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○
渡部委員長 これより会議を開きます。
この際、
理事の
補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、現在
理事が四名欠員となっております。この際、その
補欠選任を行うのでありますが、先例によりまして、
委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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○
渡部委員長 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
この際、各分科会主査より、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。
第一分科会主査
松本十郎君。
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○
松本(十)
委員 第一分科会における審査の経過を御報告いたします。
本分科会は、去る三月十一日、十二日及び昨十三日の三日間にわたり審査を行いました。
質疑応答の詳細は会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものを申し上げます。
国会、皇室及び会計検査院関係では、国会職員の労働条件の改善、国会におけるOA化の推進、外交における皇室の役割、会計検査院の検査報告のあり方等について、
内閣、総理府本府、防衛庁及び警察庁関係では、重大緊急事態における超法規的措置発動の可能性、シベリア抑留者の補償問題、PKO推進の方途、公益法人に対する指導監督の強化、防衛駐在官による情報収集の充実の必要性、自衛隊機の騒音防止対策、米軍基地の整理・縮小・返還の促進、自衛隊弾薬庫等周辺の安全性の確保、宗教法人による不法な財産処分事件への対応等について、
科学技術庁、総務庁及び裁判所関係では、南関東地域の地震対策、放射性廃棄物貯蔵施設の設置計画と地方自治体の意思の関係、同和対策の推進、軍人恩給欠格者の処遇対策、地方分権の促進、叙勲制度の運用の適正化、最高裁判例集編さんのあり方、判・検交流の是非等について質疑がありました。
以上、御報告申し上げます。
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○林(義)
委員 第二分科会における審査の経過を御報告いたします。
本分科会におきましても、各分科会と同様に、三月十一日から十三日までの三日間審査を行いました。
質疑応答の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものを申し上げます。
外務省関係では、国連平和維持活動への我が国の参加とその限界、武器輸出入国に対するODAのあり方、人種差別撤廃条約及び児童の権利条約の早期批准、環日本海圏構想の実現、ゴルバチョフ・ソ連大統領の訪日と北方領土問題、サハリン残留韓国人問題、在日米軍基地の整理・縮小の見通し、モンゴル人民共和国に対する各種協力の拡充、外務省の情報収集機能強化と定数の増員等について、
大蔵省関係では、地価高騰と金融緩和政策との関係及び貸し出し総量規制のあり方、葉たばこ生産の安定化のための方策、土地税制の見直し、公益増進法人の認定基準の明確化、自賠責保険における累積黒字還元のあり方、育児休業者への雇用保険積立金による賃金保障、筑波研究学園都市の整備促進、臨時軍事費特別会計の清算、酒類の卸・小売免許制度の問題点、イトマン及び光進疑惑と金融機関の関与等について、
法務省関係では、外国人労働者の受け入れ促進と不法就労者問題、死刑制度の廃止、部落差別の実態と差別解消への法務当局の対応、戸籍謄本の大量不正入手問題、出張所等出先機関における事務機器の近代化等について質疑が行われました。
以上、御報告申し上げます。
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○津島
委員 第三分科会における審査の経過を御報告申し上げます。
本分科会も同様に、三月十一日から十三日までの三日間審査を行いました。
質疑内容の詳細は会議録に譲ることとし、質疑事項のうち主なものを申し上げます。
まず、文部省関係では、小、中、高校における登校拒否と中途退学の現状及び対策、国体開催に伴う地方自治体の財政負担、大相撲本場所への入場希望者の増加と一般観覧席の増設、我が国への留学生の受け入れ計画、たばこの害に関する教育の実施、大学院の充実整備、養護教員の複数配置、同和教育の改善充実、千葉県関宿町小学校の移転計画と差別問題、国立スポーツ科学センターの設置問題、戦争と平和を記録する国立資料館の必要性、柳の御所、三保
松原、中城城跡及び小田城跡等の文化財保存対策、学校教育における評価方式、内申書、校則等のあり方、国立大学附属病院の看護婦の労働条件の改善、単位制高校の現状と推進策、識字教育への積極的取り組み、徳島県立ろう学校高等部への普通科の設置、脳死・臓器移植問題の現状と法制面の整備、青森市の香取神社の移転計画と財産処分及び宗教法人としての適法性等であり、
自治省関係では、JR外房線の複線化計画に対する地方自治体の費用負担、選挙運動での候補者推薦のあり方、弁護士等有資格者による戸籍謄本等の不正取得、流用事件の多発と再発防止対策、岡山県の県立大学設立構想、地方自治体の同和対策事業の実情と財政事情、地域の自治会、町内会等の共有財産の取り扱い、板橋区内での化学工場爆発事故の概要と危険物の防災対策、基地交付金と固定資産税との格差の是正、本年の固定資産税評価がえが国民生活に与える影響、最近の東北地方における刑法犯、交通事故等の増加傾向と取り締まり対策、千葉市の政令指定都市への移行、中部新国際空港の建設構想、北上川の清流化確保対策、救急医療体制の整備、環日本海圏構想と地方自治体間の国際交流の推進等であります。
以上、御報告申し上げます。
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○粟屋
委員 第四分科会における審査の経過を御報告いたします。
本分科会におきましても、三月十一日から十三日までの三日間審査を行いました。
その質疑内容の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
まず、労働省関係では、ベンジジン裁判と労災法の適用、朝鮮人強制連行者名簿に係る問題、同和地区における不安定就労の解消及び就職差別の撤廃、国鉄清算事業団職員の解雇と再就職問題、労働者派遣法の見直し、労働災害の実態と労働省の対応、外国人労働者の就労への対応策、労働時間短縮への取り組みなどであります。
次に、厚生省関係では、児童手当制度の改正、老人保健制度の見直しに係る諸問題、福祉マンパワー対策、看護婦確保対策の充実強化、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の具体的取り組み、競走施設労働者の社会保険の適用、遺族基礎年金の見直し、退職者の厚生年金受給のあり方、歯科材料の保険適用、幼児の歯科検診及び身障者の歯科治療、骨髄移植の推進、結核対策、腎疾患に係る諸問題、がん対策の推進、アトピー性皮膚炎対策、産業廃棄物の不法投棄及び廃棄物処理問題、ゴルフ場建設と水道の水源確保、水俣病患者問題、生活保護問題、福祉施設の運営のあり方、国立病院・療養所の統廃合などであります。
以上、御報告申し上げます。
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○
町村委員 第五分科会における審査の経過を御報告いたします。
本分科会におきましても同様に、三月十一日から十三日までの三日間、審査を行いました。
その質疑内容の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
まず、農林水産省関係では、農業基本法の抜本的見直しの必要性、農林水産業における後継者対策、中山間地域の活性化対策、バイオテクノロジー等先端技術の開発・普及とジーンバンク事業の充実、水田農業確立後期対策の実施状況と今後の見通し、農業生産基盤整備事業の推進と農家負担の軽減措置、米の市場開放問題等ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の見通し、自主流通米に係る価格形成の場の設定の成果、酪農経営の現状と加工原料乳保証価格等の決定方針、造林の推進、林道の整備拡充等森林・林業の活性化対策と国有林野事業の改善策、林野火災の防止及び消火体制の整備、資源管理型漁業の推進等漁業の振興方策、赤土砂流出及び海岸侵食防止等漁業生産基盤の整備、地域改善対策対象地域の農業の振興と差別の解消、場外馬券売り場の設置問題等であります。
環境庁関係では、環境行政の充実強化、中東湾岸地域の環境対策支援、温暖化等地球環境問題への取り組み、湖沼等の水質浄化対策及び環境保全対策の推進、ウミガラスの保護、廃棄物処理対策の強化、ゴルフ場等リゾート開発と自然環境の保全、JR線及び高速道路等交通騒音の現状と対策、東京湾等の浄化保全及び横断道路建設に係る環境影響評価、イタイイタイ病の認定基準及び水俣病対策等であります。
以上、御報告申し上げます。
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○相沢
委員 第六分科会における審査の経過を御報告申し上げます。
本分科会におきましても、三月十一日から十三日までの三日間、審査を行いました。
質疑内容の詳細は、会議録に譲ることとし、質疑事項の主なものについて申し上げます。
まず、通商産業省関係では、原子力発電の安全対策、同和地区における産業振興対策、中小企業の公害防止管理者選任に対する助成措置、石炭鉱害の認定基準問題及び有明海海底陥没の復旧と今後の見通し、ワールドオアシス構想とジオトピア計画との関係、集団クレジット被害事件の発生原因と対策、海水淡水化事業の推進、欠陥商品の事故による被害者救済対策、長期エネルギー需給の見通し、太陽電池等新エネルギー開発の促進、大型店舗の進出に伴う地元中小企業との調整問題、大店法規制緩和に対応した中小企業への支援対策、繊維産業の構造改善事業の推進、大型車用スタッドレスタイヤの開発状況と凍結路での安全性、関西電力美浜原発二号機の事故原因の調査状況、武器輸入国に対する経済協力のあり方、貿易研修センターの移転問題、特許権の電子出願制度、本年度税制改正の事業用資産の買いかえ特例の見直しによる中小事業者に与える影響等についてであり、
経済企画庁関係では、日本経済の二重構造による格差の是正、湾岸諸国に対する経済協力のあり方、湾岸紛争後の世界経済の見通しと日本の役割、輸入農産物の残留農薬の安全対策、今後の経済見通しと強力な物価対策の必要性等についてであります。
以上、御報告申し上げます。
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○愛野
委員 第七分科会における審査の経過について御報告申し上げます。
本分科会も各分科会同様、三月十一日から十三日までの三日間、審査を行いました。
質疑内容は広範多岐にわたりましたので、その詳細は会議録に譲ることとし、ここでは主な質疑事項について申し上げます。
まず、郵政省所管につきましては、郵便切手の発行政策、集配郵便局の新設基準、郵便事業における人手不足対策、ダイヤルQ2サービスの審査体制のあり方、パケット通信システムによる差別通信対策、沖縄県先島諸島における民放の難視聴解消策などでありました。
次に、運輸省所管につきましては、鉄道関係では、整備新幹線の建設の促進、東海道新幹線及び上越新幹線の輸送力増強対策、常磐新線の建設の推進、JR株の上場見通し、JRの安全対策、首都圏における地下鉄の整備など。陸運関係では、タクシー運転手の労働条件の改善、違法駐車及び駐車場対策、運転代行業の実態、自賠責保険における累積黒字還元のあり方など。航空関係では、第六次空港整備五箇年計画策定に当たっての基本的考え方、新東京国際空港の整備見通し、中部新国際空港の建設の推進、地方空港の建設と整備の促進など。以上のほか、造船業の人手不足対策、船舶からの油流出防止対策、東京港の再開発と環境保全対策などでありました。
以上、御報告申し上げます。
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○綿貫
委員 第八分科会における審査の経過について御報告申し上げます。
本分科会におきましても、各分科会同様、三月十一日から十三日までの三日間審査を行いました。
質疑の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
まず、国土庁関係では、大都市圏における地価抑制策、離島振興対策の推進、南関東地域の地震対策などであります。
次に、建設省関係では、一般国道の拡幅及びバイパスの整備、主要地方道の国道昇格、高規格幹線道路網の整備、東京外郭環状道路の建設問題、有料道路の料金問題、第二東海自動車道の進捗状況、高速道路周辺地域の環境問題、公園整備の推進、下水道整備の推進、都市再開発と地域住民への配慮、大都市圏における住宅宅地供給促進策、公団住宅の家賃及び建てかえ問題、河川の改修整備、海岸事業の推進、長良川河口堰の建設問題、地域改善対策特定事業への取り組み、公共事業の執行のあり方などであります。
以上、御報告申し上げます。
-
○
渡部委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終了いたしました。
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○
渡部委員長 これより締めくくり総括質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
松浦利尚君。
-
○
松浦(利)
委員 総理、長い間御苦労さまでした。いよいよ総括、最後になりましたが、お互いに大変だったと思うのです。しかし、今度の予算
委員会の審議を通じて、毎日毎日、予想しないことが次々と出てまいりまして、そのときそのときいろいろな問題をやりとりしなければならぬという激変の状況だと思うのです。きょうも、質問内容として通告はしておりませんでしたけれども、湾岸戦争後の国連問題をめぐりまして、掃海艇を派遣したらどうかというような御意見が、実は自民党の政調会長から提起をされている。
私は、今度の予算
委員会が始まりました冒頭、自衛隊の制服の人たちが主として使っておる、幹部学校で読まれておる論文等を掲載いたしました「陸戦」という本に、制服組が掃海艇を派遣をしたいという希望を持っておるということもこの
委員会で指摘をしたのです。そのとおり掃海艇を出したらどうかという動きが始まりました。事実そういうお考え方が総理の念頭にあるのか。あるいは外務大臣、お尋ねをいたしますが、米国から掃海艇派遣についての要請等が来ておるのか、あるいは国連からそういったことが来ておるのか、具体的にお答えいただきたい、こう思うのです。
-
○中山国務大臣 掃海艇の派遣につきましては、米国政府から日本政府に対して要請が来ているということはございません。
-
○
松浦(利)
委員 総理、そういうお気持ちはありますか。
-
○海部
内閣総理大臣 いろいろとお答えを申し上げてきましたように、湾岸の平和回復活動のために全力を挙げてこの
委員会は取り組んできたわけでありますが、今具体的にお尋ねになったようなことについては、政府部内にはまだ要請を受けたとかそういった気持ちを固めたとかいうことはございません。
-
○
松浦(利)
委員 外務大臣、総理もお聞きいただきたいと思うのですが、私たちはやはり考えなければいかぬと思うのですね。
ある国連の大使をしておられた人がこういう警告を発しておられるのです。その内容というのは実は大変示唆に富んでおると思うのですが、実は我が国がなぜ信用されないのか、それは、日本は具体的政策として自衛隊は参加できないから。いろいろ憲法上派遣ができる、できないという意見が国内であって統一されていない、ですから日本は具体的政策として自衛隊の参加はできない。しかし、他の方法で何らかの形で協力をしたいという姿勢を冒頭から主張する姿と、自衛隊を派遣したいと思った、しかし結果的に社会党や何かが反対をしたからそれができなくなった、こういう言い方をしますと国連では全く受け取り方が違ってくるというのですよ。
大体外交というのは、少なくともこうした問題というのは反対、賛成の意見があって当たり前なんです。だから、そういう統一されていないものをあたかもできるがごとく持ち込んできて、国連平和協力法案のときもそうでした、今度の自衛隊機、輸送機の問題でも国論を二分しました。今度のまた掃海艇の問題でも政府の方は全く考えてもおらないのに政党の側から持ち出してきて、あたかもそれが要請があってできるかのごとく宣伝が始まる、そうすると結果的に議論をしてみたらできなかった、これでまた日本の信用が失墜するのですよ。
だから、そういった意味では、私が今海部総理にお願いをしたいのは、昨年の秋国連協力法案が廃案になった、その原点に立ち返ってもらって、いろいろ議論はあると思いますよ、しかし事外交に対しての問題でありますから、国連に対して政府は何ができるかということを政府自身が判断をしなければいかぬと思うのです。お尋ねをしますと、自公民三党協議にゆだねて政府はもう手をこまねいて見ておるというような新聞報道もありました。しかし外交は、私は、海部内閣があって初めて中心的な役割を果たさなければいかぬ、政府自身が。ですから、今大切なことは、日本で何ができるのか政府自身が判断をすべきだ、こう思うのです。そのときだと思うのです。海部総理の御見解を承ります。
-
○海部
内閣総理大臣 御理解ある御発言をいただいて、私もそれを念頭にとどめさせていただきます。
今回の経緯を振り返りましても、政府独自の判断で、例えば非軍事的な、そして避難民の輸送という人道的な問題については、国会ではいろいろ御批判もいただきましたが、政府の責任において輸送機を派遣するという準備と態勢の決断をさせていただいたということ、これも今国会を通じての一つの決断でございました。ただ、前回の国会の経緯を踏まえて、国連平和協力法案については国会の御同意がいただけなかったわけでありますから、唯一の立法機関である国会の意思を尊重しなければならぬ。外交は政府にお任せ願っておって、政府が決断したらそのとおりやってもいいとおっしゃっていただければ、去年の法案のとおりのことを政府が行うことになるわけでありまして、それは議論を踏まえて、国会の御意思を踏まえて三党合意を踏み台にしていかなければならぬという立場もございますので、政府としてはいろいろ調査もし、その成案を得るべく努力をいたしておりますけれども、各党の御議論というものも十分に尊重をしていかなければならない、こういう基本的な立場に立って努力をしておるところでございますから、今後ともよろしく御理解と御協力をお願い申し上げます。
-
○
松浦(利)
委員 海部総理、今度の掃海艇の派遣の問題にいたしましても、こうした問題について何かあたかもできるようなことが議員の側から、政党の側から出てくる、しかし結果的にできない、そういうことが私は信用を失墜していくと思う。ですから、取り違ってもらっては困るのですが、政府がやはり一つの外交方針を出したら、それに対して議会側に政府がその外交方針に対しての許諾を求める、実行についての意見を求める、そういう姿に立ち返っていただきたい、こう思うのです。
そして、何か平和維持活動の問題についてもいろいろな議論が出てきていますけれども、これはあくまでもある一定の目的で決まっていく組織なんですよね、PKOという組織は。一定の目的があって決まっていく組織なんですよ。だからその組織は軍事行動もあれば非軍事的なこともあるわけですから。予算
委員会を通じていみじくも外務大臣、一般質問等通じて大蔵大臣等も御答弁をいただきましたけれども、我が国として一致できる今日の国民的な合意というのは、非軍事的な行動ならいいのではないか、そういう組織ならいいのではないかということは一定のコンセンサスを得ておると思うのです。だから私はそういった組織を、外務大臣、大蔵大臣はコストの関係もあるから非常設でつくりたい、こう言っておられるわけですから、そういった面について政府自身が提起をしていただきたい、そういった問題について政府が国会に対してリードしていただきたい、政党に対してこういったことをしたいと思うがどうだろうかという提案をしてもらいたい、そう思うのですが、総理のお考えをいただきたいと思います。
-
○中山国務大臣 先ほどからいろいろと平和協力の問題で先生からもお話がございましたが、先ほどお触れになりました掃海艇の問題、これはきょうの新聞でも大分にぎやかになっておりますが、この問題については、現在千から千二、三百個の機雷がペルシャ湾に浮いておる、敷設されておるというふうに言われているわけです。そこを航行している船舶、これはもう今戦争は終わっておりますから日本のオイルタンカー等もこれからそこをどんどん通るわけですけれども、この日本の船員と船舶の安全を一体どのようにして確保するかということにつきましては、これはほうっておくわけにはいかない。船員たちの生命の問題もありますから、これはいずれ船員組合とも一回よく相談をすることが必要ではないか。ここらが日本としては、政府として、非軍事的なことで戦闘ではない、そういうところに、こういうふうな敷設された機雷に対する日本の船舶と船員の安全をどう保障するか、確保するかということは、これは政府として関心を持たざるを得ない事項でございますが、それはやはり船員組合とよく相談をして我々としては日本の政府の考え方というものをやっていかなければなりませんし、また、日本の船だけを守るというような限られた考え方で対処はすべきでもないのではないか、ここらはこれからよく組合側の意見も尊重しながら意見を聞いてまいりたい。政府としては、非常に船員の生命と船舶の危険について懸念をしておるということだけは申し上げておきたいと思います。
-
○
松浦(利)
委員 今政府としての考え方が出ましたね。それじゃ、政府自身はそういう意味から、船員組合の了解があれば掃海艇を派遣をするという判断に立っておるというふうに理解をすべきなんですか、私たちは。あなたはそう言っておられるじゃないですか。
-
○中山国務大臣 これは情報をよく収集しないと、船員も船舶も危険が伴うわけでありますから、政府としてはそれらの情報を船員組合にこれから提供していかなければならない、このように考えております。
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○
松浦(利)
委員 いずれにいたしましても、我が党としては、御承知のように自衛隊の海外派兵については反対という党是を持っておる政党であります。ですから、そういう問題についてぜひ政府も御理解をいただいておきたい。やはり私たちはPKOの非軍事的活動については賛成の立場をとっておるということをこの際表明をしておきたいと思うのです。
そこで、私は、この湾岸問題を契機としていろいろなことが出されています。非常にこれは残念なことですが、これも新聞報道に限ることですから、エジプトの有力な新聞でありますエジプシャン・タイムズのモハメッド・エザビ編集長。エジプトは多国籍軍に参加をした国であります。これは、書いてあるとおりを読み上げますから、こういう見方もあるということを知っていただきたいと思うのですが、
この戦争はどうやら、米国ただ一国が勝利を収める形になりそうだからです。イギリス、フランスはかろうじて、勝利パーティーのケーキのほんの一部を分けてもらえるかもしれませんが、アラブ諸国には勝者はなく、イラクと同じ敗者になります。アラブのオイルは、世界唯一のスーパーパワーになった米国にコントロールされてしまう。
これはアラブの負けで、これから豊かにはなりません。サウジでさえ、カネを外国から借り始めています。エジプトはさらに貧しくなるでしょう。勝者は米国だけです。
日本もまた、湾岸戦争の″敗者″に並べられることになるでしょう。日本は米国の″日本弱体化″の陰謀に乗せられて、百三十億ドルを拠出させられ、さらに戦後処理でも巨額の負担をさせられます。しかも、この米国盲従、追随の姿勢はアラブ国民全体に失望感を与えています。これを回復するには、十年、いや二十年以上かかるのではないでしょうか。その意味で日本も敗者なのです。
こういうことをエジプトの有名な新聞の編集長が述べておられる。これは記事ですよ、私がそう思っておるのじゃありません。そういうことが言われておる。
ということを考えてまいりますと、今度の湾岸戦争に私たちは九十億ドル支出、私たちはいろいろクレームをつけましたけれども、結果的に交換公文でGCCに円建てで渡されたようです。しかし結果というのは、これから私たちの外交というのは非常に厳しい道を歩まざるを得ない、そういうことを指摘しておるのがこの編集長の指摘だろうと思うのです。
そこで、私はこれから、盛んに言われておる西側の一員、アジアの一員あるいは国連中心主義、こういったことを日本の外交では常に言われておるわけですが、ここで外務大臣にお尋ねをするのですが、西側の一員、アジアの一員あるいは国連中心主義というこういった日本の外交の三本柱、これはこれからもこういう方針で堅持されていかれるのか、あるいは修正を加えられるのか、その点についてお答えいただきたいと思う。
-
○中山国務大臣 日本としましては、もちろんアジアの国の中にあるわけですから、アジアの一国として、自由主義陣営の一国として、また国連を中心に外交を展開していく、こういうふうな基本的な考え方に変わりはございません。
-
○
松浦(利)
委員 総理、これは非常に重要な問題だと思うのですが、今国連は百五十九カ国ですかね、そのうちの三分の二は新興国です。西側と言われている国が約五十カ国ですね、五十カ国弱。そして、今までの国連の舞台における日本はどういう立場をとってきたかというのは、国連の決議に対して日本がどういう態度をとったかというのを見れば一番はっきりするのですよね。アジアの一員、西側の一員、そして国連中心主義というこの三つの外交の中で、国連に出されてきておるあらゆる決議に対してどういう態度をとったか。私は外務省に対して、各国別の決議に対する毎年の国連における全体の決議、提案件数、それに対する日本の賛成件数、その他西側諸国代表あるいはASEAN諸国、こういったところの賛成等の件数を教えてもらいたい、こう申し上げましたけれども、膨大な資料ですから、資料が手元に来なかったのです。
これからチェックをさせてもらいたいと思うのですが、これは一部雑誌に報道されておる内容を引用させていただきたいのですが、これで我が国の外交、「素顔のニッポン外交」という形で朝日ジャーナルに掲載をされておったものを引用させてもらいたいと思うのですが、当初国連に加盟したときには、我が国の賛成率というのは国連加盟国とほぼ同調した形で高い決議賛成率を示してきたことは事実です。ところが、日を追うごとに、年を追うごとにだんだんと賛成率が低下をしてまいりまして、そして、西側提案の決議に対しても我が国は棄権ないし反対をする、アジアの提案に対しても、棄権、反対する率が高まってくる。そういう状況がずっと生まれてまいりまして、そして、例えばこれはこの朝日ジャーナルの指摘ですから間違いはないと思うのですが、被爆国である我が国が、核軍縮に対しての決議がありますが、核軍縮の決議に対して、例えばすべての核実験を中止してもらいたいという決議について棄権。非核兵器国の効果的保障措置、棄権。軍事予算の縮小、棄権。二国間軍縮交渉、棄権。防衛安全保障の概念及び政策、棄権。地域スケールの通常兵器軍縮、棄権。核軍備の凍結、反対。科学技術の発展と国際安全保障への影響、反対。軍縮会議の報告、棄権。核軍拡の中止・核戦争の防止、棄権。インド洋平和地帯宣言の履行、反対。このように、被爆国でありながら核軍縮等の決議に対してはすべて棄権ないし反対をしておるという姿がここに出てきておるのですね。理由がいろいろあるとは思いますよ。そしてまた、人権決議に至っては全く賛成ゼロであります。人権決議については、全くゼロ。ほとんど棄権、反対で、賛成に回った経験はない。
それで、この朝日ジャーナルの指摘によりますと、だから、例えば安保
理事国に日本が立候補した。一九八六年、私たちも安保の
理事国に日本がなれ、場合によっては、この前外務大臣に、
理事国になるように頑張ってくれ、常任
理事国にもなってもらいたいという激励を送ったわけでありますが、しかし、そのときに六回目の当選を目指していた日本は、辛うじて最低票を四票上回る最下位で非常任
理事国に当選をした。そして逆に、立候補しておらないインドに三十六票が回っている。一九七八年の安保
理事の選挙では、事前の協議が不調に終わって、日本は必要得票数の半分も超えることができない。結局立候補を撤回して、七一年に独立、七四年に国連に加盟をしたバングラデシュ、経済的にも日本とは大差のある国が当選をする。このように、最近はどうもアジアの一員としての行動も決議の中から読み取れない。結果的に世界の、国連の中の孤児、もっと言うなら、先進諸国の中にすら、米国を国連の舞台で補完する日本外交だ、こういうことが国連ロビーで表現されるような状況になってしまっている。これがやはり国連中心主義の我が国の外交なんです。
海部総理、私はこのことを非難しようとは思いません、過ぎ去った経過ですから、結果ですから。しかも、私自身が外務省の資料で調べた数字でもありません。資料がないために、これは朝日ジャーナルという雑誌から今引用して申し上げたことですが、やはり国連中心主義、アジアの一員であるなら、もっと視野を広げて日本独自の外交を展開する、そういう姿勢がこれから問われてきておるのではないか。私は、今度の湾岸戦争後における日本の外交における非常に重要な課題がここにあると思うんですね。
私は、海部総理、私の言っておることをおわかりいただけると思うのですが、私は海部総理がそうだと言うのじゃない、ずっと今までの経過を申し上げておるだけです。この際、もっと日本の外交というのは大きな視野で本当に世界をリードする、そういった立場に立った独自外交の展開というものが迫られておるのじゃないか、そう思えてなりません。総理の御見解を承りたいと思います。
-
○丹波政府
委員 先生、私の方からまず事実関係をちょっと、お願い申し上げます。
-
○
松浦(利)
委員 こういうことがあるから私は外務省に資料を要求したのです。資料もくれぬでおって何ですか今。何ですか、あなた、失礼だよ。
-
-
○丹波政府
委員 申しわけありません。事実関係だけちょっと。
先生たくさん問題を提起されましたけれども、一つは、人権関係の決議案につきましては、昨年の本会議に提起されました人権関係の決議案、実は日本は八六%賛成してございます。全体の決議案は五十一本だったのですけれども、コンセンサスで全体が賛成ということで四十本通っております。そのコンセンサス以外では十一本あるわけですが、日本が賛成したのが四本、反対が三本、棄権が四本ということで、全体といたしましては先ほど申し上げましたとおり八六%賛成してございます。
それから、軍縮関係につきまして、先生自身それなりの態度をとったのにはそれなりの理由があったのだろうとおっしゃいましたけれども、まさにそうでございます。時間の関係もございますので全体には触れませんけれども、例えばメキシコが提案した核実験禁止の決議案につきましては日本は棄権の立場をとりましたけれども、これは例えば核実験禁止につきまして各国の意見が異なっておる状況のもとで、この決議案によりますと、ジュネーブ軍縮会議に対しまして即座に条約交渉をするようにという非常にきつい、無理な決議案だったということで棄権の立場をとっておるわけです。しかし、基本的には、核実験というものに対して日本が禁止されるべきだという態度を保持しておることは先生御承知のとおりです。
それから、いわゆるもっと大きな図で申しますと、全体としてこの軍縮
委員会におきます、第一
委員会ですけれども、賛成率をずっと見ていきますと、八一年から八五年は六〇%賛成しておるわけですけれども、昨年の場合には七三・六%賛成している、七六年から八〇年をとりますと大体八〇%方賛成しておるということでございまして、今の朝日ジャーナルの印象ですと、非常に日本が消極的な態度を国連に、全体にとっているような印象を与えられますけれども、必ずしもそういう感じではないわけですし、それから、現に安保理非常任
理事国を日本は六回もやっておりますし、このためにはまずアジアグループから選ばれなくちゃならないわけですから、そういう意味でやはりアジアグループからもちゃんと選ばれてそれで候補になっているということをごらんいただいても、アジアの中で日本が孤立しているということではないんじゃないかと思います。
-
○海部
内閣総理大臣 事実関係についてはただいま国連
局長が申し上げたとおりでありますが、現時点に立って今後のことを考えますと、私はやはり今回の中東におけるあの一連の武力の行使による事態の反省に立つならば、あのようなミサイルの移転が易々として行われなかったとしたならば、例えば当事国でなかったイスラエルへ向けてのミサイルの無差別な発射というようなことも起きなかったろう。あれはイスラエルが自制をして反撃に出なかった、報復主義の建前をとるイスラエルが反撃に出なかったことによって争いの質が拡大されていかなかったことを私は率直に評価をしておるものでありますが、あのようなミサイル関連輸出規制というものを過去を顧みて今後規制していくことが大切と考え、日本は十八日から東京でこれに関する国際会議を提唱します。議長国として、参加各国に対してこの問題に対して日本がイニシアチブをとって、こういった問題についての各国の共通の理解を得るように、これを規制を進めていきたい。具体的に行います。
さらに、国連ともこれは協議してのことでありますが、今回のことを顧みて、軍備管理とかあるいは軍備の縮小ということは今後の国際平和に対する大きなポイントになってまいります。日本は、五月の末にこの国際会議を招集をして、これらの問題について各国の学者やあるいは政府的に発言力を持った人や個人レベルで皆に集まってもらって、軍縮・軍備管理、この問題を真剣に討議をして、日本が場所を提供し、イニシアチブをとってこれらの問題をしていきたい。日本のきょうまでとってきた武器輸出三原則というものの考え方や精神を今こそ国連を中心にしながら国際社会で皆がひとしくこれに対して共通の認識を持って、そういう立場に立ってもらうことが大切だと考えておりますので、これに対して積極的な努力をしていこう、この二つの会議を主宰することもその一つのあらわれと御理解をいただきたいと思います。
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○
松浦(利)
委員 我々も積極的に支援をします。ぜひ国際舞台で頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。
それから、外務大臣にこれはお願いですが、私が要求した資料は膨大だったかもしれませんね。私は、だから朝日ジャーナルの資料を使わないために資料を要求したのです。手元に来ない。来ないから朝日ジャーナルを使ったら、今言ったように、あんなにして答弁するんでしょう。私はこのことにこだわらないから、だからやはり資料は出すべきものは出していただいて、十分議論されるように外務省の方にお願いをしておきたいと思います。これは答弁要りません、事情はわかっていますから。膨大だったことは事実です。それから反論しなければいい。
それじゃ、今武器問題でお話がありましたから、これは外務省の事務当局にお尋ねをしますが、一九八八年米軍備管理・軍縮庁が出した資料の中で、世界で最も武器を輸出しておる国、七カ国挙げてください。順序よく挙げてください。
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○丹波政府
委員 先生、資料のことはまことに申しわけありませんでした。私のところまでちょっと話が上がってきませんでしたので、本当に申しわけありませんでした。今後気をつけますから、ひとつよろしくお願いします。
武器の主要な輸出国でございますけれども、国務省の資料によりますと、一九八三年から八七年の累積額ですが、一位はソ連で二百七十五億ドル、アメリカが二位で百六十八億ドル、フランスが三位で百四十八億ドル、英国が三十九、西ドイツが十二、イタリアが十五、中国が五十七、そういう数字で上がっております。
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○
松浦(利)
委員 大変恐れ入りますが、今度は世界の武器輸入国を教えてください。
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○丹波政府
委員 主要な武器輸入国、これも国務省の一九八八年に出した資料によりますと、一位がイラク二百九十九億ドル、二位サウジアラビア百八十三、順番は略します、インド百九、シリア百五、イラン八十九、ベトナム八十七、キューバ八十四、エジプト七十八、リビア七十七、十番目がアンゴラ六十四。この資料にはたまたま十八カ国挙がっておりますが、ちなみに、この十八カ国のうち十四カ国は従来までソ連圏に属していた国でございます。
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○
松浦(利)
委員 今、海部総理、我が国は武器輸出三原則というのがあります。ですから、世界をリードして、ぜひ東京会議を成功させていただきたいと思うのですが、この武器輸出をする国で、アメリカが一番多いんですよね。アメリカ、ソ連、フランス、イギリス、中国等が非常に多いんです。こういう国々は、我が国がコントロールするというのは大変な努力が要ると思うんですね。ですから、そういった意味で、こういう国々に対してどう対応されようとされるか、お考えをいただきたい、これが一つですね。
それからもう一つは、これは各紙一斉に報道されたんですが、アメリカがイラクへ細菌を輸出しておったんですね。アメリカがイラクへ細菌まで含めて十五億ドル輸出しておりまして、この前、生物・化学兵器を製造しておるのではないかというところを経済研究機関も含めて爆撃したんですな。あれで六百人ぐらい死んだのですが、その生物・化学工場に対してバクテリアがアメリカからわずかではあるけれども輸出されている。私は、さすがにこれはアメリカだと思うんですね、商務省というのは。平気でこういうのを発表するんですよね。輸出することについては問題がありますけれども、私は、こういうことを平気で発表して、どうぞ御批判してくださいと言って出すこのアメリカの姿勢というのは見習うべきだと思うんです。非常にこれは参考になりますね。平気なんです、これは出しても。
しかし、いずれにしても、今度の湾岸戦争では、入り乱れてわからないからタンクに標識をつけなきゃいかぬというぐらいに同じ兵器が使われたぐらいですから、そういった意味では、軍縮それから武器輸出についての禁止、武器技術の移転を阻止する、こういったことは極めてこれからの世界平和にとって重要な分野だと思うのです。
海部総理からもお話がありましたが、今言ったような状況を踏まえて、これからの御覚悟のほどをもう一辺明確にお答えをいただきたい。
-
○海部
内閣総理大臣 御指摘のような事態が今回の湾岸における武力行使の中でもあったわけであります。私は、そういった意味で、例えば核兵器とか生物兵器、化学兵器というようなものは、不拡散であると同時に究極的には廃絶を目指して努力をしていかなければならぬテーマだと受けとめておりますし、また、通常兵器の方におきましては、それぞれの国の安全保障上の見地から、必要にして十分な最小限度のものを製造能力を持っていない国が移転をするということについて、一つのまた議論はあろうかと思います。したがって、通常兵器についてはやはり公明性とそれから公開性というものを明確にするとともに、それを国連の場などで皆が認めていくというような、地域の安全保障、力の均衡というものが現実の平和を保持しておる背景であるとするなれば、そういったことを踏まえて、なおそれを認めていくような努力をしていかなければなりません。これを放置しておいたがために、また野方図な移転が行われたがために、今度のイラクの事態が起こったと言って言い過ぎではない一面があるわけでありますから、また、これに対する率直な反省に立っての意見が、今御指摘になったようにそれぞれの世界の輸出をきょうまでしてきた国々の間にも起こっておるわけでありますから、こういったときに、世界の識者や世界の責任者にこれらの問題について良識ある大いなる立場に立っての議論を期待したいというのが私の率直な願いであります。
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○
松浦(利)
委員 それでは、国連外交問題については一応質問を終わらせていただきたいと思います。
次は、国内の問題について少しく議論をさせていただきたいと思います。
まず第一点は、昭和六十一年四月七日出されました前川レポート、これについて、総理自身、この基本認識というものは現在でも変わっておられないと思うのですが、それについてのお答えをいただきたいと思います。
-
○海部
内閣総理大臣 今おっしゃいました前川レポートというのは、正式に申し上げると「国際協調のための経済構造調整研究会報告書」ということになっておるわけでありまして、私はこの見出しがすべてを物語っておると考えます。要するに、国際社会の中にあって日本の貿易のインバランスが非常に目につくようになった、同時にそれは、貿易あるいは経済の理屈を乗り越えて日本だけに黒字が残るというこの体質は何とかしなければいけないのではないかといういら立ちのようなものが他の国々の間に起こっておったということも、御承知のように事実だと思います。したがいまして、その状況を踏まえて、国内的には物価の安定ということを基礎にしながら、内需を中心とした景気の持続的な拡大を図るためにはどうしたらいいかということを考えたのが、いわゆる前川レポートの趣旨であったと私は受けとめております。そして、国際社会の中にある日本として、内需を振興すれば輸入が拡大するわけでありますし、また自由貿易体制の維持強化を通じて世界経済と調和のとれた発展をしていかなければならない、これがこの報告書の根底を流れておる一貫した思想であったと受けとめ、理解をしておりますが、今日においてもこの考え方は間違いない、こう受けとめております。
