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1991-04-09 第120回国会 参議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月九日(火曜日)    午後一時三十二分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         矢田部 理君     理 事                 井上 吉夫君                 石原健太郎君                 青木 薪次君                 山田  勇君     委 員                 石井 一二君                 石渡 清元君                 遠藤  要君                 沓掛 哲男君                 坂野 重信君                 服部 安司君                 佐藤 三吾君                 種田  誠君                 西野 康雄君                 及川 順郎君                 白浜 一良君                 上田耕一郎君                 新坂 一雄君    国務大臣        建 設 大 臣  大塚 雄司君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      谷  洋一君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  西田  司君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     松野 一博君        北海道開発庁計        画監理官     平工 剛郎君        北海道開発庁予        算課長      仁尾  徹君        国土庁長官官房        長        八木橋惇夫君        国土庁長官官房        会計課長     森   悠君        国土庁長官官房        水資源部長    山内  彪君        国土庁計画・調        整局長      長瀬 要石君        国土庁土地局長  藤原 良一君        国土庁大都市圏        整備局長     斎藤  衛君        国土庁地方振興        局長       芦尾 長司君        国土庁防災局長  鹿島 尚武君        建設大臣官房長  望月 薫雄君        建設大臣官房総        務審議官     青木 保之君        建設大臣官房会        計課長      小野 邦久君        建設省建設経済        局長       鈴木 政徳君        建設省都市局長  市川 一朗君        建設省河川局長  近藤  徹君        建設省道路局長  藤井 治芳君        建設省住宅局長  立石  真君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        大蔵省主計局主        計官       林  正和君        通商産業省生活        産業局窯業建材        課長       長田 直俊君        労働省労働基準        局賃金時間部労        働時間課長    鈴木 直和君        労働省職業安定        局特別雇用対策        課長       若木 文男君        建設大臣官房技        術審議官     玉田 博亮君        自治省財政局指        導課長      中里 清敏君    参考人        住宅金融公庫総        裁        高橋  進君        北海道東北開発        公庫総裁     吉岡 孝行君        住宅都市整備        公団理事     安仁屋政彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、平成年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、平成年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管北海道開発庁国土庁)、建設省所管住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫) ○下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 矢田部理

    委員長矢田部理君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、御報告いたします。  去る三月二十九日、予算委員会から、本日午後の半日間、平成年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、建設省所管総理府所管のうち国土庁北海道開発庁並び住宅金融公庫北海道東北開発公庫についての審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。     ─────────────
  3. 矢田部理

    委員長矢田部理君) 参考人出席要求についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日、住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び住宅都市整備公団役職員をそれぞれ参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 矢田部理

    委員長矢田部理君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 矢田部理

    委員長矢田部理君) それでは、予算概要について政府から説明を求めます。大塚建設大臣
  6. 大塚雄司

    国務大臣大塚雄司君) 建設省関係平成年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入二百四十一億六千七百万円余、歳出四兆三十四億八千五百万円余、国庫債務負担行為五千六百六十億六千三百万円余でありますが、建設省に移しがえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係一般会計予算では、歳出四兆五千九百九十六億二千八百万円余、国庫債務負担行為五千八百六十四億三千七百万円余を予定いたしております。  次に、建設省所管特別会計予算について御説明いたします。  まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも三兆四千九百三十一億七千二百万円、国庫債務負担行為四千八百三十九億七千七百万円余、うち、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも三千九百四十一億八千百万円を予定いたしておりますが、歳入については、前年度に引き続き揮発油税収入の一部直接組み入れを行うことといたしております。  また、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆四 千七百四十億五千百万円余、国庫債務負担行為三千六百億四千万円余、うち、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも千七百十六億四千二百万円を予定いたしております。  都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも千二百八十五億三千六百万円余、うち、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも六十七億千七百万円を予定いたしております。  次に、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出四百九十二億二千三百万円余、国庫債務負担行為七百五十七億二千二百万円余を予定いたしております。  以上のほかに、大蔵省所管産業投資特別会計計上日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業のうち、建設省所掌事業に要する無利子貸付金は、歳出二千八百九十九億九千五百万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策都市対策国土保全水資源対策道路整備等各般にわたる施策推進してまいる所存であります。  引き続きまして、政府関係機関である住宅金融公庫平成年度予算概要を御説明いたします。  住宅金融公庫の借入金及び債券の限度額は、六兆九千六百二十五億九千百万円を予定し、収入支出予算は、収入二兆六千六百六十四億三千百万円余、支出二兆八千二百四十九億九千万円余を予定し、住宅五十五万戸等について総額七兆五千五百十一億円の貸付契約を行うことといたしております。  なお、建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付しております平成年度建設省関係予算概要説明及び平成年度住宅金融公庫予算概要説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。  以上をもちまして、平成年度建設省関係一般会計予算及び特別会計予算並びに住宅金融公庫予算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  7. 矢田部理

  8. 西田司

    国務大臣西田司君) 総理府所管のうち、国土庁平成年度予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、二千五百五十五億五千三百万円余を予定しておりまして、前年度予算に比べ、百五十七億九千八百万円余の増となっております。  さらに、大蔵省所管産業投資特別会計計上日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業のうち、国土庁に係る無利子貸付金について、歳出三百二十八億百万円余を予定いたしております。  その主要な内容は、第一に、第四次全国総合開発計画総合的推進等国土計画推進、第二に、適正な地価水準の実現、適正かつ合理的な土地利用確保等総合的土地対策推進、第三に、水資源開発及び有効利用促進等の総合的な水資源対策推進、第四に、良好、安全な都市環境整備を図るための大都市圏整備推進、第五に、人口の地方定住促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興推進、第六に、国土保全し、国民の生命及び財産災害から守るための総合的災害対策推進、第七に、地域活性化施策に関する調査研究等及び具体化を図るための地域活性化施策推進、第八に、地方都市開発整備、工業の再配置、地域産業高度化及び産炭地域振興を図るための地域振興整備公団事業推進であります。  国土庁予算重点施策概要につきましては、お手元に配布してあります平成年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  9. 矢田部理

  10. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) 総理府所管のうち北海道開発庁関係平成年度予算概要を御説明申し上げます。  平成年度北海道開発庁一般会計は、歳出七千三百四十五億二百万円余でございます。国庫債務負担行為百六十二億千七百万円を予定しております。  さらに、大蔵省所管産業投資特別会計計上日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する北海道開発庁の無利子貸付金は、歳出八百九十五億四千六百万円であり、合わせて歳出八千二百四十億四千八百万円余であります。  主な重点事項について御説明申し上げます。  第一に、国土保全、特に水資源開発促進努力いたします。第二は、道路整備促進重点を置きます。第三は、港湾並びに空港の整備促進努力いたします。第四は、生活環境施設整備推進であり、第五は、農業、林業、水産業基盤整備推進であります。  引き続き、北海道東北開発公庫出融資枠につきましては、NTT株式の売り払い収入活用による無利子貸し付け百十三億円を含め千八百八十九億円を予定しております。  詳細につきましては、お手元に配付申し上げました北海道開発庁平成年度予算並びに北海道東北開発公庫予算概要についての御説明をごらんいただきたいと存じます。  委員各位の御審議をよろしくお願い申し上げます。
  11. 矢田部理

    委員長矢田部理君) 以上で政府からの説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 青木薪次

    青木薪次君 私は大塚大臣にお伺いいたしたいと思います。  平成年度予算は、日米構造協議に基づきまして決定されました四百三十兆円、非常に多額に上っておりますけれども公共投資基本計画の初年度として公共事業費の大幅な伸びが期待されておったのでありますが、来年度公共投資伸びは国、地方合わせて前年度に対して六・四五%程度になっておるわけであります。公共投資基本計画で予定されている年平均伸び率は六・三%、十年間で結果として十年目に四百三十兆円になる、こういうことが見込まれているわけでありますが、六・四五%でありますから一応満足すべき結果であると私は思っているわけでありますが、問題はどういうように円滑かつ適正に施行していくかが緊急の課題であろうと思うのであります。  そういう意味で建設省は、人手不足が深刻化していく中で増加する公共事業を円滑かつ適正に施行していくために、工事施行平準化を積極的に行うということを計画いたしておるわけでありますが、具体的にどのような方策を用意しているか、平準化対策等について説明をしていただきたいと思います。
  13. 大塚雄司

    国務大臣大塚雄司君) 公共事業執行に当たりましては、地域経済等に与える影響に十分配慮をしながら、建設労働力資材安定的確保を図るためにも、その施行特定の時期に過度に集中することがないように計画的に実施することが望ましいことは御指摘のとおりでございます。このため、建設省所管事業執行に当たりましても、工事発注を計画的に行うことによりまして事業平準化配慮をしながら円滑な実施に努めるよう各発注機関を指導しておるところでございます。  また、いわゆるゼロ国債につきましては、公共事業平準化に有効なものであることから、平成年度補正予算においては国全体の事業費で過去最高の元年度と同額の六千億円を計上したところでございます。さらに、三年度予算案につきましても国庫債務負担行為を大幅に増額計上してい ただいておるところでありまして、公共事業平準化効果が上がるものと期待をいたしております。地方公共団体に対しましても、公共事業平準化を図るためにいわゆるゼロ県債等の積極的な活用も要請をいたしております。  今後ともさらに工事計画的発注を行うとともに、国庫債務負担行為活用等によりまして公共事業平準化を図ってまいる所存でございます。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 平準化対策としてゼロ国債とかゼロ県債という形を推進いたしているわけでありますが、平成年度はこの平準化対策として六千億円のゼロ国債計上をされており、端境期対策として効果が期待されているわけであります。  六千億円のゼロ国債使用状況はどうなっているのか、このことの説明をお願いいたしたいということと、このゼロ県債計上する県が増加してきているわけでありますが、今は十七府県がこのゼロ県債実施しているということを聞いているわけでありますけれども地方公共団体の数は今日どうなっているのか、今後ゼロ県債の制度の普及のために建設省としてはどういうような指導をしていくのか、この点についての説明をお願いします。
  15. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、平成年度補正予算におきまして六千億円のゼロ国債をお認めいただいたわけです。このうち建設省関係で申しますと四千百十億円ということに相なっておりますが、この執行状況ということを一応直轄補助振りつけについて申し上げますと、直轄事業については千四百億円余り、それから補助事業について二千七百億円余り、こういったことで執行させていただいております。  いずれにしましても、このゼロ国債効果は大変に出ているということで平準化のために大いに役立っている、こういう認識を持っておりますが、今後私どもこういった平準化のための努力というものは、先ほど大臣から御答弁申し上げましたようにあらゆる努力をしていきたい、かように考えております。  なお、特に今先生指摘地方公共団体におきます御努力というものも大変私どもありがたく受けとめているところでございまして、平成年度で申しますと、私ども承知しているところでは二十一道府県一政令市というところにおいていわゆるゼロ県債と申しましょうか、地方公共団体債務負担行為がなされておるというふうに承知しているところでございます。
  16. 中里清敏

    説明員中里清敏君) いわゆるゼロ県債のお尋ねでございますが、近年におきます民間建設投資が高い水準状況のもとにおきまして公共事業を円滑に実施するためには、建設労働力建設資材安定的確保などの条件整備が不可欠でございまして、その中でただいま建設省あるいは先生指摘のように公共事業平準化推進していくことは、重要な方策一つであろうと考えられております。また、今後公共投資基本計画を着実に推進していくためには、地方団体におきましても単独事業を円滑に執行していくことが重要な課題となっているわけでございます。  このような状況を踏まえまして、建設工事発注平準化を図っていくことが必要でございまして、ただいま建設省さんの方からお話がございましたように、一部の地方団体におきましては三年度県単独公共事業の一部を前倒しして発注するため債務負担行為、いわゆるゼロ県債を導入しているわけでございます。  今後の景気の先行きには不透明感がありますほか、建設工事をめぐる環境には地域的な差がありますことから、それぞれの地域の実情に応じまして、地方団体の判断におきまして単独事業が円滑に執行を図られますように、いわゆるゼロ県債を含めました適切な措置をとっていくことが必要だろうと考えているところでございます。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 建設省がまとめた建設労働需給調査によれば、土木型枠工等技能職中心にいたしまして、相変わらず建設労働者不足が続いているわけであります。人手不足倒産する企業も増加しているわけでありますが、現在の建設労働者需給状況はどうなっているのか、職種ごと説明していただきたい。  また、東京商工リサーチの調査では、昨年の人手不足倒産した企業は二百四十四件ということで前年の三倍に増加をしているという報道がございます。また、建設業が半分近くを占めていることが明らかになっているのでありますが、建設業倒産について調査しておったならば、報告をしていただきたいというように思います。
  18. 鈴木政徳

    政府委員鈴木政徳君) ただいま御指摘のように、最近数年間の活発な建設活動によりまして、技能労働者中心労働力不足が続いていることは事実でございます。建設省では、毎月職種別地域別建設労働需給調査実施しておりますが、その数字を見ましても、ただいま先生の御指摘のとおり型枠工鉄筋工、とび工、この三つが特に不足率の高い職種でございますが、平成年度、例えば土木ですと型枠工不足率六%、鉄筋工が四・三%、建築でいきますと型枠工が四・四%、鉄筋工が四・一%、とび工が四・一%というふうに昭和六十三年以降徐々にこの不足率が上がっている現状でございます。  また、私どももう一つ建設業界に対しまして新卒者採用計画調査というのを実施しております。平成年度にどのぐらい新規の学卒者を採用しようと思ったか、それに対してどのぐらい採用できたかという数字でございますが、これを見ましても、平成年度で言いますと、事務、営業につきましては九割強採用できている。それから、大学卒技術者につきましても七割弱採用できているというのに対しまして、技能者につきましては四割強しか充足できなかったというような結果が出ておりまして、技能労働者中心にした労働力不足というものが進行していることがわかるわけでございます。  それから、倒産でございますが、今実は私の手元には帝国データバンクの資料を持っておりますが、建設業倒産は、例えば平成年度ですと年間で千三百八十五件の倒産が出ております。これは景気の上昇を逆に反映しまして、昭和六十三年度平成年度に比べると数は減っております。そのうち労働力不足人手不足によって倒産した、主な原因がそのようなものと思われますものがこの帝国データバンクの調べでは平成年度で九・三%というふうになっております。しかも、この九・三%という中には、後継者難経営者が続かなくなって倒産したというようなものも含まれているようでございます。  しかしながら、これは一つ民間調査にすぎません。実際のところ私ども直接はこの点についての調査はいたしておりませんけれども、やはり経営基盤の脆弱な中小建設業者振興という観点から、この点につきましても今後動向を十分注視していきたいと考えている次第でございます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 建設労働者不足が深刻化する中で、建設業に若者が進んで入職しようという活力と魅力ある産業とするためには、労働条件改善がぜひ必要だと私は思うのであります。  当面する労働時間の短縮の問題が緊急の課題であります。一九九二年に千八百時間。現在は大体二千二百時間前後と言われているわけでありますが、建設業における労働時間短縮現状についてはどうなっているのかということの調査結果をひとつ報告していただきたいということと、建設関係労働組合工事現場における週休二日制の実施に取り組んでいるわけでありますが、大手建設業の中には週休二日制を実施している企業もあると聞いております。建設業における週休二日制の実施状況はどうなっているのか、建設省労働省、両省から答弁をしていただきたいと思います。
  20. 鈴木政徳

    政府委員鈴木政徳君) まず、労働時間でございますが、平成年度調査によりますと、ただいま御指摘のございましたように建設業の年総労働時間は二千二百十三時間となっておりまして、全産業平均が二千五十二時間でございますので、それに比較しまして百六十一時間長いという、残念ながらそういう結果が出ております。  また、週休二日制につきましては、ただいま御指摘もありましたように、組合はもちろんのこと、業界団体でも何らかの形で週休二日制を実施するように努力をいたしておりますが、私どもの最新の調査によりますと、週休二日制を何らかの形で取り入れている事務所現場と両方に分けておりますが、事務所では七七%、これは月に一度かもしれませんが週休二日を取り入れているというのが七七%、現場ではこれがちょっと落ちまして五八%強、これが何らかの形で週休二日制を取り入れているという調査結果になっております。
  21. 鈴木直和

