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1991-05-22 第120回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年五月二十二日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         及川 一夫君     理 事                 大浜 方栄君                 後藤 正夫君                 会田 長栄君                 猪熊 重二君     委 員                 秋山  肇君                 石渡 清元君                 尾辻 秀久君                 鎌田 要人君                 木暮 山人君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 野村 五男君                 福田 宏一君                 大渕 絹子君                 梶原 敬義君                 喜岡  淳君                 種田  誠君                 西岡瑠璃子君                 渕上 貞雄君                 木庭健太郎君                 諫山  博君                 林  紀子君                 井上 哲夫君                 三治 重信君    国務大臣        法 務 大 臣  左藤  恵君        外 務 大 臣  中山 太郎君        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君        文 部 大 臣  井上  裕君        厚 生 大 臣  下条進一郎君        農林水産大臣   近藤 元次君        運 輸 大 臣  村岡 兼造君        労 働 大 臣  小里 貞利君        建 設 大 臣  大塚 雄司君        自 治 大 臣  吹田  愰君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 坂本三十次君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  池田 行彦君         ─────        会計検査院長   中村  清君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        警察庁刑事局保        安部長      関口 祐弘君        防衛庁経理局長  村田 直昭君        国土庁長官官房        審議官      石川 嘉延君        法務省刑事局長  井嶋 一友君        外務大臣官房審        議官       橋本  宏君        外務大臣官房外        務参事官     浦部 和好君        大蔵大臣官房審        議官       石坂 匡身君        大蔵省主計局次        長        田波 耕治君        国税庁税部長  山口 厚生君        国税庁調査査察        部長       龍宝 惟男君        文部大臣官房審        議官       遠山 耕平君        厚生大臣官房老        人保健福祉部長  岡光 序治君        厚生省健康政策        局長       長谷川慧重君        厚生省保険局長  黒木 武弘君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    大塚 秀夫君        運輸省地域交通        局長       佐々木建成君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       松波 正壽君        気象庁地震火山        部長       小長 俊二君        労働省労働基準        局長       佐藤 勝美君        建設省河川局長  近藤  徹君        会計検査院事務        総局次長     疋田 周朗君        会計検査院事務        総局第一局長   安部  彪君        会計検査院事務        総局第二局長   澤井  泰君        会計検査院事務        総局第三局長   中北 邦夫君        会計検査院事務        総局第四局長   白川  健君        会計検査院事務        総局第五局長   山本  正君    参考人        水資源開発公団        理事       山住 有巧君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和六十三年度一般会計歳入歳出決算昭和六十三年度特別会計歳入歳出決算昭和六十三年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十三年度政府関係機関決算書(第百十七回国会内閣提出) ○昭和六十三年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十七回国会内閣提出) ○昭和六十三年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十七回国会内閣提出) ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金整理資金受払計算書平成年度政府関係機関決算書内閣提出) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書内閣提出) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書内閣提出)     ─────────────
  2. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、前回に引き続き、全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 ただいま議題となりました問題につきまして、御質問申し上げます。  まず、会計検査院に、ODA関係について御質問を申し上げたいと思います。  昭和六十三年のODA事業費が一兆三千四百八十七億円、平成年度ODA事業費一兆三千六百九十八億円、平成年度ODA事業費一兆四千四百九十四億円、年間一兆円以上に及ぶ非常に高額な金額が出されておるわけでありまして、国民一人当たりにいたしますと一万円を超える負担となっておるところでございます。ODA事業費に関し、その使途手続等について透明性確保を求める声というのは非常に高まってきておるところでございますし、当然これらの問題についてはより透明化させていかなければならないと考えます。  六十二年の十二月に会計検査院外務検査課を新設いたしまして、従来のスタッフを拡充いたしましてODA本格化にメスを入れる体制というものを整えたと言われております。巨額の海外支援について国民に対して納得をしてもらうには、その使途がやはり私はガラス張りでなくてはならないというふうに考えておるところでございます。したがいまして、その透明性をより高めるためにもそういう活動をなさっておられるわけでありますが、現在の外務検査課の組織と配置人員について説明を願いたいと思います。
  4. 中村清

    会計検査院長中村清君) 現在第一局に外務検査課を置いておりまして、合計二十三名を配置しているわけでございます。そうしまして、主として政府開発援助実施機関である外務省国際協力事業団海外経済協力基金の三機関に対して検査を行うとともに、この検査活動一環として現地調査を行っておるところでございます。  なお、要員の配置に当たりましては、語学が堪能で国際的知識及び経験が豊富な職員配置しておりまして、研修等を通じて資質向上に努めておるところでございます。
  5. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 海外での検査活動には、報告書にもございますように相手国主権の問題だとか、体制の問題だとかあると思いますけれども陣容二十三名で設置をした後約三年を経過しているわけでありますけれども、この間の業務の実績と三年間経過した後の問題点について明らかにできればしていただきたいと思います。
  6. 中村清

    会計検査院長中村清君) お尋ねの実績でございますが、私どもはただいま御指摘がございましたように昭和六十二年の十二月に外務検査課を設置いたしまして、三機関を統一的に実施し、その一環としまして海外調査もやってきたわけでございますが、その外務検査課の三年間の実績につきまして申し上げますと、毎年五カ国に調査官を派遣いたしまして現地調査実施しております。これらの検査及び調査の結果としましては、まず処置済み事項としまして技術協力に係る国際航空運賃支払い方法を経済的なものに改善させたものと、また特記事項としましてODA全般に係る政府開発援助実施について、これをそれぞれ掲記したところでございます。  ところで、本院の検査権限につきましては、御案内のとおり相手国政府とかあるいは機関には及ばないわけでございますけれども我が国援助実施機関職員等の立ち会いのもとで、相手国協力を得まして現地調査実施しているわけでございます。私どもとしましては、従来の経験を積み重ねながら調査手法開発する、あるいは職員資質向上する、そういうふうな形で一層の充実を図るように努力していきたい、こう考えております。
  7. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 今答弁ありましたように、大変大切ないろいろな問題を抱えておることもわかりますけれども、これから先、国家予算の中に占めてまいりますこれらの海外援助に対する問題につきましては、検査院の中でもひとつ目を光らしていただきたいと思うし、今後やはり拡充していく分野ではないかというふうに思うわけです。したがいまして、それらの決意についてお考えがあれば述べていただきたいと思います。
  8. 中村清

    会計検査院長中村清君) おっしゃいますとおり、政府開発援助につきましては、援助額も年々増加しておりますし、また国民関心も非常に高いというところから、会計検査院としましても政府開発援助についての検査重要性ということにつきましては十分認識しておりますし、鋭意その検査に取り組んでいるところでございます。  今後の検査に当たりましても、資料情報の収集、分析に工夫を凝らすことはもちろんでございますが、先ほどもちょっと触れました調査手法開発とか、あるいは職員資質向上を図るということで検査をさらに一層充実させるように積極的に努力してまいりたいと、こう考えております。
  9. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 ODAにつきまして、六十二年度国際協力事業団航空運賃の問題が実は取り上げられました。ODA事業につきましては、これが初めてではなかったかと思われるわけでありますが、六十三年度決算報告で初めて特記事項として今回取り上げられております。  調査対象の件数が、直接借款それから無償資金協力関係がそれぞれ二十事業、それからプロジェクト方式技術協力関係が十六事業のうち特記されたものは六件、これはまさに氷山の一角と思われるわけでありますけれども、これらの問題につきまして取り上げられたことについては私はやはり評価をしてまいりたいと考えておるわけでありますし、取り上げる過程の中から幾つかの問題が出てきてまいったと思うのでありますが、それらの概要についてひとつ説明をしていただきたいと思います。
  10. 中村清

    会計検査院長中村清君) 私ども検査、そして調査の結果でございますが、直接借款貸し付け対象となった機材等が十分稼働していなかったり、あるいは機材の一部が長期間未利用となっていたというもの、また無償資金協力対象となった施設が十分活用されていなかったというもの、さらにプロジェクト方式技術協力対象となった技術の移転が遅延していた、こういったものが総計六件見受けられたわけでございます。  このような事態を生じておりますのは、内貨予算が不足していたということなど主として相手方における事情によるものであるということがわかりましたのですが、我が国援助実施機関相手国自助努力を前提とした対応をとっていたということ、あるいは現行制度の枠内での対応には限度があったということによるものであるというふうに認められたわけでございます。したがいまして、我が国全体としましては、必要に応じて相手国における内貨予算不足による事業の遅延に対しまして、我が国がとり得る措置についての検討を行う、また我が国援助実施機関相互の間で、あるいは我が国援助実施機関相手国との間の一層の連携強化に努める、こうしたことをやるとともに、事業全体の状況を一層的確に把握できるように援助実施体制整備拡充を図りまして、もって政府開発援助がより効果的、効率的に実施されることが望まれる、こういう趣旨で特記事項として掲記したわけでございます。
  11. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 毎年度決算検査報告の中で、税金むだ遣いが繰り返し報告をされているわけであります。  納めるときに不正があれば、大変問題になりまして刑事罰にまで発展をするわけでありますけれども、これらの税金むだ遣いというのは国民の間に非常に税に対する不信を生む。その不信を解消するために検査院に対する期待というものがあるわけでありますけれども、これらの税金むだ遣い状況を改めるためにもあわせて内部監査機能との連携が必要であると思います。同時に、この問題については内部監査会計検査院との関係といいましょうか、そういうものもございますので、メリットがあるところもありましょうしデメリットのところもあると思うわけであります。しかし、やはり毎年同じような税金むだ遣いが繰り返されているとすれば、再発防止のためには、やはり他の機関指摘をされた事項についてきっちりそこらあたり検査をしていく、そういうことをするのを制度化していった方がいいのではないかというふうに思います。  いろんなやり方はまた検討していかなければならないと考えますけれども、各省庁内部監査機能との連携強化について、どのように考えられておるのか、御説明願いたいと思います。
  12. 中村清

    会計検査院長中村清君) 会計検査院としましては、財政執行会計処理のすべてに目を光らせるということは、やはり人員その他の制約もございましてこれはなかなか難しいものがあるわけでございます。したがいまして、現在の陣容で可能な限り効率的な検査を行うためには、やはり各省庁内部監査部門との協力はぜひとも必要である、こういうふうに考えておりまして、これはまさに御質問のとおりでございます。  このために会計検査院としましては、従来より内部監査との連携に意を用いているところでございまして、相手方内部監査体制充実状況あるいは活動状況あるいは活動の成果、こういったものについてはその内容を把握するように努めているわけでございます。そして、その結果につきましては、例えば毎年の検査計画の策定に当たりまして、重点検査項目を決める場合の重要な要素の一つとして考える、こういうふうな形でもって検査実施に役立てているわけでございます。  また、会計検査院では内部監査充実強化につきまして大きな関心を持っておりまして、研修会その他を通じまして積極的に私どもも行動するということもやっているわけでございます。
  13. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 外務省にお尋ねいたしますけれどもODAの問題につきましては相手国からの要請主義に立っているわけでありますが、やはり一番最初に関与するのは外務省在外公館でありますし、そこでもって受け付けたもの、そしてそれがどういうふうにしていくかというふうに決まった後、プロジェクトが決まり実施段階になれば、いわゆる関係省庁との混成体制となるわけであります。同時にまた、ODA世界最大の規模になっているだけに今や世界の多くが注目をしているわけでありますから、これらの問題につきまして大きくなればなるだけその対応も大変忙しくなってくるでしょうし難しくなってくるでしょうし、その対応につきまして、対外援助機関を統一した新しい庁といいましょうか機関といいましょうか、そういうものを設置して対応に当たることがいいのではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
  14. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 委員がお話しのように、ODAの総額としては日本世界一ということに相なりました。しかし、現在外務省が中心になって窓口を一本化してやっておりますが、専門的な分野に関する協力にりさましては関係省庁の専門的な経験、ノーハウを生かしてやってきておりまして、その点は現在でもうまくいっていると思います。しかし、私も就任以来、当院におきましてODAに関する御質疑が大変多数のケースにわたっておりまして、先般来、私自身JICAの事務所にも参りましていろいろと現場の意見も聞いておりますが、問題は、やはり膨張してきた、いわゆるスケールの大きさに見合った必要な人員確保することが現在非常に困難であるという状態が続いておりまして、このような実施体制を早急に充実させるということが必要であろうと考えております。  私どもは、現行体制の中でこの制度充実しますとともに、かねて御指摘のございましたODA現地でのいろいろな問題点の御指摘も受けまして、私自身が省内に評価をするシステムが必要であるということで、今年から評価室を独立させましてこの評価体制を強化していく、そういうことによりまして実施されているODA状況を的確に把握するとともに、委員も御指摘のように国民のとうとい税金で行うわけでございますので、その充実強化に一層今後とも努めてまいりたいと考えております。
  15. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 ぜひともひとつ評価室を強化されて国民の信頼にこたえていただきたいと思うわけであります。頑張っていただきたいと思います。  次に、その援助実施した後は相手国協力の範囲でしかこれらの決算検査もできないわけでありますし、ODA体制理念というものは外交密接不可分にかかわってきておるわけでありますけれども、やはりそれらの理念というものをいま少し国民にわかるように、どうやって海外援助をしているというようなことをわかりやすくしていくべきではないかと思います。従来のODA個別プロジェクト援助していくということだけではなしに、援助に当たっては軍事大国にならないというのが日本の国是になりておるわけでありますから、やはり私は新しく、人材だとか環境問題だとか軍事の問題だとか人権問題など、思い切ってできるできないことというのを明確にしていただいて援助する、そういうやはりODA体制の真剣な検討が望まれると思うわけでありますが、その点の対応につきましていかがでございましょうか。
  16. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) ODA実施に当たりましては、今年政府は新しく各国におきます軍備状態、武器の購入の状態等について四つ指針を明らかにしたわけでありますが、この指針を明示いたしましたことに早速反応が出てまいりまして、この四つ項目について最近バングラデシュ政府からの日本に対する援助要請について各項目について具体的に説明があったこともこの機会に申し上げておきたいと思いますが、基本的に日本協力についての考え方を各国にさらに一層知らせていくということによって、人権の問題あるいは軍備管理の問題についても貢献ができていくように努力をいたしたいと考えております。
  17. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 外交問題でありますから大変難しいと思いますが、ひとつどうか丁寧にやっていただきたいと思います。  ODA決算の中であらわれていますけれども外交上の配慮という言葉が実は多く使われておるわけであります。今外務大臣もおっしゃいましたそれらの四つ項目などが相手国に明確になれば、それに従って援助していくということになれば、当然国と国との関係でありますからいろんな問題を協議しながら進めていくわけでありますけれども、そういう大切なお金を使っていく場合に、決算検査限界と言われる相手国との関係についてもやはり改善をしていく必要があるのではないか。先ほども私検査院質問申し上げましたが、その節にいわゆるこれらの問題について強化していくということになれば、より明確にしていくためにも相手国との改善をやっていくべきではないかというふうに思うわけであります。  したがいまして、例えばODA要請相手国から受けた場合に、我が国会計決算というもの、決算審査というものはこういうことになっているのでここまでどうかというようなお話が大体できるものかどうなのか。そういうことについてどのようにお考えになっておるか、御質問申し上げます。
  18. 橋本宏

    説明員橋本宏君) ただいま委員指摘のように、外国との関係限界がある中で、我々がどのような努力をしているかということにつきまして冒頭に御説明させていただきます。  先ほど外務大臣より答弁されておりますように、我が国援助につきましては、適正かつ効果的効率的な実施ということが極めて重要でございまして、これまで政府におきましては事前調査充実とか、交換公文における適正な使用維持の義務づけとか、公正な入札の確保とか、契約の審査、承認とか、また先ほど外務大臣指摘評価活動充実等措置をとってきているわけでございます。  これに加えまして、先ほど会計検査院長の方から御説明がありましたように、会計検査院におきましても、我が国ODAの実態を調査するために現地に行きまして実情を視察しているわけでございます。外務省といたしましては、相手国政府に対しまして検査院の視察についての意義を説明し、その受け入れについての了解取りつけ等を含めまして積極的に協力しているわけでございます。  そのような中で、委員指摘の、相手国に対して決算検査を条件に付すことができるかどうかということでございます。これにつきましては、そもそも我が国経済協力というものは開発途上国経済開発のための自助努力に対して行われるものでございまして、その実施主体相手国政府でございます。したがいまして、我が国が供与する援助資金使用は、基本的には相手国自身の責任において行われるということになっております。  したがいまして、今委員指摘の点につきまして先方の納得を得るということは、国際社会主権国家から成り立っているということ、また相手国の立場、権利の尊重という関係から、なかなか難しいかと思う次第でございます。
  19. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 相手国要請でありまして大変難しいということもわかりましたけれども、やはりそうであればあるほど、では、我が国として援助を行う場合に事前調査が大変重要な問題であろうというふうに考えます。しかし、援助を行う場合の事前調査というものが私は不十分でないかというふうに思うわけであります。  それは、その結果として援助費の翌年度繰越額増大というものを見た場合に、なぜそういうことになるのかということを考えますと、やはり相手国との関係はございましょうけれども事前調査というものが不十分だったからこそこういうことになってきたのではないか、こういうふうに思うわけでありますけれども、その増大につながっている要因、原因についてどういうふうにお考えになっていますか。
  20. 橋本宏

    説明員橋本宏君) 先生指摘のように、我が国の大きな額に上る援助効果的効率的実施のために、事前調査というものが重要であるということは我々も十分に認識しております。我々は我々なりに要請案件相手国必要性に合致しているかとか、相手国の人的、資金的実施体制が整備されているかというようなことについてできるだけの調査を行い、そのための調査団も派遣し、また政府レベルにおいては二国間の年次協議等も行っているわけでございます。この点につきましては今後ともますます強化していく所存でございます。  ただ、先生指摘無償資金協力についての繰り越しが出るということでございますけれども、これは我が国財政の単年度主義ということから、限られた期間の中で案件内容を審査したり相手国と交渉したり、それからそれに基づいて契約の履行をしたりということをして、すべてその当該年度に終わるということにつきましてはなかなか一方では難しいところがございます。そのようなことから無償案件につきまして繰り越しが出てくる場合がございます。しかしながら、我々としましては、できるだけそれを早く実施するということから、次年度へある程度の繰越額が出るにもかかわらずその繰越分については早期に執行ということで、既に次年度においてもうほぼ一〇〇%執行している次第でございます。
  21. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 続いて、ふるさと創生の問題についてお伺いを申し上げます。  実は、ちょうど今のこの会計年度の時代には、ふるさと創生ということで華々しい政策の訴えがあったわけであります。ちょうど我が国の経済構造が大きく変化をする中で、諸機能がやはり東京圏一極集中というのが非常に拡大をして地方間の格差が再び拡大する傾向にあったときだというふうに認識しておりますが、地域経済の活性化のために多様な取り組みが全国的にふるさと創生で推進をされましたけれども、地域経済は依然としてやはり厳しい状況下に直面をしていたわけであります。したがいまして、ふるさと創生による東京一極集中の防止、そのためにもやはり私は地方の公共団体と民間が一体となった対応が実は迫られるであろうというふうに思っているところでありますし、自主的に主体的に取り組むことによって、地方における活力や地方振興、地域社会の均衡ある発展、そういう政策の課題の追求というものがますます重要になってくるであろうと思われます。  そのふるさと創生のときに、地方が知恵を出して中央が支援をする、これまでと異なった発想に基づいて、昭和六十三年それから平成元年の二年間にわたりまして、みずから考えみずからが行う地域づくり、こういう事業を実は実施をしてまいってきたわけでありますが、昭和六十二年度の国税三税の自然増収を活用いたしまして各市町村に一億円、基準財政需要額を上積みして地方交付税として配分してきたと思うのであります。その結果、全国各地において自主的、主体的な地域振興のための地域づくりというものが行われてきたと思いますけれども、そのふるさと創生に伴う地方交付税の資金援助に伴います実施後の評価といいましょうか、そういうものをどういうふうにお考えになっておるか、御説明願いたいと思います。
  22. 吹田愰

    国務大臣(吹田愰君) ただいま渕上先生から極めて温かい御質問をちょうだいいたしましたが、御質問の中にもございましたように、これからの地方自治体というものは自主的に主体性を持った活動を展開していくということが自治法からいきましてもその本旨でありますが、なかなかそういった面が具体的に証明できるものもなかったわけですけれども、このふるさと創生運動というものの展開によって、今お話がありましたように、みずから考えみずからこれを実施していく、住民がこれに参加していく、アイデアも住民がつくるというようなことで、非常にその自主性、主体性というものが確立される方向に向きまして、今日までそういった事業が極めて多く実施されてきておるわけであります。  そのために、今日の三十八万平方キロのこの日本列島が、それぞれの地域において、土地条件はみんな違いますけれども、一億二千万の国民の皆さんが、この国のその地域に自分たちが住んでよかったというような、そういうアイデアを出し合って今つくられているわけでありまして、私は、このふるさと創生の一億円事業というものが推進されてからの今日というものは、非常に目覚ましい成果を上げている、これは決算委員会でありますから特にそのことは主張しなきゃなりませんが、非常な成果を上げてきた、こういうふうに自信を持って申し上げられると思うんであります。数字等につきましては、きょうは関係局長も参っておりますから、またお答えいたしたいと思います。
  23. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 自画自賛されることは非常に大切なことだと思いますし、今大臣言われたように、財源の少ない地方財政にとっては大変よかったという評価がありますから、私ども大臣今言われたように思いますけれども、やはりこれから先が私は大事じゃないかというふうに思うわけであります。  当初、内容の不明確さ、それから自治体財源を原資とするという問題もありましたけれども、今大臣が評価されたような、地方振興となるような、ひもつき財源でない一億円のふるさと創生交付金のような財源、同時に、その財源を権限移譲も含めて自主的にやらせるというような、こういう単発的な財源交付を今後も行っていくことが、地方が生き生きとしていく、同時に今大臣が評価されたようなことにつながるのではないかと思いますが、今後も続ける意思がございますかどうか。
  24. 吹田愰

    国務大臣(吹田愰君) 大変ありがたいお言葉であります。  私ども自治省といたしましては、こういった考え方に対して、先ほどから申し上げましたようなことで、みずから考えみずからこれを推進する、それに対して国が援助する、支援するというような考え方をさらに強力に推進していく。それがふるさと創生の基本的理念でありますから、今後もこれを自主的に主体性を持って進めていけるような、そういう形で行政の推進、地方自治の発展というものにせいぜい頑張っていこう、こういうつもりでおります。
  25. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 では、非常に評価をされたわけでありますから、その評価された部分について具体的な資料があればひとつ提出を願いたいと思います。  今自治大臣は大変評価をされたわけでありますが、大蔵大臣に質問通告をしていたかどうかわかりませんけれども、こういう話はするよというふうに言っていましたのでお答え願えると思うんです。  やはり今のような地方交付税交付団体に一律一億円、金額は別といたしましても、地方交付税の基準財政需要額に上乗せをして配分していく、そういうふるさと創生の性格のような財源というものが、地方振興や政策の実現のために大変必要であるし重要な問題ではないかというふうに思います。ひもつきでない、地方の課題は地方に任せるというような財源の交付というものを考えていくべきだと思いますが、大蔵大臣いかがでございましょうか。
  26. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、今回のふるさと創生事業実施状況を見ていきます限りにおきまして、今委員が述べられたような考え方が成立しないものだと申し上げるつもりはありません。ただ、一般論として、国と地方の財源配分という視点からこの問題を考えます場合には、国と地方の税源配分、地方交付税、補助金のあり方、あるいは地方税源の地域的な偏在、そのほか地方行政財政全般にかかわる問題として、やはりこれから先も国と地方との機能分担、費用負担の見直しとか、また国と地方のその折々の財政状況ども踏まえながら、幅広い見地から検討を加えていくべき性格のものであると思います。  実は、私はかつて厚生大臣当時に、ある一つの項目でそれぞれの自治体に御工夫を願うという考え方を打ち出したことがございました。実は、非常にうまくいったと思われるケースは一つか二つでありまして、今度はそれぞれの自治体が横を眺めて同じことをするという、実は非常に効率の上がらない結果を生み、その考え方を再考しなければならなくなったことがございます。  私は、今回非常に各自治体が工夫をされてさまざまな創意工夫というものをしておられるということを耳にし、喜んでおりますけれども、やはりそうした点を考えてみますときに、それぞれの自治体がそれぞれの自治体の特色に応じた施策を自由に実施されるということについては、やはり国と地方との機能分担以上の問題として、都道府県と市町村間の機能分担といったものにも相当な工夫を凝らしていく必要があるのではなかろうか、そんな思いも持っております。
  27. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 それでは次に、今度大変な事故が起こりました信楽高原鉄道関係につきまして御質問申し上げます。昨日、この委員会でも同僚の議員から質疑がございましたが、確認したい部分がございますので、少しだけ質問させていただきたいと思います。  まず、亡くなられた方々の御遺族や負傷された方々の一日も早い回復を願っているわけでございます。  そこで、五月十七日の新聞報道、いわゆる近畿運輸局の三名の方が査察に行く、それを信楽高原鉄道の幹部の方が迎えに行く、この事実については間違いございませんか。
  28. 佐々木建成

    説明員佐々木建成君) 事故当日、近畿運輸局の職員三名が、五月十一日から二十日まで実施される春の全国交通安全運動の一環としまして、信楽高原鉄道及び近江鉄道の安全運動の取り組み状況の査察を行うこととしておったわけでございます。この当該職員三名は、当日、JR草津線経由で十一時九分にJR貴生川駅着の予定でございまして、同駅において信楽高原鉄道の担当者と落ち合いまして、そのまま十一時十六分発の信楽高原鉄道の列車において添乗査察を行った後に信楽町にあります本社の査察を行うということで、貴生川駅で落ち合うということになっていたわけでございます。
  29. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 では、交通安全期間中に近畿運輸局では常にそういう査察を行っているのかどうか。現在までの経過について御説明願いたいと思います。
  30. 佐々木建成

    説明員佐々木建成君) 春の全国交通安全運動、これは総務庁の方で総務庁長官を本部長とする交通安全対策本部において決定されたものを実施するという形になっておるわけでございますが、例年同じようなことをやっておるわけでございます。  昨年とことしの状況をちょっと御報告申し上げたいと思いますが、まず昨年度平成年度におきましては、踏切道の安全確保、それから鉄道妨害の防止、鉄・軌道の安全確保、広報活動の推進といったこの四項目を重点項目といたしまして、平成二年四月六日から十五日までの全国運動期間中に管内の十一業者に対して査察を行ったという実績がございます。それから本年度平成年度におきましても昨年と同様の四項目を重点実施項目といたしまして、平成三年、ことしの場合は五月十一日から二十日までの全国運動期間中に管内の十四事業者に対して査察を行うこととして実施中であったものでございます。
  31. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 では、こういう交通安全期間中については、今回の場合は通常の査察であったというふうに理解しておっていいわけですね。そういうふうに理解しておきたいと思います。  次に、小野谷信号所の離合待避場所が設置されたのはいつで、実際に使用し、連行を開始した日はいつからでございますか。
  32. 松波正壽

    説明員(松波正壽君) お答えを申し上げます。  今御指摘の小野谷の信号所につきましては、先生も御承知のように、平成三年四月二十日から五月二十七日までの間に開催の予定でございました世界陶芸祭の入場者の輸送を円滑に行うということと、沿線利用者の利便の向上を図る、こういう輸送力増強対策の一環としまして設けられたものでありますが、今御質問のございました当該信号所は列車の行き違いを行うための設備といたしまして平成三年三月八日に完成をいたしまして、平成三年三月十六日から運行のために使用を開始したものでございます。
  33. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 信楽鉄道における実施までの乗務員に対する教育訓練の実施状況について説明願いたいと思います。
  34. 松波正壽

    説明員(松波正壽君) お答えをいたします。  教育訓練の状況につきましての御質問でございますが、運転関係従事員に対しますところの教育訓練の実施につきましては、規則によりまして、鉄道事業者は運転関係従事者に対し列車の運転等の作業を行うのに必要な保安のための教育を施しまして、作業を行うのに必要な知識とかあるいは技能を保有することを確かめた後でなければ作業を行わせてはならない、こういう規定があるわけでございますけれども、今御質問の小野谷信号所の使用開始に当たりまして、信楽高原鉄道株式会社におきまして、この規定の定めに従いました教育訓練が実施されていたか否かにつきましては、今後とも関係書類の確認あるいは関係者からの事情聴取などによりまして事実確認を進めていくことといたしております。
  35. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 その事実確認というのはなぜできないんですか。
  36. 松波正壽

    説明員(松波正壽君) 現時点ではなかなか関係者の方々がいろいろな事情で直接お会いする等できない部分がございまして、今鋭意調査を進めている段階でございます。
  37. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 昨日も同僚議員の方から質問がございましたけれども、JR西日本の臨時乗り入れ問題については、具体的な契約、連行についての協定書はあるということでございますが、乗務員に対する教育訓練というのは昨日報告がありましたのでわかりますけれども、その心得や運転規則上の問題についてはJR側は明確にわかると思いますが、信楽高原鉄道側もこれらの問題については明確にわかるというのは大体いつごろになるんですか。
  38. 松波正壽

