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1991-04-02 第120回国会 参議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月二日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月二日     辞任         補欠選任      久世 公堯君     田村 秀昭君      鳩山威一郎君     真島 一男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡野  裕君     理 事                 岡部 三郎君                 山岡 賢次君                 松前 達郎君                 中村 鋭一君     委 員                 大鷹 淑子君                 関口 恵造君                 田村 秀昭君                 原 文兵衛君                 真島 一男君                 宮澤  弘君                 清水 澄子君                 竹村 泰子君                 田  英夫君                 堂本 暁子君                 肥田美代子君                 黒柳  明君                 中西 珠子君                 立木  洋君                 猪木 寛至君    国務大臣        内閣総理大臣   海部 俊樹君        外 務 大 臣  中山 太郎君    政府委員        防衛庁長官官房        長        日吉  章君        防衛庁防衛局長  畠山  蕃君        防衛施設庁長官  児玉 良雄君        防衛施設庁総務        部長       箭内慶次郎君        防衛施設庁施設        部長       大原 重信君        防衛施設庁労務        部長       竹下  昭君        外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君        外務大臣官房審        議官       野村 一成君        外務省アジア局        長        谷野作太郎君        外務省北米局長  松浦晃一郎君        外務省欧亜局長  兵藤 長雄君        外務省中近東ア        フリカ局長    渡辺  允君        外務省経済局次        長        須藤 隆也君        外務省経済協力        局長       川上 隆朗君        外務省条約局長  柳井 俊二君        外務省国際連合        局長       丹波  實君    事務局側        常任委員会専門        員        辻  啓明君    説明員        会計検査院事務        総局第二局防衛        検査第一課長   山崎彌代一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 岡野裕

    委員長岡野裕君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 田英夫

    田英夫君 防衛庁、見えていますね。  日米地位協定に基づく特別協定の問題に入っていくに当たりまして、現在の国際情勢全般についてまずお尋ねしたいと思うのです。  報道によりますと、中東湾岸戦争に参戦をしていた空母ミッドウェーが今月中旬に日本へ帰ってくる、戻ってくるということに対して、池田防衛庁長官がこれを出迎えられるという報道がありますけれども、これは事実でしょうか。
  4. 日吉章

    政府委員日吉章君) 湾岸地域に長期間にわたって派遣されておりました在日米軍部隊等が帰還されるのに際しまして、日本政府として歓迎の意を何らかの形で表するということは、日米の良好な関係維持発展の観点から好ましいことではないだろうか、かように考えておりまして、防衛庁といたしましても何らかの形でそういうふうな歓迎の意を表することを考えたい、かように考えております。  ただ、ただいまお尋ねのように、防衛庁長官が出迎えるとか、そういうようなことがまだ具体的に決まっているわけではございませんが、帰ってまいります部隊の日程あるいは態様、米側都合、そういうようなものを考えまして、最もスマートに効果的に日本の率直な気持ちがあらわせるような方法がとれないものだろうかと考えているというのが実情でございます。
  5. 田英夫

    田英夫君 今の日米関係といいますか、アメリカに対する政府考え方を大変象徴的にあらわしているという気がいたしましたのでお尋ねしたのですが、私も長いこと事前協議の問題をやりとりしてきましたので今改めてという気がしますけれども、これはもう言うまでもなく、安保条約六条に基づく交換公文の中で、日本国から行われる戦闘作戦行動、これは事前協議の対象になるということで、政府はこれに対して、もう答弁も全部私もわかっていますが、今度のは戦闘作戦行動じゃないのだ、アメリカ軍の運用上の都合でやったことだ、こうお答えになることも私はわかっているのですけれども、これはやっぱり良識ある国民皆さんに対する説明としてはまことに不適当だと思いますよ。  だれが考えても、今度の湾岸戦争に行ってミッドウェーが何をしたか、しかもどういう経路で行ってどういう経路を通って帰ってきたか調べればすぐわかることで、これはベトナム戦争のときからどこかに寄って行ったからいいのだとか、いろいろな説明がありました。しかし、そういう説明をすればするほど、安保条約に基づく事前協議というものが全く空文であるということを国民皆さんに知らせるだけのことでしかないわけです。こういうことを繰り返すということは、私も安保条約というものの存在を認めているんですが、そういうことによって安保条約そのものに対する不信感というもの、それからアメリカに対する不信 感というもの、これを助長するのではないですか。  もうこの問題は、同じことを言われることはわかっているからそれ以上のお尋ねをしませんけれども、お忙しい中わざわざおいでいただいてこれだけのことなんですが、それだけのことを申し上げて、どうぞお引き取りください。  そういうことで、湾岸戦争が終わったという状況の中で、アメリカが確かに勝ちました。そういう状況の中で、これからの国際情勢というのはどうなっていくのか、また日本はこれに対してどう対処したらいいのかということがきょうの議題である交換公文に基づく特別協定というものにも関連をしてくる非常に重要なことだと思います。  外務大臣、この現在の国際情勢というものをアメリカに関してはどういうふうに感じておられますか、既に接触をしておられるわけですから。
  6. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) アメリカがこれからどういうふうに国際的な政策を立ててくるかということに関連してお尋ねだと思いますが、アメリカ自身は、湾岸戦争が一応終わる、終わった段階でむしろ経済的な政策に力を入れるという認識を私自身は持っております。  と申しますのは、委員もよく御存じのように、アメリカは現在不況が漂っている。精神的には湾岸戦争アメリカの軍を中心とする多国籍軍勝利をおさめたということで高揚しておりますけれども、御案内のように、累積の財政的な赤字、また海外の対外債務あるいは貿易不均衡、そういったものを考えると、これからのアメリカ国内経済政策をどう立て直すかということがアメリカにとっては極めて大きな政治課題になってくるのだろうと思います。そういう中で、これからのアメリカというものはまず経済再建に向けて全力を払っていく可能性が非常に強いという認識を持っております。
  7. 田英夫

    田英夫君 私もその意味では全く同感であります。  ただ、アメリカ国内空気というものはかなり高揚している。ギャラップの世論調査ではブッシュ支持が八九%、USAツデーでは九一%。戦争に勝った強いブッシュというものに対するアメリカ人支持がこういうところであらわれていると思います。これは悪く言えば、軍事力に対する信仰のような強いアメリカというものが再び大歓迎をされているという空気ですね。その一方で、外務大臣が言われたとおり、経済は極めて危険な状態にある。相対的に言えば、日本は今世界一の経済大国になりつつある。アメリカをしのいでいる。アメリカの非常に危険な下降線をたどる経済に比べれば、もはや日本世界唯一経済大国。これに対してアメリカ意識は、世界唯一の超大国アメリカ人意識の中には経済の問題が頭を出してこない。それは政府の問題である。こういう状態の中で、日本は一体どうしたらいいのかということになるのではないでしょうか。  キッシンジャーさんも、今度の湾岸戦争勝利というのは極めて偶然の結果の累積、信じられないほどの偶然という言葉を使ったようですけれども、したがってこれからはむしろヨーロッパ日本などとの協調ということを経済を含めて大切にしなければいけないという警告を出している。共同通信のOBの仲晃君が先日新聞にもそうした分析を、彼はアメリカ問題の権威と言っていい人ですが、指摘しておるとおりであります。  こういう状況ということを踏まえて、今大臣の言われたような状況の中で一体日本がどう対応すべきか、そこを伺いたいわけですが、いかがですか。
  8. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 日米間の問題は貿易インバランスが一番大きな現在の課題である。そういうことを考えると、日米間の貿易というのは、委員御存じのように、ここ数年前は七百億ドルを超えるような一方的な黒字がございましたが、現在では三百八十億ドルぐらいの日本側黒字というところまで減少傾向をたどっている。しかし、SIIで行った日米間の協議に基づくフォローアップを現在作業中でございますけれども、一向にまだアメリカは期待するような良好な成果というものが上がっておらないし、またアメリカ自身政策上のポイントとして、アメリカ経済的に再建するためには、例えば貯蓄の優遇制度とか持ち家制度等に対するような基金の問題についていろいろ日本政府は指摘をいたしましたけれども、昨年末、アメリカ議会と行政府の間での話し合いでこのような点は採用されていない。  こういうことから考えてまいりますと、私は、当面この貿易赤字をいかに解消するかということにアメリカ議会は大変大きな力を出してくるであろう、それに対応する日本の受け方、こういう問題がこれからさしあたりの日米間の一つの大きな課題になってくるものと認識をいたしております。
  9. 田英夫

    田英夫君 これも私も同感なのですけれども、もう一つ視点を広げてみたいと思うのです。  アメリカがそういう状態である。これに対して、今度の湾岸戦争を通じて中国は、アメリカ戦闘に突入しようということに対して国連で棄権をするというような態度をとって終始批判的な姿勢を示し続けたし、ソ連も最近の米ソ融和的空気の中とはいえ、やはり一つ距離は保っている。フランスあるいはドイツはやはりイギリスとは違った一つのスタンスを持ち続けた。こういうことをずっと広く見てみると、こういう空気の中で一体日本は、アメリカを含めた世界全体の中でどういうポジションにいたらいいのか、どういう態度をとったらいいのか、その点はいかがですか。
  10. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) どういうポジションをとったらいいかという極めて難しいお尋ねでございますが、私はやはり日米関係というのは我が国の外交の基本的な基軸でなければならないという考えを持っておりますけれども、経済規模をどういうふうに拡大していくか、これは日米欧関係強化するということが非常に大事であろうと思います一方、新しく統合されていく来年のECの統合を踏まえて、例えばEFTAECとの関係がこれから強化されていくだろう。そういう中で、EFTAも含めたヨーロッパ関係をどうしていくのか。また一方では、自由化民主化に踏み切った東ヨーロッパがなかなか思うように動いていかない。これに対する支援を日本はやるように言っておりますけれども、なかなかそう一挙にいくものでなしにステップ・バイ・ステップでいかなければならない。  こういう中で、アジアの中にいる日本というのはやっぱりアジアをいかに安定させるかということに力を入れなければならないということを、私は役所の中でも特にアジア局には厳しく言っておりまして、アジアを離れての日本はないわけでありますから、アジア外交というものに力を入れていく、こういう考え方で現在対応していると御理解をいただきたいと思います。
  11. 田英夫

    田英夫君 その点も私は同感であります。  私の言いたいのはまさにそこでありますが、ともすれば、実は失礼な言い方かもしれないけれども、あしたから海部総理も訪米をされるわけですが、まさにアメリカはこれから貿易赤字の問題を中心にして日本に対して大変厳しい姿勢をとってくるだろう。また、実は日本だけじゃなくてドイツに対しても、既に湾岸戦争の最中からドイツ日本は違うというようなことが報道されましたけれども、全くそうじゃないと思いますね。ドイツに対しても厳しい姿勢をとっている。そういう中で、アメリカからのそうした経済問題を中心とした攻勢にただひたすら防戦一方というようなことになるのではないかと心配をするのです。  そうじゃなくて、アメリカとは誠意を持って対応する必要はありますけれども、中国、そして今おっしゃったように中国中心としたアジア全体、あるいはソ連とも今交渉が、後で伺いますけれども、交渉が始まりつつある。これも非常に重要な関係になってくるでしょう。そして、日本と同じような状況にいろんな意味で、つい先日もドイツ社民党のフックス書記長と話し合う機会がありましたけれども、彼女も全く今日本と我々ドイツとは世界的に同じ状況に置かれていると繰り返 して言っておりましたが、そのドイツフランスももう終始アメリカとは一定の距離を置いているという状況。こういうところとの関係を重視する外交、こうあるべきだということを申し上げたいわけです。  そこで、この問題をちょっと離れまして、これも報道によりますと、イスラエルとの関係を改善しようというふうに政府はお考えたということが言われておりますけれども、これは事実でしょう
  12. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 従来イスラエルとの関係は、日本外交の中で政治対話経済協力という面で考えますとどちらも、特に経済協力はやっておりませんけれども、政治話し合いというものが非常に希薄であった、これは率直に申し上げることができると思います。  しかし、今回の湾岸戦争を通じてイラクのミサイル攻撃に対するイスラエルの自制、思慮深い行動というものについては、従来のアラブイスラエルの対決の歴史から新しい一つの転換の時代に入りつつある。こういう中で、日本イスラエルとの政治対話を進めていくことは中東のためにも極めて重要である。このような認識に立ちまして、私も近くイスラエルを訪問いたしたいという考えを示しているわけでございます。
  13. 田英夫

    田英夫君 イスラエルとの関係をよくすることはいいことだと思いますけれども、日本が特に中東に石油の七〇%を依存しているということを考えますと、これがいい言葉かどうかわかりませんが、従来のアラブ寄りと言われた日本姿勢、これは極めて重要なことだと思いますね。  私も今エネルギー問題の参議院の責任者をしておりますから、殊さらそのことを感じますけれども、アラブ重視外交姿勢というのは決していいかげんなことで出てきたのではないはずです。私の記憶では三木内閣以来非常にそれが明快になってきたと思いますが、これを修正するということにつながるのかどうか、ここは外務大臣の口から明快に答えておいていただきたいと思います。
  14. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 修正をするという一つ規定づくりというような考え方は現在持っておりません。
  15. 田英夫

    田英夫君 わかりました。  この問題は実は今後の日本外交一つポイントになるのではないかと思うのでお聞きしましたが、パレスチナに対する態度というような点は今後も一貫して従来の姿勢を維持していただきたいということを申し上げて、次に移りたいと思います。  日ソ関係ですが、いよいよゴルバチョフ大統領来日を控えてソ連との交渉が始まっていくという状況、既に事務レベルではいろいろ話し合われているわけですけれども、日ソ交渉におる北方領土位置づけといいますか、北方領土というのは日ソ交渉の中でどういう位置にあると政府はお考えですか。
  16. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 日ソ交渉の中での北方領土位置づけというお尋ねでございます。  率直に申し上げて、日ソ間の関係というものは一九五六年の日ソ共同宣言、これによって外交関係も樹立されましたし、それ以来最恵国待遇ソ連に与える。経済規模においては、フィンランド、ドイツに次いで日本は第三位か四位のところに貿易関係もある。人の交流も行われているし、航空機の往来もある。こういう関係でございますから、現在日ソ間には領土が未解決であるという問題だけが残っている。日ソ間の関係飛躍的発展を妨げている問題として領土問題というものがある、私はそのように認識をいたしております。
  17. 田英夫

    田英夫君 ヤコブレフさんが来日されたときに話し合う機会がありましたので、実は彼も同じ意見だということを言ったのですが、私が申しましたのは、日本政府やり方は、部屋入り口に大きな石を置いて、この石をどけなければ部屋の中に入って話し合いはできない、こういうことじゃないか。石があることは事実です。これは北方領土ですね。だったら石は部屋の中に置いて、その前で話し合いをしながら、その話し合いは石の問題だけではなくてあらゆる問題について話し合っていく中で、この石をどうやって片づけようか、窓を破るのかドアをもっと大きくするのかというような話をすべきじゃないかと言ったら、全く同感だ、だから私は第三の扉をつくれと言っているんだと、これは報道されましたけれども、そういう話し合いをしたことがあります。  どうも私は、失礼ながら外務省の困難な国際問題に対応するときの共通のやり方は、入り口に石を置くことじゃないかという気がするのです。  朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮との話し合いのときにいわゆる第十八富士山丸の問題があって、この二人を返さなければ話し合わないという、そういう感じを受けました。これは金丸さんという全然別の視点から物を見られる方があらわれてこの石をどけちゃったんですね。それでうまくいきました。いろいろな批判や意見はあったようですけれども、いずれにしても石ほどけられたわけですよ。今までのやり方は私はまずいのじゃないかなと、こう思えるわけです。やはり部屋の中へ入って話し合うことが一番大事なのではないのか。  そこで、もう一つ伺いたいのは、先日外務大臣記者会見をわざわざされて、自民党の小沢幹事長が訪ソをされたときに二百六十億ドルとかいろいろ数字が出て、ソ連に対する経済協力というものと北方領土の問題が並行して語られたときに、その直後に記者会見をして、政府は関知しないということをわざわざ言われました。それはどういう意味ですか。
  18. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) ちょうどべススメルトヌイフ外相が来られる前でございましたが、新聞各紙で、経済協力の中で何百億ドルというような数字がどんどんと紙面を飾る、こういう中で、当然その情報はソ連にも刻々伝わっているわけでございますから、これからのゴルバチョフ大統領の訪日を控えた事前日ソ間の外相協議において、ソ連外相がそのような大きな数字をもとにした経済協力考え方政府の中で既に協議が行われているという認識を持ってこの外相会談に臨まれるとすれば、それこそ入り口のところで大きな行き違いが起こってくるという一つの危惧を持ったものでございますから、あえて私は政府としてその問題を正式に協議したことはないということを申し上げて、あくまでも我々としては外相間協議を通じて日ソの拡大均衡的な発展を図るために双方が誠意をもって話し合いたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
  19. 田英夫

    田英夫君 これは外務大臣に伺うことじゃないかもしれませんが、数字はともかくとして、ああした形のソ連に対する経済協力ということが党を中心にして動いているということは事実なのです
  20. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) この件に関しまして相談をしたということはございません。
  21. 田英夫

    田英夫君 大変失礼ながら、やはり二元外交と言われても仕方がないような状況が今あることを大変心配します。  このソ連との話し合いというのは、今日本外交の中のもちろん言うまでもなく極めて重要な問題ですから、そこでやはりきちんと外務大臣間の話し合い、さらにゴルバチョフ大統領来日というところの舞台で話し合いがされるべきじゃないかというふうに私も思います。  最後に一言だけ意見を言わせていただければ、その石を部屋の中に置いてそれを見ながらということを申し上げたのは、経済協力の問題も含めてあらゆる問題を同時に並行的に話し合っていくということの方がいいのではないか。まず石の問題を話し合おう、北方領土の問題について、これは兵藤欧亜局長が言っておられるように、主権の問題なんだ、主権を認めれば先へ進めるんだという言い方はわからないじゃないのですけれども、それが大前提で、これが認められないと経済協力も何もあらゆる問題について話し合いませんよということでいいのかな、こういう感じを持ちます、わかりますけれども。  同時に、ソ連立場に立って、やはりこういう 問題は相手の立場に立つことは非常に重要ですから、ゴルバチョフ大統領立場に立ったときに、日本から金を出してもらって北方領土を返したというふうな、そういう思われ方はソ連国民に対しても世界に対してもとりたくない。ここのところの配慮との兼ね合いの問題ではないだろうか、こう思いますね。  これはもう残念ながら時間もありませんので、宿題にしたいと思います。  それから国連の問題があるのですけれども、これは一つだけ伺っておきたいと思いますが、最近べススメルトヌイフ外相とも話し合われた中で、国連改革といいましょうか、敵国条項の削除というような問題を外務大臣はしきりに各国に対して訴えられているということを拝見しておりますが、国連改革というのはこれが中心になるのでしょうか。そして、全体像としてもっと広くいろいろ国連改革日本政府案というようなものをお持ちになっているのでしょうか。
  22. 丹波實

    政府委員丹波實君) まず、過去の経緯についてちょっと触れさせていただきたいと思いますけれども、最近日本として一番国連機能強化貢献したなと思われる貢献は、一九八五年の総会で日本が提案いたしました国連行財政面での機能強化の問題があったと思います。これは結局一九八七年から九年にかけて結実いたしまして、国連予算コンセンサス採択の問題とか事務局の再編成の問題につながっていって、日本がそういう貢献で非常に高く評価されたことは田先生も御記憶だろうと思います。  現在のところ日本政府として非常に力を入れておりますのは、紛争を事前に予防するための国連機能強化の問題でございまして、一九八四年以来日本は、西ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、ニュージーランドとともに国連のそういう紛争を予防するための機能強化ということで努力を続けてきておりまして、何とか近い将来これを国連総会の決議に持ち込みたいという考え方で対応してきております。  それからもう一つは、最近私たちが力を入れております先生が言及されました旧敵国条項国連憲章からの削除でございまして、この点は最近外務大臣がベーカー長官との会談の中で提起され、あるいは先ほど先生も言及されたべススメルトヌイフ外務大臣との間でも提起され、そういう輪を今後もっと広げていきたいというこどで外務大臣が今努力しておられる、そういうプロセスにございます。
  23. 田英夫

    田英夫君 国連に関連をしていわゆるPKO、この問題については、御質問をしたいのですが時間がありませんので、意見を申し上げます。  失礼ながら、自公民三党でPKO具体案をつくるということに昨年の末なったにもかかわらず、拝見しているところ全く話し合いが煮詰まっているとは言えないようでありますが、どうして外務省政府としての案をお出しにならないのか、むしろ不思議であります。党に遠慮することはないし、政府がおやりになることだと思います。  そこで、これは私の意見ですが、国連憲章で国連の平和維持活動というものの内容が平和維持軍とか停戦監視団とか選挙監視団とか、その三種類であるなどということは全く文章に規定されているわけではないのでありますから、たまたま過去の国連決議、そしてそれに伴う事務総長の要請という形でその三つが行われてきたというふうに考えるべきである。  私の意見では、日本は憲法の規定がありますから、軍人が担当する従来の形、軍人がやってきた平和維持軍、停戦監視団というものは、自衛隊を使わない限り参加しにくいだろうと思う。となると、選挙監視団しかないのだと思っておられる向きもかなりあるようであります。私は、そうじゃなくて、国連が決議をし、事務総長がこれを受けて要請をすれば、もっともっと日本がなし得ることはたくさんあるじゃないか。  例えば今度の中東問題も、湾岸戦争の後の状況でもそうですし、年内にもカンボジア和平が実現をするというようなことになれば、日本中心的にこれをやらなければいけないということを考えたときに、やはり選挙ということもあるでしょう。今度はクウェートの後、あるいはカンボジアの場合はもちろんです。そして、湾岸の場合は既に政府は派遣をされているわけですが、この環境汚染に対する技術者の派遣というような問題、あるいは復興のための技術者チーム、資材の派遣、これはトラックを派遣するとかあるいはNTTの職員、JRの職員を派遣することによって通信、輸送を復興する。これはカンボジアの場合を想定すると非常に重要な役割だと思います。あるいは水道とか電気とか、そういうものもあるでしょう。医療関係のこともあるでしょう。そういうことも国連が決議をして、事務総長がこれを受けて日本に要請をすれば、日本世界の先頭に立って本当に活躍する舞台ができる。これもPKOなんだと、こう国連ですればいいわけですから、日本との話し合いの中で。これは意見だけ申し上げておきます。  時間がなくなりましたので、最後に本題の地位協定の問題に触れたいと思います。  在日米軍の存在、今四万数千ですが、世界は冷戦が終わったという状況にあるわけで、アメリカ自身もそういう中で財政的な問題も含めて既に削減の計画を発表しているわけでありますが、日本政府としては在日米軍というのは削減されることが好ましいと考えておられるのかどうか、このことをお伺いいたします。
  24. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 米軍が削減をされていくということは、私はそれだけ国際間の緊張が緩和をしてきているということの一つの証左であろう、そのように認識をいたしておりまして、この削減という問題については私は好ましい状況であると考えております。
  25. 田英夫

    田英夫君 まさにそうだと思うんですね。  そういう前提に立って考えていきますと、今回の特別協定、さらに思いやり予算からだんだんだんだん拡大をしてきたというこの経緯を見ますと、確かに冒頭のアメリカとの関係の中で大臣が言われたアメリカ経済状況ということを配慮するという、そのこともわからないではないのですけれども、そもそも地位協定日本人労務者の賃金を日本側が負担するという根拠になる条文というのは一体何ですか。
  26. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生御承知のように、地位協定の第二十四条では、施設区域日本側の負担により提供、それ以外の米軍の維持に伴う経費は米側が負担ということになっております。  先生が今ちょっとお触れになりましたいわゆる思いやり予算と申しますのは、この二十四条で定めております経費は、日本におきます米軍がその任務を遂行していく上で必然的に発生する経費ということでございまして、米軍に関連する経費であっても任務を遂行していく上で必然的に発生するものでない経費は日米いずれが負担してもよいという解釈で、したがいましてそれを踏まえまして日本が従来思いやり予算ということで始めまして、それからその後、暫定的、限定的、特例的な措置として特別協定締結するとともに、今申し上げました思いやり予算は対象外でございますけれども、それに加えまして手当を見てきたわけでございます。  今回審議をお願いしております特別協定も、まさにこの二十四条の原則は原則としつつも、暫定的、限定的、特例的に在日米軍の従業員の給与に関しまして、基本給等に関しまして日本側で負担するということを定めたものでございます。
  27. 田英夫

    田英夫君 よくわからないのですけれども、二十四条をどういうふうに読んでみても日本側が提供する義務があるのは米軍の施設区域というようなことで、労務という問題は全然出てこないのです。労務というのが出てくるのは十二条の四じゃないのですか。  十二条の四は、「現地の労務に対する合衆国軍隊及び第十五条に定める諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。」とありますが、これはどういうことですか。
  28. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生が御指摘されました地位協定の十二条はいわゆる間接雇用のことを定めたものでございまして、特に四項は、「日本国の当局の援助を得て充足される。」ということで、私どもはこれを間接雇用と呼んでおりますが、そういうまさに労務の雇い方を定めたものでございまして、経費の負担を定めたものではございません。  経費の負担に関しましては私は先ほど二点申し上げまして、一つは、かつて思いやり予算と呼ばれたものと二十四条との関係、それからその後特別協定ができましてからはその特別協定に基づくものというこの二本立てで御説明しておりますけれども、今回御審議賜っております特別協定との関係で申し上げれば、まさに特別協定に先生が今提起しておられます在日米軍の従業員の基本給等の負担については明記してあるものでございます。
  29. 田英夫

    田英夫君 ずっと読んでいくと、地位協定というのは本当にどうにでもなるようにできているような気がしてしようがないのです。  おっしゃるとおり、十二条の四というのは日本人労務者を日本の責任、日本政府の責任において雇用するということを決めてあることは事実なんですね。ところが、二十四条にはその賃金をこういうふうにして払うというふうなことは何も書いてないのです。それで、特別協定というのはずっと後になってからできた話ですから、それまでの間は一体何を根拠にして賃金やアメリカ軍との間の割合なんかを決めてやってきたのかというのは極めてあいまいですね。だから、普通の二国間の条約とかあるいは法律なんかの概念からすると、非常にあいまいな規定の中で運用されてきたとしか言いようがないのです。  もう時間がありませんから意見だけ申し上げますが、冒頭のミッドウェーに対する防衛庁長官の出迎えということによってアメリカとの友好関係が増進されればという日吉官房長の御答弁。そして、この地位協定に基づく特別協定日本側の負担がどんどん拡大をして、ついに一〇〇%になっていくというこういう状況。そういうことを考えますと、冒頭外務大臣が言われたような日米関係ということをも損うのじゃないか。むしろ私は、そういうことまでやっていくという思いやり予算、思いやりというような言葉に象徴される日本政府態度というのは、果たして本当の意味日米間の友好関係を増進するのだろうかという疑問さえ持ちます。そういう意味で、今度の特別協定というのはやはり納得ができない。  具体的な問題についてさらに同僚の委員から御質問いたしますので、私の質問はここで終わります。
  30. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、まず最初に、湾岸地域での非常な環境汚染の問題が報道されていることについて心配しておりますけれども、その一方で、アメリカ中心とした多国籍軍による航空機の出撃で史上最大規模の空爆が行われましたね。それは延べ十万六千機の飛行機が八万回に及ぶ爆撃をイラクに実施をしたわけですけれども、このためにイラクの社会的な施設が壊滅をして、そしてバクダッドでは発電所も破壊をされている。病院では保育器の動力源も動かないために連日乳児や病人が死んでいるということを英紙のガーディアンでは伝えているわけですけれども、その表現に、空爆の背後で十分なお湯もなく、生まれてくる子供がそこでお湯もないために死んでいく、そしてそれらは、報道もされないままに大量に死亡している乳児というふうにその悲劇が報じられているわけです。また、上水道が破壊されているために、バグダッドの市民はチグリス川の水をそのまま飲まなければならない。そういう中で伝染病の危機が言われているわけです。  外務大臣は、アメリカ及び多国籍軍の空爆による非軍事的な施設の破壊がどの程度なのか、その点をつかんでいらっしゃるでしょうか。そして、イラク市民の生活の窮状はどの程度なのか、それに関する情報をお聞かせいただきたいと思います。  そして、日本政府はそういう人々に対して人道的な立場からどのような救済を考えておられますか。それについてまずお尋ねいたします。
  31. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 多国籍軍によりますイラクに対する空爆につきましては、これまでも国会で御答弁申し上げておりますけれども、多国籍軍としては軍事的に意味のある標的を中心に攻撃を行いまして、市民に対する不必要な損害をできるだけ避けるということを目標として行動をしてきたというふうに理解をいたしております。  ただ、その結果イラクにおいてただいま御指摘のような電気の関係あるいは水道の関係、通信、輸送等の被害が生じておることは事実でございます。これにつきましては、二月に国連の専門機関でありますWHO、ユニセフの合同ミッションというものが調査団を派遣して調査をいたしまして、その後三月に入りまして国連の事務次長でありますアティサーリを団長とするミッションがやはりイラクに参りまして調査をいたしております。  その調査の結果といたしましては、やはり問題は、一つは水の関係の問題、水を媒介とする疫病の可能性があるということ。それから、特に燃料が不足をしておるということ。それから、食糧生産のための農業資機材等が必要であるというような報告を出しておるわけでございます。  国連は、これを受けまして安保理の制裁委員会におきまして、従来制裁の枠外となっておりました医療関係の医薬品、医療資機材に加えまして食糧を制裁の例外にする決定をしたわけでございます。
  32. 清水澄子

    ○清水澄子君 日本政府独自の政策をぜひやっていただきたいと思います。  次に、今回の在日米軍駐留経費特別協定締結の背景になっている事情についてお聞きしたいと思うわけです。  先ほども外務大臣は、今アメリカの一番の大きな問題は経済問題だとおっしゃいましたし、この間本会議で私が質疑をいたしましたときも、総理はアメリカの膨大な貿易赤字、膨大な財政赤字ということをおっしゃいました。そこで、このアメリカの膨大な財政赤字の構造的な要因というのは一体何なのか。外務大臣はどのようにつかんでおられますか。そして、今後アメリカの財政赤字はどのように推移するのか、その見通しをお聞かせいただきたいと思います。簡潔にお願いします。
  33. 須藤隆也

    政府委員(須藤隆也君) お答え申し上げます。  アメリカの財政赤字につきましては、一九八六年に二千二百十二億ドルという大きな赤字を計上いたしまして、それがピークになりまして、その後八七年から八九年度までは少し減りまして千五百億ドル程度におさまっていたわけでございますが、昨年の九〇年度から再び悪化して、ピークに迫る勢いで赤字がふえてきております。ことしの二月に発表されました大統領の予算教書によりますと、今会計年度、九一年度の財政赤字の見通しは大幅に悪化しまして、過去最大の三千百八十一億ドルの赤字を記録する見込みであるということでございます。  赤字の要因につきましてはいろいろなことが言われておりますが、アメリカの予算教書によりますと、赤字拡大の二大要因といたしましては、一つは米国のいわゆるSアンドLと言われます米国貯蓄貸付組合の救済費が飛躍的に増大したということでございまして、それが千三十五億ドルの歳出増につながっているということでございます。もう一つの要因といたしましては、景気の後退による歳入減がございまして、約八百七十億ドルの歳入減となっているということで、この二つが大きな原因であるというふうに説明しております。  今後の見通しでございますが、九二年度の財政赤字につきましては、同じく予算教書によりますれば、景気が本年の中央から回復することが見込まれるということ、それから歳出の伸びをインフレ率以下に抑えるというような政策をとることによりまして三百七十二億ドル改善して、九二年度の財政赤字は二千八百九億ドルに減少するという見通しでございまして、九三年以降さらに改善し ていく見通しであるということを聞いております。
  34. 清水澄子

    ○清水澄子君 随分ごまかしの御返答だと思います。  日本経済企画庁が発表しておりますアメリカの財政赤字の構造的要因は、今おっしゃった二つのほかに、依然として高い国防予算というのが書いてあります。この点はだれしもがみんな認識しているところだと思いますが、この問題は全然お触れにならなかった。そういうお答えというのは非常に私は不誠実だと思いますし、やはり事実をごまかしていらっしゃると思います。これは国際的にだれしも認めている。それが米ソ冷戦構造から転換した大きな理由であったということだってみんなこれは知っていることですから、やっぱりアメリカの財政赤字はこれまで国防費による圧迫だったというのは、これはもう事実であるはずです。  ですから、昨年の十月にアメリカ議会政府との間で大幅な赤字削減のための政策が合意されましたけれども、その中心は国防予算の削減であったと思います。特にこの国防予算を九一会計年度で百九十億ドル削減して、そして兵員は今後十万人を削減するというふうなこともそのときに発表されているわけです。  そこで、この国防予算の削減のうち極東米軍の削減についてはどの程度の人員の削減の予定なのか。また、それは予算的にどういう削減になっていくのか。それからもう一つは、在日米軍の削減予定というのはどういう計画になっているか。それらについてお聞かせいただきたいと思います。
  35. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生お尋ねの幾つかの点を一つ一つお答えしたいと思います。  第一のアメリカの財政赤字と国防予算の関係でございますけれども、ただいま御説明申し上げましたのは、アメリカが当初予定しておりましたような形で財政赤字が削減されないで、かえって大幅な財政赤字を出している原因は何かということで御説明申し上げているわけで、その過程で決して国防予算が当初の予定に反して増大したがゆえに今年度最大の三千百八十一億ドルの赤字を記録するわけではなくて、これは先ほど申し上げたような二点が原因であるわけです。  ただ同時に、先生が御指摘のように、中長期的な展望で申し上げれば、確かに一九八〇年代の前半アメリカの国防予算が非常に東西の緊張が激化したことを反映して増大したことは事実でございまして、したがいましてそれがゆえに昨年の秋の……
  36. 清水澄子