-
○
松浦(利)
委員 今総理が言われたことに尽きると思うのですが、「今や我が国は、従来の経済政策及び国民生活のあり方を歴史的に転換させるべき時期を迎えている。かかる転換なくして、我が国の発展はありえない。」こう明確に言い切っておるわけであります。
それを受けて、昭和六十三年五月二十三日、経済審議会「世界とともに生きる日本―経済運営五カ年計画―」というものを発表されました。これについても現状認識としては変更ない、こういうふうに理解してよろしいですか。
-
-
○
松浦(利)
委員 それでは少しくこの内容に立ち入ってお尋ねをするのですが、「消費生活の充実」という項目がございます。その中に、経済成長の成果を賃金にも適切に配分するとともに所得税減税により可処分所得の増加を図ることが個人消費の増加に有効であり、また、労働時間の短縮により自由時間の増加を図るとともに有給休暇の集中的活用を促進する、こういうこともうたってあるわけです。これは
経済企画庁長官、
長官の担当ですが、これも総理がお認めになったのですから、そのとおりだと御理解いただけると思うのですが、どうですか。
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○
越智国務大臣 今先生のお述べになりましたような所得税の減税等も、政府としましては、昭和六十三年以降一生懸命やってきたところでございますし、また経済成長の成果を労働賃金にも反映さしてきて、昨年で申し上げれば五・九四%の春闘のベースでいえばアップにもなっておりますし、また時間短縮等につきましても、週休二日制の方向を目指しまして四十四時間労働体制への移行を一生懸命着実に進めている、こういう方向でございます。
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○
松浦(利)
委員 ここに大蔵省の調査企画課の主要経済指標があります。これは経企
庁長官、労働大臣もお持ちだと思うのですが、この中に賃金コストというところがあるのです。あらゆる指標が全部載っておりますが、この賃金コストを見ますと、ずっと五十八年、五十九年、六十年がゼロ、六十一年、六十二年、六十三年、平成元年は一・二プラスですが、それ以外マイナスなんですね。だから、賃金コストはマイナスという統計が製造業に限って前年度比で出ておるのですが、これはもう明らかな統計数字ですから、それはお認めになりますね、賃金コストはマイナスという統計数字だと。
経済企画庁長官どうですか。どこでも結構ですよ。
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○
田中(努)政府
委員 お答え申し上げます。
賃金コストは昭和六十二年度と六十三年度はマイナスでございました。このころは円高が急速に進んでいた時期でもございます。そのため物価が非常に安定をしていた時期であったわけでございますが、平成元年には三・二%上昇をいたしまして、これは私どもの計算でございますが、さらに最近、平成二年の九月以降上昇に転じてきているという状況になっております。
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○
松浦(利)
委員 どうも経済企画庁と労働省、大蔵省、統計がずっと違ってくるのですが、これでいくと平成元年の一―三月期はマイナス四・七、四―六月期は二・〇マイナス、平成二年に入ってから七、八月マイナス、こういう数字が出てきておるのです。
本
委員会にこれは提出された労働省の分厚い資料の中から見つけ出したのですけれども、この中に、これは民社党の要求に対する回答なんですが、過去十年間における労働分配率の推移、一九八〇年から一九八九年、それから労働分配率の国際比較、これが一九八八年度分がここに出されておるのですが、この数字は間違いないというふうに理解をしてよろしいかどうか。いいですね。労働省です、これは。
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○齋藤(邦)政府
委員 御提出いたしました資料に間違いございません。
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○
松浦(利)
委員 それを見ますと、労働分配率が一九八九年で六八・四なんですよ、労働分配率が。これも、雇用者所得を国民所得で、国民所得を分母にしておるわけですね、ですから、非付加価値部門、非生産部門も含めた国民所得で雇用者所得を割っておりますから、数字的にはその部分を除くともっと低くなると思うのですが、いずれにいたしましても労働分配率、雇用者所得を国民所得で割っておる。単純に割っておる。それで六八・四。一九八八年の国際比較を見ますと、一九八八年は日本は六七・七%に対してアメリカは七五%、イギリスは七三%、カナダは七三%、スウェーデン七八%、フランス七〇%というふうに全部七〇%以上で、我が国は七〇%を割っておるわけですね。イタリアが五六・三、ドイツが六七・九、ほぼ日本とドイツは一緒ですが、イタリアは大変に下回っていますね。
ですから、前川リポートに言う、総理、私が何を言おうとしているかおわかりだと思うのですが、要するに経済成長の成果が賃金に適切に配分されておらぬのですよ。
経済企画庁長官にお尋ねをいたしますが、今度の来年度の所得増加見通しですね、雇用者所得の伸びは幾らに想定していますか。
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○
越智国務大臣 雇用者の一人頭という意味では四・四ぐらいと思っておりますが、雇用者自身の数はふえておりますので、二%以上ふえますので、全体としての雇用者所得というトータルを見ますと六%以上の伸びになる、このように考えております。
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○
松浦(利)
委員 一人当たりの雇用者所得は四・四、全体で六・五、こういうふうに見通しておられるわけですが、こういうことを考えてまいりますと、最近どうも今度の労働者に対しての賃上げ率を抑えようという、物価がどうだとか景気の先行きがどうだとかと、こういうようなことで現状なお低いところで抑えようという空気が新聞等で、あるいは動きとして出てきておるのですが、少なくとも雇用者所得一人平均四・四上がらなければ来年度の成長は達成できないわけですから。しかもその上に立ってこの前川レポートで言う成果配分というものを考えますと、私は、要するに賃金というのは、労働条件というのは労使で決まっていくというのは、これは当然です。しかし、そうばかりは言っておれぬのじゃないか、ある意味では成果の配分という面から賃上げを期待をしていいのではないか、政府自身は。期待するぐらいは私はいいのではないか、こう思うのですが、どうですか、そういう点は。
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○
越智国務大臣 先生、迫りきました春闘のことも頭にあっての御質問かと思いますが、私どもはやはり労使の健全なる判断によってその問題は決定していただきたいというふうに考えております。
なお、現在、先ほどお挙げになりました各国比較とも関連してまいりますが、日本の場合には雇用者労働数は約四千九百万人でございますが、自営業者その他、殊に流通関係の労働人口がふえてまいりますと、いわゆる就業者の方がふえておりまして、就業者の数では六千万人を上回っております。その差額がそういう方々でございまして、この面で見ますと、実は組織労働の方々は、よく存じませんが、いわゆる連合傘下の方々は約八百万人かと思っておりますが、そうした方を中心に春闘が行われるわけでございまして、ここでは、私は先ほど来申し上げておりますように健全なる労使の慣行によって賃金が決定されている。経済計画といたしましては、いわゆる雇用者四千九百万人を頭に置きまして先ほど申し上げたような見通しで大体やっていけるのではないか、このように考えておるわけであります。
-
○
松浦(利)
委員 それで、これは労働省、労働大臣にお尋ねをいたしますが、我が国で、今
経済企画庁長官がお話しになりましたように、最大のネックというのはやはり中小零細企業に働く雇用者なんですよね。この問題が解決をしていかなければ、成果配分という面についてもそごを来すということになりますと、この問題について労働省から資料を、実はこれもいただいたのですが、大企業と中小企業の賃金の格差状況ですね。平成二年で毎月勤労統計調査資料というのがここに出されております。五百人以上を一〇〇とした場合に、三十人から九十九人、ここで七〇・二%、ですから約二九・八%の格差があるのですね。三十人以下の統計が出されておりません。もし三十人以下の数値がわかればお教えをいただきたい。私が申し上げた格差、パーセンテージに間違いがないかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。事務局で結構です。労働大臣でも結構ですよ。
-
○小里国務大臣 細やかな内容の数値については、後ほど事務局の方からお答え申し上げたいと思いますが、先ほど前段で先生の方から御指摘ございましたいわゆる中小企業と大企業間の賃金格差の問題でございますが、御案内のとおり、賃金問題のみならず、あるいは労働時間におきましても、所定内労働時間におきましては格差がございます。あるいはまた、若干先生ニュアンスとして触れておいでになりましたが、そのほか福利厚生あるいは環境整備、雇用管理面等におきましても格差がありますことは承知をいたしております。
私ども労働省といたしましては、いわゆる労働福祉対策会議、これは正式に申し上げますと、労使及び学識経験者から成る中小企業労働福祉推進会議を中心にいたしまして、広く論議をいただいておりまして、これらの議論を踏まえながら積極的にこれが格差の是正に努めてまいっておるところでございます。
-
○
松浦(利)
委員 三十人未満の事業所規模における賃金格差、わかりませんか。これに出ておらぬものですから、もしわかればちょっと教えてください。
-
○齋藤(邦)政府
委員 労働省で調査しております毎月勤労統計調査によりますと、平成元年におきまして、規模五百人以上のところを一〇〇にいたしますと、五人から二十九人につきましては五九・二という形になります。
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○
松浦(利)
委員 ありがとうございました。
今総理お聞きいただいたように、五百人以上を一〇〇といたしますと、二十九人以下になってくると、五人から二十九人の中に入ってきますと五九・二という大変な、半分近い格差があるのです。しかも、今日中小企業というのは、三Kという問題もありますが、人が集まらない、そういったことで非常に苦労しておられるのですね。
それで、後からまた
加藤委員からも、さきの政審政調会談での結果を受けて、労働大臣等から労働時間短縮の御答弁があるとは思うのですけれども、いずれにいたしましても、今時間短縮というものが非常に問題になってきておる。ところが、これだけの賃金格差がありますと、所定外労働時間による所得というのが生活にプラスされてくるのです。ですから、時間外労働時間をカットすると、それだけ生活に響くということで、こういった中小零細企業に対する時間短縮というのは非常に難しいのですよ、率直に言って。要するに、時間外が所得になってきておるからですね。それほど実態としては、豊かな国であるべきであるにかかわらず貧しいのですな。前川レポートで言う賃金の配分というのが適切に行われておらぬわけですよ、形の上では。
ですから、そういう点を考えますと、これはまず労働大臣からお答えしていただきたいと思うのですが、賃金は労使で決まるものだ、確かにそのとおりなんですね。組織された労働者と経営者との間で話が決まる、あるいは地域最低賃金というもので決まっていく。これは中立を含めた労使三者
委員で地域最賃というのが決まる。あるいは全国一律の最低賃金が決まっている。しかし、現実はこういう状況なんですね。
ですから、こういう面について政府がある程度――これは労使の問題だからということで放置しておけば、格差というのは埋まっていかない。しかも、前川レポートで言う豊かな生活というのは現実面としては出てこない。だから、そういうことを考えますと、ある程度政府がこういった問題について主導的な役割あるいは主導的な側面、こういったものをこの際持つべきじゃないか。できれば、今年度を中小企業と大企業の賃金格差を是正する元年にして、思い切って、どういうことでこういった人たちに対する賃金格差というものが埋まっていくのか、政府も積極的にメスを入れて研究をしていく、こういった方向を見出していただけないだろうか、そういうふうに思うのですが、労働大臣、どうでしょう。
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○小里国務大臣 中小企業におきまする賃金あるいは労働時間問題をめぐっての御提言でございます。
原則的なことは先ほども先生お話ございましたとおりでございますが、さらに一段と加えて、今日の我が国経済繁栄のその一つの経済的地位というものにふさわしく労賃あるいは時間問題等にも反映するべきではないか、いわば行政的配慮はいかがであるか、こういうようなお尋ねでございますが、基本的には、先生もお話がございましたように、賃金問題というのはあくまで労使間におきまして、いわば国民経済的視野に立っていただきまして、真摯な話し合いあるいはまた合理的かつ円滑な一つの零囲気、手続によって行われることを期待を申し上げておるところでございますが、しかしながら先生御指摘のとおり、今日の我が国産業経済あるいは一般的な豊かな国民生活等を一つのベースに置きまして、行政といたしましても、それが温かく反映されることを期待は申し上げておるところでございまして、先ほど申し上げましたように、労使間の真摯な話し合いが行われるように環境整備に努めてまいっておるところでございます。
なおまた、第二番目としてお話がございました、これをいわばこれから画期的に改善を行うための際立った施策と申しますか、その元年としたなればいかがであるか、こういうお話であると思うのでございますが、私どもは際立ってそのような特定の施策を、今さらと申し上げると言葉が過ぎるのでございましょうが、提起しなくても、そのような気持ちで常に先ほど申し上げました改善の方向に向かいまして努力をいたしておるつもりでございますので、御理解をいただきたいと思います。
-
○
松浦(利)
委員 労働大臣から丁寧な御答弁がありましたけれども、この前川レポート、先ほど総理から御確認いただきましたように、海部内閣の基本認識としてこれを現在も持ち続けておられる。しかも、先ほどから申し上げておりますように、豊かな生活をする権利というのは、中小零細企業でも持っておる。しかも、労使で決まっていくといっても、なかなかこれは小さいところは組織もないし、決まっていかない。ですから、後でまたお話をしますが、人が集まってこないという経営者の悩みもある。だからそういった点を考えると、この賃金格差、労働条件格差というのは、我が国の産業構造上、中小零細企業というのはすそ野としては存在をしていくわけですから、そういった意味では見過ごすことのできない段階に来ておると思うのですよ。
ですから、私は、今までやってこなかったとは申し上げませんよ、しかし、これからもう一遍この前川レポートを基準に置いて、あるいは政府で「世界とともに生きる日本」として閣議決定をいただいておるこうした問題を踏まえて、この際、平成三年度を元年として、思い切ってどういう点がやれる範囲があるのか、そういう点について研究あるいは努力をするということは、私はあってしかるべきだと思うのですよ。今までしなかったと言っておるのじゃないのですから。これをやらないと、日本の二重構造というのはいつまでたっても直らない。直っていかない。労働大臣、もう一遍御答弁いただきたい。
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○小里国務大臣 お答え申し上げます。
賃金の問題につきましては、基本的考え方を先ほど申し上げたところでございますが、またただいまの質問、御発言の中で、労働時間等も踏まえましてのお話でございますが、労働時間の短縮につきましては、せんだって来しばしば御指摘なり強い要請をいただいておるところでございますが、締めくくりとしてきちんとこの機会に申し上げておきたいことは、先ほども先生お触れいただきましたように、「世界とともに生きる日本」、そしてその中におきまする経済運営五カ年計画、そして、特に先生がきょうの発言の劈頭御指摘いただきましたように、労働者の待遇改善を中心にいたしました諸般の問題等に対する位置づけでございますが、申し上げるまでもなく、これを受けまして労働基準法、お話がございましたように昭和六十三年四月から新しく施行をされました。その結論を申し上げますと、労働時間は、年間総労働時間一千八百時間ですよと。それは、もっと言葉をかえて言えば完全週休二日制だ、こういうことであります。
そこで、もう一つは完全週休二日制がございますが、そういうようなものを一体具体的にいつまでにこれを実現をするのか、これが今重大に問われておるところであり、なおかつ、またこのことは、六千万前後になる勤労者全体の注目をするところであり、いわば国民的課題でもあるわけでございます。皆さんの御協力をいただきまして、これが漸次改善の方向に着実に進んでおることは御承知のとおりでございますが、まだこれをして決して十分であるとはいえないのでございます。したがいまして、このいわゆる改正労働基準法によりまして、三年経過したときには週四十時間問題を中心にして見直しますよ、こういうような規定もございますので、私どもは、その三年経過の時点が既に参っておりますから、これから直ちに、ただいま先生御指摘の御要請のことなども中心に踏まえまして集中的論議を進めてまいりたい、開始をいたしたい、かように考えておるところでございます。
-
-
○海部
内閣総理大臣 ただいまの御質疑を聞いておりまして私が率直に感じますこと、それは、御指摘のように、いわゆる大企業と言われるものと中小企業と言われるものの間に、賃金の面から光を当てれば格差のあることは私も承知をいたしております。このことは、もう少し広い背景全体の中で、例えば企業の適
正規模という言葉が適当なのかどうかわかりませんが、生産性の差があることは間違いない。それなれば、中小企業には中小企業としての生産性向上への努力、企業全体の努力というものも必要になってまいりますが、それは中小企業だけにそれを努力しろと言っておるのは、いろいろな制約が伴ってきますから、政府としては、中小企業に対する育成政策や誘導政策の中で環境整備をしていく。要するに、中小企業が企業としての体質、力をつけていく、そのような面において、政府がきょうまでいろいろと施策を講じてきたことは、予算措置を初め税制措置その他についても、今労働大臣がお答えしたような努力を積み重ねてきておる、私もこう思っております。
今後は、そういった面で中小企業全体が賃金格差が結果として起こらないような体質に変わっていくことができるように、全体としての育成を努めていかなければならない。一言で言うと、労使の賃金には直接介入できない立場でありますが、それが結果として近づいていくような中小企業の体質強化への努力を、政府は税制や金融や、あらゆる中小企業政策で行っていくべきである、こう考えて、これからも対処してまいりたいと考えております。
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○
松浦(利)
委員 それでは次に行きます。
御承知のように、日経連の会長さんが、時間短縮を含めて、賃上げというよりも物価を下げろ、こういう発言をしておられるのですね。これは
経済企画庁長官の分野ですが、この「物価レポート89」、90というのもずっと読ませていただいておるのですが、率直に言って、物価問題がどこに隘路があるかというのはもうわかっておるのですよね。それで、通産省も、通産大臣もこの前日米構造協議から来る内外価格差のフォローアップされましたね。依然として価格差が埋まっていない。しかもこれは、購買力平価で比較をしていくとまた相当大きな開きが出てくるというふうな状況があるわけですが、これは
経済企画庁長官にお尋ねをまずしたいのですが、もう物価問題がどこにあるかというのはわかっておられるわけでしょう、これ見て、どうですか。
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○
越智国務大臣 御質問の趣旨に合いますかどうかわかりませんが、私の考えを申し上げさせていただきますと、傾向としての物価上昇率という面で見れば、先進諸国の中では、日本の物価は安定的な基調にある方でございます。ただ、内外価格差という取り上げ方をいたしましたときに、同じ商品、同じ製品が、例えば東京とニューヨークで高いか安いかという比較がございます、よく口紅等が例に使われておりますが。そうした点で、これは今一生懸命努力をいたしまして、縮小の傾向に来ております。内外価格差対策本部では九十四項目の努力をいたしておりまして、縮小の傾向に来ておりますが、解消したという状況までなかなかいかない。
他方、実は生計費という意味で、同じものを例えばアメリカで買い、同じような日本製のものを日本で買ったときに、高いもの安いもの、その差はいろいろございます。概して言えば、食料品等がわりかし日本では高く、しかし電気製品等は大変格安な日本の価格構造でございまして、生活者の立場から、消費者の立場からその比較をするのがまた内外価格差としては非常に大事だと思っておりますが、その場合に、例えば東京とニューヨークでは四割違う、三割違う、二割違うという議論がございまして、もちろん為替によっての数字が変動いたしておりますが、私どもはやや縮小の傾向に現在入っている、このように考えておりまして、ただ消費の構造が非常に国民によって違いますものですから、ストレートに比較しにくいことはあり、殊に今日の物価の問題点としては、流通コストのアップ、その後ろ側には労働費のアップということがあるわけでございますので、それらをどう、生産性の向上でのみ込めない分野でございますものですから、いかにして吸収していくか。今回とられております大店法の改正その他も、流通の場における省力化、あるいは労働力のアップを何がしかの格好で吸収していく努力の一環と考えながらやっているところでございます。
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○
松浦(利)
委員 この「物価レポート89」に、御承知のように、為替レートというのは余り物価の場合は問題にならないのですよね。それから、私が言うのは、物価が安定しておるかどうかというのは、まさしく物価は安定しているのです、今はね。
ただ問題は、ここの物価レポートで指摘しておるように、これもないからここで読み上げますけれども、「国内の生活水準を国際的に比較する場合には、購買力平価による換算が必要となります。」だから、まさしく購買力なんですね。ですから、「暮らし向きのよさを外国と比べようとする場合には、為替レートによる換算値は単なる計算上の意味しか」ありません。「ここで、生活の豊かさを表す指標として「購買力平価で評価した一人当たり国民所得」を計算してみますと、米国の一人当たり所得水準との間には依然として大きな」開きがあります。ですから、前川レポートで言っておるこの「豊かさ」というのとはほど遠い。ですから、確かに名目的にはGNP一人当たりはぐんと伸びたけれども、なぜ豊かさが実感として伴わないのか。その最大理由というのは、ここでちゃんと物価レポートで経済企画庁が指摘しておるのですよ。これを直さなければだめなんですよ。まさに物価というのはここなんです。ですから、これを今後
経済企画庁長官としてどう改めようとされるのか、そういう点について、簡単でいいですから決意をお聞かせいただきたい。
-
○
田中(努)政府
委員 物価を国際比較いたします場合に、購買力平価が非常に大きな意味を持つ指標になるという御指摘は、そのとおりだと思います。そこで、生活に必要な物資につきまして日米間でどれぐらい購買力平価に差があるかというふうな計算に基づいて物価レポートもつくっているわけでございますけれども、最近の時点での計算結果をちょっと申し上げますと、昭和六十三年、つまり「物価レポート89」の中に収録されております購買力平価は百七十八円であったわけでございますけれども、最近時点での日米間の物価の動向、それから為替レートの変動によりまして最近時点まで補正をいたしまして計算をいたしますと、現在では購買力平価が百七十円程度、若干購買力平価は上がっているわけでございます。
その間為替レートは百二十八円で計算しておりましたものを百三十三円、そういう状態になってきておりまして、当時一・四倍の差があった物価水準が、現在では一・三倍程度に縮小してきておりまして、その中身といたしましては、購買力平価の改善による部分、つまり日米間の物価上昇率の差、日本の方が物価の上昇率が低い分、これによりますいわば実質的な改善の分が約半分、それから円安によろいわば表面的な改善の分が約半分、そういうことになっておりまして、半分ではございますけれども実質的な改善も行われているということで、今後はさらに日本の物価の水準を引き下げることのできる部分については、規制緩和とかそういう方策によりましてこれを行い、さらにマクロ的には年々の物価上昇率をなるべく低くとどめるというようなことによりまして、この購買力平価を改善をしていくという努力が必要ではないかと思っております。
-
○
越智国務大臣 アメリカが、先生御高承のとおりリセッションに入っております。向こうの物価はひところよりは安定的になっております。日本の場合にも、これからの景気次第でございますけれども、物価を安定させまして、今おっしゃいました例えば東京とニューヨークという比較においても、生活の実感として近づいたと言うことができるように、一生懸命努力をさせていただきたい、こう思っております。
-
○
松浦(利)
委員 総理、この物価問題というのは、今言われたように経済企画庁あるいは通産省を含めて、一生懸命しておられる、各省庁で一生懸命しておられることは事実だと思います。しかし、ここまできますと、もうこれは五年ですから、そういった意味では、もう一遍物価対策上の根本的な洗い出しですね、同じようなことの報告が出されてきておるわけでして、努力しておることは認めますが、いずれにいたしましてもその物価問題というのは、要するに物価水準が安定しておるかどうかということじゃなくて、その物価そのものが比較して日本の場合は高いわけですから、だからそういうものについて総理大臣として、海部内閣ある限り何らかの方法で、目に見えてということは言いにくいかもしれませんが、ある程度理解ができるような物価対策、そういったものについて、もう一遍機構等についても検討を加えていただきたい。本当の意味で物価がこれだけやったからこれだけ下がるぞというような、物価というのは生き物ですからなかなか難しい面もありますが、そういう努力について海部総理としてのお考えを承りたい、こう思うのです。
-
○海部
内閣総理大臣 先ほどお答えしましたように、物価の安定ということが国内の経済政策の基盤であるということは、基本認識として持っておりますし、そのために御家庭の台所を預かる主婦の皆様方のお立場にも立って、内外価格差の是正という問題については特に近年力を入れて取り組んできたところであり、政府も内外価格差是正のために、今たしか七十二項目、項目を決めて、対ニューヨーク、対ハンブルク、対東京の物価の基準を調べてみて、それを皆様にも報告しておりますが、前回の調査と比べるとその差が縮まってきておるということも、これは事実として申し上げさせていただきたいと思います。
なお、日本の物価安定は、諸外国と比べて結果として、数字の上で優等生だということをよく申し上げさせていただきましたが、それは御指摘のように諸外国との基礎の数字で高い安いの格差があるではないかという点も事実でありますから、上昇率だけではなくて、全体として下げる努力も、真剣にこれはやっております。現に最近だけでも、例えば原油価格の下落に伴って日本における製品価格、わかりやすく見れば、ガソリン一リットルに当たる値段も毎月行政指導をして価格が下がるように努力をし、湾岸の紛争開始前よりも結果として今は下がっていくような、この五カ月間、毎月毎月二円前後のところで引き下げの指導をし、引き下げの成果も現実に上げてきておるということや、昭和六十年前後と比べますと、例えば輸入牛肉の値段あるいは輸入のエビの値段、インスタントコーヒーを初めとする物の値段、それは確実に下がってきておるということもございますので、そういったことを踏まえて、その方向性を正しいものと我々は受けとめておりますから、今後とも内外の価格差是正にも全力を挙げて、上昇率のみならず、基礎の値段そのものの基盤を下げていくような努力をしてまいりたい。幸いそれは効果があらわれつつあると私は考えておりますので、一層努力をいたします。
-
○
松浦(利)
委員 一層努力されると言われるのですからこれ以上申し上げませんが、非常に物価問題、物価問題とこう言うけれども、言葉では簡単ですけれども、なかなか実効が上がらない。ですからぜひそれぞれの各省庁の大臣も御努力をいただきたい、こう思うのです。
そこで、これも後でしょうと思ったのですが、たまたま今石油問題、総理が言われたので、ちょっとこの石油問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
実はここに資料をつくってきましたから、ちょっと総理にもお渡しをいたします。通産大臣にも差し上げてください。
これは、湾岸戦争が始まったとき、それから湾岸戦争が終了したときの値段、これを実は九月以降をトータルした数字なんです。これは石油情報センターから出されておる資料を私が全部こういうふうに集めてみたわけです。
この一枚目は、石油の元売各会社が平成二年の九月以来ずっと、出光興産が十七日、コスモが十八日、共同石油が十七日、昭和シェル、三菱石油と、それぞれここに書いてあるようにエッソのガソリン九円、灯油、軽抽九円二十銭を最高にして、がっと値上げをしたのです。そして十月に第二次の値上げをしたのです。それから三次の値上げを十一月に行いました。これは通産省の御指導によりまして、行政指導というものにおいてこういうふうに値上がりがされていったわけです。ところが御承知のように、今総理からお話がありましたように、上がると思っておった石油が逆にこう下がってきましたので、これまた通産大臣の御指導で、十二月に下げ、それから一月に下げ、二月に下げ、現在平成二年九月でここに残っておりますように、あと、出光興産でいえば二円六十銭、それからモービルでいえば二円、こういったものが湾岸前の値上がり分として残存しておるんです、今、この数字が。
それで、きょうの新聞等を拝見をいたしますと、元売各社がこの残存部分も全部下げてしまいましょう、これを三月三十一日か四月一日になさるのかそれはわかりませんけれども下げてしまおう、そうしたらもとに戻るわけですね。通産大臣、それはそのとおりだと思うんですが、どうでしょうか。
-
○
緒方政府
委員 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、昨年の八月以降原油の価格が高騰したことに伴いまして、私ども便乗値上げ防止という観点からコストのヒアリングをやり、その範囲内で各社が価格の転嫁をしてきたわけでございますが、その後、コストの低下に伴いまして値下げをしてまいりまして、昨日発表されました二月積みのコストに伴います三月後半からの引き下げ分を入れますと、もとのレベルを若干下回るようなレベルになるものと考えております。
-
○
松浦(利)
委員 今お話があったように、そういう状況なんですね。
この二枚目をお開きいただきたいと思うんです。この二枚目のものは、小売段階、スタンドですね、ガソリンスタンドの問題なんです。ここに書いてありますように、これは各ブロック別に、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州、こう書いてあるわけですが、揮発油、軽油、灯油の値段として掲載をしております。そうすると、現実に、ここの最終的に書いてありますように、全国平均を一月の二十一日トータルで調べてまいりますと、揮発油で百三十二円値上がりをしておるんですね。それから軽油でリッター八十一円、それから灯抽十八リッターで一千五十一円残存しておるんです。
そうすると、これを、元売価格を二円、三円引き下げましても、末端の価格では残存価格は三円ないし四円残るんですよ、この数字でいくと。逆に言うと、これは便乗値上げということになるわけですよ。通産省が行政指導を元売価格に行って値上げをしてきて、そしてだんだんだんだん値段が下がってきたから下げ指導をして、結果的に原油価格は湾岸前よりも下がるような状況になってきたけれども、それに伴って上げてきた末端の小売価格には残存が残るということになる。これについて、通産大臣どう思われますか。
-
○
緒方政府
委員 お答え申し上げます。
まず、事実関係でございますが、先生お示しいただきました資料で、例えば揮発油のレギュラーの店頭価格全国平均百三十二円になっておりますが、これは一月の数字でございまして、私どもの手元にあります最新の数字では、三月の数字では百二十八円に下がっております。
御指摘は、卸売価格と小売価格との間の乖離、ギャップということであろうかと思いますけれども、先ほど御説明しましたように、昨年の九月以降毎月元売会社が卸価格を改定をしているわけでありますが、末端の小売店がその末端の小売価格を設定するに当たりましては、当然仕入れでございます元売会社からの仕入れ価格の変動がベースになるわけでありますが、それ以外に、人手不足に対応するための賃金の引き上げ問題でございますとか、福利厚生費の増加でありますとか、店舗の改装等の設備投資に必要な経費でありますとか、もろもろのコストアップ要因を抱えている事業者があるわけでございます。
それからさらに、従来元売会社と小売店の間で事後調整というような非常に不明朗な取引慣行もあったわけでありますけれども、それが最近是正される動きになっておりますので、こういう点からも実質的なコストアップ要因があったわけでございます。コストアップ要因について、もちろん販売業者においても企業努力による吸収ということを私ども期待をしているわけでありますけれども、ガソリンスタンドなどの実態を見ますと、一企業一スタンドということが大部分でございまして、中小企業でございますので企業努力にもおのずと限度があるということでございます。したがいまして、元売会社の仕切り価格の値上げ幅を上回ったからといって直ちに便乗値上げと判断するのはやや酷ではないかなというふうに思っております。
いずれにいたしましても、私ども販売価格につきましてはずっとモニタリングをしておりまして、末端の小売業界でも競争を通じて適正な価格形成が行われることを期待しているわけでございますが、動向を依然注視をいたしましてモニターをしてまいりたい、このように考えているところでございます。
-
○
松浦(利)
委員 何となく重要なことを言っておられるわけですよね。みんな湾岸で石油が上がるからと思って、それでみんな国民は甘受したわけですよ、それはやむを得ないと。そうしたら、いざずっとしてみたら、何のことはない、その間に、さあ人件費だ何だ、改装費だ何だかんだというのが残っちゃった。これはずっと残るんですよね。こういうのを便乗値上げというんですよ。逆に言うと、通産省が行政指導をして便乗値上げを助長したということになるんですよ、こんなことを許しておったら。私は非常に大きな問題があると思うんです。
この中で言っておることも、規制を緩和しなさいと言っているんですよ、政府の規制を緩和しなさいと、物価対策では、このレポートでは。それを通産がわずかこの湾岸戦争の間に指導した行政指導に便乗して、私は小売店が悪いとは言いませんよ、今まで非常に分配率が低かったからこの際やってやれということで上がってきた、その気持ちはわかります。しかし、元売が前よりも下がったにかかわらず末端の消費者のところに来たときには残存で高いものを買わされておる、ここが物価対策上一番問題なんですよ。
もっと言わしてもらいますと、通産省がこういう行政指導をしなかったら、この元売各社は値段をもっと下げるんですよ、お互いに競争しますから。ですから、恐らく三月決算を見たらおわかりになると思うんですが、この行政指導のおかげで元売各社は昨年比物すごくもうけておるはずですよ。大変もうかっておるはずです。それはなぜかというと、乱売ということがなくなったからです。どこに行ってもみんな平均価格で同じようなものを買う、同じ値段に統一されてきたからです。競争がなくなっているんです、行政指導によって。私は、湾岸戦争中における行政指導はわかりますよ。国民の生活が混乱をしないようにするための行政指導。私は、通産大臣がされた、通産省がされたことを是認をいたします。
しかし、もう戦争が終わったんだから、終わったら私は行政指導というのはやめるべきだ。そして、元売価格がもとに戻ったら全体的にもとに戻すように努力をさせるべきだ。あとは競争の中で、人件費が上がれば上がるだろうし、改装しなければならぬところは上がるだろうし、ガソリンスタンドがばらばらの値段で売るというのは、これは当然の行動じゃないですか。私はそういう対応を通産大臣にお願いをしたい、こう思うんです。
-
○中尾国務大臣 これはもう
委員も大変御案内のとおりでございますが、海部総理が石油という問題をお話ししたその途端にこちらの方に振り子が回ってきたわけでございまして……。
実は
松浦委員のおっしゃるとおりでございまして、これは、私どもは当初は、湾岸戦争起こりましたときには、当然のことながらそれに連動しながらこれは上がる、今
松浦委員が御指摘のとおりそういう方向で考えながらこれは勘案したんだ、季節調整すべきだなというような形までも考えたものでございましたが、御案内のとおりに、こういうような、むしろ残存する末端のガソリンスタンドは多少なりとももうかっていくというようなおかしな傾向になってきている、これは行政指導しなければいかぬ、これは私どもは緊急にこの課題は今取り組んでいることははっきり申し上げます。
〔
委員長退席、増岡
委員長代理着席〕
それから、当省が毎月行なっている石油元売会社ごとの、先ほどの言葉にも関連しますが、コスト確認は、昨年の九月の七日に発出しました通産省通達にもございますように、「不安定な国際石油情勢が落ちつくまでの当分の間」ということにしている時限的な措置ではございます。したがいまして、今後の方針としては、まずは産油国の動向等、石油を取り巻く国際情勢がいまだに不透明な部分もございますし、これらの国際石油情勢がどのように展開していくかということは、いましばらく、暫時ちょっと眺めまして、見きわめた上でコスト確認をいつまで継続するかという判断をする所存でございますから、これはひとつ
委員の御指摘は十分に理解しておるつもりでございますので、行政指導の方向は私もさせていただきたいと思っております。
-
○
松浦(利)
委員 今通産大臣は、これからも行政指導はしたい、こういうことですけれども、
経済企画庁長官どう思われますか。それから
公正取引委員会の
委員長にお尋ねしますが、こういう行政指導がいつまでも残存するということについて
公正取引委員会はどういうふうに判断をされるのか。私は、通産大臣の言っておられたことが長期にわたるのか、いましばらくという言葉の表現が理解をできなかったわけですけれども、一応一般論としてどうかの御意見を承りたいと思います。
-
○
越智国務大臣
委員御指摘のように、原油価格の変動と日本国内におきますそれをもととしたいわゆる石油製品それから石油化学製品、これらの変動が一つには時期的にずれております。価格変動がずれております。殊にクルードオイルとナフサの値段が十一月以降かなり乖離いたしまして、原油が落ちているにもかかわらずナフサがやや高値でまいりました。そういうことも国内市場に影響いたしていると思います。
石油精製会社の方では、やはり日本における処理能力が足りなかったのではないか。殊に今回ナフサ製造等能力の高いクウェートがそういう意味でたたかれたものですから、日本におきましては製造能力を拡大するための傾向も出ていると聞いておりまして、そうした中でできるだけ安定的な供給とそれに伴った安定的な価格形成が行われてほしい。ただ末端の小売価格に関しましては、そうした軽油あるいは灯油等の需要期、不需要期という季節変動もございますし、一概にこれを規制するわけにまいりませんが、川上のところにおきまして従来通産省が行われておりますある種の行政指導は、できるだけ通産省の御努力によりまして、何と申しますか、適正なものに、より軽いものになるように期待をいたしていきたいと思っております。
-
○梅澤政府
委員 今回の通産省の行政指導につきましては事前に我々も御相談を受けております。昨年八月来の世界の原油事情から見て緊急やむを得ない時限的措置として、便乗値上げを防止するという観点からの御相談がございました。我々もその必要性を認め、ただ、この行政指導によって価格カルテルとか、あるいは再販維持のような行為に絶対に結びつかないようにという要請をし、通産省もたびたびこのことを厳達されておると考えております。我々も、現時点におきましてもそういうことがあるかないか厳重に監視しておるわけでありますが、先ほど通産大臣も仰せになりましたように、あくまで時限的措置ということでございましょうから、この種の行政指導というのは必要がなくなればできるだけ早くやめるべきであるというふうに、そのことが望ましいと考えております。
-
○
松浦(利)
委員 通産大臣、時限的、それから何と言われたですかね。時限的、それはどれくらいのことをいうんでしょうかね。
-
○中尾国務大臣 時限的には何月から何月までとか、そういうことではございませんで、これは状況を見きわめながら判断をしていかなければならぬということが一つ。それから、今ガソリンスタンドの末端に至るまでの話になりますと、全般的に言って大体もう五〇%以上が赤字累計なんでございますね、現実は。ですから、決してそれによってもうかったというガソリンスタンドはない、このように私どもは考えておりますし、またそのような数値も挙がっております。