    説明員鈴木直和君) 労働時間の問題についてお答え申し上げます。  平成二年の建設業労働時間、今も御指摘ありましたように二千二百十三時間ということで、建設業においても前年に比べて三十五時間減というように着実に労働時間の減少は進んでおります。ただ、他産業に比べますと、今お話しありましたように百五十時間、全産業平均に比べて百五十時間ほど長いということで労働時間改善はほかの産業に比べておくれている、そういうふうに認識しております。  また週休二日制、これにつきましては、私ども建設業全体ということでつかまえておりますが、若干先ほどの説明数字が食い違いますが、何らかの週休二日制を採用しているところが建設業で五七・六%、全産業平均が八二・七%でございますので、これも全産業に比べておくれている、そういう実態でございます。そういうことから、建設業基幹産業でございますので、ここにおける労働時間の短縮に今後全力を挙げて取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。  以上でございます。
  22. 青木薪次

    青木薪次君 労働省にお伺いしたいと思うのであります。  週休二日制、いわゆる長く休んでもらうということを重点としているようでありますが、まあそれも結構でしょう。しかし、労働基準法の改正というような問題も付随して、しかもこのことについては、全産業がそういう形で中小企業も含めてやるということでなければ、具体的に実効は上がらないと思います。  今も私が指摘いたしました一九九二年までに千八百時間にしたいという労働省の訴え、このことは現在も有効に生きているというように考えてよろしゅうございますか。
  23. 鈴木直和

    説明員鈴木直和君) 千八百時間の問題につきましては、経済運営五カ年計画におきまして「おおむね計画期間中にし「千八百時間程度に向けできる限り短縮する。」というふうにされているところでございます。  これは全産業平均の考え方でございますが、各産業においてもそういった目標を踏まえて労働時間短縮に向けて最大限の努力を傾注していきたい、そういうふうに考えております。
  24. 青木薪次

    青木薪次君 これはいわゆる到達目標といったようなことを訴えるとか、あるいはまた現実にことしの春闘の結果なんかを見ましても、労働時間短縮は欧米並みにしようというようなことを考えておってもなかなかこれは実際問題として難しい。しかし、それはやっぱり指導官庁である労働省がそのつもりでやらないと、事情はよくわかったということだけを一つ訴えて慰め合っているような状態では、とてもこれは実施できないんです。ですから、その点についてはやはり具体的指導をしないと、この労働時間短縮週休二日制の問題も含めて難しいと思うのであります。  そこで、建設省はいわゆる発注者側の立場をとるという官庁でありますから、そういう立場に立って週休二日制を織り込んだ積算の実施等が必要となってくるのでありますが、このことについて、公共工事発注者としての建設省はどういうような考え方を持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  25. 玉田博亮

    説明員(玉田博亮君) 発注者といたしましても、労働時間の短縮につきましては、これは労働環境改善いたしまして施工体制の確保を図る、こういった観点からも必要不可欠な課題であるというふうに認識してございます。  建設省直轄事業におきましては、例えば工期の設定に当たりまして、休日の日数といたしまして日曜祭日は当然といたしまして、官公庁の土曜閉庁日、それから夏休み、年末年始の休暇等を工期算定の基礎に算入してきたところでございます。しかしながら、この措置のみでは十分であるとは考えてございません。昨年の十一月から実際の工事現場におきまして週休二日制、これは完全週休二日でございますが、土曜日曜を完全に現場を休んでしまおうというモデル工事を試行し始めてございます。  具体的には、昨年関東地方建設局におきまして、まだ五カ所ではございますが、モデル工事の試行に入ってございます。平成年度におきましては、これを全国の地方建設局に拡大いたしましてモデル工事実施し、週休二日制に関します実施上の課題を明らかにしてまいりたいというふうに考えております。  なお、このモデル工事におきましては、土曜日を完全に休みにいたしますので、その分につきましては休日の手当をあらかじめ計上する。それから、工期につきましても週に五日間働く、こういう前提のもとで業者側と契約をいたしまして、それを明らかにした上で仕事を進めるというふうにしてございます。
  26. 青木薪次

    青木薪次君 国が発注する公共工事だけでなくて、私は、道路公団等の政府機関と地方公共団体発注する工事について、今審議官がおっしゃったようなことをやっていかなきゃいけないというように考えているわけでありますが、一番問題になるのはフレックス工期、いわゆる受注者側が発注者側と相談いたしまして両方で相談をしてやっていく。今までともすれば、発注者側がこれこれの工期の中でやらないとおまえのところは指名してやらないぞと、こういうことが多かったんです。それもこのフレックス工期制の導入といったような問題等について、私はやっぱり一番道路工事等が非常にこの点についてはこれからメーンの事業になってくると思うのでありますが、道路局長、その辺についてどう考えていますか。
  27. 玉田博亮

    説明員(玉田博亮君) ただいまのフレックス工期でございますが、これにつきましては新潟県が昨年から試行しているものでございます。先生指摘のとおり、請負業者の皆様が資材それから労働力の調達に合わせまして、ある定められた一定の期間の中で施工の時期を業者側が任意に選択できるという仕組みでございます。  この制度につきましては、特に寒冷地等におきまして年度当初に相当数の発注がなされる場合、あるいはただいま先生指摘の道路工事の場合、維持修繕工事中心であろうと思いますが、そういった場合に公共工事平準化に役立つのではないかというふうに私ども考えております。一方、建設省の直轄工事におきますように比較的工事の規模が大きい場合におきましては幾つかの課題もあろうと思います。  しかしながら、新潟県のこの試行の結果も私ども今勉強中でございますので、そういった結果を踏まえまして、建設省においても今後これをどうしていくかという課題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 労働省は、公共投資基本計画実施に当たって、今後当分の間建設労働者不足が続くと予測いたしまして、必要な人材の確保、労働時間短縮等を内容とする建設雇用の改善計画を作成した、こういうことが報じられているわけであります。  計画の内容について、どうなっているのか説明していただきたいと思うのでありますが、特にその中で汚い、きつい、危険と言われる三Kの職場を積極的に改善をしていく。特に建設現場についてはこのことが必要であるというように考えるわけでありますが、この点についてはどうなっているのか。あるいはシャワーとかトイレとか休憩室を備えた車両、いわゆるリフレッシュカーを普及するというふうなことを予定されているのでありますが、どの程度の普及程度を見込んでいるのか、 そういう点も含めて説明してもらいたいと思います。
  29. 若木文男

    説明員(若木文男君) ただいま先生指摘の第四次建設雇用改善計画のことでございますが、平成年度の今年度から五年間の計画で新たに実施をしてまいるということで先般策定をいたしたところでございます。  御指摘のように三K、私ども余りこういう言葉を使いたくないわけではございますが、世上言われてございます汚い、きつい、危険といったような労働現場から、私どもキャッチフレーズということで三Cとつけさせていただいておりますが、英語を使わせていただいて恐縮でございますが、快適、創造的あるいはきれいな、といった方へ労働現場に持っていきたいということで努力を進めてまいることを考えておるところです。  具体的な中身のお尋ねでございますが、当年度予算をお認めいただきましたところで総合工事業者によります関連下請企業労働者のための雇用改善の各種の事業を進めてまいる、あるいは実際に労働者を抱えて日夜努力をいただいております専門工事業者の方々、そういった方々の団体におかれまして、特に福祉が立ちおくれておると労働条件等についての御指摘も先ほどございましたけれども、そういった面についての努力を一体になってやっていただくということを進めてまいりたい。あるいは今後十年の公共事業計画を進めるに当たりまして、人材を確保するという観点から、認定職業訓練の一層の推進によります若年の建設技能労働者の育成事業を進めてまいるといったようなことを計画の当面の目玉にいたしまして取り組んでおるところでございます。  また、具体的なお尋ねでございましたシャワーあるいはいろいろとそういった施設のついた労働者の福祉のための車、リフレッシュカーというふうに私ども呼ばせていただきたいというふうに今考えておるわけでございますが、これにつきましても予算を認めていただければそれによりまして普及を進めてまいりたい。その前にまず開発という過程がございますので実際に普及ということで進めてまいるのは年度後半になってまいろうかと思いますが、できるだけ広くお使いいただきまして、特にそういった面で立ちおくれているとも思われます町場につきまして御利用いただいて職場の改善に努めてまいりたい、かように考えております。
  30. 青木薪次

    青木薪次君 建設関係技能労働者不足し、または地域間で不足の程度がばらついている状況を改めるために、建設技能労働者地域間で融通するためのネットワークづくりに着手したと報じられているわけでありますが、具体的にこの構想は進んでいるのかどうなのか、建設業界としてこの構想に参加していくべきと考えるものでありまするけれども、業界の反応はどうなのか、この点ひとつ局長説明を願います。
  31. 鈴木政徳

    政府委員鈴木政徳君) ただいまお話のございましたように、やはり地域間のミスマッチというものを解消しようということで、既に例えば大手の業者などは協力業者のネットワークを通じまして地域間での労働力の融通を行っている、また事業者団体でもそういうことをやりたいという動きが出てまいりました。  そこで、私どもは昨年の夏に音頭をとらせていただきまして、各業界ごとに地域間のそうした労働力の需給関係を情報として提供いたしまして、そして自主的に需給のバランスをとっていただくということで建設労働需給情報の整備ということを図ろうとしたわけでございます。幸いに、日本左官業組合、全国鉄筋工事業協会、それから大工の工事業協会、日本鳶工業連合会、日本建設躯体工事業団体連合会の方々がこの情報ネットワークに参加していただきまして、それぞれの業界団体で本部レベル、支部レベルで労働力の過不足状況を流すことにしているところでございます。  そういうことで現実にこの情報交換を始めたわけでございますが、もちろんそれなりの効果はあったと思いますが、残念ながら、ただいま挙げましたような業界は一般的にどこでも不足しているというような現状もございまして、まだミスマッチを解消するという、その余っているところがなかなかないというような傾向が強くなっておりますが、いずれにいたしましてもこういうことをやってみまして業界からもその必要性は認知されておりますので、今後ともこうしたことを関係業界に広めていくように努力していきたいと考えているところでございます。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 若手労働者が不足する中で建設業工事現場に女子職員を採用しようとするケースがふえてきております。例えは悪いけれども、今度の湾岸戦争なんかをテレビで見ましても、女子の兵隊がどんどん行っているということは何か、やっぱりハイテク戦争ですね、ハイテク産業というものになってきているということだと思うんです。  ですから、そういう中で、女子が実際に仕事ができるというようなことを考えると、やはり女子労働者の受け入れ体制というものが必要であるというように考えているわけでありますが、女性が安心して働ける職場環境をつくっていくために労働省はどういうように考えているのか、お伺いしたいと思います。
  33. 若木文男

    説明員(若木文男君) お答え申し上げます。  先ほど先生の方で御引用いただきましたが、第四次建設雇用改善計画、その中におきましても女子労働者への対応の強化ということをうたっておるところでございます。  御指摘のとおり、昨今、人手不足ということだけではございませんが、女性が建設業にも進出をしておられる、大学卒業あるいは工業高校卒業の女性の意欲ある方が出てきておられるということは私ども非常に頼もしく思っておるわけでございます。そういった中で、今先生いろいろ御懸念、御指摘もございましたけれども建設業におきます女子労働者の適切な雇用機会の提供、そういったものを進めていくという観点から、女性の建設業におきます配置あるいは職業訓練を含めましたいろいろな処遇のあり方、あるいは環境整備、受け入れ体制の整備、それにつきましてまずは私どもとしても少し調査研究を進めてみたい。あるいは、いろいろマスコミ等にも取り上げられているところでございますが、好事例につきまして私どもなりに収集をいたしまして、こういった形で女性をお使いくださいといいますか、女子の方にも活躍をしていただきたいというようなことを進めてまいりたいというふうに私どもとしては考えております。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 それから、最近の労務費の大幅な値上がり問題が出ているわけでありますが、適切に積算に反映されているかどうかという点は大変問題に実はなっていると思うのであります。公共工事といえども、それはどうも積算に労務費が計上されていない、値上がりが計上されていないというために断る企業も出てきているということさえ聞いているわけであります。  建設省として積算の適正化のためにどのような措置を講じているのかどうなのか。考えてはいるんだけれどもいわゆる一段落としたということでもうけが吹っ飛んじゃうというようなことも言われているわけでありますが、特に中小企業の立場なんかは、やはり下請なんかの場合においては、それでもうもうけるどころか、いかに損を少なくするかというようなことで大変困っているところがあるわけでありますが、その点どういうように対策を講じているか、答弁願います。
  35. 鈴木政徳

    政府委員鈴木政徳君) 先生よく御承知のとおり、建設工事の設計労務単価につきましては、毎年十月に建設省を初め運輸省、農林水産省の工事現場一万件以上を抽出いたしまして十五万人程度の現場労働者の賃金の支払い状況を賃金台帳から調査いたしまして、これに、調査時点から翌年の四月、新年度が始まるまでの時点修正を加えたものを毎年度の公共工事の設計労務単価として利用しているところでございます。平成年度につきましては、いろいろ労賃等含めまして値上がりがあったものですから、この毎年の十月の調査のほかに昨年は六月に臨時の調査を行いまして、その 調査結果に基づいて十月から新しい設計労務単価を採用するということにいたしました。この六月調査昭和五十九年以来七年ぶりのことでございました。  そのほか、賃金台帳に正確な労賃をつけなければ実は設計労務単価に正確な労賃が反映しないわけでございますので、ここ二、三年、建設業団体と協力いたしまして正確に賃金台帳をつけようという全国キャンペーンも行いまして、この調査に正確に労賃が反映するように努力しているところでございます。  また、ことし四月からは、昨年十月の調査を行いますが、もし今後も労賃が相当値上がりするようでしたらまた昨年同様六月の調査も考えなければいけないということになっております。もちろん設計に当たりましては労賃のほかに資材の単価であるとかいろいろ諸経費が積み重なって設計単価が出るわけでございまして、そういう部門につきましても常に実態を見直ししながら設計単価が実情に合うようにという努力をしているところでございます。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 建設関係技能職労働者が不足する中で、この増加する公共事業を円滑に消化していくために省力化工法が今いろいろ言われているわけでありますが、この中で建設ロボットというような方法を導入しているところも出てきております。  経営基盤の弱い中小企業がロボットを導入するということは大変なお金が必要になってくるということだと思うのでありますが、このために金融関係とかあるいはまた税制関係等についてひとつ面倒を見てやろうというようなことについて考えていらっしゃるかどうか、お伺いしたいと思います。
  37. 玉田博亮

    説明員(玉田博亮君) 建設現場におけるロボットの普及の問題でございます。私どもまことに残念ながら建設現場におきましてはロボット化の進展がおくれてございます。これは建設現場に特有な現場条件がそれぞれ異なる、こういった問題に起因するのでございます。しかしながら、御指摘にございますように、これは労働力不足でございますので省力化、合理化の推進はぜひとも必要でございます。  そこで、建設省におきましては昨年度から総合技術開発プロジェクトという研究課題といたしまして、建設事業における施工新技術の開発という問題を取り上げまして、建設現場におけるロボット化とそれからプレハブ化の推進を図るための技術開発に精力的に取り組んでいるところでございます。  なお、御質問のございました中小企業の皆様方にロボット化の推進をするというふうな観点から私ども税制上の措置を講じさせていただくということで、中小企業新技術体化投資促進税制、いわゆるメカトロ税制というふうに言ってございますが、通産省の方と共同いたしまして対象機種の拡大を年々図ってきているところでございます。現在のところ八機種の建設ロボットが税制上の特別措置が受けられるというふうになってございます。
  38. 青木薪次

