運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1991-05-21 第120回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
三年五月二十一日(火曜日) 午前十時一分開会 ─────────────
委員
の
異動
五月十日 辞任
補欠選任
高井
和伸
君
井上
哲夫
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
及川
一夫
君 理 事 大浜
方栄
君 後藤 正夫君 会田 長栄君 千葉 景子君 猪熊 重二君 委 員 秋山 肇君 石渡 清元君 尾辻 秀久君 木暮 山人君 清水嘉与子君 陣内 孝雄君 福田 宏一君 大渕 絹子君 梶原 敬義君
喜岡
淳君 種田 誠君 渕上 貞雄君
木庭健太郎
君 諫山 博君 林 紀子君
井上
哲夫
君 三治 重信君
国務大臣
外 務 大 臣 中山 太郎君 大 蔵 大 臣
橋本龍太郎
君 文 部 大 臣
井上
裕君
農林水産大臣
近藤 元次君 運 輸 大 臣 村岡 兼造君 労 働 大 臣 小里 貞利君 建 設 大 臣 大塚 雄司君 自 治 大 臣 吹田 愰君 国 務 大 臣 (
内閣官房長官
) 坂本三十次君 国 務 大 臣 (
防衛庁長官
) 池田 行彦君 国 務 大 臣 (
国土庁長官
) 西田 司君 ─────
会計検査院長
中村
清君 ─────
事務局側
常任委員会専門
員 吉田 堯躬君
説明員
内閣官房内閣安
全
保障室長
米山 市郎君
内閣法制局長官
工藤 敦夫君
警察庁刑事局長
國松
孝次君
警察庁警備局長
吉野 準君
経済企画庁調整
局長
吉冨 勝君
国土庁土地局長
藤原 良一君
国土庁大都市圏
整備局長
斎藤 衛君
外務省アジア局
長
谷野作太郎
君
外務省北米局長
松浦晃一郎
君
大蔵大臣官房審
議官
石坂
匡身
君
大蔵省理財局長
篠沢 恭助君
大蔵省銀行局長
土田 正顕君
農林水産大臣官
房長
鶴岡
俊彦
君
農林水産省経済
局長
川合 淳二君
農林水産省経済
局統計情報部長
須田 洵君
農林水産省構造
改善局長
片桐 久雄君
食糧庁長官
浜口
義曠君
運輸省地域交通
局長
佐々木建成君
運輸省地域交通
局陸上技術安全
部長
松波 正壽君
郵政省郵務局国
際課長 大橋 郁夫君
中央労働委員会
事務局長
石岡慎太郎
君
建設省建設経済
局長
鈴木 政徳君
建設省都市局長
市川 一朗君
建設省住宅局長
立石 真君
会計検査院事務
総局次長
疋田
周朗
君
会計検査院事務
総局
第一
局長
安部 彪君
会計検査院事務
総局
第二
局長
澤井 泰君
会計検査院事務
総局
第三
局長
中北 邦夫君
会計検査院事務
総局
第四
局長
白川 健君
会計検査院事務
総局
第五
局長
山本 正君
参考人
日本銀行理事
福井
俊彦
君 西日本旅客鉄道 株式会社常務取
締役東京本部
長・
総合企画本
部副
本部長
南谷昌二郎
君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
昭和
六十三
年度一般会計歳入歳出決算
、
昭和
六十三
年度特別会計歳入歳出決算
、
昭和
六十三
年度国税収納金整理資金受払計算書
、
昭和
六十三
年度政府関係機関決算書
(第百十七回
国会内閣提出
) ○
昭和
六十三
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書
(第百十七回
国会内閣提出
) ○
昭和
六十三
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
(第百十七回
国会内閣提出
) ○
平成
元
年度一般会計歳入歳出決算
、
平成
元
年度特別会計歳入歳出決算
、
平成
元
年度国税収納金整理資金受払計算書
、
平成
元
年度政府関係機関決算書
(
内閣提出
) ○
平成
元
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書
(
内閣提出
) ○
平成
元
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
(
内閣提出
) ─────────────
及川一夫
1
○
委員長
(
及川一夫
君) ただいまから
決算委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 去る十日、
高井和伸
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
井上哲夫
君が選任されました。 ─────────────
及川一夫
2
○
委員長
(
及川一夫
君) 次に、
昭和
六十三
年度決算外
二件、
平成
元
年度決算外
二件を便宜一括して議題といたします。 まず、
昭和
六十三
年度
決算
、すなわち
一般会計歳入歳出決算
、
特別会計歳入歳出決算
、
国税収納金整理資金受払計算書
、
政府関係機関決算書
につきまして、
大蔵大臣
から
概要説明
を聴取いたします。
橋本大蔵大臣
。
橋本龍太郎
3
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
昭和
六十三
年度
の
一般会計歳入歳出決算
、
特別会計歳入歳出決算
、
国税収納金整理資金受払計算書
及び
政府関係機関決算書
を
会計検査院
の
検査報告
とともに
国会
に提出し、また、
昭和
六十三
年度
の国の
債権
の現在額並びに
物品
の
増減
及び現在額につきましても
国会
に
報告
いたしましたので、その
概要
を御説明申し上げます。 まず、
一般会計
におきまして、
歳入
の
決算額
は六十四兆六千七十三億八千五十四万円余、
歳出
の
決算額
は六十一兆四千七百十億六千二百三十七万円余でありまして、
差し引き
三兆千三百六十三億千八百十七万円余の
剰余
を生じました。 この
剰余金
は、
財政法
第四十一条の
規定
によりまして、
一般会計
の
平成元年
度の
歳入
に
繰り入れ済み
であります。 なお、
昭和
六十三
年度
における
財政法
第六条の純
剰余金
は一兆七千三百二十一億四千五百十八万円余となります。 以上の
決算額
を
予算額
と比較いたしますと、
歳入
につきましては、
予算額
六十一兆八千五百十七億三千百二十六万円余に比べて二兆七千五百五十六億四千九百二十八万円余の
増加
となりますが、この
増加額
には、前
年度
剰余金受け入れ
が
予算額
に比べて
増加
した額六千八百三十億七千七百七十七万円余が含まれておりますので、これを
差し引き
ますと、
歳入
の純
増加額
は二兆七百二十五億七千百五十万円余となります。その
内訳
は、
租税
及び
印紙収入等
における
増加額
二兆八千八百七十一億千五百七万円余、
公債金
における
減少額
八千百四十五億四千三百五十六万円余となっております。 一方、
歳出
につきましては、
予算額
六十一兆八千五百十七億三千百二十六万円余に、
昭和
六十二
年度
からの
繰越額
六千二百八十八億千十五万円余を加えました
歳出予算
現額六十二兆四千八百五億四千百四十一万円余に対しまして、
支出済み歳出額
は六十一兆四千七百十億六千二百三十七万円余でありまして、その差額一兆九十四億七千九百三万円余のうち、
平成元年
度に繰り越しました額は六千六百五十三億四千三百五十四万円余となっており、不用となりました額は三千四百四十一億三千五百四十九万円余となっております。 次に、
予備費
でありますが、
昭和
六十三
年度
一般会計
における
予備費
の
予算額
は二千億円であり、その
使用額
は千三百八十一億八千百九十九万円余であります。 次に、
一般会計
の
国庫債務負担行為
につきまして申し上げます。
財政法
第十五条第一項の
規定
に基づき国が
債務
を負担することができる
金額
は二兆二千百五十七億百二十万円余でありますが、
契約等
による本
年度
の
債務負担額
は二兆千七百六十一億四千七百二十六万円余であります。これに
既往年度
からの
繰越債務額
三兆三千三百四十億二千五百八十一万円余を加え、
昭和
六十三
年度
中の
支出等
による本
年度
の
債務消滅額
二兆八百四十四億二千四百二十二万円余を差し引いた額三兆四千二百五十七億四千八百八十五万円余が翌
年度
以降への
繰越債務額
となります。
財政法
第十五条第二項の
規定
に基づき国が
債務
を負担することができる
金額
は一千億円でありますが、
契約等
による本
年度
の
債務負担額
は二十六億三千八百八十六万円であります。これから
昭和
六十三
年度
中の
支出等
による本
年度
の
債務消滅額
十億二千四百八十万円を差し引いた額十六億千四百六万円が翌
年度
以降への
繰越債務額
となります。 次に、
昭和
六十三
年度
の
特別会計
の
決算
でありますが、同
年度
における
特別会計
の数は三十八でありまして、これらの
決算
の
内容
につきましては、
特別会計歳入歳出決算
によって御了承願いたいと存じます。 次に、
昭和
六十三
年度
における
国税収納金整理資金
の
受け入れ
及び
支払い
でありますが、同
資金
への
収納済み額
は五十一兆八千五百九十五億二千百二十五万円余でありまして、この
資金
からの
一般会計等
の
歳入
への組み入れ
額等
は五十一兆八千四百八十一億千九百九十八万円余でありますので、
差し引き
百十四億百二十七万円余が
昭和
六十三
年度
末の
資金残額
となります。これは、主として
国税
に係る
還付金
として
支払い決定済み
のもので、
年度
内に
支払い
を終わらなかったものであります。 次に、
昭和
六十三
年度
の
政府関係機関
の
決算
の
内容
につきましては、それぞれの
決算書
によって御了承願いたいと存じます。 次に、国の
債権
の現在額でありますが、
昭和
六十三
年度
末における国の
債権
の
総額
は百五十五兆千七百六十二億千八百七十三万円余でありまして、前
年度
末現在額百四十二兆二千七百三十億三千八百四十九万円余に比べて十二兆九千三十一億八千二十四万円余の
増加
となります。 その
内容
の詳細につきましては、
昭和
六十三
年度
国の
債権
の現在額総
報告
によって御了承願いたいと存じます。 次に、
物品
の
増減
及び現在額でありますが、
昭和
六十三
年度
中における純
増加額
は四千九百三十億二百五十九万円余であります。これに前
年度
末現在額五兆九千百十四億五千八百六十九万円余を加えますと、
昭和
六十三
年度
末における
物品
の
総額
は六兆四千四十四億六千百二十八万円余となります。その
内訳
の詳細につきましては、
昭和
六十三
年度
物品増減
及び現在額総
報告
によって御了承願いたいと存じます。 以上が
昭和
六十三
年度
の
一般会計歳入歳出決算
、
特別会計歳入歳出決算
、
国税収納金整理資金受払計算書
、
政府関係機関決算書等
の
概要
であります。 なお、
昭和
六十三
年度
の
予算
の
執行
につきましては、
予算
の効率的な
使用
、
経理
の適正な
運営
に極力意を用いてまいったところでありますが、なお
会計検査院
から百六十六件の
不当事項等
について
指摘
を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。
予算
の
執行
につきましては今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。 何とぞ御
審議
のほどお願い申し上げます。
及川一夫
4
○
委員長
(
及川一夫
君) 次に、
昭和
六十三
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書並び
に
昭和
六十三
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
につきまして、
大蔵大臣
から
概要説明
を聴取いたします。
橋本大蔵大臣
。
橋本龍太郎
5
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
昭和
六十三
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書並び
に
昭和
六十三
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
を、
会計検査院
の
検査報告
とともに第百十七回
国会
に
報告
いたしましたので、その
概要
を御説明申し上げます。 まず、
昭和
六十三
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書
の
概要
について御説明いたします。
昭和
六十三
年度
中に
増加
しました
国有財産
は、
行政財産
一兆八千百十九億八千四百五十三万円余、
普通財産
一兆五千九百六十六億四千五百五万円余、
総額
三兆四千八十六億二千九百五十九万円余であり、また、同
年度
中に
減少
しました
国有財産
は、
行政財産
五千百七十億七千六百七十六万円余、
普通財産
四千九十億四千五百四十六万円余、
総額
九千二百六十一億二千二百二十二万円余でありまして、
差し引き
二兆四千八百二十五億七百三十七万円余の純
増加
となっております。これを
昭和
六十二
年度
末現在額五十兆三千三百四億七千六百五十五万円余に加算いたしますと、五十二兆八千百二十九億八千三百九十二万円余となり、これが
昭和
六十三
年度
末現在における
国有財産
の
総額
であります。 この
総額
の
内訳
を
分類別
に申し上げますと、
行政財産
二十九兆二千百二十二億三千七百九十二万円余、
普通財産
二十三兆六千七億四千六百万円余となっております。 なお、
行政財産
の
内訳
を
種類別
に申し上げますと、
公用財産
十九兆二千九百六十八億四千四百四十七万円余、
公共用財産
五千五百三十六億二千八百九十九万円余、
皇室用財産
七千二十八億二千七百九十九万円余、
企業用財産
八兆六千五百八十九億三千六百四十四万円余となっております。 また、
国有財産
の
総額
の
内訳
を
区分別
に申し上げますと、
土地
十三兆八千四百七十億六千七百九十五万円余、
立木竹
五兆五十三億七千六百三十一万円余、建物五兆九千六百九十億九千四百九十一万円余、
工作物
四兆九千四百十五億九百七十六万円余、
機械器具
八億九百五十二万円余、
船舶
一兆三千二百四十六億二千六百九十四万円余、航空機一兆八千七百四十五億四十二万円余、
地上権等
十六億八千五百九十四万円余、
特許権等
四十三億二百五十四万円余、
政府出資等
十九兆八千四百四十億九百五十七万円余となっております。 次に、
国有財産
の
増減
の
内容
について、その
概要
を申し上げます。 まず、
昭和
六十三
年度
中における
増加額
を申し上げますと、前述のとおりその
総額
は三兆四千八十六億二千九百五十九万円余であります。この
内訳
を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の
異動
によって
増加
しました
財産
は二兆八千五百六十四億六千二十七万円余、第二に、国の
内部
における
異動
によって
増加
しました
財産
は五千五百二十一億六千九百三十二万円余であります。 次に、
減少額
について申し上げますと、その
総額
は九千二百六十一億二千二百二十二万円余であります。この
内訳
を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の
異動
によって
減少
しました
財産
は三千六百五億百七十八万円余、第二に、国の
内部
における
異動
によって
減少
しました
財産
は五千六百五十六億二千四十四万円余であります。 以上が
昭和
六十三
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書
の
概要
であります。 次に、
昭和
六十三
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
の
概要
について御説明いたします。
昭和
六十三
年度
中に
増加
しました
無償貸付財産
の
総額
は二千四百四十億六千八百七万円余であり、また、同
年度
中に
減少
しました
無償貸付財産
の
総額
は二千三百二億四千二百二十一万円余でありまして、
差し引き
百三十八億二千五百八十六万円余の純
増加
となっております。これを
昭和
六十二
年度
末現在額八千三百三十億千九百八万円余に加算いたしますと、八千四百六十八億四千四百九十五万円余となり、これが
昭和
六十三
年度
末現在において
無償貸し付け
をしている
国有財産
の
総額
であります。 以上が
昭和
六十三
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
の
概要
であります。 なお、これらの
国有財産
の各総
計算書
にはそれぞれ
説明書
が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。 何とぞ御
審議
のほどお願い申し上げます。
及川一夫
6
○
委員長
(
及川一夫
君) 次に、
昭和
六十三
年度
決算検査報告
並びに
昭和
六十三
年度
国有財産検査報告
につきまして、
会計検査院長
から
概要説明
を聴取いたします。
中村会計検査院長
。
中村清
7
○
会計検査院長
(
中村清
君)
昭和
六十三
年度
決算検査報告
につきまして、その
概要
を御説明いたします。
会計検査院
は、
平成元年
十月十三日、
内閣
から
昭和
六十三
年度
歳入歳出決算
の送付を受け、その
検査
を終えて、
昭和
六十三
年度
決算検査報告
とともに、
平成元年
十二月八日、
内閣
に回付いたしました。
昭和
六十三
年度
の
一般会計決算額
は、
歳入
六十四兆六千七十三億八千五十四万余円、
歳出
六十一兆四千七百十億六千二百三十七万余円でありまして、前
年度
に比べますと、
歳入
において三兆二千百八十六億千百四十九万余円、
歳出
において三兆七千三百九十九億二千百三十二万余円の
増加
になっており、各
特別会計
の
決算額
の
合計額
は、
歳入
百七十二兆五千十五億三千百八十二万余円、
歳出
百四十七兆四千九百二十二億二千七百八十万余円でありまして、前
年度
に比べますと、
歳入
において四兆八千三百三十六億六千八百九十一万余円、
歳出
において二兆二千八百七十四億三千八百五十五万余円の
増加
となっております。 また、
国税収納金整理資金
は、
収納済み額
五十一兆八千五百九十五億二千百二十五万余円、
歳入
組み入れ額五十兆五千七百二億二千百八十八万余円であります。
政府関係機関
の
昭和
六十三
年度
の
決算額
の総計は、
収入
五兆千二百八十六億七千二百四十六万余円、
支出
五兆六百二十二億千六百六十五万余円でありまして、前
年度
に比べますと、
収入
において八百七十二億七百五十七万余円、
支出
において五百四十億四千三百二十二万余円の
増加
になっております。
昭和
六十三
年度
の
歳入
、
歳出等
に関し、
会計検査院
が、国、
政府関係機関
、国の
出資団体等
の
検査対象機関
について
検査
した実績を申し上げますと、
書面検査
は、
計算書
二十三万三千余冊及び
証拠書類
六千八百六十二万九千余枚について行い、また、
実地検査
は、
検査対象機関
の官署、
事務所等
三万九千二百余カ所のうち、その八・五%に当たる三千三百余カ所について
実施
いたしました。そして、
検査
の進行に伴い、
関係者
に対して九百
余事項
の
質問
を発しております。 このようにして
検査
いたしました結果、
検査報告
に掲記した
法律
、
政令
もしくは
予算
に違反しまたは不当と認めた
事項等
について、その
概要
を御説明いたします。 まず、
法律
、
政令
もしくは
予算
に違反しまたは不当と認めた
事項
について申し上げます。
法律
、
政令
もしくは
予算
に違反しまたは不当と認めた
事項
として
検査報告
に掲記いたしましたものは、
合計
百六十六件であります。 このうち、
収入
に関するものは五件、二十四億三千百七十万余円でありまして、その
内訳
は、
租税
の
徴収額
に
過不足
があったものが一件、十三億二千五十一万余円、
保険料
の
徴収額
に
過不足
があったものが三件、十一億六百五十六万余円、その他、
核医学診断
に係る
診療報酬請求額
が不足していたものが一件、四百六十三万余円、また、
支出
に関するものは百二十四件、十九億四百五十七万余円でありまして、その
内訳
は、
工事
に関するものとして、監督、
検査
が適切でなかったため
施工
が
設計
と著しく相違していたものが二件、三千二百五十五万余円、
保険給付
に関するものとして、
保険給付金
の
支給
が適正でなかったものが六件、二億九千四百五十四万余円、
補助金
に関するものとして、
補助事業
の
実施
及び
経理
が適切でなかったものが六十七件、十億六千八百七十一万余円、
貸付金
に関するものとして、
貸付金
の
経理
が適切でなかったものが十四件、二億九千七百五十三万余円、その他、
児童扶養手当
の
支給
及び
医療費
の
支払い
並びに
船員離職者職業転換等給付金
の
支給
が適正でなかったものが三十五件、二億一千百二十三万余円であります。 以上の
収入
、
支出
に関するもののほか
郵便貯金
の
預入金
、
簡易生命保険
の
保険料等
について、
職員
の
不正行為
による損害を生じたものが三十七件、五億四百九十九万余円ありまして、これらの
合計
は、百六十六件、四十八億四千百二十七万余円となっております。これを前
年度
の百七十件、四十一億三千九百九十九万余円と比べますと、件数において四件の
減少
、
金額
において七億百二十七万余円の
増加
となっております。 次に、
意見
を表示しまたは
処置
を要求した
事項
について御説明いたします。
平成元年
中におきまして、
会計検査院法
第三十四条の
規定
により
是正改善
の
処置
を要求いたしましたものは二件、また、同法第三十六条の
規定
により
意見
を表示いたしましたものは三件、
改善
の
処置
を要求いたしましたものは一件であります。 このうち、
会計検査院法
第三十四条の
規定
により
是正改善
の
処置
を要求いたしましたものは、
厚生省
の定数を超過して入院させている
保険医療機関
の
把握
に関するもの、
労働省
の
雇用保険
の再
就職手当
の
支給
に関するものであります。 また、
会計検査院法
第三十六条の
規定
により
意見
を表示いたしましたものは、
総理府
の防衛大学校を卒業した
幹部候補者
に対する
退職手当
の
支給
に関するもの、
厚生省
の
医療用
の酸素に係る
診療報酬請求
に関するもの、
労働省
の
競走事業従事者
に係る
雇用保険
の取り扱いに関するものであり、
会計検査院法
第三十六条の
規定
により
改善
の
処置
を要求いたしましたものは、
農林水産省
の
農業改良資金
の
貸付事業
の
運営
に関するものであります。 次に、本院の
指摘
に基づき
当局
において
改善
の
処置
を講じた
事項
について御説明いたします。 これは、
検査
の過程におきまして、
会計検査院法
第三十四条または第三十六条の
規定
により
意見
を表示しまたは
処置
を要求すべく
質問
を発するなどして検討しておりましたところ、
当局
において、本院の
指摘
を契機として直ちに
改善
の
処置
をとったものでありまして、
検査報告
に掲記いたしましたものは二十九件であります。 すなわち、
総理府
の
防波堤工事等
に
使用
する
作業船
の
回航費
の
積算
に関するもの、文部省の
国立大学
における
ガス料金
の
支払い
に関するもの、
厚生省
の
僻地中核病院運営事業
における
巡回診療
の
対象
となる無
医地区
の
把握等
に関するもの、
農林水産省
の
農林水産業地域改善対策事業
の
実施体制
に関するもの、漁業の
調査
、
取り締まり等
のために借り上げる
船舶
の
用船料
の算定に関するもの、
畜産振興事業団
の助成により
実施
されている
搾乳牛選抜奨励金交付事業
に関するもの、
運輸省
の
自動車輸送統計調査業務
に関するもの、
郵政省
の
防犯通報装置
を構成する各機器の購入及び取りつけに関するもの、
建設省
の国の
補助
を受けて設置された
自転車駐車場
の
管理運営等
に関するもの、自治省の
交通安全対策特別交付金
の使途に関するもの、
住宅
金融公庫の
公庫貸し付け
を受けて購入した市街地再
開発事業等
に係る
住宅等
の
第三者賃貸等
の防止に関するもの、
日本道路公団
の
路面排水施設工事
におけるロールドガッ夕の
設計
に関するもの、
高速道路等
の
管理
に要する
業務
に係る委託料の
支払い
時期に関するもの、首都高速道路公団の
地中連続壁
の
施工
に
使用
する
建設機械
の
機械損料
の
積算
に関するもの、
住宅
・
都市整備公団
の
宅地造成工事等
における土砂の埋め戻し費の
積算
に関するもの、
日本原子力研究所
の
建築工事
における鉄筋の
加工組み立て費
の
積算
に関するもの、
日本私学振興財団
の医学部を設置する
私立大学
における
補助対象
となる
専任職員
の数の算定に関するもの、日本電信電話株式会社の卓上型公衆電話のキャビネット及びスタンドに係る
業務
委託に関するもの、第三者の車両事故等により折損したコンクリート製電柱に係る損害賠償請求に関するもの、新ガス圧遠隔監視システムの
設計
に関するもの、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社の構内旅客営業における自動販売機及び委託公衆電話に係る営業料金に関するもの、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社及び西日本旅客鉄道株式会社の起床装置の導入等による休養
管理
業務
に係る経費の節減に関するものであります。 最後に、特に掲記を要すると認めた
事項
について御説明いたします。 これは、
検査
の結果、特に
検査報告
に掲記して問題を提起することが必要であると認めたものでありまして、
昭和
六十三
年度
決算検査報告
に掲記いたしましたものは一件であります。 すなわち、政府開発援助の
実施
に関するものであります。 以上をもって
昭和
六十三
年度
決算検査報告
の
概要
の説明を終わります。
会計検査院
といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計
経理
の
執行
について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。 次に、
昭和
六十三
年度
国有財産検査報告
につきまして、その
概要
を御説明いたします。
会計検査院
は、
平成元年
十月二十日、
内閣
から
昭和
六十三
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書
及び
昭和
六十三
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
の送付を受け、その
検査
を終えて、
昭和
六十三
年度
国有財産検査報告
とともに、
平成元年
十二月八日、
内閣
に回付いたしました。
昭和
六十二
年度
末の
国有財産
現在額は、五十兆三千三百四億七千六百五十五万余円でありましたが、六十三
年度
中の増が三兆四千八十六億二千九百五十九万余円、同
年度
中の減が九千二百六十一億二千二百二十二万余円ありましたので、
差し引き
六十三
年度
末の現在額は五十二兆八千百二十九億八千三百九十二万余円になり、前
年度
に比べますと、二兆四千八百二十五億七百三十七万余円の
増加
になっております。 また、
国有財産
の
無償貸し付け
状況につきましては、六十二
年度
末には、八千三百三十億千九百八万余円でありましたが、六十三
年度
中の増が二千四百四十億六千八百七万余円、同
年度
中の減が二千三百二億四千二百二十一万余円ありましたので、
差し引き
百三十八億二千五百八十六万余円の
増加
を見まして、六十三
年度
末の
無償貸付財産
の
総額
は八千四百六十八億四千四百九十五万余円になっております。
検査
の結果、
昭和
六十三
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書
及び
昭和
六十三
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
に掲記されている
国有財産
の
管理
及び処分に関しまして、
昭和
六十三
年度
決算検査報告
で「
法律
、
政令
若しくは
予算
に違反し又は不当と認めた
事項
」等として掲記したものはありません。 以上をもって
昭和
六十三
年度
国有財産検査報告
の
概要
の説明を終わります。
及川一夫
8
○
委員長
(
及川一夫
君) 次に、
平成元年
度
決算
、すなわち
一般会計歳入歳出決算
、
特別会計歳入歳出決算
、
国税収納金整理資金受払計算書
、
政府関係機関決算書
につきまして、
大蔵大臣
から
概要説明
を聴取いたします。
橋本大蔵大臣
。
橋本龍太郎
9
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
平成元年
度の
一般会計歳入歳出決算
、
特別会計歳入歳出決算
、
国税収納金整理資金受払計算書
及び
政府関係機関決算書
を
会計検査院
の
検査報告
とともに
国会
に提出し、また、
平成元年
度の国の
債権
の現在額並びに
物品
の
増減
及び現在額につきましても
国会
に
報告
いたしましたので、その
概要
を御説明申し上げます。 まず、
一般会計
におきまして、
歳入
の
決算額
は六十七兆二千四百七十八億二千二百五十八万円余、
歳出
の
決算額
は六十五兆八千五百八十九億三千八百七十五万円余でありまして、
差し引き
一兆三千八百八十八億八千三百八十二万円余の
剰余
を生じました。 この
剰余金
は、
財政法
第四十一条の
規定
によりまして、
一般会計
の
平成
二
年度
の
歳入
に
繰り入れ済み
であります。 なお、
平成元年
度における
財政法
第六条の純
剰余金
は三千百二十一億千五百四万円余となります。 以上の
決算額
を
予算額
と比較いたしますと、
歳入
につきましては、
予算額
六十六兆三千百十八億九千百四十一万円余に比べて九千三百五十九億三千百十六万円余の
増加
となりますが、この
増加額
には、前
年度
剰余金受け入れ
が
予算額
に比べて
増加
した額七千四百五十七億二千百六十万円余が含まれておりますので、これを
差し引き
ますと、
歳入
の純
増加額
は千九百二億九百五十六万円余となります。その
内訳
は、
租税
及び
印紙収入等
における
増加額
六千六百二十六億六千三百十三万円余、
公債金
における
減少額
四千七百二十四億五千三百五十六万円余となっております。 一方、
歳出
につきましては、
予算額
六十六兆三千百十八億九千百四十一万円余に、
昭和
六十三
年度
からの
繰越額
六千六百五十三億四千三百五十四万円余を加えました
歳出予算
現額六十六兆九千七百七十二億三千四百九十五万円余に対しまして、
支出済み歳出額
は六十五兆八千五百八十九億三千八百七十五万円余でありまして、その差額一兆千百八十二億九千六百二十万円余のうち、
平成
二
年度
に繰り越しました額は七千三百八十九億五千九百十六万円余となっており、不用となりました額は三千七百九十三億三千七百四万円余となっております。 次に、
予備費
でありますが、
平成元年
度
一般会計
における
予備費
の
予算額
は二千億円であり、その
使用額
は千四百二十七億四千三十六万円余であります。 次に、
一般会計
の
国庫債務負担行為
につきまして申し上げます。
財政法
第十五条第一項の
規定
に基づき国が
債務
を負担することができる
金額
は二兆五千四百十七億四千九百四十八万円でありますが、
契約等
による本
年度
の
債務負担額
は二兆五千二百五十三億七千百五十六万円余であります。これに
既往年度
からの
繰越債務額
三兆四千二百五十七億四千八百八十五万円余を加え、
平成元年
度中の
支出等
による本
年度
の
債務消滅額
二兆千六百七十一億千五百七十一万円余を差し引いた額三兆七千八百四十億四百六十九万円余が翌
年度
以降への
繰越債務額
となります。
財政法
第十五条第二項の
規定
に基づき国が
債務
を負担することができる
金額
は一千億円でありますが、
契約等
による本
年度
の
債務負担額
はありません。 また、
既往年度
からの
繰越債務額
十六億千四百六万円は、
平成元年
度中の
支出等
によって全額消滅いたしましたので、翌
年度
以降への
繰越債務額
はありません。 次に、
平成元年
度の
特別会計
の
決算
でありますが、同
年度
における
特別会計
の数は三十八でありまして、これらの
決算
の
内容
につきましては、
特別会計歳入歳出決算
によって御了承願いたいと存じます。 次に、
平成元年
度における
国税収納金整理資金
の
受け入れ
及び
支払い
でありますが、同質金への
収納済み額
は五十七兆七千六百六十七億八千二百三十二万円余でありまして、この
資金
からの
一般会計等
の
歳入
への組み入れ
額等
は五十七兆七千五百七十億九千四百八十七万円余でありますので、
差し引き
九十六億八千七百四十四万円余が
平成元年
度末の
資金残額
となります。これは、主として
国税
に係る
還付金
として
支払い決定済み
のもので、
年度
内に
支払い
を終わらなかったものであります。 次に、
平成元年
度の
政府関係機関
の
決算
の
内容
につきましては、それぞれの
決算書
によって御了承願いたいと存じます。 次に、国の
債権
の現在額でありますが、
平成元年
度末における国の
債権
の
総額
は百七十三兆二千三百九十七億四千四百十二万円余でありまして、前
年度
末現在額百五十五兆千七百六十二億千八百七十三万円余に比べて十八兆六百三十五億二千五百三十九万円余の
増加
となります。 その
内容
の詳細につきましては、
平成元年
度国の
債権
の現在額総
報告
によって御了承願いたいと存じます。 次に、
物品
の
増減
及び現在額でありますが、
平成元年
度中における純
増加額
は五千二百六十五億八千百七十四万円余であります。これに前
年度
末現在額六兆四千四十四億六千百二十八万円余を加えますと、
平成元年
度末における
物品
の
総額
は六兆九千三百十億四千三百三万円余となります。その
内訳
の詳細につきましては、
平成元年
度
物品増減
及び現在額総
報告
によって御了承願いたいと存じます。 以上が
平成元年
度の
一般会計歳入歳出決算
、
特別会計歳入歳出決算
、
国税収納金整理資金受払計算書
、
政府関係機関決算書等
の
概要
であります。 なお、
平成元年
度の
予算
の
執行
につきましては、
予算
の効率的な
使用
、
経理
の適正な
運営
に極力意を用いてまいったところでありますが、なお
会計検査院
から百九十二件の
不当事項等
について
指摘
を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。
予算
の
執行
につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。 何とぞ御
審議
のほどお願い申し上げます。
及川一夫
10
○
委員長
(
及川一夫
君) 次に、
平成
元
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書並び
に
平成
元
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
につきまして、
大蔵大臣
から
概要説明
を聴取いたします。
橋本大蔵大臣
。
橋本龍太郎
11
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
平成
元
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書並び
に
平成
元
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
を
会計検査院
の
検査報告
とともに第百二十回
国会
に
報告
いたしましたので、その
概要
を御説明申し上げます。 まず、
平成
元
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書
の
概要
について御説明いたします。
平成元年
度中に
増加
しました
国有財産
は、
行政財産
一兆八千四百八十一億四千七百三十八万円余、
普通財産
二兆千百八十五億九千八百八万円余、
総額
三兆九千六百六十七億四千五百四十六万円余であり、また、同
年度
中に
減少
しました
国有財産
は、
行政財産
三千八百七十億二千五十九万円余、
普通財産
四千六百五十一億五千百九十七万円余、
総額
八千五百二十一億七千二百五十六万円余でありまして、
差し引き
三兆千百四十五億七千二百九十万円余の純
増加
となっております。これを
昭和
六十三
年度
末現在額五十二兆八千百二十九億八千三百九十二万円余に加算いたしますと、五十五兆九千二百七十五億五千六百八十三万円余となり、これが
平成元年
度末現在における
国有財産
の
総額
であります。 この
総額
の
内訳
を
分類別
に申し上げますと、
行政財産
三十兆六千七百三十三億六千四百七十一万円余、
普通財産
二十五兆二千五百四十一億九千二百十一万円余となっております。 なお、
行政財産
の
内訳
を
種類別
に申し上げますと、
公用財産
二十兆四千二百五十三億千六百三十七万円余、
公共用財産
五千六百三十五億八千三百七十八万円余、
皇室用財産
七千六十一億九百七十万円余、
企業用財産
八兆九千七百八十三億五千四百八十四万円余となっております。 また、
国有財産
の
総額
の
内訳
を
区分別
に申し上げますと、
土地
十四兆五百三十五億九千五万円余、
立木竹
五兆千五百八十一億九千三百四十五万円余、建物六兆二千四百四十六億百三十三万円余、
工作物
五兆三千八十三億八千百九十四万円余、
機械器具
八億三百十五万円余、
船舶
一兆五千五百億八千六百四十六万円余、航空機二兆二千五十八億八千四百十一万円余、
地上権等
十六億六千七百六十九万円余、
特許権等
四十二億七千三百三十二万円余、
政府出資等
二十一兆三千九百九十七億千七百二十八万円余、不動産の信託の受益権三億五千八百万円となっております。 次に、
国有財産
の
増減
の
内容