    ○清水澄子君 ちょっと済みません。質問にだけ答えてください。もうその説明は結構です。
  37. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) はい、わかりました。  国防費の予算を今後五年間で千八百億ドル削減するということになっているわけでございます。その関係で先生の御質問のアジアでどのくらいこれから米軍を削減していくかということでございますけれども、これは昨年四月発表されました報告によりますと、今後十年間で段階的に削減するということでございますが、とりあえず第一段階の九二年末までにアジアに前方展開されております十三万五千名の米軍のうちその一一%、一万五千二百五十名を削減するということになっております。  そのうち日本関係がどのくらいかということでございますが、日本関係は約四千八百名でございます。
  38. 清水澄子

    ○清水澄子君 在日米軍基地の縮小と施設の返還計画はありますか。
  39. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 在日米軍施設区域の整理統合に関しましては、昨年の六月に従来からの懸案になっておりました沖縄におきます施設区域の統合に関しまして一応の結論を出しまして、これは二十三の事案で面積おおむね一千ヘクタールでございますけれども、それに関しましてその後着実に個々の事案ごとに返還手続を進めるようにしております。それと同時に、残っております事案につきましても引き続き米側と調整をしてまいりたい、こう考えております。  これはいずれも沖縄におきます施設区域の整理統合でございますが、今先生がお触れになりました在日米軍の今後の削減計画と直接連関するものではございませんで、従来からございました沖縄におきます施設区域の整理統合の問題のフォローアップとして行っているものでございます。
  40. 清水澄子

    ○清水澄子君 次にお尋ねすることは、今回のこの特別協定の趣旨説明では、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制の効果的な運用を確保していくためということが趣旨説明の大きな理由になっております。ですから、その何が効果的な運用確保なのかということについてお伺いをしたいわけです。  まず、昨年からずっと今回の地位協定特別協定締結されるまでの時間的経過の中であったことを振り返ってみますと、非常に不思議な背景があると思うんです。  それは、昨年の四月にまず米上院軍事委員会でアメリカアジア戦略の変更が提起されて、九月にはアメリカの大統領特別補佐官ら三人が来日された。そのときに、今後駐留経費の負担を目に見える形でふやしてほしい、そして現行特別協定の有効期限が切れる一年前倒しでその負担増を実施するように要請されているわけですね。同時にAWACSの新規装備の導入を図るようにも求めたということが報道されているわけです。その一カ月後、今度米上下両院では、日本は米兵の本給を除いて駐留米軍経費の全額を負担することを決めておりますし、それを大統領に九一年の九月までに日本政府と合意するようにすぐ交渉を開始することを義務づけておりますね。そして、中山外務大臣アメリカの国務長官との間で今回の特別協定についての交換公文を交わされたのが九一年一月十四日です。  そういう経緯をずっとたどってみますと、この日米安保体制の円滑な運用確保ということは、アメリカの国防費の削減と日本防衛予算の増額がぴったり連動しているわけですから、そういうふうに認識してよろしいでしょうか。  そして同時に、アメリカの財政赤字による国防費の削減分に応じて日本の駐留経費の分担が多くなる。それが日米安保体制の円滑な運用の確保であるというふうな意味に受け取れるんですが、そう受けとめてよろしいでしょうか。
  41. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 今回の協定の前文の最初にも書いてございますけれども、この安保条約に基づき「日本国に維持されている合衆国の軍隊は、日本間の安全並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与している」という基本的な点がございますことを申し上げたいと思います。  それを踏まえまして、これも前文にございますけれども、「両国を取り巻く諸情勢の変化に留意し」ということで、先生が最後に御指摘になりました点はまさにこの諸情勢の変化の一つでございますが、この諸情勢の変化がそれでは何かというと、私どもは三点考えております。  一つは、先生今お触れになりましたこういう膨大な財政赤字を抱えながらも、国際の平和と安全の維持のためグローバルな役割を果たしている。そして、その中で国防費、それからさらに言えば在日米軍経費が著しく逼迫しているということ。それからさらに申し上げたいと思いますのは、アメリカが膨大な貿易赤字を抱えている一方、日本経済力をつけまして、日米間の経済力は相対に関係が変化してきている。それから三番目に、日本が国力にふさわしい役割をみずから積極的に果たしていくことがますます求められている。  このような三点の変化を踏まえて、今回の特別協定を二十四条の特則として締結し、審議をお願いしている次第でございます。
  42. 清水澄子

    ○清水澄子君 さらに、アメリカからの要請の中で非常にAWACSの購入が求められたと聞いているわけですけれども、それが今回の新中期防の中にはっきり採用されておりますね。  そして、このAWACSというのは、今度の中東戦争では爆撃のための大変な威力を発揮したそ うです。AWACSそのものの機能というのが戦闘機を空中でコントロールする指揮、統制、通信機能を持つ動く作戦室と言われているほどで、非常にこれは攻撃的な兵器でありますし、またこのAWACSはアメリカのボーイング社の生産しているものです。ですから、これが今度の新中期防の中で購入されたということは、結局日米安保体制の円滑な運用の確保とあわせて、やはりそこにアメリカ経済を援助しなければならない、同時にアメリカの国防費を削減せざるを得ない事情に対して日本はそれを全面的に配慮をしている、こういうふうに受け取られますが、いかがですか。
  43. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) お答えいたします。  今度の新中期防におきましては、大綱の基本的な考え方のもとで、これに定めます防衛力の水準の維持に配意いたしまして効率的で節度ある防衛力の整備に努めるということでございます。この大綱におきまして、「諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう、質的な充実向上に配意しつつ」防衛の体制等を維持することというふうに規定されておりまして、それを基本としているところでございます。  このような観点、近年におきます諸外国の軍事技術の進歩等に的確に対応していくという観点から質的な充実向上を図っていく必要があるというふうに考えまして、早期警戒管制機等について新中期防において整備することといたしているものでございまして、我が国のみずからの防衛という観点から我が国の自主的判断に基づいて行っているものでございまして、御指摘のような日米安保体制の円滑な運用の確保のためという点ではございません。
  44. 清水澄子

    ○清水澄子君 じゃ、それらは全部偶然に一致したことばかりなんですね。日本アメリカから持ち込まれることを全部自主的に判断なさって、そんなに見事に合致するものでしょうか。その点はこちらの皆さん方が大変苦労して答弁していらっしゃると思いますけれども。  その次に入りますけれども、昨年の四月、アメリカの上院軍事委員会で政策担当国防次官のポール・ウォルフォウィッツの報告が出ているわけです。それとの関連でちょっと御質問したいと思うんです。  この報告は、一九九〇年から二〇〇〇年にかけてのこれから十年間のアメリカの対アジア戦略の軍事展開と戦略の基本方針を述べているということは既に御承知だと思うわけですが、その報告の要旨は、米ソの軍事的な対決は減少しているけれども、アジア・太平洋では、政治的、経済的にも安全保障上も大変重要な地域だから、アメリカは引き続き現在の基地の基盤はこのまま確保していくということがまず前提に述べられています。そして、アメリカアジア戦略における基本要素というのは前方展開兵力だ、いわゆるアメリカの前方で守ってアメリカ防衛するものである。そして、海外基地を確保しながら各国との二国間安全保障協定を確保していくのだ。特にアジアにおいてアメリカの兵力というのは非常に少ない。全アメリカ軍の中の六・三%しかいない。この少ない人員で最も効果を上げることが重要なのだと。  そういう中で、何がここで述べられているかといいますと、今後日本との関係が一番大事だということを主張しているわけですけれども、まずソビエト連邦への抑止としての三沢米空軍基地は絶対に返さない。それから、世界的及び地域的兵たん基地の中枢的なかぎを握る部隊を全世界的に支援している横田空軍基地も返せない。そして、空母戦闘部隊全体の前方展開をするための横須賀の基地も返せない。これは重要な基地であるということを述べているわけです。  しかもその次に、何とその中身に、我々というのはアメリカのことですが、我々は我々と合意した役割と我々の戦略任務に適合したジャパニーズフォーセス、日本の軍隊ということをここに明確に書いているわけです。日本では自衛隊と呼んでいますけれども、日本の軍隊を活用していくことを引き続き進めていく、同時に防衛負担の増加を求めていくのだということをここに明確に書いています。  そして、さらにアメリカ在日米軍基地の持つそれぞれの役割について書いているわけですけれども、この中に日本では何が重要かといえば二つの理由があると。一つは、アメリカ日本で十分な前方展開の兵力を保持できる。この基地は戦略上重要な位置である。そしてもう一つ特に重要なのは、他のどの地域よりも駐留の費用効果が高いということをここではっきり言っているわけです。ですからアメリカは、日本の基地はアメリカの戦略上重要であるということとあわせて、お金、いわゆる他のどの地域よりも防衛負担、駐留経費を日本が負担をしてくれる、だから非常に費用効果が高いという評価をしているわけです。こういうふうなアメリカの戦略の中にもう既に日本の自衛隊の役割とか性格がすっかり組み込まれているわけですね。  これらを見ましてもわかりますように、在日米軍の駐留経費というのは本来アメリカが負担しなければならないものですけれども、それを日本が肩がわりすることになっているということとまさにここで連動しているといいますか一致しているわけです。  外務大臣にお聞きしたいんですけれども、アメリカの財政赤字、国防費の削減、そして在日米軍駐留経費特別協定による日本の負担の増大、これがつまるところやっぱりアメリカの国防費の肩がわりになっているという認識をお持ちでしょうか。御見解をお聞かせください。
  45. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) アメリカの国防費の肩がわりをしているということをどう思うか、こういうお尋ねでございますけれども、我々日本政府としては、日本の平和とそれから極東地域の平和と安全を確保するために日米安保条約を維持する、当分これは維持するということが非常に重要な国の政策の基本でございます。  そのようなものを円滑に運用していくという考え方に立ちまして、同盟国である米国が抱えている膨大な財政赤字、またその財政赤字にかかわらずに、国際的な安全のためにアメリカが大変な世界の安全を確保する機能を発揮しているという観点から考えますと、我が国の近年豊かになってきた経済力によって日本が応分の負担をするということは、日米関係を保っていく上にも安全保障条約を運用していく上にも極めて私は好ましいことであるという判断でこのような決定をさせていただいたわけでございます。
  46. 清水澄子

    ○清水澄子君 この点はいつもお考えが違うんですけれども、アメリカアジア・太平洋戦略が本当に今後の日本の将来にとって正しいことなのかどうかというのは、私は大変疑問に感じているところです。  次に移りますけれども、在日米軍の駐留経費特別協定の支出項目、そして日米間での負担割合というのは、外交交渉をされているときのその根拠というのは一体何なのかお尋ねしたいわけです。どういう計算でなさっているのか。
  47. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私ども出発点におきまして、日米の全体の負担がどうなっているか、またさらにそれを踏まえてどうするかということは、出発点として議論をしておりません。ただ、現在どうなっているかということを念のために申し上げますと、日米双方の最新のデータがそろいますのは一九八九年度でございますが、八九年度におきましては日本側の負担が四一%、アメリカの負担が五九%でございます。ただ、これは為替レートそれから会計年度の差等がございますけれども、一応大ざっぱな計算ではそうなります。  それが今回の協定の最終年度の五年後にはおおむね日米の負担が五〇、五〇になるだろうと見ておりますけれども、繰り返しでございますけれども、出発点においてこれらの日米双方の負担をこれだけにするということで日米間で話し合ったものではございませんで、いろいろな非公式な接触はしておりますけれども、繰り返しでございますけれども、昨年の十二月にまさに中期防策定の段階で新たな措置を講ずるということを決めまして、それに基づいて今回の協定で基本的な枠組み を決め、またさらにそれに基づいて自主的に日本が負担をふやしていくということでございます。
  48. 清水澄子

    ○清水澄子君 それでは、日米安保条約による地位協定の無償提供分の最近の評価ですね、評価総額は幾らぐらいになるのでしょうか。
  49. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 全体として申し上げますと、平成二年度で、これは防衛庁中心でございますが、その他関係各省も若干入れまして全体で日本側の負担は四千四百五億円でございまして、平成三年度に計上しておりますのが四千七百七十一億円でございます。この中に労務費も入っております。
  50. 清水澄子

    ○清水澄子君 無償提供の分の最近時点の評価というのは、そちらからいただいた資料では、土地、建物の評価は一兆四千六百八十七億円と言われたんですが、違うんですか。今の四千四百五億というのは何でしょう。メモが来ませんか。
  51. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 今の先生のお尋ねは、米軍に提供しております国有地を現在の価額で試算をした場合に幾らのものを提供していることになるかというふうに受け取ったわけでございますが、地位協定に基づきまして在日米軍に無償で提供しております土地のうち、民公有地につきましては所有者から借りてそれを米軍に提供しておりますが、国有地について仮に民公有地と同じような方法で有償で借り上げたとした場合には、その試算額は平成三年度の場合で約千百六十億円でございます。
  52. 清水澄子

    ○清水澄子君 じゃ、私がもらった数字が間違っているんですかね。これは防衛施設庁からもらったんです。  お聞きしていることは、地位協定の無償提供分というのがございますね、これは国有地だけじゃないと思いますよ。私有地だって土地代を払ったりいろいろしていると思いますけれども、そういうものすべて含めれば一体この無償提供では現在の価格レートでどのくらいの評価総額になるのかというのをお聞きしたかったんです。
  53. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) もし先生の御質問が施設区域の無償提供の関係費用が全体でどのくらいになるのかということでございますと、先ほど私、平成二年度全体で四千四百五億円と申し上けましたけれども、今施設庁の方からも御説明ございましたが、そのうち土地関係の私有地、公有地の借料で負担しておりますのは五百四十四億円、国有財産を無償で提供しておりますのが九百五十九億円、それから提供施設の整備の関係の予算が一千一億円でございますので、これを全部足しますと大ざっぱに申し上げますと約二千五百億円でございます。
  54. 清水澄子

    ○清水澄子君 ちょっとこの辺はまだ非常に私は納得できないんです。  今年度の駐留経費の負担額でけで四千七百七十一億日ですね。そのほかにたくさん土地を、今の日本はこんなに土地が高い国ですから、これを全部評価したら私はそんなに安いものにはならない、総評価額はそうならないと思います。やはり沖縄なんかは私有地ですから地代を払っておられるでしょうから、いろんな計算をなさって、そして免税、いろんな免税をされているわけですが、そういうものはほとんど日本では計算がされていないと思いますけれども、本来交渉なさるとき、そういうものを日本はどれだけ負担しているのだというその根拠というのはないんでしょうか。そんな安い金額で、日本はたったこれだけしか負担していませんというふうにわざわざ話すことになるのでしょうかね。
  55. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生のお話を伺っておりまして、非常に申しわけありませんけれども、フローとストックの問題があろうかと思います。私が申し上げておりますのはフローで、まさに平成二年度に土地の関係であれば借料としてどのくらい負担したのか、あるいは国有地を提供して本来借料を払うべきところをどのくらい免除したのかということを申し上げたのですが、先生は今評価額といういわばストックの話をしておられるので、その土地の全体の評価、ストックがどのくらいになるかという問題提起だと思います。とりあえず私どもの関心事はフローとしてどのくらいの負担を日本がしているかということでございますので、先ほど私は土地の関係では合わせて一千五百億、それからそれの施設整備では一千一億で、合わせて二千五百億と申し上げましたけれども、土地だけでは約一千五百億でございますから、あくまでもこれはフローの話でございます。
  56. 清水澄子

    ○清水澄子君 私の聞いていることに答えていただきたいんです、そちらの立場説明なさらないで。  最近の時点で無償提供分はどのような評価総額になるかということをお尋ねした。多分答えられないと思うんです。計算していない部分もあると思うんです。ですから、この点につきましてはぜひ今後資料をいただきたいと思います。  私がここで主張しておきたかったのは、日本はいつでも安保ただ乗り論なんて言われているわけですけれども、こういうふうに本当にどれだけ日本在日米軍のために多額な経費を支出しているか、また負担をしているかということをやはり一度私は明らかにしていただきたい。そういうふうな中で、今回の特別協定を結ぶに当たっても、日米政府間の交渉日本がどういう数字アメリカ側に示しているのか、その積算根拠を私は知りたかったわけです。ですから、それはぜひ資料で御提出をいただきたいと思います。  次に入りますけれども、特別協定はこれまでになかった在日米軍の米軍家族の光熱費とか水道料までも無料にするということですね。この家族の皆さん方は普通の生活をしておられるわけで、光熱費なんというのは生活費だと思うんですけれども、そういうものまでなぜ無料にしなければならないのか。そういうものを無料にすることがやはり極東の平和ということでの安保の効果を高めるというふうにお考えかもしれませんけれども、私はこれは国民感情としては絶対納得ができません。  政府はそれらについてほとんど御説明されていませんけれども、国民感情にはどのような理解を得ようとなさいますか。大臣、お答えください。
  57. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生御指摘の光熱水料でございますけれども、私どもは、この在日米軍の駐留を維持していくという上で光熱水料というのは重要な要素でございまして、それを日本側が、あくまでも暫定的、特例的ではございますけれども負担するということは、やはり在日米軍の効果的な活動の基盤を確保する上に寄与する、それからさらに申し上げれば、先生御自身も御指摘になりましたけれども、安保条約の効果的な運用に資する、こう考えた次第でございます。  ただ、念のために申し上げたいのでございますけれども、あくまでもこの光熱水料に関しましては公用調達というものについて対象にしているということでございます。
  58. 清水澄子

    ○清水澄子君 日本の自衛隊の隊員の皆さんにもそういうふうになっていますか、家族の光熱費、水道料は全部無料と。どうなんですか。
  59. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 自衛隊員の家族の使う光熱水料については、それぞれの隊員が負担をするようになっております。
  60. 清水澄子

    ○清水澄子君 随分矛盾があると思いますね。ですから、やはり非常に無理をして地位協定の条文にはないことをこのようになさっておるということがこれでもはっきりしているわけですが、私どもはこれは納得できないと思います。  次に、実は本会議のときに私が質問をして御答弁がなかったところを再度お聞きしたいんですけれども、私がお聞きしたかったのは、この湾岸危機、湾岸戦争日本の基地から出動した米軍の駐留経費までも日本が負担する義務を負っているのかどうか、この点についてお聞かせくださいと申し上げたわけです。ですから、ここで余り説明は要りませんから、負担する義務があるかないか、イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
  61. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 恐縮でございますが、イエスかノーかという形ではお答えしにくいので一般論になりますけれども、今回の特別協定で対象にしております合衆国軍隊というのは、日 米安保条約地位協定に基づいて日本国に維持されている合衆国の軍隊、その合衆国軍隊関係の従業員の基本給とそれから光熱水料等というものを今回対象にするということで、具体的に個々の状況をよく見ませんと、一般論で先生の御質問にちょっとお答えしにくいということを申し上げたいと思います。
  62. 清水澄子

    ○清水澄子君 皆さんのお答えになっていることは私たちもわからないんですが、国民皆さんもわからないと思いますよ。皆さん方だけわかっておられるのかもしれませんけれども、どうして日本人に通用しないことなのかという点で説明が、全然お互いに主張がすれ違っているように見えますけれども、大体本筋を曲げておられるから私たちが伺っていて非常にわからないんだと思うわけですね。  先ほども同僚の田議員が質問いたしましたけれども、中東に派遣されていました米空母ミッドウェーが四月中旬に横須賀に帰還する。それに防衛庁長官が出席して盛大な歓迎式典が開かれるという報道があったわけですね。そして、けさもそのことで政府としては歓迎するという姿勢を示しているわけですね。  このことについて、ちょっと余分ですが、きのう私は防衛庁に、ミッドウェーはいつ帰ってきますかとお尋ねしましたら、まだ何にも決まっておりませんと。ですから、いつ帰還するか日にちは決まっておりませんという報告でした。けさの新聞を見ますと、防衛庁日吉官房長はきのうの記者会見で、帰ってくることを説明をしているわけですね。そして、ここでちゃんと歓迎に出るという。私の方も、歓迎に出られるのでしょうかとお伺いしたんですが、まだ何にも決まっておりませんと。いつもこういうふうに非常に何か、わかり切ったことを私たちがちょっとお尋ねしても全然お答えいただけない。余りにもささいなことですらいつでも秘密主義であるということについて、私は本当にこれは批判をしたいと思うわけです。  それで、現実にこのミッドウェー日本を出発して、そして湾岸でやっぱり戦争に参加してきたわけですね。そしてそのときには、さっきも田議員が言いましたけれども、日本から出るときには、これは直接の出撃じゃないから事前協議の対象になりません、安保条約と何の関係もありませんとおっしゃって、帰ってこられたときには、湾岸地域で活躍してきた、その戦艦を歓迎しなきゃ、これはやっぱり日本人の心をあらわしたいとさっきおっしゃっておられたわけですが、この辺のところは非常に、事前協議制の問題についてもやはりクロをシロと言いくるめていらっしゃるわけです。  このことは、日本から出撃したミッドウェーが戻ってくるわけですね。ですから、その駐留経費というのはその間ずっと日本が家族を含めて全部負担をしているわけです。ですからこの点で、日本の基地から出撃した米軍の駐留経費までも本当に日本が負担をする義務があるのかないのかという点でお答えくださいということを申し上げたわけですけれども、その点のお考えはちょっと今ここですれ違っているわけですが、これも決して納得できるものではありません。  事実これは負担をしておられるわけですから、そうであるならば、これはまた安保条約の言う在日米軍の駐留目的とも反しますね。在日米軍がなぜ日本に駐留するかというその安保条約の駐留目的では、日本国の安全に寄与する、並びに極東における安全及び平和の維持とあるわけです。この目的からすらも逸脱をしているわけですね。そして、それの経済的負担もやるわけです。  外務大臣、これは私の考え方が間違っているでしょうか。この条約の条文から見て、私の考え方が筋からいって間違っていますか。間違っていると思われたら、どうぞ大臣、あなたの考えはこの条文をゆがめて読んでいるとおっしゃってください。条文には私の言っているとおりしか書いていないと思うんですね。駐留軍の目的は、日本国の安全に寄与し、そして極東の安全と平和。  中東まで行って帰ってきた、それを歓迎するのに防衛庁長官が出るとか、そういうふうな形の中で、先ほどから幾つも、この二十四条の面でも私たちは理解できないということ、条文上どこにそれが書いてあるか、逸脱しているんじゃないかと申し上げましたけれども、目的からも逸脱していると私たちは見るんです。それは私の目が間違っていますか。
  63. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 委員が間違っているとか間違っていないとかということを私は申し上げることはいたしたいと思いません。  私の考え方は、日米安保条約に基づいて駐留米軍の基地が日本にある、そして駐留している米軍がここをベースにしているというこのことは、日本の安全保障あるいは極東の平和と安全のために一つの抑止力としての大きな効果が目に見えない形でたえず存在している。  私がこう申しますのは、率直に申し上げて、まだ国際情勢は決して安定したと私は申しかねるのです。それで、この米軍の削減計画についても、米軍は一応ソ連あるいは第三国の軍事情勢の変化がない限りという条件のもとに考えている一つのパターンでありまして、アメリカはそうかもわかりませんが、日本からすると、日本は果たして国民の安全保障をどうするかということが外務大臣の一番大きな責任でございます。  そういう意味からいいますと、委員が間違っているなどということを私が申し上げるのは大変失礼でございまして、日本外務大臣はこういう考え方でこの安保条約というものを運用しているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  64. 清水澄子

    ○清水澄子君 大臣、牽強付会という言葉御存じですか。意味御存じですか。お答えください。
  65. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私は、残念ながらそのような難しい言葉は存じておりません。
  66. 清水澄子

    ○清水澄子君 私もこんな難しい言葉、牽強付会という言葉は余り知らなかったんですけれども、だれが見ても黒いカラスであるのに、これは白いハトであるというふうに自分の思いのように解釈し、それをすりかえていく、これが牽強付会という日本にある言葉だそうです。  まさにこの安保条約の条文の扱い、運用、すべてこれはアメリカ軍の運用上の都合でそのときそのときにどのようにでも解釈をして扱っておられる。この実態は、これが法治国ということを説明なさるにしても当たらないし、憲法上も非常に問題があります。これは条文を改定されるということならまた別です。しかし、こういうふうにだれが聞いてもわからない解釈でいつもこの委員会なり国会が運営されるということについて、私は大変不満です。ですから、この牽強付会という言葉をぜひかみしめていただきたいと思います。  次にお聞きしますが、米軍の駐留するドイツ、イギリス、これはNATOの加盟国です。これらの国の米軍駐留経費の分担はどのような基本的な考え方に立って行われているのでしょうか。
  67. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 現在、米軍はドイツに、旧西独でございますが、駐留しておりますが、これはNATOの枠内で行われておりまして、このNATO軍に関します経費負担の形態というのは非常に複雑でございますので、単純に比較はできないと思いますけれども、私どもが承知しておりますのは、八九年でドイツはNATOの駐留経費として約十四億ドルを負担していると承知しております。
  68. 清水澄子

    ○清水澄子君 韓国、フィリピンなどはアメリカとの二国間の相互安全保障条約を結んでいるわけですが、ドイツなどはこれはNATO全体の共同の安全保障、そこに負担しているわけです。  二国間で安全保障条約を結んでいる中で、これらの国と日本の分担方式にどんな原則的な違いというものがアメリカとの間であるのでしょうか。
  69. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生に最初に申し上げたいと思いますけれども、まずこの駐留経費の負担の仕方の差の前に、そもそもNATO条約、あるいは米韓、米比も同様でございますけれども、それぞれの条約のもとで関係国は相互防衛義務、つまりアメリカを守る義務を負っているとい う点がございます。  ドイツの例で申し上げれば、ドイツは国家予算の二六%を国防費に充てている。GDPで言うと約二・三%でございます。徴兵制もしいております。ですから、そういうことを前提にして、先ほど申し上げたような駐留経費で言えば明らかに日本よりは負担が少なくなっておりますけれども、全体としてとらえて比較してみませんと駐留経費だけで比較はできないと思います。  韓国も同様でございまして、国家予算のやはり二八・五%を国防費に充て、それから徴兵制をしき、正規軍として七十五万というものを擁しているわけで、その中で韓国は米軍の経費負担もふやしてきております。つい最近も新しい協定アメリカと結んだと承知しております。
  70. 谷野作太郎

    政府委員谷野作太郎君) ただいまのお話のうちのフィリピンの部分と韓国の部分につきまして、経費負担の部分だけいま少しく詳しく御説明したいと思います。  御存じのところでございますが、フィリピンの場合は基地の使用の見返りといたしまして無償の軍事援助あるいは経済支援のための援助をアメリカの方から得ております。この呼び名は、フィリピン側はこれを保障と言っておりまして、米側はこれを援助というふうに言っておりますが、米国の九一、九二会計年度二年度分で合計九億六千二百万ドルの援助を、これはアメリカ議会承認という条件でございますけれども、アメリカからフィリピンはこれを得ておるということでございます。他方、フィリピン側の負担しておる部分というのは、フィリピンの国力、経済事情等から見まして恐らくほとんどないのではないかと思います。  それから韓国でございますが、これは公表された若干古いものでございますが、八九年の韓国の国防白書というものがございます。それを見ますと、八八年度の韓国側の経費負担分でございますが、約二十二億ドルを韓国政府が負担いたしております。ただ、予算として計上いたしておりますのはそのうちの二・八億ドルでございます。言いかえますれば、二十二億ドルのほとんどの部分は土地の評価といいますか、国有の土地を貸与しておりましてその評価額で、実際の予算支出として計上しておりますのは二十二億ドルのうちの二・八億ドルということのようでございます。
  71. 清水澄子

    ○清水澄子君 もう時間がありませんので、最後に一つ防衛庁の方にお伺いいたします。  三月二十五日の日経新聞でしたけれども、防衛庁中東有事を前提にしたグローバルシナリオ、世界同時有事を想定した日米共同作戦計画の作成に踏み切ると報道されておりましたけれども、これはやはりAWACSの導入を決めた新中期防と関連した作戦研究ではないんでしょうか。  それからまた、これが事実であるならば、長官は既にそれを確認しておられるはずだと思うんです。きょうは長官おられませんけれども、防衛庁はどのようにその事実を確認しておられるのでしょうか。
  72. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 結論から先に申し上げますが、報道にございましたようなのは事実に反しております。といいますよりも、日米防衛協力のための指針というものに基づきまして研究作業を従来から行っているわけでございますが、共同作戦計画についての研究を進めておりまして、我が国に対する侵略の一つの対応を想定した最初のケーススタディーというのが昭和五十九年に一応の区切りがつきまして、現在はその情勢に応じた見直しを行っているということでございます。  そして、二つ目のケーススタディーでございます新たな研究というのは、従来から日米間で話し合いが行われまして、既に昭和六十三年の夏ごろから研究が具体的な緒につきまして、現在研究中でございます。  それで、この新たな研究といいますのは、ある意味では米軍からの来援が制約を受けるような事態というものを想定しているわけでございまして、別に今回新中期防との絡みで、あるいは御指摘のようなAWACSとの関係で、さらには中東有事を想定してとか、そういうことではございませんで、最初の研究が制約条件のない来援の事態を想定し、今度はより制約条件の厳しいものを想定して既に六十三年夏から研究を開始しているということでございまして、今新たにということはございません。
  73. 清水澄子