    青木薪次君 増加する公共事業を円滑に施行していくためには人手不足の問題もさることながら、セメントとか木材とか鋼材とかアスファルトといったような建設資材の需給は比較的安定した動きを示しているのでありまするけれども、将来的には極端な不足はないと思うんだけれども、心配なのは砂とか砂利とかの骨材の需給であると思うのであります。  私は大変この辺が問題のところだと思うのでありまするけれども、今急ピッチで道路工事が進んでいるわけでありますが、道路局長、この辺の心配はありませんか。
  39. 藤井治芳

    政府委員(藤井治芳君) 道路工事を進める際にいろいろとそういう骨材の需給あるいは残土の処理の問題、これは計画の段階で関係の地元市町村あるいは県あるいは関係団体と調整をいたしましてそういう支障がないように、特に高速道路などをやる場合にその工事が市町村道の工事に影響を与えないように、あるいは地元の下水道工事に影響を与えないようにというようなそういう意味の調整を含めた対応を取り組ませてきておりますけれども、今後高規格幹線道路といったような大規模工事がこれからどんどん出てまいりますので、その際は一層この点を注意してまいらなきゃいけないと思っております。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 通産省はどういうふうに考えていますか。
  41. 長田直俊

    説明員(長田直俊君) 先生指摘の骨材の長期需給見通しでございますけれども、私ども通産省といたしましては、長期需給見通しにつきましてはまだ公共投資基本計画の各事業ごとの詳細が必ずしも全部明らかになっていないこと、民間需要の動向を長期にわたり見通すことが極めて困難であることといったようなことから、現在のところ公式な見通しは立てておりません。  しかしながら、御参考までに申し上げれば、骨材需要の約三分の二はコンクリート用として使われておりますが、公共投資基本計画実施によりもたらされる需要増加量をいろいろな前提を置いて機械的に試算してみますと、一九九〇年度から二〇〇〇年度に向けて年率約一%の増、絶対値で申しますと約七千万トン程度増加すると考えております。  こういった量を前提といたしますと、今後の骨材供給につきましては砂利採取業者、それから採石業者など民間事業者の自助努力によりカバーすることが可能と考えておりますけれども、こういった骨材と申すものは社会資本整備に必要不可欠な材料と私ども通産省も認識しておりますので、今後とも必要があれば通産省として所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 通産省は民間需要関係、需給見通しがまだ立っていないというような答弁をされたわけでありますが、この点については四百三十兆円と冒頭私が申し上げましたいわゆる公共工事は、これはもうどうしてもやってもらわなきゃならぬ課題となっているわけであります。ですから、そういう点から考えて、安易な形でこの問題を見通すことはできないという現状にあると私は思うんです。  そういたしますと、特に今申し上げた砂とか砂利は河川での採取が厳しく規制されておりまして、今では多く山砂利などに頼っているという現状にありますので、これはただそれだけだと環境の汚染――汚染というか環境を破壊するといいますか、そういうことにつながるおそれもあるわけでありますけれども、十分な量を将来的に確保することができるかどうか大きく懸念されていると思うのであります。  今後の建設活動の隘路とならないように供給対策に万全を尽くすことが必要だというように考えているわけでありますが、通産省の今の答弁からいうと、この問題に対する危機感というものが余りないというように私は思うのでありまするけれども、もう一度答弁してもらいたい。
  43. 長田直俊

    説明員(長田直俊君) 機械的な需給の前提を置いて今までのトレンドを引っ張ると先ほど言ったような状況でございますが、既に骨材の問題は昭和四十年代の半ばより私ども通産省としては非常に重要な問題という認識をしてきております。  産業構造審議会、それから私どもの生活産業局長の私的諮問委員会などにおいてもその重要性につきましては従来から討議しているところでありまして、また現在はセメント関係につきまして非常に集中的な議論を行っておりますが、このセメント関係の需給についてある程度の見通しが立った時点で私どもそれに関連する形としての骨材の対策を一層検討してまいりたい、かように考えております。
  44. 青木薪次

    青木薪次君 この点は非常に重要な課題だと、産構審やその他生活産業局長の私的諮問機関でも検討している、こういう答弁でありまするけれども、やはりこの点については若干対応がどうもなまぬるいというように私は考えているわけであります。  砂利や骨材の広域的な需給調整というような問 題も今機関を設置してやっているわけでありまするけれども、広域的な見地から安定供給を図るというような気持ちはあるのかないのか、この点もお伺いしたいと思います。
  45. 長田直俊

    説明員(長田直俊君) 繰り返しになりますが、私ども全国的なレベルで社会資本の充実に骨材はなくてはならないものだ、それからさらに、それを考えるに当たって環境問題への対応が非常に懸念されるところであるという認識は重々持っておりますので、先生指摘のような見地から今後とも検討を進めてまいりたい、かように存じております。
  46. 青木薪次

    青木薪次君 砂利不足が恒久化する中で、品質のよい川砂利に代替する山砂利や海砂利で多様化するということは今やっている方式だと思うのでありまするけれども昭和六十二年ごろから新幹線の橋げたやビルのコンクリート部分にクラックと言われるところのひび割れが多発いたしております。これは非常に問題になっているわけでありますが、この原因は、火山性の山砂利やその他、砂利の中に含まれる塩分がアルカリ骨材反応を起こすことが原因だということが言われております。  通産省は六十一年に生コンクリートの新しいJIS(日本工業規格)を公示して、そして塩分の総量規制を実施するということになったと聞いているのでありますが、新しい工業規格でコンクリートの劣化現象を防ぐことができるかどうか。また、建設省としても、コンクリートの劣化防止策を研究していると聞いているのでありますが、研究の成果はどのようになっているのか、御答弁願いたい。
  47. 長田直俊

    説明員(長田直俊君) 御指摘のJISの点につきましては、私ども通産省の中の工業技術院というところで対応していますので、必ずしも明白な資料を現在持ち合わせておりませんけれども、御指摘の諸般の特殊な岩石分を使った場合にはアルカリシリカ反応というものが起きるというようなこと、それからさらに、関西地区の一部で海砂の塩分をなかなか除去できない、その結果、亀裂が生じていたというような事実があったようなこと、そういうような事実があったのは私ども十分認識しております。  こうした成果はいろいろな形でJISの方に反映させていくという心構えでございますが、劣化そのものにつきましては、私ども現在のところどういう状況になっているか、JISそのものには劣化というような概念では書いてなかったのではないかと思います。
  48. 青木薪次

    青木薪次君 最近、住宅都市整備公団住宅で、いわゆる塩分によるアルカリ骨材反応とは異なり、コンクリート本体が変質する劣化現象が発生していることが埼玉県下の公団住宅団地で判明いたしまして、公団住宅居住者から心配の声が高まっているわけでありますが、建設省はこの公団住宅の劣化現象についてどのような原因解明を行い、またどのような対策を行っているのかどうなのか、説明してください。
  49. 立石真

    政府委員(立石真君) 突然の御質問なので答えを用意していないところでございますが、その件につきましては、最近といいましても何年か前ではないんでしょうか、もし私の記憶しているところでありますと、二年ほど前の劣化現象であろうかというように考えているところでございます。  これは鉄筋の上にコンクリートを打ち込むわけですが、そのかぶり厚等が薄かったために起こった現象というように判断いたしまして、それらにつきましては委員会等の検討を経て修繕をしたところだというように記憶しております。
  50. 青木薪次

    青木薪次君 新幹線のけた工事等についてつらら現象が起こったり、あるいはクラックが入ったり大変心配されておったわけでありますが、これは塩分を除去することで検討を重ねて対策を立てたということを聞いているわけであります。今住宅局長説明があったわけでありまするけれども、これから四百三十兆円の基本的な対応というのはやはり道路とか住宅とか、あるいはまた下水道とか河川とかそういったような公共工事中心でありますから、その点で私は今いろいろと皆さんの意見を代表して言っているつもりであります。そういう点について今どうなっているか、また後日でもいいからいろいろお聞かせを願いたい、こういうように考えます。  それから、増加している公共事業を円滑に執行していくためには、建設工事実施に伴って発生する建設残土とか建設廃棄物、この適正処理の問題が非常に重要視されているわけでありますが、建設省は建設残土の再生利用や建設廃棄物の資源化に向かってどういうような対策を講じているのか、この点を説明していただきたいと思います。
  51. 鈴木政徳

    政府委員鈴木政徳君) 御指摘のように、残土それから廃棄物は建設工事の増大に伴いまして非常にふえておりまして、残土の受け入れ地あるいは廃棄物の最終処分地の不足というものが非常に大きな問題になっております。今後の公共工事を円滑に進める上で非常に重要な問題であるというふうに認識しているところでございます。  建設省といたしましては、研究会等をつくりまして廃棄物及び残土の当面の対策をまとめまして、それを地方公共団体等に参考に流して今後の対応策をとることにしております。  具体的には、残土や廃棄物ともにやはり工事現場からの発生量の抑制、例えば残土でしたらできるだけその現場で使う、廃棄物については今後発生量がなるべく出ないようなそうした建設資材や建設工法を採用するというようなこと。それから、特に残土につきましては、これは有用な資源でございますのでできるだけ工事間の利用をしよう。また廃棄物につきましては、これも分別すれば十分有用な資源でございますので、これを再資源化いたしましてできるだけ再利用しよう、公共工事がそれを率先して使っていこうというようなこと。あるいは発注する場合に施工条件の明示ということで、単に五キロ先へ捨ててこいということではなくてちゃんとした行き先を示す、あるいはそのための費用を積算するというようなこと。さらには公共工事で、例えばスーパー堤防であるとか、そういうように残土を多量に利用するような公共工事も積極的にやっていくというようないろいろの対応策をとっているところでございます。  また、今国会では、通産省を中心といたしまして関係省庁一緒になって再生資源の利用の促進に関する法律案をつくりまして、発生量の抑制、さらには有効利用促進を今後図っていこうということで法改正の審議をお願いしているところでございます。
  52. 青木薪次

    青木薪次君 最後に、私は先ほどの建設骨材の需給関係の調整とか、あるいはまた廃棄物並びに最終処分地とかそういったようなことについては今もう大変な事態になってきていると思うのでありまするけれども、例えばこういうものの対策のために公共が関与したいわゆる第三セクターのようなものをつくっていかなければ――一業者とか特定地域だけで横浜から四国までごみを運んでいる、残土を運んでいる、こんなことはいけないことだと思うのでありまするけれども、この点についてはどう考えますか。
  53. 鈴木政徳

    政府委員鈴木政徳君) まず、骨材等につきましてでありますが、先ほど来お話がございましたように、幸い史上最高の生産を今維持していてもらっておりますので何とか需給バランスはとれておりますが、しかし長期的に見た場合、さらには地域間で見た場合にいろいろ問題はあろうかと思います。私どもも再生資源等も利用しながらできるだけ今後とも長期的にバランスをとっていかなければいけないと思っておりますが、ただいま御指摘のような公共が絡んだ三セクのようなもので供給体制をということにつきましては、大変御示唆に富む御提案でございますので、今後どうするかということを検討する中の有効な方策として検討させていただきたいと思います。  それから、残土、廃棄物につきましてでありますが、例えば建設残土につきましては既に第三セクターの設立の動きがございまして、これは首都圏の一都三県で建設残土が相当出る、残土は資源でございますからこれをうまく使うところがあればいいわけでございますので、最終処分地という ことに負担をかけないで事業間で利用できる、そういうことを行うために、一都三県が中心になりまして、今第三セクターの設立準備を進めているところでございます。こういうところでも残土の有効利用に関する調査研究であるとか、それからやはり最終的には残土が出た場合には受入地の確保、そういうようなことをこれから模索していくということで第三セクターをつくったところでございます。  こういうことで、残土につきましても、また廃棄物につきましてもやはりこれだけ問題が深刻化しておりますので、公共が絡んだ形で今後の処理体制というものは考えていくべきだと私どもも考えております。
  54. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 私は、今度の地方選挙でずっと回りまして、なるほどな、これが実態だなと感じた感想を含めてまずお伺いしたいんですが、一つは、年度末なものだからどうにも忙しくてという建設業界の皆さん方の言葉であり、同時にまた、現地を回ってみますと、なるほどあっちもこっちも工事がたくさんある。考えてみますと、同じ場所をしょっちゅう通っているわけではありませんけれども、普通年間通しての工事の施工状況に比べれば、やっぱり年度末には随分と工事があっちもこっちも多くの箇所が工事中だなという実感を深くしました。これは田舎の方ではそれでも相当な延長の中でぽつぽつとですから、車を走らせても特別そんなに気になりませんけれども、これが若干人口や人家も集まっている都市部になりますというと、ちょっとした渋滞というのがやっぱり大変ないらいらのもとになります。  そのことを実感しながら、以前にも質問したことがありますし、また青木委員からも今質問の中にありましたように、このことがゼロ国を初めとする事業、特に公共事業平準化というものの必要な一つの大きな理由だなということと同時に、雇用の問題等を含めて、やっぱり年間を通して仕事がずっと平準化されてあるということによって初めて企業はいろいろな計画が立つ、人間の雇い方からあるいは研修からいろいろな計画が立つし、またさらに週休二日等のことをやろうとしても、その辺がきっちり整っていかなければなかなかやれる状態ではないな、こんな感じがしたわけです。  そこで、今度のゼロ国で非常に関係者も喜んでおるわけですが、このことを将来ともずっと続けていく、年間の平準化というのが恒久的にできていくような、そのことをぜひ建設大臣に考えてほしいし、きょうは公共事業担当の主計官も見えておるようですから、このことは以前も私はその必要性というのを強調したことがありますが、このことをしかとお考えをいただいて、会計年度独立の原則なり、いろいろな予算が成立しなければ実際の発注はできないという諸般の問題がありますが、そこを実態的にどう解決していくか、そういう問題としてぜひとらえてもらいたい。  もう一つは、さて新年度予算が決定する、国会でも議決されて決定した後の次なる新しい年度事業発注というのは、成立後いろいろヒアリングをしてずっと発注行為が進められていく。発注をできるだけ早くやりながら、年間を通して事業平準化されるという、そのこともあわせて考えてもらわなきゃならぬなという気がするわけです。  まず冒頭、その感じを深く持ちましたので、そのことへの取り組みをお伺いしたいと思います。
  55. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 本委員会の各先生方から今までもたびたび公共事業発注平準化ということの重要性について御指摘をいただき、またいろいろと御支援を賜っておるわけでございますが、私ども一言で言って、最近の公共工事を支える建設業の現実、とりわけいわゆる技能工の需給のアンバランスなどを考えますと、ますますこの平準化というものは重要である、こういうふうに確信を持っておるわけでございます。  そういった中で、平成年度、今先生指摘のように六千億円というゼロ国債計上していただきました。これは平成年度と同様に引き続いて同額のゼロ国債をお認めいただいたわけでございますが、御案内のとおり、ゼロ国債というのは昭和五十七年度から導入されているわけでございますが、平成年度、二年度については、とりわけこの公共工事発注平準化、いわば労働需給の厳しい環境の中での平準化という視点が盛り込まれて今日あるわけでございます。  私ども、何分とも御案内のとおりの我が国の財政制度の中で、どうやってこの平準化の道筋をつけるかといろいろ苦心しておる中でこういったゼロ国債が二年度にわたってお認めいただいたということについては、大変ありがたく受けとめておるわけでございますが、今度とも私どもは、平準化のために大変有力な施策ということで、ますます重視して取り組まさせていただきたい、かように思います。  と同時に、もう一つ平準化のために大きな効果のありますのは、いわゆる国庫債務負担行為でございます。先ほども大臣から御答弁申し上げましたけれども平成年度予算におきましても、国庫債務負担行為を私どもかなり大幅に計上させていただいているところでございまして、数字を申し上げさせていただきますと、工事関係の国庫債務負担行為は、建設省関係で一兆五千三百二十三億円ということで、対前年度比二〇・七%増というものを予定させていただいております。  いずれにしましても、こういった国庫債務負担行為活用とあわせてゼロ国債というものについても、今後いろいろと財政事情等々あろうかと思いますが、基本にはこの公共事業を支える建設現場というものをいかに安定的に堅実に持っていくかということで、非常に有力なものとして今後とも一生懸命努力させていただきたいと考えておるところでございます。
  56. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 国庫債務負担行為の有効な活用によって平準化ということについては前回も申し上げましたし、その取り組みの姿勢もそういうつもりでしっかりやっていくということでございますので、あわせて、さっき申し上げましたように予算が決まったら、その後の発注の仕方というのも同じ意味で十分心してやっていただきたいと思います。  もう一つは、道路をずっと通りますと、落石注意という看板がよくありますね。あれは、何か事故でも起こった場合に、あの注意の看板を立てておったんだからという責任逃れのために立てておるのか、それとも、これからそう遠からず片づけますが、とりあえずもう間に合いませんのでということでかけているのか。その看板が立ってから長いこと落石注意の看板がつけられたままというのも随分あるということですが、その辺についてのことを聞きたい。
  57. 藤井治芳