について、その
概要
を申し上げます。 まず、
平成元年
度中における
増加額
を申し上げますと、前述のとおりその
総額
は三兆九千六百六十七億四千五百四十六万円余であります。この
内訳
を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の
異動
によって
増加
しました
財産
は三兆三千九百八十億八百五十万円余、第二に、国の
内部
における
異動
によって
増加
しました
財産
は五千六百八十七億三千六百九十六万円余であります。 次に、
減少額
について申し上げますと、その
総額
は八千五百二十一億七千二百五十六万円余であります。この
内訳
を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の
異動
によって
減少
しました
財産
は四千百八十三億六千六百七万円余、第二に、国の
内部
における
異動
によって
減少
しました
財産
は四千三百三十八億六百四十九万円余であります。 以上が
平成
元
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書
の
概要
であります。 次に、
平成
元
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
の
概要
について御説明いたします。
平成元年
度中に
増加
しました
無償貸付財産
の
総額
は千二百三十五億三千二百四十八万円余であり、また、同
年度
中に
減少
しました
無償貸付財産
の
総額
は千百五十二億三千百八十七万円余でありまして、
差し引き
八十三億六十一万円余の純
増加
となっております。これを
昭和
六十三
年度
末現在額八千四百六十八億四千四百九十五万円余に加算いたしますと八千五百五十一億四千五百五十六万円余となり、これが
平成元年
度末現在において
無償貸し付け
をしている
国有財産
の
総額
であります。 以上が
平成
元
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
の
概要
であります。 なお、これらの
国有財産
の各総
計算書
にはそれぞれ
説明書
が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。 何とぞ御
審議
のほどお願い申し上げます。
及川一夫
12
○
委員長
(
及川一夫
君) 次に、
平成元年
度
決算検査報告
並びに
平成元年
度
国有財産検査報告
につきまして、
会計検査院長
から
概要説明
を聴取いたします。
中村会計検査院長
。
中村清
13
○
会計検査院長
(
中村清
君)
平成元年
度
決算検査報告
につきまして、その
概要
を御説明いたします。
会計検査院
は、
平成
二年十月十二日、
内閣
から
平成元年
度
歳入歳出決算
の送付を受け、その
検査
を終えて、
平成元年
度
決算検査報告
とともに、
平成
二年十二月十四日、
内閣
に回付いたしました。
平成元年
度の
一般会計決算額
は、
歳入
六十七兆二千四百七十八億二千二百五十八万余円、
歳出
六十五兆八千五百八十九億三千八百七十五万余円でありまして、前
年度
に比べますと、
歳入
において二兆六千四百四億四千二百三万余円、
歳出
において四兆三千八百七十八億七千六百三十七万余円の
増加
になっており、各
特別会計
の
決算額
の
合計額
は、
歳入
百七十五兆三千三百九億九千九百三十四万余円、
歳出
百五十二兆八千十六億四千二百四十四万余円でありまして、前
年度
に比べますと、
歳入
において二兆八千二百九十四億六千七百五十一万余円、
歳出
において五兆三千九十四億一千四百六十三万余円の
増加
になっております。 また、
国税収納金整理資金
は、
収納済み額
五十七兆七千六百六十七億八千二百三十二万余円、
歳入
組み入れ額五十五兆四千九百二十四億八千九百六十三万余円であります。
政府関係機関
の
平成元年
度の
決算額
の総計は、
収入
五兆九千四百五十九億二千二百四十二万余円、
支出
五兆四百二十二億二千四百二十三万余円でありまして、前
年度
に比べますと、
収入
において八千百七十二億四千九百九十六万余円の
増加
、
支出
において百九十九億九千二百四十一万余円の
減少
になっております。
平成元年
度の
歳入
、
歳出等
に関し、
会計検査院
が、国、
政府関係機関
、国の
出資団体等
の
検査対象機関
について
検査
した実績を申し上げますと、
書面検査
は、
計算書
二十三万三千余冊及び
証拠書類
六千九百六十五万九千余枚について行い、また、
実地検査
は、
検査対象機関
の官署、
事務所等
三万八千九百余カ所のうち、その九・二%に当たる三千六百余カ所について
実施
いたしました。そして、
検査
の進行に伴い、
関係者
に対して九百
余事項
の
質問
を発しております。 このようにして
検査
いたしました結果、
検査
告に掲記した
法律
、
政令
もしくは
予算
に違反したは不当と認めた
事項等
について、その
概要
を御説明いたします。 まず、
法律
、
政令
もしくは
予算
に違反しまたは不当と認めた
事項
について申し上げます。
法律
、
政令
もしくは
予算
に違反しまたは不当と認めた
事項
として
検査報告
に掲記いたしましたものは、
合計
百九十二件であります。 このうち、
収入
に関するものは五件、二十三億七千七百八十一万余円でありまして、その
内訳
は、
租税
の
徴収額
に
過不足
があったものが一件、十四億五千十五万余円、
保険料
の
徴収額
に
過不足
があったものが三件、九億七百五十三万余円、
職員
の
不正行為
により損害を生じたものが一件、二千十二万余円、また、
支出
に関するものは百五十七件、七十六億六百七十四万余円でありまして、その
内訳
は、
予算
経理
に関するものとして、架空の名目等により支払った旅費を別途に
経理
していたものが一件、四百九万余円、
工事
に関するものとして、予定価格の
積算
が適切でなかったり、
設計
が適切でなかったり、監督及び
検査
が適切でなかったものが四件、四千九百九万余円、物件に関するものとして、
土地
を不当に処分して利益を得ていたものが一件、二千百十七万余円、
保険給付
に関するものとして、
保険給付金
の
支給
が適正でなかったものが七件、四億四百十八万余円、
補助金
に関するものとして、
補助事業
の
実施
及び
経理
が適切でなかったものが七十八件、六十三億七千四十五万余円、
貸付金
に関するものとして、
貸付金
の
経理
が適切でなかったものが八件、三億九千百四十五万余円、
職員
の
不正行為
により損害を生じたものが一件、一千八百七十九万余円、その他、
医療費
の
支払い
が適正でなかったものが五十七件、三億四千七百四十九万余円であります。 以上の
収入
、
支出
に関するもののほか、レーダー等の部品から採取した銀くずや、
郵便貯金
の
預入金
、
簡易生命保険
の
保険料等
について、
職員
の
不正行為
による損害を生じたものが三十件、二億八千三百九十二万余円ありまして、これらの
合計
は、百九十二件、百二億六千八百四十八万余となっております。これを前
年度
の百六十六件、四十八億四千百二十七万余円と比べますと、件数において二十六件の
増加
、
金額
において五十四億二千七百二十一万余円の
増加
となっております。 次に、
意見
を表示しまたは
処置
を要求した
事項
について御説明いたします。
平成
二年中におきまして、
会計検査院法
第三十四条の
規定
により
是正改善
の
処置
を要求いたしましたものは七件、同法第三十四条の
規定
により
是正改善
の
処置
を要求し及び同法第三十六条の
規定
により
改善
の
意見
を表示いたしましたものは一件、また、同法第三十六条の
規定
により
改善
の
意見
を表示いたしましたものは二件、
改善
の
処置
を要求いたしましたものは一件であります。 このうち、
会計検査院法
第三十四条の
規定
により
是正改善
の
処置
を要求いたしましたものは、法務省の宅地建物取引業を営む者が現金で供託した営業保証金のうち時効完成したものを
歳入
として徴収するための処理に関するもの、文部省の医学部附属病院特殊救急部が行った救命救急医療に係る診療報酬の請求に関するもの、
国立大学
医学部附属病院等の診療棟、病棟等の
建築工事
における鉄筋の
加工組み立て費
の
積算
に関するもの、
厚生省
の医師看護婦等が標準人員に対して著しく不足している病院等の
把握
に関するもの、
建設省
の
住宅
新築
資金
等
貸付事業
における宅地取得
資金
の貸し付けに関するもの、中小企業信用保険公庫の機械類信用保険の回収金の公庫納付に関するもの、東日本旅客鉄道株式会社の私鉄等の定期乗車券の委託販売に係る手数料の収受に関するものであります。
会計検査院法
第三十四条の
規定
により
是正改善
の
処置
を要求し及び同法第三十六条の
規定
により
改善
の
意見
を表示いたしましたものは、
厚生省
の母子福祉
資金
及び寡婦福祉
資金
の
貸付事業
の
運営
に関するものであります。 また、
会計検査院法
第三十六条の
規定
により
改善
の
意見
を表示いたしましたものは、文部省の高等学校定時制課程に在学する生徒への教科書の給与事業及び夜食費の
補助事業
に関するもの、
農林水産省
の国営木曽岬干拓事業により造成された干拓地に関するものであり、
会計検査院法
第三十六条の
規定
により
改善
の
処置
を要求いたしましたものは、
労働省
の労働者災害補償保険の診療費の算定に関するものであります。 次に、本院の
指摘
に基づき
当局
において
改善
の
処置
を講じた
事項
について御説明いたします。 これは、
検査
の過程におきまして、
会計検査院法
第三十四条または第三十六条の
規定
により
意見
を表示しまたは
処置
を要求すべく
質問
を発するなどして検討をしておりましたところ、
当局
において、本院の
指摘
を契機として直ちに
改善
の
処置
をとったものでありまして、
検査報告
に掲記いたしましたものは十七件であります。 すなわち、
総理府
の廃棄物処理設備の運転等の作業請負契約における労務費の
積算
に関するもの、
農林水産省
の輸入麦の買い入れ経費に関するもの、素材生産請負事業における労務費の
積算
に関するもの、
運輸省
の岸壁築造
工事
等における揚土費の
積算
に関するもの、
住宅
騒音防止
工事
に用いるアルミサッシの仕様に関するもの、
労働省
の
雇用保険
の地域雇用特別奨励金の
支給
に関するもの、自治省の衛星通信用無線通信設備の電力増幅管の交換方法に関するもの、
日本道路公団
の橋梁床版上の舗装の
設計
に関するもの、阪神高速道路公団の高架橋建設
工事
に
使用
する鉄筋の
加工組み立て費
の
積算
に関するもの、
住宅
・
都市整備公団
の
住宅等
建築工事
における鉄筋の
加工組み立て費
の
積算
に関するもの、電源開発株式会社の定期点
工事
等に係る現場従業員の人件費等の
積算
に関するもの、日本電信電話株式会社の交換機遠隔保守システムの機器構成に関するもの、パーソナルコンピューター等のプリンターで
使用
するりボン カセットのリサイクルに関するもの、公衆電話委託手数料の
支払い
に関するもの、北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び九州旅客鉄道株式会社の自動車線の委託駅における乗車券類の発売に関するものであります。 以上をもって
平成元年
度
決算検査報告
の
概要
の説明を終わります。
会計検査院
といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計
経理
の
執行
について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。 次に、
平成元年
度
国有財産検査報告
につきまして、その
概要
を御説明いたします。
会計検査院
は、
平成
二年十月十九日、
内閣
から
平成
元
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書
及び
平成
元
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
の送付を受け、その
検査
を終えて、
平成元年
度
国有財産検査報告
とともに、
平成
二年十二月十四日、
内閣
に回付いたしました。
昭和
六十三
年度
末の
国有財産
現在額は、五十二兆八千百二十九億八千三百九十二万余円でありましたが、元
年度
中の増が三兆九千六百六十七億四千五百四十六万余円、同
年度
中の減が八千五百二十一億七千二百五十六万余円ありましたので、
差し引き
元
年度
末の現在額は五十五兆九千二百七十五億五千六百八十三万余円になり、前
年度
に比べますと三兆一千百四十五億七千二百九十万余円の
増加
になっております。 また、
国有財産
の
無償貸し付け
状況につきましては、六十三
年度
末には八千四百六十八億四千四百九十五万余円でありましたが、元
年度
中の増が一千二百三十五億三千二百四十八万余円、同
年度
中の減が一千百五十二億三千百八十七万余円ありましたので、
差し引き
八十三億六十一万余円の
増加
を見まして、元
年度
末の
無償貸付財産
の
総額
は八千五百五十一億四千五百五十六万余円になっております。
検査
の結果、
平成
元
年度国有財産増減
及び現在額総
計算書
及び
平成
元
年度国有財産無償貸付状況
総
計算書
に掲載されている
国有財産
の
管理
及び処分に関しまして、
平成元年
度
決算検査報告
に掲記いたしましたものは、
法律
、
政令
もしくは
予算
に違反しまたは不当と認めた
事項
といたしましては、
総理府
の屋外燃料タンク補修
工事
の施行に当たり、鋼板の材料費、工場加工費等の
積算
が適切でなかったため契約額が割高になっているものの一件であり、また、本院の
指摘
に基づき
当局
において
改善
の
処置
を講じた
事項
といたしましては、
総理府
の廃棄物処理設備の運転等の作業の請負契約における労務費の
積算
を作業の実態に適合するよう
改善
させたものの一件であります。 以上をもって
平成元年
度
国有財産検査報告
の
概要
の説明を終わります。
及川一夫
14
○
委員長
(
及川一夫
君) 以上で
昭和
六十三
年度決算外
二件及び
平成
元
年度決算外
二件に関する
概要説明
の聴取を終了いたしました。 これより質疑に入ります。 本日は全般的質疑第一回を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
大渕絹子
15
○大渕絹子君 おはようございます。よろしくお願いいたします。 私はきょう、五月十四日の午前十時過ぎに滋賀県の信楽高原鐵道で起きました事故につきまして、お尋ねをしたいと思います。 前時代的とも言えるこの正面衝突の事故の発生には、本当に驚きました。今の日本の進んだ安全基準といいますか、そういう安全確認の技術のもとでは起こり得ないと思っていた事故でございました。数年前、中国で日本の修学旅行の生徒たちが遭遇した正面衝突の事故を見たときに、今の日本では起こり得ない事故だなという思いで見ていたわけでございますが、現実に今の日本に起きてしまったことに非常に驚いているわけでございます。 村岡運輸大臣には、十四日、早速現地に飛ばれまして、被害に遭われた人たちを見舞われたり、また残された家族の人たちに御面会になったり、大変迅速な行動をとられましたことに心から敬意を表したいと思います。事故現場の視察をされたり、そしてその後直ちに、全国の第三セクター方式の鉄道におきましては安全対策が完全であるかどうかということを徹底
調査
するように御指示をなされました。そして
運輸省
に村岡大臣を
本部長
といたします信楽高原鐵道事故対策本部が設置されるなど、その原因究明とか今後の課題に対処されたことは、まことに御苦労さまに思います。 大臣、現地に行かれまして実際に事故の様子をごらんになりました御感想をお聞かせいただきたいと思います。
村岡兼造
16
○
国務大臣
(村岡兼造君) 去る五月十四日、信楽高原鐵道株式会社信楽線におきまして多数の死傷者が生ずるという悲惨な事故の発生を見ましたことは、運輸行政を預かる者として、まことに遺憾に存ずる次第でございます。本事故で亡くなられた方々に対しましては心より哀悼の意を表明いたしますとともに、けがをされた方々に対しましても一日も早い御回復をお祈り申し上げる次第でございます。
運輸省
といたしましても、今回の事故の重大性にかんがみまして、同日付で運輸大臣を
本部長
とする信楽高原鐵道事故対策本部を設置して、五項目を決めたわけでございますが、私自身が現場に赴き、事故の状況を
調査
するとともに、亡くなられた方々に対する弔問、入院中の方々へのお見舞い並びに関係機関への協力をお願いしてきたところであります。 さらに、五月十五日に開催されました第一回信楽高原鐵道事故対策本部の決定に基づき、徹底的な事故原因の究明と同種事故の再発防止対策、さらには被害を受けた方々の支援に万全を期してまいりたい、こう考えておるところでございます。
大渕絹子
17
○大渕絹子君 山合いの静かな観光地に起きた事故ということで、大変衝撃的であったわけでございますけれども、警察庁の方にこの事故の
概要
と被害状況をお尋ねしたいと思います。
國松孝次
18
○
説明員
(
國松
孝次君) 事件の
概要
でございますけれども、本件は五月十四日午前十時三十五分ごろ、滋賀県甲賀郡信楽町内の信楽高原鐵道軌道上におきまして、京都始発信楽行きJR西日本の臨時直通列車と信楽始発貴生川行き信楽高原鐵造普通列車が正面衝突をいたしまして、乗員乗客合わせまして四十二名が死亡をいたしました。私どもの
把握
しておりますところ、三百九十二名の方々が負傷したという事故でございます。 滋賀県警察におきましては、直ちに警察
本部長
を長とする対策本部を設置いたしまして、被害者の救出活動、事故
概要
の
把握
、被害者の身元確認、検視などの初動体制を行うとともに、現在二百八名の捜査本部体制によりまして、乗客、列車運行
関係者
等からの事情聴取、現場及び事故車両等の検証、関係駅等に対する捜索と関係資料等の押収など、事故原因究明のための捜査を推進中のところでございます。
大渕絹子
19
○大渕絹子君 こうした事故が起きた背景には、いろいろな要因が重なって起きたというふうに思うわけでございますけれども、その背景とかそれから直接的な原因について、捜査中ということで大変おっしゃりにくい点があろうかと思いますけれども、でき得る限り教えていただきたいと思います。
國松孝次
20
○
説明員
(
國松
孝次君) ただいまも御答弁申しましたとおり、現在、滋賀県警察の捜査本部におきまして事故車両の運転
関係者
等からの事情聴取を行うとともに、事故車両や信号等、制御システム等についての検証、運行関係書類等の押収等の捜査を推進して、押収した関係資料等の分析を行い、事故原因の究明に努めているところでございます。 現在捜査中でございまして、まだはっきりはわからないわけでございますけれども、少なくとも単線の上に双方から列車が参りまして正面衝突をするなどということが不可抗力で起こるというようなことはあり得ないわけでありまして、何らかの人為的なミスがそこにあったということは言わなければならないというように思います。 したがいまして、そういった事故の原因が何であるか、それに対して私ども捜査機関といたしましてどのような刑事責任をどの範囲の者に科すことができるのかというようなことについてこれから解明をしていくところでございまして、いずれにいたしましても、信楽高原鐵道の運行
関係者
も多数といいますか、ほとんどお亡くなりになっておられるということ、それから被害
関係者
が非常に多いということ、あるいは鉄道特有の専門的知識、技術を必要とすることなどから、今後いろいろと事実を詰めてまいりませんと何とも、まだその事故原因につきまして具体的な点をここでお答えする段階には至っていないわけでございます。もうしばらくお時間をおかしいただきたいというように思います。
大渕絹子
21
○大渕絹子君 警察庁といたしましては当然そういう御答弁であろうかと思います。 新聞等の報道によりましても、数字的なことは大変まちまちのような報道がなされておりまして、私たちも的確な情報というものを一日も早く知りたい、事故原因というものを知りたいという思いの中できょう
質問
させていただいているわけでございます。私が知り得た情報の中から逐次背景等、原因等についてお聞きをしていきたいと思いますので、
運輸省
あるいは警察庁の方々、その都度お答えをいただきたいと思います。 信楽高原鐵道は、
昭和
六十二年の七月、JRから第三セクターに引き継がれたものです。国鉄時代には四十名もいた現場
職員
が、十四名に大幅削減をされて合理化が進められたと聞いております。 現在、この高原鐵道に従事していらっしゃる現場の
職員
数は何名でございましょうか。
佐々木建成
22
○
説明員
(
佐々木建成君
) 信楽高原鐵道株式会社におきまして、鉄道業に従事している人の数は全体で十七名というふうになっております。
大渕絹子
23
○大渕絹子君 それでは、その十七名の人たちによって今回のこの運送
業務
が賄われておったというふうに理解をしてよろしゅうございますか。あるいはこの事故当時、イベントを控えるに当たっ て特別な増員が図られていたかどうか、お聞かせ ください。
佐々木建成
24
○
説明員
(
佐々木建成君
) この信楽高原鐵道株式会社が発足しました当時は、鉄道業に従事している
職員
の数は十四名ということであったわけでございますけれども、今回の乗り入れ、輸送力の増強というようなことに合わせまして十七人にふやしているということでございます。
大渕絹子
25
○大渕絹子君 それではやっぱり、当初国鉄から引き継いだときには十四名というふうに確認をしてよろしいわけですね。 そうした大幅な人員削減を行い、合理化を進めて、そして初
年度
には百十七万二千円の経常利益を出すことができたという好調なスタートを切ったというふうに聞いております。旧国鉄時代は大変な赤字路線でございまして、その衣がえを図るために第三セクター方式のローカル鉄道にいったわけでございますけれども、日本の多くの第三セクター方式に変わった鉄道に見られることは、その地域の観光資源を生かしたり特別なイベントを組んだりして、何とか乗客を確保する中で経営を
改善
していきたいというような計画が図られていきます。 今回のこの信楽高原鐵道でも、沿線で初めて開かれた世界陶芸祭、大変盛況だったと聞いております。四月二十日の開始以来事故まで二十四日間に既に六十万人もの入場者を数えていると言われています。当初の予想では、このイベントの開催者の予想では、三十七日間開催する予定になっておりまして、開催中の入場者数をおよそ三十五万人に見込んでいたというそういう計画だったわけでございますから、二十四日にして六十万人というのは大変なもうすごい人気であったということがわかるわけでございます。 この事故当日も、京都駅で仕立てられたJRの 臨時快速電車は超満員、乗車率二四〇%という混 雑ぶりというふうに報道されておりますけれど も、この事故を起こした列車の混雑状況はどんな 様子だったでしょう。
佐々木建成
26
○
説明員
(
佐々木建成君
) 事故を起こしました列車のうち、JRからの乗り入れの列車につきましては、乗車効率が二四〇%というふうなことと聞いております。
大渕絹子
27
○大渕絹子君 二四〇%の乗車率。十四日というのは平日でございます。特別の休日ではなかったわけでございますけれども、それにもかかわらず二四〇%という混雑ぶりはもう想像を絶するわけで、ゴールデンウィークの期間にはもっともっとすごかったのではないかというふうに思われるわけでございます。こういう混雑状況がこ十四日間も続いている状況の中で従業員がわずか十七名で対応していたという、この信楽鐵道の従業員の方たちの疲労ぶりというものは、想像いたしますと随分ひどい疲労状況であったのではないかというふうに推察がされるわけでございます。 現在、鉄道輸送の基本約束とも言える列車集中制御装置というのは、この信楽鍛造には設置をされておりましたでしょうか。
松波正壽
28
○
説明員
(松波正壽君) お答え申し上げます。 今先生御
指摘
ございました、多分CTCという列車集中制御装置のことと思いますが、当該鉄道会社には設置はされておりません。
大渕絹子
29
○大渕絹子君 このCTCの設置義務というようなものは
運輸省
では決められておりますでしょうか。
松波正壽
30
○
説明員
(松波正壽君) そういう鉄道の安全運行の中の一つのシステムでございますけれども、今御
指摘
がございましたCTC、その他いろいろ機構あるいはやり方がございますが、これを義務づけている、こういうことではございません。それぞれ鉄道の実態等に合わせながら経営者が考え、 対応している部分がございます。
大渕絹子
31
○大渕絹子君 このイベントを控えまして大量輸送が図られるために、今まで単線で一時間に一往復というダイヤを組んでおったこの信楽高原鐵道ですけれども、陶芸祭に合わせて信楽―貴生川間に列車行き違いのための待避線を設けることによって三十分に一本、一日に五十本の連行をするというダイヤ編成に変更していたわけでございます。 このダイヤ編成あるいはJRとの列車の乗り入れについて、
運輸省
にはどのような届け出がされてどのような許可がされたのでしょうか。
佐々木建成
32
○
説明員
(
佐々木建成君
) 信楽高原鐵道が、陶芸祭の開催に伴います旅客の大幅な
増加
が予想されましたために輸送力の増強を行うことといたしまして、一つは施設面での改良を行いまして、またJR西日本と協議を行った上で直通乗り入れをしているということでございます。 施設面の改良としましては、貴生川―信楽間に列車の行き違い設備を、先生御
指摘
のように小野谷信号所を設置するといたしますとともに、この信号所の両端に信号機を設けまして、かつATSの地上設備を設置することといたしました。また、閉塞方式についても新しい閉塞方式への改良等を行って保安度の向上を図ったということでございます。 それから、今お尋ねの直通運転の関係でございますが、JR西日本との直通運転につきましては、信楽高原鐵道、JR西日本間における「運輸に関する協定」を締結しておりまして、これは地方の運輸局に届け出るということになっておるわけでございます。そういうことでダイヤを設定して運行に入ったということでございます。
大渕絹子
33
○大渕絹子君 当然、その許可をされる段階に至りましては、安全確認というか、安全体制ができているかということを確認されておると思いますけれども、現場での立ち会いチェックその他は行われておりますでしょうか。
佐々木建成
34
○
説明員
(
佐々木建成君
) 申すまでもありませんが、安全輸送は鉄道の使命でございまして、事故防止に万全を期すべきでございます。 それで、乗り入れに際しましては、従前より乗り入れを行う者と
受け入れ
る者が具体的な乗り入れに関する
事項
につきまして、例えば列車の運行計画の調整、あるいは乗務員の運用及び運転取り扱い等に関しまして基本的な
事項
を協定に定めて届け出るわけでございますが、これにつきまして、必要に応じて適切な指導を、協定の
内容
等に関しまして
実施
をしてきているということでございます。
大渕絹子
35
○大渕絹子君 必要に応じて指導してきたと言われますけれども、その乗り入れの際に、今回のこの事故のような背景があった場合、片方の電車がおくれて片方の電車との連絡をとらなければならないというような状況が起きたときに、どういう方法でJR側と信楽鐵道側が連絡がとれるようになっておったのでしょうか。
松波正壽
36
○
説明員
(松波正壽君) 先ほど来説明ありましたように、乗り入れに当たりましては両事業がそれぞれの間におきまして連絡体制を確立する必要がございますが、こういう異常が起きたような場合におきましては、まず基本的に鉄道の輸送というのは常用閉塞と言いまして、一つの区間の中に列車が一つだけ入って安全運行がされるわけでございます。そういう信号制御方式の中で日ごろは行われているわけでございますけれども、一たん万が一何かがあった場合には、我々代用閉塞と称しておりますけれども、そういう場合には新しい方式で当該列車を運行させるという一つのシステムがございます。その場合に連絡等をとって、そして列車がいないことを確認しながら安全輸送に当たる。したがいまして、信楽駅の方におられる方からこういう状況ですということを貴生川の方の駅に連絡するなど、そういう体制が組まれているのが普通かと思っております。
大渕絹子
37
○大渕絹子君 私は、列車と列車の連絡はどういう方法で行われていたかと聞いています。
松波正壽
38
○
説明員
(松波正壽君) お答え申し上げます。 今先生御
指摘
の、列車と列車の間はどうかということでありますが、基本的には、今少し触れましたけれども、鉄道の安全輸送の場合には、運転指令と列車運転者の間においていろいろ連絡をとりながら運行をされるわけでございまして、したがいましてこの鐵道の場合には移動無線というものを搭載いたしておりまして、列車と駅との間、指令との間の連絡はとれておりますが、列車間におきます連絡につきましてはとれている状況でございません。 特に変わった状況は、今回の車両はJRの車両が乗り入れてきたわけでございますから、その列車無線間でうまくいくかという点についてのお尋ねかと思いますけれども、このたびの場合は、信楽高原鐵道の場合に列車無線がありまして、鉄道車両の列車無線装置がついているわけですけれども、その装置を使って乗り入れてまいりますところのJRの直通車両に連絡がとれるかと申しますと、周波数が異なっておりますこととかあるいは技術的な問題から直接連絡がとれるようなシステムにはなっていません。
大渕絹子
39
○大渕絹子君 先ほどそのときそのときに適切な安全指導を行っておるという答弁でありましたけれども、列車間に連絡がとれない状況のままJR線を信楽鐵道側に乗り入れるなどということは、だれが考えても安全対策がとれていたというふうには思えないわけです。 それでは、貴生川か信楽の駅からJRの快速電車には連絡がとれたんでしょうか。
松波正壽
40
○
説明員
(松波正壽君) お答え申し上げます。 ちょっと前段でもう少し御理解を賜らなきゃいけないと思いますが、列車の安全運行の基本は、列車無線は補完的な機能でございまして、原則といたしましては、信号制御が行われておりましてその信号制御に従って運転するのが基本でございます。 その信号と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、閉塞という概念がございまして、我々ブロックシステムと称しておりますが、一閉塞間に一列車を入れて、そして信号で現示をいたしまして列車を入らせないようにする、これが基本でございまして、それに従って運行する。万が一異常事、緊急事が起きた場合には列車無線によりまして連絡し、お客さんの問題、あるいはその異常時、緊急時の問題を連絡し、そして安全運行に徹する。いわゆる列車無線はどちらかといいますと補完的なシステム、いわゆるバックアップシステムとお考えになっていいかと思います。
大渕絹子
41
○大渕絹子君 緊急、異常時に無線で連絡すると今おっしゃったじゃないですか。この事故は緊急じゃなかったですか。信楽駅から見ても、列車がおくれて発車をした状況の中で、単線内で必ず遭遇するという危険はだれもが察知できた緊急な場合じゃなかったですか。その場合に使えない無線などというものは、安全装置として全然用をなさないということはだれもがわかることではないですか。
松波正壽
42
○
説明員
(松波正壽君) ちょっと私の説明が悪かったかと思いますけれども、当該信楽高原鐵道株式会社内の施設の中では移動無線施設がございまして、列車との間に連絡はとれるようになっておるわけでございますけれども、先ほど来申し上げましたように異常時、緊急時に使うわけでございますが、それが本来ならば、ルールならば使わなきゃいけないわけでありますけれども、それがどうだったかにつきましては、現在いろいろ
調査
をさせていただいております。 先生もう一つ御疑問の、乗り入れてまいりましたところのJRの列車との関係はどうかと、これは先ほど御説明しましたように、無線の装置が違いますので周波数が違っておりまして、信楽高原鐵道側からの無線室から発信をいたしましてもJR列車に搭載されている無線装置には連絡がつかない、こういう状況だと申し上げました。
大渕絹子
43
○大渕絹子君 そこが問題だと言っているんです。連絡のつかない列車を第三セクターの鉄道路線に乗り入れを許可した、そこが問題だと言っているんです。そうじゃないですか。 安全確認の確保ができない、しかもこの信楽鐵道に入った時点でJRのCTCの装置というものから切り離される、全く無防備な状態、安全設備の無防備な状況の中で乗り入れを許可しているという、こういう状況が非常に大きな問題だというふうに私は
指摘
をしているわけです。
佐々木建成
44
○
説明員
(
佐々木建成君
) 今松波陸上技術安全
部長
が御答弁申し上げました趣旨は、列車の運行につきましては、信号が赤か青かということによりまして、赤であればとまる、それから青であれば進行するということで、赤であるにもかかわらず列車が進行する場合にはATSが働いてとまるということで、すべて信号を信頼して動くというシステムになっているわけでございます。でございますので、列車無線によって列車相互に連絡をとりながら相手の様子を見て動かすというふうには基本的にはなっておりませんでして、信号を信頼して動かすということになっているわけです。 そこで、ではなぜこういう事態が起きたかということについて、この線の信号機器類について厳密な
調査
をしてみる必要があるということで、それによって原因が究明されて本来の信頼すべき信号システムというものが確保される手だてが講ぜられるということだと思います。 しかし、
補助
的な手段として列車無線を用意しておけば、何かありましたときに連絡をすれば非常に安心もできるというような意味での列車無線の必要性ということにつきましては、先生御
指摘
の点は理解できる点があるわけでございますので、その点については検討すべき課題だと思います。
大渕絹子
45
○大渕絹子君 信号を信頼して信号によって運行するというそこの基本ということはわかりましたけれども、この信楽高原鐵道にJR電車を乗り入れを許可した段階で、先ほど来から言っております安全対策が本当にきちんとチェックをされて、そしてまた信楽鐵道側とJR側との運行マニュアル、そういうものもきちんと精査をされた中の許可であったのかどうか、もう一度お尋ねします。
佐々木建成
46
○
説明員
(
佐々木建成君
) 乗り入れに際しまして、先ほど御答弁申し上げましたけれども、施設の面では行き違い設備あるいはそれに関します信号、あるいはATSの地上設備といったようなものを整備するということと、それからソフトの面につきましては「運輸に関する協定」、これは三種類ございますけれども、これが届け出をされているわけで、その協定の中身について特段問題があるというようなことにはなっておらないというふうに理解しております。
大渕絹子
47
○大渕絹子君 その中身の中に、待避線における打ち合わせというものはありましたでしょうか。
佐々木建成
48
○
説明員
(
佐々木建成君
) 小野谷信号所の待避線のところで待避をすべきかどうかというようなお尋ねだと思いますが、その点の取り決めがどうなっているかということだと思いますけれども、私どもの方ではまだ今
調査
をしている最中でございます。 ただ、JR西日本から入手をしました資料としまして、JR西日本に信楽高原鐵道株式会社から提出されたメモのようなものが残っておるわけですけれども、その場合には、行き違い設備における待避の問題については、下りの列車、つまり貴生川から信楽の方へ向かう列車については通過扱い、それから上りの信楽から貴生川へ向けての列車につきましては待避線にとどまるというような
内容
になっております。 なお、その
内容
がどういう意味を持つのかということにつきましては、これからさらに
調査
をする必要があると思っています。
大渕絹子
49
○大渕絹子君 その件については、また後ほどもう一度聞きたいと思います。 この事故当日の十四日、
運輸省
の近畿運輸局の方たちがこの鉄道の視察に行くということで向かわれていたと聞きますけれども、どういう目的で向かわれておったのでしょうか。
松波正壽
50
○
説明員
(松波正壽君) お答え申し上げます。 その事故当日でございますが、我々の出先の近畿運輸局の
職員
三名でございますけれども、先生も御案内でございますが、五月十一日から二十日まで交通安全運動というものが展開されておりましたけれども、その一環といたしまして信楽高原鐵道、この場合ほかに近江鉄道も
対象
にしておりましたけれども、安全運動の取り組み状況の査察を行う、こういう計画に従って行ったものでございまして、当時当該
職員
三名はそれがためにJR草津線を経由いたしまして貴生川駅へ向かっていたところでございます。
大渕絹子
51
○大渕絹子君 たまたま交通安全週間だったから交通安全の査察に行ったということでございますけれども、四月二十日から世界陶芸祭というものが開催をされておりまして、先ほどから申し上げておりますように、連日の大盛況で毎日毎日大混雑をしていたという状況の中で、その間に一度も安全体制のチェックというようなものは行われておらなかったんでしょうか。
松波正壽
52
○
説明員
(松波正壽君) 今御
指摘
の点につきまして、安全運動期間中に査察ということで、車の
運営
実態の添乗査察、あるいは本社に参りましてどういう取り組み状況かということを尋ねたわけでありますが、それ以前の日にはどうであったかというお尋ねかと思いますけれども、これは日ごろやはり我々安全運動等輸送の安全確保について、人が行く場合もございますけれども、いろいろ通達等、機会をとらえながら安全輸送に万全を期するようお願いをしておる、こういうような方法も踏まえながら対応いたしておる、こういう現状でございます。
大渕絹子
53
○大渕絹子君 大変日本人的な発想で恐縮なんですけれども、この近畿運輸局の査察団を出迎えるために信楽鐵道の幹部
職員
の方が時間におくれまいとしたこと、このことが、赤信号を無視して発車をさせる、そうした遠い原因になっているのではないかというふうに思えるわけでございます。 精神的にも肉体的にも正常な状態だったら、赤信号で、ATSですか自動制御ですか、それが作動していて、それを解除しなければ発車ができないような状況の列車を、無理に手動に切りかえた中で赤信号で出発をしていくということはまさに考えられないわけでございますけれども、この発車を指示した幹部の頭の中には、JR列車は必ず待避線で待っていてくれるという、そうした既成概念があったのではないかと思うわけでございます。なぜならば、この乗り入れの際、JR側と鐵道側とで研修を行ったわけでございますけれども、その研修の際に、JRの運転士や車掌さんとの打ち合わせのときに、前方の信号が青の場合でも対向列車が到着するまでは待機するように指導していた、そう言われておるわけでございます。 先ほど