    ○清水澄子君 終わります。
  74. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 まず初めに、大臣お尋ねをしたいんですけれども、日本の安全保障政策のあり方なんですが、長らく自明の政策でありましてその有効性を問うこと自体がもうはばかられるような、そういう雰囲気もある日米安保体制なんですけれども、これを将来にわたり維持することが妥当かどうか。この変化する国際状況の中で、これにかわる政策考えていかなければならないのではないかと思いますが、その点いかがお考えになりますか、御所見をお伺いします。
  75. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 最初に安全保障条約日米間に締結されたときの記録を見ますと、この安保条約は昭和三十五年に改定されて継続されておりますけれども、最初の項目には、国連憲章の考えるような国際環境ができたときにはこの安保条約というものが廃止になるというような考え方が記録されております。つまり、当時から国連のいわゆる安全保障というものが基盤にあって、この安保条約の一項にも国連憲章の条文が規定をされている。また、日ソの共同宣言においても国連憲章の条文が引用されています。  こういうことから考えていきますと、日本外交の基本となるものは、やはり国連憲章というものがいろんな条約に書かれているわけで、国連考えているような人類の理想の形の国際社会というものが出てきたときには、当然安保条約というものはそれで不必要になってくる、こういうふうに考えても私は差し支えないと考えております。
  76. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 日本の安全体制を根幹とするこれまでの安全保障政策というのは、基本的に三つの要素があったのではないかと思います。  最初は、小規模な軍事的侵攻に対して独力で対処できる自衛力を持つ。二番目には、通常戦力による大規模な侵攻に対してはアメリカの支援を仰ぎつつ対処する。三番目には、核兵器による攻撃の可能性に対してはアメリカの核戦力による抑止に頼る。これらの三つぐらいの要素があるのかなと思うんですけれども、アジア・太平洋においてのソ連の戦力というのは欧州の正面とはちょっと違うと思うんです。アメリカ日本その他の戦力に比してやっぱり劣勢であるといいますか、これはアメリカの軍事体制の報告やそれから日本防衛白書が、ソビエトの極東戦力の増強、脅威ということをしきりに宣伝していますけれども、それでもこれらの報告でも西側が劣勢にあるという主張をするものは全くないわけでして、このことはソ連が核、非核を問わずみずから戦争をしかけてくる可能性というのは今またとみに極めて乏しいということではないかというふうに思うわけです。  つまり、ソビエトの軍事的脅威に対処する上で、アメリカの核抑止力に依拠すべき軍事的必然性はそもそも存在しなくなっているのではないでしょうか。いかがお考えでしょうか。
  77. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 欧州におきますCSCEの結果、ソ連ヨーロッパにありました戦車を含む軍事的な重装備をした機甲部隊の車両がウラル以東に相当数移動しているわけであります。それで、やはり日本政府としては、この点について相当重大な関心を持っているということを率直に申し上げておきたいと思います。  一方、インドにおきましては大変軍備の拡張が進んでおります。こういうことで、我々はやはり絶えず日本の安全というものを考えながら、どのようにすれば一番効率的な国家の安全が保てるかということを絶えず政府としては考える責任がある。  このような観点に立って見ておりますと、私は最近のウラル以東における大量の兵器の移動、これについては引き続き関心を有しなければならない、このように思っております。
  78. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 アメリカは、欧州正面での西側の軍事的な劣勢、それを補う意味で核抑止力を働かせる構えをとってきました。ソビエトの侵攻を未然に防止するというのが基本的な考え方であるとするならば、そのような政策をとるアメリカにとって、核兵器使用の可能性についてソ連に不安感を持たせ、特に核兵器使用による対ソ戦線拡大については、ソ連に不安感を持たせるためのアジアでの核使用の可能性を否定するわけにはいかないのではないかと思うんです。  一たん米ソの軍事衝突が起こった場合、日本はソビエトの核攻撃に見舞われる可能性が極めて高いということははっきりしているのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  79. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 現在、私は米ソの関係は極めて好ましい状態にあると考えております。また、先日来日されましたべススメルトヌイフ外相との外相会談においても、日本政府としては引き続き米ソの関係が好ましい状況で堅持されることが望ましいのだということも申し上げておりまして、現在交渉が延期されております米ソの首脳会談も今年の上半期の終わりには開かれる、そこでは核を含むいわゆる軍備の削減が当然協議をされるものと期待いたしております。
  80. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私たちはこの日米地位協定特別協定に反対をする立場から、きょうは少し米軍基地の問題その他お伺いしていきたいと思います。  米軍基地の整理縮小ということで、昨年六月十九日の日米の合同委員会で返還に向けて手続を進めることが確認されました沖縄米軍基地二十三カ所のうち、実際に話が進んでいるのは三カ所程度とお聞きしますが、日米間で合意されながらなぜ返還作業が進まないのか、その理由と作業状況をお聞かせ願いたいと思います。
  81. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生御指摘のように、昨年六月基本的な合意を見ました二十三の事案のうち、具体的に返還の手続を了しましたのは三事案でございます。しかしながら、残りの二十事案につきましても鋭意話し合いを進めております。  この中で重要なことは、土地所有者及び関係者との綿密な調整でございます。これを進めた上で、各事案ごとに日米合同委員会に諮りまして返還のための手続を進めてまいりたいということで、鋭意地元の関係者と話し合いをして可能なものから手続を進めるということで対応しているということでございます。
  82. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 これは百二十国会の予算委員会第一分科会の会議録なんですけれども、この返還問題について古堅分科員が質問をしておられます。その問いに対しまして大原政府委員がお答えになっているんですけれども、今お答えいただいたようなことをお答えになっているんです。  二十件のうち合意ができたものがほかにあるのでしょうかというふうに聞いておられます。それに対しまして、パイプラインそれからキャンプ瑞慶覧の一部でございますというふうに答えておられるんですけれども、その後で「現在地元の意向を踏まえまして、可能なものから逐次、個々の事案ごとに関係者との具体的な調整を進めているところでございます」というふうに答えておられるんです。  これは三月に入ってからの分科会の質問ですのでそれほど時間がたっておりませんけれども、これから少し進展したことがありますでしょうか。
  83. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 今二十の事案が残っていると申し上げましたけれども、そのうち那覇の冷凍倉庫につきましては近く返還の合意を予定しております。したがいまして、防衛施設庁においては移設に係ります所要の経費を平成三年度予算に計上しているというふうに承知しております。
  84. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ぜひ返還の作業を着実に進めていただきたいと思うんです。  念のために確認いたしますけれども、昨年十一月に県民の選択によりまして保守県政から十二年ぶりに革新県政に移行したわけですね。谷沖縄開発庁長官は二月十六日に視察にいらっしゃいまして、そこで記者会見をしておられます。その中で基地問題への県の対応について、「政治の現実と理想の両方をみながらやっていかなければならない。国との関係をギクシャクさせるべきでない」というふうに一種の牽制をしていらっしゃるんですけれども、米軍基地の整理縮小について対米交渉に当たる国の姿勢に変化が見えるということなのでしょうか。
  85. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私どもは、沖縄で大田知事が就任されましたことによりまして従来の日本政府の基本方針が変わることはないということを最初に申し上げたいと思います。  しかしながら、米軍の施設区域の整理統合に関しましては、先ほど来御説明していますように、昨年合意を見ましたものについては一つ一つ着実に返還手続を進めてまいりたいと思っておりますし、それから昨年残っております十八の事案というのがございますけれども、これについても話をしていきたいと思っております。  しかし、同時に強調させていただきたいと思いますのは、やはり米軍の施設区域の円滑かつ安定的な使用を確保するということは、日米安保条約の目的達成のためにどうしても必要であるということでございます。この点に関しましてはぜひ御理解を賜りたいと思っております。
  86. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 それでは、きょうは開発庁長官いらっしゃらないんですけれども、この御発言はどういうことだったんでしょう。
  87. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 非常に申しわけございませんけれども、先生が引用しておられます開発庁長官の御発言を私はちょっと承知しておりませんので、今申し上げましたような私どもの基本的な考えを申し上げることによってお答えさせていただいた次第でございます。
  88. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 地元の新聞に随分大きく報道されているんですね。ごめんなさい、これをお出ししておけばよかったんですが。  基地問題は「政治の現実と理想の両方をみながらやっていかなければならない。国との関係をギクシャクさせるべきでない」というふうに発言をしていらっしゃって、国との摩擦を避けよというふうな御発言なんですね。その論説などの記事もそういうふうに書いておりますけれども、対米交渉姿勢の変化が見えるということは特にないわけですね。
  89. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 繰り返しになりますけれども、今申し上げたとおりで、沖縄におきます米軍の施設区域は一方において日米安保条約の目的達成のために必要であると私どもも考えておりますけれども、同時に沖縄県におきましては特に米軍の施設区域の密度が高いわけでございまして、地元におきましてその整理統合について強い要望があるということも十分承知しております。したがいまして、先ほど申し上げました二点、つまり既に合意を見ている二十三の事案の着実な実施と、それから残っております十八の事案につきましてさらに米側と引き続き折衝していくということは従来の方針どおりでございます。
  90. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 沖縄は来年五月、復帰満二十周年を迎えるわけですけれども、沖縄振興関係に大きなネックとなっており、また県民生活に多大の影響を与えている米軍基地の抜本的な整理縮小は百二十万県民の悲願であり、革新県政に対する国の姿勢に変化が見えるという疑いをかけられないよう、政府誠意をもって交渉に当たるべきだと思います。そのお願いをしておきます。  昨年四月にチェイニー国防長官が議会に提出された報告、「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」の中で、在日米軍を今後十年間に三段階に分けて削減する計画が示されました。六月にはアメリカの太平洋軍司令官が日本の外務事務次官に対して、撤退計画が固まるのは九〇年秋ごろであり、撤退の対象となる五千人から六千人は沖縄が中心となるというふうな見通しを述べておられますけれども、その後在日米軍の撤退計画はどのようになっておりますでしょうか。湾岸戦争が終結した時点で改めて米側の意向を確認する必要があると思いますが、どうでしょうか。
  91. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 米側はその後検討を進めておりまして、昨年十二月の段階で議会に対しまして、今先生が言及されました四月の報告にございますアジアにおきます米軍の削減計画について報告書を提出しています。その中におきまして、アジア全体で約一一%の削減をするという方針を打ち出しておりますが、これはあくまでも第一段階、具体的には九二年末まででございますが、その一一%は数字で申し上げますと約一万五千でございますけれども、そのうち約四千八百名は日本を対象にしております。  その中で、今先生言及されました沖縄との関係でございますけれども、この中心は沖縄に駐留しております海兵隊になろうと見ております。
  92. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 その後、ハーディスティ米太平洋軍総司令官が訪日されておりますね。同司令官より外務事務次官に対して、全般的な撤退計画案が固まるのは秋ごろになる、そして在日米軍で撤退の対象となるのは五千から六千人、沖縄が対象となるというふうにまた改めて言っておられます。  ところで、アメリカのニューズウィークによりますと、米軍はこれまで予定していた削減幅よりもさらに大きく削減する計画をまとめていると伝えられますけれども、政府は御承知ですか。
  93. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生が言及されましたのは四月一日号のニューズウィークだと思いますけれども、そこに書かれてございますのは米軍の全般的な削減計画でございますが、これはことし発表されました国防報告、予算教書にありますデータと一致しているところと一致していないところがございます。国防報告及び予算教書におきましても、全般的なこの削減計画、これはニューズウィークとぴったり一致はいたしておりませんけれども、方向としては一致しております削減計画が発表されております。
  94. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 それにつきまして少し数字が食い違ったりしているんですけれども、かなりこれはリポートの中でも数字が詳しく出ておりますね。日本政府はそれに対して大体どのぐらいというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
  95. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) アメリカは具体的に国防報告、予算教書で示されましたこの削減の方向で今後削減をしていくと思いますけれども、ただ国防報告で非常に強調しております点は、先ほど来も話題になっておりますけれども、ソ連との関係におきましては、ソ連は武力行使能力は減少しつつあるけれども、依然として強力な軍事力を保って近代化に努めている。ソ連のグローバルな脅威というものは減少はしているけれども、まだそういうことで存在し、かつ地域的な脅威も存在するということで、そのためにアメリカとしては引き続き核抑止力と前方展開体制の維持が必要であるという基本方針を明らかにしておりまして、それを踏まえつつ国防予算削減という見地からかなり大幅な削減を打ち出しているというふうに了解しております。
  96. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私の出身であります北海道の新千歳空港なんですけれども、今や北の玄関として国際的物流拠点に向けて各種整備を進めております。これと同じように、米軍の使用する嘉手納基地の四千メートル滑走路が基地とともに日本に返還されれば、我が国の南の玄関としてはもとより、北東アジアの一大物流拠点となり、アジア・太平洋地域経済圏の発展に大きく寄与することは明らかではないか。こうした大きな夢を描きながら沖縄の基地の将来を構想してみてはいかがかと思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  97. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 沖縄の米空軍基地が北東アジアの物流拠点として価値があるというお考え、安全保障ということを考えずにアジアの通商問題だけ考えれば、そのような発想も私は大変立派な御発想だと思います。  しかし、何がさて、安全保障という国にとっては何よりも大切な問題を中心外務大臣考えて、絶えず国家の安全を維持しなければならない立場でございますから、現在のこのアジアの中でのあり方、軍事情勢、あるいはソ連も、今北米局長が御答弁申し上げましたように、あるいは艦艇の隻数は減っておっても戦闘能力は向上している。また、先ほども私お答えいたしましたけれども、先日べススメルトヌイフ外相との外相会談が行われたときに、欧州における兵器はどのようになったか、それはウラル以東に相当の数を移転して、いわゆる兵器を持たなかった師団にもそれを配分しているというお話も承りました。  政府といたしましては、安全保障の面からそのようなことも十分ソ連側にも申しましたし、これからアジア全体の安全ということを考えてまいりますと、現状ではまだ沖縄の米軍の空軍基地、これを商業空港に全部切りかえるというようなことは私は当面不可能ではないか、このように考えております。大変残念なことでございますが、現実の国際情勢はそれを許さない状況ではないかと考えております。
  98. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 外務省はというよりは日本政府は、依然としてソ連脅威論というものを持っていらっしゃるということですか。
  99. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私は、脅威論という考え方からいえば、ソ連にそのような意思はないと思います。意思があるかどうかということはそのときの政治指導者の判断によって決まることでございますから、今日のように流動しているこのソ連の内部政治、国内政治状況から見ると、どのような政治、これから新思考外交をずっと維持されるのかどうか、これはまだ私は予断を許さないと見ております。  現在のソ連外交責任者考え方では、新思考外交は今後とも維持していくというお話でございます。しかし、脅威感というものが存在するかどうかということですが、脅威があるのはソ連だけの問題ではないと思います。最近はインドが非常に軍事力強化しているということは、日本政府としては重大な関心を持っていることを先ほども申し上げております。これは原子力潜水艦あるいは空母というようなものも配備を考えている。やはりこのシーレーンといいますか、中東に油を依存している日本としては、インドの軍事大国化が将来どのような影響をインド洋、太平洋に与えてくるのか、これについても重大な関心を現在持っております。  そういう状況の中で、やはり先般来いろいろ御意見がございます軍備の削減あるいは軍縮といったような国際環境を一日も早く構築していくことが人間社会全体のプラスになるという考え方でございますが、私は現在の国際情勢では、手放しでこの安全保障についてだれもがもう無関心であって大丈夫だというような状況にはまだほど遠い環境にあると言わざるを得ないと思います。
  100. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 大臣のお考えはわかりますけれども、私は沖縄の米軍基地の問題で言いますと、沖縄の米軍基地は戦後一貫して共産圏封じ込めのアメリカの極東戦略を支える太平洋のキーストーンであった。そして、事実そう位置づけられ、朝鮮戦争ベトナム戦争では極めて重要な役割を果たしてきた。今度の湾岸戦争でもかなり重要な役割を果たしたと思いますけれども、歴史的に見ると、まさに沖縄の米軍基地は冷戦の落とし子であり、基地機能アジアにおける東西冷戦の激化とともに強化されてきた。こうした傾向は米中和解と時を同じくする沖縄の本土復帰後も変わってはいないわけです。  しかし、陰りがあるとはいえ最近の米ソ協調路線の中で、太平洋からウラルまでと今大臣盛んにおっしゃいました。次はウラジオストクからサンフランシスコまでというふうな声が聞かれますけれども、アジア・太平洋地域における冷戦構造の終えんは期待が高まっているのではないでしょうか。こうした情勢の変化の中で、これまで冷戦構造の激化とともに一貫して機能の拡充が図られてきた沖縄米軍基地ですけれども、当然基地機能を低減させていってよいのではないか、私はそう思います。  政府は、現在沖縄米軍基地の位置づけをどのように考えておられますでしょうか。また、アメリカに対して基地機能の低減を申し入れられるおつもりはないでしょうか。
  101. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先ほど来大臣が申し上げておりますように、日米安保条約は我が国を含めますアジア・太平洋の平和と安定にとって引き続き不可欠な枠組みと私どもは認識しているわけでございますけれども、そのような日米安保条約の目的達成のためには日本におきます米軍の施設区域の円滑かつ安定的使用というのが重要になってまいります。その観点で、先生御指摘の沖縄におきます米軍の施設区域も私どもは重要な役割を果たしている、つまりアジア・太平洋の平和と安定のために重要な役割を果たしていると考えております。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、私どもは、沖縄におきまして米軍の施設区域の密度が非常に高く、地元からその整理統合につきまして強い要望が出ているということは十分承知しておりますので、片方におきまして、先ほど来申し上げておりますように、従来の基本方針に基づきまして沖縄の施設区域の整理統合につきましてはアメリカと話をしていきたいと考えておりますと同時に、この施設区域の存在や米軍の活動に伴って生じております周辺の住民の方々への影響もできるだけ最小限に食いとどめるよう、さらに努力をしていきたいと考えている次第でございます。
  102. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 先ほども申しましたけれども昨年四月にチェイニー国防長官が議会に提出しました「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」というものによれば「在日米軍基地には全地球的な兵たん補給機能「修理機能などが期待されている。また、本年三月の国防報告によりますと、日本も含めた極東駐留米軍は地域を超えた緊急展開戦力と位置づけられている。御存じだろうと思いますけれども、こういうことに対して外務省日本政府はどういうふうにお考えになるんでしょうか。
  103. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生御指摘のような記述が昨年四月の「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」と題する報告書にもございますし、その他にもございますのは承知しております。しかしながら、これも繰り返しになりますけれども、この日米安保体制は我が国の安全そして極東の平和と安定のために存在するものでございまして、先ほども引用させていただきましたけれども、今回御審議いただいております特別協定の前文にもまさに在日米軍の目的としてそのことが明記してあるわけでございます。  私どもは、したがいまして、まさにそういう日米安保条約アジア・太平洋におきます平和と安定の枠組みとして従来から重要な役割を果たしてきておりますし、今後も果たしていくものと、こういうふうに考えております。
  104. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 ですから、その地球的な兵たん補給機能、修理機能などが期待されている、また地域を超えた緊急展開戦力の基地であるというふうに位置づけられている、今いろいろおっしゃいましたけれども、このことをお認めになるのかどうか、チェイニーさんは勝手なことを言っているとお思いになるのかどうかわかりませんけれども、日米地位協定における米軍基地のさまざまな日本の負担といいますか、本当に微に入り細に入りいろいろな、さっきも御質問がありましたけれども、生活レベルに至るまでの負担を強いてくるということも、この考え方からすると当然のことであるというふうに思われます。  そこのところはどうお考えになっているんでしょうか。
  105. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私どもは、先ほど来申し上げております日米安保条約の基本目的、つまり我が国の安全のみならず極東の平和と安全のために存在するということでございまして、そういう実態は従来からも存在しておりましたし、今後も存在していくものと考えております。  先生御指摘の点は、これも先ほど来話題になっておりますけれども、我が国に駐留いたします米軍が極東の外の地域へ移動するということは、当然この安保条約は想定しているわけでございます。これは米軍の運用上の都合によりましてそういうことがございますけれども、また米軍はその後我が国の施設区域に戻ってくるわけでございまして、我が国におきます米軍の目的はあくまでも我が国の安全及び極東における平和と安全の維持に寄与するということでございまして、そういう実態があるということが非常に重要であるということを改めて申し上げたいと思います。
  106. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 これも百二十国会の予算委員会第二分科会の会議録ですけれども、この中でも上原分科員の質問に対して松浦さんは、「アメリカで国防報告が出されました。」「日本におきます米軍の基地、すなわちこの施設区域に対しまして高い評価が与えられております。」というふうに答えていらっしゃいますね。これはこの「アジア・太平洋地域の戦略的な枠組み」というチェイニーさんの出したものを受け入れるというか容認される、承認されるようなお答えと見られますけれども、いかがですか。
  107. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生御指摘の「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」は、あくまでもこれはアメリカ政府の報告でございまして、そのことについていろいろ御質問ございますので私どもの考えるところ申し上げておりますけれども、私どもはその一つ一つの内容に関しましてこれを承認する承認しないということは差し控えさせていただきたいと思います。  私がこれを引用させていただきたいと思いますのは、一月十四日、今回御審議賜っております特別協定中山大臣とベーカー長官の間で署名していただきましたけれども、そのとき出しましたプレスリリースで、この日米安保条約は「東アジア・太平洋の平和と安定にとって不可欠なものとして寄与してきており、今後とも寄与していくであろう。」という文章がございまして、これはまさに日米両国政府の基本認識を述べたものでございます。改めて引用させていただきたいと思います。
  108. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 在日米軍基地には高い評価が与えられているというわけであります。これは日米ともに認めておられるわけでありますけれども、今後アメリカの軍事的戦略の柱である前方展開戦略に基づいて、沖縄米軍基地はもとより、在日米軍基地は整理縮小ということを隠れみのにして、実際には格段の機能強化が図られていくということになるのではないでしょうか。  こうしたことはアジア・太平洋地域における冷戦構造の真の終えんに逆行するのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  109. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先ほど来申し上げておりますけれども、私どもは、基本的に米ソ間の対話の進展などによりまして新しい動きが出ているということではございますけれども、依然としてまだまだ不安定、不確実な要素がアジア・太平洋地域においては存在するというふうに認識しております。したがいまして、日米安保体制がこのようなアジア・太平洋地域におきまして平和と安定の枠組みとして従来どおり引き続き機能していくということは非常に重要であると考えております。  その見地から、先ほども申し上げましたけれども、沖縄におきます施設区域も重要な役割を果たしていただいている、こう認識しておりますので、その整理統合についてはさらに努力いたしますし、それから周辺の地域の住民の方々にできるだけ御迷感をかけないような形で対処したいと思っておりますけれども、施設区域の持っております基本的な目的、機能に対しましてはぜひ御理解を賜りたいと思います。
  110. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 沖縄の米軍基地、日本にある多くの米軍基地を非常に重要視されているという、そういうことから考えますと、地位協定による思いやり予算でありますとか、そして日本側の負担、これほどこまでもどんどんどんどん膨らんでいくのではないか。日本新聞も余り詳しい内容は書いてくれませんので、国民は一体どういうものを我々は税金で負担させられているんだろうかということはよくわからないと思うんです。ですけれども、本当はどこまでいくんだろうかというほどの大変な膨らみ方をしているわけです。  例えば、今米軍が円建てで払っているようなも のがありますね、船の修理費だとか。そういうものはこれから将来は日本側負担にしようという伏線じゃないのですか。    〔委員長退席、理事山岡賢次君着席〕
  111. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 今回の措置は二十四条の特則として暫定的、限定的、特例的にお願いしているわけで、それも手続的にも国会の承認を得て行おうとしているものでございます。先生御指摘のそれ以外の経費でございますけれども、現時点におきまして現在お願いしております措置以外の措置をとることは考えておりません。
  112. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 今や在日米軍基地、特に沖縄米軍基地は、かつて言われた太平洋のキーストーン、それにとどまらず全地球的規模における米軍のキーストーンとなっているのではないか、私どもはそう思うんです。  御承知のように、在日米軍基地は「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」と日米安全保障条約第六条で使用を許しているわけですけれども、極東駐留米軍が地域を超えた緊急展開戦力として位置づけられている以上、沖縄米軍基地を含む在日米軍基地の使用目的は本質的に変わったと言えるのではないでしょうか。いかがですか。
  113. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 繰り返しで申しわけございませんが、私どもは在日米軍の目的は変わっていないと。それは先生も今安保条約六条を引用されまして言及されました我が国の安全と極東におきます国際の平和と安全の維持に寄与するという目的であるということでございまして、極東以外の地域に米軍が運用の都合上移動するということは、これは安保条約がそもそも想定していたことでございますけれども、従来から行われてまいりましたし、これからも行われるであろうと考えます。これは安保条約上何ら問題のないことでございます。
  114. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 心ある国民は、なぜ日本はそういうふうにアメリカの言いなりにならなきゃならないのか、日本アメリカの属国かというふうなことを常日ごろ思っているし、私たちもそう考えておりますけれども、今の日米安保条約日本の安全と極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するためということで、先ほどから私が何回も繰り返し申し上げておりますように、地域を超えた緊急展開戦力というふうにアメリカ位置づけてくるのであれば、やはり言いなりになるしかないのではないか。そのことは今までと目的が大きく変わってきているのではないかというふうに思いますが、大臣、どうお考えになられますか。
  115. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 委員が今アメリカの属国ではないかというお言葉をお使いになりましたが、私は外務大臣として甚だ残念に思いました。我々は決してアメリカの属国ではない、我々はアメリカとパートナーとしてやっていくという考え方で今日外交交渉を行っております。  御案内のように、日米貿易インバランスにつきましても、日米構造協議においては日本側からアメリカに対して八十カ所の問題点を指摘いたし、それを修正しないとアメリカ経済はよくならないということを厳しく指摘しておるような状況でございまして、我々が属国であればそのようなことは決してアメリカに物が言えなかったと思います。そういう意味で、今日まで日米地位協定の原則は原則として、思いやり予算として今日のいわゆる負担金、分担金というものは正面装備を除くと六〇対四〇の比率でございました。今回それを五年後に五〇対五〇の大体均等のところに持っていって日本経済力に見合った応分の負担をするという考え方でございます。  アメリカヨーロッパ日本というものをアメリカの属国とは見ておらない、私はそう信じています。昨日もベルギーの副首相が来られましたけれども、日本ほどの経済大国に対してヨーロッパは大変大きな敬意と協力に対する期待をしているというようなお話でございました。私は、日本は決して属国としての態度をとっていない、パートナーとしてやっていくと。この間ワシントンポストに私インタビューを求められましたときも、アメリカの子分として日本は行っていくんですかと、こういうお話です。私は、子分でない、おれたちはパートナーであるということをはっきりと明言しておりますから、その点はどうぞひとつ御園解をいただきたいと思います。    〔理事山岡賢次君退席、委員長着席〕
  116. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 そうあってほしいと思いますが、しかし国会でもこれまでにもたびたび取り上げられてきておりますように、特にこの日米地位協定のさまざまな、駐留軍で働く人々の待遇でありますとか、日本がどれだけの負担を強いられているかということでありますとか、そういうことを端的にそれだけから考えてみても、ほかにもたくさんのファクターがありますけれども、それだけ考えてみても、どうしてこんなことまで、これまでにもいろいろあれだけの大きな私たちの何倍ものお部屋を与える必要があるのかとか、それからワイシャツからチョウネクタイに至るまで日本の負担なのかとか、そんなことがこれまでにも議論されていたと思います。  そういうことを、それではパートナーとして私たちはそこまで負担する必要はないとか、私たちはこう考えるとか、そういうふうにおっしゃったことがおありでしょうか。
  117. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私は、この日本国の憲法のもとで日本を守るには一つの限界があるということを率直に申し上げておきたいと思います。  先ほどドイツのお話が出ましたけれども、ドイツは四十万の常備員を抱えて全国民に徴兵制度をしいております。そしてアメリカとは、アメリカが攻撃をされたらドイツ防衛する条約上の義務を負っているわけです。だから、彼らがアメリカのためにも血を流すということを明確に国民認識をしております。  日本の場合はそれに比べて、アメリカ戦争に巻き込まれたときは我々は協力をしない、日本が侵略されたらアメリカの軍人が来て血を流す、こういう条約上の規定がございます。それを我々が堅持して、専守防衛のこの憲法の枠内で日本の安全を保障していくということになりますと、我々は経済力に見合った応分の負担をしないとなかなかこの関係を維持していくのは今後問題が起こってくる、私はそのように考えております。  今回、湾岸戦争を通じて私は痛感いたしましたが、あの同じ戦争に負けたドイツ、イタリー、日本、この三カ国の湾岸に対する取り組み方もそれぞれの国で全く異なっておったと思います。  そういう日本独特の憲法のもとで、この厳しい国際情勢の中で経済大国になったわけでございますから、国民の安全を守るためには我々としての最善の方法をとっていくことが極めて必要ではないか、このような考え方で判断をした次第でございます。
  118. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 私は先ほど、この国際環境のもとで果たして日本の安全保障政策がこれまでのとおりでよいのか、維持することが妥当かどうか、それにかわる政策考えてみたらどうかという提案をいたしましたけれども、もう少し核の問題などについて御質問したいと思います。  日本は非核国家でありまして、その非核国家に対しての核兵器行使の可能性考えるということは、よほど極端な状況を設定しない限り非現実的だと思います。人類が核兵器を使うようになってから実際に核兵器を使用した国家はアメリカだけであり、そのほか核兵器使用の可能性が考慮されたことが伝えられたのは、朝鮮戦争に際してアメリカ中国に対して、また中ソ関係の緊張を背景としてソビエトが中国に対してというふうなケースがありますけれども、このほかにも核兵器国家が核兵器使用の可能性をさまざまな場合を想定した机上作戦において考えているであろうということは間違いないだろうと思います。  日本政府がずっと想定してきましたのは、ソビエトによる核の脅威であります。しかし、チェルノブイリ原発事故以来のソビエトは、核によってもたらされる被害のすさまじさをみずからの体験によって痛切に認識するに至っているのではないでしょうか。核兵器使用については核兵器国家の 中でも今や最も慎重な考え方を持っている可能性があるのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  119. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私は、核兵器の使用についてはソ連も慎重になっていると思います。  それは国際的に米ソの緊張が緩和するという中で、核弾頭つきのミサイルを削減していくということで米ソ間の協議が進んでいるわけでありまして、先般のべススメルトヌイフ外相との会談においても、米ソの交渉がどの程度進展をしているかということを確かめましたら、これは恐らくこの上半期の終わりごろには米ソの首脳会談によって協定に到達する可能性がある、こういうことでございますから、だんだん超大国も核兵器の使用の限界を低めていくというような状況の中で、抑止力を保ちながら、我々の理想である核の拡散防止の方向に世の中が向かいつつあるという認識を持っております。
  120. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 深刻な核体験を持つ我が国、そしてソ連はある意味日本に次ぐということすら言えるかもしれないと私は思うんですけれども、したがって私は、まず日米安保体制の一つの重要な構成要素とされるアメリカの核抑止力に対する依存という点において、日本はこの政策を徐々にではあっても改めることが可能ではないか、また必要ではないかと考えるわけです。日本は、そのような政策変更を行うことによって世界の平和と安全という重要な課題に関して、唯一の被爆国という悲惨な体験に裏打ちされた立場から、そして非核三原則を名実ともに実行する平和国家として大きな立場から貢献することができるのではないかと思うんです。  もう時間がございませんから最後に、政府在日米軍基地の使用目的、これを日米安保条約第六条という範囲内にとどめるようアメリカに申し入れるか、あるいは現在の使用実態を認めるのであればそれに合致するように条約を改める必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。大臣の御所見もできれば伺いたいと思います。
  121. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先ほど来も御答弁申し上げておりますように、安保条約第六条に従いまして日本日本の安全と極東におきます国際の平和と安全の維持のために施設区域を提供しているということでございまして、これは繰り返しになりますけれども、日米両国政府としては、まさに在日米軍はその目的に従ってきちんと従来から機能してきたし、今後も機能していくということでございます。  先ほど来先生御指摘のように、極東以外の地域に在日米軍が移動するということはございますけれども、それはあくまでも米軍の運用上の都合により移動するということでございまして、またその後日本に戻ってくるということでございまして、あくまでも目的は第六条に規定したとおりであると私どもは認識しておりますので、先生が御提案のように、そうでないからそれに合わせた条約改正が必要だというふうには私どもは認識しておりません。
  122. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 大臣はいかがでございますか。
  123. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私は、現在の状況をそう急いで変化を求める必要はないと。  と申しますのは、日ソのこれからの交渉におきましても、ソビエト政府日米安保条約の存在を肯定いたしております。また、米ソ間でも話し合いが進んでおります。そういう環境でございますから、この両大国が核の問題を含めて安全保障についてはやはり重大な関心を払っておりますし、相互の首脳が絶えず連絡をとり合っているという環境の中で、我々はアジア・太平洋地域の安全保障をこれからどのような形で構築していくかということで関係国と協議を進めていかなければならない、このように考えております。
  124. 竹村泰子

    ○竹村泰子君 いろいろと申し上げましたけれども、大臣が先ほどおっしゃいました日米間は縦の上下の関係ではないのだ、パートナーなのだということを十分肝に銘じていただきまして、必要なことは発言をしていただきたいし、それから約束が違う場合には約束が違うじゃないかとはっきりと言っていただきたい、そういうふうに強く要望して終わらせていただきます。
  125. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十五分まで休憩いたします。    午後零時四十分休憩      ─────・─────    午後一時四十五分開会
  126. 岡野裕

    委員長岡野裕君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  127. 黒柳明

    ○黒柳明君 地位協定に入る前に、施設庁長官、今まで発言もなくて寂しかったと思いますので、まずここで初めにお伺いしますが、一部新聞に既に報道されていました防音関連事業の補助金のこと。私は東京なものですから、国立が出て国分寺が出て、あと十一市、立川飛行場、横田飛行場関連の補助金ですね。国立は、新聞報道ですと、十年間機械が稼働していなければ五千万ぐらいただ取りした。二十九日には、国分寺も九〇年の補助金は百五十五万返還します、過去において稼働していませんでしたと。過去十年間さかのぼるとすると一千六百万ぐらいになる。小金井はもう既に六十一年申請を中止している。  こんなことが相次いで報道され、私も短い時間ですけれども精力的に調査してみました。施設庁の方も調査すると、こんなような新聞報道がありましたが、調査した結果どうだったでしょうか。
  128. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 早速私どもの方でも事実関係を調査いたしました。  立川飛行場周辺地域におきましては、昭和五十二年に米軍が機能を停止したことから、当時に比べまして騒音が低減しているのは事実であろうかと思います。しかしその後、御指摘の小金井市を除きまして引き続き補助金が交付されておりますけれども、この辺の事情につきましては現在対象となっております学校、それから国立市当局などからとりあえずの調査をいたしましたが、まだ細部については明らかになっておりませんので、引き続き調査をすることにいたしております。
  129. 黒柳明