    説明員(松波正壽君) お答えを申し上げます。  今御質問の信楽高原鉄道側に対する教育の状況についての御質問であったかとおりますけれども、今我々、関係者から保安監査などをいたしましていろいろ事情聴取をいたしておりますけれども先ほど来御説明申し上げておりますように、警察への対応その他ございましてなかなか直接担当者の方々から事情が聴取できない状況でございまして、この辺につきましても定かな情報を今得ていないわけですから、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  39. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 ひとつ努力をしていただいて、正確な報告を願いたいと思います。  次に、私どもがいただいた報告書、それからマスコミ等が発表しておりますそれぞれの駅の発車時間の違い、おくれ時分の違い、それから事故発生時の時刻の違いなどがございますけれども、これらの問題につきましては今度の事故と非常に密接不可分関係にあるのではないかというふうに私思うわけでありますから、正確な時間をひとつ統一的に示していただきたいと思います。
  40. 佐々木建成

    説明員佐々木建成君) まず、その事故を起こしました列車の出発時刻でございますが、信楽高原鉄道側からは、信楽駅発の上り列車は所定より十一分おくれの十時二十五分、それから貴生川駅発の下り列車は所定より六分おくれの十時二十二分にそれぞれ出発したという説明を受けております。なお、別途下り列車につきましては、JR西日本側は所定より二分おくれの十時十八分発というふうに説明しておりまして、ここのところは数字の食い違いがございます。それからまた、事故発生時刻は午前十時三十五分ごろと信楽高原鉄道より報告を受けております。その他、事故の発生の位置は、信楽線小野谷信号所と紫香楽宮跡駅間でございまして、起点の貴生川駅より九・一キロメートル付近であることがキロポストによって確認されております。  出発時刻等事実関係につきましては、今後とも関係者からの事情聴取等あるいは書類の調査等によりましてできるだけ事実確認を早くするように進めていきたいと思っております。
  41. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 今度の事故の関係で、今大変問題になっていますのが賠償の支払いの問題であろうと思うわけです。  昨日も御報告ありましたように、県が中心となって鋭意誠意を持って努力する、こういうことになっておりますけれども、一回こういう大きな事故が起こりました場合に、これらの中小における賠償の問題でありますが、第三セクター並びに民鉄の中小鉄道の支払い能力の乏しい企業にとりまして、被害者の方々に対して十分な補償というものを確実にしていくためには、やはり全国的な現横でこれらの第三セクターや地方の中小民鉄に対する賠償、補償の整備を考えていくべきだと思うのでありますけれども、これらの問題について今どのように考えられているのか、今後、具体的にどう実施していこうと思われているのか、御説明願いたいと思います。
  42. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) まず、今の問題にお答えする前に、いろいろ事故の原因等につきまして私どもの方でも対策本部をつくりまして、十七、十八日に保安監査を行ったところでございます。今後、信号機が正常に動いておったかどうかというような面も含めまして、実は警察の方で差し押さえというか、まだ立入禁止というような状況、あるいは存命しておる方々にも会えないという状況でございまして、運輸省を通じまして、各委員会も始まるのでひとつ差し支えない程度の証言あるいはその他はできるだけとるようにということを指示いたしておりますけれども、今答弁したようになかなかそこまでいかないので、できるだけ早く事実関係を、徹底した原因の究明をいたしたい、こういうふうに考えております。  同時に、たびたび申し上げておりますけれども、今回の事故におきまして亡くなられた方々、けがをされた方々に対しては、我が方といたしましても誠意を持って当たるよう指導してまいりたい、こういうことの基本方針は固めております。  ただいまの御質問についてでございますが、補償問題については、会社あるいは株主、さらには第三セクター鉄道にあっては関係自治体等の関係者が責任を持って対応すべきものと考えております。  二つ目には、鉄道事業の免許に際しては、事故等の不測の事態が生じた場合には会社、株主等の関係者が十分な対応をする意向を有することを確認しております。  さらに御質問問題点でございますが、今までは大体こういうような不測の事態を各中小も設定しておりませんので、なかなか各社が負担すべき保険料の問題もあり、現在まで三億円程度の補償金額の保険に入っておりますけれども、それ以上の大きな保険に入るということになっておりません。運輸省といたしましては、経営基盤の脆弱な会社が大規模な事故を起こした場合の一般的な補償制度については、今回の信楽高原鉄道の事故にかかわる関係者の具体的対応状況及びその問題点を踏まえて、より内容が充実した保険制度の導入を含め、会社の補償制度充実について検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  43. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 では、大臣、ひとつお願いしておきますけれども、やはり十分検討していただいて、第三セクターや中小民鉄の経営が安心してできるように御努力を願いたいと思います。  次に、今現在事故の原因の究明のための調査がなされておると思いますけれども、行政上の調査、それから刑事上の調査などありますけれども、列車事故が起きた場合の現在までの調査機関といいましょうか、警察、運輸省並びに企業内の事故調査という委員会ができるのかどうかはわかりませんが、そういう調査機関があったと思うんですが、こういう列車事故の場合の原因究明のための調査というのは大体どことどこがやられておるのか、御説明願いたいと思います。
  44. 佐々木建成

    説明員佐々木建成君) 鉄道につきましては、今先生指摘のように運輸省、それから犯罪捜査という意味で警察庁、それから関係事業者等で調査をやっているわけでございます。お尋ねがもっと全般的に輸送機関についてという御趣旨であれば、他に事故調査委員会等がございます。
  45. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 ちょっと質問が悪かったかと思いますが、例えば日航の航空機事故が起きますと航空機事故調査委員会みたいなものが設置されますね。しかし、こういうような重大事故が起きた場合に、従来そういうものはなかったように思うわけですけれども、今まで、警察と運輸省、そういうところだけの事故調査かどうかを聞いているわけです。
  46. 佐々木建成

    説明員佐々木建成君) 鉄道事故につきましては今申し上げたような機関調査をしておるわけでございますが、必要に応じまして、交通安全公害研究所とかあるいは財団法人鉄道総合技術研究所等の専門的な知識をかりながら調査をするということが実態でございます。
  47. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 今回の事故の原因につきましては、人的なもの、誤作動、機械の故障、いろいろやはり条件が重なって起きたと推測されるわけでありますが、事故は一方的に発生するわけではございませんので、私はマスコミの中で見られるように、事故の責任を他に転嫁させるような発言というものはやはり慎まなければならないと思うんです。これだけ重大な事故を起こしているわけですから。  当事者としてはやはり運輸省、それからJR西日本、信楽高原鉄道であることは間違いのない事実であろうと思います。したがって、他に転嫁をさせるような発言ではなしに、原因の解明と補償の問題に全力を挙げていくことこそが当面の最大の課題であろうと思いますし、遺族の方々に対する補償は、大臣何回も言われておりますけれども、誠意を持って取り組むことが遺族、負傷者に対する責任のとり方であろう。同時に、これだけの重大な事故を起こしたわけでありますから、安全問題は十分だったとかという発言ではなしに、事故の責任を他に転嫁しない、起こした当事者同士を含めてきっちり責任をとるという姿勢こそが私は大事だと思いますが、いかがでございますか。
  48. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 先生、信楽の総務課長さんでございますか、その発言について、いろいろ下の方の発言が新聞に出たということも私も見ました。いろいろしゃべっているようでございますけれども、現在、私ども西日本に対しても事情を聞いて、今事故の真相は調査をしていると、こういうことで、そういう発言は慎まなきゃいけない。慎むと思っております、以後はですね。  そういうことで、責任の所在は警察あるいは運輸省でしっかり原因究明しますので、そういう点のないように指導してまいりたい、こう思っております。
  49. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 最後の質問になりますけれども、とりわけ第三セクターや地方の中小民営鉄道というものは企業的に弱い立場にございますので、災害や今回のような重大事故が起きました場合に、いわゆる地方の経営の危機になってくるということが一番最初に問題になってくるわけでありますので、やはりあの信楽の地域の地域発展や地域振興のことなどを考えますと、早急な事故原因の究明と同時に、あわせて復旧、運行の再開というものが一番今求められていることではないかと思いますが、運行再開に向けての大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  50. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 筆頭株主であります滋賀県知事も参りまして、存続問題についていろいろ言われておりますけれども、私もいろいろ、どういうお考えですかと、こういうことをお聞きをいたしました。知事さんは、まだ今事故の処理で手いっぱいで、現在バスで代替輸送をいたしております。地元の方にも非常に要望も強いので、今後地元と十分相談をして、存続するのかしないのか、またそこまで考えがいっておりませんと。それで、十分御相談してください、その結論が出たときには私の方でも十分指導してまいりたい、こういうお答えをいたしているところでございます。
  51. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 終わります。
  52. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 たくさん質問通告をいたしておりますから、私はできるだけ簡単に質問をいたします。答弁の方も要点を絞ってお願いを申し上げます。  最初に、JR九州豊肥線の復旧問題についてお尋ねします。  昨年七月二日、九州の中部における集中豪雨によりまして豊肥線が寸断をされておりますが、大分県の緒方町と熊本県の宮地駅、緒方駅と宮地駅間、この復旧状況についてどのようになっているのか、並びにその見通しについてお伺いをします。
  53. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 現在八十八カ所の被害箇所のうち三十八カ所の復旧工事が完了しまして、三十五カ所の工事を施工中であると報告を受けております。  復旧に当たりましては、特に工事期間を要する箇所としましては、熊本県側では宮地―波野間の築堤崩壊がございまして、現在までにがけ防護工事、流路管の設置工事などの工事計画上の約六割方が完了されていると聞いております。また、大分県側では、朝地―緒方間の第一大野川橋梁流失がございまして、現在までに主要な橋台、橋脚がほぼ完了しつつあり、工事計画上の約七割方が完了していると聞いております。  したがいまして、豊肥線の不通区間の全線復旧の見通しは当初の予定の平成三年十月末を超えることはないものと考えております。
  54. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 地元では、どうも十月までには全線開通は難しいのではないか、こういう話もちらほら出ておりますが、間違いなく十月まで開通をするように、運輸省、責任を持っていただきたいと思います。  次に、鉄道軌道整備法施行令の一部を改正する政令案の要綱が五月十日に決定をされたようでありますが、その内容について簡単に説明をしてください。
  55. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 今回の災害に見られるような大規模な災害の発生につきましては、現行法に基づく補助制度は、災害復旧事業の施行による鉄道事業者の経営の健全性の維持を図る観点から見て不十分と考えられますことから、平成年度予算の成立を踏まえまして、鉄道事業者の行う災害復旧事業に対する補助率を現行の二割から二割五分以内において運輸大臣が大蔵大臣と協議して定める率に改め、これを充実したものでございます。
  56. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これはいつから実施をして、今後地方自治体の関係についてはこういう事例が起こった場合に財政負担ほどうなるのか、その辺をちょっとお尋ねします。
  57. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 今回のJR九州の災害復旧工事には十分間に合うように補助金の交付を行う予定でございます。  また、今後につきましては、この政令以外に地方公共団体にもほぼ同額の補助をお願いしていくことになろうかと考えております。
  58. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 前々から本委員会でもお願いをしたんですが、大分県の緒方駅と竹田駅の間の復旧、開通については、地元も本来ならもっと早くやってほしいということでしたが、非常に現地も困っておりますから、これは十月の末といわずに八月のお盆ぐらいまでには現地でやらせるように運輸省として指導していただきたいんですが、いかがでしょうか。
  59. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 先生指摘の緒方―豊後竹田間は、休止区間の中でも最の輸送量の多い区間でございますので、地元の要望も踏まえ、他の区間に比べ早期再開ができるように準備を進めていくようJR九州を指導していきたいと考えております。
  60. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大蔵大臣、国鉄分割・民営化のときには運輸大臣でございまして、私も当時大臣に質問をしたことがあるんですが、分割・民営化しまして、わずか三十三億の災害なんですが今日に至っても大分と熊本を結ぶこの動脈が切れたままなんですね。あのときに運輸大臣は、分割・民営化すれば非常によくなるよと、こういう答弁を大分私開きました。ところが非常によくなっていない。そういう意味で、一つは大蔵大臣としても当時のことも責任ありますから、今答弁がありましたようなことについて、ひとつ大蔵省サイドで御指導願いたい。  それからもう一つ。JR九州の日豊線の未複線部分の問題ですが、この大分駅と小倉駅の間のうち約十四キロ単線になっている。それは杵築―山香間ですね。信楽駅道の事故じゃないですが、今非常に列車のスピードも上がっておりますし、これは運輸省としては、その間の単線部分というのはJR九州に承継をする、承継事項だと、このように当時承っておりますが、いまだ進んでおりません。この点について大蔵大臣ひとつ指導していただきたいんですが、いかがでしょうか。
  61. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国鉄国会のころを思い起こしての御質問を伺いながら、今、当時を思い起こしておりました。しかし同時に、当時私は繰り返し、それぞれの会社が自主的な判断で経営ができる、それが地域との間で効果を生んでいくということを申し上げてまいりました。  後者の問題は別といたしまして、豊肥線の災害が発生いたしましてから私もその状況は気になりながら、時々報道されておりますものを見ておりましたが、今後運輸省の方からどのような御相談があるのか私も存じませんけれども、事務的な御相談があれば、当然のことながら大蔵省としてもその御相談を十分伺わせていただくということであろうと存じます。  ただ、これは委員、率直に私は申し上げますけれども、JR九州ばかりではなく、九州地区から私のところにJR絡みでいただきますお話は九州新幹線のお話ばかりでありまして、むしろ豊肥線等のお話は全く届いていない。これは率直に実態を申し上げたいと存じます。
  62. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、それはいかぬですね。まあ大臣はそういうことでございますが運輸省、運輸省の方には随分届いていると思いますが、複線化の問題ですね、これはよろしく。いかがでしょうか。
  63. 大塚秀夫

    説明員大塚秀夫君) 九州管内における幹線鉄道の高速化については要請が大きいものがございますが、今後、輸送量あるいは採算性等を勘案しながら、JR九州でもできるだけその趣旨に沿った投資を行うように、私どもとしても指導していきたいと考えております。
  64. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 よろしくお願いします。  次に、雲仙の火山活動と防災の問題について若干お尋ねします。  毎日報道されておりますが、ひとつ国会の方でも、噴火活動状況と見通しについてお伺いをします。  それから第二点といたしましては、防災の観点から一体国土庁はどのように対応をしておられるのか、そして今後の心配はないのか。この二点についてお伺いをいたします。
  65. 小長俊二

    説明員(小長俊二君) 雲仙岳の状況と見通しについて御報告いたします。  雲仙岳では、昨年の七月から地震及びマグマの活動に起因すると考えられております微動が増加し、十一月十七日に百九十八年ぶりに山頂付近の地獄跡火口と九十九島火口で噴火がありました。その後噴煙活動は次第に弱まり、地震及び微動の回数も減りましたが、二月十二日に再び噴火活動を始め、地震及び微動も増加し、三月中旬以降は頻繁に火山灰を噴出する等火山活動が活発化しました。さらに、五月十三日ごろからはこれまで観測されていなかった火口直下の地震及び微動が頻発するようになり、地殻変動もあらわれたため、五月十七日に火山噴火予知連絡会の幹事会を開きまして、会長コメントを発表し警戒を呼びかけたところでございます。その後、二十日には地獄跡火口の中にいわゆる溶岩ドームがあらわれ、三十一日には分離しているのが確認されました。現在も同じ程度の地震、微動等火山活動が続いており、今後の火山活動については警戒が必要であると考えております。  気象庁としては、今後も関係機関と連絡を密にして厳重な監視を続けていく考えでございます。  以上です。
  66. 石川嘉延

    説明員(石川嘉延君) 国の防災対策いかんということでございますが、ただいま気象庁の方からお答えいたしましたように、まず雲仙岳の観測監視体制につきましては、従来から気象庁において常時観測を行っているところでありますが、昨年来の火山活動の活発化に伴いまして、関係機関の緊密な連携のもとに体制を強化して厳重な監視を続けてまいりました。その後、状況の変化は応じまして火山噴火予知連絡会の開催、それから観測に基づく迅速な情報発表等の対応を行ってまいりました。また、火山灰の大量堆積に伴います土石流対策といたしましては、建設省、農水省等関係省庁及び長崎県におきましてワイヤセンサー式監視装置の設置、砂防ダムの緊急除石等の対策を講じてきてまいっております。  国土庁といたしましては、去る五月十八日に災害対策関係省庁連絡会議を開催するなど、関係省庁及び地元自治体との緊密な連絡体制確保に努めております。今後とも連絡を密にして対応の万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  67. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 重ねてお尋ねしますが、五月二十一日の新聞報道によりますと、火山噴火予知運の下鶴会長さんのお話では、「先日の予知連で、雲仙の活動は新段階に入ったと判断した。」と。ここの「新段階」とは一体何なのか。「今までにない浅い震源の地震が多発し、山の膨らみも観測され、マグマが浅い所まで来たことを意味していたためだ。だから」云々とこうなっておりますが、新段階というと今にも何か異常な爆発が起きるとかあるいは何か溶岩が流れ出すとか、一そういう感じもちょっと受けるんですが、そういう心配はないのかどうなのか。
  68. 小長俊二

    説明員(小長俊二君) お答えいたします。  この「新段階」と申しますのは、やはり地震が非常に浅くまで来た、それから溶岩が火口の近くまで到達したのではないかというようなことから、地殻変動から見ましても山体が膨らんでいるというのが確認されましたので新段階と申し上げたわけでございますが、その結果といたしまして二十一日に溶岩ドーム、これはマグマがせり上がってきたことによってのぞいてきたものと考えることができますが、そういうものが上がってきたということでございます。その他の噴火につきましても、まだ火山学が十分に発達した学問でないということもございまして、いろいろ学説がございまして、現在そのドームのできたところがそのまま噴火するとか、その周辺から噴火があるとか、山体からの噴火も含めましてそういうこともいろいろ言われておりますが、まだ我々としてはそれがどういう形で出現するかということはわかっていない状況ですので、厳重な監視をしていくということで先ほどお答えいたしたところでございます。  以上です。
  69. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わかりました。  建設省砂防課の方でいろいろと土石流対策をしっかりやっておられるようですが、その状況ですね。それからまた、噴煙をどんどん上げておりますから、さらにその土石流対策というのはこれから心配になるんですが、いかがになっておるでしょうか。
  70. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 先ほどから御説明がありましたとおり、昨年十一月十七日に雲仙岳噴火以降活発な火山活動が続きまして、火山灰の堆積が著しく、土石流発生のおそれが予想されましたので、本年の二月十二日に長崎県に対しまして、十分調査を進めると同時に、土石流発生監視装置の設置、また既設砂防ダムの除石等の対策を行う旨指導を行ったところでございます。さらに、二月十六日には、現地調査のため専門家として土木研究所砂防研究室長を現地に派遣して指導を行わせたところでございます。  長崎県では、三月十一日に学識経験者等から成る雲仙岳緊急火山対策検討委員会を開催しまして、この検討結果も踏まえまして、三月二十九日に土石流発生監視装置を二基設置し、また四月十八日に既設砂防ダム二基の除石を完了したところでございます。その後、五月十五日及び五月十九日に低気圧の通過に伴う降雨により水無川に土石流が発生しました。土石流発生監視装置が作動いたしまして、島原市及び深江町の住民に避難勧告が発せられまして、十五日には百十七世帯四百六十一人、十九日には四百十六世帯千三百二十六人が避難しまして、これまでの避難体制あるいは砂防工事、河川改修工事の効果もありまして大きな被害には至らなかったわけでございます。  また、五月二十日及び二十一日も小規模な土石流が発生しておりますが、大きな被害はございません山上流部におきましては、既設砂防ダムの緊急除石を行うとともに、災害関連緊急砂防事業によりまして新たに五基の砂防ダムを設置することとしております。また、土石流の流下により河道埋塞が生じた区間は、五月十五日に直ちに河川災害復旧事業に基づきまして応急復旧工事として埋塞土の排除は着手したところでございます。ほぼ五〇%を排除したところ、再び五月十九日の土石流によりまして河道埋塞が生じました。五月二十一日には再度埋塞土の排除作業を再開いたしまして、水無川の流下能力の確保に努めておるところでございます。  今後の対策でございますが、雲仙岳の噴火に伴う降灰区域の約七〇%を占めております水無川流域におきまして、堆積した火山灰の流出に伴う土石流の発生が予想されますので、これに対応するために、土石流発生監視装置をさらに増設すること、また砂防事業等による砂防ダムの除石、災害関連緊急砂防事業等による砂防ダムの早期完成を図るとともに、下流河道区間が埋塞した場合には、その都度河川災害復旧事業に基づく応急復旧工事により埋塞土砂を早期に排除いたしまして、河道の流下能力の確保を図る等万全な対策を期してまいりたいと考えております。
  71. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ぜひ頑張ってください。  次に、決算に係る問題でございますが、昨日大蔵大臣が昭和六十三年度決算の概要説明、それから平成年度決算の概要説明を述べられまして、それをお伺いしておりますと、「昭和六十三年度の予算の執行につきましては、予算の効率的な使用、経理の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお会計検査院から百六十六件の不当事項等について指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえない」、こう書いておられまして、また平成年度も全く同じ表現を使って、違うところは百六十六件が百九十二件、ここの数字が違っておるわけでございます。したがって、二年度を同じ時期に決算審査をするものですからこういうことがはっきり出ると思うんですが、元年度の方がいわば指摘事項等も中身を読んでみますと問題がたくさん出ているように思われます。したがって、一体どのような神経でこれを提案をされたのか、大蔵大臣、お伺いしたいと思います。
  72. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昨日申し上げましたとおり、私としては本当に残念でありますし、ある意味では情けない思いもいたしております。  この不当事項として指摘をされましたものを見てみますと、例えば完全に職員のミスと断定できるもの、また事務処理のミス、それから事務処理が不適正、そして一番情けない思いがいたしますのは職員の不正行為であります。そのほかにもあるいは分け方はあるのかもしれません。  これらにつきまして、それぞれの所管の省庁におかれましては、事務処理が適正に行われますように部内でのチェックあるいは研修などを十分に行っていただいて、適正な事務処理の能力の向上に努めていただくことが必要であると思われます。また、例えば市町村等地方公共団体における不適正な事務処理が行われております場合には、所管官庁に加えて都道府県においてもやはり十分な指導をしていただくことが必要であると思います。  また、一番情けない思いをして見ております職員の個人の不正行為、元年度指摘では三十二件が指摘をされているわけでありますが、これはいわば日常的な職員の十分なコミュニケーションのほかに、公務員としての規律の保持に努めるということを上司、同僚の関係においても考えていただくことが必要であると思います。  いずれにいたしましても、この検査院の御指摘というものについては、謙虚に素直にこれを受けとめなければなりませんが、いわばうっかりミスといったようなものについては、その処理能力を向上させていただくことで減少すると思いますし、不適正な処理と申しますものについてはそれぞれの所管官庁、都道府県の指導といったもので対応するということになると存じますが、この職員の不正行為と申しますものについては、それぞれ職員個々人が公務員としての自覚を持って行動してもらう以外に対処のしようのないものでありまして、一般的な人間関係の中でこうした問題が起こらないようは対応していく努力を地道に積み重ねる以外にないと思っております。  いずれにいたしましても、非常に申しわけない、そのように思います。
  73. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 会計検査院の実地検査というのは、六十三年度も八・五%、それから一九年度が九・二%、非常に少ない。同僚議員も昨日からずっと質問されておりますが、そういう状況です。したがって、これからそういう問題がなくなるためには、各省ごとの内部監査体制、これが一体どのようになっているのか、もう少し強化をされるべきではないか。  各省庁ごとの内部監査制度のあらましでいいですから、もし大蔵省でまとめておられればよろしく。
  74. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) 委員指摘のように、内部監査というものは非常に重要な機能を持つという認識を強く持っておるところでございます。会計検査院といたしましても、全部会計処理について目を通すということは事実上なかなか難しいところがあるわけでございまして、そういった観点から、各省それぞれ自分のところで内部監査の方法について通達あるいは規約をつくっておりまして、そういった格好で日常の会議あるいはいろいろな連絡等を通じて極力内部的に監査が充実するような努力をしておるところでございます。
  75. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 内部監査指摘された問題点というのは、それぞれ閣議と会計検査院報告をするようなシステムになっているんですか。そこはどうでしょうか。
  76. 中村清

    会計検査院長中村清君) ただいま不正行為に関係する問題が出ましたけれども、会計に関係のある犯罪が発覚いたしましたときは、会計検査院法の規定によりまして、その事実を「本属長官又は監督官庁その他これに準ずる責任のある者は、直ちに、その旨を会計検査院報告しなければならない。」、こういうふうになっておりまして、会計検査院報告が来ることになっております。
  77. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そうすると、内部監査の資料というのは内閣の方には、総理大臣官房ですかどこですか、内閣の方には回らないんですか、それは。内部監査で出た問題点、そういうものは。
  78. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) 内部監査につきましては、具体的には例えば会計課に会計監査員を置くというような格好で一元的にいろいろな努力をしておりますけれども、それを統一的に、その結果を内閣に御報告申し上げるというようなシステムはないといるふうに承知をしておるところでございます。
  79. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そうしますと、これは会計検査院報告されているのが一部、内部監査事前に気がついて指導して改善したり何やらというのはいっぱいあると思うんですね。そういうのはどこで一体把握しているんですか。
  80. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) 基本的には、予算の執行と申しますものは原則的に各省各庁の長に責任があるところでございまして、内部監査の結果につきましても各省各庁の長が責任を持ってやっていただき、報告を受けるという仕組みになっておるものと承知しております。
  81. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 しかし、全体の予算の統轄は大蔵省でやっておられるわけですから、その内部監査の観点、一体どういう観点から内部監査をするかという点について、会計検査院がやっている検査の観点というのは正確性、合規性、経済性、効率性、有効性、こういう観点から会計検査院は今検査に当たっておりますが、内部監査における検査の観点というのは、大蔵省まとめて統一的な方針みたいなものはあるんですか。
  82. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) 各省庁における内部監査と申しますのは、各省庁の組織令とかあるいは規則とかいろいろなルールがございます。まず、基本的にはそういった政令あるいは規則にのっとりまして、予算が適正かつ効率的に執行されているかどうかということを監査するところが第一義的な目的というふうに考えております。
  83. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先ほど言われましたように、会計検査院検査の割合というのは非常に少ないし、大蔵大臣も先ほどそのことに触れられましたが、やはり内部監査体制充実するためには少し大蔵省がイニシアチブをとって、そして少し神経をぴりっとさせてやらなければいつまでたっても、大変残念だと言われても、これは内部をしっかりするためには大蔵省がイニシアチブをとらなきゃ進まないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  84. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) 委員指摘のところは、私どもとしても当然責任を自覚しておるところでございます。  内部監査とは若干角度が違うかもわかりませんけれども、例えば医療費について会計検査院からしばしば御指摘を受けておるところでございますけれども、その適正化につきましては、例えば医療機関への指導監査であるとか、あるいはレセプトの点検審査であるとかといったものについて対策を厚生省において進められるよう所要の措置を講じておるところでございますし、さらには委員指摘のように、会計検査院指摘事項の周知徹底であるとか、あるいは予算の効率的な執行についてというような形の通達を各省庁に対して出させていただいておるところでございます。そのほかにも各省各庁等の予算・決算担当者会議を開くとか、一般的な会計事務の職員研修など、あらゆる機会に委員指摘のような予算の効率的な執行、内部監査充実、あるいは会計検査院指摘事項に関する再発防止というような事柄につきましてある意味での指導等を行ってきておるところでございます。  御指摘のように、今後ともやはり関係各省各庁の協力が不可欠ではございますけれども、そういった協力を得つつ引き続きそういった指導等の充実を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  85. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 少しすれ違っておりますが、先に移ります。  私は、決算委員会随分長く経験いたしましたが、会計検査院はわずかな人数で一体こういうのをどうして見つけたのかということがたびたびあるんですね。そういう点では会計検査院は私は非常に優秀だなと思っておりますが、それはそちらに置きまして。会計検査院から報告書が出ておりますが、この報告書の中で、今言われますように内部監査で挙がってきた数は大体幾らぐらいなのか、そして会計検査院がみずから調査をして発見 した割合は大体どのぐらいになっておるのか、伺います。
  86. 中村清

    会計検査院長中村清君) 検査報告の不当事項の態様というのは、非常に数が多いし極めて多岐にわたっているわけでございます。  職員の不正行為ということに限って申し上げますと、職員の不正行為による損害を生じた事案としましては、これは実は各省庁内部監査によって発見したというものでございまして、平成年度検査報告におきましては、防衛庁関係で銀くずを領得されたものが一件、それから郵政省関係で郵便貯金の預入金や簡易生命保険料などの領得されたものが二十九件、労働省関係で労働保険料や障害補償給付金を領得されたものが二件、こういう形になっております。  会計検査院としましては、こうした事案につきまして、先ほど私申し上げましたが、各省庁から報告を受けまして、その事実関係に基づきまして私どもが会計実地検査を行って十分調査した上で検査報告に掲記している、こういう実情でございます。
  87. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 要するに、不正事件等についてのみ報告があった分は報告をまとめてされておる、こういうことですね。
  88. 中村清

    会計検査院長中村清君) おっしゃるとおりでございます。
  89. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に、具体的な項目に入ります。  これは各省庁ごとの決算のときに質問する事項ですから、ごく代表的に絞ってみますと、防衛庁の関係ですが、「屋外燃料タンク補修工事の積算が不適切」、「屋外燃料タンクの補修工事の工事費の積算に当たり、底面に使用する鋼板の数量等の算定が適切でなかったため、契約額が五百九十万円割高になっていた。」、こういうのは、要するに不正と直接関係ない、会計検査院調査した内容なんですけれども、この概要ですね、簡単で結構ですが。
  90. 澤井泰

