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上田耕一郎君 大臣の今の国会における言明を
信頼しますので、ひとつ真剣にやっていただきたいと思います。
私は、この問題は、やっぱり
日本の経済が国際的に役割を果たしているだけに、国際的に大きな問題になると思うんです。今度、
野村証券の社長の
辞任問題が国際的にショックを与えたように、
日本の銀行が物すごい長時間労働で、しかも残業代を払っていないなんということになれば、国際的なやっぱり
批判になりますよ。
過労死の頻発が先進資本主義国では余りなくて、
日本だけの異常現象だと。だから、ジパニーズカローシというのは、それが英語になったと言われますけれ
ども、サービス残業というのも恐らく
日本資本主義にしかない異常な現象だろうと思う。
支払われていない賃金、給与の総額というのは恐らく巨額に上るだろう。先ほど富士銀行上野支店の例を試算しました。あれは男子で五十時間、女性の場合も計算があるんですけれ
ども、これを試算しますと、富士銀行全体でおよそ年間百億円に達するのではないかという計算があるんです。銀行全体では恐らく一千億になるんじゃないか。全産業では恐らく兆の単位の残業代が未払いのままということになるのではないか。
一方、都市銀行の利益は莫大なものです。先ほど
数字が
公表されました三月期の
業務純益が住友二千六百三十二億円、三和二千百三億円、富士千七百五十四億円、第一勧銀千五百一億円、三菱千六百十三億円、太陽神戸三井九百八十七億円等々で、二千億円を超える純益を銀行は出していて、労働者に対して当然払うべき賃金を一行で恐らく百億円払っていないというようなことは、これは法治国家として絶対許せないですよ。
日本はこういうことをやって、どんどん世界一の債権国家ということになりますと、これは今度アメリカでCIAが
日本たたきの論文を大学に頼んで、取り消したりなんか騒いでいるけれ
ども、そういう
批判が来る。だから、自衛隊を出すことばっかり一生懸命になるんじゃなくて、こういう問題にメスを入れなければ、本当に
日本の国際的な
信頼は
確保できないということを私は強調しておきたいと思うんです。
労働大臣、こういう不法
行為を厳しく取り締まる、根絶のために努力されるということになると、それにふさわしい体制が要ります。特に、労働基準監督署の人員の増員が要るし、銀行などに対して遵法の精神を教育し直すことが要るんですよ。
局長が心配するように、こういうふうに
調査しますということを
委員会でなかなか言えないと、言うとすぐそれを上回るなんということを心配されているのでは根絶できない。だから、本当に銀行の幹部の方々の
考えを、労働者の権利をしっかり守る、労働基準法を守るという方向で
指導監督、教育しなければならないと思うんです。
ところが、ここで人員削減の問題が起きています。
ここに全
労働省労働組合の「よろこばれる仕事がしたい 労働行政の増員を訴える」というパンフレットがあります。こういうものその他を見ますと、とにかく人員削減の影響が非常に大きい。
労働省の労働基準行政職員をとってみても、一九六五年と八九年、これ二十四年たっているんですけれ
ども、比べると五百人削減。この二十四年間に労災保険の適用事業場数は二・六倍、労働者数も一千万人ふえている。こうしたところが人員削減で、最低労働
条件の
確保、労働災害の防止に重要な監督実施率、実際に監督をどのぐらい実施しているか、六五年と比べると五〇%を切っている。二十四年間に監督実施率が半分以下になっている。こういうことになりますと、これはやっぱりしわ寄せが
国民、労働者に来ているという
実態であります。
政府は、来年度から第八次定員削減計画を実施しようとしている。さらに削減しようということになるんですね。こういうことはやめるべきです。
特に、きょう
質問し、大臣も決意を表明されましたけれ
ども、私はきょう銀行を取り上げたんだけれ
ども、こういう銀行だけじゃなくて多くの
企業でそうでしょう。特に銀行、金融業はひどいんだが、ここのこういう不法
行為を根絶するためには、労働基準監督官をもっともっとふやさなきゃならない。
国民、労働者に対する本当の
意味のサービスを実行するために増員を図るべきだ。
昨年、
労働省の大幅定員増を求めて三十一万名の国会請願、これに全労働を中心に取り組まれた。衆参両院でこの国会請願は全会一致で採択されている。各党一致です。ところが、これが採択されているのに、実際は今度もまた削減ということになっているわけで、私は、労働大臣、ぜひきょう取り上げた銀行のこういう不当なサービス残業、長時間残業、こういうものを本当になくして、国際的な
信頼を
確保するためにもまず労働基準監督署の増員をして、ふさわしい体制をつくることが必要だと思うんですけれ
ども、お
考えをお聞かせいただきたいと思います。