    ○黒柳明君 とりあえず調査して一週間弱たっているんですが、その間どんなような反応だったですか。
  130. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 調査をいたしました学校では、換気設備がほとんど稼働できる状況になっていないというようなのがございます。ただ、いつごろからそういう状態になっているのかというようなことにつきましては、もう少し調べさせていただきたいと思っております。
  131. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然時間はある程度かかると思います。市にしても十一。まあ三つは結論が出ていますな。あと八つあるわけです。学校にしたら相当多くなりますから、時間がある程度かかると思うんです。  これはどういうことでこういうふうな結果になったんでしょうか。国立が十年ただ取りと、まだ結論出たわけじゃありませんね。昭和四十八年から補助金が交付されて、徐々にきて、五十二年立川飛行場が横田に移った。そこらあたりが一つの山でしょうね。そして平成三年と、それから十四年間。十年稼働していない国立では五千万以上ただ取りしていた。市の方である程度認めているわけですけれども、細部はこれからと。どうしてこのようなことにならざるを得なかったんでしょうかね、その過程は。何が欠けていたんでしょうか。どうしなきゃならなかったんでしょうか。
  132. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 先ほども申し上げましたように、五十二年に米軍の旧立川飛行場が返還されたことに伴いまして、立川飛行場周辺の航空機の騒音が低減しているのは事実であろうかと思っております。しかし、防音工事を実施した施設について、その後騒音の状況が変わって防音工事を必要とするほどの騒音ではなくても窓を閉めなければならないような航空機騒音もあるであろう、こういうときには換気設備等を稼働させるのもまた実情ではなかったかと思います。このよう な場合に、換気設備等の稼働に要した電気料金については直ちに補助の対象外とするのはいかがなものであろうかというようなことから現在指摘されているようなことが起こっているのではないかと思います。  しかし、いずれにいたしましても、もう少し調査をいたしまして、その結果報道されているようなことがあれば、それはそれで適切に対応をしていかなければならないと思いますけれども、私どもの方といたしましてもこの補助金の交付に当たっての審査体制というようなことについて考えていかなければいけないと思っております。
  133. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは十年か十四年かわかりません。いずれにせよ、五十二年に立川基地がなくなってからが問題だと思うんですね。それまでの四十八年から五十二年まで三、四年はある程度補助金の対象。これは実態を調べて交付したわけですから、そこまでさかのぼって私はおかしいとは言わないんですが、五十二年以後の防音関連維持費補助にかかわる事務手続、この手続を見ますと、これは毎年毎年きちっとなっています。二月下旬は内定して三月中旬に交付申請して、審査して、それから三月下旬に交付決定して、実績報告、審査、額の決定、補助金支払い。これがきちっとしていれば国立はもう決定的なんですけれども、具体的内容はこれから調べなきゃならないでしょう。  まず、ただ取りしていたことは決定的ですね。いつからであるのか、どれだけであるのかというのはこれからになるんでしょうけれども、これをきちっとしていれば、十年も十何年も稼働していないのに補助金を出しているなんということはなかったと思うんですが、これはどうでしょうか。
  134. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 手続の方は御指摘のようになっておりますけれども、どうしてこのようなことが起こったかにつきましては今調査をしておるところでございますので、その調査の結果にまちたいと思っております。
  135. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうじゃなくて、学校側はいいですよ。市当局はいいですよ。防衛施設庁の方、長官の方の問題だ。今、長官の方の問題。  やっぱり長年これをやっていなかった、審査なんかやっていない、こういうことで十数年たってうまくないという事実が起こった、こういうことじゃないんでしょうか。
  136. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 申請の手続については御指摘のような方式が確立しておるわけでございますけれども、私どもは、防音事業関連維持費の補助の対象となる換気設備などの稼働状況については、補助事業者からの聴取によりまして確認をしてきております。これは補助事業主体である地方公共団体などとの信頼関係に基づいて十分に事実が確認できるというふうに考えておりましたので、このような方式を現在までのところ採用しておったわけでございます。
  137. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは電気料金ですから、基本料金というのがあります。学校へ行きますとメーター一つですから、どれがいわゆるこの補助金でつくったのか、そしてそれで稼働した電気料、これはわかりませんね。わかりませんけれども、実際に国立は十数年動かしていなかった。にもかかわらずもらっていた。これはもう事実関係ははっきりしているわけですよ。ですから、一つはやっぱり今チェックの時代。私は初めからいきたいんですが、まあそれはともかく、この十数年間やっぱりそれを審査してこなかった、これが一つの問題点。これはあると思うんです。どうですか、この点は。やっぱり問題点が、まあいいです、今おっしゃったから。  それからもう一つは、地方公共団体の信頼性の問題。この信頼性で私は、信頼性結構ですよ、信頼性は結構です。だけど、信頼性の問題で何百万、何千万。これはここだけだって何十億になるわけですね。それを交付して十数年そのままほっぽっておく。しかも、手続上はきちっと実績報告までしなきゃならない。にもかかわらず各市から、教育委員会から使っていますよと、内容はわからないんだがお金だけが出てくるわけですね、使っているという金額だけが。だから交付してきたのは妥当だと。妥当とは長官おっしゃらないとは思うんですけれども、これはちょっとやっぱり地方自治体の各市当局の信頼、逆に言うと裏切られたということになりますかな、防衛庁の方は。信頼してきたんだ、だけどおれたち裏切られたんだ、こういうコメントにもなりますかな。信頼していたのに何だと、こういうことになりますかね。
  138. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 現在の仕組みは、補助事業主体である地方公共団体との信頼関係に基づきまして、補助事業者から考えを聴取することによって事実関係を確認できるものと考えておりました。そのような考え方でございますので、現地調査などを実施しなかったということであろうと思います。  しかし、もし御指摘のようなことが事実であるとしますと、これは審査方法が十分ではなかったということになりますので、この場合、換気設備等の稼働状況の確認に遺漏がないように何らかのチェック体制を考えなければいけないと思っております。
  139. 黒柳明

    ○黒柳明君 念のためですけれども、国立、国分寺の今の新聞報道、私は現地へ行って見てきましたけれども、これは事実でなかろう、事実であるかどうかわからないという前提で今長官は物をおっしゃっていますか。あくまでも調べなければわからない、事実関係は調べてからでなければわからない、だからというような前提でおっしゃっているんじゃないでしょうね。事実とわかっていてもやっぱりこちらはこちらで調べてから、こういう意味でしょうな。事実かどうかわからないからだめなんだというようなことでもないでしょうな、まさか。
  140. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 現在調査を続けているところでございますので、その全体について申し上げるのは調査が終わった段階にさせていただきたいと思います。
  141. 黒柳明

    ○黒柳明君 そんなこと言っているんじゃない。国立のこと、国分寺のこと、これは事実であるという前提で言っているんでしょうね。ほかを調べているんでしょう。
  142. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 国立の場合に限って申し上げますと、やはりこれも今調査をしておるところでございますので、調査結果が出たところで先ほどから申し上げておりますような考え方で対処していくべきものと考えております。
  143. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、子細は調査してくださいよ。十年なのか十二年なのかわからない。そうじゃなくて、こういう事実は原則としてあった、こういうことはやっぱり否定はしないんでしょうね。あといろんな子細については事実は調べなきゃわかりませんよ、まだ一週間のことですから。だけれども、この事実がないだろうというようなことなんか考えていませんでしょうな。
  144. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 先ほどの調査で、学校によってはほとんど稼働できる状態になっていないというようなところがございますので、報道されているような事実が含まれていることは確かだろうと思います。しかし、その全体がどうであるかということはもう少し調べさせていただきたいので、部分的なことを今申し上げるのは差し控えさせていただきたいという意味で先ほどお答えをしたとおりでございます。
  145. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構ですよ、そのとおり。私らちょっと頭が悪いから、言っていることが整理できなかった。  それで、例えば六十一年、小金井が調べた。そして一級、二級じゃなくてもう四級だと。それで申請を中止した。その時点においてどういうふうな対処をしましたか。小金井はいいんですよ、申請はもうやめたんですから。その全体の十一市についてどういうふうなことをしましたか。
  146. 大原重信

    政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。  小金井市から六十二年度に係る交付申請が出てまいりませんでしたので、そのまま補助金は打ち切るという形をとりました。  今委員御指摘のとおり、他の部分につきまして は特段の措置はとらなかった次第でございます。
  147. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは東京の施設庁あるいは本庁まで上がってくる。四級ですよ。これはもう当然調べて知っているんじゃないでしょうか。長官の耳に入っていませんか。昭和六十一年五月に調査したとき、小金井、これは四級。耳に入っていない。ああ長官じゃなかった、そのときは。
  148. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 私は、今御指摘のことは承知しておりません。
  149. 黒柳明

    ○黒柳明君 してないね。そう言っておいた方が無難だ。  どうですか、その時点においては。
  150. 大原重信

    政府委員(大原重信君) まことに失礼でございますが、私も承知しておりません。
  151. 黒柳明

    ○黒柳明君 こうなると行政の一貫性はないということであって、まあそうでしょう、そのポストにいなかったから。  長官、六十一年の五月に小金井で調べた。十一市の中で調べたところが一つあります。府中は調べているんです、継続的に。あと調べてないんですけれども、小金井の場合は調べて、それで一級、二級じゃなくて四級だから申請は結構ですと遠慮申した。その時点においてやっぱり十一市調べるべきだったんですよ、今考えてみれば。そう思いませんか。
  152. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 当時どのような処理をしたのか、これも私ども内部で今調べているところでございますけれども、御指摘のことにつきましては私もそのように考えるところがございます。
  153. 黒柳明

    ○黒柳明君 もうこれはそのように考えざるを得ないんですね。それがつい最近国立が、二十九日国分寺がと、こうなったわけです。ですから、検査体制をきちっとしなきゃならない。  それであとの八市。武蔵村山、ほとんど稼働していません。これはまだ調べていませんか。
  154. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) まだそこまでいっておりませんが、これも調査の対象にしなければならないと思います。
  155. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然十一市全部ですからね。武蔵村山はほとんど、全く稼働していないと言ってもいいです。これは八百万。十年になるか十二年か、これはわかりません。掛けるの計算すればいいんですからね。  それから東村山、小平、これは月に一、二回騒音を感じるかなという程度です。それから日野、これは飛んでいる飛行機の姿にほとんど気づかない。だから騒音については全く関知しない、こういうことです。現状ですよ。十年前、十五年前はわかりませんよ。同じくそのときの先生はいやしませんからね。それから東大和。仕事中、要するに授業中ですが、騒音について意識したことがない。  こういう五市の結果。これはもう測定器を持っていってすぐこうやってできるものじゃありませんから、要するに意識調査みたいなのをやってみたんです、学校に行きまして。この五市に限っては全く騒音なんというものじゃありません。騒音なんというものじゃない。稼働もしていない。しているところもあります。していないところもあります。同じように、国立、国分寺と同じように補助金をもらっています。  なぜこうなのか。これは当然ですよ、立川基地は五十二年になくなったんですから。幾ら立川、横田関連といったって、これは私も厚木やなんかへ行ったけれど、離着陸のときの真下のところが騒音ですごいわけですよ。しかも、この一級、二級というのは、一授業内に一級は九十五ホン以上が十回以上または百ホン以上が五回以上。すごいですよ、これは。猛烈ですよ。二級にしたって一授業内に九〇ホン以上が十回以上または九十五ホン以上が五回以上。もうこんな状態なんか五十二年の時点から全くないわけですよ。立川がなくなって横田に行って。ただ、あるのは昭島、今は昭島。それに準じて立川、こういうことですよ。あとは全く、これは東京の地図を見てみればわかる、ごらんいただければ。国立が、国分寺が、小金井がなければ、府中や小平があるわけがないんですよ、そんなものは。東京の地図ですから、めちゃくちゃに滑走路で飛び立つわけじゃありませんから。  というふうなことで、五十二年に立川基地が横田に移ってから、しかも国立が、国分寺が、小金井が実際的な騒音に悩まされなくなって補助金が必要なくなったからには、ほかのところもそういう状態であることは間違いないわけですよ。間違いない。その点について今調査、調査と、こうおっしゃいましたけれども、私たちが調査した範囲ではそういうことです。いいですね。同じような結果が出なきゃおかしいんですよ。  ただ問題は、要するに三月十五日、例えば国立、いろんなところがありますが、教育委員会の次長がこれを防衛庁に言ったというんですよ、既に六十二年に。そうしたら防衛庁の方で、あの近隣市だってやっと団結してもらったんだから、だからもうそんなことを言わないで考えたらどうですかと、こう言われた。国立の三月十五日の総務委員会。我が党の議員は十校全部足で歩いたんですよ、ほこりだらけになって。そのときに、国立の担当者の教育委員会の次長は施設庁に言ったというんですよ、もうこれ使っていないからと。だけれども、近隣十一市でもらっているんだからそう言わないでと、こういうことを言われた。どうですか、これは。
  156. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 今御指摘のような報道がございましたので……
  157. 黒柳明

    ○黒柳明君 報道じゃない、議事録。
  158. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 議事録の方は私承知しておりませんが……
  159. 黒柳明

    ○黒柳明君 報道じゃなくて議事録。三鷹市の総務委員会、三月十五日。三鷹の教育委員会の次長さん。
  160. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 三鷹の方の議事録は私ども承知しておりませんけれども、そのようなことが報道されている市がございます。そこで、当時の担当者にも確かめてみましたけれども、そのような記憶がないと言っておりますが、そのようなことはもう少し調べてみないとわかりませんけれども、なかったんじゃないかと私どもは思っております。
  161. 黒柳明

    ○黒柳明君 別に国立はもう私たちもらっていませんと言っているわけだから、隠しているわけじゃありません。だけど、もう施設庁の方に言って、一役人の人ですから名前までは、長官とか部長なら名前出しますけれども、何もその人の判断でも何でもないんでしょうから、その人がそのときどういう対応したかわかりませんけれども、もう言ったというんですよ、うちは稼働してないと。三月十五日の委員会の国立市の議事録にちゃんと出ています。三鷹と言ったかな。国立です。国立市会の総務委員会で出ています。向こうの人の名前も出ています。今ここで言うべきものじゃないでしょう。言ってもしようがありませんな。にもかかわらず、そんなのもう取っておきゃいいじゃないかと。こうは言わなくても、十一市近隣で努力してきたのであり、基本的にもっと考えてみたらいかがですか、返す必要ないんじゃないですかと、こういう趣旨のことを言ったというんですよ、施設庁が。  これも調べてみてください、議事録見て。国立によく聞いてくださいよ。だから、六十一年の小金井にしても六十二年の国立市にしても、自分たちはその時点で気づいているわけですよ。それについて施設庁の方へあれしたんですけれども、まあまあと、こうなって今日まできて、我が党の議員が歩いて調査して委員会で発言した、それがマスコミに載っかった、こういうことです。いいですね、長官。  あと、これはがたがた言ったところでしようがないでしょう。九十五ホン、百ホンなんというのは教室に行っただけでわかりますから、一回長官も足を運んで、どこの市のどこの教室でもいいですからちょこっと行ってごらんなさいよ。全く飛行機の姿すら見えない。それは当たり前ですよ、立川飛行場がなくなっちゃったんですから。その騒音なんですから。横田も若干関係あるでしょ う。こういうようなことです。  まだまだ私たちも選挙ですから、調査しろといってもちょっと手足が選挙に動いちゃっている。黒柳先生一人じゃなかなか体力が続かないので、限界がありますので、今のところはまだ、各地に行って若干学校当局で聞いてみましたけれども、もうそんな騒音、防音なんてない。  それからもう一つ、稼働していない。稼働している状態にあった、使っていた、使っていたから電気料金の補助金をやる。これも僕はおかしいと思うんですよ。いいですか。動かしているということは、冷暖房がありますから暖房あたりを動かす。騒音には何にも関係ないわけですよ。ただ設備があるから、スイッチを入れれば動くから動かしている。本来の防音目的でも何でもないわけですね、この稼働というのは。だけれどもスイッチ動かしている、こういうところも中にはある。  ですから、これも抜本的にやっぱり考え直さなきゃいけないと思うんですね。補助金は使っていなかったら返す。さらに補助金を使っていたとしても、電気料金に使っていたとしても、これは本来の目的とは全然違うわけですよ。防音には関係ないわけです。だけれども、あるから便利だから使っておく。これに対して補助金を出すというのはやっぱりどんなものかねと私は現場を見て思いました。これについてもやっぱり調べる段階においては当然返還させなきゃならないんじゃなかろうかな、中止させなきゃならないんじゃなかろうかなと思いますけれども、どうですか、この点。
  162. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 先ほど来申し上げておりますように、三月の末から調査しておりまして、事実関係は明らかにしたいと思います。  なおその際、今御指摘のような補助金交付システムといいますか、制度そのものについても改善すべきことがないかどうか検討をさせていただきたいと思います。
  163. 黒柳明

    ○黒柳明君 会計検査院いらっしゃってますね。  今の件、国立はこれから調べる。調べるというのは細部であって、国分寺も市当局が使っていないと認めているわけですから、調べるにしても、もうこれは補助金はいわばただ取りですか。この事実が間違いない場合、調べるということは否定しませんね、間違いがない場合には、これは当然返還させるわけでしょうな。
  164. 山崎彌代一

    説明員(山崎彌代一君) この問題につきましては、新聞報道があったことは承知しておりまして、会計検査院としても重大な関心を持っております。ただ、事実関係につきまして私どもはまだ把握してございませんので、今の段階でどういう措置がとられるかということについてはちょっとお答えはできません。  私どもとしては、まず実態を調査した上で適切に対処してまいりたいと考えております。
  165. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから今、長官も調べると。それはいいんですよ。調べていただかなきゃならないわけですよ。だけど逆に言うと、市当局は使っていない、だから返すと、こういう事実は認めている。その事実まで否定する必要はないんじゃないでしょうか、幾らこの正式な委員会の場でもね。その事実は素直に市が認めているんですから、しかも小金井も含めて返却した、こういう事実があるんですから、それまでも否定する必要はないんじゃないでしょうかな。そして、それならば、使っていないものならば、十二年なのか十年なのか、調べないとそこはわからないんですが、それはもう当然ただ取りですから返却さすべきだ、こういう意見なんですよ。
  166. 山崎彌代一

    説明員(山崎彌代一君) 事実関係はわかりませんが、仮に喚気設備を使用していないのに補助金の交付を受けていたということが事実であるとすれば、それは補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というものに基づきまして処理されるということになると思います。
  167. 黒柳明

    ○黒柳明君 調べる調べるでね。結構です。またあれでしょう。長官どうも済みませんね、眠けが覚めたでしょう。  防衛局長、お忙しい中を済みませんな。一、二点。  湾岸戦争は一段落しましたけれども、あそこではいわゆるハイテク戦争であった。私たちもいろいろテレビなどで評論家の意見を聞かせていただいて専門家に一歩近づいてきたんですけれども、いわゆるアメリカの新兵器のテストみたいなものがあそこでできて、その実効性がアメリカ国内で非常に問題になっている。  私もいろんな情報を聞きましたけれども、ステルスにしてもパトリオットにしてもトマホークにしても、初めての実戦での使用ですからね。そこらあたり当然一番関心があるのは防衛庁当局ですから、あれは知っていたことと、また知らないことも相当あったと思うんですけれども、専門家ですから、ただ単に実戦をテレビで見ていて私たち素人みたいに考えていただけじゃなくて、相当やっぱり今までの防衛庁姿勢、反省といいますか、あるいは将来についての参考といいますか、あるいはこれからの日本の装備、防衛体制に対しての施策とか、いろんなことがあるかと思うんです。どうですか、どんな点をあれから学んだでしょうか。
  168. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 確かに御指摘のとおり、今回の湾岸戦争におきましてペトリオットとかMLRSとかあるいはトマホークといったような最新装備が実戦において初めて使われたということで、いわゆるハイテク戦争の様相を呈していたということはおっしゃるとおりだと思います。このことは、我々見ておりまして、防衛の分野において技術の進歩というものがますます重要な要素になっているあかしであろうというふうに認識した次第でございます。  我が国の防衛力整備に当たりましては、防衛計画の大綱にもあります通り、従来から諸外国の技術的水準の動向に対応し得るようにということで質的な充実向上に配意してこれを維持していくということでございまして、今回の事態を見ましても、ますますこういう諸外国の技術水準の動向に十分な注意を払いつつ、それにキャッチアップといいましょうか、維持し、くっついていくということが必要なのではなかろうかということを感じた次第でございます。
  169. 黒柳明

    ○黒柳明君 パトリオットをライセンスで国内生産している、何か向こうのスカッドミサイルの速さに追っつけない、だから百発百中じゃなかった、こんな情報が来ていますが、一番それは関心があられた中の一つじゃないかと思うんですけれども、その点はどうですか。
  170. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 現在我が国で配備途上にありますペトリオットにつきましては、今回使われましたペトリオットに比べてまだ初期段階といいましょうか改良前の段階のものでございまして、これは航空機対処ということについてはすぐれておりますけれども、必ずしもミサイル対処能力とかあるいはECM能力といったようなものについては欠けているところがございます。  そこで、これは湾岸戦争以前からの計画ではございますけれども、次期防といいましょうか、新しい中期防の中で改良を徐々に進めていこうという計画になっているところでございます。
  171. 黒柳明

    ○黒柳明君 またちょっと古い問題で恐縮なんですけれども、我が党の主張で例の一千億の防衛費を削る。削るのはいいんだけれども、この装備の中身、これは何を削るんですかね、これから中期防五年かけて。発注段階において戦車二両とかあるいは練習艦とか、これは発注をやめた、こういうことはいいですね。本年度十億、そしてこれから最終的に五年間で一千億は削りますと。これは名目的なものを削るということはないでしょうね。実質的な削減ということですね。そうすると、やっぱりこの一千億というのは巨額ですから、後方支援の削減というわけにはいかないでしょう。やっぱり相当多額な兵器でしょう。正面装備でしょう。そうすると、正面装備を削った場合には、新中期防の五カ年計画のどこかでしわ寄せがきて手直ししなきゃならないんじゃないんでしょうか。そこら辺、総理は良心的にお任せくださいと言ったけれども、私はもう猫疑心が深いものですから、どうもお任せし切れない気があるんで すけれども、その点はどうですか。  新中期防における手直しはしない。ですけれども、一千億という巨大な額のいわゆる削減をする。当然後方支援ではこれはできない。文房具なんかではできない。相当多額な、戦車であるか練習艦であるかわかりません、多額な兵器を削減しなくちゃならない。ところが、新中期防は手直ししない。一千億削るというのは名目上のあれで削るわけじゃない、実質的に削る。となると結果的にどうなっちゃうのかな、こう思うんですが、この点どうですか。
  172. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 一千億円の削減といいますのは、確かにお話しのとおり大きな金額でございます。そして、これは後方支援の方から削るということは基本的には考えておりません。したがって、正面の中から削るということでございますが、少なくとも平成三年度の予算ではお示ししたとおりのものを削った形になっておりまして、それのいわば後年度におきます負担が現段階におきましてはその限りにおいてそれが削減されている状態がずっと続いておるということでございます。  そこで、それではずっと中期防の期間中において、例えば練習艦を削りましたけれども、これを全くつくらないということまで約束したものかというと、これは個々のものについては必ずしも中期防全体とこの間の三年度におきます削減とは物として結びついているわけではございませんから、今後そこは十分検討させていただいて、三年度に見直しの規定が既にあるわけでございますし、それから五年の終わりました段階においてそこの一千億の物による削減ということで反映されることになるということで御理解をいただきたいと思います。
  173. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然、物なんですよね。この前のは契約レベルで一応見合わせたわけです。それがまた復活する可能性もあるという発言を長官はして、ちょっと物議を醸したわけですな。  そうすると、それは復活する可能性も含めて局長考えているんですか。
  174. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 二つに分けて考えていただきたいんですが、一千億というオーダーの金額、それは総理も誠実にこれに対処しますと申し上げましたし、池田防衛庁長官もその一千億円が結果として反映されるようになる、こういうふうに申し上げました。したがいまして、一千億円のものが結果として中期防二十二兆七千五百億から削られることになるということにおいては、それはそのとおりです。  ただ、個別の物として、例えば平成三年度にこの間具体的にとりあえず一千億円の削減の対象としました練習艦なら練習艦が、この五年間において全く手つかずのままで終わるのかどうか。これは平成三年度に計上されたという狭い土俵の中から選択をして練習艦を落としたという形になっているわけでございまして、五年全体のプログラムの中で最劣後にくる経費かどうかという点は、改めてまた検討し直す必要があろうというふうに現段階では考えているところでございます。
  175. 黒柳明

    ○黒柳明君 この前リストになったあの問題を復活するのかしないのかと言ったら、防衛庁長官はそれはもう来年考えると。同じ答弁です。  そうすると、復活しないということは言わないんだ。また復活してくる可能性はあるんだ。それも含めて来年から考える。そうすると、この前の長官の答弁と全く変わらないよ。
  176. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) ちょっと誤解のないようにしていただきたいのですが、要するに一千億の削減という行為は、これは復活をいたしません。
  177. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然でしょう。
  178. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) これは復活いたしませんと言うと言い過ぎなのかもしれませんが、結果として反映されることになるということでございます。  ただ、その中の個別の物について、例えば戦車二両を削減いたしました。そうすると、この二両というのがどの二両かということは特定できないわけです。ですから、そういうように個別に平成三年度に削減したものを復活ということではないんですけれども、トータルとして最後に見たときに、その削減という事態を重く見て、これが結果として一千億オーダーのものを削減するということさえあれすれば、個別の物としてどれが実際に削減されていくことになるのかというのは五年間の全事業の中での対応をさせていただきたいということを申し上げたわけでございます。
  179. 黒柳明

    ○黒柳明君 もう戦車は今から特定できるわけだ。そうすると、あのときリストアップされた戦車二両、練習艦とヘリコプター、あれは削減されるんですね、数として。もし削減されるなら中期防が変更されなければならないじゃないですか、削減されるならば。だから、あれはとりあえず平成三年の契約ベースからはドロップしたんだけれども、いつか復活するんでしょうと言ったら、長官がそれは来年にならなきゃわからないと言ったから、おかしいじゃないかということになったんであって、戦車一、二両じゃなくて、特定な戦車二両ですよ、あくまでも。ヘリコプター二機ですよ。練習艦一隻ですよ。それが五年間で削減されるかされないか、物は何だかわからないんだと、こうなるのか。今の局長のあれだとそういうふうに聞こえますよ。これは削減されるかどうかわからないんだと。何が削減されるかわからない、それは五年たってみなきゃわからない。  そうなると、あのときリストアップされたものは契約ベースの保留というかな、復活する可能性があるんだということになるんじゃないですか。
  180. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 委員が御指摘になっておられますのは、一千億円の削減ということ自体、それ自体が復活するということであれば確かに御指摘のとおり問題だと思いますけれども、具体的に何が削減の対象になるかということにつきましては、これは平成三年度におきます削減はそのとおり実行されたわけでございますけれども、今後五年間の計画の中でどれが本当に最後まで削減されたままになるかということとは一応別のものと理解させていただきたいというふうに考えております
  181. 黒柳明

    ○黒柳明君 地位協定の方もあるし、局長、後で楽しみに。また答弁してください。  大臣、この法案は私ども賛成なんですよ。だけれども、本来はこれは反対です。これは二点あるんです。一つはやっぱり歯どめがないということですよ。それからもう一点は、五十三、五十四年のときは地位協定の解釈拡大ですな、私に言わせれば。それで今回は特別協定、条約をつくってと。もうこの次はあるかどうかわからない。もうやっぱり地位協定を改定しなきゃだめですよ、特別協定なんかでやっていたんじゃ。私たちはそう思います。ただ、今我が党の状態日米関係、いろいろなことこれあり、やっぱりこれは賛成に回らざるを得なかろう。私は得なかろうをもう二十ぐらい重みつけて、得な得な得なかろうということなんですよ。ですから、非常にこれは問題が多いんです。  それで、一つは歯どめがない、このことですけれども、これは私も何回も米軍基地行って、いわゆる思いやり予算、その前に大臣、思いやり予算は英語で何と訳しますか。外務省、英語の達人、だれでもいい。思いやり予算は何と訳しますか。
  182. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私ども英語では思いやり予算という言葉を使っておりませんで、在日米軍の経費の負担、こういうことで言っております。先生おっしゃるように、思いやり予算というのはそのまま英語にならないと思います。
  183. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、向こうでは何と言っていますか。米軍は何と言っていますか。
  184. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 繰り返しですけれども、思いやり予算というのをそのまま英語にしておりませんで、英語で申し上げますとホスト・ネーション・サポート、これは逆に日本語になりにくいのですけれども、接受国支援。ですから、アメリカは一貫してホスト・ネーション・サポートという言葉を英語では使っております。これはただ思いやり予算だけではなくて、日本側が全体として負担しております経費を指しております。
  185. 黒柳明

    ○黒柳明君 思いやり予算というのは、御案内のように、大平内閣のときつくっちゃって、今も思いやり思いやり。向こうに行くとJGですよ、ジャパニーズ・ガバメント。もうこれで全部統一していますね。思いやりじゃないわけ、向こうは。思いやってもらうお金じゃないという前提なんですよ。もう日本が当然サポートすべきものである、こういうことです。  それで大臣、これは思いやり予算、思いやりというのはこれはいいから、私は英語がへただからJGだなんというのは舌をかんじゃうから。思いやり予算、これで何でもつくれるということに私は問題がある、一言で言うと。拒否はしていますよ。審査はしていますよ。これはノーとは言っていますよ。今回だって、光熱費はうまくない、清掃費は含まない、基本給だけだと、こう言っているわけですから、一〇〇%じゃないみたいですけれども、そうじゃないんですよ。申請があるものは何でもと。  例えば大臣、こういうものは思いやり予算の中でつくられているかどうか。ゴルフ場のネット、それから野球場のスコアボード、それから今度は何でしょうかな、米軍の奥様方のレクリエーション・フラワーアレンジメントをやったり陶芸をやったりそういう娯楽施設。それから今度は米軍の家族、これはお子様中心だな。ゲームセンター・それから教会、まあそんなもの。これは思いやり予算の中でつくられていると思いますか、思いませんか、大臣。細かいことはいいです、別にこんなのはクイズじゃないですから。困らせて申しわけない。つくられていると思いますか、思いませんか、こういうもの。
  186. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) つくられているものもあると思いますし、またそうでないものもあるかもわかりません。
  187. 黒柳明

    ○黒柳明君 それ外れ、ハワイ行きだめだ。全部つくられている。一つだけ、三沢の野球のあれだけは却下したから、これはつくられていません。一つだけだな。あとは全部つくられている。ここにあるのは全部つくられている。今さらやっても時間がないから。  逆に、要するに軍事的な建設、飛行機の掩体、滑走路の補修、そんなものはどうだと思いますか。つくられていると思いますか、思いませんか。
  188. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) つくられていると思います。
  189. 黒柳明

    ○黒柳明君 そのとおりです。つくられているんです。ですから、ドル建ての場合四つに分かれると言われていますよ、本給とか軍事建設とか維持費とか。ですけれども、その中にこちらが食い込んでいるものも幾らもあるんですよ。  かつて昭和五十二年の大平内閣のときに、もう言うまでもなく国会で問題になった。今は四けた、あのときは二けたですからね、億の。そして施設、地域、これはどういうものがいいのか、新しい住宅を建てていいのか、中古住宅のリロケーションだけいいのか、そんな論議をやっていた。夢物語ですわ。今そんなどころじゃありません。申請があるもの何でもとは言わないけれども、一〇〇%に近く何でもいいいい、いいいいと、こうなっている。さっきくしくも大臣がおっしゃったように、これは日米関係、守られる日本だからせめてお役に立たなきゃと、こういうこと。この論理を発展していくと、要するにこれからは、向こうからリクエストがあった、今までこちらはそこまでやらなかった電話代も出せ、訓練用の燃料代も出せ、アメリカに守られているんだから、日米関係を損なっちゃいけないから当然出す。いつかはそうなってくるんじゃなかろうか。なっているんですから、この十数年。どんどんどんどんエスカレートしているんですからね。  当然日米関係重視、守られている日本。一方的に日米安保条約に守られている。となれば、今現在アメリカの要求に対してほとんどのことを実現してやっているならば、今言ったように、現在は却下したであろう電話代にしたってあるいは訓練の燃料代にしたって、そこまで何も抵抗すべきものであるかどうかというと、私は実際ここまで来たのだから別に反対しなくてもいいのかなという感じもしないではないですよ。しないではない。今ドル建てになっているだけであって、円がそこに食い込んだって絶対悪いなんということはないのかなと。また特別協定、また特別協定、そんなことにはいかないんじゃなかろうか、もうそろそろ。特に公明党が自公民なんといって活字になる時期においては非常にチャンスかもわかりません、もしかすると。もうそろそろ、これ以上特別協定なんかやって、さも今までは法の拡大解釈、地位協定の拡大解釈で、今回は条約をつくったのだからいいですよなんて威張っていられる問題じゃないと私は思います。  やっぱりもう基本的には、自衛隊機の海外派遣で盛んに論じられたように、ただ単なる政令の拡大解釈じゃだめだぞと。同じ局面に来ているんじゃないでしょうか。今、だから地位協定改定しようと、こんなこと言える立場じゃありませんな、限定的、暫定的なんと言っているんですから。地位協定を変更したのじゃありませんなどと言ってきた手前、ここに来て地位協定なんて触れられるものじゃありません。だけれども、もうそんなことを言っているときじゃないと外務大臣言っているじゃないですか。であるならば、もうそこらあたりを射程距離に置いていないと、日米関係なんというのはスムーズにいかないんじゃないんでしょうか。  当然今の問題を考えるんですけれども、私はもう基地問題というものを嫌というほど現場も歩いて、いろんな観点から調査して認識を深くしている。それなりにいいこと悪いこと、いろんなことの思惑がある。もう今回の特別協定が限度。この次アメリカの要求にこたえるならば、もう地位協定を何か考慮しなきゃ、この次特別協定でまたと、こんなわけにいかない、私はこういうふうに思うんです。  この点、何か書いてあるの。書いてあるんじゃうまくないな、そんな質問したんじゃ。書いてない質問だと思ったんだけれども、書いてあるのを読まれたんじゃ余りぴんとこないな。
  190. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 読まずに申し上げますから。  今回の特別協定につきましても、今委員から御指摘がありましたように、特例的、暫定的、限定的、そのような一つの枠をはめまして、期間も五年間ということでこの特別協定の御審議をお願いしているわけでございまして、これで日米のいわゆる前方、正面装備以外の経費は五年後に大体五〇、五〇に落ちつく、日本立場というものから考えてこれで日本が負担すべき限度に近づけると、このように考えております。
  191. 黒柳明

