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山中(末)
分科員 どうもありがとうこざいました。やはり先輩だけのことはあると思うのです。敬服いたしました。
私は、
先ほど申し上げましたように、二十三年振り返ってみて、ここで自治体の抱えている問題を提起しておかねばならない、このように考えております。
今大臣おっしゃったことはよく理解できるのですが、償還しなければならない問題もある。これは確かにありますね。私らも随分
努力してきましたけれ
ども、やはり引き続いて
努力しなければいかぬという問題も確かにあります。しかし、最初におっしゃった差別を払拭しなければならぬ、そういう決意のほどは、これは課題として十分持っている、こういうお力強い御回答がございましたので、私は、自治体の抱えているごくありふれた形の問題を申し上げて、問題提起をしたい、このように存じます。
一つは、例えば全国の隣保館の問題でございます。これは今、同和
行政の第一線の機関として相談、啓発、
地域福祉、教育、文化等各種
事業に取り組んでこられました。これからもいかれると思うのですが、そういうことを考えますと、同和問題解決のための重要な一翼を担っていることは否定できないと思います。現在九百四十五館隣保館が全国であるようですが、そのうちの七百九十六館、実に八四・二%が同和対策
事業特別
措置法ができてから
建設をされた、このように伺っています。その意味では、隣保館
建設が同和
行政施策の大きな柱の
一つでもあったなというふうに反省をしているわけであります。
まあ例でありますが、隣保館をめぐって考えてみましても、今大臣は来年度が最終年度という構えがあるけれ
どもという
お話をちょっとおっしゃいましたが、そうなってきますと、隣保館も法ができてもう二十三年でございますから、これはいよいよ老朽化が出てまいりますね。それから、改造を要するところも出てまいります。早く建てたところは、老人対策とか福祉対策とかそういう面の
施設も加味されたものではないというところもございます。そうすると、これの建てかえとか増改築とか小修理、こういうことを考えていきますと、大臣、来年度が最終だというふうな構えがあるとおっしゃいましたけれ
ども、その辺の問題は一体どうなるのか。これはもう例はたくさんあるのですが、隣保館だけをいいますとそういう心配が実は出てきているのです。小学校、中学校のようなものは、これは御存じのように、新築しましてから二、三十年たって老朽化してくると、改築もできますし、大修理もできます。そういう制度が
法律的に
整備されているわけですが、ことしで最終だという構えがあるということになってくると、このあたりが将来、小学校、中学校のようにうまく改築できていくのか、改造できていくのか、これがはっきりしてこないと、今度は、ことし限りだ、最終年度という構えでいきますと、地方自治体も、同和対策というもの、差別解消というものをこれでなくするわけじゃございませんで、まだまだやらなければいかぬものがある。そうすると隣保館はこれからも続けていかなければいかぬ。続けていかなければいかぬという中には、新築、改築、一部修理等の問題も出てまいりますね。これが一体どうなるのか、そういう面で僕は非常に心配しているのです。それから、私は余り悲観はしていないのですが、率直に見ると、老朽化してこの隣保館は廃屋にならざるを得ないのかなという心配も実はちょっと心の隅にあるのですね。
もう
一つは隣保館の運営です。今、県を通じて
政府の方から運営管理の補助が出ていますね。これがことし限りだというふうな構えになってくると、
市町村としては同和対策
事業は、ハードの面もソフトの面もございますがやはり進めていかなければならぬ。そうすると、今国から来ている県を通じてのそういう運営管理の補助が一体どうなるのかな、こう思いますね。
それから波及していきますと、同和対策の保育所、この問題も実は同じような問題で、いわゆる加配というのがございますね、同和の加配の先生。その保育所もある。そうしたら教育集会所もそういう運営管理等含めて人の問題が出てきます。もちろん小中学校の、私らやらせてもらっている時分はいわゆる教育困難校というような名前を使っていましたけれ
ども、同和加配の先生の配置というものがございます。
こういう今まで二十数年かかって国も
地方公共団体もそこの
住民の方も一緒に力を合わせてやってきた、そのやってきた成果が形となって残り、あるいはまたソフトの面でも残ってきていますね。これをぷつっと今切ってしまうということはできませんから、やはり続けていかなければならぬ。その場合、これは保育所もありますけれ
ども、改築、修理を含めた後の運営費ですね、この辺の問題を
市町村が抱えていきますとこれはもう大変なことになってしまう。今でもそれで来ているわけです。それで一生懸命やっているわけですから、だから大臣、最終年度という構えだというふうにおっしゃいましたけれ
ども、それは大臣の考えではなしに国全体としてどうお考えになっているのかよくわかりませんが、そういう面が残ってきている、非常に心配だと私は思うのです。
先ほどおっしゃったように、確かにハード面ではいろいろな
事業が大分進みました、
費用も大分入りましたから、それはだれも認めているわけですが、それから後を続けていかなければならぬ問題について、
一つ大きな問題があるのではないかというふうに思うわけです。
それと並行しまして、本来同和対策
事業は、
事業採択されますと、これはお釈迦様に説法のようなものですけれ
ども、補助率が三分の二で、残額は充当率の高い起債でありまして、その起債につきましても後年度において
交付税等で元利償還がある、こういうことですから、私の経験では、大体
一つのハードの
事業をやる場合に
市町村が単費をもってかからなければならぬというのは最初は一割程度かなということでずっと進んできたわけですね。これが差別解消のための
事業の大きな潮流のようになってきましてどんどん進んできたということです。これが、大臣うまく言われたけれ
どもことしが最終年度という構えということになりますと、これは
事業面だけがストップするとかいう心配だけじゃなしに、それに伴ってきた人件費とか運営管理費、それから
先ほど申し上げた修理等の問題が残されてしまうんじゃないか。非常に実は心配しているわけで、ちょっと言い方は悪うございますけれ
ども、諸
施設の維持管理の更新等が非常に困難になってきて、二十三年間の国及び自治体プラス
住民が進めてきた部落差別をなくするための施策というものは、言葉では残っていくように思うけれ
ども、ぷつっと切られてしまうのではないか、音を立てて崩れていくのではないかと、実は非常に心配しておるのです。
これは、一番初めに申し上げましたように、地方改善
事業ということで施策をやらせてもらった。そのときにそういう
法律がなかったので、二分の一補助ですよと言われたけれ
ども、よく見たら二分の一以内の補助と書いてあった。だから、私も大きい経験があるのですけれ
ども、約一千万ぐらいの仕事をやらせてもらった。二分の一以内の補助だからということで、二分の一以内なら五百万か四百五十万ぐらいは来るだろうと思っていましたら、これは文部省の
関係でしたけれ
ども、百万しか来なかった。これだったら十分の一じゃないですかということで、その当時文部省に行きまして泣きついたことがあるのですが、ことし限りというとらえ方をしますと、そういうことになってしまうおそれが非常に強い。
そういう面について、余り長くなってもいけませんので、そこら二、三点について、これは大臣に御答弁いただければありがたいですが、専門家がお隣におられますので、それを管轄しそれに対応していくという
立場の
自治省ではございませんけれ
ども、
市町村の
立場を一番よく理解していただいているという
自治省の
立場で、私
どもの考えている心配に対して
説明がいただければありがたい、このように思います。