-
○
松浦(利)
委員 通産大臣、もう午前中の時間がなくなりましたが、これはお願いですけれども、元売各社は恐らく笑いがとまらぬほどの決算ですよ、昨年に比べて三月決算を見られたら。一目瞭然だと思うのです。言われたとおり、小売店の方はほとんど赤字なんですよ。だから、今度本当は湾岸によって値上げしたにかかわらず全体的には何となく、人件費や何かのアップ分をこの際というので上積みされた分が残っていくわけですね。消費者の方はたまったものじゃないのですよ。何だ、湾岸戦争に便乗して値上げされてたまるかい、もとへ戻らぬじゃないか、これが私は偽らざる心境だと思うのです。ですから私はこういう指導は、できるだけ速やかに状況を判断してこの行政指導は解除してもらいたい。恐らく元売各社はずっと持っておってもらいたいと言うはずですよ。要求が出るはずですよ。そういう要求は絶対に入れないようにしてもらいたい、そういうことを希望として最後に申し上げておきたいと思います。
それから、公取
委員長せっかくおいでいただきましたから、独禁法が改正されて国会、もう本会議に上がりますね。それは理解をした上でお尋ねをするのですが、あの日米構造協議で問題になりました刑事罰則ですね、刑事罰ですな、これが今度の独禁法改正の中からは見送られたのです、課徴金だけで。刑法上の問題はないのです。これは日米構造協議でアメリカから大変厳しく指摘されておる内容ですから、場合によるとアメリカからこの独禁法に、せっかく改正をして通す、私たちはもちろん独禁法について賛成ですけれども、内容は別にして改正に賛成ですが、アメリカから内容的にまたクレームがつく原因をつくり出すようなことにならないかというのが心配なんです。ですから、刑事罰を見送られた理由、それからこれは外務大臣の方から、これが日米構造協議の火種にならないという保証があるのか、そのことをお尋ねします。
-
○梅澤政府
委員 独禁法の刑事罰の強化は、日米構造協議の直接のアメリカ側からの要求のテーマではございません。課徴金問題に関連いたしまして日本独自の判断として、今回お願いいたしております課徴金の引き上げと同時に、基本的に刑罰のあり方を時間をかけて検討するということで現在検討を進めておりまして、秋ごろには結論をいただくということにいたしております。したがいまして、この課徴金のレベルそのものにつきましても日米いろいろやりとりをいたしておりますけれども、この刑罰の基本的な問題も含めまして、事競争政策の日米の政策協調に関する限りこれがひびが入るとかということではございませんで、これは日米双方がお互いに制度が違うわけでございますから、今後とも対話をし理解を深めるべき問題だと考えております。
-
○中山国務大臣 今公取
委員長からお答え申し上げましたように、これが新たな火種にならないように日米間で十分協議しながらやってまいりたい、このように考えております。
-
○増岡
委員長代理 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
正午休憩
────◇─────
午後一時二分
開議
-
-
○
松浦(利)
委員 もう残り時間が少なくなりましたからまとめて御質問させていただきたいと思うのですが、実は、前川リポートでほぼその実現を図ろうとしておるのが、目標を達成しようとしておるのが経常収支なんですよね。御承知のように、GNPの一%以下ぐらいのところに来だしておるのです。
ただ、ここに資料がありますけれども、アメリカの対日収支、これも改善はされてきておりますけれども、依然として四千四百、、これは九〇年の十月ですけれども、非常に高い数字なんです。だから、前川レポートで言う経常収支が改善をされてきておることは事実ですが、日米間で見ますと改善されておらないんですね、全然改善されておらない。すると、この前川レポートが指摘した段階では要するにこの日米の経常収支が実は非常に大きな問題だった、こう私は理解をしておるのですが、その点は間違いなかった事実だと思うのですが、どうでしょうか。大蔵大臣ですかね。
-
○
越智国務大臣 最初に、先生御指摘いただきましたように、前川レポートの表看板でございます内需主導型の経済に切りかえろ、この点は着実にやってきたわけでございまして、その結果におきまして、大変ございました経常収支の黒字、ひところは九百億ドルとかGNPに対して四%とか言われたものが、平成二年、暦年でございますと三百五十億ドルちょっとになったと思っております。そして、平成三年度の見込みでは私どもは三百億ドルを見込んでおりまして、GNP対比では一%をちょっと切るというぐらいになろうかと思っております。
それにもかかわらず日米間がそうしたようになっていないという御指摘でございまして、私どももそこを非常に心配いたしておりますけれども、実は収支の差額でいうと、今手元にございますのは一九八九年の数字でございますが、四百九十四億ドルの貿易収支の日本側の黒ということになっております。実は、日本も一生懸命向こうから輸入をふやしておるのでございますが、日本からアメリカに対する輸出と申しますか、アメリカも結構日本品を同時的に増加させてくださるものですからなかなかに差が縮まらぬということでございまして、でもひところの、五百七十億ドルぐらいが一番多かったかと思いますが、それから見れば大分下がってはきておりますが、グローバルな黒字に対してバイラテラルな黒字が偏った格好で大きくなっている点はぜひ直していかなきゃならない。前川リポートは日米ということだけではないかもしれませんが、それが主軸であることは事実でございますので、今後とも努力をさせていただきたいと思っております。
-
○
松浦(利)
委員 それで、これは総理にもぜひ知っておっていただきたいと思うのですが、実は、アメリカから物を輸入しようと思いましても、例えば大型コンピューターとか飛行機とかそういったものしかないわけですよね、買おうとしても。ですから、結局日本からアメリカが買うものといえば日本の品物が非常に優秀だから、日常生活必需品等を含めて、自動車、家電その他含めて非常に優秀だから、アメリカとの関係が直っていかないわけですね。
それで、その根本的な原因は、やはりアメリカの経済構造そのものにあると思うのですね。その一つが、御承知のように財政赤字。この財政赤字を改善してもらわないと、私は、こうした日米間のアンバランスというのは絶対直らないと思うのです。ですから、もうこれは簡単な言い方ですけれども、アメリカ自身が、国民がもっと貯蓄をふやしてもらう、それからアメリカ自身ももっと緊縮財政をやってもらう。まあ増税対策が一応今度出されましたけれども、増税対策を思い切ってやってもらう。こういったアメリカ側の内政的な積極的な取り組みがなければ、なかなかこの日米間のアンバランスというのは埋まっていかぬと思うのです。
ですから、ここで私は、決してアメリカを非難したりなんかする意味ではありませんけれども、日米構造協議で一生懸命日本がアメリカが指摘するような消費者サイドに立った立場で開放政策をとりましても、アメリカ自身がこうした問題に積極的に取り組んでもらわぬと摩擦というのは直らない。しかも、自分で直さずにおって逆に日本に対して圧力をかけてくるという、そういう状況が起こってきますので、私はぜひアメリカに対して、こうした財政経済構造、こういったものについて日本政府がはっきりと、改めるように、主張すべき点は積極的に主張してもらいたい。そして、アメリカの経済が立ち直るということは、イコール世界全体の景気に大変好影響を与えることも間違いないわけですし、高金利であるというそういう状況も改善されていくわけですから、世界的な関係からいっても非常に重要な問題だと思うのです。ですから、こうした問題についてアメリカに対して毅然たる態度を日本政府に求めたい。
経済企画庁長官、それから大蔵大臣、そしてまた海部総理に、これに対する決意のほどを承っておきたいと思うのです。
-
○
越智国務大臣 先生御指摘のように、アメリカの双子の赤字のうち国際収支の赤字改善については、日米間の問題は残っておりますが、かなりいろいろな方面で改善の兆しもあると見ております。
ただ、アメリカの財政収支の赤字につきましては、グラム・ラドマン法を昨年改正いたしまして、実のところ、いつになったらゼロになるというめどがまだ私どもには聞こえてきておりません。大変厳しい状況のようでございます。他方、アメリカ政府としても一生懸命努力をされまして、昨年の秋には増税を既に実施もいたしております。
そんな中で私ども、日米経済構造協議のときには、こちらからアメリカに対するサゼスチョンといいますか注文といたしましては、貯蓄率をもっと上げるようにということを強く求めておりまして、この五月に行われますフォローアップ
委員会におきましても、同様のことで一生懸命アメリカに対し働きかけをしていきたい、このように考えておるところでございます。
-
○橋本国務大臣 今基本的に経企
庁長官が述べられましたことに、私自身補足をすることは特にございません。
私の立場からいたしますと、十二月一日からガソリン税、そしてその他の増税策が本年一月一日から今後の五年間において千四百六十六億ドル増税と、その中にたしか九十何億ドルでありましたか、徴税強化によるものも含まれておりましたけれども、という形でアメリカ自身が努力をしようとしておられる、それが十分な効果を上げることを心から期待をいたしております。
-
○海部
内閣総理大臣 御指摘のように、数年前、日本とアメリカとの貿易のインバランスが五百億ドルの大台が三年間続いたときに大変な経済ギャップができてきた。それを背景にして日米の構造協議を行って、最近では対米黒字の数は確実に減少してきております。これは過去三年間の日本の輸入拡大の努力、内需振興の経済政策の努力の結果でありまして、経常収支の黒字も三年間で日本は五百十億ドル下がっております。輸入は八百五十億ドル増加しております。アメリカ一国だけに的を絞ってみましても二百十億ドル増加しております。こういったことが日米の貿易の数字に結果として黒字幅の、アメリカから見れば赤字幅の縮小に役立ってきておるということは、これは率直に言える事実であると考えております。
同時に、そういったことを踏まえて日米経済構造の問題協議のときに、日本からは大ざっぱにくくって七項目、アメリカからは大ざっぱにくくって六項目、お互いに相手側に対して物を言い合い、問題点を指摘し合い、努力をし合ったわけであります。米国の財政赤字の削減はもちろんのことでありますが、競争力強化の努力をアメリカ側ももっとすべきだ、これにはアメリカ側もこたえて、競争力強化の努力もしましたし、輸出規制の撤廃、そういったものも努力をしてきました。財政赤字削減に向けて実効性のある措置を日本からも随分してきました。中には、勤労者の教育の問題にまで踏み込んで議論もいたしました。でき得る限りの努力をお互いにすべきだということは、
委員御指摘のような視点に立って、日本としても主張をし続けております。
-
○
松浦(利)
委員 何か国民サイドからこう見ておりますと、新聞報道の関係もあるんでしょうが、アメリカから要求された日本に対する要求ばかりが目につきまして、基本的なこうしたアメリカに対する我が国の姿勢というのが見られない。それが逆に言うと、何かアメリカばかりから言われてという不信になるものですから、ですからぜひこの際、積極的にアメリカに対して、今総理が言われたように対応していただきたいと思うんです。
もう時間が来ましたから、最後に、もう多くは申し上げませんが、二月二十二日の経済企画庁の月例経済報告、これを見ましても、最近非常に倒産件数もふえてきている。それからマネーサプライも締まってきておる。それから一方では、景気を支えてきた住宅ですね、あるいは設備投資、こういったものが締まってきているというような状況から、どうも最近の経済指標というのは、好景気に支えられてきた日本経済も一つの転換点にだんだん近づいてきておるんじゃないかという気がするんです。これに対する、簡単で結構ですから、お考え方をひとつお聞かせいただきたい。
それからもう一つは、こういう状況下に来ましても、生産の量そのものは変わっておらぬわけですよね。それから、内需が縮小していっても生産量が変わらないということになると、また内需から外需にドライブがかかるんじゃないかという危険を伴ってくると思うんです。そうすると、前川レポートに言う、国際公約であり、また日本の経済財政運営の基本である内需拡大という政策が変わっていくわけですから、こうした問題についてどう対応されるのか、
経済企画庁長官並びに総理のお考えをお聞きをいたしまして、関連質問の
加藤議員に譲りたいと思います。
-
○
越智国務大臣 本年に入りましてからの倒産につきましては、件数はさほどふえてないかと認識いたしておりますが、むしろ一件当たりの金額が大変ふえてまいりまして、その関係金額がふえているところが、あえて言えばややバブルの、小人数で小さなお店でたくさんの借金をして今回だめになっていったという例が多いのかな、その意味ではむしろバブルの整理がもうつきかかっているのかどうかという一つの判断かと思っております。
マネーサプライの方は、引き締まったというお話でございますが、増加はいたしております。増加のスピードがひところ一〇%を超えていたものがせいぜい七%程度のものになっておりまして、殊に不動産業向けの方は平均増加率の約半分程度を占めておりますので、量的な金融の引き締まり感の方がより強く出ているのじゃないか、こう見ているわけであります。
住宅につきましては、建設戸数百六十万台でまいりましたのがやや減りぎみでございまして、平成三年度は横ばいかちょっと微減ぐらいのところかなと。その中身がいろいろございまして、分譲がかえって調子がよろしいようでございまして、賃貸が余り伸びてないという、業としてのマンションを買って人に貸してそれで商売になるというような感じではなくなった、その点がこれからの建設業、まだやっていらっしゃる建設業界そのものでは私はまだ不況感は出てない、こう見ているわけでございます。
最後に設備投資のお話がございましたが、今の段階で二月あたりの段階でいたしております新聞社、銀行等の意向調査ではやや控え目でございまして、でもマイナスの報告が出ているところはほとんどございません。プラス一、二%ということでございますが、先生御存じのとおり、景気のよくなり始めました六十一年の暮れから見ますと、現在の設備投資は約倍のレベルで、年間九十兆円ぐらいのレベルでございますので、私どもは経済計画ではそれの六・八%増を見込んでおりまして、昨年の一四%から見ればかなり落ち込んだスピード、減速したスピードで見ておりますが、現在の状態での一、二%の意向調査の結果は、上方修正がその程度までは何とかきいてくれるんじゃないか、やっぱり設備投資が一番景気には影響してまいります。ただ、設備投資を促進していくには利益率と金利が微妙に響きますので、ここら辺の景気の環境をつくらなければならないかな、その点も意識しているところでございます。
なお、先生が生産はなかなか順調じゃないかと、これでどっと輸出ドライブがかかるのではないかという御議論でございますが、内需主導型の経済の体系というのは今かなり定着いたしておりますし、世界経済そのものが日本の輸出を受けとめるだけの景気のよさはちょっと今陰っておりますので、ずっと数年よかったものが今各国ともちょっと警戒ぎみになっておりますので、急に輸出ドライブがかかる状態ではないだろうと見ておるところでございます。
-
○海部
内閣総理大臣 企画
庁長官がお答えしたことで十分だと思いますが、いずれにしましても、今五十二カ月目に入っております内需中心とした景気の拡大というものを、物価の安定に十分注意しながら息の長いものにしていかなければならない、こういう基本姿勢で取り組んでいかなければならない、こう理解をいたし、そのように努力をいたします。
-
-
○
加藤(万)
委員 平成三年度の予算にかかわる締めくくり段階でありますから、私ども、この予算審議を通しまして幾つかの項目について社会党、公明党、民社党から重点的な要求課題を提案をいたしております。
理事会を通しまして、政府・自民党並びに政府にも、この提案に対する実効ある御回答をお寄せを願いたい、こういうことで、一昨日以来協議が続けられてまいりました。昨日は政審会長会談がそれぞれ持たれまして、各項目に対する各党の御意見、そしてそれを政府側に伝える形で政府側の最終答弁を求める、こういう段取り、取り運びになりました。
そこで、最初に総理大臣にお聞きをいたしますが、消費税の緊急是正のために、両院合同協議会の再開をこの際各党間で求めてまいりました。いよいよ各党間の話がまとまりまして、両院合同協議会に対しては、幹事会を開き、協議会を再開して、四党による
小沢会長への開会申し入れ、同時に実効ある中身の論議をしていただくことになりました。いつ、どのような内容をもって行うかということは、それぞれ合同協議会やあるいは専門者会議に任せるべきでありましょうが、この際、政府に、消費税の緊急是正のためのこれら活動に対する措置について、政府はどのように対応されるか、お聞きをいたしたい、こう思います。
-
○海部
内閣総理大臣 各党のお話し合いの結果の要求事項につきましては、政府としてもこれを真剣に受けとめておりますし、また今具体的にお話のあった税制問題等に関する両院合同協議会の問題につきましては、消費税の必要性を踏まえつつ、国民の全体的、長期的な利益といった高い次元から協議が行われ、建設的かつ具体的な合意が得られますことを政府は強く期待しておるところでありまして、同協議会において具体的な合意が得られましたならば、その趣旨に沿って、誠実かつ迅速に対応していく考えでおります。
-
○
加藤(万)
委員 当
委員会の審議の過程で大蔵大臣は、この両院合同協議会で各党間の意見が一致をした場合には、政府側の、政府の案として議会、国会の方に提案をしたい、こういう趣の答弁がなされておりますが、この点は再確認してよろしゅうございましょうか。
-
○橋本国務大臣 先日、この協議会において合意が成立した場合、政府がこの法律案を提出するかというお尋ねが確かにございました。その席上、私は、国会の御意思として求められるなら、政府は誠実にこれを実行するということを申し上げました。その考え方に今日も変わりはございません。
-
○
加藤(万)
委員 二つ目の課題は、労働時間の短縮の促進に関する問題であります。
労働時間問題は、先ほども
松浦委員の質問にもありましたし、また当
委員会でも各
委員が厳しく労働時間短縮に対する政府側の対応の促進について求めてまいったところであります。
昭和六十三年の五月二十七日に閣議決定が前川レポートを中心にして行われまして、向こう三年の間に千八百時間への時間短縮を求める、そういう内容で、政府側は早急な検討とその実施のための法改正を行う旨、当時の記録に記されているところであります。
そこで、私どもは、この際労働時間千八百時間を法定時間とするように労基法の改正、いわゆる原則の方向に戻って四十時間、週四十時間の原則に戻るように政府側の施策の強化を求めてきたところであります。
同時に私は、この法的整備と公務員関係の今日の休日、週休二日制に対しても強く求めてまいりたい、かように思います。今日、週休二日制は民間企業先行の形で行われておりますが、関係政府機関がその実施をすることによりまして、たまたま週休二日制をとり得られない中小企業やその他の分野にもその影響が強く及ぶことを期待をし、またそうしなければ、日本の国際的な置かれておる条件から見ても、その非難を避ける意味におきましても、日本の労働時間短縮という課題に突き進んでいかなければならないのではないか、かように思うわけでございます。
同時にまた、中小企業における労働時間、今日千八百時間に到達するそれぞれの企業もございますが、しかし、運輸関係を中心にいたしまして極めて長時間労働に甘んじ、ないしはそれに従事しなければならないという状況等もございます。したがいまして、法的整備が一日も早く完成をされまして、あまねく各企業、分野の労働時間短縮、ゆとりある労働というものに対する状況整備に全力を尽くさなければならないのではないか、かように思うところであります。
さらに加えて、かねてから労働界からも要求がありました五月一日という日にち、私ども今日メーデーという形で展開もされておるわけでありますが、労働界からはこれを太陽と緑の週間になすべく、そういう休日設定をしてほしい、こういう要求も出ているところでありますし、私どもこれを強く支持をする立場であります。
この際労働時間短縮に対する政府側の見解を、今言ったような分野、すなわち法定労働時間四十時間にする法的整備について政府側の見解、さらに中小企業における労働時間短縮、あるいは公務員の週休二日制の課題、さらには五月の一日を休日にして緑と太陽の日にするなどという要求に対する政府側の見解を求めておきたいと思います。総理大臣、御答弁をいただきたいと思います。
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○海部
内閣総理大臣 最初にお示しの週四十時間制の問題につきましては、これは全体として言いますと、労働時間の短縮は豊かでゆとりのある勤労者の生活を確保する上でぜひとも必要なものと政府は受けとめております。したがいまして、法定労働時間を平成三年四月一日より、現行の週四十六時間から週四十四時間に短縮することにしたところでありますが、今後とも経済計画の目標に沿って、週四十時間労働制の問題を含めた労働基準法の規定の見直し、あるいは改正労働基準法附則第七条に基づきまして、それらの問題については近く検討に着手をして、目標達成に努力をしてまいりたいと考えております。
また、公的部門完全週休二日制の普及、この問題につきましては、民間における週休二日制の普及状況や、国民世論の動向等を勘案しつつ、関係方面の考え方も伺いながら、その両方がその目的に向かって進んでいけるように考えをまとめて、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
また、お触れになった中小企業を中心にしたきめ細かな指導援助を従来から行ってきたところではありますが、来年度においても中小企業集団や業界団体の取り組みを促進するなど、労使の自主的努力に対する指導あるいは援助等の施策を考えておりますが、現在国会に提出中の中小企業における労働力確保のための雇用管理改善促進法案の成立の後には、労働時間の短縮など雇用管理改善に向けて一層指導援助の充実を図っていきたいと考えております。
最後に、祝日の問題につきましては、いろいろと影響するところがたくさんございますので、世論の動向等も見定めながら、さらに検討を続けさせていただきたいと考えております。
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○
加藤(万)
委員 労働大臣、御質問をいたしますが、この
委員会で労働時間問題、労働大臣極めて前向きに討論に参加をしていただいたわけでありますが、この際、附則七条を含めて、今総理の答弁がありました七条を含めて今後検討をするという、その検討の内容について補足的に御説明をいただきたい、こう思います。
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○小里国務大臣 国民的課題である労働時間短縮問題についての政府の基本的方策と申し上げますか考え方は、ただいま総理の方からお述べいただいたところでございます。しからばその具体的方策について再度お尋ねであろうかと思う次第でございますが、法的整備云々のお話でございますから、これはもう先生最も御承知でございまして釈迦に説法かもしれませんけれども、若干要点と考えられるところを御説明させていただきたいと思います。
実は先生の質問の中にも触れておいでになったと思うのでございますが、今日の労働時間施策を決定するについて、いよいよ労働基準法、よって立つ附則第七条というのが関連してくるわけでございますが、この項目はもう御承知のとおり今から三年前に、この新しい改正労働基準法でやっていくが、三年たったときには、先ほど先生が基本的に目標としてお示しになりました年間総労働時間一千八百時間、完全週休二日制、そして週法定労働時間四十時間ですよというこの目標に持っていくんだ、しかもそのことを含めまして三年たったら見直すんだ、こういう規定が労働基準法改正によりまして附則第七条できちんとして明記されておりますことも先生御承知のとおりでございます。なおまた、本則第三十二条によりまして労働時間は四十時間を超えてはならないよということがきちんと明記してあることも御承知のとおり。さらにまた、ただいま説明で申し上げましたように、それであるけれども、しかし当分の間は四十時間というのを緩和する、四十八時間以内で政令でもって弾力的な対応措置をとることは結構だ、こういうふうになっておりますから、それに準拠いたしまして今日に至っておりますことも御承知のとおりでございます。
したがいまして、結論的にきちんと申し上げなければならないことは、いよいよ三年の経過措置の期間がやってくる。平成三年三月の末日でございますから、そのときにはこの新しい改正労働基準法施行の状況をかんがみながら、そして必要があるときには見直すんですよ、同時にまた、先ほど若干申し上げました四十八時間範囲の緩和措置も「当分の間」ということもございますし、同時にまた、申し上げるまでもなく昨今来しばしば国民が、労働時間に対する要請というものは具体的に経済運営五カ年計画を達成することだよということをきちんと、いわば国民的一つの要請事項としてまとめて御指摘をしていただいておりまするような背景もあるわけでございますから、私どもはただいま申し上げましたもろもろのそのような規定を尊重しながら、そしてもう近々この時限が参っておるわけでございますから、その検討をするための、見直しをするための一つの協議の場をきちんと整えなければならない。そしてその協議の場をできるだけ早い機会に整えまして、いかなる労働時間の短縮を内容とする一つの新しい方向、しかもそれを整理していつからやるのか、しかもそれに準じましてどういう目標でやるのか、その辺を充実した積極的な気持ちでひとつ審議に臨みたいものだ、措置をとるべく努力をいたしたいものだ、さように考えておるところでございます。
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○
加藤(万)
委員 総理、総理の答弁、今補強をしていただきました。労働大臣は具体的な目的、目標、さらにはできる限り早急に協議をする機関を設けて、しかも国民的約束と言ってもよろしいのでしょう、平成三年三月三十一日すなわち平成三年度以降千八百時間に向かってさまざまな法的措置を含めたことを行うという、いわば実務的な措置まで含めて今労働大臣から答弁がありましたが、この答弁を含めて総理の先ほどの検討いたしたい、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
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○海部
内閣総理大臣 内閣は一体となって作業をしておりますが、特に担当の労働大臣のそのような作業に対して私は全幅の信頼を置いております。
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○
加藤(万)
委員 三点目に、地価税と土地住宅問題についてでありますが、今国会に地価税の法案が提案をされてまいります。地価の引き下げ問題は、土地神話の問題が生まれて以来、国民生活の向上を阻害する要因として地価問題、これは何も税制だけではありませんが、税制が極めて高い比重を持って地価抑制に当たる、こういう議論がさまざまなされてまいりました。この際、やはり国民に低廉で良質な住宅を保障するために、土地基本法にのっとりまして、地価の引き下げ、その安定に効果的な地価税法案を中心として総合的な地価税制及び住宅政策を確立する必要があろうかと思います。
今国会ではこれからも審議をされ、建設的な議論が行われるわけでありますが、私ども、今の政府提案では容易に国民があるいは勤労者が期待をするマイホームをつくるための土地を確保することは困難な条件ではないかと思いますが、いずれにしましてもこの国会でこれから審議をされるわけであります。したがいまして、そういう国民の期待にこたえられるような今国会での審議が保障されていく、実効ある地価抑制と地価の低下に対する政策が国会で提起をされてくる、こう期待しているわけでありますが、政府側の御見解をお聞きしたい、こう思います。
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○橋本国務大臣 深刻な土地住宅問題にかんがみ、総合的な土地税制改革の一環としての地価税につきましては、政府としても土地基本法の理念にのっとり、土地の資産価値に応じた税負担を新たに求めるという地価税創設の趣旨を踏まえまして、今後国会において建設的な御論議を重ねられ、今国会中に速やかに実現させていただくよう強くお願いを申し上げます。
なお、地価税の具体的仕組みにつきましては、土地の資産としての有利性を縮減するという観点と、我が国経済に与える影響や個々の納税者に対する負担に配慮するという観点とを総合的に勘案して適正に設定したものでありまして、今後の国会の御論議におかれましては、こうした趣旨を十分踏まえていただきますことを強く願っておるところであります。
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-
-
○
武藤(山)
委員 ちょうど予算
委員会が始まるころ湾岸戦争が始まったために、ほとんど湾岸戦争の質疑で終始をした予算
委員会になってしまいました。そこで、きょうは少しく予算そのものにかかわる問題を御質疑をしてみたい、こう思うわけでございます。
まず最初に、七十兆余の予算を執行するわけでありますが、何といつても税収がきちっと上がらぬと歳出の執行も難しいわけであります。大蔵大臣、まず、健全財政を確立するという方針はまだ放棄していない、建設国債を五兆何千億円出している状態でありますから、これは健全な財政の姿ではない、私はまだそう思うわけでありますが、そこで、健全財政というのはどういう姿で、何年先を収支バランスを税その他の印紙収入などで賄う、そういう一つの大蔵大臣としての目標、財政審議会などでもいろいろ出しているわけでありますが、大臣として、私の考える健全財政というのはこういう姿なんだ、これをひとつお示しを願いたいと思います。
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○橋本国務大臣 おかげさまでようやく赤字公債依存という財政状況から離脱をいたしたとは申しながら、国債残高が本年度末におきまして百六十八兆円に達するという、非常に厳しい状況になお置かれておりますことは、
委員が御承知のとおりであります。そして、私どもとして、当面何よりも全力を挙げて立ち向かわなければならない目標は、この国債残高をいかにして累増に歯どめをかけるかということに尽きると私は思います。
そうした中で、おかげさまで平成三年度予算につきましては、国債依存度七・六まで下げてくることができました。しかし、財政審からの答申でも、御承知のように公債依存度を五%以下に下げるという御指摘がございます。私は、将来にわたりまして建設公債が絶対に悪だという考え方はとりません。そして、建設公債というものの性格を十分熟知した上で今後ともに活用すべき場面はあると思いますけれども、我々としては、やはりその状況をも知った上で、なお公債残高そのものの累増に歯どめをかけるということとともに、公債依存度を五%以下に何としても下げていく、これが第一の目標でございます。そして、仮に、健全財政という言葉は私も正式なその学問的な定義を存じておるわけではありませんけれども、公債残高の累増に歯どめがかかり、残高が減少し始め、しかも公債依存度を五%以下に完全に抑え込むことができましたならば、私は一応健全財政に立ったと申してもおしかりを世間から受けることはないと存じますけれども、現時点におきましては、御承知のような情勢の中でなかなか完全に公債残高の累増にブレーキをかけるというところには至っておりません。今後、全力を挙げてこの努力を続けていきたいと考えております。
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○
武藤(山)
委員 公債残高が累増しない、しかし建設公債は悪ではない。私も、別に悪とか善とか言っているのじゃなくて、累積がふえないという見地に立ったら建設公債もゼロにすることが最も望ましい、税収で賄える財政にすることが最もベターである、こう思います。
ただ、私が一番心配するのは、金利負担だけで十一兆一年間に払うわけですね。これはもう財政をますます硬直させる原因ですから、できれば建設公債も、やはり十年計画ぐらい立てて徐々に減らしていく、ゼロを目指す。証券業協会がいろいろ、証券の発行が少なくなると困るのじゃないかとか、いろいろな理屈を言いますけれども、私は、財政の見地から言うなれば、現在の百六十八兆円がぐるぐる回るだけでもかなり証券業界には取引の量というものはあるわけでありますから、やはり財政健全性というのを最優先に考える、そういう大蔵大臣になってほしいのであります。
そこで、最初に自治大臣にお尋ねをしますが、最近の地方税収の伸びがちょっと鈍化をしたという報道がございました。特に去年の四月から十月までの伸び率が前年と比較しても、ここの三年間の伸びの状況から見ても大変鈍化した。さらにこの三月決算を予想しますと、かなり収益が落ちてきているような気がいたします。そこで、地方税の税収状況、どんな状況であり、当初予算の金額は、財政計画の金額は確保できる、自然増収がちょっと前年より落ちる程度である、その程度の見方になるのか、自治省の見解をちょっと聞かせてください。
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○湯浅政府
委員 平成二年度の地方税収の決算見込みでございますけれども、現段階ではまだ正確なことは申し上げられませんけれども、まず道府県税について見ますと、ことしの一月末までの徴収実績を各県から報告をいただいております。これを見ますと、法人関係税につきましては前年同月を下回っているということがございますけれども、個人住民税などの伸びが比較的好調だということもございまして、前年同月比の調定額の伸びは六・一%になっておりまして、このまま推移いたしますと、地方財政計画に計上いたしました金額、これは十四兆三千三百九十三億円でございますが、これは確保し得るのではないかと思います。
また、市
町村税につきましては、月別に徴収実績の調査はしていないわけでございますけれども、ただいまの道府県税の実績などから推しまして個人住民税などが比較的順調であるというようなことから、地方財政計画に計上いたしました額、これが十六兆四千五百十四億円でございますが、これは確保し得るのではないかというふうに考えております。
-
○
武藤(山)
委員 いずれにしても、時間が限られていますのでこればかり議論できませんから、どんどんきょうは進めていきます。
もう一つ自治大臣に聞きたいのは、固定資産税の評価がえで、新聞報道ではかなり国民はショッキングに感じていると思うのですね。この間の日経新聞でも、全国平均で評価額が三割アップされる、千葉市が最高の四六・五だ、こういうことで、固定資産税評価がえをめぐる国民の不安ですね、今まで納めてきた固定資産税がどのぐらい上がるのか。自治省では、ふえた分は住民税で減税をするのだから、地方トータルでは差し引きプラス・マイナス均衡とれていいんじゃないのかと言うけれども、年寄りなどで収入のない人で家屋敷を持っている人などは、地方住民所得割を減税してもらったって恩恵ないわけですね。ですから、そういう人たちは大変な心配をしていると思うのでありますが、調整を本当に細かく上手にして、従来の固定資産税の税額と比較して、今度の評価がえでいった場合どの程度に税額がふえるのか、この辺ちょっと試算してあったら説明をしてみていただきたいのであります。
-
○湯浅政府
委員 平成三年度は御指摘のように固定資産税の評価がえの年に当たるわけでございますが、最近の地価の状況を反映いたしまして、特に大都市地域におきましては土地の評価がえの上昇率が極めて高くなっているわけでございます。こういう評価のアップの分を直接固定資産税の税額負担に結びつけますと大変な税額のアップになりますものですから、これを激変緩和と申しますか、負担調整をすることにいたしております。
従来の負担調整措置に比べまして、今回は宅地について三つに分けまして、住宅用地についてはできるだけ負担をなだらかにするということで、土地の評価がえは三年に一回ずつの評価がえでございますから、通常は三年目には評価額の課税にするということを原則にしておりましたが、今回は住宅用地につきましては、それを超えた五年ぐらいのところで評価額課税ができるように、そういう緩やかな負担調整措置を講じているところでございます。逆に、法人所有土地につきましては、これは最近の保有課税の強化というような問題にも対応できるように、従来よりもむしろ負担調整措置をきつくする。こういうような形で宅地についてきめ細かく負担調整措置を講じたところでございます。
この結果、特に住宅用地につきましては、毎年一割ずつ上がるという、ほとんどその中におさまってくるというようなことになりまして、比較的なだらかに税負担が調整されているのではないかと思うわけでございます。しかも、今御指摘のように、この評価がえに伴う増収分はすべて全額個人住民税の減税に充てるということで、確かに低所得者の方々にはこの恩恵はこうむりませんけれども、かなりたくさんの方々にはこの個人住民税の減税の恩恵が受けられるというようなこともございまして、今回の評価がえは比較的こういう意味で円滑にできるものだというふうに考えておるところでございます。
-
○
武藤(山)
委員 いずれにしても一〇%税額で上がるというのは大変ですよね。大体、サラリーマンでも月二万円ぐらいずつの固定資産税を納めている人はざらにいるわけですから、年間二十四万円、一割二万四千円。納める立場の人にとれば、一〇%ずつ五年間上がるのですから、これは大変な負担増だなと大変心配をされているわけであります。
次に大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、大蔵省の試算では税収のぐあいはどんな状況になっているのかなということを、平成二年度一月末租税収入、これをちょっと見渡しますと、サラリーマンの源泉所得分はかなり順調で、進捗率は昨年度よりいいですね。特にこの数字で目につくのは、法人税の進捗状況が五一・四、前年は五三・三、こういう状況をにらんで三月の決算を予想すると、どうも金融の収益も、かなり銀行関係も収益減、大企業も収益がかなり落ちていますね。それは、これを概算的に見ると、この進捗率でいくと法人税が予想を実現できるのかなという心配があります。これは尾崎主税
局長の担当かな。主税
局長、ちょっとその辺説明してみてください。
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○尾崎政府
委員 平成二年度の法人税収につきましては、ただいま御指摘のございましたような景況の様子などを考えまして、昨年末の補正予算におきまして一兆七百四十億円減額補正を計上しているところでございます。現在判明しております最新の収納実績、これまた御指摘のとおり一月末まででございますけれども、法人税収につきましては、銀行、証券の中間申告が低調であったというようなことから、累計では前年対比九四・六%という状況になっております。しかしながら、まだ全体の税収の五割程度の段階でございますし、ウエートの大きい三月期の決算法人の申告が残されているということ等もございまして、今後の税収動向を十分注意してまいりたいと考えているところでございます。
-
○
武藤(山)
委員 そう心配することはない、二年度の予算額確保は確実に実現できる、そう受けとめていいですか。それとも、ちょっと不安がある、減額修正してあるからそういう不安は起こらない、こう聞き取るべきなんですか、今の説明の受けとめ方は。
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○尾崎政府
委員 補正予算の編成に当たりまして大法人に対する聞き取り調査等も行いまして、先ほど申しましたように減額補正を行ったところでございます。まだ半分ぐらいのところでございますから、確信あるかどうかと言われますと、これは予想にわたる問題でございますけれども、現在のところ特にこれについて見直す、考え直すというようなこともないのではないかというように考えております。
-
○
武藤(山)
委員 いずれにしても三月決算、大変大企業は悪いようでありますから、法人税の動向いかんによってはかなり心配でございます。
次に、消費税。もう三年目ですからやや定着をしてきて、地方に配分する分も含めて地方税の総収入、総税収というのは幾らで、この中で還付というのが一兆一千四百六十億円見込まれていますね。かなり大きい金額だなという感じがするのであります。何で還付がこんなにあるのか。それからもう一つは、滞納分の収入ですね。消費税で滞納が起こるというのはちょっと常識で考えられない。消費者からいただいた税金を素直にきちっと納めるのが当たり前だと国民には映っていますから、滞納分というのはこれはおかしい。五百九十億円、これはどういう形態でそういう滞納が出るのか、そして実際の消費税の徴収総額は国民一人当たりにすると何ぼになるのか、ちょっと主税局、説明してください。
-
○福井政府
委員 最初に、滞納の点につきまして簡単に御説明をさせていただきますけれども、滞納が消費税につきましてどうして起こるのであろうかということでございます。
私ども執行に携わっておるわけでございますけれども、この滞納の発生する点につきましては、いわば消費税、それからその他の税、そういう意味におきまして特段の区別といいますか違いはないというふうな形で見ておるところでございます。と申しますのはどういうことかと申しますと、一つの課税処分が行われるということで一定の課税処分が済むわけでございますけれども、さて実際にこれを納税するという段階になりました場合に、その納税資金というものをどういう形で調達してくるか、これは一種の資金繰りの問題というものが企業にはあるわけでございまして、たまたまそういう資金繰りの問題に遭遇いたしますと、消費税につきましても納税することができないという事態に立ち至るわけでございます。そういう点におきまして、消費税、それから他の税、特に区別なく滞納といったものが発生してくるということでございます。御参考まででございますけれども、元年度末における消費税の滞納額、そういった結果といたしまして消費税百四十一億円の滞納が残っておるというような状況でございます。
