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1991-05-29 第120回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年五月二十九日(水曜日)    午前十時二分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         及川 一夫君     理 事                 大浜 方栄君                 後藤 正夫君                 守住 有信君                 会田 長栄君                 千葉 景子君                 猪熊 重二君     委 員                 秋山  肇君                 石渡 清元君                 尾辻 秀久君                 岡野  裕君                 鎌田 要人君                 木暮 山人君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 野村 五男君                 福田 宏一君                 大渕 絹子君                 梶原 敬義君                 喜岡  淳君                 種田  誠君                 西岡瑠璃子君                 渕上 貞雄君                 木庭健太郎君                 諫山  博君                 林  紀子君                 井上 哲夫君                 三治 重信君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    吹田  愰君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  池田 行彦君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        警察庁長官官房        会計課長     田中 節夫君        警察庁警務局長  安藤 忠夫君        警察庁刑事局長  國松 孝次君        警察庁刑事局保        安部長      関口 祐弘君        警察庁警備局長  吉野  準君        青少年対策本部        参事官      山田 高広君        防衛庁防衛局長  畠山  蕃君        防衛庁人事局長  坪井 龍文君        防衛庁経理局長  村田 直昭君        防衛施設庁長官  児玉 良雄君        国土庁計画・調        整局総務課長   阿部 忠寿君        国土庁地方振興        局総務課過疎対        策室長      木寺  久君        法務省刑事局刑        事課長      但木 敬一君        外務省北米局地        位協定課長    原田 親仁君        外務省経済協力        局技術協力課長  横田  淳君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課産業廃        棄物対策室長   三本木 徹君        運輸省地域交通        局交通整備課長  岩村  敬君        郵政省電気通信        局電気通信事業        部業務課長    森   清君        自治大臣官房長  森  繁一君        自治大臣官房審        議官       二橋 正弘君        自治省行政局公        務員部長     滝   実君        自治省行政局選        挙部長      吉田 弘正君        自治省財政局長  小林  実君        自治省税務局長  湯浅 利夫君        消防庁長官    木村  仁君        会計検査院事務        総局第一局長   安部  彪君        会計検査院事務        総局第二局長   澤井  泰君    参考人        公営企業金融公        庫総裁      近藤 隆之君        地方公務員災害        補償基金理事長  亀谷 禮次君        全日本自治団体        労働組合顧問医  中桐 伸五君        日本電信電話株        式会社理事総務        部長       木塚 修一君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○昭和六十三年度一般会計歳入歳出決算昭和六十三年度特別会計歳入歳出決算昭和六十三年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十三年度政府関係機関決算書(第百十七回国会内閣提出) ○昭和六十三年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十七回国会内閣提出) ○昭和六十三年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十七回国会内閣提出) ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金整理資金受払計算書平成年度政府関係機関決算書内閣提出) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書内閣提出) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書内閣提出)     ─────────────
  2. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件の審査のため、本日の委員会に、参考人として地方公務員災害補償基金理事長亀谷禮次君及び全日本自治団体労働組合顧問医中桐伸五君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は自治省警察庁防衛庁及び公営企業金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  5. 及川一夫

    委員長及川一夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  7. 及川一夫

    委員長及川一夫君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 喜岡淳

    喜岡淳君 おはようございます。  きょうは、地方公務員災害補償基金理事長さん、また自治労顧問医中桐先生にはお忙しいところありがとうございました。  きのうの新聞で既に報道されておりますが、東京高裁で宮崎さんという方の過労死労災逆転認定という記事が報道されております。一日おきに二十四時間勤務を二年間続けた、この逆転認定までに約十四年もかかったという報道がされております。しかも、この報道の中では、いわゆる使用者の責任ということについて非常に厳しいことが報道されております。  民間だけではなくて、過労死という言葉が今日は地方公務員の中でも非常によく使われるような時代になっておることに非常に心配をしております。地方公務員の場合でも百人に一人弱の割合で被災者が出ておる、そういう統計上の数字になるかと思いますが、この地方公務員災害補償基金については既に運営の改善を求める声も各地で聞かれております。  つきましては、きょうは地方公務員災害補償基金の問題について自治大臣及び参考人皆さん方の積極的な御意見を賜りたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず最初に、この基金概要についてお尋ねをいたします。  この地方公務員災害補償基金をつくった趣旨、この制度創立趣旨目的についてお尋ねをしたいと思います。    〔委員長退席理事会田長栄着席
  9. 亀谷禮次

    参考人亀谷禮次君) お答えを申し上げます。  地方公務員災害補償法に基づきまして、当災害補償基金は、地方公共団体に常時勤務いたします職員公務あるいは通勤によりまして負傷、疾病にかかり、障害が残りまたは死亡いたしました場合に、これらの災害を受けた職員とその遺族に対しまして、地方公共団体にかわりまして統一的に、また迅速かつ公正に補償を実施いたしまして、地方公務員及びその遺族生活の安定と福祉向上に資するということを目的にいたしておるところでございます。    〔理事会田長栄退席委員長着席
  10. 喜岡淳

    喜岡淳君 補償法の第一条で、今おっしゃったとおり「補償の迅速かつ公正な実施」、それと「地方公共団体に代わって補償を行なう」、つまり代行の業務だと思いますが、この問題、そして「遺族生活の安定と福祉向上に寄与する」と、この三点が法第一条で明記をされておると思います。  そこで、昭和六十三年度平成年度決算審査に当たっておるわけですが、六十三年度、元年度基金財政状況というものは一体どういう状況でしょうか。
  11. 亀谷禮次

    参考人亀谷禮次君) お答え申し上げます。  昭和六十三年度について申し上げますと、収入合計が二百十四億三百万円、支出合計が百九十二億六千三百万円でございまして、差し引き二十一億四千万円収入支出を上回った形になっております。また、平成年度について見ますと、収入合計が二百二十四億九千六百万円でございまして、支出合計が百九十二億三千百万円、したがいまして差し引き三十二億六千五百万円収入支出を上回るという財政状況になっておるわけでございます。  なお、これらの収支差額に剰余が生じた場合におきましては、従来からも、今後予想されます突発的な大規模災害の発生に伴う補償とか、あるいはまた将来増加が見込まれております年金給付のための原資の確保に必要がありまする等、年度間の財政調整対応するためにもその全額を支払い備金といたしまして積み立ててきております。現在その額が平成年度末で三百六十四億二千万円となっておるところでございます。
  12. 喜岡淳

    喜岡淳君 積立総額が三百六十四億円。一年間の支出が大体二百億円弱ですから、約一年半ぐらいですか、それぐらいの積立金ができておるということだろうと思います。  そこで、この地方公務員災害補償基金の最大の目的であります公務災害に係る申請及び認定の問題ですが、この申請件数及び公務上の認定あるいは公務外認定申請認定件数について、昭和六十三年度平成年度、それぞれ教えていただきたいと思います。
  13. 亀谷禮次

    参考人亀谷禮次君) お答え申し上げます。  昭和六十三年度におきまして公務災害通勤災害請求件数を見ますと、総計で三万一千七百四十三件と相なっております。公務上または通勤災害該当認定されたものが三万一千百五十四件でございまして、公務外または通勤災害該当認定されたものが三百五十件と相なっております。  また、平成年度でございますが、公務災害及び通勤災害請求件数が三万一千五百二十七件でございます。公務上または通勤災害該当認定されたものが三万九百五十四件となっておりまして、公務外または通勤災害該当認定されたものが四百二十六件と相なっております。
  14. 喜岡淳

    喜岡淳君 かなりの数の申請及び認定が行われておると思いますが、やはりこの法の精神からいきますと、認定に当たっては迅速、公正ということが法の第一条で規定されております。  そこで、その認定状況はてきぱきと短期間のうちに処理されておるでしょうか。聞くところによりますと、私も相談を受けた案件でありますが、既に五年たってもまだはっきりしていないという案件もありますが、処理状況というのは迅速に行われておるんでしょうか。その状況を教えてください。
  15. 亀谷禮次

    参考人亀谷禮次君) 認定処理に要する期間お尋ねでございますが、公務上外認定は、基金の各支部において現在行っているところでございまして、各支部とも、おおむね私の見ますところ、遅延することなく円滑に処理されているのではないかと理解をいたしております。  ちなみに処理状況は、各年度とも、支部におきます処理案件中、認定請求書を受理後一カ月以内に処理されたものがほとんどでございます。しかし、ただいま御質問の中で御指摘がございましたように、疾病事案の中でも内容が複雑で、資料収集等にかなり手間取る等の問題がある案件もございまして、ごく少数の案件ではございますが、処理に相当長期間を要しているものもあり、今後もできるだけ迅速な処理をするよう指導を現在もいたしておるところでございます。
  16. 喜岡淳

    喜岡淳君 ごく一部の非常に複雑なものについては長期化しておるということでございましたが、やはり被災者あるいはその家族、そういう人たちにとってみますと非常に問題でございます。そういう複雑な案件事案について、一体どういうふうにすれば迅速、公正に、法の趣旨に基づいて迅速な判断対応ができるのか。そういうことはこれまでにも国会の中でもいろいろ議論されてきた問題だろうと思います。  そこで、大臣お尋ねをいたしますけれども、既にこの基金創立以来約四半世紀近くたとうといたしております。昭和四十二年以来ですから既に二十四年ですか、そういう中で幾つかの問題が国会でも議論されてまいりましたし、地方公務員を取り巻く状況についても非常に複雑化しております。そういう意味では、迅速、公正という法の趣旨からして、幾つかの基金改善といいますか、改革という問題も議論されてきたと思うんですが、大臣は特に地方行政の現場をずっと務めてこられまして、今日はその頂点である自治大臣という地位に立っておられます。そういう意味では、基金現状に対して、地方職員のこともよく御存じの立場から、もしこの基金に今後の改善すべき課題があるとするならば、一体どういうことについてお考えでしょうか。
  17. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) ただいま先生お話があります問題は非常に大事な問題でありまして、地方公務員のみならず国家公務員もそうでありますが、職場でそういった事態が発生した場合には速やかにそれに対する対応をしていくということが大事であろうと思います。先ほどから基金理事長も御答弁されておりますが、大部分は速やかに、一カ月以内にこの判断認定をしております。若干複雑な問題につきましておくれておるんですということを言っておるわけでありますが。  最近は、災害の態様というものが非常に複雑化してまいりましたことはもう先生御承知のとおりであります。特に脳とか心臓疾患、あるいは精神疾患というような問題につきましては非常に困難な問題が伴うわけでありますが、私も、そういう点につきましては基金の方も極力、基金精神というものがはっきりしておるわけですから、それに基づいて認定されていく方向で努力されておると思います。今後もこうした被災者である職員に対し、遺族立場というものを十分考えまして、迅速かつ公正な補償が実施されるように努力しなければならぬ、こう思っております。  具体的にどうするかというような問題につきましてはまたこれは事務当局の問題であり、基金の方の問題でありますから、私がここでそれに対しましてとやかく私見を述べることは差し控えたいと思いますが、確かに極力職場意見あるいは任命権者意見というようなものも重視していくということは必要であると思いますし、しかしながら医師の判断というものは今日これはもう何としましても大事なことでありますから、そういった双方の意見基金の方で御検討いただけるものだと思いますが、これをさらにそういう点で努力していきたいものだ、こう思うわけであります。
  18. 喜岡淳

    喜岡淳君 今大臣お答えの中で、脳とか心臓疾患に関する案件が非常に複雑、長期化するというお答えだったと思いますが、脳とか心臓については複雑であって資料収集も非常に困難である、そういう事案であるだけに、この脳、心に対してはやはり特別の対策といいますか、そういうものを当然考えるべきだろうと思いますし、既にこれまでの国会附帯決議においてもその点については強調されておると思います。  そこで、基金の方としては、この脳、心に対応する対策というものをどういうふうにお考えでしょうか。
  19. 亀谷禮次

    参考人亀谷禮次君) ただいま御指摘がありました脳・心臓疾患に係る取り扱いの問題でございます。先生も御案内かと思いますが、大臣から申し上げましたように、この脳・心臓疾患に係る事案は非常に複雑な内容を持っておりまして、これの認定については種々困難が伴うのでございますが、私ども基金といたしましても、過ぐる昭和六十二年十二月に、当時、国家公務員災害あるいは労災において従来から取り扱っておりました認定基準の大幅な改定が行われまして、現在その新しい基準に基づきまして私ども基金もこの取り扱いを行っておるところでございます。  現在は、御案内のように、発症前一週間以内に過重な職務が継続しておる場合、あわせてまた一週間より前の勤務についてもその勤務状況に応じて付加的要因として考慮される旨の問題を含めまして、これらの期間において過重な職務が継続している場合、血管病変等の著しい増悪に関連がある場合、これらのものを考慮しまして、それが通常の業務と異なる公務の有無、超過勤務状況等、詳細な調査を行いまして、その上でかつまた医学的な意見を求め、これらを総合的に勘案しまして公務上外判断を行ってきておるところでございます。  なお、つけ加えさせていただきますと、当基金といたしましても、先ほど申しましたように、昭和六十二年にこの新しい基準で運用をやっておるわけでございますが、この新しい基準が設定される以前の案件につきましても、この基準設定日以後におきましてはこの新しい基準によって現在認定処理いたしておる経緯でございます。
  20. 喜岡淳

    喜岡淳君 今のお話は、脳、心臓に係る認定基準改定ということだったと思いますが、これは国公とか民間とかその横並びにしたということでございますので、いわば当然の問題だろうと思うんです。  私が先ほどから聞いておりますのは、いかに迅速に被災者立場に立って処理をするのか、そういう改革の問題を聞いておるわけです。それについては既に平成二年六月五日の衆議院地行委員会平成二年六月十九日の参議院地行委員会、それぞれの附帯決議で、脳、心に係る対策ということで附帯決議をされておりますので、当然、どういうふうな改革措置を検討されておるのか、そういう観点から御質問したわけでございます。  そこで、中桐参考人お尋ねをいたしますが、やはりこの脳、心臓に係る複雑な事案、この問題をどういうふうにして、被災者立場に立って、法の趣旨であります迅速、公平に対処すればいいのか、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  21. 中桐伸五

    参考人中桐伸五君) 中桐でございます。  私は、医学的な立場から、先ほどの脳・心疾患認定あり方について問題提起をさせていただきたいというふうに思います。  これからの職場での健康問題の主体慢性病主体になってまいりまして、成人病、がんというのが主体でございます。その成人病一つの大きな課題脳卒中及び心臓病ということになるわけでございます。こういった疾病は非常に原因が複雑でありまして、また非常に長い期間をかけて病気が起こってまいります。したがいまして、その認定ということになりますと、その因果関係をめぐって非常にトラブルが起こるわけであります。非常に長い場合はもう数年を要するというふうな期間を経て決定が下されるということが起こるわけであります。  私ども医学立場からしますと、不幸にしてお亡くなりになった方の問題ということが一つありますけれども、もう一つ脳卒中、例えば脳出血で半身が不随になったというふうな場合に、速やかに安心して治療を受けて社会復帰するということが非常に重要であります。特に早期対策をとるということが非常に重要になってまいります。そのことを考えますと、現在の認定制度というのは非常にぐあいが悪くなってきたというわけであります。というのは、昔の、やけどやけががたくさん起こっていた時代認定あり方というものをそのまま現在に持ってきているわけでありまして、そういう制度をやはり現代疾病構造変化に合わせて変える必要があるというふうに思うわけであります。  しかし、その認定基準の問題につきましては、先ほど大臣もまた基金理事長さんも話されましたけれども医学のところで非常に困難を生じているわけであります。本当は現代医学がそこに、このケースは五五%もう仕事原因である、このケースは四〇%しか仕事原因ではないからこれはもう公務外だろうというふうにはっきり分けられるならばよろしいんですけれども、残念ながら、まあ例えばインフルエンザインフルエンザビールスで起こるというところまではわかりましたけれどもインフルエンザビールスが何個で起こるかということになりますと、もはや現代医学は答えられないわけであります。世界じゅうの名医を連れてきても皆さん方が冬お引きになるインフルエンザビールスの数が当てられないわけであります、現代医学は。まして、インフルエンザのような感染症の場合にはまだわかりやすいというところがあったわけですが、心臓病とか脳卒中になりますと非常に複雑でありまして、もちろん仕事要因もありますけれども日常生活でいろんな問題があるでしょうし、あるいは嗜好品で、たばこを吸っているという問題もあるでしょうし、また生まれつき持った遺伝的な素因というのもあるわけであります。そうしますと、インフルエンザでも非常に難しい現状において、これを医学的に明快に解明せよといっても非常に無理があるということであります。  そこで、医学は一体どういう役割を果たせばいいのかということになりますと、やはり私が最初申し上げましたように、被災された方が安心して治療できるという体制をつくりたいというのが私ども願いであります。そして、一日も早く職場に復帰していただく、社会に復帰していただく、これが願いであります。  それともう一つは、原因は複雑でありますけれども、その一つ一つ原因の中に改善する要因というのは幾つか出せるわけです。例えば脳卒中でありますと、冬、家の中は暖房をしている、非常に暖かい、それで外へぱっと出ますと顔に冷たい空気が当たる、五度以上の温度変化がありますと血圧がぴゅっと上がるわけです。そういうふうな例えば温度という環境をよくするとか、そういったことについては現代医学十分対策をとるところまで来ておるわけであります。そういう点から考えますと、早期治療社会復帰と同時に、もう一つは、考えられる疑わしい要因に手を打っていく、二度とこういう不幸なことを起こさない、これが私は現代医学において十分できるというわけであります。  そこで、時間がございませんので私の提案でございますけれども一つは、この前の参議院地行委員会においても話させていただきましたけれども認定を迅速、公平に行うためには、認定基準を大幅にもう一度見直すということは必要ですが、しかし過渡的に私は次のような制度を提案したいわけであります。  その制度といいますのは、仮認定制度でございます。仮に認定をするわけであります。仮というのは一定の期間ということでありますが、それは、三カ月ないしは六カ月ぐらいの間にしかるべき資料を収集して正式に公務上外判断を下す。それまでの間は仮に、認定基準を大幅に緩和して、申請があればとりあえず、例えば家で頭を打って脳卒中になったというふうな場合にはこれは無理でありますけれども、そういう明らかに公務以外に原因があるという場合を除けば仮にまず認定をする。そしてその期間の間に判断を下す。そして、その間にかかった費用については一応公務災害基金の方から出していただくという形で、そしてもし公務外になりましたら健康保険の治療なり対策に移行させる、こういうのが一つであります。  もし、それが非常に認定基準の枠を広げるということでしたら、もう一つの案といたしまして、オールタナティブな案といたしまして仮払い制度というのも考えられるわけであります。仮払いというのは、とりあえず公務災害基金を使って治療費を出したりあるいは休業補償を出して、とりあえずそういう形で、申請がありましたら仮に出していただく。現在の認定基準はそのままにしておいてとりあえずそういう制度をつくる。そして三カ月ないし六カ月間の期間で決定を下して、もし公務外になりましたら健康保険の方で支払いをするというふうに変えるという制度でございます。
  22. 喜岡淳

    喜岡淳君 やはり脳、心臓については何らかの対策を出して、法の趣旨であります迅速、公正に処理ができるような一日も早い改善を、大臣また基金理事長さんにはお願いを申し上げたいというふうに思います。  それから次に、今も少し大臣お答えの中で触れられましたが、任命権者の問題です。さあ公務災害が起きた、それに対して被災者及びその遺族が、亡くなった場合はその遺族公務災害申請をいたします。その申請に対して認定をする際には任命権者意見を聞かなければならないということがこの法の中では明記されておりますが、どうしてこの地方公務員災害補償法においては、基金認定をするに当たって「災害を受けた職員任命権者意見をきかなければならない。」ということが書いてあるのか、この趣旨ですね。どうしてこういう「きかなければならない。」ということを書いておるんでしょうか。
  23. 滝実

    説明員(滝実君) ただいま御指摘のとおり、法律におきましては任命権者意見を聞くことになっているわけでございます。その理由でございますけれども、いろいろな問題が考えられるわけでございますけれども、私どもは二つの問題があるように思います。  一つは、任命権者というのは日常職場において職員を指揮監督する立場にある、これは当然のことでございます。そういうようなことから職員職務内容あるいは勤務状況災害発生の状況等、こういうようなことを把握している、こういうことでございますので、災害認定に当たっては当然任命権者意見を聞くんだと、こういう考え方が一つでございます。  それからもう一つの問題は、通勤災害の問題がございますものですから、当然そういった点についてもこれは任命権者でなければ把握できない問題がございますので、そういうような通勤災害、こういうような観点からの問題が一つある。こういうようなことを私どもとしては考えているわけでございます。
  24. 喜岡淳

    喜岡淳君 そこでお尋ねしますが、「任命権者意見をきかなければならない。」と、こう書いてありますと、私どもはやっぱり、任命権者意見といいますか、これは非常に権威があるのかなというふうに思うわけです。  任命権者が、これはもう公務災害として認定してくださいと、それに対して基金が、いやそんなものは認められない、医学因果関係について認められないからそれはもう公務外だと。つまり、任命権者基金との意見が異なる場合というものが実際にどれぐらいの割合で発生しておるんですか。例えば昭和六十三年度平成年度、ちょっと教えてください。
  25. 亀谷禮次

    参考人亀谷禮次君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問にございました、任命権者意見基金が最終的に下しました判断と異なった件数ということでございますが、大変恐縮でございますが、全国的にそういう調査の結果をただいま持ち合わせがございません。  ただ、大変恐れ入りますが、香川県支部を例にとってちょっと調べさせていただきますと、任命権者基金が下しました判断の異なった件数というものを見ますと、昭和六十三年度におきまして二件ございました。当該六十三年度における香川県下の総認定件数は百七十三件でございます。それから、続きまして平成年度でございますが、同じように三件ございまして、元年度の総認定件数は二百十六件、こういう数字が出ております。
  26. 喜岡淳

    喜岡淳君 全国的にはどうか知りませんが、私の地元の香川県の場合でも、実際に任命権者意見基金意見が違うという例が発生しておるわけですね。  そうなってまいりますと、実際任命権者意見というのはどういうふうに受けとめられておるんでしょうか、扱い方ですね。任命権者が、私の雇用したこの人が業務上の災害になったんだ、認定してくれと言っても、違うと。あるいはその逆ですね。公務外だと言ったって基金公務上だと認定するとか、いろいろ意見が異なる場合があるということは、任命権者意見というのはどういうふうに扱われているんですか。私は何か、任命権者業務上だ、あるいは公務外だというふうに言えばそのとおりいくのかなというふうな気がしたんですが、そういう扱いにはならないんですか。
  27. 亀谷禮次

    参考人亀谷禮次君) お答え申し上げます。  任命権者意見を聞くというふうに私ども担当しております地方公務員災害補償法の規定に明定されているところでありまして、その趣旨につきましては、先ほど務員部長からもお答えがあったとおりでございます。ということもございまして私どもは、任命権者が日ごろ職場におきまして業務における命令を出し職員の指揮監督をする立場にあるわけでございますから、災害発生の状況等を十分把握しているということを考慮いたしまして、当然その意見を聞くことにしてあるわけでございます。このことはまた一面、任命権者がそういった職場状況を考慮してその意見を提出しておることでもあり、任命権者がそうした観点から公務災害の公正な認定のために必要な情報を可能な限り提供するということも、一面任命権者としての責務であるという面もあろうかと思います。  そういったことを前提といたしまして、基金におきましても、先ほどお答えをしているかと思いますが、任命権者意見を十分聞いた上で、またさらに被災職員職場環境を初めといたしまして作業の態様、勤務の形態、あるいはまた療養の経過などを十分に検討いたしますとともに、また専門的な医学意見をも聴取しました上で総合的な判断を下して、公務上外の決定をしておるところでございます。  先ほど来御質問もございましたし、また大臣の御答弁もありましたが、特にこの中でも脳・心臓疾患のような疾病事案につきましては、医学的な意見をもとに判断することとどうしてもなるわけでございますので、最終的には必ずしも判定の結果が任命権者意見と合致しない場合も起こり得るのではないか、かように考えておるわけであります。
  28. 喜岡淳

    喜岡淳君 医学判断ということを今言われましたが、任命権者だって適当なものを書いて出しておるわけじゃないわけですね。やはりお医者さんに相談をして、その上でこれは公務上か公務外かそういうことを判断した上で、根拠を持った任命権者としての意見を出しておるわけでしょう。ですから、任命権者意見については医学的な判断はないような言い方は私はおかしいと思いますし、任命権者の方に対して非常に失礼だろうと思うんですよ。  じゃ、任命権者の方がお医者さんと十分相談してその上で出してきた場合、皆さんそうされておると思いますが、その任命権者意見についてはどういうふうに判断するんですか。医学的な根拠の裏づけされた任命権者意見ですよ。何か今の理事長さんの御意見でしたら、医学的な判断権は基金にあるという言い方じゃないですか、それは。違いますか。
  29. 亀谷禮次

    参考人亀谷禮次君) お答え申し上げます。  任命権者から提出をされます意見につきましては、ただいままでしばしばお答えしましたように、十分にそれらの事情をしんしゃくし、最終的には、ただいま申し上げましたように医学的な判断も加えて決定をいたすのが建前になっておりますが、私ども医学的な意見を徴する場合には、やはり専門家の御意見を聞かなきゃなりません。そういったことも当然前提でございますので、基金として、全国的な統一的な基準の中で、なおかつ国公災あるいは民間労災との均衡を保ちながら統一的な判断の中で行うという建前になっておりますので、それぞれ基金におきます専門委員あるいは相談医等の制度に基づいてそういった方も委嘱しておるわけでございます。そういった方の御意見もそれぞれの事案に応じまして聴取をしながら、なおかつ今お話しのございました任命権者からの意見等も合わせ、総合的な検討の結果に基づいて判定をいたしておる、こういうことになっておるわけでございます。
  30. 喜岡淳

    喜岡淳君 今のお話を聞いておってもどうも合点がいかないのは、「任命権者意見をきかなければならない。」と書いておるんでしょう。この「ならない」という意味はどういうことですか。幾ら聞いてもこの「きかなければならない」という法律の趣旨が伝わってこないんですよ。「きかなければならない」というのが実際全然生きていないというような感じがするんです。意見を合わせて総合的に検討とかおっしゃってましたけれども、「きかなければならない」という趣旨が全然生きていないように思うんですよ。聞かなければならない、しかし実際は書面で出すだけでしょう、任命権者意見は。そんなんで本当に聞いたことになるんですか。任命権者意見を聞かなければならないというのであれば、単に書類で上げてこいとかいうんじゃなくて、任命権者の人も入れて、堂々と意見を闘わさないかぬのじゃないんですか。そういう運営しておられますか。
  31. 亀谷禮次

    参考人亀谷禮次君) 先ほど来公務員部長を初め私も重ねて御答弁をしてきておるわけでございますが、地方公務員災害補償法にのっとりまして認定請求が出される場合に、これまで御答弁に触れましたように、現場をよく知っておる任命権者意見を付さねばならないと、こういう建前になっておりますことは御指摘のとおりでございます。これはやはり任命権者としての職場管理の責任者がその状況をよく知っているということを踏まえて、基金認定審査上必要な要件として当然うたわれておるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、これらの案件を最終的に認定する場合に、任命権者意見もしんしゃくし、なおかつ専門委員等の意見、それから先ほど来言っています国公災や民間労災との均衡を保ちながら統一的にこれを処理していくというふうな諸要件の中で総合的に判定しております。  したがいまして、任命権者意見を聞かねばならないという意味は、お言葉を返すようで恐縮でございますが、任命権者が出しておる認定についての請求の最終結論どおりに当基金がその決定をしなければならないというふうには必ずしも考えておらないと私は思っております。
  32. 喜岡淳

    喜岡淳君 今のお答えは私は非常に理解しがたいんですね。聞かなければならないと書いておるけれども、そのとおりしなければならないという問題ではないんだ。じゃ、どうして「きかなければならない。」と法律は書いておるんですか。参考とせよと書けばいいじゃないですか。おかしいんじゃないですか、そういう言い方は。
  33. 亀谷禮次

    参考人亀谷禮次君) 繰り返しの御答弁を申し上げるようで大変恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、地方公務員災害補償法に書いてございますこの規定の趣旨は、職場を管理する責任者としての任命権者が当該職員の日常の業務あるいは職場環境等を十分熟知しておるということを含め、公務災害の公正な認定のために必要な情報を可能な限り提供することを、義務づけておると言うと非常に語弊がございますが、いわば公務災害認定の経過手続の中でそういった仕事任命権者仕事としてお願いをしている面もあるということでございまして、そういった面も含めて、この法の趣旨は、意見を徴さなければならないというふうに規定をしているというふうに私は理解をしております。
  34. 喜岡淳

