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鈴木(久)
分科員 私は、いわゆる朝鮮人強制連行問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
昨年の五月に日韓外相会談の中で韓国の外相からいわゆる要請を受けて
調査を開始して、八カ月くらいになるのでしょうか、当初は八月の段階で七万人、三月五日、九万人余の名簿を韓国の大使館の方へ提出したようでございます。何かそのときに、これで
調査は打ち切りをするんだというような報道もありまして、ちょっと私は残念に思って、不十分な
調査のままこれで打ち切っていいんだろうか、特に日韓関係の問題で言えば約束
事項であり、これを十分果たしていない、こういうふうに思った次第でございます。
もう一つは、日朝関係も戦後四十五年にしてやっと新たな段階を迎えておりまして、くしくもきょうはまた第二回の
政府間交渉が開始をされるというときでもございます。昨年の自社両党と朝鮮
労働党の三党共同宣言というものがありました。それを受けての
政府間交渉もいよいよ具体化を帯びてきている、こういう背景もございます。
さらにこの中では、
戦前の植民地三十五年のいわゆる償いの問題。戦後の問題については
日本と朝鮮の間では大分意見の違いがあるようでございますけれども、強制連行問題というのは日朝間でも改めて問題になってくるだろうというふうに思います。
同時に私は、ちょうど昨年の共同宣言を締結した後、機会がありまして民主主義人民共和国を訪れることになりまして、この間お見えになりました金容淳書記とも何度か会談をする機会がありました。その中でも強制連行問題についてはかなり関心を持っているという発言などもございまして、そういう意味から、私は以下具体的にただしていきたい、こんなふうに思うのです。
今回の九万人の名簿というのは、
労働省が
中心になって各省庁
協力をして、あるいは都道府県、市町村までいろいろと
協力をいただいてこれだけ集約をしたということについては私は多としたいと思います。しかし、あの九万人の名簿を見ますと、
政府や自治体が
調査をした名簿のほかに、いわゆる民間の方の
調査というのがかなり大きな成果を上げている。これも、
政府がやった
調査よりはもっと幅広い範囲で
調査をして皆さんのところへ名簿を用意しているという意味では大変注目す
べきことをここに含んでいる、私はこういうふうに思っております。
ところで、私の地元に、私はいわき市なのですけれども、長い間本問題に取り組んで、今回の皆さんの
調査にも二百十二名の名簿を提出した大塚一二さんという方がいらっしゃいます。きょうここに資料を持ってきたのも彼が長年集めてきた資料でございまして、先般
予算委員会の一般
質問で嶋崎さんが取り上げになったのも同様の資料でございます。
こうした民間人の
調査と比較いたしますと、どうも
政府がやった
調査というのは、私ども県に行ってみても自治体へ行ってみても、いわゆる徴用名簿があるかないかという形の
調査でございまして、範囲がずっと、
役所というのはどうしてもそういうふうに制限をされて、
調査依頼をするとその
部分しかやらないというのが通常なのでしょうけれども、そういう形になっておりまして、思うような成果を上げなかったのじゃないだろうか、こういうふうに私は思うのです。
改めてここでお伺いしたいのは、これまでの
政府の
調査の経過と実績を皆さんはどんなふうに踏まえられているのか、そういう民間の
協力の問題についてどういう
認識をお持ちなのか、今後、そういう教訓を得て、改めてどんな考え方を持っていらっしゃるのか、この辺をまず伺いたいと思います。