○堂本暁子君 ぜひそうしていただきたいと思います。
それで、バーネット・レポートは世銀の方でも十分に研究しているようで、
大臣と同じような見解でのことだと思いますが、
世界銀行が最近出した
方針というのは、年に一億ドル無償でパプアニューギニア
政府にこそ援助をすべきである。さもないと、財政的に苦しいものですからまた伐採を続けてしまうという悪循環で
熱帯林がどんどん切られてしまう。それを切らせないためにはまず財政、一億ドルをパプアニューギニア
政府に援助するということを世銀が
提案しております。
こういうことをやはり
日本が、行政能力とおっしゃいましたけれども、まさにまだ生まれたての
赤ちゃんのように政治的にも未成熟だという言い方を私もさせていただきましたが、そういったところに非常に力のある多国籍企業が入っていくとこういう事態が起こる。やはりもっと抜本的に、その国が豊かにその国らしく、そしてそこに住んでいる人たちがその人たちの伝統的な生活を続けられるような、まさにサステイナブルデベロプメントという、そういうことを言葉で言うのではなくて、
日本国として実行していただきたい。そのためにはやはりバーネット・レポートをぜひ研究していただきたいということが一つです。
それから、実はきょう
参考人としてお出いただけたらと思いまして、
アメリカの国会にお出になってその帰りに今傍聴席にバーネットさんいらして、きょうは傍聴してくだすっておられるわけでございます。ぜひお会いいただけたらと。そこでひげを生やしていらっしゃる方がバーネットさんです。その方でございます。
アメリカの下院、上院で証言をなさいまして、
日本でもと思いましたけれども、ちょっと手続上のことが間に合わなくて、きょう傍聴していただいておりますが、ぜひともバーネットさんにもるるお聞きいただきたい。
確かにいろいろ
法律の違いとかそういうものがございましょう。ですから、そのためには租税
条約という中できちんとそのことを処理しなければいけないのではないかというふうに思います。また、
日本の側からもそういった企業の実態というのもぜひ御調査いただきたい。それから監督もしていただきたい。バーネット・レポートによりますと、パプアニューギニアのこういった価格移転による
日本企業だけに限っての損失は、一九八六年で九百八十五万ドル、八七年は一千八十万ドルになるのではと推定できる。これがパプアニューギニア
政府に入らないために財政的な破綻をもたらしているということを書いておられます。
そして、
アメリカからこれはまさにけさ入ってきたところなんですけれども、
アメリカの下院では先週、上院では恐らく数時間前に、そしてヨーロッパ議会で恐らく今ごろ同じ問題が議論されております。大変珍しいケースだと思います。
アメリカ大陸とヨーロッパとそしてここ
日本と、大変若い国をどうやって守っていこうか、そして
地球環境の資源である
熱帯林をどうやって守っていこうかということが、トライアングルとよく言われますけれども、そのトライアングルのところで本当に前向きに
検討されているということです。
これはゴア議員が上院、下院両方の合同の決議として出されたものですが、
日本に関しての部分と決議の部分だけを読ませていただきたいと思います。
パプアニューギニアで操業する材木会社の大半は、
日本に本部を置く会社と密接に関連している。
日本は
世界の最大木材輸入国であり、多くの木材輸出地域で木材
消費被害を引き起こしていることで度々非難されている。
日本はマレーシアのサラワクやサバ州で最もひどい被害を及ぼしている。また、
日本はパプアニューギニアの輸出する丸太の六〇%以上を輸入し、残りの貿易にもからんでいる。
調査
委員会は
日本に拠点を置く企業の関連会社、また
日本企業による
法律違反を多数発見した。パプアニューギニアの森林開発に関連する
日本出資の法人が、道路や橋、その他の施設の建設資金を供給する
日本政府のODA資金の使い方について多くの
日本人が憂慮している。
パプアニューギニアの森林資源の運命と熱帯木材の国際貿易の適切な管理への展望は、実態の
認識、改善策の早急なる採択にかかっている。
従って、
アメリカ合衆国上院及び下院議会は下記決議を採択する。
アメリカ合衆国はパプアニューギニア
政府に対し、林業の
現状調査
委員会の調査結果を利害
関係者に通告し、勧告の実施のための迅速な行動をとることを要請する。また、
アメリカは、多国間または二国間
協定を通し、これらの
目的達成のために、パプアニューギニア
政府内の組織力
強化及び研修、土地所有者の教育、及び損害を軽減する抽出的経済機構の資金援助を含める技術的・経済的援助を、環境
保護のために提供する。
また、
アメリカ合衆国は
日本政府に対し一部の
日本民間企業及び
政府援助機関がパプアニューギニアとの取引行為における法規の侵害や
