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金子(徳)
分科員 私は、
我が国の繊維業界、服飾も含めてのアパレル業界、とりわけニット業界、絹業界等もあるわけですが、ニット業界を
中心に若干のお伺いをいたしたいと思います。
アパレル産業というものは素材産業とも言われておるわけでありますが、非常に底辺層の広い、そしてまた国民の多様なニーズにこたえていかなければならない、そうしたきめの細かい生産
体制と流通
体制をとらなければならない業界であるわけであります。とりわけ最近では、非常に多様化、そしてまた個性化、この傾向が消費需要の中で強く見られるようになったことは御承知のとおりでございます。そうした中で、生産
体制としては小ロット・短サイクル、そしてまた高級・多品目化ということの影響が非常に強く見られておりまして、とりわけニット業界については、文字どおり
日本の場合は高級化をしないとやっていけないというような
状況でございます。
また一方、経営
構造の中でいろいろ隘路も出てまいりました。やはり労働力の不足、非常に景気のいい企業に地場企業のような繊維産業の場合はどんどん吸収されていく、賃金格差もある、労働条件も非常に不安定だというようなこともあるかと思います。そうした中で、後継者も不足しておる、そういう現況であるわけであります。
しかし、ニット業界では付加価値の高いものをこれから一生懸命つくっていこうと努力をいたしておるところでございまして、そこの中で
湾岸戦争のような中東問題も発生しましたし、いろいろありましたが、何といっても
通産省御
当局が
我が国の
経済を支える適切な力として中小企業対策というものをしっかりとやってこられたことに、まず私は心から敬意を表したいと存じます。
とりわけG5、これは円高不況が始まった時点でございますが、それぞれ英知を絞って執行されました産振法、私も産振法の中で、このニット
関係を市場調査するためにヨーロッパから
アメリカまで、産地の二世を引っ張りまして団長として見て歩きました。プレミエール・ビジョン・ショー、これは七年前だったと思いますが、パリへ行ってきたわけでありますが、非常にこの産振法の役割というものは大きかったと思います。また、引き続いて特定
地域中小企業対策臨時措置法というものをいち早く継続してつくられ、これも時限立法でありますから
平成三年で切れるわけでありまして、この役割もまた大きかったわけでございます。また、そうしたことで、この切れる前の、オーバーラップしながら今度は新しい
政策もつくられていくというようなことで、まことに時宜を得たそれぞれの対策、私はそういった
意味では、非常に高くそれぞれの事業の執行の適切さということについて感謝をいたしておりますし、とりわけ期待されるのは
地域産業創造基盤整備事業、こういったものがそれぞれつくられてきておるということについては、産地イコール自分自身であるぐらいに
考えておるだけに、感謝をいたしております。
ところで、新しい情勢としては、ガット・ウルグアイ・ラウンドの中で十年後の完全自由化や、MFAの廃止の問題が出てきておりまして、これから国際
経済社会の中で自由競争市場に打ちかっていこう、産地づくりをやっていこう、そういった若い後継者たちにちょっと水をかけるいろいろな要件というものが出てきているわけであります。
まず伺いたいのは、一昨年、韓国から
日本へ横編みセーターの輸入が集中豪雨的にありました。一年に一億六千万枚も入ってきたこともございました。韓国から国民一人一枚ずつセーターを買わなければいけないぐらいの量が入ってきて、非常にオーバーフローしてしまった、市況が低迷したという実態もあったわけでございます。これは、
日本側のニット工連等の
関係団体が
中心になってダンピング提訴をいたしましたが、御承知のとおり幸いに
政治的な御配慮をいただいて、韓国側の自主規制ということで結論を見たところは本当に
評価をいたしたいと思っているわけでございます。
実際、最近のニットの輸入
状況を見ますと、現在は低迷
状況にちょうど入ってきたようであります。八五年から五年ぶりに、増加の一途をたどっておった特に横編みのセーター類で申し上げますと、韓国が二八・六%減、台湾も二九・一%減、香港が三七・四%減ということで、輸入の
状況が大きく落ち込んできたわけであります。業界で言っておりますのは、九〇年はいわば踊り場の年であって、九一年はこれからどうなるのだろうかという
心配もいたしているわけでありますが、不況になりますと、どちらかというとニット業界というのは今まで活況であっただけに、海外のこれらの集中豪雨的な輸入というものが今後
我が国のニット業界にどのように影響してくるのか、あるいは布帛も入れたこのアパレル業界にどんな新興工業
地域、NIESからの影響が出るか、あるいは
発展途上国からの影響が出るかということをどのように確認しておられるか、まず伺いたいと思います。