    ○黒柳明君 その五〇、五〇というのは五年前、十年前から言われていたんじゃないわけです。今この特別協定の審議に当たって、五年後にはそのぐらいになるだろう、だからというようなことで今取ってつけたわけだ。  そのときの日米関係がどうなっているのか、そのときの日本立場がどうなっているのか、だれも予想できませんわね。ですから、今私が言ったように、もう拡大解釈なり特別協定は限度ですよと。そのときは五〇、五〇になって、日本としては思いやりはもうこれでいいんだということを前提にしたんではやはりおかしいと思うんですよ、物事の考え方が。アメリカに守られる日本ならばある程度のことはやらなきゃならない。やってきたならば、いわゆる五〇というものは一つの基準にはならないんじゃなかろうかな。五〇を突破するときだってある。そういうときにはもうこれじゃ済まないんじゃなかろうかな、特別協定、拡大解釈じゃ。やはり基本的な地位協定を改正しないと。もうさっきから社会党の先生がおっしゃっていたとおりですよ。どうもすっきりしない。何か日本政府の思うように事が運んでいってしまうような感覚を野党は感じざるを得ないわけであります。そういう感じはやはりもう持たせない方がいいですよ。そういう感じを持たせないですっきりした中において、援助することは援助する、出すべきものは出す、そんなことにちゅうちょはしな い、こういう姿勢をとった方がいい。  ですから、五〇、五〇になるからもういいんだなんということは、アメリカは言ってきましたか。言ったですか、今度は。五〇、五〇だから五年後はもう言ってくださるな、そんなこと言いましたか。向こうが恐れをなしてイエスと言いましたか。そんなことは言えませんよ。そのときになってみなきゃわかりゃしません。そんなことを言っているから私はうまくないんじゃないかなと、こんな感じがします。  ひとつ基本的にもうそろそろ地位協定の見直し、もう安保までなどという意見も出ているんですから。そこまでいかなくたって地位協定あたりはそろそろもう射程距離においていかないと、実際のこのお金を出すということについてはもう限度ですよ、限度。これが一つ。  それから別の方ですけれども、今言ったこの思いやり、本当の思いやりね、これは二けたから今四けたでしょう。ここらあたりどうですか。何か歯どめかけませんか、大臣。これは施設庁長官の方がよく知っているんですが、長官はもうさっき発言したから。何か歯どめかけませんか。何でもいいなんというわけにいかないですよ、何でもということじゃないんです。審査するんです。ノーはノーで言っているんです。  ですけれども、今言った項目を見れば、何でもという項目が全部できちゃってる。刑務所からヘリポートから、それから空挺訓練の施設から飛行機の掩体から、飛行機の整備工場、倉庫から、全部できちゃっている。これはもうドル建ての軍事建設の中にも入り込んじゃっているわけですよ。かと思えば、もう基地の中の住宅なんか億ションですよ、基地の外に出れば億ション。大臣、一回行って見てみるといいんですよ。億ションです。これはしようがないでしょう、アメリカが守ってくれるんだから。だと思うけれども、億ションですよ、基地の中の住宅なんというのは。これはもう行ってみて非常に矛盾を感じます。隣の自衛隊のかまぼこ、蚕棚というのは非常に矛盾を感じるけれども、大臣は、守ってくれるんだから何でもやろうと。私も日本政治家だから、大臣の言うことをそれじゃそのまま体していかなきゃならないかと、こう思って、もうじくじたるものがあるんです。  ですけれども、これは生活関連、軍事建設、それから今度は趣味的なこと、ここらあたりやはりきちっと分かれるんですよ。生活関連はいいじゃないですか、日本で生活しているんですから。ゴルフ場があったって、ぜいたくと言ったって向こうはそういう環境ですからね。ですけれども、少なくとも娯楽施設、プールはしようがないでしょう。野球場もしようがない。ゴルフ場、これはあったんだからしうがない。九ホールが嘉手納にあるんですから、今から廃止というわけには。そのネットまでとか、それから今度は奥様が趣味のそれをやるとか、そういうところまでサービスすることは本当にどんなものかな以上に私は矛盾を感じますよ。  それには一つのやはり枠を設けて、そして日米関係の窓口になって交渉して、そして施設庁の方に意見を聞く。こういうふうにしないと、やはりいいと思ってやっていることが何となく矛盾を感じて、私なんかやらなきゃならないと思いつつ、実態をよく知っていると、どうもこれはうまくないな、歯どめをかけなきゃうまくない、どこでかけたらいいんだろう、かけるべきだと、こう思っているんですけれども、一回これどうですか、実態をよく見ていただいて、日米交渉の一番の最高責任者ですからね、だから当面はやはり施設庁の長官がよく知っていますからよくお聞きいただきまして、何でもと言うけれども、歯どめをかけてくださいよ。  今まではしようがない、これから使うお金については、これは遠慮してもらいたいと。特に軍事関連の建設、向こうはますます少なくなる。こちらがどんどん手を出していくから比率は〇・何%ですよ、軍事建設、ドル建ての中で。こっちがどんどんやっちゃっているんですから。そんなものとんでもないという時代がついせんだってまであったんですよ。そこまでどんどん食い込んじゃっている。と同時に、ある程度の娯楽的なもの、これについてはちょっと我慢してくれよと、このくらいのことは言わなくちゃ。当然言える。そして歯どめをかける。何でもいいという大盤振る舞いの思いやりはやめる、こうしてもらいたい。
  192. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 十分勉強させていただきます。
  193. 黒柳明

    ○黒柳明君 長官、勉強してもらって、実際の現場ですからいろんなことがあると思うんですけれども、何か不満みたいな顔をしているけれども、そんなに怒らないで。  最後、二分ちょっとしかないから、要するに今のことを善処してくださいよ。
  194. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 今提供施設の整備のことについてのお話かと思いますが、これは私ども、日米安保体制の堅持を防衛の基本方針とする我が国といたしましてはできる限りの努力をすべきであるという考え方に基づきまして、地位協定の範囲内でこれまで実施してきたところでございます。  具体的には、米側の計画を聞き、その上で安保条約の目的達成の関係とかあるいは財政負担の関係あるいは社会経済的影響、これらを総合的に勘案し、個々の施設ごとに自主的に採択するかどうかということを判断して措置してきたところでございます。  今いろいろ具体的な施設の名前など御指摘になりましたけれども、今後とも私どもはこの方針で国民の御理解が得られるように慎重に対処していきたいというふうに従来から申し上げているところでございます。
  195. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間があと一分だから。  それじゃ、軍事施設の建設に対して思いやりがどんどん使われることについてはどう思いますか。使われてきた。これからも使われる可能性があるかどうかわかりませんよ。審査するんでしょうね。それについてどう思いますか。それも要するにやむを得ないと、こういうことでしょうか。
  196. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) これは今申し上げたことの中に含まれると思いますけれども、私どもの努力をすべき範囲の中かどうかということは、個別的にその時点でそういう計画が出てくれば判断をするということになると思います。
  197. 黒柳明

    ○黒柳明君 もう二十五秒ぐらいしかない。  最後に、外務大臣、軍事施設、掩体、ヘリポート、滑走路、空挺訓練施設、飛行機整備工場、格納庫、エンジン倉庫、要するに軍事施設にどんどん食い込んじゃっている。こういうことについてはどうですか、外務大臣、この一点だけの判断。これはもうしようがない、要望があるんだから、これは日米関係だからやってやる、これでいいですか。私はここにそれこそ歯どめをかけないとうまくないと思いますよ。国内でみんな戦費につぎ込んじゃっていることになっちゃう。
  198. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 日米安保条約の効果的な運用を図っていくという目的から考えますと、いろいろと御意見もございますけれども、政府としてはなすべきことをやっておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  199. 黒柳明

    ○黒柳明君 じゃ、結構です。
  200. 立木洋

    ○立木洋君 外務大臣、五日から中国を訪問されるそうですが、今回の訪中は極めて短期間だと聞いておりますけれども、どういうお話し合いの内容を予定しておられるのか、目的といいますか、最初に協定の前にちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  201. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今回私が訪中をいたしますことは、かねて御案内のように、天安門事件以降閣僚級の往来というものはサミットの申し合わせによって事実上停止をいたしており、また経済協力についても各国ともこれを手控えるということでございました。しかし、日本政府としては中国を孤立化させることはアジアのみならず国際社会のために決して好ましいことにならないということを私は就任以来力説してまいりました。昨年のサミットあるいは日米関係等の会合において 大体の理解を得ることができましたので、まず経済協力については日本が踏み切るという決断をいたしたわけでございますが、中国改革・開放路線の前進状態、このようなものを踏まえて、私は中国首脳との間に一度日中問題、あるいはアジア全体の問題、あるいは国際情勢全般について率直な意見の交換を行うことが極めて必要である、こういう認識に立ちまして、極めて時間としては短い時間でございますけれども、中国を公式に訪問するという決断をさせていただいたわけでございます。
  202. 立木洋

    ○立木洋君 中国に対する評価等の問題についてはまた別の意見がありますけれども、それを議論している時間がありませんから一言だけあれしますと、カンボジア問題、これは話し合われる予定に入っていますか。
  203. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 一応カンボジア問題についても率直な意見の交換をいたしたいと思っております。
  204. 立木洋

    ○立木洋君 カンボジア問題で御承知のような東京会談が行われたというその後の経緯も詳しくきょう述べる時間がありませんけれども、やっぱりカンボジア民族の主権がきちっと保障されて、そしてジェノサイドが復帰するようなことのないようにしながら解決していかないといかぬと思うんですね。  その点で一点だけ、ポル・ポト政権一派に対する中国の武器の輸出の問題ですね。これは去年中止すると一時中国側から公表されたことがありますけれども、先般の池田公使の会談等の結果を見ても、やっぱり武器の輸出を再開しているというふうにとられる状況もあるし、現に今大変な戦闘が起こっているんですね、カンボジアのタイ国境で。そういうふうな戦闘をまずやめさせるということが非常に重要な問題なので、この武器の輸出の問題については、大臣、この際カンボジア問題をきちっと平和的に解決するためにも武器の輸出をやめて、そして話し合いが進むようにやるべきだということをきちっと述べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  205. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 委員今お話しのとおりでありまして、もちろん日本政府としてはカンボジアの和平のために中国が武器を輸出することは厳にとめてもらいたいということは前からも申しておりましたが、私が訪問する機会にこれは明確に伝えたいと考えております。  なお、北京におきましてはシアヌーク殿下との会談も予定をいたしておりまして、カンボジア問題について幅広く意見の交換もやってきたい、このように考えております。
  206. 立木洋

    ○立木洋君 じゃ、地位協定に関する特別協定の問題について。  一九七八年から今も問題になった思いやり予算が始まりましたね。七九年にさらにそれがふやされて、そして八七年に今度特別措置協定がつくられ、それが翌年八八年には改正議定書、そして今回、こういうふうになってきたんですが、ずっと私も当委員会でその問題について審議に参加してきました。  その経過を見てみますと、これまでの経過の中で政府側が答弁したことは一体何だったんだろうか。もうこれが限度でございます、これ以上考えておりませんと繰り返し繰り返し言われている。ところが、それが全部ほごです。国会の審議は何のためにやったのか。それは結局アメリカ側から要請されて、日米関係が大切だからということで全部やっぱり拡大されてきている。前回の特別措置協定にしても改正議定書にしても、中山さんはまだ大臣じゃありませんでしたし、松浦さんも局長じゃなかったから、今になるとそれはあの当時宇野さんが答えたのかだれが答えたのかといって平気な顔をしておられるかもしれませんけれども、しかし日本政府としてとっていた態度ですから、その問題についてはアメリカにやっぱり要求され、そしてそれに追随する形で今日までこうしてふやしてきた。そして、それも地位協定の当初、思いやりについてはこれは枠外の問題で、それを細かく詰めさせていただいた結果こういう形で提出することができましたと。あの思いやりは枠内だということになって、結局それが八七年から特別措置協定という形でつくらざるを得なかったという経緯もあるわけですね。  そういうことを振り返ってみて、私は次の点を幾つかお尋ねしておきたいんです。  一九八七年に日本人の労務費を八手当、五〇%日本側が負担するということになりました。あのときももちろん限定的あるいは特例的、暫定的ということが述べられていたわけですね。ところが、一九八九年の八月にアメリカの下院軍事委員会に対して提出されたアメリカ会計検査院の報告によりますと、日本の当局者は米側に対して五年経過の後も延長できる旨伝えた。暫定的と言いながらも暫定ではないということを事前アメリカ側に伝えている。しかも、この五割までの条項と期限切れの条項は国会で承認を得るために必要だったと、こういうことまで会計検査院の報告に記載されている。  そうすると、こういう問題が記載されるようなことが明らかになっておりながら、国会では暫定的、限定的というふうなことで言ったということになれば、一体それは何だったのかというふうに言わざるを得ないのですが、この会計検査院の報告についてどのようにお感じでしょうか。
  207. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生が言及されましたのはGAO、アメリカの会計検査院のことだと思いますが、下院の軍事委員会の委員長の要請によりまして下院の軍事委員会に提出されましたけれども、これはあくまでもGAOが調査したところを書いたものであって、アメリカ政府考えを代表しているものではないというふうに私どもは承知しております。
  208. 立木洋

    ○立木洋君 局長、それは政府の報告でないといっても公式のものですよね、議会に報告されているんですから。そういう中でこういうことが書かれている。日本側から事前にそういう話がされている、国会を通すためにこういう暫定的、限定的というふうな言葉を使っていると。現に一年後に日本政府アメリカの要求に応じていわゆる八手当、五〇%を全額にしたじゃないですか。結局、そのときに国会を通すために当時は五〇%にしておいて、一年後にはまたアメリカの要求をちゃんと受け入れて一〇〇%にしているじゃないですか。  まさにこれは会計検査院の指摘が正当だと言われても仕方ないんじゃないんですか。大臣いかがでしょうか。
  209. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私、先生最初に御指摘のように、八七年から八九年の当時は北米局長ではございませんでしたけれども、国会の審議の状況は、関係委員会の記録を丁寧に拝見させていただいておりますのでよく承知しているつもりでございます。そういうものを踏まえまして今回さらにアメリカと折衝いたしまして、そして一月十四日は今回の特別協定締結させていただいたわけでございます。  先生今言及しておられますこのGAOの報告書はともかくとして、私どもは国会でその都度その時点での認識はしっかり申し上げているつもりでございまして、それを踏まえてその時点で特別協定なり改正議定書なりをつくりまして審議をお願いしてきたわけで、今回も私どもといたしましては、繰り返し申し上げておりますけれども、昨年十二月の新中期防作成の際の新たな措置を講ずるということを踏まえまして折衝をして作成したものでございます。
  210. 立木洋

    ○立木洋君 私のお聞きしたいところは口が何かもごもごしてはっきり聞こえなかった。私は後の方の部分はまだお尋ねしていない問題ですよ。そういうところだけをはっきり言われても問題は解決しないんじゃないかと思うんです。  これは大臣、その一九八八年の改正議定書をここで審議したときに、この五年間は少なくともこれ以上の枠は拡大しない、本給には手をつけるようなことはしないかという問題について、宇野外務大臣は「これが限度でございます。」と、こう明確に答弁された。ところが今回見てみますと、こ れは労務費全額ですよ。光熱費も水道料もね。これは段階的にということでもちろんありましょうけれども。そして、結局一年前倒しでしょう。現に前回の特別措置協定というのはもう一年あるわけだから、それを一年前倒ししてまで実現してやるということになっているんですが、あのときの国会の答弁はどういうふうに今になって御認識されますか。松浦さんはいいです、あなたもう二回しゃべったんだから。今度は大臣にひとつしゃべらせて。
  211. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 御指摘の答弁は、特別協定の改正が審議された昭和六十三年五月でございますが、審議をお願いした以外のことは現在考えていないとの趣旨を述べたものでございまして、現行特別協定の有効期間中に新たな措置をとらないことを国会に対して約束したものではない、新規措置に盛っておることにつきまして今般改めて国会にお諮りすることを妨げるものではないという考えを持っております。
  212. 立木洋

    ○立木洋君 この際考えていないという発言もありましたよ。しかし、これが限度でございますという発言もあったんです、八八年五月十二日。後ろの方、資料を提出するのはそういうきちっとした資料を提出した方がいいですよ。自分たちに都合のいい、この際考えていないというふうなだけの資料じゃなくて。  そういう発言もあるわけです。そういうふうな形でやっぱり国会の中でやってきているという経過があるわけです。その都度私たちはきちっと反対しましたけれども。ですから、そういう国会の審議さえ無視して今日の事態が進むと、これは私に言わせれば、やっぱりまさにアメリカの要求に追随してきたというふうに指摘せざるを得ない。  そこでお尋ねしておきますが、チェイニー国防長官は、最終的には円建て経費を一〇〇%日本側が支払ってほしいと考えていると、こういうふうに言っていますが、円建て経費というのは例えばどんなものがあるんですか。これは松浦さん。
  213. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 現在米側が負担しております経費は、軍人軍属等の関係人件費、運用維持費、軍事建設費、それから燃料油脂費でございますけれども、この中で軍人軍属の人件費はドル建てだと思います。それ以外のものにつきましては、一つ一つ子細に検討したわけではございませんけれども、恐らく円建ての経費が大半であろうかと思っております。
  214. 立木洋

    ○立木洋君 そうすると、この艦船の修理費だとか航空機あるいは船舶、軍用車両の油代、さらにはこの間のあの交渉の過程でも問題になったという電話料だとかごみ処理料だとかの基地の維持費ですね、こういうものはもちろん今回は過程の中で一部日本側がお断りしたというふうなものもあるようでありますが、この問題については今後絶対にこれ以上しないという保証がありますか、今までの経過を踏まえて。ここで大臣は何と答弁されるか。
  215. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 今回の特別協定の期間は五年間でございますが、現在私は、この協定の御審議をお願いする段階において、五年後のことを今どういうふうに変えるかということは考えておりません。
  216. 立木洋

    ○立木洋君 今まで本会議の席上でもそうでしたし、ここでもそうなんだけれども、つまり暫定的、限定的、特例的なものだということですよね。だけれども、趣旨説明の中には大臣は一言もそのことは述べてないですよね。そして、去年の十二月二十日に先ほど言いました新中期防の計画が決定されて、その後に坂本官房長官が述べましたけれども、その中にも暫定的、限定的なんというようなことについては一言も言及されていないですよ。  やはり暫定的、限定的というようなことが重視されているならば、当然そういうときに官房長官の談話だとかあるいは外務大臣の趣旨説明だとかという中できちっとそういう趣旨のことを述べるべきじゃないか。述べていないということは、つまりそういうことが今後ともあいまいにされるという危険性がやっぱりあるということも指摘しておかなければならないと思うんですが、大臣、その点いかがですか。
  217. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生から二点御指摘がございました。  最初は大臣の参議院本会議の趣旨説明でございますけれども、先生御指摘のように、確かに言葉としては限定的、暫定的、特例的という言葉はございませんけれども、私どもがそういう言葉を使いますのは、一々対象を、例えば限定的ということは対象を在日米軍の従業員の基本給等にする、それから光熱水料等にすると、こういうことを意味しているわけでございます。大臣の趣旨説明の中には限定的という言葉はございませんけれども、対象を今私が申し上げたものにまさに限定するということははっきり書いてございますし、それから暫定的というのはまさに期間が五年だということでございますが、それもこの協定はまさに五年間の効力を有するということが明記されているわけでございます。言葉自体はございませんけれども、まさにそういう考えがきちんと明記されているわけでございます。  それから、先生がもう一つ言及されました官房長官の発言でございますけれども、これはあくまでも中期防との関連での発言でございます。中期防というのはこの五年間を、もう今年度に入りましたけれども、この五年間をまさに対象にしているわけで、しかも具体的には労働者の基本給とそれから光熱水料等ということも書いてあるわけで、言葉自体はないわけですけれども、まさに概念としては限定的、暫定的、特例的ということをはっきり明記してあるということでございます。
  218. 立木洋

    ○立木洋君 松浦さん、あなたがそう言うならば、この趣旨説明の中に自主的なんていう言葉を入れなさんなよ。アメリカの言いなりになってアメリカに追随しているわけじゃないか。それを自主的にいう言葉を明確に書いて、そしてあなた方が重視しているという暫定的、限定的ということを明示しないでおいて、それは内容として入っていますなんて、そういう言い逃れをしてはだめですよ、あなた。アメリカがどのようにこれほど要求してきたか、今度の在日米軍駐留経費についてどれほど負担してくれ負担してくれと要求してきたか。それを今まで日本側は全部結局こたえてきた結果じゃないですか、ここ十何年間。私はこの委員会でずうっと審議してきたんです。そのたびにもう自主的と言えない状態さえあったじゃないですか。そういうことを自主的と明示するんだったら、限定的、暫定的というのを重視するならそれをちゃんと言葉で書きなさいよ。そういう趣旨説明をしてからちゃんと言いなさい。内容的にはそういうことが書いてありますなんていうような言い逃れじゃだめですよ。  その点で私ははっきりさせておきたいのは、大臣お尋ねしますけれども、今回の在日米軍駐留経費の負担拡大の問題は、湾岸危機に対する米軍の活動の経費の負担を補うというふうな意味を持ってアメリカ側から強く要求されたという経緯がありますが、そういう意味合いを持つんでしょうか。この在日米軍の駐留経費の負担拡大ということが湾岸の危機における米軍の活動の経費負担を補うという意味合いを持つんですか。
  219. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) お話しの点は、私は関係がないという認識を持っております。
  220. 立木洋

    ○立木洋君 だけれども、去年の九月に海部総理アメリカを訪問されてブッシュさんと会談をして、今アメリカとしては経費が増大して大変だ、湾岸でもああいう状態がある、だから駐留経費についても考えてくれないかと。海部さんはそれについて努力してみましょうと言って帰ってきて、そして日本政府内でいわゆる対象範囲がどうなるか、それからその開始時期をどうするかということが検討された。それで十一月にホームズさんが来られたわけでしょう。そして、一年早めてやってくれないかと要求されて、十二月二十日に新中期防の決定とあわせてこの問題が出てきたという経過があるわけです。  そういう経過を見れば、これは関連ないとはやっぱり言えないだろう。それなら何のために一年 前倒ししたのか。結局、湾岸という状態があったからこそ、それで責められて一年早めなければならなかったという事実経過を見ても、これは明白じゃないですか。  今の大臣のお答えについてちょっとやっぱり納得しませんので、どうですか。
  221. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 湾岸の戦争関係というものがこれにあるんじゃないかという御質問でございますが、率直に申し上げてアメリカ経済というのは容易な状態でない、私はそういう認識をかねて持っております。国内の財政赤字それから累積財政赤字、さらに海外からの債務の累積が六千億ドルぐらいになっていると思います。また、貿易赤字も一千億ドルぐらいになっていると思います。そういう中で、対日貿易赤字が昨年で三百八十億ドルぐらいになっておると思います。  そういう状態を見てまいりますと、経済的に見ると日本の力というのは異常に膨張していると思うんです。一方、アメリカでは経済的に大変な不況も訪れておるし問題が大きいという中で、同盟国として日本が自分の経済力に応じて応分の協力をする、負担をするということは、湾岸戦争との関連でいえば、湾岸戦争には直接この駐留米軍経費負担の問題はない、私はそのように認識をいたしております。
  222. 立木洋

    ○立木洋君 在日米軍の駐留経費の問題について言えば、これは安保条約の第六条に基づいて地位協定で決まっているわけですね。在日米軍日本施設区域を使用するというのは日本の安全と極東の国際的平和と安全のためにということになっているわけですね。それを拡大解釈されたんでは困るわけです。  世界じゅうどこで在日米軍が動くものであろうと、それを全部経費で維持する。言うならば、どんな形であれ日本の経費をふやしていけば、世界じゅうでやられる米軍の戦略に協力するということになる。そういうことはやってはならない。どうですか、それは。
  223. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 当然、安保条約の目的である日本及び極東の安全と平和を維持するために安全保障条約があるわけでございますから、私はそのような目的に沿ったものと考えております。
  224. 立木洋

    ○立木洋君 私は安保条約も反対ですし、地位協定も反対ですけれども、しかし政府立場に立っても私はそうだろうと思うんです。だから、協定でもそのことをちゃんと書いてある。  しかし、九〇年の四月、去年発表されたアメリカの国防総省の報告、「アジア・太平洋の戦略的枠組み」によりますと、この中で在日米軍の戦略的位置づけとして、日本における米軍の抑止能力、これは日本に母港を置く空母だとか戦略空輸機だとかあるいは空軍打撃態勢、これらのものは地域及び世界的任務、これを遂行するんだとなっているんです。アメリカは公然と言っているんです。日本にいる米軍の力というのは地域と世界的な任務を遂行するのが任務なんだと。そのことを公然として今度の中東の場合でも動いているわけです。また松浦さんに言わせると、あれは移動です、作戦に参加したんじゃないと言うかもしれませんけれども、現にそこから動いて行っているわけです。そうすると、まさにアメリカ自身が公然とこれは世界的な任務の遂行だ、在日米軍もそれをやるんだと。それはどこで区分けして経費を負担するんですか。
  225. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 私は、今回の特別協定の前文に、在日米軍日本の安全及び極東における国際の平和及び安全の維持に寄与しているということをはっきり書いてございますし、一月十四日の中山大臣とベーカー長官のプレスステートメントにも書いてあるように、この点に関しましては日米の共通の認識があると思います。  先生が言及されました昨年四月のレポートについて申し上げれば、アメリカはまさにグローバルな平和の維持のための役割を果たしてきているわけで、この極東の安全なくしては世界の平和もないし、逆に世界の平和なくしては極東の安全もないという一般的な認識を述べたものと私どもは受けとめております。
  226. 立木洋

    ○立木洋君 これで最後ですが、大臣にお願いしたいんですが、今やグローバルパートナーシップというような形で世界的に協力し合うというふうなことが盛んに言われています。それで、今の日米安保条約の実態といいますと、これは日本側言葉の表現上は書いていませんよ、日本の平和と安全と極東の国際的な平和と安全のためにということを限定して言いますけれども、アメリカはそうじゃないんです、在日米軍の果たすべき役割というのは。つまり、安保の運用というのは在日米軍であろうと世界的な規模で進めているんです。それに応じた費用分担ということにも今度の状況の中でなってきているんです。  これはまさに地位協定の内容を見ても、政府自身が認めている内容からいっても、安保のこういう範囲の問題からいったってもう逸脱している事態になってきている。だから、そういうことはやっぱりきちっとしないと、これは我々が安保条約に反対し地位協定に反対しているからではなくて、政府自身が明確に国民に約束をしている、国際的にも明示しているそういう内容からも逸脱した事態になっているということを私ははっきりさせておかなければならないと思うんですが、その点についての大臣のお考えを最後にお聞きしておきます。
  227. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私は、日本政府としては、あくまでも日米安全保障条約というものの対象は日本及び極東の平和と安全の維持のためにこれが効果を発揮するものと、こういうふうに認識をいたしております。
  228. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 地位協定についての質問に入らせていただく前に、大臣に見解を求めるんですが、小沢幹事長がモスクワとそれからアメリカブッシュ大統領に会いに行かれました。党外交という言葉はありますが、しかし日本政府があって外務省があるわけでありますから、海部総理大臣アメリカに行かれる前に、そして中山外務大臣がきちっとおられて、なおかつ小沢さんがモスクワとアメリカに行かれたということについて、これは大変いいことであったと思われますか。それとも、一元外交とかそういう観点から見れば、外務大臣がおられるわけですから、率直に言えば要らざることをしてくれたと思っていらっしゃるんですか。    〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
  229. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 現在、自由民主党政府といたしましては、自由民主党は与党として一体でございますから、そういう意味ではこの交渉が決してこれからの交渉にマイナスの影響を与えるものではない、私はこのように考えております。
  230. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 率直にお尋ねいたしますが、では小沢幹事長がお出かけになるときに中山外務大臣とはいろいろ細かい点について、こういう問題を話し合ってくる、そういうお話し合いはされての上のことだったんでしょうか。
  231. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 幹事長が出発される前にお話をいたしました。
  232. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 地位協定についてお尋ねいたします。  この協定について話をする場合は、やはり演繹するといいますか帰納するといいますか、日米安保条約そのものについて考え方をお伺いしなければいけない、こう思います。  今世界的な理解は、東西の対立は既に解消した。ソ連も大変です。とてもじゃないけれども、日本からソ連を見て、国内の問題、民族の対立、経済、こういう点から見て、既にソ連は潜在的なまた積極的な脅威では全くなくなった、こう私は認識いたしますが、大臣はいかがでございますか。
  233. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 現在のソ連が脅威でなくなったという考え方を持っておるかどうかというお尋ねでございますけれども、私はペレストロイカの現状も極めて不安定、不透明でございますし、ソ連国内における内政的に見ましても、連邦制の問題、民族の独立運動、このようなものがあります一方で、ソ連政府におけるKGBあるいは軍部の方々のそれぞれの活動を見ておりまし て、ソ連の脅威を与える意思という面につきましては現在のところ新思考外交というものが維持されていると認識をしておりますけれども、私はこれから先ずっと永久にそのようなことが続くというふうなことを現段階で断定することは危険であると考えております。
  234. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ということは、大臣、現在のゴルバチョフ大統領が、これは仮定ですけれども、失脚をされる、そうしてソ連のいわゆる保守派が政権を持つ、そのような場合には、ソ連日本にとって今の状況とは全く異なった形で新たな脅威となる可能性を否定するものではないと、そのように理解していいわけですか。    〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
  235. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私は、もしソ連の内政で変化がございましても、外交政策というものがどうとられるかということにかかっていると思います。
  236. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私は、いずれにしても、これは見解の相違といえばそれまででしょうが、しかし現在のソ連状況からして、ましてゴルバチョフさんがもうすぐ日本にお見えになる、我々と話し合いをしてくださる、こういう状況ですから、仮にゴルバチョフ大統領の失脚ということがあっても日本に対してそれが脅威となるような国には将来的にもなり得ない、そのように私は考えています。  それからもう一つは、世界的な軍縮傾向にあるわけで、日本に米軍が駐留している、日本の安全を米軍の駐留によって保障してもらっているという図式は、これまた将来的にはその必要性、重要度というのはどんどんどんどん減衰していく方向にある、こう私は思いますが、大臣の御見解はどうですか。
  237. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 現在、米ソの超大国間で、超大国といいますか、世界で一番軍事力の強い二つの大国が安全保障と軍縮の問題について首脳間で協議をやっている最中でございますし、私はやはり欧州の安全保障制度が相当充実してきていると思います。  この次に我々が考えることは、アジア・太平洋の安全保障の問題が当然出てくることは避けて通れない問題である。また、これを真剣に考えていかなければならない時代が来るわけでございますから、そういう意味では、これから先いつごろそういう安定した環境が整備されるかということは別といたしまして、我々はそういう方向に向かって現在努力をしている。例えば朝鮮半島の平和の問題あるいはカンボジアの問題、日ソの国交がさらに拡大していくようにゴルバチョフ大統領をお迎えしてやるわけでございますから、率直に申し上げて私はいい方向に向いていると思います。
  238. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 大臣の見解はそのように私は承りますけれども、私がお尋ねしたいのは、世界的な軍縮傾向があってソ連が我が国にとっても非常に友好的な状況にある今日、日本に米軍が駐留しているという現実、それから安保条約の存在そのものがその存在意義をどんどんどんどん軽くしていくし、また軽くしていく方向、具体的には駐留米軍の規模ですとか軍事基地の数、その面積あるいはその装備、そういったものがどんどんどんどん少なくなる方向、縮小の方向に向かうべきである、それが世界の潮流なんですから。我が日本について言えば、安保条約について言えばそのような方向に向かうだろうし、向かうべきであると私は考えるが、大臣の御見解はどうですかと、こうお伺いしているわけです。
  239. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 日本としては、この東西関係を初めとして国際情勢が大きく現在変動をしておりますけれども、日米関係は引き続き日本外交の基軸であって極めて重要であるという認識を私自身は持っております。  日米の協調と協力は、単に日米両国にとってのみならず、私は世界にとってますます重要性を持つものになると思います。このような中で安保条約は、引き続き不透明、不安定な国際情勢の中で日米関係の基礎をなす強固なきずなでありまして、抑止と対話による平和の追求、これをベースに展開していくということが現在行われていると思います。  御案内のように、日ソ話し合いの中でも、日米安保条約の存在を認めた上で日ソ間の協議をやっているわけでございますから、そういう意味では、この安保条約の存在というものは日本だけではなしにアジア全域にとっても一つの大きな機能を果たしている、私はこのように認識をいたしております。
  240. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 いや、どうも私の理解が足りないのか、私が聞いているのは実に単純明快なことを聞いているわけで、世界状況日ソ間の状況が軍縮やあるいは平和志向においてどんどんどんどんその方向に行っているんですから、安保条約そのものが縮小、漸減、最終的にはこれがなくてもいいような国に日本がなればいいとお考えですかということを聞いているつもりですが。
  241. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) それは、日本が最初に結んだときの安保条約にちゃんとそういうことが書かれているわけです。つまり、国連憲章が理想とされるような社会が現出したときには安保条約は不必要になろう、こう言われているわけでありますから、お説の点はそれですべて明快に御理解いただけると思います。
  242. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 その国連憲章にあるということ、また現実具体的な問題として、日本アメリカの間で、例えば軍事基地を少し減らしませんかと。今日本に駐留している米軍の皆さん、そのように状況が変わってきているわけですからもうお国にお引き取りいただいても結構ですよと、そういうことを具体的にこれからアメリカとの間に話し合いをしていったらどうか。言葉をかえれば私が提案しているのはそういうつもりなんです。  先ほど来の御答弁を伺っておりますと、安保体制はこれを堅持する、こうおっしゃっているわけでございますから、ここは押し問答をしても仕方がありません。私は、安保体制は現状では認めても、これを堅持するのじゃなくて縮小の方向にもっていきましょうと。それを敷衍して言えば、日本にいる駐留米軍はどんどんどんどん縮小の方向に向かうのがいいんじゃないですかと、こういうことを申し上げているつもりなんです。  仮に、これも仮定の問題ですが、そうなった場合、米軍基地が減ります。駐留米軍の数が少なくなります。その場合に、かわりに自衛隊をしっかりしたものにしていく必要がある、もうアメリカさんにはいてもらわなくて結構ですから、かわりに我が国の自衛隊を強化していきましょうと、こういうような方向に行くおそれがなしとしないし、そういうことを場合によれば要求されるかもわからぬ、アメリカあたりから。こういう点については大臣はどのようにお考えですか。
  243. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 米軍が削減されてそのかわりに補完する意味で自衛隊を増強させるというような考え方は、現在政府は持っておりません。いわゆる駐留米軍、日米安全保障条約というものは、軍事大国にならない一つの歯どめ機能を持っている、私はそのように認識をしております。
  244. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 では、確認をしておきますが、仮に将来米軍基地が減ってどんどん駐留米軍が縮小されていった場合でも、それを補完するために自衛隊が現在以上に増強されるということは、これはもう明快にあり得ないわけですね。
  245. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) ただいま委員、いわば仮定の問題として米軍の縮小ということをおっしゃっておられると思いますけれども、現実の問題といたしまして、いわゆる「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み―二十一世紀に向けて」という中で米軍の再編について提案がなされ、一部実行に移されております。  それに即して申し上げますと、米政府が米国のグローバルな役割と同盟国に対するコミットメントというものを今後とも果たしていくということを前提にした上で、つまり引き続き前方展開戦略を維持するということを明らかにしつつ、米軍の再編つまり兵力の縮小ということを図っていく、しかもこれも段階的に行っていくというような提案がなされ、一部実行に移されているという状況でございます。  したがいまして、防衛庁としては、こうした米軍の再編によっても米軍がこの地域で果たしております役割に大きな変化はないものと理解しておりまして、米軍の再編が我が国の防衛力整備等に直ちに影響するというようなものではないというふうに考えております。
  246. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 じゃ、あなたにお伺いしますが、私が聞いているのはこうなんです。  米軍が日本に駐留していますが、この駐留米軍が引き揚げた場合は、それを補完するために自衛隊を米軍がいたときかそれ以上に増強する意思がありますか、ありませんかと聞いている。それに対して今あなたのお答えになったのは、米軍はいざ知らず、我が国は一つ防衛計画に基づいてやっていることですから、それと関連して相対的にこっちが減ったからこっちをふやすという考えはありませんというふうにおっしゃったと私は今理解したんですけれども、もう一遍ちょっとそこのところをはっきり教えていただけますか。
  247. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) 大変恐縮でございますけれども、どういう時点で米国が引くということを前提としておっしゃっておられるのか、必ずしもそういう状況が仮定の御質問だとしますとわかりませんので、私の方から今の段階で、どういう規模でどういう影響があってどの時点で引いていくかということを想定されての御質問に対して、こうだということをはっきりお答えするのは差し控えさせていただきたい、かように思います。
  248. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私はわかりやすく言っているつもりなんです。  仮にアメリカが現に今日本にいる駐留米軍の数を少し減らしましょう、こういうことを言ってきますね、何千人か何万人の規模かわかりませんが。米軍基地が縮小いたしますね。そのことと、自衛隊の現在の防衛計画というのがありますね、防衛計画とは連動するんですか、しないんですかということを聞いているんです。
  249. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) ただいま御指摘の点は、先ほど私が触れました「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」というものの中で米軍が計画的に再編を実行しているという前提に立ってのお話だとすれば、それと我が国の防衛上の防衛計画の大綱に従った防衛力整備とは連動いたしません。
  250. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 わかりました。  いずれにしても、日米安保条約、それに基づくいろいろな協定がありますけれども、国民がどのように考えているか、それを思えば、やはり日本にある米軍基地、あるいは駐留米軍の数は少ない方がいいんでしょうし、アメリカの軍用機が沖縄の嘉手納の上をしょっちゅう飛んでいるような状況はそれはない方がいいわけですから、そのような平和的な状況がどんどん醸成されてきたら、私は最終的に安保条約の思い切った見直しでありますとか米軍の縮小でありますとか、そういうことは国としても、それが国民の要求するところでありましょうから、お考えをお願いしたい。  それから、その場合に自衛隊が、もうアメリカさん結構です、うちが守りますということでどんどんこれまた大きくなっていって、さあもっとエイジス艦も買いましょうというようなことになっても困るということを私は今指摘をしておきたい、こう思います。  それから次に、今回のこの地位協定ですが、この百二億余円という算定の基準でございますが、これほどのような基準で算定されたんでしょうか。
  251. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 今度の新しい協定に係る新しい負担として、百二億三千八百万円をことしの十月から負担するものとして算定をしております。  そのうち労務費につきましては、新たに負担することとなる基本給、手当の六カ月分の二五%として七十五億三千三百万円としております。それから光熱水料でございますが、これには電気、ガス、水道、下水道がございます。それぞれにつきまして六十二年度、六十三年度、平成元年度の三カ年度の第三・四半期、第四・四半期における平均使用料を出しまして、これをもとにいたしまして出た額の二五%として二十七億四百万円、その合わせたものが百二億三千八百万円でございます。
  252. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 長官、じゃあなたはこの金額は実に妥当な金額であるとお考えですか。
  253. 児玉良雄