    喜岡淳君 今のお答えでは、情報提供を義務づけしておるんだということでございましたが、私は、それだったらまたおかしくなってくると思うんです。  大臣お尋ねしますけれども地方公務員災害補償については、本来は労使の間で、雇用関係のある人の間でやっておったものですね、これは。ところが、昭和四十二年に基金制度ができたものですから、基金の方が代行でやるようになったわけですよ。そうしますと、やはりこの労災認定に当たっての、一番現場もよく知っておるし事情もよくわかるこの任命権者意見を聞かなければならないという趣旨について考える際に、任命権者がこの人は公務災害だというふうに判断したものについては、基金も優先的に当然認定をしていくというのが私は筋ではないかと思うんですが、任命権者立場考えたらどうでしょうかね。
  35. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) ただいまの御意見ですが、私もそのことに対して決して否定するものではありませんが、私もかつて任命権者であったこともありますが、いわゆる現場の責任者という立場からその意見を聞くということは、私は非常に好意的な立場考えておる制度であると思うんですね。そういう意味任命権者意見を聞くということになりますし、それを尊重するという立場になっておると思うんです。  ただ、最初申し上げましたように、最近の被災者というものが非常に難しい複雑な病気が多い、あるいは亡くなっていく、そういう疾患関係でありますだけに、医師の意見というものが非常に大きなウエートを占める。先ほど参考人お話を聞きましても、医師の御意見というものは非常に大事に考えなきゃならぬということも出ました。したがいまして参考人は、こういう方法もあるわなと、仮に認定する方法もあるし、仮に支払っておく、前払いするという方法もあるわなというようなことを御提言になりましたが、それはそれなりに私はやはり一つの提言として、これからの問題として検討に値すると思っております。  いずれにしましても、地方公務員がそういう場面に直面したときに、どうしてこれをそうした御本人、家族、あるいはあとの遺族に対してしっかりした方法をとって差し上げるかということが、善意に考えていくということが基本であることは間違いないと思うんですね。ただし、こういう制度を設けておる限りは、他の法律の問題もあります、労災その他の問題もありますから、公正な立場で、一つの目で物を判断していかなければならぬということもありますものですから、非常にそこに難しい、認定の場合、審査の場合に、一つ判断の問題として厳しくやらなきゃならない問題もあるのではないかな、こう思うんです。  いずれにしましても、先生の御趣旨の点は私は非常によくわかるわけでありまして、またそういった点につきましても当局なりあるいはまた基金の方も、研究すべきことは十分これから新しい時代に向かっての対応として御研究をされるのではなかろうか、こう思っております。
  36. 喜岡淳

    喜岡淳君 やはりこの基金制度趣旨に立ち返りまして、いずれにせよ被災者立場を優先する、不幸にして亡くなられた場合はその遺族の方の立場を最大限尊重する、これが趣旨だろうと思いますので、任命権者がそういう観点から申請を出した場合、私は任命権者意見に沿った立場で動くべきではないか、基金は。逆に、幾ら任命権者の言ったことであろうとも、医学的根拠がもう全くゼロの場合、任命権者公務上の認定をしてくださいと言って申請をしてきた。しかし、それに対しても、全くそんなことは立証できないんだということがない限り、私は任命権者意見立場に立って基金処理していくというのが極めて人道的であり、この法の趣旨にかなうのではないかというふうな気がいたしております。  そこで、中桐先生にも質問でございますが、この任命権者の問題をめぐって各地で多くの不満が聞かれております。自治体の言うこと聞いてくれぬのだったらもう上乗せ制度でもしようか、その方が早いわというような意見を聞くことさえありますので、さまざまな問題がこの任命権者をめぐってあるかと思いますが、そのあたりについての御意見をお伺いしたいと思います。
  37. 中桐伸五

    参考人中桐伸五君) お答えします。  私ども認定の問題で一番障害になっていると思いますのは、因果関係業務に起因することが有力な原因であるということが明記されることによって非常にトラブルになるわけであります。どうしても仕事と何らかの関係があればいいじゃないかというふうに解釈されないわけであります。実はその理由は、使用者が全部お金を出しているというのが理由なわけなんです。使用者責任で公務災害補償あるいは労災補償というものが行われているというのが理由なわけでございます。  そこで、その使用者の方がこれは公務に起因すると思うから、医者の意見もかんがみてみて、公務に起因するからということで意見を出したことが否定されるというのは、私は非常に何か矛盾があるような気がします。要するに、今の認定基準は、使用者が全部お金を出すから非常に厳しい基準になっている。ところがその使用者がこうこうこうだからと言っても通さないというのは一体どういうことなのか、ちょっと私は理解に苦しむわけです。  実は私は、医学的な立場からもう一つ申し上げたいのは、そういう任命権者意見を聞くという手続をすることが実は認定判断がおくれるということなんです。ということは、医学的な速やかな対策が実はおくれるという、そういう重要な原因になってくるわけなんです。ですから、この点をやっぱり、もしその任命権者意見を重視するというならわからないでもないんですが、重視するというか、そういう形で証明書をもって判断した意見についてはもう認めるというならわかるんですが、そのあたりがひとつ非常に理解に苦しむわけです。  それからもう一つは、認定申請が滞るということがあるわけです。使用者との関係でこういうトラブルは起こしたくないというふうに労働者が思えば、これはやっぱり差し控えるということが起こる。だから労災保険では、実は任命権者意見なんというものを書かせることは全然ないわけであります。それは、要するに労災保険の方がそういう配慮をしているわけですね、労働者に。ですから、そこを地方公務員災害補償基金があえて任命権者意見を聞かねばならないというふうにするのであれば、私はやっぱり特別の配慮をしなければならないというふうに考えるわけでございます。
  38. 喜岡淳

    喜岡淳君 この任命権者の問題につきましては、「きかなければならない。」と法律が明記しておる以上は、私は聴聞の手続をとるとか、あくまでもそういうきちっとしたルールを認めるべきだろうというふうに思いますが、ぜひそういうふうな検討もお願いしたいと思います。  なお、先ほど理事長さんのお話では、この「任命権者意見をきかなければならない。」という点について、情報提供を義務づけておる程度なんだというお答えでありましたが、これは今までの国会会議録なんかを精査してみても、私はちょっと違うんじゃないかと思いますよ。それは前の理事長さんだって、参考にするという御意見はあったかと思いますが、情報提供の義務づけなどというそんな軽々しい位置づけはされておらなかったと思うんです。それは、前の方は株が忙しくてかどうかしりませんが、この「きかなければならない。」という点については、今のような軽い位置づけはされていなかったというふうに思いますので、私はこれは理事長さんにぜひ、義務づけ程度だという認識は改めていただきたいというふうに思います。  時間がございませんので、最後になりましたが、基金の運営についてはいろいろ不満という声も聞いております。確かに基金の果たしておる役割は非常に大きい役割がありますが、同時にこの基金に対する改革を求める声も出ております。  私は幾つかお願いしたいと思いますが、一つは、書面審査主義というものの弊害が指摘されておると思います。やはり現場の実態というものを踏まえながら、総合的な、科学的で公正な判断がされるようにすべきではないか。  それからもう一つ支部審査会のあり方でありますが、支部審査会においては、やはり現地調査あるいは口頭陳述、参考人の陳述などについてもっとしっかりウエートを置いたルールづくりをしていただきたいというふうに思います。  それから最後に、時間がございませんので一言だけ、医学的な問題が言われておりますので、これについてお聞きしたいというふうに思います。  医学因果関係という際に、基金支部においてはどのようなお医者さんが判断されておるのか皆知っております。しかし、基金の本部のお医者さんが一体だれなのか、これがベールに隠されたままわからないんですよ。どういうお医者さんが本部の審査において審査されておるのか全くわかりませんので、非常に不透明感を感じておる人もおります。そこで、このお医者さんの問題、また基金の運営のさまざまな改革点について、中桐先生の御意見を聞かせていただきたいと思います。
  39. 中桐伸五

    参考人中桐伸五君) 時間がありませんので、結論的な話だけさせていただきます。私が日ごろ認定の相談を受ける中で気がついた点を箇条書き的に申し上げます。  先ほど喜岡議員の方からお話がありましたように、基金判断をしかねて相談をする医師の名前が明らかにされないというのは、非常に公平さを欠くというふうに思います。といいますのは、労働者の側が一生懸命数少ない医師に依頼して意見書を書いていただくときには、署名捺印をして連絡先まで書いて意見書を出すわけであります。それに対して、名前も明らかにしない形で基金の相談医が判断を下したものが多々重要視されて採用される。これはやっぱり私は医者としてどうも納得がいきません。  それからその次は、やはりこういう医学的に非常に難しい問題ですから、書面だけではとても判断できないというふうに思います。ですから、必ず現地調査というものを義務づけていただくようにしていただきたい。  さらに、三点目といたしまして、長年ずっとかかりつけの医者なりあるいは倒れたところで治療をしていた医者の、主治医の意見というのはやっぱり重要であります。脳、心の病気というのは長年かかって起こってくる病気ですから、主治医の意見というのは非常に重要なのでありまして、これをぜひ重視をしていただくということで公平さと的確性が増すのではないかというふうに思います。  それから四点目として、もし基金の相談医の先生に相談をするならば、やはり本人と直接会っていただいて、そして診察をした上で判断をしていただく。アメリカでもセカンドオピニオンといって、要するに一人の医者で判断できない場合には第二の医者に相談をする、しかしそれは必ず検査をし診察をして判断するというシステムがありますけれども、そういうような形で公平さなり的確性を増していただきたいということであります。  その次に審査会でありますけれども審査会の不服審査制度におきます問題として、二点問題提起をさせていただきたいと思います。  一つは、仕事との関係で検討するということが、公務上であるかどうかの医学判断の問題であります。ところが、審査会の医師の中に、労働医学、産業医学、要するに仕事との関係で健康問題を究明していく、そういう医者、これは産業衛生学会という学会に所属している医師がたくさんおりますが、その医師がほとんど入っておりません。私は全部調べたわけではありませんから正確なことは言えませんけれども、中央審査会にはそういう医者はいないということがはっきりしておりますし、各審査会でもおそらく非常に少ないんじゃないかと思います。ですから、やはりこれは臨床の医者と同時に産業医学、労働医学の医者を必ず入れてほしいということであります。  それからその次の問題といたしまして、労働側が推薦する医師が一人いてもいいんじゃないかということで、労働側の推薦する医師を審査会の医師の一人に加えてほしい。  以上であります。
  40. 喜岡淳

    喜岡淳君 基金の方にお尋ねいたしますが、本部審査会が相談するお医者さんですね、どうして公表されないのか。公表されない理由と、何人ぐらいいらっしゃるのか。もちろん委嘱ですからお金も支払いをしておるかと思いますが、お金をどれぐらい支払われておりますか。
  41. 亀谷禮次

    参考人亀谷禮次君) お答え申し上げます。  専門委員、相談医につきましては、いろいろ御指摘があったところでございますが、公務上外判断に当たりまして最も重要な医学的専門意見を徴するわけでございまして、公務災害補償制度にも十分精通をしていただいている医師を基金の責任におきまして委嘱をさせていただいているわけでございます。また、お願いをいたします前提としまして、公表を前提には委嘱をしておらないわけでございまして、個々の氏名についての公表はいたしておりません。ただ、この点につきましては、私どもの認識では労災国公災とも、これらの点について考えますと同じような仕組みではないかと、私は国公災も同様だというふうに理解をしております。  それから、専門委員でごさいますが、現在二人お願いをしております。相談医は十四名でございます。
  42. 喜岡淳

    喜岡淳君 それで、委嘱のお金はどれぐらい支払われていますか。
  43. 亀谷禮次

    参考人亀谷禮次君) お答え申し上げます。  両年度とも、専門委員でございます医師に対します手当は、認定申請事案当たり六千円のほか四半期ごとに固定額といたしまして九万円、総額で申しますと昭和六十三年に百四十三万四千円、平成年度に百五十七万八千円となっております。先ほど申し上げました専門委員以外の相談医についてでございますが、相談事案一件当たり六千五百円、総額で昭和六十三年度百八十二万円、平成年度百九十五万六千余円となっております。
  44. 喜岡淳

    喜岡淳君 このお医者さんの判断一つ被災者及び遺族の一生、また被災をされた方のすべての人生が、名誉もかかわっておるわけですから、果たしてこういう体制、こういう金額でいいのかどうかというのは私は重要な問題だろうと思うんですよ。余りけちけちした結果被災者やその遺族の方が困ることがないような、思い切ったこういう改革すべきところはすべきだろうと私は思います。大臣基金に対する監督責任者として、これから大なたを振るっていただいて、基金遺族及び被災者に対して公平、迅速に、被災者立場に立った判断、運営が行われるようにひとつ格別の御指導を賜りたいというふうにお願いしておきたいと思います。  それから、時間の都合で進みますけれども、次に警察庁の方にお尋ねしたいと思います。  信楽鉄道のことでお尋ねをいたしますが、もう既に大分日にちがたっております。いろいろ委員会質疑が行われておりますが、既に二週間が経過しておりますけれども、一番問題は今後の見通しだろうというふうに思います。そこで、警察の方では今のところどういうふうに今後の見通しを持っておられるのか。その今後の見通しについての認識をお尋ねします。
  45. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 現在滋賀県警察におきまして二百十三名の捜査体制によりまして捜査をいたしておるところでございます。  今後の捜査についてでございますが、いずれにいたしましても被害関係者が大変多数に上っておるということ、それから事案の解明につきましては鉄道交通特有の専門的知識あるいは技術というものを必要といたしまして、私どもといたしましても、部外の専門家の意見の聴取であるとか鑑定とか、そういうものをしなければとても事案は解明できないということでございますので、どのくらいと言われましてもちょっと、なかなかお答えいたしかねるのでございますが、かなりまだ時間がかかる。かかりますが、なるべく早く真相の究明に努めてまいりたいというように思っております。
  46. 喜岡淳

    喜岡淳君 その専門的な問題がありますよね、例えば信号の問題とか。そういう意味では、今後の見通しといった際に、私は長期化すると思うんですが、そのあたりの認識はどういうふうにお持ちですか。
  47. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 確かにかなりの長期を要する問題でございます。一つ一つの鑑定と申しますか、専門家の鑑定というものにつきましてはやはり非常な慎重な手続、それから事物の鑑定ということが必要でございますので、どのくらいということは言えませんが、長期と言えば長期というようにかかる。ただ、私どもとしてはなるべく早く事案の解明はしてまいらなければならないと思いますので、鑑定に出す先生方とも折々いろいろと御相談をしながらやってまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、具体的にどのくらいと言われましてもちょっと困るわけでございますが、長期といえば長期であるというように考えております。
  48. 喜岡淳

    喜岡淳君 その長期というのは、半年とか一年とかという理解でいいんでしょうか。
  49. 國松孝次

    説明員國松孝次君) その辺はまだ、今鑑定する先生方といろいろと鑑定事項等について詰めておるところでございますので、それにつきまして鑑定の先生方の御意見を聞いたわけでございません。したがいまして半年、一年と言われましても、今の段階で具体的な数字を挙げての期間を申し上げることはちょっと私できないという感じでございます。
  50. 喜岡淳

    喜岡淳君 終わります。ありがとうございました。
  51. 会田長栄

    会田長栄君 おはようございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  端的にまず第一にお伺いしたいのは、昭和六十三年度平成年度決算検査報告についてお伺い申し上げます。  検査報告につきまして、自治省防衛庁警察庁、それぞれひとつこの検査報告についての御所見をまずに承りたい、こう思います。
  52. 小林実

    説明員(小林実君) お答えいたします。  私どもが所管をいたしております交通安全対策特別交付金の使途につきまして御指摘を受けております。この点につきましては、一般財源的な性格を有する一方、政令等で使途の範囲が決まっているお金でございまして、従来におきましても、この使い道につきまして地方団体に対しまして適正に使用するように指導をしてまいったわけでございますが、今回も指摘を受けたわけでございます。  指摘を受けましたことにつきましては、適正に対処するようにいたしますとともに、通達等あるいは今までの実績報告の仕方を変えまして、今後起こらないように努力をしておるところでございます。
  53. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 昭和六十三年度及び平成年度決算検査におきまして、六十三年度におきましては防衛大学校を卒業した幹部候補者に対する退職手当の支給を合理的なものとするよう意見を表示したものというものでございました。さらに、元年度については二点ございまして、一つは屋外燃料タンク補修工事の施行に当たり、鋼板の材料費、工場加工費等の積算が適切でなかったため契約額が割高になっているもの。並びに二件目に、職員の不正行為による損害を生じたものの御指摘をいただいたわけでございます。  防衛大学校の件については意見表示でございまして、これについては既に任用後六カ月未満で退職した者には退職手当を支給しないとする制度改正を行って処置をしております。元年度の二件につきましては、一件につきましては担当者の不注意から割高な契約をしたということでございますが、これも会計検査院から御指摘をいただきましたものでございますから、年度内に変更契約をいたしまして被害額はゼロでございましたけれども、そういうようなことで指摘をいただいたことについては大変深く反省しておるところでございます。また、職員の不正行為による損害を生じたものにつきましても、現在債務契約を結びましてこの返済を徐々に行っておるところでございますが、これら二件については私どもとして深く反省しておりまして、それに基づいて現在内部的な処置はそれぞれ済ませておるところでございます。
  54. 木村仁

    説明員(木村仁君) 自治省消防庁関係につきましては、衛星通信用無線通信施設の電力増幅管の交換方法について、従来年間二本購入して現用と予備との交換をいたしていたわけでございますが、これが運用によっては一本でよいのではないかという御指摘を受けました。そこで、平成二年の措置といたしまして、二本分計上されておりました予算のうち一本分だけを執行いたしまして一本購入し、そのかわり増幅管のリスクを軽減し寿命長寿を図るための保守点検の充実、また自治省消防庁自身による保守点検の強化等を措置したところでございます。
  55. 会田長栄

    会田長栄君 前回の決算委員会で、私はこの会計検査院の報告に基づきまして私なりの意見を申し上げておきました。それは、昭和六十三年度は実地検査の対象機関が三万九千二百カ所、八・五%調査いたしましたと。対象機関のうち重要な箇所については約四〇%調査しておるということもその際わかりました。しかし、現実に考えてみますと、平成年度で九・二%でありますから当然三千六百何カ所かでございまして、対象の三万八千九百余カ所というものを推定いたしますと、これは大変な金額と件数が出てくるのではないかと思われると、こういうことを前回申し上げました。したがって、内部監査あるいは大蔵省の各省庁の監督、この点についても十二分に今後対応して国民の信頼にこたえていかなければいけないんじゃないかということを申し上げておきました。  そこで、具体的に自治省にお伺いいたしますが、今この所見の中で申されたとおり、一つは交通戦争と言われる昨今、とうとい人命が毎日のように失われているんですね。事もあろうに三千九百三十万円余の交付金が交通安全対策経費に充当されないでいるということにつきまして今答弁がありましたけれども、いわゆる一般財源的には、これは使途が決まっているので、残っちゃった、こういうことなんですが、残るんだったらこれは交付しなきゃいいのであって、交付しておくからには必ずその目的がはっきりしておるものにと。こういう状況にある。  私、なぜこの問題を最初に取り上げるかというと、実際は交通事故とか人災、この問題というのはおおよそ道路が中心でございまして、その道路の危険箇所、いわゆる交通事故の起こる箇所というのは往々にして回数が積み重なるんですね。だから、そういうものをタイムリーにやっぱり対策を講じていくということが大事なのではないか。あるとき私は自分の県に行きまして、交通事故というのが一体何件同じ場所で起きればそこに交通標識をつけるのか、あるいは道路上の欠陥があるということであればその道路を直すのかということを申し上げたことがあります。それは、私の知っているところで十二回続いて起きましたからね。これ以上はやっぱりうまくないだろうというところで申し上げたんですが、それほど今日いわゆる交通安全対策というのは重要になってきているんです。  そこで、もう少しわかりやすくこの話を教えてもらいたい。
  56. 小林実

    説明員(小林実君) 今回御指摘を受けましたものは、この交通安全対策特別交付金につきましては、国庫補助事業の地方負担につきましてはこれは充ててはならない、単独事業につきまして充てる、こういうことになっております。それから、緊急性を要する交通安全関係の施設につきまして政令で定められておりますものに充当するように、こういうことで定まっておるわけでございますが、実際にこの検査の結果、国庫補助対象事業の裏負担に充てているとか、あるいは政令で定めている施設以外のものに充てられておったというような事例が出てまいったわけでございます。  そこで、今回の事件に関連いたしまして、私どもといたしましては、既にやっている事業の中でこの財源を充てることができます対象事業がある場合にはこれに財源振りかえをしていただく。それから、充当対象事業の量が少ない団体につきましては新たに追加をして実施していただくというようなことで対応いたしました。  しかし、基本的には全体につきましての取り扱いが問題でございますので、若干この政令で定めてございます事業の範囲につきまして明確でない点があるわけでございましたので、それを通達におきまして明確にいたすということにいたしましたし、各年度の実績報告につきましては包括的に資料をいただいておりましたけれども、各地方団体におきましてこの交付金を充当いたしました事業を一々列挙をしていただきまして、それに充てたというようなことで報告をいただく、こういうことにいたしたわけでございます。  交通安全関係の事業につきましての重要性につきましては、私どもその緊要性は十分承知しておるつもりでございまして、私どもの調査におきましては、地方団体が実施している交通安全関係の仕事の財源の三分の一程度にこの交付金はなっておるわけでございます。その他の財源につきましても、ほかの財源がこれに充てられておるわけでございます。  御指摘がございました点につきましては、その点も踏まえまして、地方団体につきまして今後とも適切に指導をしてまいりたいというふうに思う次第でございます。
  57. 会田長栄

    会田長栄君 ありがとうございます。  それで、警察庁に対する指摘はここ十年ぐらい報告されていませんね。まことに当たり前だが立派である、こう言わざるを得ない。  そこで念を押すわけでありますが、名古屋地下鉄工事事件のように口頭意見を申し入れるということが検査院でありますね。これは、実際に私どもから言わせれば、名古屋地下鉄工事事件のときにちゃんと政府が対応していれば、いわゆる御徒町事件というのは、習志野事件というのは起きなかったのではないか、こう思っているわけでありまして、立派でありますが、念を押して聞くわけであります。この口頭意見警察庁には、検査院からはなかった、こういうことでございますね、全く一〇〇%立派であったと。
  58. 田中節夫

    説明員(田中節夫君) 警察庁につきましては、口頭でも、特別な指摘事項はございません。  今後とも経理の適正を期してまいりたい、かように考えております。
  59. 会田長栄

    会田長栄君 御立派でございます。  それでは次に、防衛庁にお伺い申し上げていきたい、こう思います。  防衛庁で、会計検査院から報告がありまして、前回私どもの同僚であります梶原委員から御指摘のあった屋外燃料タンク補修工事の積算が不適切だというこの不当事項の問題について若干補足をしてお聞きしたい、こう思っております。  なぜお聞きするかというと、結論から申し上げますと、前回の答弁のときに、防衛庁の内部監査を長官の訓令に基づいて広範囲にやっております、会計経理の合規的執行あるいは予算の効率的執行、不正または不当経理の防止、国の財産の適切かつ効率的な運営の確保など六項目を目的にしてやっておりますと、こういう自信のある答弁をお聞きいたしました。しかし、この屋外燃料タンクの問題につきまして、その答弁を聞きますと歯切れが悪い、言いわけがあり過ぎる、こういうふうに私は感じておりました。たまたま残念ながらなどという言葉を私は使うべきではない。残念だということは、どうもこれ客観的過ぎます。とりわけその中で、五月時点で前年度の内部監査をやろうとしていましたが、会計検査院が早くやったために検査院からの御指摘の方が早かった。その次に、単純ミスでございまして意図的なミスではございません、こういうようなことだけでありまして、私はこれは決算委員会としまして、どうもこの答弁だけではだめですと。それはなぜかというとこれは大蔵省から前回のときに答弁をいただいているわけでありますけれども、省令に基づきまして内部監査というものを防衛庁の長官訓令と同様に非常に厳しい目的で内部監査をやっている、これもわかりました。  しかし、私が不思議でならないというのは、会計法に基づけば契約事務取扱規則というのがある。契約事務の適正な執行というのが当然あるわけでありまして、そういうことからいきますと、残念だとか単純ミスでございましたとか、これからそういうことのないように考えますだけでは私は済まないのではないか。もっとはっきりと、こういうことは二度と云々というように、反省しているのかしていないのか、こういうミスはあってならないことだと思っているのか思わないのか、そして二度とこういうことをさせないように内部監査をしますということを約束できるのかどうかということは、私は決算委員会では明快に答えた方がいい、こう思っているんですよ。  なぜ思っているかというと、今防衛庁に対する国民の関心というのは物すごく高いでしょう。もちろん、中東湾岸戦争に関連をして、防衛庁に対する国民の注視が高くなっているでしょう。今現在も掃海艇をペルシャ湾に派遣してその任務を果たさせようとしているんでしょう。しかし一方では、これは梶原委員からも御指摘があったとおり、米軍基地の工事受注につきましての談合、そして四十七億円も和解金を出すとか、公取に対して課徴金を二億七千万円を納めるとか、こういう問題があるときだけに、私はここで率直にやっぱりお答え願いたい、こう思っているんですよ。
  60. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。  ただいま委員御指摘の件、前回の決算委員会におきましても梶原委員から御質疑がございました。その際の私どもの方からの答弁におきまして、反省の色が十分でないというふうな御指摘でございますが、もしそういうふうに私どもの答弁が受け取られたといたしましたらまことに申しわけなく存じております。  私どもは、その際私も御答弁申し上げましたが、このケースについては大変残念なことである、単に残念でなく大変残念でございますし、これは弁解の余地も何もございませんということを申し上げております。本当にこれは決して意図的なものではないというふうに調査の結果私ども考えておりますけれども、単純ミスというようなことで片づけられるような問題ではない、このように考えているわけでございまして、このようなことが起きたということは、我々防衛庁といたしましては深く反省いたしまして、それらが再発しないようにあらゆる面から検討を加え、措置をとってまいらなければいけない、このように考えております。  そして、これも前回梶原委員にもお答え申し上げたところでございますけれども、単にその担当者の資質だとかあるいは仕事に対する取り組む姿勢とか、そういったこともあるかもしれぬが、それだけではないだろう、やはり当庁におきます会計事務あるいは契約事務等の進め方、そのシステムそのものにも問題があるのじゃないか。そこも検討して、制度面からも再発の防止に万全を尽くしてまいりたい、このように考えております。実は本件の反省の上に立ちまして、例えば新たに十五項目にわたるチェックシステムを創設するというようなこともやっておるわけでございまして、今後ともこのような不当事項の絶滅を期してありとあらゆる努力を傾注してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  61. 会田長栄

    会田長栄君 くどくなりますからやめたいのでありますが、大臣は前回、弁解の余地がない、そして今後再発防止に努力する考えであるということを申されましたが、経理局長の方からなかなかそういう言葉が出てこないというところに、この問題というのは、十月から十二月にかけて三千件があったので実に多忙でありましてこういうことが見逃されたのではないでしょうかというようなことが含まれまして、やっぱりどうも言いわけに聞こえたわけでありますから、その点は、今大臣答弁されたごとく、非常に注目されているところでありますから、そういう点についても御配慮を願って御努力を要請しておきたい、こう思っているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、次に私がお聞きしたいのは、過疎対策、豪雪地帯対策の問題についてお伺いしていきたいわけでございます  人口の減少によって防災や教育など地域社会の基礎的条件の維持が困難になった状態、これが過疎の定義だとされております。もちろん、この過疎の定義というようなものは、昭和四十二年に策定されましたところの国の経済社会発展計画の中にこういうことが書いてあります。その過疎の進行に現在なお歯どめがかからない、過疎地域の人口減少は今後より一層深刻になると、国土庁は平成年度の過疎白書の中で警鐘を鳴らしております。  そこで、お伺いをしていきたいわけでございます。  第一には、旧過疎法の制定以来二十年になります。全国で二十五兆円余が投資されていると聞かされております。もちろん、その中身は道路、通信、産業、教育の面で整備が行われた、その上に立って新過疎法が昨年四月成立して、今後五年間で約十五兆円の投入が予想されております。これほど強力な姿勢でもって過疎から脱却させよう、こうしているわけですが、どうもうまくいかないようであります。  そこで、具体的にお尋ねいたします。過疎対策二十年の成果と反省というものを一体どのように押さえているかということについてお聞きしたいわけであります。
  62. 木寺久

    説明員木寺久君) 過疎地域につきましては、昭和四十五年制定されました過疎地域対策緊急措置法以来二十余年にわたりまして関係各省庁あるいは地方公共団体等において総額二十五兆円に上る過疎対策事業が実施されてきました。その結果、過疎地域におきましては、ひところのような急激な人口減少というものが弱まり、人口減少率が低下してきております。また、基礎的公共施設の整備が進むなど、これまで講じられてきました過疎対策は着実にその成果を上げてきていると考えております。  しかしながら、多くの過疎地域におきましては、人口の減少が引き続いているばかりではなく、高齢者が多く若者が少ないといった人口の著しい減少に伴って地域社会の活力が低下していると言わざるを得ない状況にあります。また、過疎地域におきましては、産業面でのおくれが見られ、公共施設につきましても整備が進んだというものの、他の地域に比較いたしまして低位にあるものが多く、財政基盤は依然脆弱である等多くの課題を抱えているというふうに考えているところでございます。
  63. 会田長栄

