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猪木寛至君 先日、大臣よりじきじきにお迎えをいただきましてありがとうございます。
湾岸危機の問題につきましてはもういろんな意見が出ております。既に
外務省も相当批判も浴びているようですし、あえてここで私は申し上げることはありません。
ただ、実際に向こうに三度渡りまして
一つ現地で見たことというのは、たまたま在留邦人の人と本省から行かれている人の懇談会というのがございましてその席にちょっと顔を出しましたときに、大変雰囲気が悪くて、在留邦人がもう本当にこのままただじゃ帰さぬぞというようないきり立っている場面に出くわしましたが、確かに言っていることは間違いないと思います。
外務省の本省あるいは
日本のとっている立場ということを代弁して言っていると思うんです。ただ
一つは、
先ほど中村先生からも出た血の通った部分という、そこにいる人たちの状況というものを同じ目線で見ないと、今は
世界的なことを言っても通じない。自分たちがきょう生きるか死ぬかというようなところにさらされている人たちのその心をつかむということです。
ですから、
一つアドバイスをさせてもらうならば、とにかく現地に行ってその人たちの話をまず聞けば五〇%は私はストレスを解消したんじゃないかなと。ところが、最初から、冒頭から大上段に構えて
日本の考えというのをぶち上げても、これは決してそこにいる人たちの苦しみを、あるいはもっと逆に言えば、そこにいる人たちの情報の方が確かなわけですから、その部分で私がこの間行って感じたことは、これからやはり
外務省というのは表玄関として大きな
役割をますます果たしていかなければいけない。
たまたまきょう私は朝ラジオ番組を聞いておりましたら、ボーダーレス時代というか、私が政治の場に出る前に、ちょうどソ連と交流を持つときにある人から指導を受けたことは、これからはやはり国境がなくなっていくであろうと。いろんなビジネスも、要するに国と国でもダイレクトにこれから商売が行われるでしょうと。文化もそうです。そういう
意味で、私なんかが
世界を歩いていくと、今現在国境はあるわけですが、情報の時代というものはもう既にそういう壁はなくなって、きょう
日本で起きたことがすぐアメリカへ、あるいはイラクで起きたことが
日本へという、そういう中で我々の意識だけがまだその国境を閉ざしているというようなことで、本当に今回は多くの国民からも、逆に言えば
外務省が持っている専門意識という、これは確かに専門的なことで大事なことだと思うんですが、同時に今情報というのはそういう形でどんどんどんどん流れ込んできている。やはり東欧の変革もそういう
一つの流れではないかなと思うんです。情報を幾らとめても壁をかける、ストップすることはできない中で、そういうことで
民間の中でどんどん情報が流れてきています。
それから、今回、大変ある一部での批判はあったとしても、奥さん方が行動された
民間の
一つの心の交流の仕方というものもあったと思いますし私はそういう中で本当にこれから
外務省は、よく言われる古い体質ということをもう一回謙虚
にと。やはり時代がどんどん変革していく。外もどんどん変わっていく。私みたいな存在というか、こういうキャラクターが政治の場に出る必要が今まではなかったかもしれませんが、あえてこういう時代に政治の場に出させてもらいました。その辺で私は今回の湾岸危機というものはいろんな教訓を与えてくれたんではないかなと思います。
そして、今もう
一つソ連問題で、物資
協力、食糧問題、いろんなことが論議され新聞を飾っておりますが、
松前先生からさっき話がありましたけれ
ども、この間大臣も言われていたように、実際に物を持っていったけれ
どもどこかへ行ってしまうという、これはやはり流通が一番大きな問題かと思います。でも、ことしこの危機を乗り切ってもまた来年同じ問題が来る、繰り返しで。
それで、ある企業といろいろ今交渉を持っているんですが、やはりこれからトータル・クォリティー・コントロールという、
日本の企業がまず経済の発展してきた基礎になった企業の中にある問題点をどう見つけていくかというシステムなんですが、これは今すぐにでも企業に声をかけてみんな集めれば、そういう
専門家が各企業におりますので、そういうのを例えばソ連に
派遣する。それで、結局同じ土俵で話ができなければ、いろんな商売をしたくても、実際に私もプロレスの選手の契約で向こうに行きまして、何でこんなに話が違うんだと書類をぶん投げて立ってきたこともあるんですが、結局同じ土俵で相撲がとれる、いろんな話し合いができるような環境をまずつくらなきゃならない。そういう
意味で、今申し上げた、私もまだ勉強を十分していないんですが、このトータル・クォリティー・コントロールということについてちょっとこの場において提言させていただきたいと思います。もうちょっとまた次の
委員会がありましたら。
そういうものを早急に向こうに応援をすれば、ある
意味で向こうにある問題をいろんな細分化した形で見つけ出すことができる。そうすれば、ここをこういう応援をしましょう、あるいはここについてはこういうことをしましょうというものが、ソ連の中じゃなくて我々外から見て判断ができるんではないかなということで、もう時間もあれですから、欧亜
局長にひとつこの意見について、今後具体的にどういう形の対ソ
援助というものを考えていくかということをお伺いいたします。