    説明員(澤井泰君) ただいまの件は、海上自衛隊の横須賀地方総監部で海上自衛隊が使用します艦船の燃料を貯蔵する屋外タンクを補修するため、鋼製の底板及び側板の一部を取りかえする工事でございます。この工事の積算について検査いたしましたところ、鋼材の使用重量については設計図書においてはタンクの底面を底板とアニュラ板で一重とすることになっておりました。誤って底板及びアニュラ板の二重構造であるとして数量を重複して計算しておりました。そのほかに、鋼材の単価につきましては、積算参考資料に実勢単価が示されているのに高炉メーカーの公表販売価格を採用していたり、それから鉄骨工の労務単価につきましては、本年度の単価が通知されているのに前年度の単価を参考にして高価な労務単価を適用していたりしたものでございます。  本件の発見の端緒でございますが、これは会計実地検査の際、タンクの底面の構造について説明を求めましたところ、設計担当者と積算担当者の説明が食い違っておりました。設計担当者の方はアニュラ板を使用した一重のものであると説明したのに対しまして、積算担当者からは底板とアニュラ板の二重構造であるという説明を受けました。そこで、この食い違いに着目しまして図面を精査しまして工事の施工現場を確認しましたところ、タンクの底面は図面どおり鋼板一枚で施工されていたものであります。このようなことから積算全般についてさらに検査を進めましたところ、鋼材の価格や労務単価などについても適切でないものが認められたわけでございます。  以上です。
  91. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先ほど答弁ありました主計局の次長さんですか、決算の責任は大蔵省にあるんでしょう。
  92. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) ちょっと今条文が見当たりませんけれども、各省各庁の長が決算を行う、それを大蔵省の方に送付をしていただく、それを会計検査院に送付、あるいは国会に提出をする、そういった仕組みが基本的な形でございます。
  93. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 要するに、内部監査の観点を先ほど私お伺いしましたが、その内部監査の観点についてあなたのお答えはどうも不正事項とかそういうような、そしてそれぞれがやるということなんですが、このミスのようなものは内部監査対象にはならないんですか。
  94. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) 具体的に内部監査というものは、先ほど委員質問がございましたけれども、どういったことを目的としているかということでございます。  これを大蔵省の例にとって申し上げますと、大蔵省組織令あるいは大蔵省会計監査規則というのがございまして、そこにおきましては、「予算の適正かつ効率的な執行、会計事務の刷新改善及び会計事務に係る違法又は不当な行為の防止に資する」ことを目的として内部監査を行うということになっておりまして、そういう意味では、かなり広範にわたって監査が行い得るというふうに理解できるというふうに思います。
  95. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 防衛庁にお尋ねしますが、これは防衛庁としては、私は本来なら内部監査で、会計検査院から言われぬでもちゃんとすべきだと。今言われますように、大蔵省の方も適正かつ効率的な予算の執行と、こういうことが言われておりますから当然防衛庁もそうだと思うんですが、この点は防衛庁の内部監査でこういうものは当然対象になっておるのかどうなのか。
  96. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) お尋ねの、防衛庁における会計監査でございますけれども、これも大臣が定めました訓令で、監査の内容としましてはかなり広範に実施することになっておりまして、会計経理の合規的執行、予算の効率的執行、不正または不当経理の防止、国の財産の適切かつ効率的な管理運営の確保会計処理に関する誤謬、非能率等の是正及び改善、会計経理に関する組織及び制度改善というようなことを目的として行うということでございまして、当然、先ほど会計検査院の方から御報告ありました海上自衛隊のタンクの補修の関係についても、みずから調べる対象にはなっておるわけでございまして、たまたま残念ながらまだこの契約時の審査を海上自衛隊としては、これは一月時点においてわかったわけでございますけれども、五月時点に前年度の監査をするという仕組みに考えておりまして、毎年その時期にやっておりましたので、この時期、ちょうど一月の時点に、会計検査が行われた時点で会計検査院の方で先ほどの経緯によりましてお調べいただいた、こういうことが経緯でございます。
  97. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 では、会計検査院指摘をするより後にやったから結局わからなかったということで、こういうようなケースは、おたくの内部で先にやっておればこの問題はわかっておったということですか。
  98. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) これは、わかっておったかどうかは五月の時点にならないとわからないわけでございまして、ただ、そういうものも対象でございますから、調べた結果わかったということもあろうかと思いますし、全部わかってしまえばその後、事案というものは全く起こらないわけでございますけれども、やはり数少ない人数で監査をしておるというようなこと、物品あるいは契約等についても自衛隊の場合量が大変多うございますから、全部が全部わかるというわけにはなかなかいかないというようなことで、この件が五月時点でみずからの監査でわかったかどうかということについては何とも申し上げられないわけでございます。
  99. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 いや、答弁を聞いておりますとね、ニュアンスとすれば、こういうことは内部監査を先にやっておればそんなことはわかる可能性が強いというような、そういう事例というのは今まで防衛庁の中に、こういうような要するにミス、そういう内部監査事前にわかったケースというのはたくさんあるんでしょうね。
  100. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 防衛庁の監査体制というのは、それぞれの自衛隊が全体で約二百数十名の人員を擁して監査を行っておりますので、その案件によるわけでございますけれども、わかる可能性は大いにあったというふうに考えておりますけれども、それは五月時点になってみなければわからなかったということでございまして、わかる可能性もある。したがって、非常に内部において単純なミスとかそういうようなものが発生したときにその監査で是正を図るというようなことは多々あるわけでございます。
  101. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 そこまで言われますといろいろと反論したくなるんですが……。  本件に入りますが、本件のミスというのは、私は非常に単純なミスであるのかあるいは意図的であるのかこれははっきりしないんですが、大体見積もりでちゃんと図面で出ているもので計算をして、その予定価格を出して業者と契約をするものが、これが見積もりと違って二つ底を重ねるような形でやっているような内容なんですね。こういうことがどうも日常に起こっているのではないか、今のあなたの感じでいきますと。一体単純ミスなのか意図的なのかわからない、こういう問題は。いかがですか。
  102. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) 今回の海上自衛隊の事案につきましては、これは意図的なものでは全くございません。単純ミスと言うと語弊がありますけれども、設計図を見誤りまして、設計図では一枚底でよろしいとなっておるところを二枚底にして計算した。それから労賃の単価を海上自衛隊が指定された単価を使わずに前年度のものを伸び率を掛けて使ったというようなことであります。  そういうことで、決して意図的なものではない。しかし単純ミスと言うにはややその仕事に対するふなれがあった。と申しますのは、人的な面から申しますと、この担当者がかわって、こういうような工事契約に携わるというのが、研修は受けたわけですけれども、かわってから非常に真近かったというようなこと。それから若干言いわけじみた話になるんですが、海上自衛隊の契約件数が年末、十月から十二月というこの時期に約三千件ほど集中しておりまして、この処理で非常に多忙な時期であったというようなこともありましてこういう間違いを犯したということであって、決して意図的なものではなかったということでございますので、御了解をいただきたいと思います。
  103. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 専門家が図面を見間違って二重底にしたり、そういうことは幾ら叩いても――あなたはその責任者でしょう、経理局長は。しゃあしゃあと答えていますが、こういうことは会計検査院がやらなくてもおれのところで先に見つけているかもしれないということを言っておって、反省の色もない。  防衛庁長官、こういうような指摘事項に対して、我々はこれは氷山の一角だと思うんです、防衛庁の中でやっているのは。あなたも昔は大蔵省の専門なんだが、一体こういうことは起こり得るんですか。
  104. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) ただいま御指摘の件につきましては、基本的に大変残念なことであると思っております。起こり得るかという御質問でございますが、現実に起こったわけでございまして、これは弁解の余地も何もないわけでございます。したがいまして、私どもとしてはまずこのようなケースが起こらないようにいかにやっていくべきか考えるべきだと思います。  先ほど経理局長からも答弁申し上げましたように、決して意図的なものではなかったようでございますけれども、しかしこれは単純ミスと言うわけにはまいりません。個人としての担当官の資質なり、あるいはその職務に取り組む姿勢もございますでしょうが、さらに申しますならば、防衛庁全体としての会計処理なりこういった契約事務についての処理のシステム、やり方というものについても、やはり従来にも増してこれでいいのかどうか検討を加えなくちゃならぬ、このように考えておるわけでございます。  内部監査につきましても、個々のこういった不適切な事案を見出すということも大切でございますが、それと同時に、会計処理等がより適切に行われるように制度その他の面についても改善を加えていくために常に検討していかなくちゃならぬ、こういうことでございますので、今後ともこういった事案が再発しないように努力してまいりたい、このように考えている次第でございます。しかし決して氷山の一角というようなものではない、このようなことがたくさん起こっているということではないと考えております。
  105. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 どうもあなたも反省の色がない。今度防衛庁の決算のときに時間をかけてこれはやるべき問題だと思います。  少し観点変えますが、会計検査院も少しこの点については踏み込みが足らないし、公取はもちろん担当ですから、踏み込みが足らない。例えば米軍の基地の工事発注にかかわる談合問題、この問題と関係して、決算のあり方についてちょっと申し上げたいと思うんです。  一つは、横須賀のときには星友会という組織をつくって談合をやっている。それから、横田基地ほか通信の関係についてはかぶと会という組織をつくって談合をやって、結局アメリカ政府からこれは談合の疑いありだということで、四十七億円で和解をしておる。それから、公取は課徴金を二億七千方ぐらい両方ともかけている。こういうように全般的に見ますと、米軍だからこれは出たのであって、我が防衛庁あるいは防衛施設庁等の発注する工事における日本の何々会なんかをつくってやっているものについては、果たして言われるように経済性の観点から、決算で言われますと今大臣が金の使い方なんというのは自信を持っているような言われ方をしたが、一体そういう点については自信を持てますか。どうですか、大臣。
  106. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) 私どもといたしましては、予算の執行あるいは会計の処理あるいは契約の締結等々につきましても、諸法規にのっとりまして適正に行うよう常に努力を重ねているところでございます。
  107. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 法律に合っておれば、そのすれすれのところをいっていればいいというものじゃない。談合をどんどんやっていてそれで済むような問題じゃない。それは今後の問題として時間をかけてしっかり議論をしていきたいと思いますから、反省をしていただきたいと思います。  この問題、さらにもう一つ特徴的なのを言いますと、東京大学の職員が出張旅費を水増しして別に使っているという報告指摘をされておるんですが、これは簡単に言うと一体どういうことですか。
  108. 澤井泰

    説明員(澤井泰君) 御説明いたします。  東京大学の教養学部及び同物性研究所におきまして旅費の架空経理が行われておりました。これは架空の名目による出張命令伺い、旅費請求書等の関係書類を作成するなどの方法によりまして、出張の事実がないのに出張したこととして不正に旅費を支払っていたものが物性研究所において二十三件百四十二万円、教養学部において二十四件百六十二万円ほどありました。  さらに、出張日数をつけ増しして不正に旅費を支払っているものが物性研究所で八十七件八十三万円、教養学部で十五件二十一万円ほどございました。これにつきましては、昨年の今ごろちょうど院外から再三にわたる情報提供がございまして、その内容も非常に具体的だったこと、それから年度末の入学試験と重なるような時期で出張などは考えられないような時期に多数の出張を行っていたことなどから、昨年の会計実施検査の際、出張の目的、用務先、宿泊先等につきまして事実関係を詳細に調査しましたところ空出張の事実が判明したものでございます。
  109. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 文部省、内部監査をもし先にやっていれば、これはわかっていたんですか。
  110. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) お答え申し上げます。  文部省では、会計課の職員が一部の国立学校等に出向きまして収支の決算、物品あるいは旅費等につきまして毎年度定期的に監査を行っているわけでございます。しかし、六十三年度それから平成年度、いずれも文部省の方から東京大学には実地監査に行かなかったわけでございまして、そういう点で見つからなかったわけでございますが、この種の旅費の問題については、内部の監査で見つけるというのはなかなか困難ではないかというぐあいに考えられるわけでございます。
  111. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大蔵大臣、予算の執行責任者として、各省庁ごとに内部監査をやっておりますが、少し大臣が中心になってこういう内部監査体制もしっかりしないと、これはうまくいかないと思う。国民の貴重なお金ですから、その点について、文部省は特に、私も一度新潟大学の磁気共鳴装置ですか、その問題も取り上げたことがあるんですが、会計検査院はよくあれを見つけたと思っておるんです。そういうことが次々にあるんですが、大蔵大臣、内部監査体制を大蔵省が中心になってもう少しやるつもりはないのかどうなのか。
  112. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、率直に申しまして、今の委員の御指摘を伺いながら、各省庁それぞれの検査体制充実することは必要だと思いつつも、大蔵省が中心でと言われるところには法的に見ても無理があるなと感じております。そして、各省庁の予算の執行はそれぞれの省庁の御責任でありますから、それを越えて、予算査定当局としてこの監査をみずから行う、あるいは強要するというところには法的に無理がありましょう。  ただ、きょう官房長官もおられるわけでありますし、私どもなりに今まで会計検査院から御指摘を受けました事項については、事務連絡その他さまざまな局面を通じて、各省庁の事務が同じミスを繰り返さないことを願いながら御連絡をしてまいりましたけれども、同種のミスが相次いでいるということも事実であります。こうした点につきまして、あるいは例えば官房長官のところから閣議においてそれぞれの省庁における内部監査体制の整備をもう一度点検するような御要請をいただくとか、そうした手法は私なりに工夫してみたい、そのように考えております。
  113. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間が来ましたから、たくさん通告しておりましたがこれで終わりますが、官房長官、今大蔵大臣の言われたような方向でぜひ取り組んでください。
  114. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  115. 及川一夫

    委員長及川一夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  116. 種田誠

    ○種田誠君 私は、冒頭昭和六十三年度におけるLODAの件について、若干質疑をしたいと思います。  昨日の千葉委員、本日午前中の渕上委員からも、ODA検査に関しては詳細な質疑がなされてきたわけでありますが、六十三年度におきまして、ODAKにして、特記事項という形ではありますが、検査の目が入ったということに関しては、私も会計検査院の皆さん方の御努力に敬意を表するところであります。しかし残念なのは、ODA予算が極めて大きな規模になり、今日世界一であると言われているわけでありますが、この検査調査はまだまだ不十分であって、国民においてODAに関するもやが晴れたとは言えないという現状にまだあるということであります。  そのような中での今回の検査に関しても、一つ問題点が大きくあるのは、せっかく特記事項として指摘しておきながら、問題の発生した国名、事業内容、プロジェクト内容ですね、そして問題点等、具体的に提起がなされなかったことであります。このことは、会計検査院の立場にして言わせれば、ODAの実行は相手国主権に基づくものであるがゆえに調査という限界がある、しかも主権侵害という限界があるということから困難だという回答があるかと思いますが、そうであるならば、もう既に一九八二年より行っている外務省事前事後の評価、さらにはその他の省庁における評価などに関しても、外国の国名や事業内容なども明記されて評価がなされてきているわけでありますから、じゃそのことは相手国主権の侵害にならなかったのか。そしてまた調査限界を超えていなかったのか。そういうふうなことが、国民の立場に立ってみれば、ややもすれば会計検査院の弱腰、こう見えてしまうのではないだろうかなと思うわけであります。  そういう意味で、きょうの質問の冒頭、会計検査院のこの特記事項の表記の仕方における問題点、今後の課題などについてお答えを願いたいと思います。
  117. 安部彪

    説明員安部彪君) 会計検査院といたしましては、政府開発援助につきましては国民関心も高くて援助額も年々増加しているところでございますので、鋭意その検査に取り組んできているところでございます。  先生質問のように、平成年度中に実施いたしました検査及び調査の結果でございますが、援助対象となりました機材等が十分に稼働していなかったり、機材の一部が長期間未利用となっていたりしている事態が見受けられたものでございまして、これらの事態につきましては必ずしも直ちに改善の処置が図られるものばかりではございませんけれども政府開発援助は今後とも引き続き実施されることが見込まれますので、これらの事態にかんがみまして、今後とも政府開発援助がより効果的効率的に実施されることが望まれるということで、特記事項として問題提起を行ったものでございます。  これらの事態につきましては、午前中に院長からも答弁申し上げましたように、主として相手国の内貨不足等のいわゆる相手国の事情によるものでございまして、我が国援助実施機関において必ずしも不当事項とするに足りるほどの違法、不当な事態とは言えませんし、先ほど申し上げましたように、直ちに改善の処置がとられるものとは考えられませんので、特記事項という形で問題を提起したということでございます。
  118. 種田誠

    ○種田誠君 外務省の方にお伺いしたいと思いますが、外務省の方では、先ほど申し上げましたように八二年度から実施しております評価報告書、ここには具体的な国名や事業内容、さらには問題のあった場合の原因、対策、そういうことも表記していると思うんですね。これはどうして会計検査院ができなくて外務省はできるんでしょうか。
  119. 橋本宏

    説明員橋本宏君) 会計検査そのものは、日本の国内法でございます会計検査院法に基づきまして法律に定める会計の検査を行い、その適正及び是正を図るものでございます。  外務省実施しております経済協力というものは、世界援助をしている国が一般的に行っているものでございまして、その国に、検査等に関連する法律の有無にかかわらず、経済協力の効率的実施ということで当然やるべき分野のところでございます。  我が国につきましても、経済協力は年々これまで予算をふやしてきていただいておりまして、その効率的な執行というのは極めて重要であるということから、外務省におきましては、委員指摘のように評価というものをみずから行い、そこで得られたいろいろな知識等をまた将来に向かって活用し、またそのときに問題点等が出た場合には、相手国と話し合いの上必要な措置をとる、それからまた、日本国民の方々にどのような協力をやっているかわかっていただくためにも報告をしている、そういうものでございます。
  120. 種田誠

    ○種田誠君 その趣旨はよくわかりますけれども、私が問題提起しておるのは、会計検査院特記事項という形での指摘にしても、より具体的に国名や事業内容、さらには原因や対策や、そういうこともはっきりと明記した上で今後対応していただきたい。主権の問題、調査限界の問題、これはもう前から何回も何回も国会で議論されていることであります。しかし、そのことが大変大きな課題になっているわけでありますから、もうそろそろ外務省検査院も、国民の視点に立ってODAを有効に使い、被援助国に対してもこれまた効率のよい妥当な援助効果が得られるような体制をつくるようぜひお願いを申し上げまして、この点についての質疑は終わらせていただきたいと思います。  そして、ODAに関してもう一点だけでありますが、きょうの午前中の質疑でもございました、まさにODAは、これからは人であるということが言われるわけであります。ODAの予算はここ数年の間にものすごい倍率だと思います。それに対して、そのODA実施に見合う人的なスタッフですね、この増加は極めて僅少であるというふうに伺っているわけであります。そういう中で、JICAの方においても、さらには現地において指導、担当なさっている民間の方においても、これまた大変な負担になって、このODAの適正な執行がなされていないということを私はアジアの国々を回りながら端的に伺っているわけであります。  そういう意味で、今の政府の方針からいえば人をふやすということは極めて困難な実情かと思いますが、これだけODA予算が大幅に急激にふえた以上、人的なスタッフの確保ということをしておかないと果たして適切な運用ができるのかどうか、その辺のことに関して外務省の方の御見解を賜りたいと思います。
  121. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 委員指摘のとおり、ODAが十分その目的を果たすための人が不足しているということは私もかねてから申し上げているとおりでございますが、先般、JICAの本部に参りましていろいろと実際仕事をしている人たちにも話を聞いてみますと、同様なことで、やはりどうしても金額増に見合った人員増をしなければならない、これはもう絶対的な必要条件になりつつあるということを率直に申し上げなければならないと思います。  ちなみに、援助額を八九年で見ますと日本は約九十億ドルの援助でございましたが、それを処理する人間は一九八九年現在で千五百九十四名。アメリカが八十七億ドルで三千五百二十六人の人員を持っております。英国は約十九億ドルで千六百人、カナダが約十九億ドルで千二百六十四名、西独が約五十億ドルで四千二百七十六名、こういうふうな実際作業する人間がおりまして、これで考えてまいりますと、一人当たりの援助実績というものは非常に大きな差異が出てくる。日本の場合は八九年から九〇年までで五百六十二万ドル、米国は一人当たりの処理金額が二百十七万ドル、英国は百六十二万ドル、カナダが百八十万ドル、西独が百十六万ドル、こんなようなことになっておりますので、きょうは大蔵大臣も御出席でございますが、ぜひひとつ明年度の概算要求では、国民の貴重な税金が国際協力の面でその目的が十分果たせるような人の確保を私どもぜひ大蔵省にお願いをいたしたいと考えております。
  122. 種田誠

    ○種田誠君 私が質問する前に大蔵大臣が首を横に振られてしまったので残念なんですが、まさに今外務大臣が述べられたとおりだと思うんです。今本当に日本ODAを被援助国の皆さん方の目的にかなうような援助たらしめるためには、人的なスタッフをどう整えていくかということだと思うんです。私からもぜひとも、日本のアジアにおける途上国からの信頼を高めるためにも、大蔵大臣においてぜひ来年度予算においては高い次元での御決意をお願いをする次第でありますが、御見解を一言だけお願い申し上げます。
  123. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御意見は確かに拝聴させていただきました。そして、私は一般的に今外務大臣の言われたことを否定しようとは思いません。我が国が経済大国という名にふさわしい海外に対する経済協力を行う場合に、それだけの要員が必要であるということはそのとおりでありましょう。  ただ同時に、それはただ単に人の数をふやせばいいというものでないことも間違いがありません。そして、不幸にして必ずしも良好な採用状況あるいは活用の状況のないケースを私自身幾つか体験をしてまいりました。そして同時に、今後の日本海外に対する協力を行っていく場合の哲学が一体どうなのか。そして、我々が世界の中で責任を持たなければならない地域、補助的な責任を果たすことに徹するべき地域、そうしたものについてのルール、こうしたものを我々は知りたいと思います。また同様に、その必要な専門家は一体どういう分野の専門家であるのか。特殊語学の堪能な方を選べばよいのか、多少語学の点で不自由はありましてもそれぞれの分野プロジェクトに精通した人材を選ぶべきなのか。こうした点によっても私はその対応は変わると思います。  国民は、海外経済協力というものの実態についてさまざまな御批判をお持ちでありますと同時に、簡素にして効率的な政府を求めておられることも事実であります。そのはざまにおいて私どもがぎりぎりの選択を今日までもしてまいりました。今後ともそのような努力を続けてまいりたいと考えております。
  124. 種田誠

    ○種田誠君 まあ大蔵大臣の申されることも一方でよく理解できるわけでありますので、そういうことを理解した上で、なお一層の御尽力をお願い申し上げたいと思います。  次に、バングラデシュは、四月三十日夜十時らしいですが、来襲した風速六十五メーター、高潮が七メーターから十メーター、防潮堤にぶつかった波が竜巻のようになって五十メーター以上巻き上げたという、こういうふうなサイクロンによりまして、現在国土の三分の一が罹災をし、一千万人以上が大変な状態にあえいでいる。新聞発表では十三万九千人ほどが亡くなったということでありますが、現地の名誉領事の方などのお話を伺いますと、もっともっと膨大な犠牲者の方が発生しておる。ちまたでは既に五十万人とも百万人とも言われておる。そして、今もう既に一部においては、下痢を伴う大変な病気によって毎日のように子供や体の弱い高齢者の方が、聞くところによると二百人ほどが亡くなっている。そして、今雨季を迎えまして、これからコレラの発生が予想される。そして五月の十四日段階では、主要都市から数キロ離れた地点でもまだ人の死体も動物の死骸も混在のまま放置されておるという、こういう状態が今存在しているわけであります。  そういう中で、いち早く外務省において今般海外の国際緊急援助隊を出動させていただいて、バングラ政府からも切に要請されておった待望のヘリコプターも、いろいろ苦労をして解体の上般送したという大変な御努力があったことに対しては、バングラ政府のジア総理も国会議長も、皆さん感謝の念を持っておりました。私も十四日滞在しておったんですが、そのときに現地の大使館関係者の方や地元の方などのお話を伺いますと、このような大規模災害の中で、しかも首都から遠く離れた地における災害ということになりますと、多くの援助隊の皆さん方の受け入れは極めて大変なんだという話も伺いました。ホテルの準備もしなきゃならないし、食料の準備もしなきゃならないし、援助隊の方の輸送系統も確保しなきゃならないし、大変な人力が必要だというふうに伺ってもおります。  そういう意味で、今後も重要な局面にありますバングラデシュに対する積極的な国の支援をお願いするわけでありますが、冒頭、まず現状がどのようになっておるか、罹災状況について外務省の方における調査事項がありましたならば述べていただきたいと思います。
  125. 浦部和好

    説明員(浦部和好君) ただいま、先生直接現場で体験をされたお話なものですから、我々の持っておる情報も大体その線に沿うものでございまして、今回のサイクロンはまさに七一年にバングラが独立以来最大のものということでございます。  十一日にバングラ政府が次のような人的及び物的損害状況というものを発表してございます。死者の数が十三万八千八百六十八人、それから被災者総数八百四十万八千六百二十三人、被災家屋五十二万千三百六十五戸、被災農地、全滅農地が約二百三十三平方キロ、それから部分的被害を受けたところが二千九百八十七平方キロ、被災地域が十八県七十九郡に及びまして、これは全土の二〇から三〇%に当たるということを発表してございます。  以上です。
  126. 種田誠

    ○種田誠君 外務省におけるこの罹災発生後の今日までの支援状況、そしてとりわけ国際緊急援助隊の今日の活動状況について御報告していただきたいと思います。
  127. 浦部和好

    説明員(浦部和好君) 本件サイクロンに当たりまして、我が国は五月二日、二百万ドルの無償資金援助及び医薬品、浄水剤等六千八百五十万円、約五十万ドルでございます、相当の緊急援助物資の供与を決定いたしました。その後、被災状況に関するより詳細な情報が明らかになったことを受けまして、五月の十日に七百五十万ドルの追加無償資金援助を決定いたしますとともに、本年度食糧援助十五億円、約一千百万ドルでございますが、これを早急に供与すべく検討中である旨表明をいたしました。  また、十五日からヘリコプター二機及び要員五十名程度で構成される国際緊急援助隊を派遣しているところでございますが、その活動状況については経協局の橋本審議官の方から御説明をさせていただきます。
  128. 橋本宏

    説明員橋本宏君) 国際緊急援助隊の活動ぶりにつきましては、昨夜緊急援助隊の団長より公電が入っておりますので、それをもとにして御説明させていただきたいと思います。  まず、国際緊急援助隊は、現地におきまして関係国、関係機関との調整会議に積極的に参加して、その中で緊急援助隊としてやるべき任務というものを特定し、できる限り合理的な方法で活動を行っております。  かかる協議の場から出てきた具体的な案件といたしまして、ケアというNGOの団体があるわけでございますけれども、その物資をこの緊急援助隊が拠点としておりますチッタゴンからクドブディアという島に運ぶということで、輸送活動を開始しております。この物資自身は、乾燥米とかビスケット、栄養剤、生理食塩水、水浄化タブレート、毛布、そういったものでございます。こういったものをこの島に対して、東京消防庁及び大阪市消防局のヘリコプターによって運んでおります。  我が緊急援助隊のこういった活動に対する評価でございますけれども先ほど説明申し上げました調整会議に出ておりますバングラデシュ及び米軍の代表から、日本側がヘリコプターの供与をして輸送活動を始めたということに対して、まず歓迎を受けております。そのほか、現地を視察中のバングラデシュの外務大臣に対するブリーフィングにおきまして、アメリカ軍のスタッフポールという将軍及びバングラデシュのラーマン外務大臣、それぞれのスピーチの中で日本チームの来援に対する感謝及び歓迎の意が表明されております。  また、この島は上空から見ますと全島があたかも水面に浮いているように見えるようでございまして、わずかに一部が水面に顔を出しているだけである。そして上空から観察すると、家屋などに対する被害はチッタゴン北方よりもかなり大きいという、そういうところで我が緊急援助隊は活動しているわけでございます。ヘリコプターがその島に着いたときにはヘリポートの周辺に大勢の群衆が集まって歓迎をするという情景が見られているようでございます。  今後の活動に関連して調整会議の方では、現時点のニーズでは、全般的に食糧などの供給は確保されているということのようでございます。したがって、今のオペレーションの重点は井戸用の管や建設資機材等の重要物資の輸送に移っているということでございます。また、この関連で、日本の緊急援助隊に対しまして、医薬品及び医師の輸送ということが重要なのでその点をやってくれないかという要望が新たに参り、我が方といたしましては医薬品を主体にした輸送をするということを約束した次第でございます。
  129. 種田誠

    ○種田誠君 そうしますと、五十名の隊員の皆さんは全員チッタゴンの方に所在しておるのでしょうか。
  130. 橋本宏

    説明員橋本宏君) 当初、ダッカの地点にはいろいろ問題がございまして、種田先生現地に行かれたときにはチッタゴンへの輸送というのが問題になっておりました。しかしながら、本邦のある企業でございますけれども、その企業からの無償の提供によってランドクルーザー三台とバス一合が提供されました。それを使わせていただいてダッカからチッタゴンの方へ必要な物資の輸送をしております。また、現実に二台のヘリコプターは既にチッタゴンを拠点としてそこで活動をしているところでございます。
  131. 種田誠