    会田長栄君 二つ目は、何といっても若い人たちが定住しないという、ここに過疎から脱却できないものを持っている、こう思うんです。この政策の追求のない限り、どんなに金を投入していってもそれはうまくいかないだろうという考え方を持っているわけでありまして、その意味でなぜ若い人たちが定住しないのかということについてどのように一体把握しているか、聞かせてもらいたい。
  64. 木寺久

    説明員木寺久君) ただいま御指摘のように、過疎地域におきましては若年層の定着が依然進まないという状況にあります。かつては過疎地域におきましていろんな年齢階層についての人口減少が見られたわけでございますが、最近におきましては若年層のみの人口流出というような状況が見られるわけでございます。その原因といたしまして私ども考えられます点といたしましては、やはり雇用の場が少ないということ、それから生活環境の整備がまだなかなか進まない、それからさらに若者といたしましては都会の生活にあこがれるといったような面もあるいはあるのではないかというふうに思っているわけでございます。  いずれにいたしましても、若年者の定住促進というものが過疎地域の活性化を図っていくためには最も重要なことというふうに思っております。昨年制定されました過疎地域活性化特別措置法に基づきまして、昨年来より新しい過疎対策を講じているわけでございますが、その中では若年者の定住促進というものを最重要課題一つとしてとらえ、そのための産業振興あるいは雇用確保、さらには生活環境の整備というものを促進してまいる考えでございます。
  65. 会田長栄

    会田長栄君 若い人たちが定住しない、それが過疎の進行に拍車をかけている、そして今産業基盤の整備だということを申されましたが、それは一つあるでしょう。働く場所がないということ、それはそのとおりであります。だとすれば、働く場所をつくることを政策の第一にしなければいけないと私は思います。しかし、それが一つだけれども、どうも働く場所があっても労働条件が悪いというのもこれまたその側面です。この点についてどういう見解をお持ちかお聞かせください。
  66. 木寺久

    説明員木寺久君) 過疎地域におきまして若年者が定住するためには、やはり働く場が必要なわけでございますが、最近におきましては雇用の場が確保されているところでもなおかつ若年者が流出するというような現象もあるやに聞いております。やはり若者にとりまして魅力のある雇用の場というものの確保をしていかなければならないというふうに思っております。  過疎地域というのは各種の条件が非常に厳しいところでございますけれども、そうした中にありましても、若年者が魅力と希望を持って働けるようなそういう雇用の場を確保するべく関係地方公共団体と一体となって積極的な努力を進めてまいりたいというふうに思っております。
  67. 会田長栄

    会田長栄君 いわゆる働く場所があっても労働条件が悪いというのは今日まで非常にどの委員会でも言われているわけでありますが、現実にいわゆる中小零細企業の実態というのは労働条件はどうしても悪いですね。それはどこに焦点があるかというと、経済の動向と関連をいたしまして、常に下請、孫請が単価で規制されるというところにあるわけでございます。仕事はたくさんある、働く時間も長時間やっている、しかしその決め手というのはこの下請単価というところからきているのでありまして、ここのところをどのように一体今後対応するかというのがいわゆる中小零細企業に働く者の条件、雇用確保条件整備と非常に密接に関連をしているわけでありますから、その点もひとつ検討してもらいたい、こう思います。  私は、何といってもここで申し上げたいのは、各省ばらばらの政策をやっている限り過疎から脱却はできない、こう思っているんです。  それはどういうことかというと、自治省地方公共団体に対していわゆるふるさと創生ということを目標にして今町づくりが活発に行われておりますね、過疎地でも。何とかやっぱり過疎から脱却したいというところで、それは大変ですよ。ところが、一方からいきますと、これは建設省の分野で言えば、高規格道路をつくるときに、過疎地帯のところだけ道路を通すということは後に回す。では、今度は運輸省だったらどうかというと、採算が合わない、したがって無人化駅をどんどんつくっていく。合わないんですよ、これ。せっかく今町づくりをしようとして、どこの町だって、過疎地だって、これはJRあるいは私鉄の駅を中心にして、そこから町づくりを始めようというのが大体今までの基本だったんですね。ところが、そういうちぐはぐな政策のために、一方で努力しても、一方から今度は消えていくというような状況がありまして、どうしても今や過疎から脱却させる方法というのは、政府、地方公共団体との連携を密にして、ばらばらな政策ではなくて一貫したものを政策として追求しなければ私はできないのではないか、こう思うから申し上げているのでありまして、この点についてはぜひ、今日まで二十年かけてやってきたけれどもはかばかしくない、大胆にそういうものをえぐり出して今後やってほしいということを申し上げておきたい、こう思います。  それから、次にお尋ねしたいのは、これと関連をいたしまして、過疎対策の現況というものと、それから新過疎法によって一体歯どめがかかるのかどうかということについての見解をお聞かせ願いたい、こう思います。
  68. 木寺久

    説明員木寺久君) 過疎対策の現況につきましては、昨年の三月に各党一致の議員立法によって制定をいただきました過疎地域活性化特別措置法に基づきまして、若者定住促進のための産業振興、雇用確保あるいは高齢者対策、さらには広域的な施策の推進といったものを重点といたしまして、行財政、税制及び金融にわたる特別措置を講じ、関係省庁とともにその活性化に積極的に取り組んでいるところでございます。  また、同法に基づきまして、昨年度におきましては都道府県及び市町村におきまして過疎地域活性化の計画が策定され、昨年度から五年間にわたりまして総額十四兆に上る過疎対策事業が講ぜられることになっております。  国土庁といたしましては、今後とも関係省庁、都道府県及び市町村とともに過疎地域活性化のための総合的な施策の展開を積極的に図り、過疎化現象の歯どめに努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。新しい過疎地域活性化特別措置法は昨年の四月に制定を見たばかりでございますので、その成果というものは今後の推移も見なければなりません。いずれにいたしましても、積極的な努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  69. 会田長栄

    会田長栄君 過疎の悩みというのは過密の悩みなんですね。過疎が進行すれば必ず過密都市も悩み深くなっていくんですね、これ。両極端なんですよ。  ここでお伺いしたいのは、東京一極集中を是正するということが言われてからもう久しい。しかし、今日のような東京一極集中是正のような政策では逆に過密が過密を生む。そして、一方で過疎を進行させるということにつながっていくでありましょうと私は思っていますよ。そこで、東京一極集中の是正というものが計画どおり進行しているのかどうかということをお伺いいたします。
  70. 阿部忠寿

    説明員(阿部忠寿君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、東京一極集中を是正いたしまして、多極分散型国土の形成を図るということがまさに今日国土政策上の重要な課題となっております。そのため、政府におきましては、四全総に基づきまして地域主導の地域づくりの推進ということを基本といたしまして、一方その基盤となります交通・情報・通信体系の整備を図っております。また、それらの一環といたしまして、従来から東京の工場、大学等の新増設の制限というふうなこととか、あるいは工業再配置促進法に基づく工場の移転というふうな各種の施策に加えまして、最近ではテクノポリス法あるいは頭脳立地法というふうな地方産業の政策というふうなことも実施してまいっておるところでございます。  この結果、先生指摘のとおり、五十年代後半から東京圏に対する人口のいわゆる転入超過、社会増でございますけれども、これにつきましては最近になりまして六十二年をピークにいたしまして六十三年以降減少傾向に転じているところでございます。  国土庁といたしましては、今後とも関係省庁との緊密な連携のもとにおきまして各般の施策の総合的な施策と総合的な推進を通じまして地域の振興を図り、多極分散型国土の形成を実現してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  71. 会田長栄

    会田長栄君 次に、豪雪地帯対策特別措置法が大きな役割を果たして、いわゆる豪雪地帯の雪対策に多大の成果を上げているということについては、私も同様の評価をし、敬意を表するところでありますが、そこで端的にお伺いいたします。  この特別措置法の第十四条、第十五条について現在どのように検討されていますか、お伺いいたします。
  72. 小林実

    説明員(小林実君) 御質問の、豪雪法の第十四条、第十五条は、特別豪雪地帯におきます基幹的な市町村道の県代行、公立小中学校の施設等に対する国の負担割合の特例を定めているものでございます。平成四年三月三十一日をもって終期を迎えることとなっておるわけでございます。  今後の取り扱いでございますが、一義的にはこの法律所管の国土庁あるいは道路及び小中学校を所管する建設省、文部省におきまして検討されるというのが道筋でございますが、自治省といたしましてもこれら関係省庁と連携をとりまして、この関係地方団体におきまして今後とも円滑な行財政運営が確保されるように、それが基本として守られるように検討してまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  73. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、次に、信楽高原鉄道事故と安全対策についてお伺いいたしますが、信楽高原鉄道事故の問題と安全対策については、同僚委員であります大渕委員と渕上委員から出ておりますから、私はその点を踏まえて次のようなことをお伺いしていきたい、こう思っております。  というのは、一昨年の決算委員会で御質問申し上げて御答弁をいただいた常磐線列車事故のときに、今のJRの安全対策という問題は機械中心主義であって、どうもこのままいけば事故というものを食いとめるということにはならないんじゃないのか、もう少しそこで働く人たちを雇用して、安全対策第一にして業務体制というものを組むべきではないかという意見を申し上げておきました。まことに今度の信楽高原鉄道事故というものの犠牲になった方のことを考えると、心が非常に痛みます。  その意味で、私の県も実は第三セクターというのを三つ抱えております。これは、信楽高原鉄道も第三セクターでありますから人ごとではございません。過疎地域における交通、足を守っていくのに一体どうするかといえば、これが非常に大事なことだけは間違いがない。しかし、一たん災害が起きれば、これは存続にかかわるというような状況に追い込まれる。国鉄が分割・民営化したときに、地方を捨てるということはどういうことなんだということを申し上げて、私どももその討議に参加してきた一人でありますけれども、今度の交通事故を考えてみたときに、第三セクターを中心としてJRとの関連で、一体こういう事故を防ぐにはどうすればいいのか。前回この委員会でも、どうも信号が故障していた、通信連絡機能がうまくいかなかった、それを直せば今度はないみたいな話が出まして、私は、それは常磐線の列車事故のときにも申し上げましたが、それだけではだめですということを申し上げておいたんです。  このことと関連をして今頭から離れないのは、ことし決算委員会が山形と宮城の調査に行きました。そのときに長井線という第三セクター、ここの社長さんから決算委員長に対して次のような要望が出されました。  その一つは、今は何とか経営も若干の黒字で、第三セクターに参加している人たちの最大努力でうまく回転をしています。しかし、一たん災害に遭ったらこの第三セクターは恐らく廃止せざるを得ないであろう。したがいまして、この第三セクターに対する国の助成というものについて、真剣に対応できるようにという要望が決算委員長に出されました。  そこでお伺いしたいわけであります。  この事故と関連をいたしまして、第三セクターで今運営されている路線というのは、いわゆるそういう会社は幾つあるのか、そしてそこの経営状況というのはどうなっているのかということを聞かせてもらいたい。
  74. 岩村敬

    説明員(岩村敬君) 御説明申し上げます。  日本国有鉄道が経営いたしておりました特定地方交通線鉄道からの転換路線等を運営しておりますいわゆる第三セクターの鉄道事業者の数でございますが、現在三十五社でございます。この会社が営業いたしております路線は全体で四十路線、その延長は約千六百キロでございます。  以上でございます。
  75. 会田長栄

    会田長栄君 経営の実態を教えてください。
  76. 岩村敬

    説明員(岩村敬君) ただいま御説明しましたように、転換鉄道は三十五社、四十路線でございますが、この三十五社の平成年度におきます決算について見ますと、三十五社合計で経常損益で十二億八千万円の赤字となっております。これを赤字会社と黒字会社の別に分けて見ますと、黒字会社が九社、合計で三億二千三百万円の黒字を出しておるところでございます。また、赤字会社は二十六社、これらの会社が出しております赤字の合計は十六億三百万円ということになっております。  以上でございます
  77. 会田長栄

    会田長栄君 そこで、運輸省の管轄下で高規格高速道というのは、全国高速道料金というのはプールでしょう。東京の高速道は走る車両が多いから安くするとか、北海道の高速道は走る車両が少ないから高くするとかなんということはないでしょう。プールでしょう。これは私は当たり前だと思っているんですよ。というのは、けさもテレビでやっておりましたけれども、東京の朝の通勤ラッシュなんか、行ってみなさいよ、人間扱いじゃないですよ、あれは。金を出して乗るのでなくて金をもらって乗るぐらいの状態でしょう。これはやっぱりそこから私はきているんだ、いいとは言わないけれども、きているんだと思うんですよ。採算が合わないところはみんな先ほど申し上げたように無人化してしまう。採算の上がるところだけで効率第一でいく。こういうやり方をしていったら、私はこの第三セクターというのは大変なことになる。今は第三セクターだけれども災害が起きれば結局それは廃止につながる。  そこでお伺いしたいわけですが、今第三セクターの経営に対して国はどのぐらい助成しているのか。これからその助成に対して、黒字のところ九社しかないと言っていますから、あとはすべて赤字でありますから、これは助成を増額する検討を今しているのかどうか、お聞きします。
  78. 岩村敬

    説明員(岩村敬君) 御説明いたします。  第三セクター鉄道の事業者に対します助成の問題でございますが、現在第三セクターに転換した際に交付された転換交付金、それからその運営に伴って交付されます転換鉄道等運営費補助金、それからさらに踏切保安関係の設備の整備のための補助金等の措置によりまして、現在安全の設備、鉄道の維持を図っておるところでございます。  それから、今回の事故を踏まえまして、今後第三セクター鉄道に対します安全設備の整備、さらに運営についてどういうようなことをしていくかということでございますが、これにつきましては、こういった安全設備の整備等をさらに推進する必要があるというような場合には、そのための方策というものの検討を始めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  79. 会田長栄

    会田長栄君 それではもう一つ最後にお伺いしておきたいのは、私は、信楽高原鉄道の事故で今最も、毎日夜も眠れないで悩んでいるのは地方公共団体の長だと思いますよ。  そこで、この事故に関連をいたしまして、救済するための補償、これをどうするかということは、今やもう単に地方公共団体だけではどうにもならない。とりわけ国際的貢献ということで、外国のことには早急に法を拡大解釈しても救済するというのが日本の進路になっているようでありますから、どうぞこの信楽高原鉄道事故で災難を受けた人たち補償を含めて、復旧を含めて、いわゆる自治大臣が今先頭を切ってやらなきゃいかぬと、こう思っておるところでありますが、一体これに対してどのような決意で今日検討されているのか。早急にその対応を私は求めたいという立場から御意見をお伺いしたいと、こう思います。
  80. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) ただいまの信楽高原鉄道及びJRによってのこの事故の問題でありますが、これは、いずれにしましても事故問題というのは、天災でなかったということだけは事実でありますから、そこに原因は究明されていくであろうと思っておりますし、そのことで私が国家公安委員長として、警察もこれに全力を挙げておるわけでありますが、同時に、今の補償の問題あるいは再建の問題等の問題が御意見として出ましたが、一義的にはやはり信楽高原鉄道並びにJRがその責任者であることは、これはもう間違いありません。同時にまた、第三セクターでありますだけに、県や市町村が、市町村と申しますよりは信楽町でありますか、これがかんでいるわけでありますから、こちらに大きな責任がかかってくると思っております。  そういった意味で、この点について今先生のお説がありましたように、非常に私は大きな悩みであり検討課題になっておるであろうと思っております。しかし、今日の段階では、地方公共団体を担当しております自治省に対して、滋賀県からの、県知事からの何らの要請もまだございませんし、お話が来ておりません。これはやがてそういったことについての御相談もあることであろうと、こう思っておりまして、内々そういった点については、検討は事務当局では始めさせておりますけれども、現段階でどうするこうするということを、私の段階から申し上げるというのはまだ答弁の時期ではないのではないか。  一応の状況なり一応の意見というものが地方公共団体の責任者から上がってまいりまして、それにできるだけの対応をしていくと、こういうことでいかなければならないと、こう思っておりますし、そういう表現は決して消極的な意味意味するものではないというふうに御理解願いたいと思います。
  81. 会田長栄

    会田長栄君 私は、地方公共団体の当事者としては、今、遺族の問題あるいは負傷者に対する問題、そういったことに対しててんてこ舞いだと思います。だから、親心としても、上がってまいりましたらではなくて、それほど今心配している最中でありますから、自治省といたしましても積極的に相談に応じてやったらどうか。そういう気持ちございますか。
  82. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) 先ほどから申し上げますように、一義的にはそういうふうに県や町の責任になってまいりますし、あるいはJRの責任になってまいりますが、私の方に当然また御相談があることは間違いないと思っておりますから、そういう点についていろいろと事務的にはそれなりに想定をして検討しておるということであろうと思います。私の方から出向いてどうだというようなこと、どのぐらい援助すればいいんだということまでまだやる段階ではない、こう思っております。決して消極的な意味ではありませんけれども、まず第一義的な問題から順次作業というものはさらに進められていくべきであると、こう思っておりまして、できるだけの地方公共団体がお困りにならぬようなことは、これまたそれなりに考えていかなければならぬ、こう思っております。
  83. 会田長栄

    会田長栄君 私は、あれほど悩み深いことでありますから、上がってきたら検討するでなくて、あの地方公共団体人たちがどれほど今苦労しているか、悩んでいるか、大変だと思います。どうすればいいのかというところで、持っている知恵、財力、すべて投入して自治大臣に頑張ってほしいと心からお願い申し上げます。  最後でありますが、天災だったら第三セクターに対してその災害は間違いなく補てんする、補償すると、こういうことでございますな。人災であるために第一義の責任はそのことを追及する、もちろん第一義的には第三セクターをつくっているところの当事者で考えていただく、その上に立って要請があれば考える、こういう状況なんですね。
  84. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) おっしゃるとおりでありまして、私どもはその被災者に対しては丁重に関係者においてなされていかなければならない、こう思っております。県御当局におかれましても、こういう場合の地方公共団体として、自治省との関係においてどのように自治省がこれに対しては対処するかということについての方途については、長い間の行政経験もあり、連絡が非常に密でありますからよく御承知なのであります。ですから、私の方から出向くということは今差し控えておりますけれども、そのことは十分意思の疎通というものは図っておるわけでありますから、先生の御心配の面につきましても十分配慮していくように考えていきたい、こう思います。
  85. 会田長栄

    会田長栄君 この事故で亡くなった方の御冥福を祈りながら、午前の部はこれで終わります。これと関連をいたしまして午後に参ります。
  86. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  87. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題とし、自治省警察庁防衛庁及び公営企業金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  88. 会田長栄

    会田長栄君 それでは午前に引き続きまして、どうぞよろしくお願いいたします。  自治省は、毎年地方公共団体の動向に関して「地域政策の動向」と題してアンケート調査を実施しているとお聞きいたします。調査対象は都道府県、政令指定都市を含めまして市町村まで対象にして行われていると聞いております。  そこで幾つかお伺いいたしますが、一つは、平成年度の都道府県及び政令指定都市の重点施策としてどう結果が出ているかお聞かせ願いたい。
  89. 森繁一

    説明員(森繁一君) 今お話しの都道府県、指定都市それから市町村につきまして、私ども年度「地域政策の動向」ということでアンケート調査をいたしておるわけでございます。ただ、これは複数の項目につきまして三つ以内で回答してほしい、こういうアンケートの仕方でございますので、何十何・何%という数字というのは余り重きを置かない方がいいのではないかと思いますが、大方の趨勢として理解をしていただきたいと思います。  それでまず平成年度の都道府県、政令市の重点施策の調査結果でございますが、平成年度におきまして都道府県及び政令指定都市において重点的に取り組む施策といたしまして、高齢化対策それから産業の振興それから生活基盤の整備、この三つを挙げる団体が多いようでございます。
  90. 会田長栄

    会田長栄君 平成年度と比較いたしましてどうですか。お伺いいたします。
  91. 森繁一

    説明員(森繁一君) 平成年度平成年度の調査結果の比較でございますが、まず、平成年度に第一位でありました産業の振興の問題が平成年度では第二位になっております。それにかわりまして元年度には、第二位でありました高齢化対策というのが第一位になりましたことが注目される事柄でございます。それからまた、平成年度におきましては、社会福祉の充実につきましてももちろん増加をいたしておりますが、特に環境保全対策の問題につきましてのウエートが非常に高くなっておるということでございます。
  92. 会田長栄

    会田長栄君 この調査では、近い将来、三年以内程度ということを限定して調査しているようでありますが、この近い将来ということではどういうものが重点的に意見として反映されているか聞かせてください。
  93. 森繁一

    説明員(森繁一君) 近い将来、例えば三年以内というものを大体のイメージを置きまして聞き取りをいたしておるわけでございますが、その近い将来に重点的に取り組みたいといたしております施策といたしましては、第一位が生活基盤の整備でございます。以下、高齢化対策、産業の振興ということが続いておる課題でございます。
  94. 会田長栄

    会田長栄君 平成年度と近い将来の重点的政策の動向について、どういう結果が出ていますか。
  95. 森繁一

    説明員(森繁一君) 平成年度の調査結果と近い将来の問題とを比べますと、産業の振興が近い将来の課題といたしましてはややウエートを低くいたしておるわけでございます。それにかわりまして生活基盤の整備という問題が大きな課題として挙がっておりますし、さらに新しい問題といたしまして、国際化への対応の問題あるいは教育・文化・レクリエーション対策という課題も非常に重きを置くようになっておるようでございます。
  96. 会田長栄

    会田長栄君 今、地方公共団体、都道府県並びに政令指定都市などを含めまして、ここ両三年含めて政策動向をお伺いしました。  そこで、平成元年、二年、近い将来と、この三つの点にわたって地方公共団体の、とりわけ各都道府県、政令指定都市の政策要望というのは出てきたと思いますが、この点について、大臣はどのような御所見を持っているか、ここでお伺いしておきたい、こう思います。
  97. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) 今官房長からお答えをいたしておりますような、要望が年次変わっていくわけでありますが、これからは特に生活問題というのが非常に大きな重点問題であろうと思っております。  やはり生きがいと申しましょうか、生活の喜びと申しましょうか、そういった意味における生活内容の充実という問題に多くの国民の皆さんが一つ考え方の焦点を絞っておられるというようなことなり、あるいはまた地域的な経済の問題というものもこれは関連をしてまいりますから、そういう点について国民の皆さんの大方の考え方というものが方向づけられておるということを考えながら、これから行政問題につきましても私ども施策をそういう方向に持っていくように、またふるさと創生というような問題で今いろいろと自治省も各地域の特色を生かしておりますが、それもまさに生活関連として私どもはそこに大きな社会資本の導入を図っていこうというような意味考えておるわけであります。
  98. 会田長栄

    会田長栄君 続きまして、この調査で市町村の重点施策ではどういう動向になっていますか。前の質問と関連をいたしましてお答え願いたい、こう思います。
  99. 森繁一

    説明員(森繁一君) 市町村につきましても、都道府県、政令指定都市と同じような調査をいたしておりますが、その結果、平成年度におきまして重点的に取り組む施策といたしまして挙げました課題のうち、上から三つを申し上げますと、生活基盤の整備の問題、それから教育・文化・レクリエーション対策の問題、これは都道府県、政令市の場合にはやや下位でございまして、これが上位になっております。それから産業の振興というのを挙げる市町村が多いようでございます。  それから、あわせまして平成年度の調査結果と比較してみて見ますと、先ほど申しました生活基盤の整備、教育・文化・レクリエーション対策、産業の振興につきまして若干の動きがありますものの、引き続き多くの市町村から重点的な課題だと、こういう回答を得ておるわけでございます。  ただ、高齢化対策につきましては、都道府県、政令指定都市と比べますとその割合は少ないようでございますが、平成年度と比べますと非常に大きな伸びを示しているというのが回答の状況でございます。
  100. 会田長栄

    会田長栄君 実は、この調査で大体政策動向、それぞれの地方公共団体の要請というものがおわかりだと思いますが、この中にあって、高齢化社会の問題であれば具体的に一体どういうことを要請しているのかということは、どうしてもこの調査ではわからない。  そこで、お伺いするわけでありますが、各部道府県、各市町村とも、実は当然出てきているのは一つは高齢化社会の問題でございますが、この中で、高齢化社会対応するところで看護職員を含めまして人手不足をどうするのかということがこの背景に大きいと、こう思うんですよ。政府が出している十カ年戦略、ゴールドプランの中でも、これは決算委員会の中で申し上げましたけれども、この人手不足という問題を一体どのように把握して、どのようにこれから対応しようとしているのかという点についてお聞きしたい、こう思っております。
  101. 二橋正弘

    説明員(二橋正弘君) 高齢化社会を迎えての人手不足の問題で、今病院の看護婦のことを例にお挙げになりまして、確保対策についてのお尋ねでございます。  私どもの方が直接かかわりを持っておりますのは地方公共団体が経営いたしております自治体病院でございますが、自治体病院はそれぞれの地域で非常に重要な役割を果たしておりまして、その役割を果たしていく上でもマンパワーの確保というものは極めて重要な問題でございます。中でも看護婦の確保というのは、今こういう公立病院だけではなくて、全体を通じての重要な課題になっております。  私どもは、自治体病院の看護職員の確保につきましては、各地方団体がいろいろ工夫をされます際にそれを支援するという形で自治省としては対応いたしておるわけでございますが、特に平成年度、看護婦の確保ということで新しく財政的な支援をするという意味合いで行いましたことを二、三申し上げますと、平成年度から病院の院内に保育所をつくって、子供を持っておられる看護婦さんが仕事を継続できやすくするようにという観点から、病院の、地方債を起こします際の標準面積にその院内保育所の面積分がプラスになるような標準面積の改善を行っております。  それから、病院に併設して看護学校を地方団体が設けられるというケースが多いわけでございますが、そういう場合の地方債の取り扱いにつきましても、従来の地方債よりも実際に充当する割合が高くなりますような病院事業債で行うというふうなこともいたしております。それから、その看護学校の運営段階になりますと、これは従来から高等学校で行うもの、あるいは専修学校で行うもの、それから短大その他大学で行うもの、いろいろな形がございますが、それぞれの運営について、地方交付税の財源によって措置をいたしておるということでございます。  この看護婦さんの不足の問題は、最初に申し上げましたように、公立病院だけではなくて全体を通じて総合的な対策を要する問題でございまして、厚生省におきましてもいろいろな角度から検討されておられますので、そういう状況も私どもとして把握しながら、自治体病院に対して必要な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  102. 会田長栄

    会田長栄君 今一例として看護婦の問題を出しまして、それは当然自治省といたしましては自治体病院に対する指導助言等を含めて今日までやってきているところでありますが、この看護婦不足問題というのは、その背景には何といっても看護婦の勤務、労働条件というのは非常に他の職種と比べてみてもきつい、低いと、こういう状況にありまして、その特徴的なものは、夜勤が余りにも多い。これではとても、生活基盤整備などと言ってみても、生活というのはゆとりあるどころか結果的に欠陥家庭というようなことになりまして、これは子供の育成にも重大な影響を及ぼしているという状況でありますから、その点からいえば、この看護婦の労働条件問題についてどのように一体自治体病院を中心として把握して、自治省が今後指導しようとしているのかという点についてお伺いしたい、こう思います。
  103. 二橋正弘

    説明員(二橋正弘君) 病院におきます看護婦さんの労働条件の問題でございますが、御承知のように患者数もふえておりますし、それから看護基準も上がっておりますので、看護婦さん方の仕事というのは密度が高くなっておるわけでございます。  そういうことにも対応いたしますために、各自治体病院におきましては、まず何よりも人手を確保するということから看護婦さんの増員を図っておりまして、今御承知のように地方公共団体職員数というのは全体としては抑制基調で抑えられているような状況できておりますけれども、その中でこの病院部門につきましては毎年度確実に人員の増加が図られておりまして、ちなみに六十年度以降について申し上げますと、看護婦さんにつきましては毎年度二千人ないし二千五百人程度の増員が図られておる。そういう形で労働条件の改善地方団体が病院においては努めておるというところでございます。  それから、そういう今の勤務体制の改善ということにも関連いたしまして、今病院におきましても週休二日制ということが進められつつあるわけでございまして、いわゆる四週六休制の週休二日制につきましては、平成二年八月一日現在で病院で実施いたしております週休二日制が八八・九%になっておりまして、前年度が七九・九%でございましたので九ポイントほど増加しておるという形でこの四週六休制の導入は今順調に進んでおる状況にございます。  さらに、こういう看護婦さんのような交代制職員の方のいわゆる完全週休二日制、週四十時間体制の試行ということが今進められておるところでございまして、地域の実情を踏まえて条件整備が行われ次第この試行を実施するようにということを今指導しておるところでございます。
  104. 会田長栄

