○陣内孝雄君 今のお話ですと、
平成三
年度末の
整備率は約四五%で、これでは半分にも達していないわけです。しかも、一年間でわずかに一%余りの
整備率の上昇ペースだということですので、単純に計算しますと五十年ぐらいはかかるんじゃないかということになるわけでございます。しかも、この際の到達目標が、これまた時間雨量わずか五十ミリという降雨に対して安全をとりあえず確保しようということでありますので、本当に水害の危険からあるいは心配から私たちが解放される日はいつの日かわからぬじゃないかと私は今承ったわけでございます。
このような中で、また来
年度からは、
平成四
年度からは新治水五カ年計画がスタートするわけでございます。既に策定のための検討作業に入っておられると思いますけれ
ども、私からもこの機会に少し考えを述べさせていただきたいと思うわけでございます。
まず第一に、
我が国の立ちおくれた治水の
現状にかんがみまして、次期五カ年計画では安全度の早期向上を図られますよう最大限の努力をしていただきたい。とりわけ大河川に対しましては、これは
我が国の経済社会活動の中心となる
地域を貫流しておるものでございます。いわば
我が国の生産基盤であるわけですから、大河川改修が引き続き強力に促進されなければならない、このように考えるわけでございます。
かつてのように毎年破堤、はんらんするというような
状況にはありません。それもそのころに比べると大変
整備されたような感が一応はするわけでございますけれ
ども、やはり治にありて乱を忘れずといいますか、沿川住民の治水促進の悲願といいますか、声なき声に十分耳を傾けて一生懸命頑張っていただきたいとお願いしたいわけでございます。
それから、安全で潤いのある生活環境の創造、これはよく言われることでございますけれ
ども、私は、このためには生活環境の重要な一部をなすのが中小河川だと考えております。これは、先ほどのお話にもございましたように、しばしばはんらんをしているということでございます。浸水や頻発する土砂害を解消するために、引き続いてこの点についても努力願いたいというのが第二点でございます。
また、最近は住宅宅地供給、これは現下の緊急の課題でございます。特に都市周辺では、埼玉東部などにはまだ十分宅地になりそうなところがあるわけでございますが、治水上大変劣悪な条件下にあるということでそれができない。治水対策を先行的に
実施しないと大都市問題が解決できないと私は思っております。
また、それにも関連するわけですけれ
ども、下水道の
整備は大事だと言われますけれ
ども、下水道を受けるのは川でございまして、やはり川の先行的な
整備も同じような意味で大事であろうかと私は思います。
どうか、社会資本の
整備に対応して治水
事業を重点的に、先行的に
実施していただくという心がけをぜひ持っていただきたいと思います。
また、農山村部においては浸水を許容できないようなハウス栽培等の施設園芸が盛んになってきております。そういう方向へ農政が転換されつつあるわけでございます。治水に対する要請はこれまで以上に重くなってきているわけです。また、農山村では、各地の
地域振興のためにいろいろな
地域振興のプロジェクトを持ってこなきゃいかぬ。水害、土砂害の危険を誘発しないような形でその誘導が必要なわけでございますので、そういう意味でも農村、
農業あるいは
農家、こういったものが国際化時代に対応できるために必要な施策でございますので、それを支援するような治水
事業をやってもらいたい。国土の均衡ある発展、先ほど言われましたけれ
ども、そういう意味でも
地域、特に農村
地域の振興のために御尽力いただきたいと思うわけでございます。
また、これはもう時間がございませんので簡単に申し上げますけれ
ども、高度化した現代文明社会を支える必要があるわけですが、それを災害が決定的にあるいは壊滅的に壊してしまうおそれがある、いわゆる危機管理のためにひとつ治水対策もこれから乗り出すべきときだと思います。例えば大都市のスーパー堤防、それから異常渇水時に対して水を備蓄するような異常渇水ダム、こういうものが大事だろうと思います。そういうことにも配慮願いたいと思います。
建設省では新治水五カ年計画を策定するに当たってどのようなお考えを持っておられるのか、あわせてここでちょっとお聞かせいただきたいと思います。