    ○種田誠君 援助隊の皆さん方のまさに危険を冒しての活動に関しては、本当に心から敬意を表していきたいと思います。  問題は、今述べられたようにチッタゴンから食糧を運ぶという一つの形態が考えられている。次には、食糧が確保されたものですから新たに建築資材などをということでありますけれども、今回のバングラデシュのサイクロン被害に関しまして、日本以外の海外からの具体的な援助、これがどうなっておるか、手元に資料がありましたら述べていただきたいと思うんですが。
  132. 浦部和好

    説明員(浦部和好君) お答えいたします。  まず、お金あるいは物で出している部分でございますが、我々がこれまで確認しているところでは、アメリカが約六百九十万ドルの緊急援助表明、イギリスが約八百万米ドルの緊急援助、ドイツが約二百九十万米ドルの緊急援助、フランスが約八・八万米ドルの緊急援助と救済活動中のNGOに対して少々のお金を出している。それからサウジアラビアが約一億米ドルの緊急援助、ECが全体で約一千百七十二万米ドルの緊急援助で、内容が物資と食糧、それから中国が二百万米ドル相当の緊急援助、これは食糧、医薬品等、それからインドが約五十六万米ドル相当の救援物資、パキスタンについては金額等はちょっと把握しておりません。  それから、ヘリコプターの派遣等による救済活動実施についてでございますが、これは米国が、中東より帰還途上差し向けられた水陸両用タスクフォースの艦船七隻、ヘリコプター二十八機及び上陸用船艇十隻を水兵、海兵隊とともに派遣し、数百人が直接救済活動に従事しております。また、ヘリコプターについてはインドが六機、パキスタン、中国がそれぞれ二機派遣し、救済活動を行っておる。このほか、英国等のヘリコプターも既に活動中であるとの情報を得ております。  また、インド、パキスタンにつきましては、首相が既にバングラを慰問に訪問しておるというふうに承知をしております。  以上でございます。
  133. 種田誠

    ○種田誠君 まさに世界的な形での協力体制がとられているわけでありますが、むしろ今回の災害に関しましては、これからが大変な事態に向かっていく、とりあえず飢えをしのぐということが何とかできるという態勢が今ようやくできたということだと思うんです。まだ家もない、橋もない、道路もない、あらゆるインフラが欠落している、そういう状態の中で生活の立て直しということを行っていかなければならないわけであります。  聞くところによりますと、チッタゴンの港も大分船が沈みまして使用不能に近い状態になっておるということ、そしてまた、通信網も寸断されたままであるということ。こういうことになりますと、救援のあり方ということに関しまして、今回の五十名の派遣の方はまだまだ緒についたばかりだと思いますが、これまでの間において、外務省の方で大規模災害などにおいての国際的な緊急救助はどうあるべきかということに関する一つの意見などがありましたら述べていただきたいと思います。
  134. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 委員も御案内のように、国際緊急援助隊法を六十二年、国会に外務省が提案させていただいて御審議をいただきました際にも、自衛隊をこれに使ったらどうかという御意見もございました。しかし当時、まだこの問題はその当時の問題ではない。この問題は将来議論をするべき問題であろうという国会答弁が担当大臣からなされておるところでございます。  私は、今回の災害に当たりまして、まず最初に、ヘリコプターをバングラデシュ政府要請してきたときには、外務省としては海上保安庁のヘリコプターを出していただけないかということで実は内々折衝をいたしましたが、これも船に乗せて輸送するわけでございますし、まず日数がかかる。それから海上保安庁のヘリコプターは、パイロットを含めて四名しか乗員の枠がない、こういうことでございまして、実際に人及び物を輸送する能力というものが非常に少ないということがわかったわけでございます。  そういう中で、次に、この国際緊急援助隊法のいわゆる法律の枠内で委託、委嘱できるところはどこかということでございますと消防庁、こういうことで、東京消防庁とそれから大阪市の消防局、これがヘリコプターを持っているということがわかりました。これが一機当たり十二名人が乗ることができる。こういうことがわかりまして、当時この緊急援助隊でバングラ政府要請においてヘリを出すということが考えられるようになってから、現実にそれが実施できる段階まで約十日ぐらいの日数がかかったわけでございますが、幸いジャンボの貨物機が手当てができましたので、それで船便よりも早くヘリコプターが現地に到着して現地の被災者の方々にお役に立つという状況が出てきたわけであります。  けさ、大阪市の市長さんがちょっとほかの案件で来られましたときに、私は外務大臣として、大阪市の消防局のヘリコプター提供、供与にお礼を申し上げた。ところが市長さんは、こういうときはやっぱり自衛隊のヘリコプターが使えないんでしょうか、こういうお話がございました。大阪市にとってみると、市民の火災からの保護について、やっぱりヘリコプターというものを絶えず確保しておく必要があるのであろう、こういうふうに私は感じました。  やはり自衛隊が、現在陸上自衛隊、海上自衛隊合わせると七十機近い大型輸送のヘリがございまして、そういう意味では、こういう事態になって自然災害でにっちもさっちもいかないと、その国の政府機材あるいはそういう人間の輸送のためにヘリを要請した場合には、日本国としてどう対応するかということをこういう事態を踏まえて御議論をいただかなければならない事態になってきたと私は思います。  日本がそういう能力も経験も持たずに存在している国家であれば話は別でございますけれども、国内の災害出動をして多くの国民、多くの地域の方々が今まで自衛隊の災害救助で助けていただいておられるわけでございますので、国民からも高い評価を受けておる。こういう状況の中で、能力を持ちながら国際的な協力をしないということについての国際社会における考え方というものが、日本に対してどういう判断をされるかということについても、委員みずからがバングラデシュへ行ってこられて、いろいろと現地をごらんになっていただいた上でのきょうは御質問でございますので、外務大臣として率直に、日本の国の立場からこの問題をどのように考えるべきかということを改めて御議論いただきたいとお願いをいたしたいと思っております。
  135. 種田誠

    ○種田誠君 率直に申し上げまして、私も日本の自衛隊が持っている、例えば道路をつくったり橋をつくったり電柱を仮設したり、まさに災害の復旧に対する技術、能力、団結力、しかもみずからの自給自足態勢で行うという、こういうことに関しては高い評価を私もするところであります。問題は、日本のこれまでの政治の中における自衛隊の存在に対するもろもろの考え方がございますので、にわかに自衛隊の海外派遣というのは、これは困難なことだろうと思うんです。むしろ、国会において真剣な議論をした上でこれは対応していかなければならないものだろうと思うんです。  私、当面この国際緊急援助隊の中に、これはもう実はきょうあすを争うようなバングラデシュの復旧の事態でありますので、例えば自衛隊で訓練をして技術を身につけた方々、そして自衛隊を今退職なさっている方もたくさんおられると思うんです。私はそういう方々が、日本においてひとつ国際的な救助活動などに関しての日ごろいわゆる登録などをしておかれて、国際緊急援助隊として消防の皆さんや警察の皆さんとともに行動ができるようなこういうふうな方向ならば、何か私は直ちに国民の合意も得られるんじゃないかなというような気もいたすわけであります。  いずれにしろ、私率直に申し上げまして、今回のバングラでの被災を現地の方の声として聞きまして、一番大変なのは、たくさんの援助隊の方が来てくれれば来るほど、その方たちの宿の問題、食料の問題、いわゆる搬送の問題、これが一番頭が痛いという。このことは、私たち援助隊を送る上で真剣に考えなきゃならないんじゃないかなと。それに対して、これはいい悪いは別にして、アメリカは八千五百人の海兵隊が行っているわけでありますが、海兵隊は野営をしているわけですね。そういう意味で、いい悪いは別にして、この辺の問題点を踏まえて、私は国際緊急援助隊のあり方というものに対しても、外務省の方におきましても早急に新たな提案の上、国会で審議ができるようにしていただければ幸いだと思いますが、その点に関する簡単な外務大臣のコメントなどいただければ幸いでございます。
  136. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今委員から現地状況を踏まえて、例えば人が来た場合にその人たちの宿舎の問題あるいは輸送の問題、現実的なお話をいただきまして私も大変参考になりました。  実は、私もこの問題を非常に、昨年のサウジアラビアにおける医療隊の派遣以来、日本の国際協力をどうするかと、医療部門においても。いろいろ検討いたしておりまして、最近、一般国民にこの国際緊急援助隊に応募をしていただけないかということをテレビのスポットとか週刊誌等でお願いをいたしておるわけであります。そういう中で、この五月二十一日現在、応募された医師の方々十一名、それから看護婦、看護士が八十八名、調整員が百二十七名、二百二十六名の方が一応応募をされるということで申し込みがございました。しかし、今委員指摘のように、登録をするといたしましても、派遣前の訓練がどうしてもこれは不可欠でございまして、そういう訓練を六月十二、十三、十四日に受けていただくということで今やっております。これは衛生関係だけの問題でございますが、問題は、絶えずその機材の管理をどうするかという問題が国としての問題になってくるわけでございます。例えば輸送手段によりましても、大型のヘリコプターを絶えずだれが管理していつでも出動できるように維持できるのか。こういうことを考えてまいりますと、やはり国民が専守防衛であるというような立場で今日まで自衛隊を育ててきましたけれども、もちろんそれは防衛面においての専守防衛でありまして、この八十三条にも、自衛隊法には災害出動の規定がございまして、国内で出動できるように法律が規定されてございます。憲法の考え方の中でも、武力による威嚇または武力の行使を行うということをやらないということを規定しているわけでございますから、国際紛争の解決の手段としては。そういう考え方からいきますと、国際平和のために、相手国政府が自然災害によってその国の国民が大変な災害を受けている場合には、これに対応できる能力を持った日本が国際緊急援助隊法の一部改正をしてこれの対応ができるように努力をすることも十分これから検討しなければならないと言っておりまして、ただいま検討をいたしている最中でございます。
  137. 種田誠

    ○種田誠君 国会の方に提起していただければ、私どもも真剣に討議をしていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、直接サイクロンの被害の問題ではございませんが、実はこのサイクロン被害に対しまして日本のNGOがバングラデシュで大変な今努力をしております。一つ名前を挙げれば、シャプラニールという団体がございますが、この団体、実は日本が送っていただいた浄水器、これを日本大使館から十万個預かりまして、村々の家庭に一軒一軒配って歩いているわけであります。まさにこのようなNGOの方々の協力があってきめの細かい現実の救援活動が今なされているわけでありますが、私はその意味では、先ほど人的なODA充実を、さらにはNGOに対する御支援をということをつとに述べておるわけでありますけれども、ここで一つ大きな問題が今回わかったわけであります。  このシャプラニール、今政府の方の援助で年間三百万から四百万ほどの補助を受けているわけでありますが、この補助が実は最近において極めてNGOにとって難物になってしまったわけであります。というのは、NGOというのはそう大きな自己資金を持っておりません。日本援助金は補助率五〇%でありますから、自己資金の上乗せ五〇%という形でしか補助が出ないわけであります。このことのために、これは私は率直に申し上げておきたいと思いますが、残念ながら日本のNGOの中にも、自己資金量を水増しして補助金を確保しようという動きも最近生まれてしまったということであります。私が申し上げたシャプラニールは、もちろんそういうことは決して正しい道じゃないということで、歯を食いしばって頑張っているわけでありますが。  そこで今彼らが、NGOの多くの者が言うのは、日本の補助率も少なくともスウェーデン並みの、自己資金二〇%補助率八〇%、このぐらいの率に改善してもらえないだろうか。こういうことが、実際NGOとしてネパールやバングラデシュで、またその他の途上国で活躍している方々の切なる望みであると同時に、いわゆる不正な水増しなどをさせないためにも、ぜひこの点に関する世界の補助率などを御検討の上改善をしていただきたい、このように思うわけでありますが、1この辺に対する外務省のお考えを述べていただければ幸いだと思います。
  138. 橋本宏

    説明員橋本宏君) 今先生指摘のNGOの活動というものは最近本当に活発になってまいりまして、殊にバングラデシュにつきましても、今二十を超えるNGOが活躍していると承知しております。そういうNGOに対して我々もできる限りの支援をしていくということで、財政当局の御理解も得て、平成年度よりNGO事業補助金というものを一般予算に計上することができ、毎年これをふやしております。それからまた、こういったNGOの方々が現地で我々と一緒になって仕事ができるように、補助金というもの以外に小規模無償協力というものも予算上認めていただきまして、これを実施しております。  ただ、どの程度の補助金をNGOにするのかということにつきましては、先生、ここには相当の考え方の違いというものが関係者の中でございます。まず一つは、NGOの側から、自分たちは政府より独立してみずからの意思に基づいてやる、そういう意味で余り援助は受けたくないという方方もおります。それからまた、NGOの活動政府活動、それぞれ目的が一致する場合にはできるだけ日本政府から補助を受けたいというNGOもございます。それからまた、先生御案内のように、NGOの中には御指摘のシャプラニールというしっかりとした団体のほか、残念ながらNGOの名をかりましても必ずしも本来の目的に沿ったものでないものもあるわけでございます。  そういった中で、どのような方法で政府とこういったNGOがともに働いていくかということについては、つとに我々も頭を悩ましているところでございますが、我々としては、今の五〇%の補助によるというものがNGOの自主独立をも尊重しつつ、なおかつ政府としてそれに協力していくという一つの考え方ではないかと思っておる次第でございます。  それから、もう一つ問題となりますのは、先ほど違った案件につきまして外務大臣から御説明がありましたけれども、輸送費の問題でございます。日本においてNGOの方々がみずから集められたものを、これを相手のところに渡すだけの輸送費が欠けておるということで、そこら辺のことについても今後我々は考えていかなければならないと思います。ただ、バングラデシュにつきましては、今般ヘリコプターを二機チャーター便で運ぶ際に、余裕がございましたので、国際開発救援財団というNGOの一つに働きかけまして、その財団が送ろうとしておりましたクラッカー六百二十ケース、三万七千二百食分でございますけれども、これをヘリコプター輸送とともに送ったという経緯がございます。
  139. 種田誠

    ○種田誠君 ぜひとも、NGOによるODAというのはアメリカにおいても欧米はおいてもかなりの部分を占めているという現状にもあります。・日本も、必ず近い将来、私はそういう形での形態がとられていくのではないだろうかなとも予測もしておるものですから、NGOの充実というものを図ることも極めて重要ではないだろうかと思うわけであります。  その意味で、例えばアメリカなどにおいてはアメリカのNDI、NRI、IFESとかいう幾つかの民主的な団体が、政府と民間一体になって基金をつくって世界の民主化のための選挙監視活動などを行ったり、世界じゅうにNGOがまさに国民総出で参加しているというそういう状況があるわけであります。  日本においても、より多くの国民が国際協力に参加できるような、こういうふうな仕組みを外務省ども先頭になって検討していただいて、それを国民に提起していただいて、国民外務省が一体となって国際貢献ができるような仕組みをつくっていただきたいと思うわけであります。  そういう中で、一点だけ今後のODAの中において考えていただきたいのでありますが、今アジアにおいては大きな民主化の流れが起こっております。各所で民主的な選挙が行われております。そして私は、これらの選挙の上に、さらに民主的な国家をつくるためには、途上国やアジアにおいては識字率が極めて低いわけであります、識字率が低い国で、どうしたら国民世界の正確な情報を得ることができるかという、このシステムをつくり上げることじゃないかと思うんです。そのためには私は、電気の供給ではないだろうか。字が読めなくてもラジオは聞ける、テレビは見ることができるわけでありますから、そのことによって、多くの国民世界の情報を得ることによってみずからの存在を自覚し、みずからの国の民主化のためにさらに立ち上がっていくという、こういうシステムを日本援助の中でぜひつくり上げてい‐ただきたいと思うわけでありますが、そういうことに関しまして最後にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  140. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 昭和六十三年度平成年度の経済、財政運営について、きのうから野党の諸先生方から厳しい御批判が出ているところでございますけれども政府・自民党としては、一謙虚に反省すべき点は反省しなければならない、こう思います。しかし、両年度の経済、財政は、基本的には私は順調であった、こういうぐあいに思います。  両年度の経済は、物価の安定の中で六・〇%及び六・九%の経済成長を達成しておりまして、そのために失業率も下がり、摩擦的な失業を残すのみとなっております。また、内需拡大という国際社会からの要請にこたえております。一方、財政面でも、特例公債からの脱却という財政再建がほぼ達成できたのもこの年でありました。また、この両年を振り返ってみますと、東欧経済が破綻をし、社会主義経済の失敗が表面化した年であります。もし日本の自由主義経済がそういう自由主義経済の牽引車になっていなかったならば、私は、世界同時不況という最悪のシナリオの危険もあったのではなかろうか、こういうぐあいに思っております。  時間の制約のため、私は一問一答はいたしませんけれども世界全体の中での日本経済の位置を考え、また当時の政策課題が雇用の安定、内需拡大というものであったことを思い起こすならば、政府・自民党の政策運営は十分にその課題にこたえたものである、こういうぐあいに思っております。  平成年度から高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランが開始をされておりますけれども、せんだって、厚生省は看護要員人材確保法、これは仮称でありますけれども、これの制定を目指し、八月の概算要求に向けて準備をし、法案づくりに着手していると報道されております。私は、この厚生省の大きな政策であるゴールドプラン、中でも在宅ケアの充実に当たっては、何といってもマンパワーの確保が不可欠である。最近は新聞、テレビ等マスコミで看護婦不足の実態が大きく報道されて国民の大きな関心を呼んでおりますけれども、看護婦とともに忘れてならないのはPT、OT、ST、いわゆる理学療法士、作業療法士、言語療法士、コメディカルの方方のことでありますけれども、こういうPT、OT、STに関しては、看護婦不足と同様に非常に目を覆うばかりの状態にある、私はこういうぐあいに思っております。  それで私は、現在我が国に就労しているPT、OT、STの数は何名であるか、またPT、OT、STの養成施設数と年間卒業者の数をお伺いしたい。
  141. 長谷川慧重

    説明員長谷川慧重君) お答えいたします。  平成二年の十二月末現在の、いわゆる先生お話しのPT、OT、STの免許の取得者の数でございますけれども、理学療法士が一万三十五名、作業療法士が四千六百八十九名でございます。それからいわゆるST、言語聴覚療法士につきましては、現在のところ資格制度がないために数は明確でございませんが、関係団体の会員数等から見ますと大体千五百名から二千名ぐらいというぐあいに見込まれておるところでございます。  それから、養成状況でございますが、平成三年の四月一日現在におきまして、理学療法士につきましては養成施設が四十九校、年間養成数が千百二十五名でございます。それから作業療法士につきましては、養成施設が三十三校、年間養成数が七百名でございます。それから言語聴覚療法士につきましては、申し上げましたように資格制度がないためになかなか把握は難しいのでございますが、現在厚生省で把握いたしておりますものといたしましては、養成施設が六校、年間養成数が百八十五名というぐあいに承知いたしております。
  142. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 ただいまの局長の御説明だけでははっきりした比較が出てこないので、私は、最もそういう在宅ケアの進んでいるデンマークと日本のPT、OTの比較をひとつお伺いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  143. 長谷川慧重

    説明員長谷川慧重君) 先生御存じのとおり、国によりまして高齢化の程度なりあるいは医療制度等が必ずしも同一でないために、単純にその数字だけを比較するということは非常に難しい問題でございます。ただ、先生からお話しございましたように、関係団体の資料によりますればそういう単純な比較というのはそれなりにできるわけでございますので、その数字を申し上げたいと思います。  デンマークにつきましてはかなり他の欧米諸国と比べますと数が多いような状況にございますけれども、一応理学療法士の数を対人口比率で見た場合におきましては、デンマークは国民九百人当たり理学療法士一人、日本国民一万二千人に対して一人という形になっております。それから作業療法士の場合につきましても、対人口比率で見た場合におきましては、デンマークは国民千六百人当たりに一人、日本は二万六千人当たりに一人という形で、数にはかなりの差がございます。ただ、申し上げましたようにデンマークはかなり高い数の人々が養成されているところでございます。それから言語療法士につきましては、資格制度がないためにちょっと比較ができないという状況にございます。
  144. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 私の数字では、デンマークが五百五万で兵庫県が五百三十五万人です。PT、OTともデンマークは日本の十倍という統計が出ております。  それで、我が国のこういう状況、寝たきり老人が六十万人とも七十万人とも言われていますけれども、本当の寝たきりは二十万人で、あとは仮性寝たきり、すなわちOT、PT等の不足その他の諸条件の整備がおくれているために寝たきりにさせられているんだと。言葉は非常に悪うございますけれども、いわゆるつくられた寝たきりという報告がなされております。また、学会の発表等を読みますと、PT、OT、ST等のマンパワーを十分に活用をしていくならば、現在の寝たきり老人は四分の一に減っていくだろうと、こういう報告もあります。  それで、ゴールドプランも開始をされて今後病院とか老人保健施設とか特別養護老人ホームあるいはデイケアあるいはショートステイ等のこういう福祉施設、身体障害者施設でもますますその需要は高くなっておりますけれども厚生省の調査では、現在のPT、OT、ST等はそういう需要に比べて幾らぐらい不足しておるのか。またもう一つは、ゴールドプランの完成がたしか平成十一年だろうと思いますが、その間に需給関係がどういうぐあいになっていくのか。また、ちょっと前後しますけれども、現在までに不足を来している要因はどこにあるのか。  実際に、私がここで数字を読み上げてもはっきり御理解いただけないかもしれないんですが、実際に老人保健施設に行ってもPT、OTがいない、それから特養に行ってもいない、あるいは整形外科の専門の病院に行ってもいない、あるいは各市町村立の身体障害者の施設に行ってもいないという、非常に惨めな状態にあるから私はそういうことを申し上げるんですけれども、今の三点に関して。
  145. 長谷川慧重

    説明員長谷川慧重君) PT、OTの養成につきましては、従前からその需要を見込みながら養成計画等を立ててまいっておるところでございます。現在あります計画は六十三年に見直しをした計画でございまして、これによりますれば、平成年度におきまして理学療法士が約千二百名、作業療法士が約四百名ぐらい不足しておるという状況にございます。これは六十三年に立てた計画でございまして、その後、先生からお話しございましたように、いわゆるゴールドプランの作成等によります高齢者保健福祉十カ年戦略等の推進によりましてさらなる需要が増しておるというぐあいに思っておるところでございます。  そういうことで、平成十一年度の不足見込み数につきまして今いろいろ調査中でございまして、その調査の結果を踏まえまして新たな需給計画を立ててまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。そういう面で、新たな需給計画を現在作成中でございますので、その計画を立てた上でこれから必要な養成数の確保を図ってまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。  それから、不足の要因でございますが、お話がございましたように、高齢化の進展に伴います老人保健施設や特別養護老人ホーム等の整備、あるいは在宅サービスの充実などによります需要増、あるいは医療の高度化によります医療の需要増というようないろいろ要因がありまして、そういう要因によりまして現在不足しておるという実態にあるというぐあいに承知いたしております。
  146. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 二十一世紀の高齢化社会に向かって将来の需給計画、先ほどもちょっと述べられておりましたけれども、それをもう少し具体的にお話を拝聴したい。
  147. 長谷川慧重

    説明員長谷川慧重君) 医療の分野、それから先生お話しございましたように、保健福祉の諸分野にわたりましてOT、PTの需要に適切に対処するために、それらの分野におきます現状の把握あるいは今後の見通しといいますものにつきまして調査を行いまして、それを踏まえて、それからあと、いわゆるゴールドプランの計画等もにらみながら今後の需要供給計画を立ててまいりたいということで、現在内部でいろいろ委員会等におきまして審議を行っていただいているところでございます。その審議の結果を踏まえまして、新たな必要があれば新たな養成計画というものを立てていかなきゃならないというぐあいに思っております。  感じで申し上げますれば、現在かなり不足しているんじゃないかということで、そういう調査をしてこれからの需給計画を立ててまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  148. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 ただいま申し上げましたリハビリ関係のコメディカルの養成等に当たっては、当然予算計画といいますか、予算措置がなされるべきであると、私はこう思っております。と申し上げるのは、昨年度厚生省の予算では、看護婦対策に対しては、対前年度比で看護婦関係で三八%、厚生省全体のあれではたしか一三%ですか、そういう飛躍的な予算づけが行われたわけでございますけれども、私は、今申し上げたリハビリ関係のコメディカルの養成に当たっても対策費をきちっと、看護婦関係に負けないぐらいの予算づけを、今でも看護婦に負けておるんですけれども、負けないぐらいの予算づけをしていただきたい。この分はいろいろ今計画していることもあられると思いますから、私はあえて局長の答弁はいただきません。  私は、ただいまのリハビリ関係の養成の局長の答弁を踏まえて――今ヨーロッパから駆けつけてこられた下条厚生大臣の御苦労を多といたしますが、今の長谷川局長の御答弁を踏まえてどういう御所見を持っておられるか。と申しますのは、この在宅ケアの充実に当たってはスリーMが必要である。社会保障で、特に在宅ケアにはスリーMが必要である。ワンMはマネーである、もう一つのMはマインドである、最後のMはマンパワーだと言われているんですよね。それで、私ども調査をしたところでは、実際に現地に行ってみたら、北欧あたりでは、もうマネーもマインドもいいんだ、最も問題になるのは今後はマンパワーであると、こういうぐあいに言っているわけでございますけれども、そういうことも踏まえて厚生大臣の御意見を拝聴したい、こう思います。
  149. 下条進一郎

    国務大臣下条進一郎君) 先ほど来大浜委員からのお話がございましたように、高齢化社会がその度を進めておる今日、コメディカルの分野の人手が不足しているということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、理学療法士、作業療法士といったリハビリ関連職種の必要性はますます高まってまいると、このように認識いたしております。この点は委員指摘のとおりでございます。  このために、理学療法士、作業療法士の需給計画の見直しを今いたしておりまして、その結果を見た上で、養成施設の増加などを図るように努力してまいり、必要数の養成確保に努めてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。  また、委員指摘のありました言語聴覚療法士につきましては、現在のところまだ資格制度が設けられておりません。がしかし、今後関係者の合意を得ながらその法制化も検討をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  150. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 ただいま厚生大臣からありがたいお言葉をちょうだいいたしました。私は、このリハビリ関係のコメディカルの数も非常に大事だけれども、それ以上に大事なものは、看護婦関係の方々と同様に、質を高めることが大事である、こういうぐあいに思っております。  五月十七日でしたか、大学審議会が答申を出しておりますけれども、その答申によりますと、大学、短大の設置認可については、極めて必要性の高いものを除いて、大学、短大の学部、学科の新増設・定員増は原則抑制する、こういうことを言っております。また、極めて必要性の高いものについては新増設・定員増を認めることが適当ともつけ加えておるようでございます。このPT、OTの養成に関しましては、韓国とか台湾とかあるいはフィリピン等では四年制大学が普通でございます。日本では三年制の養成課程が通常になっております。アメリカ等では四年制、さらに大学院等もあるんです。  それからもう一つは、今そういう養成機関状況を見てみると、どうも医療関係、特に医療技術関係の方はいわゆる三Kという間違った考え方で若い連中が敬遠する傾向がある、特に月給が安いものですから。そういうことで、今でも看護学校も短大を目指す傾向が強い。それで私は、PT関係も三年課程、OT関係も三年課程だけれども、これはやっぱり質を高めるという意味も兼ねて、短大昇格ということを積極的に今から考えておかないと、せっかくの若手の人材がほかの産業、ほかの分野に流れていくおそれが十分にある、こういうことを思っておりますけれども、この今私が申し上げた現在の三年の養成課程、いわゆる専門学校制度を短大あるいは大学に積極的に推進をして質を高めるということに関して、厚生省はどうお考えでございましょうか。
  151. 長谷川慧重

    説明員長谷川慧重君) 理学療法士、作業療法士につきましては、数の確保とあわせまして御指摘のように質の向上資質向上というものが非常に大事なことであるというぐあいに私どもも思っておるところでございます。そういう面で、教育の課程におきましても資質向上を意図して、教育のやり方についてもいろいろ御検討をいただいているところでございます。  ただ、この養成におきましては、現在、お話しございましたように、養成所におきます養成といいますものと短期大学等におきます養成の道がそれぞれ設けられているところでございます。今後の需要に対応できるように、二つの方式によります養成体制の整備が必要であるというぐあいに現段階では考えておるところでございます。  ただ、先ほど先生お話しございましたように、大学審議会の答申におきましても、いわゆる看護職員を初めといたしまして医療技術関係者等特定分野の人材養成につきましては社会的ニーズの変化に適切に対応していくべきであるというぐあいに言われているところでございまして、理学療法士等のように社会的ニーズが大きいと考えられる場合におきましては、学部なり学科の新増設や定員増についても特別な配慮が必要ではないかというぐあいに私ども考えているところでございます。
  152. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 本日は文部大臣にもお越しをいただいておりますので、また文部大臣の御意見、御答弁もいただきたい、こう思うのでございます。  文部大臣も医学博士で、現在は医師はやっておられないんですけれども元医師で、医療界のそういう問題に関しましては非常に御関心の深いお方でございますので、私がただいま申し上げたコメディカルの質を上げるために、短大、大学等の新設あるいはまた増設等が私は必ず起こる、もう既に起こりつつありますけれども、そういうときに、せんだっての大学審議会答申が足を引っぱるような、あるいは抑制の方向に行くと、私は将来の日本の医療、福祉関係充実のためにはいかがなものか、こう思いますので、文部大臣のお考えを拝聴したい、こう思うわけでございます。
  153. 井上裕