    政府委員(藤井治芳君) 突然の御質問でございますが、私どもも実はあの問題は、一庶民に立ち返ってみますと、非常に疑問を感ずることはそのとおりであります。  これはどういうことかと申しますと、道路は刻々と変化をいたしておりますので、道路の沿道の土地利用が変わってまいります。そうすると、今まで安全であったと思われるところが斜面の上の方の水事情、水の動きが変わってまいりますから危ないというようなことで、道路のそういう斜面等を含めた落石のおそれのある箇所は、絶えず私どもはパトロールをして注意をいたしております。  そういう中で、例えば平成年度は防災総点検をいたしまして、全国的にすぐにでも対応しなけりゃいけない箇所を調べているわけでございますが、そういう地域の中で歴史的に見て、小さな石がころころと落ちる、あるいは過去にも落ちたことがあるというようなところで、通る方にもここはそういうところですよということを御認識いただきながら通っていただく、そのことが責任逃れをするとかなんとかという以前に、そういう歴史的経緯を持った、あるいは自然的な状況を持ったところであるということを通る方にも御認識いただく、そういうような意味でございます。  そこで、私どもはそういう情報の提供もしなが ら総点検をし、かつ毎日毎日パトロールをしながら斜面等の状況等を見ておりますから、その中から変化をとらえて、総点検に入らないものであっても状況変化によっては対応していくというようなことで、これはそれぞれの現場において全部やり方が違いますけれども、細やかな対応をいたしてきております。そういうようなことから、これからの道路は安全が何しろ大事だという認識に立って、これについては一層その強化と職員の指導もいたしてまいりたいと思っております。
  58. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 答弁としては名答弁でございますけれども、何年も同じ場所に落石注意というのじゃ説明がなかなかつかぬと思いますから、そういう問題の解消のためにひとつ頑張っていただきたいなというふうに思います。  さて、平成年度の国勢調査速報値によりますと、十八の道県で人口が減少する一方、東京圏の人口は依然増加を続けておるようです。ただ、増加率で見ますと東京都は〇・二ということで、二万五千六百ぐらいの増加ですから、東京はもうほとんどまず人口増がとまるという状態にだんだんとなったのか。ところが、周辺を見ますと、神奈川が七・四、五十四万増、それから千葉が七・九、埼玉が九・二、千葉が四十万、埼玉が五十四万増加という状況ですね。その前の昭和六十年の国勢調査では人口減少県は秋田だけだったという。それに比べて十八道県が人口減という状況になっている。これをこの数字で見ますと、さあ東京一極集中、これは東京都だけでなくていわゆる東京圏に余りにも一極集中。一等最初は東京そのものだったかもしれませんけれども、周辺も含めてやっぱりこれはちょっと問題ではないか。もっともっと地方の手足の部分というのに血が通うような、そういう国土全体の均衡ある発展を遂げなければやっぱり日本という国はこれが一番問題よということは、まさに国土庁の仕事の一番大きな部分だと思うんです。  こういう結果が数字の上であらわれてきているということは、一極集中を排除して多極分散ということをうたいながら四全総でこのことを強力に推進していこうという、そのことが結果としてはどうも効果が出てないなと、そういうぐあいに言わざるを得ないという気がするんですが、このことについてどうお考えか。一体原因はどうなんだろうか。それほど細かくは要りませんが、一番主要な点はどうなんだろうかということについて、まずお伺いをしたいと思います。
  59. 長瀬要石

    政府委員(長瀬要石君) ただいま御指摘賜りますように、昨年の国勢調査の速報によりますと、十八の道県において人口が減少を見ていることは御指摘のとおりでございます。  このような人口減少県がふえた原因は何かというお尋ねでございますけれども、これは主として、出生率が低下いたします中で人口の自然増が減る、自然増の幅が小さくなる一方におきまして地方からの人口流出が続いている、こういった事情があるものと考えております。  他方におきまして、東京圏への集中は御指摘のように根強いものがあるわけでありますが、これは東京におきまして経済のソフト化、サービス化ということが起こっておるというようなことでありますとか、あるいは今回の景気回復が東京圏から始まったというような事情もあろうかと思います。ただ、ここ二、三年の動きに着目をいたしますと、内需主導型の経済のもとで地方におきまして雇用機会がふえているということもございますし、あるいは地方活性化への展開ということもございまして、東京圏への人口集中の動きにはやや変化の兆しも見られるところでございます。  しかしながら、九〇年代というものを展望いたしますと、自然減を余儀なくされる地域がさらにふえるというような懸念もなしとしないところでございまして、国土の均衡ある発展を図りますために、このような国勢調査の結果というものを私ども真剣に受けとめて対応していくべき課題だというふうに考えております。
  60. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 それじゃ、どうやってこれを解消していけばいいのかなという、そのいわば骨組みでもいい、粗筋でもいい、主要な考え方として一体どうすればいいのかなということについての御意見、御見解をお伺いしたいと思います。
  61. 西田司

    国務大臣西田司君) 御指摘もございましたように、四全総の中で幾つかの柱があるわけでございますけれども、一極集中を是正して多極分散型の国土を形成していこうということは大変大きな柱であるわけでございます。今日におきましても国土政策上の最重要課題ととらえておるわけでございます。  で、今の御質問で、これらの対策をどうしていくのかということでございますが、まず一つは、お話をいたしました四全総に基づきまして、第一番目に、これは国も強力に進めてまいりますけれども地域主導と申しますか、地域づくりは地方もこのことに懸命に取り組んでもらわなければいけない。そして、国におきましては、まずその大きな基盤となるべきものを整備をしていく、例えば交通であるとかあるいは情報通信それから企業の地方分散、こういうことを進めていかなければいけないし、それらの整備を図っていかなければいけない、このように考えておるわけでございます。そこで東京圏への集中というものに歯どめをまずかけていかなければいけません。それとあわせて東京からの分散移転というものを図っていかなければいけない。  それから二つ目には、地域の活性化を図るために都市や農山漁村等の産業、経済、生活各般にわたってのいろいろな条件整備というものをさらに進めていかなければいけない、このように考えておるわけでございます。  国土庁といたしましても、関係各省庁と密接に連携いたしまして各般の施策を講じてきておるところでございますが、さらに多極分散型の国土形成のために最大の努力を払っていきたい、このように考えておるわけでございます。
  62. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 ありがとうございました。  国土庁だけで今のこういう流れを直ちに変えて、そして本当に望ましい均衡ある国土、一極集中を排除して地方の活性化というのがやれるという仕事ではないと思いますが、今国土庁長官が言われたように、まさに問題は地方にやっぱり生き生きとした仕事の場も与える、交通もあるいはこれから先の産業の一番大きな要素になっていくであろう情報通信等も含めて、もっともっと地方にもそういうネットをしっかりするということ等もいろいろ必要だと思います。私は、これはもうあらゆる機会に言い続けなきゃならぬというほどの大問題だと思います。そしてそれは、やっぱり国土庁が絶えず警鐘を鳴らし続けて、みんなで考えていこうではないか。東京なり東京圏の人たちも、これ以上我々の東京都あるいは周辺の人口がどんどんふえることは、その地域のいろんな行政を進めていくためにも決していいことではないし、住民にとっても決してゆとりのある生活の環境を整えるということにならない。これがどんどん膨れに膨れていったんじゃどう設計のしようもないということは、東京都から出ておられる建設大臣はしかとこのことを御認識いただきたい。問題のとらえ方は同じだと思います。  国土庁長官は四国でありますから、私の鹿児島と同じでいわば過疎に悩む地域であります。谷長官とてもどちらかといえば似たり寄ったりの山村問題を抱えておられる。国土庁長官国土行政の基本方針及び当面の諸施策の所信の中に「我が国は、三十八万平方キロメートルという狭い国土ながら、」というぐあいに冒頭言っておられますけれども、今度私は選挙でずっと回ってみますと、狭い日本そんなに急いでどこへ行くぐらいの感じじゃありませんよ。田舎をずっと走りますと随分長い距離の間に家がなかったり、まだまだ道路もというところがたくさんありますので、そういうところの国土をやっぱりもっともっといい姿に整えていく。そこに手ごろに人が住めるようないろんな諸条件を、そこからまた通うべき仕事の場も、あるいはその周辺に林業関係であれ、いろんなものを含めて、そこに定住できるような状況を何かつくり上げていけば、三十八万平方キロの土地と いうのはかなりゆったりとして使えるところがまだまだたくさんあるわけです。  それを総体的に考えていく場合に、国土政策の今当面手をつけなきゃならぬのはそういう地方振興、そして特に山村等で手を加えて、人間の住める地あるいは都市の皆さん方の行楽の地なり、本当にさわやかな空気を吸いながらという、そこら辺の交流がずっと続いていくような条件をそのあたりに整えていく。どちらかといえば、そっちの方に目を余計配る方が都市問題もやっぱりそこから解決の一つの目鼻がついていくという、そんな感じがしてなりませんので、このことは強調しておきます。  ところで、こういうとらえ方をいたしますと、まず一極集中の問題をとらえる場合に、東京圏だけが余り一極集中というのは困るので全国ずっと分散をしましょう、そこの考え方は開発拠点的なとらえ方をまずするという、恐らくそういう順序になっているようでありますが、これとても東京圏と余り変わらぬような、そういう拠点をたくさんつくっていかなければならぬ。それを第一段階の手法とするならば、もう一つの問題は、各県とも一極集中の地方版というのがどこにも私は出ていると思う。  私の鹿児島でも数年前までは五十万以上は無理かなと思ったのが、いつの間にか五十万の人口を超えてしまった。そして、ここでもやっぱり東京と似たり寄ったりの交通渋滞の問題であるとかいうのが、少し小型ですけれども、縮図として全部出ています。これがこのままでいっていたら、私のところの場合は、鹿児島に人間が集まる、そういう風潮から抜け出すことはまだまだ容易でない。そう考えてみますと、そこだけをとめるというのも容易でありませんから、今度はその分をそれぞれの県単位で見るさらなる小さな拠点というものでもつくるとか、もっと広域の数町村にまたがる活性化という問題をもう一つやっぱり考えなければならぬなという気がしてなりません。  だから、ここで一極集中の排除、多極分散とはいうものの、それでは今申し上げたような拠点と、またさらなる圏域等における中央との関係をどう考えればいいのかということについての御見解があれば、国土庁長官あるいは建設大臣からそれぞれ、かなり具体的な答えというのは無理かと思いますけれども、私は東京一極集中はどうも困るなということだけを主として言ってきましたけれども、同じことがまた地方版の中でもとらえられなければならぬなという気がしてなりませんので、御感想をお聞きしたいと思います。
  63. 大塚雄司

    国務大臣大塚雄司君) 先ほど来一極集中から多極分散型の国土の形成についての御高見を拝聴しながら、特に私は一極集中の東京から出ている議員でありますが、東京に極度に人が集まったという原点をもう一度探る必要があるだろう。これは申すまでもなく、人間が働くためには経済が伴いますし、そのためには業務施設が集中をするというところに一番問題があるわけです。  したがいまして、政府機関の移転を初めとして、いわゆる企業、業務施設を分散させるということが何より大事であるわけでありまして、国土庁長官がお話しのように、ともかく地方の振興をするためには、例えばどこの地域にも同じ時間で行けるような交通ネットワークであるとか、あるいは高規格幹線道路網も一万四千キロこれから整備していこうというのですから、ともかくこういう整備を急いでやるということが何より大事ではなかろうか。言い方をかえると、東京のようなところが全国に広がっていけばそれでいいわけでありまして、国土庁長官の四国につきまして橋を三本かけましても、四国の中は道路の整備がおくれておるのでは、何のために橋をかけたかということにもなるわけです。  したがいまして、私はしばしば申すのでありますが、北海道開発庁長官の捕捉されている北海道も人口は五百万ですが、一千万に目標を置くとか、あるいは四国も四百万から八百万に目標を置いていただいて、東京の人口を分散するということに尽きていくわけでございまして、そのような投資をしっかりやっていく、そのための四百三十兆円の公共投資でもあろうと思うわけであります  一方、道路とか交通機関ばかりではなくて、これからの公共投資にはやはり住民の生活に密着した投資も当然のことながら必要でありますから、公園とかあるいは下水道とか、地方に参りましてもやはり下水道が完備をしているということになれば、大都市に住むのと遜色がないというようなことにもなりますから、そういう投資を当然進めていかなければならないであろう。  今四全総の途中でありますけれども、やがて第五次全国総合開発計画も時代の推移や状況の変化や経済社会の変動に伴って策定をする時期が来ると思います。今まさにお話しのように、このままにしておきますとまたそれぞれの地域の一極集中があちこちに誕生してくる。これは決していいことではありませんし、そういう意味で見る限りでは、どうも今までは家が建ってから後からインフラを整備するというような方向もなしとはしませんでしたので、これからはやはりインフラを整備してちゃんと環境をつくって、そこに人が住めるというような段取りで都市計画や国土計画が進むような配慮も一方でしながら進めるべきではなかろうか。若干個人的な見解も含めましたけれども、これから公共投資基本計画をしっかり進めて、均衡ある日本全土の発展を期してまいりたい、このように考えております。
  64. 西田司

