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1991-03-11 第120回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成三年三月七日(木曜日)委員会に おいて、設置することに決した。 三月十一日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       内海 英男君    金子原二郎君       綿貫 民輔君    戸田 菊雄君       藤田 高敏君 三月十一日  綿貫民輔君が委員長指名で、主査選任され  た。 ────────────────────── 平成三年三月十一日(月曜日)     午後二時開議  出席分科員    主 査 綿貫 民輔君       金子原二郎君    久野統一郎君       遠藤  登君    小川 国彦君       沖田 正人君    川島  實君       北川 昌典君    志賀 一夫君       戸田 菊雄君    藤田 高敏君    兼務 小森 龍邦君 兼務 沢田  広君    兼務 遠藤 乙彦君 兼務 河上 覃雄君    兼務 斉藤  節君  出席国務大臣         建 設 大 臣 大塚 雄司君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 西田  司君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       八木橋惇夫君         国土庁長官官房         会計課長    森   悠君         国土庁長官官房         水資源部長   山内  彪君         国土庁計画・調         整局長     長瀬 要石君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁土地局次         長       鎭西 迪雄君         国土庁大都市圏         整備局長    斎藤  衛君         国土庁地方振興         局長      芦尾 長司君         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房総         務審議官    青木 保之君         建設大臣官房審         議官      内藤  勲君         建設大臣官房会         計課長     小野 邦久君         建設省建設経済         局長      鈴木 政徳君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 藤井 治芳君         建設省住宅局長 立石  真君  分科員外出席者         国土庁地方振興         局総務課長   磐城 博司君         大蔵省主計局主         計官      浜中秀一郎君         大蔵省主計局主         計官      林  正和君         厚生大臣官房老         人保健福祉部老         人福祉課長   中村 秀一君         厚生省健康政策         局指導課長   篠崎 英夫君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   藤原 正弘君         運輸省地域交通         局海上交通課長 橋本 雅之君         建設省道路局国         道第二課長   酒井  孝君         消防庁震災対策         指導室長    堀内 和成君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     宮繁  護君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     廣瀬 好宏君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     山下 宣博君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事長)  松原 青美君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   星  忠行君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   佐藤本次郎君         予算委員会調査         室長      多田 俊幸君     ───────────── 分科員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   内海 英男君     久野統一郎君   戸田 菊雄君     遠藤  登君   藤田 高敏君     沖田 正人君 同日  辞任         補欠選任   久野統一郎君     内海 英男君   遠藤  登君     小川 国彦君   沖田 正人君     北川 昌典君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     川島  實君   北川 昌典君     志賀 一夫君 同日  辞任         補欠選任   川島  實君     戸田 菊雄君   志賀 一夫君     藤田 高敏君 同日  第二分科員遠藤乙彦君、河上覃雄君、第三分科  員斉藤節君、第六分科員沢田広君及び第七分科  員小森龍邦君が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  平成三年度一般会計予算  平成三年度特別会計予算  平成三年度政府関係機関予算  〔総理府国土庁)及び建設省所管〕      ────◇─────
  2. 綿貫民輔

    綿貫主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  私が、本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。  本分科会は、総理府所管国土庁並び建設省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省庁所管事項説明は、両省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成三年度一般会計予算平成三年度特別会計予算及び平成三年度政府関係機関予算総理府所管国土庁について、政府から説明を聴取いたします。西田国土庁長官
  3. 西田司

    西田国務大臣 総理府所管のうち、国土庁平成三年度予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、二千五百五十五億五千三百万円余を予定しておりまして、前年度予算に比べ、百五十七億九千八百万円余の増となっております。  さらに、大蔵省所管産業投資特別会計に計上の日本電信電話株式会社の株式の売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業のうち、国土庁に係る無利子貸付金について、歳出三百二十八億百万円余を予定いたしております。  その主要な内容は、  第一に、第四次全国総合開発計画総合的推進等国土計画推進  第二に、適正な地価水準の実現、適正かつ合理的な土地利用確保等総合的土地対策推進  第三に、水資源開発及び有効利用促進等の総合的な水資源対策推進  第四に、良好、安全な都市環境整備を図るための大都市圏整備推進  第五に、人口の地方定住促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興推進  第六に、国土を保全し、国民の生命及び財産を災害から守るための総合的災害対策推進  第七に、地域活性化施策に関する調査研究等及び具体化を図るための地域活性化施策推進  第八に、地方都市開発整備、工業の再配置、地域産業高度化及び産炭地域振興を図るための地域振興整備公団事業推進であります。  国土庁予算重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります平成三年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと思います。  よろしく御審議をお願いいたします。
  4. 綿貫民輔

    綿貫主査 以上をもちまして総理府所管国土庁についての説明は終わりました。     ─────────────
  5. 綿貫民輔

    綿貫主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  6. 沢田広

    沢田分科員 予算委員会に続きまして、それぞれ関係者、大変御苦労さまでございます。  まだこれから多くの同僚議員とともに、我が国の限られた資源でもあります国土の高度な利用に向けまして、それぞれ意見も述べ、あるいは苦言も呈するとは思いますが、適切な答弁を切望してやみません。委員長は前の国土庁長官大臣でもあったわけでありますから、その意味を含めまして、十分慎重に審議されることを期待してやみません。  まず第一に、簡潔に質問いたしますが、今、バブル現象というふうに一口に言われております。いろいろな資料もございますが、銀行だとかノンバンクだとか、あるいは対不動産だとかというところに出されておりまする資金も、百五十五兆とか、あるいはGNPではありませんが、五百二十兆だとか二十三兆だとか、そういうふうな数字すら言われているわけであります。国土庁長官としては極めてじくじたるものがあるのではないのかというふうに思います。果たして、このような現象になった根本の原因はどこにあったと今お考えになっておられるでしょうか。
  7. 西田司

    西田国務大臣 予算委員会の本委員会でもお答えをしたことでございますけれども、五十八年に端を発した今回の地価高騰というものには、私はいろいろな要因があると心得ております。しかし、今委員も御指摘になりましたように、バブルという表現をお使いになりましたけれども、私は、金融が非常に緩和された、それから、ある一定の時期まで低金利であった、こういうことから、過剰流動資金というものが土地に流れ込んできた、このことは否定できない事実ではなかろうか、もちろん、このことだけによって今回の地価高騰が起きたとは申しませんけれども、そのことも一つ大きな原因要因であったと理解をいたしております。
  8. 沢田広

    沢田分科員 政治家は結果に責任を持て、こうよく言われるわけであります。今大臣が言われたように幾つかの要因が重なり合ったとは思いますが、極めて遺憾な事態だということは言えると思うのであります。その点の見解はいかがですか。
  9. 西田司

    西田国務大臣 私は、国土庁長官を拝命いたしまして、たびたびお答えをいたしておりますように、これはもう政府の全体的な責任といたしまして土地対策をやっていこう、こういうことが内政の最重要課題というよりも命題だと私は思っておりますが、そのようなことに位置づけられておるわけでございます。その前提になります現在の異常な土地高騰というものに対して、実はこのよう考え方を持っております。  これもたびたびお話をしておることでありますけれども、国民皆さん方経済大国だ、こういうことで一方で言われながら、しかし、個々の国民の方々はその豊かさの実感というものを持っておられない。これは一体どこにあるのだろうかということを考えた場合に、一つ、家とか住宅とかそういうものを考えたって、中堅、働き盛りの人たちが将来は家を持ちたい、住宅を持ちたい、こういう夢が失われたということが一つだと思うわけでございます。それから、地価高騰によりまして、ますます大都会、それから地方、個人の差、そういうところの資産格差というものが拡大をされた、それが国民不公平感というものをつくり上げてきた。こういうことが根底にあるものでございますから、私は今委員がその責任をどう考えておるかという言葉一口で申し上げますならば、大変重大な責任を感じております。こうお答えをいたします。
  10. 沢田広

    沢田分科員 非常に適切な御答弁でありまして、ぜひその線に沿って促進されることを期待するわけであります。  それでは、例えば自分所管でなくとも、建設であるか、あるいは運輸であるか、あるいは大蔵であるかわかりませんが、この国土利用計画法に示されております国土の限られた資源というものを、「生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤である」、そういう立場で公共の福祉を優先させて行う、こういった意味のことについてはそのとおり進められていく、そういう信念で臨んでいただける、こう理解してよろしゅうございましょうか。
  11. 西田司

    西田国務大臣 御指摘のとおりでございます。政治というのは理屈だけで通用するものでもない、また、口先だけでその場を避けて済むものでもない、こういうことを私はかねがね自分政治信条として持っておりますから、限られた在任期間でしょうけれども、全力を挙げてこのことに取り組んでいく決意でございます。
  12. 沢田広

    沢田分科員 それでは、「土地取引規制に関する措置」という国土利用計画法の示されております項目は、投機的な取引やあるいは地価高騰国民生活に及ぼす弊害を除去する、こういうことも一つ大きな約束として法律でこれは決められていることでありますが、それから、土地取引規制に関する取り扱いを強化する、とりあえず大きなことの中でこの二つは、これは法律にある事項でありますから厳守していただきたいと思いますが、そのことはそういう決意であると理解してよろしゅうございますか。
  13. 西田司

    西田国務大臣 具体的な問題につきましてはまた政府委員からお答えをさすことにいたしまして、今御質問の要点について、私の基本姿勢を申し上げておきたいと考えております。  委員も御承知のように、一つ監視区域制度というものがございます。ちょうど三月十一日でございますけれども、既に強力に国土庁において各自治体、市町村都道府県、そういうところへ指導をいたしまして、千六十七市町村でこの監視区域を指定をいたしておるわけでございます。これはさらに広げていかなければいけないものだ、私はこのように考えておるわけであります。  それからもう一つ、ここで委員も御指摘になりました、この規制区域という問題がございます。これはなかなか、法律の性格や趣旨からしますと、非常な権能といいますかそういうものを持っておるわけでございますけれども、しかし、一面において、これは都道府県等が積極的にこのことをやっていただかないとこの機能は動いていかないような仕組みの面もあるわけでございます。  それともう一つ、私の考え方というのは、例えば規制区域をぽんぽんぽんぽん広げることによってその地区の価格の凍結をしてしまう、何やら戦時中の統制経済のようなことが土地といえども起こってまいりますと、これは日本経済活動そのものの根幹に触れていくおそれがあるのではないかな、私はこう思っております。  ですから、私としては、できるだけ監視区域制度を有効適切に活用をしながら、また一方において、これから進めていこうとする一極集中是正首都機能移転等の問題が今後起こってまいりますから、必然的に大規模プロジェクトが起こる地域が起こってくるわけでございます。こういうことにつきましては、私は、機敏に的確に伝家の宝刀ともいうべきこの規制区域制度というもの、これを運用を図るようなことを今国土庁内部土地局長が中心になって検討を始めておる、こういうことでございます。  詳細なことにつきましては、また政府委員からお答えいたします。
  14. 沢田広

    沢田分科員 今大臣が言われたこと、そこにいる職員、だれか代表して、ちゃんと守っていきますと、こういうことを、大臣が言われただけでなく、職員が守っていくかということを確認したいから、ちょっと代表で答えてください。
  15. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 大臣の御答弁のとおり、監視区域につきましてはさらに的確に運用に努めてまいりたいと思いますし、また規制区域につきましては、監視区域によってもどうしても地価抑制ができない、そういう場合におきましてはこの規制区域活用も当然考えられるべきですし、特に、今後大規模プロジェクト地域につきまして、より活用しやすいような方策についてもさらに勉強し詰めたいと考えております。
  16. 沢田広

    沢田分科員 あなたばかりじゃなくほかの部課にもそう伝える、こういうことですね。今はそればかりじゃないのですよ。前から言っていたことも含めて言っているわけですよ。  大臣幾つ自分所管でないことでお願いをして、それぞれお伝えをしながら、強力にこの国土の安定あるいは国民生活の安定のために寄与できるようにしていただきたいと思うのでありますが、今も言われましたが、新聞報道等によりますと、例えば今の金利を五、六月ごろになったなら幾らか下げるなんという新聞が出ております。大臣はこれをどういうふうに——例えば今そういうものが出るということは、今のこの金利が維持されることによって、言うならば持ち疲れてというか、もう持ちあぐんで売り出さなきゃならない。倒産をしている。六千億ぐらい大体倒産負債金額もなっておる。あるいは九千億にも、一カ月で大分伸びた。ですから、以下だんだんマンションも下がってきた、あるいは土地も幾らか下がってきた、こういう現象が出てきたわけでありますが、ここで今度は緩めるんだよということの旗を上げれば、またそれはじっと我慢してこの二カ月何とか過ごせば今度は元を取れるんじゃないか、こういう発想が出ると思うのですが、その点はどう解釈されますか。
  17. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 まず、ごく最近の地価動向を見ますと、昨年の秋以降、各所で鎮静化の兆しが見られます。これまでのいろいろな対策も功を奏してきたんだろうと思いますが、その中でやはり金融の働きが非常に大きかったと思います。そういう微妙なとき、なお予断を許さない、そういうふうな状況です。東京ではまだ依然として高地価です。そういう状況ですから、なお金融については厳しい運用を我々としては期待しておるところであります。
  18. 沢田広

    沢田分科員 これは大臣もそう思われたら、閣議で必ずそれは、そういう放言をやる者は党で厳しく注意して、そんな何かインフレを起こさせるような言動は、地価抑制をしていくためには極めて妨害していく言葉にもなるわけでありますから、このことはきつくしかるようにひとつお願いしたいと思うのでありますが、よろしゅうございますか。
  19. 西田司

    西田国務大臣 まさに金利政策というのは、ただ単に土地だけの問題で金利政策というものが動いていくものとは考えておりません。もちろん基本的には、日本経済動向であるとか国民生活状況であるとか、そういうことを考え金利が上がったり下がったり、そういうことが起き上がってくると考えております。  しかし、私は、事土地の問題につきましては、地価が若干鎮静化した、下がった、こう言っておりますけれども、そのことは油断のできない一つ現象でしかない、このように思っておるわけでございます。ですから、今土地局長お答えをいたしましたように、やはり金融政策、特に関連業界等融資等の問題については、極めて慎重な態度で政策選択をお願いしたい、このように考えております。
  20. 沢田広

    沢田分科員 ぜひひとつ国土を守る立場から、その姿勢を貫いていただきたいと思います。  もう一つは、これも大蔵だけではないと思うのですが、ノンバンクの問題ですね。七十三兆も現在でもお金が動いておる。そのことがまたその土地の言うなら投機というものをあおる、こういうことにもなるわけで、銀行関係はある程度そろそろ規制が進められましたから規制されつつありますが、ノンバンクについては規制措置がない、トンネルになってしまっておる。これもやはり早急に対策を講じないと、いわゆるモグラたたきと同じでありまして、片っ方たたけば片っ方がにょこっと出るということであっては何にもならないのでありますから、あわせて、十分に慎重でありますなら、これは慎重に、厳格に、しかも迅速に対応することがやはり求められると思いますが、その点はいかがでありましょう。
  21. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 御指摘のとおりでございまして、たしか六十三年ごろから、ノンバンクに対しましても、間接的ではありますが個別指導をいただいておるところであります。まさにノンバンクの適切な融資姿勢が重要だと思います。大蔵省の方でも、そういう観点から、ノンバンクたる貸金業者土地関連融資の実態を把握するとともに、より実効ある指導が行えるような方策検討するということで、既にノンバンク研究会というのを設けられまして検討を進めつつあると聞いております。私ども、この研究会法制面あり方等も含めて実りある成果を得られ、実行されるように期待しておるところでございます。
  22. 沢田広

    沢田分科員 あなたの方はその審議会の方には全然関与してないのですか。
  23. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 実は、土地基本法に基づきまして土地政策審議会というのが設けられておりす。この審議会でことしの一月二十五日に総合土地政策推進要綱というのをまとめたわけでございますが、その中でも、ノンバンクにつきましては「実効ある指導を行えるような方策あり方について検討する。」べきだと提言しておりまして、大蔵省ではこの提言を受けて研究会を早速つくられたということでございます。  我々としては直接参加はしておりませんが、非常に各方面から専門の方等を集めて検討しておられるようでございます。随時その状況等は情報もいただきながら、我々も関心を持って期待していきたいというふうに考えております。
  24. 沢田広

    沢田分科員 大臣、同じでよろしゅうございますか。
  25. 西田司

    西田国務大臣 はい。今土地局長からお答えをいたしたことで私の考え方も一致をいたしておるわけであります。
  26. 沢田広

    沢田分科員 もう一つ大臣に、これは自分の局でないのでありますが、やはりこれも地価の安定あるいは供給ということに関係するのですが、現在は五万円までが通勤費非課税でございます、念のためでありますが。五万円までは通勤費は課税されない、こういうことに法律上なっているわけです。今現在の通勤圏大臣はどのようにとらえているか。簡単に私の方から言ってしまいますと、東海道線は大体三島ぐらいになっておる。それから、火事になりました日立の方ももう通勤圏内に入ってきておる。宇都宮、前橋、高崎というところも大体通勤圏に入ってきておる。仙台なんかも、やや特急になれば通勤圏に入ってくるだろうと思うのですね。  ですから、そういう意味において、通勤の範囲を広げて、そして同時に通勤費に対する非課税限度を上げて、あるいは運輸においては、通勤で立ち席で来ている人が多いのですね、新幹線も。ですから、そういうのには割引制度を入れるとかいうことを考えれば、相当広範な通勤圏というものができるわけですね。その圏内までは監視制度というものはある程度持っていかなければいかぬだろうと思います。けれども、そのことによって分散し、通勤も快適な居住条件というものも得られる。衣食住という、衣と食はどうやらだが住はなしということになって今言われているわけですから、国土長官も毎日これは泣いていることだろうと思うのですね。それを国民に与えるためには、そういう通勤圏を構成することだろうと思うのですね。  そういうことも一つの大きな大臣仕事じゃないのか、自分だけで土地を押さえていればいいというだけじゃなくて、より広範に利用できるようにしていくということもこれは大きな仕事じゃないか、こういうふうに思いますが、その辺は進めていただけるお考えはありましょうか。
  27. 西田司

    西田国務大臣 四国の方ではよく一つどんぶりをつついておったってしようがないじゃないか、こういうような地方の独特の言い方があります。私も東京圏で、確かに一極集中を是正して、そして住宅宅地を供給していくということ、これは基本的に進めていかなければなりません。しかし、このことにはかなりな時間と、それから莫大なお金が要るわけなんでございます。  そこで、今御提言になったいわゆるどんぶりを広げていく、大きな器にしていく、このことは今後非常に大事な考え方ではないかとかねがね私も思っておったわけでございます。ですから、御提言をいただきましたが、このことは、よく関係省庁とも一つの議論をしたり協議をしたりする話題として国土庁から問題提起考えていってみたいな、このように考えております。
  28. 沢田広

    沢田分科員 ぜひプロジェクトでも一つつくりまして、またその関係省庁もその中に入れまして、そしてそういう方向に向けて一歩、二歩前進していくということを特に期待をいたしまして、あと、時間的に限られていますが、地価税、今度制度を発効するわけですが、これがどの程度地価抑制に効果があるのかな、あるいはないかな、これは勘ですね。これからやるわけですから勘なんですけれども、余り効果がないかなと思っておるか、しかしやはりそれでもそのことによって地価抑制にはつながっていく、そういうふうに理解をしておられるのか、その点の見解をお聞かせいただいて、私の質問は半まで、三十三分とはなっていますが、三分、それは大臣がしゃべった分だけですから、その分は私の分でおまけしますから、半に終わらせたいと思いますから、半に終わるように答弁をしていただきます。
  29. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 実は地価税の創設は、土地の資産としての有利性を縮減しまして二度と地価高騰を引き起こせないような構造的な取り組みをしよう、その一環だというふうに理解しております。  ただ、どれぐらい定量的に効果が期待できるかということになりますと、景気や金融状況、あるいは税制以外の土地対策の進捗状況地域状況、そういった要素が入ってまいりますので、明確に申し上げられないわけですが、ただ、この税負担によりまして、着実に土地から上がる収益はその分減るわけであります。先々の期待収益も減少していく、そういう中で地価引き下げ効果は定性的には期待できると思っております。  なお、地価税のほかに固定資産税の評価の適正化や特別土地保有税の強化、さらには長期譲渡所得課税の見直し等々税制全般にわたって総合的な見直しをしていただいておりますので、そういう税制全体の対応とも相まって、相当抑制、引き下げ効果は期待できる、我々大いに土地対策の面からも歓迎しておるところであります。
  30. 沢田広

    沢田分科員 あと二分ぐらい、ちょっと私、意見だけ述べて終わります。  実は平成元年でありましたが、内閣に質問書を出したことがあるわけです。これはリクルートに関係することでもあるわけなんですが、特別土地保有税というのが自治体にはあるわけですね。この特別土地保有税というのは、将来の利用目的によってうんと減税されているわけですね。これの現状、日本の中における地方団体の現状はどうかということの質問を出した。そうしたら、これは秘密だというんでとうとう答えがなかったんですね。  これはひとつ大臣、これも改めて市町村団体が特別の企業に優遇措置を講じている場合もあり得るわけですから、その点は十分審査をして適正な取り扱いをしてもらいたいと思いますし、そのときのリクルートの問題はこの土地のために駅を百メートル動かしてしまったんですね。これは国鉄が動かした、こう言っているのですが、その内容は極めて不明なんですが、このリクルートの土地のところは特別土地保有税が適用されておった。そうしたら、知事が決めた金額では了承できない。売る方と買う方が、リクルートが、買う方が、わざわざ埼玉の土地を、浦和の土地を、大阪の裁判所へ持っていきまして、そこで弁護士同士で話し合って、そして示談にしてその土地の売買を完成させたということで、法務省にも随分きつく言って、今後はしないようにしますというあれはありましたが、とにかくそういう問題も出てきている。  大臣も熱心にやられるつもりがあるならばと言っては申しわけないですが、こういう悪いのもいるわけですから、もっと時間があったときに今度は別な機会にこれらの問題はまた土地局長を含めまして、皆さんの見解と今後こういうことが起きないよう要請したいと思います。  これはもう時間ですから、要請で終わります。
  31. 綿貫民輔

    綿貫主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤乙彦君。
  32. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 私は離島振興及び活性化の問題につきましてお尋ねをしたいと思っております。  私は東京二区という選挙区の出身でございますが、この選挙区は大田、品川という人口過密な都市部と、それから伊豆諸島、小笠原という全く対極的な人口の少ない離島地域で成り立っておりまして、日本の縮図とも言われておりますが、私もこの島嶼地域は何度か訪問をいたしました。自然環境のよさは本当にうらやましい限りでございますけれども、他方いわゆる交通アクセスの問題、それから生活環境ですね、医療の問題、それから高齢化社会の福祉の問題、あるいは文化の問題、さらには産業基盤の問題と非常に厳しい制約下に置かれております。  関係当局には、今までもちろん御努力をいただきまして、その点は多とするわけですけれども、いまだこの過疎化の傾向はやんでおりませんし、どうも全体の発展から取り残されているという印象が非常に強くて、活性化、振興はまだ難しい、率直にそういった印象を持っております。  今後の課題として、こういった自然環境を保全し、かつ、こういった自然資源を最大限に活用しながらどうやって活性化、開発を進めるかというのがこの島嶼地域振興の最大のポイントだと思いますけれども、そういった角度からいろいろな点につきまして御質問をしたいと思います。  まず、海洋開発ということで、これは大臣にお伺いしたいのですが、島嶼地域は大変広大な海洋を擁して美しい自然と豊かな資源に恵まれておりまして、そういった意味では将来の大きな潜在的な可能性を持っておるわけですけれども、離島振興対策における海洋開発の位置づけ並びに今後の海洋開発方策についてお伺いをしたいと思います。
  33. 芦尾長司

    芦尾政府委員 ただいま委員おっしゃいましたように、離島は何といいますか、これから自然志向が高まる中でこの豊かな自然を積極的に生かしていくということで非常に重要な位置づけを与えていかなければならないのではないかと思っております。  その中で、今お話しございましたように、海洋開発の問題でございますが、日本の二百海里水域、国土の十二倍に当たる広大な面積を有しておりますが、近年の二百海里の定着もありまして、その積極的な利用が望まれております。特に、周囲を海に囲まれた日本の外縁を形成する離島が海洋資源開発や漁業生産の拠点基地として果たす役割は極めて大きいものであろうと思っております。  このため、私ども具体的には離島振興対策の中でも公園、海岸環境整備による海洋性レクリエーションの振興や漁港、漁場整備による水産業の振興でございますとか、港湾の整備による臨海部の開発などを実施いたしておるところでございますが、今後とも積極的に取り組んでまいりたい、こういうふうに存じておるところでございます。
  34. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 ぜひともそういう長期的な展望、総合的な視点に立って進めていただきたいと思っております。  次に、具体的な問題に入ってまいりますが、まず交通路ですね。特に離島航路の改善問題でございます。何といっても、島の人たちの一番大きな関心は何よりも交通アクセスの改善ということでございますが、ゆっくりした船で、しかも気象の状況によっては船がなかなか港に着かないということも多々ありまして、こういった交通アクセスが非常に厳しい状況において、この島嶼地域は地理的には近いけれども、心理的、時間的には遠い、これが大きな阻害要因になっております。  したがいまして、まずこの交通アクセスの改善が大変大事な問題でございますが、その観点から、航路補助の現状はどうなっているかということと、それから今後島民が実際に行き来する生活航路の確保、向上を図るため、いわゆる欠損航路に対する国庫補助、離島航路補助について十分な予算措置をしていくことが必要と考えるわけですけれども、この点につきまして所見をお伺いいたします。
  35. 橋本雅之

    ○橋本説明員 お答え申し上げます。  離島の交通機関といたしましての離島航路の維持、整備につきましては、これを図りますために国は地方公共団体と協力いたしまして補助を行っております。  平成三年度の予算案でございますが、三十八億四百万円を確保しているところでございます。なお、先生先ほどお尋ねの伊豆諸島航路でございますが、元年度予算におきまして、国全体で三十七億三千七百万円の予算額に対しまして、国は伊豆諸島航路に対しまして一億八千百万円の補助金を交付しているところでございます。  それから二点目でございますが、離島航路に対する国庫補助の十分な措置の点でございますが、国は離島航路の維持並びに整備を図りますために、従来から欠損航路に対しまして地方公共団体と協力して航路補助を行っております。三年度の予算におきましても、新規航路一航路を含めまして、全体で百三十六航路を対象に前年度を上回ります予算措置三十八億四百万を予定しておりまして、今後とも離島航路の維持、整備につきまして支障が生ずることのないように努力してまいりたい、かように考えております。
  36. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 通常の船に対する援助をぜひ強化をしていただきたいと思っておりますけれども、他方、最近ジェットフォイルがどんどん島嶼間にも導入をされております。伊豆諸島では、大島へはジェットフォイルが運航しておりますが、ただこれは今のところまだ観光目的だという理解が強くて、これに対する補助、援助は行われておりません。  しかしながら、実際に島の方々の意見は、もうこれからは高速時代ですから、どんどんこういったものを活用して、例えば花卉とか新鮮な野菜の運搬あるいは人の移動につきましても、これからはやはりジェットフォイル、高速船がどんどん主流を占めていくべきである、したがってこれは生活必需のものであるという意見が非常に強くなっております。したがって、今後はぜひともこういうジェットフォイルなど高速船の一層の導入、それに対する離島航路補助がぜひとも必要と考えるわけでございますけれども、この点につきまして御意見をお伺いしたいと思います。
  37. 橋本雅之

