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国務大臣(
村岡兼造君) ただいま議題となりました
新幹線鉄道に係る
鉄道施設の
譲渡等に関する
法律案、
鉄道整備基金法案及び
全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する
法律案、以上三件の
法律案の提案理由につきまして御
説明申し上げます。
初めに、
新幹線鉄道に係る
鉄道施設の
譲渡等に関する
法律案につきまして御
説明申し上げます。
昭和六十二年の日本国有
鉄道の改革により発足した旅客
鉄道株式会社のうち、本州の旅客
鉄道株式会社につきましては、その経営が順調に推移してきていることから、近々、主要な上場
基準を達成する見通しでありますが、株式の売却・上場は、完全民営化への道であるとともに、
日本国有鉄道清算
事業団の債務の償還等を促進し、国鉄改革の一層の進展を図るものであります。このため、株式市場の
状況などを総合的に勘案した上で、その株式売却を円滑かつ適切に実施できるよう、上場に向けての
環境の整備を図る必要があります。
現在、東海道
新幹線など既設の四
新幹線鉄道につきましては、
新幹線鉄道保有機構が一括して保有し、本州の旅客
鉄道株式会社に貸し付けておりますが、このような
状況を踏まえ、これら
新幹線鉄道施設を
新幹線鉄道保有機構から当該旅客
鉄道株式会社に対し譲渡するとともに、これに伴う
新幹線鉄道保有機構の解散に関する必要な事項を定めるこの
法律案を提出した次第であります。
次に、この
法律案の概要につきまして御
説明申し上げます。
第一に、
新幹線鉄道保有機構は、
平成三年度において、その保有する
新幹線鉄道施設を、
新幹線鉄道施設譲渡計画に定めるところに従い、東日本旅客
鉄道株式会社、東海旅客
鉄道株式会社及び西日本旅客
鉄道株式会社に対し譲渡するものとし、旅客
鉄道株式会社はこれを譲り受けるものとしております。
第二に、
新幹線鉄道保有機構は、譲渡の実施時期、譲渡する
新幹線鉄道施設の範囲、譲渡価額及び対価の支払い方法を記載した
新幹線鉄道施設譲渡計画を定め、
運輸大臣の認可を受けることとしております。
第三に、
新幹線鉄道保有機構の保有するすべての
新幹線鉄道施設の再調達価額についての決定は、臨時に機構に置く
新幹線鉄道施設評価審議会の議を経なければならないものとしております。
第四に、
新幹線鉄道保有機構は、
新幹線鉄道施設の譲渡の実施のときにおいて解散するものとし、その権利及び義務の承継につきましては
鉄道整備基金法の定めるところによるものとしております。
以上がこの
法律案を提案する理由であります。
次に、
鉄道整備基金法案につきまして御
説明申し上げます。
鉄道は、道路、港湾、空港と並んで国民の移動、物資の輸送を確保する上で必要な交通施設であり、多極分散型国土の形成に資する高速交通網の整備の一層の充実、円滑で快適な
地域交通基盤の整備の推進を図るため、
鉄道がその特性を発揮できる分野における
鉄道網の整備が要請されているところであります。
他方、
鉄道の整備につきましては、投下資本が多額に上ること、投資の懐任
期間が長いこと等から、国は、交通政策上必要な
鉄道の整備に対する助成等を行うことにより、
鉄道事業者の投資意欲を醸成するための
環境整備を図る必要があります。
このような
状況を踏まえ、緊急に整備が必要な
新幹線鉄道、主要幹線
鉄道及び都市
鉄道の整備等を促進するため、別途、
新幹線鉄道に係る
鉄道施設の
譲渡等に関する
法律案の規定により実施される
新幹線鉄道保有機構からの既設四
新幹線の
鉄道施設の譲渡に伴う収入の一部を活用しつつ、これに一般会計等からの補助金等を加えて、総合的かつ効率的に
鉄道助成を行う特殊法人
鉄道整備基金を設立することとし、
鉄道整備基金の設立、その組織、運営等に関し必要な事項を定めるこの
法律案を提出した次第であります。
次に、この
法律案の概要につきまして御
説明申し上げます。
第一に、
鉄道整備基金は、国土の均衡ある発展と大都市の機能の維持及び増進を図る観点から緊要な
課題となっている
新幹線鉄道、主要幹線
鉄道及び都市
鉄道の計画的かつ着実な整備を促進するとともに、
鉄道の安全性及び利便性の向上を図るための施設の改良、業務運営の能率化その他
鉄道事業の健全な発達を図る上で必要となる
事業または措置を支援するため、
