そのような形で私の所信も反映させていきたい、こう思っております。