    国務大臣西田司君) ただいま建設大臣の方から大体の方向性については御指摘があったわけでございますが、まさに先生御発言のように、日本列島においては東京一極集中、それから地方の県へ参りますと県都一極集中、こういう形がだんだんと進んできておることは否定できないことでございます。  そこで、ちょっと御質問の趣旨からは外れると思うのでございますが、東京一極集中を多極分散型の国土に持っていこうとするなら、また地方の県におきましては県都への一極集中というものを農山村へやはり分散していかなきゃいかぬ、こういうことが非常に大事なことになってくる。そのためには、何といっても農山村であるとか地方の小さい町というのは社会資本がおくれておりますから、こういうところでお話をしてよいか悪いか知りませんけれども、例えば公共事業一つ進めるにいたしましてもできるだけ社会資本のおくれているところへは傾斜配分をしてはどうかという議論もかなり出てまいりました。傾斜配分という言葉が悪ければ、やはりおくれておる地域には重点的に整備をしていかないと今先生が御指摘になったようなことは地方においてもその是正がなされない、こういう考え方を持っておりますので、そういう方向で努力を払ってまいります。
  65. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 恐らくそれぞれの県では、東京一極集中けしからぬとまでは言つても、我が県においての県都一極集中がけしからぬという話は余り表に出ていないような気がしますが、いずれこれは必ずどの県でも問題になるに違いない。あるいは既に出ているところもあるようであります。このことをもっとやっぱりそれぞれの県も考えなきゃいかぬよということ、これは自治省が来ていれば自治省がよかったんでしょうけれども事業を進めるという立場においての建設省なり、そしてまた国土行政全体という立場からの国土庁長官の御答弁をいただきましたので、ぜひこのことも頭に置きながらさらにすばらしい国土をつくるために頑張っていただきたいなと思います。  さて、いわゆる東京一極集中をできるだけ地方に多く分散していくということのためには、建設大臣のお答えの中にもちょっと触れられましたように、やっぱり高規格幹線道路あたりでできるだけ早くつなぐという、このことは大臣の施政方針等の中にもかなり大きく書いてあるところですが、一万四千キロを進めていくスピードをできるだけ早く、二〇〇〇年に九千キロということを目標を立てておられるようでありますけれども、それはもう最低の目標であって、これをさらに縮めるという努力をしてほしいなというぐあいに思うんです。  九州で問題を見てみますと、実は残念ながら縦貫道がまだ完成していないところは南九州の人吉とえびの間だけが最後に残るという状況で、それこそ日本列島をずっと縦につなぐ高速の道路が結局ここだけが最後に詰まってしまったなという感じがするわけですが、そのことを今さらどうのこうのと言うよりも、どのくらい何年度にはでき上がらせるつもりかということを一つ聞きたいということと同時に、できるだけ分散する九州版で物を考えてみますと、九州は東回りの方がどうやら高規格道路として認定を受けて何年か後にはつながっていくと思いますけれども、今申し上げました人吉―えびの間の話とあわせて東九州自動車道の整備状況もできれば聞きたいと思うんです。  もう一つは、九州をずっと外周してできるだけ一巡するというのは、やっぱり地域全体の浮揚のために欠かすことのできない路線網だというぐあいに思うんです。真ん中は縦貫道がある、東側は一応計画されている、横はまた横でありますけれども、外回りの点から西側を見てみますと、中西部の方のずっと海岸になりますと島原半島から天草をずっと縦断してそして鹿児島県の一番北端に結ぶという、これを結ぶと一応円の形で結ばれるようになっています。同時に、鹿児島県の北の方に入るとそっちの方は熊本県の八代から鹿児島に結ぶ南九州の高規格道路というのが計画されているということで、全体が円としてまとまっている。これはやっぱり一つのナショナルプロジェクトとして考えるに値する、そういう位置づけが十分できる道路網ではないかと思うんです。  そういう点から、既に国土庁平成二年から二年がかりで基本的な調査をやっていただいて、この六月ごろにはその二年間の調査の答えが出ると聞いているわけですが、私が聞いている時期ぐらいに一応の二年間の調査が出るのか、そしておおよそその概要というのを細かくではなくても感想として聞いて、同時に、そのことはそこで終わりではどうにもならぬので、調査自体の中に道路計画等については建設省が当然実務的には関与しておられると思うんですが、その後具体的な計画に結んでいくというその次なる段階というのをやっぱり考えてもらわないと、二年間の調査はそこで吹っ飛んでしまうということになるので、そのあたりについての取り組みをどう考えているのか、国土庁建設省道路局の方からお伺いしたいと思います。
  66. 藤井治芳

    政府委員(藤井治芳君) 今大きく三点の御質問がございましたが、まず最初の今の島原―天草―長島にかかる問題については国土庁の方からお答えいただきまして、また道路局として補足させていただきます。  まず第一点、人吉―えびの間の九州縦貫自動車道の状況でございます。御承知のように九州の縦貫自動車道、これは今までは九州縦貫自動車道、九州横断自動車道しかございませんでした。これを六十二年に東九州自動車道、西九州自動車道、九州横断自動車道延岡線、南九州西回り自動車道ということで千五百キロの総延長のネットワークを構成することができました。その中で、一番最初に始まりながら一番おくれておりますこの九州縦貫自動車道の人吉―えびの間、これはいろいろな理由がございましたけれども先生御承知のように、現在この二十二キロについては用地買収及び工事を行っております。その中で全国で六番目の長大トンネルになります加久藤トンネル、六・二キロございますが、これが地質的にも難工事でございます。そこで、着手してから時間がかかるとえらいことになりますので、かなり調査に時間をかけさせていただきましたおかげで、現時点ではおおむね五年間で供用が図られるという見通しを持つに至っております。これに甘んずることなく、少しでも早く整備できるようにいたしてまいりたいと努力をいたしたいと思っております。  次に、東九州自動車道につきましての御質問でございますが、東九州自動車道は北九州を起点に鹿児島に至る四百十八キロの非常に長い延長の路線でございます。このうち、先般の国土開発幹線自動車道建設審議会において、鹿児島県の志布志町から隼人町間の七十二キロなど、宮崎県、大分県等々合わせまして三区間百九十一キロの基本計画を策定いたしております。さらにその中から、整備計画策定のために鹿児島県の末吉町から隼人町間の二十八キロなど三区間八十二キロが整備計画策定の準備に入っておりまして、もうあと一息ということで、今各県知事から環境アセスメント等の意見聴取等々の手続に入っておりまして、もうまとまる寸前になってきております。これが終わりますと、私ども全国的にこのようなものを約九百キロ弱お願いしておりますので、その全体の準備を待って国土開発幹線自動車道建設審議会の開催をお願いしてまいりたいと思っております。  さらに、そこに落とされているその他の基本計画につきましては地形、地質及び開発計画との調整、アクセス道路、インター位置ここが一番難しゅうございますが、こういったものの具体的な検討を始めておりまして、なるべく早くこれもまとめたい。さらにその中で、東九州は四十一年の七千六百キロの計画に落ちておりましたので、地域において非常にお困りでございました。そのようなことから、自動車専用道路として速く走れる高速性能を持った道路が欲しいということで努力をなさっておりまして、例えば椎田道路あるいは延岡南道路あるいは北部隼人道路あるいは隼人―加治木道路等いろいろな工夫の成果が自動車専用道路としてございます。こういうものは先人の英知でございますので、これを東九州自動車道とあわせて、全体として早く利用が可能なように工夫してまいりたい、かように思っております。  さらにもう一つ、南九州西回り自動車道というのが東に合わせて西にございますが、これにつきましても先生御承知のように八代―日奈久あるいは鹿児島道路というのが現在着工でございますし、平成年度には日奈久―芦北あるいは川内といったようなものを事業化すべく現在計画をさらに煮詰めている段階でございます。さらに芦北から水俣、出水を経由して川内に至る区間の中でも、特に地元において調査その他進んでおります芦北から出水間についてはさらに重点を置いてこの基本計画策定へ向けての調査を進めるなど、九州における千五百キロの高規格幹線道路網が少しでも早く成るように私どもも地元と協力しながら対応しているところでございます。
  67. 長瀬要石

    政府委員(長瀬要石君) 先生から御指摘を賜りました国土総合開発事業調整費によります九州中西部地域整備計画調査につきましては、二年度にわたりまして関係六省庁において調査がなされているところでございます。    〔委員長退席、理事青木薪次君着席〕  この調査は、御案内のように有明海、八代海を取り囲みます五県にまたがります地域を一体としてどのように整備したらいいかという点についての総合的な調査でございまして、平成年度におきましては地域の概況でありますとかあるいは課題の摘出、開発可能性の調査、あるいは地域整備の基本的な方針といった面について調査をしたところでございまして、交通軸の形成というような点に関しましても陸海空にわたります総合的な交通体系を形成する。このような観点から、御指摘がありましたような東側そして西側、それぞれの南北軸、あるいは東西を結ぶ軸、こういったものについての考え方というようなものが示されたところでございます。  平成年度におきましてはそのような結果を踏まえまして整備計画を策定するというような段階でございますが、ただいま各省庁の調査を踏まえまして、その結果に基づいて全体としての調整が行われているところでございまして、御指摘の時期につきましては本年の六月ごろに各省庁の調査結果がまとまり報告をいただく、このようなことでございます。  今後につきましては、九州地方開発促進計画にございますように、島原―天草―長島架橋を含みます九州西海岸地域の広域幹線ルートの構想につきまして、これらの地域の総合的な開発計画のあり方とも関連づけながら長期的な観点から対処していく、そのように考えております。
  68. 藤井治芳

    政府委員(藤井治芳君) それでは、この島原―天草―長島にかかる三県架橋のうち、建設省が担当しております言ってみればインフラに関する広域的なネットワークの調査についての状況を御報告させていただきます。  これにつきましては、今国土庁から御説明いただきましたように、全体の中でそのネットワークの役割、機能、必要性等について調査をいたしました。これが規模をどうするか、どういう位置を通するかといったような具体的な検討をする際の基本的な資料になるものでございます。そういうようなものを九州大学の教授でございます樗木教授を中心とする委員会においてずっと検討をお願いしてまいりました。おかげさまで国土庁に御報告する状況も計画どおりまとまってまいりました。  そこで私どもは、国土庁に御報告し、そして国全体としてのまとめをしていただくと同時に、この三県架橋、特にこの架橋の地域の水深が七十メートルございまして、本四架橋等々私どもは海峡架橋についての幾多の経験、成果を既に持っておりますが、この架橋はまたそれと違った意味の技術的な問題をはらんでいる、このようにお聞きしております。そういった技術的な観点を含めさまざまな角度から、今後引き続き本架橋構想について検討していく考えを持っております。そこで、海峡を横断する架橋に関しまして、大規模プロジェクトについての技術的問題点、可能性について土木研究所を中心平成年度から基本的な検討をさせていただきたいと思って、今後そのような調整をしてまいる考え方でございます。さらに、地元三県が一緒になってこの地域の構想の調査もやるとお聞きしておりますので、こういう熱意の成果も十分受けながら今後とも対応してまいりたいと思っております。
  69. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 ありがとうございました。  最後に、北海道開発庁長官にお伺いをいたしたい。  北海道は、日本の中ではやっぱり一番広い土地を持ち、特に厳しい日本農業の中でも、北海道で土地利用型の農業が成り立たなければ日本で国際的な競争力のある農業というのは成立しないというほど北海道ならではの発展可能性を秘めており、大型のリゾート地という点でもすばらしいいわば土地資源等を持っているわけですから、もっともっとここは大きく投資をしながら伸ばしていかなきゃならぬという、そういう感じを持っています。したがって、長官においてさらにこういう立場で頑張っていただきたいわけでありますが、そこで谷長官のこの私の考え方に対しての御感想をお聞きし、取り組みの基本姿勢をまず聞いておきたいと思います。
  70. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) 今、井上委員の御指摘のとおりでございまして、広大な国土を擁しております北海道は、二十一世紀を目指して未来性の非常に豊かな地域だと考えております。  そこで、北海道の現実の姿として、先ほど来委員が御指摘になりました全国の東京一点集中、それと同じように北海道におきましても札幌周辺一点集中という形が顕著でございまして、昨年の国勢調査におきましても三万五千人北海道の人口が減少したわけでございますが、しかしその内訳は、札幌周辺は札幌だけでも十三万ふえておる、そして二百十二町村のうちの七割の町村が過疎町村の指定を受けておる、こういう極端な現象があるわけでございまして、やはり農業を中心にし畜産を中心にして、北海道の全体の姿を今後非常に活力のあるものにしなければ北海道というものはなかなか北海道全体からいえば発展は難しかろう、こう思うわけでございます。私は、第一次産業の持つ魅力というものを北海道で十二分に伸ばしていただくことが一番大切じゃなかろうか、それと同時に、札幌周辺における人口の現在の増加から考えまして、定着した産業の発展というものも加味したところにやはり北海道のよさが今後生まれてくるのじゃなかろうかと考えております。
  71. 井上吉夫

    ○井上吉夫君 終わります。
  72. 及川順郎

    ○及川順郎君 初めに、通告はしておきませんでしたが、非常に興味深い大臣の御発言がございましたので、それに関連して北海道開発庁長官と建設大臣に伺いたいと思います。  北海道は一千万人口というそういう方向に、東京一極集中を変えていく中でそういうくらいの構想をと、こう大臣はおっしゃいましたけれども、具体的にその一千万に持っていくためのアイデアといいますか、そういうものがあれば伺っておきたいと思います。  私は北海道に生まれ育った者でございまして、やはり食糧生産の第一次産業の魅力という、今度は北海道開発庁長官の御発言でございましたが、働くところがない、しかも土地が限られている。そうしますと、畑作をしている人たち、農業にいそしんでいる人たちはもう人口が限られてくるわけです。そこで、子供たちは働く場を求めて札幌の周辺、要するに働く職場のあるところへ人は集まっていく。この流れはどうにもならないものがあるんですね。ですから、やはり第一次産業だけではなくて若者が働けるような産業基盤、これを北海道のあの広大な中でどう位置づけていくのかということは極めて重要な北海道開発の大きな視点になってくるのではないか、この点を開発長官には伺っておきたいと思います。いかがでしょうか。
  73. 大塚雄司

    国務大臣大塚雄司君) 先ほど私が個人的見解ということで申し上げた一千万倍増ということにつきましては、実は十年前私が国土庁の政務次官をいたしましたときに日本列島のかなりの部分を自分で運転して走ったことがございます。北海道も一回り走りまして、これだけ広大な自然に恵まれた土地で、確かに寒冷地とはいいながらこれだけ技術の進歩した時代ですから、そういうところに人がふえるような国土の均衡ある発展が望ましい。しかも、東京におります我々にしてみますと、過密で何とか分散をしなきゃいかぬ。そういうことになりますと、やはり今お話しのように産業が北海道に次々に立地していくことは非常に大事なことだと。アメリカのような広大な土地でもそうでありますけれども、それぞれの都市にはそれぞれの都市の特徴があって大きな産業が張りついて、日本のトヨタ自動車が豊田という町を基点としてありますように、北海道の都市にもいろいろな産業が分散をしていってほしい。  そういう願いを込めながら将来一千万都市を、一千万人口を目標にやっていただけたらと、こういう意味で申し上げたのでありまして、東京の我々にすれば、本当に積極的に企業を分散していただくことが望ましい。そのことによって一極集中から多極分散が実現する、こういうことで申し上げたわけでございます。
  74. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) 北海道の第五期計画におきましては、たしか六百二十万人という人口を目標にしておったと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、昨年の国勢調査で三万五千人減ったということ、それは北海道の道民の方々にかなりのショックを与えておるような気がしてならないのであります。それはやはり三万五千人減ったというよりも、札幌圏以外では十七、八万減ったというところに大きなショックがあるので、北海道の農業、以下畜産にいたしましても水産業にいたしましてもそれが非常に魅力あるというのは、例えていいますと、三月三日に私は根室支庁管内に行かせていただきましたが、根室一市四町で鳥取県の面積よりも広うございます。住んでおるのは鳥取県は六十万人、根室支庁管内は十万人、そして牛の頭数からいうと私の出身の兵庫県に近いほど一町で牛の頭数を持っていらっしゃる。そういうところで畜産酪農経営をしてもうからぬのだったら、日本じゅうの酪農家がもうからぬのじゃなかろうか、北海道でさえももうからぬのじゃ困る、こういうことの表現になるんじゃないかと思います。  そういう意味で、酪農一つに例をとりましても、もっとコストを下げるためにはどうするか。もうすべてほとんどを輸入飼料に仰いでおる立場からいえば、港湾施設で大型船舶が入るということも必要でございましょうし、港湾の施設改良も必要 でございましょうし、そういう意味で、水産業でもホタテの養殖でかなり相当な数の方々が自立水産業でやっていらっしゃるというようなことも頼もしい話でございますけれども、そういうふうな事例を見ながら、聞きながら、私はやはり北海道というものの魅力を盛り上げなきゃいかぬだろうと。  ただ、働く場所というのは、働く場所を適当に与えるということはそもそもが難しいわけでして、少なくとも終戦からこちらの四十数年の間に人口がふえていく、それが減るから困るという表現はわかりますけれども、やはりその地域に住んでおる皆さん方が豊かなゆとりのある生活だと、そして子供たちに、孫たちにこのふるさとに住ませてよかった、こういうことをおっしゃっていただけるような北海道のふるさとづくりというものが農村地帯に必要じゃなかろうかということを私は実感を持って感じたわけでございます。  札幌に一点集中していますから、苫小牧から小樽まで相当距離の長い間の工業立地というものに今主眼を置いているわけでして、北海道開発庁の進めている工業誘致にいたしましても、確かにその点は十年前と今日とは全く情勢が変わってきまして、誘致の努力が報いられたというよりも、企業の方々にやはり北海道の魅力がだんだんとわかっていただけたというふうな感じを私は持っております。  そういうことですから、今後とも積極的に工業誘致を進めますと同時に、やはり狭い意味における集中よりも広い意味における集中というところに重点を置くことが北海道の魅力じゃなかろうか。そうすることによって、業務都市という立場からは、土地が高騰いたしましても、住宅地という意味からいえば、土地はそう変わらないというふうな理想的な都市づくりができればいいじゃないか。それはやはり東京周辺ではそう簡単にいかないだろう、そういう努力は報いられにくいだろうけれども、北海道の場合はその手法によればやっていけるんじゃないかなというようなことを、就任まだ三カ月でございますけれども、たびたび北海道にお伺いし、またじかに北海道の道民の方々の御意見を聞きながら、私はそう感じておるのがきょうの気持ちでございます。
  75. 及川順郎