局長
さんの答弁の中に、信楽鐵道側は待避をする、JR列車は通過をしていいというふうにおっしゃいました。そういう申し合わせであったというふうに書いてありました。このことはまさにその待避線以外に交差をする場所がないわけでございますから、信楽鐵道の
職員
の頭の中には必ず待っていてくれる、おくれても待っていてくれるというその考えの中で発車をさせたと私は思えるわけでございます。 この相互乗り入れに対する安全運転のマニュアル、ここの部分、先ほどもJR側に残っていたメモということで
局長
答弁をされたわけでございますけれども、そこのところの確認、
運輸省
としてはどういうふうにとらえておられるんでしょうか。
佐々木建成
54
○
説明員
(
佐々木建成君
) 先ほど御答弁申し上げましたのは、下り列車は通過だということがそのメモに書いてあるというふうに申し上げたわけでございます。したがいまして、下り列車が待避線にいるというようなことはそのメモでは書いてないということを御理解いただきたいと思います。
大渕絹子
55
○大渕絹子君 書いておらなくても、一時間一往復の運行を三十分一往復に切りかえる中で、どうしても待避線で交差をしなければダイヤ運行ができない状況の中で、片方では事情があってその待避線にまだ到着をしておらない、JR快速電車はそこの待避線のところに来た、通過をした、信号が青だったからというような運転士さんの証言も新聞には載っているわけですけれども、この信号の青というのは確認ができていますか。
松波正壽
56
○
説明員
(松波正壽君) 今先生御
指摘
にございました、我々現地へも、私、大臣に、あるいは政務次官にお供していろいろ状況を聞いてまいりました。あるいは保安監査をさせていただいておりますが、その中で、まだ疑問点としていろいろ残っておりまして、先ほども説明ございましたように、例えば今先生の御
指摘
の青であったかどうかという点につきましても、確かにそういうような報道、証言等は仄聞としては聞いておりますけれども、我々の立場からはまだそこがそうだと断定した情報は得ておりません。 したがいまして、これからの課題といたしまして、本当に信号がどのように作動していたかにつきましては、いろいろの角度からあるいはひょっとしたら試験もしなければいけないかなと。いずれにしましても、現在警察の方でお調べになっておられます、そういう状況でございますので、今後の
調査
する課題だと考えております。
大渕絹子
57
○大渕絹子君 滋賀県警の捜査本部の発表ということで新聞には出ているわけですけれども、「信号故障のため作動したATS(列車自動停止装置)を解除して無理に発車した人為的ミスと断定、」、また、信号システムの構造を調べたところ、「信楽高原鉄道列車の誤出発検知が正常に作動したとしても、JR列車がその検知直前に小野谷信号所を通過していた可能性」もあると、原因についてさまざまな報道がされていますけれども、信号機や列車接近検知や列車自動停止装置などがはっきり故障していたというものはありませんですよね。
松波正壽
58
○
説明員
(松波正壽君) お答え申し上げます。 今いろいろな話は出ておりますが、先ほど来私たちも申し上げましたように、つい最近では現地へ参りまして現場で監査をしたりいたしておりますけれども、先生御
指摘
のような信号だとかATSとか、こういった装置、安全装置でございますけれども、それがどういう状態にあったのか、故障していたのかあるいはしていなかったのか、いわゆる正常に作動していたのか、こういう点につきましては、先ほども御説明申し上げましたが、現在鋭意
調査
中でございまして、今後原因究明の中でどういう状況になっているか解明をしてまいりたいと考えております。
大渕絹子
59
○大渕絹子君
運輸省
が行った保安監査、その保全監査を行った溝口さんですか、保安・車両課長さん、テレビを私見ておりましたけれども、そのときに発言なさっておったことの中に、運行マニュアルの徹底が図られておったら起こり得ない事故であった、そういう御発言をなさっているわけでございます。この溝口さんがおっしゃる運行マニュアルの徹底、これはどんな形で行われておったんでしょうか。
松波正壽
60
○
説明員
(松波正壽君) 今の状況から御説明を申し上げますと、これだけの情報が一つ入っておりますが、例えば信楽駅を発車する場合に信号が赤であった、なかなか青に変わらなかった、こういうような一つの情報がございます。普通そういう場合ですと、赤でございますから列車は進行できないわけであります。したがって当日、常用閉塞というのが信号に従って動くわけでございますけれども、代用閉塞という方式をとりまして列車を出そうということになったわけであります。 先ほど来お触れになりました、そういう新しい方式でやるときは人間が判断をするわけでございますから、万全の措置をとるのが本当は基本動作でございますけれども、いずれにしましても、現在、事故の状況がどういう要因によって成っているかということは解明中でございますけれども、イロハのイの字の最初の点一つをまず仮に考えますと、そういう出発時におきます代用閉塞という方式の原点に従って、いわゆるルールに従ってスタートができなかった面が、これははっきりまだ断定はできませんけれども、いろいろの要因を考えなければいけませんけれども、等々いろいろ考えて感じたことを申し上げたのではないかと思う次第であります。
大渕絹子
61
○大渕絹子君 事故の直接的な原因を知るためには、衝突をした位置であるとか時刻であるとか、こういうことが大変重要な手がかりになると思うんです。 衝突した位置につきまして、小野谷信号所から大体何キロぐらいの地点であったか、時間は先ほど十時三十五分とおっしゃいましたが、これで間違いないか、お知らせください。
佐々木建成
62
○
説明員
(
佐々木建成君
) 事故の発生位置は信楽線の小野谷信号所と紫香楽宮跡駅間でございまして、起点の貴生川駅から九・一キロメートル付近でございます。 それからまた、発生時刻は午前十時三十五分ごろと信楽高原鐵道より
報告
を受けております。
大渕絹子
63
○大渕絹子君 それでは、双方の列車がそれぞれ信楽駅を発車した時刻と貴生川駅を発車した時刻について教えてください。
佐々木建成
64
○
説明員
(
佐々木建成君
) 事故を起こしました列車の出発時刻でございますが、信楽高原鐵道側から聞いた事柄でございますけれども、信楽駅発の上り列車は所定より十一分おくれの十時二十五分発、それから貴生川駅発の下り列車は所定より六分おくれの十時二十二分にそれぞれ出発したものというふうに説明を受けております。なお、下り列車、JRからの乗り入れ列車につきましては、JR西日本側は、所定より二分おくれの十時十八分発だというふうに説明しておるわけでございます。 ここで時間が違うという点があるわけですが、この出発時刻につきましては
関係者
からの事情聴取等を行いまして事実確認を進めていきたいというふうに思っております。
大渕絹子
65
○大渕絹子君 この発車時刻は非常に重要なポイントなんですよね。同じ列車の発車時刻なのに二つあって、しかも四分も違うというのはちょっと信じられないんです、今の日本の鉄道の精巧さからいきまして。JRの貴生川の駅の発車は何時何分ですか。
佐々木建成
66
○
説明員
(
佐々木建成君
) 本来のダイヤでございましたら十時十六分ということになるわけでございますけれども、今申しましたように両者で時間の差があるわけでございますが、信楽高原鐵道側からいろいろ事情を聴取いたしますとしましても、
関係者
が今事情聴取を受けているとか、まだ捜索中で書類が十分見られないとか、そういったような状況にございますので、さらに状況が許しましたらそこを詰めてまいりたいと思っております。
大渕絹子
67
○大渕絹子君 JR貴生川駅の発車時刻です。JRから聞いてください。
佐々木建成
68
○
説明員
(
佐々木建成君
) JR西日本側からは、先ほど御答弁申し上げましたように、十時十八分発だというふうに聞いております。
大渕絹子
69
○大渕絹子君 十時十八分貴生川駅発のJR臨時列車とそれから十時二十五分発信楽高原鐵道の普通列車が十時三十五分、貴生川駅から九・一キロ地点で正面衝突をしたというふうに理解してよろしゅうございますか。
佐々木建成
70
○
説明員
(
佐々木建成君
) 貴生川発の時刻について、JR西日本側の説明では十時十八分ということになっておるわけですが、一方、私どもが信楽高原鐵道から受けている
報告
ですと十時二十二分ということでございますので、そこあたりが、どういうことが事実なのかということをまず詰めてみる必要があるというふうに思っております。
大渕絹子
71
○大渕絹子君 十時十八分発で私が計算いたしますと、九・一キロ地点まで差しかかるのに大体十七分かかっているんですね。時速五十キロの計算で九・一キロで大体この時間、十八分で合うのかなというふうには簡単にちょっと頭の中で計算して思っているわけですけれども、こういう時間とか衝突の現場であるとか、そういう距離的なことというのは非常に重要なわけです。
当局
からの発表がまちまちということで報道も大変まちまちになっておるということ、早くきちんとした発表をしていただきたい、そういうふうに思います。 それから、発車時刻がおくれるなどの異常が起こったときには運転者にその事態を知らせることが何よりも大事なことでございますけれども、先ほど最初のところで聞きました、唯一の連絡手段であった無線が周波数が合わないということで
使用
ができなかったと言われています。こんな不備な安全対策のまま乗り入れを許可したということに対して、もう一度私は
運輸省
に、追及をしておきたいと思います。 こういう状況ならば、信号が唯一の頼りであるということですね、先ほど来の答弁ですと。信号を信頼して、信号を頼っての運行であるということ、信号が万一のときということは過去にも事故があったわけですよね。その万一のときのために無線というものを携帯させているとは思うんです。その無線が周波数が合わなくて使えない状況の中で乗り入れを許可してあったというここのところは、本当に重大なミスであろうと思うんです。どうでしょうか。
松波正壽
72
○
説明員
(松波正壽君) 先ほど来御説明を申し上げていますように、鉄道の連行の安全システムは、先ほど先生も御理解で信号を基本にしながらということでございますが、今先生御
指摘
ございましたように、しからば
補助
的な手段等を考えながら緊急時に対応する方法として列車無線のことを御
指摘
されましたが、これも先ほど来御説明しておりますけれども、この列車無線が設備されております状況を見ますと、JRの方におきましては運転指令との通話ということで周波数が異なったものが搭載されておりますけれども、我々列車の運転保安の確保といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、本来信号保安設備によることが原則ではございますけれども、やはり先生御
指摘
ございました列車無線というのは、客扱いの利便とか異常時、緊急時の連絡等の場合におきます
補助
的な手段として使われています。 したがいまして、列車無線は異常時、緊急時において列車との連絡手段として有効であると考えておりますので、列車無線を有する線区に他社に属する列車が乗り入れる場合には、当該線区の列車無線を
使用
することができるように同じ周波数の無線機を搭載するなど必要な措置については検討をさせていただきたいと考えております。
大渕絹子
73
○大渕絹子君 すぐにそういう対策はとるべきだと私は思います。 あと、信号所のところで対向列車が停車をしておらない、そういう状況の中で運転士さんがそこの現場から駅に連絡をとれる方法、その信号所には電話だとかそういうものは、設備はされておったでしょうか。
松波正壽
74
○
説明員
(松波正壽君) お答えいたします。 信号所等、この場合には無線利用以外の場合には沿線に五百メートルごとに電話が設置をされておりまして、電話をとりに行けば運転者から指令所の方には情報伝達ができるわけでございますが、特にこの小野谷信号所におきましてはもう一つ、電話をかけるための一つの警戒といたしまして、我々パトライトと称しておりますが、信号機の下にぴかぴか点滅するものもついておりまして、そういうものを見ることによりまして沿線電話を利用して連絡する、こういう体制にもなっております。
大渕絹子
75
○大渕絹子君 そういう体制になっていたにもかかわらず、JRの運転士さんは、相手側の列車がまだ待避線に到達していない、そういう状況にもかかわらず、当然何か異常が起こったことが察せられる状況にもかかわらず、電話もかけなかった。連絡を待つまでそこに待避できなかった状況、これはやっぱり大きな問題があろうと思います。
指摘
をしておきたいと思います。 大変大きな事故が起こりまして、補償問題がこれから持ち上がってくると思われます。JR側に重大な過失がない場合は事故責任は信楽鐵道側にあると考えるのが当然であるというふうなことを
運輸省
の地域交通局の方が新聞に載せられておりましたけれども、その後これはJR西日本の社長の指示でございましょうか、被害を受けた方たちが病院等で手当てを受けることに対して、そういうものの費用は一切JR側で立てかえて支払う。それで、その事故原因がはっきりした段階でその立てかえ分は事故原因者に請求をするというような措置もとられているというふうに聞いております。また
運輸省
は滋賀県に対して、賠償の
支払い
協力を極力やってやるようにという要請をしたというような記事も出ているわけでございますけれども、この信楽高原鐵道、一事故当たり上限が三億円程度の保険にしか入っておらないということでございますが、これは事実でございますか。
佐々木建成
76
○
説明員
(
佐々木建成君
) 今回の事故によりまして被害を受けられた方々に対する補償につきましては、五月十五日に
運輸省
信楽高原鐵道事故対策本部におきまして次のようなことを決定しております。「亡くなられた方及び怪我をされた方に対する補償については、誠意をもって当たるよう
関係者
を十分指導する。」というふうに決定しておるわけでございます。
運輸省
としましては、今後、これに従いまして
関係者
を十分指導してまいりたいと思います。 今お尋ねの信楽高原鐵道株式会社に付与せられておる保険でございますけれども、
総額
で三億円という制限のついた保険でございます。まだ責任の所在がはっきりしませんけれども、信楽高原鐵道株式会社がその責めを負うというふうになりましたときに、費用の
支払い
、補償の
支払い
能力があるかという点が大変問題であろうかと思います。 そういう観点から、先般滋賀県知事が大臣のところにお見えになりましたときに、大口株主といいますか、筆頭株主として誠意を持って対処していただくようお願いをして、知事さんもそういう方針で対応したいというふうにお受けいただいたわけでございます。なお、JR西日本鉄道株式会社におかれましては、今先生御
指摘
のように、見舞い金といったものについて自分の分とそれから信楽高原鐵道株式会社の分を合わせて、立てかえという格好で亡くなられた方の遺族の方あるいは入院されている方等にお渡しをしているということでございます。
大渕絹子
77
○大渕絹子君
運輸省
がことしスタートさせた鉄道災害
補助金
制度というものがあるわけですけれども、これの
対象
にはならないでしょうか。
佐々木建成
78
○
説明員
(
佐々木建成君
) 今その点については検討しているという段階でございますけれども、天然災害が起きたときにいろいろ鉄道施設が損壊するといったことに対して検討しているものでございます。一方、本件のような場合には、不法行為といいますか、そういった行為でございますので直接その中には入らないのではないかと思いますが、今まだそのこと自体検討中でございますので御了解いただきたいと思います。
大渕絹子
79
○大渕絹子君 事故の犠牲者に十分に賠償が支払われるように、極力御配慮していただきたいことをお願い申し上げます。 いつも重大な事故が起こるたびに安全対策が叫ばれてきたにもかかわらず、今回前時代的な正面衝突という事故が発生してしまいました。旧国鉄時代から、赤字解消のために合理化に次ぐ合理化が図られてきたことはもう既に御承知のことでございます。 ここに朝日新聞の「声」の欄に寄せられた記事がございます。 信楽高原鉄道の事故から思い出されるのは、八六年十二月、民営化直前の国鉄が起こした余部鉄橋事故である。あのときは、安全基準以上の風が吹いているのを知りつつも、運行優先で事故を起こした。 当時、安全を口にする者はJRに移れない、という状況であり、安全確認のため列車を止めただけで清算事業団送りとなった者は多いという。また、列車の運行責任は、運転士、駅など現地の者ではなく、遠方の列車指令の手に移っていた。 今回の場合、JRの運転士もおかしいとは考えながらも、青信号で列車を止め確認することなどは決してしてはならないという旧国鉄の「教育」と「伝統」を受け継いでいるはずである。その意味で今回の事故責任は「安全より経営」優先を重視したと受けとめられる国鉄民営化を行った政府にある。 今後は現場の者が疑問を持ったときは、安全確認のため列車を止めることを認めるべきである。われわれ乗客も安全のためなら列車の遅れは我慢しようではないか。それが亡くなられた方々へのせめてもの償いであろう。 松戸市の広川久晴さん、この方が寄せられた投書でございます。 国鉄の分割・民営化それから第三セクターへの移行、そして今回の事故、そうした関係につきまして、運輸大臣から改めて、今後の対応、今までのありようというようなものをちょっとお聞きしたいと思います。
村岡兼造
80
○
国務大臣
(村岡兼造君) 先ほど地交
局長
がお答えしましたように、補償問題については、滋賀県の知事さんも参りまして、誠意を持って当たるように要請したところでございますが、稲葉知事さんも誠意を持って議会とも相談をし、当たるようしていきたい、こういうことでございます。 先生から今回の事故に対しいろいろな御
指摘
がございました。いろんな問題について二度とこのような事故が起こらないように対策本部で検討してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
大渕絹子
81
○大渕絹子君 私が大変
質問
がふなれで、予定をしておりました
質問
がまだ二つほどあったわけでございますけれども、時間が五十五分までということでございますので大変はしょりまして申しわけございませんですけれども、九十億ドルの目減り分拠出について、外務大臣及び
大蔵大臣
に
質問
させていただきたいと思います。 本日の日本経済新聞の朝刊に、湾岸戦争の九十億ドル目減り分拠出について、五億ドルを
予備費
から拠出するというようなニュースが出ておりました。昨日までの新聞報道を見ますと、こういう拠出はどこから財源を見つけてくるのであるとか、あるいは九十億ドルの目減りの分の補てんというような言い回し方はされておらなかったように思うわけでございますけれども、きょうのこの新聞報道について、まず外務大臣から、九十億ドルの目減りの補てんであるかどうか。
中山太郎
82
○
国務大臣
(中山太郎君) 政府といたしましては、湾岸平和基金に対する累次の拠出はすべて円建てで行われておりまして、その意味ではそもそも円安による目減りというものは存在をいたしておりません。したがって、円安による目減り分を補てんすることも考えておりません。
大渕絹子
83
○大渕絹子君 今の外務大臣の御答弁は、従来
予算
委員
会等で海部総理大臣及び
橋本大蔵大臣
、中山外務大臣それぞれが答弁をされてきたことを集約して、同じことというふうに受けとめました。 ところが、そうであるならば、日本側が自主的に九十億ドル、一兆一千七百億円円建てで支払うことをアメリカに約束した、この事実があるとすれば、なぜアメリカはこのように円安で目減った分を支払えという執拗な、これはもう私たちには納得できない執拗な要求であるというふうに思うわけでございますけれども、なぜこのようにアメリカ側は強硬に言い張っているんでしょうか。
松浦晃一郎
84
○
説明員
(
松浦晃一郎
君) 先生言及されましたいろんな新聞報道は確かにございますけれども、昨日の海部総理とクエール副大統領の会談でも九十億ドル問題が簡単に出ておりますけれども、決して先生がおっしゃられたような形で出ているわけではございませんで、クエール副大統領が言われましたことは、九十億ドル問題につきましてこれが解決されることを希望しているという言い方でございまして、これに関しまして、先生御自身も今お触れになりましたけれども、私どもも繰り返し
国会
の場で御説明してきておりますけれども、この湾岸平和基金に対します我が国の拠出は、今大臣が申されましたように、円建てで湾岸平和基金に拠出するということは米国に対しましても当初から繰り返し説明してきております。これはしかも円建てで、かつ湾岸の平和と安定の回復のため国連安保理の関連諸決議に従って活動している各国を支援するものである。こういう活動の中核をなしているのはアメリカでございますから大宗がアメリカに参りますけれども、あくまでもこういう各国全体を支援するということでアメリカに対しても説明してきております。
大渕絹子
85
○大渕絹子君
橋本大蔵大臣
にお聞きをいたします。 一月にアメリカを御訪問の際に、ブレイディ財務長官と会談をなさったときにお約束をした九十億ドルというふうに私たちは承っておるわけでございますけれども、このときに、過去におきましても
審議
の中で、
金額
についてもドル建て円建てについても全く触れておらない、そういう御答弁をされているわけでございます。そのことに間違いはございませんでしょうか。
橋本龍太郎
86
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 本年の一月二十日、G7の行われます前の日米蔵相会談を指しておられると思いますが、このとき、繰り返し私は御答弁を申し上げてまいりましたけれども、この湾岸危機というものについて日本の支援というものを求められた、協力を求められたということは前から申し上げてまいりました。しかし同時に、アメリカ側から数字を挙げて協力を要請されたという状況はありませんでしたということも申し上げてきました。そしてそれには、これは本当に証拠のある話じゃありませんけれども、そのころアメリカ自身が一体どれぐらいの戦費を必要とするかの
積算
ができていなかった状況の中ということを、いわば私は傍証のような形で御説明を申し上げてきたところです。そしてこれは、私自身が、日本としても日本の国際的な地位にふさわしい貢献をする用意があるということは確かにその席で申し上げてまいりました。 数字は、帰国後その状況を総理に御
報告
をいたしました後、政府・与党の首脳会議を開きました中で決定されたものであります。
大渕絹子
87
○大渕絹子君 時間になりました。 本当はもっともっとお聞きしたかったわけでございますけれども、日本の総理大臣や
大蔵大臣
が
国会
で答弁したことと相反する結果を生ずることを承知の上でごり押しをしてくるアメリカの態度に大変私は不快感を覚えます。また、それをはねつけることのできない政府の対応に対しても非常に残念に思っています。 外務大臣、お聞きをいたします。日本の外交姿勢はどうあるべきだとお考えでしょうか。
中山太郎
88
○
国務大臣
(中山太郎君) 日本は、この国際社会に生きる国家として、各国から信頼をされ期待されるような国家になるべく外交を展開しておりますけれども、一方私どもは、同盟国としてのアメリカ、安全保障条約を結んでいるアメリカとの間には絶えず
意見
の交換をやりながら我々の国の安全を確保していくことが国の外交の原則でございます。 そういう意味から、我々は日米の協調を非常に重要視しておりますけれども、アメリカに対し、言うべきことは言う、協力することはするという姿勢を貫いていくというのが我々の考えでございます。
大渕絹子
89
○大渕絹子君 言うべきことは言う外交、それに徹していただきたい、心からお願いを申し上げまして終わります。 ありがとうございました。
及川一夫
90
○
委員長
(
及川一夫
君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十六分休憩 ─────・───── 午後一時三分開会
及川一夫
91
○
委員長
(
及川一夫
君) ただいまから
決算委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
昭和
六十三
年度決算外
二件及び
平成
元
年度決算外
二件を議題とし、全般的質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
千葉景子
92
○千葉景子君 今回、
昭和
六十三
年度
、
平成元年
度の
決算
につき審査をさせていただくことになりましたものですから、まず最初に、この全体的な問題点などについてお聞きしたいというふうに思います。
昭和
六十一
年度
、二
年度
両
決算
が
国会
で是認をされないという状況になっているところでございます。こういう状況がありながら、
昭和
六十三
年度
、
平成元年
度ともに、
会計検査院
からまたかなり多岐にわたる不当
事項
あるいは
指摘
がされているところでございます。
昭和
六十三
年度
について見ますと、先ほど御
報告
がございましたように、不当
事項
百六十六件、四十八億四千百二十七万円、
平成元年
度さらに
増加
をいたしまして百九十二件、百二億六千八百四十八万円と、こういう結果が出ているところでございます。 そこで、まず
会計検査院
にお聞きをさせていただきたいんですけれども、このように件数、額ともに大変
増加
の傾向にもある、そしてまた個々の問題点などでも新しい部分あるいは特に取り上げる部分などが
指摘
されているところでございます。その辺の、
会計検査院
が
検査
をなさった結果につきまして、その特徴点あるいはこれからの問題点などございましたらば、まずもって御
指摘
をいただきたいと思います。
中村清
93
○
会計検査院長
(
中村清
君)
昭和
六十三
年度
、
平成元年
度の両
年度
、あるいはいずれかの
年度
の
決算検査報告
の特徴的なものにつきましては、公共事業に関するもの、医療に関するもの、ODAに関するもの、それから保険
経理
に関するものなどが挙げられます。 まず、公共事業に関するものとしましては、事業の全体を評価するものといたしまして、例えば元
年度
に国営の木曽岬干拓事業によって造成された干拓地が長期間にわたって農耕地として利用されないで当初の目的の意義が失われるものとなっている、こういう事態について
指摘
いたしました。また、個別の公共
工事
につきましては、
設計
、
積算
、
施工
に関する問題を技術的な面に立ち入って
指摘
しております。 次に、
医療費
に関するものとしましては、
医療費
の伸びが著しい中にありまして、
医療費
の
支払い
不適切の事態を数多く
指摘
しておりますし、件数、
金額
とも大幅な伸びを示しているわけでございます。また、
指摘
の態様も毎年多様化しておりまして、六十三
年度
では定数を超過して入院させている病院等に係る
医療費
の
支払い
が不適切になっている事態につきまして、また元
年度
では医師、看護婦等が著しく不足している病院に係る
医療費
の
支払い
が不適切になっている事態につきまして、また多数の労働基準局におきまして労災診療費の統一的な算定基準と異なる割高な料金を設定して労災診療費を算定している、こういう事態につきまして
改善
の
処置
要求を行っております。 次に、ODAに関するものとしましては「初めて特記
事項
として六十三
年度
の
決算検査報告
に掲記したものがございます。これは、援助の
対象
となった機材等が十分に稼働していなかった、あるいは機材の一部が長期間未利用になっていた、こういったような事態が見受けられましたところから、政府開発援助の効果的効率的な
実施
のための問題提起を行ったものでございます。ODAにつきましては、その援助
実施
額が極めて多額に上っているということもございますし、また国民の関心も非常に高いということがございますので、今後とも
検査
の充実を図るようにしたい、こう考えております。 最後に、保険
経理
に関するものとしましては、国民健康保険の財政調整交付金に関する多額の
指摘
がございます。すなわち、六十三
年度
には東大阪市に七億円過大に交付された事態を、さらに元
年度
には大阪市ほか五市に五十八億円が過大に交付されたという事態を
指摘
しております。 以上が両
年度
にまたがる特徴というふうに考えております。
千葉景子
94
○千葉景子君 今御
報告
をいただきましたが、大変多岐にわたるさまざまな問題点が
指摘
されているところでございます。特にこれからより一層活発になろうと思われますODAの問題などにも触れていただいておりますし、また、これは後ほどあるいはさまざまな各省の
審議
の中でも取り上げられようかと思いますけれども、公共事業の問題あるいは
補助金
の問題、また今回は木曽岬の干拓の問題なども取り上げられているところでございます。 こういうことを見ますと、毎年
検査
について各省そして大蔵省ともに、十分にこの結果を踏まえてより一層の財政
運営
の適正化というお話をされておりますが、なかなかそれが十分に果たされているのかどうか、疑問に思うところもあるわけでございます。個々の問題につきましては今後の
審議
の中でまた取り上げさせていただきたいというふうに思いますので、その際におきましてまた十分な御回答あるいは検討方などをまずもってお願いしておきたいというふうに思います。 さて、
昭和
六十三
年度
、そして元
年度
でございますけれども、今回本
委員
会におきましては異例なことでございますけれども、この二
年度
分の
決算
を併合して審査をさせていただくということになりました。これは、国民の皆さんから
国会
が負託されている
審議
のあり方から見ますと、むしろ異常なといいますか、異例なやり方でございまして、本来ならば好ましいことではございません。しかしながら、
決算
の
審議
が大変におくれている。ようやく先日
昭和
六十二
年度
の
決算
審査が終わり、次に進めさせていただいたという状況でございますので、これを放置しておくことができない、やはり国民の負託やあるいは期待にこたえていかなければいけないということもございまして、今回のような
審議
の方式をとらせていただいたということになったわけでございます。そういう意味では、これからやはりこの
決算委員会
の
審議
の充実というものを迅速な、そしてまた中身の濃いものとして進めていくためには、
国会
でもこの問題について全体での決意をしていくと同時に、やはり政府側の対応あるいは御協力、こういうものが不可欠であろうかというふうに思います。 そんな中で、やはり
決算
審議
も
予算
委員
会と並ぶくらいな位置づけをもって対応していただきたいというふうに思うわけでございますけれども、今回は二
年度
分併合してということになりますので、総理大臣にも
予算
委員
会と同じようなというわけにはいかないかもしれませんけれども、通例ですと最後の総括質疑の際に三時間という時間で御出席をいただいておりますが、やはり今回は、少なくともその倍の六時間ないしそれにプラスアルファするような時間を十分にとっていただいてこの
決算
審議
に協力をいただく、こういうことも必要だと思います。これらはこれから私たちも要求をさせていただいてまいりたいというふうに思います。また、締めくくりの総括などに際しても時間をふやすこと。二
年度
分でございますので、これまで一
年度
分ですと大体二日間ということを原則にしてまいりましたけれども、やはりそれを三日、四日という形で十分な
内容
審査を行うということも必要になってこようかと思います。また、通常の
審議
日の設定あるいはそれへの出席などについても十分な態勢をとっていただきたい。これがやはり国民に対する責務を果たすことになろうかというふうに思うんです。 そういう意味では、これらの出席の確保やあるいは行政府、政府側の対応などについて、この場をおかりしましてぜひその決意のほどを聞かせていただきたいというふうに思っているところですが、
大蔵大臣
、また政府全体を総括される、あるいは調整をなさる官
房長
官、お考えを聞かせていただきたいと思います。
橋本龍太郎
95
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 私の立場からまいりますならば、
予算
の御
審議
と同等に、その
予算
がいかに使われたかを御検証をいただくこの
決算
の
審議
というものの重要性は、当然のことながら両々相まって国民のために資するものと、そのように考えております。 先ほど
委員
からお述べになりましたように、六十三
年度
並びに元
年度
決算
につきまして、私どもなりに全力を尽くしてまいったつもりでありますが、毎年
会計検査院
から多くの不当
事項
などの
指摘
を受けていることを非常に残念に思います。 同時に、私どもは、この
検査
院の
指摘
事項
、また
検査
院の御
報告
というものを受けて行われる両院の
決算
審議
というものをその後の国政の中に生かしていく考え方を今日までも貫いてきたつもりでありますし、これからも同等の姿勢で臨んでまいりたい、そのように考えております。
坂本三十次
96
○
国務大臣
(坂本三十次君) ただいま
大蔵大臣
もお答え申し上げましたように、
予算
とそしてその最後を検証する
決算
、これが両々相まって、本当に国民の期待にこたえられる国政が
運営
をされているのかどうかということを検証するという
決算委員会
は、まことに重要なものであろうと思っております。
予算
委員
会と一緒に総理も出てこいと、できるだけそういうふうに努力しなさいというお気持ちはよくわかっておりまするが、例えばきのうはクエール副大統領来まして朝から晩まで協議をいたしまするし、またすぐドロールEC
委員長
もやってくる、その準備もいたさなければならぬということで、非常に多忙をきわめておることも、ひとつごしんしゃくをいただきたいと思うわけでございます。 できるだけ全閣僚とも御協力を申し上げるという気持ちには変わりはございませんが、その間具体的にお決めになられるのはやはり当
委員
会の皆様方の御協議でございまして、その御協議が調えば私どももできる限りの御協力をいたしたいと思っております。
千葉景子
97
○千葉景子君 さて、六十三
年度
、元
年度
の経済、そして財政
運営
、その全体について振り返ってお考えを聞かせていただきたいというふうに思います。 六十三
年度
につきましては、経済は個人消費あるいは民間設備投資なども中心になりまして順調に拡大をしていく。内需も七・一%、経常海外余剰は輸入の
増加
でこれはマイナス一四・二%ということでございます。また、物価も安定的に推移をしておりまして、経済政策は一応成功、それほど問題がないというようにも思われます。しかしながら、その中でもその前年六十二年の
土地
の異常高騰、この影響も残っておりまして、それが株式へ流れていくというような形でバブル経済が拡大をしたという時期でもございます。そういう中で、それらを示すようなさまざまな兆候もあらわれていた、私はそう思うんですが、そういうことを十分に考えていただいて、そして本来ならば経済企画庁などにおいてもこれらの条件などを踏まえた適切な政策提起、政策提言などがなされる必要があったのではないかというふうに思います。 つい先日でございますけれども、勝村新事務次官が日経新聞に、「ストック経済化の反映という評価でかたづけ、有効な分析や提言ができなかった。」という反省の言葉を述べていらっしゃるところでもございます。そういう意味では、やはり振り返ってもう少し適切な状況
把握
あるいはそれへ向けた政策提起などがなされてしかるべきではなかったのかというふうに思いますが、そこの点について経済企画庁にもお伺いをしていきたいというふうに思います。 また、元
年度
を拝見いたしますと、六十三
年度
に引き続く景気の拡大基調にございます。民間設備投資の伸びはむしろ過熱傾向、また卸売物価上昇率は見通しの〇・九%が最終的には三・五%、また労働力不足が大変顕著になっているなど、むしろ景気が過熱ぎみなところも見受けられた時期でもございます。こういう時期に二年連続大型の補正
予算
を組んでいるわけでございますけれども、これが時宜に適したものであったのかどうか。むしろこういう大型の補正を編成したことによって財政に対するさらなる過熱というものを呼び起こしたということはないのだろうか、こういうことを考えるところなのでございますが、大蔵省としては、振り返りましてこの点についてはどう評価をされ、あるいはお考えになっていらっしゃるか。この点について、先ほど申し述べた部分、経済企画庁の問題提起それから大蔵省の財政
運営
、今どうお考えになっていらっしゃるかお聞きしたいと思います。
吉冨勝
98
○
説明員
(吉冨勝君) 日本経済は、
昭和
六十一年末以降現在に至るまで四年を超える長期の景気拡大を続けております。今回の景気拡大は、今おっしゃられましたように設備投資や個人消費などの内需を中心としたものでありまして、経常収支の黒字幅は着実に縮小しておりますし、また物価も安定基調を続け、雇用者数も大幅に
増加
するなど、全体としてバランスのとれたものと評価しております。この間政府としましても物価の安定を図ることを基礎とし、主要国との経済政策の協調にも配慮しつつ、適切かつ機動的な経済
運営
に努めることによって内需を中心とした景気の持続的拡大、雇用の安定、対外不均衡の是正等の実現に努め、その実を上げてきたものと考えております。 他方、今御
指摘
のように、円高のもとで内需を拡大する必要性から行われました長期にわたる金融緩和のもとで、景気拡大等を背景に株価及び地価が大幅に上昇したということであります。株価は昨年に入ってから大幅に下落し、また地価は地方圏の一部を除き鎮静化傾向となっておりますものの、地価全体につきましては依然として高水準にあるというふうに考えます。このような資産価格の上昇、特に地価の上昇が持てる者と持たざる者との資産格差の拡大に寄与したことは事実であり、これは今後の政策
運営
に当たって重要な反省材料とすべきものと考えます。かかる反省を踏まえて、今後総合的な
土地
対策の推進等適切な政策
運営
に努めてまいる所存でございます。 御
質問
の、資産価格に関係してまいります金融引き締めなどのタイミングにつきましては、やや古いですけれども、背景を御説明させていただきます。