それから、逆になりましたけれども、先ほどの還付の問題、これも先ほどのような数字が計上されておるわけでございます。還付につきましては、やはり制度上輸出取引がある場合それから多額の設備投資が行われる場合といったことが組み込まれておりますし、それからまた経過措置といったものもまだ若干残っておるかといった面もあらうかと思いますので、そういったことの結果といたしまして、ただいま御指摘いただきましたような還付の計数が上がってきておるものであるというふうに理解をいたしているところでございます。
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○
武藤(山)
委員 実際の収入、全体の額が幾らになって、国民一人当たりになったら何万になるか。主税
局長が答えますか。
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○尾崎政府
委員 平成二年度の消費税収入でございますが、補正後予算におきまして六兆八百七十五億円でございます。これは譲与分も含めての数字でございます。総人口一億二千三百五十五万人でございますので、割り算をいたしますと四万九千二百七十二円というのが一人当たりの負担額でございます。約五万円弱程度一人当たり負担していただいていることになります。
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○
武藤(山)
委員 尾崎主税
局長、私の調べた、あなたの方から出した税制改正の要綱の数字でずっと調べると、実際の徴収見込みは七兆二千六百七十億だな、ちょっと違うね、あなたの今の六兆幾らというのは。どの数字から出てきたのか。
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○尾崎政府
委員 私、ただいま申し上げましたのは平成二年度の消費税収入でございます。
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○
武藤(山)
委員 僕は予算額で言っているから。わかりました。
いずれにしても、この消費税問題はまだ野党としては尾を引いているものですから、与野党協議でこれから議論をする上の参考と思って一応数字を並べてみたわけであります。
それから法人税ですね、これ予算額十九兆二千六百七十億円ありますが、この予算額の中で、これは国税庁かな、主税局かな、答えられる方で答えてもらえばよろしいです、更正決定による収入が三千二百七十億円。これはほとんど脱税を捕捉されて出てきた金額なのか、自発的に更正決定を年の途中で出してきた金額なのか、もし脱税が捕捉された金額で入った金だとすれば調査件数何件なのか、それもあわせて説明してください。
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○福井政府
委員 法人の脱税といいますか、増差の状況ということにつきましてまず御説明申し上げます。
私どもの調査の結果によりまして法人の脱税につきまして見ていただくということになろうかと思いますけれども、平成元事務年度におきまして法人税の調査状況を申し上げますと、調査件数が十九万二千件でございます。その結果といたしまして申告漏れ所得金額として出てまいりました、これがいわゆる増差、差額でございますけれども、これが一兆六千百八十八億円、一件当たり八百四十二万円ということになっております。この結果といたしまして税額、ただいまのは所得金額でございますけれども、税額として入ってまいりましたのが六千八百六十九億円、一件当たり三百五十七万円というような調査結果になっておるところでございます。
ただ、この金額がいわゆる脱税かどうかということにちょっと触れさせていただきますけれども、この中にはいわゆる単純な計算誤りでありますとか不注意といった点もございますので、ちょっと脱税の定義によりますが、ただいま申しましたように、調査の結果何らかの非違が発見されましてその差額が出てまいったということにつきましては、平成元年度、以上のような状況でございます。
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○
武藤(山)
委員 次に滞納ですね。三年度予算を見ると、滞納分の収入が三千四百億円、これも余り小さい数字じゃないですよね。そうなると、累積滞納額というのは相当あるのかなという感じがしますね。一年間に入る分が三千四百億円、全体の滞納額というのはどのくらいあるのかね、現在。
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○福井政府
委員 滞納の状況につきまして御説明を申し上げます。
私ども手元に現在まとめておりますのが元年度分ということでございまして、二年度分は現在進行中ということになっておるわけでございます。これによりますと、元年度分の全税目滞納額残高といたしまして一兆一千六百九十二億円ということになっておるわけでございます。
-
○
武藤(山)
委員 随分大きいですね、滞納金額も。一兆一千六百億円。この中で最終的に取れない、もうどうにもならぬ、欠損処分をせざるを得ないそういう金額あるいはパーセントというのはどのくらい出るものなんですか。それから、一兆一千六百億の三千四百億円というと何%かな、三割ぐらい、三割ぐらいが収入になるわけですね。あとのはまた次年度へ繰り越されちゃうということになるのかな。どうしてもこれ取れないというようなものは国税庁は何年ぐらいでどんな状況のときに欠損処分していて、欠損処分というのは年々どのくらい出るのですか、税のどうしても取れないというやつは。
-
○福井政府
委員 滞納の内容といいますか、状況でございますけれども、大体の内容、必ずしも全部精査できるわけではございませんけれども、全体の状況ということで御理解いただきたいのですけれども、残高のうちで五三%から四%、その程度のものがある程度私どもの方で整理の方向が何とかついておるというような感じで毎年見ておるところでございます。しかし、残りの四十何%、そういったところがなかなか整理が難しいというような感じになってきておるわけでございます。しかし、そういう中で各年努力をいたしまして滞納整理、滞納残高の中からただいまそういった計数にございますようにある程度その整理が進むであろうという見通しで、計数が上がってきておるという状況になってきております。
それから、最後にどうなるかということでございますけれども、結局いろいろな手続をいたしまして最終的に処理が不能であるという状況になりましてから三年を経過いたしますと、私どもといたしましては収納不能であるということで、いわば何といいますか、欠損といいますか、そういう処理をいたすということにいたしておるところでございます。
-
○
武藤(山)
委員 そういう欠損の処分というのは、会計検査院が後できちっと皆検査をするのでしょうね、どういう事情で欠損処分をしたかというのは。大変重要なことですから、後でまた教えてください。
その次は欠損法人、これがまた政府の説明書を見ても、これは数をそっちに言ってもらった方がいいな。全会社、法人数、そして利益法人と欠損法人――尾崎さん、わからなければいいよ、この中に書いてあるのだから。
数字、私が言います。全法人数が百九十六万二千二十六社、そのうち利益を計上している会社が九十八万八千二十五、赤字が九十七万四千一、やや半分、法人税を一銭も納めていないんだね。トラックを運搬し、ベンツに乗って歩き、道路は使い、公共施設は使いながら、地方自治に対しても法人税の均等割はあっても所得割はないのだ。これはどういうことなのか、ゆゆしい問題だね。国税庁、この欠損法人について調査というのはある程度目的意識的にやるのかね、やらないのかね。初めから、欠損会社だからもう税務職員も手が少ないからそんなの手を入れたって成果は少ない、所得をごまかしていそうなところだけねらい撃ちで調査するしか手が間に合わぬ、そんな状況なんですか。それとも、この九十七万四千社の欠損法人について、やはり毎年何%ぐらいは税務署は調査をやっているのでしょうか。
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○福井政府
委員 赤字欠損法人に対する調査ということでございますけれども、私どももただいま先生の御指摘ありましたような問題意識を持ってこの問題に取り組んでおるところでございます。したがいまして、この赤字欠損法人に対する調査ということでございますが、平成元事務年度の状況を申し上げますと、この赤字法人のうち四万六千件を調査対象に選定をいたしております。そのうち調査結果、何らかの形で更正でありますとか決定でありますとか修正申告がありますとか、そういった形で非違があったもの、それがこの四万六千のうち八五%に達しまして三万九千件ということになっておるわけでございます。そういった状況でございますので、私どもといたしましては、形の上で欠損という形になっておりましても、常日ごろ種々いろいろな資料を収集いたしまして、その中で問題がある可能性のあるところにつきましては、ただいま申し上げましたような形で調査を進めておるというような状況でございます。
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○
武藤(山)
委員 大変御苦労なことでありますが、やはり調査を大いにこれはやるべきですね。調査の結果八五%の税の逋脱が行われておるわけですから、正義とか道義とか倫理とかをやはりもっと納税について教えなければいかぬな、こういう感じがいたします。私は前に大蔵
委員会で、小学校の六年ぐらいから税についての副読本を出すべきだという持論をずっと言い続けてきた一人なのでありますが、今の数字を見ると大変がっかりしたわけであります。
それから次に、この政府の資料の二十八ページ、補正の前の本の方、補正のはもっと薄くなっちゃったけれども、この中に二十八ページに「企業収益の予測状況」という項目がありますね。これを見て私は奇々怪々で、こんなことが同じ期間であるのかなと不思議でしようがないのは、大蔵省の景気予測調査と日銀の経済観測調査の数字が余りにもかけ離れておるので、これはどっちを信用していいのかわからない。例えば大蔵省の全産業の収益は平成二年度の予測では前年比五・一%ふえる、日銀は〇・六しかふえない、そういう予測。製造業で見ると大蔵省は三・六伸びる、日銀は一・九。非製造業でも大蔵省は六・二伸びる、日銀は一・六。余りにもこの数字が違い過ぎているのにまず奇怪な気持ちを持つわけであります。何でこんなに数字が違うのかを説明願いたいのです。
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○濱本政府
委員 お答え申し上げます。
この数字をごらんいただきます限り、先生御指摘、御心配の点、ごもっともでございます。ただ、これにつきまして次のような事情がございますことを御説明申し上げたいと存じます。
二つの調査でございますけれども、まず大蔵省の景気予測調査、これは資本金一千万円以上のすべての法人、金融保険業等を除きますけれども、これを調査対象としておりますのに対しまして、日本銀行の短観は、原則として資本金十億円以上の上場企業を対象としております。景気予測調査の方が約九千五百社から回答をいただきましたものを利用いたしまして、広く中小法人を含みます何十万の法人の母集団推計、これは業種別、資本金階級別にランダムにサンプルをとりまして、それぞれについて抽出率により母集団の規模に割り戻すという方法をとっておりますけれども、こういった方法で集計をしておりますのに対しまして、日銀の短観は調査対象企業の数が六百九十一社、この回答結果を単純に合計したものでございます。
こういう違いがあるわけでございますけれども、ちなみにその景気予測調査、大蔵省の方の景気予測調査につきまして大企業、これは大企業として何をとるかという問題が一つございますけれども、大企業についての予測と日銀短観における主要企業についての予測を比較してみますと、大企業対大企業ではより数字は近接したものになっているように見受けております。
それではこの予測はどの程度の確度を持つものなのか、つまり、実績と予測を比べてその結果がどうなるかが御心配かと存じますけれども、この調査は年四回行っておりまして、回次ごとにその数字は少しずつ動いておりますけれども、最後の二月調査と実績とを比べます限り両者はまずまず、実績とそれから大蔵省の景気予測調査の結果というのはまずまず相応したものになっているということを御報告申し上げておきたいと存じます。
-
○
武藤(山)
委員 これは濱本さん、ようわからぬよ、今の説明。例えば資本金一千万以上九千五百社といえば収益率、私は低いと思うのですよ。十億以上の大企業六百九十一社の方が収益率はいいんじゃないのかなと思うのです、収益は。それとも分母が大きいからもうかっても率とすると低いんだ、こういうことになるのかね。どうも今のはこじつけのような気がするな、今の説明、もう一度説明してください。
-
-
○濱本政府
委員 確かに中小企業の方が伸び率が高いというのはいかがなことであろうかと私どもも問題意識を持ったことがございます。ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、まず基本的に、母集団の規模に対しまして、サンプルの数がどうしても中小企業の場合には限られたものになる。したがって、全体を推計するということになりますと誤差が生じやすいということは、これはやむを得ないことかと存じますし、また、中小企業の場合にはどうしても周囲の経済情勢から受けます影響が大企業の場合に比べて大きい場合がある。そういうことからいいましても、収益の先行きを見通すということについてはいろいろ難しさがあるということは想像されますが、まず、さっき
武藤先生からも御指摘がございましたように、仮に赤字の企業があるといたします。その赤字の企業が翌期黒字を出すとしますと、伸び率は物すごく、ごく機械的に言いますと無限大になってしまうわけでございます。したがって、中小企業の方に調査をいたしますと、一つはその問題がありますし、もう一つは、気持ちとして来期は頑張ってやろう、大企業と違いまして赤になったり黒になったりするわけでございます。来期こそ頑張ってやろうという気持ちがこの調査結果に出ているのかもしれないな、現にその結果、その実績と対比してみますと、確かに違いはあるのでございますけれども、先生が思っていらっしゃるほどの不一致といいますか、大きな隔たりがあるように思えないところが私どもがこの調査に意味を感じるところでございます。
-
○
武藤(山)
委員 私は大蔵省の方を信頼しましょう。大蔵省は意外とこの積算、数多く実績で積み上げて税収見込みを立てる役所なものですから、大ざっぱな経済予測などと違った見積もりなどがずっとありますので、どちらが正しいかは後でまた日銀を呼んで個人的に調べてみますけれども、いかにもこの数字は離れ過ぎているので納得いかぬ。
次に通産大臣、通産大臣はおとといの新聞ですか、十二日に、何か公定歩合はもう引き下げた方がいい、通産省としても公定歩合を引き下げを求めていく姿勢だ、こういうことをおしゃべりしているのですが、通産大臣がこういうおしゃべりしていいものかどうかが一つ、私、まずあります。日銀の中立性と日銀は通貨の番人であるという見地を忘れてはいかぬ。そういう立場からなぜこういう発言をせざるを得ないのか、それについて、橋本大蔵大臣はこの通産大臣の見解が至当と情勢判断をしているか、同時に、同じ子分である閣僚がこういう違う発言をしていることを総理大臣はよしとするか、この三つ、三人、答弁してください。まず通産大臣から。
-
○中尾国務大臣 これは私、速記録を見ていただければわかりますが、あのような発言は全くしておらないのでございます。恐らく通産省の方でその速記録は、記録にとどめておりますから、とってあると思いますから、関係の私の通産省の人間に答弁させたい、こう思っております。――政府
委員は来てないようでございます。私、そのようなことは全く申し上げたことはないので、実は、何というのですか、午前中でございましたか、どこかの業界との懇談会がございました。そういう御意見は聞いたわけで、その後の記者会見、そのときの記者会見ではございませんですよ、閣議後の記者会見ですが、そういういろいろのもろもろの意見はあった、しかし、これは私の主管事項でもありませんから、そういういろいろの意見はあるけれども、じゃそれは通産大臣としては遂行するのでございましょうか、どうお考えでございましょうと言うから、それは私の主管事項ではない、ただしそういう声の強いことは感じますね、こう言っただけでございます。したがいまして、それを特殊に、私が上げるように要請したとか、あるいはまた上げるような雰囲気を感じさせたとか、あるいは感じた方は、それは個々別々いろいろございましょうけれども、そのような、答弁として言うたということは一切ございません。これは後でまたお届けしても結構でございますから。そのように言っておりません。
-
○橋本国務大臣 金利、公定歩合の問題は日銀の専管事項でありまして、我々からとやかく言うべきではないと思います。
-
○海部
内閣総理大臣 両大臣の意見を聞いてみましても、別に特に食い違っておるということではなくて、私個人も、やはり日銀の専権事項について、予断と憶測でもって誤解を生むようなものを言ってはいけないということをみずからの戒めとして私は確立いたしておりますし、閣僚もそのとおり受けとめている、こう考えております。
-
○
武藤(山)
委員 受けとめていればこんな質問はしないのですよ。受けとめるようにしかと注意をすべきである。
私は、いつもここで、もしこういうことを自由に総理大臣や大蔵大臣に質問していいのならば、為替のことでも金利のことでもみんな聞きたい。聞きたいけれども、日銀専管の事項でいろいろな影響が大きいから我慢しているのですよ。それを閣内の一人が――この新聞がうそだとはいえないでしょう。日経新聞だ。日経は割合とまじめに正直に書いているんだよ、これは。ですから大臣、そういう青嵐会の親分がそんな弁解がましいことを言っちゃいかぬです。おれが言ってしまったのは軽率だ、以降日本銀行のことについては任しておきたいと、何で男らしくはっきり言わぬですか。
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○中尾国務大臣 私が青嵐会の云々の問題とは別に、これはマイクをちょうど全部、私は記者会見のときとってございますから、それを聞いていただいてもわかりますが、いろいろのちまたに行くと、中小企業であれ大企業であれ、そういう声は多いですね、しかし、これは私の専権事項でもないし、また専管事項でもありませんから、これは私の口からも言えませんが、そういう声のあることはわかっております、こういう答えでございますから、そのニュアンスとしてとった方がそう書いたのでございましょう。だから、一つの新聞にはそう書いてあってもほかの新聞には書いてないというのはそういう意味でございますから、その点はひとつどうぞ、全くもって、私、言ったことはぴしっと言ったと申しますし、しかし、そういうときは謝りますとも言いますし、しかし、そうでない場合には言っておりませんと言いますし、そのときには私自身も言葉には責任をとります。
-
○
武藤(山)
委員 こんな論争をしてもつまらぬからやめますけれども、しかし、男らしくないよ。
もう一つ、総理大臣、きょうの日経トップ、それから中身は日経五面に、米の自由化問題で、政府は地方選が終わるまでは国会決議尊重という姿勢で頑張るだろうが、地方選が終わるとアメリカの言い分に押されて米の自由化になってしまうのではないか、こういう心配の記事がきょうトップ記事と五面に書いてあるのですよ。総理はかたくなのように今まで、自由化は認めない、海部内閣の方針であると再三答弁しているのですが、心境に変化はありませんか。それとも、ブッシュ大統領に、地方選が終わるとアメリカに行くようですが、行ってブッシュさんにやられちゃいますか。それはどうでしょう。これまでの答弁は守り抜けると国民の前に約束できますか。
-
○海部
内閣総理大臣 お米の問題は、私とブッシュさんとか、日本とアメリカとか、そういう角度の問題ではございませんし、日本としては自主的に我が国の基礎的な食糧というもの、これに対する基本的な考え方をきょうまでここで何度も申し述べてきたわけでございます。今この問題は、御承知のように、ガット・ウルグアイ・ラウンドの場で十五の項目にわたってのいろいろな大詰めの調整に来て、食糧問題でこれが行き詰まっておることも事実でありますが、これは日米間というよりも日本とアメリカとECと、それぞれがお互いにその国特有の難しい問題を抱えておるわけでありまして、それに対して共通の理解と認識をお互いに求めながら、この自由貿易の体制というものを守っていかなければならない、こういう努力をしておるところであります。私もあらゆるところで我が国の立場というものは主張し続けてまいりましたし、ここだけではない、ブッシュ大統領が議長をしておった過日のヒユーストンのサミットでも、日本の食糧安全保障の立場を訴えて、日本の立場というものを十分各国の代表に理解を得るために主張もいたしましたし、経済宣言にそれが書かれておることも御承知のとおりでございます。あくまでこの困難な立場をきちっと主張しながら、理解を得るための努力を今後とも続けていく決意でございます。
-
○
武藤(山)
委員 海部総理の勇気を信頼して、この質問はこれで終わりますが、ぜひひとつ頑張っていただぎたいと思います。
次に、企画
庁長官、経常収支が最高のとき年間七百八十億ドルぐらいあったのが、だんだん経常収支減ってきて、来年度予算では見込みが三百五十億ドルですか。しかし、この予算を立てたころはまだ九十億ドルの支援支出は予定されてなかったわけですね。この九十億ドルがドルにかえられてもう出ているのでしょうけれども、いずれにしても経常収支にかかわりを持ってきますね。そうすると、私の見る目では、恐らく経常収支は三年度二百五十億ドル前後になる可能性がありますね。どうでしょうか。
-
○
越智国務大臣 先生の御質問は平成二年の経常収支のお話でございまして、暦年で申し上げますと三百五十八億ドルぐらいの黒になっていると思います。年度で申し上げますと、まだ終わっておりませんけれども、一応実績見込みとしては三百二十億ドルと見込んでおりまして、これに対しまして、いわゆる九十億ドルの支援をいたしますと、もちろん円で支払われたわけでございますけれども、ドル換算といいますか、いたしますとその分だけ減る。それは、経済見通しの場合には平成三年度の見通しでございますものですから、二年の実績見込みが動きましても直接翌期には影響いたしませんものですから訂正はいたしませんでした。これは移転収支という格好になります。平成三年度の方はその影響を受けずに当初の見通しどおり三百億ドルの黒という見通しでございまして、これは何とか達成いたしたい、このように思っております。
-
○
武藤(山)
委員 大臣、三百億ドルというのはGNPの何・何%ですか。
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○
越智国務大臣 一応〇・八%ぐらいに相当するかと思っております。
-
○
武藤(山)
委員 学問的に、経済学者や国際金融論を論じている人たちの意見では、経常収支がGNPの一%を割ったときにはその国は経済大国ではない、金融大国、経済大国と言われるのは経常収支がGNPの一%を超える国のことをいうんだ、それが大体私も定説のような気がするのですよ。大臣、どう思いますか。
-
○
越智国務大臣 浅学非才にしてその今のお話は初めて伺いまして、ただ、かつて日本がGNPに対して四%の黒字があるじゃないかとかいろいろ言われたときに、まあ一%ぐらいかなという議論がございまして、現に一%を切ったわけでございますが、先生御高承のとおり、今世界の中で貿易収支の黒字で百億ドルを超しているのは日本とドイツと台湾だけでございまして、この御三家がずっとそういう格好で続いております。そういう意味では世界各国から見ると依然として、何といいますか、大国というか稼ぎ頭の方に見られているわけでございまして、余談でございますが、マイナスの方はアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダと、全部アングロサクソン系が百億ドル以上のマイナスになっているわけであります。
-
○
武藤(山)
委員 経済大国という規定の仕方にいろいろ学説も分かれますけれども、いずれにしても六%も占めていた経常収支が〇・八まで落ちてきた。したがって、日本はそんな豊かな余裕のある金が湯水のごとくあるんじゃないんですということをこれは意味するのですよ、経常収支が減ったということは。だからそれは、ほかの国が、ソ連にしても東欧にしても、ドイツ、台湾、日本以外の国の収支は大変まずい。マイナス成長で大変な国もいっぱいある。だからよりましな国へみんな寄ってたかって援助を求めるんだという発想に今なっているのですね。ジャパンマネーが世界じゅう荒らしたなんという発想がまだ残っている。それはしかし過去三年間の話なんだ。もう最近になったらさま変わりに変わってきているのですね。だから私は、やはりそういうジャパンマネーがもう世界を横行していたずらするというような時代は過ぎたんだよ、経常収支はこのように減ってきたよ、したがって決して資金的にそう余裕のある国ではなくなったんです。特に日本のように輸入を大量、大額にしなければならない国は、特に経常収支の一%ぐらいは常に維持しておく必要がある国なんですね。ですからそういうことを考えると、私は、余りおだてられてあれもこれもみんな金を出しますなんということは、外務大臣も通産大臣も大蔵大臣もそう軽率にばたばたやったら日本の将来大変なことになるよ、そういうことを言いたいわけなんですが、私のそういう意見について、この四人の大臣、賛成か反対かちょっと意見述べてください。
-
○中山国務大臣 外務大臣といたしましては、日本に対する国際協力等についていろいろと要請が来ておりますけれども、今御指摘の点は絶えず私自身も重大な関心を持って見ております。
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○中尾国務大臣 外務大臣同様でございまして、これだけ経済社会の中で孤立して生きていくことのできない日本でございますから、それだけにその任の重さ、それも十分に比重をかみしめながら考えていかなければならぬ問題であると率直に受けとめております。
-
○橋本国務大臣 御支援をいただきましてありがとうございました。
-
○
武藤(山)
委員 大蔵大臣、総理大臣、今世界的資金不足なんですね。お金不足なんですよ。そのお金不足の状況を大ざっぱに政治家的な展開でざっとまとめてみると、当たらずとも遠からずの数字でざっと挙げてみたのですよ。例えばクウェート復興には六百億ドルぐらいかかるだろう。もちろんクウェートは油が出てお金があるから中長期的には返済できますが、とりあえず借金でこの六百億ドルはやらざるを得ないでしょう。しかし、それはどこかから借りなきゃいかぬわけですからね、貸してくれる国がまず必要であります。それからサウジも今度百億ドル一応借款を申し出ていますね、民間資金を百億ドル借りたいと。それから東欧は二百億ドルぐらい足りないだろう。ソ連は三百二十億ドルぐらい欲しいだろう。イラクの復興も、これは大変な金が必要でしょうね。貸し手がなくてかなり長期的に苦しむでしょうけれども。まあ新聞などによるとこれは二千億ドルぐらい復興資金イラクはかかるだろう。二千億ドルというと二十六兆円、大変な破壊の結果お金が必要となる。しかし、そういう状況をざっとまとめると三千億ドルを超えますね。三千二百二十億ドル、四十一兆八千六百億円、日本円にして。これはとても大きな金であります。
さてそこで、世界をリードし支配するアメリカはどうかといえば、借金七千億ドル、対外債務七千億ドル、九十一兆円も借金抱えていますから、これは利息を払うも何も大変。それからアメリカの国内の借金、公債発行、これの合計調べてみたら約四兆ドルでしょう、四兆ドル。これは五百四十兆円。日本の国債発行百六十八兆円も大変だけれども、アメリカのこの五百四十兆円の国債累積残高も大変なことですね。それに銀行はばたばたつぶれて企業の借金、これもアメリカは今世界一でしょう。そうすると、三つの不足。アメリカはもう大変なんですね、これは。財政と貿易の赤字だけじゃなくて企業の赤字も。これは大変な国になっちゃいましたね。それからドイツは東ドイツを合同したことによって、恐らくこれは私の計算では一千億マルク、このくらい必要になるんだろうな。日本の公共事業も、これは今までかなり出していますから幾らもふえる分はないけれども、これも三千三百億ドルの資金を十年間に必要とする。さらに日本の借金も千三百億ドル、百六十八兆円ある。
こう見てくると、これからの世界のこの資金需要は非常に多いわけですね。それに資金供給が追いついていけない、そういう状況が予想されるわけですね。そうするとまた、日本は黒字国で貿易でもうけているのだから日本が出せ出せという圧力はますますかかってくるような気がするのですね。そういう点を本当に大局から将来を展望したときに、何かきちっとしたドクトリンをつくらないと、私はその場その場で対応していったのではこれは大変なことになるな。そういう対外援助、対外支援ドクトリンをやはり海部内閣はつくるべきだ。きょう言いたいのはそこが言いたいところの一つなんですね。これ早急にひとつ、私は、総理が中心になって海部内閣の対外支援、対外援助ドクトリン、これを早急につくって世界や国民に示すべきである、資金の問題を中心にして。総理はどう考えますか。総理のお考えどうですか。大蔵大臣の方がいいですか、お金のことだから。
-
○橋本国務大臣 今
委員がそれぞれ御自分として試算をされました数字を挙げて世界的な資金不足に言及をされました。これはもう私どもといたしまして非常にありがたい御質問と言っては言い方が失礼かもしれませんけれども、いい問題を御提起をいただいたと思います。そして
委員が述べられましたことを私はなぞるつもりはありませんが、恐らく今
委員がお述べになりましたより実態として私はその資金需要は大きいであろうと思います。たまたま湾岸にお触れをいただいたわけでありますけれども、湾岸の復興需要というものについても、見方は数百億ドルから数千億ドルという非常に幅のある見方が現在存しておるわけでありまして、これはまさに新たに発生した資金需要でありますから、従来私どもが議論をいたしてまいりましたものにつけ加わるわけであります。これがどのぐらいの総資金量になるのかということは現時点では想定がつきませんし、また、十分な基礎的な数字というものも出ておらないということであります。
しかし、いずれにしても日本としては、そういう世界の資金需要にこたえていくために、やはり世界全体の貯蓄率をどうやって高めていくかということを極めて大きな課題として考えなければならないと思います。そのためには、主要国が引き続き協調しながら、先般のG7の席上でも確認をいたしましたように、健全な財政政策と安定志向の金融政策というものによって、世界的な金利の低下というものが結果的にもたらされる、また、世界経済の強化をより容易にする環境をつくり上げる必要があると考えております。
そうした中で、当然のことながら私は、日本の受け持つべき役割というものは次のような整理ができると思います。
まず、地理的なあるいは歴史的な環境の中において、我々はやはりアジアというものに対しては一番大きな責任を負うべきでなかろうか、これが一点であります。
また、一昨年の秋から引き続いて行動が起こされました東欧諸国、計画経済から市場経済への転向を目指しておられる東欧諸国に対する支援というものは当然我々は考えなければなりませんけれども、地理的にも歴史的にも必ずしも十分なノーハウを持っている地域ではございません。とすれば、今回創設をされますEBRD、欧州復興開発銀行というものをサポートすることにより、これを中心に東欧支援というものは組み立てていくべきものでありましょう。
そして、その先に位置づけられて従来議論をされてまいりましたソ連経済というものにどのような手だてを講じていけばいいのか。これは昨年末出てまいりました国際四金融機関の分析からまいりますと、当面ちょっと資金協力をしても余り効果がないという処方せんが出たわけでありまして、これはソ連自身の今後の国内における経済政策等とも密接に連動するわけでありますけれども、同時に、ソ連経済の立て直しが失敗いたしますと、下手をすると東ヨーロッパの経済復興の足を引っ張る。こうしたことを考えれば、日本がどれだけの役割を果たすかは別としても、世界としてはやはりここに注目を集めざるを得ません。
その上に、以前から累積債務国あるいは最貧国問題というものを抱えているわけでありますから、私は、おのずからその中において日本として負い得る部分、また、日本が積極的に役割を果たすべき部分、これは外交政策と相まって整理をつけておくべき必要性のあるものであると思います。ただ、それを今
委員が述べられましたような形で世の中にクローズアップしてしまうことが、結果として日本の外交政策上あるいは国際経済社会における行動上有利であるか不利であるかということについては、さまざまな見方ができるかと思います。基本的な考え方は
委員の御指摘と同様であります。
-
○
武藤(山)
委員 九十億ドルの配分、もうわかりましたか。交換公文は締結できたのですか。できたとすれば、その中身を発表してもらいたい、これが一つ。
もう一つは、イギリスの外務大臣とフランスの外務大臣かな、我が国の外務大臣に電話があったのか何か知りませんが、うちの方にも少々くれ、分けてくれ、そういう話があったという新聞報道があるのですが、真偽のほどはわかりませんよ。あったとすれば、それに対して外務大臣は、九十億ドルはもう決まっちゃっていて、アメリカへみんな行っちゃうんでだめと言ったのか。いや、交換公文の中であるいは幾らか行くかもしらぬと答えたのか。その辺の外務大臣の説明をひとついただきたい。
この二点をまず先に。
-
○
松浦(晃)政府
委員 最初に交換公文についてでございますけれども、おかげさまで国会で御承認いただきまして、十二日の閣議で交換公文決定いただきまして、それを受けまして、リヤドで恩田大使とGCC事務局のビシャーラ事務
局長の間で調印させていただきました。
交換公文におきましては、今回の一兆一千七百億円の額を追加的に湾岸平和基金に拠出する、これは適切にかつ専ら湾岸の平和と安定の回復のため国連安保理の関連諸決議に従って活動している各国を支援するための資金協力を行うために使用される、詳細は運営
委員会により決定されるということになっております。
それでは、第二点の国別の配分の点につきましてあわせて御報告させていただきたいと思います。
今の交換公文を受けまして、一兆一千七百億円は十三日に日本政府から湾岸平和基金に払い込みを行わさせていただいておりますが、それを受けまして、湾岸平和基金の運用管理に当たっております運営
委員会でこれから国別配分を議論することになっております。今先生具体的に御質問ございましたイギリス、フランスからも、大臣レベルそれから外交ルートを通じましていろいろな要請が寄せられております。
それから、あわせて申し上げたいと思いますけれども、従来の十九億ドルで支援してまいりました中近東、アジア・アフリカの国も十一カ国ございまして、これらの国からも要請が寄せられているわけでございます。
それから、最後になりましたけれども、今回の平和回復活動の中核を担いましたのはアメリカでございますので、アメリカも大いに期待をかけているというところでございますので、そういうこれらの各国からの要請を踏まえて運営
委員会で議論をして決定していくということになっております。
-
○
武藤(山)
委員 局長、運営
委員会の決定はまだ受けていないが、外務省としては、ややの線は電波で来ていると思うのですね。アメリカはこのうち何割ぐらいを取りそうなんですか。それで、イギリスやフランスには行く可能性があるのですか、ないのですか。
-
○
松浦(晃)政府
委員 最初にアメリカでございますけれども、今申し上げましたように、今回の湾岸地域におきます平和回復活動の大宗を担ってまいりましたのはアメリカでございますから、今回の一兆一千七百億円の大宗はアメリカ向けになるだろうと考えておりますけれども、最終的には、今申し上げましたようにほかの国からもいろいろ要請が寄せられておりますので、運営
委員会で議論する、そして決定するということを考えております。これは、まさに今先生御指摘のように、イギリス、フランス等ほかの国にどのくらい向けるべきであるかということにも関連しておりますので、そういうこと全体を踏まえてこれから議論をしてまいりたいと考えております。
-
○
武藤(山)
委員 配分が決まったら、後でまた我々には報告をしてくれますね。
委員長、ちょっと取りつけてください。
-
-
○
武藤(山)
委員 それから外務大臣、エジプトとポーランドが債務を棒引きにしてくれ、こういう話が進んでおりまして、私ちょっと新聞よく注意して見ていたのですが、エジプトに日本がこの該当する棒引きにしてくれと言われる金額の総額は三千五百九十一億円、ポーランドが千八百九十億円ですね。このうち、アメリカは八割ぐらい減額をしてやろう、そんな意見のようですね。
日本は
内海君が行って、今大蔵省が一生懸命頑張ってやっておるようですが、新聞によると、日本は五割引きぐらいで何とかおさまるような方法を考えたい、そういう新聞報道なんでありますが、まだ結論が出ていない微妙な時期だけに、大蔵大臣は答えられない面がたくさんあるんだろうなとは予想いたしております。おるけれども、私大変心配しているのは、この棒引きした場合に、どこが、日本のどの機関が損をするのか。海外経済協力基金なのか、それとも別な保険機構、保険で補償するとなると通産省なのか外務省なのか、その落ちつく、半分棒引きにしたときの負担のかかる機関はどこで、最終的には国民の負担なんですからね。もう国家の運営はすべて国民のお金なんですから、最終的には国民がこれを負担することになるので私は大変関心を持っている一人であります。いい悪いはまだ申しません、決まったわけじゃありませんから。ただ、そういう報道が今ある。半額にした場合にどういうことになるのかということをちょっと聞きたい。どの機関がどうかということを聞きたい。
それからもう一つは、前回湾岸支援で二十億ドル出したお金のうち、エジプトなどには金利一%で貸しているわけですね。二十億ドル、金利一%というのは安い金利ですね。国内の国民は六%、七%、高い金利で使っているものですから、はあ一%はいいな、うらやましいなと言ってよだれが出るような話なんですね、一%は。それを今度はエジプト、湾岸の今度の場合に二十億ドルを金利一%で貸すのですね。
そうすると、これはコストというのがあるわけですから、もともと金には。コストが五%の金利になっていたのか、四%になっていたのか知らぬが、一%で貸すということはその差額を日本の国民が負担するということですから。これは一体幾らになるのか、そのコストとの差額が。これも大変関心があるのですよ。その辺を説明してもらうにはどこがいいのですか。大蔵大臣、外務大臣ですか。
-
○橋本国務大臣 後で数字の点については事務当局から補足をお許しいただきたいと思いますけれども、多少のお時間をいただき、この公的債務削減問題についての経緯の御報告をいたしたいと思います。
この問題が正式に論議の対象として出てまいりました最初の舞台は昨年のヒューストン・サミットでありました。そしてこの際、大陸諸国から、特にポーランドを中心とした東欧諸国、これは漠たる表現でありましたけれども、公的債務削減の問題が提起されたわけであります。そして、そのとき日本としては、一生懸命に営々として苦しい中から現に返済を進めてくれている国がある、そうした国々に対して一体どういう対応ができるんだ、それは非常にバランスを失する話ではないかという反論をいたしまして、このときには論議はいわば打ちかけの格好になりました。そして、パリ・クラブに対して、債務負担に対処する追加的なオプションを引き続き検討するよう奨励するという結論でこの際は終わったわけであります。ところが、昨年の九月のG7の際、今度は同じ問題がアメリカからも論議として提起をされてまいりました。そして、そのときのアメリカ側の論議は、公的債務の削減こそが国際経済の中での特別な処方せんというようなニュアンスをもちまして、むしろニューマネーを供与することによってその国の経済立て直しを図る方が長期的に見てそれぞれの国のためになるという主張をした日本と真っ向からぶつかり合う羽目になりました。そして、それは九月のG7以降先般まで、まさにブレイディ財務
長官と私との間が一番激しいやりとりを続けてきたテーマであります。
そして、日本としては、累積債務国の公的債務を削減いたした結果として、果たしてそのようなことまでしなければならない国に民間からニューマネーが出ていく可能性が存在するのか、民間からニューマネーが出ていかないとすれば、公的債務が削減された結果としてその国はかえって経済運営が厳しい情勢になる、そして日本がある程度積極的にニューマネーを供与してきたのは、それぞれの国が自分の足で立って借金が返せる状態をつくるため、そのやり方が悪いと言われるなら、我々として、少なくとも国民の税金をもってニューマネーを供与してきた国に対し債務削減が行われれば、その後におけるニューマネーの供与はできないというところまでの激しいやりとりを続けてまいりました。
その中におきまして、現在パリ・クラブで特にポーランド、エジプトというところに絞ってさまざまな論議が行われております。私どもといたしましては、この救済策として、債務国に対して元本削減と同様の救済効果を与えるなどという点を踏まえ、元本削減だけではなく、金利の軽減でありますとか繰り延べ期間の長期化などのオプション、こうしたオプションもあり得るということで今主要債権国間の論議が進められておる状況と承知をいたしております。
