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土肥分科員 九九%信頼して、あり得ない
事件だとおっしゃいますけれども、これは私はいつも生ずる
事件だという印象を持ちます。これは結局、戸籍謄本をとる側の問題でありますが、とられる側の問題はちっとも議論されていないですね。このことについてはちょっと議論が長くなりますので時間の
関係で申し上げませんが、戸籍法第四十八条の証明書の請求、閲覧というところで、この統一請求用紙による請求がいわゆる閲覧に値する書類にならないということがありまして、
法務省の見解としては、とられる側の閲覧はできないということになっているわけです。この点については議論が長くなりますので、きょうはもうとめたいと思います。いずれにしても、戸籍法本体をいじらないと、こういう
差別問題はずっと続く、
差別問題というか不正入手問題はずっと続くというわけです。
私はある弁護士と話をしておりまして、例えば前から親しくしている顧問先があって、今度一本だけでいいから戸籍謄本をとってくれないかと言われたときに、果たしてそれはだめですよと言って断る勇気がその弁護士にあるだろうかというふうなしんみりとした話し合いをしたことがあるのです。各団体には倫理規定がありますけれども、これはやはり一人一人の
関係者の良心の問題であるのですが、良心の問題というのはまた非常に行き届かない問題でありまして、そういう意味では、
差別あるいは
人権侵害だとかに謄本が使われたりする場合があるわけでありますので、基本的な国民の
差別に対する認識を法律上もきちっとうたわなければならないのじゃないかと思うわけです。もちろん、日本国憲法は
人権を重んじているし、世界
人権規約等々、世界
人権宣言もそうでありますけれども、あるわけですが、日本独特の
差別構造を持っている部落解放について、部落解放基本法というのがあるわけであります。あるというか、提案されているわけです。想定されているわけであります。
私は、先ほどの
行政書士さんのいわゆる謄本のファックスを送った先が関西を中心にしているというようなことを考えますと、いわば部落
差別に関するさまざまなやりとりがあったのではないかと
推測するわけであります。あるいは違うかもしれませんけれども、どうもそのような気がしてならない。そうしたときに、日本国民がひとしく部落
差別に対してこういう考えでいかなければならないという意味で、部落解放基本法の案があるわけであります。こういうものをきちっと基本法としてうたわないと、日本国民、弁護士や
行政書士だけでなく、それを依頼する側の人もその認識がないといけないわけでありまして、そういう部落解放基本法のようなものを制定しない限りこういう問題の基本的な構造はなくならないと私は考えます。そうしたときに、例えば部落解放基本法の第一条では、部落問題の根本的速やかな解決のために地方公共団体、国民の責務を明らかにしております。七条では、
身元調査活動の規制、雇用
関係における部落
差別の規制等、必要な法制上の措置を講じなければならない、こういうふうになっております。部落解放基本法の中身についてはまた議論をしなければいけないのですが、
左藤大臣、部落解放基本法が、地対財特法がこの一年で切れるというときに、こういうものがないと、こういう不正入手
事件はとどまるところを知らないと私は感じるのですが、御意見を伺って私の
質問を終わります。