昭和
六十年のプラザ合意以降、急速に進展した円高のもとで経済活動が停滞する一方、物価が安定基調で推移したところから、内需を中心とした景気の拡大を図るため、政府は財政、金融両面にわたる経済対策を
実施
し、公定歩合を
昭和
六十一年一月以降五次にわたって引き下げてまいりました。このような政策の効果もあって
昭和
六十一年に底を打った我が国経済は、現在まで息の長い景気拡大を続けてきているところであります。他方、この金融緩和局面において景気拡大等を背景に株価及び地価が上昇したことは先ほど申し上げたとおりでございます。 金融政策の引き締めなどについてのタイミングがやや遅かったのではないかという感じの御
質問
に対しましては、公定歩合操作は日本銀行の所管
事項
であり、私どもからその適否を申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、いずれにしましても、経済企画庁は経済
運営
の総合調整に当たる官庁といたしまして、資産価格の上昇という今回の経験を今後の反省材料として生かしつつ、適切かつ機動的な経済
運営
に万全を期してまいる所存でございます。したがって、私どもの越智大臣を通しまして的確な方向性を示唆したサゼスチョンを早い機会に議論していただくということで考えております。 以上です。
橋本龍太郎
99
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 今経済企画庁から、経済企画庁のお立場に基づく御
意見
が述べられたわけでありますが、私どもなりに申し上げますならば、六十三
年度
予算
が編成をされました六十二年末ごろの日本の経済というものを考えてみますと、六十一年に回復過程に入りました景気がようやく拡大過程へと移行しながら、内需を中心とした着実な成長が続く局面にあったと考えられます。同時に、経常収支の水準が依然として高い状況下におきまして、国際的な収支不均衡是正の推移というものが注目をされている状況でありました。こうした経済情勢のもとで、六十三
年度
予算
につきましては、
平成
二
年度
特例公債依存体質脱却という努力目標に向けまして財政改革を強力に推進すると同時に、内需拡大の要請に配意することとして編成を行ってきたわけであります。 こうした結果として、六十三
年度
の我が国経済というものは、今もお話にありましたように、外需が引き続き
減少
する中で個人消費が順調に推移し、設備投資が増勢を強めるなど、内需が引き続き
増加
し拡大局面が続いておりました。こうした情勢を受け、今度は元
年度
予算
につきましては内需の持続的拡大に配慮する、そうした観点から投資部門につきましてはいわば高水準横ばいといった状態を維持しながら、引き続き
平成
二
年度
特例公債依存体質脱却という努力目標の達成に向けて
歳出
の徹底した見直し、合理化というものに取り組みながら財政改革を強力に推進することとして編成をしてまいったわけでございます。 こうした結果、順調な税収動向のもとで努力を重ねてまいりましたものが、特例公債発行額を一兆八千二百億円減額する、公債依存度が
昭和
五十
年度
に特例公債を発行して以来最も低い一一・八%にまで低下するという状況を生み出すことができました。この結果、我が国の経済は元
年度
におきましても外需が引き続き
減少
する一方で個人消費は堅調に推移し、設備投資は増勢を続けるなど、内需中心の拡大局面を続けることができたわけであります。私は、六十三
年度
、元
年度
というものにつきましても、当時の内外のさまざまな状況を注視しながら、基本的に適切な財政
運営
が行われたものと考えております。 今
委員
から大型の補正
予算
という御
指摘
がございましたけれども、この
内容
は
委員
がよく御承知のとおり、いわゆる隠れ借金というものを
平成
二
年度
の特例公債依存体質脱却の目標に向けてできる限り解消しておこうということからとられたものがその大宗を占めておるわけでありまして、私は、方向として誤ったものではなかった、そのように考えておるところであります。
千葉景子
100
○千葉景子君 さて、今経済企画庁そして大蔵省にお聞きしたのですが、そういう中で日銀の対応、これについてもやはり問題が
指摘
される部分があるのではなかろうかというふうに思います。 当時の状況を見ますと、今も御
指摘
がございましたけれども、金融の問題をどう転換するかというのは判断になかなか難しい部分もあったかというふうに思います。しかしながら、そういう中で長期に低金利を維持して景気を刺激しなければいけない状況だったかどうかということは、もう一度振り返って考える必要があるのではないかというふうに思います。その中で、ちょうど国際的にも低金利の是正に踏み切ったところもあった時期でございました。こういう中で
平成元年
の五月まで低金利が続いたということでございまして、この辺の金利の転換などについて適切であったかどうか、あるいはおくれがなかったかどうか、その辺のことをお聞きしたいと思います。 特に、この時期は
予算
審議
中ということもございまして、その
予算
審議
が終わった時点で金利の転換がなされるという結果になりましたけれども、これなども、前川総裁の際に
予算
の
審議
中であっても時期が適切であれば金利の転換がなされたということもございます。こういう部分、何か
予算
審議
中は金利を変えないというようなそういう配慮といいますか気の使いよう、こういうこともあったのではないかという感じがするのですが、その点について、振り返って反省点ございましたら、あるいはまた、
予算
審議
中などにあっても時期を見て金利の引き下げあるいは引き上げ、こういう問題が当然必要な場合があるかと思いますけれども、そういうときについての対応、これについてお聞きをしたいと思います。
福井俊彦
101
○
参考人
(福井
俊彦
君) お答えを申し上げます。 四月二十二日の当
委員
会におきましても千葉
委員
からお尋ねがございましてお答え申し上げた記憶がございますが、若干重複をいとわずお答えを申し上げますと、
昭和
六十年九月のいわゆるプラザ合意以降の数年間の日本経済に対する経済政策でございますが、物価の安定を確保しながら経済を内需主導型の望ましい姿に転換させる、その過程を通じて当時最も重要な政策目標とされました対外不均衡の是正を進めていく、そういう大きな流れの中で
運営
されてきたわけでございます。日本銀行の金融政策も、こうした全般の流れの中で特に物価の安定確保に重点を置きながら、日本経済の構造転換に望ましい効果を発揮していくという観点を念頭に置いて
運営
してまいったところでございます。 具体的には、千葉
委員
御
指摘
のとおり、
昭和
六十一年一月から六十二年二月にかけまして、五回にわたって公定歩合の引き下げを
実施
いたしました。そうした利下げの趣旨は、まさしく今申し上げましたような政策意識のもとでとられた措置でございました。
昭和
六十二年二月の第五次公定歩合引き下げ以降、日本銀行が次に金利の引き上げに転じました
平成元年
の春、つまり一昨年の春までの政策環境でございますけれども、当時の国内情勢を今から振り返ってみますと、景気は徐々に回復軌道に乗っておりました。その一方で、国内物価でございますけれども、これは六十三年末まで続きました円高基調をバックといたしまして、極めて落ちついた状態で推移していたわけであります。これは国内卸売物価を見ましても消費者物価を見ましても、ほとんどゼロインフレに近い状態がその時点まで続いていたわけであります。 数字を申し上げて大変恐縮でございますけれども、公定歩合引き上げ直前の
平成元年
一・三月の国内卸売物価指数というのは前年比まだマイナス〇・一%でございました。月々に申し上げましても、
平成元年
の一月が前年比マイナス〇・四、二月が前年比プラス・マイナス・ゼロ、三月がプラス〇・一、こういう状況でございました。生活により密着しております消費者物価指数を見ましても、
平成元年
の一―三月は前年比一・一%上昇、これは月々の数字もほとんど同じでございまして、一月が一・一、二月が一・〇、三月が一・一、こういうふうに極めて安定した物価状態が続いていたわけであります。この間いわゆる対外収支の面で、先ほども政策の最重点目標と申し上げましたが、黒字の不均衡是正、この黒字の不均衡というものも余り目立った
改善
をこのときまでは示していなかったわけであります。 これも数字を申し上げて大変恐縮でございますが、貿易収支の数字で見ますと、
昭和
六十二
年度
が九百四十億ドルの黒字、
昭和
六十三
年度
は九百五十三億ドルの黒字ということで、この間、黒字の
改善
は足踏み状態にあったということでございます。したがいまして、その点の是正が引き続き大きな政策課題として持ち越され続けていたというふうな状況でございます。 そういうふうな諸情勢を総合的に判断いたしまして、当時、日本銀行としてはそれまでの政策スタンスを維持することが適当と判断していたものでございます。その後の経過も含めて考えますと、
昭和
六十一年一月以降の金融緩和はおおむねその政策意図に沿った効果を上げたと評価され得ると思いますが、ただ一点、千葉
委員
も御
指摘
のとおり、緩和の副作用として地価上昇をもたらしたという点は否めないわけであります。金融緩和が地価上昇の一因となったということは否めないと思います。これには金融政策だけではなくて他の非常に多くの要因が絡んだ問題ではございますけれども、金融政策の観点からも、この点につきましては今後の政策
運営
上の重要な反省材料にしたいと考えているところでございます。 その後、私どもは
平成元年
五月以降五回にわたって逆に公定歩合の引き上げ措置を
実施
してきておりますが、こうした利上げの措置の決定に際しましては、景気堅調のもとでの物価上昇圧力の高まりといった点のみならず、いわゆる総合判断の一環といたしまして、地価の上昇とそれがもたらす弊害といった点も十分念頭に置きながら
実施
をしてきているところでございます。 こうした金融引き締め政策への転換が遅きに失したのではないかとの御
指摘
でございますけれども、今重々御説明申し上げましたようなことから、日本銀行といたしましては、一昨年五月の第一回目の公定歩合引き上げは国内の経済諸情勢を総合的に判断して適切なタイミングを選んだというふうに考えております。 なお、千葉
委員
御
指摘
の
国会
の
予算
審議
との関係でございますが、日本銀行として、
国会
の
予算
審議
との関係で本来行うべき金利政策の変更を遅延させたというふうなことは全くございません。今後にわたりましてもそういうことはあり得ないというふうに断言させていただきたいと思います。
千葉景子
102
○千葉景子君 せっかくお越しをいただいたことでございますので、前回にも触れさせていただきましたけれども、今後の金融の見通し、そして日銀のお考え、今世界的にも金利の問題が大変取りざたをされておりまして、日本の経済もそういう中で大変重要な位置を占める時代になってきているわけですけれども、日銀としては、今後の金利の扱いについてはどんな見通しをお持ちでしょうか。
福井俊彦
103
○
参考人
(福井
俊彦
君) お答えを申し上げます。 今申し上げましたとおり、日本銀行は既にほぼ二年にわたりまして金融引き締め政策を
実施
してきておりますけれども、現在、この時点におきましてこうしたいわゆる引き締め政策の効果が次第に経済の各面に浸透してきている段階にある、そういうふうに認識をいたしております。 国内の景気の動きについて、この状況を見守っておりますけれども、最近の経済指標の動きから見ますと、金利引き上げの効果もありまして景気は極めて緩やかに減速過程をたどっているというふうに判断いたしております。ただ、緩やかに減速しつつあるとは申しましても景気の基調は堅調でございまして、経済活動の水準もなおかなり高くて、また経済のリズムとしても比較的よいリズムで推移している、よいリズムが失われていない状況にあるというふうに判断いたしております。 私どもは、経済の各指標を見るだけでなくて、常日ごろ日本銀行の本店、支店通じまして、実際の経済活動個々の動きについても状況
把握
に努力いたしておりますが、最近時点で全国の支店長等からの
報告
を総合して判断いたしましたところでも、今申し上げましたような実体経済の動きそのものに余り大きな変化は生じていないというふうに承知いたしております。この点、いわゆる経済指標で見ましても、製品、労働需給の状態、端的に示します設備稼働率とか求人倍率、ともになおかなり高い水準にございまして、国内におきます需給が依然としてかなりタイトな状況が続いているということを示しております。 また、先行きにつきましても、この点はあるいは前回も申し上げたかもしれませんが、技術革新の進展とか人手不足への対応といった独立的な役資誘因に支えられた設備投資が大企業、中小企業両面において底がたい。それからもう一つは、良好な所得環境のもとで個人消費の根強さが続いている。最近、いろいろ市場
調査
をしておりますと、絵画の売れ行きなどが非常に落ちている。これはいわゆるバブル現象後退の一環ということはございますが、いわゆる個人所得に裏づけられました地道な消費、あるいはレジャー関係への
支出
は湾岸戦争終了後はむしろ若干上向きというふうな
調査
結果もあるような状況でございまして、全体として景気が大きく下方屈折する可能性はなお小さいと判断をいたしております。 肝心の物価面でございますけれども、石油関連品目の下落などが続いておりまして、物価指数を見ておりますと、例えば四月の東京の消費者物価指数であるとかあるいは四月の国内の卸売物価指数、この卸売物価指数の方は一年五カ月ぶりに若干の前月比マイナスというふうな数字も出ておりますが、そうした面から見ます限り、多少落ちつきの兆しが見られ始めていると言えなくもございません。しかし、根強い需給圧力のもとで、人件費あるいは物流費等のコストアップを製品価格に転嫁する動き、依然根強いものが続いております。加えまして、最近におきます為替相場の円安ぎみの動きということも物価を判断していきます上に重要なファクターでございます。こうしたことをあわせ考えますと、今後の物価動向には日本銀行として引き続き注意深く見ていく必要があると判断をいたしております。 資産価格でございますが、地価が全体としてようやく騰勢に歯どめがかかりつつある。一部の都市部では下落地域も見られるというふうな情報もちょうだいしております。言うまでもなく、金融政策は資産インフレの抑制だけを目的としたものではございませんが、今後の金融政策の
運営
が資産インフレの再燃に再び結びつくことのないよう、その点も十分念頭に置いて慎重な配慮を重ねてまいりたいと思うところでございます。 こうした諸情勢、今申し上げましたようなところをすべて総合判断のもとに、日本銀行といたしましては金融政策
運営
に当たりまして引き続きこれまでの政策スタンスを堅持したい、そして政策効果の浸透状況を注意深く見守ってまいりたい、またそうした態度をとることが現下の状況のもとでは適当だというふうに判断をいたしております。 以上でございます。
千葉景子
104
○千葉景子君 さて、六十三
年度
、元
年度
ともに、これも従来から
指摘
をされているところでございますけれども、やはり大変大きな税収の見込み違いというものがなされております。その前年、
昭和
六十二
年度
は一三・六%ということで、これは大変な誤差ということになるわけですけれども、やはり六十三
年度
も一二・七%、それから元
年度
で七・七%という誤差を生じているところでございます。これはやはり一般的に見て、許容される範囲から見ますと相当大きな誤差だと言っても過言ではないというふうに思うんですね。
昭和
六十一
年度
、二
年度
、これにつきましては税収の伸び、これが大変特別な状況にありましたので誤差が少し広がったということはやむを得ない部分もあろうかというふうに思うんですが、六十三
年度
、元
年度
というのは、それらの状況を踏まえ、照査されることによってかなりこの誤差を食いとめるということはできたのではなかろうかというふうに思います。この辺について、大蔵省としてはどのように考えていらっしゃるのか。 そして、こういう誤差を少なくするためには、これもたび重ねて
指摘
をされているところでございますけれども、やはり税収の
年度
区分の是正なども含めて検討いただくという必要があろうかというふうに思います。これらの点につきましても、これまでも再三にわたりまして
指摘
をさせていただいているところでございますけれども、やはり税収見積もりがこれだけ毎年誤差が大きい、誤差が続くということになりますと、どこか抜本的に問題を解決すべきそういう道を探っていく必要があろうかというふうに思うんです。 その点について、大蔵省どうお考えでしょうか。
石坂匡身
105
○
説明員
(石坂
匡身
君) ただいま千葉
委員
から、税収の見積もり違いにつきましての御
指摘
をちょうだいいたしました。先般の
委員
会でも同じ御
指摘
をいただいたと記憶しております。 ただ、私どもも一生懸命税収見積もりの精度を高めるべくやっておるわけでございますけれども、ただいまの御
質問
の中にもございましたように、ちょうど六十一年、六十二年ばかりではございませんで、六十三年あるいは
平成元年
にわたりましても、税収の弾性値というもので見てまいりますと、通常ですと大体一前後というところなのでございますが、例えば六十二年ですと三、これがございました。今御
指摘
になりました
昭和
六十三
年度
でも弾性値は二・一ございました。
平成元年
に至りましても一・五というふうな弾性値でございました。税収の伸びが従来の予想を上回りまして非常に高い伸びを示したわけでございます。そうした中ではございますけれども、確かに当初
予算
では
委員
が御
指摘
になりましたように六十三
年度
で一二・七、元
年度
で七・七、当初
予算
と
決算
とを対比いたしますとそういう差異がございます。しかし、なるべくこの
年度
間で補正をいたすべく努力してまいりまして、補正
予算
の努力というふうなことを通じまして、こうした幅を圧縮すべく努めております。その結果、元
年度
にはその比率は補正後
予算
ベースで見ますと一・三%というところまで、まあお許しいただけるかどうかはあれでございますけれども、一定の
改善
をするべく努力を重ねてきているというところでございます。 何さま、この六十一、六十二、六十三という時期は非常に円高の進行がございました。景気の転換点もございました。先ほどからのお話にもございますように、三高二安といったようなさまざまな予想外の経済事象もございました。そうしたこともございまして予想外のそうした違いが出てまいったということは大変申しわけないことではございますけれども、ただ、努力をしつつどうしてもそうならざるを得なかったというふうな要素がありましたこともお許しをいただきたいと存じます。 ただ、これから政府経済見通し、あるいは利用可能な資料、さまざまなものを活用いたしまして、最大限この税収というものを的確な見積もりにすべく努力をしてまいりたいと考えております。
橋本龍太郎
106
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 今、原因につきまして事務方からお答えを申し上げましたが、
委員
から御
指摘
のありました一点について、私の方から申し上げたいと思います。
委員
から、現行の
年度
所属区分が税収見積もりを難しくしているという御
指摘
をいただいたわけでありますが、確かにこの点につきましては私どもも重要な問題であると考えております。そして、今後検討しなければならない大変大切な課題であると考えておりますけれども、同時に、これを直ちに旧に復しようと考えました場合には、現在の財政事情のもとでは、再び特例公債の発行によらざるを得ない状況を現出すると思われます。これは私どもとしては何としても避けなければなりません。したがいまして、当面は公債依存度の引き下げなどによりまして、再び特例公債を発行しないで済むだけの財政体質をつくり上げることがまず先決であると考えておりますし、その中におきまして、見積もり時点における政府経済見通しなどをもとにしながら、利用可能な資料の限界の中で今後とも最大限の努力を傾けてまいりたい、そのように考えております。
千葉景子
107
○千葉景子君 この点については、また再度お聞かせいただきたいと思います。 前回の総括質疑でございますけれども、
及川
委員長
の方から
予備費
の問題についての
指摘
がございました。
予備費
については大変巨額な
支出
がなされるということもございますが、その点については、その
支出
について全く事前に
決算委員会
などへの御説明とかあるいは
審議
などがなされていないというのが実態でございます。これは法的には確かに事後の審査ということでございますけれども、やはり重要な財政の
支出
ということでもございますので、本来ならば
委員
会への御説明やあるいは
審議
への問題の御提起などがあってしかるべきではなかろうかというふうに思います。 今後、こうした問題についてぜひ
決算委員会
などを通じた御提起をしていただきたいというふうに思いますが、その点についてはどうお考えでしょうか。今後ぜひその辺を実現していただきたいと思いますが。
橋本龍太郎
108
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 残念ながら、この点につきましては私は
委員
と見解を異にいたします。
予備費
につきましては、憲法第八十七条におきまして「予見し難い
予算
の不足に充てるため、
国会
の議決に基いて
予備費
を設け、
内閣
の責任でこれを
支出
することができる。」と
規定
されているものでありまして、私どもとしては、「予見し難い
予算
の不足に充てる」という要件に該当いたしますものは、
法律
上、
国会
への事前の
報告
等を行うことなく
内閣
の責任で
予備費
を
使用
することが認められているものと考えております。 むしろ私どもといたしましては、このような憲法の
規定
に基づく
予備費
でありますから、その適正な
使用
というものに対し常に留意していかなければなりませんし、今後とも適切に対処していかなければならないと考えておりますが、事前の御審査を願うという考えは今日持っておりません。
千葉景子
109
○千葉景子君 これは見解を異にされるということでございますけれども、ぜひ、慎重な取り扱いという意味でも検討をいただきたいものだというふうに思います。 時間の関係もございますので、ちょっと違う問題に移らせていただきたいと思います。 五月十七日の新聞報道を見させていただきました。運輸大臣が、首都圏の朝鮮学校に通われていらっしゃる生徒さんあるいは御父兄や先生方などの代表とお会いになったという報道がなされております。本岡議員あるいは宇都宮議員の同行もあり、大臣が陳情を受けられたということでございますけれども、この事実は間違いございませんでしょうか。
村岡兼造
110
○
国務大臣
(村岡兼造君) 間違いございません。
千葉景子
111
○千葉景子君 その中で、この陳情の趣旨としては朝鮮学校の生徒に対するJR定期の割引の問題、これについての陳情であったということでございます。そして新聞報道によりますと、その中で大臣が、やはりこれは同じ年代の生徒の間の差別に当たるだろう、これをぜひ是正していかなければいけないという御発言をなさったというふうに伺っております。また、私も直接その陳情なさった皆さん、あるいはテープなども聞かせていただきまして、大臣が率直にこの問題について御発言をなさったということで、私も大変、解決に向けた第一歩ではないかというふうに受けとめているところでございますけれども、大臣、この陳情のときにお述べになった、この問題については差別がある、これについて是正をしなければいけないというお考えというのはお変わりございませんでしょうか。そうお考えというふうに受けとめてよろしいでしょうか。
村岡兼造
112
○
国務大臣
(村岡兼造君) 代表の方々と約四十分にわたって、いろいろ学校の先生やまた父兄の方々、あるいは中学生ですか高校生ですか、生徒さんからもお話をお聞きしました。五年ぐらい前から、数年前から割引の問題について要請している、一日も早く是正をしてもらいたい、こういうような話でございました。 私どもとして、昨年でございますか身体障害者、いろいろこれは
厚生省
とも話し合わなきゃならないが、その了解を得て身体障害者の割引は
実施
をするようにいたしました。ことしはまた精薄者の問題、これも
厚生省
といろいろ話し合って、まだ
実施
はしないのでございますけれども、この前の
予算
委員
会でも、ことしじゅうなるべく早いうちに
実施
に移すということをいたしました。したがって今朝鮮人学校ばかりでなくアメリカンスクールを初めその他の問題もございますと、こういう発言をいたしまして文部省とも――いろいろだけれども現状ではなかなか文部省の方ではいかないであろう。民鉄と比較をしてみますとこれはJRの方は確かに制度上で差別がある、こういう発言をいたしました。朝鮮人学校を差別というのではなく、割引の制度上で民鉄との差別があります。こういうことで、朝鮮人学校の生徒に対する定期券の割引につきましては、JRの民営化に伴う民鉄との制度の相違に関する調整が今後の課題となっており、JR各社と
運輸省
との間で検討会を設置して今検討しておるところであります。この問題は本来的にはJRの経営判断の問題でありますけれども、先ほどの経緯もあり要望もあり、いろいろ調整を要する問題もありますので、次の運賃改定の時期までには、こういうような差があるとかということをなくして検討を進めてまいりたい、こういう発言をいたしました。
千葉景子
113
○千葉景子君 この中で大臣は、文部省の方でもっと積極的に対応してもらえると、先ほどの精薄者の問題と同じように、すぐにでも解決できる問題だという御発言もなさっていらっしゃるようですね。そういう意味では、文部省の方でもやはりこの問題については積極的な対応をいただく必要があるのではないかというふうに思うんです。 この間体育の関係、高野連の問題などにも大きな進捗がございましたけれども、やはりこれまで以上に一歩進み出て、このような同じような学校で、そして同じように学んでいる生徒たちに、ぜひこれからも気持ちよく通学ができるようなそういう整備というものを考えていただきたい。それには文部省がまず動いていただくということが解決の大きな糸口になるかと思いますけれども、いかがでしょうか大臣、その点について踏み出していただくことはできないでしょうか。
井上裕
114
○
国務大臣
(
井上
裕君) この問題につきましては、基本的にJR及び
運輸省
がその取り扱いを判断すべきものと、このように思います。 なお、朝鮮人学校は、そのほとんどが各種学校で都道府県知事の認可を受けておりまして、各種学校の一部について朝鮮人学校だけやるというこの取り扱いは、専修学校高等課程、またその他の各種学校との均衡上の問題もあり、これらの学校と同様に取り扱われると、そのように考えております。
千葉景子
115
○千葉景子君 朝鮮人学校については各種学校の扱いではございますけれども、日本の学校と同じような六三三制という制度をとり、教育
内容
などについてもほぼ共通の実態を持っているというふうに私は認識させていただいているところでございまして、ぜひ積極的な文部省としての対応も考えていただきたいというふうに思いますが、運輸大臣、先ほどお話しいただきましたように、文部省を待つのみならず、運賃改定などを前にしてできるだけ早い解決、これが必要かというふうに私も認識をしているところでございますので、ぜひ、より一層の御努力をいただきたいというふうに思います。決意をもう一回お尋ねさせていただきたいと思います。
村岡兼造
116
○
国務大臣
(村岡兼造君) その場でも、なかなか文部省の方は学校法とかなんかで従来ずっと決まっていない、じゃやっぱりこちらの方である程度の判断もしなきゃいけないということで、今JRと相談をしておるところでございますが、私自身も、次の運賃改定までにはこういう問題は解決したいと、こう思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
千葉景子
117
○千葉景子君 もう時間がございませんで、本来ならば信楽鐵道の問題もお聞きをしたいというふうに思いましたが、午前中に大渕
委員
からも
質問
がございましたし、また引き続き他の同僚議員からもさまざまな問題
指摘
があろうかと思いますので、時間が参りましたので、せっかく御出席いただきまして申しわけございませんけれども、その問題はまた別な機会にということにさせていただきたいと思います。 終わります。
会田長栄
118
○会田長栄君
昭和
六十三
年度
と
平成元年
度の
決算
について
大蔵大臣
にお伺いしたい、こういう予定でございましたが、同僚の千葉
委員
の方から御
質問
があってお答えいただきましたから、その点につきましては私の方からは若干
意見
だけ申し上げて、お願いしておきたいと、こう思っております。
平成元年
度の
歳入
決算
につきまして税収の見積もり問題、これは六十二
年度
、六十三
年度
、
平成元年
度も同様でございまして、たくさん御
意見
のあったところでございますが、この誤差率というのは非常に大きい。とりわけこの誤差率から、補正
予算
との関連で、どうしても平
年度
予算
で解決した方がいいというような
予算
まで実は補正
予算
に出てくるというような状況でございまして、その点では
大蔵大臣
の方から、これは特例公債発行問題との兼ね合いで非常に難しい状況にあるけれども今後検討をしていくということでございますから、税収の
年度
区分の変更、特例公債の発行問題等非常に難しい問題はあるだろうと思いますが、ぜひ前向きに検討していただきたい。そして、同じような議論の繰り返しにならないようにお取り組みを、まずお願いをしておきたいと思います。 さて、二番目の問題でありますが、
昭和
六十三
年度
決算
審査に当たりまして、今日まで
大蔵大臣
の方から、ODAすなわち政府開発援助について、外交上の配慮あるいは内政干渉の問題等があって、この
予算
執行
については、
決算
、そして
会計検査院
をも含めまして大変慎重を期さなければいけないということを今日までお答えを願ってきたところでございますが、六十三
年度
初めて
検査
院の
報告
が出て、いわゆる
指摘
事項
として実は挙げているわけでございます。 その意味では、六十三
年度
の
一般会計
で七千十億円という海外援助費、これを総援助
資金
の中で勘案いたしますと一兆三千四百八十七億円という膨大な
予算
になっておりますし、今日的な国際情勢の中にあってこの
資金
の増大というのは火を見るより明らかだと私は思いますが、財政
執行
責任者としての
大蔵大臣
として、ODAいわゆる政府開発援助について
検査
院から御
指摘
のあったことにつきまして御所見をまずお伺いしたい。
橋本龍太郎
119
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 国の中で
使用
されるものであれ国の外に出して援助あるいは借款等々含めまして
使用
されるものであれ、いやしくも国民からお預かりをしたお金を使わせていただく
予算
でありますから、その
執行
に厳正を期さなければならないという点については、
委員
が御
指摘
になるお気持ちを私は率直にそのまま受けとめたいと思います。 また、その中におきまして、特に今
委員
から海外経済協力という問題について見解を求められたわけでありますが、当然のことながら、相手国政府との間で、日本国政府としてその協力の
内容
を打ち合わせ、実行に移す段階においてこれが適正に
使用
されることを求めることは当然でありましょう。ただ同時に、今
委員
が御
指摘
になりましたように、ややもすると従来、相手国政府の主権との関係におきまして、その使途について十分
把握
できないという懸念を、しばしば私どもは本院においても御
質問
の形あるいは御
意見
の形でちょうだいをしてまいりました。 本来、その援助に当たります各省庁が、その責任におきまして、その
執行
について相手国との協力関係を重視しながらも適切に
執行
されるよう努力をすることは当然でありますが、今回
会計検査院
から、
会計検査院
としての手の及ぶ範囲において御努力をされました結果私どもに対して賜りました
指摘
事項
というものについては、我々としてはこれを素直にちょうだいをいたさなければならないと思います。 今後におきましても、
会計検査院
の
検査
のあるなしにかかわらず、我々は海外経済協力というものが適正に行われる仕組みを担保するよう努力をしていかなければならない、そのように考えております。
会田長栄
120
○会田長栄君 この政府開発援助の問題につきましては、
会計検査院
から
指摘
事項
があったとおり、これは大変国民にも関心の強い問題でございまして、いわゆる主権、これを侵さない、あるいは外交上の配慮、こういった問題に関連をして、どうしても我が国民に理解を求めるということを怠れば、これは内政上重要な課題だと私は思います。そういう意味では、どうぞODAの
予算
執行
に当たりましては、現地の国民からも批判を受けないような、そして国際的に日本の地位が高まるように、今後ともその
執行
についてよろしくお願いしておきたい、こう思います。 次に、
会計検査院
の
検査報告
についてお尋ねいたします。 六十一
年度
、六十二
年度
の
検査報告
を受けて私どもは審査をいたしました。本日は、六十三
年度
、
平成元年
度のいわゆる
大蔵大臣
からの
概要説明
と
検査報告
を承ったわけであります。そこで
検査
院長にお伺いしたいのは、どうも六十一
年度
、六十二
年度
、六十三
年度
、
平成元年
度、同質のようなものが
検査報告
として、
法律
、
政令
あるいは
予算
違反として
指摘
事項
を受けているわけでありますが、どうも毎年毎年同じ質のようなものが
報告
されているように見受けられてなりません。それは一つ一つ挙げれば個々別々のものでありますが、総体的に見ると同質のようなもので、
検査
院が毎年のごとく
報告
されているように見えます。この
報告
を見てみまして、どうも同質の傾向のもので、関連する省庁のもので
指摘
事項
が多過ぎるのではないか、こう思われますから、その点についての御見解を承りたい、こう思います。
中村清
121
○
会計検査院長
(
中村清
君) 御
指摘
のとおり、毎年同じ質の問題としましては、
租税
や社会
保険料
の徴収不足の問題、あるいは
雇用保険
の失業保険金の過大給付の問題、その他の問題で毎年
指摘
しているものがかなりございます。その一方で、一見同じように見える不当
事項
でありましても、
検査
の観点を変えるあるいは
検査
対象
を広げるということで
検査
内容
が年々変化しているというものもあるわけでございます。したがいまして、同じような事態に見えましても
内容
が変わっているというものもかなりあるわけでございますが、ただ、ただいま御
指摘
のように、同じ質の問題というものも毎年かなりあるというのも事実でございます。
会田長栄
122
○会田長栄君 これは、
検査
体制の問題とか
検査
の適切な
執行
方法など、御
意見
のあるところだと思いますが、実は
実地検査
は、
対象
機関三万九千カ所、率にして八・五%の三千三百カ所を
実施
したその
報告
でございますけれども、実際にその結果の不当
事項
として百六十六件、三十四条違反として二件、三十六条として四件、そして
処置
済みとして二十九件、特記
事項
として一件と、二百二件が
指摘
されているわけですね。その
総額
が百五十一億一千五百六十七万円でございます。 ところが、これは八・五%でございます。先ほど私が申し上げたとおり、それは
検査
方法とかあるいは
検査
の体制とかの問題もあるでありましょうが、私流に言うと、この調子でいけば、いわゆる三万九千二百カ所というものを実際に
調査
したら一体どのような数字が出てくるんだろうかという疑問が出てならないんです。一〇〇%
調査
したらですよ。それは、
調査
体制なりあるいは統計上の物の考え方など出てくるでありましょうけれども、私流に言えば、一〇〇%
調査
したらこれは一体どのようになってしまうんだろうか。これは大変な問題を毎年提起されているものと私は思っているんですよ。 そこで、これが八・五%ではなくて、実際に
検査
院が一〇〇%実地
調査
したと推定すれば――仮定ですよ、大変な
金額
と件数になるでありましょう。そういうことにつきまして、
検査
院として、年々
検査対象機関
、事務所、その他含めましてふやすという考え方を持っておられますか、そこをお尋ねいたします。
中村清
123
○
会計検査院長
(
中村清
君)
検査
の
実施体制
につきまして御理解を賜わっていることは大変ありがたいと思いますが、私ども
会計検査院
も行政機関の一つでございますので、やはりおのずからその辺の制約は考えなければならない、こういうふうに考えておりますが、ただ
検査
体制の充実につきましては、今後とも私どもとしては大いに意を用いていきたい、こう考えております。
会田長栄
124
○会田長栄君 それでは同じく
平成元年
度で申し上げますと、これは三万八千九百余の箇所の九・二%と、0・七%
調査
箇所をふやしましたね。その結果どうかというと、
合計
で二百二十件ですよ。これは減っているのでなくてふえているんです。同様に
金額
もとんとんなんですね。正確に言えば若干減っているということになりますけれども。これを一〇〇%にして
調査
をして
検査
をするということであれば、この件数たるや膨大になります。そのように、
検査
院が
指摘
している不当
事項
というようなものが実際にはあり得ると推定できるんです。 だから、このようなものに対して、今後
検査
院はよりさらに国民の信頼にこたえられるように
検査
箇所をふやしていかなければいけないんじゃないか。そして、こういう不当
事項
と
指摘
されないような
執行
と体制をどうつくり上げていくか。こういうところにあるんだろうと思うんですよ。
検査
院といたしましては、財政
執行
の責任省であります大蔵省に対して、その傾向について
意見
などを、口頭でも結構でございますから、申されたことがございますか。
中村清
125
○
会計検査院長
(
中村清
君) 私どもは
予算
要求のときにおきまして、当然でございますけれども、財政
当局
に対しまして私どもの希望というものは申し述べておりまして、その点について財政
当局
としても御配慮をいただいて私どもの
予算
が成立している、こういう状況でございます。
会田長栄
126
○会田長栄君 まあ仮定をすればという意味でありますから、この調子で一〇〇%
対象
機関をふやして
検査
をしていくということであれば、この数字は正しいとは私は思えませんが、一つの仮定として申し上げれば、二千件を優に超える、その