    国務大臣井上裕君) 今、大浜先生と健康政策局長のお話を伺っておりまして、いわゆる大学審議会の答申をちょうだいしましたが、実は、御案内のように来年ピークに向かいます十八歳人口、これが大体二百五万、そして平成十二年、西暦二〇〇〇年には百五十一方と、実に五十四万のダウン、率にいたしますと二六%。ゆえに四分の一この人口が減る。こういう中で、今大浜委員の仰せのごとく、やはりこれからは量よりも質という教育をしなくちゃならない、こういう答申が第一に出ております。  そういう中で私どもも、原則的抑制の方向で臨む必要があると提言されておるわけでありますが、今言われましたように、答申で同時に社会的ニーズに応じた特定分野の人材養成に配慮する必要があると。これはどういうことかと言いますと、医療技術関係などのニーズが非常に高まっているそういう分野につきましては、今後とも社会的要請の変化等に十分注意を払う必要がある、私はこういう提言であったと、このように考えております。  したがって、文部省といたしましては、御指摘の理学療法士あるいは作業療法士、今岐阜を除いて二十二ございまして、そしてその中でこういう分野におきまして積極的に対応してきたところでありまして、今後とも厚生省側におきます需要の見通し、そういうものを十分踏まえつつ適切に対処してまいりたい。  なお、言語療法士につきましては、資格化の問題もありまして、今後におきます厚生省側の検討状況及び需給見通しも十分留意しつつ適切に対応いたしたい。  結論として、確かに十八歳人口が減るということで、大学そのものは量よりも質に十二分に注意をしなくちゃならない。しかし、今言うようにどうしても必要だというようなことに関しまして、今委員の仰せのようなことに関しましては、適時ひとつ私どもも一生懸命前向きで取り組みたい、このように感じております。
  154. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 今の文部大臣の御答弁は、短大あるいは大学への昇格に関しても、大学審議会の答申等を踏まえて、短大、大学昇格の場合もそういう点を考えていくという御答弁だと拝聴してようございますか。
  155. 井上裕

    国務大臣井上裕君) 今、御案内のように、大学は放送大学を入れまして五百八校、そしていわゆる短大が五百九十三校、その中で、先ほど私が申し上げました二十二の短期大学のうち十一が現在やっております。そういう中で、今の先生のお話のようなニーズにこたえて、ひとつもっとやらなくちゃならないのではなかろうか、このように考えております。
  156. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 どうもありがとうございました。  次は、PT、OT、STのリハビリ関係技術料の問題でありますが、寝たきりを予防して、早期退院、社会復帰を促すためには積極的にリハビリテーションをする、リハビリサービスをやるというのが原則でありますけれども、どうもサービスをやればやるほど採算が合わないという、全部ではございませんけれども、そういう矛盾した面があるので、私はその点についてお伺いしたい。  理学療法単価は安過ぎるという声があります。運動療法施設として承認された施設でも、六カ月以内で四十分以上で複雑な適用の場合には三千四百五十円、十五分以上の簡単なものは千四百五十円、それ以上は、十五分以上あるいは四十分以上は幾ら時間をかけても点数は同じだということ。それから承認をされていない施設では、複雑なものは千円、簡単なものは六百五十円、こういう状況です。また、それに水治療をやったりあるいは超音波治療をやったり、あるいはまた電気治療をやっても認められない、まあこれはいろいろ考え方があると思いますけれども。  また、ヨーロッパでは一日数回運動療法をやってもいい。それはスイス、ドイツ、オランダなど、運動療法二回、それ以外は一日一回。そういうほかの療法を実施して、理学療法士が技術料として合算されて取れるので一日に一万円までオーケーだと。こういうぐあいになっております。それで私は、厚生省の担当の役人の方にも、実際にそうなのかどうかヨーロッパを調査してくれ、こういうことまで申し上げております。  それで、次回の社会保険診療報酬の改定あるいはまた社会保険診療報酬体系の見直しの場合に、こういうようなものを十分勘案していただきたいと、こういうことであります。
  157. 黒木武弘

    説明員(黒木武弘君) リハビリテーション関係の診療報酬の問題でございます。  私どもも、委員指摘のように、医療におけるリハビリテーションの評価、これはますますこれからの高齢化社会等をにらみますと重要なことであると認識をいたしておるところでございます。御案内のように、これまでも患者の病状に合った適切なリハビリテーションが確保されますよう診療報酬上の措置を講じてきたところでございます。  具体的に申し上げますと、昭和四十九年には良質のリハビリテーションが確保されるよう、リハビリテーション施設のスタッフ、構造設備に係る施設基準を導入しまして、それ以降も所要の点数の引き上げを逐次行ってきたところでございますし、昨年四月の診療報酬改定におきましても、特に早期リハビリの重点的評価を行うという観点から、所要の点数の引き上げや加算の対象となる対象疾患の拡大等を行ってまいったところでございます。  今後とも中医協の御議論を踏まえながら、診療報酬におけるリハビリテーションの評価が適正なものとなるよう努力してまいりたい、かように思っております。
  158. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 次は、先ほども長谷川局長から、STは資格化されていない、身分が確立していないという御答弁をいただきましたけれども、このSTのことに関してお伺いをしたいと、こういうぐあいに思っております。  私のところに関係団体から要望書が届いております。これを読みますと、現在STの訓練、指導を必要とする患者さん、障害者の数は九十万人に上ると言われている。それを現在、五千七百名のSTが必要であるにもかかわらず、医療職としての国家資格を持たない、すなわち専門職としての質が国で保証されていない千五百人程度の方々で「無資格者千五百人程度で業務を担当している、法的に言えばですよ。中には熟練した方々もおられるでしょうけれども、法的にはそういうぐあいになっているということです。  そういうことで、昭和六十二年に医療ST資格制定の機運が高まった中で、新たな医療関係職種の資格制度の在り方に関する検討会が、STの業務領域をめぐって一部ではあるが教育か医療か等の議論がまだ残っていると報告したために、厚生省は国会上程を一時見合わせたと、こういうことらしい。  それから、昭和六十三年には二十六の医療、歯科医療の団体、学会が集まって医療言語聴覚士資格制度推進協議会を結成した。それで、この推進協議会の方々が全国の病院現場に医療ST国家資格に関するアンケート調査を行ったところ、八四%の現場の病院長の方々が、早くSTの資格を確立せよということに賛同したと、こういうぐあいになっております。この推進協議会は、医療STを養成するにふさわしい施設基準を策定して、養成施設の認定制度を開始して、現在、四年制大学を含む五校を認定している。今後はさらにふえる状況にある。  言語聴覚障害に携わる専門家の方々が教育でも医療でも必要であるのはこれは当然のことでありますけれども、教育では教員免許という国家資格を持った教師の方が、言葉の治療教室とか難聴学級とかあるいは聾学校等で言語聴覚障害児教育に携わっており、そういうシステムが整っている。医療においては、そういう資格の問題でまだ体制が整っていないどころか、そのために診療報酬も千百円という、OT、PTに比べたら三分の一、四分の一という低い値段に抑えられている、こういうことですよね。それで推進協議会は、国家資格ができるまでの暫定措置として、現在働いている人たちに対する講習会を開催し試験合格者を認定している。しかしこの民間認定には法的根拠がない。行政がそういうのを放置していいか、こういうことが私のところに来ました。  それで私は資料を取り寄せてその講習会のメンバーの方々を見てみたら、それは非常に立派な一流の権威のある学識経験者の方々がなっております。だから、その講習会の内容そのものを私は云云するわけじゃないんですけれども、どういう資格があってこういう四年制の学校を認定しているのか、あるいはその他いろんなそれに付随することが出ているのか、こういうことであります。  私の申し上げたいことは、現在、医療、歯科関係の方々で十分に話し合いが行われて、早急に医療STの国家資格を制定し、障害者のニーズにこたえてくれというムードが今日ほど高いことはない。また実際に私はこの参議院の決算委員会あるいは社会労働委員会等で言語療法士に関する資格問題の討議を読ませていただきました。もう今まで多くの委員の方々がそういう質疑をやっているんですよ。きょうも私エレベーターの中である野党の先生と会ったら、まだこの問題を引きずっているんですかといって怒られたんです。  だから私は、厚生省はこういうPTもOTも国家資格を与えて身分をはっきりさせている、それに連動して社会保険診療報酬もきちっとリンクさせている。しかしSTだけそういうぐあいに放置しておく、これは私事情があると思います。いろいろな事情があると思うけれども、これは行政の怠慢と言われても私は仕方がないんじゃないか、こういうぐあいに思いますが、御答弁をいただきたい。
  159. 長谷川慧重

    説明員長谷川慧重君) 言語聴覚療法士につきましては、先生からお話しございましたように、六十二年の三月に新たな医療関係職種の資格制度の在り方に関する検討会から中間報告をいただきまして、この中間報告の中におきましては、関係者の意見の調整を待って法制化すべきであるという御意見をいただいているところでございます。現在、そういう面で言語聴覚療法士の関係団体ということでは、日本言語療法士協会と日本聴能言語士協会の二つがございます。お話しございましたように、働く場所が教育と医療というところにまたがっているということから、言語聴覚療法士のそういう特殊性の問題から、これらの関係団体の合意が得られていない状況にございます。  厚生省といたしましては、先生お話しございましたように、関係学会等によります資格制度推進協議会からの要請もございますし、資格化に向けての環境整備が図られることが必要であるというぐあいに考えておりまして、この言語聴覚療法士の必要性の高まりを踏まえながら、資格のあり方につきまして関係者の合意が形成されるよう関係団体に働きかけているところでございます。  今後とも働きかけをやりまして、合意を得ながら資格の法制化について取り組んでまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  160. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 これは局長、私が今まで読んだ参議院の社会労働委員会あるいは参議院の決算委員会の答弁の域を出ていないんですよね。  実際に、私も病院を経営していますけれども、私の病院に、脳出血を起こして入院している人で、言語中枢がやられて物が言えない、意識ははっきりしている、すべてのことは理解できる、それで言語だけ侵されて困っている人たちを考え、また実際にSTのいるところでは徐々に発語障害が改善されていくという実態を見ると、今のありきたりの答弁では困るので、私はぜひ、これは質問通告にはないんですけれども厚生大臣もぜひひとつ今の点を御勘案をいただいて、一日も早く、教育の現場にはあるのに、教育のSTはあるのに医療のSTがないというのはおかしいんですよね。私はその点を特にもう一遍強調しておきます。  それからもう一つは、今の運動療法または作業療法の施設基準の問題――大蔵大臣が私をにやにやして見ておられるから、どうも発言の気分がそがれて困るので、大蔵に臣も真剣な顔で聞いてください。運動療法または作業療法の施設基準は百平米になっていますわな。そうなっていますよ。  それで、百平米というのは実際に、地価が高騰した大都会、あるいは中小の都市でも同じですけれども、これは確保するというのは大変難しいんです。また、実際に現場で、急性期の患者さんのベッドサイドで機能訓練ができる場合もあるんです。できる場合もあるので、状況がいろいろ変わってきています。ただし、厚生省また国の方針として医療のクォリティーを上げるためにスペースを特に強調しておられることも知っていますから、今後診療所あたりのリハビリテーションをまじめにやっているところには認めてやる。そういう基準を緩和していくとか、あるいはまた新しくベッドサイドのリハビリ機器の開発等があったらまた考えていく、こういうふうにしていただきたい、これは答弁はようございますから。  それから、同じく在宅訪問リハビリのことでございますけれども、今日本の老人保健法は七十歳以上の老人に対しては訪問リハビリを認めていますわな、七十歳という線引きをしているけれども。私は、それはそれで結構だけれども、しかしながら七十歳という年齢だけにこだわるのもどうか。というのは、六十歳でも五十五歳でも脳出血も起こるし脳梗塞も起こるし、その他の障害でやっぱりリハビリを要する点もあるわけですから、だから私はそういう点について御質問をしたい、こういうぐあいに思います。  結論的に言うと、社会保険にも老人保健と同じように訪問リハビリを疾患によっては認めるべきではないか、こういうことでございます。
  161. 黒木武弘

    説明員(黒木武弘君) 在宅の方に対するリハビリが普及、拡大するように、老人以外にも、一般の人にもそういう道を開いたらどうかという御質問でございます。  老人に対しまして在宅のリハビリを認めましたのが六十三年の改定でございます。私どもは、特に必要な貴重なOT、PTのマンパワーをどこに重点的に在宅の形で出すか、やはり老人が一番優先するだろうという形で、老人にまず適用いたしたわけでございますけれども、これから御指摘のように一般の方に対するそういう道を開くのも重要だと考えております。  ただ、老人の診療報酬上の措置から、どういうふうに訪問リハビリが老人の場合に実施されているか、こういう状況をもう少し見たい。あるいはOT、PTがどこまで、マンパワーとして供給がかなり訪問できるぐらいの余地の形で出てくるか、そういうものも見きわめながら私ども検討していかなきゃならない問題だと、かように思っておりますけれども、基本的な方向としては委員指摘のとおりだというふうに思っております。
  162. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 もう一つは、この訪問リハビリは一回三千八百円ですか、それで医療機関でのリハビリに比べていろんな時間的な経済的なロスといいますか、制約があるわけです。そのためにかどうか知らぬですけれども、市町村によっては福祉補助金といいますか、名目ははっきりしていないですけれども、市町村が五〇%出してそれから自己負担五〇%でやっているところもある。それで、積極的にそれを進めようとしているけれども、なかなかそういう調整がうまくいかないということなんで、私は今後そういう実態を調べて、訪問リハビリテーションを深く広く普及させるようにしていただきたい。もちろんそれに当たっては、医療機関、医師会あるいはその他の協議会、地方公共団体ともうまく連絡調整をしてやっていくべきだ、こう思っておるのですが、それに対して御答弁をいただきたい。
  163. 下条進一郎

    国務大臣下条進一郎君) 先ほど来訪問リハビリテーションのお話が出ておるわけでありますけれども、老人訪問看護制度というものを今回の老健法の改正の中で取り上げておるわけでございます。そういう考えの中で、保健、医療、福祉の連携を図りながら訪問リハビリテーションの普及促進に努めていくというのは基本的な方針でございます。  具体的に申し上げますと、要介護老人が在宅でも安心して療養生活を送れるように、訪問リハビリテーションなど在宅医療の提供体制を整備する必要がまず前提としてあるわけでございます。このために、従来から診療報酬におきまして訪問リハビリテーションの重点的な評価を行ってきたところでありますが、さらにその量的な拡大を図るために、国会に提出しております老人保健法改正案におきまして、訪問リハビリテーションを含む老人訪問看護制度の創設を行うことを予定しておるわけでございます。今後この制度の実現ができました後、訪問リハビリテーションが全国に普及、定着いたしますように最大限の努力を払ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。  また、市町村の点についてお触れになりましたが、市町村におきまして、これまで高齢者サービス調整チームを設置するとともに、在宅介護支援センターの整備を進めてまいりました。訪問リハビリテーションを初めとする在宅サービスが地域の医師会や医療機関等と十分な連携のもとに実施されるよう努めているところでありますが、今後さらに保健、医療、福祉の連携の強化に努めてまいりたい、このように考えております。
  164. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 今回の老人保健改正法はまだ継続審議になっておりますけれども、その中で老人訪問看護制度の創設がうたわれておりますが、これには当然訪問リハビリも含まれているわけですか。確認の意味で御質問させていただきます。
  165. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 含めて考えたいと思っております。法律改正につきましては、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思っておりますが、体制としましては、看護婦さんのほかに保健婦とか理学療法士、作業療法士、こういった人たちを配置いたしまして必要な訪問リハビリもいたしたい、そういう発想でございます。
  166. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 厚生省から発表されている訪問看護のモデル事業の実態を見てみますと、看護内容の六四・八%は機能訓練である、いわゆるリハビリである。それを行っているのは看護婦さんであります。それで、これは当然PT、OT、STの方々の役割でありますから、そういう意味も含めて私は訪問リハビリの重要性を強調しているわけでありますが、この老人訪問看護制度に将来でようございますから、言語療法士も加えていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  167. 岡光序治

    説明員岡光序治君) 先ほど御議論がございましたように、言語療法士につきましてはどのような格好でその資格を制度化をするかという問題がございますが、そういった動向を見ながら、総合的に検討していかなければならない、そういうふうに認識しております。
  168. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 これは今の質疑の中で浮かび上がってきた当然の帰結でございますけれども、現在の訪問看護に、かてて加えて、この介護福祉士あるいはケースワーカー等も包括していくべきである。将来でようございますから、私はそういう考え方を持っております。  それから、訪問看護ステーション、老人保健制度の中に位置づけられている訪問看護ステーションも、将来はデイケア、デイサービス等のそういった福祉施設も包含をしたものに、体系づけたものに持っていくべきである、こういうぐあいに思っておりますが、いかがでございましょうか、厚生大臣。
  169. 下条進一郎

    国務大臣下条進一郎君) 今般の老人訪問看護制度創設の考え方は、医療の一環といたしまして、在宅の寝たきり老人等に対しまして看護やリハビリといった医療サービスを提供するものでございまして、それを行うには、看護婦、理学療法士等の医療の分野における身分、資格が必要となってくるわけでございます。したがいまして、介護福祉士等による在宅の介護サービスは老人訪問看護制度対象とはなりませんので、これらにつきましては老人福祉法に基づくホームヘルプサービスとしてその推進を図っているところであります。今後、市町村に設置されます高齢者サービス調整チーム等を活用いたしまして、老人訪問看護サービスと在宅福祉サービスとの密接な連携を図ってまいりたい、このように考えております。  また訪問看護ステーションは老人福祉施設や老人保健施設に設置することが可能でありまして、地域におきましてデイサービス等の在宅福祉サービスと一体となりまして在宅の要介護老人を支援していく機能を発揮することを期待しておるわけでございます。
  170. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 ゴールドプラン、殊に在宅ケアの充実のためには、今私が御質問申し上げたとおり、人的確保、さらにそれとリンクせざるを得ない社会保険診療報酬の問題等が重要でございますけれども、私は特に次回の社会保険診療報酬の改定、もしそれに間に合わなければ、今厚生省で研究をしておる、黒木局長が昨年発言をした三十一年ぶりに社会保険診療報酬体系の見直しをやる、こういうお話でございましたので、そういうことに盛り込んでいただきたいと思うわけでございます。仕事をするにも、人もいない、金もない、週休二日制はやれと言う、在宅医療は充実せよと言う。そういうないない尽くしで実際実の上がるはずはないのでございますから、ぜひそういう点を御勘案いただきたい。これもまた厚生大臣にお願いをいたします。
  171. 下条進一郎

    国務大臣下条進一郎君) 診療報酬におけるリハビリテーションの評価の問題でございますが、これは当然適切なものとなるように努めてまいりたい、このような基本的な考えでございます。  今後、高齢化が進展する中で、在宅ケアの充実、そのためのリハビリテーションの役割の重要性は御指摘のとおり極めて大きなものがあるわけでございます。このような認識に立ちまして、これまで老人の心身の特性を踏まえた訪問リハビリテーション等、診療報酬上所要の措置を講じてきたところでありますけれども、今後とも中医協での御議論を踏まえ、診療報酬におけるリハビリテーションの評価が適切なものとなるように努めてまいりたいと思っております。
  172. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 最後に、大蔵大臣に御質問をさせていただきます。  昨年十月の当決算委員会で私は大蔵大臣に御質問を申し上げました。私は、日本は今医療の転換期にある、特に公共福祉サービスの充実ということがこれからの日本の医療、福祉の大きな目標であると申し上げて、また湾岸問題に絡んでも伺いましたが、大蔵大臣から、財政のこともあるけれども、新財政再建目標下であっても、社会保障、医療保障のためには出すべきものは出すんだと、こういうありがたいお言葉をちょうだいしたわけでございますけれども、今の私と厚生省とのやりとりをお聞きになって、もう一遍、今後の人材確保、ゴールドプランの推進、特に私は、日本のこれからの役割は、湾岸戦争のときにいろいろ言われましたけれども世界に貢献する日本とは何かということをいろいろ論議されましたけれども、私は世界の社会保障のモデルをつくることが日本の大きな役割の一つであるとも、こう思っておりますので、特に社会保障の、私が質疑を申し上げました社会保障の財源を獲得していくのだというお言葉をちょうだいできればありがたい、こう思います。
  173. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) さすがに日本医師会代議員大会で勇名をはせられた大浜議員の質疑と、大変心楽しく拝聴をいたしておりました。  昨年申し上げたように、我々が高齢化社会というものに現に到達し、いよいよ超高齢化社会というものに向かう中で、当然のことながら社会保障関係諸費というものがふえていくということは覚悟しなければなりません。それがむだに使われない工夫はしなければなりませんけれども、当然のことながら我々はその負担にたえていく責任がございます。  その観点から一点だけ感想を申し上げさせていただきますならば「委員の御論議を聞いておりまして、現行の社会保険診療報酬体系を前提とした御論議のように聞いておりましたが、私は、本来ならばドクターズフィーとホスピタルフィーの関係についてメスを入れられる御論議が聞けるのではないかということを期待いたしておりました。医療機関の経営を、薬価差益というものに依存する診療報酬体系の中から将来を考えることには限界があると私は考えております。より一段高い御論議をいただければと、これは私から陳情でありまして、大変楽しく拝聴させていただきました。
  174. 大浜方栄

    ○大浜方栄君 ありがとうございました。
  175. 及川一夫

    委員長及川一夫君) それでは五分ほど休憩いたします。    午後二時五十一分休憩      ─────・─────    午後二時五十六分開会
  176. 及川一夫

    委員長及川一夫君) それでは再開いたします。
  177. 木暮山人

    ○木暮山人君 自由民主党の木暮が質問させていただきます。  昭和六十三年度及び平成年度決算審査に当たりまして、その前年度昭和六十一年度、六十二年度と二回にわたり参議院は決算を否認いたしました。特に六十二年度決算は、当委員会で是認しながら本会議では逆に否認するという、国民からすれば全く理解しにくい経緯でした。  決算審査の意義は改めて申し上げるまでもありません。審査を集約し、自後の予算編成、経済財政運営の上で、また施策への資源配分、予算執行の上で生かしていくことであります。それゆえに当委員会におきましては熱心な審査を重ねてきたわけでありますが、野党の方々はその詰めをする段階で具体的に集約しようとしない、いわゆる否認という姿勢を選択したのであります。そして、参議院は野党が多数を占めているため、この否認が参議院の意思になったのであります。この事態は、ともに委員審査を積み上げてきた委員の一人としてまことに残念でありました。  決算を否認するといっても、当該年度のすべての歳出を否定するものではないと思います。そうであるならば、財政運営、予算執行の問題点を具体的に指摘し、自後の施策遂行、行政執行の面で誤りなきを期せしめる、これこそ決算審査の使命であります。当委員会が是認しても本会議で否認という、まことに理解しにくい問題もありますが、本日のところはそれはそれといたしまして、決算審査の促進の必要性に関しまして、大蔵大臣にお伺いさせていただきたいと思います。  決算審査が大幅におくれていることは大きな問題であります。審査過程を自後の施策決定、予算執行に反映させるにしても、四年前の決算がようやく議了したというありさまでは、国民から見れば国会は何をしているのかと指弾されてもやむを得ないと痛感いたします。そこで、決算審査の促進について与野党協議の結果、六十三年度、一九年度を一括議題とし、閉会中の審査を精力的に進めることを確認しました。順調に審査が進み、年内に両年度決算が議了できれば、本来のパターンに戻ることになります。  決算審査がおくれてきた要因としては、予算審査、法案審査を優先する国会運営が挙げられます。同時に、審査予定日に御多忙な大臣の都合がつかない等、政府に要因があったこともありました。また現制度では、年度決算は翌年度の七月で帳簿を締め切り、十二月召集の国会に提出されておりまして、九カ月を要しています。この点は過日の委員長質疑でも取り上げられ、総理は、早期提出に努力しているが、なお工夫をしたい旨の答弁がございました。審査の促進について、私どもは精力的に取り組みます。同様に、政府においても審査促進の協力決算の早期提出等について御努力をお願いいたしたいと存じます。  本件に関しまして大蔵大臣の御見解をお伺いいたしたいと存じます。
  178. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員からも御指摘がございましたけれども、国会における予算審議とあわせ、決算審査というものは私どもは極めて大切なものであると思います。すなわち、国民からお預かりをしたお金というものが有効に使われたかどうかをチェックしていただくわけでありますから、この決算審査というものの重要性は当然のことながら我々として認識をいたしておるつもりであります。  また、政府といたしましても、その重要性にかんがみ、従来からできる限りの御協力を惜しまないという姿勢をとってまいったつもりでありますし、国会に提出をいたしますためにも、提出に必要な手続であります内閣から検査院への送付につきまして、法律上では翌年の十一月三十日までとされておりますけれども、今委員から遅いという御指摘を受けましたけれども、膨大な決算をできる限り正確に、しかも少しでも日数を繰り上げたいということから、約一カ月半繰り上げて十月半ばには送付をいたしております。  決算の国会提出時期というもの、その正確さを期そうとするならばおのずから私は限界はあると思いますけれども、これから後もできる限りの工夫を凝らし努力をしていきたいと考えております。  今後におきましても、私どもは国会における決算審査重要性にかんがみ、できる限りの御協力を惜しまないつもりでありますので、どうぞよろしく御審議をお願いいたします。
  179. 木暮山人

    ○木暮山人君 次に、六十三年度予算は、前年度末に百五十兆円を超える公債残高を踏まえ、一層の行財政改革の推進を進めるとともに、前年度に決定した緊急経済対策を中心に内需拡大への配慮を払って編成したものであったと思います。その結果、景気は順調に拡大を続け、今日に至る長期好況の基礎になったと言えると思います。六十三年度は大蔵大臣の施策が予想以上に成果をおさめ、かつてない財政的ゆとりをもたらし、元年度予算は対前年度伸び率六・六%と、マイナスシーリング方式が採用された五十八年度以降で最も高い予算編成とすることができましたし、ひいては特例公債からの脱却を成就ならしめ、一層の行財政改革の推進を図ったわけであります。言いかえれば、六十三年度から元年度への日本の経済は、おかげさまで大蔵大臣の適切な予算編成により円高への適応が進み、その結果、旺盛な設備投資、個人消費による内需主導型成長の実現、物価安定基調の持続、製品輸入の大幅増、世界最大の債権国への移行など従前とは違った姿が見られます。日本経済が新しい歴史的段階に入ったとの評価をし得るゆえんであります。  そこで、両年度のすばらしい財政運営を振り返りまして、まず大蔵大臣の率直な所感をお伺いいたしたいと思います。
  180. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員からお述べになりましたように、六十三年度予算が編成をされました六十二年末ぐらいの我が国の経済というものは、六十一年末に回復基調に入りました景気がちょうど拡大過程へと移行する時期でありました。そして、内需を中心として着実な成長が続く局面にありました。また、経常収支の水準が依然として高い状況のもと、国際的な収支不均衡是正の推移というものが着目をされておりました。  こうした経済情勢のもとで六十三年度予算につきましては、私ども平成年度特例公債依存体質脱却という努力目標を掲げ、財政改革というものを強力に推進をさせていただくと同時に、内需拡大の要請に配意する予算編成を行わせていただいたわけであります。結果として、六十三年度我が国の経済は、外需が引き続き減少する一方で内需は引き続き増加し拡大局面を続けることができました。そして、これを受けた元年度予算につきましても、内需の持続的拡大に配意するという観点から、投資部門につきましてはいわば高水準横ばいという姿をとりながら、引き続き平成年度特例公債依存体質脱却という努力目標の達成に向けて歳出の徹底した見直し合理化に取り組み、財政改革を強力に推進してまいった次第であります。これは幸いに、順調な税収増高のもとで緩むことなく歳出構造の見直しに努めてきた結果、その目標に我々は到達することができました。我が国経済自身、元年度におきましても外需が引き続き減少する中で個人消費、設備投資ともに好調であり、内需は引き続き増加し拡大局面を続けることができたわけであります。  こうしたことを振り返ってみますと、六十三年度、元年度におきましても、当時の内外の諸情勢を注意深く見守りながら、基本的には適切な財政運営が行われたものと、私はそのように考えております。
  181. 木暮山人

    ○木暮山人君 どうもありがとうございました。  引き続きまして、元年度は消費税が実施された初年度ですが、歳入予算額が三兆六千百八十億円に対し、収納済み歳入額は三兆二千六百九十九億円にとどまっております。これの分析、評価をどのようになさっているか。また、さきの国会の会期末に消費税の一部見直しが行われました。今後税収に与える影響はどうか等につきましての御説明を願えればと思います。
  182. 石坂匡身

