○
国務大臣(池田行彦君) PKOへ我が国としてどのように取り組んでいくか、その場合に自衛隊がどのように参加といいましょうか関係していくかという点につきましては、これから広く議論していかなくちゃいけないなと思います。
御承知のとおり、昨年の秋の臨時
国会でいろいろ論議もございました。また、三党合意というものもございました。またその後、御承知のとおり、湾岸の問題をめぐっていろんな動きがございまして、これはPKOじゃございませんけれ
ども、自衛隊も停戦後の機雷の除去という作業に参加しようとしているわけでございます。そういったことをいろいろ踏まえながら、これから広く国民の間で議論していくべきではないか、こう
考えている次第でございます。そういったことで、政府の中でも一体どういうふうな
対応をすべきかいろいろ議論しているわけでございまして、そういったときに我々自衛隊が参加するとするならばこういうことであるべきだというようなことは逐次申し上げているところでございます。
さて、具体的に委員御
指摘の点でございますけれ
ども、私
どもは自衛隊が参加するかどうかということを
考えます場合に、
一つは、我が国の憲法その他の規定との関係を
考えなくちゃいけません。それからまた、一方におきましては、現実に国連が行うPKOの活動、それを見まして、それとかけ離れたものを我が方の制約があるからといって押しつけることもできない、これは当然でございます。その間の兼ね合いが大切だと、こう
考えている次第でございます。
そうして、まず隊法を改正するかどうかという点でございますが、その点につきましては、これからの検討の過程の中で具体的にどういうふうな形で自衛隊が参加するか、それの関連で、いかなる法的な措置を講ずべきか政府としても
考えますし、
国会で御議論いただかなくちゃいけないことだと思います。しかし、いずれにいたしましても、真っ正面から隊法そのものを改正するのか、あるいは別の法体系の中で自衛隊法の改正をするのか、そういったことの検討が必要になろう、このように
考えております。
それから三党合意との関係でございますが、
先ほど申しましたように、あのような
状況の中で三党合意、その中で自衛隊とは別個の組織ということになったわけでございますけれ
ども、この別個の組織というものは一体どういうことなのか、これについてもいろいろな解釈の仕方があるようでございますし、それからまた、さらにはその後の現実の事態の推移あるいはそれに伴う国民の皆様方の御認識の
変化と申しましょうか、そしてまた、各党間においてもいろいろ御議論が深まっておりますので、そういったことも踏まえながら
考えていくべきじゃないのかなと。しかし、これは政府がというよりも各党間でもお
考えいただく問題じゃないか、こう思っております。
それから、武器を携行したら憲法違反になるんじゃないかという議論があるがという
お話でございますが、これまで政府で申しておりますのは、武器を携行したらいけないということじゃございませんで、従来の政府の見解と申しますのは、PKOの活動は一律に論ずることはできない、これは個別に
一つ一つの
ケースによって違いますので、一応それをPKFであるとかオブザベーションであるとかいろいろと区別はしておりますけれ
ども、カテゴライズはしておりますけれ
ども、個々の
ケースで違いますから、一律にこの場合ならいい、こういったPKFならだめだとか、オブザベーションならいいとか、そういうことは言えない。個々の
ケースに即して
判断すべきだろう、こう思っております。
ただ、一般論として申しますと、そのPKO、国連平和維持活動の
目的、任務が武力行使を伴うものであればこれは憲法との関係が出てくる。武力行使を伴わなければこれは憲法上許されるものである、ただし、法的な措置が要る。こういうふうに申し上げているわけでございます。これは何も自衛隊が参加するときばかりじゃございませんで、国の組織であれば自衛隊以外の組織をつくっても同じことになるというのがこれまでの政府の見解でございます。
それから、そういった原則からいって、具体的にそれじゃPKFの停戦監視ならいいのか、あるいはPKFの本隊はどうなのか、後方だけならいいのかという点でございますが、その辺はこれからいろいろ議論をしていく中で詰めてまいらなくちゃならない、こう
考えております。我々としては、これまでの政府の見解としては、要するにその
目的、任務に武力行使を伴うかどうかというところが
判断の
基準になっておる、しかしこれは個別の
ケースで
考える、こういうことでございます。
それから、産経新聞の猪木
先生のお説というのを、私もざっとでございますが、けさ目を通しております。その中で、いろいろ我々としてもそのとおりだと同感する部分も多うございますし、また、非常に貴重な卓見であると思いますけれ
ども、しかし、それがそのまま政府としての見解に出し得るかどうかという点についてはいろいろまたあろうかと思います。例えば、憲法との関係につきましては、たしか国連のこういった活動の場合には問題がないんだというような御説であったと思います。いわゆる集団自衛権とは違った集団安全保障といったものの関連での御議論かと思いますけれ
ども、そういった点については、これまでの政府の見解との関連で言うとまだいろいろ研究してみなくちゃいかぬところがあるのじゃないかな、こういうふうに思っております。
いずれにいたしましても、そういった法律論もございますけれ
ども、もし自衛隊が参加する場合には、きちっとした役割を果たせるような形態で参加しなくては、国際的にも期待されるような役割を果たせませんし、また参加する自衛官あるいは自衛隊としても活動が大変難しいことになります。その辺はしっかり覚悟してまいらなくちゃいけない、こう思っております。そういった
意味では、いわゆる組織としての参加なのか、あるいは個人としての参加なのか、それからまた身分をどうするかという問題についても、実際の任務がきちんとできるようなものでなくちゃいかぬという観点を大切にしながら
考えてまいりたい、このように
考えておる次第でございます。