金額
たるや一千億を超す、これが仮定できるわけでありますから、ここを私はお尋ねしているわけです。 そして、その次にお伺いしたいのは、今度は具体的にお聞きしますよ、例えば
厚生省
関係で毎
年度
決算
のときに
検査
院から同質のものが
指摘
されていますね。これ何年かかったらこういうことがなくなるのか。同じようなことが同じ機関の中でまた
検査
院から
指摘
を受けるなどということは、私は通常ではないものと思っているからお尋ねするわけであります。
中村清
127
○
会計検査院長
(
中村清
君) ただいま
医療費
という問題についての御
指摘
でございましたので
医療費
について申し上げますと、
医療費
自体につきまして確かに四年間
検査
をやっておりまして、年々
金額
もふえております。しかし、それは四年前に比べまして、四年前の
医療費
の不当
事項
というのは、
指摘
態様はわずか二つの態様でございましたけれども、昨年の不当
事項
の
指摘
態様は二十一態様にもなっているということでございまして、私どもは、やはり
検査
する場合には綿密な
検査
計画をつくりますし、しかも問題のありそうなところ、あるいはどういうふうな形で将来問題が起こってくるだろうか、そういうことを十分検討して、過去の経験を生かしながら
検査
をやっておりますので、そういう意味では私どもとしては
検査
は効率的にやっている。仮にある態様のものが是正されたとすれば、また別の態様のものを私どもとしては
検査
の態様として取り入れていく。こういう形で現在やっているところでございます。
会田長栄
128
○会田長栄君 例えば、過大となっている
医療費
負担という形で一例だけ示しますね。これまた六十三
年度
、実は国庫負担額が一億七千十六万円、これが不当に
支出
されているということで
指摘
を受けているでしょう。これはもう
年度
ごと常に問題になっていることでございますね。非常に難しい問題だと私は思いますけれども、同じような
指摘
を、同質のものをそれぞれの省庁が
検査
院の
報告
の中で
指摘
を受けるということは、これは
執行
責任者からいっても決していいことではない。年々減っていく、件数も減る
金額
も減るというならわかります。しかしそれが減らないというのであれば、これは
検査
院の
報告
、それを受けて
執行
上各省庁が丁寧に
管理
、指導していかないというところをそのまま物語っているわけでありますから、その点はぜひ今後とも、なくしてもらいたいと言いたいところですけれども、
検査
で不当
事項
として
指摘
されないようにぜひ全力を尽くして、財政
執行
の
大蔵大臣
としては各省庁に要請をしてほしい、こういうお願いを申し上げて、この種の問題での
大蔵大臣
の見解をお聞きしておきたい、こう思います。
橋本龍太郎
129
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
会計検査院
から御
指摘
を受ける、これ自体我々として本当に残念なことでありますし、同時に、その
検査
院からの
指摘
事項
というものを
予算
編成に反映させていくことは当然のことながら極めて重要であり、私どもとしては、従来から関係各省庁の協力を得ながらできる限り
予算
編成などに反映するように努力をしてまいりました。例えば大蔵省主計局と
会計検査院
の担当者の間の事務連絡会議でありますとか各省各庁に対して文書による要請などを行いますほかに、各省各庁等の
予算
決算
担当者会議でありますとか会計事務
職員
研修など、あらゆる機会を通じて
予算
の効率的な
執行
、また、
指摘
事項
の周知徹底、再発防止の指導等を行ってきたわけでありますが、今
委員
から御
指摘
を受けましたように、連年にわたる同種の
指摘
を受ける
事項
があったということは本当に我々としても残念であります。 今後ともに、今申し上げましたようなこれまでにもとってまいりました手法を駆使しながら努力を重ねて、こうした
指摘
を少しでも減らしていくための努力をしてまいりたい、そのように考えております。
会田長栄
130
○会田長栄君 それでは、次の問題に移ります。 次の問題は、アメリカの経済動向、財政問題、これを日本政府として、
大蔵大臣
としてどう認識しているか、その上に立って日本政府が今後どのように対応していくかということについてお伺いしたいわけであります。しかし何といっても、四月末アメリカに行って先進七カ国の蔵相・中央銀行総裁会議に出席をして御苦労してきた大臣に御苦労さまと感謝をまず申し上げたい。 そこでひとつお伺いしたいのは、今日のアメリカの経済動向というものをどのように見ているかということについて御所見を承りたい。
橋本龍太郎
131
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) アメリカの経済は、
委員
がもう既によく御承知のとおり、八二年十一月以来景気拡大を続けておりましたものが、個人消費の減速を中心といたしまして九〇年の第四・四半期、九一年の第一・四半期に実質GNPの伸びがマイナスを記録し、現在では景気後退に陥っているわけであります。 アメリカ経済の今後の見通しにつきましては、例えば在庫水準の低さでありますとか輸出の堅調き、あるいは金融緩和の効果、また、特に湾岸戦争の早期終結がもたらした景況感の急回復による個人消費の回復期待などを根拠に、現在の景気後退は底が浅いものにとどまり、本年の年央には回復に転じるという見方をしておられる方が多いと承知をいたしておりますが、足元の経済指標を見ますと、景気回復の兆しはまだはっきりあらわれていないようにも思います。今後、連邦準備制度理事会の金融緩和の効果が浸透すれば、それが予測どおり年央であるかどうかは別といたしまして、次第に景気は回復に転ずるものと期待をいたしております。
会田長栄
132
○会田長栄君 アメリカの経済動向、景気、これは後退期に入っていて、アメリカ政府がどのような手を打とうともなかなかうまくいかないんじゃないかというような御
意見
の方もおりまして、私も聞いておりますが、この景気後退という兆候に対してアメリカ政府がどのような手を打とうとしているのかということについて御所見を承りたいと思います。
橋本龍太郎
133
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) ちょうど本年一月の二十日に行われましたG7は、湾岸におきまして実質的な戦闘行為が勃発した直後の状況の中でございました。そして、その時点におきましては世界経済全体の中で不確定要因が多数存在をいたした中でありましたけれども、アメリカを含めましてG7各国は、成長鈍化のリスクに対する懸念とインフレに対する懸念、二つのリスクを両にらみで政策
運営
を行っていくべきであるという合意をいたしたわけであります。 しかし、その後状況が変化をいたします中で、G7の中におきましても、成長減速のリスクとインフレのリスクの二つのうちのいずれに重点を指向するかについてニュアンスの差が生じてまいりました。日本の立場からいたしますならば、まさにこの二つのリスクは私どもとして両にらみでいくべきものと考えておりますし、強いてどちらかというならば、成長減速のリスクに私自身も関心が移ってきているということをそのG7の席上でも述べたわけでありますが、アメリカの場合に、この視点がインフレのリスクに対する懸念よりも成長鈍化のリスクに対する懸念の方により多く重点が移っておるという感じは私自身が持っております。 こうした中において、7の各国はそれぞれの状況に応じて適切な金融財政政策を組み合わせて中期的に実質金利の低下を可能にするような努力を行っていかなければならないという基本的な認識を共有した次第であります。
会田長栄
134
○会田長栄君 実は、アメリカの連邦政府も州政府も、
歳出
カットそれから増税、こういうところに走り始めているんですね。そういうような状況から、どうも経済成長というのはその点からいっても、景気の後退から脱皮できない政策が進められているのではないのかと、こういう御
意見
のあるところでありまして、今
大蔵大臣
がお答えいただいたように、政府そのものはインフレより経済成長をどのように引き上げていくかというところにどうしても傾いているんだろうと思いますが、ここでもう一つ心配になるからお尋ねをいたしますが、
大蔵大臣
といたしまして、一体アメリカの財政赤字をどのように御認識されているか、お教え願いたいわけであります。
橋本龍太郎
135
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) アメリカの財政赤字と申しますものは、昨年の日米構造問題協議の場におきましても私どもからしばしば
指摘
をし、その
改善
の努力を促してきたものでございます。近年、財政赤字が非常に拡大をしている。一九九〇
年度
においては財政赤字額は二千二百四億ドルと言われておりましたが、さらに九一
年度
では三千百八十一億ドルに達すると見込まれております。このためアメリカでは、一九九一
年度
から五年間にわたりまして
総額
約五千億ドルの財政赤字の削減などを行うこととし、このための包括
予算
調整法と申します
法律
を昨年の十一月に成立をさせております。そして、九二
年度
予算
教書、これは九一年二月四日に出されたものでありますが、この中では九二
年度
の財政赤字を二千百九億ドルにまで削減することとしておるわけであります。 このアメリカの財政赤字の削減と申しますものは、これは本当に、昨年の構造問題協議の最終
報告
にも盛り込みましたように、アメリカ自身の対外不均衡の
改善
に資するだけではなく、金利の低下を通じまして米国の経済成長にも資するものでありますし、包括
予算
調整法に沿って今後ともにこの財政赤字削減努力というものが真剣に続けられることを私としては心から期待をいたしております。
会田長栄
136
○会田長栄君 次にお伺いしたいのは、いわゆるG7の声明で、私は大変気になっているものですからこれは教えていただきたいんですが、特にこの声明の中で、「実質金利の低下と物価安定を伴った世界経済の持続的回復の基礎を提供する金融・財政政策の重要性」ということを強調しているわけですね。これをひとつわかりやすく解説してほしい、こう思うんです。
橋本龍太郎
137
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 私の言葉でわかりやすくと言われましても、私自身が余り経済は得手ではありませんので、あるいは多少不的確な表現になるかもしれません。その点はお許しをいただきたいと思います。 実は、この四月の末に行われましたG7、私どもは一つの懸念を持ってその席に臨んだわけであります。会議の席上どこの国がどう言ったこう言ったということについてはお許しをいただきたいと思いますけれども、本年の一月の段階では、成長鈍化のリスクとインフレのリスクというもの両にらみということでG7の各国の足並みはそろっておりましたものが、先ほど申し上げましたように、その後の状況の推移の中で、より成長鈍化のリスクに対して懸念を示し出す国々、また、インフレのリスクに対して非常に強い警戒感を抱く国、その差は一月に比べればはるかに開いてきたという感じを持っております。 ところが、もう一つ日本として非常にこの会議に臨むに当たり懸念を持っておりましたことは、世界的な
資金
不足というものが言われる中において、国際流動性の不足というものが金利の高どまりを招いてしまう。これに対する議論を深めておかなければ、今後の世界経済の
運営
の中で我々は果たして与えられる責任を果たし切れるだろうかという懸念でございました。おかげさまで先
国会
におきまして、日本ではIMFの第九次増資について
国会
の御了承を得て、既に払い込みの用意をしておるわけでありますけれども、IMFの第九次増資につきましても現在なお完了いたしておらない国があるわけであります。しかも、これが満額払い込まれました段階におきましても、中欧、東欧の変革あるいはソ連の経済あるいは湾岸における新たな
資金
協力、それ以前からあります累積
債務
国等々の
資金
需要というものを考えますと、国際流動性不足というものは覆いがたいものでありまして、これに対する対応策を我々は今から考えておかなければいけないのではないか。これが先般のG7に臨む日本の持っておった一つの懸念でありました。 こうしたことも論議の場において我々なりの見解を申し述べ、各国と議論を闘わせる中で、いずれにいたしましても我々としては、各国がそれぞれの経済情勢の中でとり得る政策を、最善のものを選んでいくためにお互いが引き続き協調し、話し合い、その政策のすり合わせを行っていく必要性というものを改めて確認をし合ったわけであります。そして、それぞれの状況においてそれぞれの国が選択される金融政策、財政政策の組み合わせの中で、G7各国というものが中期的に実質金利を下げられる方向にそれぞれの国の政策を施行していくべきである。こうした考え方で枠組みの一致を図った。率直に申し上げるならばそのような
内容
になる。私はそう思います。
会田長栄
138
○会田長栄君 日本では、地価高騰などバブル経済の現象が出て、金融機関など大きくあり方を問われて、ようやく地価も鎮静化をして、物価も今日一定の安定度を保っているわけでありますけれども、最後にお伺いしたいのは、今日のアメリカ経済並びに財政の状況を受けて、日本に対するアメリカ政府の要請に今後一体どう対応していくのかという非常に慎重かつ大事な問題でございますから、御所見を承っておきたい、こう思っているんです。 ブッシュ大統領が利下げをやってくれと、なかなかまとまらなかったと、しかしこれは最後まで求めていきたいというようなことを言っていますから、日本政府もこれにどう対応するのかということは今後まことに重要な課題となってくるのでありましょう。その意味でお伺いしたいわけでございます。
橋本龍太郎
139
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 私は、アメリカ経済につきましては、物価の上昇圧力というものが緩和してきている中で金融緩和を
実施
されることによりまして、景気後退にも徐々に歯どめがかかりつつある状況にある、そのように思っております。また、国際収支の赤字も輸出の伸びと輸入の
減少
により
改善
傾向にあると思いますし、先ほど申し上げましたような包括
予算
調整法による赤字削減の努力が施行されていくことによりまして、私は米国経済というものも次第に
改善
をされるものと考えております。 そうした中で、利下げの話はいろいろな角度で議論をされておるわけでありますけれども、これはおのずから、先ほども申し上げましたように、各国がそれぞれその状況に応じて適切な金融政策、財政政策を組み合わせていくということでありますから、一、二の三で全部が一斉にといったようなやり方で対応すべきものではないと私は思います。 G7の中で私自身が日本について申しましたことは、その両にらみの中から、どちらかといえば成長鈍化のリスクに関心は移りつつあるけれども、同時に、我々は今地価を抑え込むということに全力投球をしているわけであり、その中において金融政策を含めマクロの政策の変更をする状況にはないと判断をしているということを申し、これに対してどこの国からもそれがいかぬといったような発言もなかったというのが事実でありまして、我々はあくまでも日本の国内における、また世界経済の中における諸情勢を常に見きわめながら対応していくべき政策運用の責任を負うている、そのように考えております。
会田長栄
140
○会田長栄君 ありがとうございました。 それでは次に、農水大臣並びに関係
局長
に端的にお伺いしてまいります。 一つは、日本は現在でも世界最大の食糧輸入国であるということが言われておりますが、その実態をひとつ端的に教えてもらいたい。
川合淳二
141
○
説明員
(川合淳二君) 農産物につきまして私ども世界最大の食糧純輸入国と言っておりますのは、いわゆる農産物の輸入額から農産物の輸出額を引いた数字が我が国は世界一大きいということを言っております。端的に数字で申し上げますと、一九八九年で二百八十億ドルというのがこの数字でございます。
会田長栄
142
○会田長栄君 それでは、日本の穀物自給率はわずか三〇%だと言われております。これはそのとおりでございますか。
鶴岡俊彦
143
○
説明員
(鶴岡
俊彦
君) そのとおりでございます。
会田長栄
144
○会田長栄君 世界の主要国で、自分の国で生産できるのに輸入をする、自給率を三〇%に抑えている国はどこかあるか、教えてください。
鶴岡俊彦
145
○
説明員
(鶴岡
俊彦
君) 確かに、先進国の中で本の穀物自給率が一番低い水準にあるというこは残念ながら事実でございます。ただ、先生御内のとおり、穀物需要量は日本の場合約四千万ンでございます。そのうち、千五百万トンが食用、飼料用が千八百万トン、加工用が六百万トンというような規模になっております。 食用につきましては、米等を中心に高い自給率を維持しておるわけでございますが、残念ながら最近の食生活の変化、これは世界各国に例を見ないような変化をいたしておりまして、年々需要が
減少
している。他方、畜産物の需要が最近大幅に伸びているわけでございまして、そのような畜産物を安価な価格で国民に供給するために、どうしてもそのえさとなります飼料用につきまして、できるだけ安い飼料を供給していく必要があるというようなことから、日本の場合
土地
条件に制約がありましてそういうえさにつきまして外国に依存せざるを得ない。それでそういうものが
増加
し、食用が減っているというところにあるわけでございます。 私どもとしましても、できるだけ与えられた国土条件を利用しながら自給率の維持、あるいは少しでもそれを向上させていきたいというふうなことで、日本の
土地
の持てる力をできるだけ最高限に発揮するというような点に施策を集中していきたいというふうに考えております。
会田長栄
146
○会田長栄君 要するに、いわゆる穀物自給率がどのぐらいあるかといったら三〇%しかないという国は先進資本主義国では日本しかないと、そうおっしゃったんでしょう。もっとあるんですか、日本以外に。そこを端的にお聞きします。短く、あるならあると。
鶴岡俊彦
147
○
説明員
(鶴岡
俊彦
君) これは、先ほど説明したような事情で現在そうなっているのは御
指摘
のように事実でございます。日本が主要先進国の中で一は一番低いということになっております。
会田長栄
148
○会田長栄君 それでは、次にお伺いしたいのは、いわゆる減反政策を農政として進めてきて以来、今日水田としてどのぐらいお休みになっていますか。
須田洵
149
○
説明員
(須田洵君)
農林水産省
の統計情報部におきまして、毎年八月一日で水田の面積
調査
をやっております。 そのデータによりますと、先生申されました稲作転換対策が初めて導入されました
昭和
四十四年の当時におきまして、水田面積、これは本地及び畦畔を含んだものでございますが、それが四十四年当時は三百四十四万一千ヘクタールでございました。その後、毎年壊廃面積が拡張面積を上回って推移しておりまして、
平成
二年におきましては二百八十四万六千ヘクタールというような実態になっております。さらに、このうち今度は実際に水稲が作付されている田んぼ、水稲の作付田ということでさらにそれを
内訳
的に申し上げますと、同様に
昭和
四十四年の水稲の作付田が三百十六万ヘクタールでございます。それが
平成
二年におきましては二百七万ヘクタール、約三分の一減っている、そういう実態でございます。
会田長栄
150
○会田長栄君 九州と四国と中国地方の水田全体でどのぐらいですか、面積は。
須田洵
151
○
説明員
(須田洵君)
平成
二年の水田面積、先ほど申し上げました本地及び畦畔を加えたもので申しまして、九州が三十七万二千ヘクタール、それから中国、四国合わせまして三十四万四千ヘクタール、それらを
合計
いたしますと七十一万六千ヘクタールということでございます。
会田長栄
152
○会田長栄君 そうすると、九州と中国と四国の水田面積を合わせた分以上に日本は今水田として遊んでいる、こういうことになりますね。いや、もう大きな問題からいったら遊んでいるということではない、国土保全のためには役立っているとか、いろんな理由はつくだろうが、いわゆる米を生産するということでは遊んでいる、こういう状況でありますね。 ここで、次に私はお伺いしたいのは、今日本で米を輸入しているでしょう。その輸入している中身をちょっと教えていただきたいんですよ。よく日本の国民の中には、一粒たりとも米は入れないとかなんとかという議論をされていますけれども、そうではなくて、実際に外国からこれだけの米が入ってきているんですよということをやっぱりきちっとしなきゃいかぬと、こう思っているからこの
質問
をするんです。だから、米として入っているなら入っている、あるいは米を原料として加工したものが入っているなら入っている、わかりやすく、どうぞよろしくお願いします。
浜口義曠
153
○
説明員
(浜口
義曠君
) 先生御
指摘
のように、ただいま我が国におきまして、米の輸入といたしまして約五万トン輸入を行っております。 その
内訳
でございますが、一応米の形をとっております部分、主としまして沖縄の泡盛等々の関係でございますが、その部分が一万二千トン、そのほか米の製品といいますか、米粉等々の形で三万七千トン輸入がされております。
平成元年
の数字でございます。
会田長栄
154
○会田長栄君 さて、日本は世界一の農産物純輸入国。日本は市場開放がなかなか厳しい、制限ばかりしている、こう言われている中にあって、我が国は世界一の純輸入国になっているということもここで押さえておかなきゃ私はいけないと思うんです。 そこで、その次の
質問
に入ります。 農水大臣にお尋ねいたします。三たびの
国会
決議などあり、今日まで農水大臣として米の市場開放問題について毅然たる態度をとってきましたし、決意の表明もありました。しかし、ここ一カ月の間に、日本としても米の市場開放をいつまでも反対するなどという状況ではないということがよくマスコミで言われておりますし、それぞれ偉いと言われる
国会
議員の方からも言われ始めました。 そこで大臣、今日までの農水省の決意のほどはお変わりありませんか。
近藤元次
155
○
国務大臣
(近藤元次君) 先生お話しございましこように、最近いろんな人たちが、いろんな立場、いろんな角度から、実はたくさんの発言が報道されるようになっておることは私も承知をいたしておるわけであります。しかし、総じて言われることは、みずから発言をするよりはむしろマスコミに聞かれるという状況が多いように感じておるわけでありますが、私は担当者として今ほどの自給率の問題や農村の環境やさまざまなことを考えてみて、また、とりわけ米の重要性というようなものを考えてみるときに、我が国は純輸入国という立場、カロリーベースでも五二%が輸入されておるというようなことで、穀物も、三〇%の自給率の中でも米だけが一〇〇%。米の重要性というもので一〇〇%自給されておることが、私は国民に安心感を与えておる最大のものであろう、こう考えておるわけであります。 ただ、今いろんなことを言われる人たちの
意見
は
意見
としても、まだガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉というのはまさに事務的なべースで交渉が始まったばかりでありますし、私どもがラウンドの中で我が国の主張をするという状況にまだ立ち至っておりませんし、また、そういう機会が来れば当然のことながら輸出国と輸入国の
意見
の相違、対立があることも承知をしておるわけでありますが、このラウンドをまとめるに当たりましては、私ども農業分野では輸入国という立場、米の重要性という立場を理解をしてもらう努力でまとめるという従来からの方針については変わっておりません。
会田長栄
156
○会田長栄君 農政の全面見直しに農水省は着手したと過日報道されました。 そこで、最後に
意見
だけ申し上げておきますが、実際に今日の農村、農業というのはまことに厳しい局面に立たされている。このまま推移をすれば農村は衰退をしていくことは間違いがない。まず後継者がいない、農業につく者がいない、ついたとしても嫁さんが来ない、所得が低い、こういうことでありますから、どうぞ最後のとりでである、今期特をしているこの自給率の問題については、ぜひ積極的に頑張ってほしいとお願いを申し上げておきます。 最後の
質問
でありますが、これはJRの安全対策の問題、労使関係の問題であります。 ひとつ端的にお聞きいたしますが、私もかつては地方労働
委員
会の
委員
をやってまいりました。労使紛争に当たっては、積極的に公労使三者一体で一日も早く物事を解決するということを大命題にしてやってきた経験を持っております。しかし、国鉄の分割・民営化の法案
審議
の際に、中曽根元総理が一人も路頭に迷わせないと言った総理の約束というのは現実には守られていない。結局それも清算事業団が施設を閉鎖する段階にあって終わってしまった。そして今全国で三十九都道府県の地方労働
委員
会で
審議
をして救済命令が出ている。一日も早くこのような問題は解決してこそ次の清算活動に入れると思って、各地方の労働
委員
会は積極的に公労使三者がそろって今日まで努力をして、勧告、
報告
を含めて出しています。しかしこの問題について、中央に来たらなかなか物事は進みません。しかし救済を求めている者は、それは一日も、家族を含めて大変な状況になっている。 そこで、こういう労使関係あるいはこの労働
委員
会行政の中にあって、どうしても長時間かけなければいけないということではないんだろうと私は思うんですけれども、労働大臣として、今日の情勢を見て一体どのような所見をお持ちかお伺いしたい、こう思います。
小里貞利
157
○
国務大臣
(小里貞利君) ただいま先生御
指摘
のとおり、三十九都道府県の地労委に係る救済命令の件でございますが、関係各社はこれを不服といたしまして目下争っておるところでございます。正直申し上げまして、建前から申し上げますと、私どもの立場といたしましては、このような係争中の案件につきましては言及は、見解を述べることは控えさせていただきたい、これが一つございます。 しかしながら、私といたしましては個人的に、また心情を率直に申し上げますと、ただいまお話がございましたように、この種の案件は解決を急いだ方がいい、この段階に来てと。しかも、いろいろあるだろうけれどもどうだいという、奨励の特別な気持ちも込めてのお話だろうと思うのでございますが、当事者間の話し合いを基本とした円満な解決を期待を申し上げますと同時に、率直に申し上げまして、国鉄改革、これが断行されまして今日に至り、ここに運輸大臣もおいででございますが、関係各位の努力によりまして国鉄の改革もそれぞれ円滑に所期の目的を達成しつつある今日であり、かつまた、ただいま先生が御
指摘
になりましたように、労働者の個人あるいはその生活に直結をする問題でもございまするので、今日の状況を見ますときに、可能な限り早期にそして円満に解決せられることを期待しながら、私どもの立場といたしましてその目的、現実的な目的を解決するために環境整備を積極的にお手伝いをしなけりゃいかぬ、こういう気持ちで見守らせていただいておるところでございます。 殊に、こういう公式の場で申し上げるのはどうかと思いますが、私も就任いたしまして、実はここにおいでになる
大蔵大臣
と、運輸大臣をお努めのときのこの国鉄改革の踏み切りの一つのいきさつ等もございまして、私も若干院の立場から関与をいたしました関係もこれあり、実は環境整備というその観点から
関係者
の諸君にも公式にあるいは非公式にいろいろと先ほど先生お述べになったような心情も十分チェックしながら助言も申し上げてまいっておるところでございます。
会田長栄
158
○会田長栄君
中央労働委員会
の方がおいでになっていると思いますが、これは三十九都道府県の地方労働
委員
会が精力的にやってきたことでございますから、
中央労働委員会
の役割といたしましても早急に精力的に努力されているとは思いますけれども、ひとつ今後の決意のほどを最後に承って、私の
質問
を終わります。
石岡慎太郎
159
○
説明員
(
石岡慎太郎
君)
中央労働委員会
といたしましては、JR事件につきましてJRの労使
関係者
の意向も十分お聞きした上で決めた方針でございますが、やはり当事者間の話し合いを基本として円満な解決を図るということが一番望ましいという方針を立てまして、その方針のもとに事情聴取という形でいろいろ
関係者
の御
意見
を回数を重ねて聞きながら、その解決に精力的に努力してきているところでございます。 ただいま先生からの御
指摘
もございましたので、中労委といたしましてはさらに一層早期解決に向けて努力を重ねてまいりたいと考えております。
会田長栄
160
○会田長栄君 終わります。
石渡清元
161
○石渡清元君 私は今回、主に日朝関係、さらに
土地
問題を中心に御
質問
をさせていただきます。 まず、日本と朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮との関係、ちょうどきのうから第三回の国交正常化交渉が続けられているところでございまして、まことに御苦労さまでございます。ただ、新聞報道によりますと、なかなか、両国の認識の違いと申しましょうか、物差しが違うせいか、考え方にかなり大きな開きがあるようでございまして、まだ入り口で足踏みをしているような状態というような関係でありますけれども、特に今回の交渉を踏まえまして、あちらの言うところの、まず外交関係を設定してから経済問題など協議をすべきだというようなくだり、その外交関係の設定等々の意味は那辺にあるのか、あるいはそれに対して日本はどのような見解、考え方を持って交渉に臨んでいるか。最近の情勢をお伺いいたします。
谷野作太郎
162
○
説明員
(
谷野作太郎
君) お答え申し上げます。 ただいま先生から仰せのように、大変難しい交渉をきょう、今の時点も北京で続けておりますけれども、ただいまお話がございましたように、昨日北朝鮮側から、とりあえず幾つかの難しい問題は横に置いて、まずは外交関係の設定から始めようではないかという提案がございました。 それに対しまして私どもの方からは、しかしながら難しい問題、なかんずく日本の国内におきまして、あるいは関係諸国におきまして大変大きな関心を呼んでおります例えば核査察の問題、こういった重要な問題を棚上げといいますが、横に置いて、まずは外交関係の設定から始めるということは、日本としてはとり得ない選択であるということを明確に申し述べまして、引き続き、きょうも先方と話し合いを続けておるところでございます。
石渡清元
163
○石渡清元君 ですから、その外交関係の設定という範囲とか、そういったようなものを少し具体的にお願いします。
谷野作太郎
164
○
説明員
(
谷野作太郎
君) 先方の意図するところがどのようなことでありますかいま一つ明確ではございませんけれども、通常外交関係の設定と申します場合には、それを受けまして両国の首都に大使館を設けるということも含めて、そういうことをまずはやろうではないかというのが向こうの提案ではなかろうかと思います。しかしながら、それとても外交関係の設定といいます場合に、両国間の外交関係をこれから取り結んでいきます場合に、よって立つべき原則といいますか、考え方といいますか、そういうことはきちんと先方と討議をしておかなければならないと思います。 なかんずく、北朝鮮と外交関係を設定します場合に、既に日本が外交関係を持っております韓国政府との関係をどういうふうに考えるか。私どもは、既に存在します日韓関係というものが北朝鮮との外交関係の設定によっていささかも影響を受けるものではないということは明確にしておかなければいけないと思います。
石渡清元
165
○石渡清元君 そういう国ですので、単なる日本と北朝鮮というだけではなくて、いみじくも今答弁にありました韓国関係等もございますので、特に日本は国連同時加盟をというお話をしたそうでありますけれども、これから南北統一についてはどのようにかかわりを持っていくか、お聞きします。
中山太郎
166
○
国務大臣
(中山太郎君) 日本政府といたしましては、北朝鮮との国交正常化のための交渉をいたします場合の政府の基本的な考え方といたしまして、朝鮮半島の平和と安定ということにこの日朝の交渉が貢献をできるという考え方が基本的にございます。 そのような中で、南北の政府間の首脳者の相互訪問あるいは首脳会談というものが朝鮮半島の安定に極めて不可欠な問題であるということから、このようなことが進められるようにこの日朝間の政府間交渉におきましても日本政府の考え方を相手国に伝えているわけでございます。
石渡清元
167
○石渡清元君 その場合の国連の同時加盟等々についてはどういったような影響になるんでしょうか。
中山太郎
168
○
国務大臣
(中山太郎君) 国連加盟問題というものは数年来非常に大きな懸案になっておりますが、日本政府としては、同時加盟ということが最も好ましい、その件につきましても両国の政府間、首脳でいろいろと協議をされることがこの朝鮮半島の半島全体のためにも好ましいことであると考えております。
石渡清元
169
○石渡清元君 日本の基本的な考え方というのはよくわかったわけでございまして、ぜひ、外交関係設定にふさわしい信頼関係とそういう環境整備をじっくりとひとつお取り組みをいただきたいと思っております。 ただ、いろいろ具体的な現実問題が出てくるわけでございまして、過日の新聞ではございませんけれども、大韓航空機爆破事件の犯人金賢姫の日本人教育係の李恩恵、イ・ウンへというんでしょうか、について、身元の特定の
調査
等々の新聞報道があったわけでありますけれども、この身元の特定についての経緯を御説明いただきたいと思います。
吉野準
170
○
説明員
(吉野準君) お答え申し上げます。 李恩恵と呼ばれる女性の身元を特定する
調査
につきましては、
昭和
六十三年の二月に私ども警察庁とそれから全国の都道府県警察に
調査
班を設置いたしまして、家出人
調査
であるとか学校
調査
であるとか、あるいはポスター、チラシによる広報活動によって国民の御協力を得るというようなことでやってまいりまして、随分時間がかかりましたのですが、本年の三月に至りまして埼玉県警察が大変有力な情報を得ました。 これによりますと、身体特徴とか家族関係等が金賢姫が供述した点に酷似いたしておりまして、これに基づきまして
調査
を進めまして、最近一定の裏づけがとれたためにこの女性の写真、若いころの写真でありますが、を持ちまして五月十五日に警察庁の係官が韓国に出張いたしまして、金賢姫に写真を示しましたところ、金賢姫は、この女性が李恩恵であるという供述をいたしました。こういう点を総合いたしまして、当該女性が李恩恵である可能性が極めて高いというふうに判断をするに至ったものでございます。
石渡清元
171
○石渡清元君 可能性が極めて高い、そういう答弁でありますけれども、その場合に、もしそういったような事実関係の場合は、今後どういう方針でこの問題に取り組んでいくのか。
吉野準
172
○
説明員
(吉野準君) お答えいたします。 金賢姫の供述によりますと、李恩恵なる女性は日本から船で引っ張ってこられたというふうに語っておりまして、こういう点から拉致された疑いが極めて強いというふうに判断いたしております。そういうことから、五月の十六日、警視庁と埼玉県警察にそれぞれ拉致容疑事案の
調査
班を設置いたしまして今後捜査を推進してまいりたい、それによって真相を解明していきたいというふうに考えておる次第でございます。
石渡清元
173
○石渡清元君 拉致されたということも大変なことになるわけでございまして、今御答弁のとおりに、今までの
調査
から捜査に切りかえたんだと。そうしますと、身柄の引き受け等々は請求したんでしょうか。
吉野準
174
○
説明員
(吉野準君) 本件は外務省に通報いたしておりまして、具体的には外務省において判断されることであろうと思います。 警察としては、今後も外務省と必要な協力は密接にやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
石渡清元
175
○石渡清元君 外務省にお尋ねいたしますけれども、この問題、交渉でも出すんだとか、あるいは一部新聞では、向こうは否定をしているとか、いろいろ情報があるわけであります。その辺のところはどのようにこれから進めていくつもりか、お答え願います。
谷野作太郎
176
○
説明員
(
谷野作太郎
君) 先ほどお話し申し上げましたように、昨日、きょう、そして要すれば明日も北京で北朝鮮側との交渉を継続するわけでございますけれども、ただいまのお話の件につきましては、捜査
当局
からのお話を受けまして北朝鮮側と、この問題につきまして先方に対しましてそのくだんの女性の消息につきまして事実関係の照会をするということから始めたいと思っております。 一部新聞報道で、昨日の先方との会談でこの問題が取り上げられたような報道がございましたけれども、本格的には、きょう予定されております恐らく午後の会談で先方とこの問題を取り上げるということになろうかと思います。
石渡清元
177
○石渡清元君 具体的に向こうの窓口とかあるいは見通しはなかなか難しいというような雰囲気もなきにしもあらずというところなんですけれども、窓口、あるいは見通しについて、お願いいたします
谷野作太郎
178
○
説明員
(
谷野作太郎
君) 確かにそういう面があろうかとは思いますけれども、とりあえず私どもが政府間で持っております交渉の窓口、これは先方の外務省の次官がヘッドで来ておりますけれども、したがいましてその場で、いわば先方の外務省を窓口としてこの問題のお話し合いをしたいと思っております。
石渡清元
179
○石渡清元君 恐らく優秀な日本の警察の出した結論でありますので、これ一つの犯罪行為でもありますので、いろんな壁があろうかと思いますけれども、ぜひ粘り強くひとつお願いをしたいと思っております。 そしてもう一方、第四議題と申しましょうか、北朝鮮日本人妻の問題、これもテーマというふうに言われておりますけれども、なかなかこれも、いろんな機会に番たび質疑をされておるようでありますけれども、特に、
昭和
三十四年八月十三日に締結された日本赤十字社と北朝鮮の赤十字会との間の在日朝鮮人の帰還に関する協定書に基づいて、三十四年の十二月から今日までかなりの人が北朝鮮から帰還をしてきておるわけでありますけれども、その中に朝鮮人を夫とする日本人の妻数千名が含まれている。この向こうへ渡った日本人妻の大半が連絡が上手にとれない、安否が非常に気遣われているわけでありますけれども、現状、北朝鮮日本人妻の最近の情勢についてお答えを願います。
中山太郎
180
○
国務大臣