熱帯林破壊をもたらしている件についての調査を要請する。また、パプアニューギニア
政府及び他の材木輸出国
政府との間に交わされた関税
条約その他の
協定の法令を調べ、積極的に違法行為を
禁止し、取引情報の偽造の
禁止を早急に求める。また、
日本の材木使用量を
減少し、材木の取引は全て維持し得る森林資源からなるように監督し、制限するよう早急に求める。
また、
アメリカの政策として、国際熱帯木材機構に対し、国際的に取引されている木材についてはすべて、原産地、種、量及び価格において真実が証明されうるシステムを作り上げることを要請し、一九九四年までには、取引される全ての木材が木材輸出国の環境や社会を損なうことのないように管理された資源から確保されるよう、早急に行動計画を作成し、実施するよう要請するものである。
以上でございます。
こういうことで、やはり
日本が問題になっている。それは
日本がエコノミックアニマルと言われるように、企業の論理なりそういったものが合法的であるからいいということでは済まされない部分があるのではないかというふうに私は思います。むしろ、よそから指摘されるよりも前に、
欧州復興開発銀行の場合もそうですけれども、事後的な報告ではなく事前の調査を十分にする。企業の実態も
破壊につながらないよう十分にお調べいただく。そういった上で、国策として
日本はどういうことをするのか、それがアジアに対しての
外交の基本ではないかというふうに考えます。相手の国の環境を
破壊して
日本がどんなに豊かな生活を享受したとしても、決してアジアの中で
日本は大国とも思われないでありましょう。
昨日、
大臣は予算
委員会の席で、
日本は援助をしている、だから
日本はアジアの
国々からも孤立していないんだということを発言なさったばかりでございます。私はまだこの決議を読んでおりませんでしたけれども、けさこの決議を読みまして、
大臣のおっしゃったように、本当に
日本としては一生懸命やっていながら、それがこういう形で裏目に出ている、そのことを大変残念に思います。
これはJICAにしても輸銀にいたしましても私たち国民の税金でございますし、そして財政投融資、貯金、そういったお金でございます。そういったものが国民の望むものと違う方向に使われるということ、これは大変危惧しなければならないというふうに思います。特に、
日本は大変企業を優遇し過ぎてきているような面もあるのではないか。
日本の場合と外国の場合とのバランスをやはり考える必要があるのではないか。このことを私は強く
政府に要求したいと思います。
その一つの例として、
日本は輸入合板材には大変多くの課税をしているということです。その分、例えばパプアニューギニアのような小さくそして余り財政力のない国にとりましては、自分のところで製材、合板をして輸出できればよほど国が富むわけなんですけれども、
日本は輸入合板に大変に高い課税をしているために、すべて丸太で来るようなからくりになっております。そのために向こうで、パプアニューギニアで仕事をすることができない、そういうからくりになっている。このこともバーネット・レポートには書いてございますし、私きのうお会いしたときにバーネットさんは、もうぜひ
日本の国がいろいろ
日本のルールと違うということで押し通すのではなくて相手の
立場で考えてほしいということをるるおっしゃいました。
例えば、材木は短くはかられて、それから種も違ったことを書いて船に載せるんだそうです。それが
日本へ着いたときに、さっきごらんになった丸太が一点一点もう一回はかられて、もう一回そ
の質が吟味される。それで高い値段で売られるということなんだそうです。企業の方からですと、大変質が悪いのでその分のさやぐらいは当たり前なのだという論理なんだそうですけれども、そういったことが通用していいものかどうか。
その辺は両方の、これは厳然と
日本の入管にもその資料はありますでしょうし、それからあちらの税関にもその資料はあるはずです。何月何日のどの船のどの丸太というのはこれは明確に出るわけですので、両方をぜひとも突き合わせてお調べいただきたい。ヨーロッパでも今はもう決議しましたというので、
EC議会からまだ資料をいただいていませんけれども、ほとんど同文のものが出るということでした。これだけヨーロッパでも
アメリカでもこういった決議がなされている。とすれば、そのぐらいのことは
日本としても調べるということぐらいはお約束いただけないでしょうか。
これはどちらの、もしかして林野庁の担当でいらっしゃいましょうか。それとも大蔵省の御担当……。ではもう
大臣、そのように担当の方にお伝えくださるということでも結構ですが、ぜひそういった不正に一方では安くつけ一方では高くつけるというようなこと、そういう点は今後
日本としても十分に調査するということをお約束いただけないでしょうか。