    ○橋本説明員 離島航路につきましては、離島住民の必要最低限の足を確保するという観点から、従来から当該航路の欠損額に対しまして補助を行っております。ジェットフォイル等の超高速船につきましては、こういった趣旨に合致しないために離島航路補助制度の対象とはなっておりません。しかし、離島住民の利便性、快適性の向上といったことを図りますために、離島航路の特性に応じました船舶の高速化は現在図っているところでございます。
  38. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 これは住民の方からぜひともこういう高速船、ジェットフォイルも含めて、もう高速の時代ですから、補助をしてほしいという強い要望が出ておりますので、ぜひともこの点を踏まえて対応をしていただきたいと思っております。  続いて医療の問題でございます。この医療も実は交通アクセスと並んで大変重大な島民の関心事でございます。本土に住んでおる人間からはちょっと予想ができないほど医療の問題というのは非常に深刻な問題でございまして、小さな診療所ぐらいは大体どこでもありますけれども、やはり急病とか重大な事故とかあるいは非常に専門的な治療を必要とする病気には対応できないわけでして、他方、交通のアクセスの問題もありまして、都心へ出ればいいといってもなかなかそう簡単にはいかないということで、この医療問題、非常に今重要な生活上の問題となっております。  そこで、この医療の問題についてお伺いをしたいわけですが、まず国としてこの医療振興策の中でどういう支援を行っているか、お伺いをしたいと思います。
  39. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 お尋ねのことでございますが、離島における医療対策についての基本的な考え方をまず御説明申し上げたいと思います。  離島等の僻地における医療の確保につきましては、昭和三十一年度より六次にわたるへき地保健医療計画を策定をいたしてきておりまして、僻地中核病院や僻地診療所の整備など各種の施策を講じてきたところでございます。現在の第六次計画は本年度で終了いたします。こういうことから、平成元年よりへき地保健医療対策検討委員会を開催をいたしまして、平成二年四月に今後のへき地保健医療のあり方に関する報告書をいただいたところでございます。これを踏まえまして、平成三年度においては従来からの施策に加えまして新規事業として、まず僻地勤務医師など確保事業の実施を図ること、第二に、僻地中核病院の運営費の充実などを行うことといたしておりまして、今後とも僻地医療の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
  40. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 その方針は理解するんですが、現実に医療に従事する人がいないというのがこれは島の最大の課題でございます。今いろいろ御説明があって、人を確保する方針だとおっしゃっておりましたが、現実にお医者さん、看護婦あるいは臨床検査技師等の人が来ない、来ても非常にすぐ帰ってしまうとか定着しないということもありまして、もちろんいろいろ人事上の配慮とかいろんな条件等もあるんでしょうけれども、実際に医療に携わってくれる人がなかなか来てくれない。これが大変な重大な課題として現地は悩んでおりまして、ぜひともこの点につきまして何か抜本的な対策、確保の施策はできないものかということで、改めてこの点につきましてお伺いをしたいと思います。
  41. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 先生の御指摘でございますが、特に離島などの僻地の医療従事者の確保は大変難しいわけでございますが、その中でも特に中核をなします医師及び看護婦についてちょっと申し上げますが、医師などにつきましては無料の職業あっせん事業、あるいは医師の定着を目的とした研修の実施、あるいは代替医師の派遣や看護婦確保対策などを講じてきたところでございます。しかしながら、御指摘のように医学医術へのおくれやあるいは子弟の教育問題など、こういう個別の問題もございまして、継続して医師などを確保することが困難であったことは事実でございます。  そこで、平成三年度でございますが、三年度から大学病院などから一定の期間医師を僻地診療所へ派遣するへき地勤務医師等確保事業を、先ほど申し上げましたが新たに実施することといたしまして、さらに僻地診療所等の建物の整備の補助対象に新たに看護婦住宅を加えるなどいたしまして、これらの対策の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
  42. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 ぜひともその方向で強力に進めていただきたいわけですけれども、特に実際に離島に行く医療従事者、その人の後方支援というんですか、住宅、教育その他、これはやはりきちっと後方支援をやっておかないと、ただ方針だけ出したって人は行かないということですから、その点も特に配慮して今後の人の確保の点につきまして強力な施策を進めてもらいたいと思っております。  それから、島の場合、救急医療、何かあった場合にはヘリコプターで東京都の中の病院へ運んでくるとか、巡回診療の形で、内科やなんかは時々あるわけなんですけれども、やはり救急医療もまだまだ改善すべき点が多々あるし、巡回診療なども、特に専門医ですね、眼科とか耳鼻咽喉科の専門的な角度のそういったお医者さんにはなかなか来てもらえないということもありまして、ぜひこういった点についても強い改善要望が出ております。この点につきまして御意見をお伺いしたいと思います。
  43. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 まず救急医療体制のことについてでございますが、救急医療体制については、受け入れ側の医療機関の体制はまあまあ整ってきておるわけでございますが、特に今御指摘の僻地の場合には時間的な問題がある等で搬送途上の医療の充実が今大きな課題となっておるところでございます。厚生省では救急医療体制検討会を昨年度から設置をいたしまして、これまでに医師などが救急用自動車あるいは飛行機、船舶もございますが、同乗して救急現場に出動するドクターカー制度の充実、それから医師の判断を直接現場に届けるいわゆるホットラインのシステムの導入、また新たな国家資格制度として、医師の指示のもとに高度な応急処置を行う救急救命制度の創設が必要である旨の御報告をいただいたところでございます。  これらの検討結果を踏まえまして、平成三年度予算案におきまして、ドクターカー制度の普及を図るための救急現場医療確保事業の実施を図り、また、救急救命制度創設のための法律案を今国会に提出するほか、離島など搬送時間の長い地域の場合は、消防機関等との連携のもとにヘリコプターの活用方策について検討を進めておるところでございます。  また、離島の巡回診療に専門家がなかなか得られないという御指摘でございましたが、現在、無医地区を対象としております巡回診療に対して補助を行っているところでございますが、診療所のある地域については無医地区ではないということから補助の対象等とはなっておらないわけでございます。しかしながら、住民の高齢化などにより要望の高い、先生の御指摘の眼科、耳鼻咽喉科などの特定の診療科の医療を確保することは非常に大事でございますので、これらの地域において実施される巡回診療を補助の対象とするよう前向きに検討を進めたいと考えております。
  44. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 ぜひその方向で前向きに対処を強くお願いをしたいと思っております。  続いて、高齢者対策の問題でございますけれども、この島嶼地域、特に顕著な傾向として、都市部に比べても高齢化が著しく進展が速いということでございまして、例えば数字をとってみますと、いわゆる高齢化人口、東京都の都市地域では八・九%になっておりますけれども、島嶼部ではこれが一五・六%、ほぼ倍に近い数字になっておりまして、特にこの島嶼地域ほど高齢化対策が必要であるという状況になっております。  そういったことで高齢者の福祉施設の整備、在宅福祉の充実等、非常に必要でございますけれども、他方、小さな離島などでは特別養護老人ホームの設置基準が高過ぎるという状況にあります。現在、一応設置基準は一般的には五十ベッドになっておりますけれども、離島では三十となっております。しかしながら、小さな島ではこれでもなおかつ基準が高過ぎるわけでして、これに合わないところでは、地元の要望も強いのにそういった施設がなかなかできないということがありまして、ぜひとも今後はベッド数の基準を少なくして、あるいは他の福祉施設との併設をできるようにするとか、あるいはまた運営費の補助を行うなど、離島の実態に即した、もっとケース・バイ・ケースできめ細かく検討した上での補助制度考えるべきだと思うのですけれども、この点につきましてはいかがでしょうか。
  45. 中村秀一

    ○中村説明員 離島におきます高齢者対策、特にその施設の整備につきましてのお尋ねでございますが、先生御指摘のとおり、離島におきます高齢者人口、大変割合が高くなっておりまして、我が国平均の十年先を行っておる。全国平均でいきますと、約二〇〇〇年のときの高齢化率を既に達しているということで、離島における高齢者対策、これは前向きに取り組んでいかなければならない、このように考えております。また、施設の利用人数も離島の場合には少ないというようなことで、施設の安定的な運営というのが難しい場合が多い、こういうふうに認識しておりますので、これらの離島の実情に即しました施設整備を進めることが必要である、こういうふうに認識いたしております。  現在、国におきましては高齢者保健福祉推進十か年戦略というものを立てまして、これに従いまして平成二年度を初年度として二〇〇〇年までの間の保健福祉施策の目標を定めております。高齢者の施設対策につきましてもこの十か年戦略に沿って進めてまいりたいと思っておりますが、この中で離島とかそういう地域におきましては、介護機能でございますとか居住機能、交流機能、こういったものを総合的に提供する小規模複合型の施設が適しているのではないかということで、高齢者生活福祉センターというものの整備を進めることといたしております。なお、この高齢者生活福祉センターというものの整備を進めることによりまして離島における高齢者の福祉対策の前進が図られる、こういうふうに考えておりますので、この整備に努めてまいりたいと思います。
  46. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 設置基準の緩和の点はいかがでございましょうか。これはもちろんなかなか難しい事情はあると思いますけれども、もう少し弾力的に運用することはぜひ必要だと思いますけれども。
  47. 中村秀一

    ○中村説明員 先生御指摘がありました設置基準、特に離島では一般の設置基準五十人以上に対しまして三十人以上、これは特別養護老人ホームでございますが、緩和いたしておりますが、なおそれでは困難である、こういうことがございますので、ただいま申し上げました高齢者生活福祉センターにつきましては居住部門は十名程度でいい、こういう運用をいたしておりますので、これで人数の少ない地域については対応していただけるのではないか、このように考えております。
  48. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 次はリゾート整備の問題をお伺いします。  今、リゾート法があるわけでございますけれども、ただ伊豆諸島では個々の島がリゾート法の適用を受けることが難しい。規模が小さいわけでして適用を受けることが難しいわけですが、他方、離島の実情に応じたリゾート法の要件緩和が必要ではないかと思いまして、ぜひとも弾力的な運用をお願いしたいと思うわけでございますが、この点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  49. 芦尾長司

    芦尾政府委員 離島の保有する良好な自然を生かした離島の整備を行うということは離島振興の大きなインパクトになるということは御意見のとおりでございまして、そこで島嶼地域の問題でございますけれども、一般にこれは良好な自然条件に恵まれておりまして、総合保養地域としてのすぐれたポテンシャルを有するところが多いということを認識しております。  そこで、総合保養地域整備法によります基本構想の承認に当たりましても、リゾート開発地域振興に占める重要性にかんがみましてその地域の実情に応じた離島を含んだ総合保養地域も認めておるところではあるわけでございます。今御指摘ございましたそれぞれの離島について、そういう意味ではこの総合保養地域法で言います面積要件といいますか、そういうものになかなか適してこないといったようなことから、個々の離島につきましてこの整備法で整備していくということにつきましてはなかなか難しい要件にはなっておるかとも思いますけれども、離島一般につきましてはそういう感覚で私どもも進めておるわけでございます。今後とも関係都道府県の意見も十分聞いていきたいと思っております。
  50. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 ぜひともこのリゾート法の弾力的な適用をお願いしたいと思っております。  続いてマリーナ整備の問題ですが、外洋型の大型レクリエーション基地としての可能性を生かして外洋型マリーナをつくることは大きな一つの課題になっておりますけれども、その整備方策につきましてお伺いをしたいと思います。
  51. 芦尾長司

    芦尾政府委員 マリーナの問題でございますけれども、国民の自由時間が増大してまいりまして海洋レジャーに対するニーズが高まってきておりますが、その中で離島の特性を生かしたこういう海洋レジャーの拠点整備といいますものは、これまた先ほどのリゾートの開発の一環でもございませんが、重要施策であると認識はいたしております。  これから離島の特性を生かした振興を図ってまいりますために、このマリーナの整備が行われるわけでございますが、現在、地方港湾の整備事業という形で整備が進められるということになっておるわけでございますが、まだ現在のところ現実問題としては離島のマリーナの整備は行われておりません。いろいろ御要望があるということは承っておりますので、私どもといたしましてもこれからそうした地域の実情や要望を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
  52. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 次は小笠原の振興につきましてお聞きをしたいと思います。  小笠原諸島は、御承知のように本土から千キロも隔たった外海の離島でありますし、昭和十九年の強制疎開以来、昭和四十三年の返還までの間、島民の帰島が許されずに無人島であった。あるいはまた、戦後我が国の施政権が及ばず米軍の施政権下にあったなどの特殊な事情があったわけで、こういったことを考慮しまして復興法、振興法、それから振興開発法など特別法に基づいていろいろな施策が講じられてそれなりの成果を上げてきたのでしょうけれども、この小笠原を今後の離島振興一つのモデルとしてどう考えていくかという角度もありますので、小笠原に絞ってお聞きをしたいわけですが、これまでの小笠原の投資額はどうなっているか、それからこの平成三年度の予算の内容はどうなっているか、これにつきましてまずお聞きしたいと思います。
  53. 芦尾長司

    芦尾政府委員 平成元年度より新しく振興開発事業に取り組んでおりますが、昭和四十四年度から平成元年度まで二十一年間におきます法律によります投資額といいますか、これが総事業費で六百三十九億四千百万円、こういうことになっておりまして、道路、港湾等の交通施設整備住宅生活環境等の生活基盤整備、農業、漁業等の産業基盤整備等に重点的に取り組んでおるところでございます。  それから、平成三年度の事業でございますけれども、平成三年度の予算は総額で二十一億八千九百万円、こういうことになっておりますが、対前年で九・一%増ということになっております。公共的な事業関係経費では二十億五千七百万円、それから非公共的事業関係で一億三千百万円、こういうことになっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、平成三年度における施策のうちで公共的な事業につきましては、道路、港湾等の交通施設整備、農業、水産業等の産業振興のための経費、住宅、簡易水道、し尿処理等の生活基盤整備事業等を進めることとしております。それから非公共的事業でございますが、これにつきましては、ただいま御議論がありましたが、診療所医療の充実を図りますほか、航空路開設のための調査なんかも行うことにいたしております。  なお、特に港湾整備促進を図りますために、ことしでございますけれども、生活関連経費重点化枠として一億円を計上いたしております。
  54. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 小笠原の今後の振興に当たって産業基盤は非常に大事なわけでして、いずれも農業、漁業あるいは観光開発、こういったことが基盤になると思いますけれども、それぞれ簡単に今後の振興をどう進めていくか、ポイントなりともお聞かせいただきたいと思います。
  55. 芦尾長司

    芦尾政府委員 まず産業振興の中の農業関係でございますけれども、小笠原の主要生産が花卉、観葉植物とか果実類の問題がございますが、これは六十二年二月十五日にウリミバエの根絶が宣言されております。そういったようなことで、これからもますます発展することを私どもといたしましても望んでおるわけでございますが、ただ特に農業者の高齢化対策でございますとか交通条件の制約等課題が多く、こういった問題につきまして私ども積極的に取り組んでまいらなければならないのじゃないかと思っております。  それから漁業関係でございますが、漁業につきましては実は最近漁獲量が増大し、また若年の漁業従事者の増加も見られておるということで確実な発展を遂げてきておると思いますが、今後、漁船の近代化でございますとか、それから蓄養殖が大分盛んになっております、こういうものを通じまして生産の拡大を図り、さらに流通の改善といったことにも取り組んでまいらなければならないと思っております。  それから観光開発でございますが、これは最近、自然を生かした観光開発といいますか、小笠原のホエールウオッチング、鯨を見るあれでございますが、そういうものも非常に盛んになってきております。いずれにいたしましても、国土庁といたしましてはこうした美しい海を国民共有の財産として生かして、そして農業、漁業の振興とあわせた観光振興を図っていかなければならないというふうに考えております。
  56. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 最近、東京都が小笠原諸島の二十一世紀ビジョンというものをつくったことは御承知と思いますけれども、これは国としてはどう評価をしておられますか。
  57. 芦尾長司

    芦尾政府委員 小笠原の開発に当たりまして、その振興開発事業の実施に当たって、ただいま申し上げましたが、自然環境の保全に配慮することが重要でございますが、そうした方針に従って各種振興開発事業推進しております。  ところで東京都におきまして、ただいまお話がございましたが、昨年の八月に知事の諮問機関として東京都小笠原諸島二十一世紀ビジョン懇談会、こういうものを設置されまして、去る二月四日に答申がなされております。その中で小笠原諸島の二十一世紀のビジョンといたしまして亜熱帯・海洋性自然環境との共生ということが基本理念とされております。私どもといたしましても時宜を得た取り組みと評価をいたしておりまして、そこに述べられております基本理念をも念頭に置きまして今後の振興開発事業推進を図ってまいりたいと考えております。
  58. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 時間がありませんので、最後に一言大臣にお聞きしたいのです。  私、この島の問題に取り組んできて一つ感じていることは、活性化、振興努力、関係省庁大変取り組んでいただいているわけですけれども、施策が断片的ではなかなか効果が上がらない。やはりトータルプランといいますか、時間は十年あるいは十五年、総合的ないろいろな施策を集中的にやる、ビジョンを明確にして、求心力のある魅力あるビジョンをつくって、そのもとに総合的に集中的に投資を進めていく、こういったトータルプラン的な発想がないと活性化がなかなか難しいという印象を持っておりまして、ぜひとも今後そういう取り組みをすべきではないかと思っております。これにつきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  59. 西田司

    西田国務大臣 先ほどから、離島問題にかかわる御議論、やりとりを私はじっと聞いておりました。  そこで、時間がちょっと来ておるようでございますけれどもお許しいただいて、本土と隔絶されておる非常に厳しい自然条件の中の離島住民、離島生活でございますから、私はまず第一番に、交通あるいは情報通信、こういうものが本土と変わらないような条件に持っていかなければいけない。その中で、御指摘になりました今のジェットフォイル等の問題も真剣に検討をしていくべきだ、私はこのように思っております。  それから、もう一つ大事なことは、やはり離島の産業だと思うのです。それは、農業であれ、特にこの海洋性の漁業であれ、このことにどのように今後国が強力に力を入れて、そしてその地域の固有の産業として育てていくかということが、私は非常に大事なのではないか。  それから三点目は、やはり島に住んでおられる方々の生活の問題、その中で医療の問題を先ほどお話しになりました。私もふるさとで離島を抱えておるものでございますから、この島の人たちの医療に対する不安というものは、我々が考えられないような不安を持っておるわけで、そういうことを考えますと、この住民生活というものをどうしていくかな、こういう安定をさせて希望を持たせてやっていくようなことが、今まさにあなたが言われたトータルプランの中で組み込まれていかなければいけない。  そこで、過去において四回の更新を続けてきたわけでございますが、平成四年度末にはこれはまた改定期に来ておるわけなんです。私は、この十年間の過去を振り返りながら、世の中の変化やあるいはまたニーズや、そういうものを踏まえて、本当に生きた離島政策というものが力強く進んでいくようなことに今から取り組んでやっていくべきだ、こういうまことに少し力んだ言い方でございますけれども、そういう考え方でございます。
  60. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)分科員 大臣の大変力強い御意見を伺いまして、心強い限りでございます。住民本位の、そして夢を与えるような開発及びその活性化にぜひ今後とも取り組んでいただくことをお願いしまして、私の質疑を終了いたします。ありがとうございました。
  61. 綿貫民輔

    綿貫主査 これにて遠藤乙彦君の質疑は終了いたしました。  次に、河上覃雄君
  62. 河上覃雄

    河上分科員 私は、地震の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  改めて言うまでもありませんが、我が国は環太平洋地震帯に位置しておりまして、地殻変動が厳しく、地震活動が活発でございます。日本国土と周辺の大陸棚の面積は世界の総面積の〇・一%にすぎないとされておりますが、そこから放出される地震のエネルギーというものは地球全体の約一割を占めて、その結果我が国におきましては、マグニチュード八クラスの巨大な地震が十年に一回、マグニチュード七クラスの大地震が年に一回程度で発生をしております。最近とみに言われておりますが、相模湾西部、小田原周辺でございますけれども、マグニチュード七クラスの地震の発生の切迫性を指摘する意見等もございます。この地震発生の切迫性に関して、まず見解を伺いたいと思います。
  63. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 南関東地域の地震の切迫性に関する御質問であったかと存じます。  昭和六十三年六月でございますが、中央防災会議地震防災対策強化地域指定専門委員会におきます検討結果中間報告が出されております。ただいま御指摘のございました南関東地域の地震につきましては、ある程度の切迫性があるというふうに考えておられます。なお、先生仰せられました相模湾西部におきますマグニチュード七クラスの地震の発生の切迫性については、それを指摘する意見があるというような付記がそこになされてございます。
  64. 河上覃雄

    河上分科員 大正十二年に関東大震災があったわけでございますが、東京、横浜を焼き尽くすような大火災が発生いたしまして、死者が十四万人を超えるという痛ましいものであったわけでございます。地震そのものによる被害というよりも、これも重要な問題でありますが、特にそれに伴って発生する火災による焼死者、負傷者、これが非常に多いわけであります。  こうした事実認識を地震の際に私どもも持ち合わせなくてはならないわけでありますけれども、今日、南関東地域には多くの都市がございますし、都市のネットワークが複雑になってきております。そうしてまた、石油コンビナートなどの危険物施設や悪い地盤での住宅開発など、地震の被害を大きくするためのものも少なくないと思っているわけであります。さらに、直下型地震によって、震源が浅いために大きな被害を発生するおそれも考えるわけでございますが、新潟地震での石油コンビナート火災、あるいは地盤の液状化による鉄筋コンクリート住宅の被害や落橋による交通障害、宮城県沖地震におけるライフラインの被害などは、現代の地震災害の典型的なもの、このようにも言えるのではないかと思います。  こうした状況を踏まえながら、神奈川県におきましても、県の面積の半分程度がこうした強化地域に現在指定をされておるわけでございます。昭和六十三年六月二十七日の南関東地域に関する中間報告では、予知を前提とする現行の大震法での強化地域の指定は現状では法的に熟していないとされておりますが、しかし直下型地震に関しても何らかの方策が必要ではないか。その観点からすれば、例えば強化地域に準じた地域指定等を行ったり、地震防災対策をより効果的に進めていくべきではないか、こう思うわけでございますが、お伺いしたいと思います。
  65. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 先生御指摘のとおり、人口、諸機能が集中いたします南関東地域におきましては、関東大震災の経験、そしてまた、その後の内外の地震被害の経験を踏まえまして、今日まで関係省庁、関係地方公共団体により各種の震災対策が講じられてまいってきております。この間、六十三年六月、御指摘のとおり中央防災会議地震防災対策強化地域指定専門委員会中間報告におきまして、マグニチュード七クラスの南関東地域直下の地震の発生はある程度の切迫性があるというふうに言われたわけでありますが、そこにもございますとおり、その予知は現状では非常に難しいということでございます。  このため、南関東地域につきましては、大規模地震対策特別措置法に基づく地震防災対策強化地域にこれを指定いたしまして、地震の直前予知を前提として警戒宣言の発令、それに基づく地震発生前の応急対策の実施など、東海地震の場合と同様な直前対策を講ずるということができない状況にございます。ただ、こうした状況の中で、同地域の震災対策を一層充実強化していくためには、当面する予知困難な直下の地震に焦点を当てまして、政府全体として取り組むべき対策推進の方針を策定をし、その強力な推進を図る必要があるというふうに考えております。  このため、平成三年度予算案におきまして所要の経費を計上させていただいております。南関東地域直下の地震に備えた今後の震災対策推進方針として、南関東地域直下の地震対策に関する大綱の策定を図るようにお願いをいたしてございます。この大綱は、申すまでもありませんけれども、課題抽出型の政策方針として策定、検討したいというふうに考えております。具体的内容につきましては、今後関係省庁検討を図っていく必要があるわけでございます。  それで、注意すべき点が幾つかあろうと思いますが、その中で二つほど例を申し上げますと、まず一つは、対策を講ずべき地域の範囲というものをどうやって考えていったらいいだろうかということ、そしてまた、ライフライン被害等都市型の地震災害の防止、軽減をどのように図っていったらいいかというようなことでございます。いろいろ問題がございますので、これから議論を深めてまいらなければならないというふうに考えております。
  66. 河上覃雄

    河上分科員 既に「南関東地域震災応急対策活動要領」、これが策定されているわけでございまして、直下型地震による被害を軽減するためには、これだけでは不十分なのではないか。高層ビルやあるいは地下鉄などによる都市型災害への安全強化を図るためにも、さらに具体的な事業計画をつくる必要があるのではないか、こう思うわけでございますが、この点についての御見解を伺いたいと思います。
  67. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 南関東の地域におきましては、仰せられましたとおり人口、諸機能が集中してまいりまして、都市構造が大きく変わってまいっております。仰せのとおり、ライフライン、コンピューター、情報通信システム等の発展、あるいはまた高層ビル、地下鉄、地下街など都市空間の高度利用、あるいは経済活動を初めとする都市活動の二十四時間化といったように、現代の大都市に特有な都市型災害の発生拡大の要因を抱えていると考えております。  この地域におきましては、関東大震災の経験、そして内外の地震被害の経験を踏まえまして、今日まで、中央防災会議で決定をいたしました大都市震災対策推進要綱あるいはまた「当面の防災対策推進について」といったようなものから、地方公共団体の地域防災計画、震災対策編でございますが、こういったものに基づきまして、関係省庁、関係地方公共団体挙げて幾つかの具体的な行動を今日までとっております。  例を申し上げますと、一つは都市の不燃化、公共施設や建築物の耐震性の向上、避難地、避難路の整備、情報通信の拠点機能、ライフラインの供給ルートの多元化といったような、都市防災化の推進でございます。そしてまた「南関東地域震災応急対策活動要領」、六十三年の十二月でございすが策定をいたしまして、広域的な応急対策活動の体制の整備を図っております。また、地震予知の実用化のための観測、研究の推進といったような施策も図ってございます。こういった施策を各省こぞって、地方公共団体とともどもに今日まで実施をしてまいりました。  ただ、これから検討を進めてまいります南関東地域直下の地震対策に関する大綱の検討に当たりましては、従来のこれらの対策を再度点検をいたしまして、このような都市型地震災害の防止、軽減を図る上でのさらなる対策の必要性につきましても、鋭意検討を進めさせていただきたいというふうに考えます。
  68. 河上覃雄

    河上分科員 先ほど申し上げました中間報告の中においても、それら諸般の情勢に基づいて対策が講じられていると思いますけれども、これはしっかりと計画、そして策定し、実効性のあるもの、これをお願いしたいと思います。  そこで、具体的に何点か質問をさせていただくわけでございますが、橋ですね。神奈川県内におきましてもかなり大きな一級河川がございまして、無数の橋がこの川にかかっております、相模川であるとかあるいは酒匂川であるとか。老朽化したもの等もございます。そして、これを計画的に直していこう、こういうものもあるわけでございますが、橋が落ちることによって発生する被害、これを考えておかなきゃいかぬ。輸送路を遮断して物資やあるいは人の移動等を閉ざしたり、こうした現象は極めて大きいものでございます。  そこで、現在橋の安全基準はどのようにこうした側面からなっているのか、また、その安全性を確保するためにどんな対策が講じられているのか、これは建設省になろうかと思いますが、見解を伺いたいと思います。
  69. 酒井孝

    ○酒井説明員 河上先生の御質問にお答えいたします。  道路橋の耐震の基準とそれから安全性の確保の二点だと思いますけれども、まず建設省といたしましては、大規模地震等における避難路の確保及び被災地への救援物資やあるいは復旧資材の緊急輸送等の確保を図るために、極めて重要であるというように認識しております。この中でも、被害が生じた場合に、その被害が大きいと考えられる橋梁につきまして、耐震性の確保を図っていくことが特に重要と考えております。  まず、我が国の道路の設計につきましては、先ほど来もちょっと触れましたけれども、一九二三年、大正十二年の関東地震等の地震の経験を生かしまして、それらのことをベースにして耐震設計の技術基準を定めております。現在の耐震設計法は、地域あるいは地盤等に応じて設計震度を定め、これに応じた地震力に耐えられるように橋の各部の強度を定めるとともに、関東地震に匹敵するマグニチュード八クラスの極めてまれな大規模地震に対しても、橋脚の破損等の被害が生じないよう処置しており、またさらに、落橋防止対策を講じて万全を期しているところでございます。  また、既に供用している橋梁につきましては、特に一九七一年、昭和四十六年になりますけれども、ロサンゼルスの被害の教訓を生かしまして、道路橋の耐震性の一層の向上を図り安全性を確保するために、昭和四十六年以降、適宜震災点検を行い、その結果に基づいて、けたとけたを結んだりあるいはけたと下部工を結んだり、あるいはけたが載っている下部工を広げる等の落橋防止策や、また一部の下部工の補強を行うなど、対策を行ってきているところでございます。したがいまして、我が国の道路橋の地震に対する安全性は十分に確保されている、かように考えております。
  70. 河上覃雄

    河上分科員 十分であると言いますので、絶対に壊れない、こういうことじゃないかと思っておりますが、私、いろいろと思うところがございまして、防災意識の高揚というのはもっと進めていかなくちゃいけない。この東海地震もそうでございますし、今、南関東地震もこれはなかなか想定にくい、こういう御見解があったわけでございますが、我が県でもあるいは静岡県の方においても、だんだんその推移に伴ってこうした意識が薄れていくという現象があります。しかし、地震はいつ起こってくるかわからないし、これは起こってしまえば大変な大問題になる。そのために、日常的な防災意識の高揚化を図るという観点は極めて必要ではないかと思っております。  毎年、防災の日、それと、それを前後いたしましてイベントやセレモニー等が実施をされるわけでございます。それだけでは防災意識に関して、一定の効果を上げているとは思われますけれども、不十分じゃないのか、こんな感想を持っております。震災による被害を最小限にとどめていくためには、やはり住民の方々のこうした意識高揚、そして日常的な知識、さらに起こった場合の情報等、いろいろな側面から住民の方が意識することによって災害も防げるのではないだろうか。そういうことで、そういう観点から、私はさらに日常的な防災意識の高揚を図るべきではないかと思っております。  パンフレット等、時たま出ますが、それ以外なかなか出てまいりません。年一遍の年中行事みたいな格好になっている場合もありまして、これではだんだん風化してしまうのではないか。今テレビの時代でもありますし、マスメディア等を通じて広報宣伝をしっかりと活発に行っていくべきではないか。また、行政としてできることもさまざま私は考えられると思うのです。広報の活用であるとか、一定程度枠をとって日常的に防災意識の高揚を図るとか、そうした側面も対策一つとして具体的に講じられていくべきではないかと私は思うわけでありますが、こうした考え方ですね、大臣答弁いただきたいと思います。
  71. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 大臣からお答え申し上げます前に私から、ただいま現在、いろいろ国・地方公共団体を通じてやっております防災意識の高揚、啓発のための施策について、ちょっと例示を申し上げさせていただきたいと存じます。  震災によります被害を我々最小限にとめなければならないわけでありますから、平素から地域住民を対象といたしまして、テレビ等による広報というのをできる限りやらしていただいております。自治体におきましては、大変数多くやっておるという数字もちょうだいをいたしております。それからまた、防災週間を決め、防災フェアを開くあるいは講演会を開くというようなことで、随所でこういう行事をやらしていただいてもおります。それからまた、自治体によりまして、パンフレットを配布させていただきまして、地震の知識、そして避難のための施策といったものを家族で講じていただくというようなことを通じまして、知識の普及活動を図らしていただいております。  それから、学校におきましては、小学校、中学校におきまして安全指導の手引というものの策定を既にしていただきまして、教員の方々の防災に対する意識を上げていただいております。そしてまた、これによりまして、特に小学校の手引でございますけれども、中では、安全行動の仕方に重点を置いて、内容も改善を進めていただいておると聞いております。また、教員向けの防災関係の教育資料の配付といったことも国の方からさせていただいております。  それからまた、大都市の既成市街地等を対象といたしまして、災害時には災害活動の拠点とする、そして平時には防災に関するPR、教育訓練の場としてこれを使っていただくというようなことで、防災基地をモデルとして整備をしていただくという事業を現在やっていただいております。 また、国の方のこういうモデル事業、補助事業によらずに、地域独自で防災センターというようなものを設けて啓蒙活動をしていただいてもございます。  それからまた、今日重要なのは、企業におきます防災の活動であろうかと思います。企業におきましても、防災意識を高めるために、防災活動というものを盛んに行っていただいております。消防計画で防災の計画を決めること、あるいはまた、地域の防災計画の中で位置づけを与えることといったようなことをやっていただいております。  それからまた、これは国のレベルになりますが、国際防災の十年ということで、昨年からこの十年間を、一九九〇年代を防災の十年といたしてございます。国連の決議に基づきまして、日本におきましても既にスタートさせていただいておりますが、こういったキャンペーンもいたしてございます。それから十月九日、国際防災の日というのが決められてございます。こういったものの普及にも努力をさしていただきますが、ことし平成三年は地震をテーマにして、防災十年の行事、サミットのようなものを開ければということで、現在企画をいたしておるところでございます。  以上であります。
  72. 西田司