(中山太郎君) いわゆる日本人妻の方々が、在日朝鮮人の方の夫とともに北朝鮮に帰られてから既に三十年を経過しておるわけであります。これまで日本に里帰りされたこのような婦人は一人もおられないというところに、私どもが一つの大きな懸念といいますか、問題の重要性を認識しているわけでございますけれども、問題は、相手国の方と結婚されているわけでありますから、国籍自身は日本の国籍ではないというところが一つこの方々の身分の問題であろうかと思っております。 しかし、人道的な観点からまいりますと、肉親との音信も不自由な状態、今
委員
も御
指摘
がございましたように、消息が全く知れないという方も多くおられまして、年をとってこられた日本におられる御両親、この方々のお気持ちというものを考えると、人道的な観点から日本政府としてもぜひこの北朝鮮に行かれた日本女性の方にも日本との交信あるいは往来というものが実現できるように北朝鮮側に強く要請をしているところでございまして、今年の二月でございましたか、日本を訪問された北朝鮮の労働党の国際
部長
である金書記に私はお目にかかりまして、ぜひひとつ人道的な観点から日本人妻の祖国往来というものを認めてもらいたいということを強く要請いたしまして、金書記からは、これからの日朝間の交渉の間でそのような問題が解決される方向になるであろうというような印象を受ける発言を私は得ております。
石渡清元
181
○石渡清元君 今御答弁のとおりに、三十年もたっておりますので、かなり親御さんの方が高齢化したり、どんどん他界をして減っていく、こういう状況でありまして、先ほど国籍の点について、もう向こうへ行っちゃっているから日本人じゃないという御答弁がありましたけれども、日本を出たときについては日本人になっている。ですから、いわゆる二重国籍の形でありますので私も日本人妻の里帰りと、こういうことを言っておるわけでありますので、その辺のところ、もう一回見解をお願いします。
中山太郎
182
○
国務大臣
(中山太郎君)
法律
上は、この方々は日本の国籍を離脱されていないという
法律
上の解釈が存在しているわけでございますので、日本政府としてもそのような観点から、北朝鮮側はこれは既に北朝鮮の国籍を有している者という認識を持っておると思いますけれども、我々の方から見ると日本の国籍を離脱していないという観点を持っておるということを申し上げておきたいと思います。
石渡清元
183
○石渡清元君 ぜひ、あくまでも離脱をしていないと、そういうことで、いろいろ後から音信等々について御
質問
いたしますが、なかなか連絡がうまくいかない。ただ、数少ない向こうからの便り、手紙を、ここにもありますけれども、読む限り、非常に日本に帰りたがっている。あるいは日本の家族、関係家族のことを心配している手紙もどんどん来ている。 したがって、これはあくまでも同胞の一人として、できるだけこっちへ戻れるような機会を、そのために今回の交渉での進展についてはどのように、今までも日本人妻についてはいろいろ、この前の金さんもそうでありますけれども、やってきたんですが、いろんなことでなかなか具体的になっていないようでありますけれども、今回の交渉において具体的な進展がどうなのか。感触だけでもお願いをしたいと思います。
谷野作太郎
184
○
説明員
(
谷野作太郎
君) 確かに、引き続き粘り強い話し合い、交渉が必要だと思います。 もちろん今回の第三回目の会談におきましても、日本側から取り上げることになっておりますけれども、先ほど大臣も御答弁いたしましたように、これまで先方の申しておりますことは、第一点は国交が正常化すれば里帰りが可能となるであろうということでございますけれども、第二点として、しかしながら正常化前でも人道的な見地から、一部の方の里帰りが実現するよう努力するというようなことを申しております。 さらに、あえてつけ加えますれば、日本側の御心配はわかるけれども、これらの人は共和国の公民として不自由のない生活をしておるというようなことも返答として得ておるわけでございますけれども、ただいまお話しのように、他方、日本からお出しになった手紙なり小包が、どうも本人のお手元に届いていないというようなこともございまして、私どもはそういったことについての
調査
もやってほしいということを強く求めておるところでございます。 それから、
国会
の方でもこれに御心配をされる議員連盟がございまして、先般も関係の議員の方々が、ピョンヤンで同じような趣旨で先方に強く働きかけられたという経緯がございます。
中山太郎
185
○
国務大臣
(中山太郎君) この問題は、人権、人道上の大きな問題でございまして、政府といたしましては、この問題を解決するために最も効果的な方法がどういう方法があるかということにつきまして、閣議了解または閣議決定等も含めてどのような方法をとることが賢明であるか、留守家族の方々や関係議員の方々とも十分相談をしてまいりたいと考えております。
石渡清元
186
○石渡清元君 ありがとうございます。 この問題、日本人妻自由往来実現運動の会、池田代表を中心として田代さん、非常に御熱心に動いておるわけでありますけれども、お伺いするところによりますと、一九九〇年、九一年に安否
調査
の依頼とかあるいは里帰りの依頼二十名が提出されているというふうに聞いているんですけれども、その
調査
の回答というのはこっちへ来ているんでしょうか。
谷野作太郎
187
○
説明員
(
谷野作太郎
君) その件も含めて、残念ながら向こうから確たる回答は来ておらないと思います。
石渡清元
188
○石渡清元君 それ一つ見てもなかなか音信が十分でない。したがって、それじゃ今の日本と北朝鮮との郵便物とか手紙とか小包とか、そういったような問題についても、本当に、片っ方じゃ送っても着いているんだか着いていないんだかちっともわからない。あるいは、向こうの北朝鮮からも日本に向かって手紙を出しているはずだというんですが、それも十分届いてないという、その辺のところ、
郵政省
としてはどんな郵便事情になっているんでしょうか。
大橋郁夫
189
○
説明員
(大橋郁夫君) 北朝鮮のような、いわゆる国交のない国との郵便物の交換につきましては、万国郵便条約の精神にのっとりまして、国交のある国と同様、できる限り送達するようにしておるところでございます。したがいまして、この北朝鮮の場合につきましても、現時点で直行便がない関係上、第三国の仲介によりまして、事実上万国郵便条約、小包約定等の
規定
を適用いたしまして郵便物の交換を
実施
しておるところでございます。 具体的に、北朝鮮あての航空便につきましては、成田から中国の北京経由でピョンヤンあてに週三便送っております。また船便につきましては、横浜からソ連のナホトカ経由でピョンヤンあてに月四便送達しております。 そこで、御
指摘
の
調査
方法でございますけれども、国際郵便には万国郵便条約第四十七条及び小包郵便物に関する約定第三十九条の
規定
によりまして、その遅延、不着といったような場合について、名あて国郵政庁へ
調査
を請求することができる
調査
請求の制度がございます。 先生御
指摘
のございました、北朝鮮の日本人妻にあてられました小包郵便物につきましては、この
調査
請求の制度によりまして、昨年六月十八日に二十一通、八月二十九日に四十通、十二月十日に五十九通の
調査
請求が差し出されておりまして、本年四月十六日までに北朝鮮よりすべて配達済みとの回答が来ております。
石渡清元
190
○石渡清元君 確かに向こうは配達したと言うけれども、本人の手元に着いているか着いてないかの確認がなかなか難しい。そんな感じかと思いますが、こういったようなあれは、外務省としては、何かもう少しうまくスムーズにいくような手だてというものはないものなんでしょうか。
谷野作太郎
191
○
説明員
(
谷野作太郎
君) 確かにそういう面が残りますのは非常に残念でございますけれども、おいおい交渉の過程でこちらの考え方も先方にわかってもらって、状況が少しでも前に進むように努力いたしたいと思います。 いずれにいたしましても、先ほど来の御心配の諸点も含めまして、一体その事実がどういうことになっておるのかということを
調査
してほしいということを強く先方に求めておりまして、北朝鮮側も
調査
してみるという約束はしてくれておりますので、先方の回答を引き続き粘り強く求めていきたいと思っております。
石渡清元
192
○石渡清元君 ぜひひとつ、関係家族、非常に深刻な問題になっておりますので、先ほど大臣も御答弁ありましたけれども、国交正常化になったらとか、そういうことを越えた人道的な問題だと思いますので、ぜひ、御答弁にもちょっとありましたけれども、閣議了解とか閣議決定とか、何か日本の姿勢、そういうものを日本
内部
でもみずからお示しをいただいて、何とか解決の糸口ができたら、こういうふうに強く求めるものでございますけれども、ぜひ御決意のほどをお願い申し上げます。
中山太郎
193
○
国務大臣
(中山太郎君) 先ほども御答弁申し上げましたが、この問題を解決するために、日本政府の明確な意思というものを明らかにするために、閣議決定あるいは閣議了解という方向でこの問題は検討してまいりたいと思います。 我々日本政府にとりましては、この方々の安否、どのような生活をしておられるかということについて御家族ともども政府も絶えず心配をいたしておりますし、一方国際社会にとりましても、この通信あるいは情報というものが途絶されているという一つの国のあり方というものについて、私は、この北朝鮮という国家のためにも非常にそのようなことは国際社会としては批判の高い問題であろう。健全な外交活動をやっていただく上にも、一日も早くこのような人道的な問題を早急に解決されるように、北朝鮮政府に強くこの場を通じて要請をいたしたいと思います。
石渡清元
194
○石渡清元君 ぜひひとつよろしくお願いいたします。 それでは
土地
問題に移りたいと思います。 この問題は、もう各党各
委員
さんからいろいろ出て、過日も同僚秋山
委員
からもあったところでありますけれども、どうもこの問題、十分に進んでいかないような、あるいは政策効果が薄いような気がしてならないわけでありまして、
土地
神話を崩さなきゃいけない、これも確かにそうでありますけれども、じゃ原点に戻りまして、
土地
神話を打破するにはどういうふうなことを考えておられるか、もう一回ちょっと御答弁をお願いします。
西田司
195
○
国務大臣
(西田司君) 総合的な
土地
対策を進めてまいります上で基本的な方向を定めるために、去る一月二十五日に総合
土地
政策推進要綱を閣議決定いたしたところでございます。その
土地
政策の目標の一つに、御
指摘
になりました
土地
神話の打破を掲げておるわけでございます。
土地
神話というのはどういう意味かということもあると思うのでございますけれども、御承知のように、
土地
を持っておればもうかる、あるいは
土地
は最も有利な資産である、そういうことが何か世間の風潮として現在
土地
問題の大きな要因になっておるわけでございます。二度と地価高騰を招来することのないように、制度的な一つの対応を図っていくということが重要であると認識をいたしております。 このため、今後ともこの
土地
政策推進要綱にのっとりまして、税制あるいは金融、
土地
利用計画等について構造的なあるいは総合的な対策を一層努力を払って展開をしてまいりたい、こういう考え方でおるわけでございます。
石渡清元
196
○石渡清元君 ですから、この前の地価税、あるいは譲渡課税の強化等々は、確かに地価は安定させることができたかもしれないけれども、ある意味で、
土地
の有効利用とかあるいは取引の活発化には、逆方向のような制度に思えてならない。ということは、これがスタートしたときには、
土地
問題は地価の問題と同時に、
住宅
供給をどんどんしようじゃないか、こういう社会的雰囲気が非常にあったと思うんです。ところが、地価税新税あるいは譲渡課税の強化でバブルだとかあるいは
土地
神話が終わりを告げるような印象で、それ以上の効果が、どこに政策と結びつくのかなというようなそういう疑問があるんですけれども、その辺のところ、これ国土庁ですかな。
藤原良一
197
○
説明員
(藤原良一君) 大臣から御答弁申し上げましたように、
土地
対策は総合的に推進していく必要があるわけでございますが、特に需給関係を中心に見てまいりますと、
土地
対策というのは、やはり需要面では投機的な需要とかあるいは資産保有的な仮需要を極力抑制していくことが非常に大切だというふうに考えております。一方、供給対策としましては、先生御
指摘
のように
土地
の供給、有効利用を促進して需給のバランスを確保していくということが必要でございまして、そういった両面にわたって短期的、中長期的な対策をミックスしながら総合的な効果をねらっていく、そういうことであろうかと思っております。 供給、有効利用促進策としましても、例えば大都市地域におきます低・未利用地の有効利用促進、あるいは市街化区域農地の計画的な整備、さらには都市計画等の整備充実によります
土地
利用のより適切な活用、そういったことに努力しておるところでございまして、地価もようやく昨年の秋から鎮静化しておりますので、これからさらにそういった効果があらわれてくるのじゃないかと私ども期待しておるところでございます。
石渡清元
198
○石渡清元君 ちょっと私の
質問
の表現が余り上手じゃなかったかもしれませんけれども、例えば今やっている日米構造協議のフォローアップですね、この日米構造協議でも、アメリカから言われていることも
土地
の有効利用ということであって、したがって固定資産税の課税適正化とか、あるいは譲渡課税はむしろ軽減した方がいいんじゃないか、その方が
土地
の有効活用につながるんじゃないかというのが向こう側の要求のように私は理解をしているんですが、何か日本の場合それとは逆にいっちゃっていて、そのために私は
土地
の有効利用あるいは供給が損なわれているんじゃないかということをお伺いをしたかったんですが、その辺はどうなんでしょうか。
藤原良一
199
○
説明員
(藤原良一君)
土地
税制につきましては、
土地
の供給、有効利用の促進という観点から考えます際、御
指摘
のように、経済学者の方の中にも、保有コストを高める意味で保有税を強化していくということは有効である、一方譲渡益課税の方は軽課することによって、両々相まって供給の促進、有効利用の促進を図るべきだと御主張になる方も多いわけであります。 しかし、譲渡益課税というのは所得課税とのバランスもございましょうし、また、
土地
に関して過大なキャピタルゲインが期待できる、そういうことでもやはり
土地
に対する投機的あるいは投資的な需要を喚起する原因にもなりますので、やはり
土地
は資産として何よりも有利だと、そういう側面をできるだけ縮減していくためには保有課税、譲渡益課税両々相まって適正な見直しをするということが非常に重要じゃないか、そういうふうに考えておるところでございます。
石渡清元
200
○石渡清元君 まあ税は見直しを進めていかなければいけないのでありますけれども、それでしたら例えば
土地
の取引関係の規制で、あるいは建築規制とか、そういうのを前の建設
委員
会でもやったんですけれども、容積率だとか、建築の高さだとか、それをもう少し規制を緩和して、もっと高度利用をすることが一種の
土地
の供給であり、またコスト的にも安くなる、あるいは
住宅
供給に直結していくんじゃないかと思うんですが、その辺の考え方というのはどうなんでしょうか。 〔
委員長
退席、理事千葉景子君着席〕
立石真
201
○
説明員
(立石真君)
土地
の有効高度利用によりまして
住宅
あるいは宅地の給供の促進を図り、あるいはまたそれらをもちまして地価の鎮静化に寄与させるということにつきましては、重要な課題であると認識しているところでございます。しかしながら、一律に高さ制限あるいは容積率制限を緩和するというようなことは、全体の市街地環境の悪化とか交通混雑の増大、そういうような問題を生じるおそれもあるために、適切ではないというように考えているところでございます。 このため、従来より個別のプロジェクトに着眼いたしまして、例えば総合
設計
制度あるいは再開発地区計画制度の活用を行いまして、例えば公共施設の整備や公開空地の確保を図る、そういう優良なプロジェクトについては高さ制限とか容積率制限の緩和を行うということを行ってきたところでございますし、また、昨年の都市計画法あるいは建築基準法の改正によりまして創設されました用途別容積型地区計画、
住宅
地高度利用地区計画等におきましても、良好な市街地環境の確保に配慮しながら容積率の緩和を図るというものでございまして、今後ともこれらの制度の積極的な活用を図って
土地
の有効高度利用を進めていきたいと考えているところでございます。
石渡清元
202
○石渡清元君 それはよくわかるわけでありますけれども、発想をもう少し広くお持ちになって、ただ何でも国を中心にというよりも、むしろ例えばインフラ整備にしても地方団体主導のそういったようないわゆる計画とか規制の緩和とか、そういったようなことをやられる、あるいは地方団体に対する助成とか、そういうのはお考えですか。
市川一朗
203
○
説明員
(市川一朗君)
土地
の有別利用促進を図ります場合に、ただいま
住宅
局長
も答弁いたしましたが、私どもは、やはり良好な都市環境の確保を図ることを前提としてやってまいることが、長期的に見まして最終的にもいい都市計画であり町づくりであるというふうに考えておるところでございます。したがいまして、先ほど来御答弁申し上げておりますようないろんな制度を実際に地方公共団体あるいは市町村の仕事の中で有効に活用するためには、御
指摘
がございましたように、いろんな手だてを総合的に活用できるような工夫が必要なわけでございます。 私どもといたしましては、基本的にはやはりその都市の都市基盤施設の整備をきちっと進める過程におきまして、再開発事業を進めたり、あるいはいろいろな容積率の緩和等を一つのインセンティブといたしまして、個々の建築主等がまたそれを
土地
の有効高度利用という形で実現していくというような、そういう誘導策を講ずる必要があるとか、いろんなことをさまざまに考えているわけでございますが、そういった過程におきまして、いわゆる都市基盤施設の整備なりあるいは公共団体側が優良なプロジェクトを助成するに際しまして、公共団体がやりやすいような国としての
補助
制度の充実その他につきましては従来から積極的に取り組んでおるわけでございますが、幸い四百三十兆円の公共投資基本計画、あるいは
平成
三
年度
の
予算
で生活関連といたしまして二千億の特別枠の設定等、
予算
面におきましてもかなり前向きな取り組みが図られておりますので、こういったような方向に私どもとしてもかなり有効な手だてを講じてまいることが可能であるというふうに考えて、ただいま取り組んでおるところでございます。
石渡清元
204
○石渡清元君 よくわかるわけでありますけれども、さらに私は、公的レベルと民間レベルのパートナーシップを、何かうまいシステムをつくり上げて、必要な分野については地方自治体と民間企業の協力を促進する受け皿のようなものをつくって、協力の範囲、効果、権限、責任を明確化したものをつくり上げて高度利用を、国民の生活基盤の向上を図るようなそういう新しい工夫も必要だと思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
市川一朗
205
○
説明員
(市川一朗君) 現在も、例えば先ほども御答弁いたしました総合
設計
等の制度もございますが、
昭和
五十五年から地区計画という制度を都市計画法の中に取り込みまして、これによりましてかなりの地区におきまして公共団体あるいは地権者の方々が相談いたしまして、将来の町づくりに関しましてかなりきめの細かい議論をいたしました。その際、公共施設の整備とあわせまして、高度利用を図る場合には容積率につきましても思い切ったボーナスを提供できるというような意味で、地区計画の中にさらに再開発地区計画、そういったような制度を設けております。 こういう制度の活用の過程におきまして、ただいま御
指摘
がございましたような地域レベルでいわゆる公共側と民間側との話し合いもいろいろと進んでいくということが随所に見られるわけでございまして、さらにそういったような方向が顕著に出てまいりますような工夫も、今後いろいろ御
指摘
に沿いまして検討をしてまいりたいと思っている次第でございます。
石渡清元
206
○石渡清元君 その際、先ほどから発想の転換とかいろいろ申し上げておりますけれども、人材を、例えば
建設省
は
建設省
だけじゃなくて広く有能な人材を集めて、そういったようなプランニングなりあるいはプロジェクトに具体的に取り組む、そういうことはできないものなんでしょうか。
大塚雄司
207
○
国務大臣
(大塚雄司君) 今、数々の御
指摘
にそれぞれの
局長
からお答えを申し上げました。
土地
神話の打破という大きな目標を持ちました
土地
政策推進要綱は、申すまでもなくいろいろな戦略を総合的に取り込ませてやっていくということでありまして、
建設省
が受け持つ分野というのは申すまでもなく
土地
の有効利用でございます。そして、その
土地
の有効利用は、都市計画上のもろもろの制度や配慮からやる面もございますけれども、今日までの
土地
問題を静かに考えますと、やはり仮需要に対する供給というものがバブルをつくったわけでございますので、実需を中心に、適正なものにはしっかりと応援をしていくという基本的な戦略が必要であろうと思うのでございます。 そのためには、今先生が御
指摘
のように、民間のノーハウと、
建設省
を中心とした地方自治体との共同作戦で目標の
住宅
の供給をやっていく。特に三大都市圏は、昨年の大都市法の改正によりまして
住宅
宅地供給をダイナミックにやろうというので十年間七百四万戸、東京圏で申しますと、首都圏では四百三十一万戸を十年間で供給しよう。また一方、第六期
住宅
五カ年計画では七百三十万戸を五カ年で供給する。いろいろな網をかぶせてそれぞれの制度を総合的に進めていくわけでありますが、実際には、所得の構成からしますといわゆる第五分位、第四分位というような所得の非常に多い方々には自力で、いわゆる民間の力で
住宅
を建てていただく。あるいは第三分位、第二分位といったところは
住宅
公庫の融資であるとかもろもろの手だてで建てていただく。第一分位、第二分位はやや公的な、いわゆる公営
住宅
であるとか公団
住宅
の供給で対処をしていく。そういういろんな戦略を組み合わせると同時に、
土地
の有効な利用を図っていくという作戦を立てていくわけでございます。 〔理事千葉景子君退席、
委員長
着席〕 今高度利用のお話がありましたけれども、従来の
土地
高騰の経験からいたしますと、確かに
土地
を有効に使うためにもっと高さの制限を緩和してというお話もありますけれども、一律に制度だけ面的に考えますと、それが今度はまたバブルの原因になって地価が上がっていくという方向もございます。したがいまして、今お話ししましたように、総合
設計
制度とかあるいはまた再開発地区計画制度、特に都市計画法の地区計画制度を駆使いたしまして、いわゆるインフラの整備と環境の整備とをあわせながら適切な
住宅
供給をやっていくということに大きな目標を持ってやっていくべきではないだろうか。御
指摘
のように、もうあらゆる手段を講じまして本来の
住宅
供給の目的を達成してまいることによって
土地
神話を打破したい、このように考えているところでございます。
石渡清元
208
○石渡清元君 わかりました。 地価を安定させることは大事なことだと思いますけれども、例えば地価がだんだん下がってきた場合に、例えば
土地
を担保に中小企業はさまざまな融資を受けておるわけでありますので、その辺の、地価がどんどん下がっていったときに地域経済に与える影響とか、あるいはそういう中小企業に与える対金融機関との問題等々についてはどのように考えているんでしょうか。
土田正顕
209
○
説明員
(土田正顕君) 私どもは、ことしの一月に閣議決定を見ました総合
土地
政策推進要綱に従いまして、例えば
土地
関連融資問題などの施策をいろいろ
実施
して
土地
問題の解決に資するということを考えておるわけでございますが、これが中小企業金融に向けてどのような影響を及ぼすかというお尋ねであろうかと思います。 一般的に申しますと、ここ数年来、中小企業向けの金融はかなり順調に拡大してきたところでございます。その後、昨年の後半以来金融は引き締まりぎみに推移しておりますけれども、その中にありましても、例えば信用保証協会による保証
債務
の残高は順調に拡大しております反面、代位弁済、いわば保証
債務
の履行でございますが、これは件数、
金額
ともに年々
減少
を続けております。また、中小企業金融公庫によりまする中小企業景況
調査
報告
というようなものがございますが、これなどを見ましても、
資金
繰り面で借り入れ難が特に大きな逼迫要因になっているとは見ておらない次第でございます。 そこでお尋ねの点でございますが、確かに
土地
価格が下がればいわゆる担保価値も方向としては下がるわけではございますけれども、担保だけが金融がつくかつかないかを決める要因だというわけではございませんので、中小企業金融については経営者の資質なり能力、それから事業の
内容
とか収益性、そういうものがより重要な要因であろうと考えられます。また、この
債務
の保全のための方策といたしましては、担保のほかに例えば保証というような他の手段もあるわけでございます。そのような点も含めながら、各種の政府、民間の金融機関に対して中小企業金融への前向きの取り組みを期待してまいりたいと存じております。
石渡清元
210
○石渡清元君 あと、ちょっと小さい問題かもしれませんけれども、地価税の使途ですね、減税とか
土地
対策とか、あるいは地方財源の充実等に配慮するんだ云々はあるわけですけれども、それはどのような考え方を基本的にお持ちになっているんでしょうか。
橋本龍太郎
211
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 本院におきましてもしばしばお答えを申し上げてまいりましたとおり、地価税の使途につきましては、税制
調査
会の御
意見
等によりましても、明
年度
予算
編成時、すなわち明
年度
の税制改正の
内容
を確定するときまでにその使途を考えるということになっております。そして、その限りにおきまして私どもは今まだその使途を確定いたしておりません。そうした中におきまして、本院におかれましてもさまざまな角度からこの地価税の使途についての御
意見
を私どもはちょうだいをいたしております。そして、それらの御
意見
は、そのまま税制
調査
会の今後の検討のいわばお考えをいただく素材の一つとして税制
調査
会の方にお届けを申し上げておるわけでありまして、私どもとしては、この点についてより論議が深められることを期待させていただいておる次第であります。 いずれにいたしましても、明
年度
予算
編成時までに決定をいたすべきものとして今日その方向を確定させてはおりません。
石渡清元
212
○石渡清元君 概略わかりました。 なぜ私がお伺いをしたかと申しますと、何か制度と政策がうまく、十分つながっていないような気がしてならない。ということは、これは一つは各役所縦割り行政のネックなのかなと思ってみたり、もう少し制度と政策に結びつく機能的な組織体が新たに必要なのかなと思ってみたり、やはりやる以上は政策効果の上がる、国民の生活の向上に直結する形でぜひひとつお取り組みをいただきたい。その御決意だけをお伺いをして
質問
を終わります。
橋本龍太郎
213
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 今
委員
から御
指摘
を受けましたように、私どもは、この新たな地価税と申しますものが増収を目的として考えたものではありませんだけに、その使途につきましてはあくまでも十分な検討を加えた上確定すべきものと考えております。 いずれにいたしましても、今後ともに本院における御論議のより深まることを私どもとしても願い、その御
意見
等も参考にさせていただきたい、そのように考えております。
猪熊重二
214
○猪熊重二君 私は、
昭和
六十三
年度
及び
平成元年
度
決算
における
歳入
見積もりの誤りについてお伺いしようと思います。 当初
予算
と収納済み
歳入
額の差異を比較してみますと、
昭和
六十二
年度
が一三・五%の増、
昭和
六十三
年度
が一三・九%増、
平成元年
度が一一・三%増ということで、非常に収納済み
歳入
額の方が多くなっております。ただ、この辺に関しましてはもう従前千葉
委員
、会田
委員
の方から御
質問
があり、また大蔵省の方からお話もございましたので、この点はさておいて、お伺いしたいところは、補正
予算
後の補正後
予算額
と収納済み
歳入
額との差がやはり依然として大きいということであります。
昭和
六十二
年度
だと五・四五%、
昭和
六十三
年度
は四・四六%、
平成元年
度はやや景気が落ち込んだせいか一・四一%、こうなっております。
大蔵大臣
、特にお伺いしたいのは、例えば
昭和
六十三年、補正
予算
は三月七日に成立しているんです。もう期末直前なんです。その期末直前の補正
予算
の補正後の
予算額
と実際に入ってくるお金とが四・四六%も違うというのは、非常に、当初
予算
の場合と比較してみても余りにも大きいと用いますが、このような誤差が出てくる原因はどこにあるとお考えでしょうか。
石坂匡身
215
○
説明員
(石坂
匡身
君) ただいま六十二
年度
あるいは六十三
年度
につきまして、補正後
予算
と
決算
と比べてさらにまだ誤差が大きいではないかというお尋ねでございました。 確かにおっしゃったような経緯がございます。ただこの六十二
年度
、六十三
年度
、さらにさかのぼりますと六十一
年度
ということもやはりそういう事情にあるわけでございますけれども、非常に株式とかあるいは
土地
といったものの資産の取引が活発化してまいりました。あるいは円高差益の発生といったような要因、そういうふうな要因がいわば予想を超えたような状態で起こりまして、そして企業収益というふうなものが、主として法人税あるいは
土地
の譲渡所得税といったものがこの大幅な変動を生じました主な要因でございますけれども、非常な急激な上昇を示したわけでございます。これを事前に見通すことがなかなか困難であったという事情も御賢察を賜りたいと存じます。 しかし、そうばかり言っておるわけにもまいりません。私どもも税収の見積もりにつきましてはいろいろ努力をしてまいらなければいけないと思っておりまして、大法人につきましてのいろいろな聞き取り
調査
でございますとか、あるいは大蔵省の景気予測
調査
あるいは日銀の短観、あるいは各種の民間の
調査
機関の企業収益の見通しでございますとか、あるいは
土地
等の取引につきましてはいろいろな業界からのヒアリングを行うというふうな形でさまざまな努力をしてまいりましたし、これからもしてまいるつもりでございます。
平成元年
度につきましては、先ほども御答弁させていただきましたように、いろいろな努力の積み重ねもございまして、補正後
予算
に対しましては一・三%の誤差というところまで参っておりますけれども、御
指摘
の点は重々承知をしておるところでございまして、これからも十分に努力をしてまいりたいと思っております。
猪熊重二
216
○猪熊重二君 この
委員
会で前回、前々回等にも各
委員
からいろいろ御
意見
が出たんですが、
国税収納金整理資金
法の改正によって、従前法人税の
年度
内収納が四月までだったのを五月までに延長した結果、補正
予算
をつくった後の収納期間が非常に長過ぎるためにこういうふうな誤差が出てくるんじゃないか、これをもう変えたらどうだというふうな御
意見
が何回か出ているんですが、これについて検討してみることはお考えにならないんでしょうか。
橋本龍太郎
217
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 何回もお答えを申し上げておりますとおり、問題意識として私どもこの
年度
所属区分について検討をするという気持ちは持っております。ただし、同時にこれを今直ちに
実施
しようといたしました場合には、非常に大きな財源を必要とする措置でありまして、再び特例公債を発行せざるを得なくなるという状態も現出するわけであります。こうしたことを考えますと、問題意識を持ちながらも直ちに着手をするということができない状況にあることもどうぞ御理解をいただきたいと思います。
猪熊重二
218
○猪熊重二君 例えば
平成
三
年度
、まだ来年の二月、三月になってみなきゃわかりませんけれども、これはまたふえそうだということになったらそこでいろいろ考えて
処置
を講じれば、赤字公債発行なんということをしなくてもうまくいくんじゃなかろうかなと素人考えで思いますので、よくまた検討してみてください。ただ来年三月になって、どうも余りもうからぬなということになってくればこれはまたやむを得ぬことです。 いつもこの二、三年、あるいはもう少し多く言えば四、五年、増収分が出てくると、大蔵省としてはいつも、ああこれだけふえた、それじゃ補正
予算
で出す方もこれだけ出そうと。何かせっかく増収したものをいつも使ってしまうような補正
予算
ということになるんですが、そうじゃなくて、もう少し貧乏人根性を持って、
決算
調整
資金
に積み立てるとか、あるいは国債残高の解消のために繰り入れるとかというふうな形での増収分の使い道というものはもう少しお考えになってみる余地はあるんじゃないでしょうか。
橋本龍太郎
219
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君)
委員
に御理解を賜りたいのは、現在御
審議
をいただいております六十三
年度
また元
年度
の
予算
編成当時、さらにその補正
予算
編成当時におきまして、私どもは、
平成
二
年度
赤字公債依存体質脱却という大きな目標を掲げておったということであります。そして、今
委員
が御
指摘
になりましたように、
決算
調整
資金
、できればそれは繰り入れを行って
決算
調整
資金
自体に財源を積み立てていく、その財源で
決算
上の不足に対応し得るよう充実することが望まれることはそのとおりでありますが、私どもとしては、当時赤字公債依存体質脱却という目標に向けて、いわゆる隠れ借金と申しますものをできる限り返済しておきたいという時期であったことも御承知のとおりであります。そして、その補正
予算
におきまして私どもの税収見積もりの誤差から生じましたものが、この隠れ借金と言われますものを返済していく上で有効に機能したことも御承知のとおりであります。 私どもといたしまして、財政が特例公債に依存しなければならなかった状況の中で、可能な限り特例公債発行額の縮減を図るということが財政の最重要課題であり、
決算
調整
資金
への繰り入れというものが実際問題として困難な状況にあったということについてはどうか御理解をいただきたいと存じます。
猪熊重二
220
○猪熊重二君 どうも財政経済の専門家の
大蔵大臣
と話しするのは、素人の私にはうまくいかない。 次に、NTT株の売却についてお伺いします。 御承知のとおり、
昭和
六十一、二、三
年度
についてNTT株は売却されたわけですが、
平成元年
度、二
年度
は売却されなかったわけで、
橋本大蔵大臣
は
平成元年
九月十三日に、いわゆる第四次、
平成元年
度の売却は中止することに決めたというふうな記者会見しておられるんですが、
平成元年
度、
平成
二
年度
に売却を中止した理由はどういうところにあるんでしょうか。
篠沢恭助
221
○
説明員
(篠沢恭助君) ただいま先生御
指摘
のとおり、
平成元年
度及び二
年度
はNTT株式の放出を中止をしたわけでございます。その前三年間おおむね順調にこれが実行されたわけでございますが、その後状況が変更したわけでございます。 実は、
昭和
六十二年六月に
国有財産
中央
審議
会から答申をいただいておりまして、上場後のこのNTT株をさらにその後どう売っていくか、どう放出していくかということについて基本方針を定めていただいておったわけでございますが、この御
意見
を踏まえて、市場
関係者
等の
意見
を参考にまず聴取をする、また私どもとして、証券・金融市場の動向を評価する、NTT株式に対する投資家の評価がどうなっておるかといったような状態を総合勘案いたしました結果、元
年度
及び二
年度
それぞれ、どうもNTT株式の市場価格あるいは株式市場全般に対して悪影響を与えることなく円滑に消化をしてもらう、まあ消化するとなると大量の株式の放出になるわけでございますが、大量の株式を円滑に市場で
受け入れ
てもらうという環境にどうもなさそうだというふうに判断をされたわけでございますので、元
年度
及び二
年度
においてそれぞれ見送らざるを得なかったということでございます。 元
年度
と二
年度
ではそれぞれ状況が違うことは事実でございます。元
年度
の場合はまだ全般として株式市場は上昇トレンドにございましたが、NTT株式に関する限り、先生御承知のとおり、いろいろな当時の要因を反映いたしまして、六十三年の後半以降NTTの株価が非常に大幅に低下傾向をたどる、そしていろいろ市場にNTT株についての不透明感が始まるというような状況にございました。二
年度
の場合は、これも先生御承知のとおり、株式市場全般が非常に大幅に低調な状況になりまして、発行市場も新しいエクイティーファイナンスが行われにくくなるといったような状況にございました。 元
年度
と二
年度
では若干状況が変わってはおりますけれども、いずれもそれなりに大量のNTT株の放出というものは円滑に進め得る状況にはないというふうに判断をした次第でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
猪熊重二
222
○猪熊重二君 まあいろいろごちょごちょ説明されましたけれども、要するに株価が安くて売れないということなんじゃありませんか。 それで、特に
平成元年
のことをあなたはおっしゃったけれども、平均株価は
昭和
六十二
年度
に二万円だったのが
平成元年
九月は三万五千円で一・五倍になっているんです。NTT株だけが六十二年の十一月に二百五十五万だったのが、同じ
平成元年
九月には百七十二万円で、半分でもないけれども落ちているんです。だから要するに、ほかの株価はずっと上がっていく、NTTの株価だけが下がっている。だから、これ以上、下げるわけにいかぬからというんで売らなかったと、単純に言えば、私は今の御説明をそうおうかがいするんです。 いずれにせよ、ことしの三月二十六日に東京地裁で判決がありました。NTT株の下落による損失についての国の賠償責任はないという判決なんです。国にとっては大変いい判決なんですが、やはり、やれ二百万だ、三百万だ、あるいはもっと上だといって買って、現在では百万を切っているわけです。そうすると、国民としては何か政府にだまされたというふうな感じを持つわけです。この辺のことに関して、まあ