    ○及川順郎君 大変御丁寧にありがとうございます。  私は、日ソ関係が新しい転機を迎えている状況の中で、やはり北海道の位置づけというのも少しずつまた日本列島の中で変わってくるのではないか。そういう状況の中で、建設大臣そして開発長官のそうした発想を持っておられるということは非常に好感を持っておるわけでございまして、ぜひそういう形での今後の施策推進を期待いたしたい、このように思っております。  次に、国土庁の管轄の中で何点か伺いたいと思います。最近の地価の動向と土地行政のあり方についてでございます。  ことしの公示価格が発表されまして、全国の全用途平均で前年度比一一・三%の上昇となっておりまして、昨年後半の十月から十二月、またことしの一月から三月の動向ではかなり地価も鎮静化しているという、こういう状況が見られるわけでございますが、国土庁としまして今後の地価の動向をどのように見ておられるか、ここ二、三年ぐらいは横ばいでいくのか、それとも下落していくのか、あるいはまた若干漸増でいくのか、この辺のところの一、二年の見通しについて所見をまとめてあれば承りたいと思います。
  76. 藤原良一

    政府委員(藤原良一君) 地価の動向につきましては、先月二十六日に公表させていただきました地価公示にもございますように、年間上昇率で見ますと、全用途平均で御指摘のとおり一一・三%の年間上昇となっておりますが、ただ、秋以降は各地域で全般的な鎮静化が進行しておりまして、一部の地域では少し下落をしておる、そういうふうな状況も認められるわけであります。  こういった鎮静化、下落の要因といたしましては、例えば大阪のように、一昨年非常に大幅な高騰を来したところでは非常に行き過ぎ感もあったんだろうと思います。ただ、それ以外に、昨年四月から不動産業向けの貸出融資については総量抑制を行っておりますので、この抑制も対前年伸び率で見ますと月を追って厳しくしてきておりましてこれが相当効いておると思いますし、また土地税制の総合的見直し、あるいは土地政策審議会や国会での御議論、そういったものがアナウンスメント効果として買い控え、市場を冷えさせるという方向に機能しているんじゃないか、そういうふうに見ております。  したがいまして、こういった一般的な情勢が変わらない限り、なお今年度に入りましても昨年の秋以降の情勢が継続しておるようでございますし、いましばらく高値のところは下落していく。また、地方部ではできるだけ早く鎮静化を定着させる、そういう方向に持っていかなければならないし、またそういう方向に動きつつあるのではないか、そういうふうに見ておるところでございます。
  77. 及川順郎

    ○及川順郎君 公示価格につきまして、地価の動向によるタイミングが非常に大事だと思うんですね。ですから、土地が下落しているような状況あるいはまた若干まだ伸びているような状況、こういう状況の中でやはり工夫が必要ではないか。例えば土地の収益性を特に重視して鑑定するとか、あるいはまた下落の著しい地域については四半期ごとに期間を変えるとか、こういう工夫が必要ではないかなという感じもするんですが、この点についての見解はいかがでしょうか。
  78. 藤原良一

    政府委員(藤原良一君) 確かにそういう面がございまして、地価の変動の著しい地域におきましては、今回も特に短期動向を把握するという意味で、例えば三大都市圏等では昨年の七月から三カ月ごとの変動状況も調べておるところでございます。  また、収益価格等をもう少し重視すべきではないか、そういう御意見もいつも伺うわけでございますが、不動産鑑定評価基準におきましてもその旨を明らかにしてございますし、また昨年十月の土地政策審議会の答申におきましても、土地市場における取引価格の上昇が著しい状況のもとで一時的に収益価格と取引価格が乖離する場合があるわけですが、乖離が大きくなった場合には市場に警鐘を発するという意味でその地域平均的な収益価格を示すことが望ましいのではないかと、そういう御提言をいただいております。    〔理事青木薪次君退席、委員長着席〕  この提言を受けまして閣議決定いたしました総合土地政策推進要綱でも同じ趣旨のことを決めておりますので、国土庁としてはこれを受けて、現在地価公示とは別の形で、一定の地域単位で平均的な収益価格を示す方向で検討を行っているところであります。実は試行的に一部試算してみたわけです。近く国会にも御報告する予定になっております年次報告でもその試算結果を紹介させていただく予定でございますが、ただ、それを一般的、普遍的に利用するにはまだまだ課題が多いようでございます。例えば総収益、総費用等の把握方法とか収益価格の試算に関する技術的な課題等がございまして、その辺は引き続き検討してできるだけ早くもっと普遍的に使えるような形に持っていきたい、そういうふうに考えております。
  79. 及川順郎

    ○及川順郎君 三大都市圏について収益価格を公表するということを言っていますが、結局これからやるという方向なんでしょうか。
  80. 藤原良一

    政府委員(藤原良一君) 実は、東京とその周辺地域につきまして試行的に試算したわけでございます。その結果、おおよその結論につきましては、近く国会に報告予定の年次報告書に紹介させていただこうと考えておりますが、ただ、あくまでも一部地域の試算でございまして、もう少しこれを広域にわたって普遍的に活用していく、そのためにはもう少し時間的な余裕をちょうだいしたいと考えております。
  81. 及川順郎

    ○及川順郎君 国土庁長官に伺いたいんですが、総合的な土地対策の推進の中でやっぱり最も力を入れなければならない土地税制の総合的な見直しという国土庁の方向でございますけれども、今回 のこの土地税制の見直しで土地神話が打開できる、こういう状況に対して期待感を持つ人もいますし、やっぱりまだクエスチョンを示す人もおるわけですね。保有課税、譲渡課税あるいはまた取得税の適正化等を含めまして、今回の土地税制でどの程度までの土地対策を期待しておられるのか、この点の見通しについて長官の所見を伺いたい。
  82. 西田司

    国務大臣西田司君) 御存じのように、総合土地政策推進要綱は先般閣議で決定をされたわけでございますが、その中に土地神話を打ち崩していこうという一つ大きな問題を掲げておるわけでございます。それらを実行していきますために、お話がございました今回の土地税制の総合的な見直しをやっていく、これは税制も土地対策の中で非常に大きな役割を果たすわけでございますから、大変重要だと認識いたしておるわけでございます。特に、土地基本法の中に触れられておりますように保有、譲渡、取得の各段階にわたって土地の資産としての有利性を縮減していかなきゃいかぬ、こういうねらいがあると思うわけでございます。  お話にもございましたように、今御論議をいただいております新しい国税としての地価税の創設がございます。それから、特別土地保有税を強化してまいります。それからもう一つは、固定資産税の評価の一層の適性化、均衡化、こういうものを図ってまいります。それから、譲渡益課税に対する負担の強化、これを進めてまいりたいと思っております。また、こういう三大都市圏の農地課税に対しても見直しをやってまいります。これらがトータル的に実施されていくということになりますと、税制の上においても総合土地政策推進要綱で掲げております土地神話の打破、それから地価の引き下げ、こういうことにつながっていくものと、このように考えておるわけでございます。  しかしながら、税制だけでこの土地対策、地価対策ができるかと申しますと、必ずしもそうではない。やはり現在行われておる金融政策の問題がございます。それから、建設省中心になって取り組んでおる土地利用計画の問題がございます。そういうことを総合的に推進して、これが実行されてまいりますと地価は引き下げることができる、このように私は考えております。
  83. 及川順郎

    ○及川順郎君 ぜひ尽力を賜りたいと思います。  建設大臣にまとめて最後にお伺いしたいと思うのでございます。  三月二十五日付でいわゆる大都市法に基づきます大都市地域における住宅及び住宅地の供給に関する基本方針が発表されております。この中で今後十年間の三大都市圏に七百四万戸、うち三百七十四万戸が建てかえ、三百三十万戸が新規に供給されていく。この供給目標量の算出方法はどういう算出方法に基づいているのか、ちょっといろんな角度から今分析をしてみなければならぬのではないか、こういう感じがしております。  例えば、四全総で西暦二〇〇〇年の東京の人口は昭和六十年の人口規模から約三百万人増加して三千三百万人程度になると見込んでおりますね。ところが、この基本方針では首都圏の供給量を四百三十一万戸と見込んで、そのうち二百三十万戸がストック増と見ている。海部総理の百万戸構想もあるわけです。そうしますと、この百万戸をファミリー住宅にするということですから、大づかみにしましてこれだけでもざっと四百万人を超える人口増になるのではないか。残り百三十万戸は小規模住宅だとしてもやっぱりこれは二百万人程度の増加が見込められますから、合わせて六百万人ぐらいの人口増になってくる。  四全総や住宅建設五カ年計画との整合性をどう考えてこの方針を打ち出されておられるのか、この点を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
  84. 大塚雄司

    国務大臣大塚雄司君) 過般の予算委員会でどうも先生から余りすとんと落ちないなという御指摘をいただいたわけでございますが、今お話しのように、首都圏と東京圏というのは一体どこがどう違うのか、こういう御論議もあるとは思うのでありますが、四全総のいわゆる首都圏と東京圏では、今三千三百万という数字を御指摘になりましたように、東京圏は東京、神奈川、埼玉、千葉、一都三県という範囲に考えますと現在約三千万でございます。十年間で三百万増、大体百万戸という総理がお答えをした数字に合うわけでございます。  算出の根拠はいろいろあるわけでありますが、特に百万戸のうち市街化調整区域におきますいわゆる宅鉄法等の制定に伴います新規開発が約三分の一、それから今度生産緑地法の改正等でお願いをしておりますのが市街化区域内の農地の活用、課税の適用で約三分の一、それから既成市街地等特に都心のこの間ちょっと御論議のありましたいわゆる臨海部の住宅などを含めて約三分の一。今の臨海部につきましても東京都が四万戸から六万戸に直し、あるいは豊洲、晴海まで含めますと約十二万戸ということにもなるわけでありますから、大体三分の一、三分の一、三分の一というこの三つの供給は決してそんな不可能な数字でもございませんし、一都三県の東京圏という範囲からすると、三千三百万人という三百万人増は大体見込めるわけでございます。  ただ、首都圏ということになりますと五十キロ圏あるいは栃木、茨城、群馬まで含まれてまいりますので、これからの計画も今申し上げました七百四万戸のうちの四百三十一万戸というともう少し人口のフレームが広がってくるわけでありますが、当面お答えをしたのは総理の百万戸という点で申し上げてきたわけでございまして、ぜひ御理解を賜りまして、我々も精力的にこの目標に向かってやってまいりたい。  今度決めました基本計画に沿いまして、これから夏までにそれぞれの地方公共団体にこの数字を裏づけていただこう、そういう考えでおりますので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。
  85. 及川順郎

    ○及川順郎君 終わります。
  86. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、公団の建てかえ問題についてお伺いします。  今度の一斉地方選挙でもやっぱり住宅問題というのが最大の争点ということになっておりました。例えば、東京の知事選挙ではそれぞれの候補者から三十五万戸、五十万戸、七十五万戸と公約が出まして、政策インフレーションだということを新聞でからかわれたりしたことがあったんですね。  昨年の住宅宅地審議会の答申で良質の公共賃貸住宅の供給、これに重点を置くべきだ、それから高齢化社会に対する対応、これも非常に重視せよというのが出たわけであります。公団も建てかえによる高家賃化、これに対する批判が非常に強かったということから、地域リロケーション住宅の導入、高齢者等の特別措置の延長、これを決めたことは私どもも一歩前進と評価しています。  公団は、東京都内の平成年度着手四団地の平均二DK、これの家賃モデルを示しております。私のところでこのモデルに従って、東京の二人世帯の場合、特別措置収入制限は月額二十四万九千九百円なんですけれども、試算をやってみました。収入伸び率を年率三%の場合、二・五%の場合、それから二%の場合、ずっとやってみたわけですね。  そこで、ひとつ建設省にお伺いしますけれども、所得第一分位、二人世帯の場合、建設省の考えている家賃の負担の限度率、これはどのぐらいになっていますか。
  87. 立石真

    政府委員(立石真君) 所得第一分位につきましては、現在平成二年におきまして第一分位は四百三十七万円以下というようになっていると承知しております。この場合に、これまでの住宅政策の考え方といたしましては、家賃としましては四人世帯で一五%以内程度におさめることが妥当であるというように考えているわけであります。
  88. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 四人世帯一五%というのが出ました。二人世帯の場合は、これは国会図書館の調査及び立法考査局の論文ですけれども、さらに詳細な表が出ていて一七・一%になっていますね。今局長もオーケーされました。二人世帯で第一分位一七・一%が限度だというのですが、試算をし てみますと、リロケーション住宅に入った場合、十五年目にやっと一七・四と辛うじて限度に近づくんですね。このころはやっぱり三年ごとの家賃値上げもまた来ますから、だからリロケーション住宅に入ってもこの家賃限度額をどうも超えるという計算結果になる。  それで、特別措置適用期間、これを計算してみますと一九・八%で行くわけです、十年目まで。ところが、この適用期間が終わりますと、十一年目には、リロケーションでない場合は二三・三%にはね上がってしまうんですね。そうすると、もう六%以上限度率を超えるという状況になってしまうんです、年収三百万円以上だと。それから六十歳以下、今度は所得のいかんにかかわらず、特別措置もリロケーション住宅も適用が受けられなくなる。このケースですと、負担率は最高となる八年目で収入伸び率三%の場合二五・四%になる。伸び率二%だと二八・六%になるという状況があると思うんです。そうしますと、今度の措置は私ども一歩前進と評価するけれども、建てかえによる高家賃というのはやっぱり大変なものだという結果が出てくるんですね。  そこで、建設大臣にお伺いしたいんですが、建設大臣は去年の「世界」の座談会で、家賃で払う住宅限界、年収の二〇%以内、一五あるいは一〇%なお結構だ、そう言われている。七十歳以上の方に対する特別措置適用期間、あと五年延びて十年になるわけでしょう。十年たつと八十歳になるんですよ、ところが十一年目にははね上がるんですからね。私は、この住宅審の答申の高齢化社会に対する対応と、それから今度の措置の積極性からいっても、八十歳の方でそれを過ぎるとまたはね上がり、三年ごとに家賃値上がるともっと高くなるということになりますと、これはもう一歩進めて、七十歳以上の特別措置の場合は生涯にわたってもう特別措置をやるということに思い切って踏み切ることが必要なんじゃないかと思うんですけれども、これは大臣にお伺いしたいんですが。
  89. 立石真

    政府委員(立石真君) 公的賃貸住宅につきましては、いろいろなその施策の対象階層に応じましていろいろな国からの補助等を加えて家賃の低廉化を図ろうという努力をしているところでございます。  今先生指摘の非常に低所得の人に対しましては、基本的には公営住宅へ入居する形で居住の安定を保つようにしていくべきものであるというように考えているところでございます。公団住宅の建てかえ事業に際しましても、低所得者のためには公営住宅活用する方法を今後充実すべきであるというように考えておりまして、これまで幾つかの団地等において実績等が上がっているところでございますが、基本的にはそういう対応を図っていきたいと考えているところでございます。  なお、公団の住宅に引き続き住みたいという方に対しましては、先生指摘のように、一般的には家賃の激変緩和措置あるいは高齢者、弱者に対しての特別措置等がとられているわけでございますが、こういうような措置を総合して対応してまいりたいというように考えているところでございます。
  90. 大塚雄司

