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政府委員(鈴木政徳君) まず地価の動向でございます。
昭和五十八年ごろ商業地域に端を発しました地価の高騰が、最近では金利高などの金融情勢の変化それから土地
関連融資の総量規制の実施、さらには監視区域制度の積極的な運用といったような諸施策の実施を背景にいたしまして、大都市圏におきましては上昇が鈍化している地域が拡大しつつある。しかし一方で、地方圏への地価の上昇につきましてはまだ拡散傾向が見られるというふうに私
ども国土庁からお伺いしているところでございます。
また、私
どもも毎月一度不動産を扱っております店頭の支店長がどういう感触を持っておるかということを昨年の秋以降
調査させていただいておりますが、やはり同様な、まだ地方都市においては下がり切らない、しかし大都市を中心に相当程度下がってきているという
報告を受けているところでございます。しかしながら、現在はやや鎮静化しているという地域におきましても、今後の経済情勢いかんによりましては必ずしも予断を許さない状況にあるというふうに理解しております。
したがいまして、国土庁等ともよく連絡をとりながら、今後の経済情勢を注視しつつ地価動向については引き続き十分な監視をしていく必要があると思っております。また、このためには土地税制の活用あるいは
住宅宅地供給の促進を初めとする総合的な地価対策、土地対策を一層実施していかなければいけないというふうに
考えている次第でございます。
次に、宅地供給の現況でございます。
ただいま先生からも御指摘がございましたように、宅地の供給面を申しますと、残念ながらここのところ横ばいといいますか低水準で宅地が供給されている。全国で大体毎年一万ヘクタール強の宅地供給がなされております。宅地の供給につきましては
昭和四十年代の後半がピークで、二万ヘクタールを超す宅地供給がなされたことがありますが、その後逓減傾向が続きまして、ここのところ五年ぐらいは横ばいないしはちょっと年によっては上がっているかなということで、一万ヘクタール強の宅地供給がなされております。
実は、宅地供給の見通しにつきましては、私
ども現在の第五期
住宅建設五カ年計画を策定いたしますときに、この第五期
住宅建設五カ年計画を達成するために、宅地がどのくらい必要であろうかというような試算をしてみたことがございます。この試算に対してその後五年間の実績がどうであったかという点を見てみますと、大体一割程度計画どおりに宅地供給がなされていなかったというような結果が出ているところでございます。なお、宅地の供給は七割が民間に、三割が
住宅・
都市整備公団等の公的供給によるものでございます。
もう一点、それでは大都市地域において計画的にどういうふうに宅地供給を進めるのかという御
質問でございます。
ただいま申し上げましたように、大都市の勤労者の切実な
住宅宅地への要望ということを踏まえまして、
住宅宅地の供給促進を図ることは極めて重要な課題でございます。そこで、この問題につきましては前通常国会におきましていわゆる大都市法の改正をさせていただきました。現在、この改正大都市法に沿いまして、
建設大臣が三大都市圏の
住宅宅地の供給基本方針を定めまして
関連都府県が供給基本計画を立てるということになっております。このような広域的な供給計画体系の整備を図りまして、今後良好な環境を備えた
住宅宅地供給を計画的に進めていこうということになっているところでございます。
この計画につきましては、今月中を目途に国の供給基本方針を策定する予定でございます。これを受けまして、
関係都府県におきましてはできれば六月までぐらいにぜひ供給基本計画を策定していただきたいということで、現在地方公共
団体と一緒になりまして作業を続けているところでございます。
この供給基本方針及び供給基本計画の中に具体的に供給策としてはどういうことを盛り込むかということがあるわけでございますが、これにつきましては、私
ども供給策として大きな柱が三つあろうかと思います。
その一つは、既成市街地内での低・未利用地をどうやって有効・高度利用していこうかという点が第一点かと思います。このためには、これまた大都市法と一緒に改正していただきました都市計画法によりまして、住居と商業地域が併存しているような区域につきましては用途別容積型地区計画制度を活用する、それから低・未利用地につきましては遊休土地転換利用促進地区制度を活用しまして既成市街地内の有効・高度利用を図っていくというのが第一点でございます。
二番目の柱は、市街化区域内農地の計画的宅地化という点でございます。
平成四年度から宅地並み課税が実行されることになりまして、これとあわせまして、こうした地区につきましては
住宅地高度利用地区計画制度を活用していくことによりまして宅地供給を促進していこう、さらに農地所有者等が土地を持ったままで宅地供給に利用転換をしていただく。そういうことを支援するために、農水省、国土庁それから農協等と共同でことしの秋を目途に都市農地活用支援センター、そういうものをつくって宅地供給を促進していこうというふうに
考えております。
三番目の柱は、新市街地(ニュータウン)を今後どうやって計画的に開発を進めていこうかという点でございます。この点につきましては、
住宅・
都市整備公団等の公的供給主体の計画の大幅な前倒しによりまして早急に供給をしていただくというようなこと、あるいは宅地開発と交通アクセス整備を一体として行おう。具体的には、例えば第二常磐新線、来週新しい鉄道
建設の主体の
会社が設立されますが、それとあわせまして沿線の区画整理を中心にしまして宅地供給を進めていく。さらには優良な民間の宅地開発をいろいろな面で支援していこう、そういうようなことを進めながらニュータウンづくりを推進していこう。
今申しましたような三つの柱を主な柱といたしまして、そのほか
関連公共施設整備の促進であるとか、あるいは
関係地方公共
団体の開発抑制的な方針、これを何とか転換していただけないかというようなこと、そういうことを総合的にこの国の基本方針及び
関係都府県の供給計画の中に盛り込みまして、国と地方と一体となって同じ目標に沿って努力していくように現在地方公共
団体と協議を続けているところでございます。