○小西博行君 そこで、大学関係は教育ももちろんですがやっぱり
研究、言うなら
基礎研究の
分野というのはかなりあるわけですね。ところが、御
承知だと思いますが、大学の
研究者というのも最近は希望者がだんだん少なくなってきているということもございますし、それから昭和三十九年から
予算というか、
予算の請求権というのは国立大学、これは九十六校あります、東大、京大も入れましてね。それは、
予算の請求権とか人事権というのは学長とか総長というのは全然なくなっているんですね、三十九年から。これは国立学校特別
予算制度というのが新しくできましてね。だから東京大学の学長、総長は、こういうことをやりたいからこれだけ
予算をくださいという
政府に対する
予算の請求権というのがなくなっているんですね。
そういうことで、例えば東北大学の西澤学長あたりも非常に困っておるんですが、従来ですとやっぱり優秀な
研究者を民間から引き抜くとか、自分の
研究に合った、あるいは東北大学はこれをやりたいというようなことでかなり優秀な人材を集めて、そこで給料の問題もあるでしょう、そういうことでやってきたんだけれ
ども、なかなかそういうことがこれからできなくなっているんだと、三十九年以来は。ですから、非常に学長とか総長の権限というんですか、これは非常に難しい。これは
アメリカあたりに比べますともうまるで違いまして、
アメリカあたりの市立大学、いわゆる公立ですね、そういう大学が大体州で定まっておりますけれ
ども、そういうところはやっぱりきちっと権限があるわけですね。
予算だとか人事についてもきちっとできる。そういうようなことがちょっとありまして、大学関係が純粋に
基礎研究をどんどんやっていただけるのかと思いましたら、最近はだんだん変わりまして、優秀な学者というのは、さっき申し上げたように、
技術との関係が民間の産業と出てきますね。ぜひこういう
研究してもらいたい、そのかわり幾らかお金出しますという、それがだんだん進行している途中で、ぜひうちの会社へ入ってほしいというようなことで、
基礎研究というよりもむしろ
技術的な応用というんでしょうか、そういう
分野で引き抜かれていくという
ケースが大分ふえておりまして、これは恐らく皆さん方の
研究所でもそういうことがあるんじゃないか。最近の議論でも、優秀な人材をどうやって
確保しようか、民間の方がいろんな条件がいいものだから優秀な人は民間に行く、そういう問題ですね。これは同じような問題だと思うんですが、そういう非常に苦しい関係がある。
大学でいきますと大体理工学部と工学部というように二つに、
科学技術の
分野に分かれると思うんですが、むしろ理工学部というのが今申し上げた
基礎研究的な
分野が非常に強い色彩がある。工学部はどっちかというたら応用
技術的な
分野がある。それを見ますと、学生の比率でいきましても一対七、むしろ工学的な
分野の方が多いわけですね。これはもう
社会のニーズに合っているんだろうと思うんです、
日本の。そういう
分野がありまして、私は、この比率を何としてもそういう
基礎研究的な
分野、これは文部省に対する要求ではなくて、恐らく
研究所におきましてもそういう
分野があるんではないか。これから、
科学技術庁はいろいろ
予算の折衝や何かで相当ふえているとは言うんですが、もともとが少ないものですから大した
予算にならない。相当思い切ってこれは
政府に要求していかなきゃいけないんじゃないか。
私はむしろ、前から言っているんですが、
科学技術庁なんというのは科学省あるいは
科学技術省ぐらいの形で取っ組んでいかないと、文部省の中の
研究者も含めて
日本の将来の
基礎研究はこうあるべきだという
意味では大事じゃないか。これ再三申し上げておるんですが、その辺についての考え方はどうなんでしょうか。