    国務大臣大塚雄司君) ただいま局長からお答えをしたとおりでありますが、特に高齢者について八十歳以上にもというお話でございますが、気持ちの上ではわからないわけではございませんが、やはり今度の建てかえの目的というのは、従前住んでいた方も非常に大事でありますけれども、新規に入居したいという若い方々がたくさんいるわけでありまして、そういう総合的な判断からいたしますと、今ここでそれではというわけにはまいらないわけでございますけれども、お気持ちは十分理解をしてまいりたいと思います。
  91. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 気持ちをひとつ具体化をお願いしたい。  今住宅局長は公営住宅の問題なんて言われた。公団開始後三十年たって、確かに公団住宅居住者のかなりの数が公営住宅対象階層になっていますね。しかし、この矛盾が余り爆発しなかったのは、これまで公団住宅の家賃がこんなに上げられなかったという点もあるんですよ。今度の建てかえの高家賃化でこの矛盾が非常に激化してきて、我々が問題にするようなことが問題になっています。  先日、公団東京支社へ行っていろいろ交渉したんです。支社の説明では、都営住宅の枠の確保が九十戸だって、やっと確保したのがね。六十戸入居して、残りは三十戸だと。そうしますと、公営住宅にというわけにはなかなかいかないんですよ。ところが、公営住宅は圧倒的に不足でしょう。平成元年で応募倍率四十四倍行っているんですよ。そうすると、公営住宅へ入りたい人にとっては、公団住宅の建てかえでそういう人が入ってくるのはちょっとおかしいじゃないかという声さえあるので、ここで一つ提案したいのは、東京の各区では住宅附置義務だとか借り上げ制度、いろいろやっているわけでしょう。ですから、公団建てかえの場合、その一部を地域リロケーション住宅、今度行われるんだが、それをもう一歩また進めて公営住宅として提供するような措置を何らかの形で考える、それがこの階層別の施策住宅を供給するという政府住宅政策に沿った解決方法の一つじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  92. 立石真

    政府委員(立石真君) 御指摘のように、住宅都市整備公団住宅が建てかえ時期に入ったために、これまで顕在化していなかった問題が顕在化してきたという面があるかと思っておるわけでございます。  低所得者に対しましては公営住宅を供給することが適切であると考えておりますが、御指摘のように、その近所あるいは近いところに確保することが非常に難しい場合等が現実には多いわけでございますので、公団住宅団地を全体として建てかえる場合に、そういう中の一部に公営住宅等を建設するというようなことについても検討をしてまいりたいと思っております。
  93. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ひとつ積極的に検討してほしいと思う。  二十六日の参議院建設委員会で佐藤三吾議員の質問に丸山総裁が答弁されたんですが、原価家賃、これは原価家賃では地代相当額二三%だと、ところが、実際の家賃は地代相当額八%程度という答弁があったんです。しかも、平成年度着手団地の二DKの最終家賃調べてみると、石神井十三万七千円、新川十一万六千円、それから柏市の光ケ丘は八万九千円と非常に違うんですね。結局、これは今の地価暴騰の地域によるいろんな違いがやっぱり家賃に反映しているという状況になっているわけです。だから、この地価暴騰が家賃に反映するというのは今の住宅問題の最大の問題の一つで、だからこそこの住宅審の答申も「地代相当額を軽減するための新たな制度の導入」ということを答申で書いたし、九一年度予算案で、大都市地域で新規建設する場合、公団住宅の家賃抑制のために公団への政府出資新たに三十二億、これが計上されているわけですね。  そういうことを考えますと、新しく建てる場合、団地に対して地代が反映しないように今度新たに予算つけるわけだから、そうすると建てかえの場合は新たに土地を買うわけじゃないので、それなのに地代の高騰分を家賃に反映させると非常におかしい。この審議会でさえ地価暴騰を反映させるなと、新しく建てるところには国が出資してまで安くしろと言うんだから。新しく土地を買わないんだから、それに家賃が、地代が暴騰の結果、そこにはめ込まれるという、前から問題にされる点ですね。これがやっぱり最大の問題だと思うんですね。  これは答弁を要求しても、すぐ変えるなんということになると根本が狂っちゃうので、答えは今求めても出てこないでしょうけれども、やはりこれは問題だ。この住宅宅地審議会の答申の精神、方向からいっても、また団地建てかえによるさまざまな問題、私は府中団地に行ったんですが、あそこは一人自殺者まで出たところなんで、これは根本的に検討する時期に来ているんじゃないかということを再度強調しておきたい。  もう時間もありませんので最後に公団にお伺いしますが、府中団地でいろいろ問題を聞いてきましたが、この間懇談会をやりまして、ここでも具体的な移転先確保問題というのが一つ大きな問題になっているんですね。本移転、仮移転の住宅の確保、これは公団の責任だと思うんです。  具体的にお伺いしますが、第一ブロック先工区、この仮移転住宅は確保できているのかどうか。第一ブロックの後工区、これは先工区の建てかえ住宅完成後に直接戻り入居できるんだから仮移転を強要しないで済むんじゃないかと思うんです。第二ブロックの先工区、この仮移転住宅、これは同市内で確保してほしいという要望が強いんですけれども、それを確保できるのか。これは着工を二年ぐらいおくらせれば第一ブロック後工区の建てかえ住宅に直接入居できるので仮移転はしなくても済むので、当然そのくらいの配慮をすべきだと思うんですが、以上お答え願いたいと思います。
  94. 安仁屋政彦

    参考人安仁屋政彦君) 府中団地におきましては、現在約七八%の方が建てかえ後の住宅に戻り入居を希望されております。したがいまして、先工区にございます二百四十八戸のうち戻り入居を希望をされております百八十戸の方につきまして仮移転というのが必要となってまいりますが、後工区の空き家住宅が七十八戸ということでございますので、結果的には百二戸の方を団地外に仮移転していただくということになっております。しかし、団地外へ仮移転していただく方百二戸のうち八十二戸については既に確保して仮移転も実際に完了しております。残り二十戸につきましても、その受け皿住宅がほぼ確保されているという状況でございます。  それから、一ブロックの第二工区と申しますか後工区につきましては、仮移転というのは必要ないわけでございます。  それから、二ブロックの一工区について、これも仮移転しないで済むんじゃないかというお話でございますが、いろいろ工夫はしておりますが、全体を第一ブロックの第二工区に収容することが可能でないとすればやはり仮移転が必要になる、このように考えておる次第でございます。
  95. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう終わりますが、府中団地に限らないので、二度移転するというのは引っ越しを二度やることで、これは大変な犠牲になるんですね。それから、子供たちが学校に行っている場合やっぱり学校を変えたくないので市内でという要望が非常に強いんです。この二度の移転というのは、そういう意味で居住者の生活に非常に大きな負担になるので、建てかえをやるにしてもこういう仮移転について同一市内で仮移転先を確保できるように、それからそれ以降の工区も仮移転なしに直接入居できるような範囲で順繰りに設定していくという細かな配慮のあるスケジュールで進めていくことを公団にも要望したいし、建設省としてもよく指導していただきたいという要望を申し上げて、質問を終わります。
  96. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 最初に、国土庁長官に若干の質問をしたいんですが、私今手元に「国土レポート’九〇―国土をめぐる潮流と課題―」という冊子がございますが、政府の刊行物はいろいろ出ていますけれども、私いろいろと見た中でこんなにすばらしい冊子というのは初めて拝見しました。この国土レポート’九〇というのはいろいろといいところがあって、しかもいわゆるお役人臭さが全然ないんですね。日本の基本的な内政というか、それの抱える課題とか骨組み、枠組みを全部ここに言い切っているんじゃないかという気さえいたします。グラフの使い方あるいは文章の書き方、課題の設定の仕方、非常にすばらしい本だと思っておりますので、こういう本は特定のところに配るだけじゃなくて、高等学校の社会科の副読本といいますか、できたらそういうところにどんどん配ってPRをされることを要望しておきます。  それで、この中にあります四全総の話でございますけれども、四全総には載っておらないのでございますけれども、いわゆる第二国土軸構想というのがいろんなところで言われておりますが、基本的にはこれは、今日本の四全総の均衡ある国土の発展にしても、江戸時代の参勤交代の交通体系と余り変わっていないんじゃないかと私は思うんです。例えば、鹿児島の島津藩が参勤交代で千代田城へ来たというような形のいわゆる東海道、山陽道というようなものはありますけれども、特に西田長官のところの四国、これの九州、四国あるいは紀伊半島に結ぶそのラインがないために、いわゆる背骨だけあってわき腹があるんですが、それが循環してループできないというようなことでありまして、それがループできれば四全総にもあるような地域間同士の交流というのは一方では過疎対策にもなると思いますので、できるだけ選択肢のある方がいいと思うんです。例えば、中国地方から四国へ橋が三つかかりますけれども、これは行ってまた帰らなきゃいけないという、同じところを行ったり来たりというように、非常にそういう面では効率の悪い話ですし、その辺のところの国土軸構想、特に西日本のところのループの観点からの発想、どういうふうに受けとめられているか、お願いします。
  97. 西田司

    国務大臣西田司君) 先ほど来お答えをいたしておりますように、四全総の中で多極分散型の国土形成ということが当面の国土づくりの目標であることは御理解をいただいておるとおりでございます。  そこで、御指摘になりましたように、その地方間あるいは地域間、こういうものの交通ネットワークをどう形成していくかということはまことに重要なことだと考えております。特に高速交通体系を整備してまいらなければなりません。その中で、お話にございました新しい国土の軸という考え方、発想というものが芽生えてまいりまして、そして西日本あるいは東北地方等から新しい国土の軸をつくっていくべきではないか、こういう声が高まってきております。たまたま委員は四国のことをとらえてお話しになったわけでございますけれども、聞くところによると、菅原道真の時代には京都から大宰府へ行くのに一つは山陽道、一つは瀬戸内海の海の道路、それからもう一つは淡路島を渡って四国を通ってそして九州へ渡っていく南海道、こういうものがあったと言われておるわけでございます。  こういうことを振り返りながら、今新しく話題になってまいりました、もちろん西だけではございませんで、これはもう全国的レベルで物を考えていかなきゃいけないことだと考えております。東も西も新たな一つの軸を考えていくということは、非常に大事なことではなかろうか。私は、将来の全総の中でもこのことを方向づけしていく必要があるのではないか、このように考えております。
  98. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 私が言いましたのは、とにかく四国というところはループできないんです。ほかの東日本にしても中国地方にもそれはいわゆる選択肢はできるんですけれども、島であるために、ですからそのために必要ではないかということを、特にその選択肢のできるだけ多い、ループできる交通体系が望ましいのではないかということを要望しているわけです。  それからもう一つございますが、これはちょっと観点が変わりますが、やはり東京一極集中の基本的な官民挙げての運動という意味で、竹下内閣のときに宿題が出ましたいわゆる国の行政機関等の移転のその後の進捗状況を聞きたいんですけれども予算書で今年度つけられた予算を見ると既に移転が決まったのが二つ、それから予算がついたのは二十ということでございます。その中には、東日本貯金事務計算センターというのは去年は平成六年が移転の予定時期というふうに打ってあったんですが、ことしは六年から七年度というような、年度をちょっとずらしながら後退しているような姿勢の機関もあります。それから、当初八十幾つあったのが二十二しか出てないんですが、その残り六十の部分の機関が移転するのかしないのかということがだんだんと落ちてきているんじゃないかという心配があります。  それはなぜそういう関心を高めなくちゃいけないかということは、東京の機関が移転した後の広い跡地を国民的課題として利用していかなきゃい かぬという観点からやはり監視していかなくちゃいけないという立場の質問でございます。いかがでございましょうか。
  99. 斎藤衛

    政府委員(斎藤衛君) 今おっしゃられました対象機関そのものにつきましては、当初の七十九機関と十一部隊、これは基本的に変わってございません。  ただ、おっしゃられます予算の関係でございますが、これは私どもも鋭意必要経費を早く要求をしていただきたいということをお願いしてまいってきております。例えば、つい先日もでございますが、大宮には十省庁十四の機関が移転する運びになっておるわけでございますが、関係をいたします省庁だけの部会が設置されておりまして、その会議を設けましてそして来年度平成年度要求に向けまして準備をしていただくというようなお願いもいたしまして、関係省庁に合意方お願いをしたような経緯もございます。したがいまして、進捗の度合いといたしましては目に映る部分というのは多少ゆっくりした感じがあろうかと思いますが、一つ一つ作業としては進んでいるように私どもとしては存じております。
  100. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 このテーマは閣議の決定に基づいて国土庁がやはりリーダーシップをとってやるということで基本的な了解を得ているわけですから、お願いする筋というよりは、自発的に各対象の機関にこうですということのレポートを出させて、そしてそのために予算をこうするんだ、あるいは移転先の構想はこうなんだということが国民の目に見えるようにそれぞれの機関が出すべきではないかということを、少しおしりをたたくぐらいの姿勢がなくてはいけない。できたらお願いしたいというような姿勢では、これは基本的にまとまる話も後退する一方ではないかという懸念がありますので質問いたしました。  それから、あと時間が迫っておりますが、建設省にちょっとお話を聞きたいんですが、公共投資の五カ年計画、これは調整費というのが常にそれぞれの柱についておりますね。この調整費の役割が例えば下水道なら下水道、公園なら公園ということで、調整費のパーセンテージが本体の予算とはかなりばらつきがあります。これは一体どういうことなのかということが一つ。  それから日米構造協議の四百三十兆円、これはまとめて四百三十兆円だが本体は四百十五兆円ということだったと思います。その十五兆円の枠というのは、これは調整費に当たるものなのかどうかという性格づけのお答えをいただきたいというふうに思います。
  101. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先生指摘のように、私ども所管の公共事業に関する五カ年計画が何本かございますけれども、御指摘のようにそれぞれ調整費が入っております。くどいようですけれども、五カ年計画の内容は直轄補助に係るいわゆる公共事業分、それから地方単独事業に係る分、それプラス調整費という格好で総額が決められているわけでございますが、たまたま平成年度から改定を予定しております五カ年計画、今先生指摘のように、公園で言いますと一六・四%、あるいは下水道一一・九%、海岸一三・一%、交通安全一四・一%というふうな調整費になっております。  この調整費の考え方でございますけれども、結論的に言いますならば、これは今後計画策定後の社会経済の動向あるいは財政事情、事業の進捗状況等に応じて弾力的に、あるいは機動的に対応するんだ、こういったもののために必要な枠として設けられているものでございます。  私ども、この五カ年計画のあり方でございますけれども、これはもう言うまでもございませんが、それぞれの施設についての整備現状、あるいは将来の目標を設定した上で、それに伴って必要となる投資規模を今申しましたように公共事業分あるいは地方単独分で組み立てているわけでございますけれども、調整費も含めた総額ということになりますと、これは五カ年計画期間中に最大限可能な投資規模というふうに受け取っているものでございます。  御指摘のように、それぞれの事業計画によって調整費の率はいささか違いますけれども、これにつきましてはそれぞれの施設の整備現状なり過去の実績なりあるいは現状なりというものを踏まえて、我々それなりに緻密に積み上げたものというふうに御理解いただきたいと思います。
  102. 青木保之

    政府委員青木保之君) 後半の御質問の基本計画におきます弾力枠十五兆円との関係でございますが、弾力枠十五兆円は、計画期間中の内外の諸情勢の変化や経済社会の変容等に対し柔軟に対応しまして、公共投資に対する国民のニーズの十年間の変化といったようなものに適切に対処していくために設けられたものと承知をいたしております。したがいまして、先ほど官房長が説明いたしました調整費と違うわけでございまして、性格が異なるものでございまして、各五カ年計画の調整費のうち公共投資として支出された額につきましては当然のことながら四百十五兆円に含まれていくというふうになるものと理解しております。
  103. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 もう一つ、今度は大蔵省にお伺いしたいんですが、この新年度予算に生活重点ということで枠を設けて二千億の枠をつくったわけでございますが、経済企画庁の大枠で六〇%近くに生活関連投資を高めたいという生活関連枠ですね、これは一つの策としてことしは設けられていると思いますが、来年再来年この生活関連枠というのは予算編成の一つの策として設けるつもりなのか。  それからもう一つは、新年度二千億ということでございますが、この枠を広げていくのかどうか。と申しますのは、今五〇%前半を六〇%、生活重視ということの関連で達成するためにはやはり枠を広げていかざるを得ないというふうな論理的な帰着になるんですが、いかがでございますか。
  104. 林正和