    会田長栄君 それからもう一つでございますが、環境整備ということで大変意見が強い、その中にあって今問題になっておりますのは、特にこれは地方に対するゴルフ場開設の申請というものは物すごいということになっておりまして、このゴルフ場開設申請の問題と水資源確保ということと関連をいたしまして、地方公共団体、とりわけ市町村との間に政策の考え方と具体的に水資源の確保ということで対立を生みつつあるんですね。これはお聞きでしょう、自治大臣。  それはどういうことかといいますと、ゴルフ場を開設したいという人が申請をする。各市町村はそれに対して許可をしたい、村の活性化のためにもやりたいと。下流の町村の住民は、上流にゴルフ場を設置されたのでは農薬その他の汚染の関係からいって、水資源として適当でないというところから住民との間に亀裂が生じているんですね。こういうことがいわゆる環境整備の中の意見として強く私は出ているんだと思いますが、その点につきまして、水資源の確保という点については、このような基準でこのような方法で、例えば都道府県的に調査をさせて、そのデータの上に立ってゴルフ場を開設することが適切なのか不適切なのかというようないわゆる判断基準というものを自治省資料として収集しているんでしょうかどうかということ、その点をお伺いしたい。
  105. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) ゴルフ場の問題は、とかく最近におきましても各地区で、乱開発とは言わないにいたしましても、相当なスピードでゴルフ場の数がふえているということで、一定の歯どめをかけなきゃならぬのではないかということが叫ばれておるわけであります。そのことは私もよく承知いたしております。  さらに、今お話がありましたようなゴルフ場設置のために上流部と下流部の問題というのも、これも確かにございます。ただ水資源確保というだけの問題であれば、私はそれだけ大きな問題にはならないと思うんです。問題は、水質の問題になってくると思うんですね。従来のゴルフ場の設置の場合は、私どもの承知しておる昭和三十年代程度までは、少なくとも水系を変えるなどというような状態でのゴルフ場設置というものは考えられなかった。よく上から航空写真で調べてコースごとにつくっていたわけでありますが、最近のゴルフ場の設置を見ますと、その周辺一帯を買いまして全部一遍ブルドーザーで押し流すという形で、それから中を仕切っていくというような設置方法をとっているものですから、水系が変わってくるというような問題が起きているんですね。その辺が非常に一つ問題があります。  それからもう一つは、今お話がありましたように、あの農薬散布によって芝を守るということから、下流部にその農薬汚染ということで水質問題が出つつあるわけであります。ここはもうきちっとこれから環境庁やあるいは農水省やそういう関係省庁でひとつこの辺の判断をさらに強めていただくように、私ども自治体の立場から申しますとお願いするところであります。  そういった意味で、上流部、下流部にかかわらず、この関係市町村同士の紛争という問題がこれから起きないような形であくまでも話し合いをしていただいて、円満の上に、しかもそれが地域のためにお役に立つと、多くの住民の御要望であるということであればその方向で処置するとして、住民の要望はここにはありません、そういう強い要望はありませんよということであるとすれば、それは県の段階でもこれの許可問題については環境問題その他からいってある程度の規制をしていくということも大事なことであろうと思うのでありますが、いずれにしましても、公共団体との話し合いということがまずその基礎になってくるであろうと、こういうふうに判断しておるわけであります。
  106. 会田長栄

    会田長栄君 もちろん、大臣が答えられたように、それは飲料水として適するのか適さないのかというところがこの紛争の原因になるわけでありますから、水質問題であります。  そこで、これは環境庁、厚生省にお尋ねすれば一番いいわけでありますが、私は市町村といたしまして、今いわゆる町村ごとのそういういきさつ、住民と町村とのいきさつ等があって、この問題が縮まるどころかますます大きくなりつつあるものだから、どうしても地方公共団体環境整備を考えるなら、自然保護ということで考えるなら、飲料水として適するのか適さないのか、その基準、これを明確にして調査すべきではないかという意見を持っているわけでありますから、その点は関連をして環境庁、厚生省にも後ほどお尋ねいたしますが、これは自治省といたしましても積極的に地方公共団体の活性化のためにもこの問題は具体的に計画をして、調査して処理しなきゃならないのじゃないかという意見を持っているからお尋ねいたしましたので、どうぞその点はよろしくお願いしたいと、こう思います。  もう一つは、これと関連をいたしまして産業廃棄物の不法投棄の問題、これは非常に自治省としても御指導いただいているところではございますけれども、これは地方公共団体としてなかなか見逃すことのできない問題なんです。  これも昨年の決算委員会で、福島県の磐城地方に産業廃棄物が不法投棄されたという問題につきまして、これは地方公共団体として大変悩み深い問題です。ようやく方向が出まして解決のめどがつきそうでございますけれども、実際に炭鉱の廃坑の中に捨てられた大量の廃棄物の処理というのが今後十年かかるであろうという推定がされているんですよ。もちろんその産業廃棄物の処理業者がみずからやりますと言ってくれたわけでありますけれども、このままほうってはおけない。福島県の場合は、そういう意味で大変御宿導を得て、産業廃棄物を委託した業者に処理させるということに成功した。それから、みずから廃棄物処理業者に処理させるという方向性も確認した。  しかし、依然としてその廃棄物が大量に地下に眠っているという状況を踏まえまして、地方公共団体といたしましてこの処理の経費というのが大変でございますけれども、その後この種の問題についての処理については、地方公共団体にかかわるところの経費について自治省として一定の面倒を見るというような結論に達したでしょうかどうか、そこをお伺いしたい、こう思います。
  107. 小林実

    説明員(小林実君) ただいま、産業廃棄物につきましての御質問がございました。  先生御承知のように、産業廃棄物につきましては廃棄物の処理及び清掃に関する法律第十条によりまして、まず事業者がみずから処理しなければならない、こういうふうにされておりまして、また十三条におきまして、都道府県または市町村がその産業廃棄物の収集、運搬、処分を行った場合につきましては、その費用を条例で定めるところによりまして徴収するということにされておりまして、基本的に事業者の処理責任が明確にされておるわけでございます。  ただ、この御質問の中にもございましたように、現実問題といたしまして、不法投棄されました産業廃棄物につきまして、住民生活の安全という見地からやむを得ず地方団体が対応せざるを得ないという事例が出てきておるわけでございます。  私どもといたしましては、この不法投棄されました産業廃棄物の処理に要する経費につきまして、事業者責任の原則というのがございますから、その関係から、一定のルールによりまして交付税等によって財源措置することには問題があるというふうに考えておりますが、具体にいわき市等の事例がございました。従来からそういった事例がございました場合にはその経過とか、あるいは財政負担の状況等をよく伺いまして、特別交付税の算定に当たりまして配慮をいたしておるわけでございまして、ほかの地方団体におきまして同じような例が出てまいりました場合に特別交付税で配慮をいたしてきておるわけでございます。
  108. 会田長栄

    会田長栄君 今後ともこの不法投棄問題というのはなかなか政府の御指導があってもとどまることを知りません。ますますこの自然保護、環境整備の立場からいっても問題でありますが、どうぞその点は積極的にこの政策に応じられるようによろしくお願いしたい、こう思っております。  次に、本院の地方行政委員会で、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院の各派共同提案による地方行財政の拡充強化に関する決議というのが八項目にわたって挙げられております。この決議に基づきまして大臣の方から、その趣旨を尊重して善処してまいりたいという決意のほどが述べられていると思います。  そこでお伺いするわけでありますけれども大臣といたしまして、今後この決議を具体的にどのように検討していくのか、御所見を承っておきたい、こう思います。
  109. 小林実

    説明員(小林実君) 本年度地方交付税法の改正をお願いいたしまして、その際に本院の地行委におきまして、地方行財政の長期的な安定と健全な発展を期するために八項目につきまして決議をいただいたわけでございます。地方交付税につきましての御指摘、あるいは公共投資基本計画に関連いたしまして国庫補助負担制度の充実とかいうような問題、あるいは地方財政計画策定に当たりまして地方の意向を酌んだ計画にするようなこと、あるいは地方公務員の給与水準あるいは国民健康保険事業につきましての御指摘、地域福祉基金につきましての充実、その財源の充実、それから下水道等公営企業関連の事業に対する一般会計からの繰出金の充実についてでございます。  これらの点につきましては、地方財政各般にわたることでございまして、毎年度ども留意をしておることでございます。地方交付税につきましてはその性格によりまして今後とも総額の安定的確保を図りたいと思いますし、公共投資基本計画、その他福祉問題等々たくさんの懸案事項がございますけれども地方団体が抱えております施策に十分こたえられるように十分な財源措置をしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  110. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) ただいま財政局長が答弁いたしましたように、私ども自治省といたしましては、国権の最高機関であります国会の決議事項でありますから、委員会の決議に対しましては十分尊重いたしまして、地方公共団体がそれぞれの主体性、自主性を十分発揮できるようなそういう面での諸種の施策につきまして、財政的な面について配慮を加えていくということで、この趣旨を生かしていくことをここにお約束をいたします。
  111. 会田長栄

    会田長栄君 残り三十秒でありますから、延長して人に迷惑もかけられませんので、この点につきましては私の方から一言だけ、ひとつ検討してほしいということだけ申し上げます。  けさほど防衛庁に関しまして、国際貢献策をめぐって自衛隊に対する国民の注視というのは非常に、物すごいということを申し上げました。いわゆる国民合意を得ないままいろいろなことが政策として実行されているという状況にありますが、きょうはその問題ではなくて、実はこういう自衛隊に関する国際貢献策をめぐっての財政的な支出というのは日本政府としては大変大量に出しているわけでありますが、過日、陸上自衛隊の市ケ谷駐屯地を視察しました。そこで驚きました。そのことだけ申し上げておきます。  それは隊舎問題です。余りにもあれではひど過ぎるのではないか。防衛庁としては計画をして改めるようなことを聞いておりますけれども、今日までほうっておいたことがどうかしておる。私はなぜ気になったのかといったら、隊舎に住んでいる隊員というのは地方から出てきている者が多いんですね。あれじゃちょっとひど過ぎる。いわゆる一人前の人間として、あのところを生活の拠点にして過ごせるものだろうかという気になって帰ってまいりましたよ。  そこで、この点につきましてはやっぱり抜本的に早急に検討して、本当に精神的にもゆとりの持てるようにしていかなければいけないんじゃないかということが気になったものですから、この点についてはここで私の意見として申し上げて、私の質問を終わりたいと思いますから、どうぞよろしく。
  112. 千葉景子

    ○千葉景子君 きょうは、私の地元でもございますが、神奈川県にかかわる問題について、まずお尋ねさせていただきたいと思います。  神奈川は、日本の中でも沖縄に次ぎまして大変基地を多く抱えている県でございます。そういう意味では、基地をめぐるさまざまな問題点あるいは課題というのは、神奈川県民がその負担を多く負わざるを得ない、そういう状況にもあるわけでございます。特に神奈川の厚木基地、この周辺におきましては、もうこれは大変有名になっている事実でございますけれども、航空機騒音、そのすさまじさというものの中で、周辺の住民は大変長年にわたりまして耐えがたい苦悩、苦労を強いられているというのが実情でございます。  これについては防衛施設庁の予算などでも騒音対策などに大変大きな費用を使っていただいているわけでございますけれども、なかなかそれで抜本的な解決が図られるというわけにはまいりません。防音工事をした家といいましても、家じゅう全部が防音工事ということもできませんし、あるいは人間の行動ですから、一部屋でじっとしているということもできないわけでございまして、そういう日常生活の中では、こういう大変な騒音、爆音にさらされているという現状がございます。  そういう中で、多くの皆さんの声やあるいは国の御努力、こういうことも含めまして現在硫黄島への代替施設というものも建設をされているという状態でございます。そしてまたその一方では、この夏にも母港といいましょうか、横須賀に帰港している米空母のミッドウェーからインデペンデンスという空母に交代がされるということも報道、あるいは伝えられているところでございます。そういう大きな変化のある時期でもございますので、いろいろな点についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。  厚木基地の現状はもうここで細かく申す必要はございませんけれども、ミッドウェーは昨年からペルシャ湾へ出動いたしておりまして、本年の四月十七日に横須賀港に入港いたしました。この艦載機五十機ほどは厚木基地へ飛来をしているという状況でございます。そして、その後自治体選挙などもございまして、こういう選挙中は余り騒音をまき散らしてはいけないという配慮があったのかどうか、これはわかりませんけれども、その期間は余りうるさい状況はございませんでしたが、その後、五月七日ころから大変離発着訓練が集中いたしまして騒音が激化しているという状況でございます。そして、近々NLPの通告もあるということで、また六月初旬ごろからはNLPが実施をされるのではないか、こういうことも言われているところでございます。昨年の統計で見ますと、一月から九月まで九カ月間、いわゆる七十ホン以上の騒音が五秒連続するというこれが騒音測定の基準になっておりますけれども、これが九カ月間で四万一千回、こういう状況が測定をされている、今こういう現状にあるわけでございます。  そこで、お尋ねをさせていただきますが、ミッドウェーの艦載機によるこういうNLP、着陸訓練、これは厚木基地というのは神奈川県でも大和市などを中心とした大変人口密集地、市街地のど真ん中で行われているという状況で、安全の面から考えても騒音の面から考えても、もうそろそろ常識を超えたような状況ではないかというふうに思うんです。こういうところで訓練が行われているわけですけれども、この厚木以外、例えば日本以外の地域でアメリカの空母などがこういう市街地の近くでNLPなどを実施している、あるいは訓練基地を長期にわたって使用している、こういう例はほかにあるのでしょうか。まずその辺についてちょっとお聞きをしたいというふうに思います。
  113. 原田親仁

    説明員(原田親仁君) お答え申し上げます。  先生今御指摘のような、市街地でのNLPが行われている地域が諸外国であるか否かについては、我々としてはつまびらかにしておりません。
  114. 千葉景子

    ○千葉景子君 私もそれほど調査能力を持っているわけではございませんので確かなことはわかりませんけれども、どうもいろいろな話あるいは情報から考えますと、こういう場所で長年にわたってNLPが行われているという例はないのではないだろうかというふうに私は認識をしているところです。また御調査をいただきまして、日本の厚木の周辺というものがいかに特殊な状況にあるかということをぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。  そういう中で、この八月末にミッドウェーと空母インデペンデンスの交代が行われるということが情報として伝えられているんですけれども、これは事実でしょうか。そして、もし交代があるとすれば、その時期はいつごろというふうに国の方では把握なさっていらっしゃるんでしょうか。
  115. 原田親仁

    説明員(原田親仁君) お答え申し上げます。  先生御承知のように、空母ミッドウェーの交代につきましては、昨年二月にチェイニー国防長官が訪日した際に、同長官が一九九一年の夏に空母ミッドウェーを通常型空母インデペンデンスに交代させるという発言をしたわけでございます。我々としては、ことしの夏に交代が行われるというふうに承知しておりますけれども、具体的な交代の時期については確定されたとは承知しておりません。
  116. 千葉景子

    ○千葉景子君 もともとミッドウェーは、当初から家族の居住あるいは隊員の休養などのために帰港するということで、その期間も三年ほどという話もされていたようでございます。国会などの審議の中でも当時はそのような議論がされていたということでございますけれども、実際には一九七三年十月以来十八年間、結局は居座ったと言うとおかしいですけれども、継続をして施設を使用し、そしてまたこのような騒音問題などを引き起こしてきたという実態でございます。  これは、ミッドウェーが長年にわたりまして横須賀を使用してきたという、これはよく言葉として母港というような言葉を使われますけれども、どういう性格のものなのでしょうか。そして、今回交代が行われるということでございますけれども、交代ということはその性格を異にせずそのまま同じ根拠といいますか、理由によって艦が交代をするというふうに考えてよろしいのでしょうか。その辺について、今後またさらに騒音の問題あるいは空母が交代することによるさまざまな問題点等が発生するおそれも考えられるところでございますので、このあたりについてぜひお尋ねをさせていただきたいと思います。
  117. 原田親仁

    説明員(原田親仁君) お答え申し上げます。  現在、海外家族居住計画の一環として、空母ミッドウェーの乗組員の家族が横須賀市及びその周辺に居住しておりますが、このような家族居住計画は、展開地域に近い外国に乗組員の家族等を居住させることによって艦船の本国帰投回数を減らし、艦船の効率的運用と国防費の効率的活用を図るとともに、乗組員の家族との別居期間を短縮して士気の維持高揚を図り、もって抑止力の維持に遺漏なきを期するという方針に基づきまして、その乗組員の家族を我が国に居住させようというものであると承知しております。  今回の交代につきましては、海外家族居住計画に基づきまして、アメリカの第七艦隊の空母の乗組員の家族が横須賀市及びその周辺に居住するという実態を何ら変更するものではないというふうに考えております。
  118. 千葉景子

    ○千葉景子君 やはり、乗組員の家族の皆さん、あるいは乗組員の皆さんの休養等考えますと、それは私も全く私も否定するものではございませんけれども、やはりそれに伴って周辺にさまざまな被害といいますか問題が生じているということになりますので、その点については、その中身は理解をしつつも、そういう配慮については十分にしていくべきではなかろうかというふうに思います。  特に今回は、ミッドウェーからインデペンデンスに交代をするということになりますと、艦載機というものも大分変更があるというふうにも言われております。F14トムキャットとかS3Aバイキングなどの新しい機種などが含まれている、あるいは飛行編成なども変わってくるのではないかということで、さらに内容が強化され、そしてまたそれに伴って騒音問題などがより一層激化するのではないかという大変危惧が周辺からも出されているところでございます。そういう意味ではこれまで以上に十分にまた協議なり取り組みをしていただきたいというふうに思いますが、この辺の配備の違いとか、あるいはミッドウェーからインデペンデンスへ交代することによってどんな変化あるいは周辺地域に対する変化があるというふうにお考えでしょうか。その点については十分御調査などはなさっているんでしょうか。
  119. 原田親仁

    説明員(原田親仁君) お答え申し上げます。  先生御質問の、具体的な編成や訓練内容等の米軍の運用に係る事項の詳細につきましては、我々としては承知しておりません。  ただ、現在我々の把握しているところによりますれば、乗組員あるいは艦載機の数につきましては、本件交代に際して空母インデペンデンスが実際に何人の乗組員あるいは何機の艦載機を搭載することになるかについてはまだ承知しておりませんけれども、現在の空母インデペンデンスの艦載機は八十機、乗組員が約五千三百人。これに対しまして空母ミッドウェーは、艦載機は六十八機、乗組員は約四千八百人であるというふうに承知しております。  また、訓練につきましては、空母インデペンデンスの艦載機も引き続きミッドウェーの艦載機と同様の訓練を行うものと承知しております。
  120. 千葉景子

    ○千葉景子君 今の把握なさっていらっしゃることだけでも、規模も大きくなりますし、そして訓練も同じように続けられるということになります。これまでより騒音などが解消されるという方向には、どう考えても受けとめられないという状況でございますので、ぜひこの点についても十分協議なりあるいは内容を把握いただきまして、より一層環境保全がなされるように力を尽くしていただきたいというふうに思います。  ただ、こういう中で一つ対策としてとっていただいておりますのが、硫黄島に代替の施設を建設していただいているということでございます。これは大分進捗しているというふうに伝えられておりますけれども、例えば油の倉庫とか滑走路とか貯水施設あるいは隊員用の食堂施設など、かなりの部分が完成をしているというふうに私は情報をいただいているんですけれども、今、施設の現状はどのような状況になっているでしょうか。
  121. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) お答えいたします。  硫黄島で艦載機の着陸訓練を早期に実現するために現在施設の整備を進めております。平成年度から工事に着手しておりますが、昨年度末までに灯火施設など滑走路関連施設、給油施設、倉庫などの施設が完成しておりまして、これに引き続きまして、現在、隊舎であるとか倉庫であるとかいうような施設を建設しているところでございます。
  122. 千葉景子

    ○千葉景子君 かなりの主要部分というのが完成をしているという状況のようでございますけれども、これが完全にでき上がるのはいつごろになるのでしょうか。そして、ここで実際にNLPができる、使用可能になるという時期は、今いつごろとお考えでしょうか。これまで、さまざまな地元自治体などからの問い合わせなどの際に、平成年度内にも訓練可能ではないかというお答えどもいただいてきているんですけれども、このNLPが可能になる時期というのはいつごろと計画をされていらっしゃいますか。
  123. 児玉良雄

    説明員(児玉良雄君) 硫黄島におきます艦載機着陸訓練のために必要な施設は、平成年度から四年度までの予定で、先ほど申し上げました施設に加えまして、三年度、今お認めいただいた予算で引き続き隊舎などを整備することとし、四年度末に完成をするというのを目標にして工事を進めております。  それで、いつから訓練ができるかということでございますが、四年度末を待たずに、現在できている施設の範囲内で、可能な規模でできるだけ早く訓練が硫黄島に少しでも移るように、米側と今具体的な細目について調整をしておるところでございます。
  124. 千葉景子

    ○千葉景子君 せっかくこういう施設を建設をしていただいたわけでございますので、できる限り早期に使用できますようにぜひ努力をいただきたいと思います。  特に、ミッドウェーからインデペンデンスへの交代がこの夏などに行われるということになりますと、大体これまでの通例ですと、ミッドウェーが出港するとき集中的にNLPが実施をされるというのが通例でございます。そうなりますと、夏の暑い中でまた大変な騒音に住民がさらされるということになりますし、また、もしインデペンデンスに交代をされるということになりますと、先ほどお聞きしましたように、その規模などもさらに大きくなる、艦載機の数などもふえてくるというようなことになる、もしこれが厚木基地を使用して訓練をするということになると、これまで以上のいろいろな被害、そして住民の苦悩というものが強まるということも懸念されます。そういう意味では、ぜひこの夏、今後のNLPの訓練を少なくとも硫黄島へ移転をしていく、順次移転をしていくというようなこと、そして最終的にはすべてを硫黄島において実施をしていただくということにぜひ全力を傾けていただきたいというふうに思います。  地元の自治体などからも、今後の訓練をぜひ硫黄島でという要請も多分長官にも届けさせていただいているというふうに思いますけれども、この点について、今後のお考え、そしてこの地元からの要請に対する御決意、こういうものがございましたらお聞かせいただきたいというふうに思います。
  125. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) ただいま委員御指摘の点、地元の皆様方、住民の方々からのいろいろな御要望も私ども伺っておるところでございます。  そして、先ほど防衛施設庁長官お答えを申し上げましたけれども、硫黄島におけるNLPの実施でございますが、これはその施設の完全な完成を待つまでもなく、なるべく早くできる範囲内で実施していこう、このように考えております。そうしたことが少しでもその地元に対する騒音問題の軽減につながる、こう考えている次第でございまして、ただいま委員御指摘のいろいろな事情とかタイミング等も十分頭に入れながら相談してまいりたいと存じますし、これは米軍の方もそのような事情もよく理解しておると思いますので、我々としてもそのような方向でやってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  126. 千葉景子

    ○千葉景子君 それでは、ぜひ頑張っていただくことをお願いいたしまして、次の問題に移らせていただきたいと思います。  先日、報道によりますと、警察庁の方でいわゆるDNAによる鑑定を今後積極的に使っていきたいという報道がなされておりました。これは、足立区で起こりましたパート主婦殺人事件ということを契機にいたしまして報道されていたものでございますけれども、この中で、DNA鑑定というのは大変画期的といいますか、新しいことでもございますが、まだまだ制度化されていない、あるいは司法判断の上でも難しさがあるのではないかなどの指摘もされているようでございます。  まず、警察庁としては今後このDNA鑑定というものを積極的にどのように使われていこうとなさっているのか、その点についてお聞きをしたいと思います。
  127. 國松孝次

    説明員國松孝次君) お答えを申し上げます。  私ども、このDNA鑑定と申しますものは個人識別の方法といたしましては大変有効なものでございまして、若干大げさかもしれませんけれども、二十一世紀における我々の鑑定技法の中で大きな地歩を占めるものと期待をしておりまして、その技法等につきましても、既にもう科学警察研究所におきましてかなり有効性、信頼性のあるものと確定をしておるところでございます。今後、そういうものの技法を、さらに改善を図りながらやってまいりたいと思います。  なお、若干この問題につきましては、今委員御指摘のとおり、まだ制度化されておるとかいうようなところまでいっておりませんので、今後そうした制度化するためのガイドラインなどをつくりながらその制度化を図ってまいりまして、司法手続におきましてもどんどんこのDNA鑑定によりまして個人識別が行われていくように、その方向に向けて私ども努力をしてまいりたいと思っております。
  128. 千葉景子

    ○千葉景子君 これまでこのDNA鑑定が証拠として裁判などに申請をされたり、あるいは証拠として採用されたというような例はございますでしょうか。
  129. 國松孝次

    説明員國松孝次君) これまでのところはまだございません。
  130. 千葉景子

    ○千葉景子君 私も専門外のところもございますので、今後またいろいろな勉強をさせていただきたいというふうに思っておりますが、DNAというのは、生物の細胞核に含まれる染色体の上にあって、遺伝子の本体というふうに言われているようでございます。私も簡単な勉強の範囲ではそういうふうに認識をしたところなんですけれども、そういう意味では、このDNAということになりますと、人の遺伝子の情報、これが警察のもとに把握をされるというようなことで、プライバシーの問題などに大変危惧が持たれているということもあるようでございます。  この点については、警察庁の方としてはどのようにお考えでしょうか。
  131. 國松孝次

    説明員國松孝次君) DNAにつきましては、なるほど確かに遺伝情報を担っている部分があるのはもちろんでございますけれども、その担っていない部分というのが区別できるというように私ども承知をいたしております。そして、私ども警察が行うDNA鑑定法は、その遺伝情報を担っていない部分のDNAを抽出いたしましてそれを分析するものでございますので、ただいま申し上げましたような個々の遺伝情報の内容に立ち至ってこれを把握、分析するものではないというように私ども理解をいたしておるところでございます。  ただ、そういうものでございましても、得られました試料なりというものはもちろん我々の貴重な捜査資料でございますので、これまで同様、刑事訴訟法の趣旨にのっとりましてその試料の厳正な保管、秘密の保持といったようなものについては十分に留意してまいらなければならないものと考えております。
  132. 千葉景子

    ○千葉景子君 今、確かにその鑑定に使われる部分というのは区分けをして使うことができるということでございますけれども、その採取したサンプルといいましょうか、その中には大変な情報が入っているということにもなってまいります。  そういう中で、やはり今回のこういう報道などを含めて、これまでも鑑定材料の管理の問題、これが本当に十分にできていたのかどうかということを含めて、より一層そういう点についての制度的な保障が必要なのではないか。あるいはサンプルを採取するための根拠、それをどう考えるのか。あるいはこういう人間の本体を採取するようなものでございますので、そういう意味では被採取者の防御をする権利といいましょうか、そういうものなどについてもっと論議を深めるべきではないかというような指摘もあるようでございます。私も、今回のこのDNA鑑定ということをお聞きいたしまして、やはりもう一度、サンプルの管理の問題あるいは採取するための制度の問題、これは立法などを含めて十分な論議をしていく必要があるのではないかというふうに思います。  どうもお聞きするところによると、DNA鑑定のための血液採取などはこれまでと同じような形で身体検査令状などを使って行われるというようなこともお聞きするのですが、飛躍的にこの中身というのが違ってまいりますし、今後、これだけの科学の発達する時代ですから、遺伝子分野というのもこれからどういう発展をしていくかわかりません。そういう意味では、やはりこれまでの制度だけで十分なのかどうか、この辺の論議が必要なのではないかというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。
  133. 國松孝次

    説明員國松孝次君) このサンプルの保管というものにつきましては、これはもう法に基づきまして厳正にやっていくということは、今までどおりほかの資料と全く同じでございまして、それをやってまいらなければならないというふうに思います。  それから、このDNA鑑定のための試料の採取でございますが、これは今委員御発言の中にもございましたように、私どもとしては血液や体液等、今までとってきた鑑定試料の中からDNAを抽出するということでございまして、これまで同様刑事訴訟法の定める規定に従いまして、相手の人権等を考えながら、鑑定処分許可状あるいは身体検査令状をちゃんととりまして、恣意的な抽出ということが絶対ないようにということでそれをやってまいるつもりでございます。  ただ、何せ新しい手法でもございますし、それにつきまして非常に杞憂と申しますか、あらぬ不安が深まるということもこれは困るわけでございますので、私どもそのガイドラインづくりをしながら、ある程度オープンな形でいろんな方々の御意見を承りながらやってまいりたいと思っておりますが、とにかく今のところの感じでは、特に新しい採取の手続と申しますか、あるいは試料の保管手続というものにつきまして立法する必要は今のところはないというように私ども考えておりますけれども、いろんな各方面の御意見は謙虚に耳を傾けて、制度化してまいりたいというように思っております。
  134. 千葉景子

    ○千葉景子君 これからもまた私も議論をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  終わります。
  135. 秋山肇