    西田国務大臣 今、委員は防災意識というものを国民の日常生活の中でもう少し啓発、普及をしておかなければいけないのではないか、こういう御指摘であったと思うわけでございます。  私は、戦時中に育ってきた男でございますから、最近のことをこう考えております。戦後いろいろな世の中の移り変わりに伴って、失われたものや忘れられたものがたくさんあるわけでございます。その中で、どうも最近人間というのが物事の恐ろしさというものを忘れかけてきたな、こんなことを考えておるわけであります。防災対策というものの一番基本になるものは、これはいかに国やあるいは地方自治体やそういうところで取り組みましても、地震にかかわらず、これは自然災害、台風を初めとして洪水、こういうことに対する個人個人の皆さん方の防災意識というものが、一度災害が起きたら大変なことになるんだということが根底になければ空振りに終わってしまう、私はこう思っております。  ですから現在、先ほども防災局長お答えをいたしましたが、私就任をいたしまして、防災意識をどうしたら高めていくことができるか、もう少し国民生活の中に身近に皆さん方が自覚をしてもらえるようにするか。今テレビや新聞やいろいろなことが発達をした。そういうことをひとつ研究して、委員指摘のような意識の高揚というもの、高揚だけでなくて定着をして、いざというときに備えていく体制をやろうじゃないかということで、最近からこれを研究をさせておるというところでございます。御指摘はまことに当を得た大事なことであると考えますので、国土庁としても今後重点的に防災の中で取り組んでいきたい、このように思っております。
  73. 河上覃雄

    河上分科員 ありがたい御答弁をいただいたわけでございますが、現状は、今いろいろと網羅的に例をお述べになりましたが、点でしかない。それが一つ一つ関連性を持ってない。ここがやはり一つの大きな問題ではないかと思っております。人命尊重という観点からも、またそうした点を未然に防ぐ意味においても、これは大臣の御答弁あったように鋭意研究され、そして具体化をしていただければ、こう思います。  さらに、例えばこれは地震が起こった場合、時間ももう限りがございますので端的に申し上げますが、警戒宣言発令時の対応措置という観点から一、二点お伺いしたいわけでございますが、この応急対策活動の成否を左右していくのは情報であると私は言えるのではないかと思います。この警戒宣言が発令された場合に、例えば大きな病院等どういう対応措置をとるのか。あるいはまた地下街等、人の集まるところ、新幹線であれば通信網によってそうした情報も与えられるでしょう。タクシー等もこれは無線によって与えられるわけです。しかし、全くそれが不可能なものもありまして、バス等、これはなかなかそういうシステムを持ったものになっておりません。こうした場合、特に身動きがとれない病院等あるいは老人ホーム等、これはかなり難しい問題が残るのではないかと思っておりますけれども、こうした場合どのような対応措置を企てられるのか、これに対する具体的な見解をお尋ねしたいと思います。
  74. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 東海地震の際に、警戒宣言が発せられますといろいろ措置が講ぜられることになっております。まずもって、もちろん情報をつぶさに収集をいたしまして、これを正しく地域人たちに伝えるという職務が公的な機関の者に義務づけられます。それから、避難誘導等の準備も必要になってこようと思います。それからまた、地震発生前の応急対策に万全を期するというようなことで、施設整備をあらかじめしておくようなことになりますが、前の対策として、ただいまバス、タクシー等でございますが、強化地域内におきましては連行を中止をするようなことになってまいります。それから、病院におきましては、外来の診療は中止をいたしまして、それから今後の対応の措置をその病院ごとにあらかじめ防災計画として計画をいたしてございますので、それにのっとった行動をそれぞれがとることになっております。鉄道関係におきましては、最寄りの駅に安全に停車をしておくというようなことにもなってまいります。それから、ガス、水道、電気、電話等につきましては、もちろん供給はいたしてございますけれども、その後のいろいろな措置が速やかに講ぜられるように、要員の確保等も含め業務計画の中できちっと整理をされてまいります。  さて、地下街のこともお話しにございましたけれども、いろいろ人が多く集まる高層のビル、地下街等におきましては、もちろん消防計画を整備をするというようなことも必要であろうかと思いますが、その中で震災対策という章を設けまして、震災の予防の措置、それから地震時の活動といったようなものをあらかじめその管理者においてこれを整備をするというようなことで、それぞれ各責任者がこれを遵守することによりまして災害を最小限に食いとめるというようなことをいたすわけでございます。
  75. 河上覃雄

    河上分科員 鉄道、交通網を遮断しストップさせる、こういうお話なんですが、病院もそれなりに手を講じております、ここまでのあれなんです。具体的に、病院なんかその後どうするのでしょう。強化地域の中における大きな病院、これは具体的にどこへ移送するのですか、あるいはどのように具体的にさらに処置するのですか、ちょっとそれを一言お答えください。
  76. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 細部にわたりましては各病院ごとに計画をつくってございますから、それによることがもちろん必要かと思いますが、まず外来を遮断をする、中止をするということが一つございます。そして、部内におきましては、万々が一でございますが、そういった地震が切迫をいたしておりますから、被災のときにそれにどう応じるかということで、広域的にその地域内、さらに県内で被災者をどう救護するかというような計画をあらかじめつくってございます。そういう計画のもとに行動をしていただくということになるわけでございます。さらに申し上げますと、病院は各お医者さん、そして看護婦さん、そしてまたその他の従業員、こういった方々がどういう役割をそれぞれの人が持つかということをあらかじめジョブリストとして決めてございます。そういったものに従って行動をしていただくということになるわけでございます。
  77. 河上覃雄

    河上分科員 まだ幾つか消防庁の方にもお尋ねしたいことがあったのでございますが、質疑の時間が終了いたしましたので、私の質問はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  78. 綿貫民輔

    綿貫主査 これにて河上覃雄君質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管国土庁についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  79. 綿貫民輔

    綿貫主査 平成三年度一般会計予算平成三年度特別会計予算及び平成三年度政府関係機関予算建設省所管について、政府から説明を聴取いたします。大塚建設大臣
  80. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 建設省関係の平成三年度予算について、その概要を御説明いたします。  建設省所管一般会計予算は、歳入二百四十一億六千七百万円余、歳出四兆三十四億八千五百万円余、国庫債務負担行為五千六百六十億六千三百万円余でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係の一般会計予算では、歳出四兆五千九百九十六億二千八百万円余、国庫債務負担行為五千八百六十四億三千七百万円余を予定いたしております。  次に、建設省所管特別会計予算について御説明いたします。  まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも三兆四千九百三十一億七千二百万円、国庫債務負担行為四千八百三十九億七千七百万円余、うち、日本電信電話株式会社の株式の売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも三千九百四十一億八千百万円を予定いたしておりますが、歳入については、前年度に引き続き揮発油税収入の一部直接組み入れを行うことといたしております。  また、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆四千七百四十億五千百万円余、国庫債務負担行為三千六百億四千万円余、うち、日本電信電話株式会社の株式の売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも千七百十六億四千二百万円を予定いたしております。  都市開発金融通特別会計では、歳入歳出とも千二百八十五億三千六百万円余、うち、日本電信電話株式会社の株式の売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業に要する無利子貸付金は、歳入歳出とも六十七億千七百万円を予定いたしております。  次に、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出四百九十二億二千三百万円余、国庫債務負担行為七百五十七億二千二百万円余を予定いたしております。  以上のほかに、大蔵省所管産業投資特別会計に計上の日本電信電話株式会社の株式の売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業のうち、建設省所掌の事業に要する無利子貸付金歳出二千八百九十九億九千五百万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策、都市対策国土保全・水資源対策、道路整備等各般にわたる施策を推進してまいる所存であります。  なお、建設省関係予算事業別の重点施策概要につきましては、お手元に配付しております平成三年度建設省関係予算概要説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  81. 綿貫民輔

    綿貫主査 以上をもちまして建設省所管についての説明は終わりました。     ─────────────
  82. 綿貫民輔

    綿貫主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久野統一郎君。
  83. 久野統一郎

    ○久野分科員 最近、政府の広報誌などを見ておりますと、豊かさが実感できる国民生活だとか、快適で潤いのある生活環境、こういう言葉がいっぱい出ているわけでございます。その豊かな国民生活をつくっていくために、また快適な生活環境をつくっていくためには、住宅だとか緑地だとか公園、体育とか福祉、厚生、文化、教育、そんな施設をどんどんつくっていかなければならないわけでございますが、こういう施設をつくっても、そこに通ずる道があって初めてその効果が出てくるわけでございます。よく言われていることでございますが、中国には資源がいっぱいあるけれども、残念ながらそれを運び出す道がない、そのために資源が生かされていない、そんなお話があるわけでございます。  先般、交通安全対策特別委員会で道路局長からお話をお伺いしたわけでございますが、年間の道路予算というのが国費、財投、地方費を合わせて年間十兆円というお話でございました。また、道路が混雑をしている、このために五十五億時間という大変多くの時間が浪費されている、時間当たり千八百円といたしますと九兆九千億円になるということで、約十兆円が年間に道路が込んでいるために損失をしているということでございます。  ちょっと考え方を変えまして、道路全体が百十一万キロあるのだそうでございますが、そのうち都市計画決定されている道路が六万二千キロあって、二万六千五百キロが整備をされておりますが、まだ半分以上の道が整備されずに残っているということでございます。五七・四%も残っているということでございまして、今までの実績でいきますと年間一%か二%、この程度しか整備が進んでいないということでございますので、例えば年間一・九%ぐらい進んだといたしましても、これから三十年間かからないとこの都市計画決定をされている道路も整備がされないということでございます。年間十兆円で三十年でございますので、掛け合わせますと三百兆円。この三百兆円を一気に投資をしたら交通混雑というのも解消される。これは机上の計算で、実際そうなるかどうかわかりませんが、また、毎年十兆円というお金の損失もなくなるのじゃないか、そんなことを考えているんですけれども、いずれにいたしましても、道路網の整備、特に高速道路網だとか幹線道路網の整備というのは急いでやっていかなければならない、そんなことを考えております。  こんな観点から、私の身近な道路の施行計画をお伺いしたいと思います。  まず、名古屋第二環状線というのが名古屋市の周辺にあるわけでございます。大治—清洲間というのがもう既に車が走っているわけでございますが、情洲—勝川間というのが今月十九日に車が通るようになるわけでございます。勝川—名古屋インター間というのは平成四年度にはできる、そんな見通しで現在工事が進められているということでございます。これでもう北半分は整備がある程度めどがついているわけでございます。南側は名古屋港大橋、これが平成八年度をめどに仕事が進められているということでございますが、西南部、飛島—大治間、また東南部、東海市—名古屋インター間、この間の計画はどのようになっているのでしょうか、お伺いをいたします。  また、知多半島道路というのがちょうど半島のところを縦断をしているわけでございますが、この知多半島道路、途中まではことしの一月二十四日に四車化がされたわけでございます。しかし、それから南側がまだ二車線でございまして、この四車化はどんな計画で進められているのか、お伺いをいたします。  それから、今度中部新国際空港というのが伊勢湾にできるということで、盛んに新聞報道なんかもされているわけでございます。伊勢湾岸道路からこの中部新国際空港までは、どなたが考えられても産業道路を通って結んでいくんだ、そんなことが考えられるわけでございますし、またこれを三河の方につないでいく、そんなことも考えていかなければならないわけでございますが、何か愛知県知事のお話を聞いておりますと、武豊と矢作川河口を結んでこの中部新国際空港から三河の方につないでいくというそんなお話もあるわけでございますが、その中部新国際空港のアクセスについてお伺いいたします。
  84. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 今三点につきまして御質問いただきましたので、まず名古屋環状二号線。名古屋の地域には、今現在これといった環状線が完全にはできておりません。その中核をなしますのがこの名古屋環状二号線ですし、さらに外縁には東海環状自動車道というものが、着々と名古屋地方の近代化のために整備を進めております。そのうち、今先生御指摘いただきました名古屋環状二号線は、全長六十六キロのうち既に名古屋西ICから清洲間八・五キロが供用して、さらにこの三月十九日に八・七キロ、清洲東ICから勝川間、これが供用することができることになりました。さらに、今先生から御指摘のように勝川から名古屋IC間、この十一・一キロも平成四年度、第十次五カ年の末には完成いたします。そういたしますと、東名からこの名古屋ICを経て勝川、清洲、そしていずれこれは名阪自動車道、近畿自動車道名古屋線につながり、いずれかは大阪そして関西空港の方へ向かう、こういうネットワークが少なくとも半分は完成いたします。  それと並行いたしまして、海上部につきまして、これも先生御指摘のように、今平成八年度といいますか、次期五カ年計画の期間内の供用を目指して全線にわたって事業を開始しております。 地域には九号埋立地というところにいろいろな大きな企業も立地しておりまして、こういうものとの調整をしております。調整もどうやらめどがついてまいりましたので、およそ計画どおりに進められるだろうと思っております。  問題は、先生御指摘の東南部といいますか、ちょうどこれから大きな発展を遂げるであろう地域でございますが、ここは現在用地買収に鋭意かかっております。ほとんど、かなり熟度を上げてまいっておりますが、まだ完全には終わっておりません。一般道路もあわせてやっておりますから、一般道路については約二十五キロについて供用を図っております。こういう東南部あるいは東部、西南部、ここら辺は用地買収をどんどん進めまして更地になるべく早くさせていただく。その中には区画整理事業もあわせてやっておりますが、これをどのような形で専用部をつくっていくか、いずれにしても海上部の伊勢湾岸道路つながなければいけません。これにつきまして、今地元の私どもの中部地方建設局、愛知県、名古屋市ともどもその整備手法について相談をいたしております。環伊勢湾地域整備連絡会議というものもございますので、そういう中でいつまでにどういう形でこれをつくることが地域の発展に望ましいか、こういうようなこともまとめていただきまして、そういう基本的な流れに沿って私どもも進めを一層早めていきたいと思っております。  それから二番目に、知多半島道路、南知多道路の四車化の御指摘がございました。これは、昭和四十六年に二車線で全線供用された四十・五キロの有料道路としてできておりますが、ここは非常に人口の増大の激しい恵まれた半島でございます。中部新国際空港の地域におけるいろいろな構想が、この知多半島に行われております。こういうことから私ども、昭和六十一年に知多半島道路全長二十・九キロについては四車化に着手いたしました。そして、この三年の一月に四車化の事業が完了いたしたところでございます。問題は、その南側の南知多道路でございまして、延長十九・六キロ、これも現在、平成二年度から四車化に着手して、用地買収を進めております。私ども、十一次五計内には四車化が図られるようにして、こういう新しい大きな知多半島の関発のための先兵としての役割を果たすように努めてまいりたいと思っております。  そういう中で、名古屋新国際空港の関連道路の問題が大きな課題として浮かび上がっておることは承知しております。しかしこれは、昨年の八月に航空審議会におきまして中間取りまとめで「第六次空港整備五箇年計画の基本的考え方」が示され、その中で総合的な調査を進める、こういうふうな形になっております。私ども、国全体の位置づけの中で、しかし地域ではそういうものが将来進んだ暁に、後で手戻りのないようにいろんなことを検討しておかなければならないということで、平成元年の六月に関係地方公共団体が一体となりまして環伊勢湾地域整備連絡会議を設置して、こういう中で将来に向けてのあらゆるプロジェクトを含めた検討をさせているところでございます。国際空港のアクセスについても、こういう会議の中で明確な検討の対象になろうかと思っております。  そういうことで私ども、知多半島の将来は伊勢湾の開発の非常に大きなポイントになるという認識を持って努力をさせていただきたいと思っております。
  85. 久野統一郎

    ○久野分科員 一日も早くその計画をつくっていただいて達成をしていただきたいと思います。  次に、世の中はどんどん変わっていっているわけでございます。戦後四十五年間、量から質、質から感性の時代とどんどん変わってきているわけでございまして、食べるもの一つをとりましても、昔は何でもいいから腹いっぱい食べられればいいという時代からおいしいものをという時代になり、最近は楽しく食べるという時代になってきております。一年半ほど前だったと思いますが、エディブルフラワーズ・サラダというのですか、花びらを食べるというので、本当に楽しんで食べる時代になってきているわけでございます。  道路も昔は、終戦直後は道路の両側の木々というのはほこりで真っ白になっていたかと思います。そんなほこりの立たない道路、黒くなっている道路を少しでも多くたくさんつくろうという時代があったかと思います。それが丈夫で長もちをして、でこぼこがなくて快適でスムーズに走れる、そんな質の時代になりまして、最近では楽しく走れる道づくりが要求されているわけでございます。最近は遮音壁なんかにもいろいろ色を塗ってあったり、また形が変えてあったり、楽しんで走れるような道づくりがされているわけでございまして、こんな道づくりを先頭に立ってされているのは日本道路公団ではないか、私はそんなことを考えているわけでございます。  しかし、一度事故が起きますと大変なことになるわけでございまして、特に高速道路では大惨事につながるわけでございます。交通安全対策に努めていかなければならないことは言うまでもないことでございます。一般道に比べて高速道路は事故発生率が低い、そう言われているわけでございますが、近年死亡者が急増していると聞いております。交通事故の発生状況はどのようになっているのでしょうか。また、私の出身地愛知県の事故状況もあわせてお教えをいただきたいと思います。
  86. 山下宣博

    ○山下参考人 お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、高速自動車国道におきましての交通事故は、その延長と交通量の増加とともに件数がふえてまいりました。大きな問題は、東名開通の昭和四十四年から昭和六十二年にかけまして百二十人台から百九十人台でございました死亡者数が、昭和六十三年以降急増したことでございます。警察庁の資料によりますと、死亡者数が昭和六十二年百七十五人、昭和六十三年二百七十七人、平成元年三百七十一人でございました。平成二年におきましては、死亡者数は平成元年に比べまして二人、〇・五増の三百七十三人でございました。  一方、死傷事故件数でございますが、昭和六十二年が三千四百二件、昭和六十三年が四千八十四件、平成元年が五千二百七十四件でございました。この件数を交通量と対比いたしました事故率で見ますと、一億台キロ当たりの死傷事故件数が、昭和六十二年で九・六件、昭和六十三年が十・一件、平成元年が十一・八件というふうになっております。平成二年におきましては、警察庁の速報値でございますが、死傷事故件数が五千五百四十一件でございまして、前年に比べまして約五%の増加となっておりますが、総走行台キロが約一〇%増加いたしておりますので、死傷事故率は十一・三件、平成元年の数字に比較いたしまして約四%減少をいたしております。このことによりまして、昭和六十一年からの事故率の増加傾向が五年ぶりで低下したという状況でございます。
  87. 久野統一郎

    ○久野分科員 どうもありがとうございました。死傷事故件数が増加しているということですけれども、事故率が下がっているということで、道路がどんどん延びていっているわけで、車もふえていっているわけでございまして、やむを得ないことかなとは思うわけでございますが、率だけではなしに、件数も下がるようお努めをいただきたいと思います。  車社会になってきているわけでございますが、平成元年の十一月二十八日に政府の非常事態宣言が出ていると聞いております。日本道路公団はどのような対策をとっておみえになるのでしょうか、お伺いいたします。
  88. 山下宣博

    ○山下参考人 お答え申し上げます。  平成元年十一月二十八日の政府の非常事態宣言を受けまして、道路公団におきましても同日、交通安全対策緊急本部を設置いたしました。事故発生の状況を踏まえまして重大事故、交通事故多発地点等を緊急に点検、抽出いたしまして、対策を講じているところでございます。  高速道路は一般の道路と分離、立体化されておりますし、また長距離走行されるお客様のためにリフレッシュのための休憩施設を設けるなど、建設時から交通安全面の配慮がなされているわけでございます。しかしながら、交通量の増加等によりまして事故が増加をいたしております。このため、関係機関とも協議しながら、防護さくの改良、標識や照明の整備、道路交通情報提供施設の充実等のハード面及び管理運用等のソフト面、さらには安全運転の広報、また事故の詳細調査を行う等、総合的に安全対策推進しているところでございます。  さらに平成三年度からは、高速自動車国道等における交通安全対策に関する五カ年計画の事業計画を策定をいたしまして、交通安全対策を強力に推進することといたしております。この五カ年間の事業計画の内容でございますが、走行条件の改善といたしまして照明設備等の整備、標識の整備、中央分離帯の防護さくの突破防止効果の高いタイプへの改良、さらによりよい走行環境の確保といたしまして休憩施設の整備拡充、的確な道路交通情報の提供でございまして、五カ年間で高速自動車国道で二千億円、当公団の管理いたしております一般有料道路で六百億円を予定しているところでございます。
  89. 久野統一郎

    ○久野分科員 現在は過保護の時代と言われておりまして、道路や自動車ではなくて人の問題じゃないかと思うわけでございます。まさに人災ではないかと思うわけでございますが、それにもかかわらず交通事故防止にいろいろと対策をとられておられることがよくわかりました。東名の東京近郊で、情報板が最近大型化され、カラー表示となっております。大変結構なことだと思います。ぜひこういったことも推進をしていただきたいと思います。  愛知県の話で大変恐縮でございますが、東名、名神、中央道が集中しております大変重要な地点ではないかと思います。愛知県付近の対策はどのようにおとりになってみえるのか、お伺いいたします。
  90. 山下宣博

    ○山下参考人 対策について御質問をいただいておりますが、その前に愛知県内の事故の発生状況につきまして簡単に御報告申し上げた上で、御説明させていただきたいと存じます。  愛知県内を通過しております高速自動車国道は、東名高速道路、名神高速道路、中央自動車道及び東名阪自動車道の四道路、総延長百三十八キロメートルでございます。この四道路を合わせました交通事故の発生状況は、平成二年におきましては死亡者数は十人で、これは前年と同数でございます。死傷事故件数が二百四十六件、前年に比べまして四件の増加。これを死傷事故率で、一億台キロ当たりで見ますと八件でございまして、前年と同数でございまして、全国の高速道路の数値より若干低い数値でございます。  次に、お尋ねの道路交通情報提供施設の件でございますが、道路交通情報施設につきましては、正確で迅速な情報をというお客様のニーズにこたえるべく、道路公団では力を入れておるところでございます。  名古屋付近につきましては、東名・名神に中央道が合流いたしますし、先生御指摘になられましたように、今後東名阪道が接続されるなど、重要なところでございます。関係の機関と御相談をしながら、平成三年度までに東名の豊田インターチェンジから名神の一宮インターチェンジ間につきまして、御指摘いただきましたような新しい交通情報システムを実施する予定でございます。また、東名・名神のその他の区間につきましては、この五カ年間の事業計画内で完成を予定いたしております。  そのほか、愛知県内におきましては、この五カ年間の事業計画の中で、一宮パーキングエリアの新設事業の開始、上郷サービスエリアの拡充、中央分離帯の防護さくの突破防止効果の高いタイプへの改良等を予定しているところでございます。
  91. 久野統一郎

    ○久野分科員 愛知県が他の地区に比べて事故率が低いということで、事故防止に努めております公団職員の皆様方に感謝を申し上げるとともに、同じ愛知県人として誇りに思うものでございます。東京は五人に一人、大阪は六人に一人、名古屋は三人に一人乗用車を持っているということで、車社会の中心は愛知県ではないか、そう思っているこういう地区でそういうふうに事故率が少ないというようなことは、大変誇りに思っております。  明治時代から、鉄道が敷設されなかったところはどんどん過疎化していったということでございまして、今は鉄道ではなしに、高速道路網ができるところがどんどん発展していっているのではないかと思います。先ほど来お話がございました、伊勢湾岸道路だとか名古屋環状二号線だとか中部新国際空港につながる道路だとか、名古屋付近は高速道路のメッカになっていくのではないかと思います。ぜひこの道づくりの模範になるように、危険率ゼロなどということは世の中にあり得ないことではございますが、こんな対策をすればもう事故が起きないのだという、そんな道づくりに努められますようによろしくお願いをいたします。  最後に大臣にお伺いしたいわけですが、最近、目先のことばかりにとらわれて物事が処理されておる、そんなことが多いような気がしてならないわけでございます。一年半ほど前は消費税の問題があったわけでございますが、消費税反対と言うと何か税金を納めなくてもよくなってしまうんじゃないかという錯覚にとらわれて賛成をした方が多かったのではないかと思います。税金をいただかないと国は運営していかれないわけでございまして、消費税というのもやむを得ない税金ではないか、そんなことを思うわけでございます。最近では湾岸戦争で平和平和と言って、確かに平和がいいには決まっているわけでございますが、これから遠い将来の平和のためには何をなすべきかということを考えていかなければならないと私は考えております。福祉福祉というので、確かにお年寄りだとか体に不自由のある方、そんな方のためにも国の予算というのは使わなければならないわけでございますが、福祉よりもそれ以上に社会資本の充実をすること、その方が遠い将来を考えた場合には国民生活が豊かになるのではないか、そんな気がいたします。社会資本の中心は道路でございます。この道路整備はぜひ進めていかなければならないと私は考えているのですが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  92. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 道路に関して大変いいお話を伺わせていただきました。  御指摘のように、社会資本の中心的な役割を果たす道路は、人間の体で言えば血管に相当するものでもある。したがいまして、建設省としては従来とも道路の整備には力点を置いてやってまいりました。道路特会の予算もそうでありますけれども、これから二十一世紀を展望して四百三十兆円の公共投資基本計画のスタートの年にも当たりますし、特に生活関連重点化枠の予算建設省はたくさんいただいたわけでありますから、社会資本整備をやりながら、また、一方では地域社会における生活環境あるいは文化機能に重点を置いた公共投資もあわせ行いながら、二十一世紀を展望した日本のいわゆる車社会をつくっていく。これはまさに、先ほどの事故に関するお話もそうでありますが、交通安全に心がけるような整備、あるいはそのためには、歩道の整備とか立体交差とかきめ細かい配慮をして、御指摘のような社会資本の充実に努めてまいりたい、このように思っております。
  93. 久野統一郎

    ○久野分科員 どうもありがとうございました。
  94. 綿貫民輔

    綿貫主査 これにて久野統一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、沖田正人君。
  95. 沖田正人

    沖田分科員 私が長い間住まってまいりました渋谷区は、今東京都庁移転の影響をもろに受けまして、急速な都市化と再開発のために、人口は減少の一途をたどっているところであります。住み続けられる町づくりを目指す区当局や区議会はその対策に苦慮し、大変な努力を続けているところであります。  このような状況の中で、渋谷区の恵比寿地区にありますところのサッポロビール工場の再開発が、まさに巨大プロジェクトとして今行われようとしているところであります。この計画は、大臣御存じのとおり特定住宅市街地総合整備促進事業制度が適用されております。この特住総の制度は、大都市での住宅供給政策として大変に評価されるものとは思いますが、国の予算補助事業でもありますから、住宅という観点から容積率等の割り増しの措置も講じられるところでありますので、決して大企業の利益追求本位になってはならないと考えます。大臣の所見をお伺いいたしたいと存じます。
  96. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 沖田先生と私は都議会でも御一緒でございました。渋谷区も今定住人口確保に大変な御努力をされておりますが、私の方の選挙区では、もうそれ以上に定住人口が減りまして、苦慮してきたところであります。  既に御承知のように、特定住宅市街地総合整備促進事業の中の第一号は中央区の大川端の地区でございました。あの地区は、たしか二千五百戸の計画でありますが、その中に公営住宅、公団住宅、公社住宅等々織りまぜて、各階層の皆様方が住まえるような住宅総合整備を進めたわけでございまして、先生御指摘のこの渋谷の恵比寿地区におきましても、いわゆるサッポロビールの工場移転に伴いまして、この指定事業が進んでおるわけでございます。  詳細の計画はまた局長からお答えをさせますけれども、公団住宅を含めて千戸以上の大量な住宅建設を予定をしておるということでございまして、その中に公営住宅等が入るかどうかはまだつぶさには承知をいたしておりませんが、恐らく大川端の事業とほぼ以た形でやっていく。民間の住宅ももちろん入るわけでありますが、若干の施設も入ることであろうと思いますから、そういう民間の負担で中の公共施設を負担をしてもらうということになれば、それだけ公団住宅等が予定の計画で建てられるということにもなるわけでありますので、先生の御趣旨に沿うような立派なプロジェクトになるように、建設省としても指導してまいりたいと存じます。
  97. 沖田正人

    沖田分科員 あわせてこの際にお伺いをいたしておきたいと思いますが、特住総の制度が昭和五十四年にできましてから本計画までに何件適用されて、またその補助額の総額は幾らになっているのか、そして個別には、大川端の計画には幾ら補助されて、この恵比寿地区におけるサッポロビールの再開発計画については幾ら予算補助をされるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  98. 立石真

    ○立石政府委員 これまで特定住宅市街地総合整備促進事業につきましては、五十四年度以降平成二年度までの間に、国庫補助金ベースでは六百六十億円、事業地区は全国で十八地区である状況でございます。また、大川端地区につきましては、平成二年度までの国庫補助金は約九十五億円でございます。恵比寿地区につきましては、平成元年から国費約二十一億二千万円を交付したところでございます。     〔主査退席、戸田主査代理着席〕
  99. 沖田正人

    沖田分科員 この計画のために工事被害や日影などで直接的に影響を受けられる方々に十分な説明を行い、同意を得られているでしょうか。
  100. 立石真

    ○立石政府委員 恵比寿地区の事業につきましては、まず、その全体の整備計画の策定につきましては東京都が行っております。また、この整備計画に従いまして、住宅・都市整備公団、サッポロビール等が住宅、商業、業務施設等を建設することにしておりますし、道路、公園等の関連公共施設の整備につきましては、渋谷区、目黒区が実施する事業となっております。  地元住民に対します説明についてでございますが、昭和六十二年から昭和六十三年にかけまして、東京都が整備計画について説明会を開催しております。また工場跡地を開発するサッポロビールが、第一段階でございますが、施設の計画、工事の方法等につきまして、平成元年から平成二年までの間に説明会を開催しているところでございまして、例えば事業計画案の説明会については三十九回、環境アセスメントの説明については六十八回、工事方法の説明については六十回等々開催していると聞いているところでございます。これらの説明会等を通じまして、地元住民の理解を得るべく努力を重ねているところでございますが、一部に異論のあるということについても報告を受けているところでございます。いろいろ異論等もあるわけでございますが、今後とも、住民の意見を十分に聞いて、円滑な事業の実施を図れるように指導してまいりたいと考えております。
  101. 沖田正人

