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説明員(清水湛君) 御
指摘のように、
昭和六十三
年度予算においては前
年度剰余金の受入額を六十億六千九百万円と見積もり、計上されましたが、
決算においては百二十六億四千万円と、こういうことになっているわけでございます。
このような見込み違いがなぜ生じたかということでございますけれ
ども、
昭和六十二
年度は脂抄本請求等
事件の増加というものが推定を大幅に上回ったというようなことが
一つの原因としてあるわけでございます。それでそういう増加によって、登記手数料に係る収入が非常に増加したということに当然なるわけでございます。
それからもう
一つは、この登記特別会計におきましては、剰余金が生じた場合には、その剰余金は原則としてこれを翌
年度の歳入に繰り入れて他の歳入とともに翌
年度の歳出の財源に充てる、つまり、余ればその次の年に使う、こういうことになっているわけでございまして、そういうようなことから予算の節約をすることによって剰余を出したということもあるわけでございます。
さらにはまた、登記特別会計の発足間もないということで、やや安定性を欠いたということも言えようかと思いますけれ
ども、こういうような事情によって予算額と剰余金の
決算額に大きな開きが出てきたわけでございます。
先ほど申しましたように、このような開差が生ずるということは必ずしも好ましいことではないと私
ども思ってはおりますけれ
ども、一方、登記
事務のコンピューター化は長期間にわたり計画的に遂行している事業でございますので、ある
年度に生じた剰余金は次
年度あるいはその次の年に使うというような形で、コンピューター化の円滑な推進を図るということになっているわけでございまして、そういう
意味では、長期的な計画のもとに合理的に使用されることになっておるというふうに私
どもは考えているところでございます。
それから第二番目の、全国の法務局の不動産登記のコンピューター化がまだ余り推捗していないのではないかというお話でございます。
昭和六十
年度に登記特別会計制度が創設され、またその後所要の不動産登記法、商業登記法等の改正がされたわけでございますが、ややコンピューター化の立ち上がりがおくれました。登記のコンピューターというのはこれは大変巨大なシステムでございまして、そういうシステムが国民のいわば生命の次に大事な財産である不動産の権利
関係を規律する、こういうことになるわけでございますので、間違いが絶対起こらないようにということで正確を期したということ、そのために相当長期のシステムの開発期間を要したというようなことがあるわけでございます。
そういうような
状況があるわけでございますが、昨年の九月には、法務局の
職員団体である全法務労働組合との合意にも達するというようなことがございまして、
昭和六十三年においてはわずか一庁がコンピューター化されただけにとどまったのでございますが、
平成元年には五庁、昨年は十一庁、本年、
平成三年は既に三庁がコンピューター化され、間もなく六庁も引き続きコンピューター化される、さらに移行作業中のものが二十庁あるというふうに、昨年の全法務労働組合との合意を契機といたしまして、急激にこのコンピューターの全国的展開が進捗しつつあるという
状況になっているわけでございます。
ただ、何分にも全国に千百カ所余ある登記所をコンピューター化する、不動産の数と申しますか、土地、建物の数が
日本全国で約三億個近い、三億筆個という膨大な不動産に関する登記簿をコンピューターに入力するという作業がまず前提としてあるわけでございまして、我々はこれを移行作業と呼んでおりますけれ
ども、これに膨大な人的、物的な経費を要するというようなこと。さらには、コンピューター化するためには改めてコンピューター用の建物を建築しなければならない、いわゆるバックアップセンターと言っておりますけれ
ども、そういうような新たな施設の整備を図らなければならないというような事情がございますので、一気にこれをコンピューター化するということは非常に難しい。ある
程度の期間、私
どもなるべく短い期間にこれを完成したいとは思っておりますけれ
ども、しかしそれでも全国的な展開ということを考えますと、相当の長期間にわたる作業にならざるを得ないのではないかというふうに考えている次第でございます。