    ○秋山肇君 私は、昭和六十三年度決算及び平成年度決算外二件に関連して質疑を行いたいと思います。  まず、防衛庁にお聞きいたしますが、東西関係は欧州を中心として対話と協調を基調とする時代へと大きく変貌しつつあると思いますが、他方、先般の湾岸危機やソ連国内情勢の不確実な動向に見られるように、国際軍事情勢にはなお不安要因が多く存在していると言えます。  そこで、国際軍事情勢に関する認識について、防衛庁の御見解をお伺いいたします。
  136. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) ただいま委員御指摘のとおり、世界は全体として対話と協調の時代へと向かっている、大きな変革期にあると思うのでございます。そういったことは軍事面においてもあらわれておりまして、御高承のとおり各種の軍備管理とか軍縮の交渉が進んでおります。例えば米ソ間におけるSTARTであるとか、あるいはCFEであるとかといった交渉が進められておるのは御高承のとおりでございます。  しかしながら、このような大きな歴史の変革の契機になりましたソ連でございますね、こちらの国内の情勢がちょっとおかしくなってきておりまして、御承知のとおり、大変深刻な経済不安があるとか、あるいは民族問題が国内のあちらこちらで激化しているということがございまして、このようなソ連国内の動きというものがいわば対話、協調路線の将来に影響を与えることがないだろうかという点も若干懸念されるところでございます。現にそういったことがある程度影響したと言ってよろしいのでございましょうか、先ほど申しましたCFEだとかSTARTの交渉、これについてもここのところ足踏み状態だとか、いろんなことがあらわれております。  それと、いま一つ懸念しておりますのは、いわゆる第三世界でございますね。これまでのいわゆる冷戦構造のもとにおきましては確かに緊張感がございましたが、それはそれとして、一応米ソを中心とする両極の力の均衡があり、世界全体も一応緊張感のある中で安定しておったわけでございますが、そういったいわばその支えといいましょうか、それが取れるという格好の中で、地域的ないろんな紛争要因、領土問題であるとか民族問題あるいは宗教問題というものが顕在化してくるという、こういうおそれがあるわけでございますけれども、それが現に先般のイラクのクウェート侵略という姿で我々の懸念していたところが現実の問題になったわけでございます。幸いにしまして、このイラクの侵略につきましては国連の決議を踏まえまして多数の国が一致協力してその解決に当たり、そういった侵略という行為は排除された。このことはこれから将来に向かっての国際の平和と安定を維持する上での一つあり方を示すものじゃないかということで評価されますし、また、今回のような機敏な、しかも効果的な行動というものが将来にわたってのある程度の抑止力となって働くということも考えられるわけでございますけれども、そういった第三世界におけるいろんな不安定要因というものも考えられるわけでございます。  そういった意味におきまして、我々は、国際的な軍事情勢全般として申しますと、冷戦構造を超えた新しい好ましい状況の方へ、大きな流れとしては向かいつつあると思いますけれども、繰り返しになりますが、ソ連の国内の動向あるいは第三世界の動きというものに対しては、今後も非常に慎重にと申しましょうか、十分にそれを注視していく必要があるのじゃないか、このように認識しておる次第でございます。
  137. 秋山肇

    ○秋山肇君 東西関係の緊張緩和が我が国周辺の軍事情勢の緊張緩和につながることが期待されているわけですが、朝鮮半島問題等の不安要因があるわけで、我が国周辺の軍事情勢についてはどのように認識をされていますか。
  138. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 先ほど御答弁申し上げましたのは世界全体としてのグローバルの情勢の認識でございますが、ただいま具体的に我が国周辺のアジアと申しましょうか、あるいはアジア・太平洋と申しましょうか、そういった地域の情勢をどう考えるかという御指摘でございます。  問題は、そもそも我が国周辺の地域と申しますのは、地政学的にと申しましょうか、あるいは歴史的に見ましてもいろいろ非常に多様な地域だと思うんでございますね。大陸あり半島ありあるいは島嶼部ありというふうな、地形的にも地理学的にもそういうようなことになっておる。それからまた、歴史的あるいは文化的に見ましてもいろいろな歩みをしてきた地域あるいは国民があるわけでございます。そういった意味では、ヨーロッパのように非常に明確なイデオロギーのもとに東の陣営、西の陣営というものが団結し、そしてそれが軍事機構面でも、一方はNATOですが、それから他方はWPO、ワルシャワ条約機構というふうに多国間の同盟といいましょうか、安全保障の機構ができて、それが相対峙しているという、非常にわかりやすいといいましょうか、明確な冷戦構造というのがヨーロッパにあったわけでございますが、そういった点はアジアにおいては少し不明瞭といいましょうか、ぼやっとした感じにこれまでもなっていたと思います。  それは先ほど申しましたような地理的な面あるいは歴史的な面の反映でもあると思うのでございますが、御承知のとおり、例えば安全保障の機構にしましても、西側といいましょうか、自由主義の陣営でもマルチの同盟関係があるわけでございません。我が国は米国との間で、二国間で日米安保体制をとっているわけでございますし、韓国も米国との間で、あるいはそのほかの国もそれぞれに米国と二国間のバイラテラルな関係でいろいろ安全保障の仕組みをつくっていって、それが全体としてこの地域の安定に寄与してきた、こういうことだと思います。  また、それはいわゆる東側というんでしょうか、あるいはこれまで共産主義あるいは社会主義というんでしょうか、そういった体制の国家群におきましても似たようなことがございまして、同じ社会主義を標榜しながらアジアの国々の中では必ずしも強固な団結がずっと保たれておったわけじゃない、いろいろなことがございました。これまでもやはりソ連と一つ一つの国が西側の場合と同じように基本的にはバイラテラルな関係でつながっておった、こんなこともあるわけでございます。そういったことの反映といいましょうか、あるいは裏返しと申しましょうか、冷戦時代においてもそういうことであったということが、こういった対話と協調に向かって大きく流れるという時代においてもヨーロッパのような明確な形での変化ではなくて非常に複雑な動き、また多様性を持った変化を見せつつある、こう思うのでございます。  しかし、そういった中におきましても、やはり韓国とソ連の間の国交の樹立であるとか、あるいは朝鮮半島における南北の対話、あるいは我が国も北朝鮮と国交正常化の政府間交渉を始めておりますが、そういったふうにこの地域の将来に向かって注目すべき動きがいろいろ出てきている。そういった意味で大きな底流においてはヨーロッパと同じようなものがございますけれども、さっきも言いましたように、まだまだ複雑な流れでもあるし、また全体としてこの地域の政治的な信頼関係という面では、まだヨーロッパなんかに比べますと一歩も二歩もおくれておるというのが実態だと思います。  それと同時に、御承知のとおり具体的にもこれから解決していかなくちゃいけない政治問題がございますね。我が国とソ連の間では北方領土の問題があるわけでございますし、朝鮮半島も御承知のとおり、そういうこともございますので、世界全体の流れの中で見ますと、我々の周辺地域というのはまだまだこれからいろいろ見ていかなくちゃいけない、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、さらに一点つけ加えますならば、やはり我々の地域の場合は極東ソ連軍の存在というものを考えなくちゃいけないわけでございます。御承知のとおり、ソ連も軍縮を進めるんだということを先般ゴルバチョフ大統領も我が国に来られたときもおっしゃったわけでございますし、そういったことをたびたび表明され、また現実に軍縮の動きが進んでおる、このように考えております。しかし、事極東ソ連軍に限って申しますと、量的にはピーク時から比べて確かにある程度削減された、これは私どもも承知しておりますけれども、しかしなお依然として高い水準でございますし、それから質的な面におきましては、これはミサイルの能力であるとか、あるいは原子力潜水艦の投入であるとか、あるいは水上艦艇にしてもミサイル能力のすぐれたものを投入してくる、作戦用航空機なんかにつきましても第四世代のものがふえておるとか、あれこれ勘案いたしますと、質的な面ではむしろ強化された部分もございまして、この極東ソ連軍の非常に高いレベルでの存在というものがこの地域の軍事情勢というものを厳しくしているというのは変わらない、こう思っております。  と申しましても、私は決してソ連が脅威であるとかそんなことを申しているわけじゃございません。ソ連は今対話と協調時代へ進もうと言っておる、これはもうそのとおり受けとめておりますし、また国内問題が大変でございますから、とても外へ云々ということを考えられるような情勢でもないのをよく承知しております。しかし、現実にこういった軍事力が存在するということは我々はやはりよく考えておかなくちゃいけない。特にソ連の国内の管理といいましょうか、コントロールの力がこれから将来に向かってどうだろうかということも考えますと、やはりソ連側においてユニラテラルな、一方的なさらに大幅な削減を事実をもってやっていただくということがあれば、我々の地域の将来の安定に向かっても大きく資するものではないか、このように考えているわけでございます。  あれこれ申し上げましたけれども、そういった複雑な要素をよく見ながら、しかし、大きな流れとして対話と協調の時代へこの地域も進んでいくということを期待しているところでございます。
  139. 秋山肇

    ○秋山肇君 今大臣お答えの中にも一部含まれておりますけれども、我が国は日米安保体制とみずからの適切な規模の防衛力整備を防衛政策の基本としてきたと思うんですね。最近の国際情勢の急激な変化を踏まえても、このような政策を堅持していくことが重要であると思うんですが、いかがお考えでしょうか。
  140. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 御指摘のとおりだと思います。  先ほど来御答弁申し上げましたように、世界は大きく対話、協調の時代の中へ向かっておる。それは我が国周辺の地域でも、程度あるいはスピードの問題があるにしても同じことだと思っておりますけれども、しかしなお、現時点におきまして見ます場合に、やはり世界において米ソの両国というものは軍事的な意味ではスーパーパワーである、こういう事実に変化はないわけでございますし、その両国の軍事力を中心とする力の均衡というものがやはり国際の平和と安定の基礎をなしているということも現実だと思います。  そういったことでございますので、私どもが日本の安全保障を考える場合には、やはりこれまでとってまいりました方策、すなわち日米安全保障体制を堅持すると同時に、みずから適切な規模の防衛力を保持し整備いたしまして、いろいろな不安定な要因対応していくという方針はそれは続けなくちゃならない、こう考える次第でございます。  我々は、もとより恒久平和の理想は高く掲げながらも、しかし、現実の世界のリアリティーというものをよく見て対応していくということが肝要かと、このように考えております。
  141. 秋山肇

    ○秋山肇君 ところで、我が国の安全保障を考える上で、平和な国際環境をつくる努力が重要なことは言うまでもないことであります。去る四月二十六日に我が国の船舶を初めとした航行の安全の確保のために、海上自衛隊ペルシャ湾掃海派遣部隊が出港し、ドバイに到着をしたということですが、同時に、他国の船舶の航行の安全の確保にも、今も申しましたけれども、寄与するといった意味で、我が国の人的国際貢献策としても意義を有すると思います。  そこで、新聞報道によると派遣部隊は現在掃海の準備をしておるということですけれども、どこでどのような活動状況なんでしょうか。
  142. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 今のお話の中にも御指摘ございましたように、この派遣部隊は四月二十六日に横須賀、呉、佐世保の各港を出港した後、スビック、シンガポール、ペナン、コロンボ、カラチに寄港いたしまして、五月二十七日にドバイのラシッド港というところに到着して、現在そこにいるわけでございます。  現在やっておりますことは、船体の消磁作業、つまり磁気を消し去る作業ということを念のためにチェックをする必要がございまして、船体の消磁作業といったような準備作業をやりますとともに、これから具体的に掃海を行いますために各国との連絡調整をするということがございますので、それらのことを今進めている段階でございます。
  143. 秋山肇

    ○秋山肇君 今消磁作業をしているという説明ですけれども、掃海艇は木造船である。木造船というと、何か今の時代にどういうつくり方になっているのかな、竜骨は鉄で周りに木が張ってあるのか、その辺の構造をちょっとわかりやすく説明していただけますか。
  144. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 船体は完全に木造でございます。木造でございますが、例えばエンジンとか中に積んであるもの等々が磁気を帯びる可能性があるものですから、それで消磁作業が念のために必要であるということでございます。
  145. 秋山肇

    ○秋山肇君 そういう今のあれも、新聞報道ですと木造だと言っているが、私たちも友人と話すと、ばか言ってら、そんな今どき木造船があるわけないよというようなことを言っていたが、掃海艇派遣問題が論議されるので、何か余りオープンにするとまずいのか、出てこなかったんですが、そういうことをはっきり、日本の掃海艇の性能がいいということは何であるかというのも、PRも含めて言われた方がいいと思うんですよ。別にこれは答えをいただくわけじゃないんですが。  さて、自衛隊は防衛任務を遂行するほか、その組織、装備及び能力を生かして災害に際し各種の救援活動を行うことにより、国民の生命、財産の確保のみならず、地域社会の安定に大きく寄与していると思います。  これら災害救援活動の具体的内容及び最近における実績についてお伺いをしたいと思います。
  146. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 災害救助活動の具体的な内容といたしましては、遭難者あるいは遭難した船舶、航空機などの捜索救助、水防、防疫、給水、人員や物資の緊急輸送といったような広範多岐にわたっているところでございます。  平成年度の実績で申し上げますと、風水害の対処というのが九件、それから救急患者輸送四百八十二件、捜索救難四十三件、消火支援等が百三十件でございまして、件数にして合計六百六十四件、出動の人員延べ一万六千八百人、車両二千二百両、航空機八百六十機、艦艇十八隻というようなことを用いてこれらの対処を行ったという実績でございます。
  147. 秋山肇

    ○秋山肇君 また、現在噴火を繰り返している雲仙の普賢岳やその火砕流への対応についてですが、二十六日の大規模な火砕流発生の状況をテレビ等でごらんになった方はおわかりだと思いますが、あのような速いスピードで大規模に発生したのでは、住民は逃げるのが精いっぱいだと思います。今のところ、けがをされた方が一人出ただけということで、人的な被害は大きなものは出ておりませんが、これからの梅雨の時期を迎え、火砕流のみならず土石流発生の危険もあるわけで、厳重な警戒が必要です。  そこで、噴火や地震等、ないにこしたことはありませんけれども、これらの火砕流及び土石流が発生した場合、当然地元の消防団や警察等では対応し切れない状況が今後出てくると思うわけであります。そのときに即役に立てるよう準備をしておくことも必要と思います。また、出動に当たっては都道府県知事の要請に基づいて災害派遣を実施されると思いますが、この辺の対応ですね。すぐにできる対応というのはできているのかどうかをお聞きしたいので、お答えをいただきたいと思います。
  148. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 現在、既に火山観測等につきまして自衛隊の航空機による協力を実施いたしておりますし、それから島原市の災害対策本部に連絡幹部を派遣いたしまして、密接に関係機関との連絡調整に努めておるという状況でございますが、今お話にございましたように、県知事等からの要請がございましたら、これに即応じ得る体制を整えておるという状況でございます。
  149. 秋山肇

    ○秋山肇君 今回のバングラデシュのサイクロンの災害復旧というか援助ですね、日本の国際緊急援助隊が行っているわけですけれども、死者十三万人を超えると言われているこの災害に対し、世界各国が救援の手を差し伸べているわけですが、今回の国際緊急援助隊の編成内容とその活動状況をお聞きいたします。
  150. 横田淳

    説明員(横田淳君) お答え申し上げます。  政府は、バングラデシュ政府の要請を受けまして、五月の十三日、サイクロンによる被害を受けたバングラデシュに対しまして、東京消防庁、大阪市消防局の保有するヘリコプター二機及び要員五十名で構成される国際緊急援助隊救助チームを派遣することに決定いたしました。  このチームの構成でございますけれども、外務省、自治省消防庁、東京消防庁、大阪市、川崎市、神戸市の各消防局及び国際協力事業団の人間で構成されております。  五月十五日に本邦を出発いたしまして、現地でヘリコプターの組み立て調整を行った後、チッタゴンという港町があるわけでございますけれども、そこを拠点として本格的な活動を行っております。一日一機当たり五回か六回の飛行をいたしまして、被災地におきまして食糧とか医薬品などの救援物資あるいは医療関係者の輸送といった活動に従事しております。
  151. 秋山肇

    ○秋山肇君 今のお答えにもありますように、救助隊というのが混成部隊なわけです。その行っている方々も、協力し合って救助に当たるという大変な御苦労をされていると思うんですね。  しかし、こういうときに混成部隊というので果たしていいのかなというふうに私は思うわけで、もっと突っ込んで、海外で自然災害が発生したとき、日本がいち早く出動し救援復旧活動を始めるくらいにならなければ、国際的にも貢献ができないわけですし、評価されないわけですから、災害が発生してからその対応考えていたのでは、先ほどの雲仙岳と同じで遅いのでありますから、我が国の国際貢献をより進めるといった観点からも、国際緊急援助隊の自衛隊の参加を検討すべきではないかという議論もあるようですが、法整備を含めて、その点について外務省としてはどのようにお考えでしょうか。
  152. 横田淳

    説明員(横田淳君) お答え申し上げます。  まず第一点として申し上げたいことがございます。  現在、国際緊急援助隊は、その任務でございます救助活動、医療活動、災害応急対策及び災害復旧活動につきまして、警察庁、海上保安庁、消防庁等の行政機関及び民間の医師、看護婦などの協力により対応しております。これまで現在バングラデッシュに行っております緊急援助隊で十八回の実績がございますが、これまでの実績を見ますと、我が国としては個々の災害状況に応じて、総じて十分迅速かつ効果的な援助活動を行ってきたものと考えております。そのような迅速な対応を可能とするために、私どもは、例えば警察庁、消防庁、海上保安庁、それぞれ大まかに言いまして五百人ずつの人員を登録しておりまして、その人たちについてはパスポートをいつでも取れるような態勢にするとか、あるいは民間から応募してこられた医者の方々には救急医療の訓練を施すとかいうふうなことをいたしまして、迅速に対応できるという体制を整えてきたつもりでおるわけでございます。  他方、御質問の自衛隊の国際緊急援助隊への参加につきましては、これまでも、将来検討すべき課題であるというふうに申し上げてきたところでございますけれども、緊急援助隊の拡充という観点から、私どもとしては、これから種々論議して検討してまいりたいというふうに考えております。
  153. 秋山肇

    ○秋山肇君 きのうの朝日新聞だったですか、新聞記事によりますと、防衛庁では自衛隊の海外への災害救助派遣について、自衛隊法に新たな任務を加える方向で検討を始めたというふうに書かれておりました。私は、今回の湾岸問題を初め現在日本が置かれている現状考えますと、日ごろから世界で起こるいろいろな出来事に対して、各国の要請や必要に応じて協力できる体制をとっておくことが大切だと思います。特に自然災害時の救援、復旧活動、つまり非軍事面に限り積極的に自衛隊を活用するべきではないかという考え方は、国民の皆様方のコンセンサスも得られるでしょうし、積極的に推進すべきだと思いますが、この点、自衛隊法も含め防衛庁としてはいかがお考えでしょうか。
  154. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 現在、海外における災害時に国際緊急援助隊が外務省を中心に関係省庁の協力のもとに派遣され、成果を上げてきておるということは、先ほど外務省の方から答弁があったとおりでございます。  しかし、さらに日本としてより大きな貢献をすべきではないか、そしてその際に、自衛隊の保有している能力というものを活用したらどうだろうかと、こういった御議論が最近あちらこちらでなされておるのはよく承知しております。先般も、たしか超党派の国会議員団がバングラデシュの実情を視察してこられまして、ぜひそういうことが必要だという御提言をされたというふうにも聞いておりますし、また、各種報道等を通じましても、国民の中にもそういう声が少なくないというのは承知しておる次第でございます。  そしてまた、政府といたしましても、先ほど外務省からも答弁ありましたように、自衛隊を活用すべきかどうかというのは緊急援助隊をつくりましたときにも将来の検討課題であるということでありましたし、外務省におきましても考えていこうというふうな方向でおられるということでございます。  さて、防衛庁としてどうかということでございますけれども、現在の段階で、ただいま御指摘のありました報道のように具体的に検討を進めておるわけじゃございません。これは正確に申しますと、防衛庁がというよりも防衛庁長官でございます私があれやこれや考えておりまして、そういった中でどういうことが可能なのかな、どういうことが適当なのかなと、いろいろ私なりに考え、またそういったことで時々防衛庁の諸君からも意見を徴したりすることがあるということでございまして、これから将来に向かってそれがどの程度具体化していくかということは、広く国民全体あるいは政府の内部でも全体として、あるいは国会のいろいろな御議論も踏まえながら、その方向を出してまいりたいと思っております。  しかしながら、委員も御指摘のように、こういった自然災害のときに自衛隊の持てる能力というものが非常にお役に立つということは国内の経験を通しましても明らかになっているところでございますし、また例えば自然災害でございますならば、これはもう武力の行使なんというものにつながるおそれはもう皆無であるということは自明の理であるわけでございます。もとより憲法上もこれは全く問題のないということであるということでございますので、そういうことも考えながら、今後広く議論していくべきものであろうと思っております。  ただ、その際私はもう一つ留意しなくちゃならないと思っております点は、自衛隊の能力というのは、隊員一人一人の力もございますけれども、やはりそれは一つの組織として活動します場合に最も有効にその力を発揮できるものでございます。そういうことを勘案いたしますと、仮に自衛隊を海外における災害等の場合に活用するというときにも、そういう特性というものを十分に考えて対処してまいりませんと、かえってまた国際的な期待に十分沿えないということもあると思いますので、そんなところも考えてまいりたい。  そういった意味では、仮に将来法的な整備をするといたしましても、これは現在の緊急援助隊の対象に自衛隊をあるいは自衛隊員を含めればそれで済むものなのか、あるいはもっと広くいろいろ勘案いたしまして、自衛隊法そのものの改正というものを考えるべきなのか、そういったことも含めて今後広く議論してまいりたい、その中で考えていきたい、こう思っております。
  155. 秋山肇

    ○秋山肇君 今も大臣お答えにありましたけれども、援助隊の皆さんにしても自衛隊の皆さんにしても、装備というものはだんだん近代化して進歩していくわけですね。そういう中で、これを運用する人間というのがあるわけで、これは、組織の運営というのは結局は一人一人の能力、力量にかかってくると思います。自衛隊もこうした時代の影響というんでしょうか、当然受けていると思うんですが、すぐれた資質を備えた人材を確保していくことが我が国の防衛上の重要な問題でありますし、いわば防衛力の前提になるものだと思うんですね。  今述べたような状況の中で、特に近年の景気の拡大に伴う労働需給の逼迫等の影響を受けて、最近の自衛官等の募集の状況はかなり厳しいのではないかと思いますが、防衛庁として、最近の募集状況をどのように認識をされておりますか。
  156. 坪井龍文

    説明員(坪井龍文君) お答え申し上げます。  自衛官等の募集は、自衛隊の人的基盤を支えるとともに組織の精強性を維持していく上におきまして、極めて重要な業務であるというふうにまず考えております。  平成年度におきます自衛官等の募集につきましては、陸上自衛隊の八四・五%、海空自衛隊の九四%という平均充足率を維持する上で必要とする人数を確保したところでございますし、一般幹部候補生を初めとする各種募集におきましてもおおむね採用計画数を確保したところでございます。  しかしながら、先生指摘のように、最近における自衛官等の募集は、これは一般の公務員の募集もそうであるようでございますが、近年の景気の拡大等に伴う民間企業の大幅な求人の増加、それからまた公務に対する国民の意識の変化といったようなことの影響を受けまして、二士男子入隊者のうち新規高卒者の数がかなり減少しているという状況でございます。そのほか、二士男子以外の任用区分におきましても、任用区分によりましては応募者数が減少するといった傾向がありまして、大変厳しい状況にあるわけでございます。  また、将来的には、採用人員の大部分を占めます二士男子の十八歳から二十六歳までの募集適齢人口が平成年度をピークとしましてその後減少していくということが見込まれておりまして、こうしたことも今後自衛官の募集をさらに厳しくさせていく大きな要因考えておるところでございます。
  157. 秋山肇

    ○秋山肇君 これも先日の新聞に出ていましたけれども、陸上自衛隊ですか、PRの映画をつくられた。ほかの海上、航空も追ってつくっていくんだということですが、今の若い人たち現代職場として魅力あるものかどうか、そのためには自衛官がその任務に誇りを持ち、安心してそれぞれの職務に精励できるようにすることが不可欠だと思うんですね  そこで、防衛庁としては、このような、今も御説明がありましたけれども、厳しい募集環境の中で、人材確保のどのような施策を推進されておりますか。
  158. 坪井龍文

    説明員(坪井龍文君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、大変厳しい募集環境に対処するために、防衛庁としましてこれまでも募集施策の積極的な実施等を図ってきているところでございますが、まず平成年度におきましては就職情報誌の利用であるとか募集広報用のビデオの作成、そういったことにより時代変化に応じた新規広報媒体の活用といったことに努めましたほか、地方連絡部におきまして広報要員として婦人自衛官の活用、イメージレディーと我々言っておりますが、等を行ったところでございます。また、将来の募集適齢人口の減少に対処すべく、二士の募集対象年齢の上限を二十五歳未満から二十七歳末満に拡大するということもやりました。また、准尉それから曹という階級がございますが、それまでの生涯管理を前提としました曹候補士制度というものを創設したところでございまして、この施策は引き続き継続してまいります。  そしてさらに、平成年度におきましても、募集施策をさらに充実するとの観点から、優秀な一般の幹部候補生を確保するために、一般大学出身幹部によります、出身大学を対象とした募集広報制度、カレッジリクルーターと申しておりますが、この導入であるとか、大学における就職情報用のキャプテンシステムの活用といったことを行うとともに、防衛大学校におきましても優秀な学生を確保するため、入学試験制度改革等を行うこととしておるところでございます。  また、御指摘のように、自衛隊をより魅力ある職場として、隊員がその任務に誇りを持ち、安心して職務に精励できるようにするために、隊舎、宿舎等の生活関連施設の充実だとか就職援護施策の充実、若年定年退職者給付金制度の創設、夜間特殊業務手当の新設及び乗組手当の支給率の改定等により隊員の処遇改善を図るほか、隊員のニーズも踏まえまして、制服の改善であるとか営外居住許可基準の拡大によって拘束感の緩和を図るなどの施策も逐次実施しているところでございます。  防衛庁としましては、今後ともこうした努力を継続することによりまして、所要とする人材の確保に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  159. 秋山肇

    ○秋山肇君 先ほど会田委員からも質問があったんですが、今御説明がありましたけれども、やはり何といっても住環境、自衛隊の隊舎、宿舎の整備をきちっとするということが、若い人たちが魅力あるという第一印象を受けると思うんですね。それは、御案内のように今の生活というのは、子供のころからそれぞれ個室をもらって育っている。大学に来ればワンルームマンション等で、我々の年代の昔の学生生活の下宿なんというようなところで学校へ行っている人はいないわけで、また卒業して入るところが、会社では社員寮の整備というものに今力を入れているわけですから、この点、正面装備の予算を取るのも大事なことだと思うんですが、これはぜひひとつ隊舎、宿舎、この問題、これについてどのように整備をしていくおつもりなのか、防衛庁長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  160. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 自衛隊員の確保のためにいろいろな施策をしていかなくちゃいけない、そうしてまた自衛官に誇りを持ってその任務についてもらわなくちゃいけない。そのためにいろいろなことをやってまいらなくちゃいけませんけれども、その中の一つが隊員の処遇問題であり、その中でも居住環境改善というものが大切だということは御指摘のとおりであると思っております。そういった意味で、私どもも隊舎また宿舎等の改善整備にも近年非常に意を用いてきておりまして、たしか私の記憶では、昭和六十一年度において隊舎の整備費が七十七億円であったと思うのでございますけれども平成年度では三百五十九億円になっている、格段の拡充を図っておるわけでございます。  そういうことを進めてまいりまして、ようやく平成年度までで大体二段ベッドだとかあるいは木造の隊舎といったものはほぼ解消ができたと、こう思っておりますが、まだまだ、現在でも七人部屋とか八人部屋とかがございましたり、あるいは先般もある基地で婦人自衛官から話を聞いたわけでございますけれども、婦人自衛官の部屋が一階にあってそうして冷房施設はない。それで夏でも閉め切りでいなくちゃいけないというような、そういった声もございました。あれやこれやまだ不十分なところがございますので、こういったところに十分に力を加えてまいりたいと思います。  そういった意味で、今年度から始まりました新中期防におきましても、そういった隊舎あるいは宿舎も含めての後方の予算には特に意を用いているところでございまして、予算的に申しましても中期防全体の二十二兆七千五百億円のうち正面装備が五兆一千億であるのに対しまして後方予算は九兆一千五百億円になっていると思います。そうして平均の伸び率、これ契約ベースで申しますと正面装備の方はむしろマイナスになる、マイナス二・三%とむしろ減っている。これは更新、近代化を中心にしますので、それで何とか賄っていく、こういうことにしておりますけれども、後方の方は、平均伸び率で申しますと歳出ベースで五・九%だったと思いますけれども、そういった増加がされている。  その中で、先ほど申しましたような隊舎の関係、宿舎の関係、宿舎もちなみに申しますと、一般公務員の場合の宿舎の充足率は現在九六%でございますけれども、自衛隊員の場合は、昨年度にして九〇%、これを何とか新しい中期防の完成、最終年次でございます平成年度には現在の一般公務員並みの九六%に持っていきたいと、こういうふうに考えている次第でございますので、御指摘の点、先ほど会田委員からも御指摘もございました。本当に、そういった御指摘を十分踏まえましてやってまいりたいと、こう考えております。  それと同時に、私が大切に考えておりますのは、やはり募集問題にいたしましても、そういった処遇だとか、あるいは採用の際の制度改革、それから広報も大切でございますが、一番大切なのはやはり国民の中において自衛隊の役割というものに適正な位置づけをしていただく、こういうことだと思います。そういった面では昨今の国会の議論を通じて国民の皆様方の御理解も次第に深まってきておる。これはまことにありがたいことであり、我々はそういったことを大切にしながら従来以上に努力をしてまいる所存でございます。
  161. 秋山肇