    沖田分科員 回数を幾ら重ねられても、中身が充実した親切な説明であり身近な対応になっていかなければ、この計画の円滑な促進というものは図られない、こう思うのです。したがって、えてして形式的な説明に終わるならば、とりわけ長い間には反発が募ってくることも理の当然であるわけであります。  御案内のように、一九九一年一月十四日付で、直近の住民の方々三十二名で東京都の公害審査会に調停申請をされている、こういう具体的な事実がありますが、当然御案内のとおりであろうと思います。こういうような事態が起こることそれ自体については、やはり十分な配慮がなされるべきであろうと思いますが、この点どのようにお考えか、お伺いをいたしておきたいと思います。
  102. 立石真

    ○立石政府委員 恵比寿三丁目環境対策協議会から一月十四日付で公害審査会へ調停申請がされたという事項については、私たちも報告を受けて聞いているところでございますが、私たちは、あくまでもこの事業は市街地における住宅供給と、そしてまた周辺地域の環境整備ということを進める事業でございますので、地元住民の理解を得ることが必要なことだと思っております。できるだけ親切な、そしてまた充実した内容の説明が行われるように、私たちとしても指導してまいりたいと思います。
  103. 沖田正人

    沖田分科員 多くの問題があると思いますけれども、とりわけ、特住総制度の要綱第一条に、「公共の福祉に寄与することを目的とする」とあるわけでありまして、本計画では、東京都の写真美術館と地域冷暖房施設の二つがあるわけでありますけれども、これが果たして要綱第二条の六にうたわれた「居住者の共同の福祉又は利便のため必要なもの」と言えるものかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  104. 立石真

    ○立石政府委員 御指摘の二つの施設につきましては、特定住宅市街地総合整備促進事業におきまして、公益施設として位置づけているところでございます。  まず第一の地域冷暖房施設につきましては、将来に残る良好な住宅市街地の形成を図るために必要な施設であり、省エネルギーという面から見ましても、地域の公益の向上に寄与する施設であるというように考えているわけでございます。また、これからの住宅市街地につきましては、生活に潤いを持たせるための施設というものも必要だろうと考えております。二番目に御指摘東京都写真美術館は、地域住民の方々の利用にのみ供されるものではございませんが、こうした観点から計画されたものと承知しているところでございます。  なお、この写真美術館はサッポロビールが建設する予定になっているそうでございますが、建設後は東京都に寄贈されまして、東京都が運営する美術館となる予定の施設と聞いております。こういうようなことから、これらの施設を公益施設として位置づけたと承知しているところでございます。
  105. 沖田正人

    沖田分科員 地域の冷暖房施設等についても、サッポロビールの従業員の施設にこの地域冷暖房が引かれるものというふうに、地域的には非常に外れた地域だというふうに私は承知をしているわけでありますが、この問題については、今言われた答弁とは多少食い違いますので、改めていずれかの機会に議論をさせていただきたいと思っているところであります。  また、家賃の面から考えてみたいと思いますが、大川端における特住総計画に基づく住宅の家賃は、公団で安いところで十一万四千六百円から高いところで二十三万四千三百円、三井不動産の第一次の計画では、二十四万二千円から三十九万六千円という家賃の幅になっているわけであります。都営住宅は、言うまでもなく五万五千五百円。公団の第二次は十一万四千二十一円から二十五万八百五円の幅になっており、三井不動産の第二次の計画の家賃については、既に平成元年五月から入居が始まっているわけでありますけれども、十六万七千円から九十三万六千円という高額の家賃になっているところであります。  こういうふうに伺っておりますけれども、これは勤労者の住宅に対するニーズと願望を考えますと、とても庶民の住めるものではないと私は思いますが、ほんの一握りの方々に国が補助金を出しているとしか言えないと思うわけであります。つまり、先ほども触れましたけれども、特住総の制度を適用して予算補助に国民の税金を使うわけですから、企業にも社会的使命を帯びてもらう、そして国民が納得できる制度運用を図らなければならないと思いますが、この点について考え方を伺いたいと思います。  しかしながら、本計画を見ますと、公共住宅には一般の勤労者は入れないし、しかも、直近には小学校があって、近隣住民の同意を得ないまま解体工事が進み、振動、騒音の被害はすさまじかったと聞いております。また、ダンプの搬入等に伴う危険性も住民の皆さんの不安を募らせています。でございますから建設省といたしましても、本計画について、近隣住民、商店街の皆さんに対して納得のいく十分な説明と、合意を得られるような親切な努力を重ねていただきながら、そして本当の意味での共存共栄ができるように行政指導をきちっと図っていただきたいと思います。お答えを願いたいと思います。
  106. 立石真

    ○立石政府委員 まず、家賃についてでございますが、先生御指摘のとおり、大川端の開発に当たりましては先ほどのような家賃の幅でございまして、平均的には公団の第一次では一戸当たりの家賃が十七万一千円、三井不動産の第一次分につきましては平均で二十九万九千円、都営住宅五万五千五百円というような状況になっているところでございます。  それでは、こういうような家賃の住宅をこういう地域で供給することについての考え方についてでございますが、住宅・都市整備公団の住宅について特に考えてみますと、まず、こういうような都市再開発の一環として都心部あるいはその周辺部で供給いたそうといたしますと、一つはまず地価が高いというようなことであるとか、場合によっては二世帯等が住むような大型住宅も含む場合がございますが、主として地価が高いというようなことから家賃が高額にならざるを得ないという側面を持っているところでございます。  しかしながら、それではこういうところに供給する必要性について次に述べさせていただきたいと思いますが、まず都心ないしその周辺部に立地する住宅につきましては、通勤とか通学や買い物どの利便性が極めて高いという特徴がございます。そういう場合には、夫婦二人とも職業を持っているような世帯、特に職住の近接が必要な世帯など、生活の他の面よりも住宅の利便性を重視する生活のスタイルを求める世帯というのがあるというように考えているところでございます。建設省といたしましては、標準的な勤労者の家賃負担の限度というのを年収の二〇%程度までにおさめたいというように考えているところでございますが、個別の住宅供給に当たりましては、このように住宅の利便性を特に重視する世帯がございまして、二〇%を超える負担をしても利便性を優先して確保したいと考える世帯も相当数存在すると考えているところでございます。  そこで、大川端につきまして、平均的に入居者の調査をした結果がございますので若干御紹介させていただきたいと存じますが、住宅・都市整備公団の入居者についての平均像でございますけれども、夫婦とも職業を持っている世帯が四三%と非常に高くございます。主な働き手の収入は平均では六百五十万円でございますが、世帯の全収入は九百十三万円というように、二百五十万円見当が従となる働き手の収入で賄われているというように聞いているところでございます。こういうような世帯も、やはり勤労者の中にいろいろな世帯があるところでございますので、二〇%を超えるようなところであっても入居するニーズがかなりあるというように思うわけでございます。  ちなみに、応募状況についてでございますが、大川端の募集に当たりましては、一次募集で六十倍、二次募集で三十五倍というようにニーズも大きいところでございました。都市の再開発の一環として、このようなニーズにこたえていくことも一つの役割であるというように考えているところでございます。
  107. 沖田正人

    沖田分科員 大塚建設大臣は、申すまでもなく都市再開発並びに住宅計画の専門家であるわけでありますからもう申し上げるまでもありませんけれども、この特住総の精神については十分御理解いただいていると思います。したがって、私が申し上げている意味も、あの恵比寿の高台の地域にそんなにお金持ちばかり集めるような住宅は要りませんよということを申し上げているつもりでありまして、もっと庶民の住宅をどうぞひとつ考えていただきたいという本旨でありますから、その点についてこれからの決意についてひとつお伺いしておきたいと思います。
  108. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 再開発につきましてはいろいろなプロジェクトがございますけれども、大川端にしましてもこの恵比寿地区にしましても、土地の原価というものがあるわけでありますが、その高い部分をなるべく民間で吸収をさせて、そして公共施設の方でできるだけ安い住宅をつくるというのが一つの方向であろうと思うわけであります。御趣旨のように余り高い収入の人は要らない、こういうお話もございますけれども、公団住宅は公団住宅の目標がございますし、民間の住宅もそれなりに地価を吸収して、多く負担することによって公共施設を生み出すというような効果もあるわけでございますから、一般社会においても高額所得者やあるいは中層やあるいは一般の所得層の方々も一緒に生活をしておる、そういうのに置きかえますと、再開発というのはいろいろな層の方がお入りになるというプロジェクト一つの方向ではないかとも思うわけであります。  しかし、公的な資金を使うのだからなるべく安い住宅をつくるということはもう御趣旨のとおりでございまして、可能な限り、一般の方々に喜ばれるような住宅を供給するように努力をしてまいりたいと存じます。
  109. 沖田正人

    沖田分科員 続きまして、東京外郭環状線、いわゆる外環道路東京ルート計画について、昭和四十一年に都市計画決定をされているところでありますが、残りの関越道から南側の部分、世田谷区までの区間は昭和四十一年の計画決定のままであると認識をしておりますが、そのとおりかどうか簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  110. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 そのとおりでございます。四十一年に都市計画決定をして、その後いろいろな経緯がございまして現在の状況に至っております。
  111. 沖田正人

    沖田分科員 関越道より南の外環計画については、四十一年計画のままで、すなわち標準幅員四十二メートル、高架構造を主体とした計画のままで事業化することはないとしているようでありますが、事実かどうかお答えをいただきたいと思います。
  112. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  この東京外郭環状道路、先生御指摘のように昭和三十六年に全線の調査に着手して、非常に長い間かけて現在に至っている道路でございます。東京に大きな車が集まってまいります。東京の中のいろいろな車が、非常に効率的にうまくこの車社会の中で地域と調和するための基本として、この環状道路の構想を生み出して、その中で四十一年から四十四年にかけて、和光市を除く、東名高速道路から千葉県の市川市に至る六十七キロが当時都市計画決定をされております。しかし、その後この和光地区につきましては、いろいろなその後の経緯を踏まえて、五十五年に環境面にも配慮いたしました道路構造を取り入れまして、都市計画決定が新たに行われております。この地域における土地利用の変化あるいは和光地区での道路構造等を踏まえて、その他の埼玉県内や練馬地区につきましても、実はその後都市計画の変更を進めてきております。  今先生御指摘の関越道の以南につきまして、この地域はいろいろな路線の性格といいますか、地域の性格を持っております。そういう中で、地域における土地利用の変化あるいは極めて貴重な地域としての特徴、こういったものを全部考えながら、環境保全に配慮した道路構造あるいは地域整備等、地域と一体となった道路の新たな整備手法等いろいろなものを勉強しながら、広く調査をして現在に至っている、こういうことでございます。
  113. 沖田正人

    沖田分科員 四十一年の計画のままで事業化しないということについては、もう少しきちっと明言はできませんか。それから、事業化しないということであるならば、今いろいろ勉強しておられるというふうに伺いましたけれども、それにかわる計画案はあるのかないのか、もしも代案をつくるための作業をやっておられるとすればいつごろまでにつくられるのか、目安をひとつ示していただきたいと思います。
  114. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 先ほども申し上げましたように、四十一年の時点と現在では、極めてあらゆるものが変わっております。そういう意味で、四十一年時点の物の考え方が現在そのまま取り入れられるとは私ども思っておりません。しかし今度は、現在においてどういう状況か、それをどういうふうにとらえながら東京全体あるいはその地区全体の交通問題としてこれを考えていくか、こうなりますと、まず整備の手法とかそれから構造のあり方とかいろいろなものを準備いたさなければなりません。準備した上でその地区の将来の姿というものを描き、そして最終的な計画というものを詰めていかなければならない。そういう意味での広い調査を今までやってきたわけでございます。  そこで私ども、東京都がいろいろな形でこの地域の将来の姿についての御計画を御発表になっていることも十分承知しております。また逆に、地域の方々が従来型の形での道路整備について非常に危惧を抱いているのも承知をしております。そういういろいろなものを全部いただきまして、私どもは、やはり何といっても地域の意向を十分反映した計画でなければ、地域が使っていただく道路でございますから、地域の意向を反映しない計画というのはあり得ないわけでございますから、そういう意味で、そういう計画の策定に今後とも努めてまいりたいということで、現在いろいろと検討作業といいますか地道ないろいろな勉強をさせていただいているということで、いつまでにということは、そういう作業を踏まえて、そして地元の地域の御意向とかあるいは関係機関との御調整を踏まえて次のステップが出てくる、こういうことでございますので、時期についての明言はここではできないと思っております。
  115. 沖田正人

    沖田分科員 こういう道路計画というのは大変なことだというのは、御苦労よくわかります。わかりますが、同時にまた、住民の苦労なり苦痛なりというものが四十一年からずっと続いているわけでありますから、その辺の精神的、経済的な大変な御苦労があったことは十分御理解をいただけるだろうと思う。でございますから、私が明言をいただきたいと申し上げているゆえんのものは、従来の四十一年当時の古い計画はもう見直すんだ、こうおっしゃっておられますから、すかっと高架化はしないんだ、こういうことだとか、さらには、周辺の都市計画なり都市事情と見合って新しい都市計画、道路計画というものを考えなければいかぬとおっしゃっておられるならば、もうちょっと皆さんが理解できるような形で御答弁いただけないですか。
  116. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 事実で申し上げますと、いわゆる今の練馬地区では、当初四十一年の計画は高架道路の四十メートルでございました。現在は半地下の六十四メートルの計画になっております。これは練馬地区での計画でございますからこういうことでございますが、さらに今度の南側といいますかにつきましては、少なくとも現在の高架の道路の計画そのものがそのまま使えるというふうには私ども思っておりません。それならば、ではどういうものがあるのかということにつきましては、この地域が貴重な池や林あるいは貴重な河川等も横断いたしますから、そういう意味の地下水系とか生態系とか、いろいろなものを私ども全部取り入れた形で計画を立てなければいけない。そうしますと、ただ単純に半地下にするとかどうだとか、こういうふうに単純に言えないのはそういうことでございまして、どの面から見ても、これならばやはりしょうがないんだな、こういうふうに御理解いただけるような案にいろいろな角度から詰めてまいりまして、そしてそれを地域の方々にも御理解いただいてまとめる、こういうことでございます。  そういうための整備の手法の一つといたしましては、昨年の六月にこの国会で御承認をいただきましたけれども、地域と道路との一体的な整備の手法、いわゆる立体道路整備制度、こういったようなものも制度として生まれております。こういったものもあるいはその中の一つ整備手法かなとも思っておりますし、いずれにいたしましてもこれからつくるわけでございますから、今までの手法じゃなくてこれから考えられるいろんなものを駆使して、一番いい形でこの道路をつくらせていただきたい、こういうふうに思っております。
  117. 沖田正人

    沖田分科員 もう時間がありませんからポイントだけ申し上げます。  関越道以南については四十一年の計画のままでは事業化することはしない、このように建設省の関東地建道路部計画調整課の宮地課長が発言をされているように仄聞をしております。したがって今おっしゃったような意味での、練馬区以南はと、私の聞き違いかもしれませんがその辺の突き合わせは後でさせていただきますけれども、どうぞその点は従来の説明会のような理解と努力をひとつ重ねていただきたい、こういうように思います。  そこで、最後に一つお願いいたしたいのですけれども、道路の問題は環境や公害、さまざまな深刻な諸問題が発生することは言うまでもありません。計画決定から実に二十五年もの長い間に、この決定がさらに時間がかかるわけでありますが、どうでしょう、大臣、一遍この計画は白紙撤回をされて、改めて都市決定されるような手法をおとりになっていただく、そしてさらに住民の理解と協力を得られるための親切な手続というものをしていただくようにお願いできないでしょうか。特に大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  118. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 先生御承知のように、オリンピックのときに東京では道路の整備を大々的にやりました。都市計画決定をしたものを変更するということは、そのとき以来なかなかできないということで今日に至っておりますし、ただいま御指摘の関越道以南の問題につきましても、私も就任以来心を痛めておるわけでありますが、要は、道路をつくって車を走らせることだけが目的ではなくて、道路をつくった後の町の将来をどうするかというところにどれだけの意を用いるかということが一番大事なことである。例えば高架がだめである、あるいは半地下がいい等々、いろいろ御意見がありましょう。しかし中には、その道路が広がった後の道路沿いに土地を有効に使うための町をつくっていきたい、こういう意見もあるはずでございまして、実に挙げてこれは、地方の自治体が住民の声をしっかり反映させることによってお互いの主張がまとまっていくわけでありますから、今御指摘のように計画を見直せというお話もわからないではありませんが、今日まで進んでまいりました経過を踏まえまして、より一層、先生の御指摘のように地域地方自治体とも緊密な連絡をとって、そして地域の発展につながり、地域の方々の環境を守ることができるように意をしっかり用いて指導をし、御期待に沿ってまいりたい、このように思っております。
  119. 沖田正人

    沖田分科員 ありがとうございました。終わります。
  120. 戸田菊雄

    戸田主査代理 これにて沖田正人君の質疑は終了いたしました。  次に、北川昌典君。
  121. 北川昌典

    北川(昌)分科員 日ごろから幅広い建設行政に対して大変力を注いでいただいておることに対しまして敬意を表しながら、質問を申し上げたいと思います。  まず第一は、高速自動車道問題についてでございます。現在、全国で一万一千五百二十キロメートルの国土開発幹線自動車道が採択をされて整備が進められておるところでございますけれども、この全体のネットワークづくりが終了する、いわゆる供用開始される時期について、その目標はいつごろになるのかお尋ねいたしたいと思います。
  122. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 一万四千キロ、ちょうど四十一年に七千六百キロの計画をつくりました、現在六千キロでございます。一方四千キロ六十二年につくりまして、そのときに私ども約三十年かかるというふうに申し上げました。それは、当時この高規格幹線道路等に投資している予算が約一兆円、そして全体のこの一万四千キロをつくるのに約三十兆円かかる、したがって約三十年だ、こういうふうに申し上げたのが当時でございます。しかし私ども、地域からの御要望、特に地域の活性化、多極分散型の中で地域が今後発展するためには、この高規格幹線道をもっと急げ、こういう御要望が非常に高うございました。私ども何とか急ぎたいということから、従来二百から二百五十キロペースであった整備の進度を約三百五十キロというような形で今上げてきております。したがって私どもとしては、二十一世紀の初頭というちょっとあいまいな言葉で恐縮でございますが、二〇〇〇年までには、平成十二年までには九千キロを何とか完成させたい。そして、二十一世紀の初頭までに一万四千キロ、こういうことでございまして、特に九州におきましては、現在九州縦貫自動車道がほぼ完成しておりますけれども、完成しているのはこれ一本でございまして、横断自動車道二本、そして東九州自動車道、いずれもこれから一生懸命やる路線でございます。その中で、私ども対応させていただこうと思っております。
  123. 北川昌典

    北川(昌)分科員 現在、大体五千キロが供用開始になっておる、こういうふうにお聞きしておりますけれども、そうしますと残りが九千キロ。したがって、三百キロで三十年ということになるわけでございましょうか。おっしゃいましたように、当初は二百キロから二百五十キロペースで進んでおったのが、これから三百五十キロ、こういうことでございますので、将来的にはこの三百五十キロがさらにペースを早めるという可能性はあるのかどうか、お聞きしたいと思うのです。実は、五カ年計画の中でいただきました資料、これは以前のことですけれども、大体平成二十七年ごろ、二十一世紀の初頭、こういうような説明も受けたわけでございますけれども、この初頭の、今局長もおっしゃいましたが、初頭の考え方、この点について、その二つをお聞かせいただきたいと思います。
  124. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 早められないかということでございますが、実は整備手法に二種類私ども考えております。  一つは、先生御承知のとおり国土開発幹線自動車道建設法という法律に基づきまして、いわゆる国幹道と言っておりますが、これによりまして全国プール制で一万一千五百二十キロ、これを道路公団に命じまして、今建設大臣の方から御明示いただきましたが、道路公団の方が中心になって整備するものが一つございます。さらにもう一つは、一般国道の自動車専用道路ということでその他のものを整備する、こういう二本構えでやっております。  しかし、従来の、地域によってはまことに失礼な言い方になるかと思いますが、九州で言えば九州縦貫自動車道あるいは東名・名神といったような比較的人口ないしは従来から開発されていた、これからの開発余力というよりも従来から開発されたところを通るところでは、交通量も多いために採算性から比較的採択しやすかった、しかも採算もとれているというところでございますから、それに投入する国費も比較的少なくてよかったわけです。しかし、これからは将来の開発余力のあるところへの高速道路、高規格幹線道路をつくるわけでございますから、すぐには交通量の需要が見込めない場合も出てまいります。そうなると、国費を相当投入してでもこういう将来の国の発展のためにつくらざるを得ないということで、私ども平成三年度の道路予算におきましても、高規格幹線道路への国費の投入等はかなりウエートを上げております。  いずれ平成五年度から第十一次というのでしょうか、新たな五カ年計画を策定し、将来へ向けての道路整備を着々と進めてまいりますが、そういう中でもこういう道路財源といいましょうか、こういうおくれたところをつくる道路のためには国費が要るのだということを広く御認識いただきまして、そういうものをみんなで育てながら投入させていただくような五カ年計画、そういう中で高速道路にどんどん思い切って入れる、そうすれば地域開発もできる、厚かましい言い方でございますが、こんなようなことを考えてこれからも一生懸命やってまいりたいと思っております。  そうなりますと、今までは二〇一五年というようにパンフレット等に書いた例も今見ましたし、ございました。私ども実は二〇一五年が目標でございませんで、一年でもあるいは五年でも早く完成させたいということでございますので、いろいろな整備手法、例えばインターチェンジ等々につきましてはもっと地元への御協力を仰ぐとか、いろいろなことを今後とも整備手法については工夫しながら、早くできる、あるいは用地の地価が上がらなければそれだけ安く高速道路がつくれるわけですから、そういうようなことに対するいろいろな工夫とか、いろいろなことを地域の知事さん、市町村長さん、そして多くの方々と相談したり、御協力をいただきながら、早くつくれるそういう手法をこれからも探し、そしてすぐにそれを採用するということでやらしていただきたいと思っております。したがって、何年までにつくるというのが目的ではなくて、早くつくるということを目的にこれからもやらせていただきたいと思います。
  125. 北川昌典

    北川(昌)分科員 今お話がございましたように九州縦貫道につきましては、あと、えびの—人吉間を残すだけでございまして、これはもう近い将来において全線開通ということになろうかと思います。  ところで、東九州縦貫道、これは北九州から鹿児島までの四百三十キロ、さらに九州横断自動車道延岡線、熊本の御船町から宮崎県の延岡市の間の百十キロが六十二年に予定線として採択されたわけでございますけれども、その後延岡—清武間が基本計画路線として決定をされておりますし、さらに西都—清武間が、そのうち二十七キロですけれども環境アセスメントの対象路線に選定されている、こういう状態でございますけれども、やはり東九州は高速道が全く走っていないという地域でもございまして、西九州と比べますと東九州との格差というものがかなり生じてくる。これの完成がおくれますと一層その格差が広がってくるということで、地元でも大変心配をいたしているところでございますが、当面、環境アセスに選定された西都—清武間と、その残りの延岡—西都間について整備計画と基本計画路線への昇格の時期といいますか、見通しについてはいかがでございましょう。
  126. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 先生御指摘のように、今基本計画が全国的に出ておりまして、その中から約九百八十キロ余のものが現在環境アセスメント、環境影響評価手続のためのいろいろな御協力を各県の知事さんにお願いしているところでございます。この中には第二東名・名神といったようなものもございますし、今先生御指摘の東九州の三地区、場所で言いますと大分市から津久見市、西都市から清武町、末吉町から隼人町というこの三区間の八十二キロも含まれております。全国的にこれらの環境影響評価の手続は順調に進んできておりますけれども、まだ一部いろいろなことから難航といいますか、時間を要しているところもございます。私ども、これらの全国的にお願いしている環境影響評価の手続、都市計画の手続が終わりましたら、それを待って速やかに整備計画策定のためのいろいろな手続をお願いしたいというふうに考えております。この手続は、国土開発幹線自動車道建設法に基づく国土開発幹線自動車道建設審議会という内閣総理大臣が会長をしておる審議会で決定していただきますので、かなりの準備期間を要しますけれども、そこに早速お願いしたいと思って、今鋭意早く手続が終わることを期待している次第でございます。  なお、それ以外に、今回のその手続をしていないところにつきましても、将来さらにこういう手続ができるための準備といたしまして、例えば今の西都から延岡の間につきましても、そのためのいろいろな調査の熟度を上げて今やっております。また、現在基本計画が出ていない区間につきましては、基本計画を出せるべく必要な調査をさらに進めております。  この東九州縦貫は、ちょっと長くなりましたけれども、こういうものと並行いたしまして早く実際の車の利用に資するために、例えば大分県では、椎田道路、宇佐道路、宇佐別府道路、あるいは宮崎県では延岡南道路、あるいは鹿児島県では、国分隼人道路、隼人加治木道路等、この東九州自動車道と並行して事実上高規格幹線道路と同じような規格でつくつている専用道路もございますので、こういうようなものも暫定的には活用しながら、早く東九州全体としても使えるような道路にしたいということで、硬軟取りまぜながらいろいろと進めているところでございます。     〔戸田主査代理退席、主査着席〕
  127. 北川昌典

    北川(昌)分科員 先ほどもちょっと触れましたけれども、宮崎県が道路網の点で大変立ちおくれておるということもこれは事実でございますし、そういう中で、特に農業、林業県でございまして、さらには観光県でもございますが、そういった産業を生かしながら景気浮揚策を今必死になって行っておるわけでございまして、特に農業に例をとってみますと、宮崎から現在大阪までが陸上輸送で十六時間、さらに東京までは二十二時間、こういう時間を要するわけで、したがって農産物の鮮度が落ちますし、さらにコストが上がっていく、こういうことで、大阪では高知物と比べますと二五%から三〇%の価格差が出てくる、こういうことでございます。そういう面でも生産性が非常に低くなってきておる。これはやはり何といいましても道路の整備のおくれではないかと私どもは、県民挙げて思っているわけでございます。そういう意味で、何としても東九州縦貫道をぜひ急いでいただきたいというのが切なる願いでございます。  そういった点、ひとつお含みおきいただきまして、昨年は、今委員長席にお座りの綿貫大臣にお願いしたわけでございますが、改めて新大臣に、東九州開発、九州全体の浮揚策としての東九州縦貫道の早期着工についてひとつ御所見といいますか、お答えいただきたいと思います。
  128. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 ただいま九州の西東の道路網のお話を承りまして、私もその地域におったら先生と同じようなことを声を大きくして言っているだろうと思っておったところでございます。  先ほど来局長から申しておりますように、高規格幹線道路約五千キロを二十一世紀初頭には一万四千キロに持っていくための努力をしていこう。これを進めるのには、局長も申しましたように地価の安定というものが非常に大きな要素の一つである、それから、新しい問題としましては、建設に従事する方々の労働力の確保ということも、これからの十年間の大きな課題である。これらにつきましては、土地基本法の制定もあったことでございますから、地価の安定に全力を挙げて努力をしながら、少しでも、一年でも早く道路ができるような努力を積み重ねてまいりたい。まさに人間の体で申しますと血管に相当するわけでありますから、九州の血管づくりに、私も微力でありますけれども全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。
  129. 北川昌典

    北川(昌)分科員 ありがとうございました。  くどいようでございますけれども、宮崎の方では昨年宮崎空港が新しく拡張されましたし、さらに宮崎港も建設をされました。そういった面で今後の物流が増大していくことが当然予想されるわけです。予想されるといいますか、なるわけでございますけれども、それに対するアクセスが全く、全くとは申しませんが、十分整備されていない、こういう点もございまして、後進性がいつまでも脱却できないという状況にございますので、くどいようですが、ひとつぜひこの東九州縦貫道については、九州全体の景気浮揚と発展、こういう点からもぜひできるだけ早い機会に整備できるような方向を出していただきますようにお願い申し上げたいと思います。  次に一般国道の問題でございますが、二百二十号線、これは宮崎から鹿児島に通ずる線でございまして、かつては宮崎福山線、こう言っておった線でございますけれども、国道二百二十号線に今なっております。これは、御案内のように昔は観光道路として有名な日南海岸線を走る道路でございます。しかし、一方で海に面しておりまして、一方は山に接しておる、こういうことで災害が発生しやすい道路でございまして、二、三年前は二週間も交通どめ、そういうことで地域の産業あるいは生活、こういったものにかなりの支障が起きたことも建設省としても御存じでございますし、そのことからかなり災害防止策として今改築をいただいておるところでございます。  ただ問題は、今の地すべり地帯だけが改築されましても、将来、さらにこの地方の地質が四万十層群とか聞きますけれども、そういうやわい土地でございますので、将来も地すべり等が起きる危険性をはらんだ地域でございます。したがって、これについてやはり岬から岬に海の上を橋を通すとか、あるいはトンネルでこれを改築するとか、将来にわたって災害に強い道路に改築すべきではないかという意見が地元にもございますけれども、この点について建設省としてはどのように御判断いただいているのかお聞かせいただきたいと思います。
  130. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 先生御指摘のように、二百二十号は台風銀座の中で地域の住民の利用に非常に御迷惑をおかけしていることは、私ども承知しております。日南海岸を経て串間市、そして鹿児島の国分に至る百八十五キロの幹線道路でございまして、特にこの地域は先生御承知のとおりの、屈曲が著しく、地形的に急傾斜で、地質的にも宮崎層群という特殊な地層を持っております。したがって、その中で三十二キロが異常気象時におきましては通行規制区間ということで、連続雨量も百七十ミリ以上降りますと規制をしてとめる、こういうような区間になっております。  そういうことで、過去の災害発生状況及びのり面の調査も、私どもたびたびやらせていただきました。そして、災害発生の非常に危険性の高い小目井、鵜戸、立石、この三地区については、何しろ早く抜本的な対策を講じたいということで、立石地区については用地買収を終え、この平成三年度には供用したいということで今仕事を進めておます。これは道路を海岸側に振り出す、こういうような形で今これは考えております。それから、鵜戸地区につきましては一部の用地の買収が難航いたしましたけれども、これも収用をかけさしていただきまして、当初供用目標が実は二年度だったのでございますが、若干そのためにおくれざるを得ませんけれども、一日も早くつくりたいと思っております。これはトンネルということで、地崩れに対してはトンネルをもって安全対策をしたいと思っております。それから、小目井地区についても今いろいろと、一部はトンネルにしなければいけないんじゃないか、また一部は海岸に振り出さなきゃいけないんじゃないか、こういうようなこともわかってまいりまして、これもなるべく早くその結果をまとめて事業化に入りたいということで、三年度には用地買収及び改良工事に着手させていただきたいと思っております。いずれにいたしましても、雨が降るたびにこういう御迷惑のかからないような安全な道路に少しでも早くさせていただきたいと思っております。
  131. 北川昌典