今後におきまして、まだ結論が出ておるわけではございませんし、現段階では債務救済の方法、内容、削減率等についても完全に意見が収れんしておる状況ではありませんが、パリ・クラブで国際的な合意が形成されれば、その中で適切な対応を考えていきたいと現在考えておるところでございます。
-
○千野政府
委員 公的債務の削減につきましては、先ほど来御説明をいたしましたとおり、まだ最終的に決まっておりませんが、仮にこのような措置がとられ、日本が、元本削減ということはできませんがその他のこれに見合う負担をするといった場合にどうなるかということでございますが、海外経済協力基金の部分につきましては、これは結局はまず一次的には海外経済協力基金の負担になる。それから輸出入銀行の分につきましては、これは輸出入銀行の負担になるわけでございます。貿易保険特会も同様でございます。ただ、これは要するに日本から、こういう個別の国にそれぞれの機関から幾ら債権を持っているかということは、やはりこの国の信用にもかかわることで公表しておりませんので、今幾らということを申し上げることが残念ながらできないわけでございます。
ただ、考え方といたしましては、仮に元本削減、これは日本の場合はとり得ないわけでございますが、元本削減の方式でいけば、この債権を持っている機関に対しまして、この債権分の損失がPL上まず出てくる。それから一方資金収支の上では、何と申しますか、元本が減ることにより当該年度分の利払いの返済分も減ってくるという影響がまずございます。それから、金利を削減するという形で対応する場合には、当該機関の金利の削減部分がPL上損失になるわけでございまして、また資金収支上もその分だけ金利削減部分がマイナスに立つわけでございます。そういうようなことで方式によりますが、いずれにしましても、一次的にはそのような債権を持っている機関の負担になるということは言えると思います。
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○
武藤(山)
委員 局長、そういうことを聞いているんじゃない。今のは削減の方法論、元本削減方法、金利軽減、五%の金利削減案、金利元加十五年分の延長で、この三つのメニューでエジプトとポーランドを何とか救済しようという議論をしているのは新聞報道でよくわかっているんだ、今の説明は。私が聞いているのは、一%にすることによってコストの金額との差額が幾らになるのか、それは国民の負担になるんですよ、日本の損になるんですよということを聞きたいのだ。そこを答えてないんだよ。そこを答えてない。
-
○千野政府
委員 基金は、もともと開発途上国に対しまして、通常は相手国の所得階層に応じまして一%から四%ぐらいの金利で貸し付けておるわけでございます。もともと市場金利よりも低いわけでございまして、そういう意味では、一般会計への負担もかなりのものに既になっているわけでございますが、これに加えまして、湾岸の例えば三国に一%の超低利で貸したときにどういう追加の負担になるかという御指摘でございます。
それは、例えば過去十年間の調達コストの平均的な値をとりますと、調達コストの平均で三・七%程度ということになります。この三・七といいますのは、結局財投からの借り入れとそれから出資金の繰り入れ、これを平均したものでございますが、コストとしては三・七%程度になっている。これが平成二年度に金利一%で、例えば平成二年度の場合は六億ドル程度三国に貸しておるわけでございますが、その場合にどういうふうになるかといいますと、金利格差が今申し上げましたように、コストとの間で二・七%程度、それを前提に六億ドル掛けてみますと、いわゆるそれによる逆ざやというものは、平年度ベースで約二十三億円という計算になります。
-
○
武藤(山)
委員 時間が刻々迫って通告の半分いかないうちに時間になってしまいそうなんでありますが、今まで海外経済協力の金利をそれぞれの国別に、ある程度裕福な国、本当に貧困国、最低がLLDCという一番貧困な国と、こう分けていろいろやっているようですが、エジプトとポーランドは、この一番下のLLDC、この範囲に入らぬ国なんでしょうね。どこなんですか、ランクは。大体ランクは、このエジプトとポーランドは。一番下のランクなら一%わかるんですよ。ランクはどの辺なんですか。通産大臣わかるか。だれがわかる。
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○千野政府
委員 お答えいたします。
これはどの国がどこに当たるかということは言えませんが、大体対象国の真ん中あたりになろうかと思います。
-
○
武藤(山)
委員 対象国の真ん中ぐらいだと、三%が通常なんですよね、大体。それを一%にするというところに問題が一つあるということと、なぜエジプトとポーランドなのかということが第二の問題なんですよ、なぜ。ルーマニアもあれば、ハンガリーもあれば、チェコもあれば、困っている国いっぱいあるんだよ、東欧にも。東欧の中でただ一カ国ポーランドだけ。そして湾岸の国々ではエジプトだけを元金あるいは利息を計算して半分にぶった切ろうとか八割まけてやろうということをやると、ほかの国に波及しないか、今後。じゃ、おれの国もそうしてくれ、そうしてくれと、こうくるんじゃないのか。これが一つ心配出てくる。ポーランドはうれしくて早速海部総理のところへ総理から電話が来たという新聞記事もありましたね。そのときに海部総理は、いや、割合なんか言わぬ方があなた得だよ、かえって言うとぼっこれちゃうかもしらぬよというようなことで、何かちょっと慎重な答えをしたというのが新聞の報道で、私も、ああ、なかなか感心だ、読んだ瞬間そう思ったんです。しかし、このポーランドとエジプトだけというのがなかなかくせ者なんです。なぜそうなったかという根本は、私はやっぱりアメリカの意向だと思うんですよ。アメリカの戦略ですよ。やっぱりエジプトは、アメリカがあの中東においてきちっとしておきたい、ポーランドは東欧におけるアメリカの基盤を、きちっと西側の基盤をつくらせたい、そういうアメリカの原理に基づいてやはりそういうことが行われているんですよ。これは日本の主導権なんか全然ないんですよ。日本は後ついていくだけなんですけれどもね。それにしても、後々こう方々からおれの方もそうしてくれという要求が出てくるんじゃないかというのが大変心配なんであります。
新聞見ていると、毎日のように違う新聞がどんどん出てまいりまして、ルーマニアにはODAを政府は支援しよう、ハンガリーには輸銀融資で面倒見よう、そして、今度は周辺国援助を拡大して、一千三百億円をインド、パキスタン、バングラデシュ、モロッコ、シリアに支援をしよう。次から次へ新聞に援助ばかり出てくるもんだから、きちっとした原理原則は一体どこにあるのかな、これが大変私は心配なんですよ。そこで今この問題をこう質問しているのでありますが、エジプト並びにポーランド、まあ五割と言っちゃうとまずいと思いますが、五割減額をする場合に、他国に波及する心配はないか。この点どうですか、総理大臣。これは大蔵大臣、今むかっとしたようだから、ちょっと何か反論したいようだから、あなた答えてみてください。
-
○橋本国務大臣 今全部アメリカについていくと言われましたが、アメリカに全部ついていくのであれば、昨年の夏から私はこんなに毎回毎回ブレイディさんとの間に激論を闘わす必要はなかったな、そう思ったということであります。これは率直な感じです。
その上で、今まさに
委員が御提起になりましたような、特に今回の論議でもほとんどエジプトが論議になっておりませんようで、主としてポーランドに終始をしたようでありますが、なぜポーランドかということ並びにその波及をどうするかということを私自身が提起し、いまだに紛糾を続けている最大の原因であることは御理解をいただきたいと思います。そして、もしその点についてある程度きちんとした歯どめの保証があれば、今日まで議論が長引いてもこなかったと思います。しかし、その歯どめが非常にあいまいな中に議論が提起され、その歯どめがあいまいなままに終始しておりますために、先般の一月二十日、二十一日のG7においても、私はこれについて同意をせずに今日に至っておるということでありまして、決着を見るときには、その辺についてのそれなりのルールというものも考えておかなければならないと思っております。
-
○
武藤(山)
委員 大蔵大臣、私橋本大蔵大臣尊敬しているんですよ。歴代大蔵大臣の中でも、いやあ年は若いけれども、橋本大蔵大臣というのは歴史に残る立派な男だと思っているのです。その証拠を一つ挙げても、例えば欧州復興開発銀行の出資にしても、橋本大蔵大臣が頑張ったから円の出資認めたんですよ。これは円が国際通貨になるという大変大きな出来事なんだ、これは。僕はそういう意味では大蔵大臣を大変評価しているんですよ。
たまたま外交面でアメリカにぎゅうぎゅうやられていくとみんなそっちへなびいていかざるを得ないという、これは日本だけじゃないんで、世界がもうすべてアメリカ一国が地球を動かせるような大きな力になっちゃったんだ。ソ連がああいうことになって、今やもうソ連までアメリカもうでをしなければならぬという状況の中で。だから、それはもう仕方がないことだと言えばそうなんだけれども、しかし、そればっかりではいかぬ。やっより日本は主権国家なんだから、言うべきこと、守るべきことは、やっぱりきちっと言わせてもらわなきゃいかぬ。それがグローバルパートナーなんだ。そういう立場ですから、私は決して橋本さんをけちつけようなんて思ってない。
ただ、私がかちっときたのは、エジプトは元金まで削ってくれと言っておきながら、きのうの新聞では、ソ連に十億ドル貸すんですよ。ほかの国からは棒引き棒引き言っておきながら、他国に十億ドルもソ連にトルコが出せるというのを見ると、どうも審査が甘いな、こう思わざるを得ないんであります。そういうことで、私は今のエジプトとポーランド問題についてはどうも解せない、納得できない、そういう感じなのであります。
それからGCFCGですか、湾岸協議会、湾岸危機金融支援調整
委員会ですか、これは日米欧が湾岸諸国を応援するということで、今復興のためにいろいろ会議をやっていますね。その中で百五十七億ドルの資金が決まりました、支援が。そのお金を出す出し方は、湾岸諸国が九十八億ドル、ECが三十二億ドル、日本二十二億ドル、その他が五億ドル、合計百五十七億ドルということに発表になっておりますが、この日本の負担の二十二億ドルというのは、湾岸支援のときに決まった二十億ドルのことを意味しているのか。そして、だとすれば、足らない分あと二億ドル出せばいいということなのか。あれとは全く別にまた二十二億ドル出さなければいかぬというものなのか。よく私わからないので、ちょっとその点を説明してください。
-
○千野政府
委員 GCFCGからの資金支援百五十七億ドルの中の二十二億ドルでございますが、これは既に湾岸の三国にお約束をしました二十億ドル、これが主体でございまして、そのほかに難民の救援などで約一億ドルでございます。それからあとさらに、これに先般のこのGCFCGで表明をいたしましたシリアに対する一億ドル、以上で二十二億ドルでございます。
-
○
武藤(山)
委員 今の百五十七億ドルはわかりました。エジプト、トルコ、ヨルダンが百十七億四千百万ドル、シリア、レバノン、バングラデッシュなど七カ国で三十九億六千万ドルという配分だと新聞は報じております。日本は幸い二十二億二千六百万ドルは既に全部拠出したものである、新たな追加ではない、こう理解をいたしました。
そこで、まだこれ以外にくすぶってお金を出してくれということが起こってくる。この千三百億円の周辺国援助の、総理、インド、パキスタン、バングラデシュ、モロッコ、シリア、これは今まで論じた金とはまた全く別な金ですよね、この一千三百億円というのは。これはなぜ一千三百億円を出すんですか。
-
○川上政府
委員 お答え申し上げます。
先生御指摘の周辺国以外の国につきます援助につきましては、域外の援助でございますが、今後西側の諸国だとかIMF、世銀等々と協調をしながら、それぞれの国のニーズを十分踏まえながら、我が国として、特にアジアの国の場合は、我が国が年次の経済協力をやつている国でございますので、そういう年次の経済協力の協議のコンテキストで十分先方とも話し合いながら必要な額を、援助額を決めていく、そういう手続になろうかと存じます。
-
○
武藤(山)
委員 この千三百億は通常の支援である。特別に、急に起こった問題を処理するためにお金を出すのじゃない。通常の経済情勢の推移から援助するのは当たり前だということで出た金なのか。
-
○川上政府
委員 先生御指摘の千三百億円ということにつきましては、我々特にそういう数字は何も頭にございませんで、ただいま申し上げましたように、その他の地域の国につきましては、通常の経済協力のコンテキストにおいて、それぞれがどのくらいニーズを持っているのか、今度の湾岸危機によってどのくらい深刻な経済的な打撃を受けたのかということを慎重に各国と協議しながら、それぞれの国及び国際機関等でございますが、そういうところと協議しながら決めていく、そういうことでございます。
-
○
武藤(山)
委員 それぞれの国と協議するのはだれが行くのですか。これは四月か五月中に正式に決定する。外務大臣がこれらの国々を歩くのですか。だれがその実情を把握して金額を決めるのですか。
-
○川上政府
委員 例えばアジアの国、先ほど申しました年次の供与国でございますが、インド、バングラデシュ、パキスタンといったような国につきましては、それぞれ世銀のコンサルタティブグループ、協議グループというのがございます。これが大体会合を行いますのが通常春、四月から五月、六月といった時期でございます。その前に、我々は通常政府の、例えば円借款につきましては、円借款の調査団といったようなものを現地に派遣しまして、先方政府と慎重な政策対話を行った上にニーズを把握して必要な額を決めていく、こういうプロセスになろうかと存じます。
-
○
武藤(山)
委員 もうあと五分ですか。
実は、通産大臣ですか、エネルギー問題ですね。日本は第一次オイルショック以降省エネを徹底して、世界でも例を見ないような省エネの努力を続けて立派な成果を上げたんでありますが、その後、平成元年度は五七・九%、石油依存度上がっちゃっていますね。目標は五二・五%にしようという計画があったわけでありますが、ちょっと省エネの運動、努力が足りない、こう私思うのですが、これからひとつこれらの問題についてどうするか。
もう時間ないから最後にもう一つ。去年の甲子園の高校野球のときのピークのときの電力量がばっとふえて五百万キロワットぐらいの電力が足りなくなった。そこでほかの地域から九電力の送電をし合う、こういうことで停電をしないで何とかかすかすのところで突破できたわけでありますが、これからそういう事態がかなり起こると私は予想するのですが、その場合に、今の日本の送電のあり方が、富士川を境にして五十ヘルツと西の六十ヘルツに二分されているわけですね。ですから、周波数の問題がこれあり、あるいは大送電線の五十万ボルトの整備の問題がこれあり、いずれにしても、変換能力を増強しないことには対応できない、こう思うのですね。その辺をなぜそれがもっと早く変換能力の整備ができないのか。金がないためにできないのか、それとも九電力の縄張り争いでできないのか、国民のためになることだったらどんどん国は支援をして、早くこれの実現をして大きなキャパシティーにしなければいかぬ、私はそう思うのですが、これが最後の質問で終わりますので、お答えを願いたいと思います。
-
○中尾国務大臣 エネルギーの問題は、これはもう
委員御案内のとおりに、大変に需要の増大がここのところ見られております。地球環境問題に対する関心の高まり等エネルギーをめぐる問題というのは変化が見込まれておることはもう御案内のとおりでございますが、特に後のエネルギー政策におきましては、エネルギーの安定供給の確保及び地球環境の安全と経済の安定的発展の両立というものが重要な課題である、これは申すまでもございません。
通産省では、かかる基本的な考え方に立ちまして、従来から税制や財投による省エネルギー及び石油代替エネルギー等の促進あるいはムーンライト計画、サンシャイン計画などはもう実施しておるのは、これも先生もまた御案内のとおりでございますし、省エネルギー推進及び石油代替エネルギーの開発導入にこれまた努めておる。二月が実はエネルギーの省エネ月間になるのですが、二月が終わったからといって、これをもうやめてはいけない。だから、省エネというのは何も今がやることじゃなくて、ずうっとやっていくことが、恒久的に続くべきものであるというのが私の認識でございます。
以上でございます。
-
○
緒方政府
委員 御質問の後半の周波数変換の問題と送電線の問題でございます。
電気事業者は従来から、全国的規模で電力の施設の有効活用あるいは一時的な電力需給の変動へ対応するために、各社間での電力融通を行っているわけでございます。そして御指摘のとおり、五十ヘルツと六十ヘルツの変換の問題があるわけでございますが、現在静岡県の佐久間の変電所と長野県の新信濃の変電所におきまして、合計六十万キロワットの周波数変換設備が稼働しているわけでございます。これでは十分ではございませんので、新信濃の方におきまして、平成四年度使用開始を目途に、三十万キロワットの周波数変換能力の増強を現在行っているところでございます。
今後、電力需給の地域間のアンバランスあるいは需給の変動等への対応も含めまして、全国的な規模で電力施設を有効に活用し、電源開発をするという観点から、より広域的な運営を一層促進させることが必要と思っておりまして、送電線網の整備あるいは周波数変換設備等の整備につきまして、広域運営の推進方策について電気事業審議会の中でも今鋭意検討しているところでございます。
-
-
-
○
草川委員 草川であります。
まず最初に、社会党、公明党、民社党三党で、この予算審議の締めくくりに際しまして、重点要求、こういうものを出しておるわけでございまして、私どもの担当といたしまして二点の問題について政府の見解をお伺いをしたい、こう思います。それぞれの大臣からお伺いをいたしまして、総理から二点についての見解をお願いをしたい、こう思います。
まず最初に、実効ある育児休業法の成立という問題、これはもう今新聞等でもいろいろな立場から問題提起が出ておるところでございますが、子供を育てながら働く人にとって、その能力と経験を生かしつつ、職業生活と家庭生活との調和を図ることができるよう、今日までの協議経過というのを踏まえまして、所得保障などについて前向きの打開を図り、同時に中小企業への配慮も十分考慮し、効果的な育児休業法、これを今国会で成立をさせるよう、ぜひ政府としても努力をしていただきたい。いわゆるぬくもりのある、実効性豊かな内容にその法案というものをしていただきたい、こういうように思うわけであります。お答えを願いたい、こう思います。
-
○小里国務大臣 先生お述べいただきましたように、子供を育てながら家庭におきましても主役を務める、あわせてまた外に出まして働く、この両面をいわゆる援助申し上げ、そしてまた環境を整えてあげたい、こういう観点から、御案内のとおり育児休業制度化を強力に進めるために、せんだって婦人少年問題審議会等の意見もお聞きしながら、実は御承知いただいておると思うのでございますが、本日、その審議会に正式に諮問をいたしたところでございます。
そのような状況でございますから、さまざまな立場からさまざまな強い要請がたくさんありまするその内容について、今日の段階で具体的に踏み込んで整理した説明を申し上げる状況に至っておりませんけれども、しかしながら、ただいま先生がお話しいただきましたように、中小企業にかかわる関係者の立場等には十分配慮をいたしながら進めてまいらなければならないと思っております。
なおまた、本法案の取り扱い等につきましては、しばしば申し上げておりまするように、鋭意今次の国会に間に合うように、そしてまた御論議をいただく機会をつくりたい、かような考え方でございます。
-
○
草川委員 今御答弁がありましたが、参議院の方でも独自の立場からの法案の提言があるわけでありますし、また参議院の社会労働
委員会等でも、この育児休業制度についての検討小
委員会まで持たれているわけでありまして、先ほど私が触れましたように、本当にこれは出生率の低下もあるわけでございますし、ぬくもりのある実効性のある法案にぜひしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
第二番目の問題は、四百三十兆円の公共事業計画、これを生活基盤拡充に重点を置いてもらいたい、こういう問題提起であります。今さら言うまでもございませんけれども、二十一世紀へ向け、豊かな国民生活を実現するため、今後十年間の公共投資が言われているわけでございますが、これを国民生活重視の公共投資としていかなければならないと思います。
計画、執行についても、従来の硬直的あるいは固定的配分のやり方ではない、改善を図ることが重要ではないだろうか。この生活関連重点化枠というものを毎年度大幅に確保し、その配分を生活関連に振り向けることによって、全体としての配分比率というものを変えていく、こういうことが重要だと思うわけであります。
また、これは過日のこの
委員会でも我々の同僚が問題提起をしておりますけれども、いわゆる地方の負担というものも軽減をするということを大切にしながらこの公共投資のあり方ということを考えていただきたい、こういうことを申し上げたいと思うのですが、その点についての回答をお願いを申し上げたいと思います。
-
○
越智国務大臣
草川委員にお答え申し上げます。
公共投資基本計画では、二十一世紀へ向けて国民生活の質の向上、多極分散の促進等を行っていくためには、公共投資による社会資本整備を計画的に推進することが重要であるとの認識のもとに、平成三年度以降、十年間の公共投資総額をおおむね四百三十兆円としたところであります。また、国民生活の豊かさを実感できる経済社会の実現に向けて、公共投資額のうち生活環境・文化機能にかかわるものの割合を増加させることといたしております。
平成三年度予算編成に当たりましては、概算要求基準において本格的な高齢化社会が到来する二十一世紀を見据え、着実な社会資本の整備、特に生活関連分野の充実を図っていく必要があるとの観点から、このような公共投資基本計画等に示された考え方を参考として生活関連重点化枠二千億円を設け、真に国民の日常生活の向上に密接に結びつき、直接の効果の上がる事業に具体的配分を行ったところでございます。
いずれにせよ、公共投資基本計画は、各種公共事業関係長期計画や各年度の予算等において具体化されることになりますが、先生の御質問の御趣旨を踏まえ、インフレーションや景気過熱を招かないよう留意しつつ、各時点での経済財政事情を踏まえ、機動的、弾力的に対処していくことが重要と考えております。
なお、公共投資については、国の一般会計のみならず、地方公共団体や公的企業等の多岐にわたる公共投資の実施主体が、それぞれ公共投資基本計画を指針として着実に実施するよう努力したいと考えております。
-
○海部
内閣総理大臣 各党間で御相談をいただいた中で、二点にわたってただいま御質問がありましたが、それぞれ担当大臣がお答え申し上げたとおりでありますけれども、私といたしましても、子供を育てる方が育てながら職業生活と家庭生活とを両立していくことができるような育児休業制度というものの普及と、その内容に盛り込んでいくものは何を盛り込んでいったらいいか、いろいろ多様な御意見もございますので、鋭意成案化の努力を続けておるところでございますから、その方針で労働省にも作業を急がせております。
また、四百三十兆の公共投資の問題につきましては、企画
庁長官が言ったとおりでございますけれども、今後とも、真に生活の豊かさを実感できるような、生活に関連した枠をどのように置いて努力をしていくかということを、十年間、これから計画に従って行っていくわけでありますから、その間、常に御質問の趣旨を念頭に置きながら対処をしていく考えでございます。
-
○
草川委員 今お二方の大臣と総理から御答弁がございましたが、ぜひその趣旨を踏まえて、我々の要求、申し入れにこたえていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。
次に移ります。
本日は、大変長い間議論をしてまいりました予算案の締めくくりでございますので、特に公明党が今回非常に強く訴えてまいりました湾岸平和基金協力の内容について、締めくくり総括にふさわしいまとめをひとつ申し上げ、総理の答弁をいただきたい、こう思うわけであります。
まず第一に、九十億ドルについては、GCCとの交換公文も取り交わされた、こういうように聞くわけでございますし、拠出も行われたようでございます。その具体的な使途についてこの運営
委員会でいかなる決定が行われたか、詳細にひとつお答えを願いたい、こう思います。
-
○海部
内閣総理大臣 最初に、御指摘をいただきました金額は、御協力をいただきまして補正予算において一兆一千七百億円の拠出を認めていただきました。御理解を賜りましたことに感謝を申し上げます。これは閣議において交換公文の了承をし、湾岸協力基金への拠出を終了いたしました。
きょうまでの御議論の中で、私はこれを湾岸地域の平和回復活動のために拠出するお金として、使い道についての御議論の中で輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連などの経費に充当するようにしたいと述べてまいりました。以上の基本的な考え方を踏まえてGCC及び関係諸国と協議してまいりましたその結果、今般、湾岸平和基金の運営
委員会におきまして、輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連、通信関連、建設関連の六分野の経費を対象とすることを決定をしまして、従来御説明しておりました事務関連等と述べておりました「等」という字をやめまして、具体的にどの分野が入るかを運営
委員会で決定したところでございます。その結果、今後は、繰り返しますが、輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連、通信関連、建設関連の分野の経費を対象とすることといたし、それを明示いたしました。
-
○
草川委員 今の答弁で、従来の「等」という言葉がより具体的になったというようなお話でございますが、我々はしかと承りました。
二番目の質問でございますが、この九十億ドルについて、いわゆる武器弾薬には充当しないということを何回か申し上げ、前回私自身もこの問題を取り上げまして、その担保措置はいいのか、これまでの説明でいいのかということを申し上げてきたわけでございますが、改めて本日ここで、武器弾薬に使われないための担保措置は今までの説明どおりきちっと行われているのか、改めてお伺いをしたい、こう思います。
-
○海部
内閣総理大臣 ただいま申し上げましたように、今回湾岸運営
委員会においてきちっと、六分野以外は対象としないということを決定をいたしました。したがいまして、長い間御議論がございましたが、武器弾薬の購入は含まれておりません。
また、運営
委員会は、この我が国の拠出の意図を尊重して、我が国の意思に反した使途には充てられないよう確保し得る仕組みとなっておりますので、そのようにしていきたいと思っております。
-
○
草川委員 では、これは総理に、この問題についての最後になりますが、いわゆるアメリカの国内からのニュースも何回か入ってまいりましたし、我々もその都度質問をしてきたわけでありますが、アメリカ政府の九一年度補正予算では、全額アメリカ向けだと、こう言ってきたわけであります。この問題について、これは最終的には、積算の根拠がどうだとかいろんな議論があった上での政治的な決断だ、こう私は思っておるわけでございますが、改めて総理にお伺いをしますが、この九十億ドルというのは米国以外の多国籍軍関係者にも充当されるのかどうか、これは総理から御答弁を願いたい、こう思います。
-
○海部
内閣総理大臣 今回の補正予算でお願いしました拠出金は、湾岸の平和回復活動に対する我が国としての国連決議に基づく要請を受けての応分の支援と自主的に判断して拠出した金額でございますが、最終的には湾岸平和基金の運営
委員会で決まることになっておりますが、あくまでもこれは湾岸平和基金の
委員会で決めるものでありまして、アメリカ側の意向についてもいろいろここで御議論はございましたが、アメリカの意向にも、発言にもそれぞれ、人によってというと言い方は悪いんですが、二月六日の国務
長官の下院における証言とか、あるいは七日の財務
長官の下院における御発言とか、いろいろ幾らかのニュアンスの差はございます。けれども、日本側としては、平和回復活動の大宗はアメリカが行ったわけでありますから、大宗はアメリカに行くものと思いますけれども、そのほかの国々にもこれは充当されることになるであろう、最終的にはこれは平和協力基金で、運営
委員会で決定しますから、その決定を待ってからにいたしたいと思います。
最初の第一回の分も九一%がアメリカに行っておるということは、既に国会に御報告をしておるとおりでございます。
-
○
草川委員 今のお話は十分わかりましたが、他の国にも振り向けられるであろう、こうおっしゃっておられますが、具体的な国名を、差し支えなければ御答弁を願いたい、こう思いますが、どうでしよう。
-
-
○
松浦(晃)政府
委員 総理が今申し上げられましたように、今回の一兆一千七百億円に関しましてはこれから運営
委員会で決めますので、具体的な国の名前を現段階で申し上げにくいわけでございますけれども、従来十九億ドルで十三カ国を支援しておりますので、まさにこれらの国が対象になります。したがいまして、この十三カ国をちょっと申し上げたいと思います。
これはアメリカが、今総理が言われましたように全体の約九一%でございますが、そのほかの九%をイギリス、エジプト、シリア、サウジアラビア、モロッコ、バハレーン、カタール、バングラデシュ、セネガル、パキスタン、フィリピン、ポーランド、以上十三カ国でございます。
繰り返しになりますが、これらの国々を含めまして大きな期待を寄せておりますので、最終的に運営
委員会で決めることになると考えております。
-
○
草川委員 次に質問を移します。
先ほども出ておりましたけれども、いわゆる国連の平和維持活動、いわゆるPKOでございますが、今これに協力するための新しい組織づくりというので議論になっておりますが、この点についての政府の考え方というのを我々、新聞等では拝見をしておるわけでありますが、改めて本席をおかりをしてお伺いをしたいわけです。
まず、自衛隊とは別個にこの問題について対処しようということが、昨年秋の自由民主党あるいは公明党、民社党三党合意というのがあるわけでありますが、この三党合意というものを基本に成案をまとめられる考えかどうか、これをまず第一にお伺いをしたい、こう思います。
〔増岡
委員長代理退席、
委員長着席〕
-
○海部
内閣総理大臣 前国会の国連平和協力法案の御審議をいただき、その審議の経過の中の御議論を踏まえ、廃案の後を受けて、三党合意の覚書を政府は念頭に置いて作業を進めておることは当然のことでございます。
-
○
草川委員 二番目の問題で、これは自由民主党の
渡辺さんが中国へ行かれたときのニュースも一つの材料になる質問でございますが、中国の呉学謙副首相あるいは李鵬首相が、かつて日本と交戦をした国々の間には自衛隊の海外派兵への懸念というのが非常に強い、こういうように言っておみえになるわけでございますが、一々外国の要人の発言を引き出して感想を述べるのもいかがかとは思いますけれども、隣国でございますから、またかつて日本の過ちというのもあるわけでございますから、重要な御発言ではないだろうかと思うのですが、この発言に対する見解を賜りたい、こういうように思います。
-
○海部
内閣総理大臣 隣国の首脳がさまざまな形でいろいろな御意見を述べられることは私も報道を通じてもよく承知いたしておりますし、また私自身が顧みて、日本が過去に歴史の上で犯してきた近隣諸国に対する過ちに対しては、これは率直に反省をし、二度と繰り返さないという決意も何回も表明しておるところでありまして、新たなる国際社会に対する協力のあり方ということを考えるときにも、そういった懸念とかそういった過去に対する十分な反省の上に立っての考えでなければならない、私自身はみずからをそう戒めております。
-
○
草川委員 法制
局長官にちょっとお伺いしますが、昨年の十一月六日のこの衆議院の国連特で公明党の
渡部一郎議員が質問をしたわけでございますが、いわゆる国連待機軍ないし平和維持活動と憲法との関係、いろいろと質問しておみえになりますし、また答弁も何回かしておみえになります。その内容を整理して、いま一度整理したものをここで御答弁願いたい、こう思います。
-
○工藤政府
委員 御質問の点につきましては、昨年の十一月六日、衆議院の国際連合平和協力に関する特別
委員会におきまして、
渡部一郎議員に対して御答弁申し上げました。その点を整理してと、こういう御質問でございますが、御質問の点、まず第一に戻りますところは、昭和五十五年の十月二十八日付の衆議院稲葉誠一
委員の質問に対する答弁書におきまして述べているところだと思います。
これは、いわゆる平和維持活動のために編成された国連軍、これにつきまして述べているものでございますが、いわゆる平和維持活動のために編成された国連軍については「個々の事例によりその目的・任務が異なるので、それへの参加の可否を一律に論ずることはできないが、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。これに対し、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴わないものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないわけではないが、現行自衛隊法上は自衛隊にそのような任務を与えていないので、これに参加することは許されないと考えている。」このような主意書に対する答弁書がございまして、これを基本に置いたものでございます。また、現在もそのように考えております。
-
○
草川委員 では、それを受けて第二問を行いますが、紛争地域で兵力の引き離し、それから、そこの軍隊の撤去確保、それから停戦監視等を行う、その場合ですが、武力の行使を伴う平和維持軍に参加をする主体が自衛隊であるかあるいは自衛隊以外の国の組織であるかによって、今の答弁の結論というものは異なるものであるのかどうか、念のためにお伺いをしたいと思います。
-
○工藤政府
委員 ただいま、平和維持活動のために編成された国連軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、これに参加することは憲法上許されない、かようにお答え申し上げましたが、それの許されないとされる主体、これは一般論で申し上げれば国でございます。自衛隊とそれ以外の我が国の組織とで差が生ずるものではない、かように考えます。
それで、昭和五十五年の十月二十八日付の先ほど述べました答弁書におきましても、平和維持活動のために編成された国連軍に対する自衛隊の参加について答弁しております。その趣旨は自衛隊以外の我が国の組織についても及ぶものと理解しておりますし、過去におきましてもその旨を国会答弁で述べていることがございます。
-
○
草川委員 では、
長官の話はこれで終わりまして、掃海艇派遣という問題について、午前中も質問がございましたけれども、政府の方は、米側から派遣要請は来ていないという趣旨の答弁がございました。しかし、言葉じりをつかまえるわけではございませんけれども、与党の政調会長が野党の政策審議会長との会合の中で、雑談という形ではございますけれども、一定のお話があったようでございます。
私どもは、今後の問題提起として、この発言を単なる雑談として受けとめるべきか、あるいは、政府は聞いていないから政府のお話をそのまま信ずるのか、非常に戸惑っておるわけでございますが、改めてお伺いをいたしますけれども、常識的には、湾岸に海洋汚染、港湾汚染というのがどんどん進んでいる、機雷もある、外務大臣のお話のように日本の船舶の出入りも非常に困難な状況がある、だとするならば、米側からそのような何らかの打診があっても、それはそのようなことはあったのかなという気はいたします、率直に。全くないという御答弁もこれも疑わしいという気持ちがあるわけであります。
だから、いいか悪いかというのは別といたしまして、我々は今日のような国際情勢の厳しさというのを嫌というほど体験をしながら議論してきたわけでありますから、何らかのお話が以前あったのか、今はないかもわからぬけれどもそれは昔の話だったのか、こういう議論も私はあると思うのでございますが、率直なひとつ経緯をお示し願いたい、こう思います。
-
○中山国務大臣 ペルシャ湾のイラクによる機雷の敷設あるいは海洋汚染等についての情報収集は、政府としては関係諸国とともに鋭意いたしておりまして、
委員御存じのように、環境調査団は既に出発をいたし、現地で調査をほぼ完了するような状態になっていることは御承知いただいていると思います。
一方、ペルシャ湾でイラクによって敷設された機雷は幾つぐらいあるのかという情報につきましては、湾岸に千から千二百個ぐらいの機雷が放置されているという情報が政府に入っております。それから、クウェート沿岸にイラクが機雷を敷設したものとも考えられる。
それで、この湾岸の機雷の掃海作業というものは一体これから先どれぐらいかかるものかということになりますと、日本がやるということではなしに、世界的な立場で見た場合に相当長期にわたるということがございますし、最低半年ぐらいはかかるんじゃないかという情報がございます。
そこで、現在中東に派遣されている掃海艇というのはどこの国がどれぐらい出しておるかということにつきましては、イギリスが五隻、アメリカが四隻、サウジアラビアが二隻と掃海艇は十一隻でございまして、私どもがなぜ注意をしておるかといいますと、実はこの地域に重油を積み込みに行く日本のタンカーが毎日相当隻数に上る可能性がある。その船員と船舶の安全をどのように確保することができるのか、そういうことにつきまして関係各国と情報を集めているわけでありまして、私どもといたしましては、けさの午前中の質問にもございましたように、これはまず一番の当事者である海員の方々の組合にも、政府としてはこれから入ってくる情報をお知らせすることが極めて重要である、このように考えております。
-
○
草川委員 この問題は、ではこの程度にしておきます。
これは総理にお伺いをしたいと思うのですが、先ほど御質問しましたPKOについてであります。
細かい内容を一々聞き出すという意味でなくて、政府のお考えになっている概要というものを引き出したいわけでありますが、派遣要員の要するに構成だとか新しい組織の形態とかあるいは任務の範囲、こういうものについて可能な限り現在お考えになっておみえになる点を御説明願いたい、こう思います。
-
○海部
内閣総理大臣 これは新しい組織の決め方、それからもう一つはどのような範囲を行うのか、前回の国会の御議論等も踏まえて新しい国際協力のあり方について考えておりますことは、国連の平和維持活動に関する協力と国連決議に関連して人道的な救援活動に対する協力、これを行わなければならないということでありますが、ただ一点組織の問題につきましては、具体的にどの資格の人をどこでどのような状況でやっていくのか、あるいは常設にするということについてもいろいろな問題点がございます。
といって、人材の中で、全く初めてのお方、ただやってやろうというだけの方を全国からお集めして、それで有効なこういった平和維持活動ができるのかどうかということなどについても、国連そのものとかあるいはこういった平和協力活動をしておる国にも調査団は既に行ってまいりまして、その報告等をまとめて今成案を得るべく努力をしておる最中でございますので、御指摘の三党合意のことはきちっと念頭に置いた作業を続けておりますが、政府の成案は具体的にここでこうこうこうなりますとお示しする段階にまだございませんので、いましばらく努力を続けさせていただきたい、こう思います。
-
○
草川委員 では、日ソ関係に移ります。
いよいよゴルバチョフ大統領の来日というのが迫ってきておるわけであります。日ソの首脳会談も当然行われるわけでございますが、湾岸戦争後初の大型外交、こういうことになるわけでございます。海部総理がどのような理念や世界に対する認識を示されるのか、内外から注目を浴びることになると思うのですが、見解を総理から賜りたい、こう思います。
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○海部
内閣総理大臣 日ソの関係改善、願わくば平和条約を締結するために四島返還問題を解決して、真に隣国としての安定的な関係を確立したいというのが大きな願いであります。
そのために四月にゴルバチョフ大統領が、既に今のところ十六日から十九日まで訪日という日程も決まっておりますので、私はそこにおいて日ソ関係の今大きな障害になっております領土問題と平和条約の問題、同時にまたソ連側から強く言われておりました最近のソ連の経済状況のこういった情勢を見ると、日本は人道的な支援、人道的な協力はいたしておりますし、また先回の補正予算の中にもチェルノブイリに対する人道的な支援の資材供与の費用等も盛り込ませていただきましたが、無原則な政経分離はできませんけれども、でき得る限りソ連のペレストロイカが成功するように、日本としても協力の体制をつくり、またできることからしていかなければならぬ。双方が歩み寄って、双方が拡大均衡の形でこの日ソ関係を改善していくための、ゴルバチョフ大統領の来日は抜本的な突破口にしたい、こう思っております。
同時に、ユーラシア大陸の西の端のヨーロッパでは、東西関係が終わりを告げて、冷戦の発想を乗り越えました。東の端のアジア・太平洋地域でも本当に東西関係が終わるとするなれば、東西関係の残滓は北方領土問題である。これは日ソ関係のみならずアジア・太平洋、大切な問題なんだということを、この間のサミットのときも参加国の首脳の前で私は訴えて、それを共通の認識として取り上げてもらうことになったわけでありまして、この問題については極めて大切な日ソ関係の改善の節目である、こう思っておりますので、私も努力をいたしますが、ゴルバチョフ大統領にも勇気ある決断を強く求めておるところであります。