    ○秋山肇君 次に、警察庁の方にお聞きしますけれども、日本に来る外国の人たちの日本の印象は、まず第一に治安がいいので安心して滞在できるということだと思うんですね。この治安を守るための中心がもちろん警察であるわけで、今自衛隊の宿舎についてお聞きをしましたけれども、警察も同じような状況だと思うんですね。  それで、待機宿舎の整備、確保ということがやはり、まして最近警察官の希望者が減少しているということも聞いておりますので、優秀な人材を確保するには警察の宿舎の充実ということも一つの要素になり得るのではないかというふうに思いますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
  162. 安藤忠夫

    説明員(安藤忠夫君) 警察職員の待機宿舎につきましては、突発時の警察力の確保、あわせて職員の待遇の改善の両面があるわけで、重要な施策と考えておりますが、御指摘のように相当古くて狭い宿舎が多いのが事実でございます。  御指摘のように、採用難の時代にも入ってまいっておりますので、今後計画的に整備改善を進めてまいる所存であります。特に独身寮等につきましても、現代の若者のニーズに応じた個室化等の施策も進めていく必要があるというふうに考えております。
  163. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) 私からもお答えいたします。  このことは、今先生が自衛隊のことにつきましてもお触れになりましたが、私もかつて、一昨年内閣委員長時代に現地を視察をしまして痛感して、それを指摘事項に挙げたことがありますが、今回こちらへ参りまして、先日機動隊を視察いたしました。その際、宿舎、寮を拝見させていただいたわけでありますが、これはとてもじゃありませんがお話にならぬわけであります。こんなことでこれから治安のために、国民の生命、財産を守るために日夜を分かたず頑張るという優秀な若者を警察官として採用しても、とても、今先生のおっしゃるように、長続きするのか、一番大事な時期にやめていくのではないかという御意見がありますが、全く私もあの状態を見て、随分と思想が古いと思う。やはり個人のプライベートはプライベートとしてきちっと守るということでなければ、あんな小さなところに雑魚寝で、いかに若い青年とはいいながら、使命感を持っておるとはいいながら、これではいかぬと思うんですね。  そういう意味では、機動隊とかあるいは警察学校というのは国費でありますから、これは国費の面で考えていかなければならぬ。そうしますと、来年度の問題になりましても、これはシーリングの問題でありますから、シーリングをどういう形でつくるのか。例外的経費として別途考えてくださるというような制度をあけなければこれはとても改善できないのではないか。ただ、地方の、都道府県その他の警察の寮や宿舎につきましては、これはそれなりの県の経費になってまいりますから自治省の交付税との関係になってまいりますので、これはまた私の方で、自治大臣でありますから、十分検討して配慮できる面が出てくると思いますが、国家予算にかかわるものにつきましては、これは大蔵省と特別に検討しなきゃならぬことではないか。  先ほどから防衛庁長官がまさに口をきわめておっしゃった、極めて大事な問題であるというふうにおっしゃっておられましたが、私もその点は今日非常におくれているなと。まずここらに、雑居ビルのような形で、わずかな小さな畳部屋に雑魚寝しているという二十二、三歳の、あるいは二十五、六歳の警察官というものを、これはちょっとひどいのではないかなと、こう思っておりますので、これは全力を挙げて私も大蔵大臣等とも協議をして、改善の方向に大幅に一歩を進めるべく努力をいたしたい、こう思っております。
  164. 秋山肇

    ○秋山肇君 大臣、頑張ってください。  それで、今ここに持ってきているパンフレットは、「安全運転中央研修所(運転者トレーニングアカデミー)」、先日これはオープンしましたよね。この建物の内容がここに出ていますけれども、これ、取り締まる、今大臣からのお答えがありましたけれども、白バイあるいは機動隊、取り締まるというとおかしいのですが、警察の待機宿舎とはもう雲泥の差、このくらいのものがやはり欲しいんじゃないかなと。時間がなくなりましたから内容についてはお聞きしませんけれども、ぜひ我々もそういう点でバックアップをしてまいりたいと思いますので、両大臣、頑張っていただきたいというふうに思います。  続きまして、最近露骨な性描写を盛り込んだ少年少女向けの漫画が市中に出回って青少年に影響が出ているわけであります。この問題について私は昭和六十三年四月の予算委員会で取り上げて質問しましたけれども、現在の状況はどのようになっておりますか。また、この問題はあすの社会を担う少年の健全育成を考えますと、極めて憂慮される問題であります。警察として、現在どのような対策を講じておりますか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  165. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) お答え申し上げます。  先生お尋ねの、いわゆるポルノコミックと言われる少年少女向けの漫画でございますが、最近の出回っているものを見ますと、表紙の描写とか、あるいはタイトルは一般的な少年少女向けの漫画と同様であるわけでありますけれども、その内容を見ますと非常に露骨な性描写がされているというふうな点、あるいはまた、一般の書店のコミックコーナーとかあるいはコンビニエンスストアというふうなところで販売をされているということで、少年少女が簡単にこれを手に入れることができるという状況にあるわけでございます。こうした漫画のうち各都道府県の青少年保護育成条例というものに基づきまして有害図書に指定されたものは、昨年中は全国で延べ約千三百冊ございます。そして本年に入りましてから、一月から三月まででございますけれども、千四百冊にも上っているというふうなことでございます。  そしてまた、こうした漫画が原因、背景となったと思われる非行事例というものも幾つか出てきておりまして、例えば高校生が漫画のこうしたものに刺激をされまして女子高校生を強姦しようとした事案、あるいはまた中学生が性描写に興味をそそられまして漫画を万引きをした事例というふうなものも見られるなど、まことに憂慮すべき状況にあるということかと存じます。  こうした状況に対処いたしまして、私ども警察といたしましては、こうした有害の図書の実態につきまして十分把握をいたしまして、それを積極的に知事部局に通報し、青少年保護育成条例による有害指定というものが効果的に行われるように努めているところでございます。また、一方におきましては、法令に違反する行為につきましては、これを看過することなく厳正に対処するとともに、関係機関、団体、地域社会と一体となった環境浄化活動というものを推進しているところでございます。  特に少年につきましては、未熟で判断力が乏しいことから、少年をこうした有害な図書から保護して、その非行防止等健全育成を図るためには、ただいま申し上げました幾つかの施策に加えまして、少年が有害な図書から隔離されるためのきちんとした仕組みを設けることが重要であるとも考えているところでございまして、今後ともこの問題につきまして関係機関等と連携しながら積極的に取り組んでまいりたい、かように考えているところでございます。
  166. 秋山肇

    ○秋山肇君 今お答えの中にありましたように、この問題で各地で活発な浄化運動が展開されているわけですね。こうした方々から国会に対しても、国としての施策の強化を願う請願が出されております。これらの請願、そのほとんどがさきの国会において採択されており、その中にはこうした有害図書を排除するための法律の制定を求めるものも含まれておりました。  こうした状況について、青少年対策の取りまとめである総務庁はどのようにお考えですか。
  167. 山田高広

    説明員(山田高広君) お答えいたします。  最近におきます露骨な性描写を内容とした青少年向けのコミック誌あるいは単行本が青少年の健全育成の観点から社会問題となっているということにつきましては、総務庁といたしましてもこれを重大事と受けとめておるところでございます。したがいまして、昨年来関係省庁との連絡会議を開催して、この問題について国としての対応を協議するとともに、地方自治体等の関係行政機関あるいは関係の民間の団体とも連携いたしまして、一つには書籍販売あるいは出版等の関係業界に対して自主規制の徹底を強く要請する、二つ目には先ほど警察からも答弁ございましたけれども、青少年保護育成条例の適正な運用による有害指定の強化、三つ目には地域における行政と住民の一体となった環境浄化活動の強化、そういったような施策を総合的に推進してまいったところであります。  その結果、最近に至りましてこの種のコミック本の発行点数の減少あるいは出版業界に新たな自主的な審査制度の発足等一定の成果も見られるところでございますけれども、まだ根絶という段階には至っておりませんので、さらに青少年向け有害図書の追放に向けまして、より効果的な施策の推進に努力してまいる所存でございます。  また、規制の法制化についてでありますが、この問題につきましては、表現の自由との兼ね合いあるいは実効ある規制のあり方、それから国と地方の役割分担といったような考慮すべき点も多いことから、関係省庁とも緊密な連携をとりながら幅広く検討してまいる必要があると考えているところでございます。
  168. 秋山肇

    ○秋山肇君 最後に。  今の問題は、国家公安委員長、特に関係官庁といっても総務庁と警察庁とが密接に連絡をとっていただいて十分に御検討いただかなきゃいけないと思うんですが、この問題について今お聞きになってのお考え、これからの取り組みについて一言お聞かせいただいて質問を終わりたいと思います。
  169. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) このお話は、今私の方の部長からお答えいたしましたし、総務庁からもお答えがありましたが、非常に大事な問題であります。特に我が国の次代を背負ってくれる青少年の問題でありますから、これは健全に成長するような環境をつくっていかなければならぬと思っております。  話はちょっとそれますけれども、暴力団事犯の問題でも、現在暴力団に加入しておる青少年というものが相当数ございますし、そういった面からも守っていかなきゃならぬということ等を考えますと、この悪質な図書、性描写問題等の図書の追放問題というのは、特にこれから厳しく考えていかなければならぬと思いますね。そういった環境づくりということになりますと、子供に幾ら言っても大人がしっかりしなければ、大人がそれを欲しがるようじゃだめなんでありますから、そういう面からもきちっとこの辺は社会問題として、全般的な問題として取り上げなきゃならぬと思うんですね。  そういう意味で、我々の方もさらに政府が一体になってこれからの青少年問題というものは社会環境の問題としてひとつ発言し、そういう方向で努力してみたい、こう思っております。
  170. 秋山肇

    ○秋山肇君 どうもありがとうございました。
  171. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 最初に、自治省にお伺いします。自治省にお伺いしたいことのテーマは、地方公共団体職員の採用と国籍条項に関してであります。  最近の新聞報道を二、三申し上げたいと思います。  五月二十一日の毎日新聞によりますと、大阪市においては公務員採用における国籍条項を全廃しようということで半年以上検討してきて全廃しようということになったけれども、ことし一月の在日韓国人の地位・待遇に関する日韓覚書において日本政府の法的見解が是認されたということを理由に、自治省からの強い指導によって大阪市においては国籍条項全廃を断念したという記事があります。  三日後の五月二十四日の朝日新聞によると、川崎市においては一年以前から市長の依頼によって外国人施策研究委員会というものを設けて、市に採用する職員における国籍条項を即時全面撤廃しろという提言がなされ、川崎市の高橋市長はこの提言内容を極力尊重して実現していきたいというふうな報道がなされております。  また、翌々日の五月二十六日、少々手前みそで恐縮ですが、公明新聞において、広島市においては従前、市の全二十六職種のうち十二については国籍条項があったけれども、このうち八つを外して、来年度からこの八つを含めて二十二の職種については国籍条項なしにする。ただ、今申し上げたような数字の結果として四つの職種については依然として残っている。  こういうふうな状況で、各自治体における職員採用における国籍条項の適用不適用については非常にばらついております。職員の身分に関する基本法である地方公務員法上は、このような国籍条項はどうなっているのか、まずお伺いします。
  172. 滝実

    説明員(滝実君) 国籍条項に関連いたします公務制度の問題でございますけれども公務制度の前提として、公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とする、こういういわゆる当然の法理が存在するものというのが日本政府の従来からの解釈でございます。このことは国家公務員のみならず地方公務員についても同様であるというふうに考えております。  したがって、地方公務員法上は明文の規定は存在しないのでございますけれども、このような職種、要するに公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる地方公務員として任用するためには日本国籍を必要とするという考え方を私どもとしてはとっているわけでございます。
  173. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 質問に簡潔に答えてください。要するに地方公務員法上、職員の採用基準として国籍条項はあるかないかと質問したんです。ないんです。ないとだけ答えてもらえばいい。  ところで、今あなたは自治省の見解というふうなことを申されましたけれども昭和二十四年五月二十六日の自治省自治課長の愛知県知事に対する回答においては、「(現行法現上)制限ない。一般職に外国人を県職員に採用することの可否については、任命権者において判断すべきものと考えられる」、このような回答がなされていることは御承知でしょうか。
  174. 滝実

    説明員(滝実君) 昭和二十四年にそのような回答を出しております。
  175. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 この昭和二十四年の自治省の自治課長の回答によれば、外国人が地方公務員に採用されるについては何らの制限はないから、任命権者において自由に判断しろと、こうなっているんです。  ところが、今あなたのお話しになった自治省の見解はそうじゃないのだとこうおっしゃるけれども、これはその間にどういういきさつがあってそのように変更になったのですか。
  176. 滝実

    説明員(滝実君) 昭和二十四年の回答はただいま申したとおりでございますけれども、これはアメリカの国籍の人が地方団体に当時の事情として勤務いたしておりまして、この方が本国へ帰るというために、それの在職証明書を出す必要上、そのような照会があったわけでございます。もともとアメリカ国籍の人が日本の地方団体で勤務しておった、これについて、勤務していたという証明書を出していいかどうかということが主たる問い合わせでございましたので、そのような回答になったものと理解をしております。  その後、昭和二十八年に内閣法制局の見解が改めて出されまして、これによって先ほど申しましたような基本原則が打ち出されまして、これに基づいて二十年後の昭和四十八年に再度私ども公務員第一課長から大阪府総務課長あてに先ほど申したような見解を改めて回答させていただいた、こういう事情でございます。
  177. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私がきょうお伺いしているのは、国家公務員の採用の問題ではなくして、最初に申し上げたように地方公務員の採用の問題に関してお伺いしています。あなたが今最後におっしゃった昭和四十八年五月二十八日の自治省公務員第一課長の回答によれば、先ほどあなたが言われたような見解が述べられている。  ところで、この自治省の回答というものの法的根拠と法的性質はどういうことになりましょうか。特に地方自治体に対する拘束力的な意味での法的効果をどのようにお考えでしょうか。
  178. 滝実

    説明員(滝実君) お尋ねは、地方団体からの照会に対します課長回答の性格ないしは法的根拠、こういうお尋ねかと存じます。  これにつきましては、地方公務員法の五十九条に自治省の協力及び技術的助言に関する規定がございますので、基本的にはこれを根拠とするというふうに考えておるわけでございますけれども、課長回答というのはその一環としてのいわば解釈の表明、こういうふうに私どもは理解をしております。したがいまして、先生指摘のような、特に法的拘束力を持つというような意味で私どもはそのような回答をしているわけではございません。
  179. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 ところで、自治省としては、このような回答が実際にはどの程度地方自治体において実施されているかいないかというふうなことについては、調査等されたことはありますか。
  180. 滝実

    説明員(滝実君) 細かい調査をしている例は今のところこの国籍条項に関してはございませんけれども、どういう状況になっているかという極めて抽象的な概括的な調査はしたことがございます。
  181. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 ここで大臣に確認しておきたいと思います。  要するに、地方公務員の就職に関して国籍条項は地方公務員法上は何らないということ、これが第一点。自治省の方で公務員の当然の法理に照らして云々、公権力の行使云々、あるいは自治体の意思形成への参画に携わる云々、このような回答がなされているけれども、この自治省の回答は、地方公共団体に対して直接的に何ら法的効果を持つものではないということ、この二点を確認しておきたいと思います。
  182. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) 憲法九十二条に定める地方自治の本旨が尊重されなければならないということは当然であります。地方公共団体といえどもやはり法制度の原則には従わなければならないという面もございますから、そういった面で判断をいたしておるわけであります。
  183. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 ただいまの答弁では全く不満です。なぜかといえば、部長はちゃんと言っているんです。要するに、国籍条項に関する自治省公務員課長の回答は、地方公共団体に対して法的拘束力を持つものではないと部長が言っているのに、大臣がそれをなぜ確認できないんですか。明確に確認してください。
  184. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) 公務員部長をして、答弁させます。
  185. 滝実

    説明員(滝実君) 私が申し上げましたのは、課長回答なるものは、そのこと自体が法的拘束力を持つものではないと、こういうふうに申し上げているわけでございます。ただ、中身はあくまでも地方公務員制度の基本的な原則、これを宣言したものでございますから、そのこと自体は地方団体を拘束するものであろうと、こういうふうに考えております。ただ、この課長回答なるもの、そのものは法的拘束力を持つものではないと、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  186. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 それじゃ、課長の回答自体は法的拘束力がない、しかしその課長が回答した中身の、公務員の当然の法理だ云々というふうなことが法的拘束力を持つというのであるとすれば、その公務員の当然の法理に照らして、地方公務員の職のうち公権力の行使または地方公共団体の意思の形成への参画に携わる者については日本の国籍を有しない者を任用することはできないと解すべきであるという解釈。これはそう解釈したのはだれで、どういう権原に基づいてそれを解釈して、それがどうして地方公共団体に拘束力を持つんですか、その根拠を言いなさい。
  187. 滝実

    説明員(滝実君) 結局、地方公務員制度の基本的な前提として法制局から昭和二十八年にそのような見解が出されているわけです。したがって、現在の地方公務員制度というものはそういうような考え方に基づいてつくられている、こういうことでございますから、この公務員課長がどういうふうな回答を出そうと出すまいと、そのこと自体は厳然として存在するわけでございますので、そういうような法律制度の基本原則がありますよということは地方団体を拘束するというふうに申し上げているわけでございます。
  188. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 内閣法制局長官の見解がなぜ地方公共団体を拘束するんですか。その根拠を言ってください。
  189. 滝実

    説明員(滝実君) それは、地方公務員制度国家公務員制度も結局同様な考え方に立ってつくられている、こういうことでございます。要するに、地方公務員制度というのは国家公務員制度と同様の基盤に立ってつくられている、こういうことでございます。
  190. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 要するに、言葉が長いから、もう公務員の当然の法理という言葉だけ一言で申し上げますけれども、要するに国籍条項は公務員の当然の法理だと、内閣法制局でそういう見解を持っている、人事院総裁はそういう見解を持っている、それは私はわかるんです。それが直接的に国家公務員に対してどういう関係になるか、これは今は私は論じないと言っているんです。今は地方公務員の問題を論じているんです。地方公務員に対して国家の方でどのように考え、どのような法解釈が立つ、立たぬ、それは結構だけれども、それがなぜこういう解釈で地方公共団体内容的に規範的に拘束するんだというその根拠をさっきから聞いているんです。  もう少し言えば、あなたさっき言ったでしょう、地方公務員法五十九条は、地方公共団体の人事行政に対して「協力し、及び技術的助言をすること」、これだけなんです。この「協力」というのは何か。一般的に言われていることは、自治省地方公共団体と平等の立場に立ってあらゆる援助を与えること、こういうふうに普通言われているんです。「技術的助言」というのは何かといえば、自治省が専門的、客観的な立場で適切な指針を示すことと、こう言われているんです。この自治省の見解が地方公共団体を拘束するなんということは地方公務員法五十九条からは絶対出てこない。どこから出てくるんですか。
  191. 滝実

    説明員(滝実君) たびたび同じことを繰り返して恐縮でございますけれども自治省の見解が拘束するということで申し上げているわけじゃありませんで、制度がそういうような制度としてつくられている。それで、そういうようにつくられているということは地方団体を拘束しますよと、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  192. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そういう制度としてつくられているというのなら、だれがどういう制度をどうつくったということなのか。そんなこと全然私の質問に答えていない。  地方公共団体地方公共団体職員を、どのような人間をどのように採用するかなんというのは、地方公共団体の団体自治、住民自治の問題じゃないか。それが憲法九十二条による地方自治の本旨の問題じゃありませんか。それを何が何だかわからぬ――あなたがさっきから言っていることは私には全然わからぬ。回答は拘束しないけれども回答の中身は拘束するだとか、あるいはそういうのが公務制度のもとだからだとか。公務制度のもとだからなんということはだれが決めるんだ、そんなことを。全然わからない。もう少しわかるように説明してください。  地方公共団体は困っているんです。後で申し上げるけれども、全く規範的に内容が確定できないようなこんな問題を出して、ばらばらになっている。どうかもう少しわかるように説明してください。何も法的根拠がありゃせぬじゃないか。
  193. 滝実

    説明員(滝実君) この問題につきましては国家公務員法も全く同様でございまして、国家公務員法も明文の規定はございませんけれども、その法律の建前としてそういうようなことででき上がっている、こういうように国家公務員法もとっているものですから、地方公務員法も同じような考え方で成り立っているという解釈をとっているわけでございます。そういうような仕組み、このこと自体は地方団体も拘束する、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  194. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 何回言ってもあなたはわからぬ。なぜその仕組みが地方公共団体を拘束するんだ。仕組みなんというものは何なんだ。何が地方公共団体を拘束するんだ。その根拠を言いなさいよ。こんなことを、同じことを何回も言って、もうあなた時間が二十分も過ぎちゃっているじゃないの。
  195. 滝実

    説明員(滝実君) したがいまして、これは要するに地方公務員法のいわば一口で言えば解釈上そういうような解釈をする、こういうことでございます。
  196. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 地方公務員法の解釈をだれがそういうふうに有権的に解釈できるんですか。
  197. 滝実

    説明員(滝実君) それは、その法律ができ上がった状況、そういうようなことから考えて、そういうように解釈するのがむしろ順当である、こういう解釈でございます。
  198. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 だれがと聞いているんだ。
  199. 滝実

    説明員(滝実君) これにつきましては、その根拠としましては、既にしたがって国家公務員法について内閣法制局の見解が出て、これによって地方公務員も同じような解釈をとる、こういうふうになっているわけでございます。
  200. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 同じことを何回も言わせないでくださいよ。国家公務員法に関して内閣法制局、人事院、そういう解釈がある。また人事院規則がある。それは私はわかっているんです。国家公務員ないし国家公務員法のことを聞いているんじゃない。地方公務員法あるいは地方自治法、これにおいてなぜ地方自治体に自治省のそんな見解が実質的拘束力を持っていくんだ。具体的な根拠もなしに、制度だとかあるいは地方公務員法の解釈だとか言う。私が地方公務員法を解釈すれば、そんな解釈はどこからも出てこない。あなたが解釈したら出てくるのか。だれが解釈するんだ、そんなことを。
  201. 滝実

    説明員(滝実君) この根拠でございますけれども、あえて求めれば、地方公務員法に国家公務員準拠の原則という大原則を掲げているわけでございます。そういうような原則からいたしまして国家公務員と同じような運用、解釈、これが基本原則でございますから、したがって地方公務員法についても同じような解釈をとる、こういうことでございます。
  202. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 地方公務員については国家公務員に準ずるという条項は、地方公務員法の何条にあるんですか、私は知らぬので。
  203. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  204. 及川一夫

    委員長及川一夫君) それでは速記を起こしてください。
  205. 滝実

    説明員(滝実君) 先ほどあえて根拠を求めれば、要するに国家公務員との準拠の条文と、こういうふうに申し上げたわけでございますけれども、条文的に申し上げますと、地方公務員法の二十四条の第五項でございます。これは勤務時間その他の「勤務条件を定めるに当つては、」、こういうふうに書いてあるわけでございますけれども、要するに国家公務員との準拠を言っているわけです。
  206. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 ちゃんと読みなさい。
  207. 滝実

    説明員(滝実君) もう少し最後まで読み上げますと、「職員勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当つては、国及び他の地方公共団体職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」、こういう条文があるわけでございまして、これを要するに国家公務員地方公務員をほぼ同様に扱う根拠条文としているわけでございます。
  208. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 今のそんなの全然根拠条文になりゃせぬじゃないの。全然違うよ、それは。給与だとか勤務時間が、ある町では給料がこれだけで勤務時間がどうだとか、そういうことだったら困るし、だから地方公共団体相互間あるいは地方公共団体と国との間でバランスをとれというだけのことじゃないの。何がそんな条項が地方公務員法は国家公務員法に準じて解釈し、定めていかなきゃならぬなんということの根拠になりますか。絶対にならぬ。だめだ、そんなの。
  209. 及川一夫

    委員長及川一夫君) もう一度だけ答えさせます。
  210. 滝実

    説明員(滝実君) これは条文的には直接の根拠を必ずしも持つわけではありませんけれども、あえて根拠を求めればそういうような条文で、要するに国家公務員地方公務員とを準拠して考えると、こういう基本原則をそこに出しているものですから、それによって地方公務員考える場合には国家公務員とほぼ同等の扱いをしていくと、こういう考え方をとっているわけでございます。
  211. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 委員長として申し上げます。  ただいまの件につきましては、猪熊委員に質疑を保留していただきまして、理事会で検討させていただきたい。その結果に基づいて改めて猪熊委員の質疑を行うということにいたしたいと思います。  では、そのほかの事項について。
  212. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 自治省に対する質問はまたこの次にやります。そうでないと防衛庁に聞く時間が何もなくなってしまうから。  防衛庁にお伺いします。    〔委員長退席理事会田長栄着席〕  昨日の新聞報道によると、福岡沖で四月十四日、砂利運搬船が機雷に触れて大破した、これについて海上自衛隊佐世保地方総監部で調査した結果、この機雷は第二次大戦中の米軍敷設機雷と判明したというふうなことが新聞発表になっています。  それで、私がお伺いしたいのは、この新聞発表は四十日後の今日になって発表されたわけです。この間、なぜこの件が発表されなかったのか。また、四十日後になって発表されたいきさつはどういうことなのでしょうか。
  213. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 御指摘の事故につきましては、現在、海上保安庁において原因究明の調査を行っておるところと承知いたしておりまして、その間におきまして防衛庁がその一部について海上保安庁の協力をさせていただいて、一部について調査結果を回答したという事実がございますが、全体としては海上保安庁において調査の結果、原因究明を行うわけでございますので、私どもといたしましては、特段の発表とか、したがってまた原因が何であろうかとかという立場にはございません。
  214. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そうすると、たまたまこの四月十四日に福岡沖で一つ機雷があったけれども、それ以外にこの近辺に機雷があるとかないとか、その辺の調査等は海上自衛隊としては何らされてなかったんでしょうか。
  215. 畠山蕃

