○井上吉夫君 ありがとうございました。
国土庁だけで今のこういう流れを直ちに変えて、そして本当に望ましい均衡ある
国土、一極集中を排除して地方の活性化というのがやれるという仕事ではないと思いますが、今
国土庁長官が言われたように、まさに問題は地方にやっぱり生き生きとした仕事の場も与える、交通もあるいはこれから先の
産業の一番大きな要素になっていくであろう情報通信等も含めて、もっともっと地方にもそういうネットをしっかりするということ等もいろいろ必要だと思います。私は、これはもうあらゆる機会に言い続けなきゃならぬというほどの大問題だと思います。そしてそれは、やっぱり
国土庁が絶えず警鐘を鳴らし続けて、みんなで考えていこうではないか。東京なり東京圏の人たちも、これ以上我々の東京都あるいは周辺の人口がどんどんふえることは、その
地域のいろんな行政を進めていくためにも決していいことではないし、住民にとっても決してゆとりのある生活の
環境を整えるということにならない。これがどんどん膨れに膨れていったんじゃどう設計のしようもないということは、東京都から出ておられる建設
大臣はしかとこのことを御認識いただきたい。問題のとらえ方は同じだと思います。
国土庁長官は四国でありますから、私の鹿児島と同じでいわば過疎に悩む
地域であります。谷
長官とてもどちらかといえば似たり寄ったりの山村問題を抱えておられる。
国土庁長官の
国土行政の基本方針及び当面の諸
施策の所信の中に「我が国は、三十八万平方キロメートルという狭い
国土ながら、」というぐあいに冒頭言っておられますけれ
ども、今度私は選挙でずっと回ってみますと、狭い日本そんなに急いでどこへ行くぐらいの感じじゃありませんよ。田舎をずっと走りますと随分長い距離の間に家がなかったり、まだまだ道路もというところがたくさんありますので、そういうところの
国土をやっぱりもっともっといい姿に整えていく。そこに手ごろに人が住めるようないろんな諸条件を、そこからまた通うべき仕事の場も、あるいはその周辺に林業関係であれ、いろんなものを含めて、そこに定住できるような
状況を何かつくり上げていけば、三十八万平方キロの土地と
いうのはかなりゆったりとして使えるところがまだまだたくさんあるわけです。
それを総体的に考えていく場合に、
国土政策の今当面手をつけなきゃならぬのはそういう
地方振興、そして特に山村等で手を加えて、人間の住める地あるいは都市の皆さん方の行楽の地なり、本当にさわやかな空気を吸いながらという、そこら辺の交流がずっと続いていくような条件をそのあたりに整えていく。どちらかといえば、そっちの方に目を余計配る方が都市問題もやっぱりそこから解決の
一つの目鼻がついていくという、そんな感じがしてなりませんので、このことは強調しておきます。
ところで、こういうとらえ方をいたしますと、まず一極集中の問題をとらえる場合に、東京圏だけが
余り一極集中というのは困るので全国ずっと分散をしましょう、そこの考え方は
開発拠点的なとらえ方をまずするという、恐らくそういう順序になっているようでありますが、これとても東京圏と
余り変わらぬような、そういう拠点をたくさんつくっていかなければならぬ。それを第一段階の手法とするならば、もう
一つの問題は、各県とも一極集中の地方版というのがどこにも私は出ていると思う。
私の鹿児島でも数年前までは五十万以上は無理かなと思ったのが、いつの間にか五十万の人口を超えてしまった。そして、ここでもやっぱり東京と似たり寄ったりの交通渋滞の問題であるとかいうのが、少し小型ですけれ
ども、縮図として全部出ています。これがこのままでいっていたら、私のところの場合は、鹿児島に人間が集まる、そういう風潮から抜け出すことはまだまだ容易でない。そう考えてみますと、そこだけをとめるというのも容易でありませんから、今度はその分をそれぞれの県単位で見るさらなる小さな拠点というものでもつくるとか、もっと広域の数町村にまたがる活性化という問題をもう
一つやっぱり考えなければならぬなという気がしてなりません。
だから、ここで一極集中の排除、多極分散とはいうものの、それでは今申し上げたような拠点と、またさらなる圏域等における中央との関係をどう考えればいいのかということについての御見解があれば、
国土庁長官あるいは建設
大臣からそれぞれ、かなり具体的な答えというのは無理かと思いますけれ
ども、私は東京一極集中はどうも困るなということだけを主として言ってきましたけれ
ども、同じことがまた地方版の中でもとらえられなければならぬなという気がしてなりませんので、御感想をお聞きしたいと思います。