    北川(昌)分科員 いま改築していただいているところについては、そういう形でかなり整備が進んでおりますが、将来的に災害が起きて整備をしていくということでなくて、やはり災害が起きないような道路改築に向けて御検討いただきますようにお願い申し上げておきたいと思います。  さらに、主要地方道の国道昇格についてでございますが、これは五十七年に国道昇格五千五百五十キロメートルがされて、それ以前は五十年、その前が四十五年と大体五年から七年間隔で国道の昇格が審議されているようでございますけれども、昇格路線を決定する審議会はいつごろになるのか、ちょっと簡単にお聞かせ願いたい。
  132. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 現在の国道は、昭和五十七年に現在の実延長でございます四万六千八百五キロ、これになるために約五千六百キロほどを指定追加いたして現在に至っております。約八年たっております。その間、四全総等も出てまいりまして、地域の多極分散型のコア、中心としての国道網の必要性が非常に認識され、各地からの国道昇格への御要望が一万二千キロ余となっておる状況でございます。その中で、私ども現在昇格といいますか、国道網の再編成の作業に入っておりますけれども、問題点が二つ、大きな問題としてございます。  一つは、私ども今まで五万キロをもっていわゆる一つの国道の全体の規模である、こういうふうに考えておりました。これは四十年代にそのような考え方でまとめ、そして現在に至っているわけでございます。その間、今言った四全総等もございまして、地域の道路に対する物の見方が変わってまいりましたので、果たしてこの五万キロをもって国道ということで考えていけるのかどうか、これの検討が極めて重要でございます。そこで私ども、関係部局あるいは関係の方々とも御相談しながら、将来の国道の規模はどうあるべきかということを一方では検討いたしております。それが一つ。  それからもう一つは、いろいろな意味で国道の要件というのが変わってまいりました。一番大きい例が、よく申し上げることでございますが、五十年までは離島に国道がございませんでした。五十年のときに初めて離島に国道を入れたわけでございます。現在半島法も出てまいりました。そういう意味で、いろいろな意味で国道網の意味といいますか位置づけによる採択要件といったようなものの見直し、これが大きな要件として出てまいりました。それから、国道というのが今四百番台、かなりの本数がございます。こういうものを、従来の形だけで国道を再編成していいんだろうか。もう一度きちっとした目で見直す必要があるんじゃないかといったような質的な見直し、こういったようなこともございます。これを同時並行的に一万二千キロに及ぶ御要望とあわせて検討いたしておりますから、もう非常にふくそうしております。  しかし私どもとしては、来年の夏、新しい五カ年計画を要望させていただきたいと思っておりますが、その際には新しい国道網の構想をもとに新しい五カ年計画を要望いたしたいと思っておりますので、なるべく早く作業を終わらして国道再編成に取りかかりたいと思っておりますが、高規格幹線道路、いわゆる先ほどの国土開発幹線自動車道の整備計画あるいは基本計画のための国幹審をいつ開けるかということとの絡みもございますので、そういうものもあわせて大臣に最終的に御判断をいただいて、今後私どもその作業に入りたいと思っております。
  133. 北川昌典

    北川(昌)分科員 先ほどから申しますように宮崎県は山岳地帯も非常に多うございまして、交通網が整備されてないところでございまして、そういう意味で、今四線ほど昇格要望が出してあると思いますけれども、そういう県内の交通事情を十分御勘案いただきまして、審議に当たっての特別の御配慮を、これは陳情でございますが、お願い申し上げておきたいと思います。  それから、河川の治水対策について御質問申し上げたいところでございますけれども、時間もございませんので簡単に申し上げますと、昨年七月に九州北部の方で集中豪雨がございました。かなりの災害が起きたところでございます。その後、九州南部で、十九、二十、二十一号、こういう台風がございまして、集中的な雨が降ったわけでございます。その際に中小河川、かなりの箇所が決壊をしたところでございますが、その中でも決壊でなくて、いわゆる霞堤というのがございまして、霞堤から逆流して一集落が、本当、四十年なかったことのようでございますけれども、一週間に二回も家の中で胸までつかる、冷蔵庫がブカンプカン浮くというような状況がございました。そういう面からいきますならば、かつてのそういう霞堤がつくられた時代、今の堤防の建設の規格というものが、今日いろいろな状況地域の環境も変わってまいっておりますし、土地利用も変わってきておりますので、そういった面では若干従前と異なる状況が出てきておるのではないかと思うんですけれども、そこあたりどのようにお考えなのか。  それともう一つ一緒にお尋ねしますけれども、中小河川、予算が大変少ないということで整備もおくれております。そういった点、今、川に親しむということで、河川の皆さん方も一生懸命花を植えたりあるいは堤防を整備したりしていただいておるわけですけれども、そういう中で一遍中小河川についての一斉点検、調査をしていただいて、整備をするところはする、改修するところはするという形で御検討いただくことはできないのか、お聞かせいただきたいと思います。
  134. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 昨年、九州五県で梅雨豪雨によって大災害があったわけでございますが、その後十九号、二十号、二十一号と連続して、南の方の九州も含めて大災害があったわけでございます。  現在、中小河川の整備に当たりましては、それぞれの河川の状況に応じましてそれぞれの計画で進めておるところでございますが、大変予算的にも時間的にも時間がかかるものでございますので、一応当面の目標としては、時間雨量五十ミリ程度の目標に対しては早期に整備をさせたいということを旨としてそれぞれ全体の治水五カ年計画を策定して進めておるところでございますが、現在の整備率は全国平均を見ますと約三〇%ということでございます。したがって、ある意味ではどの河川がいつはんらんしても不思議ではないというような状況になるわけでございます。たまたま宮崎県の昨年の二十号のときの豪雨では時間雨量は六十八ミリ、二十四時間では五百六十三ミリと、宮崎地方気象台観測史上では第二位という豪雨だったそうでございますので、既に完成した河川等においても残念ながらそういう浸水が出たのもやむを得ないと思うわけでございます。  それぞれの河川については、過去の土地利用状況、また下流の治水の安全度等を含めて、霞堤の方式によってそれらを保全をしながら下流の市街地を守るというような改修様式は従来からも進められてきたわけでございますが、近年、霞の地域住宅がだんだん進出してくるというようなことで、従来、水害のなかったところがまた水害に遭うというような事情も出てきております。それらの地域について直ちに霞を締めるということは、それだけその地域の遊水量が下流へ流出するわけですから、安全度のバランスを崩すということになります。したがって、全体を見ながら、また人家に災害等が及ぶようなところについては何らかの対応もしていかなければいかぬということでその都度改修の点検をしてまいることにしております。  一律ということではございませんが、それぞれ災害の起こった後については、再度災害防止の観点から、中小河川ですと主に県が担当するわけでございますが、その点検した結果をもって、我々の方に要望があればそれに対して適切に対応するよう努力しているところでございます。
  135. 北川昌典

    北川(昌)分科員 いろいろ申し上げましたが、また二百二十号線の青島バイパス、それから二百二十二号線の牛ノ峠線バイパスの早期完成に向けての御質問もしたかったわけですが、時間もございませんので、以上で終わらしていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
  136. 綿貫民輔

    綿貫主査 これにて北川昌典君の質疑は終了いたしました。  次に、遠藤登君。
  137. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 高速交通網の時代を迎えて、道路の整備に積極的な御努力をされていることに深く敬意を表する次第であります。  本日は、特に、恐縮でありますが、山形の問題を中心にひとつ質問をさせていただきたいと思います。  それで、山形県のいわば国道等の置かれている状況、これは御案内のとおりでありますが、高速道路網の通過としては全国で四十四番目、それから国道等の道路面積の保有率が北海道あるいは高知に次いで全国でしりの方から第三位、それから車道幅が十三メーター以上のいわば多車線、複車線というのが〇・六%で、全国平均の五五%というような状況の中で、それぞれ高速道路網の整備計画促進について知事初め県民挙げて強く要請をしながら、それなりにまた建設省当局も御配慮いただいているわけであります。しかしながら、一刻も早くこの道路網の整備等によって、それぞれ地域間格差あるいは産業間格差が非常に拡大を続けるというような状況の中で何とかひとつ促進をしてもらいたいというのが県民挙げての願望なわけであります。それはまた、高規格幹線道の整備については全国民のまた一つの大きな願望でもあるわけであります。  それで、特に東北横断道酒田線の建設計画と完成に向けての展望についてお示しをいただきたい。
  138. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  東北横断道酒田線の見通しでございますが、先生御承知のように、これは全長で百五十六キロございます。  このうち、まず東北縦貫自動車道、これは宮城県の村田町で接続しておりますが、ここから宮城川崎を経て笹谷に至る間、ここが約二十二キロ、これがそれぞれ六十三年ないし平成二年に供用させていただきました。それからもう一つ、山形北と寒河江間、これが平成元年の七月に約十一キロ、ここも供用させていただきました。現在供用しているのはここだけでございまして、合わせて三十三キロ余でございます。  関沢インターチェンジから山形北インターチェンジ間、それから寒河江インターチェンジから月山沢インターチェンジ間及び田麦俣インターチェンジから酒田北IC間、合わせて約百三十キロにつきまして、現在道路公団が全部事業を実施しておりますが、その間、今度は笹谷道路及び月山道路につきましては、現在それなりにございますので、これはとりあえずこれを活用するということをとりまして、村田ジャンクションから酒田北インターチェンジまで全線事業に入った、こういうような理解をさせていただきたいと思っております。  特に関沢インターチェンジから山形北インターチェンジの十四キロ、これは平成三年度内に供用を図らせていただきたい、私どもかように思っておりますし、酒田北から酒田の間は現在中心ぐいの設置の準備中でございます。これは昨年の十一月十九日に施行命令、ことしの一月三十日に路線発表したばかりでございますので、現在中心ぐいの設置の準備中でございます。また、酒田から朝日間、これについては設計協議及び用地買収中でございますし、朝日から田麦俣の間も同じようにこの一月三十日に路線発表したばかりでございますので、中心ぐいの設置の準備中でございます。それから、月山沢と寒河江間は、やはりこの一月三十日路線発表したわけでございまして、これも中心ぐいの準備中。そういうことで、いずれもこの一月からしゃにむに事業に入った、こういうことになっております。  私ども、これからでございますが、今までのおくれを取り戻すべく一生懸命頑張らせていただきたいと思いますので、また現地のいろいろな状況におきましては先生の御指導をいただきたいと思っております。
  139. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 大変な御配慮をいただいておりますが、特に来年はべにばな国体が開催をされるということなどもありまして、村田から寒河江までのいわば全線の開通ということについて、ぜひこれは最低限度御配慮を願いたいという願望があるわけでありますが、その点の、国体開催に向けての村田—寒河江までの間の開通見通しの状況など、それから全線の完成に向けておおよその展望がどのような見通しにあるのかもあわせて聞かせていただきたい。
  140. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 今の国体関連につきましては、問題の山形北から関沢間をことしの七月に供用させていただきたいと思っております。そういたしますと、笹谷トンネルを一部活用していただきますけれども、寒河江—村田間はきちっとした形で使えるように相なる考え方でございます。  それから、全線につきましては、路線発表してからおおむね十年というのが私どもの一つ考え方ではございますけれども、一番時間がかかるのが用地買収でございます。これは、いざとなると地権者の個人的な御理由もございますし、こういうソフトな事業とトンネルを掘ったり工事をしたりというハードな作業、昔はハードな作業の方が時間がかかりましたが、今はソフトな作業の方が時間がかかっておりますので、十年というものも、このソフトな部分を短縮することによって、さらにハードの方も私ども一生懸命検討させていただきますけれども、従来の十年を九年、八年というぐあいに少しでも短縮するような努力はさせたいと思っております。
  141. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 それから、一応山岳地帯の月山の現行の道路を当面併用する、これは将来構想としては新たに対応するということも検討の中あるのかどうか。大変な山岳地帯で豪雪地帯でありますので、特に冬期間の通行の確保のために安全上からも、これは莫大な投資も必要だとも思いますが、将来に向けて新たな路線の対応というのが必要なのではないかというふうに思いますが、検討の中にあるのかどうか、その辺もお聞かせをいただきたい。
  142. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 月山沢—田麦俣間が先生御指摘の月山道路区間でございますが、当面は全線が開通されて使えるということが最大の眼目でございますので、月山道路を使っていただきたいと思っております。しかし、月山道路はいろいろな意味で問題がございます。設計速度といいますか使う速度も六十キロということでございますし、冬期においては除雪をしながらかなり注意深く通らなければいけないということも事実でございます。そこで、私ども最終的には別のルートで八十キロのスピードで安心して通れる道路をつくりたい、こういうふうには考えております。  そういう目で見たときに、この地域は月山という特殊な地域でございますから、環境問題、環境保全等々いろいろな問題がございます。また非常に山が弱い、そういう意味での地崩れ等々難しい問題がございます。そうなりますと、やはり長大トンネルという案が極めて有力な案であるというふうに現在考えておりますが、では長大トンネルといってもどのようなものになるのか、小さなトンネルを組み合わせた形の合わせた長大トンネルなのか一本だけの長大トンネルなのか、どのようなものなのかを含めていろいろと検討しなければいけないと思っております。それはやはりトンネルというものが長ければ長いほどいいというわけではなくて、長ければ排気ガスの問題、換気の問題、そしてその中における交通安全の確保の問題等々ございますので、いろいろな観点から総合的な判断をして最終的な案をまとめたい、かように思っております。
  143. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 非常に大変な事業でありますが、ぜひ将来により理想的な、しかも四季を通じて通行が確保できるような方針の中で促進をお願いしたい。大変な御高配をいただいていることに深く感謝を申し上げながら、また強くお願いもさせていただきたいというように思います。  それから、いろいろこれも御心配をいただいてまいりました東北中央自動車道の整備促進のことについて、それぞれ御配慮もいただいているわけでありますけれども、これらの促進の対応方向などについてひとつお聞かせをいただきたい。
  144. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 東北中央自動車道、これは全線国土開発幹線自動車道として指定されております。相馬市を起点といたしまして米沢市、山形市、そして横手市に至る全線二百六十キロでございますが、その中で先般の国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして、山形県高畠町から村山市間の五十六キロについて基本計画をまず策定させていただきました。現在、その中から整備計画策定のために必要な調査を実施しておりまして、準備が整いました上山市から東根市間の二十七キロにつきまして環境影響評価の対象とさせていただいております。  その他の区間につきましても当然のことながらいろいろな熟度を上げた調査を進めているわけでございますが、この東北中央自動車道と並行いたしまして米沢南陽道路あるいは尾花沢新庄道路、湯沢横手道路等いろいろな規格の高い一般国道の自動車専用道路的なあるいは自動車専用道の整備を進めておりますので、こういうものを当面東北自動車道の一環として活用することも含めて全線が早く高速ネットワークとして使えるようなそういう整備の仕方を地元、県と相談しながらやってまいりたい。その中におきまして国体関連につきましても可能な限りの対応をさせていただきたい、かように思っております。     〔主査退席、金子(原)主査代理着席〕
  145. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 これも財投を含めて大変な事業でありますが、ぜひそれぞれ多面的な、総合的な意味も含めてひとつ促進方について格別の御配慮を要請をさせていただく次第であります。  それから、次に日本海沿岸の自動車道の整備促進のことでありますが、横断道酒田線との関連を含めて、特に新潟以北になるわけでありますが、これらの促進対応についてどのようなお考えに立っていらっしゃるのかお示しをいただきたい。
  146. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  日本海沿岸東北自動車道、先ほどの東北中央自動車道、いずれも六十二年に初めて国土開発幹線自動車道建設法の改正で追加された路線でございます。したがって、現実の問題としては調査の熟度が全線にわたっては上がっておりません。しかし、その中で私ども六十年以降重点的に調査を進めさせていただきました。特にこのうちから新潟市から中条町間の二十八キロメートル、岩城町から河辺町の十七キロ、秋田市から琴丘町の二十一キロ、合わせて六十六キロ、これを日本海沿岸東北自動車道として環境影響評価の対象といたしております。基本計画といたしましては新潟市から村上市の五十キロ、本荘市から秋田市の四十キロ、秋田市から琴丘町の二十キロで合わせて百十キロでございますが、その中から六十六キロの環境影響評価の対象区間を選ばせていただいております。  その中で山形県だけはちょっと特殊でございまして、この日本海沿岸東北自動車道についてはその一部が東北横断自動車道酒田線とラップしております。そういうことから鶴岡市から酒田市間約三十キロメートルについては鋭意事業を現在進めている最中でございます。なお、こういうことで、この部分の先行的な整備とあわせて、さらに酒田北から本荘に向けての問題あるいは鶴岡から村上に向けての問題等々今後検討させていただいて、日本海沿岸東北自動車道の整備が全体としてバランスのとれた形で行われるように努力をさせていただきたいと思っております。
  147. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 特に酒田線、横断道関連、それから補助整備関連というようなことなども総合的な立場からぜひ事業量を拡大をして、その促進方に特に御配慮をお願いをしたいというふうに思う次第であります。そして全線の早期完成に向けてさらに最大のお力添えをいただきたいということを強く要請をさせていただきます。  次に、積雪地帯の歩道の確保の問題であります。これはしばらく試験段階を経てきているわけでありますが、特に豪雪地帯あるいは積雪地帯もさることながら、車道の雪を歩道に除雪をして学童がその雪の山の上を通るあるいはお年寄りが雪の山の歩道を通るというようなことでまず危険きわまりない状況がありまして、幾多事故の発生なども見ているわけであります。したがって、積雪地帯の歩道の確保などについて特段の力を入れて、事業量の拡大について最大の御努力をなされるべきではないかというふうに思う次第でありますが、その対応方向などについて、あるいは対応状況などについてお知らせをいただきたい。
  148. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 この冬期の歩行者空間の確保は極めて重要な問題でございまして、私ども、これは昭和五十年代当初から歩行者の安全確保を図るという観点で試験的施行として歩道除雪を開始いたしました。また、私ごとで恐縮でございますが、当時私は除雪担当の課長補佐をしておりまして、山形市と米沢市に参りました。そこで流雪溝の勉強をいたしました。流雪溝が歩道除雪あるいは屋根雪おろしのために極めて有効であるということも勉強させていただきました。そういうことから、以後、防雪、除雪、こういう両面から歩行者のための通行確保に努力してまいっておりまして、特に、昭和六十三年度から第九次積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画というものに基づいて現在実施しております。  その結果、当初二百キロしかなかった歩道除雪が徐々にふえてまいりました。そして、従来は国道の一部しか試験的にやっておりませんでしたものが、国道だけではなくて県道にも及び、市町村道にも及ぶという形で、それを六十三年からは国、県、市町村が協力いたしまして、市町村ごとに歩行者空間確保計画、雪みち計画というような計画をつくっていただきまして、これに基づいて、機械歩道除雪と施設整備等の手法を総合的に組み合わせた冬期歩行者空間確保パイロット事業というものを発足させていただきました。その結果、平成二年度には国県道合わせて四千キロというものの歩道除雪が可能になりました。  市町村道はちょっと事情が変わっておりまして、いろいろと込み入っておりますから、単に除雪というものを補助でやるよりも、機械をその市町村整備して自由にお使いいただく方がより喜ばれるということもございまして、機械補助という形で市町村道の除雪には対応して現在に至っております。そういうことで、現在このパイロット事業実施市町村が百三十七市町村ございますが、山形県が二十四市町村、歩道除雪延長四千キロのうち山形県は四百五十九キロというような形で現在に至っております。
  149. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 この歩行者空間確保パイロット事業、これは大変な評価の中にあるわけであります。これをぜひ拡大をしていただくということで、特に交通弱者である積雪地帯の安全な通行を確保するという面にひとつ大きな力を出していただきたいというふうに思う次第であります。  それから、歩道の関係もさることながら、これは積雪地帯の各県に言えることだと思いますが、山形県的に言えば、国道あるいは県道等の冬期間のいわば通行不可能な道路が約一〇%あります。そして、その延長が三百二十六キロ、これら問題の主要幹線の冬期間の交通確保についても、これは県や市町村ということもあるわけでありますが、建設省としても、これは道路整備が先行するという問題もあるわけでありますけれども、既存の道路あるいは冬期間の重要な路線の交通確保について最大の御配慮をいただきたいというふうにお願いをさせていただきます。  それから、今度いよいよ三月期、雪解けの時期を迎えまして、特に表層雪崩とか全層雪崩とか、融雪の時期を迎えているわけでありますが、これはいろいろ安全対策について配慮もされているわけでありますけれども、これらの点検とか、あるいは今後それらの災害が発生しないような防止対策などについてひとつ万全の対応をお願いをしたいな、こういうふうに思うのでありますが、その対応方向、対応状況などについてお聞かせをいただきたい。
  150. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 まず最初に、私ども、我国の積雪寒冷地域国土の六割ございますから、その中での幹線道路は全部除雪をしたいと思っております。しかし、除雪ができるような道路構造になっておらなければ除雪をしたらかえって危険でございますので、そういう意味で道路整備を先行させて、除雪しても安全な道路の場合については、私ども道路を指定して除雪をしていきたい、こういうふうに思っております。  そういう中でこの雪崩問題につきまして、実は私ども、昭和四十三年から七回にわたって防災点検という一連の中で点検をいたしてきております。現在八回目の新しい点検を平成二年度に防災点検の一環としてやっております。そこで、雪崩発生のおそれのある箇所をもう一度新たな視点でまとめたいと思っております。こういったまとめた結果に基づいて、私ども逐次、実は第九次の雪寒五カ年計画と言っておりますが、この中でこの問題の対応をしております。といいますのは、第九次までは防雪事業という中で、こういう雪崩対策のための防護擁壁とか防護さくとか、こういったものをつくってきたわけでございますが、従来はどちらかというと除雪重視あるいは凍雪害重視でございましたけれども、この第九次からは防雪重視、言ってみれば雪崩対策重視という形で、第九次の五カ年の規模を一・三九倍に第八次からした際に、防雪だけは一・五八倍ということで特に大きく膨らませました。スノーシェッドを中心とするこういう雪崩対策に積極的に取り組む姿勢をつくりました。その結果、平成二年度末には一般国道の整備延長は、約百十八キロほどスノーシェッドができることに至っております。山形県においても約二百カ所、二十一キロ、こういうようなものになっております。  さらに、これだけをつくってもその前後で起きてはなりません。そこで、二つの対策考えております。  一つは、雪崩は暖かくなったときでございますから、大体十時とか十一時とか、こういう午前中が比較的多いといろいろな経験者から私どももお聞きしております。雪崩発生のおそれのある場合はなるべく事前通行規制、こういう措置をとることといたしておりまして、全国で約五十七区間が現在その対象区間になっております。もちろん、五十七区間以外についても、おそれがある場合にはそういう処置をとりますが、この五十七区間だけは特に気をつけなければいけない区間ということで私ども注意をいたしております。  さらに、そういう際に、雪庇といいまして雪が張り出しているところ、可能ならばこれを先に落とす、こういう作業を道路事業の一環として事前にやらせていただいておりますし、場合によりましては、これは非常に専門家が少のうございまして危ないのですけれども、火薬を、ダイナマイトを全部雪の穴に埋めましてこれを落とす、こういう作業も道路の維持管理の一環としてやらせていただいております。ただ、これは非常に専門家が少ないということで、そういう方々にお願いしながらやってきているということで、まずは事前に注意していただく、それから、できることならばそういうことで防ぐ、それから、できれば、そういうことも心配しないように、恒久策としてはスノーシェッド等をつくっていく、こういうことで今後ともやらせていただきたいと思います。
  151. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 災害は不意にやってくるということでありますので、大変な仕事でありますが、ぜひよろしくお願いをしたい。  それからこの河川敷、最近モーニング野球を初め、全国的にそうだと思いますが、運動広場が非常に不足をしておる。これは農林省分野でも言えると思いますが、この運動広場の確保に特に一級河川あるいはそれぞれの河川の河川敷を積極的に開放して、運動広場等の用地の造成に寄与していくべきじゃないか。これは、建設省当局におかれましても地元の要求などについて大変積極的な対応をされてきている経過がありますが、その辺の対応状況とか対応方向などについてお示しをいただきたいと思います。
  152. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 河川敷地は、洪水の際には洪水を安全に流して、その被害を最小限にとどめるべき河川管理上重要な空間でありますが、同時に、日常はオープンスペースとして国民に残された貴重な財産でございます。東京オリンピック当時から河川敷地を運動広場として積極的に活用すべしという要望が非常に強くなってまいりまして、このため、河川敷地占用許可準則を設けまして、その管理の適正、また、運動広場等、河川高水敷の整備を図ってきたところでございます。  一方で、近年は都市部では、とりわけこの河川空間が自然環境が豊かに残された空間として、その保全を求める声も強いわけでございまして、このため、昭和五十六年に河川環境のあり方についての河川審議会の答申をいただいたところでございます。我々としては、この答申の趣旨を踏まえまして、それぞれの河川敷地は、それぞれの地域市町村あるいは学識経験者等の意見を踏まえ、どのように管理すべきか、いわば自然と触れ合う場として保全することが望ましい自然ゾーン、あるいは運動広場、公園等の整備を行い、各レクリエーションに提供することが望ましい空間等のゾーン計画をつくりまして、この方針によりましてそれぞれ適正に管理を進めておるところでございます。
  153. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 いろいろ課題もあるわけでありますが、いずれかの機会に譲らせていただいて、時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  154. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて遠藤登君の質疑は終了いたしました。  次に、小川国彦君。
  155. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、有料道路というものはいつ無料になるのか、こういうことに国民的な関心を持っているわけであります。首都圏の中での京葉道路というのがまずございますが、これの無料化はいつごろ実現するのでありましょうか。
  156. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 京葉道路の料金徴収期限についての御質問だと思われますけれども、この道路につきましては、平成二年九月四日に建設大臣の許可を得ておりまして、現在のところ、平成十八年四月、こういうふうになっております。  なお、この許可の内容でございますけれども、京葉道路につきましては、当初以降、改築費三百七十億円、追加改築費四百八十億円ということで、拡幅とか遮音壁の増設とかそういうものを行っておりますほか、千葉東金道路につきましてはプール制を組んでおるわけでございますが、千葉東金道路につきまして、一期、二期の費用を見込んだものでございます。
  157. 小川国彦

    小川(国)分科員 ちょっともう一遍、よく説明していただきたいのですが、京葉の方の道路にかかった改築費等が幾らで、新規の千葉東金の一期、二期にかけられた金額が幾らか、それを明確にしてください。
  158. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 京葉道路でございますけれども、当初の建設費が八百二十八億円、これはかなり前のことでございます。五十年代でございます。その後、改築費といたしまして、手続上許可を六十三年にいただいたのですが、そのときの改築費が三百七十億円でございます。そして、その後、平成二年九月にまた事業計画の変更につきましてお認めいただきまして、これの改築の追加費が四百八十億円、こういうふうになっております。  それから、千葉東金道路でございますけれども、当初、一期工事の建設費が二百九十五億円ということでございまして、その後、第二期工事といたしまして工事費が六百十二億円、こういうふうになっております。  以上でございます。
  159. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうすると、その二百九十五億と六百十二億は、京葉道路の収入からこの千葉東金一期、二期に充当した、こういうことでございますか。
  160. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 千葉東金道路につきましては、当初許可をいただきましたのは昭和四十六年ということでございますけれども、途中の段階で、昭和六十三年三月に、千葉東金道路と京葉道路のプール制が認められております。したがいまして、その段階から千葉東金と京葉はプール計算になっているということでございます。
  161. 小川国彦

    小川(国)分科員 何かあいまいもこになってしまったようでありますね。  そうすると、これがプール計算になったというと、京葉道路に使われた部分と千葉東金一期、二期に使われた部分の区分は、さっきおっしゃられた金額、二百九十五億と六百十二億、総体の金額で簡単におっしゃっていただいていいのですが、京葉道路に使われた分は幾らか、千葉東金に使われた分は幾らか。
  162. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 先ほど御答弁申し上げたのですけれども、京葉道路に使われました金額は……(小川(国)分科員「それはわかっております。ですから、千葉東金の分だけ聞いております」と呼ぶ)千葉東金でございますけれども、一期工事に使われましたのが二百九十五億、それから二期で予定しておりますのが六百十二億ということでございます。
  163. 小川国彦

    小川(国)分科員 この資金は、京葉道路の収入から千葉東金に回した、こういうふうに理解していいですね。
  164. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 金を回したというわけではございませんで、それぞれの工事費だと私ども考えておるわけでございますけれども……。
  165. 小川国彦

