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近藤国務大臣 若干前の質問にもあわせてお答えをさせていただきたい、そう思います。
今日とられている
後継者対策で来年以降増大をするという自信があるかということでありますが、必ずしも自信を持っているわけじゃございません。従来のことにつけ加えて、最大限の知恵を絞って
平成三年度の
予算案を編成させていただいたのでございますけれ
ども、私は、それだけではこれからの若い
人たちに
魅力のある
農業ということには不十分ではないか、実はそう認識をいたしておるわけであります。
一つは、
所得上の
魅力もあれば作業上の
魅力という点についてもあわせ
考えていかなければならないわけでございますし、私が
大臣に就任してから
一つ特に深刻に受けとめておるのは、私たちが従来やってこられた
政策については、
規模拡大をするということになれば、どうしても
農業人口が
減少せざるを得ないということが
一つは裏腹になっておるわけであります。
しかしながら、これほど
後継者に
魅力がないということも実は将来にわたる重大問題でございますから、そういう
意味合いでのこれからの
農業をどう展開をしていくかということで深刻に受けとめたと申し上げたのは、耕作放棄をしておる農地が、若干でありますけれ
ども増大をしておるということは極めて深刻に受けとめなければならない、
後継者の不足よりももっと以前に深刻に受けとめておかなければならない問題だ、実はこう
理解をいたしておるわけであります。平場における
基盤整備なり
規模拡大なり面的集積なりということをしておりますけれ
ども、決してこのこと自身も、
基盤整備をやれば
農家所得はふえるのではなくて、
機械の効率をよくしていくということでなければいけないことであって、従来の
人たちが作業しやすくなったということでありますが、作業しやすくなった裏腹には
機械負担が増大をするということですから、
機械の効率をどのようによくしていくかということが
所得につながっていくわけであります。
もう
一つ、耕作放棄をするという
地域は、
先生今御
指摘の中
山間地が高いわけでありますから、ここの
農業をどのように
魅力を持たせていくかということになりますと、やはりこの
地域というのはあらゆる面で、
土地条件も不利でありますが、
生活条件も実は不利でありまして、今の若い
人たちの
魅力というのは、
一つは、
都市的サービスをどのように受けて
生活をするかという面も
考えていかなければいけないことだ、そのように実は認識をいたしておるわけでありますから、
都市との距離をどのように、私ら、
農業政策というよりも道路網を含めて、できれば、二時間もかかって行くところが隧道を一本掘れば三十分で行けるというような
山村、中
山間地も実はございますので、私
どももまた、農産物をより早く、傷めないで
市場に出すという
役割と含めてその辺も
農道事業の中でも
考えていきたいし、他省との道路
整備ともまた関連づけてはいきたい、実はこう思っているわけであります。
その
意味からすれば、中
山間地の
活性化対策事業というのが、
メニューをかなり幅広く持たせていただいて、沖縄から北海道までそれぞれの
地域においてそれぞれのまた、中
山間地と一口で申し上げても実はいろんな条件が多種多様でございますから、
一つは、その
地域に合わせた
作物を
選択してもらう、あるいは情報の
整備をしてもらう、あるいは集会所を持ってもらうというような、あらゆることに対して中
山間地の総合的な
対策として今
考えておるわけでございますし、適地適産の時代をこれから進めていくということもあわせ
考えていかなければなりませんが、今価格
政策か
所得政策かということに至りますと、今にわかに
所得政策を直ちに
導入するというよりも、いま少し、あらゆる
土地条件が悪いところの
条件整備をするには、
負担を軽減させていくという
努力、いわば
補助率をうんと上げていくという
努力を私
どももまず最初にするべきではないだろうか。
そして
生活の
環境も、
集落排水を含めて、
都市との交流をするには、今
都市の人が
農村に来てトイレの
環境を見ても、これはとても滞在をするという
環境じゃございませんし、村全体にも若い
人たちの
魅力がございませんので、村全体の
景観を含めて
魅力を持たせていくというようなことを
考え、
農道なんかにも集落に近いところは街路樹を植えたり、そしてまた
景観作物というものを
転作作物の中に入れて、コスモスとかそういった花類を奨励金対象にさせていただいたり、実はちょうどきょう
むらづくり対策推進本部というものを
農林水産省に
設置をさせていただきました。そして担当者を今ヨーロッパの村に、余り大
規模じゃいけませんので、日本型に近いところの村の
景観その他を勉強していただくために実は派遣いたしておるわけであります。今後また中
山間地対策、いろいろ知恵の要るところでありますけれ
ども、
先生からまた御指導をいただければありがたい、そう
考えております。