    政府委員(児玉良雄君) 労務費の方につきましては、現在二万人ちょっとの従業員がおりますので、これらの従業員が引き続き在職するものとして個別具体的に六カ月分の二五%ということでこの金額になりますし、また光熱水料等につきましても、六十二年度から平成元年度までの三カ年分の第三・四半期と第四・四半期を基準にしておりますので、今年度における負担として最新のデータをもとにして算出したものとして妥当だと考えております。
  254. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 その点は私も評価をさせていただきたいと思います。現実に今米軍基地等に多くの日本人の労働者の皆さんが働いておられるわけでございまして、この皆さんの給与等々がこのことによって改善される、これは我々の立場からいたしましても大いに結構なことでございますから、その点は私は評価をさせていただきたい、こう思います。  ただ、外務大臣お尋ねいたしますが、このいわゆる思いやり予算、さっき黒柳先生も具体的に指摘をしていらっしゃいましたが、何か見ているといわゆるおんぶにだっこですね。この間の湾岸の九十億ドル支援でも、我々は反対したんですけれども、結局可決をされました。出すことになりました。そうしたら今度は、円安で目減りした分を少し出したらどうだ、こういう声がアメリカ政府筋から聞こえてきたりするわけですね。  どうも大臣アメリカの言っていることは、日本に対して、日本はお金がたくさんあるんでしょう、だからお金を出しなさいよ、そしてそのことについてとやかくは言っちゃだめですよと。公共投資四百三十兆円、十年間にやりなさいよ、何もあなた方は我々に文句を言うことはない、金さえ出せばいいと。幕張メッセで米を展示したのがどこが悪いんですか、逮捕するといっておどしたじゃないですかと。何かどうも少しかさにかかって一方的に我々に負担を押しつけてきているような印象がないでもないですな。  これについては大臣ほどのようにお考えですか。
  255. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 私は、率直に申し上げて、アメリカ議会が大変いら立っていると思います。なぜいら立っているのか。それはやはり米国経済、これがなかなか思うように改善されない。また、日本の対米収支において黒字は漸減傾向にあります。私は、この間その問題が指摘されましたから、八七年は五百二十一億ドルで九〇年は三百八十億ドルまで黒字は下がってきている、SIIをフォローアップしていけばさらに改善されるだろう、しかしアメリカ側で問題を抱えておって、アメリカの問題を解決しなければ日本側だけ努力してもこれは改善されるものではないということをはっきり申しておりますが、そのアメリカ側の議会のいら立ちというものは行政府とまた違った立場で非常に激しく、経済問題を中心にこれから議論が進んでくるだろうと思います。  私は、一番問題になっているのは、やっぱり日本の市場へ入りにくいということが一番原因で、そこへ頭を行かしたものはいわゆる恒常的な彼らの対日貿易赤字、これがあるのだろうと思います。その点で幕張メッセの問題も大きくニューヨーク・タイムズに取り上げられるということになってきたのだろうと思いますけれども、私どもはやはり国内法に従って言うべきことは言うということでございますから、かさにかかってやってくるということじゃなしに、彼らは彼らの国家利益を追求している。しかし、我々は同盟関係にございますからお互いに言いたいことはいいますけれども、譲れないところは譲れないと、こういうことはやっぱり言わなきゃならない、こういうふうに思っています。
  256. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そのことを大臣に本当にお願いいたします。  私は、先般の代表質問のときにもそのことを申し上げたんですけれども、やっぱり真に日米パートナーシップと言うならば、日本アメリカが親友であるならば、こちらの言い分もしっかりと聞いてもらって、もしアメリカに改めるべき点があれば我々は率直にそのことを指摘して言ってあげるのがやっぱり真のパートナーシップだ、こう思うんですね。ですから、もう大臣はこれだけ外相経験があって、世界じゅうをいつも飛び回っておられまして、それだけの国際的な評価も得ておられると思いますから、アメリカだって中山さんがおいでになれば、それはおっしゃることについて当然しっかりと耳を傾けてくれると思います。あとは総理や大臣のそういったいつでも日本の国益と日本国民が何を考えているのかということを念頭に置いた外交、ネゴシエーションというものを大いにやっていただきたいと思います。  最後に、国連ですけれども、やはり日本が平和大国としてこれから国連中心ということでやっていかなければいけないんですが、どうなんでしょうね、この旧敵国条項の削除について現在の外務省のお考えは。
  257. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 去年の秋の国連総会で日本政府として代表演説でそれを申しましたけれども、具体的にこの憲章を改正するということになりますと、憲章改正のためのシステムがございます。その憲章改正の中で一番大きなウエートを持っているものは、やはりP5と言われる常任理事国の五カ国、つまり戦勝国であります。戦勝国の中で我々と戦ったのはアメリカであり、中国であり、これが重立ったところですが、ソ連もそうでございます。  そのようなことで、私はまずアメリカに対して先般国務長官との外相会談において、率直にこの敵国条項の排除のためにアメリカ政府は協力をしてもらいたいということを申しましたら、アメリカのベーカー国務長官は、アメリカとしてはこの問題に協力をするということを明確に言われたわけであります。なおソ連も、先般来られたべススメルトヌイフ外相が私の提案に対して、この条項は時代おくれだ、ソ連はこれに対して十分な理解を持っているし、他のP5の国にもソ連から連絡をするというお話がございました。私は今週末に中国へ参りますけれども、中国に対しても同様のことを日本政府として要請をいたしたい、このように考えております。  私は、まずP5の国に積極的に日本政府も要請を行う、こういう中で同意が得られれば、さらに憲章を改正するための会議をいつ開くかということにつきましては、今度は常任理事国ではなしに安保理事国の九カ国の同意がなければ、それを含んだ三分の二の総会の賛成がなければこの憲章改正のための日時の設定もできないということでございますから、そういう面について関係各国と積極的に努力をして、戦後四十五年、既にもう第二次大戦の戦後は終わったわけでありますから、ドイツ問題も解消したわけですから、我々はこの問題に積極的に努力をいたしたい、このように考えております。
  258. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 積極的な御答弁をいただいてありがとうございます。これは将来的にはやはり安保の理事国の立候補も含めて、ひとつ日本政府として、外務省として積極的な対応をお願いしておきたいと思います。  それでは、以上で私の質問を終わりますけれども、本協定につきましては連合参議院はいろいろ指摘したい点は多々ございますが。パッシブに承認態度であることを表明して、質問を終わりたいと思います。
  259. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 もう既に私が質問をしようと思ったことは同僚議員から大分出尽くしておりまして、今回の地位協定に関して私は賛成の立場をとります。  そこで、今回の湾岸戦争における教訓というのは、反省も含めていろんな問題を投げかけたと思います。特に環境問題ですが、ちょうど私は二月二十日にイランからずっとバクタランというところ、それからカスリシリンを通りまして、これはかってのイラン・イラク戦争の戦場の跡ですが、そこを抜けましてバクダッドに入ったときに、テレビでも報道はされていましたが、もう都市の機能というのは完全に麻痺しておりまして、市民はただうろうろしている状態でした。ちょうど地上戦に入る直前でしたが、これは恐らくもう戦争にならないだろう、戦いの論理というか戦争の常識というか、補給路を断たれて戦争ができるはずがないという思いで、何とかフセイン大統領に会えれば撤退をということを呼びかけようと思いましたが、もう向こうの政府は無政府状態で、向こうの関係者に連絡が取れず帰ってまいりました。  そういう中で、いつも犠牲になるのは弱い人たちというか、国民は本当に寒さ、それから食糧、もう一つは先ほどもお話に出ましたが、やはり水がないということ、これは人間が生きる上において大変大きな問題であります。今疫病が発生しているという話も聞いております。  そういう中で、私はすぐに日本に帰ってまいりましてその足でアメリカへ飛んだのですが、ちょうどジャクソンという大統領補佐官、ブッシュ大統領の片腕なんですが、この方にお会いすることができました。そのときに、ブッシュ大統領の奥さんが大変ボランティアに力を入れておられるということを聞きまして、日本が戦後一番ありがたかったことは、やはり苦しい状況の中で物資、食糧を支援してもらったことだ、我々日本人はそれをまだ忘れておりませんよ、そこで何とか戦争ということとは別に人道的な立場に立ってひとつアメリカはイラクに支援をしてほしいというお願いをしたわけなんです。我々も全く同じことを考えていますという答えをもらいましたが、現フセイン体制では手を出すわけにいきませんというのが答えでした。  まさに、私もイラクに参りまして、戦争になるまでの間、それから人質、その後に開戦、そして地上戦というところを見ていって、国民にああいう痛みを与えてしまった指導者というのは、どういう大義があるにせよ、これは認めるわけにいかないという思いでおりました。しかしながら、今イラクだけではなくクウェートの方も同じような状況があると聞いております。  私としては、今後中東の開発に当たってはどんなことをしたらいいのかということを自分なりに描いてはいますが、政府としてはどのような考えがあるか、ちょっとお聞かせください。
  260. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) ただいま先生からクウェート及びイラクの戦後の復興についての御質問がございましたが、とりあえず政府といたしましては、まずクウェートにつきましていわゆる緊急人道援助物資の供与から始めまして、それからまたWHOが医療面での調査団を派遣いたしましたので、それに日本人医師の方二名に参加をしていただいて医療面でのクウェートでの必要の調査等を行っておるところでございます。  それからイラクにつきましては、これはやはり同じWHOそれからユニセフの合同調査団、それからさらには国連全体としての調査団が現地を訪れまして、先ほど先生の言われました水の問題あるいは食糧の問題、燃料の問題等についての報告をいたしております。  私どもといたしましては、クウェートにつきましては、やはりクウェートとして何を必要とするか、何を外国に要請をするかということを話し合いをしながら、可能なものは協力をしていきたいというふうに考えております。イラクにつきましても、国連を初めとする国際機関がどのようなアピールを出すか、その点も含めまして国際的な協調の枠組みの中で対応していきたいというふうに考えております。
  261. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 戦争が始まる前にまず一番心配されたことは、環境問題ということが言われていた。そのとおりに結果としてなってしまったわけなんですが、アメリカの方は私が行ったときに大変戦勝気分で浮かれている中で、もう一方でやは り人類が負ったのは、勝ち負けではない非常に大きな損害だということを私は感じております。  その中で、私が今回都知事選に立候補いたしまして途中で撤退ということで、その中の一つの大きな原因というのは、私も湾岸に行きましたが、今ペルシャ湾に流出している油の問題です。これについて今一番の問題というのは、油が炎上している問題とそれから流出している油、そしてもう一つはペルシャ湾にある機雷ですね。この三つが一番大きな問題と私は聞いておりますが、政府の方はどういう考え方を持っておりますか。
  262. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 環境の問題といたしましては、御指摘のとおり、クウェートでの油井の炎上の問題、これに伴います大気汚染の問題が一つございます。もう一つの問題は、ペルシャ湾に流出いたしました原油によって生じます当面の海水淡水化施設への影響、さらには生物形態への影響等がございます。  政府といたしましては、先月調査団を派遣いたしましてどのような必要があるかを調査いたしました。それで、その結果を踏まえまして、現在一つは、流出いたしました原油の回収につきまして、政府として供与いたしました種々の機材を使って回収作業を行うための専門家のグループ、これが十八名、それから淡水化施設の保全の指導をする専門家チーム十二名を派遣いたしました。先月末現地に到着いたしまして、これから活動を始めるということになっております。  さらに、恐らくこの原油の炎上から生じます大気汚染の問題が相当地域的に幅広くイランその他にも影響があるかと思いますので、この辺についても先方政府の要請によりましては調査あるいは技術協力をするということが今後考えられるかというふうに考えております。
  263. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 その環境に対する援助というんでしょうか、人員も含めてですが、どことどこの国が今参加しておりますか。この湾岸の油の処理に関して、どことどこの国が今参加しておりますか。
  264. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) これは原油の流出いたしました比較的初期の段階から、例えば米国あるいはドイツ、ノルウェー等の専門家がまず現地に派遣をされまして現状調査等をいたしたというふうに承知をいたしております。  その後、実際の回収作業につきましては幾つかの国からのボランティアのグループ等も出ておるようでございますけれども、実はただいま申し上げた以外には、正確にはちょっとほかの国の名前を把握いたしておりません。
  265. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 油田の炎上に関してはもう既にヒマラヤ山脈まで到達しているという調査が出ておりますが、湾岸を含めて一千キロ以上の広がりをしているそうです。  燃える方に関してはともかく、今水の処理の方、油の処理の問題については、私もちょうどこの一カ月間ぐらいの間ですが、私の部屋にも置きまして水の浄化ということをやりまして、バクテリアによる油の処理ということなんですが、大変効果的な結果が出ております。これはもう既に実証されているものです。  私の願いとしては、日本は今回湾岸におきまして何をしたかということが非常に問われているわけですが、一番日本がやれることというのはまさに環境問題ではないか。そういう意味で、日本にはまだまだ大変優秀な技術、日の目を見ないものがたくさんあるわけですが、私のところに幸いそういうような情報が随分来ております。そういうことをこれからぜひ湾岸だけではなく環境問題に使っていただきたいと思うんです。  それからもう一つは、やはりアラブとの関係ということです。まだ大変私も日が浅いものですから専門家とは言えませんが、ただ向こうの人たちと触れ合うときに、やはり今まで石油だけを買う、それだけの取引ということで、そのために余り中東には足を運んでいない、日本政治家も含めて。イギリスにしてもアメリカにしても頻繁に議員が向こうへ行っているわけですけれども、日本としてももっともっと来てほしいというのが現地の声だと聞いております。  環境問題はそのぐらいなんですが、もう一つは、やはりこれからイランの中東における立場というのは大変強くなっていくと思うんですが、その辺についてちょっとお伺いいたします。     ─────────────
  266. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 質疑の中途でありますが、この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、鳩山威一郎君が委員を辞任され、その補欠として真島一男君が選任されました。     ─────────────
  267. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) イランにつきましては、御指摘のとおり、今後の湾岸の平和と安定を考えます場合に非常に重要な国であるというふうに認識をいたしております。また、イランと我が国との間にはいわば伝統的な友好関係があるということでございます。イランも最近、例えば湾岸のサウジアラビアとの一時断絶いたしました外交関係を再開する等国際的な友好関係を広げる努力をしておると思われますが、我が国といたしましても、今後イランとの間では種々の面での友好関係を進めてまいりたいというふうに考えております。
  268. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 今回私が都知事選のときに出した政策なんですが、今まさに国連機能という部分でまだまだ私どもは国連は未成熟というか、完全に我々が思っているような機能をしているとは思っておりません。そういう中で、もっと機能的にするという意味で、今世の中がポーダーレスワールドというか、国境がどんどんなくなっていくというときに日本が果たさなければならない役割、そういう意味で金融なんかはもう既に国境なくどんどん進んでいるわけですね。これは民活というか民営化で進んでいるわけですが、そういう中で第二国連ビル構想というのを政策の中で打ち出したわけなんです。  これは例えば環境問題に絞るとか、あるいは戦災とか災害、そういう援助に対する積極的な行動を起こすという意味で、今まさに世界の中で日本が何をするんですかという部分で、これは私なりの発想なんですが、これについて、大臣、どうお考えですか。
  269. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 第二国連ビル構想というお話でございますが、国連は現在いろんな附属機関と申しますか、そういうものを世界でいろいろなところに置いていると私は思います。日本も、環境に関しては近くUNEPのセンターを日本に誘致しようといたしておりますし、熱帯雨林のセンターも横浜にあるということでやっておりますから、第二国連ビルの必要が起こってくれば当然世界でもいろいろと立候補する国があろうと思いますけれども、日本も立候補することは私は大変結構なことだと思います。
  270. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 なぜそういう発想を持ったかというと、やはり現在の国連というのはトップダウン方式というか、上から下へということで、逆に言えば今民間が持っているノーハウ、こういうものをまだまだ十分に吸い上げて生かしていないんではないか。そういう意味では、一つ考え方として全世界の企業から参加してもらう民活民営型の国連構想なんですが、これはあくまでも提案です。しかし、これからどんどん時代が変化していく中で、国連機能がもっともっと機能していく、そういうためにも日本が一度訴える意味があるのではないかと思うんです。そういうことで、とにかく民の痛みを知った国連ということになっていけばと思うんです。  場所としては、これもまた一つ大変かもしれませんが、今現在ある旧都庁の跡地、私の手元にもNGOのセンターをつくってほしいとかというようないろんな注文が来ておりますが、そういう跡地を生かした利用の仕方ということを考えられたらいかがかと思うんです。  これについてひとつ御意見をお願いいたします。
  271. 中山太郎

    国務大臣中山太郎君) 問題は、国連のいわゆ る理事国で国連をどうするかという問題が議論されて、第二の国連ビルをつくるということが決まるというこのプロセスでどうするかということに対応すべきではないか、私はそのように思っておりますが、何がさて、それをやるにいたしましても膨大な経費を準備しなければなりませんから、国連が一体どういうふうにこれから新しい時代に向けて動きを起こしていくのか、そういうところで日本としての意見をこれから述べていくことが大切である、このように考えております。
  272. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 機会がありましたら、そういうこともまた国連に訴えていただきたい。私がアメリカヨーロッパに行きましたときにそういう提案を向こうの人にしましたら、大変すばらしいという意見をもらっておりますので、きょうあえて出させてもらいました。  そして、ソ連問題に触れたいと思いますが、先ほど中村議員からも出たとおり、小沢幹事長が今回訪ソそして訪米ということをやられたわけです。それについて、それはプラスかマイナスかとさっきも聞かれたんですが、もう一度局長意見としてお聞きしたいと思いますが、今回の小沢幹事長の訪ソは今後日本のいろんな問題を解決していく上でどうであったかということです。
  273. 兵藤長雄

    政府委員兵藤長雄君) 先ほど中山外務大臣から申し上げた御答弁に尽きるわけでございますが、政府・与党はこの北方領土返還、平和条約締結交渉については従来より一体となってやっているというのが私の認識でございますし、小沢幹事長が訪ソされましたときも私ども政府考え方と十分にすり合わせた上で、まさにそういう方針のもとにゴルバチョフ大統領話し合いをされたというふうに私も認識いたしております。
  274. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 今回幹事長が行かれた立場というかその権限ですね、こういう問題。例えば外国の企業だと、あるいは政治も同じですが、そういう場合のはっきりした立場、権限というものが明確にされているわけですけれども、小沢幹事長の場合はどういう形になるんでしょうか。
  275. 兵藤長雄

    政府委員兵藤長雄君) 自由民主党の中で幹事長というお立場で訪ソなさったというふうに私は理解しておりますが、ソ連側もまさにそういう認識から、今回の会談の場所はソ連邦共産党中央委員会の建物で二回とも会談が行われておる、また向こうの同席者を見ましてもソ連邦中央委員会のファーリン国際部長等が同席しているということで、ソ連側の認識もまさに党の代表としていらしたという認識であったと私も考えております。
  276. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 北方領土問題についてお伺いいたしますが、今ソ連はもう御存じのとおり、大変苦しい状況下にあります。そういう中で、日ソ関係というのも本当にこの何年かの間に随分変わってきたわけです。大変日本は弱い立場だったものが、今は逆に言えばソ連よりも強い立場に変わっているんではないか。そういう意味で、一部にこのままほっておいたって北方は返さなきゃならぬ状況が起きるよというような声も聞きます。  今回、幹事長が行かれて二島分割論みたいなものも出ておりますが、これについて政府はどういうお考えでしょうか。
  277. 兵藤長雄

    政府委員兵藤長雄君) 今回の小沢幹事長訪ソの際には、政府が従来から主張しております四島一括返還というお立場から、ゴルバチョフ大統領とこの主張を真正面からぶつけ合って渡り合われたというふうに私は承知をいたしております。
  278. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 外交という部分ではもう専門家ばかりを前に置いて私が大変口幅ったいことを申し上げては申しわけないんですが、例えば外交というのは闘いだと思うんです。チェスのゲームに例えれば、相手の一番弱いところをついていく。そういう意味では、ソ連というのは大変チェスが盛んだと聞いておりますし、日本の弱点というものを十分知った上でソ連は幹事長を迎え入れたんじゃないかという気がいたしますけれども、その辺日本は、例えばソ連に対するチェスのゲームで相手の弱点というものを、余りいい表現じゃありませんが、しかし外交上成功させるためにその辺の研究はされていますか。
  279. 兵藤長雄

    政府委員兵藤長雄君) 私は、弱点という言葉が当たるかどうかわかりませんけれども、四島一括返還という我が国の主張をゴルバチョフ大統領を前にして展開するその一番大事なものの一つは、日本の国論の統一、日本の国論が固まっているということが最も大事な要因の一つであるというふうに考えております。
  280. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 前回の外務委員会のときにも質問させてもらったんですが、今回正式ではないにしても二百六十億ドルという数字が出ております。お金だけ出してもだめですよということを申し上げたんですが、あのときにTQC、なぜかというと、これはかつて終戦後、やはり同じ土俵で話ができるという意味日本の企業が発展してきた過程にはTQCの導入というものが大変大きく貢献していると思うんです。その中で、私なんかがソ連といろいろなかかわり合いを持ってもなかなか話が進まない。例えば合弁会社をつくろうといったら、会社だけつくればもうお金がもうかるみたいな発想でしかないわけですから、そういう意味で同じ土俵をつくらなければならない。そういう意味では、支援と同時にそういうノーハウ、これはもう日本のどこの企業も持っているものですから、そういうものをやはりあわせた援助というものが必要だと思うんです。  そういうことで、本当に今回の湾岸の支援というものも大変生きたお金というか、私は最初に八月の段階で、十億ドルアメリカから要求されたときに百億ドル出すべきだと言って、とんでもないことを言うやつだということで批判もあったようですが、結果的には百億ドルでは済まなくなってしまいました。そういうことで、これからやはりソ連のためにも援助というのは生きた形でしていただきたいと思います。  そしてもう一つは、今回二百六十億ドルをソ連に援助するということに対して、例えば湾岸では百三十億ドルをアメリカ、そのアメリカの不満というか、そういうのは出ていないでしょうかね。
  281. 兵藤長雄

    政府委員兵藤長雄君) いわゆる二百何十億ドルといった規模の経済協力の話につきましては、先般来外務大臣も御答弁を申し上げておりますけれども、政府の部内で検討されたという事実はございません。私どもも数字あるいはこの中身については全く関与をいたしておりません。  したがいまして、この内容について私どもは今ここで云々する立場にはないというふうに思っておりますが、こういう数字があちこちで報ぜられて、ソ連がまたその数字が報じられていることをいろいろ気にしているということから、中山外務大臣がべススメルトヌイフ外務大臣訪日前に、わざわざ私が先ほど述べました認識を改めて表明をされたという次第でございます。
  282. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 最後です。  その二百六十億ドルに対して、これが正式でないとしても、例えば話が進んでいったときに、そういう援助の態勢に日本は今現在あるんでしょうか。
  283. 兵藤長雄

    政府委員兵藤長雄君) 現在、ソ連側との話の焦点は北方四島の主権の問題、この問題について決着を図る。ゴルバチョフ大統領が来られたときに、この問題についての英断を求めるということでございます。その英断が得られれば、その後いろいろ考えるべき問題あるいは話し合われる問題というものは多々あるだろうというふうに考えております。
  284. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 終わります。
  285. 岡野裕

    委員長岡野裕君) これより内閣総理大臣に対する質疑に入ります。  総理には、あすの訪米を控え、御多用のところ大変御苦労さまであります。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  286. 松前達郎

    ○松前達郎君 総理、私からもお忙しいところを御出席いただいたことに敬意を表します。ありがとうございます。  訪米を控えておられるわけですが、またアメリカ訪問から帰られたらその後ゴルバチョフ大統領来日をする。聞くところによりますと、その後 総理はASEAN諸国の訪問を、これは計画かもしれませんが、予定されているというふうに聞いております。外務大臣外務大臣で今度はイランの訪問ですね。これも計画かもしれません。そういった外交活動というのがこれから展開されていくわけですから、時期としては非常に重要な時期を迎えるのじゃないか、こういうふうに私は思っておるわけです。  そこで、基本的な問題、我が国の平和戦略構想等について、これは基本問題でありますから二、三質問させていただきたいと思いますけれども、私の時間がそうありませんので、私が終わりましたらすぐ田委員に引き継いで質問をお願いしたいと思っております。  我が国は、日中戦争それから太平洋戦争に至りますまでアジア全域で戦争を行ってきたわけで、これはもう事実であります。最終的には日米の戦いが展開されてきた。これが中心となった戦いになったと解釈していいと思います。今回の湾岸戦争を見ましても、これと同じように、言い方は悪いかもしれませんが、見方によっては日本アメリカの正義の前に破れたということになるのじゃないかと思うのですが、こういった戦いを通じまして日本アジア諸国に与えた影響というのは非常に大きい、極めて大きい影響を与えているのではないか。戦争の悲劇はアジア諸国の人々の心に深く刻み込まれているはずである。これはもう総理も十分御承知のとおりでございます。そして、戦後日本は平和国家として新しい道を歩く決意をしたわけでありますから、その決意で、今日世界の先進国の一つ日本はなりましたし、また同時にアジアでは、もうアジア以外でもそうですが、強力な経済力を持った国に発展をしてきたわけでありまして、今こそ日本は積極的に世界の平和への努力をするべきだと私は考えております。  そういった考え方に基づいて我が国の基本的平和戦略というものをやはりこの辺で打ち出さなければならぬ、人から言われるのじゃなくて我が国なりの平和戦略、基本的な戦略というものを打ち出さなければならぬと思っているのですが、総理にお考えを伺いたいと思います。
  287. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘になりましたように、私は、戦後の日本の歴史の中において我が国がアジアの国々に対していろいろな迷惑をかける、耐えがたい苦痛を与えてきたという歴史の反省に立って外交を続けていかなければならない、こういう基本的な認識は強く持っておりまして、例えば今年一月の韓国における日韓首脳会談のときにも、そういった過去の歴史認識を語り合って、そしてお互いにわだかまりをのけて未来志向型の新しい日韓関係をつくろうということで三原則の合意もしてきたわけでございますし、またそれらの問題については誠実に今後取り組んでいかなければならないとみずから決意をいたしております。  また、世界に対する日本の戦略というものは、平和に対する協力、ODAによる協力、国際文化交流による協力、この三つの柱を日本の国際協力構想としてこの前以来着実に進めてきておるところでございますけれども、今度のイラクによる突然のあのような隣国の侵略、併合というまさに国際社会の大義に反するような出来事を二度と起こさないような平和の枠組み、平和の秩序をつくっていくために日本は何をすべきかという点に立っても考えまして、五月の末に日本で軍備管理・軍縮に関する国際会議を国連と今十分協調の上で開いて、そこにおいてあのようなことが二度と行われないようにするためにはどうすべきかという日本考え方を強く訴えて、世界の国々とともにそういった状況づくりのために積極的に努力をしていかなければならないと考えておるところでございます。
  288. 松前達郎

