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田中(昭)
分科員 判決が出れば従うというその論拠は、
水俣病は解決できないことにつながるということだけははっきり申し上げておきたいと思うのです。
時間もございませんから、私は、いろいろこういう問題で紛争状態、なかなか解決がつかない、解決のめどもつかない場合に一体どういう対応をすべきかという点では、先ほど申し上げましたように、その
水俣病問題に本当に長い間具体的に携わってきた自治体、県の意向を十分に尊重すべきであるということが
一つ。それから、もう
一つは、日本の民主政治は三権分立という立場に立っているわけですから、三権分立の解釈についても食い違いが出てくるかもわかりませんけれども、
しかし、司法の態度というものを
行政の側も大事にする、尊重する、この立場は極めて重要ではないか。
それから、三つ目に、国全体の政治をやっていく場合に、日本国の良識というものに従わなければいけないということを私は申し上げたいわけです。日本国の良識とは何かといいますと、
一つは、あの
水俣病の和解勧告が出た際に日本の有数の学者、
文化人が、この
水俣病は和解で解決しなければ解決は不可能になる、何とかすべきであるというアピールを発表しましたね。これは部長も、
長官も御存じのとおりだと思います。私は、これは日本国の良識だと思います。これをやはり尊重しなければいけない。それから、もう
一つ言いたいのは、マスコミです。この問題に限っては、日本の有数の新聞という新聞は、この際この和解で
水俣病は解決すべきであるという社説を全部掲げておるのです。地方紙も含めてこれほど各社がこの問題を社説に取り上げて一貫した論理で報道したことは一回もなかったのではないか、こういうふうに私は思います。それから、去年の百十九回臨時国会に多くの請願が出されていますけれども、一番多かった請願は、この
水俣病問題なのです。国連平和
協力法じゃないのですね。それほど
国民が大変関心を持っておる。こういうことを総体的に考えた場合には、これは日本の
国民の良識挙げて、
世界の
公害の原点であるという
水俣病問題、これに何としても解決をつけなければいけない、その解決というのはこの機を逃してはない、こういう判断を下しているからであろうと私は思います。
そういう意味では、先ほど申し上げましたように、
行政の筋を通すということだけでなくて、判決を待つ、判決が出ても気に入った判決が出なければ上告し、控訴もする、これは解決不可能につながるという場合には、司法の判断を尊重するという立場に立ちながら、この和解の中に入っていって和解の中で国の主張を言いながら、そして和解ですから、ぼけてくるところも出てくるかもわかりませんけれども、最終的に決着をつける、こういう態度に立たなければこの
水俣病問題は未来永劫解決がつかないのじゃないかというふうに思います。そういう立場で、私どもは今後とも
努力をしたいと思います。
きょうも、海部総理あてに要望書を手渡してきました。それから厚生、環境にも来られたと思いますけれども、やはり何としてもこの機に
水俣病を解決する、そういう立場に立って被害者の意見も十分に聞く、相手の言い分にも耳を傾ける、こういう謙虚な姿勢にぜひ
環境庁、全体を取りまとめるわけですから、そういう立場に立っていただきたい。そういう立場から、新しい
長官にも期待をしたいと私は思っております。そういう意味で、ぜひお願いをしたいと思います。
最後に、時間がございませんから、
長官の決意などもお聞かせいただきたいと思います。