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○
草川委員 勇気ある決断を求めるというお話でありますが、他の国の大統領の状態というのを我々が軽々に論ずるのはいささか問題があるということを十分承知をしながら発言をさせていただきたいわけでありますが、ゴルバチョフ大統領の現在の基盤というものは、バルト三国の問題あるいは連邦制度の問題、大変揺らいでいるのではないかと思います。
過日総理は、ソ連の国内問題に一喜一憂はしない、こういうような御発言がございますけれども、この北方領土の問題につきましては、ロシア共和国としては副首相もことしの二月に、交渉にロシア共和国及び四島の代表を加えて合意をしなければだめだというような強硬姿勢をとっておるように聞いております。また、新連邦条約案は領土変更に共和国の同意が必要と、こう定めておるというように聞いておるわけでございますが、この条約が成立をする、こういうことになりますと、領土交渉というのは一層複雑になってくる。大統領からの四島返還の決断というものを期待できるのかどうか、一抹の不安が私どもにあるわけですが、その点はどうですか。
-
○海部
内閣総理大臣 予断と憶測でもって他国の先行きについて云々するのは慎むべきことだと考えます。けれども、あえて御質問でございますから申し上げますが、ペレストロイカの方向性は正しいものであって、そしていろいろ一喜一憂するなと私が言いましたのは、いろいろな人がいろいろなところで御発言をなさる、そしてたしか今御指摘になった現状においても、バルト三国のことやあるいはグルジアに対する問題とか、最近のペレストロイカの路線の進みぐあいの中で憂慮すべき武力行使の状況が起こったことも、これは事実であります。同時にまた、食糧事情の状況は、去年はたしか豊作だと言われながら庶民の手に届くような市場から姿を消しておるのは、最近の報道によれば流通の仕組みそのものが市場経済、自由経済の仕組みに変わっていないので、物はあってもスムーズに動いていないのではないかというような問題指摘もされております。
そういったことになるなれば、日本側が今知的協力や技術協力などいろいろ幅広くやっていこうとしておりますけれども、ソ連自身がペレストロイカを成功させるということはすべての人々が願っておることだろう、私はこう思いますので、ゴルバチョフ大統領の政策やペレストロイカの成功に向けての支援をあくまで日本が力強く続けていくということと、同時に、この一年間だけ顧みても四回も視察団が日本へ来ていらっしゃるということは、あらゆるところを見て、日本の中小企業のあり方とか、日本の勤労者の持っておる能力とかあるいはノーハウとか、日本の町の商店街のあの活気とか、そこへ物の流れてくるルートとかいうようなことについても相当関心を持って何回も調べていかれるということであります。この間は人工衛星で日ソ共同作業もございました。札幌や新潟ではやけどした坊やの治療の協力までございました。実に幅広く、奥深いいろいろな交流の基盤が日ソ間にはここ広がってきておると私は見ておりますので、こういったことを踏まえて、真に隣国同士で今大きな節目に立って風穴をあけるべきときだ、こういうふうに強く願っておりますので、このことは私から手紙でも伝えてありますし、累次おいでになる調査団の方とお目にかかると、ゴルバチョフ大統領閣下には、このようなことを日本側は国民挙げて期待をしておるし望んでおるんだから、勇気ある決断をしておいでをいただきたいということを伝えておりますので、どうかそうなりますように皆さんの御理解と御支援もお願いしたいと思います。
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○
草川委員 わかりました。
そこで、実は前回も取り上げたわけでありますけれども、いわゆる北方領土問題の具体的な中身のことについて問題提起をしたいと思うのですが、北海道の一部でありました歯舞諸島、色丹島、また日本固有の領土であるところの国後、択捉の両島の返還、そして日ソ平和条約の締結、こういうことが我々の基本でありますけれども、北方領土の現状というのを見てまいりますと非常に問題がある、こういうことを二月八日のこの
委員会で私は提言をいたしました。
それは、この地域に外国企業が進出を計画している、またサハリン州当局も交渉に応じているというので、何点か問題提起をしました。既に進出の権利を取得した国を含め五カ国になっております。韓国、中国、米国、北朝鮮、スウェーデン。そして八件の計画を指摘をしました。万一北方領土に外国企業が進出をし、事業を行うということになりますと、大変厄介なことになります。
前回の経緯を踏まえて今から質問をしたいと思うのですけれども、この二月八日本
委員会で私が指摘をしました五カ国による八件の計画について、外務省も調査をするという答弁がございましたが、その内容について明らかにされたいと思います。
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○兵藤政府
委員 お答えをいたします。
先回の
委員会におきます先生の御指摘も踏まえまして、早速具体的に御指摘のあったものも含めまして関係国に照会をいたしました。まだ中間的な段階でございますが、具体的な企業名、内容、それからそれが確実に北方四島の中で行われる事業であるというところまで確認するには至っておりません。引き続き調査を依頼中でございます。
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○
草川委員 今調査中だという答弁でございますが、私の、前回二月八日質問をしましたその翌日だと思いますけれども、ちょうど折から来日中のフョードロフ・サハリン州知事が新聞社のインタビューに対して、進出計画の存在を認める発言をしておみえになるわけであります。
これは北海道新聞でございますが、二月の十日でございます。「北方領土で韓国の企業などが工業用地を確保していると伝えられるが、事実か。」こういう質問です。フョードロフ知事は、「そうだ。来日する前に台湾へ行ってきたが、彼らもクリル諸島でわれわれと協力関係を結びたい、と言っている。韓国、米国もそうだ。数十社がサハリンに来て、一部はクリル諸島で具体的な話し合いに入っている」こういうように北海道新聞に載っておるわけでございますが、この事実は外務省は御存じでしょうか。
-
○兵藤政府
委員 お答えをいたします。
北海道新聞の記事も私は承知いたしております。フョードロフ知事が参りましたときには私も知事御自身とゆっくりお話しする機会がございまして、こういった面も含めましていろいろ先方の見解は承っております。
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○
草川委員 事柄の性格上慎重に扱う必要がございますので、個別の企業名は私、挙げません。前回指摘をした南千島に対する外国企業の進出計画の内容をもう少し、前回から私どもも調べた内容がございますので、ここで申し上げます。
ソ連の行政上の扱いでは、北方領土の大半はサハリン州南千島郡というものに入っております。私が改めて言うまでもございませんが郡の中心の役所は、いわゆる郡庁というのですが、この郡庁は国後島にあるわけであります。
この現地の情報によりますと、第一番、米国企業の計画は、アメリカのある会社の計画は、漁業水産加工企業、食料品生産企業、レジャー産業施設への投資で、一部は九一年中に建設予定というものであります。ここまでは前回申し上げておりませんので改めて申し上げますが、九一年中に建設予定。二番目、米国とスウェーデンの企業の計画は、色丹島と歯舞諸島の小さな島に用地を確保し、レジャー施設を建設する、こういうものであります。三番目、韓国系企業は、国後島に水産加工工場を建設する計画を進めています。また土地の購入も希望し、話し合いをしておる、こういうことでございます。四、韓国の企業は、南千島列島内に建設用地を確保する計画で、スケソウダラとイカを捕獲するライセンスを取る交渉も行っております。五番目、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の計画は、七十年の期間で南千島列島を含む千島沿海での操業及びその加工施設建設に関するもので、サハリン州との間で契約締結を検討段階に入っている。こういうのが前回触れたことに対するさらに詳しい内容でございます。
さらに、その後、新たに調査しましたところ、以下のことが、次の二点が判明をいたしました。
その一つは、これも個別の企業はあえて伏せますが、ソ連とベトナムの合弁会社が南千島での漁業権を取得をしております。また、その海産物を輸出をするライセンスというものも所有をいたしております。二番目、韓国の複数の企業は、サハリン側と共同で南千島に現存する漁業関係施設の改修とインフラ整備に着手をしております。また、レジャー施設も計画をしております。
こういうことでございますが、外務大臣、どのように承知をしておみえになるのか、お答えを願いたいと思います。
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○中山国務大臣 今お話しの点、いろいろと、何といいますか事務的な問題が多いものですから、先に
局長からもう一度報告させまして、私から改めて御答弁をさせていただきたいと思います。
-
○兵藤政府
委員 今
委員が挙げられました幾つかの具体的なお話の中で、私どもも承知しております具体的企業、私も申し上げるわけにはいかないと思いますけれども、例えば漁業関係の合弁というような話はございます。しかし、これが具体的に本当に北方四島での合弁かどうかというような点につきまして、あるいは新しく伺ったお話も含めまして、引き続き関係国に調査を続けてまいりたいというふうに考えております。
-
○
草川委員 では、これは時間の関係もございますので、まとめて外務大臣なり総理にもお伺いをしたいと思いますが、北方領土に外国企業が進出をするということが判明した場合、今外務省も調査をすると言っておみえになるわけですが、我が国としてどのような措置をとるか。それから、仮に我が国の主張どおり北方四島が返還された場合、そこで何らかの権利を既に取得をして事業を行っている外国企業をどのように取り扱うのか。この点について外務大臣とそれから総理から、どのような認識を持っておみえになるのか、それぞれお答えを願ってこの問題を終わりたい、こう思います。
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○兵藤政府
委員 まず法律的な側面について、私の方から答弁させていただきたいと思いますが、先生よく御高承のごとく、北方四島は日本固有の領土であって、ソ連が現実に事実の問題として施政権を及ぼしているということは、私ども承知しておるわけでございますけれども、施政権を及ぼしているという事実そのものはずっと一貫して認めてまいりません。これを容認していないわけでございます。したがいまして、具体的な施政権の行使、例えば仮に合同、合弁というようなことで許認可の問題が起こるというようなことがありましたときに、そういう行政権の一々の行使というものは、私どもは認める立場ではないというのが私どもの法律的な立場でございます。
それからさらに、第二点でございますけれども、仮に返ってきた場合に一体こういうものはどうするかというお尋ねでございます。ここはまさに今行われておりますいろいろな形での交渉の中身に入る問題でございます。これについては、ここで私どもの基本的な考え方を申し上げさせていただくということは差し控えさせていただきたいと存じます。
-
○中山国務大臣 問題は、この四島の領有権、これがいわゆる日本に帰属するということを明確にしなければならないという立場にある政府といたしましては、ただいま行っております平和条約作業グループの中で、当然このようなことも議論されておるわけでございまして、私どもといたしましてはゴルバチョフ大統領の訪日を機に、この問題の解決の突破口が開かれて、このような事案につきましていろいろと協議が両国政府間で行われることを心から期待するものであります。
-
○海部
内閣総理大臣 外務省から既に申し上げておりますように、私どもは歴史的にも法律的にも日本固有の領土であるということを主張して、ソ連との間に平和条約を締結していきたい、そのための大前提が四島の返還問題である、この原則的な、基本的なところに問題を絞って交渉をしておるところでありますし、その基本的な考えに従って今後も対応を続けていきたい、こう思っております。
-
○
草川委員 次に、ゴルバチョフ大統領来日を契機という意味ではございませんが、私はサハリン残留韓国・朝鮮人の方々の問題を長い間取り上げてきておるものでございますから、改めてこのサハリン残留の韓国・朝鮮人の方々の問題というのを提起をしてみたいと思うのであります。
四十六年間非常に苦労をされておみえになったわけでありますが、幸いに韓国、ソ連の間の国交が昨年樹立をされましたし、また、政府の支援あるいは日韓両国赤十字の努力、この中にはソ連の赤十字も入るわけでございますが、チャーター機による韓国への一時訪問の実績というのは、昨年の一年間で一千百人に達していると聞いております。これは本当に喜ばしいことではないだろうかと思うわけであります。
大統領の来日を機会に、本問題についても、日ソ新時代に応じて、現在行われている財政支援についても、今はチャーター機の運航等現在行われている支援を継続する、これが必要でございますが、また別な立場からまとまった基金を創設する、こんなことを私どもも訴えておるところでございますが、そういう新しいあり方も考えなければいけないと思っております。
また、ここで新しい支援のあり方を検討する一助として、サハリン残留朝鮮半島出身者の問題の経緯についても、歴史の検証をすることが必要ではないかというのが私のきょう言いたいところです。
まず、終戦後ソ連軍支配下の軍政地区以外の地域からいわゆる非日本人の引き揚げというものがどのような取り扱いになっていたかということを聞きたいわけです。非日本人というのは、一九四六年のGHQによる「引き揚げに関する基本指令」によりますと、中国人、台湾省民、朝鮮人、琉球人という扱いになっているわけであります。私たちもいろいろと研究をしてみたところ、昭和二十二年二月十四日に連合国最高司令部より日本政府にあてた非日本人の引き揚げに関する覚書第一五二七号という文書があることがわかりました。これは発見したというに近いわけでありますが、総司令部最高司令官代理、高級副官大佐ジョン・クーリーという方の名前の入ったもので、ハールセイという方のサインがあるようでございますが、この覚書の第二項に、第二項のロ号というのがあるのですが、ここに「日本を経由して引き揚げる為、日本に到着する引揚者は佐世保引揚援護局にてこれを受入れ、生活し、集結せしめ送り出しの手続き処置を了へ船便の指示ある迄待機せしめよ。」とされているわけであります。この覚書によって我々は、連合軍より日本を経由して引き揚げる非日本人についての引き揚げについての一定の指令が行われていたということがこれでわかるわけでありますが、この覚書について厚生省は承知をしておみえになるかお伺いしたいと思います。
-
○岸本政府
委員 お答え申し上げます。
御指摘の非日本人の引き揚げについての覚書につきまして、日本を経由して引き揚げる非日本人に関する指令が含まれておりまして、そういうことは承知いたしております。
-
○
草川委員 そこで、一方、その問題のソ連軍の支配下にあったサハリンからの引揚者の取り扱いは、これとは違うことになるわけでございますが、この点はどのように行われたのかお伺いをします。
-
○岸本政府
委員 サハリンからの引き揚げは、昭和二十一年の十二月のソ連地区引揚げに関する米ソ協定の成立によりまして開始されたわけでございまして、二十四年の七月までの間に約二十九万二千人の引き揚げが行われたところでございます。
-
○
草川委員 そこで、その米ソ引き揚げ協定のことになったわけでございますから、その中には朝鮮半島出身者は含まれていたのかどうか、いま一度お伺いをしたいと思います。
-
○岸本政府
委員 米ソ協定によりソ連邦及びソ連邦支配下の領土よりの引き揚げの対象とされましたのは、日本人俘虜及び一般日本人の二者に限られていたわけでございまして、朝鮮半島出身者は対象者には含まれておりません。
-
○
草川委員 これで含まれていないということが明らかになったわけですが、今度は外務省にお伺いをしますが、なぜ朝鮮半島出身者がこの当時の中に含まれていなかったのか、経緯を説明願いたいと思います。
-
○谷野政府
委員 お答え申し上げます。
第二次世界大戦後、我が国は連合国の占領下にございました。そこで、南樺太からの引き揚げを含めまして、終戦後の引き揚げは連合国の責任のもとに行われたという事実がございます。そのために、日本人のソ連の占領地区からの我が国への引き揚げは、ただいまお話しの四六年十二月に結ばれた、米ソ間で締結されましたソ連地区引き揚げ協定、これに基づいて実施されたわけでございますけれども、先生がお示しのように、その場合にサハリンの残留朝鮮半島出身者の方々、この方々はその対象外であったということでございます。ただ、この場合に、この問題の協定の締結に関しましても、当時の占領下ということで、我が国はこれに直接関与する立場にございませんでしたものですから、いま一つその辺の事情をつまびらかにいたしておりません。
いずれにいたしましても、冒頭先生からお話がございましたように、そのようなことも踏まえまして、我が国といたしましては、累次これまでソ連政府に対しまして、在サハリンの朝鮮半島出身者の方々の韓国への渡航の問題につきましては好意的な配慮を強く要請してきておりまして、これまた先生からお話がございましたように、近年におきましては日本政府、これの一定の予算措置をも踏まえまして、それから韓国とソ連の関係の改善ということもありまして、サハリンから韓国に訪問される方々の数が非常に飛躍的に近年ふえてきておるという状況でございます。
-
○
草川委員 その経過は、時間もございませんので、ここで深く立ち入って問題提起をしませんが、政府は、戦後サハリンから日本、あるいは日本を経由して韓国へ帰還を希望するサハリン残留韓国人の名簿というものを韓国政府から受け取ったということはございますか、お伺いします。
-
○谷野政府
委員 お答え申し上げます。
私どもの記録によりますと、昭和四十四年に韓国政府から私ども日本の政府に対しまして、帰還促進団体の調査に基づくものということで、サハリン残留の朝鮮半島出身者の方々のうち、帰還を希望される方々として約七千名を登載されたリストの提供を受けたことがございます。そこで、私どもは早速外交ルートを通じましてソ連側にこのリストを伝達いたしまして、実態の調査等を依頼いたしました。しかしながら、ソ連側からは、その後意味のある具体的な回答は得られなかったということが私どもの記録で明らかになっております。
-
○
草川委員 四十四年に韓国政府からこの名簿が来たということを今おっしゃったわけでございますが、当時韓国とソ連とは国交がないわけでございまして、日本政府に伝達をされましたその名簿というものは、今もちょっと言われましたが、樺太帰還在日韓国人会の初代会長としてこの問題をずっと取り上げてきました、帰還促進運動に大きな貢献をしました、もう亡くなった方でございますが、朴魯学氏らが個人で集められた名簿ではないかと私は思います。
私は、朴会長の本問題の解決へ向けた尽力、あるいは苦しい中から努力をされてきました経過を考えますと、今日日韓両赤十字社の支援事業が軌道に乗り、先ほど触れましたように一年間で千人を超える方が韓国に一時帰国をしている現状を見ると、まことに感慨にたえませんし、亡くなった朴会長も喜んでみえるのではないかと思います。
これは個人的なことを申し上げて恐縮でございますが、この朴会長というのは三年前の一九八八年の三月十六日にお亡くなりになっておるわけでございまして、明後日がちょうど命日ということになりまして、改めて生前のこのような隠れた方々の努力が今日実っておるということを我々も非常に高く評価をしながら、ゴルバチョフ大統領がお見えになるときには、ひとつ新しい日ソ関係をぜひ迎えていただきたいわけでございます。そういう中には、サハリン残留韓国人の方々の問題も含めまして、両国が過去の諸問題について歴史の検証をすべきだ、そういう検証の上に初めて日ソの新しい時代というものが生まれるのではないだろうか、こう思うのでございますが、外務大臣から答弁を願いたい、こう思います。
-
○中山国務大臣 日本がかつて経験をしなかったような敗戦という事態の中で、この在外におられた日本人、また現在外国の国籍を有する方々、この方々が未曾有の苦しみをされた。特にこのソ連の参戦によって引き起こされた悲劇というものは、やはりこのゴルバチョフ大統領の訪日を機に将来の日ソの新しい時代をつくるためにも、歴史の検証をすることは極めて意義のあることだと考えております。
-
○
草川委員 ぜひこれは総理、あえて答弁はとりませんが、この日ソ間はもう二国間だけの関係ではなくて、世界的な視野、そういう立場からとらえ直さないと私は問題があると思います。また、この一つの世界認識というのですか、米ソ両国をにらんだ複眼というのですか、そういう立場で新しい時代を見出していただけるよう、ぜひ大統領をお迎えをして対処していただきたい、こういうようなことを要望して、次に移りたいと思います。
時間がございませんので、ここでウルグアイ・ラウンドの具体的な問題についてどのようにお考えになっておみえになるのか、総理あるいはまた農林大臣、通産大臣、外務大臣等の御見解をいただきたい、こう思っておりますが、その前に少し、今問題になっております米という問題について、日本の現状は一体どうなっているのかという、米の問題について少し触れさせていただいて、またウルグアイの新しいラウンド交渉についての対応をお聞かせ願いたい、こういうように思います。
そこで、米の問題について私が言いたいのは三点です。一つは、政府米というのがあります。それからもう一つは、自主流通米というのがあります。当初は政府米というのは四割程度、あとの六割は自主流通という御指導でずっときておるわけでありますが、自主流通米の方が今どんどんふえてまいりまして、七割強になってきました。政府米というのは少なくなってきました。当初は四百何十万トンというのが二百何万トンあるいは百八十万トン、百六十万トン、百二十万トンと、こう修正されてまいりまして、今日はもう百万トンを割るような集荷量になってきましたね。それで、肝心の政府米の在庫量というのが百万トンを割るような時代になってきたわけです。そういうことになりますと、これは食糧安保論というものがどこかへ飛んでいくようになってくるわけですね。
これは
食糧庁長官にお伺いをしますが、現在のいわゆる政府米の保有量というのはどういう状況になっておるのか、お伺いしたいと思います。
-
○浜口政府
委員 先生御質問の政府米と自主流通米なんですが、御案内のように、戦後これは政府米で管掌をしてきたわけです。全部を持ってきたわけですが、戦後の飢餓の状況の中から、やはりだんだんゆとりが出てまいりますと、国民の皆様方、多様な時代になってまいりまして、そういうものに対応する仕方といたしまして、自主流通米制度というのが昭和四十四年に導入されたわけでございます。したがいまして、食管制度の今の姿は、先生御指摘のとおり二本立てで、いわゆる二元論で実行をされているということでございます。
そういう昭和四十四年からの動きでございますが、これはだんだんと先ほどの傾向が変わってまいりまして、社会生活がだんだん変わってまいります。そうすると、先生御指摘のように、政府米のウエートがだんだんと減ってまいりまして、当初は圧倒的に一〇〇%の政府米でございましたけれども、これはあくまでも両方とも食管法の対象のものではございますけれども、現在、集荷量でいきますと六割から七割が自主流通米、いわゆる政府を通らないで民間ルートで流れているということでございます。
大体大ざっぱな議論でございますが、姿を見ていただくために今の食糧、大体オーダーといたしまして千万トンございます。したがいまして、その中の流通の供給の部分については、六、四とかあるいは七、三とか、そういうような状況になっているということが一つの事実でございます。
一方、先生が御指摘のような持ち越し在庫というのがございますが、これは十月末の段階で今どのくらい持っているのか、こういうことでございますが、これは一番最近の時点で、民間流通を含めまして百五万トンという数字がございます。そのうち政府の在庫が、持っておりますのが九十五万トンでございまして、ただいま先生が御指摘のとおり百万トンを切っておりますが、この適正在庫、全部入れまして百万トンという数字は、我が国のこのところの作況等々で、五十五年といったものが作況指数八七と言っておりますが、そういうものにもたえられる数字だろう。したがって、最低といいますか、適正という意味においては百万トンというのを私ども考えておりますが、現時点の直近の去年の十月の段階では、日本全体が百五万トン、政府が九十五万トン、そういう数字でございます。
-
○
草川委員 きょう私がこれを取り上げるのは三つあるということを先ほども言いましたが、一つは、政府米の集荷量というのが減ってきた。いわゆる作付が減ってきた。これは食糧庁の計画したものよりも減ってきた。これは一体おかしいじゃないですかということが言いたいということですね。見通しが狂ったということが言いたいわけです。
二番目に、当然のことながら、政府米が減った分だけ自主流通米がふえておるわけです。自主流通米というのはだぶついておるわけですよ。それで一番今困っているのは、実は米の問屋さんが困ってしまっているわけですよ、間に挟まれて。それで今、問屋さんというのはどんどんつぶれていくのです。この問屋さんというのは、実は食糧庁のOBの方々が参議院に出るときには一生懸命応援した自由民主党の基盤なんです。
本来は私が取り上げるべき筋合いじゃないのですけれども、その下にはたくさんのお米屋さんがいるので、お米屋さんも苦労しておるわけですから、私は本問題を取り上げるのですが、自主流通米の価格というものが、昨年の十月来から価格形成機構という舞台をつくりまして、そこで入札制度が行われている。しかし、その入札制度のあり方に私がここ三年来取り上げている全農の介入というのが非常に強過ぎる。全農というものが価格支配を相変わらずやっておるという問題点を二番目に指摘をし、そして三番目に言いたいのは、実はあり余っておる、あり余っておるという言葉は適切ではありませんが、余っている例えば元年度の自主流通米の行き場がなくて――元年度の自主流通米ですから高い。現在の市況は下がっている。その高い自主流通米を問屋さんが背中に全部しよわれている。その問屋さんのあり方は、今、全農系の問屋さんがどんどん力をつけてきて、昔からお見えになる伝統的な米の問屋さんが今つぶれていく。全農の力が強過ぎるのではないか、食糧庁どう考えるんだということを言いたいわけです。
しかも、その問屋さんにしてみれば新しい米が欲しいわけです。政府買い上げ米の政府米も値段が安いわけですから、結構人気があるから、町のお米屋さんは問屋さんに政府買い上げ米を少し分けてくれよ、こう言うと、先ほどありましたように、実際は九十五万トン、百万トンを割っておるわけですから、百万トンを割るといわゆる食糧安保論にぐあいが悪いものですから、食糧庁は百万トンキープしようというわけですから、町の米屋さんに一五%カット、こういう命令をするわけですよ。町のお米屋さんが政府米欲しいといっても、一五%切ってしまっているわけです。そういう指示を食糧庁は出しておるわけです。たまたま全農にしてみれば、自主流通米だぶついておりますから、得たり幸いと、都合がいいわけですから問屋さんに押しつけをするわけです。問屋さんは、売れ残りの米と、それから一年おくれで調整米というのがあるわけですが、この調整米は倉敷料、いわゆる倉庫料と金利というのは政府が認めてくれておるものですが、ことしの三月で打ち切り。だからその分がずっとたまってきますから、去年の十月には売れ残った米を、一番高い米を所有権移転という形で押しつけられてしまっておるわけですよ。完全に、皆さん御存じの、大手の民間の昔からの、戦前からの米問屋というのは今やつぶれつつあるという、こういう問題を私はここで提起をしたいわけであります。
そこで、話を前に戻しまして、政府米というのは四割でいこう、あるいは六割は自主でいこう、政府米だけはキープしようといったのですが、お百姓さんがこっちへシフトしてしまった。そういう指導について食糧庁は反省をしておみえになるのかならぬのか、簡単で結構ですから、きちっと答弁をしていただきたいと思います。
-
○浜口政府
委員 先ほど来お話をしておりますように、政府の管掌米、これは自主流通米も政府米もともに食糧庁が管理しているわけでございますが、この部分におきましてその基本計画というのを三月に出しております。この計画の錯誤の問題でございますが、具体的な数字を申し上げまして、集荷量で大体二百十万トンを予定しておりまして、今のところ百七十万トンからそれ以上のところへいくかな、こういうことでございます。
それで、見通しが誤っているじゃないかという御指摘でございますが、もちろんこれは農業の問題でございますから、作況の問題もございます。さらに、今の数字をごらんのように一割程度の問題でもございますが、もう一つ申し上げたい点は、時系列的に政府米がずっと下がってまいりましたが、先生おっしゃるように、ある意味においては自主流通米の一つのマーケット、ある場合においては政府米のマーケットというものがあるわけでございますが、そういったようなものの間で政府米と自主流通米の調整の問題が当然出てまいります。
それで、経過的に申し上げまして今の具体的数字でございますが、去年は政府米は最低でございましたが、今の時点、一番新しいデータでございますが、去年が百六十三万トン集まりましたところ、今回既に百六十六万トンという数字になっております。そういう意味におきまして、計画においての一割の錯誤というのはございますが、経過的には、そういった自主流通米と政府米の調整の問題という中におきまして、政府米はきちっとそういったような状況でバランスをとるように考えていきたいというふうに思っております。
なお、先生御指摘のように、価格形成の場というものが定期的にできたわけでございますが、そういう価格形成の場ができた後の調整の問題というのは、先生御指摘のような政府米と自主流通米のバランスの問題でもありますので、こういったことを具体的の毎年の作況等々に応じながら適切にやっていきたいというふうに思っておりまして、そういう意味では、先ほどの計画は適切な運用がされているというふうに考えているところでございます。なお、数字上は一割程度の差があることは、私ども考えておるところでございます。
-
○
草川委員 答弁が長いから、もっと簡単にしてもらいたいのですが、二百十万トンだったでしょう、平成二年度の最初の計画は。修正をして百八十六万トンにしたのでしょう。それが現実に百六十五万トン、こういうことで在庫量は九十五万トン、こういうことですよ。
ですから、御反省がないようでございますので、具体的に今価格形成の話が出ましたのでちょっと前へ戻りますが、昨年の十月から自主流通米は入札制度になりました。それで、東京、大阪あるいは地方で去年の十月とそれから暮れですか、それからことしの三月、三回やっているのです。
そこで、普通の入札というのは、当然集めてくるわけですから、単位農協が県の経済連に持ち込む、経済連がその東京の市場に、価格形成市場というところへ持ち込む。全量ではございませんね、一応二割程度持ち込もう。実際は二割より少ないのですけれども、持ち込もうということになりました。ところが、経済連というのは各県ごとにできておるわけですから、経済連が直接持ち込む場合もありますが、もう九割以上は全農が一手扱いをしてそこへ持ち込むわけです。
入札をする人、各県の米の問屋さんが入札するわけです。問屋さんには二つほどあります。戦前からの、配給組合時代からの協同組合の方々あるいは商人系と言われた普通の米問屋さんの方々、それから農協がダミーをつくってやる場合もありますが、買う方の入札に経済連の方々が応じておるわけです。売って自分がまた反対側へ来て入札をするわけです。だから、自分の県でひとつこの米を高く売ろうと思うと、そのお米に対して高い入札ができるシステムになっておるわけです。おかしいですね、これは、売る人が自分のところへ行って入札するわけですから。入札をして全部引き取るならいいですよ、私の県だからといって全部。そのうちの半分なら半分とか、四割なら四割、二割とか三割入札をして引き取るのですから、あとの六割とか七割というのは置いておくわけですよ。残ってしまうのです。自分が一番高い入札価格をしますから、価格としては入札結果として高い価格が残るのです。残ったお米というのは相対取引で各経済連と各卸が交渉するということになるわけです。現実に残った例があるでしょう、第一回のときに。岩手だったですかな。時間がございませんので余り申し上げませんけれども、残った例があります。なぜ残ったかというと、今申し上げましたように、なるべく高い値段をつけておいて、それで残った分は指標価格としてそれで取引をしていこう、こういうことになるわけでございます。
食糧庁にお伺いしますが、売る人と買う人が一緒でもおかしくないと思っておみえになるのかどうか。これは簡単に御答弁願いたいと思います。
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○浜口政府
委員 結論的に申し上げまして、食糧庁といたしましては経済連が両面持っているということを認めております。これは、現行の食管法の上で経済連の卸の資格というのは都道府県知事が認めているということになっておりますので、両方代理というような御意見もございますけれども、そういう形の上で対応していくということでございます。
経済的な意味におきまして、その点につきましては、もちろん高い値を具体的に上げるということになるとおかしいじゃないかという御疑問はありますけれども、やはりこれは経済行為でございまして、現実においてそんなに大きい形で動いておりません。現実にこの価格形成の場における売り込みの形の上では、それぞれ申し込み数量というものを実績に応じまして一・五倍に限定をしております。各経済連におきまして、過去の三回におきます実績から見ましても、その自県内に形の上でやっておりますのは一割にすぎませんし、そういう状況になっておりますので、私どもは建前としてこの経済連の組織が、一方では集荷の問題、一方では売りの問題という形からまいっております現行の制度の上ではこれを認めているわけでございます。
それから、具体的な売り込み残の話でございますが、確かにこの場合、三回実施しておりますけれども、過去の実績からいいまして最初の一回目には約三割でございましたが、現実に一%の落札残になっているというような形の改善が見られております。
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○
草川委員 全国食糧事業協同組合連合会というのが昨年の七月に
食糧庁長官に自主流通米価格形成の場に関する要望というのをたくさん出しております。その中の三項に「経済連卸にあっては、自ら集荷した米穀を売り手として上場する一方で、買い手となり入札に参加することは適当でないと思料されるので、十分検討のうえ措置されたい。」当たり前ですよ。売り手と買い手が一緒になる、やめてくれよ、こう言っておるわけですよ。しかも六番目に「落札した米穀の代金決済については、落札内容の守秘のため第三者機関が実施することとされたい。」要するに入札をした値段というのは全部全農にわかっちゃうというのですよ。それはそうだ、全農を通じて代金決済をするんだから。だから、何々の卸が何々県のササを、あるいはコシを幾らで入札をしたというと、全農が後で文句を言いに来るというのですよ。それで全農に怒られる。断ればいいじゃないか、はねつけると私が言ったら、とんでもない、あなたは素人だからそういうことを言うんだ。もし今全農さんを断ったら欲しいお米が私の卸に入ってこない。町の米屋さんは、北海道のきららなんというのは今人気がいいんでしょう、ぐっと値段が安いし、おいしいから。きららが欲しいというのは九州からだって要望があるわけですよ。そうすると全農が、あいつは安い価格を入れたからだめだといってそこへ渡さぬというわけですよ。出荷拒否というのですかね。嫌がらせをやられるから、残念ながら全農さんに「落札した米穀の代金決済については、落札内容の守秘のため第三者機関が実施することとされたい。」と言って、去年の七月に全国食糧事業協同組合連合会、問屋さんが泣いておるのですよ、食糧庁に。ところが、食糧庁は何も返事なしに相変わらず運営されておるわけです。
だから、全農というのは強いのですよ。私は去年、この
委員会で全農の段ボールの公取違反をやりました。安い段ボールを買いたいといっても全農が邪魔をして、単位農協、小さな町の農協は段ボールをつくれない、新しいのを買えないわけですよ、意地悪をして。公取が怒ったわけですよ。そういう例を挙げました。三年前には、日本の全農を経由するところの肥料というのは国際価格の二倍だ、ひどいのになると、窒素なんというのは三倍も高い、早くカルテルをやめていただきたいと言って、私、三年来ずっとこの全農批判をやっておるわけですよ。私はなぜそういうことを言うかというと、まじめに働く若い青年が後継ぎになりたくない、本当にまじめに働いているならば日本の農業を守ることができるということにしたいと思ってそういうことを言っておるわけであります。
時間がないのではしょりますが、要するに価格形成の場で全農がこういう仕組みをし、今言ったように、安い価格に対していろいろな妨害をするという事実をどのように評価するのか。食糧庁、反省ありや否や、こういうことをひとつお伺いをしたい、こういうふうに思います。
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○浜口政府
委員 ただいま先生が全糧連の要望をお読みになりましたが、日付は去年の七月でございます。価格形成機構は去年の八月につくらしていただきまして、その要望等々全部議論をいたしまして、新たに第三者機関である、自主米機構と俗称しておりますが、そういう組織をつくったわけでございます。したがいまして、ただいま先生が御指摘のような、この入札の結果が、例えば落札しなかった数字といったようなものが全農といったような組織あるいは指定法人その他のものに漏れているということはございません。
以上、そういうような意味で、価格形成機構の設立の場合は、二十年にわたりますこの実績の上に立ちまして価格形成機構というものを、全農はもちろんでございますけれども、全糧連を含めての合意のもとでつくらせていただいたわけでございます。これが去年の十月から自主流通米の歴史の中で一つの新しいページを開くということで、透明性の確保等々の上から出発した段階でございまして、私ども、ただいま先生御指摘の等々については、既に実施したものもございますし、そういった点も十分考案しながら、関係者の英知のもとでこの新しい組織を運営していきたいというふうに考えております。
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○
草川委員 こういう答弁をするから私どもは嫌になっちゃうんですよ。今答弁の中で、全農に入札価格が漏れることはないと言ったでしょう。だって、全農を通じて取引するんだからわかるじゃないですか。そういう明らかな事実まで言いくるめるから今の食糧庁の基本的なスタンスというのはだめなんですよ。私は、臨調じゃないけれども食糧庁もしっかりと今の現状を踏まえてよく調査をするとか、あるいは実態というのを把握するというふうにしないとだめだと思います。
だからもう食糧庁はいいですから、公取の
委員長お見えになっておりますので、時間がございませんので、自主流通米の入札に際して全農、経済連が取引上の有力な地位を利用して卸売業者に対し圧力を加え、高い価格で入札をさせるということは独禁法上問題ではないか。一般論で結構ですからお答え願いたいと思います。
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○梅澤政府
委員 自主流通米の価格の入札に当たりまして、一般の卸売業者が相対取引において、全農が非常に優越的な地位にあるその力によって具体的にその入札について高値入札を強制し、そのことによって正常な商慣習に照らしてその卸売業者が不当な不利益をこうむったと認定されるとすれば、それは独占禁止法に違反になります。ただ、自主流通米の価格形成について現在農林省が進めておられる施策というのは、市場原理をなるべく反映させようという施策でございますから、私どもは一般的にはやはり競争政策上評価されるべきものと考えておりますので、今後農林省ともいろいろな問題について密接に連絡をとり合いながらやってまいりますけれども、現実に入札の場で独占禁止法の違反事件がございますれば、これは当然のことながら厳正に対処いたします。
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○
草川委員 いわゆる人気米、希望する米屋さんが問屋さんに人気米が欲しい、問屋さんもそれが欲しい、そういう人気米を割り当てをする権限というのは何といったって全農が持っておるわけですよ。経済連の上の全農というのが持っておるわけですから、どうしても卸というのは全農に頭が上がらない、こういうわけですよ。そのことを私は声を大にして取り上げているわけであります。
