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高井和伸君 私は総理大臣に、行政改革の一環として内閣が積極的に取り組んでおられます行政手続
法制定への努力の経過を踏まえた、そういう中で総理の決意を聞きたいというのが私の質問の大意でございます。
私は、この
昭和六十二年度の
決算審議を通しまして、すべての各省庁における行政手続の実態ということを
中心に十回ほど聞いてまいりました。きょうはその総仕上げでございます。各省庁の御意見それぞれございましたし、手続の実態など各法律の中に規定されておりまして、いろんな歴史的な経過、あるいは行政手続も各行政目的に合わせたような特色ある手続がいろいろなされている。しかし、これは統一的な手続にしなきゃいかぬのじゃないかという一般的な
方向で、今までいろいろな場面で
審議され、検討され、やってこられました。
それで、現在臨時行政改革推進
審議会の中で、公正・透明な行政手続部会というところで精力的に
審議されまして、きょう午前中総務庁のお話をお聞きしますと、これまで十三回の会合が行われ、十の省庁からヒアリングをし、いろいろ
問題点を聞いてきたと。その中で
問題点として言われているのは、異論を唱えるところはない、各省庁、十の中の省庁、皆さん行政手続法の制定については異論はない、こういう一般論がございました。しかし、
問題点はないかとお尋ねしましたところ、やはり効率のよい行政という面からいうと、余り手続をしっかりやり過ぎると能率が悪くなる、こういう
問題点が
指摘されています。そしてまた、円滑な行政をするためにも、余り手続を重要視したんじゃいけない、そういう面での配慮が各省庁の方から意見が出ているというお話でございました。また、各手続の中の特殊性というのがあるんだから、余り行政手続法というような一般法で縛るのはいかがなものかというような意見もあったと。そして、過去にいろいろ各省庁が一生懸命考えてきた法律によって行政手続が一定の定着度がある、それをまた行政手続法という後でおっかぶさったような格好でいろいろかき回すのはいかぬのじゃないか、そんなような意見――私の解釈も大分入っておりますけれ
ども、そういう意見があったということになります。また世に言う総論賛成、各論、反対とは言いませんが慎重にという雰囲気が各省庁の回答であった、こういうお話でございます。
私もこの
決算委員会の六十二年度の
審議の中で、各省庁大体聞いたつもりでございますが、各大臣の御
答弁の中は、大体前向きに行政手続の公正性それから透明性を強調なさる方がほとんどでございましたけれ
ども、中には検討しますという簡潔な回答をされる大臣もございました。
こういう中で、そこで総理大臣にお伺いしたいんですが、回答はきっとできないと思いますので私から言いますけれ
ども、こういった、例えば侵害処分というテーマが今テーマになっております。大蔵省の関係ですと、例えば一たん銀行に営業許可を与える、それを取り消すというような場面、外務省の場面ですと例えば旅券を発行したんだけれ
ども取り消すというような場面、厚生省ですと医師の免許を与えたけれ
ども取り消すという、これが侵害処分の代表的な例なのでございますが、こういったのが各省庁の、私がここで把握しただけでも数は、労働省だけ除きまして五百あります。私がここでずっと各省庁から細かく資料を出してくださいということで集めた数字で五百もございました。
その五百もあるような行政手続、先ほど言ったような銀行業務の営業の許可を取り消す、医師の免許を取り消すという場合、それぞれの手続手続が、取り消し手続が詳しく過去の手続の実際として積み上げがある、そういうものをいじるということは大変なことなんだろうと私は実感として考えているわけでございます。そういったところで今までの政府の
対応は、長らくの間専門的な方々が非常に地道な努力をなさってこられまして、その結果がせんだって行政手続法研究会というところで第二次報告案が出まして、それを受けて先ほどの臨時行革審の方でいろいろやっておられると。三つの柱の中の
一つということで非常に私は頼もしく思っているわけでございます。
そこで私は、五百もある法律について各省庁のお話など聞いておりますと、個別にそれぞれの法律があるんだから個別法優先でやってくれという意見だとか、この手続は特殊性があるから行政手続法がもし制定されたとしても適用除外にしてくれというような逃げ道がいっぱい、逃げ道という言葉はおかしいんですが、それが妥当かどうか別として、行政手続法から逃れられる手がいろいろある、そういった意見を各省庁からも出ているということになります。
そこで先ほど
総務庁長官にお尋ねしました。こんなような意見があるんだけれ
ども総務庁長官としてはどうでございますかと午前中お尋ねいたしましたところ、手続が目指す実体的な側面も重要なんだけれ
どもやはり手続面も重要である、したがって私は元気よくやりたい、そして、国際化を目指した
日本、あるいは国際時代の
日本が各国に対して恥ずかしくない行政手続を持っていなきゃいけないという側面からも元気よくやりたい、そして十二月中に答申があるからそれを受けたら前向きにやりたい、このようなことがこの
決算委員会における総括的な私の理解度でございました。
そこで、やはり各省庁によって、こんなに五百もあるというようなところで省庁がいろんなことを言い出しますととてもまとまらない。しかも行政手続法というのはやっぱり国民から見たら政府がしっかりやってくれるという信用、あるいは政府と国民とをつなぐパイプ、それを制度的に担保する非常に重要な法律だろうと思うんです。しかしながら、私がこの
審議で感じたことは、行政手続法という法律ないしはそういった概念については、法案担当の例えば文書課の方だとかそういったところは非常によくわかっておられるけれ
ども、各省庁の現場的なところへ行くとなかなかわかっていない。そういう
状況のもとで行政手続法の制定ということになると、先々、総論はいいんだけれ
どもかなり難しいものが出るんじゃないか、私はこう思っているわけです。
そこで、最後に総理大臣の御決意、あるいはこれからの行政手続へのお考えをお聞かせ願えればありがたいと思います。