    説明員(林正和君) 平成年度の概算要求に当たりましては、厳しい財政事情が片っ方にございまして、他方、着実な社会資本整備、特に生活関連部分について着実に整備を図っていくということから二千億円の生活関連重点化枠というものを設けたわけでございます。  今後どうするかということでございますが、一つは、こうした概算要求基準につきましては昨年の財政制度審議会の方からの御報告がございまして、時代の要請に応じて効率性の高い歳出構造としていく努力が引き続き必要で、そのためには概算要求段階から制度改革、歳出の節減合理化を進めるべきであるということで概算要求基準を依然として設定すべきであるというような御報告、御指摘をいただいているところでございます。  ごらんのとおり依然としてまだ財政事情は厳しゅうございますので、今後とも概算要求基準というものをつくっていくということにはなろうかと思いますが、ただ、具体的にどのような概算要求基準にしていくかということについてはそのときどきの財政事情なり経済情勢なりこうしたものを見ながら決めていくということでございまして、現段階で具体的にどのような概算要求基準をつくっていくかということについては考えておりません。  それから、公共投資基本計画平成年度予算編成、特に生活関連枠とのいわば整合性というようなお尋ねかと存じますが、先生御案内のとおり、この二千億円の配分につきましては、特にそのうち公共事業は一千七百五十億円、これの配分につきましては公共投資基本計画に示されました考え方、これらを参考にいたしまして公共事業等実績のあるものを基本に国民の日常生活に密接に結びつき直接に効果があるという事業に厳に限るということにいたしまして、各省庁の要望の内容を念査して具体的配分を行ったところでございます。  ただ、御案内のとおり、公共投資事業主体が国の一般会計だけではございません。したがいまして、私ども一般会計についてはそのようなことでさせていただいたわけでございますが、いずれにいたしましても、一般会計のみならず地方公共団体あるいは公的企業等多岐にわたる公共投資実施主体がこの公共投資本計画を指針といたしま して、今後とも着実に毎年毎年実施していくということが必要かと存じております。
  105. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 終わります。
  106. 山田勇

    ○山田勇君 先ほど井上理事、及川委員の北海道開発に関する質疑を聞いておりまして、大塚建設大臣は一千万都市ということを言われましたが、私は、これは決して夢でなく、ここ四、五年でこういう人口増は達成されるのではないかと思います。かく言う私も小樽で生まれて大阪で育って、及川先生は北海道で生まれて北海道で育ったと、北海道を第二のふるさととして非常に興味がございます。  実は六月の十五日、国会の会期延長がなければ、日本で初めてのソ連アエロフロートの飛行機二機をチャーターして大阪経済視察団というのを組みましてサハリンに参ります。これを募集いたしましたところ、一番多く参加をしてまいりましたのは全国の昆布業者の方たちです。今有名なフジッコであるとか小倉屋さんであるとか、その次に続いて募集が多かったのは自転車屋さんです。いわゆる自転車のパーツ生産をしておる。それで二機、これは六月十五日までに満杯になります。私は希望としては四島へ入りたいんですが、外務省が、それは先生待ってくれ、あそこでビザが発給されて四島へ入るということは既成の事実をつくってしまうので御遠慮願いたいと。自民党調査団も御承知のとおりサハリンでとまりました。そういう事情があるので無理をしてまでは四島へは入りませんが、そういう中で昆布業者、自転車、あらゆる企業の人と話をしますと、もう既に北海道に土地を求めておりますし会社の支社をつくりますし、稚内なんかには昆布や缶詰のファクトリー、そういうものもある。今の状態では昆布は一切日本は輸入できません。しかし、何とか今賄っておるそうですが。四島が戻れば二百海里もずれてまいります。四島は昆布の宝庫で良質の昆布がすごくあるそうです。それはもう海へ打ち上げられているという状態で、これはドキュメンタリーでもきのうのニュースステーションでも放映をされておりました。そういう関係で二百何十人を連れてサハリンまで行く予定です。その企業はすべて北海道にこれから土地を求めるなり工場を求めるなり住宅を求めるなりですから、それはもうあっという間に一千万都市構想というのは夢ではなくできるのではないかというふうに感じます。  大前研一さんの著書をきのう偶然見ていたんですが、それは航空路線ということでいわゆるサハリン―関西新空港三時間でございます。御承知のとおり今ヨーロッパからアラスカ経由で入ってきますから十何時間もかかりますが、ソ連領をこれから通すそうです。これはこれからの交渉であるんでしょう。ソ連領を通ってきますと、アラスカを経由しないでヨーロッパから来まして四時間短縮されるわけです。それが千歳にどんどんとヨーロッパ北回りというのが入ってきます。四時間時間が短縮される。そういうのを読んでおりますと、アジアの拠点としてみんなは大阪だとか東京と言っているけれども、恐らく二十一世紀に向かっては北海道が大きなアジアの拠点になるということが確かに著書に書かれてありますし、大きなシベリア開発の窓口はすべて北海道になっていくんではないか。そういう意味も込めて、あれだけの自然を大切に酪農ができるところ、いわゆる近代酪農と近代都市化という中で、国土庁なり建設省がきちっと線引きをした中で工業団地は工業団地、住宅というふうな形で計画を今から立てても決して遅くないのではないかというふうに感じながら質疑を聞いておりました。  これはもう質問以外でございますので、御感想があればいただきますが、大塚建設大臣、また北海道長官の谷さん、何かこれについて御意見なり御感想があればいただきたいと思います。質疑通告をしておりませんので、えらい失礼しますが。
  107. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) 北海道にお生まれになった委員の御質問でございますから北海道のことをよく御存じの上での御質問ですけれども、先ほど私が申し上げましたようにやはり北海道の七割の過疎地域の方々が、これは小樽を含めてですが、旭川にしてもその周辺は全部過疎地域、小樽も周辺が全部過疎地域でございますから、やはり過疎地域の皆さん方も潤いのある豊かな生活ができてよかったという環境をつくってあげることも開発庁の重要な役目だと思っております。  それから、先ほど申し上げましたとおり、札幌集中でなく札幌圏というものをもっと大きくしましてそこに工業団地等々新たなものをつくる。工業団地にしても、私は兵庫でございますから尼崎とかあるいは大阪市内とかああいうせせこましい、本当に消防自動車も入り切れないようなこういう都市計画ではいかぬので、本当の意味の広大な土地を利用して立派な都市ができたと後世の人に言われるような都市づくりを計画していただきたい。これは建設省に要望しなきゃならないと思っておりますが、そういうところが今後の北海道のあり方ではなかろうかと考えております。ただ札幌に集中する、人口がふえただけでは我々は喜び切れない。道民の方々もそうだろうと思うんです。
  108. 山田勇

    ○山田勇君 ありがとうございました。  日本は世界経済の一四%を占めながら、いわゆる経済大国と言われながら国民の多くはなかなかその豊かさを実感できません。その原因の一つに土地住宅問題が大きなウエートを占めていることはだれしも認めるところであります。大都市における特に東京などの一極集中現象に見られる過密状態、一方、地方における過疎化現象のようにアンバランスが数多く見られます。土地問題は各省庁にまたがっており、いわゆる省庁あって国家なしなどと言われるように、今の行政は多くの省庁にまたがり、政策がどうしてもうまく対処できていないようであります。地価には一物四価などと言われるように土地関係のデータの管理一つとってみても各省庁ばらばらであり、土地政策の整合性ははかりがたい状況にあります。  そこで、まずお尋ねしますが、地価高騰は社会問題であるということはこれはもう言うまでもありませんが、この問題を解決するには政策の立案を行わなければなりません。そして、そのためには基礎資料が必要であります。土地のデータ管理について国土庁はどう取り組んでおられますか、お聞かせ願いたいと思います。
  109. 藤原良一

    政府委員(藤原良一君) 土地政策を企画立案し、推進する上で御指摘の土地に関する情報をできる限り総合的、系統的に整理する必要がございます。  国土庁といたしましては、土地政策に必要な情報の範囲、土地情報管理システムの整備のあり方等について現在鋭意検討を行っておりまして、土地政策審議会におきましても今後の検討課題の重要な一事項ということで御審議をお願いしているところでございます。また、関係省庁あるいは地方公共団体等ともこの問題については十分意見交換をし、調整を図りながらその充実に努めてまいりたいと考えております。
  110. 山田勇

    ○山田勇君 次に、政府は一月二十五日に総合土地政策推進要綱を閣議決定しましたが、その中で「住宅地については、中堅勤労者が相応の負担で一定水準住宅を確保しうる地価水準の実現を図る。」とありますが、どうしてこのようにいつも土地問題については抽象的表現で逃げるのか、少し納得ができません。  この場合、中堅勤労者の所得はどのぐらいと見るのか、一定水準とは何平米で、価格水準とは幾らなのかをぜひ教えていただきたいと思います。
  111. 藤原良一

    政府委員(藤原良一君) 総合土地政策推進要綱におきましては、先生ただいま御指摘のとおり、地価の引き下げ目標としてそのような目標を掲げております。言いかえますと、土地から期待し得る収益やあるいは勤労者の住宅取得能力に見合った地価水準の実現を図ろうということであります。  具体的な想定でございますが、どこの地域におきましても、やはり中堅勤労者世帯が年収の五倍程度で相応の住宅を持てるような地価を実現することが政府の目標でございますが、特に環境が厳しい東京圏について見ますと、近年では新規に供給される住宅価格の年収との平均倍率は大体七・ 五倍から八倍に達しております。供給されております住宅は決して満足すべきものではございませんが、大体六十五ないし七十五平米程度のものがマンションでは多いわけでございます。また、京浜地区の平均的な勤労者世帯の年収は七百六十七万ということでございます。こういうふうな形で、とりあえず既に七・五倍ないし八倍に達しております住宅価格を五倍程度のものに当面引き下げていく、そういうことが地価対策、土地対策として重要ではないか、そういうふうに考えております。
  112. 山田勇

    ○山田勇君 二点を質疑します。  国土庁は、予算編成で財団法人土地機構の設立を大蔵省に求めたが、財団法人への支出に難色を示しました。大蔵省はこれを認めなかったようですが、土地問題の研究、情報集め、また農地の遊休地を宅地に転換する際の相談業務に充てるための財団であったように聞いておりますが、このいきさつはどうなっているんですか。また、今後どうするおつもりか。これが一点。  二点目は、地価動向についてはいっときも目を離すことができません。地価の適正化は国民生活の安定にとって極めて重要な課題であります。今後一層の努力を必要としますが、決意を伺って、私の質問を終わります。
  113. 藤原良一

    政府委員(藤原良一君) 前半部分の土地機構(仮称)のこれまでの経緯について御説明申し上げます。  実は、土地機構につきましては、土地問題、土地政策に関する調査研究あるいは計画的な土地利用の転換を促進する、そういうことを主たる業務とする機構としまして平成年度予算要求で人件費補助を要求しておりましたが、認められなかったわけであります。しかしながら、土地政策に関する調査研究そのものの重要性につきましては財政当局にも十分理解をしていただきまして、これに係る経費としまして新規に六千万円の予算要求を認めていただいております。  今後の対応といたしましては、まず市街化区域農地の所有者等による都市農地を活用した計画的な町づくり、あるいは賃貸住宅建設等を推進するための支援体制といたしまして財団法人都市農地活用支援センター、これも仮称でございますが、これを建設省、農林水産省、国土庁、三省庁協力しながら設立し、取り組むこととしております。また、土地問題、土地政策に関する基礎的な調査研究、あるいは土地利用促進に関する応用的な調査研究を幅広に実施していくことも土地政策を円滑に推進する上で重要でございますので、そのような組織づくりにつきましても、別途関係者と現在いろいろ相談させていただいております。
  114. 西田司

    国務大臣西田司君) 土地対策に取り組んでいきます決意につきまして、私の方からお話をいたしたいと思います。  近年の地価高騰は国民の住宅取得の夢を奪い去りました。また、資産格差というものが不公平感をつくっておることも事実でございます。そして、大きくは日本の経済社会というものに大変大きな支障を来しておる、このように私は厳しく受けとめておるわけでございます。経済大国、経済大国と言われながら、国民の方々が豊かさの実感を持たれない、このこともやはり地価高騰というものが生み出した一つの現象である、このように考えております。  このため、今回の地価高騰に対する対策といたしましては、これまでも御承知のように監視区域の的確な運用を図ったり、また土地関連融資の規制を強めていったり、住宅宅地の供給をしたり、有効・高度利用を図っていく、こういうことを進めてまいりました。それからもう一つ、先ほど来御議論が出ておりますように、集中しておる東京の機能を分散させていかなきゃいかぬ、こういうことにも重点を置いて各般の施策を講じてきたところでございます。ちょうどお話にもございましたように、一月の二十五日に総合土地政策推進要綱を閣議決定させていただきました。これはこれからの土地政策の基本指針であるわけでございまして、このことを私どもは忠実に実行をしていかなければいけない、こう考えております。  そこで、国土庁が今考えております土地対策の中に二つ柱がございまして、一つは、当面のこの異常な地価というものをどう引き下げていくかということが一つでございます。それからもう一つは、二度とこのような地価高騰を引き起こさない手だてを講じていかなければいけない。この二つが当面の土地対策の柱であるわけでございます。  今後、税制あるいは金融、土地利用、こういうものを総合的に実施いたしまして、そしてこの土地問題というものの解決をつけていくことが国土庁の最大の使命と心得ておるわけでございます。
  115. 山田勇

    ○山田勇君 ありがとうございました。
  116. 矢田部理

    委員長矢田部理君) これをもって平成年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、建設省所管総理府所管のうち国土庁北海道開発庁並び住宅金融公庫北海道東北開発公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 矢田部理

    委員長矢田部理君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  118. 矢田部理

    委員長矢田部理君) 次に、下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は前回終局いたしておりますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  119. 矢田部理

    委員長矢田部理君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、青木君から発言を求められておりますので、これを許します。青木薪次君。
  120. 青木薪次

    青木薪次君 私は、ただいま可決されました下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、下水道整備促進し、豊かな国民生活の実現を図るため、五箇年計画の完全達成を期するとともに、地方公共団体の財政負担の軽減に配慮すること。  二、特に普及が遅れている中小市町村の下水道整備及び未着手市町村の新規着手を促進するとともに、必要な財源の確保、執行体制の整備及び職員の養成、確保に努めること。  三、地域の実情に即した下水道事業計画の策定に努めるとともに、下水道整備を基本としつつ、下水道類似施設の整備との合理的な調整を図ること。  四、下水道事業の効率的な執行に努めるとともに、下水道利用者の負担が過大とならないよう配慮すること。  五、下水道機能の保全と公共用水域の水質保全を図るため、特定施設に対する監督、監視体制を強化し、有害物質の規制の徹底を図るとともに、中小企業の除害施設の設置に関し、助成措置の充実に努めること。  六、公共用水域の水質保全及び処理水の再利用を促進するため、高度処理を積極的に実施するとともに、下水道汚泥等の資源・エネルギーとしての有効利用を図るための技術の開発及び実用化を推進し、あわせて下水道施設の多目的活用推進すること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  121. 矢田部理

    委員長矢田部理君) ただいま青木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  122. 矢田部理

    委員長矢田部理君) 全会一致と認めます。よって、青木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、大塚建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大塚建設大臣
  123. 大塚雄司

    国務大臣大塚雄司君) 下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。
  124. 矢田部理

    委員長矢田部理君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 矢田部理

    委員長矢田部理君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会