時間が来たようでございますので、もう一問、公取にお聞きするわけでありますが、自主流通米の取引に当たって、全農が卸売業者に対して古米を新米に抱き合わせて販売をしていますけれども、これは独禁法上問題ではないかという質問であります。これは先ほども少し触れましたけれども、元年の古米というものが、どうですか、七、八万トンまだ残っておるのでしょう。それで、ことしの三月までにけりをつけなければいけない調整米というのが十一万トン残っておるわけでありますよ。だから、ことしの三月といっても、今三月ですから、それを売らなければいかぬ。売らなければいかぬ、後ろから押し寄せてくるわけですから。そこで、当時の古米というのは去年の十月に強引に全農という力で卸を呼んで引き取らしちゃったわけです。それはなぜかというと、出荷者ですから、自分が抱いておれば金利がもうかかってくるわけですし、倉庫料がかかってくるわけですから、早く問屋にもう渡しちゃえ、問屋は嫌だと言って泣いたわけでしょう。だけれども、新米の割り当てがないぞ、こういうおどしがあるものですから、去年の十月に泣く泣く全国で九万トン近い古米を卸が抱いちゃって、今倉庫にあるのですよ。高いんですよ、これは、二万二、三千円するんでしょう。そこへ、三月まで政府が金利と倉敷料を持っているところのいわゆる調整米というのが三月で終わりですから、また引き取らなければいかぬ、問屋が。山になるわけですよ。我々一般市民は去年の新米が欲しいというこういう要求ですから。間に挟まった十万トン近いいわゆる元年産米の古米というのを問屋が今受けていますよという意味でこう問題を提起をしておるわけですが、改めて公取にもう一回、自主流通の米の取引に当たって全農が卸売業者に対し古米を新米に抱き合わせて販売をしていますけれども、これは独禁法上問題ではないか、これもお答えを願いたい、こう思います。
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○梅澤政府
委員 これも先ほどの優越的地位の乱用と同じ法理でございまして、当該取引においてその地位を利用し、他の商品を強制的に購入させることによって不利益をこうむらせるという場合には、独占禁止法に抵触するおそれがございます。
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○
草川委員 もう時間が来たようでございますから、これはひとつ総理聞いていただいておわかりだと思うので、今私言いましたけれども、全農というのは年間六兆円を超えるもう偉大な商社です。何といったって大変な力を持っておるのです。この全農という力があったからこそ日本の今日の農業の発展があったかもわかりません。それはやはりいろいろな経緯というのはあるわけですから、我々も高く評価をします。しかし、今日のこの国際的な中における今のようなあり方では日本の農民はもちません。全農によってかえって苦しめられているという例が、私は農家ではございませんが、一昨年は肥料のカルテルを取り上げました。去年はお百姓さんが毎日使っている段ボールの独禁法違反という問題も取り上げました。ことしはあえて米の入札という問題を取り上げましたけれども、これは逆に、農民というよりは問屋さんがそのために泣いておる。
こういうガリバーというのですか、巨大な組織というものは私はそんなに長続きするものではないと思うのですよ。それはなぜかといえば、国民の利益に反する、農民の利益に反するからですよ。だから私は、農業協同組合をつくったときの原点に戻って、お百姓さんというものは若い青年が、それこそいろりを囲んで、まあ今はいろりはありませんけれども、町の公民館に集まって、これだけの新しい国際経済社会の中でどう日本の農業はあるべきだ、こういうことを議論をする、それにこたえる単位農協であってほしいし、経済連であってほしいし、信連であってほしいし、全農であってほしい、こういう趣旨で問題提起をしておるつもりでございますが、時間が来ましたので、最後に総理から御答弁願いまして、私の質問を終わりたい、こういうように思います。
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○海部
内閣総理大臣 いろいろな調査に基づいて前回来御指摘をいただいておりますが、最近の農業あるいは農協を取り巻く情勢の変化に対応するため、農協系統組織は事業運営の効率化について自主的な検討を進めなければなりませんし、政府としてはこのような取り組みを見守りつつ、全農など農協系統組織が農業者の協同組織であるというまさに出発の原点を踏まえて、農業、農村の活性化にその機能を十分発揮するように今後とも指導をしていく所存でございます。
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○
東中委員 国連軍、国連平和維持活動への参加、協力についてお伺いいたします。
最初に総理大臣にお伺いしたいのですが、国連平和維持活動への協力、支援組織づくりについて、自衛隊を中核にすべきであるとか、あるいはまず発足させて将来は自衛隊を参加させるようにしたらどうかとか、あるいは世界に通用する組織にするためには自衛隊の参加は必然的に必要だ、こういった議論が自民党国防部会あるいは防衛庁の中から主張をされているというような報道がいろいろなされてきております。自衛隊と今のPKOの組織づくりとの関係で総理はどのようなお考えなのでしょうか。
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○海部
内閣総理大臣 国際社会に日本がどのような形で協力をしていくか、安定した平和な国際社会で今日の繁栄や質の高い生活を享受しておるわけでありますから、何もしないということはいけないという認識は、この前の御議論を通じても全国的にもいろいろな面で高まってきつつあると私は受けとめておりますけれども、前回の会期末に当たって、新しい国際協力のあり方に関する自由民主党と公明党、民社党との三党の覚書というのがございます。政府は今、新しい国際協力のあり方について成案を得るべく努力をいたしておりますが、この三党合意の覚書を念頭に置いてやっております。したがって、おっしゃるように、初めに自衛隊ありきとか自衛隊がどうのこうのということじゃなくて、三党合意の覚書の趣旨を踏まえて新しい国際協力のあり方はどのような姿かたちになるのかということの成案を得る努力をしておるということでございます。
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○
東中委員 その前提として、自衛隊について
内閣法制局長官にお伺いしたいのですが、去年の予算
委員会、十月十九日の答弁で法制
局長官は、「従来から申し上げておりますが、自衛隊につきましては、我が国の自衛のために必要最小限度の実力組織である、したがって憲法九条に違反するものではない、」こういう答弁をされました。憲法九条に違反するものではないと言われることの中身は、私は三つのことがあると思うのですが、その一つは、自衛隊は我が国の自衛のための組織であるから、国際紛争を解決するための手段として戦争や武力の行使、武力による威嚇、こういうことは行えないし行わないから、だから憲法九条一項に違反するものではない、これが一つの点だと思うのです。
二番目は、自衛のための必要最小限度の実力組織であるから、憲法がその保持を禁止をしている「陸海空軍その他の戦力」ではない、いわゆる軍隊ではない。だから憲法違反にはならないんだ。
それから第三番目は、自衛隊は、我が国に対する侵略があった場合に、その侵略を排除する自衛権の発動の範囲内だけで動く自衛の実力組織であって、いわゆる交戦権を持つものではない。だから交戦権を持たないとした憲法第九条の二項に違反しないんだ。
この三点について、
長官の言われた「憲法九条に違反するものではない、」というのは内容的にはそういうことになるんじゃありませんか。お伺いします。
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○工藤政府
委員 お答えいたします。
自衛隊が合憲である、こういうことにつきましてのお尋ねでございますが、私ども従来からお答え申し上げておりますところは、まず、憲法九条は、いわゆる戦争を放棄し、戦力の保持を禁止し、交戦権を認めない、こういうことでございますが、これによって、我が国が主権国として持つ固有の自衛権まで否定しているものではない。それで、この自衛権、否定されていない自衛権の行使を裏づける自衛のための必要最小限度の実力を保持する、こういうことはもとより九条の禁ずるところではない。それで自衛隊は、我が国の平和と独立を守り国の安全を保つための不可欠の機関である。そういう意味で、その限度内の実力の組織であるから違憲のものではない、かようにお答えしているところでございます。
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○
東中委員 だから私の言うた、自衛隊は「陸海空軍その他の戦力」ではない、軍隊ではない。それから、国際紛争を解決する手段としての戦争をすることのできないものだし、するものではない。それから、交戦権を持っていない。この三つの点は今言われたことでいいんでしょう。それを確認してください。要するに、裏から確認せいと言って聞いているんだから。
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○工藤政府
委員 大体おっしゃるようなことだと思いますが、例えば交戦権というものに相当しまして、我が国の場合には自衛行動権というふうな言葉を使っております。いわゆる国際法上の交戦権、各国の軍隊が認められているような交戦権ということではなくて、我が国が必要とする最小限度の防衛のための権利といいますか、自衛のためのものとして自衛行動権といったような言葉を使っております。そういう意味で、言葉の使い方につきまして、ちょっと今の
委員のをそのまま、例えば交戦権は認めないというそのままストレートに言いますと自衛行動権がいかにもないようにもまた聞こえますが、そういうことではなくて、自衛行動権のようなものを有している、かように御説明しているところでございます。
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○
東中委員 私は何も自衛行動権があるとかないとか一つも言うてないんで、憲法九条二項に書いてある、国の交戦権は認めないというその規定に違反しない自衛隊は、国の交戦権、自衛隊としての交戦権は持っていない。国の交戦権というのは国際法上の交戦権であるということも内閣の答弁書の中にもありますから、だから素直に認めたらどうですか。何も言うてないことまで否定しているようなことを言われたら困るというふうには言わない方がいいと思うんですが、まあ私の言うていることを一つも否定されませんでした。
それで、日本国憲法というのは憲法と同時に英文憲法も、あの当時占領下にあって、日本国憲法が制定されると国際的に通用するように正訳がされて国際的には出ていますわね。その文章によると、自衛隊は「陸海空軍その他の戦力」ではないというその「陸海空軍その他の戦力」というのは「ランド シーアンド エア フォーセス アズ ウエル アズ アザー ウオー ポテンシャル」というふうになっているんです。だから全部「フォーセス」。それから、それ以上に「アザー ウオー ポテンシャル」とまで言っているということと、したがって、合衆国のような軍隊、アームドフォーセスというんじゃなくて、自衛隊はそういう意味での軍隊ではない、セルフ・ディフェンス・フォースというふうに言っていますわね。だからアームドフォースでない、自衛隊はアームドフォースでないということはその憲法の構成からいって言えるんじゃないか、こう思うんですが、法制
局長官、どうでしょう。国際的に通用するようなものとしてお答え願いたい。
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○工藤政府
委員 憲法の、私が今手に持っておりますところの英文のものにおきましては、確かに今
委員読み上げられましたように「ランド シー アンド エア フォーセス アズ ウエル アズ アザー ウオー ポテンシャル」、かように書かれていることは事実でございますが、これがほかの、例えばアメリカ合衆国法での表現あるいはその他のとどういう関係に立ちますかという点につきましては、私この場でお答えするだけの知識は持ち合わせておりません。
-
○
東中委員 次に進みます。
昨年の十月十九日の先ほどの答弁の後で法制
局長官は、国連憲章上の国連軍への自衛隊の参加について、「憲法の九条の解釈といいますか通用といいますか、そういうものの積み重ねがございまして、そういうのから推論してまいりますと、その任務が我が国を防衛するものとは言えない、そこまでは言い切れない国連憲章上の国連軍、こういうものに自衛隊を参加させることにつきましては憲法上問題が残るのではなかろうか。」というふうに言われております。侵略があった場合にそれを自衛することのための実力組織だから、その狭いところを通って合憲だと、こう言うておるわけですね。そういう点で言うならば、我が国を防衛するための国連軍というのはないわけですから、そういう意味で言うと、ここにこのとき言われた問題というのはそのまま問題が残るんじゃなくて、まさにそうなんだというふうに私は思うんですが、どうでしょうか。
-
○工藤政府
委員 昨年の十月十九日の予算
委員会におきまして私が述べましたのは、いわゆる国連憲章の四十二条に基づきますいわゆる
正規の国連軍といいますか、現在しばしば問題に取り上げられますいわゆるPKO、平和維持活動のための国連軍とは違いまして、いわゆる
正規の国連軍についての質問に対しましてお答えしたところでございまして、その際にただいまのお話のような、前後多少長うございますので省略しますと、「憲法の九条の解釈といいますか適用といいますか、そういうものの積み重ねがございまして、そういうのから推論してまいりますと、その任務が我が国を防衛するものとは言えない、そこまでは言い切れない国連憲章上の国連軍、こういうものに」、いわゆる
正規の国連軍ですが、そういうものに「自衛隊を参加させることにつきましては憲法上問題が残るのではなかろうか。」と、かようにお答えした上で、「ただ一方、他方におきまして国連憲章の方を考えますと、国連憲章の七章に基づく国連軍というのはいまだ設置されたことはないわけでございます。それから、その設置につきまして、たしか国連憲章の四十三条だったかと思いますが、」ということで、まだ判然としないという部分がありますということ、さらには、こういうのを考えていくと、現段階で明確に申し上げるわけにはなかなかまいらない、そういう意味で研究中と申し上げた、こういう答弁になっているわけでございます。
-
○
東中委員 もう一つ聞きます。
「国連憲章四十三条で挙げております兵力、援助、便宜の供与でございましょうか、そういった三つのものにつきましても、そういうのをどういうふうに組み合わせて行うか、それ全部を行う義務は必ずしもないとも解されております。」と、こういうふうに言われているんですね。要するに、兵力を出す義務はないのではないかというふうに言われておると思うんです。それで、この兵力というのは何だろうと思うてこの国連憲章の英文を読んでみますと、先ほど言いました「アームドフォーセス」と書いてあるんです。だからセルフ・ディフェンス・フォーセスじゃまるっきり違うんですね。だから、そういうものを日本が義務づけられるということにはならないというふうに私は思うんですが、その点はどうでしょうか。
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○柳井政府
委員 国連憲章の関連につきまして、手短に御答弁を申し上げたいと思います。
先生御承知の上での確認的なお尋ねと思いますが、国連憲章におきましては御承知のとおり第四十二条で国連が軍事的強制措置を決定する場合、これに対する国連の加盟国の協力の具体的内容につきましては.憲章四十三条に基づきまして、安保
理事会と加盟国ないし加盟国群との間で締結される特別協定によって定められるわけでございますが、この協定の中身につきましては「必要な兵力、援助及び便益を安全保障
理事会に利用させる」ということでございますので、この協定によりましては必ずしも兵力の提供だけを義務づけるというものではなくて、ほかの協力の方法もあり得るということでございます。
-
○
東中委員 援助、便益の供与もあると。兵力については、日本はそういうアームドフォーセスというようなものは憲法九条の二項によって持っていないということであります。だから、そういうものを義務づけられるわけがないということを私ははっきり申し上げておきたい。
同時に、国連憲章の四十二条で、安保理は「空軍、海軍又は陸軍の行動をとる」、そして「加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含む」というようになっているんですが、この加盟国の空軍、海軍、陸軍、安保理の空軍、海軍、陸軍というふうに日本語で訳している部分は、原文によりますと「エア シー オア ランド フォーセス」、こういうふうになっています。両方ともそうなっています。先ほど、日本国憲法九条の二項では「ランド シー アンド エア フォーセス」は保持をしないというふうになっているわけですから、日本は自衛隊はあるかもしれぬけれども、そういうものは憲法上ないんだというふうになるわけで、明文の規定からいってですよ、国連憲章の四十二条のその明文の規定からいって、それから日本の憲法の明文の規定からいって、国連憲章ができたのは四五年、そして日本国憲法がその翌年の四六年にできておる、そういうことでありますので、四十二条の国連軍への兵力の提供なんということは、そもそも日本国憲法のもとで、現に日本国憲法に基づいて陸、海、空軍はないんだから、自衛隊は陸、海、空軍と違うんだから、それは違うんじゃなくて陸、海、空軍だということになったら憲法違反になって許されないんですから、そういう点で国連憲章四十二条の国連軍に自衛隊が入るということはあり得ないし、日本からはそれに加える加盟国としての軍隊というものはないということになると思うんですが、いかがでしょうか。
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○柳井政府
委員 私、ただいまの先生の御指摘、正確に理解したかどうか、ちょっと自信ございませんけれども、憲章の英文がそのようになっているということは、まさしくお読み上げになったとおりでございます。ただ、憲章上このような英語の表現が使われているということと、各国のいわゆる軍隊がどのように呼ばれているかということは一応別な問題であろうと存じます。
軍隊とは何かという定義につきましては、一般国際法上特に明確な定義があるわけではございませんけれども、あえて一般的に申しますれば、武力紛争に際してあるいは国防ということのために武力を行使することを任務とする国家の組織であるというふうに言えると思います。このようなものが各国においていろいろな呼称をもって呼ばれていると思いますが、我が国につきましては自衛隊というものがあるわけでございますが、この自衛隊がこの憲章上の国連軍に参加し得るかどうかという問題につきましては、先ほど法制
局長官からお答えになったとおりであると思います。
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○
東中委員 このことにも関連しまして、中山務大臣が先日、二月十八日の参議院の調査会でこのように言われております。「
委員からも御指摘のございましたように、国連憲章はその中で集団安全保障の一つの大きな考え方を憲章の中に明示いたしております。しかし、我々の国家は憲法の規定のもとで、軍事的に国連に協力するということは憲法上許されない。」「日本のようないわゆる軍事的な協力のできない国家はどのような形で国際社会の平和と安全のために協力ができるかという考え方を徹底的に整理して臨まないと、これからの国際社会では日本は名誉ある地位を占めることは不可能になっていく」んじゃないかと、こういうふうに言われていますね。私、本当にそうだと思うんですがね。日本は、憲法の規定のもとで軍事的に国連に協力するということは憲法上許されない、軍事的協力は許されない、その考えには変わりはないんでしょうね。
-
○中山国務大臣 国連の行います平和維持活動への日本の参加と憲法との関係については、従来から御答弁を申し上げましたとおり、国連平和維持活動の具体的活動内容は個々の事例により異なり、一般には論じられませんが、一般論として言えば、その任務・目的が武力行使を伴うものへの我が国の参加について、憲法上許されないものと考えております。
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○
東中委員 それで、国連平和維持活動、もう時間がありませんので簡単に申し上げますが、国連平和維持活動といいますのは、昨年出ました「ブルーヘルメット」、国連の公式記録書、九〇年版ですが、それによりますと、国連平和維持活動、PKOについては、憲章上その明文の規定がない。それで、実際にはどういうものかということを書いてある文章を見ますと、「平和維持軍は必要な兵站支援部隊を伴う軽武装の歩兵部隊で構成される」。歩兵部隊といいますのはインファントリー・ユニット、日本で言えば普通科部隊という軍隊であります。それで構成されるということを言っています。
それから監視団は、これもこの前の質問で私、イラン・イラク監視団についてお聞きしましたら、外務省自身がお答えになりましたが、停戦の監視と撤退を監視する。その中身は、軍事監視員と航空部隊、軍警察、医療部隊、いずれも軍事部隊である。これは監視団でもそうですよ。軍事監視団が、武器を携帯しないけれども、なぜそういう軍人でなければいかぬのかということについて、フィンランドの国連待機軍を訓練するフィンランド国連訓練センター、ここは随分、十二回も待機軍を送っているところですが、そこの責任者である大尉の人が、軍事監視員は武器を携行しないが軍人であることには変わりはない、軍服の着用を義務づけられている、軍事的な知識があってこそ監視地域に起きていることが把握できる、外交官ではできない任務である、軍人であることで紛争の当事国から信頼されて監視団になることができるんだ。だから、監視団といっても軍人であり、軍隊である。医療団といっても、医療部隊という軍隊なんだということになっておるのですね。
だから、平和維持軍もそして国連監視団も、いずれもこれは軍の組織であり、軍の部隊であり、軍人なんだというのが基本なんです。武器を持っているか持っていないかということじゃないのです。そういうものなんだということを前提にして、そして日本は軍事的に国連に協力することはできない立場だと外務大臣が言われた。そういうふうに考えますならば、武力の行使の問題じゃないのです。軍事的に協力することはできないんだということになると思うのですが、国連平和維持活動に対する支援組織というのは、自衛隊であろうとそれ以外のものであろうと、そういう軍事的なものをやらなければ監視軍になれないのですから、あるいは監視団にもなれないんだから、そういうことは日本の憲法上やれないものだ、こう思うのですが、いかがでしょうか。
-
○丹波政府
委員 事実関係の問題が含まれておりますので、私の方から答弁させていただきたいと思います。
PKO、先生はただいま、軍の活動である、あるいは軍の部隊の活動である、そういう意味では軍事的協力の問題だという趣旨の御質問かと思いますけれども、いわゆる軍隊による軍事活動というものが具体的にいかなることを念頭に置かれているか必ずしもつまびらかではございませんけれども、御承知のとおり、国連の行います平和維持活動は幾つかの重要なファクターから成っております。
まず第一は、国連の安保理または総会の決議に基づくということ。それから第二に、国連が加盟国から提供される要員から成る平和維持軍、監視団を派遣する。第三番目に、関係当事国の同意を得て現地に派遣される。四番目に、停戦の維特、監視、治安の維持等を行うことによりまして事態の鎮静化や紛争の再発防止に当たるということでございまして、このようなその平和維持軍あるいは監視団の活動の性格からして、軍事的知識やあるいは組織的な行動能力等、通常軍隊が有している属性、能力が必要とされるということから、これまでその要員としては軍隊の構成員を各国が派遣してきたことは事実でございますが、しかし問題は、先ほど外務大臣から申し上げましたとおり、要するにその任務・目的が武力行使を伴うかどうかということが問題でございまして、そういうものであればできない、参加できない、憲法上参加できないということは、政府が累次御答弁申し上げてきているところでございます。
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○
東中委員 もう終わりますけれども、時間がありませんので最後に申し上げておきますが、武力行使を行うかどうかということが問題の中心ではないのです。それは、憲法九条の一項にかかわることなんです。私の今言うているのは、二項の、軍隊ではない、そして交戦権を持っていない、この部分からも見なければいけない。だから、憲法との関係で見るならば、武力行使だけで見たってだめなんです。だから、軍事協力というのは国連に対してはできない立場だ、この外務大臣の発言は、これは初めてではなくて、同じような発言が、園田外務大臣がやられております。ちょっと形が変わっておりますけれどもやられております、持ってきておりますが。
そういう点で、国連平和維持活動というものをどう見るか。これは三つに分けてよく説明されておりますけれども、監視団とそれから平和維持軍、この関係というのは本当に流動的で余りはっきりしないというのは、先ほどの「ブルーヘルメット」第二版の八ページにこう書いています。「監視団は、通常、特定の目的のため及び指示された期間において、歩兵部隊及びまたは兵站部隊によって援助されることがある。平和維持軍は、任務遂行にあたり非武装の軍事監視員の援助を受けることが多い」だから、相互関係があって一緒になっているのですね。そういうものなんだ、それは全部軍事的なものなんだということなんで、平和憲法のもと、それが今後、国連軍と言われた平和維持軍のように、全く武力行使をやって、爆撃し合って、ついにジェット機まで攻撃した、こんなものも国連平和維持活動なんて言っているのですから、国連平和維持活動と言われれば、安保
理事会で決議をすれば何でも協力するんだ、その受け皿をつくるんだ、こんなことは許されない。その内容について検討すること、そして協力は、軍事的協力は一切だめということをはっきりさせることが必要だと思うわけであります。
その点を強く申し上げ、選挙監視団ならば国連平和維持活動としても、これは現に日本は派遣をしておりますし、現行法上できることでありますから、大いにやるべきだというふうに思っております。このことを申し上げ、総理に何か御感想ありましたらお伺いしたいと思います。
-
-
○
中野委員 まず先に、去る三月十二日、当
委員会の
理事会におきまして「平成三年度予算の衆議院審議終結にあたっての重点要求事項」というのを社公民三党で出させていただきました。その中の二項目につきまして、まずお尋ねをさせていただきたいと思います。
まず、老人保健と在宅福祉の問題でございます。
我が国の経済力に見合う豊かさと生活実感とのギャップを解消することが強く求められているわけでありますが、その豊かさの中の貧困が目立っておりますのが老人福祉サービスでございます。老人福祉施設を見ますと、スウェーデンでは老人ホームの入居は一人一部屋、部屋の広さは十二平方メートルとされております。日本の特別養護老人ホームでは、一部屋四人が普通であります。老人保健施設でも一部屋一人、八平方メートルであります。日本の老人福祉サービスはいまだ先進国並みとは言えない状況にございまして、老後に不安を感ずる国民の数はむしろ増加していると言わなければなりません。人間の幸せは、若いころにまさに働きがいがあり、そして老後も安心だと思えるところに人間の幸福感があると思うのであります。このとき、老人保健法を改正をし患者負担を増大させることは、国民の老後への不安をさらに高めることになるであろうと思います。老人保健法は今後、本国会において論議をされることになるわけでありますけれども、それに先立ちまして若干のお尋ねをしたいわけであります。
憲法二十五条で社会福祉、社会保障の向上及び増進は国の責務であると規定されておりますし、患者負担を求める前に公費負担の引き上げを実行すべきであると考えます。政府は、介護費用についてのみ五割とする法案を出しておられるわけでありますが、これこそ羊頭狗肉の政治ではないかと思わざるを得ないのであります。国民の老後の不安をなくすためにも、老人保健に対する公費負担率を三割から五割へ引き上げるという思い切った措置が必要であると思いますし、経済団体や該当いたします老人保健関係を扱います団体や労働団体等々からも強い要請があることは、御存じのとおりであります。
また、今後の福祉サービスを充実する上でマンパワーの確保は極めて重要であります。施設を充実しても、それを支える人材が不足するならば、福祉サービスそれ自体が崩壊しかねません。その福祉サービスの中でも、とりわけお年寄りに対する在宅サービスを支えるマンパワーの確保が必要であります。政府は、十年間で十万人のホームヘルパーを育成する計画を策定をし、その実現を図っておられますが、具体的には地方自治体の協力に負うことが多いわけであります。地方自治体の負担が過大になるということであっては、またこの効果や実効性も乏しくなってまいります。ゆえに、その確保を図るための財政及び制度を強化すべきであると考えますが、いかがお考えでしょうか。
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○下条国務大臣
中野委員にお答えいたします。
ただいま長寿社会の中での福祉政策の重要ポイントにつきましての御所見を拝聴いたしました。大変貴重な御意見として承りました。
現在の老人保健制度は、社会保険方式を基本としつつも、老人医療に対する公費負担は既に実質的には相当の水準に達しております。今回の老人保健制度の見直しに当たっては、これからの老人問題の中心課題の一つである介護の体制づくりを進める一環として、老人医療費の中で介護的要素の強い部分に対する公費負担割合を五〇%に拡充するとともに、平成二年度に創設した老人保健基盤安定化のための国庫助成措置を拡充の上継続することといたしたところであります。これにより、現役勤労世代の保険料負担は大幅に軽減されることとなり、老人保健制度の運営の安定化が図られるものと考えておりますので、御理解をお願いしたいと存じます。
次に、在宅福祉の強化については、平成元年十二月に「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を策定し、現在その着実な実施に努めているところでありますが、平成三年度においても、その一環としてマンパワーの確保を図るための事業等を行うこととしております。また、老人保健法改正により、老人訪問看護制度を創設し、保健、医療、福祉にわたる総合的な在宅福祉施策の整備を図ることとしております。
なお、これらの施策を進めるに当たっては地方自治体の対応が重要であることを認識し、地方自治体の理解と協力が得られるよう、さらに努力していく所存であります。
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○吹田国務大臣
中野先生にお答えいたします。
ただいまお話ありました問題につきまして、地方自治体の立場からの問題でありますが、自治省としまして、高齢者の保健福祉推進に対する十カ年戦略、こういったものに対しまして関連する諸問題につきまして、地方負担の問題が増大してまいります。これに対しましては、今日までも地方交付税あるいは地方債、いわゆる起債でありますが、こういったもので十分財源の措置を講じております。さらにこれから、今年度の予算にかかわる問題でありますが、単独事業といたしましても高齢者の福祉施策の問題につきましては実は積極的に対処しよう、こういう方針でおりまして、新しく支援態勢に入っておるわけであります。
その一つをちょっと申し上げてみたいと思うのでありますが、ハード事業につきましては、地域福祉推進特別対策事業というようなものを進めております。これは、例えば一つの例でありますけれども、歩道の段差がありますが、こういったものを取り除く、切り下げるというようなことによって高齢者や身障者の方々にやさしい町づくりあるいは生きがいづくりということにその施設が利用されるということであれば非常に結構なことであるということで、こういった面につきましても地方債あるいは交付税で面倒を見ていこう、こういうことであります。
あるいはソフト事業というようなことにつきましては、地方自治体が民間活動の実は活発な活動を続けていく上におきましても、この三年におきまして、本年ですけれども、三年度からとはまだ申しませんが、今年は少なくとも地域福祉基金というものをつくりまして、これを交付税で措置しようとしておるところであります。そういうことで、これ大体二千百億程度を計上いたしておりますが、こういったことで、これから自治省としましては、単独事業におきましても積極的な財政的な支援をして、地方自治体がそのことで非常に困難になる、財政的に行き詰まるなどというようなことのないように配慮していきたい、かように考えております。
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○
中野委員 自治大臣が今、地方債もしくは地方交付税で手当てをしていくとお答えになったわけであります。私はたびたびこの地方財政の問題を論ずるときに申し上げるのでありますが、地方交付税はもともと地方の取り分でございます。国税三税及び消費税絡みますが、その中からの地方交付税は取り分、一つの枠があるわけであります。その配分が変わるだけのことでございまして、これはまた地方にそれだけの財源が付加されたというものではない。地方債も、みずから借金しみずから返さなければいけないということになるわけでありまして、これも手当てしたことにはなりません。ただし、今おっしゃられたように、単独事業ででも借金をしてでも何しろやりたいという熱意を持っている自治体にとっては、地方債が認められることはその意欲が評価されることにつながりますから無意味ではありませんけれども、しかし地方債、地方交付税で見るということが、いかにも国が大変積極的な施策を講じましたよという評価にはつながらないというふうに思うのでござまして、しかしそれでも、せっかくの自治省としての工夫、御努力でございますから、私としてもそのことはそのことで前向きな姿勢として受けとめさせていただきますが、しかしそれが抜本的な改革ではないことを御認識をいただいて、なお一層の御努力をいただきたいと思うのであります。
それから、これは厚生大臣になりますか大蔵大臣になりますか、老人保健の基盤安定化という問題は、これは今もうお年寄りの皆さんのみならず、将来大丈夫かなという不安感、老人保健制度に対する、将来に対する不安感、不信感、そういうものが大変強く募っているわけでありまして、今回も若干の措置は講ぜられましたけれども、老人保健基盤安定化の必要性というのは、よほど政府としてもしっかりした認識を持って今後に臨んでいただかなければなりませんが、いかがお考えでしょうか。
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○下条国務大臣 お答えいたします。
御指摘のとおり、老人医療の基盤の長期にわたる安定化を図るということは、今後の高齢化社会を展望した重要な政策課題であると考えております。
このため、今回の老人保健制度の見直しにおいては、これからの老人問題の中心課題の一つである介護の体制づくりについて、保健、医療、福祉にわたる総合的な対策を進めるため、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の策定及びその実施体制を整備する老人福祉法の改正に続き、老人保健においても介護体制の充実に重点を置いた制度改正を行うとともに、今後もふえ続ける老人医療費について世代間でその負担を公平、適切に分かち合うこととして、老人保健制度の運営の安定化を図ることとしているところでございます。
このような見直しを盛り込んだ老人保健法の改正案については、今後十分な御審議をお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
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○
中野委員 なお、具体的な各論につきましては、老人保健法の審議の際にまた私どもとしての見解を述べさせていただきたいと思います。
次に、物価と内外価格差の問題についてお尋ねをいたします。
景気と物価動向についての判断をめぐって政府部内で見通しが異なっており、国民の不安が高まっております。例えば、ある報道によりますと、それをうまくまとめまして、日銀は「物価警戒必要」、通産省は「消費に不安も」、経企庁は「特に心配ない」、こういう報道がなされたりいたしております。特に、国民生活の安定に不可欠な物価動向で見通しが異なるということはやはり問題だと思います。
そこで、景気の見通しでさえこのように、今申し上げましたように異なっており、物価に対する先行きに不安をもたらすということであっては困るのでございまして、国民の生活向上のためにも、例えば総理府などに物価対策実行機関、これは仮称でありますけれども、各界各層の皆さんに代表していただき、具体的に物価対策に効果を上げる、そういう機関を設けて、物価見通しの調整を含め、また一方、これは大蔵大臣にお答えいただきたいと思いますが、金融財政政策などの強化も必要であります。こういうことが機動的な対策として講じられるようにすべきだと思いますけれども、お尋ねを申し上げたいと思います。
また、物価に関連をいたしまして、内外価格差の是正も政治に課せられた緊急な課題であります。昨年十月から十二月にかけましての政府の調査によりましても、東京の小売価格は、米や牛乳などニューヨークの二倍から三倍に達しており、とりわけ通産省の所管する品目、サービスでは、東京の方が高いというものが九〇年三月調査より六銘柄ふえてさえおります。内外価格差が是正されない現状に、先ほどは経企
庁長官はかなり是正されてきているという御答弁もあったように思いますが、こういう具体的な事例を見ますと、とてもとても是正された、またその方向へ行っているというふうには思えない、そういう状況下で国民の怒りがさらに高まっていると思うのであります。
よって政府は、早急に内外価格差是正へ向かってのアクションプログラムを策定をし、実施すべきだと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
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○
越智国務大臣
中野委員にお答え申し上げます。
物価政策に関しましては、政府におきまして、閣僚レベルによる物価問題に関する関係閣僚会議や各省担当官による物価担当官会議が設けられております。また、
内閣総理大臣を中心に関係各大臣が一体となって有効適切な物価安定政策を立案、実施するために、広く国民各層の意見を聞くことを目的として物価安定政策会議が設けられております。さらに、今お触れになりました内外価格差問題につきましては、消費者重視の観点から対策を総合的に推進するための組織として政府・与党内外価格差対策推進本部を設置しております。今後ともこれらをより一層有効に活用し、物価対策実行機関の御提言の意図するところを生かしてまいりたいと存じております。
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○
中野委員 先般の当
委員会における質疑応答の中におきましても、同僚
委員の質問に答えられまして、いろいろ各機関があります、その中で工夫をいたします、なおいろいろと各団体、経済団体も含めまして、労働団体等々から要請されている物価対策実行機関についても、経企
庁長官としては、そのあり方等について考えてみると、やりますとは答えなかったですけれども、前向きの御答弁があったと思うのであります。具体的にはやはり実効を上げる、この実行機関などという言葉は、これはやはり国民の大変強い願いがあらわれた言葉でございまして、このことについてはよほどの決意を持って臨んでもらわなければなりません。屋上屋を重ねる組織、機構をつくることが能ではありませんけれども、しかしながら、これをあえて提言される国民の気持ちの方をむしろ考えて今後の対策に臨んでいただきたい、こう思うのでございます。大蔵大臣、いかがですか。
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○橋本国務大臣 今経企
庁長官が述べられましたところを我々としても忠実にサポートしていきたい、その役割を果たしていきたいと考えます。
-
○
中野委員 あわせまして、今とりわけ地球に優しい環境づくりとか消費者保護とかということが大変強く求められているわけであります。その中でクローズアップされておりますのが製造物責任など消費者行政の強化ということでございまして、このことにつきましてどのように今御検討をされておられますでしょうか。
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○
越智国務大臣 お答え申し上げます。
製造物責任など消費者行政につきましては、政府におきましても、消費者行政を一体的に進めるという観点から、これまで毎年、
内閣総理大臣を長とする消費者保護会議におきまして、消費者行政に関する各般の施策を決定し、その推進に努めてきているところであります。
今お話しになりました製造物責任制度につきましては、国際化の進展に対応した制度の調和を図る観点から、総合的な検討が必要と考えており、国民生活審議会に専門的に審議する場を設け、早急に具体的検討を進めてまいる所存であります。
今後とも、国民のすべてが消費者であるとの認識のもと、消費者保護基本法にのっとり、関係省庁と連携をとりながら、消費者の利益の擁護及び増進のため、消費者行政施策を積極的かつ総合的に推進してまいりたいと考えております。
-
○
中野委員 ぜひ誠実に、積極的にお取り組みをいただきたいと思う次第であります。
緊急要望事項につきましてはこれで終わりまして、最後に一問だけお尋ねをいたしたいと思います。
若干我が党の主張もあわせまして申し上げますので、長くなりますが、お許しをいただきたいと思います。
統一地方選挙が目前に迫っております。今老人福祉の問題、そして消費者の問題をお尋ねをいたしましたが、もう一つやはり大事なことは、地方の活性化、地方の自治の充実ということにあるであろうと思うのであります。自治大臣を中心にお尋ねをいたしまして、最後に、以上お尋ねしたことについての総理の御見解をお尋ねしたいと思いますが、例えば東京圏への諸機能の集中度を見ますと、企業本社六二%、外国法人八八%、書籍出版でさえと言ってはおかしいのでしょうか、書籍出版も八六%となっております。