    説明員(畠山蕃君) 既に、戦時中に敷設されました機雷につきまして、日本国の沿岸におきます機雷はこれをすべて危険がなくなるところまで除去したということでございまして、ただ、通常の船舶の航行においては全く安全上問題がないというところまで除去いたしましたが、海底に埋没している機雷がたまたま浮遊してくるとか、そういうことはございます。  海上自衛隊としては、今そういう浅い部分、あるいは深まった部分についての掃海の技術といいましょうか、能力といいましょうか、そういうことがございませんので、そういう形での計画的な掃海はもう行っておらないということでございます。
  216. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 掃海艇の派遣問題について前回お伺いしまして、またきょうもお伺いするつもりでいろいろ準備したんですけれども、時間の関係で少々省略させていただきます。  私は、防衛庁長官が、二十二日の当委員会において我が党の木庭健太郎委員、それから本日も秋山委員の方からの国際緊急援助隊の派遣問題に関していろいろ御意見をおっしゃられました。国際緊急援助隊の派遣に関する防衛庁長官の御意見は私はまことにもっともだと思うんです。どういうことかというと、要するに自衛隊自体の意見も聞き、国民各層の意見を聞き、国会の論議を尽くし、改正すべき法律があれば改正して、その上でやるならやるという趣旨の御答弁をいただいた。まことに国際緊急援助隊あるいはそのほか停戦監視団を含めたPKOの問題、これと自衛隊との関係、そういう問題については、今のような方策でいろいろ検討するべきだし、検討されなければならぬと、こう思っているんです。  前回も私が防衛庁あるいは海部内閣のやり方が非常に不適切であるということを申し上げたのは、そういう国内の各界各層の議論を尽くし、改正するべき法があるなら改正して、それで掃海艇を出すなら出す、自衛隊機によって難民を輸送するならすると、こういう、法の不当な拡大解釈をするのでなくして、議論を尽くしてやったらどうだということが前提にあっていろいろ申し上げたんです。  ここで防衛庁長官に少し考えてもらいたいことは、いわゆる栗栖弘臣統合幕僚会議議長の発言問題なんです。非常に古い話で恐縮ですけれども、この栗栖統幕議長は昭和五十三年七月十九日に、現在の自衛隊法は不備な面が多いため、いざというとき、自衛隊は超法規的行動に出ることもあり得ると、こういうふうな発言をしたわけです。この発言が結局シビリアンコントロールの原則に反するということで、十日後の七月二十八日に実質的に解任されたんです。この事実と今回の海部内閣の行った自衛隊機派遣に関する政令改正あるいは掃海艇出動に関する自衛隊法九十九条の拡大解釈は、非常に私は類似していると思うんです。  まず長官にお伺いしますが、この栗栖弘臣統幕議長の発言についての感想をお伺いしたい。
  217. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 私は、自衛隊の行動は、ほかの政府の行為もそうでございますけれども、憲法はもとより法令に従って行われなければならない。これが大原則であると考えております。したがいまして、ただいま引用になりました元統幕議長の発言、法に不備があるから場合によっては超法規的な行動に出ることもあるということは、やはり法治国でございます我が国で、ましてや自衛隊の行動についてあってはならない発言だと思います。  仮に法に不備があるならば、それは立法府の責任においてその法の不備を埋めるべきものでございますし、行政府の方におきましてそういう法に不備があるというふうな判断あるいは懸念があるならば、そういったことを立法府に対して御提起申し上げ、その判断を仰ぐべきものであると、このように考えております。
  218. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 防衛庁長官に非常に生意気なことを言って申しわけありませんけれども、要するに今の我が国の自衛隊においてシビリアンコントロールというのは根本問題なんです。シビリアンコントロールというものを実際に効果あらしめるためには、法の支配ということを確立しなかったらだめなんです。要するに武官と文官がけんかしたら文官が負けるに決まっている、向こうの方が強いんだから。それにもかかわらずなぜ文官が武官をコントロール、支配できるかといえば、それは法律によってなんです。法律による以外にシビリアンコントロールというものは確立できない。そういう意味において栗栖発言は法の否定であり、結局シビリアンコントロールの否定だということで解任されたわけなんです。  今回の問題について防衛庁長官、今回の問題というのは、何回も申し上げますけれども、自衛隊法百条の五の政令改正の問題、九十九条の拡大解釈による掃海艇の派遣の問題、この問題についてはシビリアンコントロール、法の支配という観点から再三再四考えていただきたいんです。この前の質問で申し上げたように、やれ安全保障会議だとか閣議だとか、そんなものをくっつけたからといって、あるいは国際協力だとか人道的見地だとかというふうな目的意識を持ってきたからといって、九十九条の解釈は変わるはずはない。そういうふうに好き勝手に条文を変えて法の拡大解釈をやったら、栗栖さんを首にはできなくなるんです。法の不備だから、いざというときには法律を無視して幕僚長が命令でいくよりしようがないという発言を否定できなくなるんです。この点を申し上げておきたいと思います。よくお考えいただきたい。
  219. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 私どもといたしましても、シビリアンコントロールは何としても確保していかなくちゃいけないと考えております。そして、シビリアンコントロールを確保するためにいろいろな手段、方法がございます。それは、防衛庁内部におきましてもいわゆる内局と申しましょうか、参事官制度というものを設けまして、防衛庁長官のいろいろな決定とか指令等の補佐をせしめているところでございますし、また、防衛庁長官自身が文官でございます。それからさらに内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮者でございますが、これも当然文官でございますし、さらに安全保障会議等の手続も経ているわけでございます。しかし、最終的なシビリアンコントロールの担保のその仕組みというのは御指摘のとおり法の支配であり、そしてこの立法府のなにであることはよく承知しております。  ただ、一点だけ申し上げたいと存じますのは、今回の掃海艇の派遣あるいは自衛隊法百条の五に基づく政令の制定の問題につきましては、これは私どもは決して法の支配を破ったとかということを考えていないわけでございまして、これは見解の相違でございます。私ども政府としては、あくまで憲法はもとより法の支配も大切にしながら、その範囲内で行動したというふうに考えているわけでございまして、したがいまして、例えばその事柄の性格から申しますと、あるいは憲法との関係におきましても、もっともっと自衛隊の能力を活用するということは可能な道があるわけでございますが、そういうことは法的な根拠がないというところでできないと私ども考えますし、現にやっていないわけでございます。  百条の五に基づくあの政令におきましても、ああいった人を運ぶという法文でございましたから、あれは例えば避難民は運べる――これは先生とは解釈の違うところでございますが、私どもはそういうふうに法の範囲内であると考えております。しかし、例えば難民のために物資を運べということになりますと、あの百条の五に基づくその行為としてはできないと私ども考えているわけでございまして、具体的なケースについての法解釈論としての違いはございましたけれども、基本的に法の支配を大切にしていくということでは全く同じ考えでございます。
  220. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 あとはいわゆる自衛官の掃海艇派遣反対直訴事件というものに関して少々伺おうと思ったんですが、もう一分半しかございませんので、一言だけ防衛庁にお伺いしたい。  長官室に入ろうとした自衛隊員ら三人が身柄拘束されたけれども、検察庁へ行って釈放された。釈放されたにもかかわらず市ケ谷の自衛隊において四月二十七日から五月八日まで身柄拘束した。それで人身保護請求が五月五日に出されたために、やむなく先ほど申し上げたように五月八日に釈放した。要するに十二日間身柄拘束した。しかし、その根拠がないために、結果的に人身保護令状が出る前に釈放したというふうに見ざるを得ない。  私は、もう時間ですからこれ以上聞きませんけれども、要するに、この反戦自衛官は不届きなやつだから、こういうやつは捕まえておけというふうに、何の法的根拠もなしに四月二十七日から五月八日まで身柄拘束するという考え方、そして人身保護請求があって、裁判所から人身保護令状が出たらみっともないから出そうじゃないかというふうなそういうことでなく、もっと法規に従った処置というものを自衛隊に求めて質問を終わります。
  221. 坪井龍文

    説明員(坪井龍文君) 御答弁させていただきます。  今先生から、不当に隊内に拘束したということをおっしゃられましたけれども、実はこの藤尾士長でございますけれども、部隊側の立場としまして懲戒上の調査をする必要があるということがまず一点。それから、規律違反を行った後でございますので、再発防止等のために本人を指導しなければいけないという必要。それからまた東京地方検察庁との関係におきまして、部隊の上官、これは中隊長でございますが、身柄引受人になっていたというそういった理由から、当該自衛官を隊内にとどめておいた方が適当であるというふうに判断して置いたものでございますが、隊内におきまして弁護人と面会したりあるいは部外との連絡ももちろんできる状況でございまして、不当な監禁であるとか拘束を行っていた、そういうふうには我々は考えておりません。
  222. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 終わります。
  223. 諫山博

    ○諫山博君 今月の十三日から三日間、私は鹿児島県の奄美群島の伊仙町に町長選挙の問題で調査に行きました。警察にも行きましたし名瀬市役所にも行きましたし、さらに鹿児島県の大島支庁、あるいは伊仙町の二名の選挙管理委員などにお会いしました。住民とも座談会を開いております。  座談会に出席した住民の中からこういう話がありました。息子が東京に行っているけれども、電話がかかってきて嘆いていた。伊仙町が日本じゅうで有名になった。選挙違反の伊仙町出身だということが非常に心づらいというような話をしておられました。  そこで、あの伊仙町の町長選挙によりまして現在まで何名逮捕されたのか、逮捕の罪名は何だったのか、この二点について説明してください。
  224. 國松孝次

    説明員國松孝次君) お答えをいたします。  これまでに十名を逮捕いたしております。内訳は、現金買収が四名、選挙賭博が二名、公文書毀棄三名、それから傷害一名でございます。
  225. 諫山博

    ○諫山博君 きょう町の選管委員長に逮捕令状が出たようですけれども、これは数に入っていますか。
  226. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 入っておりません。
  227. 諫山博

    ○諫山博君 奄美の選挙が問題になったのは、これが初めてではありません。衆議院選挙のたびに買収選挙が広がって大問題です。鹿児島県警本部は衆議院選挙のたびに奄美の現地に警察官を派遣しているようです。  今度の伊仙町でも警察が派遣されたそうですけれども、これは選挙が終わっての違反の捜査ではなくて、選挙運動の途中あるいは開票中に派遣されているようですけれども、どういう任務で派遣しているんでしょうか。
  228. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 派遣された警察官等の任務でございますが、各投票所及び開票所内外の警備の任務というのが主たる任務でございます。
  229. 諫山博

    ○諫山博君 大規模な選挙違反のために県警本部が応援に行くという例はあると思います。ところが、選挙の執行そのものに問題が起こる。開票そのものに問題が起きるから機動隊を派遣しなければならないというのは全く異常です。  そこで奄美群島、これは衆議院選挙では一人一区の選挙です。今言われている小選挙区制の典型です。そこで、この選挙でいかに買収が行われ金権選挙が広がっているかということを、少し具体的な数字でお聞きします。  昭和六十一年七月の衆議院選挙で鹿児島県全体の買収起訴人員は二百四十三人います。この中で奄美選挙区での買収起訴人員は何名ですか。法務省の説明をお願いします。
  230. 但木敬一

    説明員(但木敬一君) お尋ねの奄美群島選挙区における起訴人員という形では、当省では統計をとっておりません。ただ、同選挙区を管轄する鹿児島地検の名瀬支部におけるお尋ねの衆議院議員総選挙に関する買収の起訴人員は二百二十四人でありました。
  231. 諫山博

    ○諫山博君 鹿児島県全体の起訴が二百四十三人、奄美選挙区の起訴人員が二百二十四人、これは全体の九二%を占めます。  平成二年二月の衆議院選挙では鹿児島県の買収起訴人員が二百五十二人とされています。この中で鹿児島地検名瀬支部での買収起訴人員は何名ですか。
  232. 但木敬一

    説明員(但木敬一君) 二百十二名でございます。
  233. 諫山博

    ○諫山博君 私が計算しますと、鹿児島県全体の中の約八四%です。前回の衆議院選挙のときの鹿児島県の有権者は約百三十三万五千人、奄美選挙区の有権者が約十万六千人、つまり奄美選挙区の有権者は鹿児島全体の七・九%になると思いますけれども自治省の計算はどうなりますか。
  234. 吉田弘正

    説明員吉田弘正君) ただいま手元に有権者数等を持っておりませんので、先生おっしゃったとおりかと存じますが。
  235. 諫山博

    ○諫山博君 有権者は鹿児島県の七・九%、ところが買収選挙違反は奄美選挙区が全体の九十何%、あるいは八十何%。これが一人一区における買収選挙の実態です。奄美でいつごろからこういう買収選挙が広がってきたのか、これが問題です。これは県会議員選挙あるいは参議院選挙になりますと様相が全然変わります。大規模な買収選挙が行われているのは一人一区の衆議院選挙だけです。  過去三回の奄美群島における県会議員選挙の買収事件による検挙者数を説明してください。
  236. 但木敬一

    説明員(但木敬一君) お尋ねの鹿児島県議会議員選挙に関しましては、昭和五十八年施行分については残念ながら資料がございませんのでお答えできません。しかし昭和六十二年及び本年施行分につきまして申しますと、奄美群島を管轄する鹿児島地検名瀬支部が起訴した買収事犯はないと報告を受けております。
  237. 諫山博

    ○諫山博君 自治大臣、ぜひ頭に入れてください。同じ有権者が選挙するわけですよ。県会議員選挙は三人区です。買収事件が一件もないでしょう。一人一区の衆議院選挙の場合には驚くべき買収が起こっている。これが奄美選挙区の買収事件の実態です。  もう一つ買収選挙と一体をなしているものに選挙賭博があります。今度伊仙町で選挙賭博で逮捕者が出たはずですけれども、どういう嫌疑事実で逮捕されましたか。
  238. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 今回の伊仙町長選挙におきまして選挙賭博で二名を逮捕いたしておりますが、これら二名の被疑事実は、本年の四月の上旬ごろ、今申しました被疑者二名は、お互いを相手として伊仙町長選挙の立候補者のうち二名の候補者の得票数の多寡を予想、指定するという方法で現金数百万円をかけ選挙賭博をしたというものでございます。
  239. 諫山博

    ○諫山博君 選挙の勝ち負けにかけ金をかけて、数百万円です。この選挙賭博が爆発的に広がったのが昭和五十八年の衆議院選挙です。このときは鹿児島県警本部の中にわざわざ奄美群島区における選挙賭博事件捜査本部までつくられました。  この事件で何件、何名摘発され、かけ金の総額は幾らでしたか。
  240. 國松孝次

    説明員國松孝次君) 私どもの統計では、十グループ、百二十三件、百三名、うち逮捕四十六名でございます。かけ金の総額は一億八千六百九十万円でございます。
  241. 諫山博

    ○諫山博君 過去三回の県会議員選挙では、選挙賭博が摘発されましたか。
  242. 國松孝次

    説明員國松孝次君) それはございません。
  243. 諫山博

    ○諫山博君 今、伊仙町で問題になっているのは主として不在者投票です。不在者投票が奄美群島全体も多いけれども伊仙町が際立って多いという数字が発表されております。昭和六十一年七月の衆議院選挙で全国の不在者投票率は三・五%、鹿児島県全体の不在者投票率は四・三%。伊仙町は何%でしたか。
  244. 吉田弘正

    説明員吉田弘正君) 昭和六十一年七月の衆議院議員総選挙における伊仙町における不在者投票の率は一四・九%でございます。
  245. 諫山博

    ○諫山博君 伊仙町で代理選挙が非常に多いというのも特徴的です。同じ昭和六十一年七月の衆議院選挙を調べますと、鹿児島県全体の代理投票は一一・六六%。伊仙町は同%になっていますか。
  246. 吉田弘正

    説明員吉田弘正君) お尋ねの選挙の伊仙町におきます不在者投票中の代理投票の割合でございますが、これは四八・三七%であったと聞いております。
  247. 諫山博

    ○諫山博君 奄美群島で金まみれの選挙あるいは賭博選挙が非常に横行しているわけです。中には、あれは土地柄ではないのか、あるいは人柄によるのではないか、こういう言い方をする人がいますけれども、これは全く事実に反します。  伊仙町長選挙の背後にあるのは衆議院一人一区の選挙の制度です。とりわけ保岡氏と徳田氏が三回にわたって衆議院選挙で争いました。この三回の選挙が金権選挙あるいはばくち選挙を広げた最大の原因です。町長選挙がどうして過熱するかといいますと、すべての町長候補が保岡派、徳田派に分かれています。今度の伊仙町のあの言語道断な腐敗選挙というのも、保岡、徳田の代理戦争だというのは万人が認めているところです。しかも驚いたことに、町の選挙管理委員会、この中の四名の委員が保岡派とそして徳田派に分かれて争っているわけです。これで公明な選挙ができるはずはありません。既に選管の書記長は逮捕されています。そして、選管の委員長にはきょう逮捕状が出ているはずです。  自治省はこの問題をどう考えていますか。
  248. 吉田弘正

    説明員吉田弘正君) 今回の奄美の伊仙町におきます選挙でございますが、本来選挙はルールに従って適正に行われなければならないものでございますが、これがそういうことになっていないということはまことに遺憾なことであるというふうに感じております。  私どもとしては、法にのっとって適正に選挙が行われることを県選管を通じて常日ごろから指導しておりますが、これからもそういうことで臨んでまいりたいと考えております。
  249. 諫山博

    ○諫山博君 私は、奄美大島あるいは伊仙町でたくさんの有権者と会って話し合ってきました。みんなが一番言っているのは、一人一区の選挙区が悪いんだ、あの選挙区を例えば鹿児島一区なり鹿児島三区と一緒にしてもらいたい、こういう声が有権者の間に広がっています。  そして、新聞のさまざまな世論を見ても全く同様です。例えば地元紙の座談会に、これだけ奄美の選挙が過熱するのは全国唯一の一人区、小選挙区、その弊害もあると思う、こういう意見が載っております。あるいは、確かに合区など選挙制度の問題を真剣に論議すべきときに来ている、これは有権者の声です。南日本新聞に鹿児島短大の山田教授の意見が載せられています。こうした弊害が繰り返される要因一つに衆議院奄美群島区の一人区制があるのではないか。同じ新聞で、鹿児島大学法文学部の藤原教授、奄美群島区を鹿児島三区と合区にするなどの措置をとってみてはどうか。もう金権選挙、買収選挙には飽き飽きした、これを抜本的に解決するためには一人一区の小選挙区制を改めるしかないではないか。これが現地の声だし、私はたくさんの人からこの声を聞いてきました。  今奄美選挙区には一市十三の自治体があります。たくさんの自治体で地元自治法に基づく決議をしまして、意見書が自治省にも届いているはずです。その内容は、一人一区の衆議院の選挙区を改めてもらいたい、こういう決議です。私の調査によれば、七つの自治体でこういう決議がされているし、六つの自治体から意見書が上げられたということですけれども、実情はどうでしょうか。
  250. 吉田弘正

    説明員吉田弘正君) 意見書が出てまいりました市町村は六団体でございます。決議の方は二団体というふうに聞いております。
  251. 諫山博

    ○諫山博君 その決議の内容は、一人一区の選挙区を改めてもらいたいという内容になっていますか。
  252. 吉田弘正

    説明員吉田弘正君) 御指摘のとおりでございます。
  253. 諫山博

    ○諫山博君 今政府と自民党は小選挙区制をつくろうと言っています。七月あるいは八月にも臨時国会が召集されるのではないか、そうなったら中心になるのは小選挙区制だ、こう言われております。そのときに政府・自民党が必ず口にしているのは、金のかからない選挙、政策中心の選挙、こういう言い方です。ところが、我が国でただ一つの小選挙区制で行われている奄美の選挙区が、政策本位どころか、金がかからないどころか、選挙は奄美における第四次産業だ、こういうことさえ言われる実情です。  私は、今政府・自民党がしなければならないのは、一昨日の大阪高裁の判決にもありましたように、現行制度のもとにおける定数是正、これだと思います。大阪高等裁判所は、対有権者比の最大格差三・一八倍というのは憲法第十四条に反する、こう言っています。これは格差三倍が限度だと指摘した最高裁の判決の趣旨から見ても当然のことです。この大阪の高裁判決を受けましてマスコミはどう言っているかといいますと、朝日新聞「正念場の格差是正」、毎日新聞「もう待ったなし格差是正」、これこそが今政府・自民党が取り組まなければならない課題であって、金のかからない選挙とか政策中心の選挙というようなうそのお題目で小選挙区制をつくろうとしていることに私は絶対に反対です。そのことを奄美の選挙が証明している。私は、このことを自治大臣にぜひ理解していただいて、そして何らかの場でこういう実情を反映していただきたいということを要望します。  そこで、次の問題に入ります。  山梨県警による電話盗聴事件です。今月の十四日、山梨県警がNTT甲府支店に行きまして、NTTの反対を押し切って電話盗聴を行いました。いかに犯人検挙のためという口実をつけましても、このやり方には私は絶対に反対です。許すことのできない人権侵害だし憲法じゅうりんだし法律違反であります。  そこで、まず事実関係を質問します。  五月十四日午後三時ごろ、警察官が裁判所の検証許可状と捜索差し押さえ許可状を持ってNTT甲府支店に行った、こういう報道がされています。そこでNTTに質問ですけれども、令状の内容はどういうものでしたか。
  254. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) お答え申し上げます。  検証許可状の内容は、NTT甲府支店内試験室において、甲府のある特定の電話番号でございますが、その番号に架電される通話内容平成三年五月十四日から五月十五日までの間、NTTの社員を立ち会わせ、もしNTTが協力をしない場合は消防署職員を立ち会わせ、拡声し聴取、録音するというものでございました。  以上です。
  255. 諫山博

    ○諫山博君 この中には期日の指定はあるようですけれども、時間の指定はありませんでしたか。
  256. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) 午前零時まで、各日ですね。  以上でございます。
  257. 諫山博

    ○諫山博君 この検証の立ち会いをNTTは拒否したそうですけれども、なぜ拒否されましたか。
  258. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) 当社は通信事業を営んでおる会社でございますが、従来から通信の秘密保護につきましては厳しく運用をしてまいっております。発信先を探索する逆探知、これは従来から一つのルールがございまして、私どももその運用ルールに従って、要件を満たしておればこれに御協力申し上げるということでありますし、また通信書類等の令状に基づく差し押さえでございますが、これについても社内の規則をつくりまして厳格にやっております。  こうした中で、前例のないいわゆる通話内容の検証令状が発せられたわけでございまして、当社としては立ち会いの要請に協力できないということで、その態度を従来どおり堅持せざるを得ないということで判断をいたしました。ただし、設備を保全する義務が当社にはございますので、捜査の作業を見守っていたということでございます。  以上です。
  259. 諫山博

    ○諫山博君 立ち会いを拒否した実質的な理由は通信の秘密を守るため、こう聞いていいですか。
  260. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) そのとおりでございます。
  261. 諫山博

    ○諫山博君 電話の逆探知についてはルールがあるということでしたけれども、どういうルールになっていますか。
  262. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) 逆探知につきましては三つございまして、一つは電話を利用して現に脅迫の罪が行われていること、二つ目が捜査機関からの要請があること、三つ目が被害者の同意があること、これを条件に実施しております。本件は昭和三十八年の内閣法制局の見解を根拠といたして実施しているものでございます。  また、逆探知のほかに自殺予告電話などが往々にしてあるわけでございますが、こういう人命にかかわるものにつきましては、警察からの要請と着信者の同意、この二つを条件といたしまして緊急避難的に実施をいたしております。  以上でございます。
  263. 諫山博

    ○諫山博君 幾つかの要件を挙げられましたけれども、この要件がすべて備わっているときということになりますか。
  264. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) そのとおりでございます。
  265. 諫山博

    ○諫山博君 今度のような通話内容の探知、盗聴については、内部のルールはありますか。
  266. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) 内部のルールはございませんが、通話の中身を検証するということでございますから、逆探知以上により通信の秘密を保護するという要件は厳しくなるというふうに事業者として判断いたしました。
  267. 諫山博

    ○諫山博君 令状を持って電話の盗聴を求めてきた例は過去にもあったそうですけれども、過去に何回ぐらいどういう事件名で行われたのか、それに対しても立ち会いを拒否されたのか、説明してください。
  268. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) 私の記憶では、過去二回ぐらいあったと思っております。一つはやはり今回と同じ覚せい剤取締法違反の疑いによるものだったと記憶しております。二件とも、いずれも御協力を申し上げられないということでお断りを申し上げた経過にございます。  以上です。
  269. 諫山博

    ○諫山博君 郵政省にお聞きしますけれども、今説明されたNTTの立場というのは郵政省も支持しておられますか。
  270. 森清

    説明員(森清君) お答えいたします。  これまでいわゆる逆探知のような場合、誘拐事件などで現に脅迫が行われている場合など、NTTにおいても相応の協力をしてきたわけでございますが、ただ、今般のような、覚せい剤捜査の手段として通話の聴取等を行ったのは初めてでございますので、通信サービスを提供し利用者の通信の秘密を預かる事業者の立場として、常日ごろからの対応の仕方として、今回のような慎重な対応をされたことについては理解をしておるつもりでございます。
  271. 諫山博

    ○諫山博君 電話による通話を第三者がひそかに盗み聞きする、盗聴する、この場合には、NTTの設備、機材、あるいは人員を使わなくてできますか。
  272. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) その状況によって、設備の態様によって多少違うとは思いますが、逆探知について申し上げれば、少なくともNTTの協力なくしては実現しないというふうに判断しております。
  273. 諫山博

    ○諫山博君 盗聴についてはどうですか。
  274. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) 盗聴につきましては、高技術者を警察側が用意しておる場合につきましては、令状があれば傍受するといいますか、そういうことは可能かと思います。
  275. 諫山博

    ○諫山博君 捜索差し押さえ令状も用意されたようですけれども、こちらの方の令状で、NTTの意に反してNTTの機材や設備を利用する、そうすれば可能だ。逆に言えば、それがなければ警察だけでNTTの協力が全くないままではできないということになりますか。
  276. 木塚修一

    参考人(木塚修一君) 先ほどの御答弁で舌が足らなかったと思いますが、設備は当然私どもの設備を利用しなければできないわけでございますが、その設備に、今度の場合でありますとジャンパー線でございますが、ジャンパー線を接続する。そのジャンパー線はNTTの物品ではございませんが、そういうことを行えば技術があれば可能かと考えます。
  277. 諫山博

    ○諫山博君 要するに、通信の技術がなければできないということのようですけれども、警察に質問します。  警察がNTT甲府支店に検証に行ったときには、警察から電気通信の専門家が参加しましたか。また、何らかの機材を携帯しましたか。
  278. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) お答え申し上げます。  今回の検証及び捜索に当たりましては、検証が適正に行われるよう、それに必要な職員そして機材を持っていったというふうに聞いております。
  279. 諫山博

    ○諫山博君 必要な職員というのは電気通信の専門技術を備えた職員。必要な機材というのはどういうものですか。
  280. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) 必要な技術的知識を有する警察職員というものが現場へ参ったということでございます。そしてまた必要な機材云々ということでございますけれども、その具体的内容につきましては捜査の細部にわたりますので、ここでの答弁は差し控えさせていただきます。
  281. 諫山博

    ○諫山博君 NTTの協力がなくても電話盗聴がやれるような専門技術者あるいはそのための資材はすべての警察署が保有していますか。それとも県警本部だけですか。
  282. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) 本件の覚せい剤密売事案、その立証のために山梨県警察におきまして検証許可状を執行した電話検証が必要であるというふうな方針を固めたわけでございまして、これに必要ないろいろな準備をいたしたということでございます。  なお、他の府県におきましても、そうした技術と申しますか、そうした者はおろうかと思います。
  283. 諫山博

    ○諫山博君 過去に電話盗聴のために令状をとったことがあるようですけれども、これは執行しなかったと聞いております。なぜ執行しませんでしたか。
  284. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) 私どもへ参っております報告によりますれば、通話の両当事者の立ち会いがない形での通話内容の聴取等を実施する方式の電話検証でございますけれども、最近では三回ほど令状を得たというふうなことでございます。しかしこの例におきましては、実際には検証は実施しなかったということでございます。これは、令状発付後におきまして、必要な立証というか証拠でございますけれども、他の証拠から事案を立証することができた等々の事情によりまして、令状は執行しなかったというふうなことでございます。
  285. 諫山博

    ○諫山博君 今の答弁は非常に重大な問題を含んでいると思います。電話盗聴の令状を三回にわたってとったけれども執行はしなかった、それは盗聴以外の方法で証拠を集めることができたからだ、こう言っていますね。今度の場合は、盗聴による以外には証拠を集める手段がない、代替手段がないからやむを得ず盗聴の手段をとったんだという言い方をしておりますけれども、少なくとも過去の三回については、そういう状況ではないのに令状をとったということが明らかになりました。  そこで、今回の令状立会人は、第一次的にはNTTの職員、NTTの職員の立ち会いができなければ消防職員ということになったようですけれども、第二次の立会人を指定してもらったのは初めてですか。    〔理事会田長栄退席委員長着席
  286. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) 初めてでございます。
  287. 諫山博

    ○諫山博君 午後の五時ごろから夜の十二時まで通しで電話を盗聴したようです。この場合に、覚せい剤の売買と関係ない電話がかかってきたとしたらどうするつもりだったんですか。
  288. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) その点につきましては、警察といたしましても通信の保護ということが大変重大な問題であるという認識をしているところでございまして、立会人をして、その傍受を中止させる、とめるというふうな措置を講ずる予定であったということを聞いております。
  289. 諫山博