    説明員(石坂匡身君) 平成年度の消費税の実績につきまして、分析、評価のお尋ねでございます。  税収の見積もりと申しますものは、伝統的あるいは普通には実際の課税実績というものがございまして、それを分析し、それを基礎にして積み上げて税収予算をつくっていくという手法をとっておるわけでございます。ところが、この元年度の消費税収でございますけれども、これはまさに元年度に導入をされました税でもあるものでございますから、当然のことながら課税実績のデータがございません。そういうことから、大変いろいろと工夫をしたわけでございます。いろいろな統計でございますとか経済見通しの数字でございますとか、そうした利用可能な数字を用いまして、いわばマクロ的な推計というふうなことで税収をはじき出すという手段をとらざるを得なかったところでございます。  結果といたしましては、先ほど指摘ございましたように若干の不足を生じたわけでございます。予算額に対しまして九%強の不足を生じたところでございます。このような見込み違いがございましたことは大変申しわけないと存ずるところでございますけれども、全くの新税でございまして、積算のデータがない中の予算であったという点につきまして御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。  それからもう一点、国会の会期末に消費税の見直しという法案が成立されたわけでございます。これの税収への影響というお尋ねでございましたけれども、これにつきましては、与野党間で御協議が相調いまして全会一致で成立を見た法案でございますが、この法案をもとにいたしまして一定の前提を置いて試算をしてまいりますと、平年度、普通の年度におきましては非課税範囲が拡大をしております。この非説税範囲の拡大によりまするところの減収額が約千六百億円程度、それから簡易課税制度あるいは限界控除制度といったものの縮減を行っておりますが、これによりまするところの増収が二千四百億円程度、差し引きいたしまして八百億円程度が平年度におきまして増収となる、そういうふうなことであろうと考えております。
  183. 木暮山人

    ○木暮山人君 どうも御苦労さまです。  次に、六十三年度の純剰余金は一兆七千三百二十一億円となっております。一方、六十三年度の特例公債発行額は九千五百六十五億円となっており、決算上、特例公債発行額を上回る純剰余金が生じたのは財政再建下では初めての事例となったわけです。  財政審の中期的財政運営の新努力目標を挙げるまでもなく、国債残高の減少、隠れ借金の解消等、引き続き財政再建が要請されているわけで、まことに大変なことと存じますが、大蔵大臣の御見解と当面の対応はいかがなものでしょうか。御所見等が伺えたらありがたいと思います。
  184. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員から御意見をいただきましたように、六十三年度決算剰余金、これがプラスという形で生じたわけでございます。  そこで、この決算剰余金の使途につきましては、財政法第六条の規定によりまして、その二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債の償還財源に充てなければならないとされております。六十三年度決算剰余金につきましても、元年度補正予算におきましてその二分の一を国債整理基金に繰り入れまして、公債の償還財源に充てさせていただきました。また、それ以外の金額につきまして、平成年度補正予算におきまして一般財源に充当したわけでありますが、この補正予算におきましては平成年度の特例公債依存体質からの脱却というものを目前に控えておりました時期ということもありまして、これまで財政再建努力の過程で講じざるを得ませんでした特例的な歳出削減措置の返済あるいは返済見合い財源を確保する、そうした問題の処理に努めるために相当部分を充てさせていただいたわけであります。  そうした結果として、平成年度予算におきまして、ここ数年来大幅な税収増が期待しがたい中でありますが、公債依存度の引き下げなどにより公債残高が累増しないような財政体質を目指すという新しい中期的財政運営の努力目標のもと、最初の予算として、歳出の徹底した節減合理化あるいは税外収入の確保など、歳入歳出両面にわたる見直しを行うことができました。おかげさまで、公債発行額は対前年度当初予算比二千五百二億円減、公債依存度は前年度当初予算比〇・八ポイント低下、七・六%となりまして、財政再建の第一歩を我々は踏み出したものと考えております。  しかし同時に、平成年度末の公債残高は百六十八兆円程度になると言われておりまして、国債費が歳出予算の二割を超えるなど、我が国の財政は依然として極めて厳しい状況が続いているわけであります。加えて、多額の建設公債に依存をする現在の財政構造というものは、一たび景気の落ち込みなどがあり著しく税収が鈍化したような場合には再び特例公債に依存せざるを得なくなる、そうした危険性を常に秘めております。また、委員からも御指摘がございましたが、いわゆる特例的歳出削減措置、さらには国鉄清算事業団の長期債務などの処理も残されておりまして、こうした点についても私どもとしては注意を払わなければなりません。  この公債残高は後世代に対しての我々の世代の借金でありますから多大な負担を残すことはできませんし、一方では、今後急速に進展する人口の高齢化、あるいは国際社会における日本の責任の増大など、これからの社会経済情勢に対して財政が弾力的に対応していこうとするならば、私どもは、再び特例公債を発行しないことは当然のこととして、建設公債といえどもその発行を極力抑え込んでいく、そして公債依存度の引き下げを図っていく、そしてその努力の上に公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていかなければならない、そうお互い言い聞かせているところでありまして、これから先も我々としては歳出全般にわたって徹底した節減合理化の努力を払いながら公債依存度の一層の引き下げに最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。そしてその中で、特例的な歳出削減措置につき、それぞれの制度、施策をめぐる状況でありますとか、これまでの考え方、経緯を踏まえて、今までもその処理に努力をしてまいりましたけれども、計画的に処理するとされておりますものについてきちんと対応していくような努力が必要になる、そのように考えております。  その意味では、我々の前途は決して楽観を許すものではなく、極めて厳しい状況がこれからも続く、本委員会における御審議におかれましてもこうした点にぜひ思いをいたしていただきたいものと心から願っております。
  185. 木暮山人

    ○木暮山人君 まことにありがとうございます。国家も多難な時期に入っております。その辺で、ひとつ大蔵大臣の今後のますますの御健闘を祈らせていただきます。  引き続きまして、会計検査院の方に質問いたしたいと思います。  会計検査の概要に関しまして質問するわけでありますが、会計検査院の六十三年度決算検査報告、元年度決算検査報告についてお伺いいたします。  六十三年度むだ遣い等として指摘されたもの二百二件、百五十一億円、元年度は二百二十件、千四百四十億円に上っております。これらは、先ほど質問がございましたが、氷山の一角と言われています。  そこでお伺いしますが、六十三年度、元年度検査対象総件数はどのぐらいだったんでしょうか。  また、経済的、社会的な背景の中で会計検査の焦点の置きどころも違ってきているように見受けられますが、六十三年度、元年度検査報告に特徴的な傾向があるとすれば、それについて。  そしてまた、特に社会保障関係指摘が近年増加してきております。ソフトの面への検査の取り組み体制はどのようにしているか等々についての御説明もちょうだいしたいと思います。
  186. 中村清

    会計検査院長中村清君) それでは第一点から申し上げますが、六十三年度の私ども検査対象の総箇所数は三万九千二百カ所でございまして、そのうち実際に検査実施いたしましたのは三千三百カ所で、実施率は八・五%ということになっております。それからさらに平成年度関係では、検査対象の総箇所数は三万八千九百カ所でございまして、そのうち検査実施した箇所は三千六百カ所ということになっておりまして、検査実施率は九・二%ということになっております。 この施行した実績は確かにもう八%から九%になっておりますけれども、この中にはJRの駅であるとかあるいは特定郵便局であるとか、そういったものも含んでおりますので主要な検査対象につきましては相当程度検査実施した、こういうふうに考えております。しかも、この検査対象の選択というのは無作為にやるわけじゃございませんで、やはりしっかりとした計画を立てて実施して、効率的にやるということを心がけているわけでございます。  そこで、先生指摘の第二点の、社会経済情勢の中でどういうふうな検査の特徴があったかということでございますが、私どもは社会経済情勢の変化に即応した検査、時代の要請に合った検査、これは常に心がけているところでございますが、この両年度あるいはいずれかの年度で特徴的なものとしましては、公共事業に関するもの、それから医療に関するもの、ODAに関するもの、保険経理に関するもの、こういったところが主なものとして挙げられるかと思います。  まず、公共事業に関するものとしましては、事業を全体として評価するというもので、例えば国営の木曽岬干拓事業において造成された干拓地の事業効果が上がっていないではないか、こういう点も指摘いたしました。また、個別の公共工事につきましては、設計とか積算とか施工という面につきまして技術的な面に深く立ち入って検査実施し、多くを指摘したわけでございます。  次に、医療に関するものとしましては、医療費の伸びが非常に大きいということもありまして、支払い不適切の事態を数多く指摘しておりますけれども、それだけに件数、金額とも大幅な伸びをしておりますし、また態様も大きく変わっておりますが、この両年度で不当事項として挙げた以外にも幾つかの改善処置要求等も行っているわけでございます。  また、ODAにつきましては、特記事項としまして検査報告に掲記いたしましたけれども援助対象となった機材等が十分稼働していなかった、あるいは機材の一部が長期間未利用になっていた、こういう事態が見受けられるところから、ODAの効果的、効率的な実施のための問題提起を行ったものでございます。  それから、保険経理に関するものとしましては、国民健康保険財政調整交付金に対しまして多数の指摘を行ったものでございます。  以上が特徴として挙げられるかと思います。  先生のおっしゃった第三点の問題、ソフト面への検査の取り組み体制というものでございますが、これにつきましては、現在厚生関係につきましては厚生検査第一課、第二課の二課体制、それから労働検査課ということで三課で担当しております。このほか官房の職員も数多く併任発令をしておりますし、また本年は統括調査官というものを新たに設置いたしまして、横断的な観点からの企画調整も行っているところでございます。  いずれにしましても、社会保障関係検査というものはますます重要になってくるというふうに考えますので、年金とか保険給付につきましては、積極的にコンピューターを活用しまして効率的な検査を行うよう工夫しておりますし、また、医療費の検査につきましても、会計検査院独自の検査手法を開発したり、さまざまな工夫を凝らしたりしているところでございます。
  187. 木暮山人

    ○木暮山人君 どうもありがとうございました。  ちょっと時間が少なくなってきましたもので、恐縮ですけれども、防衛庁の方に質問させていただきたいと思います。  潜水艦「なだしお」の衝突事故のその後のことでございますけれども、六十三年七月に海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と大型釣り船第一富士丸は横須賀沖の海上で衝突、三十人の犠牲者を出した。早いもので、あれから三年が過ぎようとしています。  海難審判庁の第一審、第二審の裁決、これを不満とする第一富士丸の船長の東京高裁への訴え、横浜地検による業務上過失致死傷、業務上過失往来妨害での双方の起訴等が報道されております。  一方、この経緯と並行して問題なのは、遺族への補償、負傷者への賠償等の交渉を進められていると聞いております。また現在、衝突事故の原因究明はどの機関で取り上げられているのか。また、その対処はすべて正当に苦情のないようになっているのか。また、防衛庁が進めておりますところの遺族との補償交渉、負傷者との賠償交渉等の状況等につきまして、いろいろ問題があって遠慮がちな防衛庁だとは思いますが、忌憚のない御説明をちょうだいできればと思います。
  188. 村田直昭

    説明員(村田直昭君) お答えいたします。  海上自衛隊の潜水艦を一方の当事者といたしまして痛ましい事故が発生し、多数のとうとい人命が矢なわれ、また負傷されたことは痛恨のきわみでございまして、まことに遺憾に存じておる次第でございます。  御指摘のように、防衛庁としましては、乗客の御遺族の方々及び負傷された方々に対し、事故の直後からできるだけ早い時期に賠償問題を解決できるよう誠意を持って話し合いに努めてまいったところでございます。その結果、先生今まだ交渉中であろうかという御指摘もありましたが、昨年の二月、いわゆる平成二年の二月までに乗客の死亡者二十八名全員の御遺族の方々の、また本年の三月、平成三年三月でございますが、この三月までに負傷された乗客十一名の方々全員の御理解が得られたところでございます。  これだけをもって被害に遭われた皆様のお心がすべて和らぐというものではないものの、一応その賠償問題については決着を見たという状況に現在なっているわけでございます。
  189. 木暮山人

    ○木暮山人君 もう時間でございますので、どうもありがとうございました。
  190. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まず最初に、今バングラデシュでも活躍しておりまして、また外務大臣の発言で一躍注目されるようになりました国際緊急援助隊の派遣の問題についてお伺いしたいと思っております。  この援助隊の派遣の法律ができたのは昭和六十二年でございまして、以来十八回、民間のボランティアの皆様を初めいろいろな方たちの献身的な努力で、海外でいろいろな形で活躍をしております。ただ、法律ができた当時というのは、これが国際貢献のただ一つの柱だというようなことを言われて期待をされたところでもございますけれども、国際的評価がいま一つという面も現実ございます。  現在論議になっております自衛隊参加の問題についてはまた後でお聞きするといたしまして、まず、現行の救助隊の法律、また派遣するための手続、いろいろな点に問題はないのかというのをきちんと整理することが必要だろうし、できてから既に四年近く経過しておるわけですから、それを検討することが私としては何より大事だと考えております。  そこで、まず第一点お尋ねなんですけれども、法律制定当時の資料を見ましたら、派遣期間の問題を言いますと、当時の資料ですと、おおむね一カ月から三カ月が適当だというようなことを考えられているというような文書も残っております。ただ、現在派遣しているケースを調べてみましたら、三週間という形でほぼ一定しているわけなんですけれども、この三週間という一定基準になっているのはどういう理由によるのかということを教えていただきたいと思います。
  191. 橋本宏

    説明員橋本宏君) お答えします。  まず、この国際緊急援助隊法ができる前、既に昭和六十年末にこのような国際緊急援助体制をつくる必要があるということで、当時の安倍外務大臣が法律のできる前に体制の整備を命じております。それに従いまして緊急援助について実績がありまして、そこら辺のところから法律を審議していただいたときには大体三週間程度ということを想定していたものと思います。  ただ、先生指摘のように、実際上法律ができてこれが運用の運びとなりましたところいろいろな期間があるのでございますけれども、やはり登録していただいているその人たちが余り長く職場を離れて援助活動に従事するということができないというところから、現実の問題といたしましては過去の例にかんがみますと長くて三週間というのが実情でございます。ただ、これは規則によって決まったものではございません。
  192. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私はむしろこの三週間という期間の問題というのは、国内的な問題、今言われたとおりございます。ただ、実際現場に行った方たちにとってみれば、激務ですからそう長く続くわけじゃないんですよ、実際には。そういった観点からは僕は短くても構わないと思うんです。ただし、場合によっては長くできる場合もある。ボランティアの方たちにお願いしている、その人たちのバックアップ体制をどうするかというのが僕は一番のポイントだと思うんですよ、この期間の問題に関しては。そういうボランティアの方たちのバックアップ体制が本当にできているのかどうかというのが私は非常にこの期間の問題でいうと疑問だったわけです。バックアップ体制さえできていればもう少し長い期間もできるはずなんですよ。その辺を、ある意味じゃボランティアで出ていただくわけですからそういう職場にどう理解をいただくかとか、そういうのは逆に言えば外務省がきちんとやるべき仕事だと僕は思うんです。そういったことが現実としてできていないというふうに私は感じているんですけれども、御意見あれば聞きます。
  193. 橋本宏

    説明員橋本宏君) まさに先生指摘1のように、この国際緊急援助隊というものはそういう関係の民間の方々のボランティア意識に基づいてやっていただくという部分があるわけでございまして、そのための旅費、経費等、財政の中のできるだけの範囲でやっているつもりでございます。  しかしながら、いろいろな厳しい勤務条件のところへ行っていただいているわけでございます。まだまだ至らぬ点もあるかと思います。引き続きそういった点の改善を求めていきたいと思います。
  194. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 次は、予算の問題です。  この法律ができて以来、この援助隊の派遣に係る予算というのは、一回だけ十一億五千万円というときがあったと思うんですけれども、ほぼ十億円で一定しているわけですよね。今回、中東問題もありましたし、またバングラデシュの問題もありましたし、もう既に今年度は七回派遣されていて、先ほど予算もいただいて見たんですけれども、ほぼ十億円なんですけれども既に現時点で六億五千万円を使っていらっしゃるということも聞きました。そうなると、このバングラデシュの問題が一回で片づくかというと決してそうでないと思います。今後の問題でまた派遣をしなくちゃいけない。クルド難民の問題についてもこれだけで終わるのか、まだ続く可能性、十分あります。  そしてまた、もう一つぜひ指摘をしたいのは、今国際緊急援助隊を使いまして、難民への医療という形ですけれども、対策をなさっております。ある意味では難民対策に対してこの援助隊を使いながら一つの本格的取り組みをなさろうという感じが私はしております。そうなると、例えば現時点でもエチオピアの内乱の問題もございますし、百万人以上の難民とも言われている。ただこれだけじゃなくて、ソマリアを含めたアフリカの問題、中南米の問題等本格的に取り組むならばかなりの費用がかからざるを得ないと私は思います。  そういった意味で発足当時のままの状況でいいのかどうか、その点についての見解もお伺いしたいと思います。
  195. 橋本宏

    説明員橋本宏君) 昭和六十一年度以降、緊急援助隊の関係の経費としまして毎年十億円が計上されてきたわけでございます。平成年度までは実際上はこの予算全部を使い切ることなく推移してまいりましたが、御案内のように、昨年度来国際緊急援助隊のニーズというものが急速に高まってまいりまして、昨年度におきましてはその予算では足りなかった、若干不足になった経緯がございます。本年度につきましては、先生指摘のとおりもう既に約七割が消化されたということで、今後国際緊急援助隊の充実考える場合、この予算では足りなくなってくることが見込まれます。これにつきましては来年度概算要求等におきまして拡充を図るように努力してまいりたいと思います。
  196. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 次は、こういう災害対策、難民対策、いずれもそうなんですけれども、そういう問題を行うときの一つの重要なポイントというのは何かというと、現地状況をどんなふうに掌握して、派遣された方々、それと実際に送り出した側の日本と、どううまく連携を密にして状況に合わせた対策ができるかどうかというのがこの国際貢献の中では一番大きなポイントにもなってくるわけでございます。特に、私も中東に行かせていただいたんですけれども、行ってみて感じたのは、そういう問題が起きているときというのは通信手段の確保というものが極めて困難でございます。こういう隊を送った場合の一番のポイントは、やはり自前の連絡網というか連絡手段を持つというのはいわば生命線だとも私は思っております。  そういった意味で、現在国際緊急援助隊と我が国とを結ぶ通信手段というものを一体どんなふうにして確保されているのかということをまず伺いたいと思います。
  197. 橋本宏

    説明員橋本宏君) 先生指摘のように、通信手段の確保というのは極めて重要な問題でございます。  現在、基本的に緊急援助隊と本国との通信につきましては、我が方の在外大使館と本省の間の電信あるいは電話によって二十四時間連絡体制をとっておるわけでございます。しかしながら、電信だけではなかなか連絡しがたい、ときに当たり電話を使う必要があるのでございますけれども、今回のようにバングラデシュと日本との間ですとなかなか電話がかかりにくいという状況がございます。今度のバングラデシュにつきましては、かかる通信手段の改善のために衛星通信装置を空輸する予定でございます。  一番の問題は、これよりも緊急援助隊が働いているところと現地の大使館との間の通信でございます。これにつきましてはいろいろ苦労しているわけでございますけれども、最近では国際緊急援助隊に無線機を携行させております。ちなみに、ことしの三月サウジアラビアの原油流出の際に派遣したチームにつきましては五機、この五月にイランにイラク難民救済のために派遣しました医療チームには六機を携行させております。しかしこれはまだまだ足りないところでございまして、今後とも十分な通信手段が確保できるように努力してまいりたいと思います。
  198. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今もちょっと話がありましたけれども、たしかクウェートに大使館を再開するために、大使がクウェートに入られたとき衛星通信を使うことのできる携帯電話をたしか持っていかれたというような私記憶があるんですけれども、小型の電話機でしたけれども、それを使って直接、いわば衛星通信を使って日本とも連絡がとれるというようなのをたしか持っていかれたような記憶がございます。そういったものがあれば今言われた部分というのは、逆に言えば直接派遣された人たちと外務省という形でつながる、外務省というか、JICAになるかわかりませんけれども、つながるわけですよね。そういったことも私は可能だと思うんですけれども、そこまではお考えになっていないんですか。ぜひそういうものをある意味ではきちんと派遣する側、JICAに備品として置くかどうかは別として、確保しておく必要があると思うんですけれども、この点いかがですか。
  199. 橋本宏

    説明員橋本宏君) ただいま御説明させていただきました無線機というのは、いわゆる携帯電話でございます。これによりまして現地の緊急援助隊と大使館の間の通信をとりあえず確保しよう。ただ、そういったものと本国との通信となりますと、いろいろ出力の関係等なかなか難しい問題がございます。我々本国側と現地大使館、また現地大使館と国際緊急援助隊の間の相互の無線をよくできるよう技術的にも詰め、また財政的にも今後所要の措置をとってまいりたいと思う次第でございます。
  200. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つは、現在緊急援助隊の派遣及びこれの必要な業務というのは法律に定められておりまして、国際協力事業団、JICAの中にあります国際緊急援助室が対応していらっしゃいます。  ただ、この人員、たしか室員が四人と補助三人の体制だったと記憶しております。現在のように業務が急増してどういう状態になっているかというと、非常にもう対応できないような状況に今なっているというふうにも実際に聞いております。本当に国際緊急援助隊を本格的に活用するという視点をお持ちならば、増員という問題だけじゃないんですよね、これ。JICAの中にどう位置づけられるのか。それとも外務省としてきちんと考え得るようなことになるのか。大臣はこの派遣に関する法律については改正もしたいというようなこともおっしゃっているわけですから、今は法律で書かれています、だからJICAしかできないとおっしゃるけれども、やはりこの問題というのはそういったどこが担当してこの問題を本当にやるのかという問題も含めてやっていかなくちゃいけない問題だと思っているんです。  この点についても今どういうお考えでいらっしゃるか、見解があればお聞きしたいと思います。
  201. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私もこの実施体制を非常に関心を持って調べておりまして、外務省においては経協局の技術協力課、それはまあ一般の普通の案件をたくさん抱えておりまして、今臨時に緊急援助隊の仕事が飛び込んでくる、そういう中で、JICAにも先日参りまして現地の責任者と話をしましたけれども、ここも委員指摘のように人手が足りない。こういうことを今御指摘のように私も同じ感じを持っておりまして、この緊急援助隊というものは国際的に評価を受けるということでございますから、これを拡充整備するということが当面の大きな課題である、このように考えております。
  202. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは少し法的なことでお聞きしたいんです。  湾岸戦争の終了後、国際緊急援助隊として先ほど言いましたようにクルド人難民を対象とした緊急医療チームが出ました。ペルシャ湾の原油汚染除去の問題については専門家チームを派遣していただきました。私もこれはぜひやるべきだと要望した側ですから、送っていただいたことには心から感謝を申し上げておるんです。  ただ、この国際緊急援助隊の派遣に関する法律というのを読ませていただくと、これ原則として、「災害」になっているんですけれども、法的解釈の考え方でも自然災害、場合によってはガス爆発などの都市災害を対象とするものであるというふうに従来考えられておりまして、戦争、内乱によるものについて、それに係るものについての派遣は、この法律第一条の目的なんですけれども、これを読む限り、どう読んでいいのか私は正直言ってわかりません。極めて難しいというふうにも言わざるを得ない面もあるんです。  政府は、今回のクルド人難民を対象とした緊急医療チームについてはどういった根拠で出されたのか。そしてまた、原油汚染除去という問題について専門家チームを出しました。これもどのような根拠に基づくのかというのを明らかにしておいていただきたいと思います。
  203. 橋本宏

    説明員橋本宏君) 国際緊急援助隊法第一条には、先生御案内のように、大規模な災害に対して緊急援助隊を派遣する形となっております。これは、御指摘のように、主として自然災害を指しているものでございまして、戦争、内乱等武力の行使による直接の被害は想定してはおりません。これにつきましては、累次国会において外務大臣よりお答え申し上げているとおりでございます。  他方、イラクの避難民に対する医療チームにつきましては、次の理由から現行法のもとで国際緊急援助隊としての派遣が可能と解釈して送っております。すなわち、イラン及びトルコにおきましては、本年四月よりクルド人を中心とするイラク避難民が大量に流入いたしまして、必要な支援が得られずに疫病等の大量な発生が見られておりました。この疫病等の大量発生という災害自身は避難民の流入後新たに発生した災害でございまして、武力の行使による直接の被害には該当しないということでございます。したがいまして、この新たに発生しました災害ということにつきまして医療チームを国際緊急援助隊として派遣したものでございます。
  204. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つの方は。
  205. 橋本宏

    説明員橋本宏君) 失礼いたしました。  もう一つ派遣いたしましたサウジアラビアに対する原油回収チームでございます。これにつきましては、派遣しましたのがクウェートの海域ではなく、流出原油が海流、風向き等自然的影響の結果拡散し漂流したサウジの東部州でございまして、そこにおきまして伝統的な漁場の破壊、淡水化施設の閉鎖に伴う飲料水の途絶という、これも新たな大規模な災害が発生したわけでございます。かかる二次災害に対しまして緊急援助隊法のもとでこのチームを派遣したものでございます。
  206. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 かなり御苦労されて解釈されて出されたなと私は思わざるを得ないんですよね。やっぱり油が流出したというのは、二次災害とおっしゃるかもしれないけれども、戦争に伴うものでそういう被害が出てきたという問題になってくると私自身は思わざるを得ないし、そうなると、例えば今後難民対策するにしても、この隊の中でできることがどこまでになるのかという区別は非常に私月身物すごく難しくなってくると思います。  先ほど大臣おっしゃっていましたけれども体制の問題もそうです。ただもう一つ、この援助隊がどこまで、何をやるのかという問題についてもやはり抜本的な見直しをしておかないとごちゃごちゃになっていくというのはもう目に見えております。難民の問題についても、じゃ例えば本当に医療だけでいいのかというとそうじゃないわけですよね。何を今国際的にみんな難民の問題で取り組んでいるかというと、キャンプの建設であり、その施設をどう運営するかが難民問題のポイントになっているわけです。そういった問題までこの援助隊にやらせる気があるのかどうかという問題も含めて、私は単に体制だけじゃなく、法の目的それ自身もきちんと――自衛隊の問題別ですよ、今のところは。別として、やる必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  207. 橋本宏

    説明員橋本宏君) この緊急援助隊につきましては、救助のチーム、医療のチーム、それから災害後の復旧のためのチームという大まかに言いまして三つの対象のチームを送っております。その中で、今度救助のチームとして消防庁、大阪市消防局、東京消防庁からもヘリコプターを出してバングラデシュで緊急援助活動をしていることについては先生御案内のとおりでございます。  ただ、何分にもこの緊急援助隊法ができましてまだまだ新しく、我々経験を重ねておりますが、まだまだ至らぬところもあるかと思います。今後この緊急援助隊の体制をいかに強化していくかということにつきましては、先ほど外務大臣の答えておられるラインに従いまして、我々内部でもって外務省及びJICA双方ともにおいて検討しているところでございます。
  208. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは、大臣、先ほど種田委員質問に対して、大臣御自身は、今回のバングラデシュの問題を踏まえながら、やはり自衛隊法の八十三条に災害出動の問題もあるというようなこともおっしゃったり、いろんな形で自衛隊の災害救助というものを考えていかなくちゃいけないという積極的活用をさっきお話しになられました。その中でこれは自然災害だとおっしゃいました。その一方で、国際緊急援助隊の派遣の法律を改正して対応するのだともおっしゃいました。  先ほど議論したとおり、この国際緊急援助隊の派遣という問題、決して自然災害だけではないわけですよね。現時点でも都市災害で出すこともできるわけです。大臣として、その自衛隊の派遣という問題についてどの辺の問題まで含んだ形で考えられて発言をされたのかということをはっきりこの際述べていただきたいし、この面についてはまだ検討しなくちゃいけない、この面については私としては考えているという御見解があれば、この派遣に関する法律と絡めながら御見解をお伺いしておきたいと思います。
  209. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 国際緊急援助隊法というものは、その目的が自然災害ということが法律の大きな目的に挙げられているわけでございますから、その目的にかなった行動をやっていくように制度、設備を重視しなければならない、これはもう当然のことでございます。この中には、防衛庁は外れておりますけれども、警察庁を初めいろんな、地方自治体も含めて全国の公的機関の参加というものが要請できるような法律の附則がついておるわけでございます。  そういう中で、自衛隊がこれに参加できるかどうかということは、この法律が国会で御審議いただいた時点で、将来の問題であるとその当時政府は答弁をいたしておりまして、私は、今日このバングラデシュの大災害を初めいろんな地域での災害に、機動性を持って平素の訓練された、蓄積されたノーハウを国際的に貢献できる組織というものは日本にどんなものがあるかといえば、現在の附則に記載されている官庁以外に防衛庁も国内の災害対策で経験技術を蓄積しているわけでございますし、御存じのように通信の専門の方々もおられるし医療の部隊もあるし、あるいは施設大隊もあって災害復旧等に大活躍を国内でしていただいておる。こういう観点から見ると、憲法の定めます範囲の中で国際的な貢献が平和の目的であり、また自然災害という一つの大きな現実問題と相手国政府要請という絶対条件がついておるならば、それに対して自衛隊の方々の蓄積された技術を国際的に貢献することが可能ではないか、このように実は考えているわけであります。  私は率直に申し上げて、外務大臣として国民の信頼にこたえなければならないという観点から申し上げますと、国際貢献と申しましても、汗をかく、人を出すという一つのやり方、もう一つは資金を提供するというやり方があろうかと思います。しかし、今日、国連の義務的負担金以外に我我国民国際社会に資金を提供している、国連関係機関への自発的な拠出金額は総額にいたしまして約五億ドルに上っております。  こういうことを考えてまいりまして、例えばバングラデシュあるいはイランの難民の調査に行かれた国会の先生方の帰国後の御報告を承りますと、相手国政府は、日本国が拠出した金額を実感をしていないというお話をよく聞かされます。つまり、相手の国家、国民にとって肌で感じる協力というものが今日国際機関を通じた場合にはなかなか相手に感じない。これは二国間の信頼関係、友好関係を増進するために、あるいは国際社会のために貢献をするといった日本の気持ちを伝える上でなかなか難しい一つの側面を抱えているという認識を強く持っておりまして、私は、資金の協力とともに人的協力というものが積極的に行われることによって、平和を目的とする日本という国のあり方が国際社会に大きく理解をしていただく一つのあり方として、国際緊急援助隊法の一部改正を行ってでも国際的な日本に対する信頼、期待というものを高めることがこれからの外交に必要であるという認識を実は持っているわけであります。
  210. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうすると、大臣の今の発言でいきますと、自然災害というものを想定して積極的に行うというふうにおっしゃったんですけれども、そうなると、現在の国際緊急援助隊の派遣の目的がございますね、それに基づいてだったら形としてはなるべく積極的にやりたい。ですから解釈上、できるならば難民の問題にも、もちろん自衛隊の中に医療チームもあるわけですから、そういうことも含めて考えていらっしゃるし、またこれは法解釈の問題になってくるんですけれども、自衛隊というもの――賛否は別ですよ、自衛隊というものが入り込むならば難民キャンプの問題も出てくるわけですよね、具体的に。そんなものまで大きく考えた形で自衛隊という形をお考えになっているというふうにとらえていいんでしょうか。結論だけお願いします。
  211. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 結論だけ申し上げるといたしましても、問題点が重要でございますから、少し明確に申し上げておかなければなりません。  それは組織的に、自然災害が起こったときに組織としてその混乱を防ぐ、救済するという能力を持った組織というものが、日本で一番すぐれているのは、国内の経験から申しますと我が自衛隊にあるということは、これは何人も認めるところだと思います。一方、この運用面において原則、原則というか、まあ非武装ということが絶対的な条件であろうと思います。必要な機材以外は、これは武装する必要はないわけでありますから、そういうことから考えますと、私は国民の御理解をいただきやすい、このように考えております。
  212. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 難しい論議になりますけれども、そうなると、非武装という形であれば、前に一回問題になったんですけれども、自衛隊の医療チームの派遣みたいな問題がこれは前回の国連平和協力法案を審議するときにありましたよね。そうすると、医療チームというのは原則的にこれは非武装ですよね。そうなると、実際にこういう難民問題等が起きたら活用できるというふうなとらえ方ができるようになるわけですよね。そういう自然災害というとらえ方の問題、災害という。だから目的というものが幅広い形の目的という形で大臣はとらえていらっしゃるのかなと。それとも狭い範囲で本当の自然災害だけととらえていらっしゃるのかというのがちょっといまいちわからないんですけれども、そこがもし明確にできるものならしていただきたいんですけれども
  213. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 主として自然災害であります。
  214. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 主としてですね。じゃ、そういうものまでやはり考えた上で検討しようということだろうと私は思います。  せっかく防衛庁長官来ていただきましたので、今論議をいたしましたこの問題について、防衛庁長官の見解をきちんと伺っておきたいと思います。
  215. 池田行彦