    小川(国)分科員 このお金の原資はどこから出ましたか。
  166. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 原資と申しましても、これは一般有料道路につきまして、金に色がついているわけでもございませんので、どこから金を回す、こういうことにはなってないわけでございます。
  167. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうすると、三十年償還の計算の千葉東金の資金がございますが、それ以外にこちらから回って、それもプールしてしまった、こういうことですか。
  168. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 道路につきまして、道路の償還につきましては、それぞれ個別に計算はいたしております。しかし、資金には、金には色がついているわけではございませんので、京葉道路から千葉東金道路に回った、こういうふうなことにはなってない、こういうふうに考えております。
  169. 小川国彦

    小川(国)分科員 あなたの答弁ではそういうことで、非常にうまく答弁されているんで、それでは実態面からいきますが、きょう道路公団の総裁と首都高の理事長さんいらっしゃっていますが、道路整備特別措置法で、高速料金を取ります際に、それぞれ料金の徴収期間については大臣の認可を受けておりますね。
  170. 松原青美

    ○松原参考人 そのとおりでございます。
  171. 小川国彦

    小川(国)分科員 それから、これを受けた省令で、やはりこの高速自動車国道等の料金及び料金の徴収期間等に関する省令で、その一条一項の四号でも、許可申請に当たり料金の徴収期間を記載するということになっていますから、この徴収期間を記載しておりますね。
  172. 松原青美

    ○松原参考人 私どもの首都高速道路公団につきましてはそのとおりでございます。(小川(国)分科員首都高速道路公団については」と呼ぶ)そのとおりでございます。
  173. 小川国彦

    小川(国)分科員 日本道路公団の方はいかがでございますか。
  174. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 同様でございます。
  175. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうすると、その変更をするときもそれぞれ大臣の認可は得ておりますか。
  176. 松原青美

    ○松原参考人 そのとおりでございます。
  177. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 同様でございます。
  178. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうすると、措置法は、高速料金を徴収するときは、徴収できる期間というものを限定されたものと考えていると言えると思うのですね。逆に言うと、未来永劫にわたって、あるいは半永久的に料金を徴収するという事態は措置法は予想していない、こういうふうに思うのでありますが、その点はいかがですか。
  179. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 日本道路公団でございますけれども、償還が完了いたしましたときには無料開始される、こういうことになっております。
  180. 松原青美

    ○松原参考人 先生先ほどから御指摘のとおり、料金の徴収期間を定められておりますので、その徴収期間が終わるか建設費の償還が完了したときには本来の道路管理者に引き渡す、こういうことになっております。
  181. 小川国彦

    小川(国)分科員 首都高の一号線でも三十年の償還期限が来るという区間があると伺っておりますが、これはいつどの区間が徴収期間の終了期限になりますか。
  182. 松原青美

    ○松原参考人 首都高速道路につきましては、首都高速道路の全体のネットワークを一つの計算の基準といたしてございますので、どの区間が無料になるということはございません。一斉に無料になるわけでございます。
  183. 小川国彦

    小川(国)分科員 一応供用開始から三十年という償還期限でまいりますと、中央区宝町三丁目から港区海岸三丁目の四・五キロ、これが昭和三十七年十二月二十日から供用を開始しておりまして、平成四年十二月十九日で満三十年となる、こういうふうに承っておりますが、これはそうして一応この区間における償還期限というものは平成四年十二月十九日に将来到来する、こういうように理解していますが、この点は。
  184. 松原青美

    ○松原参考人 ちょっとお時間をいただきまして……(小川(国)分科員「いや、もう簡単で結構です。到来するかしないかだけ答えていただければいいです」と呼ぶ)到来いたしません。
  185. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうすると、これはプール制だから到来しない、こういう考え方になりますか。
  186. 松原青美

    ○松原参考人 ただいまのは建設大臣から私どもが受けている認可の内容でございますので、そういう到来しない認可内容で私ども認可を受けてございます。
  187. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうすると、この首都高の場合にはこういう一つの区間区間が三十年という償還期限で大臣の認可を受けておりますね。まずその点、確認。
  188. 松原青美

    ○松原参考人 区間ごとの料金の徴収の認可を受けているわけではございません。  ちなみに、先生先ほどおっしゃいました昭和三十七年の十二月二十日に最初の四・五キロ区間が開通したわけでございますが、そのときには、当時工事中でございました八路線がございます、一号線から八号線まででございますが、八路線の供用が開始された日から三十年、こういう認可の内容をいただいております。したがいまして、ただいまおっしゃいました平成四年云々という問題はございません。
  189. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうすると、これは三十七年十二月から供用されまして、これの償還期限というのは定めがなかったのですか。
  190. 松原青美

    ○松原参考人 そのときいただきました認可は八路線のものでございまして、八路線の約四十キロだと記憶いたしてございますが、その八路線の工事が完成された日から三十年という料金徴収期間をいただいております。
  191. 小川国彦

    小川(国)分科員 その料金徴収期間という認可をもらっておるわけですね。料金徴収期間が終わるということは、じゃその次にまた引き続いて取れるというのはどういう法的根拠でお取りになるのですか。
  192. 松原青美

    ○松原参考人 現在、その当時から同様でございますが、私ども首都高速道路一つのネットワークとして相互に密接関連のある自動車交通に対応する、こういう考え方でございます。したがいまして、当時から八路線を一括して認可をいただいたわけでございますし、現在その路線が随分ふえてございます。それも含めまして全部一緒の認可でいただいてございまして、現在受けております認可の内容では平成二十四年四月まで料金を徴収することを建設大臣から認可を受けてございます。
  193. 小川国彦

    小川(国)分科員 徴収期間の認可は平成四年十二月十九日ですね。昭和三十七年に大臣から徴収期間の認可として受けたのは平成四年十二月十九日ですね。
  194. 松原青美

    ○松原参考人 いや、先ほど来御説明いたしておりますように、そういう確定日付ではございません。当時一号線から八号線まで——失礼しました。先ほど四十キロと申し上げましたが、三十一・六キロでございます。この区間につきまして料金徴収期間は、この八路線のその区間が完了するときから三十年。ただ、これは認可内容ではございませんが、私どもは当時昭和三十九年九月一日から三十一・六キロが供用されると考えてございましたから、当時の私どもが考えておりましたのは昭和六十九年八月まででございます。
  195. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうすると、八路線が一緒だったから、その八路線の一番最後に供用されたやつから計算すると昭和六十九年が一応定められた徴収期間の最後になる、こういうことですね。
  196. 松原青美

    ○松原参考人 いえ、少し細かくなりますが、要するに八路線の中で三十一・六キロ供用の見込みが立っているものを挙げまして一括して認可を受けたわけでございます。それで、その供用の見込みが当時立っておりました三十一・六キロが供用された日から三十年、こういうことでございます。ですから、最初のどこかが供用をされてから三十年ではございませんで、その三十一・六キロが供用されてから三十年、こういう認可内容でございます。
  197. 小川国彦

    小川(国)分科員 その日が昭和六十九年と。
  198. 松原青美

    ○松原参考人 さようでございます。
  199. 小川国彦

    小川(国)分科員 何月何日になりますか。
  200. 松原青美

    ○松原参考人 八月三十一日になります。  ただし——ちょっと失礼しました。補足させていただきます。私どもが考えておりましたのがその日でございます。認可内容といたしましては、その三十一・六キロが供用された日から三十年ということでございますから、八月三十一日までというのは認可内容ではございません。私どもが考えておりました計画でございます。
  201. 小川国彦

    小川(国)分科員 ちょっとややこしくなりますから、その八路線については、改めて、供用開始の日と八路線含めての徴収期間というものはいつまでかという認可をいただいたのは資料でいただきたいと思います。  この際、ちょっと参考にお伺いしたいのですが、皆さんの方は、この徴収期間については、道路整備特別措置法の第七条の四で、首都高速道路公団は「運輸省令・建設省令で定めるところにより、料金及び料金の徴収期間について、あらかじめ運輸大臣及び建設大臣の認可を受けなければならない。」というふうになっておりますね。これに基づいてこの徴収期間というものを決められているわけですね、認可申請を出しているわけでございますね。
  202. 松原青美

    ○松原参考人 それに基づきまして、私どもがその徴収期間と考えておりますものを認可申請をいたすわけでございます。
  203. 小川国彦

    小川(国)分科員 それからもう一つ、プール制の法的根拠はどこに置いておられますか。
  204. 松原青美

    ○松原参考人 お答えいたします。  具体的には、道路整備特別措置法の施行令の第一条の六にございます。ちょっと読み上げさせていただきます。
  205. 小川国彦

    小川(国)分科員 わかりました。それはよくわかっておりますから。  そうすると、もう一つ日本道路公団なり建設省に伺いますが、京葉道路の延長を行って相互関連というふうに、「自動車交通上密接な関連を有する」というような道路ということになっておりますが、道路整備特別措置法施行令の一条の六、これを根拠としてプール制というものを採用している、こういうふうに理解してよろしいですか。京葉道路が千葉東金二期まで延長したことも、それから首都高速道路が、一つの区間の償還期間が来ても、全体をプールだから全体のプールでいくと無料にならないという根拠は、この一条の六にあるというふうに。  これは、道路公団の方からまず答えてもらいましょう。
  206. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 プール制の根拠でございますけれども、これは道路整備特別措置法の第三条の二第一項がございまして、それに基づきましてプール制を実施したところでございます。
  207. 小川国彦

    小川(国)分科員 ちょっともう一遍伺いたいのですが、道路整備特別措置法何条でございますか。
  208. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 三条の二第一項でございます。
  209. 小川国彦

    小川(国)分科員 ちょっとその条文、読んでいただけますか。
  210. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人    日本道路公団は、前条第一項の許可を受けて料金を徴収している二以上の道路につき、次の各号に掲げる条件が存する場合には、建設大臣の許可を受けて、これらの道路を一の道路として料金を徴収することができる。  一 当該二以上の道路が、通行者又は利用者が相当程度共通であるか、相互に代替関係にあることにより、交通上密接な関連を有すると認められること。  二 当該二以上の道路についての料金の徴収を一体として行なうことが適当であると認められる特別の事情があること。 以上でございます。
  211. 小川国彦

    小川(国)分科員 これは私、前回も質問したのでありますけれども、これで「二以上の道路が、通行者又は利用者が相当程度共通である」、それについては、その道路審議会の答申の中で「相当程度共通である」ということは「いずれか一方の」、これもまたあれですね、皆さんに都合よく解釈しちゃったやつなんですね、審議会の答申は。皆さんの方は、この三条の二だけでこのプール制ができる、こういうふうに判断しているのですか。それとももう一つ、今私が読みかけた道路審議会の答申も含めてそれができるというふうに判断しているのですか。
  212. 廣瀬好宏

    ○廣瀬参考人 プール制の根拠にいたしますのが、この三条の二でございます。  先生御存じのとおりでございますけれども、この答申につきましては、道路審議会の五十八年の「一般有料道路の今後の整備の方向と採算性の確保についての答申」というのがございます。この答申ではこの条文の解説をしておりまして、その判断基準を明確にしていただいております。  その「密接関連性」の判断といたしまして、「通行者又は利用者が相当程度共通であること」ということにつきまして、「物理的に連絡している場合 又は」「いずれか一方の道路の通行者又は利用者の概ね二分の一以上が合併採算の対象となる他の道路を通行又は利用している場合」ということで判断基準を示していただいております。これによりまして、物理的に連結している道路につきましては相当密接関連性があるということでその判断をいただいておりますので、私どもはそれに従いまして申請をさせていただいている、こういうことでございます。
  213. 小川国彦

    小川(国)分科員 いつ道路審議会はこの法解釈をやれるような権限を持ったんでしょうかね。  道路整備特別措置法からは、どういうふうに考えても、京葉と千葉東金を連結させるという考え方は生まれてこないのですよ。相互に利用者が、この二番目の解釈で、二分の一以上が片っ方であればいいなんて道路審議会がねじ曲げた法解釈をして、それがあたかも法の適切な運用であるかのようになっているということは、私はこれは間違いじゃないかと思いますが、いかがですか。
  214. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  道路審議会は、先生御承知のように、道路法第七十九条の第一項の規定に基づきまして、建設大臣の諮問に応じ、道路整備計画あるいは国道の路線の指定等々、いろいろな道路に関する制度調査し、あるいは審議して、そしてそういうものに対して建議することができる、こういう性格のものでございまして、私どもが今後、おくれている道路整備を進めるために生み出された特措法の趣旨というものをどのように理解してそれを進めるかについての、極めて重要な御示唆を私どもにいただくわけでございます。そういうことによって、全国的な道路の整備を私どもは円滑に実施する、そういう意味合いでございます。
  215. 小川国彦

    小川(国)分科員 首都高の方は、このプール制のところは法的根拠はどこに置いているのですか。
  216. 松原青美

    ○松原参考人 法律から申しますと、道路整備特別措置法の第十一条で「料金の額の基準」の規定がございます。それに基づきまして、道路整備特別措置法施行令第一条の六第一項で、ちょっと簡単に読み上げますと、首都高速道路の料金の額は、自動車交通上密接な関連を有する首都高速道路運輸大臣及び建設大臣が定めるものごとの料金徴収総額が首都高速道路公団の管理する首都高速道路建設費、維持管理費等の合算額に見合う額となるように定めなければならない。これは、法制定当初からこのように定められておりまして、以来いわゆるプール制を採用しているところでございます。
  217. 小川国彦

    小川(国)分科員 わかりました。  そうしますと、皆さんのやり方でいくと、平成二年で京葉道路は無料になるのが、こういうプール制の法解釈で十八年まで十六年も延びちゃった。それからまた首都高速は、三十年のいわゆる大臣が認可した徴収期間の限度が来ても、やはりプール制があるという理由でこれも無料にしない。そういう法的根拠は、私はいずれもあいまいだというふうに思うのですよ。道路整備特別措置法ではそれぞれ大臣認可事項としているのに、皆さん方はそれを、法律があって、その下に省令があって、その下の施行令で、首都高速道路公団で言えば、措置法の下位規範といいますか、そういうのにすぎない施行令一条の六の密接関連という表現でこれをプール制の根拠にしちゃっている。  それからもう一つは、日本道路公団で言えば、もう三十年たって当然利用者に無料にしなければならないところを、道路審議会の答申というものの解釈を道路特別措置法の解釈にこじつけて、そしてこれも無料にしない。私は、道路というものは本来無料であるべきなんだ、無料であるべき道路が、それぞれの料金の徴収期間を、なぜ皆さんは三十年と定めて大臣の認可をとるのか。それは三十年たてば、その道路の償還は終わるということなんですよ。終わるということは、普通は償還が終わったものはただになるというのが世の中の常識なんですね。ところが建設省は、日本道路公団においても、首都高速においても、その他の道路においてもこれを無料にしない。しかも、その根拠はいずれも施行令とか道路審議会の答申ということで、法律をねじ曲げたこういう下位規範によったり、あるいはそういう審議会の答申によったりして、国民の権利や利益を無視してこの料金を取り続けるというのは許されないんじゃないか、こういうふうに思うのですが、大臣、私の質問を聞いていて、どういうふうにこれは御判断なさいますか。
  218. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 法令やあるいは行政のルールとか、そういうものをちょっと別に置かしていただいて、私の感想をまず申し述べさせていただきたい。  確かに先生おっしゃるように、公共投資をするもとは、国民の税金であったり、道路は道路の特会制度とかガソリン税であるとか、そういうものも使うわけでありますが、まあ理想論としては、私はやはり有料でなく無料でするということが理想論だろうと思いますが、やはり財政の事情とか、あるいはまた特定の地域を大変スピードアップをして走らせるとか、そういう一つ目的の違う道路であるわけでありますから、基本的には、高速道路を利用しないでも一般の方々がどこへでも行けるという道路はもちろん無料でつくらなければいけませんけれども、多少その辺の事情が違うように思うわけであります。  そこで、償還期限があるからこれを無料にするという御意見もよくわかりますけれども、恐らく車社会がこんなに発展をしていくというふうな予想は、当初から見ますとかなりずれたというか予想を上回る車の量であることから、なるべく多くの方々が安い料金で自動車で利用できるような道路ということになりますと、若干このプール制という問題が出てくるようなことになったのではなかろうかな、こう思うわけであります。しかし、先生の御指摘の今のお話も私は十分承りましたので、しっかり勉強させていただきまして、また今日までの経過というものもいろいろとあるわけでありますから、そういうものを踏まえて勉強をさせていただきたい、このように思います。
  219. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は道路は、大臣がおっしゃったように本来無料であるべきで、諸外国の例を見てもかなり無料の努力をしている。それから、ガソリン税というものを取っている限りは、それを高速道路、有料道路に充てている。ところが、日本国民の納める税金の中で道路の予算を使う、それからまたガソリン税で道路に使い、さらにまた高速料金でまた料金を取る、私は三重の税金を取っているんじゃないかというふうに思うのですね。  だから、道路をつくりさえすればいいという従来の建設省の考え方をもう変えていただく時期が来ているのじゃないか。三十年という償還期限を定めて、一つ一つの道路を大臣認可をとっていくということは、三十年たったらそれは償還するのです。それを、極めて法的根拠のあいまいな施行令とか、あるいは審議会答申でそれをあくまでも取り続ける。京葉道路の場合は大変な利益が上がっている、その利益の大半が全国の有料道路の三分の一の財源に回されている、そういう実態がある。そうすると、その利用者にしてみれば、有料道路の料金をいつまで払い続けても自分たちの料金はほかの道路の建設費に回されてしまって、本来そこを利用している人がそのための受益が不公平になるということはあってはならないと思うのですね。  そういう点では、私は首都高速道路についてもこのプール制のあり方について抜本的な検討を加えるべきときが来ている、こういうように思いますので、この点は大臣に、まあ次の質問の機会までに十分勉強をしていただいて、ひとつこれに対する適切なまた御指導を願いたいということで、質問を終わりたいと思います。
  220. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて小川国彦君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤節君。
  221. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 私は、建設省さんの方に御質問申し上げます。  まず最初にお礼を申し上げるわけでございますけれども、中央自動車道の八王子ハーフランプを完成していただきまして、いよいよ三月三十一日、開通式が行われます。大変どうもありがとうございました。お礼を申し上げます。また、多摩川にかかっております橋の立日橋でございますけれども、これもおかげさまで全線開通さしていただきました。これも深くお礼申し上げます。本当にどうもありがとうございました。私は、五十九年当時からこのことにつきましてはお願い申し上げてまいりましたところ、いろいろの事情があったわけでありますけれども、このように早く完成させていただきましたこと、これで少しでも八王子のインターの渋滞が解消されれば私は大変ありがたいなと思っておるわけでございます。本当にどうもありがとうございました。お礼申し上げます。  さてそこで、最初、道路関係の御質問を申し上げたいと思うわけでありますけれども、まず首都圏中央連絡道路、いわゆる圏央道でございます。これは、何かいろいろ大変な問題があるようでございまして、私も一日も早く開通してほしいと思いまして、いろいろ努力しているわけでありますけれども、いろいろ問題がございます。それで幾つか御質問申し上げたいと思うわけでございます。  まず、特に八王子市の高尾地区、この圏央道の建設予定地でありますけれども、これにつきまして心配される点があるわけでございます。それともう一つ、秋川地区に、ここも何か住民の反対運動などがありまして大変心配しているわけでありますけれども、この圏央道の東京都内区間の進捗状況が心配されているわけでございます。現在、埼玉県から神奈川県への南北道路と申しますと、この国道十六号これ一本でございまして、もう御案内のように、私申すまでもなく本当に渋滞が続いております。ようやく八王子の左入、あの辺拡幅がかなり進んでおりまして、近々完成されるようでございまして、それがされるとまた大分渋滞が解消されるかと思いますけれども、いずれにしましてもこの一本しかない関係で、交通量の増加のために渋滞がなお一層起こっておるわけでございます。  そういう一向に解消されない渋滞の状況にありまして、その意味でもこの圏央道の完成が非常に望まれるところでございます。この圏央道の建設、開通が待たれるわけでありますけれども、また圏央道ができますと、ちょうど中央自動車道とジャンクションがされるわけでありまして、なお一層山梨あるいは長野県への連絡も大変便利になると予想されているわけでございます。  そこで御質問申し上げますけれども、まず第一番目は、圏央道の東京都内区間の進捗状況はどのようになっているのか、まず局長から御答弁願いたいと思います。
  222. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  先生御承知のように圏央道、全長で二百七十キロでございますが、このうち今私どもが一番一生懸命やっておりますのは、この都内区間のものでございます。現十六号の混雑が非常に著しい八王子市—埼玉入間郡鶴ケ島間の約四十キロ、これを六十年から着手させていただきました。元年には鶴ケ島と比企郡川島町間の八キロ、平成二年には八王子市内の約二キロをそれぞれ両端で延伸をさせていただきました。その結果、この八王子市から川島町の五十キロについて、平成元年の三月に都市計画決定がなされたことは御承知のとおりでございます。そして、都内の八王子市から青梅市に至る約二十三キロ、これを元年度から測量、地質調査のために地元説明会を行いました。現在、全延長二十三キロのうちの十九キロでございますから約八五%、これが立ち入りの了解を得て順次測量、地質調査を進めております。現在までの路線測量完了延長は、十八キロと全体の約八一%でございます。また、地質調査の完了延長は、十七キロでございますから全体の七四%、こういうふうになっております。  問題の、測量の立ち入り了解の得られていない区間、これが八王子市の裏高尾地区と秋川市の牛沼地区、この二区がございますが、今私どもこれにつきましては、平成二年の一月三十日、四月二十七日等と何回かにわたって説明会を開催させていただきました。いずれもいろいろと混乱が起きまして、実質的な説明質疑を行うには現在のところ残念ながら至っておりませんけれども、私ども、この高尾山付近の自然環境保全は非常に重要な課題であって、そのための御心配からもこのような混乱が起きているということで、さらに平成元年の六月に学識経験者を含めた四つの委員会を設置いたしました。より詳細な環境保全対策についての検討を並行してやらしていただいております。  いずれにいたしましても、引き続き事業に対する理解を得て、早期に測量等が実施されてできるように努力するわけでございますが、測量の完了した地域につきましては、早速にも詳細設計を行って用地買収等に入る等、促進に努めてまいりたいと思っております。私ども、一つ一つ地道な積み上げを現地でやらしていただこうと思っております。
  223. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 今も局長答弁されておられましたけれども、私も説明会にちょっと、表に出ますとたたかれますので裏から少し聞いたことがあるのでございますけれども、大変なものなんですね。怒号があれしておりまして、本当に聞くにたえないような、本当に建設省のお役人の皆さん方御苦労さんだなとしみじみ思って帰ったわけであります。御苦労さんでございますけれども、ひとつよろしくそれをお願いしたいと思うわけでございます。  次、二つ目でございますけれども、圏央道のアクセス道路の一つとして八王子南バイパスの整備が必要と考えておるわけでありますけれども、計画の進捗状況と見通しはいかがなものか、御答弁願いたいと思います。
  224. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 先生御指摘の八王子南バイパス、これは二十号の日野市、八王子市における交通渋滞が非常に激しいものですから、それとあわせて、沿道の開発に伴って発生する交通も非常に八王子は多いということから、日野バイパスを現在やっておりますが、これを分岐いたしまして、圏央道の八王子南インターチェンジにアクセスするバイパスとして私ども計画を立てております。現在、主要な交差道路との交差処理、それから一部人家密集地域を通過する部分についての環境対策についての詳細な検討を行って、環境影響評価案を今つくっております。  いろいろとまた、問題が現実に出たときに起きてはいけませんから、準備にはなるべく疎漏のないように一生懸命、内容の密度の高いものをつくるべく今やらしていただいております。したがって、この圏央道の整備の進捗に合わせながら、私どもなるべく早く都市計画決定をさせていただきたいということで、地元と一体となって、この案ができ次第、どんどん進めさせていただきたいと思っております。
  225. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 確かに高尾地区は国立公園もございますので、自然環境がもし破壊されるようなことになれば、これはやはり都民の憩いの場所でもございますので、そういうことのないようにやっていかなきゃならぬと私も考えておるわけでございます。いずれにしましても、植生だとかあれなどは今までのデータを見ますと余り影響ないんじゃないかな、そんな感じがしておりますので、何とかこの南北道路を早くやっていただきたいと願っているわけでございます。  次は、多摩川の架橋についてお尋ねを申し上げたいと思います。  私は、ほとんど毎年、本分科会におきまして多摩川の架橋につきまして質問をさしていただいておりまして、また要望もしてまいりました。おかげさまで、先ほどもお礼を申し上げましたように立日橋の全線開通の運びとなり、大変ありがたく思っているわけでありますけれども、しかし多摩川にかかっている橋をちょっと眺めてみますと、例えば関戸橋、これは多摩市と府中市でございます。それから是政橋は稲城市と府中市でございます。それから多摩川原橋、これは稲城市と調布市の間ですね、かかっているわけです。それから多摩水道橋というのがございまして、これは狛江市と川崎市でございます。今申し上げましたように、この川にかかっている橋は一市—一市間かかるんでございますね。一つの市と一つの市の間に一本しかないということでございまして、これが大きな渋滞の原因になっていると思っているわけでございます。特に、今最後に申し上げました狛江市と川崎市の間を走っております多摩水道橋、これは大変な渋滞でございまして、いわゆる年中無休の渋滞の状態にあるわけでございます。  そこで、現在、これらの橋のほかに第二の橋を御計画中ということを聞いております。そういうことでありますが、それら計画中の橋の進捗状況につきましてお尋ねしたいと思うわけでございます。また、既設の橋梁の改修、例えば拡幅などの計画もございましたらお尋ね申し上げたいと思います。
  226. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答えいたします。  現在、多摩川には奥多摩湖から下流の間に三十九の橋がかかっております。先生御指摘のとおり、この地域、特に中流地域は極めて交通量が増大しております。そのため、七橋の新設橋梁の整備を実施中のほか、六橋について多車線化のためのかけかえ事業にも取り組んでおります。そのうち、特に多摩川中流域では四橋が新設橋梁ということで、また二橋がかけかえ事業、こういうことで、さらに二橋についてかけかえの調査を実施しております。  若干お時間をいただきまして、その状況を御説明させていただきますと、新橋の建設といたしましては立日橋、これが一般都道の立川日野線の約四百二十メートルの橋長の橋でございますけれども、五十四年に事業に着手して、平成元年の四月に暫定二車線で供用させていただきましたが、この十五日におかげさまで四車線の供用を図ることになりました。第二関戸橋は、橋長四百四十メートルの四車線でございまして、六十二年に事業に着手して、現在取りつけ部の用地取得を進めております。大体あと五年、四年、そのぐらいではきるだろう、こういうふうに考えております。それから第二多摩川原橋、これは橋長三百五十メートルの四車線の橋でございます。主要地方道川崎府中線でございますが、昭和六十三年度にいろいろと問題がございましたが有料道路事業として着手しております。平成二年八月に都市計画の変更を終えましたので、現在用地買収を実施中でございまして、これもあと平成六年度中には何とか完成させたい、こんなような感じでございます。さらに、二十号に日野バイパスがありますが、ここに新日野橋というものもございますので、これについていつごろどのような形でやっていったらいいかな、これは今後の検討事項考えております。  それから、既設橋のかけかえといたしまして多摩川原橋、これは橋長四百メートルの二車線でございまして、非常に込んでおりますので、四車線にすべく平成元年度から東京都が事業に着手しております。取りつけ部の用地買収、特に左岸側を行ってまいりましたが、右岸側は都市計画の変更を行うということで、都市計画の変更を伴うものでございますのでちょっと時間が、あと十年弱かかりそうでございます。これはもう都市計画の変更が一番大きなポイントだろうと思います。それから多摩水道橋、これは世田谷町田線というのの三百六十メートルの二車線でございまして、六十一年から事業化に着手しております。ことしから下部工に着手しておりますから、あと四年か五年でしょうか、平成八年度程度かなと思っております。それから、調査中の橋梁といたしまして関戸橋がございます。これは橋長約三百八十メートルということで、府中相模原線の四車線の橋でございますが、実は下流側の二車線の橋が幅が狭くて老朽化しておりますので、まず下流側の橋梁をかけかえる、こういうことでございますので、それが先です。それが終わったら、第二関戸橋の完成という形になります。そうしたら関戸橋にかかる、こういう順番の問題だというふうに理解しております。それから是政橋、これも四百メートルの二車線の橋でございますが、これは四車線のかけかえ計画を東京都で立てております。したがって、今年度から都市計画変更に入るというふうに東京都から聞いておりますから、入れば二、三年くらいでできるんじゃないかと思っております。  以上のようなことで、中流地域というのは右岸側、左岸側とも良好な住宅地域でございますし、そういうことで御逃惑がかからないように、建設省としてもできるだけの御協力をさせていただきたいと思っております。
  227. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 大変土地も高くなってきておりますし、橋をつくってもアクセス道路がなければまた意味がないわけでございますから、そういう点で大変困難な事業かと思います。しかし何とか、今の自動車の交通量からいきますとやはり渋滞が大変でありますから、その辺はよろしくお願いしたいと思うわけであります。  次は、時間がありませんからぽんぽんと言ってしまいますけれども、上下水道の問題に入らせていただきます。  まず上水道でございますので、これは厚生省さんの関係かと思いますけれども、お尋ね申し上げます。現在非常に進んだ世の中であるにもかかわらず、しかも東京というところ、ここにおいてまだ上水道がないところがある。しかもこれは、遠い島とか何かであれば別でありますけれども、私の住んでおります三多摩地区の奥の方は、八王子市ですけれども、ここにいまだに上水道がないというところがあるわけでございます。その場所は八王子市の上恩方町です。上恩方町の一番奥に住んでいる人の中には、雨水同様の水を生活水として使っている状況にあるわけであります。これでよく病気にならないものだなと感心して帰ってきたことが何回かあるわけでありますが、いずれにしましても、これは何とかならないでしょうか、早く上水道を引いてもらえないものでしょうかということが、住んでいらっしゃる方々から非常に切実な要望を受けるわけでありますけれども、いかんせん私も力がなくて、皆様方の御希望にいまだにおこたえしていないわけであります。  これにつきまして御質問申し上げますけれども、まずこういった上水道のない方々の家庭ではどんな水を飲んでいらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
  228. 藤原正弘