大蔵大臣
が直接売りに回ったわけじゃないけれども、何か国民のこういう損したなという、私も四株持っていて損しているわけです。この国民の気持ちに対して、何らかの御
意見
はありませんか、
大蔵大臣
。
橋本龍太郎
223
○
国務大臣
(
橋本龍太郎
君) 私は、当初売り出しのときにはがきで申し込みまして見事に外れた方でありまして、今になれば外れてよかったのかもしれません。 しかし、やはりリクルート事件というものが企業イメージを悪化させたこと、これは私はNTT株式の問題について非常に大きなダメージであったと考えております。また、もう一つの問題として、NTTの分割論議というものが起こりまして、NTTの将来のあり方をめぐって市場に不透明感が出てしまったこと、これらもNTTの株式というものがなかなかその後上昇に転じていかない、実力相応と私どもが評価のできるところに上がらない一つの問題点であろうと考えております。 こうした状況の中で、かなり過去三回の売り出し価格を下回る状況が続いておりますが、先ほど
局長
から申し上げておりますように、今後の放出の方法というものを明らかにしていくこと、さらに、これは
郵政省
の方でもさまざまなことをお考えいただいておるようでありますが、将来のNTTのあり方というものに一定の方向性を明らかにしていただくこと等々によりまして正常な評価が受けられる状態になることを願っておる次第であります。
猪熊重二
224
○猪熊重二君 これをお伺いすることが妥当かどうかわかりませんけれども、本
年度
はどうなんですか、NTT株は。なお、売却の時期や
金額
、株数等については、現在少しは確定的な問題はあるんでしょうか。
篠沢恭助
225
○
説明員
(篠沢恭助君) 今後のNTT株式の売却方針につきまして、この民営化をとにかく進めると、本当の意味での民営化を達成していくというためには、なお政府の大量に保有しております未売却株の放出というものがいずれにせよ必要になるわけでございますが、これにつきまして、昨年十二月末、
平成
三
年度
予算
編成と絡めまして
郵政省
等とも十分論議をしたことでございますが、その際に、未売却の株式の今後の売却方針について、方針を公表したところでございます。その方針に従いますと、
平成
三
年度
におきましては売却株式数は五十万株を予定したいということで、
平成
三
年度
予算
におきまして処分限度数として
予算
総則におきまして五十万株の売却ということを上限として授権をいただいておるところでございます。 なお、後
年度
におきましても同様の方針を引き続き続けていかざるを得ないと考えております。 では、
平成
三
年度
におきまして、いつ、どのような状況でどうなるかということにつきましては、何とかしていわゆるこの放出の再開にこぎつけたいと思っておりますが、御承知のとおり、現段階ではまだ株式市場は低調な状況にございます。株価がどうこうということよりは、株式市場全般としての動きが低調であることは先生御承知のとおりでございます。なお市場の状況、市場環境等を見きわめ、市場
関係者
の御
意見
等も客観的に見きわめました上で、
平成
三
年度
内で予定の処分限度数内での処分、放出というものを図れるように努力してまいりたいと考えております。
猪熊重二
226
○猪熊重二君 NTT株の問題はこれで終わります。ぜひ株が上がりますようにと、国民ともども祈っている次第であります。 木曽岬干拓事業の件についてお伺いします。 この件に関しては、去る二十四日、本会議において私が
大蔵大臣
及び農水大臣に
質問
申し上げたわけです。要するに、農水省所管の国有地木曽岬干拓事業が、国費百十億円余を費やしたにもかかわらず、
昭和
五十六年完成した後、愛知・三重県の県境が確定されないために放置されてきている。これについての
大蔵大臣
並びに農水大臣の御答弁は、愛知県、三重県でともかくうまく早く話してもらうように待っているというような御答弁の趣旨だろうと思いました。まだ会議録がありませんのでよくわかりませんが。 私がきょうお伺いしたいのは単純なことなんです。愛知、三重両県の県境が未定だからということで、国の立場において百十億円余も出した大蔵省、それからそれの所管の事業主体である農水省として、この二つの県の話がつかなければ、これから後五年でも十年でも二十年でも待つんですかということなんです。そうじゃなくて、政府の立場においてこの県境を確定して、せっかくの干拓事業を軌道に乗せるための
法律
的な方策はないんでしょうか、あるんでしょうか。あるとすれば、どういう方策を今後おとりになるおつもりなんでしょうか。この一点だけで結構です。
近藤元次
227
○
国務大臣
(近藤元次君) 先生御案内のように、
農林水産省
には干拓事業の
土地
に関する都道府県の境界を決定するという権限はないわけでございますけれども、地方自治法に基づいて、関係ある地方公共団体の同意を得て自治大臣がこれを定める等の
法律
手続が整備はされておるわけであります。 現実の問題としては、この県境問題については愛知・三重県に対して私の方からも指示をして、東海農政局から協力要請をし、そして協議を今進めていただいておるところでございます。
農林水産省
としては、なお一層我が省としても協力を申し上げて、今熱心に協議をしていただいている両県に対して、一日も早く合意が得られるように進めていきたいと考えておるわけであります。
猪熊重二
228
○猪熊重二君 それについてもいろいろ申し上げたいことがありますが、私はほかに掃海艇派遣の件に関してお伺いしたいので、今の点はまた次の機会に譲らせてもらいたいと思います。 政府が掃海艇の派遣を決定して、今海上自衛隊の掃海艦艇がペルシャ湾に向かってインド洋を航行中であります。しかし、この掃海艇の派遣は自衛隊法に違反しているおそれが非常に多いと私は考えます。 掃海艇の派遣決定の手続について、四月二十六日の参議院本会議における海部総理の
報告
によると、四月二十四日安全保障会議及び臨時閣議においてこの派遣を決定した、こういうふうに
報告
されました。 私が
内閣
官房にお伺いしたいのは、政府として、今回の掃海艇の派遣につき安全保障会議の議を経る必要があると判断したのか否か。
米山市郎
229
○
説明員
(米山市郎君) ペルシャ湾への掃海艇の派遣につきましては、自衛隊法第八章の中で
規定
をされております「機雷等の除去」の
規定
、これは同法第九十九条、この
規定
に基づくものでございます。この
規定
は、
防衛庁長官
の命によりという
規定
がございますので、もちろん
防衛庁長官
の判断で掃海艇派遣をすることが可能でございます。しかし、掃海作業を
実施
する地域が、海域と申しますか、それが海外であるということであるとか、あるいはまた
国会
等におきましても種々の御論議がございました。また国民の関心も非常に強いというようなことも勘案いたしまして、政治的な重要性にかんがみ安全保障会議の議を経ることが適当であるというふうに考えたわけでございます。 第八章に
規定
をされている活動、これは一般的に自衛隊の活動に関する
事項
でございますので、当然国防に関する
事項
に該当をいたしますが、同法第六章に
規定
をされております防衛出動等の活動とは異なって、それが直ちに安全保障会議設置法で言う「国防に関する重要
事項
」ということには該当はいたさないとは考えておりますが、先ほど申し上げましたように、海外であるということ、あるいは国民的な関心が非常に高いということから、政治的な重要性にかんがみて安全保障会議の議を経たということでございます。
猪熊重二
230
○猪熊重二君 要するに結論としては、安全保障会議の議を経る必要はないけれども、何だか知らぬけれどもやった、こういうことですか。結論だけ答えてください。
米山市郎
231
○
説明員
(米山市郎君) 政治的な重要性にかんがみて議を経たということであります。
猪熊重二
232
○猪熊重二君 安全保障会議の会議に付すべき
事項
は同法二条に
規定
してあるんです。同法二条のどの条項に該当して安全保障会議にかけたんですか。
米山市郎
233
○
説明員
(米山市郎君) 二条一項の五号「その他
内閣
総理大臣が必要と認める国防に関する重要
事項
」に該当すると判断いたしました。
猪熊重二
234
○猪熊重二君 ペルシャ湾に対する掃海艇の派遣が国防に関する重要な
事項
なんですか。これは重要なことですよ。国防に関する、国の安全に関する重大なことだということだったら、これはもう自衛隊の出動そのものです。「国防に関する重要
事項
」という二条一項五号の
規定
に基づいて安全保障会議にかけたんですか。
米山市郎
235
○
説明員
(米山市郎君) 先ほどもちょっと触れましたが、掃海艇の派遣は九十九条に基づくものでございます。これは第八章に
規定
をされておりまして、自衛隊の活動に関する
事項
でございます。当然それは国防に関する
事項
に該当するというふうに考えますが、ただ、それが直ちに重要
事項
に該当するかどうかということについては、一般的に、八章に
規定
をされている事柄がすべて重要
事項
に該当するわけではございません。しかし掃海艇の派遣につきましては、
実施
する地域が海外であること等から、その政治的重要性にかんがみて、文民統制の観点から安保会議に諮ったということでございます。
猪熊重二
236
○猪熊重二君 法制
局長
官に伺う。 ペルシャ湾に対する掃海艇の派遣が国防に関する重要
事項
であるということを前提にして安全保障会議にかけたんですか。
工藤敦夫
237
○
説明員
(工藤敦夫君) お答えいたします。 まず、ただいま安全
保障室長
の方からお答えございましたように、自衛隊法の九十九条に基づきましての問題でございます。したがいまして、九十九条におきましては「海上自衛隊は、長官の命を受け、海上における機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理を行うものとする。」、こういうことで、長官の命を受けていわゆるペルシャ湾にまで出かけていく、かようなことになるわけでございますが、同時に、この問題に関しましては、先ほどもお答えございましたように、いわば訓練目的以外で海外に出てまいりますというふうなこと、あるいはそういうふうなことについての、言ってみれば初めてのことでございますし、そういう意味で安全保障会議設置法の二条一項五号「その他
内閣
総理大臣が必要と認める国防に関する重要
事項
」、かような
内閣
総理大臣の判断、国防に関する、まあ国防それ自身ではないということは御
指摘
のとおりかもしれませんが、国防に関する重要
事項
、こういうことで安全保障会議にかけられた、かように理解しております。
猪熊重二
238
○猪熊重二君 この五号はその他
事項
であって、「国防に関する重要
事項
」と書いてあるのは、防衛出動をするかせぬかというふうな重大なことを安全保障会議の議題とする、そういう例示
事項
の後にある重要なことなんです。ペルシャ湾に行って機雷を掃除することが何で我が国の国防に関する重要な
事項
なんですか。これは今まで政府が言っていた、戦争とか武力行使とかそういうことと関係ない安全な、平和が回復したペルシャ湾における
船舶
航行のための機雷掃除だ、こう言っていたのと全く矛盾するじゃないですか。何ということを言うんですか。 それじゃ、ともかくもしこれがこの条項に該当するんだったら、安全保障会議の議を経なければ、海上自衛隊の掃海艇は派遣できるのかできないのか、どっちだ。
米山市郎
239
○
説明員
(米山市郎君) 自衛隊法の
規定
から申し上げますと、
防衛庁長官
の命によりという
規定
でございますので、閣議決定等はなくても派遣することは可能でございます。 ただ、安全保障会議につきましては、先ほど来再々御説明申し上げておりますように、この事柄の政治的な重要性にかんがみまして
内閣
総理大臣が必要と認めて、国防に関する重要
事項
という判断をしたということでございまして、ペルシャ湾に派遣すること、そのこと自体が国防に関する――国防そのものでないことは事実でございますが、国防に関すること、自衛隊の活動につきましてはそういうふうに私ども判断をしているわけでございます。
猪熊重二
240
○猪熊重二君
質問
はそんなことじゃない。
質問
に答えなさい。 要するに私が
質問
したのは、安全保障会議の議を経なければ掃海艇が行けないというのか行けるというのか、どっちかと聞いているんです。もし安全保障会議の議を経なければ行けないというんだったら、自衛隊法九十九条を政府は勝手に解釈していることになる。
米山市郎
241
○
説明員
(米山市郎君) 安全保障会議の議というのは、あくまでもこれは文民統制の見地からするものでございます……
猪熊重二
242
○猪熊重二君 そんなことはいい、結論。
米山市郎
243
○
説明員
(米山市郎君) そういう意味で安全保障会議の議を経ることが適当であるというふうに考えております。
猪熊重二
244
○猪熊重二君 適当とか適当でないとかということを聞いているんじゃない、私は。自衛隊法九十九条に書いてあることは、長官の命によって海上自衛隊は日本の近辺の機雷を掃除できると書いてある。それだけのことなんです。それは私の結論です。あなたと
意見
が違う。 だけれども、自衛隊法に長官の命によりできるといって書いてあるこの
法律
を、安全保障会議の議を経なければできないというもし政府の見解だったら、政府の見解は
国会
が決めたこの九十九条、この
国会
の決めた
法律
よりも優先するということになる。どうなんです。
池田行彦
245
○
国務大臣
(池田行彦君) 先ほど来
内閣
の方から御答弁申し上げておりますように、九十九条に基づきます自衛隊の機雷の除去等の行動は、長官の命令によって行えるものでございます。これは
法律
にそのとおり書いてございます。 さて、そうして今回の派遣につきまして安全保障会議にかけましたのは、これも先ほど来御答弁申し上げておりますように、九十九条に基づく行動というものは、一般的に申しますと安全保障会議の付議
事項
じゃございません。そして、これまでも国内における機雷の除去等は、そういった手続を経ることなく行われておるわけでございます。しかしながら、今回のこの機雷の除去と申しますのは、その行われる地域が海外であるということ、そうしてまた、それが初めてのことであるということ、こういったことで政治的な重要性を持っておる。そういうことにかんがみまして、また文民統制を確保するという見地から、この安全保障会議設置法の二条一項五号にございます、「その他
内閣
総理大臣が必要と認める国防に関する重要
事項
」に該当するものとして、
内閣
総理大臣が安全保障会議に諮られたものと、このように考えておるところでございます。
猪熊重二
246
○猪熊重二君 そうすると、今回のペルシャ湾に対する掃海艇の派遣は自衛隊法九十九条に基づく派遣じゃないということをあなたは言っているのと同じことなんだ。よろしいんですね。
池田行彦
247
○
国務大臣
(池田行彦君) 九十九条に基づく派遣でございます。
猪熊重二
248
○猪熊重二君 九十九条には、あなたが命令すれば出ると書いてあるんです。こんな安全保障会議だとか閣議決定なんて全く要らないんだ。しかも、あなた自身が閣議で決定したいというふうなことを持っていく。何も安全保障会議でやったから、閣議で決定したから、それで九十九条の
法律
が変更するわけじゃない。九十九条に基づいてやるんだったら今度は安全保障会議は要らないんだ。 そうすると、九十九条の中に二通りあるんですか。安全保障会議の決定を要する掃海艇の派遣と長官だけの命令で行く掃海艇の派遣と二種類ある。どういうことになるんだ。
池田行彦
249
○
国務大臣
(池田行彦君) 今回の派遣自体、これは九十九条に基づいて長官の命令によって行っているものでございます。
法律
的に申せばその九十九条に基づく命令、こういうことになるわけでございます。そして、安全保障会議との関係は、したがいまして安全保障会議における決定あるいは閣議における決定というものがなかったとしてもこの命令そのものは出せるものだと、
法律
的にはそういうふうになると私は考えております。 しかしながら、先ほど申しましたように今回の派遣が初めて、海外の海域において行われるということ等々の政治的な重要性にかんがみて、文民統制の確保という観点からこれは安全保障会議に諮ることが適当である、必要であるというふうに
内閣
総理大臣が判断をされて、その会議にかけた、こういう関係になろうかと思います。
猪熊重二
250
○猪熊重二君 結論的にもう一回確認しておきます。 安全保障会議の決定を経なくても、今回のペルシャ湾に対する自衛隊の掃海艇の派遣はできたのかできないのかどっちか。 閣議決定がなくても自衛隊の今回のペルシャ湾に対する掃海艇の派遣はできたのかできないのか。 この二点について明確に答えてもらいたい。
池田行彦
251
○
国務大臣
(池田行彦君) まず第一点、安全保障会議に諮ることなくできたかどうかという点でございます。これは先ほども御答弁申し上げましたが、
法律
的には安全保障会議に諮らなくても、長官の命令により、九十九条を根拠として派遣することはできたと考えております。 第二点、閣議の決定を経る必要があるか否かという点でございますが、これは、閣議の決定と申しますのは、憲法あるいは
法律
等において閣議の決定を経なくちゃならない、こう
規定
されているものについては当然閣議の決定を経ておりますが、それ以外の問題につきましても閣議の決定がしばしば行われているということは
委員
御高承のとおりでございます。そういったことでございまして、今回の派遣につきましては、閣議の関係においてその決定がたとえなかったとしても、九十九条に基づき
防衛庁長官
の命令によって派遣はできたと、このように考えております。
猪熊重二
252
○猪熊重二君 今私は、掃海艇派遣の決定の手続に関してお伺いをしたんです。要するに、海部総理が本会議において安全保障会議の議を経たとか閣議の決定を経たとか言っているけれども、こんなものはこの掃海艇派遣に関しては何らの、政治的な問題を抜きにすれば、
法律
的には全く何の意味もないということだけを確認しておきます。 終わります。
林紀子
253
○林紀子君 私は、信楽高原鉄道の事故について
質問
をしたいと思います。 信楽高原鉄道とJR西日本の列車正面衝突事故は、鉄道の事故史上まれに見る大惨事となりました。亡くなられた皆様方に私は心から哀悼の意を表すと同時に、けがをなさった方々が一日も早く回復なさるよう、心からお見舞いを申し上げます。 この事故は、国鉄の分割・民営化の中で不採算路線は切り捨てられ、自治体を中心とした第三セクター方式で
運営
せざるを得なかった、厳しい経営基盤のもとに安全対策上手抜かりがあった、そこに事故の大きな原因があった、大もとの原因があったということは明らかです。今回の信楽高原鐵道につきましても、保安担当者はたった二人、電気系統の専門家は一人もいない、こういう状況だったということを聞いております。 今回の事故の具体的な状況について
質問
をさせていただきますが、今までこの区間は単線で、上り下りの列車は全くすれ違うことがなく、その意味では正面衝突するというようなことは全く考えられなかったわけです。ところが、信楽町での世界陶芸祭に大量の人を運ぶために、急遽臨時ダイヤをつくり、JRが直接乗り入れを行うことになり、お互いがすれ違うシステムをつくった、その途上で起こった事故です。つまり、単線で必ずすれ違うのですから、そのための安全対策は絶体に手抜かりがあってはならなかったわけです。この点について、今度の事故の教訓はどうであったか、ここが原因究明に当たっての重要なポイントとなると思うわけです。
運輸省
にまずお聞きしたいのですが、午前中の
質問
の中でもお答えがありましたが、「直通乗入運転に関する信楽駅構内での取扱方について」という信楽高原鐵道のマニュアル、私も見せていただきましたが、「小野谷」の項では、「上り列車」信楽駅側からの列車は「停止扱い、三十秒停止とする。」、「下り列車」貴生川駅からの列車は「通過扱い」と。つまり、通常に運転されているときには相互の列車がすれ違うのは小野谷以外には絶対にあり得ないということですね。
松波正壽
254
○
説明員
(松波正壽君) お答えいたします。 今の御
質問
は、小野谷の信号所においての列車のすれ違いのことかと思いますが、あそこの施設から見ますと、すれ違う箇所は今御
指摘
の場所だと思います。
林紀子
255
○林紀子君 きょうはJR西日本からも来ていただいておりますが、JRの方にお伺いいたします。 事故に遭いました列車は、当日のダイヤでは小野谷信号所ですれ違うということになっていたわけですね。
南谷昌二郎
256
○
参考人
(
南谷昌二郎
君) 当日の時刻表、列車ダイヤでは、小野谷ですれ違うことになっておりました。
林紀子
257
○林紀子君 この信楽高原鐵道での協定に基づく取り扱いでは、-小野谷で必ずすれ違うということになっている、これがここでの運転規則の前提であり原則であると思うわけです。ですから、必ず停止していることになっている上りの列車がいなかったのだから、通常の状態ではなかった、こういうことになると思いますが、
運輸省
、いかがですか。
松波正壽
258
○
説明員
(松波正壽君) お答えいたします。 ダイヤの上でいいますと、今回の連行のケースの場合でございますとすれ違うことになっているわけですから、運転上からいいますと、少し普通の状態ではない状態にあったかと思います。
林紀子
259
○林紀子君 信楽高原鐵道とJR西日本の間に交わされた協定書の第三条、列車運行図表、ダイヤのことだと思いますけれども、これは必ず小野谷信号所ですれ違うということになっているわけです。ですから、この日はこの協定書の第三条に基づく状況になかったわけですから、正常な状態ではなかった。ですから、下りの列車はJRの貴生川駅に問い合わせ、連絡をする、こういうことが危険を回避すべきただ一つの道だったと思うわけですが、どうでしょうか、
運輸省
。
松波正壽
260
○
説明員
(松波正壽君) お答えする前に、少し一般論で御説明をさせていただきたいと思います。 列車の安全運行の確保につきましては、先生も御案内かと思いますが、必ずブロックというのがありまして、絶対一列車しか入れない、それを現示しまして行っていいかどうかを決める。したがいまして、通常でございますと、常用閉塞といいまして信号をもとに判断をして、赤の場合ですと前に列車がいるから行っちゃいけませんよ、青の場合でしたら行っていいですよというのが基本でございますが、今回の場合は、それがなかなか出ようとしても出られなかったものですから、常用閉塞から代用閉塞といいまして、信号等の故障があった場合には別の方法によってやる。したがいまして、信楽の駅からだれかが出ていきまして、前の線路の中に列車がいないかどうか確認した上で次の列車が出なければいけない。 こういう方法で運行をされておりますので、先生御
指摘
の、ただ信号所でどうだった、これだけで判断するのではなく、そういういろんなシステムの中で安全運行が確保されている、こういうことを御理解賜りたいと思います。
林紀子
261
○林紀子君 今お話があったのは、一般論というふうにおっしゃったとおりに、これは正常なときのお話だったと思うわけですね。 今回のことにつきましては、やはりすれ違いということが前提であったということなわけですから、すれ違い列車がいなかったらこれはおかしいと思うのは当然だと思うわけですね。それをJR側の貴生川駅から来た列車は、そのまま、信号が青であったというふうに言われておりますけれども、ここを通過してしまった、突っ走ってしまった、こういうことになると思うわけです。 そして、この協定の第四条には、「運転取扱いに必要な
事項
について、相互に文書を交換し、
関係者
に周知徹底を図る」というふうに書かれているわけですね。「直通乗入運転に関する協定書」の第四条です。小野谷で必ず列車がすれ違うという取り扱いを無視いたしましたこのJR側の認識、青だったから突っ走るということでは、運転取り扱いの趣旨は正確に周知徹底はできないのではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
松波正壽
262
○
説明員
(松波正壽君) お答えする前にもう一度だけ御説明をさせていただきたいんですが、一般的な常用閉塞につきましては御理解賜ったと思いますけれども、今回、なぜか原因はわかりませんけれども、今調べておりますが、信楽の駅を出るときに信号が赤のままでなかなか青に変わらなかった。したがいまして、その判断として、これも確認しなきゃいけませんけれども、代用閉塞といいまして、人が前に走っていきまして――今回の場合も自動車で行かれたようでございます、同時に電車も出たようでございますが、前の線路の状況があいているかどうかを確認して行けばよかったんですが、なぜかそのまま列車は出てしまった。 そこで、もう一つ信号の方を見てまいりますと、これもこれからよく確認をしなきゃいけませんですけれども、信楽の駅を出るときには信号装置がございまして、誤って赤で出ますとそれなりにそういうチェックする機能がございます。それで先の方の信号は、正常であるならば、今先生御
指摘
の小野谷からこちらの信楽の方に来る列車に対する小野谷の出発信号というのがございますけれども、今青とか赤とかいろいろ言われておりますが、それが普通ならば、正常であるならばこれは赤にならなければいけないわけでありますか、今回はちょっといろんな状況で今のところはっきりしてございませんが、そういうように代用閉塞をとると同時に信号のシステムにおいても安全対策についてはついてあるわけですから、先生御
指摘
のように、すぐもう小野谷であってそれで信号がどうのこうのと。 やはりまず一つの考え方としましては、いろいろ調べなきゃいけませんけれども、信号が基本で運行されていることは事実でございますので、今正常であればこういう状態でございますということを申し上げました。
林紀子
263
○林紀子君 ですから、今お話がありましたのは、確かに正常であれば、信楽の駅が赤であればこちらが青で、こちらが赤なら向こうが青でということだと思うわけです。しかし、そう働かなかったというところが今一番大きな問題なわけです。 そこでJRにお聞きしたいと思うのですが、貴生川の駅から信楽駅に向かって走っているJRの列車に無線連絡はとれるような状態になっていたのかどうか、お聞きしたいと思います。
南谷昌二郎
264
○
参考人
(
南谷昌二郎
君) 貴生川の駅から当該列車に対して、無線で連絡できる状態にはなっておりませんでした。
林紀子
265
○林紀子君 午前中のお話ですと、信楽高原鐵道とJRは違う無線の周波数なので、信楽駅からJRの列車に、それから列車同士は連絡ができないというお話だったわけですが、今お話を聞きましたら、貴生川駅からもJRの列車に、JRの駅からJRの列車に連絡ができなかったわけですね。どうしてそういうことになっているわけですか。
南谷昌二郎
266
○
参考人
(
南谷昌二郎
君) 貴生川駅にございます私どもの無線装置は到達範囲が非常に狭うございまして、貴生川駅から出発いたしますと直ちに無線機は使えなくなる状態でございます。したがいまして、私どもは、指導といたしまして、信楽線に入る場合には無線機のスイッチを切るという指導をしております。
林紀子
267
○林紀子君 これは今までどの新聞にも、マスコミにも出ていなかったことだと思うわけですが、私は、少なくともJRの貴生川駅からは同じJRの列車には連絡ができるものだと思っていたわけですね。ところが、連絡ができないでしかもスイッチを切っちゃう。そういうことでしたら、このJRの列車に乗っている運転士さんというのは全く孤立無援、何の連絡もとれないわけですね。だから、もし何か、今回のようなことじゃなくて、例えば土砂崩れが起こりましたとか、そういうようなことがあっても、この運転士さんにはどこからも連絡がとれないということになるわけですね。 さっき走っていくという話もありましたけれども、あそこの信楽高原鍛造に並行して通っている道路というのは、私も現場まで参りましたけれども、大変狭い上に、当時は胸芸祭というものが行われていたわけですから、道路はごった返していたわけですね。もし何かあったらどういうような措置をとるつもりだったわけですか。
松波正壽
268
○
説明員
(松波正壽君) 信楽高原鐵道の情報連絡の一つとしてどういうものが設置されているかと申しますと、沿線に五百メートルおきに電話の端子がございまして、そこから連絡をとる。いわゆる運転者がしかるべき指令所等に連絡をとるという体制にはなっておりますし、小野谷信号所におきましても、けさほどもちょっと御説明をさせていただきましたが、しかるべき措置をとれば回転灯が回って効く、そういうような仕組みにはなっております。
林紀子
269
○林紀子君 今のお話を伺いましたらますます、運転士さんに任されているわけですから、運転士さんが自分でおりて連絡をしなければ駅からは全然連絡できないということなわけでしょう。ですから私は先ほど、運転士さんはどうして小野谷の信号所のところで青だからと突っ走っちゃわないで、そこで貴生川駅に対して連絡をしなかったのかというふうにお聞きしたわけです。ぐるぐる回ってしまう話になるわけですよ。 私はここで、「運転取扱心得」、これは「信楽高原鐵道運転取扱心得」ですが、信楽高原鐵道に入ったJRの列車はこの「運転取扱心得」に従って走るということを聞いておりますけれども、この「運転取扱心得」の「異常時取扱基準規程」というものが定められている。この中には第七条で、「事故または災害が発生したときは、駅長は運行中の列車に対し事故または災害の発生を緊急連絡しなければならない。」と定められているわけですね。そうしましたら、連絡手段がないままにJRの列車は信楽高原鐵道に乗り入れたと、こういうことになるんじゃないですか。明らかにこの規程に違反するんじゃないかと思いますが、
運輸省
いかがですか。
松波正壽
270
○
説明員
(松波正壽君) お答えをいたします。 今先生、あるポイントに絞って御
質問
がございますけれども、我々いろいろな角度から見なきゃいけないわけでありますが、この事故の原因がどこにあるかは、先生そこだけ御
指摘
されますけれども、幾つか前段階がありまして、やっぱりどこかにあったんだろう、それを判断した上で、幾つかのシステムがあるわけでございますから、今大変厳しく先生そのことだけ御
指摘
ございますが、それは一つの方法でありますが、まず基本的なのは、先ほど来申し上げましたような、鉄道の安全システムの中で常時どうあるべきか、あるいは故障したときには代用をやったり、いろいろな手続の中であるわけでございますので、今我々原因等につきましては、本部決定もいたしておりますから、徹底的な究明に当たっているところでございます。
林紀子
271
○林紀子君 事故というのは、確かにいろんな要素が重なった場合もありますけれども、決定的な一つのミスで事故が起こるということもあるわけですからね。何か一点に絞ってとおっしゃいますけれども、その一点一点というのがどういうものだったかというのを明らかにしていかない限り、事故の原因究明というのは本当にできないんじゃないかと思うわけですね。 そこで私は大臣にお伺いしたいと思うわけですけれども、先ほど午前中にも、この無線の問題につきましては大臣も至急検討したいというお話ありましたけれども、今のようなお話を聞きましたら、なおさら、JRがJRに連絡できるだけではなくて、乗り入れた場合はその第三セクターの当該の駅、指令所とも直接交換できるようなそういう無線というのは、どうしても至急に形態をつくり上げていかなければ、今後どういう事故がどこで起こるか。第三セクターと乗り入れというのが方々で行われているわけですから、ぜひこれは至急考えていただきたい。検討をいたしますというのんびり先の話じゃなくて、もうこれは大至急考えて実現をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
村岡兼造
272
○
国務大臣
(村岡兼造君) 今の、無線の形態が違いまして連絡がとれないということにかんがみまして、事故が起きましてから
郵政省
にも私問い合わせました。そういたしますと、そんな莫大な費用もかかるわけでございませんが、もし取りつけるとすると、やっぱり車両の方へ穴をあけてアンテナを張らなきゃいけない、こういうようなこともございまして、今至急検討してそういう対策をとりたい、こういうふうに思っております。
林紀子
273
○林紀子君 それはぜひお願いしたいと思います。 それでは次に、運転士さんの教育訓練の問題についてお伺いしたいと思うわけです。 JRにまずお聞きしたいと思いますが、この乗り入れに際して運転士の訓練というのは、机上の講習二時間、線見、これは線路見学の意味だと思いますが、一往復、ハンドル訓練三往復。こういう「信楽高原鉄道株式会社線内への直通乗入れについて」というマニュアルといいますかメモといいますか、JR西日本のものを見せていただいているわけですが、これで間違いありませんか。
南谷昌二郎
274
○
参考人
(
南谷昌二郎
君) 相違ございません。
林紀子
275
○林紀子君 それでは
運輸省
にお伺いいたしますが、
運輸省
の「鉄道運転規則の取扱い等について」という
昭和
六十二年四月一日に出されました通達では、操縦者が担当する線区を変更する場合の教育訓練という
規定
はどうなっておりますでしょうか。
松波正壽
276
○
説明員
(松波正壽君) お答えをいたします。 今先生御
指摘
のございましたように、「鉄道運転規則の取扱い等について」という通達の中に教育訓練が書いてございますが、この通達の意味するところは、「動力車操縦者が列車等の操縦を担当する線区を変更」、特に、「新規に運輸営業を開始する場合を含む。」ということで、「新規に」と、新たにというようなことが基本になっておりまして、その場合にはこの通達の趣旨にのっとってやっていただきたい、こういう通達の
内容
かと考えております。
林紀子
277
○林紀子君 具体的にはその通達の
内容
というのは、ちょっと時間がありませんから私申し上げますが、「五往復以上の操縦訓練を
実施
する」と、こういうことですね。それで、今新規にというふうにおっしゃいましたけれども、この信楽高原鐵道への乗り入れに際して、JRの方のお話ですと三往復の訓練でやったと。五往復と三往復、ここでもう二往復違っているわけですね、訓練の回数が。新規にというふうにおっしゃいましたけれども、確かにこの信楽高原鐵道というのは以前は国鉄の信楽線だったわけですからここを運転した経験のある運転士さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、そのときと大きく違っているのは、そのときは、先ほど申し上げましたように、単線一本ですれ違いはなく、衝突する危険は絶対にないという線路だったわけでしょう。ところが今回これが待避線というものをつくって、衝突するような、今回起こったような事故も想定されるようなそういう線路に変更になったわけです。それにもかかわらず、この通達では運転士さんはその線路で五往復以上訓練しなくちゃいけないというのに、JR西日本は三往復ということで訓練をしてきたわけですから、これは大変な問題じゃないでしょうか、いかがですか。
松波正壽
278
○
説明員
(松波正壽君) 今先生御
指摘
の中に、この通達で、我々新規に運輸営業を開始する場合には、今御
指摘
のございましたような線路見学とか、あるいはある回数の操縦訓練についてやっておりますが、今回の場合について見てまいりますと、確かに過去の国鉄時代とは信号所等若干の変更はございますが、運転者の方に着目してまいりますと、ここの信楽線の時代に走って経験のある方々を選んで直通乗り入れの運転のための操縦者として選定されたと伺っておりますから、したがいまして、過去のこの線区におきますところの豊富な経験を踏まえながら、そういうことを勘案して、この趣旨に照らして指導したものと考えております。
林紀子
279
○林紀子君 しかし、それは、通達を出した
運輸省
がそういうことをおっしゃっていいのかなと思うわけですね。この通達には、「就業する区間の線路見学及び五往復以上の操縦訓練を
実施
する」ということを書いて、その後に続けて、「区間の長さ、線路、信号の現示の複雑さ等を考慮して、操縦訓練の回数を適宜
増加
すること。」、こうは書いてありますけれども、減らしていいなんていうことは一切書いてないわけですよ。ですから、そういう意味では
運輸省
自身がそういうことをおっしゃるというのは、本当に安全ということについてどう考えていらっしゃるのか。この安全ということをきちんと守って運転士さんもきちんと訓練をしなければならないのに、しかも待避線というのを設けた新しい線路で、三往復でいいなんということを言ってこれを見過ごしてしまった。こういうことを、もし遺族の方がこの事実を知ったら、また、けがをなさった方たちがこういうことを知ったら、本当にどんな思いがなさるかというふうに思うわけですね。 運輸大臣、安全の問題についてお聞きするということを通告はしておりませんけれども、こういう姿勢で本当に安全が守られるのかどうか。
運輸省
が決めた五往復は訓練をしなければいけないというところを三往復でいいなんという、そんなことはどこにも書いてないのに、そういうことで許されるのかどうか。安全のことをどうお考えかということを一言御見解伺いたいと思います。
村岡兼造
280
○
国務大臣
(村岡兼造君) 趣旨は今
部長
がお答えしたとおりであろうと思いますが、私もこの問題につきましては今初めて聞いたような状況でございますので、今後どういうことで、またJR西日本さんと信楽鐵道でどういう状況で運輸局へ
報告
したかどうか、詳細に今後また調べてみたい、こう思っております。
林紀子
281
○林紀子君 この通達というのは、安全ということを考えて最低五往復の訓練をしなくちゃいけないということで出されたものだと思いますから、これはきちんとそういうことを考えていただきたいと思います。 警察庁にお伺いしたいと思うわけですけれども、今回の事故におきまして信楽高原鐵道の故障時における対応のミス、信楽駅を赤信号で出てしまった、そういうようなミスは重大なことだと思うわけです。しかし、今私が具体的に
指摘
をいたしましたように、JRが今まで新聞などでも発表しているように、信楽高原鐵道側にすべて今回の責任がある、こういうことはやっぱり事実に反するのではないかと思うわけですね。小野谷信号所の運転の取り扱いの問題とか、無線の問題であるとか、またこの操縦訓練の運転規則の違反の問題であるとか、こういうことを具体的に言ってまいりましたけれども、こういう点につきましても当然捜査の
対象
として重大な関心を持って調べていらっしゃるわけですね。そのことを確認したいと思います。
國松孝次
282
○
説明員
(
國松