その結果、地方の経済成長率は、北海道、東北、中国、四国、九州で全国平均を下回りと、全国平均は、平均ですからどこか下回るところと上とがあるのですが、この面積から考えていただければ、この広さがいかに広いかおわかりだと思います。いかに一極に集中しているかがこれだけでもおわかりいただけると思います。大都市圏と地方との経済、文化の格差がますます広がっております。そのため、東京などの大都市では、人や企業の集積の進捗に社会資本の整備が追いつかない。交通渋滞、住宅、オフィスの恒常的な供給不足、ますますひどくなる満員電車、経済の伸展や車の増加に対応し切れない道路、加えて老人ホームや医療センター等の建設用地の取得さえ困難となってきたわけであります。
他方、人口が減少している都道府県の数は、昭和六十一年にはたった一つであったのが、平成元年には二十一に激増をいたしておりまして、一九六〇年代の過疎化に続き、今地方は第二の過疎化の波が押し寄せているとさえ言われているわけであります。いかに今日までの一極集中を防ぐ施策が効果がなかったか、おろそかになっておったかを具体的に証明していると言っても過言ではないと思います。
これらを解消するためには、一つは地価対策、また一つは社会資本の充実、またもう一つは都市計画の推進、これらのことが必要であろうと思いますし、もちろん地域活性化のための、とりわけ開発がおくれております、人口が減少をいたしております地域に対する施策もまた重要であろうと思います。
地価対策につきましては、もちろん地価税についての審議が始まっております。土地制度の改革、土地税制の抜本的改革、土地への過剰融資の規制を柱として、大都市圏の地価を五〇%引き下げる、そのことを大胆に、各党一致した考え方なのでありますから、その施策を大胆に進めていく必要があろうと思いますし、現在でも都市開発協会の調べでは、東京都心から二十キロメートル圏の地域の戸建て住宅は一億二千万円近くにもなり、サラリーマンの平均年収の十八倍だという指摘があるくらいであります。他方、地方の方では地価が下落している地域さえある。これは最近の現象というものではなくて、恒常的な、中長期にわたっての現象を指摘しているわけであります。
これらの施策について今後とも努力をしてまいりたいと思いますが、これらの具体的な施策を進めるに当たっての自治省の取り組みも必要だと思います。土地税制だからといって大蔵省というのではなくて、自治省の取り組みも必要だと思います。
あわせまして、社会資本の整備のおくれであります。交通渋滞の解消や高速道路網の拡充、駐車場の整備、街路樹の普及を図る。これは幾つかの都市の代表的要件なのでありまして、二〇〇〇年を目途に、都市公園の一人当たり面積十二平米、一戸当たり床面積百十平米、下水道普及率八〇%くらいにはするべき、これはヨーロッパの水準にはまだ足りませんけれども、そういうことを目指すべきであるというふうに思うのでありますし、また計画的に地域のアメニティーを確立する努力が必要であります。自然的、歴史的背景などの地域社会の文化的諸条件を配慮しながら、コミュニティー文化圏、地域文化圏、広域文化圏、全国ブロック文化圏を設定するなど、いろいろ圏域ごとにそれにふさわしい施設をつくる。まずベースをつくる。そして、図書館、文化会館、美術館、劇場などを有機的に配置していくという努力が必要ではないか。いわゆるこれからは文化の薫りがする地域社会づくりというものが日本においても必要になってくる。とてもとても文化国家とは言えない状態があります。これを打破していくためには、地域における努力が必要であります。
先般、竹下内閣のときにもいろいろな工夫、ふるさと創生などということもなされましたけれども、余り全国においていい知恵が出てきたとも思えません。むしろ、もっともっとそれは専門的に、そして地域に密着した工夫がなされるべきであろう、こう思うのであります。
最後に、都市計画の問題であります。現在、都市計画法では八種類の用途地域を指定しておりますが、これを二倍ぐらいにふやしたらいかがでしょうか。そして、用途地域を二倍ぐらいにふやしまして細分化し、そして美しい町並みをつくる。細分化して具体的にこの地域はどういう町なのだということを具体化する、純化していくことによって実はいろいろな効果が出てくると思います。これは地価にも響いてまいります。環境問題にもいい影響を与えてまいります。そしてまた、具体的な町づくりに、具体的にその地域に合った環境づくりをすればいいのでありますから、これまたいい効果を与えてくるであろうと思うのであります。建築基準法の用途規制をその際あわせましてさらに純化すべきではないか、こう思うのであります。
また、地区計画制度の創設によりましていわゆるミニ開発や鉛筆ビルの規制も可能となるはずなのでございますけれども、ところが、この地区計画制度は余り採用されていないわけであります。
こうしていろいろと今土地政策や土地税制がやかましく議論をされているのでありますが、今日までもやらなければならなかったことがおろそかになって効果を上げていない。また、国の方で強制的にいろいろな問題を論ずるけれども、しかし地方自治体において十分工夫し切れていない。また、やらなければならぬと思ってもいろいろな制約や財政上の状態で実行に移せない。こういう問題がたくさんあると思うのであります。
恐らくこれから地方選挙に入ってまいりますから、いろいろな候補者がいろいろな公約を出すでありましょう。しかし、今申し上げましたようなものが基本的に解決されませんと、点だけの対策になって、線の対策に、ましてや面の対策にはなっていかない。町づくりは点や線ではなくて面の発想が必要だ、こう言われておりますけれども、今日、私どもとしてはそういう工夫、そういう研究と努力をもっと基本的に自治省を中心にして国土庁や建設省も御協力をいただいて出していかなければ、いつまでたっても日本の汚い町、雑然とした町、その印象は免れ得ないのではないだろうかと思うのであります。
少々長くなりましたが、自治省並びに関係省庁の基本的な姿勢をお聞かせをいただきたいと思います。
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○吹田国務大臣 お答えさしていただきます。
ただいま
中野先生の御指摘がありましたことは、私どもも痛いほどわかるわけであります。特に、この地方自治体というものは地域の発展と住民の福祉ということが基本でありますから、これに向けてすべてを民選で選ばれた方々が住民の御要望にこたえていくというのがその基本的姿勢であろうと思っております。
したがいまして、我々としましては、そうした、みずから考え、みずから推進していくという自主的な自治体の姿に対して、自治省はこれに支援を加えていく、これが基本的な自治省の考え方であり、ふるさと創生、まさにその考え方から出発しておると思うのでありますが、近時またこのふるさと創生の基本的な哲学と申しましょうか、そういった考え方をもとにしまして、海部内閣におきましても過般来から活力倍増プランというものを立てて、そうしていわゆる前向きに取り組んでいこう。私をして言わしめれば、活力倍増というのはやる気倍増だというふうに考えておるわけでありまして、やる気がなければもう全然だめですから、そういう意味で、やる気倍増だというような意味で、私はこのプランを全力を挙げて今後進めていかなければならぬ。
そのためには、先ほどからも少し触れましたけれども、ソフトの面とあるいはまたハードの面とがありますが、ソフトの面におきましても従来どおり三千三百億というものを組んでおりますし、さらにまたハードの面におきましては地域総合整備事業債というもので、これはさっき申し上げましたが、少し先生の方に受けとめ方としておしかりを受けたようですけれども、私どもが申し上げておりますこういう特別な高齢者問題とか地域の特別な自主的な判断によって活性化に進んでいこうという単独的な構想に基づいた事業につきましては起債をするとしましても、それはやがて交付税で相当部分を元利分を我々で面倒見ていこうという前提の起債でありますから、地方にできるだけ大きな負担のかからないような方途を講じていこう。特に地方におきましての問題は、さっき御指摘がありましたように社会資本が充実していないのですよね。社会資本さえ充実すれば、その地域社会というものは、農村といえども立派な環境整備ができる。環境整備ができれば、地方の能力や人材というものは、何も一極集中しなくたって地方に存在できるということもあります。
そういった意味で、過般この席でも申し上げましたが、やはり距離と時間を縮める、できるだけ距離と時間を縮めて、能力をその地域社会に存在せしめていくというようなことに地方自治体というものは全力を注がなければならぬのではないかなということでこのふるさと創生というものを私ども考えておりますが、さっき御指摘がありました、確かに地方財政というものは非常に貧困な点があります。強弱があります。東京におきましては非常に強い。東京都は大変大きな財政力でありますが、弱いところはもう財政力指数もとてつもない弱いというようなことで、私どもとしましては、これは問題であると思っておりますから、これに対しましての財政援助を加えておるというのが現状であります。
さらに、さっきいろいろお話がありましたが、二十一世紀へ向けての魅力ある地域づくりという問題につきましては、都市景観の問題等は確かに大事な問題であります。私もせんだって消防庁のヘリコプターをもちまして東京の上から、できるだけ低空で見たのですけれども、本当に消防車の入らない町がたくさんあります、道路があります。あるいは緑がありません。山は緑でも東京は砂漠じゃないかというような、極端な表現ですが、そういう気持ちさえするのであります。ですから、やはり山も緑、町も緑、こういうことにしなければならぬのじゃないかなというような気持ちで、これから全力を挙げて私は考えていこうと思っております。
さらに、アメニティーの富んだ美しい町づくりをやれというようなお話でもございましたが、そういった点につきましても、私どもはさらに進めてまいりますし、潤いのある優良な地域団体、地方公共団体に対しましては表彰制度を設けるとか、いろいろな方法でこの自主独立の地方公共団体というものに対しまして協力を申し上げていこう、こう思っておりまして、これからもどうぞひとつ御支援と御協力をお願いしたい、こう思っておるわけであります。
以上であります。
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○海部
内閣総理大臣 ただいま自治大臣が懇切な御答弁を申し上げましたし、聞いておりまして、私もなるほどそうだとうなずいて聞いておりました。内閣でつくりました活力ある地域づくり推進要綱に従って、地域にそれぞれ活力を持ってもらう、倍増プランというものもお互いに今話し合っておりまして、自治大臣ほど上手には言えませんけれども、例えばそのふるさとの木を倍増するとか、あるいは絵になる風景をそれぞれの町で大切にして倍増していくとか、夏の都は冬のお客さんを倍増するとか、Uターンしてくる青少年を倍増する計画をつくるとか、町民そろって読書倍増計画をつくるとか、あるいは体力の倍増計画をつくるとか、それぞれそれぞれの地域にふさわしい計画やプランを町民の皆さんの自主的な創意工夫によって、それを市
町村の自治体とともに力を合わせて形成していってもらうことが、やはり一極集中の弊害を取り除き、願わくば、冒頭の発言にありましたように、地価税を今度導入していただけたならば、政府としては、その税制とともに、従来やってきた金融とかあるいは都市計画の問題と三点セットにして土地神話を崩していきたい、こういうつもりでおりますので、どうぞよろしく御理解と御協力をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
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○
中野委員 何しろ統一地方選挙に当たっての応援演説の予行練習をなさったような感じがいたしました。体力倍増、活力倍増どころか、そのくらい演説をぶっておれば議席倍増しそうな感じがいたしますが、しかしおっしゃられたことはどうぞそのままお守りをいただきたい。国民のために御努力をいただきたいと思います。
終わります。
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-
○楢崎
委員 きょうの夕刊の各新聞は、掃海艇派遣の記事で各紙とも飾られております。きょう午前中、社会党の
松浦委員の質問に対する外務大臣の答弁も聞いておりました。外務大臣のあの答弁は、新聞の受けとめ方は、外務大臣も検討の方針と載っていますね。私もそういう感じを受けました、それはよろしゅうございますが。
そこで、掃海艇をもし派遣するようになった場合は、掃海艇だけが行くのではありません。どういう種類の護衛艦が一緒に行くことになると、あなたは検討する場合にお考えですか。
-
○
池田国務大臣 お答え申し上げます。
この問題につきましては、午前中外務大臣からも御答弁ございましたように、具体的な要請があるわけでもございませんし、また、私どもといたしましても、現段階で検討しているわけではございません。そういうことでございますので、あくまで一般的なお答えになるかと思いますけれども、今現にあの地域に掃海のために艦艇を派遣している国がございますが、その中には、掃海艇のほかに補給のために必要な補給艦というようなものを随伴しているという例もあるように承知しております。
-
○楢崎
委員 後ほど申し上げますけれども、かつて朝鮮戦争のときに、当時は帝国海軍の生き残りの掃海部隊を海上保安庁が受け継ぎました。そして朝鮮戦争に米軍司令官の要請で派遣をし、二十隻です、そのときは、二隻爆沈して、一隻は座礁して、そして一人が亡くなられて、十七名が負傷されたという事件があります。この事件を、こういう内容を明らかにしたのは、ジェームス・E・アワーというアメリカの海軍少佐、この人は掃海艇長の経験がある方で「よみがえる日本海軍」という本を出された、昭和四十七年に。で、私はその昭和四十七年の五月二十四日、外務
委員会でこの掃海艇問題の質問をいたしております。
このジェームス・E・アワー氏も、ついていくのは、まず今お答えのとおり、補給艦は当然行きますよ、これは。どういう役目かというと、油を補給する、あるいは食糧を補給する、あるいは郵便の作業もある。もう一つありますね、絶対行かなくちゃいけないものが。あのときでも二十隻行っているのです。今度はどのくらい行くか知りませんが、もし行くとすれば。掃海母艦が行くはずです、掃海母艦が。そうでしょう、うなずいておられますから。つまり、最低限掃海母艦、それと補給艦。具体的には、今掃海母艦は「はやせ」二千トン、百五十人乗り、補給艦「とわだ」八千百トン、百四十人乗りです。これが当然ついていくはずでしょう。そして中型の掃海艇「はつしま」型、これが今二十五隻ありますね。四百九十トンですが、四十五人乗りです。もしこれらの部隊が行くとしたら大艦隊ですよ、これは。そしてその乗組員は二千人近くなる。そのほかに、あるいは普通の護衛艦がついていくかもしれません。そういうことを念頭に置いて検討するなら検討してくださいね。私はそれを言っておきます。
それで、私は申し上げたいのは、きょう何ですか、いろいろ夕刊に載っておりますけれども、その主な大事な点を拾ってみますと、もう戦争は終わっているからいいんだ、平和だ、それから公海上だ、あるいは国連の要請があればいいんだ、これは政府関係ですよ。一方においては、いや国連の要請がなくても日本独自の判断で派遣し得る、こういうあれが載っていますよ。もう入り乱れている。どうせ統一なさるでしょうけれども。
しかし念のために私は申し上げておきますけれども、先ほど申し上げた昭和四十七年五月二十四日、私は当時、今の米軍海軍少佐の本も読みまして、そして当時、ベトナム戦争があっていたときに北ベトナムは機雷を敷設した。それで、私は、戦争が済んだら日本の海上自衛隊が掃海作業に協力するようなことはないでしょうねという、簡単に言えば質問をしたのです。そうしたら、海部総理あなたの大先輩である
佐藤榮作当時の総理大臣は、こういう答弁をされておる。「大体、自衛隊が出かける領域ではない、」北ベトナム周辺の海域ですよ、「かように思います。いままで海外に派兵しないというそのたてまえから申しまして、いまの掃海に協力するようなことは自衛隊としてはない。」重ねて、「海上自衛隊の場合、これはもう厳に禁止されておることだから、そういう海域までは出ていかない、かように思います。」
と同時に、当時の江崎
防衛庁長官はこういう答弁をされています。「国連から要請がありましても、それがいかに平和的なものであっても、現在の自衛隊法に国連の任務に参加していいという任務規定はありません。したがって、そういう要請があっても自衛隊は参加することができない、これははっきりいたしております。」と答弁された。さらに、「米軍の要請によって掃海業務に自衛隊が当たるということはあり得ない、」米軍の要請でもだめだ、国連の要請でもだめだ、平和的であってもだめだ。そして、「こういう問題は、いろいろ」……
-
○
渡部委員長 楢崎君、質疑時間が終了いたしました。
-
○楢崎
委員 「国民的不安を醸成しやすい問題ですから、誤解があるといけませんので、はっきり申し上げておきまするが、今日の自衛隊が現存しておる状況においては、そういうことには絶対ならない。」これが当時の答弁です。
総理大臣、検討する際に、今の点はよく検討の判断材料に入れてくださいよ。これは大問題なんだ。あなた方はもう、あれですよ、自衛隊の輸送機の派遣問題でも、今まで国会でいろいろと積み上げてきた解釈を一方的に破棄してきた。今度だって、こういうことを覚えとってくださいよ、いよいよになったらまたやりますから。
終わります。
-
○
渡部委員長 楢崎君の質疑は終了いたしました。
これにて締めくくり総括質疑は終了いたしました。
以上をもちまして平成三年度予算三案に対する質疑はすべて終了いたしました。
─────────────
-
○
渡部委員長 この際、日本共産党
佐藤祐弘君外一名から、平成三年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。
これより、本動議について提出者より趣旨の弁明を求めます。
佐藤祐弘君。
─────────────
平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計
予算及び平成三年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議
〔本号末尾に掲載〕
─────────────
-
○
佐藤(祐)
委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました平成三年度予算三案につき政府がこれを撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案理由及び概要を御説明いたします。
まず、撤回、編成替えを求める理由についてであります。
平成三年度政府予算案は、引き続く大軍拡、消費税の継続と新たな大増税、老人医療制度の改悪など、国民多数の消費税廃止、軍縮と国民生活最優先の予算編成をという願いを踏みにじるものとなっています。
また、本予算は、多国籍軍への戦費として九十億ドルを支出する九〇年度第二次補正予算とも関連して、国民に戦争増税を押しつけ、憲法の平和原則をじゅうりんする戦争協力予算であるからです。
五年間で二十二兆七千五百億円の新軍拡計画、四百三十兆円を注ぎ込む公共事業十カ年計画は、新たな財政破綻となり、消費税の税率引き上げを含む国民大増税、福祉の一層の後退をもたらすものであります。
現に老人医療費患者負担の大幅引き上げ、児童手当の支給期間の短縮、生活保護費の連続大幅削減や地方交付税交付金の大規模な減額は、国民の暮らしと営業を直撃するものとなっています。国民の切実な願いに反する政府提出予算の撤回と抜本的な組み替えを強く求めるものであります。
次に、編成替えの概要について述べます。
第一は、戦争協力でなく、世界の平和に真に貢献する予算にすることです。新軍拡計画を撤回して軍縮に転換し、来年度予算では軍事費を九〇年度予算に比べ、少なくとも半減すべきであります。また、政府開発援助のあり方を根本から見直し、世界の飢餓、貧困をなくし、発展途上国の真の自立に役立つものに改むべきであります。
第二は、消費税の廃止、食料品など生活必需品の完全非課税、固定資産税の評価がえの中止、国保税の引き下げを行い、三兆円の大衆減税を断行すること、さらに大企業、大資産家向け不公平税制を抜本的に是正すべきであります。
第三は、地価引き下げ措置の徹底、家賃減税の新設、国公有地を緑と住宅に活用し、安心して暮らせる公共住宅を大量に建設することであります。
第四は、福祉、教育の充実であります。
第五は、米の輸入自由化を許さず、ふるさと農村を立て直し、中小企業の営業と暮らしを守ることであります。
第六は、労働時間の短縮、育児・介護休業制度の創設など、勤労者の生活向上を図ることであります。
第七は、原発事故や環境破壊、公害から国民の健康と生活を守ることであります。
第八は、八五年以降強行されている国の補助金削減をやめ、地方自治を守ることであります。
以上が動議の概要であります。
これこそ日本国憲法を守り、平和と軍縮、国民生活の向上を目指す道であると確信し、
委員各位の御賛同を心からお願いして、趣旨弁明といたします。
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○
渡部委員長 これにて動議の趣旨の弁明は終わりました。
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○
渡部委員長 これより討論に入ります。
平成三年度予算三案及び
佐藤祐弘君外一名提出の動議を一括して討論に付します。
討論の通告がありますので、順次これを許します。
近藤鉄雄君。
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○
近藤(鉄)
委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成三年度予算三案について、政府原案に賛成し、日本共産党から提出された編成替えを求めるの動議に反対の討論を行うものであります。
平成三年度予算は、現下の国際情勢を踏まえ、かつまた、我が国の来るべき将来をも広く展望して編成されたものであり、最良、最善の予算であると考えるものであります。
以下、政府原案に賛成する主な理由を申し上げます。
賛成の第一は、財政改革に向けて引き続き真剣な努力が払われていることであります。
長年にわたる改革改善努力により、我が国財政は、特例公債からの脱却という財政再建の第一目標を前年度に達成したのであります。平成三年度予算におきましても、さらに歳出の徹底した削減、合理化に努めた結果、特例公債を発行せず、公債依存度もさらに低下させるなど、財政のさらなる健全化に向けて一段の前進が図られております。財政当局のたゆまざる努力を高く評価するものであります。
賛成の第二は、国民生活の質の向上、活力ある福祉社会の形成に向けて十分な配慮がなされているということであります。
平成三年度の公共事業関係費は、昨年六月に策定された十カ年の公共投資基本計画に沿って編成されたものであります。前年度に比べ六%増の高い伸びを確保しており、新計画の初年度にふさわしいものとなっております。
とりわけ、新たに設けた二千億円の生活関連重点化枠は、下水道、都市公園、廃棄物処理施設、交通安全等、国民生活の質の向上に結びつく分野に積極的に配分するなど、生活重視面への配慮も十分に払われております。
さらに、社会保障関係費においては、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を実施するための経費が計画に沿って計上されております。また、児童手当制度の充実を図るなど、国民にとって身近な施策についてもきめ細かな配慮が行われております。
賛成の第三は、節度ある防衛予算が計上されていることであります。
平成三年度の防衛予算は、昨年末に策定した中期防衛力整備計画を踏まえ、最近の国際事情等をも勘案し、効率的で節度ある防衛力の整備に努めているのであります。
防衛関係費の総額は、前年度当初予算に比べ五%強の増加となっておりますが、この増加は、隊員の生活環境や情報・通信等のいわゆる後方分野の充実を図ったことによるものであります。正面装備については専ら更新・近代化に重点を置いたことから、前年度予算額を下回っており、米ソ対決時代からの脱却という最近の国際情勢をも十分に反映したものになっていると考えるものであります。
賛成の第四は、国際社会への貢献を積極的に推進するための予算措置が適切に図られていることであります。
平成三年度の政府開発援助予算は、量的には、国際公約である第四次中期目標の達成に向けて、前年度に比べて八%増の高い伸びを確保するとともに、質的にも無償資金協力の増額や実施体制の充実が図られております。また、地球環境保全のための予算も大幅に増額されており、国際社会への貢献を最も重要と考える我が国の姿勢を内外に明確に示したものとして高く評価するものであります。
以上、政府原案に賛成する主な理由を申し述べました。
なお、日本共産党提出の編成替えを求めるの動議につきましては、各般の考え方に大きな隔たりがあり、到底容認できないものであり、断固反対の意を表明いたします。
以上をもちまして、私の討論を終わります。(拍手)
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○
串原委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました平成三年度政府予算案に対し、反対の立場から討論を行います。
予算案に反対する第一の理由は、過日、平成二年度第二次補正予算で処理されました多国籍軍への追加支援九十億ドルに係る措置が盛り込まれていることであります。
我が党は、この九十億ドルは明らかに戦費であり、憲法抵触の疑義さえ持たれるものであるため、拠出を中止するよう求めてまいりました。平和憲法を持つ我々のなすべきことは、戦争加担ではなく戦争の回避であり、避難民、被災民対策や原油流出に対処するための環境対策、戦争被害国に対する経済援助、協力など、非軍事の立場に立つ人道的、平和的貢献であります。
政府は、九十億ドルは湾岸平和基金への拠出金であり、平和目的であるとしてきましたが、米国は既に湾岸戦争の費用であることを極めて明確にしております。それを前提として予算案が編成されているのであります。その多国籍軍支援の措置が継続されております来年度予算案に賛成することはできません。
次に、予算案修正の手続に問題があります。
我が党は、予算
委員会での審議の開始に当たり、今国会の最大の焦点である湾岸戦争にかかわる補正予算案の提出を求めました。しかし政府は、実務的に困難であるとの理由により、概要の提示のみをもって予算審議を開始したのでありますが、予算
委員会での論議や世論に配慮し、多国籍軍支援に係る財源措置に対する政府方針が二月半ばになって変更されました。政府提出の本予算が審議途中で今回のごとく修正されたという不定見さは、まさに前代未聞であります。わけても、財政法に基づく修正後の予算書のすべてが国会に提出されたのが予算審議の終盤段階となり、予算審議に重大な影響を与えた政府の失態を糾弾しなければなりません。
反対の理由の第三は、九十億ドルの財源問題にかかわって防衛費の削減が行われましたが、それが全く不十分な点であります。
防衛費は来年度予算で十億円程度減額され、今後五年で一千億円余りの減額が提案されております。正面装備の新規契約の削減であるため、初年度は頭金程度が減額されるだけで五年で一千億円程度が削減されるということであり、また三年経過後の中期防衛力整備計画の見直し時に今回の減額措置を反映するとのことでありましたが、なぜ今、次期中期防での変更を確約できないのでありましょうか。中期防の総額の変更、装備調達計画などの変更に直ちに着手すべきであります。
次に、政府予算案が激変する内外情勢に適切に対処しておらず、二十一世紀への展望を全く明らかにしない従来型の予算案となっていることを反対理由として挙げなければなりません。政府予算案を一言で評するならば、軍備・産業優先、生活軽視型予算の継続と言えるのであります。
我が党は、平成三年度政府予算案に対し組み替えの要求書を政府に提出いたしました。
その内容は、防衛費の三千億円の削減を初めとし、中東和平の実現と戦後復興への全面的協力、高齢化対策など福祉施策の充実、農林漁業の再建、教育文化の振興など八項目にわたるものでありますが、これらの予算要求が全く生かされておりません。
政府予算案は、社会保障費が国債費を下回るなど、生活関連の予算が一般会計に占める比率を逓減させております。社会保障関係費は対前年度当初比で五・一%の伸びが確保されたものの、構成比は一七・四%に低下し、文教関係費等は五・五%伸びているものの、構成比は七・七%まで下がっていることはこのことを物語っております。生活関連予算は、内容上不十分なだけではなく、金額だけで見ても拡充されているとは到底言えないのであります。
また、公共投資も、今後十カ年で四百三十兆円もの計画の中でせっかく生活関連枠が設定されたにもかかわらず、抜本的な改善にはなっておりません。従来からの枠組みはマンネリ化し、さらに住環境の整備のためには、異常に高騰した地価の抑制、引き下げが必要不可欠でありますが、そのための土地税制改革の中心である地価税は、税率、控除等について見直しを行わない限りその目的は実現できず、効果的な税制とならないことは明らかであります。
最後に、本年度も暫定予算必至の状況であり、政府提出予算が年度内に成立しなかったということは、予算提出権を持つ内閣の政治責任は極めて重く、猛省を求めます。
なお、ただいま日本共産党から提案されました平成三年度予算につき撤回のうえ編成替えを求める動議につきましては、私どもとは趣旨が異なり、内容上の整合性にも問題がありますので、反対であることを申し上げて、私の反対討論を終わります。(拍手)
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石田(祝)
委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました平成三年度予算政府案につきまして、反対討論を行います。
湾岸戦争に伴う九十億ドル支援の拠出金に充てるため、政府みずから我々の主張を取り入れ、歳出削減し、予算修正したことは評価するものでありますが、多くの課題を先送りし、真正面から取り組んでいない平成三年度予算に対し、反対を表明せざるを得ないのであります。
以下、順次反対する理由を申し述べます。
まず第一に、生活重視型へ十分な転換がなされていないということであります。
豊かな国民生活を実現するために来年度予算に課せられた最大の課題は、生活関連社会資本の充実であります。しかし、公共投資は従来の産業基盤重視の姿勢はほとんど変わっていないもので、生活者重視の予算とはほど遠い予算と言わざるを得ません。
第二に、土地、住宅問題に対しての取り組みが不十分であるという点であります。
土地対策の目玉として期待された地価税法案は当初より大幅に後退したものになっており、抜本的な改革案とは言いがたいものであります。我が党がかねてより主張してまいりました家賃補助制度について、建てかえ住宅等の一部に家賃補助の制度を設けたことは、評価するものであります。今後、本格的な家賃補助制度の創設を強く要求するものであります。
第三に、消費税についてであります。
消費税は廃止すべきでありますが、当面、逆進性の緩和、益税、運用益等の是正措置を講ずべきであります。しかし、こうした措置がとられておりません。
第四は、福祉、文教施策への対応が不十分であるということであります。
老人医療費の患者負担の大幅引き上げは、高齢者、低所得者の負担増を招くものであります。また、児童手当の支給対象を第一子にまで広げたことは一歩前進でありますが、さらに支給年齢の引き上げに努めるべきであります。
文教予算につきましては、私学助成を抑える一方、平成四年度より国立大学の入学金を引き上げる等、国民負担の増大を招くものとなっております。
第五に、環境予算が不十分であり、地方財政、農業、中小企業対策などについても問題があることであります。
地球環境の保全、廃棄物処理対策も不十分であります。地方財政対策では、地方交付税の減額措置により地方の行政水準の低下が懸念されるのであります。
その他、農業対策、中小企業対策等についても、内外の経済情勢の変化に十分に対応したものとは言えません。
第六に、防衛関係費についてであります。
防衛関係予算は伸び率が高く、現下の世界情勢の変化に対応したものとはなっておりません。予算修正で防衛関係費を削減したことは評価できるものですが、防衛政策の抜本的転換を図り、防衛関係費はさらに削減すべきであります。
また、我々の予算に関する政策、制度要求に対しては前向きに実行すべきであります。
以上、主な理由を申し述べ、平成三年度予算政府案に対する反対討論といたします。
なお、日本共産党提出、予算の編成替えを求めるの動議には、考えを異にするため反対いたします。
以上。(拍手)
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三浦委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の平成三年度予算三案に反対し、我が党提出の予算編成替えを求める動議に賛成する討論を行います。
反対の理由の第一は、本予算は平成二年度第二次補正予算とあわせ、米軍を中心とする多国籍軍に対して九十億ドルの戦費を提供する憲法違反の戦争協力予算だからであります。戦費の負担は何と言おうと明白な戦争への加担であって、憲法の平和原則に照らして断じて許すことはできません。さらに、戦費調達の戦時国債を償還するため大増税と国民生活への犠牲を押しつけることは、到底認められないのであります。
我が党は、湾岸戦争の終結を歓迎するものであります。しかし、この戦争が国連の戦争と言えるものではなかったことや、国連憲章の精神に反して開戦を急いだことは、世界政治の重大な教訓であります。したがって、戦後復興や中東の公正な平和の実現のためには、大国の思惑によらず、民族自決権の厳格な尊重を基礎に、国連の責任のもとに進めるべきであることを強く主張するものであります。
反対の第二の理由は、対米誓約を最優先して、新たな大軍拡の推進と日米構造協議の具体化を進める予算だということであります。五年間で総額二十二兆七千五百億円という大軍拡計画は、AWACSを初めとする正面装備の高度化や、指揮・統制・通信・情報能力の飛躍的向上、在日米軍駐留費の新たな負担など米国の軍事戦略を補完し、世界の平和に逆行するものであります。世界一の規模となったODAも米国の戦略援助を肩がわりするものにほかなりません。
また、日米構造協議で米国に押しつけられた公共投資計画は、今後十年間に四百三十兆円という、財源保障のない巨額の資金を投入するものであります。アメリカの言いなりになってこれらの計画を突き進むならば、新たな財政破綻を引き起こし、大増税など国民への大収奪の道を歩むことは火を見るよりも明らかではないでしょうか。
第三の反対の理由は、消費税の継続と新たな大増税を進めるものだからであります。国民の切実な要求には背を向けて消費税の存続を図る一方、固定資産税の評価がえや三大都市圏の農地への宅地並み課税など国民への大増税は絶対に許されません。
第四は、臨調行革をさらに推進して、財界を優遇、国民には犠牲を強いるものだからであります。老人医療費自己負担の大幅引き上げや生活保護費の連続大幅減額など、福祉への冷たい仕打ちの予算であり、私学助成の実質マイナスと学費の値上げなど、教育の国民負担は重大であります。地方交付税の一兆円を超える減額は言語道断であり、歴代自民党政府の失策のツケを地方自治体が払う理由はどこにもないのであります。
私は、日本共産党が提出いたしました予算編成替えの動議こそが、国連憲章の精神と憲法の平和原則に立ち、世界と日本を平和と軍縮の方向に転換をさせ、国民の暮らしを守る唯一の道であることを心から訴え、政府提出予算三案には断固として反対することを重ねて表明して、討論を終わります。
以上です。(拍手)
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○
中野委員 私は、民社党を代表して、平成三年度予算三案に対して反対の討論を行います。
我が党の要求を受け入れ、湾岸地域への平和回復のための九十億ドルの財政支援のための財源確保の一部を平成三年度予算案における歳出削減に求めたことは妥当な措置と考えております。しかし依然として平成三年度予算案には数多くの問題と矛盾があり、生活先進国、文化先進国、国際協力先進国を建設するためには極めて不十分なものであると言わざるを得ません。
以下、その理由を申し述べます。
一つ、平成三年度は四百三十兆円の公共投資十カ年計画の初年度として重要な年でありますが、わずか二千億円の生活関連枠を設け、しかも基本的には硬直的、固定的な配分を大幅に変更させることなく、国民生活軽視の公共事業を続けていることは容認できません。
また、労働時間の短縮、住宅対策の拡充、内外価格差の是正など、サラリーマンのための施策が中途半端なものにとどまっていることはまことに遺憾であります。
二つ、消費税の欠陥解消、家賃減税、パート・内職減税、財形貯蓄減税などの政策減税の実施、サラリーマンの実効ある必要経費申告制度、物価調整減税の創設など重要な税制改革が見送られたことは、国民の声を軽視したものと断ぜざるを得ません。
三つ、行財政改革が着実に行われていないことは遺憾であります。予備費等の削減は妥当でありますが、さらなる歳出削減が可能だったと考えます。また、我々が一貫して求めてきた中央省庁の統廃合、地方出先機関の原則廃止、補助金行政の抜本見直し、第二交付税制度の創設などの行政改革及び新たな財政指標の設定、隠れ借金の返済、消費税率引き上げの歯どめ、政府保有の土地、株式売却などの財政再建計画の策定、実施を改めて強く求めるものであります。
四、この予算案では、国際貢献が十分できないと考えざるを得ません。湾岸戦争に際して財政支援をすることは当然でありますが、人的支援がほとんどできなかったことはまことに恥ずべきことであります。戦後の中東地域の平和と安定の確保を初めとして、今後日本人が世界のために直接汗を流すような体制を整えていくべきであります。
以上、主な理由と我が党の若干の主張を述べ、政府提出予算三案に反対するものであります。
なお、共産党提出の動議につきましては、見解を異にいたしますので、反対であります。(拍手)
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○楢崎
委員 私は、進歩民主連合を代表して、平成三年度予算三案に反対をいたします。並びに共産党提出の組み替え動議には、内容に無理があるので賛成しかねます。
その理由は、おおむね社会党から述べられました内容に一致いたしておりますので、重複を避けて省略をさせていただきます。
なお、この際、湾岸戦争終結後の問題について二、三、希望を総理に申し上げたいと思います。
私は、やはり国連がアメリカ中心主義になり過ぎておるのではないかという感じを持ちます。もう少し国連のあり方を考え直すべきではなかろうか。それから、日本の場合は、依然としてアメリカを通して、アメリカのフィルターを通して世界を見る癖が直っていないのではないか。もう少し、逆に世界の中からアメリカを見、日本を見る必要があるのではないか、そのような感じをいたします。特に、この際、平和憲法の理念を世界に宣言することが私は大事であると今さらのように痛感をいたします。
なお、総理も関心を持たれております軍縮を促進する方策として、私は、この際、武器輸出禁止条約の提案をされたらどうか。それから、核・生物・化学兵器全廃への国際的世論形成への総理の行動を期待いたします。
以上で討論を終わります。(拍手)
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○
渡部委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○
渡部委員長 これより採決に入ります。
まず、
佐藤祐弘君外一名提出の平成三年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
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○
渡部委員長 起立少数。よって、本動議は否決されました。
次に、平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。
三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
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○
渡部委員長 起立多数。よって、平成三年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました平成三年度予算三案に関する
委員会報告書の作成につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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○
渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○
渡部委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
去る一月三十日の審査開始以来、終始真剣なる論議を重ねていただき、本日ここに審査を終了するに至りました。
これもひとえに各党の
理事並びに
委員各位の御理解と御協力のたまものと存じます。ここに深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
本日は、これにて散会いたします。
午後六時四十五分散会