    藤原説明員 先生御指摘の上恩方町ほか美山町、南浅川町、裏高尾町、それから小津町、こういうふうなところの水道の未普及地域でございますが、合計で千九百二十四名ということでございまして、戸数にすると四百八十八戸であります。  これらの人々の飲料水ですが、どういうところからとっておるかということですが、三百五十八戸千四百二人が沢水をとっております。それから、百二十二戸四百九十六人が井戸水であります。それから、八戸二十六人が湧水を利用いたしております。
  229. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そういういわゆる地下水、それから雨水ですか、滅菌とかなんかはどんなふうにしているのでございましょうか。
  230. 藤原正弘

    藤原説明員 こういう井戸水とか湧水などを利用しておりますので、一般には滅菌、消毒というようなことはやらないでそのまま飲用に供しておるというふうに思っております。
  231. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 大変心配されるわけでございます。何しろ、今も御答弁ありましたようにかなり多くの方々、美山、上恩方、南浅川、裏高尾、小津町といったような五地区がありますから、大変な数、いわゆる四百九十一戸ですか、そして千九百三十四人、二千人くらいいるわけでありまして、こういう人たちが何とか病気にならないように早くできないものかと思っているわけでございます。その辺、建設につきましてはどうなっているんでしょう。上水道の布設は考えていないのでございますか。
  232. 藤原正弘

    藤原説明員 未普及地域の解消ということにつきまして、昨年厚生省では、生活環境審議会というのがございますが、十一月に答申をいただいたわけであります。その答申の中の最重要課題ということで、未普及地域解消というのがうたってございます。そういうことで、全国にいろいろな未普及地域がございますが、これから積極的に未普及地域解消事業を進めていきたいと思っております。  御指摘地域でございますが、東京都の水道局はごく最近、水道事業の変更認可という申請を厚生省に対して行っております。これは、給水区域を拡張いたしまして、これらのほとんどの地域に水道の普及を図るということを意図したものでございます。この申請によりますと、平成七年度を目途に管網等を整備いたしまして、関係地域への水道の普及を図るという計画になっております。厚生省は、前述のような未普及地域解消を重要施策と考えておりますものですから、この方針のもとにこの申請の審査をしております。  以上でございます。
  233. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 それをできるだけ早くやっていただきたいと思うわけです。確かに水道布設といいましても、ただ管を太くすればいいだけではなくて、水圧とかなんとかいろいろあるわけで、特に上恩方とか美山というところは八王子でも非常に高いところでございまして、こちらから水を送るとすればかなりのプレッシャーをかけなければならぬかなと思いまして、技術的にもいろいろ難しい点もあると私は思いますけれども、やはり上水道の安心できる水が供給できるように、一日も早くお願いしたいと思うわけでございます。  さて、次は下水道の問題につきましてお尋ね申し上げますけれども、まず、終末処理場の処理水は今は大体何次くらいまで処理しておられるのか、お尋ねしたいと思うのです。一応、BODは二〇ppmになれば川に放流してもいいんだというような状況になっているかと思うわけでありますけれども、しかし、魚のすめる水といえばやはりBOD五ppmでございますから、そういう点でかなり、四倍ぐらいまだ濃い状態で川に放流されておるという状況にあるかと思います。やはり私は、できたら三次ぐらいまでやる必要があるのじゃないかなと思うのですけれども、その辺いかがでございますか。
  234. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 下水処理場の処理状況でございますが、大体基本的には二次処理までやっておりまして、確かに下水道法ではBODにつきまして二〇ppm以下とされておりますが、二〇Ppmはそういう意味ではいわばアッパーリミットでございまして、実際に放流されているのは一〇ppmぐらいが多いようでございます。先生お話のございますように、高度処理を行いますと、処理方法によってもいろいろ違いますけれども、五ppmぐらいまで下がるわけでございまして、既に水質保全上必要な地域においては各地で実施しておるところでございまして、高度処理を実施しておるところは、平成二年度末現在で琵琶湖、多摩川など二十カ所程度になります。  私どもといたしましては、やはり基本的に公共用水域の水質の保全のためには、まず二次処理による処理区域の拡大が必要でございますが、あわせまして御指摘のように高度処理が必要であると考えておりまして、特に平成三年度から新しい制度といたしまして、特定水域高度処理基本計画策定費補助制度、ちょっと長うございますが、これは湖沼とか閉鎖性海域とかあるいは水源河川等、特に水質保全が急がれる水域で高度処理を推進するということを目的としているものでございまして、今後高度処理につきましては、私どもも前向きに取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。
  235. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 今、高層ビルとか何かでは、東京ドームもそのようですけれども、いわゆる中水道的に処理をした水を使っているということをやっておりますけれども、そういう中水道ですね、これを普及させたらどうか。上水道水をいろいろ生活以外に使っているところもありますので、その辺どのようにお考えになっておられますか。
  236. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 近年、水需要が着実に増大している中で、私どもといたしましては、渇水のない豊かで潤いのある社会を形成していくことが望まれていると認識しておりまして、そういう観点からも下水処理水を再生いたしまして、それをいろいろと有効に活用する、そういったことを内容といたしました事業といたしまして、下水処理水循環利用モデル事業というものを実は昭和五十四年度から進めておりまして、東京都とか福岡市など十一カ所で実施しております。  その実態を見ますと、やはり地域の実情に応じましての違いも含めまして、それの活用の仕方がいろいろ区々でございまして、まだやはりモデル事業レベルかなという認識もございますが、これらを通じまして、私どもといたしましても下水処理水の再利用による中水道の導入を一層推進してまいる必要があるというふうに考えておりますが、現実的な対応がやはり必要なのかなという認識も持っておる次第でございます。
  237. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 大臣、下水道の普及ということが非常に私は大事だと思っているわけです。いわゆる環境整備、環境保全ですね。自然環境保全という観点から見ましても、あるいは河川水、湖沼の汚濁防止、最近生活排水によってこういう河川水、湖沼あるいは東京湾などの閉鎖性の湾など大変汚れてきているわけですけれども、そういう点でやはり下水道の普及ということが大変重要だと思っているわけであります。  残念ながら、私の住んでおります東京でも多摩地域の方ですね、特に三多摩の方でも西多摩あるいは南多摩と言われるそういうところでございまして、八王子だとかそれからまた秋川市だとか、そういうようなところは非常にまだまだ下水道の普及がおくれているわけでございます。これを何か早く私はやっていただきたい、そんなふうに思っているわけでありますけれども、この下水道のこれからの進捗状況といいましょうか、秋川市なんかゼロでございますから、こういったところ、西多摩ですね。また、町村に至りましては全くゼロというのが多いわけでございまして、その辺どんなようなお考えか、御答弁賜ればと思うわけでございます。
  238. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 まず私から、事実関係の御答弁をちょっと申し上げますが、ただいま御指摘がございました多摩地区につきましては、昭和四十三年度から多摩川流域下水道を中心に鋭意整備を進めてまいっておりまして、多摩地区全体では普及率は七二%でございます。全国平均が四四%でございますので、それに比較するのも何かと思いますが、一応比較して高い水準にあるわけではございますが、ただいま御指摘ございましたように、八王子市とか秋川市等を中心といたしまして、実は普及率が低い状況にございます。  これの原因は、多摩川流域下水道につきましては、先生はもう既に御存じと思いますが、南多摩、野川、北多摩一号、北多摩二号、多摩川上流、浅川、秋川と七つの処理区に分けてやっておりまして、四十三年度から着手したのでございますが、この秋川処理区が、特に処理場用地の取得が困難であったこともございまして事業着手が大幅におくれまして、昭和五十七年度になって着手になっております。今鋭意工事中でございまして、この予定でまいりますと平成四年度には何とか、全部ではございませんが供用開始ができるのではないかという予定を持っております。
  239. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 大臣、最後に。
  240. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 公共施設の整備につきましては、同じ東京の議員として先生が大変に御協力をいただいていることに敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。  ただいま下水道の整備について局長からお話をしましたように、二十三区の方ですと八十数%ですから、東京全体で見ますとまだ多摩地域はもっとやらなければいけないということにもなりますし、先ほど来の道路のお話にいたしましても、放射線といいますか、川に沿った道路は、もちろん十分ではないのですがありますけれども、横断道がないために大変な御苦労をされている。しかも、先ほど御説明申し上げたとおり、橋もみんな平成六年とか七年ということでおくれてきましたが、ここでようやく東京都もそういう整備に大変立ち上がってきておると思いますので、できる範囲で建設省もできるだけ協力をして、特に東京全体から見るとおくれている多摩地域については、私も同じ東京の仲間として全力で協力をしてまいりたい、このように思います。
  241. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 強く御要望を申し上げまして、時間になりましたので終わらせていただきます。
  242. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて斉藤節君の質疑は終了いたしました。  次に、川島實君。
  243. 川島實

    川島分科員 私は、既に通告をいたしております国道一号線及び関係するバイパス等について、以下お尋ねをいたしたいと思います。  私の住む岡崎市のちょうど真ん中を国道一号線が東西に走っており、名古屋へ至る間に安城市、豊田市、知立市、刈谷市を通り抜けます。日ごろ私は名古屋へ出かけますので、この一号線とのおつき合いは、岡崎市へ住宅を移してからはや七年にもなります。この間、ところどころで改良工事を行っていただきましたが、交通量と車の大型化は毎年増加傾向にあります。普通に混雑なしに走れる日曜日と早朝六時半ごろまでですと、名古屋までは五十分から七十分ぐらいで行けるのですが、これを過ぎますと途端に九十分から百二十分ぐらいかかります。このような状況ですから、大型トラック等車の運転を仕事にしていられる方は大変御苦労をいただいておるわけでございますし、同じ岡崎市に住んでいる方でも、矢作川を挟んで国道一号線を通らなければ町の中心に行けない方は、一号線の橋を通り抜けるだけで、通常二十分のところを五十分も六十分もかかるときが日常茶飯事になっておるところでございます。  これらの混雑を解消するには、早急に次の対策を進めていかなければならないと思います。  一つは、都市の市街地内を走る箇所はできる限りバイパスを通るように車を誘導をしていただくこと。これには国道二十三号、名豊道路等の道路の整備を急いでいただかなければなりません。  二つは、車をスムーズに流すためには、信号箇所で二車線の機能を一車線に落としてしまうようなことは断じて避けていかなければなりません。そればかりか、このような箇所は多くの車同士の接触事故の原因にもなっておりますし、どうしても右折車用の三車線化を急いでいただかなければなりません。さらにまた、右折の誘導のときの三車線化ができておるところでも、蛇がカエルをのみ込んだような形で、三車線部分が極端に道路の長さが短くしております。こういう箇所は早急に直していただかなければ、何のために右折用の道路があるのかわかりません。  次に、中央分離帯の反射板は、今はすぐ排気ガスで真っ黒になるためやむを得ないわけでございますけれども、二車線を真っすぐ走ってきてたまたま道路が緩く曲がっている箇所は、突然中央分離帯が出てきて大変危なく、自動車の交通事故を招きます。運転者はいつもこの箇所では冷やっとしております。もっと実際に走る人の意見を聞いて、これらの改良を加えていただきたいと思います。また過去に、バイパス等のある交差点では、大型車が曲がり切れず、新設をして一年もたたずに全部壊してしまってつくりかえた箇所があります。これは地元では、税金のむだ遣いだという声も聞こえてくるところでございます。  四つ目は、市街地を走る箇所で両側に住む人たちは、騒音だとか排気ガス、大変な環境に耐えておるわけでございますから、せめてできる限りの環境保全の対策を講じるべきではないでしょうか。中央分離帯はすぐ黒くなるから無理にしても、両側の歩道の景観をよくするために、歩道のカラー化だとか植木等を行うべきではないでしょうか。特に岡崎市は愛知県でただ一市、今回景観をよくする建設省のモデル都市に平成三年度は指定を受けておるというわけでございますから、この辺を含めていかがか、御所見をお伺いをしたいと思います。  それから五つ目に、二十三号線の知立バイパスでございますけれども、これは高架になってインフラはでき上がっているわけでございますけれども、いまだに片側一車線のため、よくここで事故が起きますと完全に道路がストップをしてしまいまして、にっちもさっちもいかない状況でございます。このような高架で走るそういう道路の箇所は、片側完成をして車が通れればよいという形で決めてしまわないで、きちっと工事のけじめをつけた道路行政を行ってしかるべきじゃないでしょうか。また、国道一号線に対する各種の幹線バイパス道路の建設は、これを含めてどのようになっておるのか、あわせてお伺いをしておきたいと思います。  最後に、一号線の片側二車線化工事が本宿の近くで行われておるわけでございますけれども、進捗状況はなかなか芳しくありません。一号線、この質問に当たりまして、改めてずっと視察を兼ねて全部点検をさせていただいたのがこのような意見になったわけでございますが、ひとつ明確に御答弁をいただきたいと思います。
  244. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 今先生から、現実に沿った御経験のもとに御指摘、御指導いただきまして、ありがとうございました。私ども非常に貴重な御示唆ということで、十分きょうは持って帰らせていただきますけれども、一、二お答えをさせていただきます。  まずバイパスへの誘導につきましては、私どもがバイパスをつくるということは、バイパスをうまく活用することによって現道において人が安心して歩ける道にするとかいったようなことが目的でございますから、なるべくつくったものがうまく使われるようにする、これをぜひやっていかなければいけないと思っております。そういう意味で、今後足らざるものは、一層そうなるように指導させていただきたいと思います。  そういう中でバイパスをどんどんつくっていけばいいわけですが、これには時間がかかるということから、御指摘の右折レーンの設置のことでございますが、岡崎周辺を見ましても一日四万台の交通が利用してございます。そういう中で、現在一般県道以上と国道一号が愛知県内で仮に交差する交差点を調べてみますと六十八交差点ございます。このうち右折レーンができている交差点が五十六ですから、できていない交差点は十二でございます。また、五十六の中にも完全にうまく使われているかどうか、これももう一回チェックしてみなければいけないことだと思います。  そういう意味で、つくるからにはうまく使われる、それからないところは、これからつくるということも含めまして、実は今度の新しい第五次の交通安全五カ年計画の大きな柱が、この交差点改良に大きくウエートを置いておりますので、ぜひその中の最優先の問題意識として、きょう先生から御指摘のこういう問題については対処させていただきたいと思っておりますが、国道一号の愛知県分では最近三カ所、右折レーンを今つくらせていただいているようでございます。平成三年度に完了が三カ所成る、こういうふうに聞いております。  また、右折レーンを設置するには非常に道路の拡幅が必要でございまして、場所によって、都市計画決定とか用地買収等所要の手続をしなければいけない場所がございます。こういうところは、ちょっと難しゅうございますので時間がかかるわけでございますが、そうじゃないところはもうすぐにでもやっていきたいと思っております。いずれにしても、渋滞対策アクションプログラムというのは、こういうものをすぐ解決するためにつくったものでございますから、もし時間がかかるところがございましたら、また先生にその点御報告をさせていただきます。ここはこういう意味で、用地問題、都市計画問題があるので若干時間がかかるということは、御報告をさせていただきたいと思います。     〔金子(原)主査代理退席、戸田主査代理着席〕  それから、中央分離帯等々いわゆる道路施設が道路の線形に合わないために危ない、利用者に非常に危険性を感じさせる、これは一番あってはならないことでございますが、ここでどうしても中央分離帯が欲しいという要望、それと、全体の流れでそれがふさわしいかということが、時に地点のずれがあるかとは思います。そういうことで、私どももう一度そういうものを見るための努力を、昨今、地域の例えばJAFの方あるいは教育委員会方等々いろいろな方々と一緒に、駐車場の設置の勉強、あるいはそういう交通混雑の重点箇所はどこかというようなものを選ぶときの作業の中でやっておりますから、こういうものをもうちょっとさらに定着させて、今のような走る人の意見というか、それからもう一つ大事なのは歩く人、両方から何か対策を講じさせていただきたいと思っております。  そういう意味で、環境問題は、実は私ども、こういう平面道路の問題では騒音、環境が一番頭が痛いところでございます。岡崎は、環境緑化といいますか沿道環境整備ということで、日本でもモデルになる地区だと私ども思っております。そういうことで、地域のそういう御協力が得られるところは我々積極的にやってまいります。さらに、得られにくいところであっても、それにかわるものとして、せめて広幅員歩道、そしてそこに緑化をさせていただくというようなことはやらせていただきたいと思いますし、どうしても難しいところは、私どもは沿道環境整備事業ということで沿道環境整備地区に指定して、いわゆる二重窓といいますか、窓を二重構造にすることによって防音対策を行うといったような次のステップの対策もあるわけでございますので、そういうもろもろの対策を、これも役所だけがそういうのを知っていて実際に住む方々が知らないというのでは片手落ちでございますから、そういうものをやさしく地域の方々におわかりいただけるようなそういう努力を、きょうの先生の御指摘を受けながらさらにしなければいけないなというふうに感じております。  最後に、知立バイパスと岡崎バイパスの両方のことだと思いますが、まず知立バイパスにつきましての四車化、全体が知立バイパス十六・四キロ、確かに暫定二車でちょうど今やっておりまして、一部インター付近で交通渋滞を起こしております。そこで、二年度から、特に混雑の激しい上重原インター、これは一般国道百五十五号との交差でございますが、これと西中インター、これは一般国道四百十九号との間、この二・四キロについては交差点部の改良を含めて四車化を進めております。ここをまず先にとりあえずやらしていただきます。そしてさらに、残る区間につきましても、利用状況を見ながら可能な限り四車化いたしますが、この二十三号は、さらに先へ延ばせという要望と、その質をよくせいという要望と、二つが絡むものでございますから、こういう、問題の箇所は、対応いたしますが、先へ延ばすことも含めて、いずれにいたしましても、これは地域の方々と御相談しながらやらしていただきたいと思っております。  それからもう一つ、二十三号バイパスの岡崎市周辺の整備状況でございます。これは愛知県の額田郡の幸田町から西尾市の南中根に至る延長十二・五キロの部分というふうに理解しております。これは五十一年に都市計画決定ができて、五十五年からやっと事業化され、いろいろと事情がございましたが六十一年から工事に着手しております。この二年度は用地買収及び工事を進めておりまして、特に西尾市の中根、ちょうど市道の戸ケ崎線というところから南中根、知立バイパスにちょうどつながるところでございますが、この三・四キロは平成三年度末には暫定供用をさせていただけるようにどうやらなりました。ありがとうございました。こういうことで、これも一つ一つ、一気に全線というわけにいきませんけれども、ステップ、ステップ、重点区間を置きながらやらしていただきたいと思っております。
  245. 川島實

    川島分科員 知立バイパスにおきましては、そのようなことは私どもの方に入っておりませんので、一遍地元とよく打ち合わせをさせていただきたいと思います。  次に、三河湾のリゾート整備事業についてお尋ねをいたします。  三河湾は、知多半島と渥美半島に囲まれ、北西部に矢作川などの注ぐ衣浦湾と、東部に豊川などの注ぐ渥美湾から成る、面積約六百平方キロメートルの波静かな内湾です。周囲の海岸は緑多く、山々も眺めることのできる風光明媚な海域で、古くから良好な港を抱え、交通、物流の拠点として、あるいは海洋性スポーツ、マリーナ等レクリエーションの場として、またノリ、魚介類など海産物の生産の場としても重要な役割を果しております。さらに、釣り、潮干狩り、海水浴や観光の場として、地域の人々はもとより全国の人々に親しまれてまいりました。近年、周囲七市十町と愛知県が加わり、三河湾浄化推進協議会を結成し、美しい三河湾をつくり上げるために三河ベイサミット等を開催しながら、環境保全のために力を注いできたところでございます。そして、本年、国の調査費等もつきまして三河湾の水質浄化事業が始まる見通しもつき、六十億円の三河湾海底浄化対策事業の出発を見ようとしておるところでございます。  これら一連の努力の上に立って、今一番望まれておることは、計画的な環境保全をもとに海を利用し、その恩恵を引き出し、豊かで恵まれた生活境を創造することが公共の使命であると思います。よって、一刻も早くリゾート整備事業の国の指定が望まれるわけでございますが、現在基本構想等の概要はどのようになっているのか。三月末までに指定が行われると聞いていますが、いつごろ承認になるのか、お尋ねをいたします。
  246. 磐城博司

    ○磐城説明員 総合保養地域整備法を所管しております六省庁の幹事役を国土庁の方でやっておりますので、私どもの方から、ただいまの愛知県の総合保養地域整備構想の進捗状況概要等について御説明をさせていただきます。  愛知県からは、平成二年十一月二日、総合保養地域整備法に基づく基本構想の承認申請が出されております。愛知県から提出されております、これは三河湾地域リゾート整備構想という名前を県の方で付しておられますが、その概要を見ますと、この構想では、三河湾地域の静かな海域や丘陵性のある半島、また点在する島など、すぐれた海洋性の条件を生かし、また温泉や文化、歴史等の資源を生かしたものとして、また国土のほぼ中央に位置します地理的優位性をも生かしながら、特に繰り返し手軽に利用できる大都市近郊型の保養地域の形成を目指した構想でございまして、具体的には、特定地域の面積として約八万ヘクタール、対象市町村は豊橋市、碧南市、西尾市、蒲郡市等を含めまして四市十町、重点整備地区は南知多地区等六地区で構成されておりまして、これらの地域にマリーナ、コンベンションセンター、ホテル、スカイスポーツ広場等の各種の施設を整備する構想となっております。  次に、承認時期の問題等国の方での作業の進捗状況についてでございますが、基本構想の内容面に関する環境庁等関係省庁との実質的な調整はほぼ最終段階になっております。これと並行いたしまして、現在所管六省庁の内部手続を並行して進めているところでございまして、私どもは、今後そう時間がかからずに承認手続が完了するもの、このように思っております。
  247. 川島實

    川島分科員 最後に、第二東名自動車道の早期建設に向けてお尋ねをいたします。  東京—名古屋の大都市圏間を連絡し、中部圏のみならず全国的な広域交通の一翼を担う東名高速道路は、昭和四十四年五月の全線開通以来、我が国の基幹交通の大動脈として産業経済の発展、国民生活の向上に大きく寄与してきたことは周知のとおりでございます。しかし、開通後二十一年をたった現在、経済社会の発展に伴う大幅な交通量の増加により、多くの区間のいろいろなトラブルが発生し、社会的にも大きな痛手となってきております。よって、今日、一日でも早い第二東名自動車道路の建設こそがこの状況を解決する唯一の道だと思われます。  国によっても既に国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て基本計画が決定され、また先般、整備計画の策定に必要な環境影響評価の手続を実施する区間等が発表されるなど、着実に進展されていると思われますが、現在の進捗率はどうなっておるのか、また、事業の着手はいつごろ行われるのか、日米構造協議で公共投資が叫ばれている中、一層の進展を願うものでありますが、いかがですか、お尋ねをいたします。  さらに、第十次道路整備五カ年計画の完全達成は心配なくできるのかどうか。  もう一つ、愛知県以西の十七府県と八経済団体において進めております第二国土軸構想が国においても検討されているやにお伺いをしておりますが、この辺のことについても重ねてお伺いをしたいと思います。
  248. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 それでは、三点についてお答えいたします。  まず、第二東名高速道路の問題でございます。  現在の東名高速道路の利用状況、例えば岡崎インターチェンジの前後でも一日に約六万台から七万台という状況でございまして、これがますますこれからふえてまいりまして、あと十年もすれば非常に大きな問題になるだろうということは私ども非常に危惧いたしておりまして、一日も早くこれと一緒になって機能する第二東名高速道路が必要だ、こういう認識に立って現在のいろいろな活動をやっている最中でございます。  そういう中で、第二東名高速道路、横浜市から東海市までが今法定をされておりますが、二百九十キロ、これの基本計画が策定されております。いわゆる予定路線という意味で申し上げますと、東京都から名古屋市ということで三百二十キロ、こういうふうになっているわけでございます。  その中で、いわゆる環境アセスメントといいますか、整備計画を出すための準備を特に重点的に進め、かつ終わったのが沼津市から東海市の間二百十六キロでございます。ここにつきまして、私ども、各県の知事さんにお願いいたしまして、現在、環境影響評価ないしは都市計画決定の手続をお願いしている最中でございます。愛知県の中だけで申し上げますと、豊田市から大府間は都市計画決定が終わっております。しかし、静岡県境から豊田市間あるいは大府から東海市間、合わせて五十七キロにつきましては、まだそれぞれ作業中でございまして、完全に都市計画決定が終わっていない、こういう状況でございます。  いずれにいたしましても、そのいずれもが県知事の意見書の作成中あるいは知事としての都市計画案の作成中でございますので、見通しは十分立っているというふうに県当局からは聞いております。  さらに、静岡県等につきましても、それぞれ手続のための説明等々に入っておりますので、所定の時期にはこれらの作業も終わるだろうと思っておりますが、全体を見ますと、この第二東名の部分が若干のおくれをしていることは事実でございます。そこで、国土開発幹線自動車道建設審議会はおよそ九百八十キロ余をもってこのような手続をお願いしておりまして、その中の重要な路線の一つとしてこの第二東名があるわけでございますが、この第二東名の作業を終わらないまでに国幹審を開くかどうか、これは非常に大きな問題でございます。私どもは、いずれもお願いしている作業が、環境アセスの作業が全部終わって、そして整備計画のための手続をお願いするということをしたいと思いまして、今、県の作業を待っている最中、こういうことでございます。したがって、そういう作業が終わり次第、私どもは、国土開発幹線自動車道審議会、これは総理大臣が会長でございますので、所要の手続のためには、数カ月の時間的な日程を決める等々含めてかなりかかりますので、私どもその見通しに立って審議会の作業にかからしていただきたい、かように思っている状況でございます。  そういう中で、私ども、今の第二国土軸と第十次五カ年計画の問題でございますが、第十次五カ年計画、現時点で四年目でございます。平成三年度末で達成率七六%。そういたしますと、一般的に言いますとあと二〇%強ということでございますから、これに二〇を足しますと九六%あるいは九六プラスアルファの達成状況になるのが現時点で考えられる普通の考え方でございます。しかし私どもは、これからこういう高規格幹線道路あるいは生活道路としての多くの道路に対する御要望の背景を踏まえて、平成四年度の概算要求あるいは年度の中におけるいろいろな財政措置等々お願いをしながら、少しでも達成率一〇〇に近づけるべくこれから努力をさせていただきたいと思っております。そういたしませんと、平成四年度末に六千キロ、そして二十世紀末、平成十二年に九千キロ、こういうものを踏まえながら全体のバランスのとれた道路整備が図られることは極めて厳しくなる、かように思って、これから一生懸命努力をさせていただきたいと思います。ただ、国の経済情勢その他いろいろなもろもろの情勢との調整もございますので、財政当局の御協力を得ながら努力をさせていただきたいと思っております。  そういう中で、さらに夢の構想としての第二国土軸構想が生まれました。これは実は昭和四十年代にワイズマン構想が出たことがそのきっかけだというふうに聞いてはおりますが、四全総、三全総の作業の中で東北地方から西に至る大きな太平洋岸を踏まえた第二国土軸構想、昨今では横断軸を含めた第二国土軸構想、さらには日本海を経た第三国土軸構想等々いろいろな国土軸構想が出ております。国土庁を中心とする国土計画のいろいろな諸検討の中で、この第二国土軸構想についてもいろいろと御検討がなされると思っております。  伊勢湾口架橋というのが従来からこの第二国土軸構想の一つの軸ということで云々されているのは私どももお聞きしておりますけれども、これはそういう構想の中の位置づけとして聞いておるわけでございます。しかし一方、四全総の中で伊勢湾港の重要性というものは別の形で記述もされておりますから、これから海の利用ということが日本国土の大きな発展のために必要という状況を踏まえて、私ども、いろいろな構想は構想といたしまして、建設省としては長期構想の中で、そして新しい五カ年計画の中で必要な将来に向けての大規模プロジェクトについては地道な検討をさせていただきたい、さように思っております。
  249. 川島實