    ○諫山博君 立会人というのは、本件の場合は消防職員に当たるわけですね。  そこで私は、警察庁長官と自治大臣に次のことを要望いたします。自治大臣というのは不正確でしたね、国家公安委員長の自治大臣に要望いたします。  通信の秘密は憲法で保障された基本的な人権です。国民が自由に通信する、この通信の内容を他人に知られないという保障は、民主社会におけるプライバシーの権利の基本的な内容一つです。そして、電話を盗聴するというのは犯罪行為です。法律で電話の通信の秘密は侵してはならないと規定しているし、侵した者には罰則の規定があります。今回は、犯罪を予防、鎮圧しなければならない警察官が、罰則規定で禁止されている電話盗聴を行った、こういう内容です。裁判所の令状があったからといって、この警察官の違法行為は私は許すわけにはいかないと思います。  警察は、犯罪捜査あるいは犯人検挙のために盗聴を合理化しようとしております。しかし、犯罪捜査、犯人検挙というのは、法律の定める手続に従って行うのが当然です。これが法治主義です。捜査の便宜、犯人検挙の便宜が法律に優先するようになったら、憲法や法律で何のために厳しい刑事手続を規定しているのかということになるわけです。  今広く憂慮されているのは、犯人を逮捕するためには法律を踏み越えてもやむを得ない、こういう誤った考え方が警察の間に広がるのではないかということです。もしそうだとすれば、これは警察の思い上がりです。国民が警察に求めているのは、憲法と法律の手続に従って犯罪捜査をしなさいということです。法律を踏み越えてまで犯罪捜査をしなさいとは警察には要求しておりません。現在は覚せい剤とか麻薬というのがいろいろ言われておりますけれども、もしこういうことが野放しにされれば、どこまで広がるかわからないということをみんな心配しております。私は、警察の捜査の便宜、犯人逮捕の便宜が法律の枠を超えているということは絶対に許すことはできないと思います。これは法治主義の破壊です。  私は、このたびの警察の電話盗聴に厳しく抗議すると同時に、今後こういうことが絶対に繰り返されないように警察庁長官と国家公安委員長に要望しまして質問を終わります。
  290. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私は、二十分という与えられた時間で、ごみの不法投棄についてお尋ねをいたします。  今ごみ問題は、従来の法律の改正あるいはリサイクル、さらにごみの中には有害なものが入っておって、人体に対するその影響を無視できない、そのことからごみ処理が大きな課題になっているわけであります。  まず、これまで廃棄物の処理法違反でどのように警察庁の方で検挙されたか。伺いますと、この五年間で件数自体はやや減っているというふうにも聞いておりますが、その点の御説明をお願いいたします。
  291. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) お尋ねの廃棄物処理法の違反の検挙状況でございますけれども、最近の検挙状況というものを数字で御説明申し上げますと、平成元年では二千六百件、二千三百十六人を検挙しております。また平成二年では千八百七十二件、二千百四人となっております。
  292. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 今の御説明ですと、それ以前の昭和六十一年、六十二年、六十三年は三千台の件数であったというふうなことでございますが、これはどのように理解をしてよいか、お考えお尋ねいたします。  といいますのは、非常によくなってきた、厳しい取り締まりで事態は改善をされておるというふうに見るべきなのか、あるいはごみの廃棄物処理違反の実態が非常に巧妙化あるいは広域化して捜査の手をくぐるのがふえてきて、なかなか思うような検挙事案にならないのか、あるいはその他についてお尋ねをいたします。
  293. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) ただいまの私の答弁、ちょっと不親切であったかと思いますけれども、五年前から比べますと、件数、人員では先生指摘のように減っております。ところが、その内容というもので具体的に申し上げますと、廃棄物の中でも産業廃棄物というふうな問題、こうしたものの不法処分の総量というものでとらえてみますと、平成元年と二年を比較いたしましても、平成元年では八十六万九千トン、それに対しまして平成二年では約百八十九万九千トンということで、かなり量的にふえているという状況がうかがえるわけでございます。  ところで、こうした事犯につきましては、私ども、いろいろな手だてを経まして事件の端緒の把握ということに努めているわけでございますけれども、いろいろ取り締まり上の問題点と申しますか難しい点がございます。  その一、二を申し上げますと、廃棄物の不法処分というのは、通常ひそかに山林とか原野とかあるいは河川とか海等に投棄をいたしましたり、あるいはまた山林、原野等に埋め立てるというふうな方法でございまして、投棄したものを現認と申しますか、それを見届けるということが大変難しいというふうな問題がございます。  さらにまた最近では、例えば東京都内で出たごみというもの、建設廃材なら建設廃材というものが、福島とか新潟とか、遠隔地において不法処分される。いわば広域化していると申しますか、そうしたことでございまして、その廃棄物の排出源というものがどこなのか特定することが非常に難しくなってきているというふうなこともありますし、これは一部ではございますけれども、不法処分者は警察の取り締まりを逃れるために、見張りを立てたり、あるいは携帯の無線機を使用して連絡をとり合いながら不法処分をしているというふうなことで、その手口が一層巧妙悪質化しているというふうな状況でございます。  そうは申しましても、私どもとしましては、どうにかして不法投棄事案の実態把握というものを強めていこうということ、そしてまた、各都道府県警察官の連携を確保いたしまして効果的な取り締まりを進めてまいりたいということを考えているところでございます。
  294. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 今お話のありました産業廃棄物の不法投棄、特に建設廃材の不法投棄というのは、今自治体で大変悩みの種になっていると聞いておりますが、私の地元の三重県においても、余りにもこの問題がひどいということで、県警に取り締まりの対策本部を設けてこの問題に当たっている。そうしたら、この五月二十三日の地元新聞には、建設廃材二百トンを不法投棄してついに逮捕と。この逮捕された業者は、何回も警告を繰り返してきたけれども、これを無視して昨年の十二月から四月まで捨て続けた。しかも特定のいわゆる解体業者から依頼を受けて無許可で捨てて、非常に大きな利益を上げていたというような記事が載っておるわけでございます。  今の御説明の数字というのは、捨ててはいけないものを捨てた、あるいは許可をとらずに捨てた、こういうものまで含めると実質的な数字というのはどのようになるのでございましょうか。
  295. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) ただいま先生御質問の趣旨は、不法投棄による事犯数ということと並んで、廃棄物処理法に違反するような形態でどういったような数の違反があるかということではないかと思われます。  具体的には、法律上その行政処分、実は行政処分の前までの段階でいろいろな指導を通じて問題を解決するというような案件というのはこれはかなり数多くございまして、そのあたりは各都道府県知事が日常の業務として実施しているわけであります。ところが、最後まで指導をしてもなかなかうまくいかないというようなことで、廃棄物処理法に規定している改善命令であるとかあるいはその他の許可の取り消し命令であるとか、そういったことをかけているわけであります。  その数字は、昭和六十三年度におきましては、まず処理業者に対する許可の取り消しということが四件ございます。それから業務停止命令は五十四件、それから処理施設を設置し、あるいは管理をしている者に対する改善あるいは使用停止命令、これが二件ございます。そのほか大規模な不適正な処理によって生活環境の保全上重大な支障が生じている場合には、それの改善措置を命ずることができるという規定がございます。いわゆる措置命令でございますが、これが六件、このようになってございます。
  296. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 今の厚生省のお話でございますが、その警察庁で検挙した者については、法務省の方で最終処分をされるわけですね。この廃棄物違反等の最終処分というのは、法務省の方では、悪質なものは起訴して、その中でもさらに悪質なものは恐らく正式裁判で、軽微なものは罰金とかそういう形になっていくと思うんですが、こういう今の建設廃材をいわゆる違反投棄といいますか、不法投棄しているケースでは、警察庁が法務省に送検される際にはどういう傾向にあるわけでしょうか。かなり悪質なものが多いというふうに見ていられるのかどうか。
  297. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) お尋ねの、建設廃材の投棄ということでございますけれども、基本的にはケース・バイ・ケースであろうかと存じます。  やはり建設廃材の場合には、私どもの従来の検挙事例から見ましても、量的にかなり多いものが投棄されているというふうな状況一つございますし、それから先ほど先生三重の例を挙げられましたけれども、反復性と申しますか、そうしたものもある場合もあろうと思います。そうした事情等を総合的に判断して、非常に悪質性が認められると申しますか、そうしたものにつきましては、私ども地検の方へ事件を送致する段階でも厳重処分なりなんなりということでお願いをしているということかと存じます。
  298. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 ちょっと回りくどい質問をしたわけですが、現実にこういう建設廃材の不法投棄という場合には、原状回復をする意思も能力もない、そういうケースが非常に多い。そうだとすると、捨てた方が勝ちだ。さらに厚生省のお話で、例えば免許の取り消しあるいは停止命令。しかし、免許の取り消しや停止命令を受けたためにその許可業者が壊滅的打撃を受けるというようなそういうケースはほとんどなくて、悪質な業者の場合は次々に名義を変えていく、ダミーを使っていくということが恐らく私の知る限りでは実態だろう。  そうしてみますと、こういう不法投棄の、いわば利益を受けているといいますか、そういうケースの場合に、これは法務省にお尋ねをしなきゃならぬのでしょうけれども、痛い目に遭う、もう二度とやりませんという、果たしてそういう効果が及んでいるだろうか。建設廃材は、件数がふえているよりも量的に圧倒的にふえているわけですね。量的な拡大があるということは、実はもうそこに非常に大きな問題があるというふうに思うわけでありますが、こういうケースで、今警察庁ではどういう形で、いわゆる各県の取り締まり当局にどういう方針で指示を与えているというか、どういう方針で臨んでいるか、お話を伺わせていただければと思います。
  299. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) 先生指摘のとおり、廃棄物、ごみ問題につきましては、現在大変大きな、深刻な社会問題となっているところでございまして、これに対しましては、私どもは取り締まり等を通じてその対策を講じているわけでございますが、しょせん取り締まりだけではこの問題はなかなか解決しないというところであろうと思います。その意味で、関係行政機関ともどもこの施策を強力に推進していかなければならないというふうに考えます。  私ども警察としてはどういう立場かということでございますけれども、特に国民の健康の保護とか生活環境の保全を確保する立場から申しまして、人の健康に直接影響を及ぼすような有害物質、そうしたものを廃棄しているような事案とか、あるいは地域の生活環境を著しく破壊する事案、あるいはまた行政指導を無視して行われるような事案というふうな悪質な事犯というものについては、いかにしてもこれは取り締まりを通じて排除していかなければいかぬという立場で、積極的にそうした取り締まりを行うよう各都道府県警察に指導をしているところでございます。
  300. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 厚生省の方にお尋ねをしたいと思うんですが、先ほどお伺いしますと、免許取り消しが四件、業務停止命令が五十四件、その他が二件というようなデータが出たわけでございますが、ここ数年来の傾向と、ちょっとこの数字では、私の主観ですが、もう少し強硬策をとらないと、もともと行政処分で本当の効き目があるかという問題はありますけれども、手ぬるいといいますより少し姿勢を強めていただかないとと思うんですが、数年来の数字も含めて今の点お尋ねをいたしたいと思います。
  301. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 数年来の状況で詳しい数字はちょっと手元には用意してございませんが、六十三年度の行政処分の件数というのは、前年度に比較して、あるいはここ数年に比較いたしまして格段にふえているというふうな数字になっておりますし、さらに平成年度以降におきましても、この行政処分の件数は大変ふえておるようになっております。  ただ、この行政処分はいろんな意味で最終手段でございまして、この最終的な手段にいく前の段階としての指導というのはかなり数多く行われて、その効果というものは相当上がっているというふうに理解しております。例えば廃棄物処理法でいろいろ都道府県知事の権限がございますが、その中での例えば報告徴収の件数、これは昭和六十三年度におきましては約一万四千件以上になってございますし、さらには立入検査権限が都道府県知事等に与えられておりまして、これにつきましても年間で約五万七、八千の件数になっております。こういったことで、都道府県の職員環境衛生指導員というふうな職員もございますが、そういう方々が各事業所あるいは処理業者に対する指導というものを強めてきておるところでございます。
  302. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 もう時間ですので、しり切れトンボになりましたが、こういう問題では最後の被害者、困っているのが自治体、しかも大都市と比較的近距離にあるところであります。きょうは自治大臣を応援するような質問になってしまいましたけれども、この問題をもっと国民にわかってもらって、現実に厳しい監視の目が広がることを願って、もう時間になりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
  303. 三治重信

    ○三治重信君 まず、自治省関係でお尋ねをいたします。  都市計画税というのが制定されておるわけなんですが、現在、この都市計画税というものの評価額というのは固定資産税と同一に行われているだろうと思うんです。その課税率、課税額についてお答え願うとともに、課税率が〇・三%ということなんだけれども、このとおり課税率いっぱい、殊に三大都市圏ではいっぱいかけているところがどれぐらいあるだろうか。それより少ないところが多いんじゃないかと思うんですけれども、その点。  課税額でお尋ねしたいのは、全国で九千四十億、こういうような数字になるような気がするんですが、これは間違いないんですか。
  304. 湯浅利夫

    説明員(湯浅利夫君) 都市計画税につきましては、それぞれの自治体が独自に課税をするかどうかを決める、あるいは課税をする場合に一定の上限以内で税率を自主的に決めて課税をするという仕組みになっているわけでございますけれども平成年度の都市計画税の課税団体は全部で八百三団体ございます。この八百三団体のうち、上限でございます百分の〇・三の税率を採用している団体は、その五一%に当たります四百十団体になっております。それから、百分の〇・二以上の税率を採用している団体、これは今の四百十団体を含めまして七百三十団体。九一%が百分の〇・二以上の税率を採用しているわけでございます。  そして、この税額につきましては、平成年度決算ベースで、御指摘のとおり九千四十億円ということになっております。  この税は、都市計画事業あるいは土地区画整理事業に要する費用に充てるために、それぞれの自治体が課税する目的税という仕組みになっているものでございます。
  305. 三治重信

    ○三治重信君 その中で、都市計画について、国から来る補助金がいろいろありますね、この補助金のない、地方負担が主の単独事業というのは非常に少ないですかどうか。これははっきり質問しなかったんですが、これが一つ。  それから、都市再開発という問題、私は、これからの土地問題を解決するために都市再開発事業というものが行われなくちゃいかぬと思っているんですけれども、それは何と申しますか、建設省がやるいわゆる都市の容積率ですか、容積率なんかの報告を見ると、実際は三九%しか利用されていない。それはなぜかというと、道路が狭いとか区画整理ができていないから、せっかく認めた容積率が利用されなくて土地の利用率が非常に低いということ。それを高めるために私は都市計画税がもっと積極的に使われなくちゃいかぬと思うんです。そのためには、まあ〇・三%がいいか悪いかは別にして、都市計画税を財源として積極的に使うように、私はこの地価問題から見てもっと指導してもらいたいと思うんですが、いかがですか。
  306. 湯浅利夫

    説明員(湯浅利夫君) 都市計画事業につきましては、補助事業といたしまして建設省などからの補助金をいただいて実施するものの以外に、補助金のない地方単独で行う事業がかなりあるわけでございます。  この比率につきましては、ただいま資料を持ち合わせておりませんけれども、街路事業でございますとかあるいは下水道事業に充てるものとか、それぞれにおきまして単独事業というものが予定されておりますので、それはやはり市町村としても積極的にその事業を実施していく必要があるわけでございまして、そういうものにこの都市計画税を充当することは、当然これは許されるわけでございますから、こういう点につきましては、私どもも国庫補助事業だけではなしに、町づくりの基本となる都市計画事業というものを単独事業におきましても積極的に実施するということをかねてから御指導申し上げているところでございまして、今年度地方財政計画におきましても、単独事業を財政計画の中で一〇%伸ばしているというようなことで、単独事業をぜひとも進めるようにということを地方団体にお願いしているところでございます。  そういう中で、財源といたしまして通常の一般財源のほかにこういう制度がございますから、やはり都市計画税というものもあわせて活用すべきであるということは御説のとおりでございます。  ただ、この都市計画税というのは、本来の固定資産税にプラスして税負担を求めるというものでございます。しかも、固定資産税の評価につきましてはかねてからいろいろの御議論がございまして、平成年度以降は相当大幅な適正化を評価としても行いたいということを考えておりますので、これがそのまま都市計画税の税負担の増加に結びついていくというおそれもございますので、この辺はよく慎重に見きわめながら、それぞれの自治体が住民の税負担の増加に注意を払いながら運用していくという必要があろうかと思います。  しかし、基本的には町づくりの基本でございます都市計画事業、その中には当然御指摘の市街地再開発事業も入っているわけでございますので、こういうものを積極的に行うためにこの制度を活用していくということは重要なことだと思っております。
  307. 三治重信

    ○三治重信君 まあ急激な住民に対する、地主に対する負担の増というものは確かに一つは配慮しなければいけないけれども、現実にめちゃくちゃに上がった地価を下げるためには、やはり固定資産税なりこういうものを上げて地主の負担を多くしないというと、その保有というものによって地価を下げられないということを一つ考えた上で、強力に土地の負担の増というものを求める。しかも使うのは一般財源で使うのではなくてやはり土地の有効利用のために使うんだと、こういう理解でひとつやってもらいたいと思います。  次に、警察庁に対して少し質問しますが、一つは、昨年来革命的暴力集団によるゲリラ的な活動が非常に多発しております。しかし、どうもこれは余り捕まってないように思いますが、こういうふうなゲリラに対する対策は、たくさんの警察官を動員して一生懸命街頭で検査ばかりしていたって挙がるものじゃないと思うんだが、このゲリラ対策というものは、言っちゃ悪いけれども、ゲリラの本体に対してその活動を事前にスパイして集めるということが要諦だと思うんですが、そういうことをやっておられるか。またそういう対策を講じておられるかどうか。
  308. 吉野準

    説明員(吉野準君) お答えを申し上げます。  さっぱり捕まっていないではないかという大変厳しい御指摘でございまして、私ども一層努力をしなきゃいかぬと考えております。  若干事情を御説明申し上げますと、過激派、私どもに言わせていただきますと極左暴力集団と呼んでおりますが、この連中は一種の確信犯でございまして、非常に強い組織を持っておりまして、犯行を行う場合にも綿密に調査をしまして、警戒の手薄なところをねらってやるという手口がございます。  それから放火するにしても爆弾を仕掛けるにしても、時限装置を使いまして、事件が起こったときにはもう既に現場から遠くへ行っておるというような事情でございまして、こういう点が非常に捜査が難しゅうございまして、本当は現場で捕まえるのが一番いいのでございますが、なかなか実情はそうはまいらないということでございます。したがいまして、ある程度時間がかかるんですが、時間をかけた上で、昨年も重要な事件の被疑者を幾つか検挙いたしております。それからなお、ことしになってからでございますが、五月の一日に茨城県下でJR労組の幹部が寝ておるところを襲撃された事件がございまして、これは犯人は中核派の連中でございますが、これを現場で、田んぼの中でございましたが、警察官が遭遇いたしまして現場で一名を現行犯逮捕いたしております。こういう努力をしておるわけでございます。  ただいま御指摘の、事前に少し何とかできないものかという御指摘、まことにごもっともでございまして、私どももできるだけ事前に捕まえてゲリラのテロの企図を未然に防止するように努めておるところでございまして、昨年は秘密部隊二十八名を含む二百十一名の過激派の者を検挙をいたしておりますし、また十一カ所の秘密のアジトを摘発しております。  私ども、決してこれで十分な数字だと思っておりませんで、今後とも一層努力してまいりたい、そういうふうに考えております。
  309. 三治重信

    ○三治重信君 そのゲリラを防圧するために、僕はどうも過剰警備が行われているんじゃないかと思うんです。どうも交通渋滞なんかが、何か事犯があったり、それから例えばこの間のゴルバチョフさんが来られたときなんかでも、東京の交通はもう半分ぐらい麻痺しちゃうわけですよね。いかになんでももう少し、あんな交通取り締まりだけでゲリラがとまるわけじゃないんだから、ゲリラがあるのはまずいんだけれども、そうかといって、起きるか起きぬかわからないのに交通を全部とめてわいわいやるのは少し慎んでもらいたいと思うんですが、どうですか。
  310. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) これも専門家の局長おりますから後ほど答弁しますが、せんだってのゴルバチョフ大統領のときも、非常にその点は気を使いまして、一般の市民の方々に極力御迷惑をかけない方法で、しかも立派に警備を終了してまたソ連にお送りすることができるようなそういう対応を綿密にやりまして、全力を挙げて実は頑張ったわけです。  何万人という警察官がこれに、長崎までのことになりましたから、実は随分と夜昼かけて努力をし、綿密に計画も立てて、市民の皆さんに極力御迷惑をかけないようにしようということでやったんですけれども、今申しました主目的はやはり一点に集中するものですから、それに対してのとにかく妨害を排除しなきゃならぬという前提があるものですから、そこで局部的には確かに先生おっしゃるように御迷惑をかけたという点は私どもも申しわけないと思っております。今後もそういうような点で多くの要人が我が国を訪問されるものですから、警察もその都度全力を挙げて治安問題について頑張っておるわけであります。  それにいたしましても、まことに不心得な極左暴力集団等おりますものですから、あるいは右翼暴力集団もおりますから、こういった面のことを念頭に置きながら一つ一つの行動を起こしていかなければならぬというところに警備の非常に厳しく、つらいところがあるわけでありまして、何とぞひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  311. 三治重信

    ○三治重信君 御説明はわかりますけれども、現象が少し、余り過剰じゃないかと、こういうこともある。だからそういう過剰警備をやめて、そういう極左暴力集団に対する事前の動きをキャッチできる情報収集の方をもっと常日ごろ力を入れてほしいと、こういうことでございます。  それから防衛庁の関係に御質問しますが、最近PKOの問題が非常に問題になって、しかも今から法案もつくられようとしておるわけなんですが、それに対して、防衛庁の態度について質問をしておきたいと思うわけであります。  御存じのようにPKOは、何というのですか、平和維持軍と停戦監視団と選挙とあって、選挙は自衛隊は関係ないんですが、平和維持軍と停戦の方が、まあいろいろの区別の記録はあるんですけれども、いずれにしても、そのPKOの平和維持軍とか停戦監視団に日本でPKOを国連の要請で出すとすると、やはり軍人が必要だ。PKOに軍人が必要だと。それはデクエヤル国連事務総長が総理にもはっきり、PKOを日本が用意するには軍人が必要なんだと。軍人でやっているんだと、国連は。こういうことを言っております。それで首相も、喜ばれるようなPKOにしたいとこう言っていると、こういうことも出ておるわけなんで、したがってどうしても私は、自衛隊がこのPKOに参加するに当たっての心構えというのですか、参加するには自衛隊としてはこうしてほしいと。例えば自衛隊法をきちんと改正してでなけりゃPKOに参加できませんよと。自衛隊法をきちんとやって、法律まで改正して自衛隊が参加できるように政府としてはやってもらいたい。通るか通らないかは国会の問題だけれども、政府や防衛庁としてはね。PKOを政府がやるというならはっきり自衛隊法改正まで考えてやってくれということをやる意思があるか。またはそういう自衛隊とは別個につくるというのが三党の協議でなったわけですけれども、まあこんな別個の組織は自衛隊は嫌だというのはちょっと行き過ぎで、やめてもらいたいと思うんだがね。自衛隊を出すは出すと。自衛隊法を改正して出すけれども、それは自衛隊法改正だけでやるというまでの主張ではなくて、別個の組織は組織でも、やはり自衛隊法を改正してPKOをやる。PKO法をつくってやるのはそれで結構だけれども、自衛隊法を改正してやるということ。  もう一つは、今問題になっておるのに対して、どうも平和維持軍とかなんかには武器を持っていくということが要請される。そうすると、日本の自衛隊は武器を持っていくとそれは憲法で禁止されているから、武器を持たぬ自衛隊の派遣ならいいというような意見、すなわちそれはPKOの中の後方部隊ならいいというようなことが出ているんですけれども、そんなことを自衛隊が認めるのは僕はおかしいと思う。それは各国ともちゃんと軍人が出ていくときには、軍人が出ていくにはきちんと軍人らしい服装をしていくのが自衛隊が参加するということなんで、自衛隊に武器を捨てて行けなんというのは、これは本当に自衛隊を侮辱している問題。後方支援のPKOなんというのは私は自衛隊は、防衛庁長官は絶対認めるべきじゃないと、こういう二つを持っているんですが、ひとつその点、どういうふうな基本的な態度でおるか。  それからもう一つ、その点でたまたまきょうの産経新聞の「正論」に猪木さんが、僕が今質問したことに回答をみんなきちんと書いておる。僕の意見と大体、ほとんど同じ意見を書いておられるから後で、防衛庁の方は読んで知っておられると思うんですが、そういうことで、私はそう特別な意見ではないような気がするんです。
  312. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) PKOへ我が国としてどのように取り組んでいくか、その場合に自衛隊がどのように参加といいましょうか関係していくかという点につきましては、これから広く議論していかなくちゃいけないなと思います。  御承知のとおり、昨年の秋の臨時国会でいろいろ論議もございました。また、三党合意というものもございました。またその後、御承知のとおり、湾岸の問題をめぐっていろんな動きがございまして、これはPKOじゃございませんけれども、自衛隊も停戦後の機雷の除去という作業に参加しようとしているわけでございます。そういったことをいろいろ踏まえながら、これから広く国民の間で議論していくべきではないか、こう考えている次第でございます。そういったことで、政府の中でも一体どういうふうな対応をすべきかいろいろ議論しているわけでございまして、そういったときに我々自衛隊が参加するとするならばこういうことであるべきだというようなことは逐次申し上げているところでございます。  さて、具体的に委員御指摘の点でございますけれども、私どもは自衛隊が参加するかどうかということを考えます場合に、一つは、我が国の憲法その他の規定との関係を考えなくちゃいけません。それからまた、一方におきましては、現実に国連が行うPKOの活動、それを見まして、それとかけ離れたものを我が方の制約があるからといって押しつけることもできない、これは当然でございます。その間の兼ね合いが大切だと、こう考えている次第でございます。  そうして、まず隊法を改正するかどうかという点でございますが、その点につきましては、これからの検討の過程の中で具体的にどういうふうな形で自衛隊が参加するか、それの関連で、いかなる法的な措置を講ずべきか政府としても考えますし、国会で御議論いただかなくちゃいけないことだと思います。しかし、いずれにいたしましても、真っ正面から隊法そのものを改正するのか、あるいは別の法体系の中で自衛隊法の改正をするのか、そういったことの検討が必要になろう、このように考えております。  それから三党合意との関係でございますが、先ほど申しましたように、あのような状況の中で三党合意、その中で自衛隊とは別個の組織ということになったわけでございますけれども、この別個の組織というものは一体どういうことなのか、これについてもいろいろな解釈の仕方があるようでございますし、それからまた、さらにはその後の現実の事態の推移あるいはそれに伴う国民の皆様方の御認識の変化と申しましょうか、そしてまた、各党間においてもいろいろ御議論が深まっておりますので、そういったことも踏まえながら考えていくべきじゃないのかなと。しかし、これは政府がというよりも各党間でもお考えいただく問題じゃないか、こう思っております。  それから、武器を携行したら憲法違反になるんじゃないかという議論があるがというお話でございますが、これまで政府で申しておりますのは、武器を携行したらいけないということじゃございませんで、従来の政府の見解と申しますのは、PKOの活動は一律に論ずることはできない、これは個別に一つ一つケースによって違いますので、一応それをPKFであるとかオブザベーションであるとかいろいろと区別はしておりますけれども、カテゴライズはしておりますけれども、個々のケースで違いますから、一律にこの場合ならいい、こういったPKFならだめだとか、オブザベーションならいいとか、そういうことは言えない。個々のケースに即して判断すべきだろう、こう思っております。  ただ、一般論として申しますと、そのPKO、国連平和維持活動の目的、任務が武力行使を伴うものであればこれは憲法との関係が出てくる。武力行使を伴わなければこれは憲法上許されるものである、ただし、法的な措置が要る。こういうふうに申し上げているわけでございます。これは何も自衛隊が参加するときばかりじゃございませんで、国の組織であれば自衛隊以外の組織をつくっても同じことになるというのがこれまでの政府の見解でございます。  それから、そういった原則からいって、具体的にそれじゃPKFの停戦監視ならいいのか、あるいはPKFの本隊はどうなのか、後方だけならいいのかという点でございますが、その辺はこれからいろいろ議論をしていく中で詰めてまいらなくちゃならない、こう考えております。我々としては、これまでの政府の見解としては、要するにその目的、任務に武力行使を伴うかどうかというところが判断基準になっておる、しかしこれは個別のケース考える、こういうことでございます。  それから、産経新聞の猪木先生のお説というのを、私もざっとでございますが、けさ目を通しております。その中で、いろいろ我々としてもそのとおりだと同感する部分も多うございますし、また、非常に貴重な卓見であると思いますけれども、しかし、それがそのまま政府としての見解に出し得るかどうかという点についてはいろいろまたあろうかと思います。例えば、憲法との関係につきましては、たしか国連のこういった活動の場合には問題がないんだというような御説であったと思います。いわゆる集団自衛権とは違った集団安全保障といったものの関連での御議論かと思いますけれども、そういった点については、これまでの政府の見解との関連で言うとまだいろいろ研究してみなくちゃいかぬところがあるのじゃないかな、こういうふうに思っております。  いずれにいたしましても、そういった法律論もございますけれども、もし自衛隊が参加する場合には、きちっとした役割を果たせるような形態で参加しなくては、国際的にも期待されるような役割を果たせませんし、また参加する自衛官あるいは自衛隊としても活動が大変難しいことになります。その辺はしっかり覚悟してまいらなくちゃいけない、こう思っております。そういった意味では、いわゆる組織としての参加なのか、あるいは個人としての参加なのか、それからまた身分をどうするかという問題についても、実際の任務がきちんとできるようなものでなくちゃいかぬという観点を大切にしながら考えてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  313. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 先ほどの猪熊君の質疑の件について、保留並びに理事会預かりといたしましたが、吹田自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。吹田自治大臣
  314. 吹田愰

    国務大臣吹田愰君) 先ほどの猪熊委員の御質問に関しまして、自治省として統一の見解を申し述べたいと存じます。  地方公共団体における外国人任用に関し、昭和四十八年に課長回答が出されているが、この回答は、自治省地方公共団体に対する人事運営上の協力の一環として「当然の法理」に関連する自治省としての法的解釈を示したものである。  地方公共団体は、「当然の法理」を踏まえた上で職員採用を行っていると思料しているところであり、地方自治体がその職員の採用に際し、当該団体の採用職種の職務内容等を十分検討の上、対応すべきものと考えている。  以上でございます。  御了解いただきたいと存じます。
  315. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 以上で、自治省警察庁防衛庁及び公営企業金融公庫決算審査は終了いたしました。  次回の委員会は六月四日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会