    ○松前達郎君 アメリカソ連との間で今日まで核軍縮などの問題をずっと協議してきたわけですね。そして、ヨーロッパ正面における通常戦力の削減については非常に精力的に取り組んできた。しかし一方、アジアにおける軍縮と緊張緩和についてはさほど熱心な姿勢を見せていないような気がしてならないわけでありますが、これからかもしれません。  我が国は日米安保体制のもとに、アメリカに先駆けて、あるいは米国を説得しながらもアジアに緊張緩和をつくり出すという意欲を持つべきだと思いますが、今のところまだそういう積極的な努力が欠けているんじゃないか。これもこれからの問題だと思います。  ソ連ゴルバチョフ大統領は、ウラジオストク演説、それからクラスノヤルスク演説、あるいは北京での演説、またパリ会議、いろいろあったわけですが、事あるごとにアジア・太平洋地域の安全保障を確保するために信頼醸成措置の構築、これについて語っているわけです。これをソ連一流の平和攻勢だとして一蹴してしまうのは冷戦志向から考えてもおかしな話でありまして、特に今回ゴルバチョフ大統領来日されるわけですが、恐らくここでも何らかの提案があるのではないか。これだけずっと言い続けてきているわけですから何らかの提案をすることが予測されるわけでありますけれども、これは北方領土の問題とも関係あるかもしれません。  これに対しまして我が国に何らかの対案があるのかどうか。これは予測ですから必ずそうなるかどうかわかりませんが、もしかありましたらひとつ総理からお述べいただきたいと思います。
  289. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) アジア・太平洋地域において諸国間の真の信頼関係に基づいた醸成をしていこう、安定をつくっていこうということは、目標としては極めて適切な目標の一つであると私は考えておりますが、率直に申し上げますと、ユーラシア大陸の西の端では冷戦構造の発想を乗り越えて、例えばドイツの統一ができたり、あるいはワルシャワ条約機構とNATO軍との間の陸上勢力の対決といったような状況が緩和されていったという非常に好ましい方向が出ておることを私は率直に評価するとともに、アジア・太平洋にもそれを醸成していくための努力を日本も積極的にやらなければならないという強い気持ちを持っております。  そういった意味で、ただアジアは、例えばお触れになりましたソ連と我が国との間にも真の信頼関係を確立するためには、私はゴルバチョフ大統領来日というものを通じて、そこに長い間の懸案であった領土の問題、北方領土の問題を含めて、さらに経済協力の問題はどうあるべきかということなど幅広くいろいろな問題を話し合っていくことがまずお互い同士の信頼関係をつくることになってまいりますし、また先ほど韓国との問題だけに触れましたが、日朝間の関係改善をすることも朝鮮半島の緊張緩和、そして平和的な統一問題解決のために日本はこの問題も真正面から取り組んで、日朝間の国交回復への努力を今続けておる。パスポートから北の政府を除くというようなことがもうこれで消えたということなんかもそういった努力の一つのあらわれでありますし、またカンボジアにおいての内戦状況を何とか抑えていかなきゃならぬ。そして、東京会談を去年開きましたけれども、やはりこれからソン・サン首相も参ります。  そういったことについては、アジアの国々にまだくすぶっておるいろいろな紛争の火種とか、まだ確立されておらない二国間の信頼関係というものをきちっと踏まえながら、それぞれを解決しながら全アジアに妥当なような信頼醸成措置の問題も、最初に申し上げたように、適切な目標として取り組んでまいりたい、こう考えておるところであります。
  290. 松前達郎

    ○松前達郎君 今までいろいろ問題になってきているのに、ゴルバチョフ来日に関してはやっぱり領土問題がどうしてもあるのじゃないか、これだけではありませんが、領土問題が含まれていると思います。  ずっとその領土問題に関する議論を聞いていますと、主権という言葉がよく使われるんですね。我が国の主権を認める。ところが、潜在的主権という言葉がもしか使われるようになった場合、これは日本側からは言わないと思いますが、ソ連側 からそういうふうな言葉が出てくる可能性もあるわけですが、これに対してはどういうふうにお考えですか。
  291. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 予断と憶測でもって今ここで物を言うことは慎まなければならないと思いますが、私の基本的な考え方を申し上げますと、やはり北方四島についてはこれは国民的な悲願でもございます。同時にまた、このごろ上を見ますと、宇宙を回る人工衛星の中で日ソ報道人が共同作業ができたり、またやけどの坊やが来れば札幌や新潟で治療をしてあげるとか、実に幅広い交流が続いておる。ソ連の方からも五回も調査団がいらっしゃる、こちらからも必要に応じて人が出ていく。そういう交流の積み重ねの中で、一回一番問題になっておるこの領土の問題についてはまさに日本側の要求も率直に原理原則に従って伝えたい。  ペレストロイカの正しい方向性は我々は支持しておるのでありますから、できる限り成功のために協力をするという考えも持っておるわけでありますので、ゴルバチョフ大統領とまさにその問題について一遍よく十分に話し合ってみたい、こう思っております。
  292. 松前達郎

    ○松前達郎君 時間がありませんのでもう一つだけ御意見を伺いたいんですが、日米安全保障条約に関連してであります。  在沖縄米海兵隊司令官、この方が昨年、日本の軍事大国化の歯どめとして在日米軍の長期駐留が必要だという発言をされたんですね。チェイニー国防長官や軍首脳もほぼ同様な発言をされているように聞いております。これは一般的に瓶の栓というふうに呼ばれているというのですけれども、この発言はある意味で言うと米国の本音じゃないかというふうな気もするのです。瓶の栓の発言はアジア諸国の日本に対する懸念、これを代弁しているとも私は思いますし、一方ではアジア諸国の寄りどころにもなっている。これは裏腹の問題もあるというふうに思います。  そういう意味から、日米安全保障条約を全面的に私は否定しませんけれども、今回の湾岸戦争を通じても新たな問題がいろいろと提起されてきているわけです。地位協定も含めていろいろ問題が出てきている。国際情勢がこの安保条約締結当時と大きく変わった今日、安保条約あるいは協定等についての全般にわたって再検討が行われる時期に来たのではないかと私は思っております。これは変えるとか、そういうことをすぐやれという意味じゃなくて、検討をしなければいけない時期に来た。これは我々の国としての政治課題だと私は思うのですが、これについて総理のお考えを最後にお伺いいたします。
  293. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 日米安全保障条約というのは、私は日本にとって、これは我が国の安全を確保する上において非常に重要な役割を果たしてきたということと同時に、もう一つは、これは御承知のとおりと思いますが、安全保障条約の中には経済的な協力、自由な諸制度の、そして福祉の制度の発展向上等も踏まえて、お互いにまた経済的な問題で政策的に食い違いが出たときは協議の上で経済協力もしていこうということもいろいろ書き込まれた条約でして、その名も相互協力並びに安全保障条約と、こうなっておる基本的なものである、まず私はそう受けとめております。したがいまして、日本の安全にとってこれは必要不可欠なものである、こう考えてまいりました。  また、アジアの人がどう見ておるか、アメリカの一部の軍人がどう見ておるかということはこれは別にいたしまして、最初に申し上げたように、日本は過去の歴史に対する反省に立って二度とそういった侵略戦争はしない、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないということを理念として基本でしっかりと踏まえておるわけでありますから、そして同時にこの日米安保条約のもとで、おっしゃることを裏の面から見ますと、アジア・太平洋地域の安定のためにこれが役立ってきたこともそれは率直に事実だろうと思いますから、そういった面も踏まえて、これからこの体制を維持する中で我が国の安全は図っていくべきものではないか、私はこう考えておるところでございます。
  294. 松前達郎

    ○松前達郎君 ありがとうございました。
  295. 田英夫

    田英夫君 総理はあしたから訪米をされるということで、大変御苦労さまだと思います。特に、湾岸戦争が終わりまして、いわばアメリカは国際正義の勝利を謳歌しているというそういう雰囲気の中で、しかも恐らく首脳会談の議題の大きな柱は経済問題になるのではないかと思うわけですが、それだけに御苦労が多いと思います。  そこで、お聞きしたいのは、実は私はこういう国会の委員会でのやりとりというのは、私どもが政府にお伺いを立てるのではなくて、行政府と立法府との間で議論をするということを通じて、特に日本外交というようなことの場合にはいい方向へ進んでいくようにと願うわけですから、そういう意味意見も交えて申し上げますが、湾岸戦争が終わってアメリカが国際正義という名において勝利したということを謳歌していると申し上げましたが、そういう現在の国際情勢全体の中で、特にアメリカが今や唯一の超大国になった、こういう声もある中で、総理は、これは大変大きな問題で、一言でと申し上げるのは失礼ですが、今の国際情勢全体をどう把握しておられますか。
  296. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 昨年の八月の二日までは、私も先ほど申し上げたように、世界が冷戦構造の発想を乗り越えつつある。それまでは米ソの二大国の力というものが世界の平和を抑える枠組みであった。だから、あるときは力の均衡とも書かれましたし、恐怖の均衡と書かれたこともありました。そういったものを乗り越えて話し合いによる平和の枠組みが新しく生まれつつあるのだという希望を持っておるときのイラクのあの暴挙でありましたから、それに対しては非常に驚くとともに、同時に世界じゅうの人が平和への期待や夢を打ち砕かれたと率直に私は思います。  したがって、国際社会の総意が相次ぐ国連の決議によってあのような結果になりました。米国ひとりで今度の成果をおさめたのではなくて、実に二十八と言われる国々がそれぞれの国の持っておる経済的な厳しい状況等を乗り越えて多国籍軍というものを編成し参加したのは、私はやはり力による他国の侵略、併合を認めておいたのでは新しい世界の秩序が成り立たないと思ったからだと思いますし、それが適切な時期にあのような形で起こった。  なぜ適切な時期で申し上げたかというと、あのころ一番懸念されたことは、大量破壊兵器がもし使われて武力行使の質が変わったらどうするんだろうかとか、あるいはもう一つは、直接関係国じゃないイスラエルへ向けてのスカッドミサイルの無差別な攻撃が、あれがもし新しい方向に質を変えていったらどうかという懸念があらゆるところで表明されたことは委員も御承知のとおりと思います。幸いそういった新しい展開がなくておさまったことは、私はその意味では国際社会に将来に向かっての新しい平和、話し合い枠組みの希望が出てきておる。  これが今後は、率直に申し上げると国連中心といいますか、国連というものが機能強化して、そしていろいろな問題についてもう少し国連の力というものが強まっていくように、同時にまた日本が今後積極的に協力できる部面というのは、力でもってお役に立つことはできないわけですから、二度と起こらないためにきょうまで日本がやってきたような武器輸出三原則みたいなものを、これは国連というような機構の中でみんなが話し合って、そういったことについてアメリカがリーダーシップを発揮して、多国籍軍が今度きちっと平和の破壊を抑えた、クウェートを解放した、そういった秩序を新しく支えていく枠組みとしての国連機能なんかが私は求められるべきだと、こんな感じを率直に持っております。
  297. 田英夫

    田英夫君 全く私も今総理の言われたことに基本的に同感なのでありますが、同時にやはりぜひ日米首脳会談の中で率直に言っていただきたいことは、アメリカ中心として今世界が動いていること、これは客観的に事実でしょうけれども、同 時に今度のアメリカやり方に対して、例えば中国国連の投票で棄権をするということによって一つの独自の姿勢を示しました。また、ソ連もある程度、アメリカと完全に一つではない。フランスドイツもそれぞれの思いを持ってアメリカに対して一つ態度を持っていると思います。  けさも外務大臣にも申し上げたのですが、そういう中で、今や世界で最も経済大国であるという日本がそういう国々との関係をも極めて重視するという意味で、今度外務大臣中国へ行かれるということは一つ大きなことですし、ゴルバチョフ大統領が来られるということも大変重要なことだと思いますが、こういう考えをぜひ念頭に置きながらブッシュ大統領とお話をいただきたい。  そこで、言葉の遊戯のようになりますけれども、国際正義が勝ったというアメリカに対して、日本は国際平和ということを掲げていくべきだと思うのです。時あたかもことしはパールハーバー五十年ということで、年末にかけてアメリカではさまざまな行事が予定をされているということでありますが、それは再び日本がということにもつながりかねません。また、先日小沢幹事長が行かれたときにブッシュ大統領との間で、お互いの国の中に反日感情、反米感情があるということが首脳同士で語られ、首脳といいますか指導者同士で語られたということも大変異例のことだと思います。下手をすると、そういう中でとんでもない方向に日米関係が行ってしまうおそれがないとは言えない。  そこで、私が海部総理に提案をしたいのは、日本は二度と再びパールハーバーのようなことはしませんという決意のもとに平和憲法を守ってきたわけでありますから、自衛隊の海外派兵というようなこともやらずにきたわけでありますから、そのことをきっちりとブッシュ大統領に言われると同時に、できれば海部総理の平和宣言ともいうべきものを今こそ世界に向かってされたらどうだろうか。海部総理は、恐らく昨年の湾岸危機のときの国連平和協力法案の廃案というようなことを通じて大変苦悩されたと思います。これは私もよく理解できます。しかし、日本はこういう国是を持った国なんだということを最高責任者の名において世界に宣言をされる中で対応されれば、これは世界に対して理解をしてもらえるのではないのか。そして、二十一世紀にかけてはこの日本考え方こそが世界の理想ですよということをうたい上げるぐらいの自負をしていいのではないかと思います。これは私の提案で、お聞きいただければいいのですが。  そこで、今総理自身が、そのことに関連をした武器輸出三原則のようなものを国連を舞台にしてひとつ国際的に広めたいということを言われましたが、全くこれは私も同感ですが、具体的な構想がおありでしたらこの際聞かせていただきたいと思います。
  298. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) この問題は、来月の後半に京都に世界関係者に集まってもらって、国連日本とで会議をいたします。この会議の中で、恐らくどこの国の人も考えておることは、あの地域でイラクのように武力の突出した国をつくってしまったことに対する率直な反省があろうと思います。同時に、そういったことから見ますと、二度とそれを繰り返さないためにはどうしたらいいかということをそれぞれの立場考えてもらわなければなりません。  そして、具体的にまだこれとこれとこれをこうするという構想は固まってはおりませんけれども、しかし言いたいことは、核兵器とか生物兵器とか化学兵器というような大量破壊兵器については、これはまず不拡散をきちっと決めてもらう。そして、それを持っておる国々は究極的に廃絶を目指して、今度は製造禁止とか保有禁止とかいうことについての合意をどうやって得ていくかということ、米ソの間では核兵器についての話がもう行われて、長い道のりで成果を出したり、あるいは足踏み状態があったりしてずっときておることは知っておりますが、それ以外の国にはそういったものがまだございません。しかも、私も南西アジアを旅行しますときも、例えばパキスタンとかインドでは、核の問題については国際的な査察にきちっと入るべきではないか、不拡散条約の中で核の施設の公開もすべきではないかと、いろんなことを言ってまいりました。そういうようなことを大量破壊兵器についてはやっていかなければならぬ。  通常兵器の方は、これはより難しい問題であって、すべての国々の個別の自衛権、あるいは武器生産能力を持っていない国々の安全保障の問題をどうするかという大きな問題がありますから、どういう表現を皆が認めるのか、まさにそれは国際会議で話されることと思いますが、少なくともきょうまでいろいろ国連等の場で議論がされてきた通常兵器については、野方図な武器移転とか、紛争地帯とわかるところへの移転を禁止するとか、通常の場合でも透明性が確保されるとか、そういうようなことについての全体の合意を得ていくことが必要なものである、ぜひこれは各国が認めてもらいたいことだと、こう思っておるところであります。
  299. 田英夫

    田英夫君 もう釈迦に説法でありますが、武器輸出三原則、これは昭和四十二年に佐藤内閣のときにできたものと思いますし、それをさらに具体的に発展させた政府の統一見解というのは、総理の師匠である三木総理のときに出されております。この二つによって日本の武器輸出三原則といいますか、この問題についての基本姿勢が固まっているわけであります。もっとも武器輸出三原則の一つの柱は共産圏に対してということがありますから、これは現在東西対立、冷戦構造が解消していると言っていい状況の中で、この一項は、ココムはまだ存在しておりますけれども、余り意味のないことになっておりますので、こういう問題を含めて日本の新しい考え方中心にして国連で総理の言われたようなことが決まっていくということはまことに望ましいことだ、ぜひこれは推進をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  もう一つぜひ総理にお考えいただきたい問題は、今のこの湾岸戦争という不幸な事態がありまして、さっき総理が言われたとおり、大きな世界の流れからちょっとそっちへ目をそらされましたけれども、大きな世界の流れというのは、ソ連の国内の問題であるとかいろいろありますけれども、イデオロギーの対立、東西対立、冷戦構造というものが終わっていくということはもう間違いのない事実ですね。そういう中で、一昨年ですか、マルタで米ソ首脳会談があったときに、新聞はいみじくもヤルタからマルタへと、こう書いた。つまり、ヤルタ体制というものが崩壊、終えんしつつある、こう理解していいのではないか。今外務省中心に進めておられる国連における敵国条項の削除ということも、これまさにヤルタ体制、第二次世界大戦の戦勝国、戦敗国という考え方の解消ということに直接なるのだろうと思います。このことを決意をもって推進をしていただきたい。  もちろん日本が、だから戦争の責任をということになってはとんでもないことでありまして、その点は幸いに冒頭の松前議員の質問に対して、まず過去の戦争に対する責任を反省しという言葉が総理の口から出ましたから、これはそのとおりなのでありますけれども、その上に立って、第二次世界大戦の戦勝国対戦敗国というその構造の上に立った国連、これを改めるということも必要じゃないでしょうか。  また、その考え方の上に立ちますと、日米安保条約というものも実はその戦勝国対戦敗国という体制の中でできてきたといってもいいと思います。つまり、サンフランシスコ平和条約と同時に日米安保条約が最初のものは結ばれたわけでありますから、早い話が、日本はきょう議題となっております日米地位協定というようなもの、日米安保条約に伴うそういう形で米軍基地を日本が提供しなければならない。戦敗国でないフィリピンは、米軍基地を提供することによって貸与料をアメリカに支払わせるという違いがそこに出てきて いる。こういう問題にまで関連をしてくるのだと思うのです。  こういうことまで含めて大きく考えていったときに、影響するところは実は大変大きいと思いますよ。しかし、にもかかわらず、このヤルタ体制は終わっていくんだということの中で日本が過去の戦争を反省しつつ何をやるのか、これがこれからの世界に向かっての日本の非常に重要な基本姿勢ではないだろうかと思いますが、総理はいかがですか。
  300. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 表現がちょっと違っておったかもしれませんが、私が今まで申し上げたことは今委員のおっしゃったことと重ねてみますと同じ見方をしておるんだなという気持ちです。というのは、東西の対立、対決が終わって冷戦構造の発想は乗り越えた、欧州では完全に乗り越えてしまった、だからアジア・太平洋地域でもそれは乗り越えたいんだと。それはもう言葉をかえればヤルタ体制が終わったと言って言い過ぎではありませんし、また私も、アジアでまずソ連との間の日本の信頼関係を取り戻すために平和条約を結ぼうということをゴルバチョフ大統領と真剣に一回話してみようと思っておりますことも、あるいはお隣の朝鮮半島の分裂状況の中で、これが平和的に統一し、解決してもらい、半島全体の安定をつくることも日本としてなし得べき大事なことだと思って取り組んでおりますことも、すべてこれは東西対立、東西関係というものは終わったんだ、ヤルタ体制というものは終わったんだという明確な認識に立っての発想でございますので、それはそれとして御理解をいただきたいと思います。  また、アメリカ日本関係は、確かにあのときは戦勝国と敗戦国でありました。けれども、もう今日になりますと、四十五年間日本は、あるときは片隅で自分だけ一生懸命働いて人様には決して迷惑かけないように努力をすべきだということでこつこつと戦後を歩いてきたのですが、今そういったことも幾らこちらが口で言っておってももう世間では目についてしまって、世界の総生産の一五%をたたき出しておる国が何を言っているんだ、もっと協力しろ、もっと提携しろということで、日本アメリカと両国で世界の総生産の四〇%近くを出すということになりますと、これはもう好むと好まざるとにかかわらず、国際社会においても大きな影響力と責任をそれだけ持たなきゃならぬ立場になっておるわけでございます。  したがって、今までのように敵国条項で扱われるということはいかにも残念なことで、このことは外務大臣にも、国連総会できちっと日本代表として演説してくるべきだということで何回もしておりますし、また昨年の即位の礼のときに百五十八カ国と二つの国際機関の代表が来られたとき、私は精力的に六十何カ国と首脳会談をいたしましたが、その中でもいろいろとそういったこと等についてあるいは好意的な発言をしてくださる国の首脳もあったし、私はそういったときに、これは今御指摘のように、あらゆる機会を通じて日本も国際社会の中でそれなりの役割を果たしていかなきゃならぬということになっておるわけでありますから、その問題についても、戦後四十五年というこのときに当たって、また世の中が変わっていくという、また国連が新しい役割を担って秩序の中心にならなきゃならぬというこの時期にぜひ達成させたい目標の一つだと、私も率直にそう思っております。
  301. 田英夫

    田英夫君 最後にもう一つ意見を申し上げておきたいと思うのですが、今総理が言われたようなこと、今まで話が出てきたこと、その上に立って、さあ日本がそれじゃこの新しい世界の中の新しい枠組みをアジアでどうつくっていくのか。これはやはり日本に課せられたこれからの二十一世紀にかけての大変壮大な課題だろうと思います。したがって、失礼ながら一内閣の間にとかあるいは一つの党の考え方でとかというような問題ではなくて、日本民族のあるいは世界の問題になるのでしょう。  そこで、一つ考えられることは、実は今はしなくも総理の言葉の中に出てきたアジア・太平洋というこの発想が非常に大きな意味を持ってくるのではないだろうか。アジア・太平洋というと、もちろん日本中心に我々考えますが、実はアメリカも入るんですね。ソ連も入る、中国も入る、ASEANそしてオーストラリア、ニュージーランドというところ、太平洋の島々。インドが大変注目すべき国だときょうも外務大臣が言われたとおりでありますが、そういうところまで目を広げたアジア・太平洋というところの平和と経済的な発展、民生の安定、こういうことをどう図っていくのかというのが経済大国となった日本のこれから将来へ向けての非常に大きな役割じゃないか。その枠組みをどうつくっていくのか。  もちろん今度の日ソ交渉、平和条約へ結びついていくという状況の中で、それも非常に重要なワンステップじゃないでしょうか。言われたとおり、朝鮮半島が統一へ向かって進んでいくことができるかどうか。ぜひ統一に向かって平和な朝鮮半島をつくるために我々も協力しなければならないということも直結するでしょう。中国という世界の人口の四分の一を抱えるこの大きな国がどう経済的に安定をし発展をするかということ、そのために日本がどういう役割を果たすか、これも重要な問題だろうと思います。そういうところに目を向けた壮大な第一歩をひとつぜひ考えていただきたい。  ちょうど時間が来てしまいましたが、三十秒ぐらいありますから、どうぞお答えを。
  302. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) おっしゃること私はよくわかるわけでありまして、アジア・太平洋というときにはアメリカも入ればソ連も入ればオーストラリアも入るということですが、しかし東西関係の枠組みだけで律し切れない中国の存在があったり、また朝鮮半島をとらえてもカンボジアをとらえても日ソの間をとらえても、まだまだこのアジアの地域にはお互い解決しなきゃならぬ問題がたくさん残っておるという複雑な関係もありますので、一つ一つこれらの国と日本とのかかわりで問題が残っておるところはそれを信頼関係に切りかえていくために相対で努力をする。  同時に、例えば成功し始めております豪州まで含んでのAPECのような組織の中で、そこで緩やかに幅を広げながらアジア・太平洋の経済発展というものも考えながら、お互いに前進していくのが日本としての目指すべき責務ではなかろうか、こう考えております。
  303. 田英夫

    田英夫君 ありがとうございました。終わります。
  304. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 総理、ニューポートビーチにおける日米首脳会談へおいでになるそうでございますが、本当に御苦労さまでございます。  先ほどパールハーバー五十年というお話が出ましたが、実は真珠湾攻撃、あれは鹿児島の錦江湾を真珠湾に見立てて日本の海軍航空隊が練習しておったというふうに言われているんですが、私その当時鹿児島県の警察部の課長をしておりました。さらに、日本の敗戦を決定的にしたのはそれは原子爆弾かもしれませんが、その前の昭和二十年三日十日の東京大空襲、このとき私は警視庁の課長で非常に苦労したわけでございます。そして敗戦、連合軍による占領、そういう占領下におきまして、私はやはり役人として悲喜こもごもの経験をしてまいりました。そういうものを通じまして、実は私、あの戦いに敗れた日本が連合軍の占領をされたのだけれども、実質上アメリカによる占領だと。私は、アメリカによる占領であって日本はよかったなということを本当に今でもそう信じております。  私は、日米両国の良好な関係というものは、あらゆる分野で我が国の外交にとって一番大事なことである、基軸であるといっても差し支えないと思います。そして、その根本というものはやはり日米双方の信頼関係にある。その意味で、日米両首脳の個人的な信頼関係というものも非常に重要な役割を果たしているというふうに思っております。  そこで、総理は一昨年八月、御就任早々訪米さ れまして、ブッシュ大統領との間で大変親しい個人的な関係を築かれた。そして、日米関係を維持強化していくというその重要性を確認するとともに、日米が協力して国際的な問題に取り組むいわゆるグローバルパートナーシップ、これを推進していくということでブッシュ大統領との間で合意をされたと思っております。  自来、総理は、昨年三月のカリフォルニアのパームスプリングスにおける会談、また七月のヒューストン・サミットにおける日米首脳会談、さらに九月にはニューヨークでいわゆる子供サミットといいますか、そこでまたブッシュ大統領と会談をされている。四回にわたって直接お会いして胸襟を開いた会談をされた。さらにまた、たびたび電話会談とかあるいは書簡のやりとりというようなものをやって両首脳間の強固な信頼関係の醸成ということに努めてこられたと思います。私は、そのことにつきましては本当に敬意を払いますし、またそのときどきに良好な結果を得てきたと思っております。ただしかし、今度の御訪米、ブッシュ大統領との首脳会談は、今までとはちょっと違うんじゃないかな、大変難しい、同時にまた大変重要であるというふうに思うわけでございます。  まず、湾岸戦争に対する我が国の対応について米国内に非常に強い不満あるいは日本に対する不信感というようなものがあるというふうに聞いております。日本は金だけ出して人を出さないという批判、これは実は日本国内にもありますね。随分あります。しかし、私はこのことにつきましては、もちろん私も日本国憲法のもとで許される人的貢献というもの、その必要性を否定するものではありませんけれども、日本は九十億ドルの追加支援などをしてできるだけの協力はしてきたと思っております。そして、前々から私は、資金協力、経済協力も立派な貢献であって、金だけ出してというようにみずからを卑下することはないんだというふうに思っておりまして、このことは昨年の九月十九日の外務委員会でも私は述べておるわけでございます。  しかし、そうは言いましても、アメリカの国内には日本の人的貢献というものに対して非常に不満がある。日本は危険なところには人を出さないということへの非難というものが相当に強いように聞いておるわけでございます。さらにまた、貿易摩擦、貿易不均衡、経済摩擦というような問題も、貿易不均衡といってもこれはだんだん減ってはきていると思うんですけれども、しかしこれらに対する不満というものは、むしろ最近この湾岸問題とも絡んでますます大きくなってきているというふうに思います。また、米の問題、これも非常に難しいところにきているんじゃないか。  とにかく難しい問題が山積しておりますので、このままでは何か日本アメリカ双方とも感情的なものに発展していく、感情的なものに進みかねないというような心配がある、私はそれを非常に心配しております。それだけに今度の首脳会談は我が国にとって今までにない大変重要な、我が国のこれからの将来にとって大変重要な首脳会談になると思うわけでございます。  総理は日米間のこの難局を切り開かれることと思いますけれども、どうぞひとつぜひ頑張ってもらいたいんですが、この日米会談に臨むに当たっての総理のお考え、ひとつとっくりと聞かせていただきたいと思います。
  305. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 私は、御指摘のように、日米関係というのは日本外交の基軸である、これを大切にしていかなきゃならぬと考えてきょうまで臨んでまいりました。そして、日米関係になぜそんなにかけるかと言いますと、日米両国で世界の総生産の四割近いものを出しておるということになれば、世界の平和と安定、経済にも大きな影響がございますし、同時に日本の安全とか日本の制度、日本の福祉、そういったようなものについても日本アメリカの間で十分協力してやっていかなければならない非常に大切な関係でありますから、できる限りの努力をしてきたつもりでございます。  ただ、戦後日本経済が力を持ち、そして経済的にだんだん大きくなってきますと、先生も御承知のように、数年前は日本アメリカとの間には貿易のインバランスが一国で五百億ドルを超えるという状況が三年間も続きました。それが日米経済構造協議の発端になったことも御承知のとおりでございます。そのことについて、いわゆる前川レポートを通じて構造改善の努力をし、また最近は内需を中心とする努力をしておりますから、このアメリカとの間の貿易黒字も着実に減少してきておりまして、アメリカ側の統計によっても今は四百十億ドルまで下がってきたという顕著な動きが見られますから、我々としてはSIIで努力したことを着実に守っておりますよ、途中かもしれないがいろいろな法律も約束どおり全部国会に出して着実に減らしておりますということをアメリカに対しては言えると思います。  また、アメリカの方は、SIIのときに日本がいろいろ話をしましたが、これは率直に言って申しわけありませんけれども、そのときアメリカは、財政赤字を減らすという約束あるいは個人貯蓄をもっと増大させるための法的措置をするとか、いろいろな話を構造協議の中でいたしましたけれども、結果としてそれはまだ行われておらないという状況等もありますので、そういったことを今後も感情的にならないで話し合って、日本はこれだけ約束を守って努力もしておる、アメリカの方に頼んだこともこれだけはこうしてほしい、ああしてほしいということをお互いの立場に立って素直に言い合うことの方が両国の信頼関係と重要性を永続させるために大切だと私は基本的に受けとめております。  それで、具体的に今先生の御指摘になった九十億ドルの問題でありますけれども、日本は国際社会の大義を守るという立場政治的には明確に立つべきだと判断しましたから、アメリカの決断や二十八に及ぶ多国籍軍の参加という行動に対して、私はこれに確固たる支持を表明をいたしました。けれども、支持を表明いたしただけでは、やはり国際社会においてはそれぞれの国が、日本よりもいろいろ厳しい状況の国も経済的に問題を抱えておる国も、国際社会の大義のためという理念に立って多国籍軍に参加をして、自分の国の青年男女の犠牲も乗り越えながらなお行かなければならぬという行動に移っておるときに、日本は力でお役に立つことができませんという、そういう政策をとっておる立場をそれらの国々に理解をしてもらうためには、やはり見てわかるような行動をしなきゃならぬ。途中の経過は省きますが、国際社会の平和回復活動に対して我が国のなし得る最大限の協力をしようというので九十億ドルの拠出を決め、皆様にもお願いをし、御協力をいただいたところであります。  こういったことに対してアメリカ国内にいろいろな角度の批判があるということは、新聞報道等で存じております。お金を出すこと、これも一つ日本としてできるだけの姿だと思って出しましたことに対して、いろいろな批判のあったことも事実でございました。けれども、そういう考え方立場を率直に話すことによって理解は得られるものと私は願っておりますし、またブッシュ大統領初めアメリカの行政府の人々は、私に対しても直接それは非常に評価し、日本のなし得る限りの協力をしてくれたことを感謝するということも伝えておりますし、またフィッツウォーター報道官なんかのホワイトハウスの発表ぶりにもそれは出ておると思います。  ですから、そういった日本立場というものを誠実に伝えることによって、できる限りのことを努力したが遅過ぎるという御批判がありましたから、この間のCNNの質問に答えまして、日本は民主主義の国でありますからどうしても法律を通さなきゃなりません、予算もあり余るお金の中から出すわけじゃありませんから、第二次補正予算というものを組んで国会の御審議をお願いしました、増税を意味する法律も、国民皆さんの理解を得るために法案を通さなきゃならぬということがあって国会審議を精いっぱい努力をしてやったところでありますから、遅過ぎるということも日 本のその間の努力をどうぞ認めてください、これは民主主義の一つの国家としてのやむを得ない措置でございましたということもきちっと言っておきました。  こういった立場を率直に申し上げて理解を得てきたい、こう考えております。
  306. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 ぜひよろしくお願いします。  また自分のことを申し上げて恐縮なんですが、安保条約について申し上げますけれども、昭和二十六年九月八日、一九五一年ですね、サンフランシスコのオペラハウスで日本の全権代表として吉田茂総理が連合国と日本国との平和条約の調印に当たったわけでございます。そして、その後に日米安全保障条約締結された。そのとき私は実はガリオア・ファンドでアメリカの警察視察を命ぜられてニューヨークにおりまして、テレビでその情景を見ていました。それから九年後、昭和三十五年、一九六〇年、この安保条約は岸総理とアイゼンハワー大統領との間で改正が合意されまして、そして名前もそれまでの安全保障条約から、今言われている日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約というふうに変わったわけですが、そのときいわゆる六〇年安保騒動という大変な騒動がありまして、私は警視庁の警務部長として毎日この周辺であの大デモの中いろいろやったわけです。  だから、安保条約について私は大変な感慨を持っているわけでございますけれども、とにかく私は、この日米安保条約というものは本当に日本の平和と繁栄の根本になっているものであるというふうに確信をいたしておるわけでございます。そういうような意味におきまして、ぜひこの安保条約というものに対して、日本はいろんな面でもってこれが今後もいい意味で続いていくように協力をしなければならないというふうに思っているわけでございます。  そこで、非常に大事なことは、これからも日本の平和と繁栄のために大事なことであると同時に、やっぱり日本は平和国家を通していかなくてはならぬと思っていますが、そういう意味では日本が軍事大国になっちゃいけないんだと、そういうふうに確信しているんです。その意味で、この日米安保条約があるということがそういうようなものに対して非常にいい働きをしているというふうに私は思います。同時にまた、アジアの諸国も、感じ方はいろいろ国によって違うかもしれませんが、日米安保条約があるということで日本が軍事大国にならないんだという、そういう保障になっているというふうに感じている国も私は相当あるんじゃないかなというようなふうに思うわけでございます。  時間がございませんから、御答弁の時間もなくなるといけませんのでもうこれ以上申しませんが、とにかくそういうような意味で、個々にはいろいろと意見もあろうかと思いますけれども、根本として、基本として日米安保条約というものは日本にとって非常に重要なものである。ですから、今度のいわゆる駐留米軍への負担増というような問題もこれは私は当然のことであると同時に、むしろ積極的に考えなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思っておりますが、それらにつきましての総理のお考えをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  307. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 安保条約が改定されましたときに、警務部長としてこの辺のことに気をお使いになったというお話をただいま聞きました。ちょうどそのとき私は国会議員になる直前でありまして、早稲田大学の大学院の学生であると同時に郷土の河野代議士の秘書ということで、この国会の周辺も見て、あの安保条約の改定というものには随分刺激と教訓を受けたものでございます。  一言で言うと、あれによって安全保障条約相互協力及び安全保障となったわけでありますし、また安定と平和のために、また経済協力の一層の前進のためにいろいろなことが書き加えられてまいりました。私は、そういった意味で、平和とそして民主主義と自由という、今世界の普遍的な価値になりつつあるこの大原則をあのとき日米安保条約の改定によって日本はみずからの進路としてしっかりと選択をしたんだということは、これは正しい選択だったと確信をいたしております。そして、そのもとで現実にきょうまで平和が守られた、それによって日本国民生活の質を高めるための経済的な繁栄もすることができた、こう率直に受けとめております。今後も堅持していきたいと考えております。
  308. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 ありがとうございました。終わります。
  309. 黒柳明

