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国務大臣(
中山太郎君) 今
委員から御
指摘のことは、二月十五日の産経新聞に載った報道だろうと思います。
私も
外務大臣に就任して、ちょうど今年十二月七日が日米開戦五十年という年に当たるわけでありますけれども、この五十年を振り返ってみて、
日本が戦後の
歴史において安定した
国民生活が
維持できたのは日米
安全保障条約というものが
堅持されてきたからだと私は考えております。この条約も、相手国から通告を行えば一年後には解消できるというような仕組みになっておりますが、日米関係というものは
堅持しておかないとこの国の安全というものは保障できない、私はそのように絶えず
認識いたしております。
なぜかといえば、我々は海洋
国家でございますし、貿易立国でございますから、我々の国の周辺が安定していないと我々の国は成り立たないわけでありまして、こじんまりと国内だけで生きていくというようなことはとても
日本の今の
国民には迎えられないことでございましょう。そういう意味で、今回アメリカの議会で真珠湾五十年の記念の日を指定するというような
決議案を五十名を超える議員が提案をしているという報道は極めて遺憾なことでございますが、行
政府同士の話し合いは極めて信頼関係が濃い関係にあるということを申し上げておきたいと思います。
私も就任以来ちょうど十五カ月ぐらいになりますけれども、アメリカの
外務大臣と言われるベーカー長官とは十一回地球全体の問題あるいは日米関係の問題についていろいろと話し合いをいたしてまいりました。ただ、最近のアメリカの
国民感情の中には、アメリカは今対外債務が一番大きな
状況になってきた、
日本はまた
世界最大の金を持っている国になってまいりましたし、貿易は一方的な黒字が毎年計上されて、
日本側が黒、アメリカが赤という
状況が続いている。そういう中で、日米間の友好関係というものを
堅持しながら、貿易不均衡をならして拡大均衡に持っていって、アメリカの経済に対しては、
日本側も先般来のSII、構造
調整協議でアメリカの弱点について
日本側は問題点を
指摘し、アメリカは昨年来これの改善に
努力しておりますが、お互いがお互いに言いたいことを言い合うという関係を
堅持しながら日米友好関係を
維持していくということが、
日本外交にとっても
国民にとっても極めて大きな基本的な問題であろうと考えております。
そういう意味からいいますと、このような
決議案が一応用意されているということにつきましては、
日本政府としても重大な関心を持っているわけでございますが、私は率直に申し上げてこれだけの友好関係を持ちながら人と人との交流がまだまだ不足している。戦後
日本を占領して、占領軍として、軍人として
日本に来ておった人たちはもうほとんど指導者階層から引退しております。そして戦争を知らない世代が新しく議会にもたくさん進出してきて、とにかく
一つの現実に基づいた批判を行う、こういうのが今日の姿ではないか。そういう意味で、日米親善交流基金というものを昨年の補正予算でお願いをいたしまして、これで日米関係の人物交流を積極的にやっていかなければならない。我々は……(「言うべきことをはっきり言わなければだめだ」と呼ぶ者あり)「言うべきことをはっきり言わなければだめだ」という考え方をお述べの方もいらっしゃいますけれども、言うべきことは日米構造
調整協議で
日本政府は厳しく相手に対して忠告を与えておりますし、アメリカ側も
日本に忠告を与えてきた。こういう日米関係のやりとりができている間は私は日米関係というものは健全であると信じております。しかし、
日本が自分の利益だけを考えて
行動した場合にはアメリカの
国民は決していい感情を持たないだろうと思います。
そういう意味では、我々はやはり
国際的に市場を開放していくという開放経済の方向を経済面では
堅持しなければなりませんし、
安全保障の面では今
国会にお願いをする地位協定等を通じて対等の
立場で
安全保障に対する負担を持つということが経済大国になった
日本の大きな
一つの責務であろうと考えております。そういうことをしっかりやっていけば、私はこのような法案あるいは
決議案を出すアメリカの議員はなくなっていく、このように信じております。