    国務大臣(池田行彦君) この災害等の場合における日本としての国際的な貢献、特に人的な面における貢献につきまして、私もいろいろな機会に、求められて考えを述べております。ただ、そういったときに、防衛庁長官の立場としてお話ししている場合と国務大臣の一人としてという場合もある、場合によっては政治家の一人として意見を申し上げていることもあるということをひとつ冒頭に申し上げておきたいと思います。  私は、こういう問題については、基本的にまず広く国際的に一体どういうものがニーズとしてあるかというものを考えなくちゃいけない。そうして、それに対して日本として一体どういった分野に対して対応できるか、これは憲法も含めて法制面でできるかどうかという問題、あるいは制度面、法を離れた制度面でどうかというような話、あるいは技術とか能力といった面、そういったものを含めて何ができるかという問題、こういう観点が一つあると思います。さらに、そういった中でも何をするのが適当であるか、こういう問題があると思うんですね。そういうことを広く議論していって、その中から日本としての国際的な人的貢献の方途というものを今後考えていくべきではなかろうか。そしてその中で自衛隊というものが持つ能力というものをどの分野に活用すべきか。そして活用する場合には、それをどういう形態においてするべきかと、そういうふうに考えていくべきであろう、このように考えておる次第でございます。  そういった検討の過程におきまして、例えば、もちろん憲法の枠内でなくてはなりませんけれども、その中で法的な根拠といいましょうか、そういうものが整備されていないものについてあるいは立法措置を必要とするものがあるかもしれない。それが緊急援助隊法の改正ということにもなるケースもありましょうし、あるいはそれ以外の法についての手当てをすることが必要、あるいはその方が妥当であるといったこともあると思うのでございます。そういったことを国民の中で広く議論していただく、こういうことが私は必要じゃないかなと、こう言っているわけでございます。  そうして、自然災害か、それ以外のことについてもどうかという点でございますが、この点につきましては、私が申しましたのは、少なくとも今回バングラデシュで現実に起きているような自然災害についてであるならば、これは国民の皆様方の中でも自衛隊の能力を活用することについて非常に、いわば当然であるというような御意見の方が少なくない、多い。いわばコンセンサスが得られやすいということがある。そういうことがあるならば、そういったところについて議会においても御議論いただいて、必要な措置をすることも考えられるんじゃないかと、こういうふうに申しておるわけでございまして、またさらに、自然災害以外の災害についてどうするかということは、これも御議論の中でいろいろ考えが出されて結論が得られればそれはいいと思うんです。したがいましてまず自然災害についてやって、その他の問題についてはしばらく検討の上、後から追っかけるということもあり得ましょうし、あるいは同じ自衛隊の能力を活用するにしても、自然災害とは違うものについては歯どめと申しましょうか、例えばそういったものが、自衛隊が出ていく場合のいろいろな手続とか手順についていろんなことを考えることも可能でございましょうし、いろいろな知恵があるんだと思うのでございます。  先ほど委員もおっしゃいましたけれども、緊急援助隊法ができてからもう三年半たちましたですね。それで、緊急援助隊法についてもいろいろな不備があるだろうと御指摘ございましたけれども国民の中でもいろいろあれから国際貢献についての考え方、意識の変化というものがあったと思うのでございます。そういったことも踏まえながら、議会においてそれの本当に広範な議論をしていただいて、日本としての適切な道を模索していっていただきたい。そのときに自衛隊としても求められるならばお役に立ちましょう、そしてそのときにはやはり参加の形態としてはこういう形態でなくては真に有効な役割は果たせないかもしれませんということは我々の立場としてまた申し上げることもあろう、こう思います。
  216. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 本当はもっとやりたいんですけれども、次の質問も少ししないと申しわけないので……。  ただ、やっぱり私自身は、自衛隊ができてきた趣旨は何なのかという問題というのは、やっぱり専守防衛ということから始まったというのも事実でございます。また海外へ出ていった場合には、たとえ非武装でも軍隊、軍事力と認識されるという事実もあるわけです。そういった意味では、平時の人道的緊急援助といってもなかなかこれは慎重に慎重を重ねなければいけないと思えてならないんです。特に、やっぱり平和憲法下私たち日本がこれまで歩んできた道というのは、いささかなりとも軍事的な色彩を帯びる対外活動は厳に慎しむというのがこれまで国会で議論したことでもございます。そういった経過をしっかり踏まえなくちゃいけないし、逆に言えばアジアの問題があるわけです。そういったことを常に念頭に置かなければいけないと思うんです。  私、外務大臣が発言されたときに、正直言ってショックでした。なぜかというと、掃海艇の問題が出た後すぐ出てきたということがございます。やっぱりいつの間にか、それだけ見ていると、国民的理解は得たとおっしゃるのかもしれないけれども、何かなし崩し的に自衛隊を外へ出そうというような既成事実が進んでいるような気がして正直なりませんでした。そういった意味で、この問題論議するとき、そういったさまざまな背景、これまで国際緊急援助隊がやってきたもの、それより何より自衛隊とは一体何なのかというものをもう一回きちんとしない限りできないと思うし、もう一つは、我が党にとりましては、PKOの問題を含めて三党合意をいたしました。その中に国際的な緊急災害援助活動というものも入っております。それはなぜかというと、やはり常設のものがない限り、緊急援助というものは常設の部隊がないとできない場合もあるんですよという意味からやったはずです。そういった三党の合意というものをきっちり踏まえた上で検討していただかないとこれは私は絶対間違いだと思えてなりません。そこまで慎重に検討した結果、結論を出していただきたいと思っております。これ答えは要りません。  もう時間がわずかになりました。済みません、運輸大臣にせっかく来ていただいて。  実は、JR株の上場の問題について、運輸大臣に一言お伺いしようと思っておりました。  政府は、八九年の時点で、遅くとも九一年度中の上場ということを閣議決定しております。ただ、現在の株式市場を見ると低迷しており、なかなか難しいというような現状もあって、例えば東京証券取引所の理事長が十四日に会見して、JR株式上場について、この上場というのは、市場の消化能力から見て上場は困難だというようなことをおっしゃったり、ところがその一方で、報道では上場はJR東日本一社だけとか、三社とも見送るとか、放出株はJR東日本の二百万株だけとか、さまざまな情報だけが今飛び交っているような状態でございます。  運輸省としてどこまでこの上場についての方向性を現在持っていらっしゃるのか。また、この問題についていつまでに明らかにされようとしているのか。この辺を大臣にお伺いしたいと思います。
  217. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) JRの株式につきましては、御承知のとおり、平成元年十二月の閣議決定の趣旨に沿って検討、準備を進めているところでありまして、その一環として、JR株式の売却、上場に関する基本問題についての指針を得るため、昨年三月から各分野の有識者をメンバーとしたJR株式基本問題検討懇談会を開催しているところであります。この懇談会につきましては、今月中にも意見を取りまとめていただければと考えており、運輸省としてはその検討結果を踏まえ、適切に対応してまいることといたしております。
  218. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後に一言だけ。  運輸大臣、そうすると、閣議決定でしている、遅くとも九一年度中の上場という、閣議決定ですよね、これは。この方針はいささかも今のところ捨てていないと。結論が出るのが今月中ですか、出されるとしても、この基本方針、これだけは変えていないというふうに確認しておいてよろしいんでしょうか。それも含めて検討していただくということになるんでしょうか。それだけをお伺いして終わりたいと思います。
  219. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 閣議決定の場合は、平成年度中に必ず売るというのではなく、その方向で検討すると、こういうことでございますので、いろいろな御意見もありますけれども、実際の売却につきましては株式市場の動向を十分見きわめつつ、弾力的に対応していくことが必要であると考えております。
  220. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  221. 諫山博

    ○諫山博君 創価学会が東京国税局の税務調査を受けて、総額二十三億八千万円の法人所得の申告漏れがあったことを認めて、四谷税務署に修正申告書を提出した、こういう報道がされております。法人税約六億四千万円を納付したということも言われています。そういう事実がありましたか。
  222. 山口厚生

    説明員(山口厚生君) 個別の問題につきましてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、一般論として申し上げますと、宗教法人を含む公益法人等に対する法人税率、これは二七%でございますので、お尋ねのような設例の場合には、納付すべき法人税額は二十三億八千万円に掛けますので約六億四千万円と、こういう計算になります。
  223. 諫山博

    ○諫山博君 あれだけ新聞で報道されながら、特定の事件だということで国会で説明されないというのは大変遺憾です。  そこで、一般論として質問します。  今の説明でも明らかになったわけですけれども、宗教法人で二十三億八千万の所得の申告漏れがあったとすれば、納付すべき税額は六億四千万、こうなりますか。結論だけでいいです。
  224. 山口厚生

    説明員(山口厚生君) さようでございます。
  225. 諫山博

    ○諫山博君 法人所得の申告漏れがあると過少申告加算税を払わなければなりません。さっきの例の場合には、過少申告加算税額は約六千万円になりますか。
  226. 山口厚生

    説明員(山口厚生君) お尋ねの設例につきましては、納付すべき法人税額に単純に一〇%を乗じた過少申告加算税を賦課するものと仮定した場合、こういう場合には過少申告加算税額は約六千四百万円と相なります。
  227. 諫山博

    ○諫山博君 宗教法人の墳墓地の貸し付けは、収益が非課税だということになっています。非課税とされるのは墳墓地の土地貸付料だけであって、墓石の貸付料は課税対象になると言われていますけれども、この立場は大蔵省としては一貫したものですか。
  228. 山口厚生

    説明員(山口厚生君) 法人税法におきましては、宗教法人が行う……
  229. 諫山博

    ○諫山博君 結論だけでいいです。一貫したものかどうか。
  230. 山口厚生

    説明員(山口厚生君) これは説明を要しますので。  法人税法におきましては、宗教法人が行う墳墓地の貸付業は法人税の課税対象となる収益事業に含まれないものとされております。この場合の墳墓地とは、墓を建立するための土地そのものをいいますので、墓石は含まれず、この考え方は従来から変わっておりません。したがって、宗教法人が墓石を貸し付けた場合には、その貸し付けから生じた所得は法人税の課税対象と相なります。
  231. 諫山博

    ○諫山博君 宗教法人が墳墓地を貸し付けた場合に、土地と墓石を合わせて貸し付ける場合があるようです。その場合には、土地の貸付分については税金はかからないけれども墓石の貸付分については税金がかかる、こういうことになるわけでしょうけれども、墓石の貸付分の税額というのは、基本的には墓石の価格を基準にするというふうに理解していいでしょうか。
  232. 山口厚生

    説明員(山口厚生君) お尋ねのようなケースの場合、収入金額を土地部分と墓石部分に区分するに当たっては、土地取得費や墓石の原価などの諸原価をもとに、合理的な計算方法により案分することにしております。
  233. 諫山博

    ○諫山博君 創価学会の墓苑収入に対する課税漏れというのは新聞で大きく報道されました。特定の事件については説明をしないということで答弁を避けられましたけれども、一般論として、マスコミの報道の正しさは確認されたと思います。  そこで、この問題を別な観点から法務省にお聞きます。  弁護士山崎正友の創価学会に対する三億円恐喝事件というものがありました。あの事件で、当時創価学会の会長であった北條浩氏が東京地検で検察官に対して詳細な供述をしています。  私の手元に今四冊にわたる供述調書があります。これはその後東京地方裁判所昭和五十五年(ワ)第九〇五一号の損害賠償請求の民事裁判で東京地裁に取り寄せられています。既に公開されたものです。この北條浩氏の調書に基づいて幾つかのことをお聞きします。  この北條調書には、創価学会が墓苑経営に乗り出した経過が詳細に記載されています。昭和五十六年二月十二日付北條調書の二枚目の裏に、「昭和四九年八月末頃から内部的に検討をはじめ、その頃から池田会長は日達上人にお目どおりをされた機会に」「学会で墓苑を作ることの了解を得られておりました。」中略「翌九日の聖教新聞に発表したのであります。」、こういう記載がありますか。
  234. 井嶋一友

    説明員井嶋一友君) ただいまの御質問にお答えいたします前に、一言お断りいたしたいと思うことがございます。  今委員指摘のとおり、この事件は既に裁判確定をいたしまして、訴訟記録は確定記録として一般に閲覧ができる形になっておりますから、そういった意味では公開がされておるわけでございますけれども委員御案内のとおり、検察官調書と申しますものは、本来捜査の目的のために供述人に御協力いただいて供述をしていただく。そして、その中身というのは極めてプライバシーに属するものでございます。そういった意味におきまして、供述調書を御引用になった御質疑に対して、私どもといたしまして答弁を申し上げる立場というのは非常に難しいわけでございますけれども、しかし、公開をされておるということもございますので、その限度でお答えをさせていただきたいということをお断りいたします。  それからもう一点、裁判というのは、御案内のとおりあらゆる調書が総合的に活用されまして事実が認定されるわけでございますので、一つの調書、一人の供述人の調書だけが真実を語っているかどうかという点につきましてはこれは保証の限りではございませんので、その点もお含みいただきたいと思います。  その上で、ただいま御質問の日付の調書にそういった記載があることはそのとおりでございます。
  235. 諫山博

    ○諫山博君 同じ調書の三枚目の表に、北海道に「「戸田記念墓苑」としてこれをつくることを決定し、翌五一年四月に着工し、三〇三五〇基を設けて五二年九月には完成しております。」という記載があるかどうか。  さらに、次のページに、「「富士桜自然墓地公園」として五三年四月一日に着工し、五万基(うち三〇〇〇基は富士宮市の市民墓地分)を設け、五十五年十月に完成しております。」という記載がありますか。
  236. 井嶋一友

    説明員井嶋一友君) いずれも、御指摘のような記載がございます。
  237. 諫山博

    ○諫山博君 同じ供述調書の四枚目の表に、昭和「五一年三月一四日、」創価学会の責任役員会で「法人の規則を変更して、」「墓地の経営を盛りこみ、あわせて墓苑公益事業部門の組織をつくり会計上も墓苑公益事業特別会計として独立させました。」という記載がありますか。
  238. 井嶋一友

    説明員井嶋一友君) 御指摘のような趣旨の記載がございます。
  239. 諫山博

    ○諫山博君 昭和五十六年二月六日、七日付北條調書の百二十六枚目の表に、「墓苑会計というのは」中略「他の会計とは独立のものです」。さらに、「この墓苑会計」は「課税の対象からはずされています。」こういう記載がありますか。
  240. 井嶋一友

    説明員井嶋一友君) 御指摘のような趣旨の記載がございます。
  241. 諫山博

    ○諫山博君 昭和五十六年二月十二日付北條調書四枚目の表に、「学会が現在経営している墓苑は戸田記念墓地公園と富士桜自然墓地公園の二か所だけです。」という記載がありますか。現在というのは調書が作成された昭和五十六年二月十二日のことです。
  242. 井嶋一友

    説明員井嶋一友君) 記載がございます。
  243. 諫山博

    ○諫山博君 創価学会は、山崎正友から恐喝によって三億円の金を要求され、その三億円の金をどこから捻出するかについて、詳細な検討をしたことが北條調書に記載されています。  昭和五十六年二月六日、七日付北條調書の百三十枚目の表に、創価学会の「役員室に私」、これは北條さんのことです。「森田理事長、秋谷副会長及び八尋弁護士が集まり、」「金の捻出等について話し合いました。そこで墓苑会計から一億円」を出す「ことに決めました。」、こういう記載がありますか。  さらに、同じ供述調書の百二十四枚目の裏に、「私は、三億円を山崎弁護士に対する貸付という形式で出すことにしても、金が出せるところは一般会計はぎりぎりだし、墓苑会計しかない。」云々という記載がありますか。
  244. 井嶋一友

    説明員井嶋一友君) お尋ねのような趣旨の記載がございます。
  245. 諫山博

    ○諫山博君 昭和五十六年二月四日、五日の北條調書の七十八枚目の表に、「山崎弁護士に」「墓苑報酬という名目で手取りが約一億円、税込みで一億二〇〇〇万円を出すことにした。」、こういう記載がありますか。
  246. 井嶋一友

    説明員井嶋一友君) 御指摘の記載がございます。
  247. 諫山博

    ○諫山博君 この記録の中に、昭和五十五年四月二十八日付、山崎正友の借用書が添付されています。金額は一億二千万円、あて名は創価学会墓苑公益事業代表理事、山崎尚見様となっています。間違いありませんか。
  248. 井嶋一友

    説明員井嶋一友君) 本調書末尾に、御指摘のような証拠物の写しがついていることは間違いございません。
  249. 諫山博

    ○諫山博君 創価学会が弁護士の山崎正友から三億円を恐喝された。これは大変世間で問題になった事件です。現在山崎は服役中のはずです。  この中で、一億二千万円は墓苑会計から出された。残りの金は福島弁護士その他の借入金を充てていた。しかし、それも最終的には墓苑会計から支出され、雑損処理の扱いをしていた、こういうことが昭和五十六年二月六日、七日付の北條調書に記載をされています。これは何カ所にもわたって記載をされていますから確認は求めません。そして、これを裏づける伝票も供述調書に添付されています。  つまり、山崎正友による恐喝事件の被害金三億円は、全額墓苑会計から流用されたということが当時の創価学会の会長である北條浩氏によって詳細に述べられているのであります。  そこで、私は北條調書の中から二つの問題点指摘したいと思います。  第一は、創価学会の墓苑経営は、昭和五十二年ごろから始められていたということです。昭和五十五年十月には新たに五万基もの墓苑が完成しています。ところが、創価学会の墓苑に対する課税は、長期間にわたって放置をされていました。初めの答弁で明らかなように、墓苑経営のうちの墓石部分に対しては課税をする、これは法人税法制定以来の大蔵省の一貫した方針であります。そして、創価学会の税金問題というのは、随分早くから取りざたされていました。その場合、墓苑経営が創価学会の重要な収入源になっている、これも広く報道されていたことであります。マスコミではむしろ常識でした。  ところが、長い間この問題が放置されていた。莫大な法人税が時効によって徴収できなくなっている。私はこれは極めて重大だと思います。一般に、徴収すべき税金を徴収しない、これは相手が個人であれ会社であれすべて重大ですけれども、宗教法人の場合には特別重大だということを大蔵省なり国税庁当局は真剣に考えていたのだろうかということです。  宗教法人に対する税金を徴収しなければならないのに徴収をしなかった。これは反面からいいますと、宗教法人に対して国が財政的な援助を与えたと同じことです。学者はこの問題について隠れた補助金だと、こういう言い方をしています。個人の場合にはこういう言い方はされませんけれども、憲法二十条で、国は宗教法人に対して経済的な援助を絶対にしてはならない、こういう建前があるのに、多額の法人税が徴収不可能になっているというのが現在の状況だと思います。  この問題について大蔵省はどうお考えですか。
  250. 山口厚生

    説明員(山口厚生君) お尋ねの件は、個別にわたる事柄であるので答弁することを差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、先生指摘のように一般論として申し上げますと、御承知のように最近宗教法人につきましては、社会経済情勢の変化の中で収益事業のウエートが増し、その資金規模等の大きなものが現出するなど税の面でも関心を持つ事象が多く認められる状況にございまして、また税制改革論議の中でも、これらに対する税務執行面での適切かつ厳正な対処が要請されているところでございます。このため国税当局といたしましては、宗教法人の収益事業の有無であるとか、あるいは給与の支払いの有無であるとか、そういうことなどを的確に把握するとともに、各種資料情報の収集等に努めまして、課税上問題があると認められるものや、あるいは事業規模が大きく経理処理の適否を確認する必要がある、そういうふうに認められるものに重点を置いて調査をいたしまして、適正な課税の実現に努めておるところでございます。  今後ともそのように努めたいと思っております。
  251. 諫山博

    ○諫山博君 大蔵大臣に答弁を求めます。  北條調書の引用でもわかりましたように、戸田記念墓苑、これは三万三百五十基の墓地ですけれども昭和五十二年に完成している。富士桜自然墓地公園墓苑五万基、昭和五十五年に完成している。ところが、実際は今回まで税金は徴収されていないんですね。この金額は恐らく数十億になるのではないかと思います。  学者の諸説を聞きますと、宗教法人に対して税金を徴収できるのに徴収しないのは憲法上の問題を生ずる、隠れた補助金を出すのと同じだと、こういう言い方がされていますけれども、大蔵大臣、この問題をどう理解されますか。
  252. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回、国税庁として税務調査を行い、適切な措置をとったと考えております。
  253. 諫山博

    ○諫山博君 憲法上の問題はどうですか。
  254. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 残念ながら、委員の御見解とは私は考えを異にいたします。
  255. 諫山博

    ○諫山博君 これは、徴収すべき税金を徴収しない、そして徴収すべきだということは大蔵省の一貫した立場だった、これが明らかになっているのに数年分が徴収されなかった、これは経済的に国が援助をしたのと同じことになるのではないかというのが学者の指摘です。この点はぜひ深刻に検討していただきたいと思います。  もう一つの問題は、山崎正友の恐喝に基づいて三億円の金を墓苑会計から出したということです。これは北條会長も言っておられますように法人税の対象にならないものだという認識があったようです。ところが、三億円の金を何とか捻出するのに墓苑会計から出したというのは、全く宗教法人に対する非課税という制度を悪用したものだというふうに言わざるを得ないと思います。  この問題について大蔵大臣の所見を聞かせてください。
  256. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変申しわけありませんが、私はその調書を読んでおりません。事実を把握いたしておりませんので、意見は差し控えさせていただきます。
  257. 諫山博

    ○諫山博君 次に、別な問題を聞きます。  四月十日の参議院予算委員会で、ルノワールの絵画をめぐる十五億円行方不明事件が論議されました。振り返りますと、画廊のアート・フランスが三菱商事に売った代金が二十一億二千五百万円です。三菱商事が支払った金額が三十六億円です。これが東京富士美術館に売られたときは四十一億円になっていました。三菱商事が支払った金額の中の約十五億円はどこに消えたのか、これが四月十日の参議院予算委員会における中心的な問題でした。このときの国会で海部総理は、本当にわからないのかあるいは意図があって隠されているのかきちっと解明してもらうべき問題であると言っておられます。橋本大蔵大臣は、非常に不明朗な感じを持っている、使途をあくまで解明し適正な課税を図ることが肝要、こう答弁しておられます。  あれから四十日たちましたけれども、この調査の結果はどうなっていますか。
  258. 龍宝惟男

    説明員龍宝惟男君) 先生指摘のように、三菱商事の絵画取引に絡む問題につきまして、先般参議院の予算委員会で御議論がありましたことは私ども承知をいたしておりますし、また、本件につきましてはいろいろな新聞報道がなされているところでございますけれども、従来から、こういう個別問題につきましての調査の内容等につきましては、具体的にお答えすることは差し控えさせていただいておりますので、お許しをいただきたいと思います。  ただ、一般論として申し上げますと、私ども国税当局といたしましては、やはり適正な課税を実現するという観点から、国会で御論議をいただきましたことあるいは新聞等で報道されましたことにつきましては常に強い関心を持っているわけでもございます。使途不明金は、私どもの立場から見ましても、やはり真実の所得者に課税をするという税務行政の立場からいいましても、課税上問題であるというふうな認識に立っております。したがいまして、私ども日ごろから企業に対して安易に使途不明金処理をしないようにという指導をしているわけでございますけれども、実際の調査に当たりましては、企業を説得をし、あるいはあらゆる資料、情報を収集いたしまして、使途不明金の使途の解明ということに全力を挙げているところでございます。  いずれにいたしましても、安易に使途不明金は容認されるべきではないというふうに考えておりますので、今後とも私どもその使途の解明に全力を挙げていく、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
  259. 諫山博

    ○諫山博君 この問題は、参議院の予算委員会で具体的に議論されているんです。そして海部総理は、きちっと解明してもらうべき問題であろうと言っているんです。大蔵大臣も、使途をあくまで解明しというふうに答弁されております。この国会での答弁を受けて、どういう解明がなされたのかという質問です。これは当然国会に明らかにする責任があるじゃありませんか。国会で明らかにするという答弁がされているんですから。
  260. 龍宝惟男

    説明員龍宝惟男君) 私ども国税当局といたしましては、使途不明金の解明に対して全力の努力をしているわけでございますけれども、個々の事案につきましてどういうふうな課税処理をしたか、あるいはどういう調査内容であるかということにつきましては、立場上お答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。
  261. 諫山博

    ○諫山博君 使途不明金の解明に努力しているというのは、ルノワールの絵画問題について言われているんですか、それとも一般論ですか。
  262. 龍宝惟男

    説明員龍宝惟男君) 再々で大変恐縮でございますが、私ども、個別にわたる事柄については具体的にお答えすることは差し控えさせていただいておりますが、一般論として申し上げますと、先ほどから申し上げておりますように、使途不明金というのは安易に容認をされるべきではないというふうに考えておりますのが私どもの立場でございますので、そういう考え方で、使途不明金の解明について全力を挙げて調査に当たっているということでございます。
  263. 諫山博

    ○諫山博君 ここで問題になっているのは、十五億円という巨額な金額ですよ。この十五億円の行方を知っているというのは三菱商事、創価学会の幹部を中心にしたほんの少数の人です。この十五億円の行方がわからないというのであるなら、国税当局がよほど無能であるのかあるいはやる気がなかったというふうにしか言えないじゃありませんか。総理大臣と大蔵大臣がきちっと解明するという問題について、四十日後の現在どういう解明がされたかを説明してください。
  264. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほど来、私の答弁を引用されますので、正確に、恐らく委員がお述べになっておられる点と思われる答弁をもう一度私から繰り返させていただきます。  私がお答えをいたしました佐藤三吾委員に対するお答えは、   使途不明金というものにつきましては、あくまでも国税の立場といたしまして、国税局を所管する私どもの立場から申しますならば、その使途をあくまでも解明し適正な課税を図ることが肝要である、そのように考えております。税制調査会の答申の中に、「本来、何らかの経費としての性格をもつ支出を損金不算入とし全額を結果的に課税することは、法人税制の枠内の措置としては限界であるとも考えられる。なお、これ以上の措置を講ずる必要があるとする場合には、商法、刑法等の関連で検討されるべき問題であるとの指摘があった。」と述べられておる状況がその状況を示しておると思います。   先ほど、税務当局としてその解明に努力をする、そしてどうしてもその使途が明らかでないものに対しては損金不算入という措置をとっておりますというお答えを申し上げましたのは、現行税法を運用する税務当局として私は最大限の努力をいたしておると考えておりまして、本来、その使途を解明していく、そしてその支出先に対して適正な課税を行うというのが私どもの役目であると思いますが、どうしてもその使途が明らかにされない場合、税法上からまいりますなら損金不算入という措置が私はぎりぎりの限界であろう。税制調査会の御意見と同様の関心を持っております。 という私はお答えをいたしております。  先ほど来、税務当局が無能といった言葉まで委員はお使いになりましたが、一般論として、私は税務当局は全力を尽くしておると信じております。
  265. 諫山博