    川島分科員 どうもありがとうございました。時間が来ましたので、終わります。
  250. 戸田菊雄

    戸田主査代理 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  次に、志賀一夫君。
  251. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 私は、福島県の郡山市桜ケ丘団地造成事業についてお伺いをいたしたいと思います。  本事業は、東北土地開発株式会社によりまして昭和四十一年から造成が進められまして、林地であったことから順調に工事が進捗し、昭和四十五年にはその約九〇%が完了いたしました。同年十月十五日、郡山市は市街化調整区域に編入されたわけでありますが、さらに昭和四十六年五月十日、都市計画法第二十九条に基づいて十四万二千八百五十二平米の予定建築物住宅として開発許可がなされた次第であります。  以後順調に開発が進み、宅地の分譲、建築が進んだものの、昭和六十二年三月十日、東北土地開発株式会社が事実上倒産したため、造成工事に着手して二十五年、開発許可後まさに二十年を経過しても、いまだに工事が完了せず、側溝は崩れ、大半の道路は未舗装のまま放置されている現状から、地区住民は県及び市に対しまして、速やかに事の解決をしていただきたく、多年、十数回にわたりまして陳情されてきたのでありますが、今日までの経過及びよって来る原因についてどのように把握されておりますか、まずお聞かせをいただきたいと思います。     〔戸田主査代理退席、金子(原)主査代理着席〕
  252. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 郡山市の桜ケ丘団地の件でございますが、経過につきましては、ただいま先生からお話しのありましたとおりと私どもも聞いております。  東北土地開発株式会社が四十一年ごろより造成に着手いたしましたけれども、四十五年に当該地域が都市計画法に基づく市街化調整区域とされたので、県が都市計画法の第二十九条による開発許可申請を行うように指導し、四十六年に許可申請がなされ、四十六年五月十日に開発許可がおりたというところでございます。  その後、ただいま御指摘のありましたような状態になっておりますのは、事業内容が開発許可をとったものと合致しない、そういう事態があったために、県におきましては再三にわたってその是正を指導してきたところが、実現をしないまま、これまた御指摘のございましたように昭和六十二年三月十日に開発事業者が事実上倒産した。そこで是正されないままに、開発行為はしたがいまして完了公告に至らないで現在まで至っているというふうに私ども承知しております。ただし、既に造成も行われ、また分譲も進んでいたということもありまして、本来ですと都市計画法におきましては開発許可に基づく開発行為が完了して完了公告がないと建築物が建てられないわけでありますけれども、先ほどのような特殊な事態を踏まえまして、県としましては、宅地取得者、そういう方々にこれ以上迷惑がかかってはというのはおかしいかもしれませんが、既に土地を取得しているという状態を踏まえまして、三十七条のただし書きで特例の建築許可を行って今日まで至っているということでございます。  それから、これまた先生からの御指摘のように、昭和五十八年ごろから地域住民が郡山市に対しまして団地内の道路の砂利道の舗装であるとか側溝の整備、そういうものについて再三要望をされております。県、市、開発事業者、地区住民の四者で話し合いを続けていたということも事実でございますが、現在までのところ、道路整備の引き継ぎの問題がまとまらずに、この間事業者が倒産してしまったということもございまして、有効な解決策が見出せないまま現在に至っているというふうに私ども県から聞いておるところでございます。
  253. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 今お話しのとおりだと思うのでありますが、いずれにしましても、都市計画法によります許可が出てまいってから東北土地開発会社が倒産に至るまで十六年も経過しているわけであります。その間、変更許可のための協議があったようでありますが、いずれにしても、かなりな時日が経過しているにもかかわらず、これに対して十分な対応をしてこなかったという事実はやはり県、市の対応のまずさがあり、同時にまた怠慢のそしりを免れないのではなかろうかというふうに思うのでありますが、お考えをお聞きしたい。
  254. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 確かに地区住民の要望にこたえるということをしなければいけないわけでございますが、これにつきましては、県、市の姿勢としましてはまず開発許可の内容に合ったように事業を終わらせろ、具体的には団地内に四カ所の袋小路状の道路ができてしまっているわけでございまして、これは開発許可にはなかった、当然両側ちゃんと道路につながるという計画になっておりましたが、四カ所にわたってそのように袋小路のような道路ができてしまって、そこで県、市といたしましては、これを計画どおりに、許可どおりに工事をさせなければ法律上も工事完了公告ができないわけでございまして、そういうふうに工事を修正させ、ちゃんと工事が終わったところで完了公告を行って団地内の道路を市に引き継ぐというのが法律論かと思います。  しかしながら、確かにおっしゃるような面はあろうかと思いますが、私どもの見方といたしましては、法律上はやむを得なかったかなと思うわけでありますが、しかしそのような見解だけで現実的な解決が図られないことも事実でございます。そんなこともありまして、市といたしましては、団地内の主な道路、基幹的な道路三本につきまして、既に昭和五十五年に引き継ぎを終わりまして市で管理を行っている、これも舗装をしてなかったわけですが、市において舗装を終了したというふうに聞いております。そのほかの道路につきましては、先ほど申しましたようなことで許可どおりにやっていないという現状がまだあるものですから、この問題の解決につきましては、事業者に、再三にわたって、買われた方から用地を買い戻して道路をつくるようにというふうに話をしておりましたけれども、不幸にして事業者が倒産したというのが現実でございまして、今後とも、現在までのところも事業者それから地区住民の方々と地元郡山市で引き続き善後策について話し合いを持っているというふうに報告を受けております。
  255. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 今も御説明いただきましたが、問題の袋小路が四カ所ありますが、この中には建築物が建設されたために袋小路状態を解消することが困難になった箇所もあるわけでありますが、建築許可等の運用上において問題はなかったのかどうか、おただしをしたいと思います。
  256. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 何度も繰り返しになるようで恐縮でございますけれども、都市計画法上は開発許可どおりに工事が行われ検査をして完了公告をしてからでなければ建築物が建てられないわけでございますが、この件につきましては、法施行前から既に事業が進められていた、そして開発許可の申請の時点では、先ほど御指摘もございましたように、既に九割方土地が売れて、もうそこに建物を建てようとする方が既にいたということを勘案いたしまして、実は三十七条のただし書きという条文を使いまして特例の建築許可を行ったわけでございます。  御指摘のとおり、袋小路状の道路を解消するためには確かに建築物を建てさせてしまったということが逆に阻害要因になっていることは否定することはできないとは思いますが、逆にほとんどの方が既に土地を買っていたのに建築物の許可もしないということでは土地を買った方に大変影響が大きいだろうということで、県がそちらの方を選択いたしまして特例の建築許可をそれぞれやったということでございますので、我々といたしましても、問題の解決としましてはやむを得なかった措置ではないかというふうに理解する次第でございます。
  257. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 今お話がございましたが、問題の袋小路になった、それが法の三十七条に基づいてやったんだと言われるわけでありますけれども、そこには都市計画法上ではなくて建築法上の問題点があったわけでありますね。ですから、その建築許可を、建築を認める段階で建築法によるチェック機能を当然果たすべきだった。そのことを怠っていて、それがために全体をも袋小路だからだめだ、こういうことでは筋が通らない、行政上の手落ちだ、こう問題指摘をせざるを得ないと思うのでありますが、どうでしょうか。
  258. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 法律上は三十七条ただし書きによりまして特例の許可をすることができまして、それに基づいて建築物が建てられたわけでございまして、具体の解決をどうするかという点ではいろいろ御意見もございましょうし、私どもも現実的な解決につきましては考えなければいけないところでありますけれども、法律上の措置としましては、これは土地を買った方々のためを思って建築許可を出したということはやむを得なかったことではないかというふうに、繰り返しになりますが、理解しております。
  259. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 その気持ちはわかるのです。全体としては認めます。しかしながら、都市計画法によって許可した段階で袋小路というのは全くなかったわけです。許可する条件として出したものについてはなかったわけです。その後、建築法によって建築物をつくってもいいよという許可を出したために、その道路上にうちができてしまったという事実なんでありますから、それを私はあくまでも固執をして強調するわけではありませんけれども、一番ネックになっている問題がそういうことなのでありますから、たった四カ所の袋小路については善処の方法があるだろう、そういう意味で私はこのことをあえて強調したいので言っているわけですが、どうでしょう。
  260. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 御指摘のとおり、何か解決法があるだろうということにつきましては、私どもも今後とも一生懸命勉強しなければいけない問題かと思います。それで、現状がこういうふうになっており、しかも現実的な解決としましては、法律的な解決というよりは、今後どうしたら最もいいかという観点から、県、市が地域住民の方々と話し合いを今後とも進めていただくのがベストの方法ではないかなというふうに理解いたしますが……。
  261. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 まさにそのとおりだと私も思うのであります。しかし、現実には、四者で話し合えということの前提には、袋小路の四カ所の問題、側溝が壊れたのを改修しろという問題、それから未舗装の道路を舗装化をせよという問題点があって、そのために前に進まないという事態になっているわけですから、その辺を打開することなくして前には進まない。最終的には完了届けが出し得ないという実態であるとすれば、法は法として、今日まで関係者の皆さんが努力して積み上げてきた事実を、言うなら大目に見ながらどう前に進ませるかという事実を考えて対処するべきである、こういうふうに思うのでありますが、その辺どうでしょう。
  262. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 私どもも、この問題のよって来る原因、これは追及すればいろいろ問題はあると思いますが、今となっては、ただいま先生の御指摘のありましたように、やはり地域住民の方々にとって何が一番ベストかという観点から、現実問題として関係者に話し合いをしてもらうということしか解決の方法はないのではないか。そういうことで、私どもも、これからよく事情も聞いた上で、県ともその辺を話し合いをしてみたいと思います。
  263. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 再度お尋ねをしたいのでありますけれども、やはりネックになっている三つの問題が現にあるわけでありますから、そのことを、ある意味ではこういって話し合いを進めよう、こういうお気持ちなのかどうか、その辺、もしいろいろ考えているという具体的なことがあればお聞きをしたい、そんなふうに思います。
  264. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 私どもも、この問題は一番地元の実情のわかる市及び県を中心にいろいろ善後策を考えていただかなければいけない問題かと思いますが、基本的には、県や市の方から御相談があれば当然私どもも積極的に乗らせていただきますし、私どものできることがありましたら、できるだけ協力をしていくつもりでございます。
  265. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 もう一つ、前後しますが、今桜ケ丘団地にできております住宅は三百六十戸でありますが、これは区画割りができただけでも倍の数になるはずであります。それから、日立土地開発会社というのが造成した土地でまだ区画をしない土地もあります。ですから、それらが区画されて建物を建てる、建築物が造設されるということになりますれば、大変規模の大きなものになるというふうに思います。したがって、今そこに国道四十九号から通っている道路というのは一本しかないわけであります。しかもそれが、五・五メートルも一律にあるのならいいけれども、四・五メートルの箇所もあったり、広いところも狭いところもあるというふうな現状でありまして、災害上問題があるのではないか。そういうところから、その団地の東側に三百メートル前後で、四十九号からちょっと入った、墓地に行く大変広い道路がありますので、それと接続をさせるようにして、桜ケ丘団地は言うなら今袋小路の中にある、ですから、わずか三百メートルくらいですから、それをつないで、その袋小路の解消をして災害対策をやられたらいかがなものか、そういうことをぜひ御指導願いたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  266. 鈴木政徳

    ○鈴木(政)政府委員 御指摘のとおり、この団地と四十九号の接続道路が、既存の市道が一本あるだけだというふうに伺っておりますが、この既存の道路を開発行為の際に事業者が、ただいま御指摘のありましたように、狭いところも一部あるようでございますが、原則六メーターに広げたというふうに聞いております。この点につきまして県、市に伺ったところ、そういうことでほとんどは六メーターになっているので、当面防災上の危険はないと判断しているということでありますが、地元からただいま御指摘のような要望があるならば、市としても今後その整備について検討をしていきたいというふうに報告を受けております。
  267. 志賀一夫

    志賀(一)分科員 私が自分で車を運転して何回も何回も往来している場所でありますから確認できますけれども、今御説明いただいたそういう状態ではないというふうに私は確認をいたしておりますので、このことはぜひ今後とも御指導願いたいと思います。  さらに、先ほどの問題でありますが、もう今さら幾重にも申し上げなくても実情は十分御承知いただいたと思いますので、住民のお気持ちになって、ぜひ前向きに県や市に強くひとつ御指導いただいて、早期の解決ができますように特段のお骨折り、御協力のほどを心からお願いを申し上げる次第であります。  以上で私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  268. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて志賀一夫君の質疑は終了いたしました。  次に小森龍邦君。
  269. 小森龍邦

    小森分科員 二、三の点についてお伺いをしたいと思います。  私の実感するところは、同和対策という問題でこれまでいろいろと建設省は他の省庁に比べて比較的機敏に対応していただいておるわけでございまして、それは私どもとすれば本当にうれしく思ってきておるところであります。そこで、今日の政府が同和対策について考えていることと私どもの考えの間に大きなギャップが生まれつつあるわけでございますので、そのギャップを埋めるための質問をさせていただきたいと思います。  まず、私自身が経験したことでありますが、今から思い起こしてみますと、同和対策審議会の答申が出た直後でございますから、これは一九六六年、昭和四十一年くらいではなかったかと思いますが、備後平野を流れておる一級河川芦田川、これが部落の所在しておるところだけ堤防が構築されないで、少し上流でぐっと山の方へ堤防を巻き込んで、また、下は堤防をその部落を外して巻き込んだような状態で、巻き込んだというのは山の方へぐっと下の堤防が巻きついたような格好で、肝心かなめの被差別部落だけ外して堤防をつくっておったということがございまして、大変情けない思いで私どもは見ておりました。あるとき厚生省の幹部が広島県にやってまいりましたので、その人にぜひ見てもらいたいということで、私の方から、また府中市役所もそれに対してそういう要請をいたしまして、見てもらったのであります。対岸の堤防の上に私ども立って見てもらったのでありますが、そうしたら厚生省の役人いわく、これはどうも仕方がないではないか、ここに堤防をつくるほどの経済的効果がないではないか。つまり、家がまさにみすぼらしく見える、非常に簡単なバラックみたいなのが二十世帯ほどあるわけ、これは守るほどの生命財産がないという意味のことを厚生省が言いまして、私は随分立腹したのであります。そのころは立腹したところでどうもならぬので、ずっと我慢しておりました。同対審答申が出まして、そして多分その明くる年だったと思いますが、同対審答申完全実施要求で東京へやってまいりまして、建設省と話をする機会がありました。河川局長もその交渉に出てもらったし、それから、しまいにはどうも口論、激論になりまして、私の勘違いで名前があるいは違うかもわかりませんが当時の建設政務次官、澁谷さんという方も出られまして、差別だとか差別でないとか大激論いたしました。つづまるところは結局そこの堤防は、私が福山へ帰るかどうかというくらいのところで建設省の福山の工事事務所の方から連絡がありまして、あれは建設省の本省からやれということになったから早速設計にかかる、こういう話がございました。これが六六年の話なんであります。  それから十年か十二、三年たったかもしれませんが、四国の鏡川という川の堤防がやはり部落のところを遊水地帯のようにしておるということで、交渉を行いまして、これはもう早速やってもらったのであります。それから、これは二、三年前のことでありますが、群馬県の桐生市の桐生川の問題であります。これも部落のところが遊水地帯のようになって、大水が出たらどっと部落の方に流れ込む。ある解放運動の活動家が全く土地カンなしで行きまして、ああここが部落だなということがすぐわかった、そういうようなことでございます。  そこで、お尋ねをしたいと思います。今一九六六年のことを言いましたから、これはおおよそ二十五、六年前のことになりますが、十年刻みぐらいでそれだけの違いですね。早くそういうことをやってくれというところがある。この二十五年ほどの間に、中間的なところで鏡川の遊水地帯を直してくれというところがある。それから桐生川のように、たったこの間、要求というか、行政的に要求をぶっつけるところがある。これはどういうことからそういうことになるとお考えか、これをひとつ伺いたいと思います。
  270. 立石真

    ○立石政府委員 同和地区の地域の環境が非常に劣悪な状態があったわけでございます。最初、同和対策事業特別措置法が制定されました昭和四十四年の段階までには、物的な地域の改善はまだ非常におくれた段階であったというように思うわけでございます。そういう中で、建設省といたしましては、地域の環境を改善することが同和問題の解決を図る上で重要な課題であるというように認識をして、いろいろな事業を進め出した時期でございますが、昭和四十四年に同和対策事業特別措置法が制定されまして、その十年の間にかなりの程度事業としては進み出したというように認識しているわけでございます。  しかしながら、この十年間では、当初考えただけのといいますか、十年経過した後であっても非常に環境上の悪い状態がまだまだ改善され切っていないという状況で、その後、その同対法が三年間延長され、さらに残りの事業があるということで、地域改善対策特別措置法が制定され、現在の地対財特法に至るわけでございます。それらの過程の中で、やはり五年、十年の間に地域の環境の改善が少しずつ進み、そして、その過程でのいろいろな問題が生じたのであろうというように思うわけでございます。  現段階におきましては、かなりの程度地域の環境改善は進んできたものというように考えているところでございます。
  271. 小森龍邦

    小森分科員 質問をさらにわかりやすくいたしますと、なぜ芦田川は二十五年ほど前にそのことに気づき、桐生川はたったこの間までほっておかれたか。どう見てもそこに堤防がないということは技術的に見てもおかしな話なのでありますから、なぜほっておかれたか。どういう関係で早くできるところと遅くまで手をつけないところとがあるか、ここをお答えいただきたいと思うのであります。
  272. 立石真

    ○立石政府委員 私、具体的な問題としての芦田川あるいは桐生川のその状態について存知していないものでございますので、そのことにお答えすることができないと思います。
  273. 小森龍邦

    小森分科員 それならそれで早くから言ってもらえば時間が節約できたのにと思うのですが、結局これはどういうことかというと、要求をする、建設省に情報を持って、こういうふうに我々は困っていますよといって要求する者がおれば、比較的早く行政対応というのはできるのです。  芦田川というのは私が住んでおる地方のことなんでありまして、大正の末年に芦田川を整備する法律、この河川一本に対する法律だと思うのですけれども、その法律ができまして、河口の方からずっと整備してきまして、そして戦後も引き続いてやったわけであります。ところが、下流から堤防をつくってきて、部落のすぐ近くのところまできたときに、ぐっと山の方に堤防をつけて、真っすぐ延ばせば部落にもある程度堤防はつくのに、ぐっと延ばして部落だけほっておいて山の手へ結びつけておる。むだなことですね。その堤防の長さが、私もはかってみてはいないが、少なくとも百メートル以上あるのではないか。それから、堤防ですからずっと踏ん張っていますから、民有地を買収するだけでも莫大だったと思うのでありますが、そういうことをやっておる。それに気がついて、極端に言うとこれは私が気がついて、こんな差別ほっておかれるかということで、同対審答申完全実施要求のときに建設省に来て交渉をするなりがたがたきついことをお互いに言って、河川局長も差別ではないとか何だかんだ言っておりましたけれども、結局つくった。それは簡単に言うと、その地域に差別を受けてきた者の、差別を見る自覚的な能力というか感覚との関係なのであります。  鏡川のときは、私は知らなかったけれども、あれは四国のたしか高知県だと思いますが、高知県の解放同盟のメンバーが、大水が出たら我々は流されておると言うから、それはいかぬじゃないかといって建設省とその席上で話をしたら、別に建設省もこれという抵抗も何もなしに、それはやるべきだろうということでやってもらった。桐生川のときも、建設省とお話をしたら、それはやりますというから、やるのならことしじゅうにボーリングか何か始まらぬですかなと言ったら、それではこの秋からやりましょうといって、割合私らの言ったことを素直に聞いていただいて、前向きだと思うのですね、どんどんできるのです。ほかの省はいけませんよ。ほかの省でいけぬところがあるのですよ。何も日本政府が全部そうだとは言わぬ。建設省の仕事というのは、これはこうしてもらわぬとこういう問題があるじゃないかと言ったら、割合すっと受けとめてもらえるということを今まで経験しておるのです。だから、ここでこういう議論を私がしますのは、差別を受けている者の自覚とかあるいは差別というものを分析するこの分析力とか、そういうものと深い関係があると思うのですが、その点は私の説明を聞かれてどういうふうに思われますか。
  274. 立石真

    ○立石政府委員 まず、環境の問題としてとらえてみますと、環境の問題に対してその地域の住民がやはりこの環境を改善しなければならないという発想をすることが、一つの大きな事業実施の契機になろうかと思います。それと同時に、また、その地域についての環境改善をつかさどるべき地方自治体がそのことに気がついて、そしてそういう問題に対して適切に対処すべきであるということを政策として立案し、それをやろうとする、それに対してまた国としてできる援助について国からも援助するということによって、そういう環境改善の事業を例にとりますと、そういう形で行われるべきものであろうというように考えておりまして、地域の住民の意識と、意識のまとまりと、また地方自治体の行政姿勢と、そしてまたそれに対する国としての行政ということが、三者が絡み合ってそういうような事業ができるのだというふうに考えております。
  275. 小森龍邦

    小森分科員 そうなりますと、地方自治体がまじめな考えを持って、あれは雨が降って水かさが増したらちょっと床下浸水ぐらいにはなりそうなところだから何とかしなければならぬというふうに自主的にそれを把握して、地方の行政からの建設省に対する要求というか予算要求ですね、そういうふうなものの資料を提出する場合はよろしいですけれども、その地方自治体がやらぬ場合には、まずは運動側というか差別の被害を受ける者がそういう自覚に立たなければならぬ、私はそう思うのです。しかし、今の現状を申しますと、いやもう全部できたとこれは総務庁が言っているでしょう。まあ全部できたと言い切ってはいないけれども大体できたと。それで、今度私またこれ総務庁相手の分科会に出て言おうと思っておりますけれども、もうできた、今まで言わなかったのは言わなかった理由があるのだから、今さらそれをやったらまたそこへ一つ差別をつくるようになる、こういう意味のことを言われるのですが、差別はほっておいたら差別になるのであって、そこを堤防がないものを堤防をするとかあるいは住宅が非常に劣悪で、劣悪だけれども同和対策を要求するほどの差別に対する自覚的な要求、この解放への自覚的要求がない、それは長い間の差別でもうそういうふうになってしまっておるのですけれども、そういうような場合にやはり、先ほども答弁がありましたように、部落の基本的な自覚というものが、我々のような立場からいえば、これをひとつ第一にみんなをそういう気持ちになるように学習活動などをして、やはり行政へ、これはこういう差別になっていますよとみずからが言うことが大事であると思いますが、逆に行政の方から言うたら、そういうことがあろうがなかろうが行政は万人公平でなければならぬのですから、おいおいここはこれはいけぬじゃないかと言うてやらなければならぬと思うのです。ところが、今までは残念ながら建設省のような前向きな省においてさえ、どちらかというと関係者から言うていったことができておる、こういう感じなんですね。それで今の時期に、非常に、これはどう言いますか、危ない状況、ほっておいたらむちゃな理屈が政府部内にまかり通る、こういうふうに私は思うのであります。  それで、これちょっと大臣にも目を通してもらいたいと思いますが、これはもう例えば我々の広島県なんかは大体自覚的な運動に立ち上がる組織率が高いのでありますが、そこはなかなか運動に参加をしないのであります。そこには備後一の大きな池がありまして、それは堤防なんですね。その堤防の真下にそれだけの集落がありまして、そして見ると、雨が降るのをとりあえずテントみたいなものでかぶせたり、家の大きさも、それはとても今日の国民の文化的で最低限の生活を営む状況でない。しかし、それでも、これはいかぬということで住宅改修資金なり住宅新築資金なりを活用してやろうということにはならない。なお五年とか十年とか場合によったら十五年とかという歳月があって初めて自覚的に何とかしなければならぬ。これは国の予算との関係でそういうことをするのは決して恥でも何でもない、この現実を生きていくための、いわば民主国家における当然の行政施策として我々がそれを活用するのだ、ただでもらうわけじゃないのでありまして、安くても利子のついた金でありますから、そういうふうに持っていかねばならぬのでありますけれども、今はもうそんなものは必要でないということを総務庁は言いかけておるのですが、建設省はこれをどう思われますでしょうか。ここのところはちょっと大臣に聞かせてもらいたいと思うのです。
  276. 立石真

    ○立石政府委員 今の具体的な案件についてすぐ私として判断できるものにはなっていないわけでございますが、やはり危険な状態があればその危険に対しては、住民の意識ももちろんでございますが、それとは別に、環境を改善するための努力といたしまして、むしろ地方自治体がそういう危険に気がついてその改善に努めるべきものではないだろうかというように思っておりまして、こういうようなものに対しては、必要な事業をすべきであれば、必要であればやはり事業をすべきなのだというふうに思っております。
  277. 小森龍邦

    小森分科員 必要であればするというのでなくて、そのことによってそこの土手の上を通り交いする者がいつもいつも何を思っておるか。つまり被差別の立場でなくて一般の村人たちがそこを通るたびに何を思っておるか。それが差別意識の再生産なんですね。つまり、そういう実態があることによって差別意識ができるということを同対審答申は実態と心理の相互因果関係と言うておるのですね。だから、そこのところを運動側がある程度やろうと思えば、もう今は必要ないんだと言うてどんどんそういう教宣活動をやる行政があって、建設省がそういうことを言うておるというのじゃないですよ、つまり政府の一部にそういうことを言う者がおって、そうしたらなおさらこの部落問題というのは自分から名のり出るかどうかということが解放になるか解放にならないかの決め手だと思うのですけれども、ずっと殻に閉じこもってなかなかやろうとしない。さりとて、みずからの、他の方法によってそれを乗り越えるだけの力があれば、今のような状態にならないのであります。私は今堤防が切れるということを言っておるのじゃなくて、その屋根の格好を見てもらえばわかるのであります。  そしてそれは、もう一つこういうことが言えるのですよ。その堤防の上を通る人はいつもそれを見て変な思いをしておるでしょう。それから今度は、そこへおる五軒か七軒かの者の間で、何とか家をまずまずの家にした者とそうでない者との間の隣近所の意識関係というものがまたありますよ。それがまた、身内であれば身内であるだけまた余計な問題も出てくるかもわかりませんよ。そこまでのことを考え政府の施策というか、息の長い取り組みでないと、この日本列島にある被差別部落の問題というのは片づかない、私はそう思っておるのです。それを片づかぬからといって、私の個人の金でそれをこういうふうにしようやというわけにはいかぬし、そんな力もないしね。その点をどうお考えになられるかということをお尋ねしておるので、だんだん時間がなくなりますから、ちょっと大臣、ひとつ答弁していただきたい。
  278. 大塚雄司

    ○大塚国務大臣 私も地方議会の出身でありますが、同和問題については勉強もいささかしたことがございます。今お話しのことでありますが、ともかく憲法に保障された基本的人権というのはもう重要な問題でありますし、今日までもこの同和対策については政府も真剣に取り組んできたと私は思いますが、確かに、おっしゃるように、このような場合に温かい手を差し伸べるというのは、差別であろうと差別でなかろうと、もう少し行政が温かく手を差し伸べるということで理解をしていただくということがやはり一番大事なのかなと私は思います。  今後まだまだいろいろな問題が残されていると思いますけれども、これは今お話しの地対法のこれから先のことについてもいろいろ御意見が出ていることも私は承知をしておりますけれども、建設省に限っては、今日までも、住宅地区改良であるとかこういう河川の問題等もありますが、もろろの問題で、やはりその辺は十分理解をしてやってきたつもりでございますので、今後もそのようにしっかりと対応をしていこう、こう考えております。
  279. 小森龍邦

    小森分科員 例えば堤防を新たに構築するとかということについては、大臣の表明されました先ほどの意見によっても、私は今後も可能だと思うのですね。しかしながら、例えばこの住宅などという問題につきましては、利子が違うのであります。国民金融公庫とそれから同和対策と利子が違う。そうなりますと、かなり有利だと思っても、世間はみんなそれを差別の目で見ておるのに、自分がそういう立場を一応認めた上で、しかし経済的な立場や住環境というものをきちっとしなきゃならぬという意識にまで至らないからずっと貧乏し通し、世間からは変な目で見られ通し。そこへもっていって前よりは、つまり今の法律のあるときとないときとを比べたら、なくなったら借りる金の利子も違ってくる。すると、わずかなことで、そこで意識の変革をしようかと思ったが、まあやめておこうか、こういうことで、そういう状況が続くと思うのですね。  私は、そういう建設省の大だたいな事業は、今大臣が言われたようなことでもできると思います。簡単に言うたら、事業の優先採択というか、これは確かに問題だということで、そこへ力を入れればよいわけですが、しかし今のような建設省が所管をなさる住宅改修資金などについては、このままいったらぷっつりと物がとまる。千地区まだ事業未実施地区があるわけですね。これを一体どうするかという問題なのであります。その点はいかがでしょうか。どういう考え方でそこを整合性を持たせて判断するか。
  280. 立石真

    ○立石政府委員 今の御質問、二つに分けてお答えしたいと思っております。  まず一つは、同和地区として指定はされているけれども、その十分な住環境整備がなされていない地区という場合と、それから先生御指摘の、同和地区として指定されておらずに、地域改善対策が行われていないこと等によって住環境に問題がある地区の、二つの種類があるかというように思っております。  まず第一の、同和地区として指定はされているが住環境改善がなされていない地区についてでございますが、建設省といたしましては、これまでも、住環境の改善の必要な地区については、積極的に事業に取り組むように地方公共団体を指導してきたところでございまして、昭和六十年度以降においても約六十カ所の地区において小集落地区改良事業等を新たに着手してきているわけでございます。こうした経緯のもとで、早急に事業を実施すべき地区についてはおおむね事業に着手してきているのではないかというように考えているところでございますが、今後とも必要な事業につきましては積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  また、第二の、同和地区として指定されておらず、地域改善が行われていない地域でございます。この、いわゆる未指定地域と言われていると思いますが、地対財特法が旧地域改善対策特別措置法の失効までに対象地域として事業が実施された地域のみを対象としているというところから、新たにこの地域改善対策事業を実施することは、法的にはできないことになっているわけでございます。今後の問題といたしましては、仮にこれらの地域に係る住環境の改善について事業要請があった場合につきましては、地域の実情に応じた的確な事業制度活用して重点的に対応していきたいというように考えております。
  281. 小森龍邦

    小森分科員 どうもその人間の意識との関係ということについて十分に御理解がいっていないようであります。それは同和対策審議会の答申の中にも、自主的な運動との協調というか調和を保ちつつという、非常に的確な言葉が使われておりまして、まさに今までの事業の進みぐあいからいくとそのとおりだなと私は思っておるのであります。そこで、そのことはひとつよくお考えをいただきたい。  それで、仮に建設省所管事業が、今立石局長が言われたようなことで、十中八、九までは建設省に限ってはできるかもしれない。しかし、きめ細かいところ、今の写真のようなのは、これはなかなかできないから、それをどういうふうにやるかということもこれから知恵を絞らなきゃなりませんが、今のところは、地域改善対策協議会で一般移行への円滑な何とかをやるんだというようなことを言っていますが、私が聞くところによりますと、地対協では、まず当時の総務長官が今後の対策ということについて諮問というか協議を投げかけられておるわけでありますが、ひとつ一般移行を図るためのことを議論してもらいたい、同時にまた自由濶達なるこれからの問題点というものを出すような議論をしてもらいたい、ここに微妙なニュアンスがあると私は思います。したがって、建設省は、政府のどこかのパイプから一方的なことだけ聞かれずに、そこらの状況というものも十分考慮に入れていただきたい。  さっき私が行っておりました分科会でも申し上げたのでありますが、磯村地対協会長は、私どもの部落解放同盟の委員長事業説明、我々の考え説明をこの間させてもらったのでありますけれども、そのときに、上杉さん、我々は一人も一般事業への移行ということを考えておる者はおりませんからな、こう言われまして、非常に心強い思いをいたしましたが、そういう雰囲気もあるということを考えて、早く建設省が、いやまあ何とか私の省はつじつまを合わせていくんですというようなことを言うと、建設省だけはいけるとしても、ほかのところがいけないような雰囲気も出るということもひとつよく考えていただきまして、熱意を持って今後ともこの問題の解決のために取り組んでいただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  282. 金子原二郎

    ○金子(原)主査代理 これにて小森龍邦君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十二日午前九時より開会することとし、建設省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時八分散会