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喜岡淳君 六十年にやった、それで今後
調査するつもりはないというような今のところの御
意見がありましたが、やはり私は、
科学的な
調査ということを早急にお願いしたいと思います。今も
大臣おっしゃったように、正確なデータがなければ正確な方針が出てこない、全く
大臣のおっしゃるとおりだろうと思うんです。
そこで、
昭和六十年に行われました
実態調査の問題でありますが、この
調査には幾つかの問題が各方面から
指摘されたことは御承知のとおりだろうと思います。その問題点の
一つとしては、
調査票の抽出方法にばらつきがあったために、大
規模部落の
実態というものが
現実よりは低く
認識されているのではないか。また、ある
指摘によりますと、部落差別の
実態そのものに触れていないではないかという御
意見も見受けられます。
例えば、結婚の問題です。結婚の問題、私も冒頭に地元の人からけさ聞いた
お話を言いました。確かに、部落出身の男性と部落外の女性が結婚した、このことだけを取り上げれば、差別は非常に解消の方向に向かっておるという結論が出るでしょう。
昭和六十年度の部落
実態調査はそういうやり方だったですね、結婚問題について。結婚したことについて周囲や親や、反対が起きなかったのかどうか。結婚をした後も今までどおりの親子のつき合いが行われておるのかどうなのか。つまり、差別の
実態についてあのときは全然触れていなかったですね。通婚が進んだから部落差別がだんだんなくなりつつあるんだなどというのは、極めて表面的です。したがって、あの六十年
調査のときにも、この結婚問題については表面をなでただけではないか。その下にある差別の
実態を全然さわっていないではないか。こういう批判があっただろうと思います。
それからもう
一つは、小学校中退者と小学校卒業者を同一のカテゴリーで分類しておった。これについても批判的な見解が見られております。
そのほかにも幾つかの問題点が六十年度
調査には存在していたために、
調査したことはやはり評価しなければなりませんが、
調査の仕方が
科学性を欠き、妥当性を欠いて、しかも中には間違いまで含まれておる。そのために私
どもにしてみるととんでもない結論が出ておったんです、これは。つまり、同和
対策の事業についてはもう成果を上げてきたんだから、かなりの改善が行われたんだから、もうこれからは一般
対策に移行していくというというような方向が打ち出されたのは御案内のとおりです。そういう意味では、六十年
調査については幾つかの問題点、明確な間違い、そういうものが
指摘されておりますので、やはりこの際、
科学的な正確なデータ収集のための
調査をぜひともやっていただきたいというふうに思います。
そこで、
大臣にお願いであります。
大臣の部落
視察についてお願いをしたいというふうに思います。
これまで各
大臣の部落
視察の
状況について調べてみましたところ、自治
大臣の方は三名行っておられます。
昭和五十六年、六十一年、六十二年。文部
大臣の方が二人。
昭和五十六年と六十年です。厚生
大臣の方は三名ですね。
昭和五十六年、六十年、
平成二年です。なお厚生省につきましては、尋ねてみますと、厚生省としてはこれからも機会があるならば行きたいと、非常に積極的なお答えでありました。労働
大臣の方も三名行かれております。
昭和五十六年と六十年、それから
平成三年、この間六月三日だったですか、行かれております。農水
大臣の方が二人です。
昭和五十六年と六十年。建設
大臣の方は一人。
昭和五十六年。一人ではありますが、聞いてみますと、国会
答弁もあることだし、その国会
答弁を踏まえて今後検討したいというのが建設
大臣の御意向であります。
そこで問題の、肝心かなめの
総務庁の場合でありますが、かつて
昭和五十九年十月二十日に当時の後藤田長官が兵庫県の同和地区を
視察されております。その
視察について、これは
昭和六十年三月八日の衆議院予算
委員会第一分科会で感想を求められて述べております。地域の中の人の気持ちもわかる、行ってみたらいいことだということをおっしゃっております。そこで
大臣にぜひお願いしたいと思うわけでございますが、ぜひ
大臣自身が同和地区の
視察をやっていただいて、その目と足と、そして体験といいますか、体で部落の雰囲気、部落の声、
現実を見てくるということが、特に来年三月に法の期限切れを迎えようとしておる今日、非常に重要なことではないかと思いますので、ぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。