    ○黒柳明君 ゴルバチョフ大統領訪日に当たりまして、関係者からシベリア抑留問題で大統領遺憾の意を表せ、謝罪すべきだという強い意見がありますが、総理、この意見に同意いたしますか。
  310. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) これは率直に申し上げて、すべきだとかすべきでないということを私から言うのはいかがかと存じますが、ゴルバチョフ大統領自身がそういったことを対外的に既にわかるように表明されたという報道にも接しました。あのとき受けました率直な印象は、あの抑留事件とかあるいは四十五年前のソ連のあの歴史上のやり方についてはいろいろな問題があり、私にも考えはありますけれども、それをあのような形で意思表明するということをゴルバチョフ大統領が決められたということは、過去の歴史のわだかまりを解く上においては注目に値することだと、私はそのように受けとめております。
  311. 黒柳明

    ○黒柳明君 三党合意のPKOの問題ですが、総理は本会議、予算委員会で早期成立と。なかなかこの内容が、結果が出ないんです。また、七日の統一選前半が終わりますと話し合いが行われると思います。  いろんな問題、各党意見の食い違いがありますが、一点だけ、新組織の中に予備自衛官を入れる、総理はこれについて同意するかしないか、いかがですか。
  312. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) これは、その点だけに限って具体的にイエスかノーかを言えと言われますと、政府立場としては、あの三党合意を踏まえてこのような成案をつくりたいと思っておりますと。ただ、三党合意の読み方によっていろいろ問題点がございます、その問題点のところを政府側としてはこのことは問題だと思っておりますということをつけ加えて党の方にお出しをしてあるわけでございますから、三党間でその問題等も踏まえて率直にお話し合いをいただきたい、こう思っております。
  313. 黒柳明

    ○黒柳明君 率直に話し合う機会が若干延びているんですけれども、ただ御案内のように、我が党は予備自衛官は反対である。民社党さんもそのような意見委員長が出していると新聞報道で聞きます。  問題は総理総裁の党の中の問題でして、これはいろんな意見報道されておりますが、せっかくここまで来たものが、あるいは社会党さんまでも含めての新しいものをと、こういう雰囲気もなきにしもあらずなんですが、その一点がまとまりませんとせっかくの入り口からもう話し合いもできない。これに対して当然総理総裁として今まで以上に、今までとった主導権あるいはリーダーシップ以上にリーダーシップを発揮しないと、とかく寄り合い世帯というのはいろんな思惑、意見の相違があってまとまるものもまとまらない、こういう可能性もあります。  各党の推移をと、これも私もうなずけないことはないんですが、ぜひこの点につきましては、むしろ各党のというよりも自民党内の問題です。そこらあたりの意見を調節しませんと、話し合う機会もできないでまた十一月から半年たっちゃう。またこれが推移する。こういう可能性があるので、ぜひ党内のリーダーシップをとっていただいて、予備自衛官を入れる入れない、これは我が党あるいは民社党さんがどう言おうと、最終的には自民党に主体性があるんですから、これについてまとまらなきゃしようがないですけれども、こういう問題について、今言いましたように、七日が終わるとすぐ各党の俎上に上るわけですから、ぜひ総 理総裁として党内をまとめる、このリーダーシップをとってもらって結論を出していただかないと三党の話し合いのきっかけもできない、こう思いますが、いかがですか。
  314. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 政府としては、昨年提出しました平和協力法案の審議の経緯を踏まえて、三党合意というものを念頭に置きながら、この枠組みがなければこれはどんな考え方も認められないわけでありますから、認めていただくような枠組みづくりをするという点を大切に考えますし、また、お話にありました他党のことを申し上げるのはいかがかと思いますが、社会党さんがお出しになった国連平和協力機構というものもよく拝見いたしますと、重ね絵のように合わせれば重なるところがかなりあるわけであります。  だから、そういった問題については、まず三党合意に対する政府考え方をもう既に政府ではつくって示してあるわけでありますけれども、これは国権の最高機関である国会の審議と理解を得なければ通らぬわけでありますから、そこのところのお話は三党間のお話し合いにゆだねてあるわけでありまして、党内の考え方はきちっと今調整をいたしておるところでございます。
  315. 黒柳明

    ○黒柳明君 同じく都知事選ですけれども、どうも我が党は旗色が悪い。何かきのう、おとといもダブルスコアでうまくない。自民党の有力者から、小沢幹事長の責任は敗北しても問わないと、スタート早々敗北論が出てきたのですが、あと五日ですね。  総理総裁として、万が一の場合、幹事長の責任問題は考えていないと、こういうことでしょうか。
  316. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) これは自由民主党の党内問題でございますから、自民党総裁としてのこの御答弁はいかがかと思います。  今は全力を挙げて三党で推薦していただいた候補者の当選のために私も時間のある限り先頭に立っておりますし、党の幹部も皆その決意で頑張っております。
  317. 黒柳明

    ○黒柳明君 全力という言葉は非常にきれいごとなんですけれども、新聞世論調査を見ると、自民党の過半数どこかに行っちゃっているんじゃないですか。我が党の大多数は行くべきところに行っているんじゃないですか。そういう言葉だけじゃやっぱり選挙は勝てませんな。長年選挙をやって、後輩の私がそんなことで毒づくのは失礼かと思いますけれども、全力といってもやっぱり実は票に出さなきゃだめでしょう、票に。ところがどうも票に出ていない。あと五日間で全力ということを、失礼ですけれども、あしたからアメリカに行っちゃうので、アメリカで全力といったってこれはどうしようもないわけですよ。  ひとつ責任問題、今から論ずるべきではない、そう思いますよ。思いますけれども、総理の周辺じゃ何かスタートから敗北論なんか言いながら、責任問題は回避した方がいいと、こうおっしゃっているわけだ。当然そういうことは言うべきじゃないとは思いつつも、どこまで自民党が全力を挙げているのか、本部が全力を挙げているのか、全く私たち疑問を持たざるを得ないものですから。ひとつあと五日、全力を挙げていると、票にそれを結びつけて実を出していただかないと、もう勝敗というものは決定的みたいな、マスコミの皆さんによるとそう思います。  今の考えと逆になりましたけれども、総裁として今ここで言うのはいかがなものかと、こういうきれいごとじゃ済みませんよと私はさらに念を押しておきたい、こう思うんですが、どうですか。
  318. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 今回のことにつきましても、私どもはできる限りのことはしようと。  ただ、選挙中なぜアメリカへ行くのかという御批判もありましたけれども、向こうに一日も早くいろいろな問題について話し合う必要があるといったときに、太平洋岸まで出てきてこの時間ならばあいておるというオファーがありましたから、それはこたえていく。ただし、行ってもトンボ返りで帰ってきて、また最終日は必ず宣伝車に乗って街頭に立ちますから、そうやってできる限りのことをいたしますし、それまでの間も党へ帰って自民党の方の関係者に強くこれは伝えますが、どうぞ有力な先生もよろしく最後まで御理解とお力添えいただきますようにお願い申し上げておきます。
  319. 黒柳明

    ○黒柳明君 私、選挙中にアメリカへ行っちゃいけないと言っているんじゃないんです。アメリカへ行くことは大いに我が公明党の十倍もサポートですよ。ただ、その実を上げていただかないとという、やっぱりどうもじくじたるものがあります。  そこで、政治改革ですけれども、けさの新聞にも出ておりましたが、どうですかね、物理的に言いまして政治改革、なかんずく選挙改革、衆議院の問題ですけれども、自民党の中でもこれまた異論があって、会期は若干延ばすといっても、この会期内では地価税の問題がありますから、どうもこれは成案にも届かないのじゃないか。そうすると、臨時国会がいつになるか、任期は十月と。そうなると、総理が主張しておりました政治改革が全くできないで終わっちゃうのかなという非常に懸念もあります。衆議院のあの小選挙区並立制、私ども反対ですけれども、そのほかに実行しなきゃならない政治改革もまだあるわけですし、それについて、湾岸問題もあるとはいえ先送り先送り、これまた与党自民党の中の意見がまとまらないでなかなか成案が得られない、こういう状態ですね。  果たして総理、終始政治改革をと、こう政治命題として取り上げてきたのがどうも何だか中途半端に終わりそう。任期中にそんなことがないんだと、こういうかたい決意を今もってお持ちですか。
  320. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 政治改革の問題につきましては、当初党が厳しい反省に立ってつくりました政治改革大綱に従って、ひとつ政治とお金との関係で候補者が選挙に関して使うお金を公明にするという点は、既に去年公職選挙法の一部改正法律案をお出ししてそれは成立させていただいております。そこをスタートといたしまして、選挙制度審議会から答申を得たものをいろいろ今党に諮っております。  党の中にいろいろあるとおっしゃいますが、昨年の十二月の二十八日に党は党議決定をして答申をもらいました。そして、その決定に従って今各党は、たしか衆議院の選挙制度特別委員会でいろいろテーマごとの議論も重ねておっていただきますし、また党の方にも四月の終わりごろまでをめどにして党としての大きな姿かたちをまとめ上げてほしいということを、私からついこの間も党の幹部には要請をいたしました。  その方向で進んでおるわけでありまして、どういうことがあっても政党本位の、政策本位の選挙の体制をつくっていきたい。むしろお金と選挙との関係というものについてもう少し国民皆さんの前で明らかにして、政治倫理というものをきちっと守り抜いていけるようにしたいというこの基本に立っての行動でありますから、私はぜひこれはやり抜かせていただきたい、こう考えております。
  321. 黒柳明

    ○黒柳明君 あと一分四十八秒。  訪米のことですけれども、今もさんざんいろいろ各党から話がありました。お米の問題、おとといですか、宮澤元副総理も非常に柔軟な考え方、食糧安全保障さえ確保されれば部分開放もと言わなくても、非常にそれに近いことを発言しました。小沢幹事長も国際協調をと、これも何をにらんでいるかわかりません。必ずしも全然開放しないということでもないみたいな示唆をしました。総理は、おとといですか、農林大臣ともう絶対この開放はないんだと、こう確約したと報道されました。あしたからの訪米で、もしかするとこの幕張の二十キロの米が総理を、日本をつぶしちゃうかわかりません。  こういう状態において、相変わらず総理はかたくなな姿勢で米は部分開放はしないんだと、こう発言なのか。すべて私はウルグアイ・ラウンドにその結論を持ち越すと若干柔軟な発言でもしてお かないと、行政府認識していても、やっぱり議会あるいはアメリカ国民が湾岸問題でかさにかかってさらに経済もと、こういうことなわけですから、非常に失礼ですけれども、総理のこの訪米の一言が特に大切、しかもそれは米に絡んでと、こういうことも外務大臣いらっしゃったときも明らかに出ているわけですから、ひとつ米の問題、相も変わらず同じようにかたくなに拒否する、こういうことで終始するのでしょうか。
  322. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 今度は米のことで首脳会談に臨むわけではございませんが、はっきり言いますと、ガット・ウルグアイ・ラウンドの場所ではいろいろ努力をしましたが、アメリカもそしてEC諸国も日本もそれぞれ非常に難しい問題を抱えております。そのために前進がなかったという結果になっておりますが、私は、日本はガット・ウルグアイ・ラウンドの成功を目指して、そしてそれぞれアメリカアメリカECEC日本日本の持っておる原則的な立場を十分に説明し合いながら、共通の認識を得ることができるような努力をしていくべきだと。それは各省にも言ってあることでございます。  ただ日本は、御承知のように、食糧の純輸入国でございます。アメリカの農産物のどうでしょう、二〇%近くを輸入しておる。八十二億ドルということになりますとこれは相当な輸入でありますし、また日本はカロリー自給率もまた一%下がって四八%になっておる。そういうところでは基礎的食糧に対する考え方、食糧の安全保障という問題についても、これはやっぱりどうしても譲れない、認めてもらわなきゃならぬ原則もあるわけでございます。  そういったことを踏まえて、ガット・ウルグアイ・ラウンドの場で共通の認識を得るように大いに努力をしていくつもりでございます。     ─────────────
  323. 岡野裕

    委員長岡野裕君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、久世公堯君委員を辞任され、その補欠として田村秀昭君が選任されました。     ─────────────
  324. 立木洋

    ○立木洋君 きょうは地位協定に関する特別措置協定をここで審議してきたのですが、それに関連して日米安保条約の問題についてちょっとお尋ねしておきたいと思います。  もちろん私たちは安保条約に反対ですが、政府が確認されている安保条約によっても、在日米軍の問題については、これは日本の平和と極東の国際的平和と安全のために日本施設区域を提供している、こういうことになっているわけですね。ところが、現実に日本におる米軍の活動というのは世界的な規模に広がっている。これは去年の四月、アメリカの国防総省の報告によりましても、この日本における米軍の戦略的な位置づけの問題について述べられている内容から見てみましても、結局日本における米軍、これは地域と世界的な任務を遂行する旨の内容が示されているわけです。ですから、これは日米安保条約の見地から見ても、その運用が事実上拡大されて世界的な規模にまで広がっていると言わざるを得ない状況がある。  もう一つは、きょうも議論した地位協定に関する特別協定では、地位協定の二十四条で明確に負担分担というのは決められているわけですが、これが現実にこれまでの経過の中でどんどんどんどん拡大して増加されてきた。これもやっぱり地位協定の内容から見るならば逸脱した事態というものが今日のアメリカの強い要求のもとで拡大してきたという結果になっているのではないかと思うんです。  こういうアメリカの戦略的な要求を受け入れた結果がこういう状況で出ているわけですが、こういう事実上の日米安保の運用が拡大されている、あるいは地位協定の二十四条で決められた負担分担の内容も、実質的にはそれに反して拡大されてきているというふうな状況をお知りになった上でこの地位協定特別協定を今回結ぶという決断をなされたのか。そのあたりはいかに考えておられてこの決断をなされたのか。この安保条約の実態との関連について認識をお聞かせいただきたいと思います。
  325. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 日米安全保障条約というのは、繰り返すようですが、日本アメリカにとっての相互依存関係をもきちっと踏まえた大切な条約であると思っておりますし、また日米安保条約のもとで日本の平和が現実にきょうまで守り通してこられた。そういうことでありますし、またこれは日本のみならず、日本と極東地域の平和を守っていく枠組みとしてきょうまでも動いてきたわけであります。  だから私は、そういったときには日本立場で、しかもこれは私の記憶に誤りなければ、バンデンバーグ決議の唯一の例外の二国間条約だというふうに理解をしておりますが、そういう現実の中でまた日本は今日これだけの地位を得て、国民生活もこれだけ豊かになり、社会の諸制度もこの条約に書いてあるように向上、発展させることができるその大きな背景の一つであったわけでありますから、やはりできる限りの協力はしてもいいではないかという考えが大きくございます。  そして、二十四条というものは、それは原則は原則であります。けれども、今回特にここでお願い申し上げました特別協定というのは、五年間という期限も区切り、これという特例も区切って行うものでございますから、原則は原則としてきちっと踏まえた上で特別の措置として特別協定をお願いしている。あくまでこれは安保条約の円滑な運用を確保していくために必要なものであると、こう考えたわけでございます。
  326. 立木洋

    ○立木洋君 結局、総理のお話によれば、政府がこれまで確認してきた内容に反してでもアメリカの要求があればそれを実行していくという態度だというふうにも確認させていただいて、アメリカに行く点については次の二つの点だけ。  一つは今の米の問題ですが、これは非常に大切な問題だと思うので、米の問題についての自由化はできないんだということをやっぱりはっきり述べてきていただきたい。それからもう一つの点は、先般も言いましたけれども、軍事大国になったイラクの状態もあるわけですから、ああいうふうな形になるような武器の輸出ということはやっぱりやるべきではない。  この二つをはっきり申し述べてきていただきたいということについて御答弁をいただきたいと思います。
  327. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 日米安全保障条約については、いろいろな取り決めをきちっと守りながら円滑な運営をしていかなきゃならぬと、これは大前提として踏まえておりますし、またお米の問題については、先ほど申し上げましたように、きょうまでガット・ウルグアイ・ラウンドで原則に従って主張してきたことをさらに主張をしながら各国と共通の認識が得られるように努力をしろと、こう言って指示をいたしますし、また最後の御質問については、五月の京都の国際会議にできれば私も出ていって、日本のそういった物の考え方、イニシアチブをとって話をしていきたい、こう考えております。
  328. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 総理、あしたから御苦労さんでございます。  アメリカ政府ないしはブッシュ大統領に対してこれとこれとこれを議題とするという話し合いのテーマは、もう既に事前に相談をされているわけですか。
  329. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 特にこれとこれといって話し合いのテーマを決めておりませんけれども、やはり二国間関係の問題が当然出てくると思います。SIIのフォローの問題も、今まさに会議が行われておる問題もございますから、二国間関係経済問題、構進協議の後始末、そういったようなことについては日本側の努力をきちっと話したいと思います。  それから、湾岸関連の問題についても、先ほど来御議論になっておりましたように、日本のなし たことについて、また今後の日本がやろうとしておる問題について、これは率直に話して理解を求めておこうと思います。  そして三番目には、アジア・太平洋地域の平和と安定の問題がここでも御議論になりましたが、特に日ソ関係、朝鮮半島との関係、日朝の国交回復の問題、そういったようなことについても私の方から日本の自主的な考え方というものを話して相互理解を深めてこようと、こう思っております。
  330. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ゴルバチョフ大統領がお見えになるわけでございますが、ブッシュ大統領と北方領土の問題について、ゴルバチョフさんとはこれこれこういう問題についてこの方向で話をしたいと思っているが、大統領の御意見はいかがでございますかとお尋ねになるお気持ちはございますか。
  331. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) そういう聞き方をするとは考えておりませんし、その必要もないと思っております。  といいますのは、北方領土問題につきましては私は前回のサミットで、特にアジア情勢を踏まえて、日本ソ連との間に残っておる領土問題は東西関係のたった一つの残滓である、これの解決ということはサミット諸国としては日本立場を肯定的に支持してほしいということも説明をし、そのとき参加国全部でもう支持をしてもらっておるわけでありますし、日本外交でありますから、そういったことについてまで触れなくても、大原則としてこの問題を片づけてソ連との間の真の友好、安定関係をつくりたいと願っておる気持ちは、サミットのとき以来関係国が皆知っておってくれる問題だと思っております。
  332. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうしますと、重ねてお尋ねいたしますが、ブッシュ大統領との話し合いの中では、少なくともソ連ゴルバチョフ大統領との話し合いの中で領土問題について言及するということをアメリカの大統領とはお話し合いになる意思はないわけですね。
  333. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) そうではなくて、領土問題についてはアメリカ支持立場をもうサミットのときにも表明しておってくれますし、またアメリカのみならず、この間メージャー首相も、ゴルバチョフ大統領と会ったときは、日本北方領土の問題に強い関心があるが、イギリスもこのことについては早く解決した方がいいと思っておるんだという、関心を持っておるということを伝えておいたよとわざわざ連絡をしてくれるほどでありますから、もう一々その返してもらう必要性からさかのぼって説明する必要はないと思いますし、そのことで今さら意見の一致をする必要もない、私はそう考えております。
  334. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 中曽根さんはロン・ヤスでしたね。それから竹下前総理はノボル・ロンでしたかジョージでしたかね。それから総理はトシキ・ジョージと、こういう間柄ということでひとつ積極的に十分話し合いをしていただきたいと思いますが、どうも私の印象では、例えばゴルフに例えますと、相当やっぱりアメリカがクローズドスタンスになっていまして、相撲で言えば差し込まれている。だからイコールバランスで、真に日米パートナーシップと言うならば、クローズドスタンスでもオープンスタンスでもなくてイコールバランスに立って、仲のいい二つの国が相手に言いにくいことも言う、どんどん忠告もお互いにする、そういう姿勢が大事だと思います。  私は、これまでの経過を見ておりますと、海部総理が少しアメリカ側から差し込まれているような印象がないでもないんですが、その点についての御感想はございますか。
  335. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 感想を言えということでございますが、例えばSIIの問題のときも、大きくくくってアメリカから日本が注文、要求を受けたこと六項目、日本からアメリカに対して大きくくくって七項目要請がしてあります。そして、これはやってくれなければならないと、特に財政赤字の解消の問題、貿易赤字の解消の問題、貯蓄奨励の問題、これについては具体的なことも随分言いました。  最初にちょっと触れたように、まだそれの法律的な措置アメリカでとられなかったということについては、日本は法律的な提案まで全部今やりながら進めておりますから、そのことも申し上げたいと思っておりますし、またクエール副大統領に会ったときも、輸出競争力強化委員会をアメリカも自分がキャップになってつくって努力をするんだというようなこともございました。それの成果を見せてほしいというんですけれども、あしたも商務長官以下アメリカにそういう輸出促進に対してメンバーになっておる企業の代表がいらっしゃるようですから、私もお目にかかって言うべきことはきちっと申し上げようと思っております。  そういったわけでありますから、どうかひとつ先入観をとって御理解と応援をしていただきたいと思います。
  336. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 最後に一つだけ、これはお願いでございますが、この間日本の有識者が、アメリカのワシントン・ポストだったと思いますが、意見広告を出しました。それについてアメリカの世論はいろんな反響があったそうでございますが、その反響の多くに、日本が憲法九条という規定を有する立派な憲法を持っていることを知らなかった、交戦権は放棄する、軍隊は持たない、こういう規定があることを知らなかったというアメリカの市民の皆さんの反響があったということでありますから、先ほど田委員もおっしゃいましたけれども、せっかくの機会でありますから、アメリカへいらっしゃいましたら、我が国にはこういう憲法があります、憲法九条の規定はかくのごときでありますということで、ひとつ総理からアメリカ国民皆さんに大いに裨益するところがあってしかるべしと、こう思いますので、そのことをもし機会がありましたらぜひ言っていただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。
  337. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御質問の御趣旨は踏まえて、機会があったときには言いたいと思います。きょうまでもそれは言ってきたつもりでございます。
  338. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ありがとうございました。
  339. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 都知事選の問題は触れるつもりなかったんですが、先ほど黒柳先生から話が出まして、私が二十七億もの金をもらったということで、自民党からそういう金が出たという話になっておりますが、そんな根も葉もないうわさが飛び交って大変私を支持した若い人たちの夢を壊したということで、私も非常に残念に思っております。そういうことで、そういう予算が出たんでしょうか、ちょっとお聞きします。
  340. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) そのようなことはうわさにすぎないものであって、いわんや今予算を組んだかと言われても、総裁としてはそのような予算は決裁いたしておりませんし、また自由民主党はそのような失礼なことをするような政党ではないと確信しておりますので、どうかそのお話はこの場限りでお忘れをいただきたいと思います。
  341. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 そのような話が飛び交うこと自体が国会のやはり不信というんでしょうか、我々は本当に襟を正して頑張っていきたいと思います。  そして、日米関係に関して質問をしようと思ったんですが、もう既に出尽くしたというか、総理のお言葉の中にも日米関係の基軸というのは大事であるということも言われております。ただ一つ、先ほど外務大臣の発言の中の米問題、これはアメリカの国家の利益のために日本に要求してきているという発言がありましたが、例えば日本の国益というのは何なのでしょうか。日本の国益です。
  342. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) これは質問の御趣旨に正確に沿っておるかどうかはわかりませんが、私に言わしむれば、国家は平和であり、国民生活が安定、向上すること。そうすると。平和であるためにはいろいろな条件がまたそこから重なってきますから、一言で言うとこの二つであると私は思います。
  343. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 先ほどから、日本が一生懸命やっていると。私も世界を回っていて、本当に日本というのは一生懸命やっているのに何で評価されな いかという部分で、一部言われている宣伝下手というか、例えば米問題にしても、もっともっとアメリカの中で日本の米というものの何千年もの歴史とか、そういう文化を含めて国民と切り離せない、単なるアメリカの米の置かれている問題とは全然違うんだというようなことを国民に訴える。今までに訴えたような形跡かないと思うんですが、これから一番大事なことは、日本をどれだけ知っているかというのは、我々が知っているつもりでいても向こうはまだ全然知らない部分というものがあるんですね。その宣伝をもっともっと大いにやるべきじゃないか、私はそれが国益につながるんではないかと思うんです。  大変時間がありませんが、もう一つ、やはり今回の湾岸戦争の後に一番心配された環境汚染ということが事実になってしまいまして、一つは炎上している油田、それからもう一つは流出した油ですね。これはいろんな処理を今私どもも研究して考えておりますが、また御相談申し上げたいと思います。  もう一つは、一番ペルシャ湾を航行する船が心配をするのはやっぱり機雷ですね。それがつないであったものがどんどん流れ出したとかというような情報も得ておりますか、例えば、もの戦争も終わったわけですから、日本が掃海艇を、朝鮮戦争のときには掃海艇を出したという話を聞いておりますが、これについてはどうでしょうか。思い切った貢献というのはできるんじゃないでしょう
  344. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 日本としては、なすべき湾岸危機後の対応策についていろいろ手を打っておりまして、ただいま明確にわかっておることをまず調査をしろというので、原油の回収作業の専門家を緊急援助隊として派遣をしてその作業に入っておりますし、御指摘のように、油井の炎上という問題については、これはあの上空を調査して、それがどのような形で人間の健康面に対して影響を及ぼすか、深刻なテーマでありますから、それに対する調査団を派遣をして、それに対する対応等も考えておるところであります。  また、機雷の問題については、現状がどのようになっておるのか、そしてそれに対してどのようなことが必要なのか、どのようなことが可能なのかというような問題等を含めて今正確な情報を収集し、調査をし、それに対しては慎重に対応していきましょうという状況になっております。
  345. 猪木寛至

    ○猪木寛至君 もう時間がないようですから、とにかくお元気で行ってこられてください。
  346. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) ありがとうございます。
  347. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  総理、大変御苦労さまでございました。御退席をいただいて結構でございます。御健勝で行っていらっしゃいますように。  他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  348. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  349. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、日米安保条約に基づく日米地位協定第二十四条による在日米軍駐留経費特別協定に対して反対の討論を行うものであります。  米ソ両超大国による東西冷戦の終結を見た現在、国際関係は多極化の方向に向かいつつあります。ところが、日本政府外交方針は、ソ連脅威論のもとで培われてきました日米安保体制を今後も外交政策の基調に置いております。さらに加えて、湾岸危機、湾岸戦争の中で在日米軍日本から事前協議をもせずに出動したことを政府は黙認することで、ブッシュ米大統領の唱える「新世界秩序」の中に日米安保体制を組み入れたのであります。これにより、日本アメリカに対する軍事的な貢献はますます増大したと言わねばなりません。  このような状況のもとで在日米軍駐留経費特別協定締結することは、さらなる軍事的、経済的な負担を日本アメリカから引き受けることになります。  私は、このような見方から、以下の理由で今回の特別協定締結に反対するものであります。  第一に、本特別協定は、政府自身がこれまで国会で答弁していた枠を踏み外しており、地位協定第二十四条の範囲を超えており、事実上、実質的な地位協定の改定になっていることであります。  第二に、今回の改定理由として日米安保体制の円滑な運用を政府は挙げておりますが、米政府の財政赤字により削減される国防費を本特別協定により、日本が肩がわりするものであります。したがって、本特別協定は集団自衛権を禁じた憲法に抵触するものであります。  第三は、米軍とその家族の光熱水費まで国民の税金から負担することは、国民感情から見て屈辱的であり、許せないことであります。  第四は、政府は、本特別協定の有効期間中の日本側の負担となる積算根拠についての数値を示されず、在日米軍の経費負担の負担項目とその負担経費が政府の裁量によって決定されていること、また何ら今後の歯どめがなく、国民の負担の増大が十分に予想され、賛成できません。  私は、アジア・太平洋地域の安定した平和な諸国家間の国際関係の維持を望むものですが、政府外交が余りにもアメリカ一国を中心としたものに偏っていることに深い危惧の念を持つものです。アメリカECに次ぐ世界第三位の経済力を持つようになった日本が本特別協定アメリカと結ぶことによって、バックス・アメリカーナは、より一層強化されるものとなります。  このような力の偏在に寄与することになる特別協定は、アジアの緊張緩和やソ連との関係改善を進めようとしている今日、決して冷戦後の世界、とりわけアジアにふさわしい日米関係のあり方とは考えられません。逆に、国際的平和を乱す要因を生み出すものと懸念しております。  また、このような日本外交の基軸とも言うべき問題をたった一日で採決するというこの審議日程のあり方に異議を表明して、反対討論を終わります。
  350. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております在日米軍駐留経費特別協定につきまして賛成の討論を行うものであります。  世界が東西対立から対話と協調に向けて歩み始めたとはいえ、先般の湾岸戦争に見られるように、国際情勢はまだまだ不透明、不安定な状況にあります。このような状況のもとで、我が国の平和と安全及び極東の安定に果たす日米安全保障条約の意義は、引き続き重要であることに変わりありません。  申すまでもなく、我が国は戦後一貫して日米関係外交の基軸に据えてまいりました。  今日、我が国が平和裏に経済大国として繁栄を享受しているのは、ひとえに平和憲法と日米安保体制のもとで、防衛力の整備を節度あるものにとどめ、経済発展に専念することが可能であったからであります。  米国は現在、膨大な財政赤字を抱え、国防費の逼迫に直面しております。それにもかかわらず、米国はグローバルな平和と安定のために大きな貢献を行っており、在日米軍はその一翼を担っているのであります。  我が国が米国のこのような諸事情と我が国みずからの国力を認識したとき、米国に応分の協力を行うのは当然のことであります。  我が国がこの特別協定締結することによって、在日米軍駐留経費のより一層の負担を図ることは、日米安保体制の効果的運用を確保し、その信頼性を高めるものであり、まことに時宜を得た措置と申せましょう。私は、今回の措置により、世界で最も重要な二国間関係一つである日米関係のきずながいよいよ確固不動のものとなることを確信いたします。  現在、国際社会が我が国に寄せる期待の高まり は大きなものがあります。このような期待にこたえ、我が国は、自国の平和と繁栄のみに専念するだけでなく、アジア・太平洋地域、ひいては世界の平和と繁栄のために積極的な貢献を果たさなければなりません。そのためにも、日米の友好信頼関係の基盤をなす安保体制をますます盤石なものとすることが極めて重要であることを改めて強調し、私の賛成討論を終わります。
  351. 立木洋

    ○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、この新たな特別措置協定に対する反対討論を行います。  第一に、本協定は、日本にある米軍の駐留経費を定めた日米地位協定二十四条の規定を一層改悪して、日本側負担の拡大を進めるものであります。本協定日本側が全額負担とされる労務費、在日米軍の水光熱費などは、本来米側が負担すべき米軍の維持的経費であり、日本側が負担する義務のないものであります。しかも、立法上重大なのは、日本の負担分担の割合が五割以上もの大幅な負担に至った場合、地位協定二十四条を実質的に逆転するものであることから、特例として本協定で処理し得るかという重大な疑義があります。  第二は、日本側の負担分担の拡大が特例として限定的なものとされていたにもかかわらず、一九八七年以来、日本側の負担分担が無限定に等しく拡大を続けている従属的な対応についてであります。  チェイニー米国防長官自身、「最終的には、円建て経費を一〇〇%日本が支払ってほしいと考えている」との要求を考えるなら、今後も日本側が負担を拡大しないという何らの保証もないのであります。今回の湾岸戦争でも明らかなように、在日米軍の艦船、海兵隊、航空機などが出動しており、今日、在日米軍行動アメリカ世界的任務の遂行にまで拡大され、政府間で確認した安保条約に定められた極東の範囲をも逸脱したものであります。  米側の強要によるこのような負担分担を追随的に受け入れている重大さを指摘して、反対討論を終わります。
  352. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  353. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  354. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  355. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十五分散会