    ○諫山博君 大蔵大臣は税制調査会の答申を引用して今説明されましたけれども……
  266. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、これはこの前私がした答弁をそのままに読み上げたんです。
  267. 諫山博

    ○諫山博君 これについてお聞きしたいんですけれども、そうすると、税務調査には限界がある、それから先は刑事事件として捜査機関が処理すべき問題だ、こういう趣旨になりますか。
  268. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変、前の答弁、すなわち質問者の御意思に対してお答えをしておりますものの一部を引用して御意見を述べられたようでありますが、いわゆる使途不明金につきまして、税制調査会の答申においては、「本来、何らかの経費としての性格をもつ支出を損金不算入とし全額を結果的に課税することは、法人税制の枠内の措置としては限界であるとも考えられる。なお、これ以上の措置を講ずる必要があるとする場合には、商法、刑法等の関連で検討されるべき問題であるとの指摘があった。」とされております。この趣旨は、いわゆる使途不明金というものにつきまして、税法としてはできる限りの措置を講じているので、これ以上の措置を講ずる必要がある場合には企業情報の開示などといった商法や刑法などの立場からも検討されるべきであるという意味でありまして、税務調査には限界があるからそれ以上のことを解明するには刑事事件としろというような意味ではないと私は思っております。
  269. 諫山博

    ○諫山博君 そこで、法務省にお聞きしますけれども、十五億円の金がどこに行ったかわからない。これに関係しているのは三菱商事とか創価学会とか、そういうれっきとした団体ですね。この十五億円の金が結局裏金つくりに利用されたに違いないというのは常識だと思います。どこか金庫の底に行方不明になっているという性質のものではないはずです。  そうなりますと、さまざまな刑事上の問題が生じます。一つは、大蔵大臣が引用された税調の答申、商法上の問題という指摘がされております。これは、会社の役員がその任務に背いて会社に損害を与える。該当すれば三菱商事になってくると思いますけれども、当然特別背任罪が出てくるのではないか。あるいはこれほどの金がどこに行ったかわからないという工作をするためには私文書偽造も予定されるし、背任とか横領とかそういう犯罪行為も介在しているのではないかというふうに考えるのが常識だと思いますけれども、捜査当局はこの問題にどう対処していますか。
  270. 井嶋一友

    説明員井嶋一友君) お尋ねの事柄につきましては、報道機関がいろいろ報道いたしておりますことは検察当局も承知をいたしておると思いますけれども、検察当局が捜査をしているかしていないかも含めまして、具体的事件につきましては従来答弁を差し控えさせていただいておりますので、申し上げることができません。
  271. 諫山博

    ○諫山博君 警察は、刑事事件として捜査をしていますか。
  272. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) お尋ねの件につきましては、現在警視庁におきまして古物営業法上の問題があるかどうかにつきまして、事実関係調査中であるという報告を受けているところでございます。
  273. 諫山博

    ○諫山博君 古物営業法というのは三菱商事に関して出てくることだと思いますけれども、三菱商事は一般的な古物営業の許可は持っているけれども書画とか骨とうの取引の許可は得てないでしょう。それはどうですか。
  274. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) 三菱商事の古物営業法上の許可の問題でございますが、三菱商事は自動車、機械工具類、道具類及び皮革、ゴム製品等につきましては古物商の許可を受けているところでございますが、美術品類につきましては、古物商の許可を受けていないという報告を受けております。
  275. 諫山博

    ○諫山博君 古物営業法違反というのは、この事件から見れば本当に末梢的な事件ですよね。それでもやはり犯罪捜査の端緒とはなり得ると思います。一番肝心なのは、十五億円の金が犯罪行為によって隠されたのではないかという嫌疑です。これについてはどういう捜査がされていますか。
  276. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、現在の段階では、古物営業法上の問題につきまして事実関係を詰めているという段階でございます。
  277. 諫山博

    ○諫山博君 四月十日の参議院の予算委員会で、ルノワールの絵画問題については相当突っ込んだ議論がされているんです。あの会議録を読む限り、当然税務当局も捜査当局も十五億円の流れを必死に追及して、それがどうなっているのかということを国民に明らかにするという責任があると私は読みました。今後この問題は、結局使途不明金だったという形で処理するわけにはいかないと思います。三菱商事は使途不明金として解決したがっているようですけれども、これはとんでもないことです。もしこういうことが許されるなら、公然たる裏金づくりが公認されるということになります。  私は、これは単に申告漏れとか、そういう問題ではなくて、詐欺その他の方法で脱税を図ったという事件だし、当然これに刑事犯罪が伴うと思いますけれども、そういう立場で国税当局はもっと本格的に調査していただきたいと思いますけれどもどうでしょう。
  278. 龍宝惟男

    説明員龍宝惟男君) 重ね重ね一般論で恐縮でございますけれども、私ども使途不明金の解明につきましては全力を挙げて努力をする所存でございます。
  279. 諫山博

    ○諫山博君 そこで結論ですけれども、創価学会の墳墓地に対する課税問題はまだ解決されておりません。これから申告時期を迎える幾つかの墓苑があるようです。あるいは既に調査が始まっていると言われますけれども、はるな平和墓苑については申告漏れが七十億に達するのではないかというようなことも言われております。当然徴収しなければならない宗教法人の税金を徴収しないというのは憲法上の問題だという私の提起をぜひ深刻に受けとめていただいて、結局、結果的には宗教団体に財政的な援助をしたのではないかと言われないような処理を大蔵大臣に望みたいと思いますけれども、答えてください。
  280. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 法の定める範囲において全力を尽くすと私は確信をいたしております。
  281. 諫山博

    ○諫山博君 警察と法務省に要望しますけれども、本格的な捜査活動に入る端緒というのは幾らでもあるわけです。今言われた古物営業法というのは末梢的な罪名ではありますけれども、やはり本格的な調査の手がかりになり得る問題だと思います。それ以外に、例えば会社側に商法上の特別背任がないはずはないです。例えば十五億円がだれに流れたのかということを明らかにすれば、三菱商事の払うべき税金というのは使途不明金よりかはるかに安いはずです。ところが、あえて使途不明金扱いにしたい、そしてだれかの利益を図る、結果的には会社に損害を与えてもやむを得ない、これはまさに特別背任ではないですか。  私は、これも十五億円という衝撃的な事件に刑事捜査を進める端緒になり得ると思いますけれども、そういう観点で警察、検察庁はぜひ刑事事件としても調べていただきたいと要望いたしますけれども、答弁を求めます。
  282. 井嶋一友

    説明員井嶋一友君) 先ほども申しましたとおり、具体的事件に関する言及は差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、いつも申し上げることでございますけれども、検察当局は刑事法令に触れる行為があれば適切に対処するものと確信をいたしております。
  283. 諫山博

    ○諫山博君 警察。
  284. 関口祐弘

    説明員(関口祐弘君) 警察といたしましても、具体的な刑事法令に違反する事実というものを把握した場合には、法に照らしまして適正に対処してまいる所存でございます。
  285. 諫山博

    ○諫山博君 終わります。
  286. 井上哲夫

    井上哲夫君 私は、きょうは長良川河口ぜきの建設費の面でお尋ねをいたしたいと思います。  この河口ぜきの問題は、建設の推進を願う人たち、あるいは待ってくれという声、さらには自然保護のために建設を取りやめてほしいという声、さまざまな中で今着々と工事は進んでいると思います。そして、この長良川の河口ぜきの問題は決算委員会においてもしばしば質問がなされて、その都度答弁がなされております。であるにもかかわらず、なおきょう私が尋ねたいと思うその意図を簡単に今から申し上げて、そして質問に入りたいと思います。  この長良川の河口ぜきの建設費も、これからお尋ねをすれば、完成までの間に計画当初の費用、中間見直しの費用、さらに完成時の費用とかなり大幅に膨らんでいく、これはやむを得ないことかもしれません。そして、そのことで費用負担をしなければならない自治体の方では、それをどのような形で長期に負担をしていくかということも大きな問題になると思います。  例を出すのはいささかそぐわないかと思いますが、島根県と鳥取県の間の宍道湖、中海の干拓事業も、実は計画段階でいろいろと中身が変わりまして、そしてようやく着工に至って、着工時の総費用の見積額、さらに見直し額、そして最終の一時中断というときの総費用額は約四・五倍に膨らんで、その問題で現時点でも負担額を持つ島根県、鳥取県は、どのような形で今後この清算をしていくかということが大きな問題になっている、これも事実であります。  私は、長良川の河口ぜきの問題はそのようなことにはならないことを願っておりますけれども、現実にこの河口ぜきの問題も、計画の当初は水が足りない、利水ということで大きくせきの建設が主張された。しかし現在では、堤防が危ない、治水ということで盛んにその建設の理由が強調されるようになっております。  そこで、この河口ぜきの問題で、なぜそのように必要の強調の仕方が、強調点が変わったかということも極めて大きな関心事ではありますが、とりあえず現時点でのこの工事の進捗率、現時点での総工事費用、今後完成までに総費用は幾らと見ているかお尋ねをいたします。
  287. 近藤徹

    説明員近藤徹君) まず、長良川河口ぜきの事業計画でございますが、これは昭和四十三年十月に閣議決定を経て内閣総理大臣が決定いたしました木曽川水系水資源開発基本計画に位置づけられているものでございます。この事業計画によりますと、長良川沿川の住民の生命、財産を守るために、治水の立場から大規模しゅんせつが必要であり、そのしゅんせつと相まってせきを建設することによってしゅんせつによって生じる塩害を防除するということを一つの目的、あわせて中部圏の将来の発展を支える水資源を確保するためのせきとして位置づけられておるものでございます。したがいまして、これは計画当初より、四十三年十月よりその内容は一切変わっておらないわけでございます。  事業費は現在千五百億円を見込んでおりまして、平成年度末までの進捗は七百四十一億円、進捗率は四九%となっております。また、平成年度は百七十億円の予算を計上しておりまして、平成年度末には六一%になる予定でございます。  この費用が今後どうなるかというお尋ねでございますが、物価上昇により今後変動することは予想され得るものでございますが、現在までのところ、地中における基礎工事やあるいは補償等いろいろ事前に予測不可能な問題もあるわけでございますが、これらのものにつきましては既におおむね確定しておりますので、現在、今後の見込みとしてはそれほど大きな変動はないと考えております。
  288. 井上哲夫

    井上哲夫君 私の同僚であります高井和伸議員が、平成元年の十一月十日の決算委員会でやはり同じような質問をしております。そのときの御答弁によりますと、進捗率は確かに三六%から四九%に変わっております。しかし、総工費費用は千五百億円と今の御返事では変わりありません。しかも、千五百億円というのは昭和六十年の単価によるということまでおっしゃってみえます。やはり現時点でも、総工費費用は千五億円という数字を想定してみえるんでしょうか。
  289. 近藤徹

    説明員近藤徹君) おっしゃるとおり、昭和六十二年度時点で総点検をいたしまして千五百億円と見込みました。それ以後、今詳細に各事業見直しはしておりませんのでございますが、先ほども申し上げましたとおり、地中における基礎工事とか補償等の大きな要素についてはほぼ見込みが立ちましたので、あとは、物価増等の問題はあろうと思いますが、大きな変動はないと考えております。
  290. 井上哲夫

    井上哲夫君 たしか岐阜大学の先生だと思いますが、宮野雄一さんは三千億ないし三千三百億円に膨らむだろうというようなことをおっしゃってみえると思うんですが、私は、今重ねて千五百億円と答弁されましたので、その点は質問はやめます。  ところで、この事業費はどのような負担割合に治水と利水で分かれ、そしてそれが地方自治体の方にどのような負担としてなっていくのかの概略をお尋ねいたします。
  291. 近藤徹

    説明員近藤徹君) この事業は、治水と利水の目的に応じまして多目的施設でそれぞれが費用負担をしているわけでございます。  利水の目的につきましては、総事業費千五百億円のうち雑収入等いろいろな、この事業によって発生したものを差し引いた額に千分の六百二十六を乗じた額、およそ約九百三十七億円ぐらいになろうと思いますし、治水はその残額ということになると思います。  地方の利水費における負担割合でございますが、これはそれぞれの所管庁においてそれぞれ補助金を計上しておるわけでございますので、その補助金を引いた額となろうと思います。厚生省の水道水源開発等施設整備事業費、あるいは工業用水については通商産業省の工業用水道事業費補助というのがございますので、利水に係る費用は平成年度末まででは四百六十二億六百万、このうち補助金としては百四十一億七千五百万が計上されたと聞いております。  今後これらの負担割合がどうなるかということは、それぞれの省庁の事情によると思いますので申し上げられませんが、仮に現在時点で想定いたしますと、利水に係る費用が先ほど言いました九百三十七億円、そのうち補助金が二百九十億円、残りが地方負担となるというのは、これは仮に我我が計算したらそういう額になるのではなかろうかと考えております。
  292. 井上哲夫

    井上哲夫君 今局長さんは、利水と治水で当初から計画は変わっておりませんということでございますが、私が手元に持っている建設省河川局の昨年、平成二年二月出された「長良川河口堰について」という資料、これを見ますと、「事業の目的」の一番最初に「治水」とはっきり書いてある。そして、治水がこの河口ぜきでどうしても必要だという説明がるる書いてございまして、図面まで添付した最後に、最後にとは申しませんが、利水については十ページから始まっている。さらにこの「特集 長良川」というので、これはどこが出したパンフレットですかね、中部建設協会が出されているパンフレットには、利水というより治水のことが非常に強調されて、利水は夏の渇水期に人人の生活に大変な水不足のときに威力を発揮するかのごとき記載が載っております。  それで現在、実際には治水のことでこの建設工事が進められるとすれば、将来この負担率は変わることはあり得るんでしょうか。
  293. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 我々は、河川行政の一環として治水事業実施し、あわせて利水関係の各事業に水資源を開発して利用できるようにするということが我々の目標でございますから、何としても根幹である治水事業を各パンフレットに御説明したのはそういう事情でございます。  それで、以来このままその方針で関係者にも十分御理解をいただき、アロケーションの率についてもその前提で御理解をいただき進めてまいりましたので、今後もそのような方針で進むこととしております。
  294. 井上哲夫

    井上哲夫君 現実に河口ぜきの問題では、地元では水余り現象という声が日ごとに強くなっております。地元では河口ぜきが完成をした場合、今のような負担割合でいけば極めて高い水を買わされる。実際に治水のためにこの河口ぜきが本当に必要だというならば、負担割合を現在のように三分の二が利水で三分の一が治水ということは極めておかしいといいますか、理解しがたいことになろうかと思います。そのことについてはもう答弁を求めませんが、私はそのように考えております。  時間が迫っておりますので、最後に、現在の工事の進捗状況について、水資源公団の方で御説明を願いたいと思います。
  295. 山住有巧

    参考人山住有巧君) 現地状況について御説明申し上げます。  長良川河口ぜきの建設事業の工事と申しますと、せきの本体工事及びそのほかの河道工事と補償工事がございます。  御承知のとおり、せきの本体は河口から五・四キロ地点に総延長六百六十一メーターの可動ぜきを建設するものでございます。せきの本体工事と申しますと、川の中央部の約五百五十メーターの区間の河床をしゅんせついたしまして計画河床に整え、十三基のコンクリートのせきの柱と十二門のゲート並びに十五連の管理橋を設けるものが主体でございます。そのほかに左岸に三十メーターの幅のロック式魚道、右岸側に幅十五メーターの閘門と兼用いたしますロック式魚道等がございます。そのほか外部に左岸九メートル右岸七メートルの呼び水式魚道が両側に設けられることになっております。  せきの本体工事につきましては、御承知のとおり、六十三年三月に本体工事に着工しております。工事は左岸の方から、長島町の方から進められておりまして、平成三年五月現在、五つのせきの柱と魚道が既に建設されております。本年度中にさらに三つのせきの柱を建設する予定でございます。六月以降になりますと、管理橋の架設とかせきの基礎となる鋼管ぐいの打ち込み作業、こういうものを水上作業で実施することにしており、通年、一年を通じて工事を実施する予定でございます。せきの完成は平成年度を目途といたしております。そのほか、せきの本体工事のほかに調節ゲート十門中の四門、それから左岸側のロック式魚道一門、管理橋の一部を発注してございます。  せき以外の地点では、当初申しましたように、計画高水流量七千五百トンを毎秒安全に流下させるための河道断面を広げるしゅんせつ工事とか、堤防を補強するためのブランケット工事もあわせて施工しておる、こういうのが実情でございます。
  296. 井上哲夫

    井上哲夫君 この河口ぜきの問題で、今のような工事が進んでおる。  中海、宍道湖淡水化事業といいますか、正確に言うと国営中海干拓事業でございますが、この事業は、六十三年七月に九〇%ほど完成をして、水門操作がわずかに残っているという段階で、水質汚濁の危険の指摘を前に、工事の続行を延期したというふうになっております。  今この河口ぜきの問題について、国内ではといいますか、地元でも意見が分かれておるわけでございますが、今の予定でいけば、所期の完成時期に完成するとお考えでございますか。
  297. 近藤徹

    説明員近藤徹君) 私ども、完成目途を平成年度考えておりまして、その工程で順調に進んでいると思っております。
  298. 井上哲夫

    井上哲夫君 もう与えられた時間がありませんので、また次の機会に質問を続けていきたいと思います。よろしくお願いをいたします。
  299. 三治重信

    ○三治重信君 まず、外国人労働問題について、労働省にお尋ねをいたします。  入管法が改正されて、いわゆる無技能労働者の入国が大分制限されたんですけれども、それとの関連で、私は、入国者の中で就労している者が工場、事業場で登録されない、いわゆる労働者名簿に記入されないで就労している者が相当あるんじゃないか。そういうことで、入国した者がいわゆる国内において不法就労というんですか、労働基準法の法外の取り扱いを受けている、こういう実態が非常に蔓延しているんじゃないかと思う。  こういう意味において、入国して現実に日本の工場、事業場で働いている者について、労働基準法の適用はやはりしっかりしないと、後でもまた問題にしますが、いろいろの労働条件、その他雇用の問題で社会的な問題を来すと思うんですが、これに対する労働大臣の基本方針といいますか、こういう外国人労働者に対する労働基準法の適用についての基本問題について考え方をお願いいたします。
  300. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 外国人の不法就労問題、ただいま先生指摘ございましたように、いろいろな形におきまして事実上問題を提起しておる、これは否めない事実でございます。殊に、お話しのように、外国人の不法就労問題は、国内の労働市場を初めあるいは賃金そのほか労働条件の改善のために悪影響を来しておる。そういうことからいたしましても、労働行政といたしましても放置できない問題であると、かように判断をいたしております。  ただいまお触れいただきましたように、昨年の出入国管理法改正の趣旨も踏まえまして、不法就労を防止することに努めてまいっておるところでございますが、特に各現場におきまする事業主の正しい理解、そして協力を得るよう努めてまいっておるところでございますが、今後も全国の労働行政機関を挙げまして、御趣旨のような考え方によりまして積極的に事業主の指導に当たっていかなければならぬと、かように考えておるところでございます。
  301. 三治重信

    ○三治重信君 まず、労働監督をやるに当たって、私は、基本的に人を雇ったら労働者名簿に記載しなくちゃならぬのが、記載されない外国人労働者が非常に一般化しているんじゃないか、中小企業では。これをまず監督上必ず労働者名簿に載せなければいけない。それをやらぬ者については本当に事業主に対して基準法上の措置をするというのをもっと趣旨を徹底してもらわぬと、聞いているところだと、どうも別枠で、みんなそういうあっせん者との取引で別枠にやっているのが普通のような感じを持っているんですが、これはどの程度そういう事例が監督事例の中で出てきているか、お願いします。
  302. 佐藤勝美

    説明員(佐藤勝美君) 言うまでもなく、国内の事業場に使われております労働者、これは国籍のいかんを問わず労働基準法等の適用があるわけでございます。  今先生指摘のように、外国人労働者、時に不法就労者になるわけでございますけれども、これを雇った場合に労働者名簿に載せないということがあり得るわけでございます。これはもちろん基準法違反になるわけでございますが、例えば昨年、平成二年の十一月に全国の事業場におきまして監督をいたします際の調べにおきましても、労働者名簿に関する規定の違反というのがその月だけで六件発見をされておるところでございます。もちろん、ほかの違反もあるわけでございますけれども、私どもとしては、あくまでもこのような事例につきましては厳しく事業主に是正を求める、あるいはそれが是正が行われない場合には必要な措置をとるという態度で進めておるところでございます。
  303. 三治重信

    ○三治重信君 それからもう一つは、労働者に直接賃金を払わなくちゃならぬという規制があるんですよね。これがやはりどうも外国人労働者については、あっせん者に一括して支払われるという事例がほとんどだと、こういうふうに聞いているわけですよ。あっせん者に払うということは、これは中間搾取の問題につながるわけですね。労働者に直接支払わなきゃならぬのに、あっせん者にもう十人分なり五人分なり毎月の給料を払って、そして経営者の責任を免れている。これが一般的だとすると、これは労働者名簿に記載するということと、賃金は必ず個人に、各人別に払わなければならぬということだけはきちんと、不法就労だろうが何だろうが、事業主が使ったならば必ずそれはやらなくちゃいけない、最低限ね。これをやはり労働監督できちんとやらぬと、労働者に対する、何というんですか、労働基準というものがここから乱れてきてしまうと思うんです。  これのやり方について、どういうふうな対策をとっておられるか、その発見についてどう具体的な対策をとっておられるか、またとろうとするか、ひとつ説明願いたい。
  304. 佐藤勝美

    説明員(佐藤勝美君) 労働基準監督機関では、特に外国人あるいはその中での不法就労者を中心に監督をするということは実はしていないわけでございまして、一般の労働基準監督の中におきまして、さような事例を発見した場合には、特に法違反がありがちだという見地から、これを十分に見るように心がけておるところでございます。  ただいま御指摘のありましたような賃金支払いの方法の問題でございますが、本人に直接いかない事例が大部分であるという御指摘でございますが、全体としてそういう事例がどのくらいあるかということにつきましては、あくまでも私どもが臨検監督の中で発見したものについて把握できるにとどまるわけでございますが、御指摘のように、賃金に関する規定の違反もございます。これにつきましてはあくまでも日本人労働者、もちろん日本人労働者と同じようにその法違反についてはこれは是正をするということを厳しくやっていきたい、これまでもやってきておるところでございます。
  305. 三治重信

    ○三治重信君 それで、結局あっせん者に対する中間搾取の摘発をしっかりやらぬと、非常な不法になっている。けさのNHKのテレビでも、東京にイランの入国者だけで三万一千人だと、こういうふうに言っているんですよね。それで、成田へ来ると、早速原宿へ来ている。そこでみんな仕事をどこへあっせんするだとか、友達をつくると、こういうふうになる。これは東京だけですが、まあ東京以外は余り遠くの方には散らぬだろうと思うんですけれどもね。  とにかくそういうことで、僕はひとつそういうあっせん者、ボスをしっかりつかむことを監督機関としてやるという一つの目標を持って、つかんで、そしてそういう者について金を払っちゃいかぬという事業主にきちんとやっていく体制をとる。これは外国人労働者がそういうことになっていくというと、今国内においても人が足らぬから、臨時工や季節工をみんな、あっせん業者がやっている。あっせん業者を事実職安で認めて、あっせん業者がやっている。こういうのに対して、事業主がだんだんみんな一括して賃金を支払っていくようになって、いわゆる中間搾取の問題が見えてくる。そういう労務供給事業の形態がどんどんできつつある、日本人でも。業者が別になっていてね。  そういうことについて、やはりこれは労働基準監督の基本のことですから、やはりこれに対する対策を本当に決めて、それを単に個々の監督ばかりじゃなくて、基本方針として、基準監督の重点として事業主に徹底するような方策を検討して実行してもらわぬと、単に外国人の就労問題で今僕が指摘するだけでなくて、今やそれが自由になっちゃうというと、日本人の季節労務者やなんかも全部賃金の台帳から外して、あっせん者にぽんと払っていくという慣習になってきつつあるわけなんです。ここをひとつ腹を締めて基準監督を重点的に、そういう最低の労働者についてきちんと締めてやってもらう。使うのはいいけれどもきちんと基準法を守れという方針をしっかり示してもらいたいと思います。もう一遍答弁を。
  306. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) さすが先生の御発言、そして御指摘になっておられるところはよくわかります。  おっしゃるとおりでございまして、労働者として雇用したらきちんと名簿登載もやる、賃金を払ったら、ストレートでその賃金が労働者の一つの利益として直結する形でそれを支払う、これは当然なことでございますが、いわんや外国人労働者、中でも不法就労者というのは、率直に申し上げまして、先生ただいま御指摘のようなゆゆしき状況も、しかもかなり幅広く存在しておる。そしてその中に不当ないわゆる人事あっせん業者、そういうものが存在することも否定できない状況でございますから、関係法務省などとも周到な連絡をとりながら、厳正に、そして厳しく対応していかなければならぬ、かように考えております。  同時にまた、この機会に申し上げるのはどうかと思うのでございますが、外国人労働者の対処の仕方につきましても、目下国内におきまする労働力需給関係等の絡みにおきましていろいろな世論もありますこと、先生御承知のとおりでございます。ですから、私どもはこの機会に外国人労働者をいかに取り扱うべきか、もっと根本的なところを、外国人研修財団等も設置することが決まりましたので、根本的にメスを入れまして検討して、そして対処したい。いずれまた先生方にも御説明申し上げまして、御助言いただく機会があろうか、かように考えております。
  307. 三治重信

    ○三治重信君 まあきょうは原初形態のものだけやって、本当の労働力の不足の対処方針についてはまた別の機会にさせていただきます。よろしくお願いします。  最後になりますが、NTTの株の売り払い収入のうちで、公共事業、A、B、Cタイプで利用してということが、昭和六十三年度平成年度で使われておるわけなんですが、これの回収ですね、貸し付けをやって、この回収計画というものが、予算との関連で今後どの程度の年限で回収できるのか。それは本当に全部国債償還資金になっていくのか。またほかへ使うような計画になっていくのか。これは一遍使ったらもうあと完全に国債の償還の財源として還元するということは変わらないのかどうか、御説明願います。
  308. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) NTTの株式売却収入の資金回収計画いかんというのが第一の御質問と承りますが、委員御承知のように、これまで約五兆六千億の無利子貸付事業に充てられた売却収入がございます。これにつきましては、事業の種類によりまして十年ないし二十年以内に償還が行われる決まりになっております。それで資金回収計画いかんということでございますが、現に回収が始まっておりまして、平成年度におきましては十六億円の返済が行われておりますし、平成年度の予算におきましては四十六億円の返済を予定してございます。この後でございますけれども、これは一定の仮定計算が要るわけでございますけれども、私どもが国会に御提出しておりますところの「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」によって、いわゆる「一般会計から繰戻」という欄をその資料で設けておりますけれども、それによりますと漸次この返済額がふえてまいりまして、平成年度に一兆円を超える返済額を予定する状況になります。当然のことながら、その後も返済が続くわけでございます。  そこで、第二番目の御質問の、国債の償還に、最終的にどうなるのか、こういうことでございますけれども委員御存じのように、このNTTの無利子貸付事業は、いわゆるNTTの株式売却収入を一時的に活用して行うものでございますので、将来その資金の返済が行われれば、最終的には国債の償還財源となるということは確実なわけでございます。ただ、年々の話ということになりますと、産投特会の社会資本整備勘定に繰り入れられ、それが後日、予算の定めるところによって国債整理基金に繰り戻されるということになっておりまして、具体的に国債整理基金への繰り戻しがその年々どの程度行われるかということにつきましては、そのときどきの経済財政事情等を勘案して決定される、そういう仕組みになっておるところでございます。
  309. 三治重信

    ○三治重信君 環境問題もやる予定だったんですが、どうも間に合いませんから、NTTだけでやめますから、どうぞ。  そうすると、何というんですか、回収資金はそのまますぐ償還財源になるんじゃなくて、やはり一応産投会計でもう一遍プールして、その中で適当に公債の償還財源にやるか、または再投資するかということの計画に産投会計でなる、こういうことに理解していいわけですか。
  310. 田波耕治

    説明員(田波耕治君) いわゆる日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法第六条に規定がございまして、「各会計年度における国債の償還等国債整理基金の運営に支障の生じない範囲内で、」その売り払い収入の一部を、予算で定めるところにより、国債整理基金特別会計から一般会計に繰り入れるというのが出る方でございますけれども、その後、予算で定めるところによって、その年々に決定が行われる。委員が言われるとおりでございます。
  311. 及川一夫

    委員長及川一夫君) 以上で昭和六十三年度決算外二件及び平成年度決算外二件の全般的質疑は終了いたしました。  次回の委員会は五月二十九日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会