鉄道事業者等に対する助成を総合的かつ効率的に行うことを目的とする法人とすることとしております。
第二に、
鉄道整備基金は、その目的を達成するため、既設
新幹線の
鉄道施設の譲渡収入の一部を活用して、
新幹線鉄道の建設に要する費用に充てる資金の一部についての交付金の交付、主要幹線
鉄道及び都市
鉄道の建設または大規模な改良に要する費用に充てる資金の一部についての無利子貸
付金の貸し付け等の業務を行うとともに、法令または予算で定める国の補助金等の交付を受け、これを財源として
鉄道事業者等に対し補助金等を交付する業務を行うこととしております。
第三に、
鉄道整備基金は、既設
新幹線の
鉄道施設の譲渡収入の一部を活用して行う業務については、
運輸大臣が定めて
鉄道整備基金に指示する業務実施方針に従って行うこととしております。
第四に、
鉄道整備基金の
監督等に関し、
事業計画、借入金、業務方法書の作成等について
運輸大臣の認可を要することとしております。
第五に、
鉄道整備基金は、
新幹線鉄道保有機構の解散のときにおいて成立するものとし、そのときにおいて
新幹線鉄道保有機構の一切の権利及び義務を承継することとしております。
以上がこの
法律案を提案する理由であります。
最後に、
全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する
法律案につきまして御
説明申し上げます。
新幹線鉄道につきましては、国土の統合的かつ普遍的開発に重要な役割を果たすものとしてその整備が進められてきたところであり、現在、整備計画が定められております整備
新幹線につきましても、国土の均衡ある発展、
地域の振興開発等に資するものとして、その実現が強く望まれてきたところであります。
他方、この整備
新幹線計画につきましては多額の投資を必要とするため、整備
新幹線の整備に関する諸
事情を踏まえつつ、国鉄改革及び行財政改革の趣旨にかんがみ、第二の国鉄は絶対につくらないということを大前提として可能な限り早期に高速幹線
鉄道網の形成を図るべく各種の
検討を進めてまいりましたが、
平成三年度予算案において北陸
新幹線軽井沢―長野間、東北
新幹線盛岡―青森間及び九州
新幹線八代―西鹿児島間については、新たに、いわゆるフル規格
新幹線である標準軌新線に加えて、いわゆるスーパー
特急である
新幹線鉄道規格新線やいわゆるミニ
新幹線である
新幹線鉄道直通線によってその建設に着工することとなり、北陸
新幹線高岡―金沢間については、整備
新幹線着工調整費が計上されました。
このため、暫定的に
新幹線鉄道に準ずる高速
鉄道について
新幹線鉄道と同様の手続、助成措置により建設を行うことができるよう所要の規定を定めるこの
法律案を提出した次第であります。
次に、この
法律案の概要につきまして御
説明申し上げます。
第一に、
運輸大臣は、
新幹線鉄道の整備に関する諸
事情を踏まえ、
新幹線鉄道による全国的な
鉄道網の一部を暫定的に欄成する
新幹線鉄道に準ずる高速
鉄道を整備することにより高速輸送体系の形成に資するため、当分の間、整備
新幹線の路線の全部または一部の
区間について
新幹線鉄道規格新線及び
新幹線鉄道直通線の建設に関する暫定整備計画を決定することができることとしております。
また、計画決定に当たっては、あらかじめ、営業主体となる旅客
鉄道株式会社に
協議し、同意を得ることとしております。
第二に、
運輸大臣が暫定整備計画を決定したときは、日本
鉄道建設
公団に対し暫定整備計画に基づいて建設を行うべきことを指示しなければならないこととし、日本
鉄道建設
公団は建設の指示を受けたときは、暫定整備計画に基づいて
新幹線鉄道規格新線及び
新幹線鉄道直通線の工事実施計画を作成し、
運輸大臣の認可を受けなければならないこととしております。
第三に、
新幹線鉄道規格新線及び
新幹線鉄道直通線の建設のために必要な資金についての国及び地方公共団体の財政上の措置や、日本
鉄道建設
公団法や
鉄道整備基金法に基づく日本
鉄道建設
公団に対する財政措置等について定めることとしております。
以上がこの
法律案を提案する理由であります。
これら三件の
法律案につきまして、何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますよう
お願い申し上げます。
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