孝次君) 本件につきましては、現在滋賀県警察本部におきまして所要の捜査を推進中でございます。私どもは捜査機関でございますので、刑事責任の追及というのが任務でございますが、それにつきましては、いずれにいたしましても事故原因の究明というものが基礎になるものでございますので、
関係者
の皆さんからいろんな事情を聞く、これからもいろんな専門家の御
意見
を聞きながら事故原因の究明をいたしまして、その上で刑事責任がどこにあるのかというようなことにつきまして判断をすべきものであると考えておるところでございます。
林紀子
283
○林紀子君 今一般的なお話があったわけですけれども、私は、この具体的な問題について関心を持って調べているかということを具体的にお聞きしたんですが、いかがですか。
國松孝次
284
○
説明員
(
國松
孝次君) 現在、滋賀県警察におきましていろんな方々から事情聴取をいたしておるところでございますので、そういったものを全部総合いたしまして判断するものであると考えております。
林紀子
285
○林紀子君 そういう意味では事故の原因というのはまだ明らかになっていないわけですが、信楽高原鐵道側はもちろん、JR側にも重大な過失があると考えられます。 そして、いずれにしても遺族補償というのは莫大なものになると思うわけです。こうした負担も含めまして、信楽高原鐵道だけの力では到底でき得ない、経営の再開さえ難しいという状況です。そこで、四九・五%出資をしている県、二五%出資をしている信楽町、こういうことの負担になりますと、結局これは県民、町民の負担にもなっていくわけですね。遺族補償につきましても、復旧、再開に向けましても、どうしても国の援助が必要であると思いますし、またJRの人的、物的両面の援助も必要だと思われます。 この遺族補償、それから復旧、再開について運輸大臣並びに自治大臣、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。
村岡兼造
286
○
国務大臣
(村岡兼造君) 午前中の
質問
にもお答えをいたしましたが、御承知のとおり、信楽鐵道は年間一億の
収入
で十八万ぐらいしか利益のない会社であります。県の方が筆頭株主で四九%、また役員も派遣されておるということで、事故の
報告
等に滋賀県知事が参りました際に、まだ原因等はっきりしておりませんけれども、いずれにいたしましても信楽鐵道では
支払い
能力がない、こういうことでひとつ今後の補償については誠意を持って当たっていただきたい、こういう要請をいたしました。知事も、県議会その他と話し合わなきゃならないけれども、誠意を持ってこれにおこたえしたい、こういうお話でございました。 また、私どもの方といたしましても、対策本部をつくりまして、亡くなられた方々及びけがをされた方々に対する補償については誠意を持って当たるように、
関係者
を十分指導してまいりたい、こう思っております。
吹田愰
287
○
国務大臣
(吹田愰君) 私の方は自治省としてでありますが、今運輸大臣からお話がありましたように、第三セクター、非常に弱い組織ですね。しかし、何といってもその原因が天災でないことだけは間違いないわけですから、人為的災害であることは間違いありませんから、そうすると、当面は、やはり私は少なくとも信楽並びにJRというところにその原因の責任があると思いますね、直接の責任は。 ですけれども、地方公共団体というものが、県なり市町村がこれに出資しておりますから、それも大きなこれからの
対象
として考えられることになるでありましょうが、今の段階で私の方はどうするこうすると、財政的な問題について口を挟むという意思は毛頭ありません。しかし、今後そういった問題につきまして県なりあるいは市町村から御相談が上がってくれば、それはそれなりにまた研究課題として検討しなきゃならぬ問題かと思いますが、今の段階ではこの程度のお答えしかできません。
林紀子
288
○林紀子君 私もあちらに参りまして、信楽町から、また県からお話を伺いましたけれども、やはり県が出すにしても膨大なお金になる、莫大なお金になるということで、どうしても国の援助をということを大分強くおっしゃっていらっしゃいましたので、これから考えてくださるということですので、それは自治大臣、運輸大臣、また
大蔵大臣
もともにぜひお考えいただきたいということをお願いいたしまして、時間がなくなってしまいましたので、次の
質問
に移らせていただきます。 米の問題についてお伺いいたします。 海部総理は、さきに閉会した百二十
国会
では、米の問題について、各国に対してあくまで日本の困難な立場をきちっと主張しながら、理解を得るために今後とも努力を続けていく決意だ、こういうふうに答弁をしてまいりました。 ところが、雑誌「エコノミスト」での発言では、ECも可変課徴金をこうする、アメリカも九〇
年度
の農業法案は変えていく、そういう努力の中で日本も国内を説得しながらやっていく、こういうふうに言っているわけですね。今まで説得する相手というのはアメリカやECだったわけですが、この「エコノミスト」の話では、国内、国民を説得していくと。百八十度違ってしまったのではないかと思って大変びっくりしたわけです。 農水大臣に三点ほどお伺いしたいと思います。 従来の方針、米の輸入自由化は部分的にもしないというこの方針を変えるつもりがあるのかどうか。サミット前に軌道修正をするお考えか。今後とも
国会
決議に基づいて米の輸入自由化は認めないという主張を貫くべきだと思うが、それについてはどうお考えか。この三点につきまして、大変はしょって申しわけありませんが、お答えいただきたいと思います。
近藤元次
289
○
国務大臣
(近藤元次君) 従来の方針を変えないで主張してまいりたい、そう考えております。 サミット前とか後とかはいろんな時間的なことのいろいろ発言がありますけれども、これはガット・ウルグアイ・ラウンドの進行状況の中で前になったり後になったりという、何かを
対象
にして決めることではなくて、ウルグアイ・ラウンドの進行状況の中で決めていくということだ、こう思います。 もう一点は、冒頭申し上げましたように方針を変えないということで御理解いただきたいと思います。
林紀子
290
○林紀子君 きょうは官
房長
官にもおいでいただいておりますので、お聞きしたいと思います。 今申し上げました「エコノミスト」誌での海部総理の発言に加えまして、臨時行政改革推進
審議
会、鈴木永二会長ですが、この
審議
会もロンドン・サミット前に米市場の部分開放もやむなし、こういう緊急提言を打ち出すということだというふうにも伝えられております。サミット前にも軌道修正して米の部分自由化に踏み込むのではないかという大変強い心配がございますけれども、いかがでしょうか。
坂本三十次
291
○
国務大臣
(坂本三十次君) 今
農林水産大臣
がお答えをいたしましたように、サミット前とか後とかということではなしに、このウルグアイ・ラウンドの問題は、お米もそれは重要な問題でございましょうけれども、そのほか十五分野にわたりましてもう数え切れないくらいのたくさんの問題が山積をしておるわけでございまして、それをサミット前に解決というようなことではなしに、ウルグアイ・ラウンドまで各国言うべきことは言う。日本もそうでございますし、言うべきことは言う。そしてまた、各国のお話もよく聞いて、それが納得できるようなことであればこれまた聞くもよしと。しかし、我が国といたしまして、やはり国内産で自給をするという基本方針、これは変えることは今考えてはおりませんという趣旨だろうと思っております。 とにかくウルグアイ・ラウンドは成功させないと、自由貿易で今日ここまでやってきましたこの日本の大きな基本が揺るぐことに相なります。これは成功させなければなりません。しかし、その間においていろいろな問題があります。特に農業問題などにつきましても、アメリカにもECにも非常に難しい問題を抱えておりますし、我が国といたしましてもお米の問題がございますし、日本は食糧はもう世界一自由貿易の線に沿って輸入をしておる国でございまして、そして食糧の自給率も非常に低いんですけれども、そういうふうにして大きな流れに沿って食糧輸入国にもなっておるということもございます。 しかし、お米のことにつきましてはやはり
国会
の決議もございますので、
国会
決議の趣旨をよく尊重して、そして国内産で自給するというこの基本は守っていきたいなと、そういう方針でウルグアイ・ラウンドに臨んで我が国の主張を述べて、各国の御理解を得るという努力を続けたいと思っておりまして、農水大臣の申されるとおりだと私は思っております。
林紀子
292
○林紀子君 きのうの記者会見で、長官は米の問題について互譲の精神でやっていくと発言したというふうに伝えられております。今のお答えの中でも、ほかの国のことも聞いて、納得すればそれはまたよしというような御発言もございました。 そういうことをお聞きいたしますと、互譲というのはお互いに譲り合うということだと思うわけですので、アメリカがウエーバー条項はやめる、ECは可変課徴金をやめるというようなことになったら、日本もそれでは譲りましょうということになるのかどうか、そこが非常に心配なところなわけですね。ガットというので、ガット・ウルグアイ・ラウンドを成功させるということは、互譲の精神でやっていけば、日本も譲るということがあり得るというふうにどうしても受け取ってしまうわけです。 しかし、今お話にありましたように、
国会
の三回の決議、これは米の部分的な輸入自由化もノーだ、だめだということをはっきりと決めていると思いますので、そこのところをもう一度はっきりお答えいただきたいと思います。
坂本三十次
293
○
国務大臣
(坂本三十次君) 御承知のとおり、ウルグアイ・ラウンドはたくさんの国が集まって、そしてみずからの国の国益にも従ってちょうちょうはっしとやっておる。特に農業問題は大変な問題であるということはもう御承知のとおりでございます。 しかし、私が互譲の精神でと申し上げたのは、ああいう世界の自由貿易を守るか守らぬかという大きな目的がございますので、その大目的に沿って、そしてみんな言うべきことはどんどん言うけれども、なるほどという納得がいくようなことがありましたならばそれにも耳を傾けていく。これは国際会議でございますから、断固闘うというだけではこれはなかなか通りませんですね。やっぱり今後いろいろ日本も言うべきことは言う、そしてなるほどと思わせるような努力もしなきゃなりませんし、それからまた諸外国の言うことの中で、今後なるほどと思われるようなことがあったら、これもやはり耳を傾けて聞かなければならないという、あれだけの大事な会議でございますから、やはりその精神は互譲の精神であるという、大きな意味で私は申し上げたわけでありまして、十五分野のうちの農業分野、その農業分野の中の日本で言えば米の問題、そういう具体的な問題につきましたならば、具体的ないろいろの問題がそこで出てきたときには、それはよく判断をして、そしてこれはノーと言うべきか、これはイエスと言うべきか、そこまで突っ込んで詰めてきた最終段階では、それはそのときになって判断をすればよろしい。初めからノー一点張りではこれはなかなかそうはまいりません。 そういう意味で、言うべきことは自分も言う。それから、いいお話があればなるほどと聞かせてもらう。そういう気持ちで世界じゅうの皆さんがお話しをしていただきたいものだなということを私申し上げたわけであります。
林紀子
294
○林紀子君 米の問題、特に農業問題につきましては、今互譲の精神とおっしゃいましたけれども、もう日本は譲りに譲っている。先ほど近藤農水大臣からもお話がありましたけれども、日本は農産物につきましては世界最大の輸入国になっている、もうこれ以上譲れない、そういうところだと思うわけですね。ですから、米の輸入自由化につきましては絶対に譲れない、この立場で頑張っていただきたい。ガットでもこの立場で臨んでいただきたいということを強調いたしまして、私の
質問
を終わります。
井上哲夫
295
○
井上哲夫
君 私は、きょうは
高井
委員
に交代をいたしまして
質問
をさせていただきます。 先ほど猪熊
委員
の方から、木曽岬の干拓事業に関しまして大臣に
質問
がありました。この木曽岬の国が事業体となった干拓事業が、
平成元年
度の
会計検査院
の
指摘
でも重ねて国費のむだ遣いだというような
指摘
があるわけでありまして、繰り返して
質問
をするということはいささかくどいという印象も与えますが、この問題について、与えられた時間
質問
をしたいと思います。 木曽岬の干拓地といいますのは今県の帰属をめぐって争っている。お隣に座ってみえる三治
委員
は愛知県で、私は三重県でして、何かそぐわない感じもするんですが、そうじゃなくて、国費の有効な使い方あるいは事態の一刻も早い解決のためのと、こういう趣旨でお尋ねをいたしますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。 実は、県境が決まらないので困っている。県境が決まらないので困っているが、どうしようもできない。地方自治法では、公有水面の埋め立てについて決まらない場合には、自治大臣が最後は入ってくるというような構造になっているわけでございますが、この木曽岬の干拓地は、四十一年に着工してから四十九年に陸地化はほぼ完成をしたわけであります。しかし、その間途中で、四十三年の十月に愛知県の弥富町の方の
土地
の地籍が一部含まれていると、こういうふうな問題が新たに出まして、着工して途中でそういう問題を抱えながら干拓事業を進めてきた。そして、
昭和
五十五年に
会計検査院
の
指摘
があったわけでございます、国費のむだ遣いだという観点からでしょうが。それで、翌年の
昭和
五十六年には東海農政局が県境を定めるについての調停に入ったわけであります。五十六年に調停に入りながら、もう本年は
平成
三
年度
で、十年経過をしておる。そういうことを考えますと、先ほど農林大臣の方からこの前の本会議と同様、県境を定めるについて一歩一歩目的に向かって善処をしますというふうなお答えをいただいても、ちょっと満足できないといいますか、もう少し事実の認識を深めていただきたいという願いから御
質問
をするわけであります。 つまり、これで十年たってしまうと、猪熊
委員
もおっしゃいましたが、十年たって、また十年後
会計検査院
の強烈な
指摘
を受けて、また同じことの答弁、やりとりが続くということになれば、これはますます、まあ
大蔵大臣
おみえでございますが、国の貴重なお金を一体どうしているんだということになりかねない。 そこで、現時点で農水省の方でこの問題に関するどのような認識を持ってみえるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
片桐久雄
296
○
説明員
(片桐久雄君) 木曽岬干拓事業につきましては、先生御
指摘
のように、三重県知事より直轄
調査
の申請がありまして
調査
を開始し、
工事
にかかったわけでございますけれども、その後、干拓予定地区内の一部に愛知県の弥富町の
土地
が確認されまして、こういう県境問題というものが発生いたしたわけでございます。
昭和
四十四年に愛知、三重両県が覚書を締結いたしまして、境界については速やかに協議をするということで
工事
を進めてまいったわけでございますけれどもまあ今日に至っていると、こういうことでございます。確かに、先生御
指摘
のように、
昭和
五十五年に両県から東海農政局に対しまして、調停をしていただきたいと、こういう要請がありまして、調停をやった経緯があったわけでございますけれども、そのときには不調に終わっている、こういう状況でございます。 私どもといたしましては、このように県境の確定がおくれているということは大変に残念に思っているわけでございまして、両県に対しまして再三にわたり早く県境を決めていただくようにという要請をいたしております。こういう要請を受けまして愛知、三重両県は、昨年の十一月に木曽岬干拓等問題協議会というものを、両県の関係の
部長
でもって協議会を設置いたしまして協議を行っている、その解決に努力しているというふうに認識している次第でございます。
井上哲夫
297
○
井上哲夫
君 この木曽岬の干拓地でございますが、三重県が申請をして、しかもこの干拓地は、三重県のいわば所属といいますか帰属といいますか、それを当然の前提でなされたと思うんです。その間約三百七十ヘクタールが干拓されて、十五ヘクタールに及ぶ愛知県の弥富町の地籍が、まあ紛れ込んだという表現は不適当であって、地籍が出てきたと。そこから県境問題が発生したのであって、
工事
の着工のときにはそういう問題を予期していなかった。単純に、帰属の問題で争いはないというふうではなかったのでしょうか。 といいますのは、もし
工事
の着工のときに帰属の問題で争いがあれば、公有水面の埋め立てに関しては、地方自治法の
規定
からすれば、その争いがある限り
工事
の着工は、よほど特段の事由がない限りとめ置くということになるのではないでしょうか。その点はいかがでしょう。
片桐久雄
298
○
説明員
(片桐久雄君) 確かに
調査
を始め着工する、
工事
を開始したときには三重県知事の申請に基づいて
実施
したわけでございますけれども、その後愛知県の弥富町の
土地
が確認されたということから、国のこの
工事
を進めるに当たり公有水面埋め立て免許申請というものを関係の知事さんに出さなければいけないと、こういうことになっているわけでございますけれども、その免許申請に当たりまして、愛知県と三重県の両知事さんに対して免許申請をいたしまして、その際に県境問題があるということを両県知事が確認した上で、それでまたその県境は早く決めるということで私どもは
工事
を続行したと、こういうような経緯でございます。
井上哲夫
299
○
井上哲夫
君 そうしますと、その地先の点についてでございますが、川のまあいわゆる地先といいますか、そういうところで埋め立てをする場合には、帰属の問題について基準といいますか手だてとして、いろいろなアプローチの仕方があると思うんですね。例えば、その川の流れの中心を想定してそこから帰属を分けていく。あるいはそうでなくて、従来の歴史的な経過、沿革を交えて、それを重視して帰属を決めていく。さらに、たまたま申請及び着工する経過から飛び地になっても、出てきた
土地
の分は変な形になっても、とりあえずその部分について、いわゆる県の境をいびつな形にしても決めると、こういうふうな考え方があろうかと思うんです。
昭和
五十六年の東海農政局の調停案というのは、どういう
内容
のもので、どういう経過でまとまらなかったかについてお尋ねをしたいと思います。
片桐久雄
300
○
説明員
(片桐久雄君) それぞれの県の地先の水面についての境界を決める手法といいますのは、これはいろいろ複雑な歴史的経緯とか地理的事情とか、そういうものを総合的に勘案して決めているというケースが多いわけでございまして、なかなか一義的にこういう境界を決めるルールというものがないように私どもも承知いたしております。結局、最終的には両県の知事さんの同意といいますか、協議をすることによりまして、お互いに譲り合って決めていただくということしかないのではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。 東海農政局の調停案につきましても、いろんな事情を勘案して調停案を提示したわけでございますけれども、結局、両県ともその合意に至らずに不調に終わったという次第でございます。
井上哲夫
301
○
井上哲夫
君 私が聞いております範囲で申し上げれば、
昭和
五十六年の調停案では、三百七十ヘクタールのうち十五ヘクタール愛知県の弥富町の地籍と思われるところがある、したがって十五ヘクタールにプラスアルファを加えてその部分を、まあグリコのおまけと言っちゃなんですが、調整をして県境を決めようというような調停案が出たんですが、愛知県さんの方ではこれはのめないというふうなことでなかなか進まず時が至ったと。しかし現実に二十七億円の当初の
予算
で着工されたこの干拓事業は、既に約六倍の費用に膨れ上がっております。さらに、時が経過をしたということでどういう問題が出てきたかといいますと、近くに空港ができるかもしれない。あるいは当初の予定で農地として都市近郊野菜、いわゆる露地野菜なり施設野菜なりをやればこれは農家の活性化につながるということでやったのが、時を経過した今ではもうそれもさま変わりをしてしまって、むしろ近くに第二名神の道路ができるかもしれないということから、状況がどんどんと変わってきたわけですね。状況がどんどんと変わってくると、今度は県境問題よりも有効利用は何だかんだということで、そのことに議論が集中している嫌いがある。そうして帰属問題はといいますと、私の理解ではほとんど進んでいない。したがって、猪熊
委員
が先ほどおっしゃいましたが、十年かかるんじゃないかということも決して誇張ではない。今からまた十年かかるということも本当に誇張ではないと思うんです。 その点で、今回、東海農政
局長
の調停ではだめだというならば、もう後は大臣に直接お出ましを願う以外はないと思うんですが、その点大臣、いつも農水の
委員
会でお世話になっておりますが、きょうは
決算委員会
でございます、ひとつ御見解なり決意なりをお願い申し上げたいと思います。
近藤元次
302
○
国務大臣
(近藤元次君) この問題、実は私、猪熊議員から本会議で
質問
されたとき初めて勉強したというか、知り得た問題でございまして、考えてみれば、農業の事情も変わるし、また
土地
条件も変わったり、さまざまな変化はありますけれども、県境を決めないでだれが得したかといえば一人も得した者がいない、全部に迷惑のかかっている問題だと、こう思うわけでございまして、私に県境を決める権限はございませんが、しかしこの問題は、事柄が実は農地の干拓事業から起きている問題でございますので、県境を決める自治大臣とも相談をして、私が何らかの努力で解決ができる、こういう方向がないか検討してみたい、こういう気持ちで御
質問
を先般来聞かせていただいておるところでありますので、若干の時間をおかりして、検討の結果についてまた御連絡申し上げたいと思います。
井上哲夫
303
○
井上哲夫
君 大変ありがたい御答弁をいただきまして、と申しますのも、私が湯気を上げるような形で息巻くのもどうしてかといいますと、この地元の新聞では、二月二十六日の新聞には、「どうなる 愛知と三重の”湾岸戦争”」というような書き方で、本当にいかにも火をつける、おもしろおかしく書くという面もありまして、非常にこの問題が、私に言わせればまじめなとらえ方なのか、火をつけるとらえ方なのかということを思うわけです。もうこの新聞の記事を読みますと、愛知県の方は有効な利用はどうするのか知恵を絞ろうと。三重県の方は県境を決めてくれなきゃ有効利用もへったくれもない、有効利用よりも県境をまず決めようじゃないかと。全くかみ合っていない。 したがって、ことしの二月二十日に衆議院の建設
委員
会でやはり三重県選出の議員が
質問
をされたときに、両県の協議会を設置して、両県の協議会で忌憚のない話し合いを重ねていくことによって解決をします、させますと、こういうふうな答弁がなされておるわけですが、私が見る限りもうそのような段階ではなくて、こういう協議会方式ではなく、今大臣がおっしゃったようなかなり大所高所からの、それこそツルの一声じゃないですが、思い切った裁定を、火の粉を浴びてもしなきゃならぬというような形で飛び込んでいただかないと、
会計検査院
の御
指摘
のそれにこたえるという形にもならないと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げまして私の
質問
を終わりにいたします。 ありがとうございました。
三治重信
304
○三治重信君 まず最初に、
住宅
土地
問題についてお尋ねします。 地価法も通り、そして、地価の引き下げ、
住宅
建設の促進ということで、いろいろ調べてみると、どうも都市再開発、都市計画その他いろいろ答申なり政府の閣議決定で行われているけれども、それが実際どの程度地についているのか、実行されつつあるのかということをきょうはお尋ねしたいと思うわけであります。 まず最初に、六十二年の十月に「当面の地価等
土地
対策に関する答申」が臨時行政改革推進
審議
会で行われておるわけです。それの六十二年の項目を挙げてお尋ねいたしますが、その中には「都市再開発の促進」ということで、「都市再開発方針の
対象
地区における最低限高度地区、高度利用地区及び市街地再開発促進区域の積極的指定と地区計画の策定の促進」、こういうふうに書いてあるんですが、こういうふうな「都市再開発方針の
対象
地区」という、こういう地区はどの程度計画が策定され、現に行われているのか、その都市の数や各地区の数や面積というようなものを御
報告
願いたいと思います。
市川一朗
305
○
説明員
(市川一朗君) まず、都市再開発法によりまして都市再開発方針の策定の義務づけがなされておるのは二十二市でございますが、そのうち二十一市において策定が完了してございます。残る一市は京都市でございます。 それから、都市再開発方針におきましていろいろと高度利用地区等の指定を講じまして、積極的に再開発を行うように指導もしているわけでございますが、その中で、ただいまお尋ねございました点につきまして、まず最低限高度地区というのがございますが、これにつきましては約千二百ヘクタールが六都市において指定されております。それから高度利用地区でございますが、これは百二十カ所、約四百六十ヘクタールでございます。それから市街地再開発促進区域でございますが、これは十二地区、七ヘクタール、こういう状況でございます。
三治重信
306
○三治重信君 これはどうですか、そういうふうな計画が行われて、実際にこういう計画やその地域の指定が行われたんですが、それの進行ぐあいというのか、実際着手をされているのかどうか。
市川一朗
307
○
説明員
(市川一朗君) 再開発法によりまして都市再開発方針の策定を義務づけておるところにおきましては、基本的に再開発を促進すべき地区ということで、私ども二号地区と呼んでおりますが、そこで位置づけられた地区におきまして具体的に再開発車業を
実施
する、そういう段取りになるわけでございます。 それで、再開発事業が実際に着手されるまでの段階は、いろいろな過程を踏みまして、最終的にはやはり地権者間の相当な話し合いの結果合意に基づきまして事業化に着手する、こういう経緯を踏むわけでございますので、なかなか計画どおりに速やかに進展するという状況では必ずしもない面もございますが、総じて見ますと、この指定されました二十一市におきます再開発事業は、かなり順調に再開発事業が進展しておるというふうに私どもは評価しておるところでございます。
三治重信
308
○三治重信君 そういうことで大分着手されているとすると、そういうところでやはり
土地
の高度利用をやっていく場合に、
土地
信託制度の利用が非常に、
建設省
がいろいろのモデルをつくったり着工をやったりしておられるのを聞いているわけなんですが、こういう二十一都市ですか、中でどの程度
土地
信託がこの地区計画の推進に役立っているかどうか、二、三具体的な例をお示し願うとありがたいんですが。
鈴木政徳
309
○
説明員
(鈴木政徳君) 地価高騰の中で、
住宅
宅地の供給を促進する上で
土地
信託制度が、御
指摘
のように、一方で生命保険会社の借地方式、あるいはデベロッパーの事業
住宅
方式とともに、有効利用を図る手段の一つであるとして有効に機能していることは事実でございます。 ただいまお尋ねのように再開発地区等でどうかという点につきましては、実は今手元にございません。恐縮ですが、私ども信託協会から事情を聞いたことし三月の数字で日本全体の数字を申し上げさせていただきます。
住宅
件数で千八百十九件になっております。最近三年ほどは年間に三百五十件ほど
増加
しております。
内容
を見ますとやはり都心部が多いということで、
業務
用ピル、事務所や店舗等が入りました
業務
用ピルが八百七件と最も多くなっております。その次にマンション等の居住用建物、これが約五百件でございます。そのほか事務所やマンション等の多目的ビルが約三百件あるということで、都市づくりといいますか、都市の再開発を進める上でこの
土地
信託制度が有効に機能しているということがうかがい知れるのではないかというふうに理解しております。
三治重信
310
○三治重信君 それからもう一つ、その次の項目に「用途地域、容積率及び最高限高度地区の指定の見直し」、それから「特定街区、総合
設計
制度の積極的活用、運用の
改善
」という、見直し
改善
ということがその次の項目として載っているわけなんですが、こういうふうな地区の指定をやり、そしてやる途中でか、あるいはこの用途地域の指定や容積率の改定というものがどの程度見直されて変更が行われているのか。
市川一朗
311
○
説明員
(市川一朗君) 三大都市圏は、一都二府七県と一応前提きせていただきますが、都市計画区域約二百三十万ヘクタールでございまして、そのうちの約三〇%に当たります六十九万ヘクタールにつきましていわゆる用途地域が指定されておりまして、地域の特性に応じた適正な
土地
利用の規制を行っているところでございます。 容積率の指定状況につきましては、東京都区部、大阪市及び名古屋市について見ますと、平均して、容積率でございますが、東京都区部が二五一%、大阪市が二七四%、名古屋市が二〇八%となっております。 それから最高限度地区につきましては、東京都区部におきましては用途地域の約七七%、名古屋市におきましては約二二%の地域について定められております。大阪市では、この最高限の高度地区という高さを制限する高度地区は、特に定められておらないのが現状でございます。 これらの用途地域等の見直しに当たりましては、地域における
土地
利用の動向、公共施設の整備状況等を踏まえまして、随時適切に行っているところでございます。さらに、優良なプロジェクトにつきまして、個別に規制緩和を図るという観点に立ちまして、特定街区あるいは総合
設計
、再開発地区計画等の各種制度の活用を推進しているところでございますが、これにあわせまして、昨年、
住宅
宅地供給の促進を図るという観点から都市計画法等を改正いたしまして、新たに市街化区域内農地等において良好な中高層
住宅
市街地の形成を誘導するための制度として
住宅
地高度利用地区計画制度、それから都心部におきまして
住宅
を設けました場合に、容積率を特別に緩和することを目的といたしました用途別容積型地区計画制度といったものを創設いたしまして、その着実な
実施
につきまして地方公共団体を指導しているところでございまして、こうしたものを総合的に含めまして私どもは見直しをしておるという見解に立っておるところでございます。
三治重信
312
○三治重信君 具体的な推進状況を御説明願ったわけなんですが、これをさらに推進し実効あらしめるためには、その計画の指導だけでいいのか、それとも相当な
予算
が必要なのか、御説明願いたいんですけれども、まあそこまで時間がございませんが、ひとつ地価税もあり、それを
土地
対策や
住宅
対策にも一面使うというような計画もあるようですから、こういう部面を、やはり
土地
や
住宅
の高度計画や推進のためには相当もっと費用を都市対策として使っていいと思うんですが、それ、具体的にひとつ計画を実現させるように要望をしておきます。 それから、政府機関の移転再配置というのがこれの計画の中に載っているんですが、これはどうも余り実行されていないようなんですが、それは計画のように進んでいるのかどうか。政府機関の移転再配置。
斎藤衛
313
○
説明員
(斎藤衛君) 国の行政機関等の移転につきましては、
平成元年
の八月に移転
対象
機関七十九機関十一部隊、そのうち移転、新築間もない三機関がございましたのでこれを除きまして、七十六機関十一部隊等につきましては移転先地が決められております。 それで、例えば昨年の十月でございますが、国の機関等移転推進連絡会議というのがございますが、そこにおきまして埼玉県の大宮・与野・浦和地区、これへ移転をいたします地方支分部局の集団的移転を円滑に進めよう、こういうためにその幹事会の中に集団的移転関係省庁部会というものを求めました。そこで十省庁十四機関が円滑に移転ができるように検討を今進めているところでございます。 それからなお、今年に入りましての四月八日には、この国の機関等移転推進連絡会議を開催いたしまして、各省庁でこの円滑な移転推進ということにつきまして確認を行ったところでございます。 現実に今日までの段階で移転を完了しているものといたしましては、税関研修所、それから宇宙科学研究所の二機関がございます。
三治重信
314
○三治重信君 こういうことはやはり非常に政治力も必要ですけれども地道な努力が必要だと思うので、特にひとつたゆまず推進をしていただきたいと思うわけです。 次に、通勤緩和や郊外
住宅
の建設促進のためには、都市鉄道整備促進特別措置法というようなものができて免税で積立金を積み立てることができるようになっているわけですが、具体的にそういうもので、その積立金を利用して交通機関の新設なり促進なりというものが行われている例があったらそれをひとつお願いしますとともに、私はこういうようなものを特別措置法で利用するのに即効性のあるのは、やはりモノレールの建設なんかが非常にいいんじゃないかと、こう思っておるわけなんです。名古屋なんかでも新しく鉄道を敷くよりかモノレールをやっておるわけなんですが、これを道路上や軌道上でやると
土地
が要らなくて現実にできると思うんですが、こういうものは具体的に計画が行われているのかどうか、お願いします。
佐々木建成
315
○
説明員
(
佐々木建成君
) 最初の点についてお答え申し上げます。 特定都市鉄道整備促進特別措置法に基づきます複々線化
工事
等の
実施
状況でございますけれども、特定都市鉄道整備促進特別措置法に基づきまして
昭和
六十二年十二月に、東京ですけれども、東武鉄道等五社の特定都市鉄道整備事業計画を認定いたしまして、各鉄道事業者におきましては
平成
九年十二月を完成期限とする複々線化等大規模
工事
に鋭意取り組んでいるところでございます。複々線化
工事
につきましては既設線の連続立体交差化
工事
を伴う場合が多く、当初、都市側における
資金
確保の問題それから都市計画についての地元との調整、用地取得の問題等から
工事
の進捗のおくれが懸念されていたわけでございますけれども、NTTのAタイプの
資金
を活用するといったような方法が導入されまして昨年
資金
面の確保に一応めどが立ったということ、それから都市計画、用地取得についても地元と粘り強い調整が行われているということでございまして、早期に調整が完了して
工事
が進むことを期待しているという状況でございます。 なお、
平成
二
年度
末における東武鉄道等、認定を受けた五社の進捗状況でございますが、用地取得の面積における進捗率が七三%、それから
工事
実施
額における進捗率は一七%というようなことでございますが、目標年次までに
工事
が完了するよう鉄道事業者を適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
市川一朗
316
○
説明員
(市川一朗君) 後段につきましてお答え申し上げます。 ただいま御
指摘
ございましたように、安全で効率的な公共交通機関といたしまして、道路空間を有効に利用いたしまして整備するものといたしまして、都市モノレールとかあるいは新交通システムの整備の推進の必要性が高まってまいっておりまして、
建設省
といたしましても、道路交通を補完する機能を有するという考え方に立ちまして、モノレールや新交通システムの下部構造につきまして、いわゆる支柱、けた等のインフラ部分でございますが、これを道路の一部として位置づけまして
補助
を行っておりまして、それによりまして都市モノレール、新交通システムの事業に積極的に取り組んでおるわけでございます。現在では全国で十五カ所の事業が取り組まれておりまして、愛知県の例で申し上げますと、小牧市の桃花台ニュータウンの関係、これは新交通システムでございます。それから名古屋市で、JR大曽根駅から延びますものとしてガイドウエーバスが計画されております。そういったようなことでございまして、郊外の
住宅
地開発に関連したものにつきましても、やはり一定の交通需要が見込まれまして、かつ地域の交通体系の観点からも望ましい場合には、その導入につきまして積極的に前向きに検討してまいりたいと考えておるところでございます。
三治重信
317
○三治重信君 そういうふうなことで努力をされておられるのを推進していただきたいと思います。 それから、時間の都合で、最後に農水省関係にお尋ねしますが、農水省の
報告
によると、農地利用相談センターというものが全国都道府県の農業会議所につくられておるということだけで、その利用センターがどのような活動
内容
をしているのかということが
報告
にないから、それがどういうふうに活動しているかというのと、私はかねてから三大都市圏の宅地の転用促進をやってもらいたい、こういうふうに思っております。その一つとして、三大都市圏の中における集落地域整備法によっての運用をやってもらうというと非常に農地転用なんかも楽で、新しく郊外に市街化ができると、こう思っておりますが、その点について簡単に御
報告
願います。
片桐久雄
318
○
説明員
(片桐久雄君) 先生御
指摘
の農地利用相談センターでございますけれども、これは
平成元年
度の
予算
から設置を認められまして、全国段階では全国農業会議所、都道府県段階では都道府県農業会議に設置をいたしているものでございます。 この相談センターの活動状況でございますけれども、
平成
二
年度
の実績で見ますと、相談件数約三千件というふうになっております。その相談の
内訳
でございますけれども、主なものといたしましては農地の転用関係が八百件以上ございます。それからまた、農地の有効利用という観点から市民農園等に使いたいというような相談が百三十件程度ございます。そのほか、農地制度全般についてのいろんな相談等、そういうような状況になっている次第でございます。 それからもう一点、集落地域整備法の運用の問題でございますけれども、この
法律
は
建設省
と農林省の共管の
法律
でございまして、現在運用しているところでございます。三大都市圏でこの
法律
を運用して実際に計画をつくっておりますのが現在茨城県の藤代町と愛知県の豊田市の二地域が
対象
になって計画を策定しております。また、現在
調査
中の地域も七地域ほど三大都市圏でございまして、私どもといたしましては、この
法律
のできるだけの円滑な運用ということでいろいろ指導をしてまいりたいというふうに考えております。
及川一夫
319
○
委員長
(
及川一夫
君) 他に御発言もないようですから、本日の審査はこの程度といたします。 次回の
委員
会は明二十二日午前十時に開会し、本日に引き続き全般的質疑を行うことといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時一分散会