○堂本暁子君 大変心強い御
答弁でうれしく存じます。
局長方も皆さんいらっしゃるところですので、ぜひ実行していただきたいと思います。
それで、具体的なことで私
一つだけ、どうしても忘れられないことがあるのでここで申し上げたいんですが、去年の
予算委員会でフィリピンのレイテ島の銅精錬所のことをお話し申し上げました。そのときは銅精錬所のプロジェクトのことに関しての問題点を
指摘したわけですが、今度は逆の
立場でその周りにあった
状況をきょうはぜひお聞きいただきたいと思うんです。大変貧しいレイテ島でして、フィリピンの中でも一番貧しいんですが、そこに三百二十八億のインフラストラクチャー、発電所ですとか道路ですとか港湾ですとか、そういったものが
日本の円借款で
整備されました。そこで忘れられないことが
幾つかございます。
一つは、栄養失調で子供がどんどん死んでいっているということです。年収二万円の最貧層が大半、およそ半分を占めるような地域です。そのために、亡くなるだけではなくて、視力を失い聴力を失うということで障害児がどんどんふえていっている。そこでの福祉担当官から、
日本は三百二十八億ものお金をここに出しているが、せめてその一%をもしそういった福祉に回してもらえたら、恐らくこの子供たちはもっと幸福になれるというふうに言われました。
それから、病院がありまして、これはレイテの州立の病院なんですが、一億円で建設を予定しているんですけれ
ども、そのお金がないために、財政的に逼迫しているために三分の一しか建っていません。残り三分の二は工事中でした。私が行きましたのはたまたま産婦人科の病棟だったんですが、もう患者さんが栄養失調のために、本当に廊下とか外にまであふれている。手術台といいますか、分娩台というのは五十年前のが三台あっただけでした。しかも電気が
一つしかないんですね。赤ちゃんはよく夜産まれますから、そうするともうほとんど暗がりでの手術になってしまうというドクターの言葉でした。
三百二十八億も出してこれだけ道路をつくる。ほとんどの人は車を持っていないんですから、今は工場へのトラック輸送に使っております。将来もっと経済的に豊かになったらその道路が役に立つと思いますけれ
ども、今はあんな幅の広い道路は必要のないところなんですが、その道路建設に大変な何十億というお金が使われた。だとすれば、五千万あればこの病院は完成する。それから、恐らくもう二十万か三十万で電気もつくし、それから手術台もつくれるという話でした。
私は帰ってきてすぐ日赤とかいろいろお願いに参りましたけれ
ども、それだけになってしまいました。こういうことはお願いすれば、一時的にどこからか手術台の三台とか電気ぐらいは出るかもしれません。しかし、これはむしろ構造的な問題だと思います。こういったところを、もし発電所をつくるのであれば、発電所をつくることに私は
反対なのではないんですけれ
ども、それのペアで必ず総合的な開発をすると。今カラバルソン
計画というのがあって、それは
日本のコンサルタントがやっていますが、そこではそういったふうな方向性をとっていますけれ
ども、これから、女性が大事ということ以上に、必ずそういうことをやるというふうにすれば、
日本は悪口を言われずに済むのではないか。
私はそこで住民調査をいたしましたけれ
ども、今でも忘れられない
一つの言葉は、
日本というイメージは何かと言ったらば死と言われたんですね。こんなに心が痛む言葉はなかったんです。せっかく税金を使っての援助をしておきながらそこでそういうイメージを住民から持たれるというのはもう
日本国として大変マイナスで、
外交的にも余り得策ではないということで、こういった「開発と女性」というこれが出たのをチャンスに、ぜひそういったソフトの面というのをお
考えいただきたい。そういたしましたらば、先日ありましたパプアニューギニアの森林伐採で住むところをなくした女性や子供たち、それからフィリピンのカラカの発電所の周りで病気になっている人たち、そういったところもすべて解決をしていくのではないかというふうに思います。
それから、次の問題ですけれ
ども、
大臣は子供サミットのときもたしかニューヨークに行っておられたと思いますが、もう
一つの問題は、女性や子供が大変に貧困によって直撃されると申しますか、一番の被害者になっているということなんです。私はやはりとても大きいと思いますのは、妊娠する機能を持つ女性ですね、栄養失調だとどうしても乳児死亡率だけではなくて産婦の死亡率もふえております。
このレポートで欠けている点といいますと、そういった現在の南北の経済構造による女性や子供の置かれている局面というのを余りえぐっていないというのがちょっと私は物足りなく思いましたけれ
ども、ユニセフのレポートですと、御巣鷹山に落ちました五百人乗りのジャンボジェット機が毎日二・七機落ちているだけ、妊娠出産で女性が死んでいっています。年に五十万人。そして、その五十万人死ぬ女性のために百万人の子供たちが母親を失っている。
やはりこれは先日も
日本に見えましたユニセフのグラントさんという事務
局長が、三年、四年前の白書からおっしゃり出したことなんですが、これは構造的な問題であると。累積債務が多くなって、今や一兆三千億ドルの金利支払いが行われて
いる。そのために開発途上国はどうしても金利のためにお金を使うので、福祉ですとか教育ですとかそういった方にお金が使えなくなってきている。こういった
世界の南北の構造的な問題、そのためにこれだけ女性と子供が被害を受けているんだということの報告がここのところ三年ぐらい述べられています。
子供サミットの場でも、二〇〇〇年に向けて子供を救うための行動
計画というのがございました。
大臣にもう一度ここで、今女性が参加する方の側の大事さというのは比較的わかりやすいことなんですが、
日本の残念なことは、こういったストリートチルドレンになっている子供たちとかそれから妊娠出産のために非常に苦しむ女性たちとか、そういったプロジェクトに余りにも
日本が積極的ではないというところがございます。ここにもやはり
日本としては積極的にアプローチすると申しますか、平和のため環境保護のため、そして女性や子供たちがもう少し幸福になるために
日本のODAを使っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
大臣はサミットに行っていらしていかがでしたか。子供のための行動
計画、二〇〇〇年までの中で、子供の権利条約というのもそういう中で出てきた条約だと思います。近く批准されるということで大変うれしく思っておりますが、子供の権利条約、あれは国内法の
整備よりもむしろこういうことのためにできた条約だということは、ジュネーブで人権
委員会に出ていれば大変よくわかることなんですけれ
ども、であれば、
日本の援助という中から子供の権利条約をどう地球の中で普遍化していくか、
世界で普遍化していくか。そのことはもっと子供や女性のために
日本のODAが機能していいのではないかというふうに
考えますが、いかがでしょうか。